俯瞰メルマガ・アーカイブ

 

 

俯瞰メール63号

◆時候のご挨拶◆

東京も紅葉の季節になりました。そしてもう少しで銀杏が真っ黄色に紅葉します。青山の絵画館前と東大本郷の銀杏並木は絶景です。ほんのわずかで黄色

花吹雪となります。

“金色の ちいさき鳥のかたちして 銀杏ちるなり夕日の丘に” 与謝野晶子『恋衣』

目次

・トランプ大統領という選択

・日本でも起きるかトランプ現象

・第37回俯瞰サロン「“品川ウォーターフロント”と 新しい水上交通システム」

・小浜市の“サバサミット”

・舞鶴の東郷邸と“岸壁の母”

・俯瞰のクッキング“鯖のフレーク”

・2020年以降の世界2 自動運転車

・俯瞰の書棚 「アルゴリズム革命の衝撃」

・編集後記

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◆トランプ大統領という選択◆

アメリカ国民はトランプ大統領という選択をしました。予想外、驚くべきといった悲鳴にも似たコメントが飛び交いました。一瞬、株式市場も大きく下げましたが、翌日にはそれ以上に上昇しました。まさにトランプ大統領に対し、市場は一時平常心を失いました。

 

選挙前、メディアによって、ヒラリー・クリントンが優勢と、ヒラリー・クリントン大統領誕生を想定する潜在意識を刷り込まれてきました。そしてこの結果について、たくさんの解説がされています。実は驚いた事に、7月29日に映画監督のマイケル・ムーアが「悪い知らせだ、ドナルド・トランプが11月の大統領選で勝つ」と予想しているのです。その理由は、

 

1. 中西部のラストベルト、ミシガン、オハイオ、ペンシルベニア、ウィスコンシンといった五大湖を取り巻く4つのブルーステートは伝統的に民主党であるが、ヒラリー・クリントンがNAFTA(北米自由貿易協定)を支持したから、製造業中心の中西部の州の壊滅を助長した、とトランプが煽り、これに共感した人達がトランプに投票するだろう。

 

2.  8年間も黒人大統領の指図を受けてきて、今度は威張り散らす女のもとで8年間も過ごすことになるのか、と煽られて、白人男性がトランプに投票する。

 

3. 有権者の70%はヒラリー・クリントンは信用できないと言っているし、不誠実だと考えている。若い女性が最大の反ヒラリー派で、ミレニアル次世代が、毎日のようにヒラリー・クリントンには投票しないと言っている。

 

4. サンダース支持者は投票所に行ってヒラリー・クリントンに投票するわけがない。たぶん投票所に行かないだろう。

 

このような雰囲気の報道は全くなく、特に日本はアメリカのABC放送を中心とした大メディアの流す情報に染まっていました。その大メディアはトランプが下品なことをいうと、そこだけを映像として取り上げて、トランプがどんな政策を打ち上げているかをほとんど報道して来ませんでした。さすがに、トランプ大統領という選択の前に敗北感に陥り、 ニューヨーク・タイムズは読者に対し、前代未聞の謝罪広告を出しました。

 

ウォール街はクリントン支持で反トランプと報道されてきましたが、トランプ大統領という結果に満足しているようで、ニューヨーク株式市場は上昇しています。

 

ドナルド・トランプの個人的な情報は、ほとんど報道されませんでしたが、実は気さくで、人から好かれ、酒も飲まない人間のようです。女好きのようですが人々は気にしません。

 

選挙前にあれこれ言っていた過激な主張は、政権が固まっていく中で落ち着いていくと思いますが、トランプ大統領にはいくつかの懸念があります。

 

世界的に大きな懸念は、やっとまとまった脱炭素社会のパリ協定からアメリカが脱退するとなると、気候温暖化という環境破壊が進むことです。

次にTPPですが、これははっきり反対と主張し、オバマ政権も議会の承認を諦めました。安倍首相はトランプ大統領に直接会って、 TPPはアメリカと日本にとって中国の台頭に対峙する戦略的な意味があることを説得するようですが、再交渉になって別のものに変わっていく可能性が高いですね。

 

経済的にはNAFTA(北米自由貿易協定)からの脱退は、日本の自動車産業に大きな打撃を与えることになります。マツダは米国内に工場を持たず最近メキシコに工場建設をしたばかりです。アメリカの自動車産業もメキシコに生産拠点を持ちアメリカに輸出していますから簡単には脱退できませんが、選挙での公約である製造業のアメリカ回帰は進めるでしょう。すでにiPhoneの生産をアメリカに移すことをEMSの鴻海は検討しているようです。ただアメリカで生産するとコストが2倍に膨らむとのことです。

 

経済的な政策では、富裕層と大企業に有利な税制改革をするでしょう。ですからウォール街はトランプ大統領を歓迎しているわけです。貧しい白人層がトランプ大統領に投票したと言われていますが、結果、ごく一部の富裕層が、所得税減税と相続税廃止という美味しいところを甘受することとなるのは政治の残酷さですね。貧しい白人層は裏切られたと思うかもしれません。

 

メキシコ国境に塀を建設するとか、イスラム教徒入国禁止などの過激な言動は、実際は行われないでしょう。外交はテクノラートが基本は仕切りますから。そしてトランプ大統領はビジネスマンですから政治感覚とは別のバランス感覚はあるでしょう。

 

勝てば官軍で、各国首脳がトランプ大統領にすり寄る中で、ドイツのメルケル首相は「ドイツにとって、EU以外の国の中で、米国ほど共通の価値によって緊密に結ばれている国はありません。その共通の価値とは、民主主義、自由、権利の尊重、全ての個人の尊厳を重んじることです。人権と尊厳は、出身地、肌の色、宗教、性別、性的な嗜好、政治思想を問うことなく守られなくてはなりません」と、選挙運動中に女性、メキシコ人、イスラム教徒、同性愛者を蔑むかのような発言を繰り返してきたことに対して暗黙の批判をしました。さすがメルケル首相と思います。安倍首相はやや前のめりですが、素早い行動は評価しましょう。

 

実際トランプ政権の政策が見えませんから、中国を含め各国とも様子を見ることになりますが、ロシアのプーチン大統領は冷戦後最悪のロシアとアメリカの関係を、これを機会に改善し、ウクライナ問題で受けている経済制裁の緩和を狙っているでしょう。その交渉カードとしてシリアでの軍事活動を活発化させています。

 

中国の習近平主席はじっとトランプ政権の動向を注視しているのでしょう。

 

ドナルド・トランプが大統領になる5つの理由を教えよう

http://www.huffingtonpost.jp/michael-moore/5-reasons-why-trump-will-win_b_11254142.html

トランプ氏「NYタイムズが読者に謝罪した」

http://www.yomiuri.co.jp/world/20161115-OYT1T50018.html

トランプ大統領誕生にウォール街がほくそ笑む理由

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/50203

トランプ氏はスシを食べず酒も飲まない

http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/110879/111500486/?rt=nocnt

「パリ協定」形骸化懸念 トランプ氏勝利で

http://mainichi.jp/articles/20161112/k00/00e/030/226000c?utm_source=dlvr.it&utm_medium=twitter

トランプとの対決姿勢を鮮明にしたメルケル

http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/219486/111100022/

トランプ勝利に反応か?ロシアがシリア空爆を再開 トランプの安保政策は未知数だが、早くも動いたプーチン

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/48416

 

◆日本でも起きるかトランプ現象◆

日本でもトランプ現象が起こるか、可能性はあります。移民に仕事を奪われるというような現象は日本にはありません。ただこの10年確実に経済格差は広がっています。年収400万円以下の世帯は約47%です。わずかな年金で暮らす人も大勢増えています。このシニア層を狙った政策に引き出されて、シニアは比較的投票率が高いのではないでしょうか。これも行き過ぎるとシルバー民主主義として若者は反発します。

 

若者も、お金がありません。政治に対して関心が薄いです。前回の参議院選挙から18歳以上が投票権を与えられました。若い人の票は自民党の方が野党よりも取っていますが、投票率は高くありません。20代の投票率は20%にとどまり、 18歳と19歳は、40% 60%の投票率でした。高校での選挙教育が効いたのでしょう。野党の政策も共感を覚えるものではありませんでした。そもそも政策ビジョンが全く見えませんでした。

 

安保法制反対、原発反対のデモもありましたが、韓国の抗議デモの100分の1もありません。という事は、トランプ現象やサンダース現象は日本では当分起こらないと思って良いかもしれません。

今回の大統領選挙では、メディアの世論調査が全く役に立たないことが判明しました。日本でもメディアが世論調査をしばしば行っていますが、その結果が国民や社会を正しく反映しているかは再確認の必要があると思います。以前は電話帳から無作為に番号を抽出して、電話で意見を聞いていたようですが、さすがに今時有線電話を持っていて、かつ電話帳に登録している人の意見では世論調査になりませんから、最近はRDD方式の電話調査で行なっているようです。「RDD」とは「ランダム・デジット・ダイヤリング(Random Digit Dialing)」の略。コンピューターで無作為に複数の電話番号を作成し、その番号に電話をして調査します。

 

たぶん、アメリカのメディアも同じような手法を使っていると思いますが、ソーシャルメディアの情報と大きく乖離しています。そしてソーシャルメディアを駆使したトランプ陣営が想定外の当選を果たしたわけです。Twitterのフォロワーは2800万人ともいわれてます。

 

ネットワークで、若者の琴線に響く政治を語り、燎原の火のように拡散されるそれを感情的に共有する訳ですので、ある意味危険な政治です。これがポピュリストの技法です。

 

大統領選挙では、Facebookでたくさんの「デマ」が拡散したと言われています。しかしFacebookの人気ではトランプが圧勝で、 11月4日の段階でもトランプ圧勝となっていますが、大手メディアはこれを無視してヒラリー・クリントン優勢という「デマ」を流し続けたことになります。

 

日本でも、注目すべき現象が先の参議院選挙でありました。参院選比例区で、新党改革の山田太郎氏が約29万票と大量得票したのに落選しました。民進、おおさか維新、社民、生活の4党のトップ当選者の獲得票を上回っています。自民党であれば11万票程度でも当選しています。

 

山田太郎氏は表現規制反対を訴えて、東京・秋葉原に選挙事務所を構え、オタク層の若者から幅広く支持を受けましたが、落選しました。これは参議院選挙制度の問題です。

 

ここで注目すべきは、政党からなんの支援もない山田太郎氏がSNSの力を使って約30万票獲得している事実です。要は既成の政党がSNSの使い方を知らないのです。たぶん大金を出して広告会社にネット選挙を仕掛けたのでしょうが、若者の琴線に響きませんでした。

逆にアニメやコミックの世界に生きている若者は、表現の自由を規制しようとする政治に反発し、 1人で立ち向かっていった山田太郎氏の姿勢が、オタクと呼ばれる若者の琴線に響いたのでしょう。確かに日本のアニメやコミックは未成年に相応しくない表現がありますが、表現の自由を規制しようとする政治に強く反発したのでしょう。そしてネット上で、万人単位で応援に駆けつけました。

 

ここで言いたい事は、トランプ現象を起こしたソーシャルメディアによる選挙活動の素地は、すでに日本にもあるということです。若い人でFacebookやLINEをやっていない人はほとんどいません。そして、ほとんど全員スマートフォンを持っています。火をつける人がいれば、それは燎原の火のように拡散するインフラがあるということです。ですからポピュリストが、社会に潜在する怒りに火をつけるような政治行動すれば、日本でもトランプ現象は起こり得ると考えます。

 

これは私が提案するものではではありませんが、もし次の衆議院選挙で野党が候補者を一本化し、原発反対の1点で勝負すれば、自民党は大敗するかもしれません。現在の世論調査でも原発反対は過半数超えています。安保法制や年金よりもわかりやすく、感情に訴える強い力がありますから。

 

「トランプ現象」は、いずれ日本でも起きる

http://toyokeizai.net/articles/-/145121?page=2

ソーシャルメディアの情報が世論調査よりも正確にアメリカ大統領選の結果を予測していた

http://jp.techcrunch.com/2016/11/12/20161110social-media-did-a-better-job-at-predicting-trumps-win-than-the-polls/

トランプ氏、「米大統領選の勝因はソーシャルメディア」

http://www.afpbb.com/articles/-/3107759

トランプVSクリントンのアメリカ大統領選、Facebook人気ならトランプ圧勝

http://gigazine.net/news/20161104-donald-trump-facebook/

米大統領選挙中、Facebookでのデマは大手メディア以上に拡散してた

http://www.gizmodo.jp/2016/11/fake-news-stories-outperformed-real-ones-on-facebook.html

米大統領選終盤のフェイスブック、偽ニュースが報道記事を凌駕

http://www.afpbb.com/articles/-/3108286

山田太郎氏、約29万票獲得も落選。民進党の比例当選トップを上回ったのになぜ?

http://www.huffingtonpost.jp/2016/07/10/taro-yamada_n_10921538.html

 

◆俯瞰サロン◆

第37回 俯瞰サロン 2016年12月12日(月)開催。

東京海洋大学 海洋工学部 海洋電子機械工学科

准教授 清水悦郎さんに聞く

「“品川ウォーターフロント”と、新しい水上交通システムの実現を目指して」

 

2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピックや、近い将来、訪れるであろう災害時への対応に向けて、水上交通をもっと利用できないか? 陸上のように水上ももっと先進技術を取り入れた交通システムが実現できないか? という視点から研究を進められています。

