◆俯瞰メール第2世代007号◆

ご意見、ご感想を頂けると励みになります。また読者の投稿歓迎です。約6000人に配信しています。熱心に読んで頂いている方もかなりいらっしゃいます。

                                                          4月15日 俯瞰人 松島克守

 

◆時候のご挨拶◆

先月号では“赤く芽吹き”と書きましたが、今はもう青葉の季節です。マンションのシャクナゲも満開でしたがもう散りかけています。季節の進行が早くなり四季の国の日本が、夏と冬の二季の国になりそうです。海面温度の上昇は現実化して海岸線の後退も各地で報告されています。今年も強烈な豪雨と洪水、超大型台風に身構えなければいけないでしょう。

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◆目次◆

1.コロナ後の世界

アラスカで米中激突/荒れた外交はトランプの後遺症か/コロナ禍で混乱しメルケル首相もマクロン大統領も影響力を失ったEU

2.Gゼロの地経学

形成されつつある中国包囲網/英空母クイーン・エリザベス攻撃群は欧州海軍か/中国はワクチン外交で着実に途上国を取り込み/

3.コロナ後の経済

コロナ後の世界経済は米中が牽引する/半導体の調達能力が経済成長を左右する/歴史的な金融緩和であふれ出た資金がリスクに/デジタル課税、法人税共通化とコロナ後は税制が変わる

4.コロナ後の日本

日本企業はコロナ後に向かって変革しているのか

5.東大俯瞰経営塾開講

6.俯瞰サロンのご案内(4月21日18:30~オンラインにて開催)

第83回俯瞰サロン詳細およびお申込サイト:https://83fukansalon.peatix.com/view

7.俯瞰の書斎 

パソコン自作奮闘記

8.俯瞰人の料理あれこれ 

最近試してみた食材あれこれ/最近の贅沢料理

9.私感・雑感

コロナ対策を政治の玩具にする政治家

 

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1.コロナ後の世界◆

<アラスカで米中激突>

アラスカでアメリカと中国の外交首脳会議が開かれました。激突でした。冒頭から大荒れです。最初に中国の挨拶をメディアに公開する5分が20分になり、その反論のため米国側が退出するメディアを呼び止め20分反論するという応酬です。

 

「米国には米国式の民主主義があり、中国には中国式の民主主義がある」、「自国の民主主義を他国に押し付けることをやめるのが重要」、「世界の圧倒的多数の国々は、米国が提唱する普遍的な価値観や米国の意見が国際世論を代表するとは認識していない」など、メディアを前にして、率直というか、激しい感情的な議論が展開されました。加えてこんな発言もあったようです。

 

楊氏 「私が間違っていた。この部屋に入った際に、互いの冒頭発言のトーンに注意するよう米国側に念押しすべきだったが、そうしなかった。米国側の論調が原因で、中国側はこのようにスピーチすることを強いられた。これは米国の意図ではないのか。あなた方の冒頭発言での論調から判断すれば、強者の立場から中国を見下す形で話したいということなのか。これは入念に準備され、計画されていたのか。このような形で対話することを望んでいたのか。我々は米国のことを良く考えすぎていた。我々は米国側が必要とされる外交儀礼には従うものだと思っていた。我々は中国の立場を明確にすることが必要だった」

「中国陣営の前で私はこう言いたい。米国は中国に対して強者の立場から話す資格は持っていない。20年前、30年前ですら米国側にはそのようなことをいう資格はなかった。なぜならそれは中国人民と付き合ううえでのやり方ではないからだ。もし米国が適切に中国側と交渉をしたいのならば、必要な儀礼に従って正しいことをすべきだ」”

 

楊潔篪氏はこの立ち回りで、本国では大評判で国民的英雄です。国民の多くが留飲を下げたようです。しかし、またそれを見て足を引っ張る人がいて、陽氏の娘さんと妻はマンハッタンの2億円の高級マンションに暮らすという情報をリークしています。中国共産党の内部権力闘争もかなりのものですね。

 

中国側には、いろいろ不満が鬱積していたようです。わざわざ極寒のアラスカに呼び出して、外交儀礼に反する取り扱いを受けたという気持ちが率直に前に出ました。

 

これから会談をするというのに、その直前に香港に対する制裁を発表したことは、端から交渉する気持ちがないと受け取ったようです。これは、アメリカの外交がもともと中国を挑発するために仕組んだシナリオではないかという説もあります。ちなみに、アラスカで用意された中国側のホテルは、ビジネスホテルであるヒルトンです。そして、夕食会もなく、中国の代表は時間がないのでカップラーメンを食べたという話まで伝わってきます。こんな形でアメリカがメッセージを伝えるとは、たとえトランプ前大統領の中国対抗政策を継承するにしても、トランプ前大統領の粗野で野卑なマナーまで引き継ぐことはないと思いますが。

 

この後アメリカは、超党派の議員で「戦略的競争法案」をメネンデス上院外交委員長がとりまとめました。その冒頭で「中国は国際秩序の将来を脅かし、米国の国益がリスクにさらされている」、「唯一の敵対国だ」、「米国は中国によるインド太平洋地域での覇権を阻止しなければいけない」宣言し、台湾との関係強化や中国による人権侵害への制裁拡充などが盛り込まれているようです。そして中国スパコンメーカーに対する厳しい厳しい禁輸措置を発表しています。

 

いずれにせよ、ここしばらくは厳しい米中対立の構造が続きますが、中国はコロナ後の世界経済における存在感を生かし、コロナ外交も含め独自の経済圏を構築していくでしょう。新冷戦はしっかりと現実的な地政学的な枠組みになりました。

 

<荒れた外交はトランプの後遺症か>

トランプ前大統領の、これまでの外交儀礼を無視するような粗野で野卑な外交が後遺症を残しているのかもしれませんが、中国の外交トップをわざわざアラスカに招待しながら用意したホテルがビジネスホテルとはこれまでの欧米のもったいぶった上品な外交とは全く違います。常識で考えても非礼としか言いようがありません。楊氏と王氏が宿泊したヒルトンホテルの価格帯は1170ドル程度であり、中国の外交ツートップを宿泊させるにはまったく不釣り合いだというのです。

 

