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俯瞰人 松島克守
先が見えないコロナ感染の収束、withコロナで社会・経済活動を取り戻しつつあるワクチン接種先行の欧米、それを阻むかのデルタ株の感染力、ワクチンがあってもワクチン接種が進まない欧米、ワクチンも医療資源も乏しい新興国とパンデミックで、世界は大混乱中です。一方でアフガニスタン政府崩壊という歴史的な地政学的変動を起こしている世界、専制政治が幅を利かせ相対的に後退する民主主義、という情報の海に溺れまいと書いた随想を整理した俯瞰メールです。
8月17日 俯瞰人(松島克守)
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◆時候のご挨拶◆
とにかく八月の豪雨はまさに未曾有の天候です。災害は忘れる前にやってくる、のが昨今です。この気候が続くと稲の生育が心配です。猛暑でもいいから早く晴天が戻ってほしいと思う最近です。
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◆目次◆
1) withコロナの世界◆
アフガニスタンはタリバン政権に
先が見えないパンデミック
IPCCの気候温暖化報告書
2)中国を注視する
中国のデルタ株感染が気になる
3)イノベーションの俯瞰
4)第87回俯瞰サロン(8/26開催)
理化学研究所 計算機科学研究センター 副センター長 佐藤三久さんに聞く
スーパーコンピューター「富岳」の開発と期待
★お申込サイト:https://fukansalon87.peatix.com/view
5)シンプルで美味しい料理◆
ジューサーで作るガスパチョ
6)私感・雑感◆
オリンピック
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◆withコロナの世界◆
<アフガニスタンはタリバン政権に>
あっけなくというか、あっという間のアフガニスタン政府の崩壊です。バイデン大統領の大きな失点です。米軍撤退は既にトランプ大統領が決めて、自分はそれをそのまま継続したと言い訳しても、許されることではないでしょう。米軍が撤退してもアフガニスタン政府の崩壊はないと、ほんの少し前に言明していましたから。ほんの少し前の下記の記事も、単なる過去の憶測になってしまいました。
今回のアフガニスタン撤退のシナリオは、相手が休戦を守らないことをわかっていて和平停戦という形を作り、撤退まではベトナム撤退と同じですが、進行の時間が全く違いました。休戦後も北ベトナムは軍事的な攻勢を継続して悲劇的なサイゴン脱出劇になりました。その後ボートピープルなどの悲劇が起こりました。
ベトナム撤退の経緯は下記です。
“1968年から断続的に続けられていたパリ和平会談で、ようやく妥協に動き、1973年1月27日にベトナム和平協定(パリ和平協定)を成立させ、アメリカ軍は軍事活動を停止し、同年3月、ニクソン大統領の最終判断で、南ベトナム駐留のアメリカ軍が撤退を開始、1973年3月29日までに完了した。
なお、その後もベトナム政府軍と南ベトナム解放民族戦線(および北ベトナム軍)との内戦は継続しまた。アメリカ軍の支援を失った南ベトナム政府軍は急速に弱体化し、1975年に南ベトナム解放民族戦線によるサイゴン陥落によって終結する。“ (世界史の窓 下記)歴史は繰り返す、です。
さすがにフランスのマクロン大統領は、自国の外交官以外の協力者のカブール脱出の全面支援を大きく表明していますが、どこまで出来るか。ドイツはやっているようですが、物静かに。コロナで見えた両国の自国ファーストの心底ですが、今回も人権を価値観として掲げる両国をアジアやアフリカの国々は見ているでしょう。
この後アフガニスタンは9.11の前の状態に戻るのでしょうか。アルカイダというテロ組織の保護や、かつての過酷というか厳格なイスラム法による統治は人権問題、とりわけ女性の権利について国際社会から厳しい批判を受けましたから、新政権はこれまでの学習を活かして、国際社会に受け入れられる、かなりしっかりした統治をするのではないでしょうか。
ロシアは侵攻の前歴がありますからともかく、中国が今後のアフガニスタンに影響力を持つことになるのでしょう。内政不干渉という中国の外交姿勢は、イスラム原理主義という人権に問題を抱えるタリバンの統治には助かります。タリバン独裁という統治も中国と合います。中国にとって既に手を付けているアフガニスタンでの地下資源確保も継続性が出ます。そして一帯一路が広がります。アフガニスタン隣接のパキスタン、イランは既に中国との関係が深い国です。唯一、ウィグルでのイスラム教徒弾圧とイスラム系のテロリストの懸念さえ抑え込めれば、中国にとって転がり込んできた地政学的成果です。
米国国内の問題は、20年という時間と巨額の戦費を使った、コトとモノが無に帰したこと、その責任はということになるでしょう。アフガニスタンの米国の累計戦費は2兆2600億ドル(約250兆円)に達するといわれています。テロとの戦いという大義の戦争であったアフガニスタン、イラク、シリア、パキスタンでの戦費が2001年の戦争開始以降で5兆6000億ドル(約638兆円)と試算されています。NOTO諸国は別です。実際、兵士の給与や直接的な経費以外の金は、どこに流れたのでしょうか。なんの成果もない戦争でした。