描かれている将来像と、技術面・法律面の課題への取り組み、研究の進捗状況をご紹介いただきます。

日 時: 12月12日(月)18:30-20:00 (18:15 受付開始)

場 所: 品川インターシティホール&会議室

     会議室5

     東京都港区港南2丁目15番4号

     http://www.sic-hall.com/home/contact.html

参加費: 1,000円★

定員 : 40名程度(定員に達した時点で受付終了します)

懇親会: 講演終了後に懇親会を開催します。

     懇親会参加費用は3,000円程度(学生無料)。

     ※会場準備の都合上、懇親会への参加の有無も

      ご提示ください。

日程・内容は予告なく変更されることがありますのでご容赦ください。

お申込みは、以下のサイトからお願いいたします

                http://www.fukan.jp/俯瞰サロン/

 

水素船 実用間近 東京海洋大がテスト航行 静か、排ガスのにおいなし 供給施設、建造費など課題

http://mainichi.jp/articles/20161119/dde/041/040/036000c

 

東京海洋大学プロジェクトページ

http://www2.kaiyodai.ac.jp/~takamasa/kaiyodai-ees-project/

 

 

◆小浜市の“サバサミット”◆

ご縁があって、こよなく鯖を愛する“全さば連“の方々とお付き合いがあります。この“全さば連“が仕掛人の”鯖サミット“というイベントが今年は若狭の小浜市であり、参加してきました。

 

全国から鯖の食材が展示されていて、試食もでき、買うことのできるというイベントです。主催者の話では延べ2?3万人の参加があったということでした。週末ということもあって大勢の家族連れで賑わっていました。実は10月29日30日という土日のスケジュールでしたが、土曜日は強風で、テントが飛ばされそうになるので中止となり、日曜日は見事な晴天となってイベントは開催されました。

 

驚くことに無尽蔵に獲れていた若狭の鯖は、ほとんど最近は獲れないそうで、地元の鯖の食材も、ほとんどノルウェー産の鯖でした。そして、地元では鯖の養殖を始め、最初のお披露目と試食が、このイベントで披露されました。鯖も養殖の時代ですか。

 

ニシンの群れが海から消え、ハタハタの群れが消え、そして鯖の群れが消えてしまったのです。うなぎの稚魚も、そしてマグロも。乱獲の因果応報でしょうが、深刻です。

 

食肉は基本的に全て養殖です。穀物や野菜も自然のものを収穫するものではありませんから、魚についても、天然から養殖になっていくのは仕方ないでしょう。既に鮭はチリ、ノルウェーからの輸入の養殖モノが大量に売られています。ちなみに東京では日本産のマサバは1,000円ぐらいします。

 

若狭に来るのは初めてでした。若狭湾は美しく、また魚に恵まれた豊穣の海であったため、古代から天皇家に食材を供給する土地でもあったとのことです。そして無尽蔵に取れたと思われる鯖は塩を振り、背中に背負って夜通し歩いて京都まで届けられてきました。その道が鯖街道です。その古い宿場町も観光資源として整備されつつありました。

この機会に少し西にある舞鶴に寄ってきました。

 

全日本さば連合会とは

http://all38.com/

全国津々浦々の鯖グルメが集合する「鯖サミットin若狭おばま」

http://wakasa-obama.jp/Event/eventDetail.php?254

 

◆舞鶴の東郷邸と“岸壁の母” ◆

舞鶴に行きたいと思ったのは2つの理由があります。日本の運命を決めた「皇国の興廃この一戦にあり。各員一層奮励努力せよ」の日本海海戦の連合艦隊司令官の東郷元帥の官舎を見たいということと、戦後中国大陸や朝鮮半島から多数の引揚者が上陸したあの“岸壁”を訪れてみたかったのです。

 

東郷元帥の官舎は少し山を登った所にありました、美しい庭が付いた木造です。玄関を上がってすぐ右の部屋が執務室であったようで、机もそのままあり、その上に連合艦隊司令官の任命書と罷免書のコピーがありました。初めて知りましたが、任期はわずか2年間でした。まさに日本海海戦のために舞鶴に赴任したのです。

 

その奥に8人ほどが入る会議室がありました。ここであの秋山真之参謀達と作戦を練り、議論したのでしょう。その奥には人を接待する大きな座敷がありました。そして、さらにその奥に、東郷元帥の書斎がありました。 四畳半の部屋に座卓が置いてあり、庭に向かって座るしつらえです。座って窓の外の庭を見ると、心が落ち着きました。この景色を東郷元帥もご覧になったと思うと感無量でした。立ち机だと四畳半では狭いと感じますが、座卓で座るとこの大きさが一番落ち着くと、改めて四畳半の座敷を見直しました。

 

引揚桟橋の桟橋は思っていたよりずっと短く、沖合に船を停泊させて小舟で人を運搬したのでしょう。ただこの桟橋の位置が若狭湾の一番東の外れに在ったのは意外でした。何十万という人たちが入国処理をするために広い場所が必要だったのでしょうか。

 

小学生の頃まだテレビがなくて映画館で映画の前にニュース映画が上映されました。興安丸という引揚船の映像が今でも思い出されます。このニュース映画で朝鮮の動乱という戦場からの映像も見ました。

 

二葉百合子さんの“岸壁の母”は、名曲というより熱いモノをこみ上げさせる歌ですね。強烈な反戦歌でもあります。二葉百合子さんから坂本冬美さんに引き継がれていくようです。

 

日本海海戦

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E6%B5%B7%E6%B5%B7%E6%88%A6

東郷邸

http://blog.goo.ne.jp/raffaell0/e/7e2a14f0660c31928d29e72d7ab4398b

京都府舞鶴、岸壁の母の引揚桟橋周辺

http://4travel.jp/travelogue/10356040

引揚船32隻の画像

http://www.geocities.jp/k_saito_site/hikiagesen1.html

引き揚げ

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BC%95%E3%81%8D%E6%8F%9A%E3%81%92

岸壁の母  二葉百合子

https://www.youtube.com/watch?v=Ti4IPKnp4Io

岸壁の母 坂本冬美

https://www.youtube.com/watch?v=45w9jKHekXI

 

◆俯瞰のクッキング“鯖のフレーク”◆

小浜市の鯖サミットで出店者から強く勧められて、“鯖のへしこ漬け”と“鯖のフレーク”を買ってきました。“へしこ漬け”というのは、鯖を塩漬けにしてから、さらに糠漬けにした保存食です。鯖のフレークは、“焼き鯖”という伝統的な食品を細かくほぐしたもので、新しく考案した食材のようです。

今回は“鯖のフレーク”を使った料理をいくつか考案して試食してみました。

まず“鯖フレークのパン粉”を使ったアスパラガスのオーブン焼きと カマスのオーブン焼きです。

 

ボールにパン粉を入れ、それに鯖のフレークをかなり入れ、ニンニクのみじん切り、イタリアンパセリのみじん切りを入れて、塩胡椒をし、かき混ぜます。それをさっと茹でたアスパラガスの上にかけ、オリーブ油をタラタラと上からかけてオーブンで数分焼くだけです。パン粉の量は好みですが、このパン粉がおいしいので、大匙4?5杯くらいでしょうか。

 

開いたカマスをオーブン皿に並べて、このパン粉を振って同じようにオリーブ油を全体にタラタラとかけて10分ほどオーブンで焼きました。 2つとも思った通り大変美味しく出来上がりました。アスパラガス以外の野菜にも応用出来ると思いますし、カマス以外の魚でもおいしいと思います。

 

ここではオーブンと書きましたが、実際はパナソニックのオーブンレンジBISTROの両面グリルを使いました。このグリルは、上面はヒーターで焼き色をつけ、下面は電子レンジで専用のグリル皿を加熱します。オーブントースターがあればこれも使えるでしょう。またアルミ箔を引いた両面魚焼き器も火加減を調節すれば使えると思います。

 

次は、豆腐のハンバーグです。豆腐を水切りしてボールで細かく潰して、そこにそのフレークをかなり入れ、刻んだネギ、繋ぎに片栗粉小さじ2杯くらいと卵を入れ、塩胡椒、または大さじ1杯程度のつゆの素を入れて味付けします。手でこねます。適当な大きさに整え、それをフライパンで両面焼きます。豆腐ハンバーグですがこれもかなりイケます。

 

問題は“焼き鯖のフレーク”。ほとんど売られていませんから、鯖のフレークを作ることを考えました。水煮の鯖缶を使い、中骨を取り除きその他の骨も除きます。実際は中骨を取り除くだけでいいと思います。これを中華鍋で玉杓子の腹で潰しながら水分を飛ばしていくと鯖のフレークのようなものができますから、これで代用できます。

 

“鯖のへしこ漬け”はかなりクセのある食材ですから、いくつか試作をしていますが次回にご紹介しましょう。

 

◆2020年以降の世界2 自動運転車◆

このコラムは2回目ですが、意図は“すでに見えている未来”を再確認し、そこからバックキャスティングによって、今何をしなければならないか、どんなチャンスがあるのかを考えることです。前回は電気自動車について考えましたが、今回は自動車業界に革命的な変革をもたらすと考えられている自動運転車について考えてみましょう。

 

まず自動運転車とは何かを、その定義を確認しましょう。

「日本政府や米国運輸省道路交通安全局 (NHTSA) では自動化のレベルを以下のように定義している

・レベル0

ドライバーが常にすべての主制御系統(加速・操舵・制動)の操作を行う。前方衝突警告(FCW)などの主制御系統を操作しない運転支援システムもレベル0に含む。

・レベル1

加速・操舵・制動のいずれかをシステムが行う状態。自動ブレーキなどの安全運転支援システムによる。

・レベル2

加速・操舵・制動のうち複数の操作をシステムが行う状態。アダプティブクルーズコントロール(ステアリングアシスト付き)等がこれに該当する。ドライバーは常時、運転状況を監視操作する必要がある。その為、2016年時点で市販されているシステムはある程度の時間(10?15秒等)、ハンドルから手を離しているとシステムが解除される等の仕様となっている。

・レベル3

加速・操舵・制動を全てシステムが行い、システムが要請したときはドライバーが対応する状態。加速・操舵・制動を全て自動的に行うシステム。通常時はドライバーは運転から解放されるが、緊急時やシステムの限界時には、システムからの運転操作切り替え要請にドライバーは適切に応じる必要がある。事故時の責任はドライバーとなる。

レベル3に該当するシステムは、2016年時点で市販されていない。しかし、自動車専用道を走行中のみに限定する等とした日産プロ・パイロットを搭載したセレナが8月下旬発売予定と発表され、他の多くの自動車メーカーやその他の企業が、レベル3相当の自動運転車の市販に向けて開発を行っており、日本政府も2020年までにレベル3自動運転車の実用化を目標としている。

・レベル4

完全自動運転。加速・操舵・制動を全てドライバー以外が行い、ドライバーが全く関与しない状態。安全に関わる運転操作と周辺監視をすべてシステムや外部に委ねる。有人、無人両方がある。レベル4に該当するシステムは、上記の鉱山等で運用されている無人ダンプや無人軍事用車両等、特殊環境で運用されているもののみで、一般市民が公道を走れるものは2016年時点では市販されていない。

 

2016年に世界で初めてオランダで公道でレベル4相当の無人バスの試験運転が開始された。無人バスは、WEPodと名づけられている。それまでは、レベル4目的の試験車両でも公道走行時にはドライバーが必ず必要であったが、今回はドライバーなしで、6人の乗客を乗せての公道走行を行った。公開されたデモでは約8km/hで約200mほどの公道を運転手不在で走行しただけだが、一般の乗客を乗せて、約24km/hで約11kmほどのルートを走行する公共交通機関として運用が開始される予定である。

 

日本政府は、レベル4の自動運転の実現は2020年代後半を目指すとしていたが、上記のように特定のルートを走る無人タクシー、バスという形で海外でレベル4の自動運転車の実用化が具体的になってきたこともあり、日本においても東京オリンピックが行われる2020年にレベル3の自動運転車の実現と平行して、レベル4の無人タクシーの運用開始を目標とする事を発表した。

 

自動運転車は、アメリカのテスラによって既に日本でも発売されています。それはレベル2を超え、レベル3に近いと思います。米国では運転手がスピード出しすぎ緊急時に対応しなかったので死亡事故になりました。2017年後半に納車が始まるテスラの新型車「モデル3」には、完全自動運転機能が搭載されるとテスラは発表しています。さらにテスラモーターズを率いるイーロン・マスクCEOは、「来年末までにロサンゼルスからニューヨークまで、車のハンドルに指1本触れずに横断してみせる」と胸を張っています。そしてテスラは今後生産されるすべてのテスラ車に完全自動運転機能を持つハードウエアを搭載することを発表しました。性能や機能の改善はネットワークでソフトウェアのダウンロードをすることになります。整備工場に持ち込む必要はありません。

 

新型のハードウエアは、外界の状況を認識するカメラの数が従来1個だったものが今回8個になり、これにより車の周囲360度、最長250メートルの範囲を認識し、12個の超音波センサーは従来比2倍の距離までの物体を検知します。

 

また、コンピューターの処理能力は「車の中にスーパーコンピューターがあるかのようだ」とマスク氏は胸を張っています。カメラやセンサーを通じて集められた情報を処理するソフトウエアは自社で開発したとのことです。

 

完全自動運転の自動車はすでに殆ど完成しているのです。ただネガティブリストの米国ですからこれからどのように行政として規制するかを議論していますが、ポジティブリストの日本では“やっていいこと”しか出来ませんから、イノベーションは遅れ気味です。