ところが同じような乱暴な外交儀礼をトルコのエルドアン大統領が行いました。

トルコのエルドアン大統領とEUのミシェル欧州理事会議長(EU大統領)、フォンデアライエン欧州委員長が4月6日にトルコの首都アンカラで会談した際、エルドアン氏とミシェル氏の男性2人が部屋の中央の椅子に腰を掛けるそばで、女性のフォンデアライエン氏が所在なげに立つ様子が見られ、ひんしゅくを買っている、と報じられています。フォンデアライエン氏は座るべき場所がわからない様子で、「ええと」と声を出す様子が見られたと、そして近くのソファを勧められたというのです。トルコは熱望していたEU加盟をあきらめたのでしょうか。というかEUの求心力の衰えでしょうか。

 

いま世界はコロナのパンデミックで歴史的な苦境に立たされています。最大限の国際的な協力が必要とされていますが、国際外交にはそれとは全く方向が違う現象が起きているわけです。ワクチンの奪い合い、なすすべもなく死んでいく後進国の人々、経済活動の停止で職を失い貧困の中で苦しむ多数の人間、全くこの状態はいわゆる「ディストピア」ではないでしょうか。 「ディストピア」とは理想の世界「ユートピア」の真逆の世界を言います。

 

ある意味、トランプ前大統領が、人間が奥底にもつ闇の部分を表に出してしまったために、それでいいのだという風潮が広く一般大衆を超えて国際外交という場を担う人たちにまでを染めてしまったとすれば、国際関係の近未来は暗いです。

 

ディストピア

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%87%E3%82%A3%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%94%E3%82%A2 

 

コロナ禍で混乱しメルケル首相もマクロン大統領も影響力を失ったEU

長引くコロナ禍でヨーロッパの政治も大きく揺れています。この対策で当初は国民の支持の高かったドイツメルケル首相も、長引く外出規制とイースターというクリスマスに並ぶ大きなバケーションの間の外出禁止があまりにも反対が多く、謝罪をしてすぐに撤回しました。しかし、すでに国民の心はメルケル政権から離れ、選挙では与党は劇的な敗北です。ですから9月の総選挙で退陣するメルケル政権の後は、緑の党が参画する連立政権が成立しそうです。とすればさらに、環境対策に沿った政策が強化されるでしょう。先行きは見えません。

 

一方、そのメルケル首相とタッグを組んでEUを牽引してきたフランスのマクロン大統領もコロナ対応で国民の支持を失い、 一部の世論調査ではあの右翼の党首に支持率で遅れをとっていると言われています。大統領再選は極めて厳しい状況です。万が一にも右翼が政権の主導権を握ることがあれば、どのような展開になるか全く判りません。言える事は、EUは求心力を失い、そして国際的な存在感を失っていくということです。

 

その結果は、ロシアの強引な国際進出やトルコのエルドアン大統領の反民主主義的な行動が強まることになります。

 

米中高官が直接協議、バイデン政権下で初 冒頭から激論

https://jp.reuters.com/article/us-cn-idJPKBN2BA2YK 

米中外交トップ会談、異例の応酬 冒頭発言全文(上): 日本 ...

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM223K10S1A320C2000000/ 

「聞いた話と違う」米中外交トップ会談、冒頭発言全文(下)

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM226870S1A320C2000000/ 

中国は米国の術中にはまった?外交トップ会談で甦る「120年前の屈辱」

https://www.msn.com/ja-jp/money/other/%E4%B8%AD%E5%9B%BD%E3%81%AF%E7%B1%B3%E5%9B%BD%E3%81%AE%E8%A1%93%E4%B8%AD%E3%81%AB%E3%81%AF%E3%81%BE%E3%81%A3%E3%81%9F%EF%BC%9F%E5%A4%96%E4%BA%A4%E3%83%88%E3%83%83%E3%83%97%E4%BC%9A%E8%AB%87%E3%81%A7%E7%94%A6%E3%82%8B%E3%80%8C120%E5%B9%B4%E5%89%8D%E3%81%AE%E5%B1%88%E8%BE%B1%E3%80%8D/ar-BB1fdguX 

国民的英雄となった中国「反米の闘士」 妻と娘はNY在住、2億円の高級コンドミニアム暮らし

https://bunshun.jp/articles/-/44657?page=2 

米中、ハイテク制裁めぐり激突 温度差鮮明―外交トップ会談

https://www.jiji.com/jc/article?k=2021031900952&g=int 

米、対中競争で新法案 上院議員が提案

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN0902K0Z00C21A4000000/ 

米、中国スパコン7法人・施設に制裁 「軍近代化を支援」

https://www.sankei.com/world/news/210409/wor2104090001-n1.html 

中国指導部で習近平への懸念が出始めた今、菅首相が示すべき“強硬姿勢” 

https://bunshun.jp/articles/-/44681 

女性首脳の座るいすがない トルコ大統領とEU首脳の会談で

https://www.cnn.co.jp/world/35169003.html 

環境政党「緑の党」の連立政権入りが現実味を帯びてきた。メルケル与党の支持率急落が意味するもの

https://www.businessinsider.jp/post-232572 

「口だけ立派」なメルケル時代の終焉で、ドイツに押し寄せる厳しい現実

https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2021/04/post-96005.php 

仏マクロン大統領の支持率低迷 3度目ロックダウンの決断遅れに批判

https://www.tokyo-np.co.jp/article/95681 

ロックダウンのフランスでマクロン再選に赤信号。ワクチンで挽回できるか?

https://webronza.asahi.com/politics/articles/2021040700005.html 

 

◆2.Gゼロの地経学

<形成されつつある中国包囲網>

バイデン政権になって、急速に中国包囲網が形成されつつあります。まずクワッドの首脳会議です。これまではどちらかといえば中国と欧米の間で曖昧な立場をとってきたインドが、ここにきてはっきりと中国包囲網に加わった事は大きな変化です。加えてヨーロッパも積極的にこのクワッドに参加する方向に舵を切り、いわば欧州連合艦隊のような海軍力をこの地域に派遣するまでになりました。

 

人権問題でも、積極的にアメリカの主張に合わせて中国に厳しい姿勢を見せています。特にイギリスは香港問題がありますから積極的です。まさか空母を中心とした海軍力をこの地域に派遣するとは思っていませんでした。

 