アメリカとNATOが学ぶべきは、大軍や先端兵器は結果として何も役立たなかったという事実です。戦争のパラダイムがずっと前に変化しています。これほど短時間でなぜタリバンが全土を掌握できたか、これから分析が議論されるでしょう。
ともかくアメリカの国際的信用は大きく失墜しました。そしてバイデン政権の政治能力も機能不全ともいうべき弱点をさらしました。バイデン大統領についていえば功を焦るというか、思慮が浅いという大統領としての資質の限界が感じられます。先にも性急にマスク不要とコロナに対する勝利宣言をしましましたが、結果はデルタ株の猛威で感染者数急増の危機です。今回も甘い情勢判断と、戦略的にも戦術的にも酷い撤退作戦でサイゴン陥落の悪夢を再現させた、カブール陥落です。
冷静に見ると、これもバイデン流のアメリカファーストでしょう。日米同盟は安全保障の基軸ですが、今回のカブール陥落も「他山の石」と認識すべきです。
<先が見えないパンデミック>
コロナ感染が収まりません。 一時押さえ込んだと思われたヨーロッパでもアメリカでも感染が急速に再拡大しています。デルタ株という感染力の強い変異したウイルスが猛威をふるっているからです。
私も昨年の今頃は、今年の秋にはコロナも収束の目途がついているのではないかという素人判断をしていましたが、まったく間違いでした。コロナ後の世界を考える、などと話していたことが今となっては浅はかで恥ずかしい限りです。
といってもヨーロッパはすでにコロナ禍の収束を待つのではなく、withコロナという方向に舵を切っています。徹底的にワクチン接種を進める、そして集団免疫を獲得して一定程度の感染者とごく少数の死亡者を許容して日常を取り戻す、という対応です。大胆にこれに取り組んだのはイギリスとイスラエルです。ですから、この2カ国の状態はワクチン接種によって集団免疫を獲得するという、日本を含めた国々にとっては重要な先行モデルでした。
イギリスとイスラエルの現在の感染状況を見ると、国民の多数がワクチン接種をしたにもかかわらずデルタ株の感染者数は急増しています。ただ死亡者の数は増えてはいますが、かなり抑えこまれています。これをどう評価するかです。
アイスランドは国民のワクチン接種率は70%を超え、感染者、死亡者数もほぼ抑え込んだとして6月25日に大幅な規制緩和をしましたが、8月になって感染者数が急増しています。集団免疫といういま日本も目指している出口に陰りが見えています。
これらのグラフと同じロイターのグラフで日本の感染状況を見ると、明らかにパターンが違います。時間がある方はじっくりこれらのグラフを観察すると、コロナについて何か気づきがあるかもしれません。
EUは少し厳しい対応です。フランスではワクチン接種を法律で義務化しました。これには一部の国民が激しく反発しています。飲食店や公共施設、鉄道その他ではワクチン接種証明書もしくは陰性証明書の提示が義務付けられました。ドイツでは強制はしていませんが、事実上ワクチン接種証明書もしくは陰性証明書の提示が義務づけられています。ドイツは進まないワクチン接種を加速するために、これまで無料であったワクチン検査を有料化して、ワクチン接種をさせるべく誘導しています。
そしてワクチン接種で先行する欧米は、デルタ株に対しては3回目の接種を進めようとしています。ただ、 3回目のワクチン接種に関しては異論が出ています。 一つは、まだワクチン接種ができていない新興国にそのワクチンを回すべきであるという意見です。人道的にも重要な意見です。もう一つはアストラゼネカのワクチン接種開発に携わったオックスフォード大学の教授が、3回目の接種は意味がないと発言しています。効果が落ちても免疫そのものは失われるものではない、集団免疫の獲得自体が不可能である、ワクチン接種の済んだ人の死亡率が急増するならば、その時やれば良いとの意見です。これも傾聴に値する意見です。
では日本はというと、相変わらずドタバタしていますが、まだ若い人で予約ができない人がいる状態では3回目の議論は時期尚早です。そして抗体カクテルという治療薬についても後手後手で、発病7日以内に投与すると効果があるという治療薬も入院しないと投与できない、入院はさせてもらえない、という、どうしようもない話になりましたが、あれやこれやなんとかしようとしています。心もとないのは治療に使うその治療薬の供給が不十分とか、重症者患者が必要な酸素が足りないとか、政府そして感染が爆発している東京都の、あまりの無能さと怠慢に腹が立つと同時にあきれるばかりです。今や自分の命は自分で守る、うつらない、それだけです。運悪く感染して自宅待機の人は自宅で死を待つということが現実になりました。情けない国に日本はなってしまいました。歌謡曲の歌詞ではありませんが 「こんな日本に誰がした」です。私たちが政治に正面から向き合ってこなかったからでしょう。
<IPCCの気候温暖化報告書>
6年ぶりにIPCCが報告書を発表しました。気候温暖化は人間の活動が原因である、と初めて断定したということですが、何を今更という感じがします。報告書の内容は下記の通りです(JCCCAによる要約)。
主な結論
・地球温暖化の原因
・人間活動が20世紀半ば以降に観測された温暖化の支配的な要因であった可能性が極めて高い(可能性95%以上)