 

実際は、完全自動運転の自動車を公道で走らせるためには多くの課題があり、実証実験でこれを潰していく必要があります。

 

テスラに続き、全自動運転車は走るスーパーコンピュータ付きのスマートフォンですから、 GoogleとAppleが先行しています。ところが実証実験ではカーシェアのユニコーン企業のUVERが先行しています。 UVERは自動運転トラックによって運転士なしで高速道路を長時間走行して、ビールを5万本無事に配送したと発表しました。あくまで高速道路で市街地ではありません。

 

完全自動運転の車は、一般のドライバーはあまり必要を感じていないと思いますが、タクシーやトラック業界は運転士のコストを大幅に削減できるため積極的な取り組みをしています。市街地での自動運転の実証実験はGoogleが先行していたと思われていましたが、なんとアメリカのベンチャー、MITのロボット工学の教授が立ち上げた自動運転技術企業nuTonomyがシンガポールで世界初の自動運転タクシーの公開実験を始めました。そしシンガポールでは、自動運転大型バスの試験運行も開始しています。

 

自動運転車はハードウェアやソフトウェア以上に、運行のノウハウが重要です。無人運転の自動運転車は通信回線によって監視センターに接続されて常時監視と制御がされています。このためGoogleは早い段階から支援していたUVERと袖を分かち、自分でもカーシェアリングのサービスを始めました。

 

Googleと競い合うように完全自動運転の研究開発を推進してきたAppleですが、プロジェクトがいろいろな困難にぶつかっているようだと報道されています。 Googleも担当責任者が交代したり、退社しています。コンピューターのソフトウェアの開発とは違った障害が多くあるのでしょう。ただAppleには一、時は世界のスマートフォンをリードしたブラックベリーのエンジニアたちが参加しているとのことです。

 

日本は完全自動運転の自動車は2020年以降の普及を想定していましたが、世界の進歩のスピードに驚いて、このところ活発に動くようになりました。

 

オリンピックの2020年には選手村を中心に無人タクシーを走らせようという計画も進んでいます。ソフトバンクやイオンのような企業もこの自動運転の実証実験をしています。

 

すでにレベル2の車は発売されています。自動ブレーキや車線キープ、前に走る車に一定間隔で自動的に追従する機能が搭載された自動車です。

 

完全自動運転の自動車はタクシーやトラック業界内では重要になっていますが、このところ高齢者が運転を誤り、小学生などの通行人を死傷させています。東京都心部以外は、ともかく自動車がなくては生活できない地域はたくさんあります。ただ高齢者に免許証を返上させるわけにもいきません。といって、きめ細かな公共の移動手段を提供するのはコスト的に難しいです。

 

ですから、ぶつからない、溝に落ちない、という軽自動車が今すぐにも必要です。たぶんこの1?2年で急速に普及するのではないでしょうか。レベル2とレベル3の中間ぐらいでしょうか。むろんこれは電気自動車になります。

 

完全自動運転の自動車が普及すると車の所有と管理運用が変わってきます。現在の運転手つきのUVERでは本人は1台しか運用管理できませんが、完全自動運転の自動車であれば複数台を購入して、これをUVERで運用すれば新しいビジネスモデルになります。となると自動車のフィンテックです。

 

このようなカーシェアリングが普及すると、自動車の販売台数は減少します。ほとんどの自家用車はごくわずかしか動かず、大半は駐車しています。家庭の太陽光発電のバッテリとして使う案もありますが、車がお金を稼いでくれればそちらに回すでしょう。

 

最大の焦点は、トヨタ自動車、GM、フォルクスワーゲン、フォード自動車、その他の自動車企業がGoogle、 Apple、 UVERといった破壊的新規参入者とどう対峙するのか、連携するのかということです。トヨタ自動車は最近になって人工知能の研究所シリコンバレーに設立した段階ですし、ストリートビューもありません。したがってなんらかの連携が必要になってくると思います。いずれにせよ2020年までには大勢が判明するでしょう。

 

 

このように完全自動運転の自動車の普及は現在の自動車産業と車社会を大きく、場合によっては破壊的に変革して行くでしょう。まさに完全自動運転の車は破壊的イノベーションを起こそうとしているのです。これはすでに起きている未来そのものです。

 

Tesla社の自動運転のデモビデオがありますので、ご覧ください。

Tesla Self-Driving Demonstration

https://www.tesla.com/videos/autopilot-self-driving-hardware-neighborhood-long?redirect=no

「自動運転で米国横断」、テスラは正気なのか

http://toyokeizai.net/articles/-/141641

自動運転開発「Uberが独走、Googleには試練」のワケ

http://wedge.ismedia.jp/articles/-/8070

UberのOtto自動運転トラックの最初の積み荷はビール5万本

http://jp.techcrunch.com/2016/10/26/20161025ubers-otto-self-driving-truck-delivers-its-first-payload-50k-beers/

サンフランシスコでの相乗りサービスで、Uberの足元を脅かすGoogle

http://jp.techcrunch.com/2016/08/31/20160830google-said-to-undercut-uber-with-expanded-ride-share-service-in-san-francisco/

世界初の自動運転タクシー公開実験、米新興企業がシンガポールで開始

http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1608/26/news048.html

シンガポールで、自動運転大型バスの試験運行を開始

http://jp.techcrunch.com/2016/10/26/20161024singapore-to-trial-driverless-buses-after-successful-shuttle-pilot/

スマホを創ったレジェントたち…アップルカーの開発にBlackBerryのエンジニアが参加

http://www.gizmodo.jp/2016/11/apple-titan-blackberry.html

アップル、自動運転車のプロジェクトを見直しか

http://japan.cnet.com/news/business/35088891/

Appleは、もう自動車を作るつもりがない(Bloomberg報道)

http://jp.techcrunch.com/2016/10/18/20161017apple-reportedly-doesnt-want-to-build-a-car-anymore-just-its-brain/

GoogleやGMなど、自動運転車に関するカリフォルニア州の改正案に反発

http://itpro.nikkeibp.co.jp/atcl/news/16/102103072/?rt=nocnt

トヨタも危機感! 自動車は異業種提携でどこへ向かうのか

http://president.jp/articles/-/18649

 

◆俯瞰の書棚 “アルゴリズム革命の衝撃”◆

今回の紹介は「シリコンバレー発 アルゴリズム革命の衝撃」櫛田健児 2016 朝日新聞出版 です。

 

この本はシリコンバレーという巨大なスタートアップのエコシステムで何が起こっているかを解説しています。第1章は人工知能について、第2章はクラウドコンピューティングについて、第3章はIoTについて、そして第4章はフィンテックについて最新の状況を解説的に説明しています。ですからこれを読めばこの4つのキーワードを深く理解できます。

 

本来のメインテーマは、最後の第5章の、「日本企業がこれからすべき事」、すなわち日本はシリコンバレーと補完的な関係にあり、うまく使って経済成長をしましょう、ということです。

 

この4つのキーワードの本質は同じ現象で、

“人間の活動をキャプチャ「取り込み」、トランスフォーム「変形」し、リプレイス「置き換える」そしてソフトウェアのアルゴリズムで「自動化」する“

が著者の主張だと思います。

 

著者の櫛田 健児氏は、「日本のノンフィクション作家、政治経済学者。東京都出身。アメリカンスクール・イン・ジャパン、スタンフォード大学卒業。カリフォルニア大学バークレー校政治学博士。

父親が日本人で母親がアメリカ人のハーフ(ダブル、ミックスともいう)。

インターナショナルスクールやバイリンガル、バイカルチャーといったテーマを一般社会に広く紹介する本の著者。 カリフォルニア大学バークレー校政治学部博士。 スタンフォード大学アジア太平洋研究所で日本研究員として情報産業や政治経済を研究。(Wikipedia)」

ということでシリコンバレーをネイティブとして知り尽くし、コンパクトな本の中にシリコンバレーの最新の状況をまとめているので、ぜひご一読をお勧めします。この水準の知識は、ビジネスマンは頭の中に入れておかなければならないでしょう。

 

第1章から第4章までの内容の解説はしませんが、第5章の日本企業がこれからすべき事の内容を紹介しましょう。

・外部の力を取り込む「オープンイノベーション」

・シリコンバレーで人脈を作る

・トップがコミットし現場に裁量を与える

・デザインとコンセプトを買うという発想

・ロボティックスに活路を見出す

・日本のものづくりの真の強みは何か

 

最後に、キーワードは「デザイン思考」、の段落がありますがこの一部分を本から引用してご紹介します。

 

“シリコンバレーでは最近イノベーションを生み出す仕事をして「デザイン思考」を提唱する人が増えている。まだこの世に存在しないものについて、顧客に聞いても答えはない。だからこそ、顧客の立場に立ち顧客と同じように行動して「何が本当の問題か」を徹底的に掘り下げる必要がある。その上でその問題を抜本的に解決するアイディアを考える。

 

しかし出てきたアイディアが「本当に役立つかどうか」はわからない。そこでプロトタイプを作って、顧客に何度も繰り返してテストしてもらう。そこまでして初めて、本当の意味で顧客のためになるサービスを生み出すことができる。

 

詳しくは本書を読んでいただく必要がありますが、著者が日本をよく知っていることがよくわかります。機会あればいちどお会いしたいと思う人です。

櫛田健児日本語ホームページ

https://sites.google.com/a/kenjikushida.com/jap/home

 

◆編集後記◆

・アメリカメディアの大統領選挙報道、酷かったですね。謝罪の必要あります。日本のメディはその丸写し、自前の取材能力はないのでしょうか。

・メディアの世論調査は信用しないとは言わないまでも鵜呑みにしない事です。

・新政権がどんな外交を仕掛けてくるか全く見えませんが悲観的になる必要はないと思います。

・米中がどのように対峙をするかで東アジアの安保体制は決まりますが、今の韓国は完全な機能不全で、これをどうするかですね。

・日本の社会の中に断層があることを認識したほうがいいと思います。安倍政権の長期化に国民が閉塞感を持ち、大改革を求めるかしれません。仕掛ける人がいない?

・大衆魚のサバがとんでもないことになっていますね。そのうちにイワシも養殖。

・短時間でしたが、舞鶴の現場、行ってよかったです。

・電気自動車、自動運転、これは自動車産業を破壊的に変革する可能性があります。日本はハードに拘泥して出遅れ気味です。燃料電池車??

・シリコンバレーというエコシステム、例年ですが来月行ってきます。

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◆内容・記事に関するご意見・お問い合わせ/配信解除・メールアドレス変更は下記までwebmaster@fukan.jp

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◆俯瞰MAIL 0063号(2016年11月20日)

発行元:     一般社団法人 俯瞰工学研究所

発行人:   松島克守

編集長:   松島克守

URL:      http://fukan.jp

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俯瞰メール62号

◆時候のご挨拶◆

すっかり秋になりました。黄金色の田圃が刈り取られていきます。黄金色の実りで埋め尽くされた田圃を見ると、日本は黄金の国という感じがします。紅葉が始まっていますが、田圃の景色が一番季節を感じます。田舎育ちのためでしょうか。

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目次

●ロシアと米国の対立が尋常ではない

●日ロ平和条約の落としどころ

●中国外交の巻き返しが凄い

●カシミール情勢が危ない

●第36回俯瞰サロン “インターネットの次に来るもの”

●認知症の予兆を識る

●俯瞰のクッキング“炒め物の方程式”

●俯瞰の書棚 「ストラテジー・ルールズ」

●編集後記

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◆ロシアと米国の対立が尋常ではない◆

ロシアのプーチン大統領が今月3日、米国とロシア両政府が結んだ核兵器用プルトニウムの処分に関する合意について、その履行を一方的に停止すると声明しました。この合意は、米ロの核軍縮の一環として2000年に結ばれました。核兵器の解体・廃棄によって生じる大量の余剰プルトニウムを原子力発電の原料に再利用する形で処分し、再び軍事転用しないようにするのが狙いでした。

 

この直前にアメリカはシリア停戦交渉の打ち切りを発表しています。

アメリカとロシアは近年になく鋭い対立関係になりました。オバマ政権末期の権力の空白と、アメリカ大統領選挙の醜態を見て、プーチン大統領は行動に出ています。

 

シリアの海軍基地を無期限使用し、拡張するとしています。とすれば東地中海はロシアの影響下に入ります。ロシア海軍は黒海から最も狭い地点ではわずか800m程というボスポラス海峡を通って地中海に出なくてはなりませんから、このシリアの海軍基地は戦略的に極めて重要な意味があります

 

またサイバー攻撃によって、アメリカ大統領選挙に大きく関与していると言われています。クリントン陣営のメールが何者かによってハッキングされ、リークされています。アメリカはロシア政府によるサイバー攻撃だと非難していますが、有効な対抗策が取れません。

 

停戦合意破棄を受けてシリアでは、ロシアはISではなく、アサド政権と対立するアメリカが支援する反体制派を爆撃しています。多数の民間人の犠牲が出ています。とりわけ女性や子供が犠牲者です。心が痛みますが、残虐さによって精神的に制圧しようする意図があるとみられています。国際政治は力ずくです。

 

話し合いによる平和を諦め、否定することはできませんが、現実の社会が軍事力で決まっていくことも受け入れる必要があります。オバマ政権下でアメリカの覇権が弱まり、世界各地で軍事的な新しい均衡に向けて、緊張が高まっています。

 