当然単なる人権問題という綺麗ごとではなく、いろいろな利権をにらんだ言動だと思いますが、それにしても少し前まで中国の経済力を頼るあまりに、中国に極めて融和的な言動であったヨーロッパの変貌に脅かされます。ドイツのメルケル首相が強引に押し通したEUと中国の投資協定も、当分日の目を見る事は無さそうです。ただヨーロッパの政治は極めて流動的で今後が見えませんから、この流れも注意して見ていかないといけないでしょう。皮肉なことにEUを離脱した英国以外の政権は、なぜか全て不安定な状況にあります。

 

<英空母クイーン・エリザベス攻撃群は欧州海軍か>

ただ何故か、これまで日本以上に中国べったりであったヨーロッパが、ここに来て中国包囲網に積極的に参画し、いわば欧州艦隊のように英国の新型空母クイーン・エリザベスの攻撃群編成に加わり、軍艦をインド洋、さらには西太平洋に展開するようになりました。そして人権問題でも極めて強硬な姿勢を中国に対して取るようになりました。その意味では国際情勢は、コロナで大きく変化したようです。

空母クイーン・エリザベスの攻撃群の編成は「旗艦のクイーン・エリザベス(R08)」に加え、艦艇は8隻。イギリス海軍の45型駆逐艦を含む6隻と、アメリカ海軍からアーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦「ザ・サリヴァンズ(DDG-68)」、オランダ海軍「エバーツェン(HNLMS Evertsen:F805)」で構成します。DDG-68は、艦載機はありませんが、F805NH90を搭載しています。

 

空母打撃軍で機動展開が可能で、R08に搭載されている航空勢力は、イギリス空軍(RAF)617飛行隊「ダムバスターズ」、アメリカ海兵隊の第211海兵戦闘攻撃中隊(VMFA-211)F-35Bライトニングを搭載。さらに、イギリス海軍のAW159をベースとするワイルドキャットHMA.2を運用する815海軍航空隊(815 NAS)820海軍航空隊(820 NAS)AW101をベースとするマーリンHC4/4Aを運用する845海軍航空隊(845 NAS)が搭載されています。このほか、構成する艦艇にシーキングなどの回転翼機が搭載されています(Fly Team ニュース)、まさにこれは欧州艦隊です。

 

<中国はワクチン外交で着実に途上国を取り込み>

ヨーロッパとアメリカが国内のコロナ対策で動けない状況の中で、中国は早めにコロナ収束に成功し、ワクチン開発に成功した勢いに乗って、積極的に途上国にワクチンを援助することで中国の勢力圏を広げることに成功しつつあります。なにしろ資金もなくワクチンも手当てできない、欧米からの援助はないという状況では、中国の援助は喜んで受けられます。こうして救済を受ければ、これから中国の国際政策に、国連の議論に中国を支持する国は増えます。米中の新冷戦の中で多くの国が立ち位置を問われますが、このワクチン外交の効果は必ずや出てくるでしょう。

 

このところ、やや余裕がでてきた米国はこれに対抗すべく援助拡大しようとしていますが、すでにかつての勢力圏であった中南米も中国製ワクチンとロシア製ワクチンの接種が進んでいます。

 

日本はワクチン外交どころか、国民の接種すらおぼつかない状況とはで、まったく情けない限りです。科学技術立国という言葉を嫌というほど聞きました。たくさんのノーベル賞受賞者がいます。何かおかしいと言わざるを得ません。学術会議の問題はこのところ話題になりませんが、むしろこのような無策を放置した責任の一端は学術会議にもあると思います。何の発言もありません。とすると存在価値も疑われますね。

 

日米豪印と仏、共同海上訓練 連携強化、中国けん制―ベンガル湾

https://www.jiji.com/jc/article?k=2021040500683&g=int 

「正義」の陰に産業競争 人権尊重、対中で米欧足並み:日本経済新聞

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO70677210U1A400C2TJC000/ 

クイーン・エリザベス空母打撃群、構成固まる オランダ海軍も参加

https://flyteam.jp/news/article/132030 

アフリカで活発化 中国「ワクチン外交」 提供で関係強化目指す

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210331/k10012946111000.html 

ワクチン輸出、中国が席巻 外交や経済で攻勢も

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCA2950I0Z20C21A3000000/ 

 

3.コロナ後の経済◆

<コロナ後の世界経済は米中が牽引する>

米国もヨーロッパも、そして世界のどの地域でもコロナ変異株が猛威をふるっています。ヨーロッパもロックダウンの中で経済成長どころではない雰囲気ですが、なぜか経済の見通しは明るいとの報告がIMFから出されています。経済成長率は、2021年は世界で6.0%、中国8.4%、米国6.4%、英国5.3%、EU4.4%、日本3.3%です。インドは12.5%とされていますが、牽引力という期待は小さいでしょう。

 

やり過ぎとも一部では言われているアメリカの巨額の財政支出は、すでに株式市場に大きな波として押し寄せています。中国もいち早くコロナ感染を押さえ込んだようで経済も急回復しています。結果としてコロナ後の世界経済は米国と中国が牽引する構造になるとされています。

 

ただ世界経済の回復はワクチン接種の普及による社会免疫に依存しますので、今やワクチン接種競争が米中間の最大の争いになっているようです。バイデン政権のワクチン接種政策は前倒しに進み、夏にはほぼ完了する勢いです。一方、中国はコロナ感染を押さえ込んだと言いながら、ワクチン接種においては米国の後塵を拝し、ここにきて焦っているようです。

 

これに対し英国をのぞけば、ヨーロッパはワクチン接種も、ワクチンの供給も不足し、感染の急拡大で経済活動の解禁もままならず相当遅れをとっていますから、世界経済の牽引役にはなりません。

 

英国がヨーロッパの中で突出してワクチン接種が先行している秘密が紹介されています。オックスフォード大学を中心とした産学連携プレー、そしてそのキーパーソンはすべて女性の科学者です。加えてあのジョンソン首相の型破りな、しかしまさに戦時対応の行動です。

 

  “英国首相ボリス・ジョンソンは携帯電話を手に取った。「キミに、人々が死んでいくのを止めてほしいのだ」と、ジョンソン首相が連絡したのはケイト・ビンガム博士。オックスフォード大学で生化学を学んだあと金融分野に転じ、バイオベンチャー相手の投資コンサルタントとして活躍していた。とんでもない大役の指名に迷ったが、22歳の長女に「お母さん! もし迷っているのが私だったら『自分を卑下するな。自信を持ちなさい』って叱るでしょう?」と激励され、この役目を無償で引き受けた。