・大気中の二酸化炭素、メタン、一酸化二窒素は、過去80万年間で前例のない水準まで増加している
現状(観測事実)
・温暖化については「疑う余地がない」
・1880~2012年において、世界平均地上気温は0.85℃上昇
・最近30年の各10年間の世界平均地上気温は、1850年以降のどの10年間よりも高温。
・海洋は人為起源の二酸化炭素の約30%を吸収して、海洋酸性化を引き起こしている。
・1992~2005年において、3000m以深の海洋深層においても水温が上昇している可能性が高い。
将来予測
・今世紀末までの世界平均地上気温の変化予測は0.3~4.8℃である可能性が高い
・今世紀末までの世界平均海面水位の上昇予測は0.26~0.82mである可能性が高い
・CO2の総累積排出量と世界平均地上気温の変化は比例関係にある。
・最終的に気温が何度上昇するかは累積排出量の幅に関係する。
・これからの数十年でより多くの排出を行えば、その後はより多くの排出削減が必要となる。
では、私たちはどうしたらいいのか。総論としては、化石燃料の使用を止めて再生エネルギーに切り替えていくことです。そして、各国政府も積極的な政策をとりつつあります。自動車については2030~2040年にかけてガソリンエンジンとディーゼルエンジンそしてハイブリッド車も販売禁止、という政策がヨーロッパを中心に打ち出されています。アメリカのかつてのビックスリーもEV シフトを宣言しています。
態度が曖昧なトヨタ自動車は最近かなり厳しい批判にさらされています。「現実的に難しい」といういつもの言い訳はもう現在では通じません。しかし、トヨタ自動車の社長はまだ粘っています。海外メディアからもトヨタは気候変動対策に反対であると、厳しい批判にさらされています。そしてメディアに対する反論か株主総会で唐突に「ロバの話」です、まさにヤバイ。
ただ、私たちは個人的に何をしたらいいのかはっきりしません。単に自動車をEVに乗り換えればいいというわけにはいきませんね。地域として、行政と一緒になって生活者が推進できる一つのプロジェクトは、屋根の上の太陽光発電、住宅の断熱構造、 EV 、そしてこれらをネットワーク構造にするマイクログリッドの構築と推進があると思います。再生エネルギーもいろいろありますが、経済的に持続可能な、そして実装できる。再生エネルギーは太陽光発電が一番有効ではないでしょうか。ただメガソーラーの時代ではありません。適地がありません。災害を起こす造成が問題になっています。したがって規制の自治体も少なくありません。
風力発電、洋上発電、地熱発電、バイオマスなどは、いずれも経済合理性と持続可能性の問題があります。地域によっては森林バイオマスでの発電を推進しているところがありますが、実際に経済合理性のある規模でバイオマス発電を行うには、多くの場合、地元のバイオマス供給が追いつきません。先日、青森県の八戸港で座礁して半分に折れた貨物船の積み荷はタイからの木質チップとありましたが、これはたぶんバイオマス発電の燃料ではないでしょうか。バイオマス発電は、依然として買取価格が高いため、バイオマス燃料を海外から重油を使って運搬してきても、投資として成り立ちます。
これまでも、大規模なメガソーラーなど再生エネルギープロジェクトは、殆どすべて金融投資案件です。その多くは外国資本です。なにしろこのゼロ金利の時代、固定の高金利で確実な利潤が保証されるという投資ですから。もうこれは無しにしましょう。金融の投資は気候温暖化対策という観点もありません。ただし、 ESG投資と称してこれに貢献している見せ方をしています。究極の偽善です。
気候温暖化の地球規模の議論では、これとは別に原子力発電についても私たちは冷静な議論が必要だと思います。
バイデン氏、アフガン戦争終結を優先 タリバン攻勢でも
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN1502K0V10C21A8000000/
なぜタリバンはこれほど急進撃しているのか アフガニスタン
https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-58219196
英国防相、米のアフガン撤収批判「アルカイダが復活するだろう
https://mainichi.jp/articles/20210814/k00/00m/030/020000c
NATOアフガン撤退で差し迫るタリバン「裏切り者狩り」の恐怖
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/86200
1973年3月、ベトナム和平協定にもとづきアメリカ軍はベトナムを撤退した。
https://www.y-history.net/appendix/wh1603-072.html
米戦費、中東・アジアで約640兆円=民間試算
https://jp.wsj.com/articles/SB10497117387642923781804583504121766192176
バイデン「アフガン駐留米軍、帰還の時」 完全撤退を正式表明
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2021/04/post-96076.php