オバマ氏退任前にロシアが浴びせた痛烈パンチ

http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/040400028/101200015/?rt=nocnt

ロシアのサイバー攻撃と米国のジレンマ

http://www.nikkei.com/article/DGXMZO08351030U6A011C1000000/

ウィキリークスのメール暴露、ロシア関与の見方強まる 米当局

http://www.cnn.co.jp/usa/35090548.html

ロシア シリア北西部基地の無期限使用など協定批准

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20161014/k10010730451000.html

ロシア、シリア・アレッポで空爆を再開

http://www.bbc.com/japanese/37627388

空爆で負傷したシリアの少女 胸に迫る泣き顔の映像が拡散

http://www.cnn.co.jp/world/35090360.html

 

◆日ロ平和条約の落としどころ◆

12月のプーチン大統領の日本訪問に向けて、北方領土に関する両国間の交渉の密度が上がっています。すでにいろいろな交渉が行われ、落としどころを探っている段階でしょう。憶測でしょうが、色々な人が着地点を解説しています。

 

悲観的な人は、結局北方領土の返還はなく経済協力の約束だけが残ると、また北方四島の領有権は認められるが、実効支配している国後、択捉は共同統治、もしくは返還されないとも、そして既に合意済みの歯舞、色丹だけが返還されるというのも落としどころの1つでしょう。

 

いずれにせよ、安倍首相とプーチン大統領という保守派の首脳同士が、今決めなければ70年後にも解決していないというのも正論です。国際政治は力と妥協です。国民も冷静に交渉の結果を受け止める必要があります。この機会に、何としても決着をつけてもらいたいと思います。

 

これまでのところ、アメリカはこの日ロ交渉に干渉しないようですが、先般のラオスでのASEAN首脳会議で、直前にオバマ大統領が安倍首相との首脳会談をキャンセルした事は、ある種のメッセージではないかという深読みもあります。アメリカは終戦の時、ロシアの千島占領を黙認し、70年間何もしていません。

 

ただ難しいのは、ロシアが返還後の北方領土は安保条約の適用内にしてくれと要求しているとありますが、日米安保条約は第5条で、適用地域を「日本国の施政の下にある領域」と定めていますので、アメリカとの難しい交渉が予想されます。尖閣列島は日米安保条約の適用内にしてくれ、北方領土は適用外にしてくれ、とアメリカにお願いすることは身勝手ですから。

 

日露次官、北方領土など3年8か月ぶり戦略対話

http://www.yomiuri.co.jp/politics/20161013-OYT1T50135.html

プーチン氏の訪日に向け、岸田外相訪ロへ 日ロ外相会談

http://www.asahi.com/articles/ASJ9Q45GKJ9QUTFK001.html?ref=smartnews

北方領土交渉は12月に進展も 日露「引き分け」が現実的な解決か

http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20160914/dms1609140830004-n1.htm

森元総理「2島返還」先行見通し 国後・択捉は共同

http://news.tv-asahi.co.jp/news_politics/articles/000084420.html

北方領土「2島先行返還」は本当なのか 鈴木宗男氏、安倍首相「大きな決断」を明言

http://www.j-cast.com/2016/09/28279244.html

コラム:北方領土問題で急接近するロシアと日本

http://jp.reuters.com/article/column-russia-japan-idJPKCN128040

日米首脳会談調整つかず見送りに

http://mainichi.jp/articles/20160909/k00/00m/030/084000c

北方領土 日米安保適用外に 返還後想定 ロシア要求

http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/international/international/1-0327096.html

 

◆中国外交の巻き返しが凄い◆

このところ中国外交の巻き返しが凄いですね。 オランダ・ハーグの仲裁裁判所は7月12日、「中国が主張する主権に法的根拠はない」との判断を下しました。それを受けて、フィリピンは、中国が二国間で話し合いで解決しようという提案をきっぱりと断りましたが、その後、粘り強い交渉と経済援助のコミットメントで、ドゥテルテ大統領は親中反米に変わりました。一度は、ドゥテルテ大統領はアメリカとの軍事同盟を破棄するような発言をしましたが、最近では維持すると言っています。

 

ドゥテルテ大統領が進めている「麻薬撲滅戦争」で、多数の人間が警察に射殺されていることに対するアメリカの非難に対し、オバマ大統領を侮辱するような発言をし、ラオスでの会談をキャンセルされた時から方向が変わったような気がします。「麻薬撲滅戦争」について、中国はドゥテルテ大統領を支援する声明を出します。加えて強力な外交努力をしたのでしょう。今月の下旬に中国訪問が決まりました。調略が成功でしょうか。

 

日本にもドゥテルテ大統領は来ます。そして、天皇陛下にも拝謁します。ただフィリピンが中国と対立し、日本、アメリカと軍事的に連携するという前提で、そして多分アメリカから要求されたのでしょうが、日本は気前よく大型の新造巡視船およびその他の巡視船を供与することを決めています。完全に日本もこの大統領に振り回されています。

 

ドゥテルテ大統領の国民の人気は圧倒的です。またフィリピンは若い人口が多い、これから経済成長見込まれている国ですから、「麻薬撲滅運動」で社会が健全化していくのは良い話でもありますが。

 

もしドゥテルテ大統領が中国訪問で経済援助と引き換えに、国際司法の判断ではなく二国間交渉で南シナ海の問題を処理することになれば、ベトナムとインドネシアにも二国間交渉を持ち出すでしょう。中国に「大国として国際司法を遵守する」ことを約束させる貴重な機会が失われます。そして南シナ海における中国の覇権が強まります。

 

中国は、周辺国に猛烈な外交攻勢をかけています。北京を訪れたミャンマーのスー・チー氏を国賓待遇で大歓迎して、中国南部とインド洋をつなぐ回廊を建設することに合意しています。マラッカ海峡を経由せずに直接インド洋への輸送路が拓けます。すでに出口の港湾は押さえています。

 

習近平国家主席はカンボジアを訪問して国王と首相に会い、手厚い経済援助を約束する予定です。バングラデシュにも訪問してインフラ整備の経済支援を約束しています。

 

李首相も外交で大活躍です。モンゴルを訪問し、国連総会でアメリカを訪問し、オバマ大統領と会談し、その後カナダとキューバを訪問しています。パキスタンもラオスも訪問しています。

 

これまで、外交はすべて習近平主席だけが表舞台に出ていましたが、ここに来て李首相が華々しい外交成果を上げています。これについては、中国内部の権力構造の変化があるのではないかと言われています。

 

中国共産党の権力構造が変動すると、中国の対外的な動きが想定外の方向に動く危険があります。尖閣諸島の緊張が高まります。航空自衛隊の戦闘機が中国機に対して緊急発進した回数が407回に上り、前年度の上半期(231回)より176回増加したとあります。

 

ともあれ、このところの中国外交は、一時、孤立した状態でしたが、一気にこれを巻き返すことに成功したといえます。凄いです。これは元駐日大使の王毅外相の努力と能力だと、私は認識しています。

 

「これは戦争だ」比ドゥテルテ大統領の右腕、死者増加を予想

http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2016/10/post-6009.php

国際刑事裁から警告!「麻薬容疑者の超法規的殺害は訴追対象だ」

http://www.sankei.com/world/news/161014/wor1610140050-n1.html

フィリピン、中国側の条件付き対話要請を拒否 南シナ海問題で

http://jp.reuters.com/article/philippines-southchinasea-idJPKCN0ZZ054

中国を選んだフィリピンのドゥテルテ大統領――訪中決定

http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2016/10/post-6039.php

中国、ドゥテルテ大統領の「麻薬撲滅戦争」を支持

http://www.afpbb.com/articles/-/3104459?cx_part=txt_topics

[FT]米国を凍らせるフィリピンの「中国回帰」

http://www.nikkei.com/article/DGXMZO07282270V10C16A9000000/

フィリピンのドゥテルテ大統領、アメリカ軍との軍事同盟維持表明

http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2016/10/post-6019.php

「暴言」大統領がやって来る…フィリピン・ドゥテルテ氏25日来日

http://www.sankei.com/politics/news/161011/plt1610110027-n1.html

反米・親中の国、フィリピンに軍事援助をする日本の滑稽

http://diamond.jp/articles/-/104394

スー・チー外交、中国・インドを手玉 「建国の父」譲りか

http://www.nikkei.com/article/DGXMZO06632080Z20C16A8000000/

中国、習近平国家主席がカンボジア訪問 ASEAN切り崩し狙いも

http://www.sankei.com/world/news/161013/wor1610130033-n1.html

オバマ大統領のラオス訪問を警戒せず、中国外務省

https://portal-worlds.com/news/laos/7863

中国、バングラデシュに240億ドル融資へ 習国家主席が14日訪問

http://diamond.jp/articles/-/104707

李首相、パキスタンの首相と会談

http://japanese.cri.cn/2021/2016/09/22/162s253813.htm

ラオス入りした中国首相

http://www.jiji.com/jc/p?id=20160906212124-0022276707

馬脚を現した習近平、反撃の李克強。激化し始めた中国最後の決戦

http://www.mag2.com/p/news/222813

中国機への緊急発進、407回…今年度上半期

http://www.yomiuri.co.jp/national/20161014-OYT1T50107.html

 

◆カシミール情勢が危ない◆

インドとパキスタンが、カシミール地方の帰属問題で何十年も争っています。過去に大規模な戦争を起こしています。しばらく小康状態にありましたが、ここにきて軍事的な応酬があります。インドと中国は強い敵対関係にあり、過去に戦争によりインドは領土を失っています。中国はパキスタンに経済支援を積極的に提案することで、インドを牽制しようとしています。中国もカシミールに一部進駐しています。

 

インドとパキスタンが核戦争になるという予言をしていた人がいます。「 22世紀から回顧する 21世紀全史」 2003年 ジェントリー・リー、マイケル・ホワイト、です。

 

「第2章 核の惨劇」では 2016年6月6日にインドとパキスタンが核戦争を起こすと予言しています。幸い外れましたが、依然として、その可能性があるということでしょうか。ちなみに「第4章 新世界秩序の構築」では、移民と人口移動の問題によるEUの崩壊や、ドイツの就業ビザの延長停止などを予言しています。2016年「現在」を理解するのに、この本は極めて有効です。ご一読をお勧めします。

 

話を戻すと、インドはパキスタンとの衝突の背後に中国を感じて、中国国境に巡航ミサイルを配備しました。そしてロシアから武器の輸入を進めています。ロシアは最新型のミサイルを提供します。

 

ともあれカシミールは、核保有国であるインド、パキスタン、中国が実効支配を分割しており、パキスタン側の北はアフガニスタンに接しています。わずかな誤解や行き違いで核戦争が勃発する可能性はゼロではありません。

 

無論このような南アジアの緊張は、日本の経済そして安全保障に関係してきます。幸いインドもパキスタンも親日的な国です。パキスタンは極めて危険な国ですが、なんとトヨタ自動車とマツダは自動車の生産をしています。そのトヨタの工場を見学しました。

 

一昨年パキスタンを訪問しましたが、カラチでは大規模なデモが発生し、やっと空港に脱出して帰国しましたが、カラチ脱出の直後に空港がテロ襲撃されたということをニュースで知りました。こういった肌感覚もニュースを読んでいるとき認識に効いてきます。

 

私はナショナリストではありませんが、 リアル感覚で国際情勢を認識しなければならないと心がけています。非武装中立という安住の場はありません。

 

近年最悪の緊張状態にあるカシミール紛争

https://news.nifty.com/article/magazine/12172-20161013-回顧する顧178629/

武装集団がインド軍基地を襲撃 カシミール、兵士17人死亡

http://www.sankei.com/world/news/160918/wor1609180039-n1.html

インド、カシミールで奇襲攻撃 パキスタン側は強く非難

http://www.afpbb.com/articles/-/3102652

印パ両軍、高まる緊張 カシミール、「越境攻撃」に応戦

http://www.asahi.com/articles/ASJ9Z5F1QJ9ZUHBI01R.html

インドが超音速巡航ミサイルを中印国境に配備へ

http://www.sankei.com/premium/news/160903/prm1609030012-n2.html

インドへロシアの最新鋭地対空ミサイルシステムS400の売却

http://mainichi.jp/articles/20161016/k00/00m/030/123000c

 

◆俯瞰サロン◆

俯瞰サロンはお陰様で36回目を迎えます。この度も告知から短時間で定員を上回る申込みを頂き、申し訳ございませんが、すでに申込み受付を締切らせていただいています。キャンセルなどにより状況が変わりましたら、ホームページでご案内してまいります。

また俯瞰サロンの開催情報をご希望の方は、webmaster@fukan.jpあて、その旨をご連絡ください。次回開催時よりメールでご案内申し上げます。よろしくお願いいたします。

 

 第36回 俯瞰サロン 2016年11月10日(木)

「『インターネットの次に来るもの』翻訳者、情報科学ジャーナリストの服部桂さんに聞く」

いま話題の『インターネットの次に来るもの 未来を決める12の法則』(WIRED創刊編集長ケヴィン・ケリー氏の最新作、NHK出版)の訳者であり、激動する情報科学分野のジャーナリストとして常に第一線におられる服部桂さんをお招きします。

日 時: 11月10日(木)18:30-20:00 (18:15 受付開始)

場 所: 品川インターシティフロント 6階(社)俯瞰工学研究所

URL:  http://www.fukan.jp/俯瞰サロン/

 