 ビンガム博士はさっそく特別チームを編成する。「公衆衛生庁を飛び越して民間のコンサルタントを起用」という首相の型破りな人事もさることながら、博士が招集した面々も、製薬業界の裏事情に詳しいビジネスマン、武器輸送の専門家など、まるでアウトローを集めた映画のキャストのようだった。

 国防省潜水艦配置局から引き抜かれた女性管理職のルース・トッドさんは、「開発中のワクチンすべてに暗号名をつける」という提案をし、当時120ほどあった開発中ワクチンの中からどれが選ばれるかが外部に漏れないようにした。

 リーダーたちの努力は実り、英国は世界に先駆けてドイツのファイザー製ワクチンを承認し、2020年12月3日から全国で一斉接種をスタートさせた。“(PRESIDENT online 2021/04/12)

 

こういう記事を読むと、「 7つの海を支配した英国魂」はやっぱりすごいなと単純に感動してしまいます。やはり英国には、脈々とリーダーの決断と、リーダー人財がリーダーとして国を率いる伝統があるということを再確認させられます。

 

それにしても日本のワクチン接種はさらに遅れ、日本政府、日本人の危機管理能力の弱さが露呈しています。しかもこの教訓が生かされずに「喉元過ぎれば・・・・ 」にもなりかねません。来たる総選挙では、この辺をきちっと国民は見極める必要があります。

 

<半導体の調達能力が経済成長を左右する>

コロナの今、顕在化したリスクが半導体のサプライチェーンです。かつて半導体は「産業のコメ」とも言われましたが、コメが余るように半導体は低価格で安定して調達できるという、今としては誤解がコロナ後の経済復旧の足を引っ張っています。半導体の調達ができないために基幹産業の自動車産業は工場の操業停止に追われています。結果として雇用の回復に影響します。

 

今や全ての工業製品の基本部品として半導体は欠かせない存在ですが、各社とも中国や韓国の大量生産と供給能力に頼って、サプライチェーンの脆弱性を無視してきました。そのツケが回ってきました。

 

アメリカも慌てて国内の半導体生産能力の確保に動き出しましたが、かつての半導体の覇者のインテルにすでにその力はなく、台湾のTSMCに頼らざるを得ません。産業政策に安全保障という視点が大きく影響する時代になります。

 

日本の半導体業界も混乱に混乱を重ね、最後に産業用半導体のメーカーとしてルネサスが残りましたが、そのルネサスも偶発的ではあると思いますが、工場火災で大幅な供給力を喪失しました。加えて旭化成の工場まで火災です。工場火災という極めて基本的かつ初歩的な設備保全が不完全であったことにも驚かされます。ずいぶん前ですが、アイシン精機の工場火災で、コスト削減で絞り込んでいた基幹部品が供給不足に陥り、日本の自動車業界も大混乱しましたが、やはり「喉元過ぎれば・・」で疎かになっていたようです。今回のこの事態を貴重な教訓として、サプライチェーンの俯瞰的な管理と最適化を図る必要があります。そして半導体の供給能力が経済成長の根幹にあることを再認識する必要があります。

 

私は現役時代「サプライチェーン診断」というサプライチェーンの分析手法を開発して、その最適化の研究をしました。この手法は2,3の企業で試していましたが非常に有効でした。今こそ、この手法が役に立つと思いますが。(社)俯瞰工学研究所HPの松島教授講演資料 第75回俯瞰サロン「コロナ後の世界を俯瞰する」 講演資料2020.05.23参照。
 
 https://www.fukan.jp/松島教授講演資料/

  Youtubeの俯瞰サロンチャネル:https://www.youtube.com/watch?v=QaYrkUDE2gw

 

<歴史的な金融緩和であふれ出た資金がリスクに>

 コロナ後の経済復旧のために各国とも歴史的な財政出動、すなわち資金を市場に大量放出していますがさすがに副反応が出てきました。

 

基本的には、インフレのリスクや国家財政の劣化ですが、直接的には今異常な株式市場の活況です。先を見て動く株式市場ですが、さすがに投資家も「薄氷を踏む思い」でしょうから、高値相場ながら上げ下げを繰り返しています。

 

最近明らかになった事件は、さらに深刻な金融市場の構造の問題点です。金融当局の監視を全く受けないファミリーオフィスと呼ばれているヘッジファンドが大量の資金を運用している現実が、改めてそのリスクを顕在化しました。

 

かつてインサイダーで処分された韓国系のファンドマネジャーが、ファミリーオフィスという私的がファンドを立ち上げ、そこに大手金融機関が資金の供給というか信用供与をすることによって、自己資金の数倍にも及ぶ大量の資金を集めて少数の企業の株式に投資し、その株式の下落によって資金繰りが破綻し、信用供与した金融機関が大きな損失を出したと報じられました。

 

また空箱上場と呼ばれる全くリアルの事業がなく、単にM&Aの資金調達だけの企業の上場が相次いでいます。リスクが高い資金運用の世界にも大量の資金が流れ込んでいます。明らかに経済の実態と大きく乖離した金融の世界ですから、極めて不安定な運用です。という事は、ほんのささいなトリガーで心理的な恐慌状態を招きかねません。

 

とにかく、いくつもの大きなリスクを抱えている世界に、私たちは生きていることを自覚しなければなりませんが、自己防衛の手段は限定的ですから、考えるとストレスになります。

 

<デジタル課税、法人税共通化とコロナ後は税制が変わる>

世界経済が大きく変化する兆候は税制改革という形で見えてきました。まず、かねてからグローバルに展開しながら各地域に税金を納めていない、いわゆるGAFAMを代表とする巨大なデジタル企業に対し各国政府が税金をかける動きが進み出しました。本来はEUが主張してきたことですが、ここに来て米国のバイデン政権が積極的に動き始めました。 EU主導の税制改革の主導権を、米国にとって不利にならないように積極的に国際標準を決めたいという思惑も感じられますし、コロナ対策で大盤振る舞いしている財政出動に対する税収の確保もあるのでしょう。

 