アフガン、再びテロ拠点化も 3カ月以内に首都陥落か
https://www.sankei.com/article/20210811-PORKZBXNHZPNRH7OJFP3EZ6RGE/
英国における新型コロナウイルスの感染状況・グラフ
https://graphics.reuters.com/world-coronavirus-tracker-and-maps/ja/countries-and-territories/united-kingdom/
イスラエルにおける新型コロナウイルスの感染状況・グラフ
https://graphics.reuters.com/world-coronavirus-tracker-and-maps/ja/countries-and-territories/israel/
アイスランドのコロナ感染グラフ
https://graphics.reuters.com/world-coronavirus-tracker-and-maps/ja/countries-and-territories/iceland/
日本のコロナ感染グラフ
https://graphics.reuters.com/world-coronavirus-tracker-and-maps/ja/countries-and-territories/japan/
フランス ワクチン接種証明の提示義務化始まる 市民から反発も
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210810/k10013191931000.html
ドイツ、コロナ抗原検査を有料に ワクチン接種促す狙い
https://www.asahi.com/articles/ASP8C2FCZP8CUHBI004.html
対コロナ「集団免疫」困難 ワクチン効果は確実―規制解除の英国
https://www.jiji.com/jc/article?k=2021081400319&g=int
IPCC 第5次評価報告書 特設ページ
https://www.jccca.org/ipcc/ar5/wg1.html
米紙が指摘「トヨタは温暖化に懐疑的な議員に献金し、世界中で環境規制に強く反対していた」
https://news.yahoo.co.jp/articles/5720853c9edd7d20712132b4de6ab5cae6994ca3
マスコミはもういらない…トヨタ社長の「ロバの話」を考える
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/75394
FIT制度における2021年度の買取価格・賦課金単価等を決定しました
https://www.meti.go.jp/press/2020/03/20210324004/20210324004.html
◆2)中国を注視する◆
<中国のデルタ株感染が気になる>
中国のデルタ株感染の状況が気になります。コロナの初期の段階で、強力な都市封鎖で完全にコロナを制圧したということで、いち早く経済活動再開し、経済成長を取り戻し世界経済の救済にもなっている中国ですが、懸念があります。 一つは情報公開です。さすがにコロナ感染の初期に情報隠蔽して、結果として世界にコロナ感染を広げたことを厳しく批判されましたから、今回は、情報隠蔽はあまりないと考えられますが、ともかく中国の統計数字を信じる人は少ないでしょう。
2月には冬季北京オリンピックが迫っていますから、感染の実態を隠蔽する懸念を感じます。もう一つの懸念は、全国民に近い規模でワクチン接種を完了したと言われていますが、中国製ワクチンは旧い不活性化ワクチンで、デルタ株に対して極めて有効性が低いという評価です。東南アジア各国でも欧米のワクチンを使った3度目の接種が進められています。これに対して中国は、どのワクチンをデルタ株に対して追加接種するのでしょうか。
特許の問題を除けばメッセンジャーRNA(mRNA)ワクチンは短期間で開発可能ですから、中国も開発を急いでいるでしょうが。
言われているさらなる懸念は、欧米がwithコロナというオープンな社会を試行しているのに対して、都市封鎖というクローズドなコロナ対策は欧米と中国の人的交流を遮断することになります。これは即ち経済のデバイドです。これ継続できませんので、いずれはオープンモデルにするとみられていますが、その状態でコロナ感染対策がうまくいくかという懸念があります。いずれにしても中国のコロナ感染を注視しなければなりません。
<中国共産党は「角を矯めて牛(テック企業)を殺す」を強行>
中国の大手テック企業に対する規制強化がさらに進んでいます。あまりに大きくなった所得格差を少しでも解消する雰囲気を出すため、大富豪の寄付が盛んなようです。アントレプレナーの何人かは中国でのスタートアップを諦めて、欧米での起業を考えているでしょう。
大手テック企業があまりにも大きな影響力を持ち、ビックデータを有して活用することが中国共産党のリーダーシップをゆるがすものとして規制を容赦なく進めていますが、当然これまで自由な環境で急成長してきたテック企業は、これから成長を大きく阻害されます。まさに「角を矯めて牛(テック企業)を殺す」です。それでも、中国共産党はやるでしょう。