◆“認知症の予兆を識る”◆

ご縁あって、青森県のイノベーション・産業振興のプロジェクトを10年以上お手伝いしていますが、その一つが弘前大学のCOI です。センター・オブ・イノベーション(COI)プログラムとは10年後の目指すべき社会像を見据えたビジョン主導型のチャレンジング・ハイリスクな研究開発を、最長で9年間支援するJSTの(国立研究開発法人科学技術振興機構)のプログラムです。

 

弘前大学はその1つの拠点で認知症の予兆を研究しています。正式拠点名は『認知症・生活習慣病研究とビッグデータ解析の融合による画期的な疾患予兆発見の仕組み構築と予防法の開発』です。

 

私はそこのアドバイザリーボードでお手伝いしています。先般中間評価が終わり、それを踏まえてアドバイザリーボードが開催されました。このプロジェクトは、弘前大学が12年間、約1,000人の600項目もの健康診断データを収集分析している岩木山コホートプロジェクトを基盤にしています。

 

認知症という、多くの人が自分のこととして興味を持っている課題ですから、少しご紹介しましょう。とにかく、ありとあらゆる健康データと認知症の関連を精査しています。腸内細菌も関連を調べています。まだ結果は十分出ていませんが、確実に関連があるのは年齢です。ミニメンタルステート検査という簡単な認知症診断テストがありますが、驚いたのは60歳過ぎると急速に点数が落ちていました。 30点満点の26 点以下が、認知症が疑われる人です。テスト用紙が公開されていますから試してみますか。

 

認知症でなくても、確実に加齢で認知能力は低下していますから、シニアの働き方でもこれを考慮する必要があります。何よりも自覚が必要です。意思決定に若い人の意見を積極的に取り入れていく必要があります。高齢でワンマンな経営者はリスクがありますね。

 

その他関連が深いのは、下半身の筋肉量、握力などです。ではこれを鍛えれば認知症になりにくいのか、と考えるのは私の素人考えですが意識して鍛えています。

 

研究グループの伊藤健教授のマウスを使ったアルツハイマー病の予防の研究では、ローズマリー抽出物とブロッコリーの抽出物スルフォラファンが効果あるという結果を見て、すぐにネットでサプリメントを買いました。笑ってやってください!

 

このプロジェクトでは認知症予防の学術研究の他に、青森県の平均寿命全国最下位という不名誉な状況を改善するために、県民の健康意識の向上と健康増進の社会実装プログラムも力を入れています。

 

また産学連携も進んでいて、13社が具体的な製品・サービス化を推進しています。

下記の弘前大学のURLで是非プロジェクトの活動をご覧ください。大規模な学術研究は必ずや認知症予防の手法を発見し、早期の治療や改善の方法を提案してくれるでしょう。

皆さん是非ご支援ください。

 

センター・オブピ・イノベーション(COI)プログラム

http://www.jst.go.jp/coi/outline/outline.html

弘前大学COI研究推進機構

http://coi.hirosaki-u.ac.jp/web/

ミニメンタルステート検査

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9F%E3%83%8B%E3%83%A1%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%83%AB%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%BC%E3%83%88%E6%A4%9C%E6%9F%BB

 

◆俯瞰のクッキング“炒め物の方程式”◆

この夏、そして最近どんな料理を作ったか思い出してみると、夏野菜を使った炒め物が多かったようです。以前にご紹介したウー・ウェンの料理本の炒め料理をかなり作りました。この人の炒め物のレシピは方程式が確立しています。

1.材料を切る。

材料は水気を完全に切る。水気が残っていると油が跳ねる。水分があると炒める前に煮えてしまう。切り方も重要で白菜やきゅうり、セロリなど味の含みが悪い素材は斜めに切って切り口を大きくする。

2.あらかじめ火を通す。

プロは油通しをしますが、肉以外は湯通しで良い。湯通しで9割がた火を入れる。そして湯通しが済んだらザルに上げて水気をよく切る。

3.調味料を合わせる。

合わせ調味料、すなわち醤油や酢、オイスターソースです。最後に入れる水溶きの片栗粉も作っておく。基本は片栗粉1に対して水2。この片栗粉は“コーチェン”と呼ばれて調味料と材料を接着する糊です。すなわち、炒め物では調味料、味は材料に直接含ませません。含ませると浸透圧で水分が流れ出てきてしまう。ただ絡ませるだけ。炒めるとは水分を飛ばす事。強火でかき回す必要はありません。もやしでも約5分十分炒めます。

4.香辛料はニンニク、生姜、唐辛子、豆板醤、花椒、胡椒です。

 

炒める道具として、ウー・ウェンは自分が考案したフッ素加工の中華鍋を薦めています。大きさが大小ありますが、2人の場合は24センチの小型がぴったりです。この鍋で炒める、焼く、煮る、蒸す、ができます。次にレシピの例を挙げましょう。

 

<イカときのこの炒め物>

材料:イカ1ぱい、長ネギ10センチ、えのき1パック、しめじ1パック、エリンギ1パック。

合わせ調味料:酒大さじ1 、しょう油大さじ1 、黒酢大さじ1.5 、黒粒胡椒を挽いたもの小さじ1 、鶏ガラスープの素(顆粒)小さじ0.5、水0.5カップ、片栗粉大さじ0.5、水大さじ1.5。

1.イカは下ごしらえして輪切りにして湯通しする。ネギは斜めに薄切りする。きのこは石づきを取り、小分けする。

2.合わせ調味料を合わせておく。

片栗粉を溶いておく。

3.鍋にサラダオイル大さじ2杯を入れて、中火でネギの香が出るまで炒める。きのこを入れてじっくり炒め、しんなりしてきたらイカを加えて炒め、合わせ調味料入れて、強火にして絡ませて、水溶き片栗粉を回しいれ、とろみがついたら胡麻油で香りをつける。炒め時間は6分。

 

<茄子とひき肉の炒めもの>

材料:茄子4本、合いびき肉150g、生姜1かけ、長ネギ10cm、ニンニク1かけ。

合わせ調味料:醤油大さじ1、豆板 碵大さじ院��歛腓気���ぢ、鶏ガラスープの素小さじ1、水0.25カップ

片栗粉大さじ0.5、水大さじ1

1.茄子は所々皮をむき大きめの乱切りにする。油で揚げて油を切る。生姜、ネギ、ニンニクはみじん切りにする。

2.鍋にサラダオイルを大さじ1を入れ、生姜、ニンニク、ネギ、豆板醤を入れて香りを出す。合いびき肉を入れ、色が変わったら酒を振り、揚げた茄子と合わせ調味料を入れて煮立たたせ、水溶き片栗粉を回し入れてとろみをつける。以上で炒め時間は3分。

 

強火で炒めないと水っぽくなる!という常識は間違いで、炒めるとは水分を飛ばす事。調味料を混ぜ合わせたら、水溶き片栗粉でとろみをつける。これが、家庭の炒めものですね。

 

◆俯瞰の書棚 “ストラテジー・ルールズ”◆

今回の紹介は「ストラテジー・ルールズ」デイビッド・ヨッフィー, マイケル・クスマノ 2016 発行 パブラボ 販売 星雲社 です。

 

この本はIT業界で偉大な経営者として認められているマイクロソフトのビル・ゲイツ、インテルのアンディ・グローブ 、そしてアップルのスティーブ・ジョブスの3人の時系列的な経営分析から、成功要件として5つルールを導き出したものです。そのルールは。

ルール1 未来のビジョンを描き、逆算して今何をすべきかを導き出す。

ルール2 会社を危険にさらすことなく、大きな賭けをする。

ルール3 製品だけでなく、プラットホームとエコシステムを構築する。

ルール4 パワーとレバレッジを活用する、柔道と相撲の戦術。

ルール5 個人的な強みを核にして、組織を作る。

です。そしてその詳細を解説しています。彼らの失敗や過ちにも言及しています。いわゆるMBA的な戦略論とは異なる実証分析的な戦略論で、それを単純な5つのルールに抽象化したのは、著者の高いレベルの経営学の知性によると思います。 5つのルールについて第1章から第5章でそれぞれ分析結果を解説しています。記述も解りやすくご一読をお勧めします。

 

第1章では、まず未来の具体的なビジョンを描き、そこから今何をすべきか逆算するために過去を振り返る、とあります。歴史から未来を考えない!ビル・ゲイツもアンディ・グローブもそしてスティーブ・ジョブスも、将来の見込みを何度も間違ったことがありますが、それでも未来を予測し、新たな情報に基づいてそれを更新しています。そして「優れた戦略家とは、ビジョンが優れているのではなく、機会を逃さない」とあります。彼らは成長の兆しや、競合がまだ見つけていないわずかなギャップを見つけて、そこに行動を起こしています。

1.未来のビジョンを描き、次に境界線と優先度を設定する。

2.顧客のニーズを先取りし、次に必要な能力を取得する。

3.競合他社の動きを予測し、次に参入障壁の構築と顧客の囲い込みを行う。

4.業界の変曲点を予測し、すぐに変更と軌道修正を実施する。

 

第2章では、戦略は心臓の弱い人には向いていない。時には不確かで、非直感的な行動をとらなければならないことがあるからだ、とあります。

 

ビル・ゲイツはWindowsで巨人IBMと対決することを決断した、 アンディ・グローブはマイクロプロセッサーの圧倒的なシェアを確立するために数十億ドルの設備投資を決断した、 スティーブ・ジョブスはMacintoshのチップをIBMのPowerPCからインテルのチップに交換するという決断をした、この決断で彼らは大きな成功を掴んだとあります。つまり、彼らは大胆ではあるが無謀ではなかったとあります。この成功を促す4つの原則は。

1.ゲームを変える大きな賭けに出る。

2.会社を存続の危機にさらさない。

3.自社の事業を共食いする。

4.損失をカットする。

です。

 

第3章では、業界全体にまたがるプラットホームを構築し、補完的な製品やサービスの開発、販売、サービス、流通など幅広いパートナーからなるプラットホームとエコシステムを構築できたのが彼らの成功の要因であるとしています。これに1番早く気づいたのがビル・ゲイツで、 IBMパソコンのDOSを提供するにあたり、IBMは自由に搭載していいことにして、そのかわりマイクロソフトが他のメーカーに安く供給できる契約をしました。

 

その結果、Appleを除くほとんどのパソコンがマイクロソフトのソフトウェアを利用し、低価格のパソコンが個人に広がり、IT社会のプラットホームになりました。そしてその上に多くのソフトウェアベンダーがアプリケーションを開発し流通させることによって、エコシステムが完成しています。

 

アンディ・グローブは、 インテルのプロセッサーをすべてのパソコンのプロセッサーにするために、圧倒的な生産量を可能にする巨額の設備投資をしてこれを実現しています。結果としてマイクロソフトのソフトウェアとインテルのプロセッサーはパソコンの標準、すなわちプラットホームになりました。またインテルはムーアの法則を使いながらマイクロプロセッサーのテクノロジー・ロードマップを明示して、パソコンメーカー、アプリケーションソフトウェア開発者、半導体製造装置のメーカー、シリコンウェファーの生産者を含めたエコシステムを完成させました。

 

スティーブ・ジョブスは製品思考が強くて、プラットホームやエコシステムの構築が遅れました。 Appleのソフトウェアを他社に使わせる事はなく、市場のシェアを失っていきました。ある時ビル・ゲイツと提携して、 MacintoshでWindowsを動かすことができるようにし、それに対しビル・ゲイツは世界のデファクトスタンダートなっているオフィス製品を開発して提供しました。 Win Winの成功例です。 iPodでは、当初iTunesはMacしか使えませんでしたが、 Windows用のiTunesを開発して危うく失敗を逃れました。どうしても製品思考が強く、iPhoneは部品や生産ではエコシステムを構築しています。ソフトウェアではGoogleのAndroidがスマートフォンのプラットホームとなって大きなシェアを獲得しています。当初iPhoneのアプリケーションはAppleだけでしたが、第三者のアプリケーションを厳格に管理し、Apple Storeで販売するというエコシステムを構築しています。それにしてもAndroidのアプリケーションの数に比べれば極めて少数でしょう。このルールの成功要件は。

1.製品だけではなく、プラットホームについても考える。

2.プラットホームだけではなく、エコシステムについても考える。

3.自ら補完製品を作る。

4.プラットホームの改善と新規構築によって、陳腐化を避ける。

です。

 

第4章では、戦略的に考えることと、具体的な成果を出す戦術を結びつけることの重要性を紹介しています。力とレバレッジですが、例えが面白いですね。力ずくで相手をねじ伏せるのを相撲として、相手の力を利用しながら倒す事を柔道としています。力ずくとはジャックウェルチの「競合は買収するか潰す」です。マイクロソフトもインテルもたくさんやってきました。この3人は相撲の戦術と柔道の戦術をうまく組み合わせて成功したとあります。具体的には。

1.目立たないようにする。

2.敵を近くにもつ。

3.競合他社の強みを取り込み、拡張する。

4.力に物言わせることを恐れない。

1から3が柔道の戦術で、 4が相撲の戦術ですね。

 

第5章では、 3人はいずれも正式な経営の教育を受けていないので、バランスをうまくとるジェネラルマネージャではなかったが、それぞれに独自の強みがあり、それが彼らの会社に大きな影響を与えているとあります。ビル・ゲイツは当時としては誰よりもプログラムのコードを書く能力が優れていた、アンディローブは化学工学のエンジニアリングの知識があり、スティーブ・ジョブスはデザインの才能に優れていました。ただこのような個人的な強みは、新しい市場や技術、そしてビジネスモデルに企業が向かう時にそれを引きとめるというジレンマがありますが、彼らは自己を克服してスタッフを活用しながら変革を成し遂げています。地位や年齢に係わりなく、社内でその問題について最高の知識を持っている人間を探して任せています。具体的には。