コロナ対策のための税収確保は、法人税の引き上げという形で急に動き出しました。これまで各国は企業誘致のために競って法人税率を下げてきましたが、結果として税収の減収に悩まされてきました。さすが米国です。国際的な最低法人税率を設定することによって、一方的に米国の法人税引き上げが不利にならないように考えました。この辺はまだ米国が持っている経済的な覇権でしょうか。むろん各国政府もこれに異論があるわけはなく、来たるG20で早速議論される予定です。日本はもともと相対的に高い法人税率を維持してきましたから、これによって直接影響を受ける事はないと思います。といっても、それでなくても絶望的とも言える日本財政ですから、コロナ対策の特別予算に対する税収を手当てする必要があります。消費税率の引き上げもひとつの選択ですが、最近消費税込の価格表示を徹底する動きはその準備かもしれません。

 

世界経済、216.0%成長 IMFが見通し上方修正

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN05CSW0V00C21A4000000/?n_cid=BMSR3P001_202104062134 

パンデミック後の数年、世界経済けん引するのは中国に-次いで米国

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2021-04-06/QR5QIUDWLU6E01 

中国が焦るワクチン接種、経済再開で米国に先越される事態警戒

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2021-04-05/QR28ICDWRGG201 

米中の成長率突出 IMF予測、財政出動やワクチン普及で

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA063920W1A400C2000000/ 

「私は女性科学者じゃない」英国のワクチン開発を率いたオックスフォード大教授がついたため息

https://president.jp/articles/-/44892 

インテルはもうTSMCに勝てない?

https://www.sbbit.jp/article/cont1/56124 

世界のM&A市場、急拡大 13月で過去最大に「空箱会社」がけん引

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO70655400S1A400C2EA4000/ 

「空箱」上場400社、米M&Aを席巻 緩和マネーが拍車

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN1000V010022021000000/ 

SPACを激しく批判、個人投資家「略奪行為」の餌食に-ブロック氏

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2021-04-06/QR3PQ7T0AFB701 

2200億円が蒸発野村が被った「アルケゴス・ショック」の本当の怖さ

https://president.jp/articles/-/44773 

膨れる高リスク資産「影の銀行」に緩和マネー

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO70895370R10C21A4MM8000/ 

デジタル課税で米が主導、国際協調回帰へ一歩

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO70889020Q1A410C2EA1000/ 

本気でGAFA解体へバイデン政権「反独占最強布陣」とその思想

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/81849 

法人税の国際的な最低税率導入 G2021年半ばまでに解決」

https://news.yahoo.co.jp/articles/4ad01310f90d0a5e9e2ab39bfc0f0cfaea5155d8

 

SPACとは 未公開会社や他社の事業を買収することのみを目的として株式を公開し、自らは何も事業を営んでいない「空箱」のような企業。Special Purpose Acquisition Companyの頭文字をとっている。上場時にはどの会社を買うのか不明なので、白紙の小切手をさすブランク・チェック・カンパニーとも呼ばれる。

経営陣はIPO時、有望企業の買収をうたい文句に投資家から資金を集める。投資家は経営陣の目利きを信頼して投資する。通常、上場から2年以内に買収対象となる未公開企業をみつけ、株主総会の承認を得て合併する。合併先の未公開企業が事実上の「存続会社」となり、上場企業になる。

買収される企業はIPOの手続きなしで上場するため、裏口上場との批判もある。日本では2008年にSPACの上場解禁を検討したが、課題が多く見送ったままになっている。(日経新聞2021219日)

 

4.コロナ後の日本◆

<日本企業はコロナ後に向かって変革しているのか>

世界中でコロナ感染が激増している今、一方ではコロナ後の経済復旧の見通しが強気です。特に米国は本来持つ危機対応能力を遺憾なく発揮して、ワクチン接種を目標の2倍で進める勢いです。この現状を見て米国企業は、コロナ後に合わせて大胆な改革を進めているニュースもいくつかあります。オフィスについても積極的に拡充する方向も見せています。

 

米国自動車業界は、政府のEV推進政策を歓迎し積極的にこれに対応して新しい需要を積極的に取り込む方向です。 EVに関しては、ヨーロッパ各国はすでに積極的な行動を起こし、あの自動車の総本山とも言えるベンツの工場がEV生産に移行するというニュースすら伝えられています

 

一方、日本企業はコロナ後の新しい世界に対応する改革を進めているのか、はっきりしないのが気になります。特に製造業の基幹を担う自動車業界がいまひとつ意味不明なメッセージを発信し続けています。年初から日本自動車工業会のトヨタ会長はEV化に疑念を持つようなメッセージを発していますが、最近の記者会見でもLCA(ライフサイクルアセスメント)すなわち生産のすべてのプロセスにおいて脱炭酸ガスを要求する世界の流れに危機感を持ったメッセージを発しています。

 

年初の彼のメッセージは、EVは炭酸ガスを排出しないが、その電気は火力発電で大量の炭酸ガスを出す、みんながEVになると電力需要が逼迫する、など分かったようで分からない、見方によっては、やりたくない、できないという言い訳が得意の日本企業丸出しでした。 EV化というすでに定まった世界の潮流、市場を考えれば、すでにEV化は議論の対象ではありません。発電システムに問題があればそれをどうするかという議論しかありません。まさか原発を推進したいと思っているのではないしょうが。再生エネルギーのコストが高い、どうすれば安くできるかの議論には言及しません。自社の取り組みにも。

 

そして今回のLCAという課題提起です。LCAは既に何十年も前から議論されている環境問題の課題で、ここにきて急速にかつ実質的に大きな課題になっただけです。雇用が失われる、自動車業界が持たない、自動車工業会会長としても不適切な発言です。危機感を共有したい気持ちはわかりますが、だから工業会はこうしますという、行動宣言が求められているのではないでしょうか。

 

もともと先見の明があってないような感じの印象を彼には持っていますが、つくづくリーダーの資質がなく、たまたまトヨタ自動車のオーナーでもないのに創業家と称してトップに就任しているイメージです。とても世界の自動車業界や経済界で高く評価されているとは考えられません。このままいけば歴史的なEVの転換を、千載一遇の自動車業界の覇権を奪取する機会と捉えている中国の自動車業界の後塵を拝することになるでしょう。そして日本は衰退の道を辿ります。

 