さらに所得格差に加え学歴社会のため巨額の教育費が必要となった中国では、少子化政策を止めても、結婚も出産も増えません。一般大衆の教育費に対する不満も大きくなった結果、中国共産党はいわゆる学習塾の企業を弾圧することをやりました。いわゆる受験勉強という学校教育の枠外の教育費を抑える、ということでしょう。
このようなテック企業や学習塾の企業に対する突然の規制は、株式市場にも不連続的な影響を与えています。その他の要因もあって、中国の株価は乱高下し中国投資をしてきた企業にも大きな影響を与えています。
何が何でも、来たる共産党大会に中国共産党のリーダーシップによる完全な形の先進国モデルを誇示したいという強い意志が、これらを動かしているのでしょう。この強権的な政治がいつまで続くか、見ている人は見ているでしょう。
中国、新型コロナ再流行続く…新規市中感染確認94人、クラスター発生の河南省と江蘇省など4省
https://news.yahoo.co.jp/articles/43540b62c78beb47360aeab38d5dbba2fa86137f
中国、デルタ株の感染拡大-コロナ対策でGDPへの影響必至
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2021-08-04/QXAF5TDWLU6N01
中国の脱コロナ戦略、国際的孤立深める恐れ-世界はコロナ共生に軸足
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2021-08-10/QXLQVCT0AFBG01
中国のIT企業規制 所得格差の不満に危機感
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB105JF0Q1A810C2000000/
アリババの次はテンセント 中国当局のIT大手締め付け
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGH260YR0W1A720C2000000/
中国IT株に強まる逆風、学習塾も規制強化の標的に
https://diamond.jp/articles/-/277860
中国のIT長者が突如として慈善活動への寄付に精を出す理由
https://shikiho.jp/news/0/442176
ソフトバンクにも逆風、中国テック企業の株価が大幅下落中
https://forbesjapan.com/articles/detail/42574
◆3)イノベーションの俯瞰◆
俯瞰学の技法の一つとして、歴史による俯瞰があります。時系列による俯瞰は統計数字を長期間俯瞰しますが、歴史による俯瞰は年表的な事象のまさに歴史としての俯瞰から「今」を理解するメッセージを抽出することです。この歴史の俯瞰により現在のデジタル革命の流れと今後を見てみましょう。
第二次世界大戦が終結した1945年からの科学技術の発達を俯瞰すると、1965年までの20年間は、現在のデジタル革命の基層を形成したイノベーションが起こった時代だったことが判ります。
1946年には最初の電子計算機ENIACが開発されました。そして1948年にトランジスタが発明され、1952年に科学用大型計算機IBM 701が発売されました。1964年に汎用型のIBM360が発売され、コンピュータの時代が到来しました。そしてIBMがコンピュータの標準になりました。
1957年にソ連が人工衛星スプートニクスを打ち上げ、アメリカはこれに狼狽しました。絶対的なアメリカの科学技術の優位性が揺らいだからです。この後、激しい宇宙開発競争がアメリカとソ連の間で競われましたが、 1969年にアメリカはアポロ11号で月面着陸を実現させ科学技術の優位性を披瀝しました。この間NASAは数多くのイノベーションを成し遂げ科学技術を発展させました。そして冷戦構造は軍事予算でデジタル革命を加速させました。
1957年には半導体のフェアチャイルドが設立され、TI(テキサスインスツルメンツ)はICを発明しました。そして1960年にはソニーが世界初のトランジスタテレビを発売しました。1969年には半導体のインテルが設立され、ムーアの法則が動き出しました。半導体がデジタル革命を推進し、鉄にかわって半導体が産業のコメとなりました。
そして1970年以降の半導体のデジタル革命が凄まじいです。 1971年には日本人の嶋 正利氏とインテルがマイクロプロセッサー「Intel 4004」を開発しましたが、なぜかインテル博物館には嶋 正利氏関する展示は何もありません。その後プロセッサー(CPU)のイノベーションが継続して、IBM-PC、Apple、マイクロソフトのWindowsとインテルのプロセッサーによるウィンテル(Wintel)のパソコン革命へとつながり、マイクロプロセッサーがデジタル革命の基盤技術となりました。
1970年パロアルトにゼロックス社の研究所が設立され、この研究所のわずか十数人がインターネット、LAN、GUI、マウスなど現在のデジタル革命の基幹技術の大半を発明したといわれています。Appleとマイクロソフトはここの成果を盗んだとも揶揄されました。