1.ありのままの自分を知る。

2.厳選した対象の細部に注目する。

3.大局を見失わない。

4.知識を持つ人に力を与える。

です。

 

この後の終章では、彼らの次の世代すなわちGoogleのラリー・ペイジ 、 Facebookのマーク・ザッカーバーグ、 Amazonのジェフ・ベゾス、そして中国テンセントの馬化謄を分析すると3人との類似性が見えてくるとあります。

 

最後の後継者問題の記述の中で「補完は代替にはならない」が印象的です。 3人とも後継者として、自分の片腕として自分を補完してくれた人を指名しましたが結果として成功できていないと評価しています。たぶん取締役会も事業の継続を重視してこの選択をしたと思いますが、 3人を補完した3人は、引き継いだビジネスモデルを継続的に維持拡大する事しかできないのでしょう。ビジネスモデルは変えていませんが5年間で売り上げを2倍にしたアップルのジム・クックは評価しても良いと思います。

 

偉大な経営者の後継者問題は、日本の大企業でも重要な課題です。多くの失敗があります。最近の成功例は、日立製作所の川村さんから中西さんへのバトンですか。

ここまで読むと読んだ気がするかと思いますが、本書を読めば、ここで紹介できなかった、そして私が感じた以外のものを感じとることができると思います。

 

◆編集後記◆

●アメリカの大統領選挙はあまりに酷いので書く気がしません。といっても世界中が大きな影響を受けます。ヒラリークリントンでしょうが、TPPどうするのでしょう。

●原稿を書き終わったところで、北方領土の共同統治の新聞記事が出ましたが、書き変える必要はないとしました。

●今月行われた米韓軍事演習は凄かったですね。事あればそのまま平壌、核施設、ミサイル発射場を急襲する感じでした。

●李克強首相の活躍は中国内部の権力構造の変化を感じさせますね。王外相との連携かもしれません。ともかく中国のTOPは有能です。

●“2020年以降の世界は”は今回お休みです。

●弘前大学の認知症予兆と予防の研究プロジェクトはかなり大型で、世界一の疫学研究といわれる九州大学の久山コホート、京都府立大の認知症サポートをサテライト拠点として内包しています。結果が少しずつ公開されるでしょう。

●秋から冬にかけては、鋳物鍋でポットローストで手間かからずの料理の出番でしょうか。

 

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◆俯瞰MAIL 0062号(2016年10月17日)

発行元:     一般社団法人 俯瞰工学研究所

発行人:   松島克守

編集長:   松島克守

URL:      http://fukan.jp

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俯瞰メール61号

◆時候のご挨拶◆
今年の前半は台風の発生がありませんでしたが、最近は、日本列島は台風銀座です。これまで大きな台風被害がなかった東北、北海道の被害が酷いですね。青森のリンゴは無事だったようです。渇水の心配はなくなりましたが、稲刈りが終わるまでそっとしておいて欲しいと、祈る気持ちです。一方、秋の気配で空気が澄んできました。
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目次
●尋常ではない日本周辺の国際情勢
●アベノミクスをどう理解するのか
●リオオリパラから東京オリパラへの道
●沖縄・高江の報道
俯瞰サロン
俯瞰のクッキング “ロカボの実践”
●2020年以降の世界 “自動車産業”
俯瞰の書棚 「叛逆 マルチチュードの民主主義宣言」
●編集後記
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◆尋常ではない日本周辺の国際情勢◆
国際情勢はますます複雑化し、平和の見通しが全く立っていません。日本をとりまく情勢は北朝鮮の核開発とミサイル発射で極限状態にあります。先日、日本の排他経済水域に3発のミサイルをほぼ正確に同じ地点に着弾させ、距離と精度ともに高いレベルに到達した事を見せつけました。これに装着する核弾頭を開発すれば、日本は戦時体制に準じる対応が必要になります。気になるのは、これに関するニュースの情報は全て韓国国防省で、発射そのものは日本が検知できていないようです。発射を検知できなければ高価なイージス艦が使えないかもしれません。日本の誇る先端技術で、日本周辺を常時精密に監視する衛星を打ち上げる必要があります。

中国も尖閣列島に対し執拗な圧力を加え続けています。海洋における圧力に加え、戦闘機による圧力も強めていて、沖縄の自衛隊のスクランブルは年間500回を超えると言われています。

ここで最近急速に注目されるのが、日本とロシアの関係改善です。安倍首相は精力的に外交を仕掛けて、 12月のプーチン大統領の訪日が決定しました。すでに先日のG20の場でも、日本とロシアの首脳は関係改善のための話し合いを進展させています。安倍首相の従来の主張に囚われない経済協力の推進の提案に対し、プーチン大統領も前向きに対応しています。すでに、事務レベルでは歩み寄りのすり合わせが行われているのではないでしょうか。むろん日本からの経済協力と“見合い”になりますが。かつてプーチン大統領が提案した四島の二分割案、潜在主権を認めた上で、共同統治など様々なオプションが考えられます。 四島の一括返還を頑なに主張してきた日本ですが、今や保守派の統領になっている安倍首相であれば妥協的な決着がつけられるでしょう。

プーチン大統領も前向きな発言と同時に、国内世論を考えて、「経済と領土で取引しない」という発言もしています。またオホーツク海の軍事的な位置づけも関係してきます。太平洋における核ミサイル搭載潜水艦の根拠地になっているはずですから。地政学的には択捉は簡単には返還できないでしょう。

しかし、日本とロシアの接近をいつも牽制してきたアメリカが大統領選前で動きが弱まっています。つまり、オバマ大統領は何も動けません。そしてオバマ政権は、南シナ海での中国に対する対応に手を焼いています。このアメリカの状況も今回の結果に影響するかもしれません。トルコの情勢変化もあり、ロシアもフランスを始めEUとの関係に少しゆとりが出てきました

ロシアは資源大国で、ロシア経済は資源の安定した輸出先が必要です。シベリアやサハリンの天然ガスや石油資源は、中国だけが輸出先では価格交渉で不利になります。世界第3位の経済大国である日本との安定した経済関係はロシアにとっても戦略性が高いですから、ロシアにも今回の交渉をまとめるインセンティブがあります。同時に中国に対す牽制にもなります。ウラジオストクに3年ほど前に行きましたが、街中、中古の日本車が溢れていました。そして、日本との経済関係が極東地域の発展に必要だと、関係者は強調していました。

安倍首相の精力的な外交は評価されていいと思います。日ロ交渉を政治人生のレジェンドにしてほしいと思います。ただ最近の外遊を見ていると健康が気になります。「ご自愛を」です。かつては健康問題で内閣を投げ出した人ですから。

この安倍外交で、ロシア、トルコ、インド、ベトナム、台湾と言う中国包囲網は少しずつ形成されてきています。とりわけインドとロシアは中国牽制の強い駒、布石です。

プーチン大統領 北方領土問題で「歩み寄ろう」
https://www.youtube.com/watch?v=pwqCrxUzHnc
安倍首相、北方領土2分割に前向き、プーチンも理解示す
http://thutmose.blog.jp/archives/50416943.html
プーチン大統領北方領土「一つとして売らない」
http://mainichi.jp/articles/20160521/k00/00e/030/180000c

◆アベノミクスをどう理解するのか◆
外交では一定程度評価されている安倍首相ですが、経済すなわちアベノミクスの評判は極めて悪いです。内外の評価は、全て失敗という論調です。そもそもアベノミクスは存在しないと言う論調すらあります。“金融緩和に依存するインフレ政策はあまりにも筋が悪すぎた”という主張がありますが、確かに日銀の金融緩和以外にアベノミクスの実態は見えません。この間、選挙を意識した政策はいくつか打ちましたが、円安による株価の上昇はアベノミクスの成果とは言えず、震災によるエネルギー輸入による経常収支の悪化がもたらした円安で、その効果も一時的でした。年金運用のGPIFの日本株の大量購入と、日銀のETF買い入れの効果も極めて限定的で、現在も株価は低迷しています。GPIFの数兆円にも及ぶ損失については、夏の参議院選挙の前には公表せずにいました。

日銀による株式の大量買い入れは結果として、市場を歪めています。ブルームバーグの集計によると、“8月初旬時点で日経平均株価を構成する225銘柄のうち、75%で日銀が大株主上位10位以内に入っており、楽器・音響のヤマハに至っては既に事実上の筆頭株主状態にある。日銀が今回、ETF購入枠を従来の約2倍へ拡大したことで、年内にはセコムやカシオ計算機でも筆頭株主化し、2017年末には55銘柄まで増加する見通しだ。”素人の私が考えても不思議な状況です。しかも株価は低迷なのです。

一方、大企業はこの間、収益構造を強化して多額の内部留保を持っています。なんと377兆円と言う巨額の資金を、設備投資もせず、配当もせず、そして社員にも還元せず、持ち続けています。 GDPが500兆円程度ですからいかに巨額の資金が活用されずに眠っているかです。

経済は素人ですが、何かおかしいと思います。“アベノミクスという経済政策は存在していない”に同感です。唯一の「矢」であった日銀の金融緩和も空回りしていて、2%のインフレ目標は全く達成できていません。結果としてみると、無策の民主党政権の時の経済成長率の方が高いというのは皮肉です。勇気を持ってアベノミクスは失敗であったと総括し、新しい選択をする時期であると思います。

4年目のアベノミクス 厳しい論調に転じた海外メデイア
https://thepage.jp/detail/20160423-00000003-wordleaf
「アベノミクスは大失敗」と言える4つの根拠
http://toyokeizai.net/articles/-/120362
アベノミクス終焉で日本はかなり厳しくなる
http://toyokeizai.net/articles/-/117933
アベノミクス論争は無駄である
http://www.newsweekjapan.jp/obata/2016/07/post-8.php
企業の内部留保377兆円、4年連続過去最高
http://www.yomiuri.co.jp/economy/20160901-OYT1T50092.html
大株主「日銀」、17年末に日経平均4分の1で筆頭?ETF増功罪
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-08-14/OBMQHN6KLVRU01

◆リオオリパラから東京オリパラへの道◆
この夏のリオオリンピックでは、日本国中がメダルラッシュに沸きました。過去最高のメダル獲得です。日本人の素晴らしい資質を全国民が感じたことでしょう。そして元気を貰いました。これまでの選手強化の結果が出ました。これについては海外でも注目されているようです。

国民は連日の日本人選手の活躍をテレビで見ましたが、終わってみると、ちょっとおかしなことに気がつきました。国別のメダルランキングでは日本は第6位です。アメリカ、中国、ロシアが日本より上位にある事は納得できますが、イギリスの2位、ドイツの5位、メダルの総数では、日本より多いフランスが気になりました。人口から言えば、日本よりはるかに少ない国々です。確かに日本とドイツの卓球の試合を観戦しましたが、ドイツチームは、監督以下ほとんど全員が中国人の様に見えました。むろんドイツ国籍を持っているはずです。戦略として国籍の付与を含めた待遇の提供でチームを強化し、結果としてメダルを獲得したのでしょうか。

日本人は東京オリンピックでも、ドイツのような戦略をとることはできません。イギリスの2位は、元植民地からの移民、もしくは移民の二世によるダイバーシティの結果でしょうか。私は検証していませんが。

考えてみれば、日本人の活躍が期待できる種目と試合を、集中的に放映したのですから、私たちは日本がメダルラッシュでアメリカや中国に次ぐような結果を出していると、麗しい誤解をしたかもしれません。

たまたまこれはオリンピックですが、テレビや新聞というメディアの情報だけを受け止めていると、結果としてメディアの判断と価値観に誘導される危険性を感じました。日本のメディアはテレビを中心として、権力に対して“遠慮”あるいは気位が高く、“惻隠”(そくいん)か判りませんが、国民の知る権利を犯している状況があると思います。特に安倍政権になってから、その傾向が強いですね。先般の総務大臣のテレビ放映権の免許取り消しの恫喝も、 メディアに対するメッセージでしょう。

国別メダルランキング
http://sports.nhk.or.jp/medals/index.html

◆沖縄・高江の報道◆
メディアについて気になることがあります。沖縄・高江における反対運動と機動隊の激しい衝突についてNHKを始めメディアでは、ほとんどその映像が配信されません。

沖縄の基地問題については深い歴史的な事実があり、普天間移転では民主党政権の鳩山由紀夫首相の暴走も混乱に拍車をかけました。一方、日本を取り巻く国際情勢、とりわけ東シナ海の状況は、理想を目指すリベラリズムの主張と議論ではすみません。現状を踏まえたリアリズムの議論も必要です。結果としてリベラリズムの行動とリアリズムの行動の衝突は避けられません。

第二次大戦後の日本の歴史を見ると、最初の衝突はサンフランシスコ条約による日本の独立です。理想を掲げるリベラリズムは非武装中立を主張し、リアリズムが冷戦構造を踏まえ、日米安保条約と米軍の駐留を選択しましたが、結果としては、歴史はこれをよしとするでしょう。リベラリズムとは学識経験者で呼ばれている人々であったと思います。時の吉田茂首相は、非武装中立を説く時の南原繁 東大総長を“曲学阿世の徒”と切り捨て、条約に調印しました。この対立は“60年安保”の闘争につながりましたが、激しい国会周辺のデモにも動じることなく、時の岸信介首相はリアリズムで決行しました。安倍首相の憲法改正の強い決意は、これを継承している決意でしょう。