このような自動車工業会とは関係なく、佐川急便は中国のEVを活用して宅配の軽自動車をEVに代えると発表しました。さすが佐川急便でしょうか。これに続く元気のいい日本企業の変革のニュースを聞きたいですね。

 

都心を中心としてオフィスの空室率が高くなっているというニュースがあります。働き方改革で在宅勤務やリモートオフィスが普及していると楽観的に見ることもできますが、日本における在宅勤務は住宅事情を考えるとあまり現実的ではありません。むしろ労働環境の悪化にもつながります。企業変革につながるオフィス戦略は全く見えません。単に出勤人数を抑えるだけですか。

 

そのリモートワークを支えるDXの進展も進んでいるでしょうか。コロナ感染者の掌握を目的とするあのお粗末なITシステムや、何度も何度もダウンする大銀行のシステムを構築した日本のIT企業の技術を見ると、一般企業のDXが順調に進んでいるとはとても考えられません。

 

それでもいつ実現するか予想もつかなかった押印廃止の法律が、いとも簡単に成立したのには驚きました。決心すればできる、ということを如実に示しました。一方ではいったん進みかけた遠隔医療も、コロナで、そして選挙を控えた今、医師会に忖度して後退しています。

 

この未曽有のコロナ危機を歴史的な変革のチャンスとして積極的にとらえるメンタリティーが、日本人には、日本にはつくづく弱いなと思います。残念ですね。

 

ワクチン接種率は英国46%、日本1%以下。世界のワクチン接種と感染状況の「今」

https://www.businessinsider.jp/post-232472?itm_source=article_link&itm_campaign=/post-232581&itm_content=https://www.businessinsider.jp/post-232472 

費用を支払わなかった? ファイザー、イスラエル行きのワクチン70万回分の輸送をストップ

https://www.businessinsider.jp/post-232581 

デジタル庁関連法案が衆院通過 「首相に強大な権限」と法律家が緊急声明

https://www.tokyo-np.co.jp/article/96257 

デジタル改革法案、衆院通過 個人情報保護などに懸念

https://news.yahoo.co.jp/articles/17a36813a1ba50a2890aa54d68d829b263fd464a 

「財政依存の政権運営が成長阻害」 “先進国最悪”さらに悪化

https://mainichi.jp/articles/20200902/k00/00m/020/169000c?inb=ys 

米自動車業界、政権のEV投資方針を歓迎

https://trafficnews.jp/post/106099 

「炭素中立に対応しないと100万人の雇用を失う」、自工会会長

https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/news/18/09848/ 

佐川急便が宅配特化の軽、7200台をEVに順次置き換えへ…中国産で排出CO2を1割削減

https://www.yomiuri.co.jp/economy/20210413-OYT1T50189/ 

2021年のオフィスマーケットと「ニューノーマル」の働き方はどうなる?

https://news.yahoo.co.jp/articles/2c2bedd38f5d2775d6f07a1eef763c73aa7b3782?page=1 

アフターコロナを見据えた働き方とオフィス戦略の在り方(前編)

https://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=67344?pno=4&site=nli 

 

5.東大俯瞰経営塾開講◆

2021年俯瞰経営塾を48日から開講しました。私が定年後自主ゼミになって14年でしょうか。残念ながら今年はネットです。ゼミはネットでは限界がありますが。教室の授業はネット講義とQ&Aだけであれば何とかできますが、全体で議論をするゼミや研究会にはネットは限定的です。顔が見えない、場の雰囲気が分からない、コミュニケーションの本質で限界にぶち当たります。

 

今年はTMI(技術開発戦略学専攻)15名に加えて、その他工学系7名、法学部2名、経済学部、文学部、薬学部各1名、農学部2名が学内から参加し、加えて慶応経済と総勢305チームとフル編成になりました。TA10名は各チームに2名ついて指導の腕を競います。

少しずつ進化していますが、カリキュラムは以下の12課題です。毎週です。

 

リーダーシップ リーダーとマネージャーは違う

マーケティング1 マーケティング1.0、マーケティング2.0

マーケティング2 マーケティング3.0

テクノロジー概論 AI、IOT

イノベーション1 サムライたちのイノベーション(Sonyのイノベータの苦闘)

イノベーション2 オープンイノベーションの事例(BDとHD-DVD)

会計 PS/BSの読み方

企業価値の算定 DCF

M&A 事例を踏まえて

経営戦略論 ポーター、バーニー、ミツバ-グ

ドラッカーの経営論

研究対象企業の中期経営計画

 

各チームは研究対象企業を決めてその企業のデータ分析を基本にして理解を深めて、最後に企業変革の提案(中期経営計画)を策定します。課題はMBAのミニ版ですが、あくまでこのゼミで追及しているのは、すなわち目的は「知的腕力」を付けることです。「知的腕力」とは結果を出せる知力です。

研究対象企業はTAが議論して決めました。今年度は、花王、Sony、旭化成、ファーストリテイリング、コロワイドです。TAの学生が感性で興味を持った企業です。

 

◆6.俯瞰サロンのご案内◆

<83回俯瞰サロン>

アジアを中心に法律の世界で活躍されている藪本雄登氏さんが、

故郷の紀南で展開する芸術祭『紀南アートウィーク』。

その想いを聞く「アートと法律のあいだ」

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日時:2021年4月21日(水) 18:3020:30 (開場:18:20

参加費用:500円(税込)

主催:(社)俯瞰工学研究所 https://www.fukan.jp/

83回俯瞰サロン詳細およびお申込サイト:https://83fukansalon.peatix.com/view

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なお、8月までの俯瞰サロンの講師の方が決まりました。
俯瞰研のwebサイト「今後の俯瞰サロン」に日程を掲載してまいりますので、ご参加いただければ幸いです。https://www.fukan.jp/俯瞰サロン/今後の俯瞰サロン/

 

◆7.俯瞰の書斎◆

<パソコン自作奮闘記>

数年ぶりにパーツを集めてパソコンを自作しました。パソコンを自作するのは多分4回目だと思います。最近といっても2009年に俯瞰メールを始めるときに、最先端のパソコンのパーツを集めて自作しました。もう10年以上前です。数年前にCPU、メモリ、そしてWindowsが収納される起動ディスクをHDDからSSDすなわち半導体メモリに変えました。むろんマザーボードもです。

 