1975年にスタンフォード大学医学部が人工知能を応用した医療診断システムMYCINを開発し注目されました。第二世代の人工知能です。私も衝撃を受け、専門分野だった機械加工のAIシステムを開発して学会発表しました。そしてCAM-Iというアメリカの生産技術者の組織の機械加工のメンバーにパロアルトで紹介しました。その人工知能は、2012年にカナダのジェフリー・ヒントン教授が率いるチームがディープラーニングで人間を超える画像の認識率を出し、第三世代の人工知能のブームとなって現在に至ります。
日本は半導体分野で技術的な優位を確立すべく超LSI開発共同組合を立ち上げ、 1980年には日本の半導体世界一を実現しました。その後は韓国の追い上げがあり、台湾に製造プロセスを丸投げすることにより日本の半導体産業は衰退し、気が付くと今は半導体の供給能力が製造業のボトルネックとなってしまいました。この超LSI開発プロジェクト以降、第五世代コンピュータプロジェクトを始め、情報関係の国家プロジェクトは際立つ成果を上げていないのが残念です。そして官製のイノベーションに甘えた日本のIT企業はデジタル革命に乗り遅れてしまいました。
ただ1979年にソニーはウォークマンを発売し、イヤホンで音楽を聴くというライフスタイルを提案し、デジタル革命を生活者に届け、スティーブ・ジョブスが憧れる世界のハイテク業界のリーダーとなりました。
80年代になるとAT&Tが分割され通信事業の独占が終わり、アメリカの通信革命が始まりました。インターネット実現の最重要技術であるネットワークのルータを開発するシスコシステムズが1984年に創立され、インターネットが米国で急成長し、そしてデジタル革命はアメリカのシリコンバレーのベンチャー企業が世界をリードし、現在に至ります。当時のアメリカのコンピューターサイエンス人材の層の厚さは、日本やヨーロッパとは段違いであったことも競争優位を生んだ理由です。
ただ、この時代の日本はまだ世界のイノベーションをリードする気概はありました。1982年に第五世代コンピュータプロジェクトをスタートさせ、新世代コンピュータ技術開発機構(ICOT)を設立し、人工知能コンピュータ(ハードウェア)の開発を目指し総額で540億円の国家予算が投入しました。しかしさしたる成果を得られず1992年に終了しました。不幸なことにこの後数年間は人工知能の研究に資金が回されず、バブル崩壊後という経済環境もあって官民ともに人工知能の研究が停滞して第三世代の人工知能の波に後れをとることになりました。
結局この時代、日本はアナログ技術とハードウェアに拘り、その世界の優位性にしがみつき、時代の流れに乗り遅れました。何しろ世界に提案したハイビジョンもアナログでした。そして日本のハイテク企業はNTTとNHKにぶら下がり、自前のイノベーションをおろそかした結果、気が付くとシリコンバレーの後塵を拝する立場になりました。日本全体が “生産技術(モノ作り)が技術力” だと誤解して “既に起きていた未来” のデジタル革命を軽視したことで90年代以降、成長出来ない産業構造になってしまいました。
以上、技術の歴史を俯瞰すると、現在のデジタル革命は第二次世界大戦の終結直後から始まり、70年代から急速に発展しシリコンバレーが形成されました。半導体革命はインターネット革命につながり新産業革命を起こしました。産業界の覇権もデジタルテック産業に移りました。機械工学、熱力学、化学工学と電磁気学を基盤とする工業化社会は情報化社会へ、そしてネット社会へと移行しまし。コンピュータ業界の覇者IBMも旧い技術に拘泥して1990年以降のインターネット革命の波に沈んでいきました。
1990年以降のインターネット革命が劇的に世界を変えていきました。1990年にCERN のティム・バーナーズ・リーはwwwを実装してハイパーリンクを含めWeb の世界を開き、1993年にNCSAのマーク・アンドリーセンがブラウザーのMosaic を開発してGUIとマウスで誰でもWeb を利用できるようにしました。そして、それまでアメリカ政府が管理運営してきたインターネットが1995年から民間に移管され自由な発展を可能にしました。
1995年にマイクロソフト社がWindows '95 を発売しブラウザーを組み込んで、それまで一部の研究者しか利用できなかったインターネットを個人の机の上から利用を可能にしたことによりインターネットは一気に普及しました。日本の富士通やNEC、日立というIT企業は資金も人材もありましたが、このインターネットに戦略的な取り組みをせず歴史的なイノベーションの波を見送ってしまいました。
一方、敏感に時代を感じたジェフ・ベゾスは早くも1994年にはAmazonを設立しネットビジネスをスタートさせ、1998年にはスタンフォード大学の学生のラリー・ペイジとセルゲイ・ブリンが爆発するインターネット世界の情報を検索するGoogleを設立しました。1997年にスティーブ・ジョブスがAppleに復帰しイノベーションをリードしていきました。1990年からの約10年間のイノベーションが今の世界を作ったといえます。これこそが日本の失われた10年です。
少し遅れて、EVと自動運転車のリーダーであるテスラが2003年、SNS のFacebookが2004年に設立されています。これでシリコンバレーのコアメンバーはすべて揃ったわけです。注目すべきは中国のテックベンチャー企業で、1998年にテンセントが創立し1999年にアリババが創立しました。中国はインターネット革命に間に合ったというか時代を感じて動いたのです。ただ最近中国共産党の規制強化に苦しめられ今後の成長が気になりますが。