本当に国民にとって必要であることであれば、それを国民の前に見せるべきだと思います。民主制はギリシャの時代から衆愚制の面がありますが、情報のすべてを国民が共有し議論していくことが民主主義の神髄だと思います。ですから最近のメディアの姿勢には、強い違和感を感じます。

報道の統制と強権政治は、独裁政権の要件です。プーチン政権、中国共産党、最近ではトルコです。憲法改正に向かって、この方向に安倍政権が進むなら、国民はその危険性を感じ、総選挙にも反映されるでしょう。

憲法改正についても、ただ“押しつけ憲法”だという論理で明治憲法に回帰することは、反対です。未来志向で憲法改正をする必要があります。残念ながら、野党からもこの提案ができていません。9条改正反対だけでは議論になりません。何も変えない、これも政治になりません。日本の未来のビジョンを国民と共有し、その実現に必要な憲法改正を推進すべきだと思っています。残念なことに日本の未来の議論があまりにも無さ過ぎます。未来に関してはリベラリズムの議論も必要でしょう。

田中角栄の列島改造論は、あの時点では日本の未来のビジョンを示したことになります。そして気が付けば今、日本列島改造はほぼ完成しました。九州から北海道まで新幹線は繋がり、高速道路も全国的なネットワークができました。だから最近の再評価も“むべなるかな”という気持ちです。田中首相の金権事件がアメリカ(CIA)による冤罪だという説がありますが、違和感を覚えません。

高江、 機動隊
https://www.google.co.jp/webhp?tab=mw&ei=V92hVsXZOsKkmwHooJioDw&ved=0EKkuCAQoAQ#q=%E9%AB%98%E6%B1%9F+%E6%A9%9F%E5%8B%95%E9%9A%8A&tbm=vid
高江ヘリパッド
http://www.okinawatimes.co.jp/subcategory/%E9%AB%98%E6%B1%9F%E3%83%98%E3%83%AA%E3%83%91%E3%83%83%E3%83%89
冤罪 田中角栄とロッキード事件の真相
http://www.sankei.com/premium/news/160723/prm1607230016-n1.html

俯瞰サロン◆
第35回 俯瞰サロン
「理想のアイデンティティを作るための 先端的なビジュアルコミュニケーション技術
 ?シンデレラが“魔法”で叶えたような夢を“技術”で叶える?」
 久保友香博士 東京大学大学院 情報理工学系研究科 特任研究員
        東京工科大学メディア学部 専任講師
<シンデレラテクノロジー>とは、 日本の女の子から広がる「理想のアイデンティティを作るための先端的なビジュアルコミュニケーション技術」のことであり、「加工」する技術と「公開」する技術から成る。日本では古くから芸妓・巫女・花魁などの不特定多数から見られる仕事の女性が、化粧や衣装で元の姿を隠し、”アイデンティティを作る”ことをしてきた文化がある。その文化に現在、情報通信技術が影響を与え、技術革新が起きている。とのこと。http://cinderella-technology.com/about/
日 時: 10月5日(水)18:30-20:00 (18:15 受付開始)
場 所: 俯瞰工学研究所
     東京都港区港南2丁目14番14号
     品川インターシティフロントビル 6階
     http://www.sicity.co.jp/front/access/
参加費: 1,000円★
定員 : 40名程度(定員に達した時点で受付終了します)
懇親会: 講演終了後に懇親会を開催します。
     懇親会参加費用は3,000円程度(学生無料)。
     ※会場準備の都合上、懇親会への参加の有無もご提示ください。
主 催: 一般社団法人 俯瞰工学研究所 http://www.fukan.jp/
     日程・内容は予告なく変更されることがありますのでご容赦ください。
お申込みはこちらから:http://www.fukan.jp/俯瞰サロン/

俯瞰のクッキング “ロカボの実践” ◆
「ロカボ」をご存知ですか。炭水化物の摂取を控える食事のスタイルです。ダイエットしたい人、メタボリックを改善したい人のための食習慣です。

実は、私はこのロカボを実践しています。はっきり覚えていませんが最初は減量のために、ビールと日本酒を止めました。それまではビールを多量に飲んでいましたから、その効果てき面で、すぐに2 kgほど減量しました。73-4 kgから71-2 kgになったと思います。基本的には、朝はパンを食べずに炭水化物なしですが、ランチに寿司やパスタをとっていました。夕食は、ご飯は一杯だけでした。

多分2014年の初めから本格的なロカボの実践に入ったと思います。朝食は、それまでと同じで、人参とレモンとセロリの手作りのジュース、ブルーベリー(冷凍)カップ一杯、ミニトマト1パック、 納豆1パックでパンなどの炭水化物なしです。時に夕食の残りや、卵料理、ニラ玉、キャベツのニンニクアンチョビ炒めを作ります。

この朝食は10年以上続いています。最近は野菜ジュースにオメガ3のアマニ油を大匙一杯程度入れます

変わったのはランチを抜くことです。ランチはどうしても丼物、定食、麺類が多く、炭水化物が多くなります。ご飯を半分にしてもらったり、麺を半分にしてもらったりしていましたが、ランチを取らないことにしました。 仕事が減って人を誘って一緒にランチをする必要が殆どなくなったこともあります。

その代り、夜は好きなものを好きなだけ食べます。外の飲み会のような時は、いわゆるシメと呼ばれている炭水化物をパスします。フレンチなどではパンと最後のスイーツをパスします。

家で食事を取る時は、ご飯は一杯だけにします。 刺身のようなものがあると、やはり白米が欲しくなります。刺身と焼き魚、ほうれん草のお浸しは、我が家の定番です。そのかわり、野菜料理、魚料理、肉料理は食べたいものを食べます。味噌汁も作りますから、一汁三菜です。赤ワインも飲みたいだけ飲みます。なにしろランチを抜いていますから、カロリーが気になりません。揚げ物はあまりとりませんが、油はオリーブ油を中心にバターを含め特に控えていません。

結果として、2014年の5月には体重は69 kg 、BMIは22 、そして体脂肪率は20位になりました。そして現在までこの水準を保っています。タニタの体重計は体内年齢という不思議な数字が出ますが、実年齢は71歳ですが体内年齢は55歳くらいです。

血糖値も管理出来ています。血糖値に関しては糖質の制限が重要ですが、炭水化物を控えればこれも管理できます。

血糖値と食事については、グリセミックインデックスという話題があります。すなわち血糖値を短時間に上げる食品はグリセミックインデックスが高いので、避けた方が良いという説です。最近の研究によるとこの数値は、定義や測定値が曖昧であまり気にしなくて良いと言うことです。基本的には摂取する糖質の総量です。これに関して、これまで人参はこの値が高いとされてきましたが、これは誤りのようでした。

最後に糖質の多い食品として控えたほうが良いとされているものは、白いパンや麺、特にうどん、ジャガ芋、サツマイモ、かぼちゃ、レンコン、大豆以外の豆、砂糖や蜂蜜、春雨やビーフンなどです。 これらは避けています。

甘いものが好きな人にとってはスイーツが気になりますが、最近ではロカボのスイーツがいろいろと売られているようですからご心配なく。またワインについては、フランスワインは完全に糖質がなくなるまで発酵させるので糖質は少ないとのことですが、スパーリングワインは、最後の段階で砂糖を添加するので少し糖質が多いとのことです。

ロカボオフィシャルサイト
https://locabo.net/
GI値は本当に使えるか?
http://athletebody.jp/2016/07/27/glycemic-index/
人参のGI値はなぜ高いのか、間違った計測結果が世に浸透している
http://www.datumousyou.com/hairfood/vegetables/carrot-gi.html

◆2020年以降の世界は◆
これまで,“俯瞰のニューウェーブ”という連載をしてきました。紹介してきたトピックスは“すでに見えている未来”を意識してきました。その結果2020年以降の世界は、今の世界と大きく異なる世界になるという認識に至りました。 2020年はオリンピックの年です。日本全体が現在の延長線上に東京オリンピックを置いて進んでいくでしょう。しかし2020年以降の世界は、現在の延長線上の世界ではありません。

今回から2020年以降の世界がどうなるかを意識して、その変革の仕掛人、“すでに見えている未来”を紹介していきたいと思います。

今回は自動車産業に焦点を合わせてみました。昨年12月パリにおいてCOP 21が開催され、2020年に向かって地球温暖化の原因となっている炭酸ガスの排出削減を進めていくことに合意しました。最大の排出国であるアメリカと中国が参加しました。これに沿ってアメリカでは厳しい規制が自動車産業に課されます。そして新しい規制ではハイブリッドはエコカーから外れます。結果として電気自動車の販売が増加します。

中国では、炭酸ガス排出という面では自動車はそれほど大きくありませんが、あのもの凄い大気汚染の対策として、政府は電気自動車に補助金をつけて普及を進めています。まだ販売台数そのものは多くありませんが、今や中国は電気自動車の生産販売では、アメリカを抜いて世界一です。
すでに気候温暖化に敏感な北ヨーロッパの国々では、電気自動車は販売を伸ばしています。オランダでは、なんと2025年までにガソリン車とディーゼル車を販売禁止にしようと議論しています。アメリカではテスラが有名ですが、既存の自動車メーカーも電気自動車の販売に力を入れています。航続距離が短いことが電気自動車の欠点と言われてきましたが、すでに300キロを超える自動車が続々と販売されています。

各社が狙っている市場は中国です。中国では国産のBYDが大幅に販売台数を伸ばしていますが、今後はヨーロッパやアメリカのメーカーが積極的な販売をしていくでしょう。

電気自動車は構造が単純で生産そのものは難しくありません。電池の値段も急速に下がっています。そして生産台数が増えればコストも急速に下がります。すでにGMの電気自動車は3万ドル程度です。

2020年以降の世界では電気自動車が主流となるでしょう。これは自動車産業の破壊的な変革につながるでしょう。単純に言えば、電気自動車はラジエーターからエンジン、変速機、デフそしてマフラーがありません。この部分に関連している自動車部品産業は壊滅的な衝撃を受けることになるでしょう。加えて既存の自動車メーカー以外の企業が電気自動車には参入するでしょう。すでに中国では多くのベンチャー企業が立ち上がっているようです
トヨタが誇るハイブリッド車もエコカーのカテゴリではなくなります。加えてハイブリッド車で優位性を作っている、“摺合せの技術”も電気自動車では必要ないでしょう。スマートフォンで起きたように、電気自動車の生産は中国が主役となる事は想定できます。

今話題の自動運転車も電気自動車が主流となるでしょう。そして自動運転ではGoogleやAppleが業界と技術のリーダーです。

さらに今進んでいるカーシェアリングのビジネスは、自動車の販売台数にとってマイナス要因です。社会にとってカーシェアリングは環境・資源問題の解決として極めて有効です。したがってこのトレンドはますます強くなっていくでしょう。自動車を所有したいという需要は縮小し、モビリティというサービスが求められる時代になってきます。

以上のようなことを組み上げていくと、 2020年以降の世界では電気自動車が主役となり、結果として自動車産業は現在とは全く違う業界構造になっていると見るべきです。特に自動車部品産業は壊滅的な影響を受けることになります。

自動車産業と電機産業はこれまで日本の製造業の主役でしたが、既に電機産業は凋落し、そして“摺合せの技術”で優位性を保ってきた自動車産業も縮小するとなれば、日本の経済は大きな試練を受けます。

当然、上記の事は、自動車企業はわかっていると思いますが、まだハイブリッドや燃料電車に未来を託しているのでしょうか。

オランダで「2025年までにガソリン車とディーゼル車を販売禁止」する法制化が進行中
http://jp.autoblog.com/2016/08/21/2025-ban-gas-powered-cars-holland/
世界一の電気自動車大国になった中国 EVが次世代自動車の主役になるのか?
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/6738
フォルクスワーゲンとメルセデス・ベンツ、中国の電気自動車市場に本格参入を表明
http://jp.autoblog.com/2016/09/12/vw-mercedes-benz-china-new-ev-hotbed/
テスラが日本初、EVのSUV「モデルX」を投入 盛況な市場で勝負挑む
http://www.sankei.com/economy/news/160912/ecn1609120010-n1.html
ルノーのEV、世界累計販売10万台…5年で達成
http://response.jp/article/2016/09/13/281708.html
電気自動車(EV)で日本の自動車メーカーが中国メーカーに負ける日が近い!?
http://autoc-one.jp/special/2695104/
GM、航続383キロのEV 普及価格帯で最長
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM13H8J_T10C16A9FF1000/

俯瞰の書棚 “叛逆 マルチチュードの民主主義宣言”◆
今回の紹介は「叛逆 マルチチュードの民主主義宣言」アントニオ・ネグリ, マイケル・ハート 2013 NHKブックス です。

この本の著者、ネグリとハートは、「帝国」2000「マルチチュード」2004「コモンウェルス」2009の三部作によって、1989年のベルリンの壁崩壊以降の世界を分析し、「帝国」「マルチチュード」「共(コモン)」という概念で現在の世界を理解することを提案しています。