最近調子が良くないので、思い切って新しいパソコンを自作することにしました。パソコンの自作は、すなわちその時点におけるパソコンの最先端でテクノロジーを勉強することでもあります。この数年間のテクノロジーの進歩が物凄いことを改めて認識しました。今回は最初に自作パソコンのマニュアル本「PC自作虎の巻」を買って勉強しました。

 

まず、数年前にはほぼ最高の性能のCPUを選択しましたが、技術の進歩は早く、現在最先端のIntel CPUはi7、i5i3の3クラスありますが、前回のCPUはi5の半分程度のレベルになっていました。今回は、最先端は必要ないのでi5のCPUを選択しました。この数年でCPUの性能は約3倍でしょうか。

 

Windowsの起動ディスクも、前回は当時非常に高価だった半導体メモリのSSDを使いましたが、この時はあくまでも外付けのストレージです。現在ではマザーボードのバスに直に挿すSSDが当たり前になっていました。まだかなり高価ですが、1Tバイトで15000円くらいでしょうか。ちなみに、パソコンで使われているHDDは読み書き速度は120MB/秒くらいで、外付けのSSDは500MB/秒くらいです。ところがマザーボードに直に差すSSDは2000MB/秒です。もっと早いものもあります。

 

当然マザーボードも最先端のものにしなければなりません。メモリも新しい規格のメモリしか使えません。幸いグラフィックボードはゲーム用ではないので、前回のゲーム用のグラフィックボードをそのまま使いました。ケースも新調して、締めて部品代が10万円くらいです。数年以上前のパソコンと比べると、CPUとストレージ、メモリ速度の高速化で、全体としての処理速度は数十倍です。しかし部品代はほぼ同じです。ということは、価格性能比はこの5年で数十倍です。このイノベーションをビジネスに組み込んだ人、しない人、これは差が出るでしょう。間違いなくゲーム業界はこの恩恵で業績急成長です。仮想通貨のマイニングもそうでしょう。このイノベーションの恩恵を受けられないDXが進んでいない企業は、間違いなく既に敗者です。

 

この過程で気がついたのですが、自作パソコンの最先端はゲーム用です。従来のスーパーコンピューターをはるかに凌駕するようなパソコンが、ゲーム愛好者の間では普及していることに気がつきました。対戦ゲームではグラフィックボードは勝負の要ですから、高価なものは20-30万円します。

 

そして、以前であれば秋葉原に行って部品を見ながら、自作パソコンショップの店員に相談しながら買いましたが、今回はコロナもあり全てネットで購入しました。すでにケーブル1本でもアマゾンで買う習慣になっていましたから当然ですが、最先端のパソコンの部品は知識が豊富な専門店の店員のアドバイスが重要です。

 

これまでの経験では部品が集まれば数時間で組み立てが終わるはずでしたが、今回は延べ10数時間かかりました。知的腕力の衰えを実感しました。ともかくマニュアルが酷いのですが、それをきちっと読み込む力が落ちていました。何度もトラブルに直面して、マニュアルをよく見ると分かりにくいながらも、説明がされていました。ともかくハードとWindows が完全に動くまで、のべ数日間かかりました。

 

部品を取り付け、何本かの配線をした後、電源スイッチ入れればすぐ動くはずのものが動きません。部品を集めて作る自作パソコンでは非論理的な話ですが、部品同士の相性というものがあって動かないケースが知られています。ですから秋葉原で店員にそれを確認しながら買うわけです。今回は虎の巻に書いてあったお薦めのプランを参考にして部品を購入しましたが、なぜか電源を入れても画面に何も出てこない、なにが悪いのかも判りません。部品ショップのサポートセンターに電話をして助けを求めました。自分の店で売った部品ついてはきちっとサポートしてくれます。当然ですが「電源コードが入っていますか」と聞かれます。電話で窓口の人はそれほど技術的に詳しいわけではないので、一時は店頭に持ち込んで有料サービスを受けようかと思いました。たまたまサポートセンターのスタッフが「 SSDを差し込むところはマザーボードにいくつかあるので試してみてはどうですか」と一言ったので改めてマザーボード見ると確かに3箇所ありました。そしてよくマニュアルを読むと間違ったところに差し込んでいました。これを直すとそれで画面が出てきました。どっと疲れましたが。このような試行錯誤を10数時間続けることになりました。

 

結論から言えば、購入した部品の組み合わせは全く問題ありませんでした。マニアルの読み込み不足だけです。

 

ハードウェアが動けば、次はソフトウェアのインストレーションです。すでに買ってあった自作組み立てパソコン用のWindows10-Homeを入れ、プリンターとスキャナーのドライバを入れて動作を確認します。

 

この後ソフトウェアを導入してデジタル書斎を作っていきます。

まずwebブラウザーです。Windows を導入すると自動的にMicrosftEdgeが導入されます。このまま使い続けてもいいのですが、多くの人はGoogleChrome を使います。関連ソフトが豊富で連携がよくできていますから。マイクロソフトも懸命に追いかけていますが、社会の評価は圧倒的にChrome です。いろいろなバージョンがありますが、Googleのサイトでダウンロードすればパソコンにあった最新バージョンがダウンロードされます。必ずGoogleの正式サイトでダウンロードすることです!変なソフトを併せて導入されないために。そして既定のブラウザーにしておきます。

 

次にマイクロソフトのOffice導入です。文書の作成はWord、プレゼンテーションはPowerPoint 、そして数値データの取り扱いはExcelになります。これはデジタル書斎に必要です。Wordの代わりに長年「一太郎」を愛用している方もいると思います。使い慣れたものが1番いいと思います。私は通常はWordを使いますが、電子書籍を作成するときは「一太郎」の方が機能は上です。かつてDTPがはやりの時、そのツールとして「一太郎」はいろんな機能を搭載しました。これが電子書籍の作成には、役に立ちます。かな漢字変換のATOKもまだIMEより上のように見えます。

 

このマイクロソフトのOffice は曲者です。というのは現在クラウドに顧客を誘導する仕掛けがしつこくて、うっかりするとそちらに持っていかれます。クラウド版のOfficeは結局高いものにつきます。ですから箱にDVDを入れて売っていたマイクロソフトが月料金のOffice365に顧客を誘導して見事財政再建を果たしたくらいです。私は売り切りのOffice2019を購入して複数のパソコンで使っています。Officeはすでに機能が飽和状態ですから、このまま何年か使っても追加料金はかかりません。それでもOfficeのファイルの収納場所としてしつこくDriveOneというクラウドを売り込んできますが、煩わしいですです。この辺の設定については補足資料に紹介しておきます。