20世紀初頭の産業革命には間に合った日本ですが、この1990年からのインターネット革命には自ら脱落しました。そして日本の産業・経済の衰退がはじまりました。
2007年にiPhoneが発売されて15年になりました。コンピュータと携帯電話を統合したスマートフォンがこの15年間に生み出した経済はとてつもなく巨大で、 このイノベーションの波に乗らなかった、1900年前後に産声を上げた世界の巨大企業はもはや時価総額では中堅企業になってしまいました。日本の経団連の大企業は世界経済の中での存在感はさらに薄くなりました。なにしろGAFAMと呼ばれるGoogle 、Apple 、Facebook 、Amazon、Microsoftを合わせた時価総額はナスダック市場では約9.1兆ドル(約1,006兆円)と約52%を占めています。テスラ(EV)、エヌビディア(半導体)、ペイパル(フィンテック)、ASML(半導体製造装置)、アドビ(アプリケーション・ソフトウエア)の5社を加えると約62%になります。まさに産業・経済の主役、産業構造は完全に一新されました。アメリカファーストでアメリカ製造業の復権を進めてもこの産業構造は変えられないでしょう。ちなみに東証一部の時価総額合計は約700兆円です。(数字は日々変動しています)
無人運転、人工知能、ドローン、ブロックチェーンなどの新技術は、豊富な現金と人財を持つGAFAMがリーダーシップをとっています。そしてこの分野では中国が急速に力をつけているので、中国のイノベーションを無視することはできません。インドは、豊富な先端技術人財の活躍で世界経済と新産業で存在感を増していくでしょう。日本とヨーロッパは産業構造の変革に置いていかれて、世界で存在感を喪失しつつあります。どちらも1900年からの旧い産業界が未だに産業政策を仕切っている体制を刷新しないといけません。
近未来では自動車産業はEVと自動運転で大きな産業構造の変化が起こることは見えています。FCV(燃料電池自動車)に執心した日本は一周遅れからのリベンジです。まだこれまでの延長線上に生き残りをかけていますが。すでに電子・電機産業は崩落し、再生の道筋は見えません。日本経済は大胆なリベンジが必要ですが、それを推進する先端技術人財が少なすぎます。情報科学の分野の人財育成の遅れという失敗が重いです。やりようでは、ある程度キャッチアップもできると思います。
いつも近未来は既に起きています、それを感じ取るか、否かです。
産業・技術の年表
1946 電子計算機ENIAC開発
1948 トランジスタ―の発明
1952 科学用大型計算機IBM701発売
1958 TIのジャック・キルビーがICを発明
ノイスらフェアチャイルド 設立(シリコンバレーの始まり)
1964 IBM360発売
1969 インテル設立
Xeroxのパロアルト研究所が開設
1971 マイクロプロセッサーの開発
1973 米ゼロックスがTCP/IPの特許
1974 スタンフォード大学医学部がAIのMYCIN開発(AI第二世代)
1975 マイクロソフト社創立
1976 アップル社創立
1977 国家プロジェクト超LSI開発(半導体世界一に)
1982 AT&Tの分割
1982 第五世代コンピュータプロジェクト(1992終了)
1984 シスコシステムズ創立
1990 CERN のティム・バーナーズ・リーがWWWを実装
1992 インターネットイニシアティブ(IIJ)創立
1993 NCSAのマーク・アンドリーセンがMosaic を開発
1994 Amazon創立
1995 インターネットの民間移管が進む
マイクロソフト社がWindows '95 を発売
1997 スティーブ・ジョブスがAppleに復帰する
ファーウェイ創立
1998 Google創立
テンセント創立
1999 アリババ創立
2003 テスラモーターズ創立
2004 Facebook創立
2007 iPhone発売
2012 カナダのジェフリー・ヒントン教授が率いるチームがAIで人間を超える認識率
2016 GoogleのAlpha Goが世界戦優勝経験のあるプロ棋士に勝利
GAFAMの時価総額合計は1,000兆円を超えた
https://media.rakuten-sec.net/articles/-/32978?page=2
◆4)第87回俯瞰サロン◆
理化学研究所 計算機科学研究センター 副センター長 佐藤三久さんに聞く
スーパーコンピューター「富岳」の開発と期待
スーパーコンピュータ「富岳」。日本で開発され、今年から本格運用が始まりました。新型コロナウィルスの飛沫の飛散シミュレーションがメディアで放映されていましたが、工学はもちろんのこと、医学、薬学、気象など広い分野で、今まで困難だった課題解決への対応が期待されています。また今年6月に行われたスーパーコンピュータの性能を競う世界ランキングで、演算速度(TOP500)、シミュレーション計算(HPCG)、AIの学習速度(HPL-AI)、ビッグデータの処理性能(Graph500)の4部門で2020年から3期連続の世界1位を獲得しました。最新のスーパーコンピューターの世界を、開発責任者のお一人から伺う機会を楽しみにしています。(俯瞰サロン担当 石川公子)