 

クラウドの活用は必須ですが、よく理解したうえで選択しないとややこしいことになります。

この後は長くなりますので次回にしましょう。

 

WebブラウザシェアランキングTOP10(日本国内・世界)

https://webrage.jp/techblog/pc_browser_share/ 

 

8.の料理あれこれ◆ 

<近試してみた食材あれこれ>

すでにSoy(大豆)のパスタ、ニンニク顆粒、玉ネギブラウン炒めは紹介したと思いますが、さらに最近の「新参者」の紹介です。

 

豆乳おからパウダー

キッコーマンから発売されています。ズバリ粉末の豆乳で、無味無臭です。これもいろいろな使い道があり万能ですが、最近は有機豆乳を牛乳代わりに飲んでいますので、大豆の栄養を取るためには必要ありませんが、今は、小麦粉の代わりにから揚げやフライの衣に小麦粉の代わりとして使って糖質を減らすという使い道です。商品にはヨーグルト、ドリンク、みそ汁に入れるとありますが、健康食品を摂取しているという気持ちを頂くのでしょうか。

 

骨髄パウダー

健康フリークの私は「ボーンブロス」すなわち骨を長時間煮出したスープに興味を持っていました。ネットで見るといろいろな効能が紹介されています。本格的には48時間煮出すというので手が出ませんが。私は長年鶏ガラスープ、手羽先、手羽元でも作りますが、ほぼ毎日飲んでいます。煮だす時間は3-4時間くらいです。アクを取ってから、ねぎ、しょうが、タマネギ、にんにく、昆布、干しシイタケ、干しエビ、クコの実を入れて煮出します。場合によっては人参も。

 

しかし、48時間煮出すという「ボーンブロス」は依然として興味を持っていました。牧草を食べて育った「グラスフェッド」の骨を使うとか、敷居が高いです。

 

ネットで骨髄エキスという粉末が売られているのを知りましたので、購入しました。発売元は(株)自然健康社です。無味無臭です。小さじ2杯を160mlに溶かして毎日飲むとありますが、スープを作るときに気が付くと入れるようにしています。コラーゲンやコンドロイチンなどを含むとあるので、何となく体によさそうというだけです。時間がないときはスープの素でスープを作りますが、これを小さじ1杯加えます。下記のURLの内容があまりにも魅力的です。

 

医師推奨|身体が喜ぶ癒しのスープ「ボーンブロス」

https://wellmethod.jp/bone-broth/ 

 

枸杞(クコ)のジュース

枸杞はよく知られた漢方のスーパーフードで、最近は海外でも人気で、「ゴジベリー(goji berry)」との言い方が定着しつつあるそうです。ちなみに枸杞の効用は、抗酸化作用、免疫力増強、滋養強壮、眼精疲労回復効果、血圧・血脂・血糖の抑制、美肌・美白作用と魅力的です

私も長年愛用して、これを入れると何となく薬膳料理のような気分を味わっていました。そのままつまんでもおいしいです。主に鶏ガラスープを取るとき入れていました。これもネットでジュースがあることを知り最近愛飲しています。ジュースは甘いです。野生ですから当然有機ということになっています。

 

身近な生薬「クコの実(ゴジベリー)」、漢方の本場・中国ではどう使う?

https://tabicoffret.com/article/75681/index.html 

 

<最近の贅沢料理>

 年末に正月に食べようと思ってタラバガニの冷凍を買っておきましたが、家族が集まることもなく冷凍庫の中にそのままありましたので、これで春巻きをつくりました。以前にも紹介したカキの春巻きと同じ作り方です。カニは高価なので普段は「カニかまぼこ」で作ります。これも美味しいですが流石にタラバガニをふんだんに使った春巻きは美味しかったです。滅多に作らない贅沢な料理です。

 

マナイタの試作

 玉ねぎや人参その他野菜の下ごしらえでは、ゴミがたくさん出ます。調理台に散らかった野菜クズを捨てるのは結構面倒です。そこで流しの上を渡すようなマナイタを作りました。 U字形の切り込みで水栓をつかみ、流しに縦に渡すマナイタです。両脇は空いていますから野菜のゴミはそのまま流しに落とせます。拙宅ではディスポーザーがついているので、そのままディスポーザーで粉砕して流せます。便利です。

 

ポンチ絵(スケッチの設計図)を知り合いの家具屋さんに渡して作ってもらいました。ヒノキの正目です。材料込みで一万円でした。何回か修正して完成しました。

 

流しの中にゴミ入れの三角を置くのは嫌いでしたから、もともと置いていません。補完資料に写真を載せておきます。

 

◆9.私感・雑感◆

<コロナ対策を政治の玩具にする政治家>

ここまでコロナ感染が深刻化しているのに、まだ政治家はコロナを政治のおもちゃにしている様なところがあります。自分の見え方を気にする一方、情報の開示にきわめて消極的です。何度も言っていますが、東京都の数字の発表はあまりにも不自然です。これで何を小池知事は意図しているのでしょう。さすがに最近、その小賢しさが不評を買っています。大阪府の吉村知事も東京より3週間も早く緊急事態宣言を解除して余裕を見せましたが、結果として今やコントロール不能な完全な感染爆発を引き起こしています。ものの見事に宣言解除からの急上昇ですが、飲食店等に対する閉店時刻の管理など今は反省しているでしょう。

 

毎日のようにワクチン接種のニュースがありますが、一体いくら位費用がかかっているのか全く情報が開示されていません。たまたまイスラエル政府がファイザーとビオンテックが開発したワクチンを約3600万回分(約1170億円)の支払いをしなかったということで出荷が差し止められたというニュースがありました。日本人全体を二回接種するとなると25,000万回ですから、総額ざっと8000憶円です。これについて文句を言う国民は居ないと思いますが、何故情報を共有しないのでしょう。情報公開を限定して自分たちの好きなことをやりたい、判断ミスを隠したいのではないかと思わざるを得ません。

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◆俯瞰MAIL2世代00号(2021年15日)

編集:俯瞰人(松島克守)

発行:2021419

配信:石川公子

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