・講師・佐藤三久(さとうみつひさ)さん
昭和57年東京大学理学部情報科学科卒業。平成3年、通産省電子技術総合研究
所入所。平成13年から平成27年まで、筑波大学システム情報系教授。平成19年
度より平成24年度まで、同大学計算科学研究センターセンター長。平成22年よ
り、理化学研究所計算科学研究機構プログラミング環境研究チームリーダ。平
成26年より、同機構フラッグシップ2020プロジェクト副プロジェクトリーダ。
平成30年度より、理化学研究所計算科学研究センター副センター長。筑波大学
連携大学院教授、筑波大学名誉教授、理学博士。
<記>
・日時:2021年8月26日(木) 18:30~20:30 (開場:18:20)
18:30~20:00 ご講演、20:00~20:30 Q&A
・参加費用:500円(税込)
・ご参考:
理化学研究所 計算科学研究センター:https://www.r-ccs.riken.jp/
理化学研究所 佐藤三久さんのwebサイト:
https://www.r-ccs.riken.jp/research/labs/pert/
★お申込サイト:https://fukansalon87.peatix.com/view ★
◆5)シンプルで美味しい料理◆
<ジューサーで作るガスパチョ>
この季節は木で完熟したトマトが美味しいですね。他の夏野菜も一番おいしい季節です。この旬の夏野菜の料理といえばラタテューユとガスパチョです。完熟したトマトは生がおいしいですが、それで作るガスパチョスープは最高です。
これまではミキサーで材料を粉砕してシノワで濾していましたが、ふと思いついて、毎朝野菜ジュースを作るジューサーで作れば良いことに気が付きました。やってみました。凄く簡単で手間がかかりません。
ガスパチョは元々好物でよく作りました。スペイン旅行では全てのレストランでガスパチョを注文して味を試しましたが、水っぽいものが多くて自宅で作った濃い目のガスパチョのほうがずっと美味しいと感じました。
レシピは色々ですが、今回は以下の材料で作ってみました。
完熟トマト中くらいで4個、大きければ3個。キュウリ1本、皮をピラーで剥きます。玉葱1/4。ニンニク1個、切りません。赤いパブリカ大1個。レモンのしぼり汁1~2個分。バージンオリーブオイル100㏄。塩・胡椒。水(ミネラルウオーターもしくは浄水器を通した水)100㏄。多くのレシピはパンの白いところを入れるとありますが、圧縮タイプのジューサーでは絞れないので入れませんでした。
ニンニクはジューサーが圧縮タイプのものですので絞る感じで丸のまま、その他の野菜は適当にザク切で。レモンのしぼり汁、オリーブオイル、塩・胡椒、水はジューサーで絞った後で入れます。ホワイトバルサミコを加えると美味しいです。
麦茶を冷やす筒形の容器がこれには向いていて、レモンのしぼり汁、オリーブオイル、塩、コショウそして水を野菜ジュースに加えて軽く振って混ぜます。そのままよりも少し冷蔵庫で冷やします、出来れば一晩おくと角が取れてマイルドな味になります。
手間がかからないので最近はよく作ります。
◆6)私感・雑感◆
<オリンピック>
オリンピックが終わって、なぜかほっとしました。元々、オリンピックは開催する、無観客しかない、と思っていましたので、選手の活躍そして笑顔を見て、やってよかったとテレビを見ていました。この場を失った選手たちに思いをはせると、改めて無理を承知の開催でしたが開催してよかった、関係者はよくやったと思いました。
選手たちも、不可能かと思われた状況で無事にオリンピックを開催した日本に感謝していることが伝わってきました。まだ開会式がどうの、閉会式がどうのと言っている人の心の貧しさに同情さえします。
そして予想以上に日本が金メダルを獲得したのは驚きました。下馬評が高かったベテランが沈み、初出場の金メダルが多かったことで世代交代を実感しました。
私はごく普通の日本人(のオヤジ?)です。
<コロナ>
デルタ株の威力を見るとコロナの終わりが見通せません。インフルエンザのようになるのでしょうか。政府や東京都の対応はコメントしたくもない!という限界です。日本人、日本文化、日本の官僚能力、その陰の部分が全てさらけ出されました。
検査数が人口1000万人を超える東京で一万何千、少ない日は数千という状態で感染者数の発表を喜々として伝える?感じのメディア、それについてのコメンテーターの解説、見る気も、聞く気も失せます。東京都独自の基準の、死と背中合わせ状態の重症者数と死亡者数は注視していますが。
「危機感が共有できていない」という尾身会長、「あまり煽らないでくれ」とメディアに頼む東京都の衛生部長、淡々と自粛を呼びかける政府、これは話に聞くデストピアの世界の幻影を見ているとすれば心が休まるのでしょうか。では我はどこに今いるのか。
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◆俯瞰MAIL第2世代11号(2021年8月17日)◆
編集:俯瞰人(松島克守)
配信:石川公子
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