ただ、この三部作はいずれもかなりの分量があり、私もいずれは腰を据えて 読みたいと思っています。今回紹介する本は、その三部作を踏まえた上で、さらに2011年に起きたアラブの春やそれに続く民衆の蜂起とも言うべき活動を踏まえた、革命宣言のような本です。原著の題名は「DECLARATION」ですが日本語訳で上記のような題名になっています。「叛逆」とは意訳というより暴訳です。翻訳本でも編集者がとんでもない日本語のタイトルをつけている場合がよくありますが、原著のタイトルを尊重するべきだと思います。

叛逆ではなく、新しい民主主義の社会を建設することに積極的に参画することを提案している本です。

ただかなり難解な本ですので巻末にある解説を読んでから本文を読んだ方が分かりやすいかもしれません。少なくとも幾つかのキーワードを頭に入れておかないと読解が困難でしょう。

まず「帝国」とは、国民国家を超えてグローバルにネットワークされた、グローバルな主権のことです。すなわち世界銀行やIMF 、WTO 、そしてグローバル空間を自由に動くグローバル企業、金融、資本主義の「複合体」のことです。

これに対して「マルチチュード」は、このグローバル主権の下にいる多様な個人の集合体です。もともとマルチチュード(multitude)とは、「群衆」や「人々の群れ」という意味ですが、この本では積極的に「帝国」に対抗する主体として捉えられています。すなわち「帝国」の権力に抗して、グローバル民主主義の構成へと向かう多数多様な集団的主体をマルチチュードと定義しています。マルチチュードを単なる社会的なクラスと捉えるか、変革の意識を持った「前衛」と捉えるか、ですが。

今、格差社会が問題となっていますが、解りやすく言えば、ウォールストリートを占拠の抗議の主張であった「1%と99%の問題」です。すなわちグローバル経済の恩恵を受けた1%の集団が「帝国」であり、 99%の集団がマルチチュードです。

マルチチュードに対して「借金を負わされた者」「メディアに繋ぎとめられた者」「セキュリティに縛りつけられた者」「代表された者」の四つの視点を上げているのは興味深いです。
「借金を負わされた者」とは本来福祉政策で救済されるべきことが、金融ローンという個人の責任に転嫁され、その借金を返すために働かなければならない人々です。例えば教育ローンです。

「メディアに繋ぎとめられた者」とはメディアの情報に洗脳され、引きまわされる人たちです。スマホを触っていないと安心できない人もこれに入れられるかもしれませんね。
「セキュリティに縛りつけられた者」は監視カメラの監視される人、 GPSの位置情報、情報検索や買い物履歴を取られる人と言うイメージです。家の玄関を出た時からセキュリティと監視の中に我々いますから。

「代表された者」は、すでに述べた代表制という民主主義の構造的欠陥から、政治から実質的に外された人たちです。

また「 マルクス主義」という知識も必要でしょう。さらに「新自由主義」という概念も議論の前提になっています。これは小さな政府を標榜したサッチャリズムと考えると解りやすいでしょう。『新自由主義とは「ネオリベラリズム」(英: Neoliberalism)。1930年以降、社会的市場経済に対して個人の自由や市場原理を再評価し、政府による個人や市場への介入は最低限とすべきと提唱する。Wikipedia』

「共」 とは、”社会的労働の生産物──アイディア、イメージ、コード、情報、情動、その他を含む──に加えて、地球とその生態システム──森林と海洋や土、空気、水、等々──を指す“とあります。これらの概念を頭に入れて読んでいけば論旨はある意味単純です。

この本の主張する危機感が、民主制という皮をかぶった強権政治が世界中で増殖している事でしょう。ロシアのプーチン政権、トルコのエルドアン大統領、そしてエジプトなどの中東諸国の政権、中央アジア、そし最近のフィリピン・ドゥテルテ大統領です。すなわち "2011年に始まった多くの運動は、「代表される」ことそのものを拒絶し、代表制のさまざまな構造に強烈な批判を向けるものだった。これらの運動は、今日の代表制が民主主義を強化するどころか阻止しているということ、したがって「代表された者」は実効的な政治的行動に対するアクセスを阻まれた存在にほかならないということを、はっきりと認識していたからである。" とあります。そして、
“2010年代初頭、「アラブの春」に始まる直接抗議運動が世界中に広がった。専制的な政府、強欲な金融業界、民意を無視する政治に対して立ち上がり、支配体制を揺さぶった人びとこそ「マルチチュード」である。かれらが見せた新しいビジョンとは何か? 代議制の機能不全はどう克服されるのか? ”
とあります。そしてここにある新しいビジョンを提示しているのが本書です。

この本の主張は単純に言えば格差を生んでいる、グローバル経済の金融・資本主義と言う
「帝国」対抗し、そして形骸化した代表制という民主主義に代わる、マルチチュードのネットワーク、これは多様性を持った集団で、新しい民主主義を確立したいということです。さらに新自由主義という政治によって「帝国」に奪われた社会的労働の生産物を「公」すなわち自分たちを代表していると称する公的権力ではなくマルチチュードという主体的な「共」として取り戻すことを提案しているのではないかと思います。

具体的なマルチチュードの運動として、ウォールストリートを占拠、チュニジアでの大衆蜂起、そしてエジプトのタハリール広場の占拠によるムバラク政権崩壊、米国ウィスコンシン州の議事堂占拠、スペインのマドリードの太陽の門広場の泊り込み抗議、イスラエルテルアビブのテント抗議、アテネのシンタグマ広場の占拠、などを上げていますが、香港における雨傘運動、香港独立派の台頭、台湾における独立派の政権勝利もこの一連の動きに精神的には連帯しているのでしょう。ただマルチチュードと言う意識がない運動は、トルコに見られるような、ポピュリストの強権政治の餌食になってしまいます。その意味では、ここで提案されているマルチチュードという概念は、非常に重要です。このマルチチュードのネットワーク形成と活動にはソーシャルメディアの普及が背景にあります。

危機への反逆という第2章では、「借金をひっくり返せ」、「真理を作り出せ」、「逃走し自由になれ」、「自らを構成せよ」、と過激な主張がありますが読まないと理解できない部分です。
新共産党宣言という人もいるようですが、民衆にある種の蜂起を呼びかけている点では、そのように取れるでしょう。 確かにマルクス主義の匂いを感じさせる本です。

終わることのない戦争、テロや難民、アメリカ大統領選挙、強権とポピュリズムの台頭という現在の国際社会や政治を分析的に、また俯瞰的に理解するにはこの本の主張は参考になります。かなり難解ですがご一読をお勧めします。

実はこの本は最初にKindle本として出版され、後に紙の本が出版されたとのことですが、私はKindleで読みました。紙で読むよりも字が大きくて読みやすいので読書のスピードも上がりました。そろそろ紙の読書からKindleでの読書スタイルに移行しようと思っています。

世界中に拡大したウォール街デモその政治的影響力と米大統領選挙への波紋
http://diamond.jp/articles/-/14552

◆編集後記◆
●先のクリントン政権、そしてオバマ政権という民主党の中国政策の失敗が、現在のアジア情勢を作った一因でしょう。東アジア外交を仕切るライス大統領補佐官は親中国で、中国のG2にも理解を示しましたから。献金問題で見えましたが、クリントン家も中国のロビー活動の理解者です。ビル・クリントン大統領は東京をパスして北京訪問でした。
●豊洲の状況は酷いですね。前号の“小池知事という民意”で都庁は伏魔殿か、と書きましたが想像以上です!都庁幹部の倫理観、そして猪瀬、舛添知事が仕事をしていなかったことが暴露されました。そして石原元知事の影も。
●クリントンの健康問題、まさかトランプが大統領に。ヒラリー・クリントン余命1年という情報がネットにあります。英国EU離脱の結果の様に、まさかもあるかもしれません。
●蓮舫の圧勝で民進党の代表が決まりましたが、この後民進党はどうなるのでしょうか。レベルの低い二重国籍の話しか聞こえて来ませんでしたが。
●日本は技術力があると言われてきましたが、それは、古い技術が大半で、2020年以降の世界の重要な技術はかなり弱いと考えた方がいいかもしれません。

ヒラリー余命1年説?匿名を条件に「専門家」が投稿した動画の中身とは
http://www.mag2.com/p/money/22597

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◆内容・記事に関するご意見・お問い合わせ/配信解除・メールアドレス変更は下記までwebmaster@fukan.jp
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俯瞰MAIL 0061号(2016年9月16日)
発行元:     一般社団法人 俯瞰工学研究所
発行人:   松島克守
編集長:   松島克守
URL:      http://fukan.jp

 

俯瞰メール60号

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◆時候のご挨拶◆

連日猛暑日が続きますが、山の木々にはすでに赤や黄色の気配が目につきます。この

前まで緑一色だった田圃も、かすかに色づいています。猛暑なのに植物は秋を感じて

いるのです。日照時間の短縮を感じ取っているのでしょうが、どこにそのような判断

機能があるのか不思議です。脳がないわけですから、細胞ひとつひとつが日照時間を

感じ取ることができるのでしょう。

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● 象徴という暗喩

● 小池知事という民意

● トルコの独裁化で、さらに不透明化した国際情勢

● 中国の情勢が見えない

● 俯瞰サロン “米国情報通信分野の最新動向”

● 俯瞰のクッキング “ウー・ウェンの料理”

● ニューウェーブの俯瞰 “電子雑誌読み放題の時代になった”

● 俯瞰の書棚 「今、なぜデザインか」エレン・ラプトン他3人

● 編集後記

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◆象徴という暗喩◆

天皇陛下がお気持ちをメッセージで国民に伝えられた事は、大きな衝撃であったと思

います。政治的な意見表明ができないということで、練りに練られた文章だと思いま

す。

 

 

内容も誠に道理にかなうものです。体力が衰え公務を全うすることが困難になった、

といって体力に合わせて公務を縮小するわけにはいかない、また摂政をおくと、天皇

のまま死ぬことになるので、天皇の葬儀という大行事のために国政が停滞する。昭和

天皇のご葬儀の大変さを実感されて、もっと簡素な儀式にしたいというお気持ちが感

じ取れます。

 

このお気持ちは、そのまま受け止めるべきだと思います。ただ日本は特別な国だと強

い思いを持つ人々は、“自分たちの天皇制”に拘るわけですから、素直に受け止めら

れないかもしれません。そしてそういった人々は、天皇の気持ちに反することをする

ことがあります。

 

例えば、昭和天皇は靖国神社の宮司に戦犯を合祀しないようにというお気持ちを表明

していたにも関わらず、靖国神社宮司は戦犯を合祀しました。 それ以来、昭和天皇

は靖国神社を参拝することはありませんでした。伝えられるところによると、太平洋

戦争の開戦についても、昭和天皇はあくまで避けたいという強い気持ちを持たれてい

たにも関わらず、当時の軍部はそれを押し切って開戦したわけです。これが戦犯の靖

国神社への合祀に反対された理由かもしれません。

 

この天皇陛下のメッセージを読んでいると、象徴という言葉が8カ所もあります。こ

れは明らかにキーワードです。受験の現代国語の読解の手法です。そして最後にある

文章、

“そして象徴天皇の務めが常に途切れることなく、安定的に続いていくことをひとえ

に念じ、ここに私の気持ちをお話しいたしました。”

 

象徴天皇としての務めを全身全霊でやってきたことに満足されていると同時に、これ

は、現在の憲法が定める象徴天皇を変えることなく継続して欲しいと言う暗喩のよう

に読み取りました。憲法改正で天皇を国家元首にするということに対して、反対のご

意思を示されたのかもしれません。

 

【動画】象徴としてのお務めについて、お言葉を述べる天皇陛下

http://www.asahi.com/articles/ASJ8766FBJ87UTIL02P.html

 

◆小池知事という民意◆

サプライズではありませんが、予想を超える大差で小池百合子さんが東京都知事に当

選しました。自民党支持者の多くが小池候補に投票したようですから、浮動票集めで

当選したというよりも、これを民意として受け取るべきでしょう。

 

選挙戦としては、流石にTVキャスターの出身だけあってメディアをうまく使い、まだ

組織されていない無党派層には、ツイッターというSNSを駆使して直接メッセージを

毎日打ち込んでいたようです。時代をきちっと理解していると思います。ネットを活

用するという事を、政党という組織に乗っかっている政治家はこれまで重要視してき

ませんでした。

 

4年後の東京オリンピックは小池知事のリーダーシップで行われることになります。

オリンピック組織委員会は、全員が出向で期限付きの組織ですから、通常の組織のよ

うな統制が取れた仕事がかならずしもできていないでしょう。メインスタジアムやエ

ンブレムの問題がその内部的な問題を露呈させました。

 

このオリンピック組織委員会と小池知事がいい形で連携すれば、オリンピックの管理

運営のクオリティが上がるかもしれません。

 

都政においても、我々都民から見れば伏魔殿のように税金の使い道がわからない状態

が、小池知事が約束しているような見える化が進めば、利権や無駄遣いが減ることが

期待されます。なにしろ東京都はヨーロッパ一国分を超える人口や面積そして経済規

模があります。そして都知事は大統領です。

 

多分、既得権益を持つ集団は色々な手を使って抵抗するでしょうが、外部から真っ当

なスタッフを積極的に登用して都政の刷新を進め、必ず公約を果たして欲しいと思い

ます。ただ過去の都政では、都知事が連れてきた腹心と呼ばれた人がとかく問題を起

こしていましたから、側近をどのような人材で固めるかが新知事の成否を決めること

になります。

 

NHKの歴史ドラマに見るように、信頼関係にある側近がなく孤高の信長の挫折、そし

て信頼関係にある側近が複数いてもチームを組んでいず短期政権に終わった秀吉、こ

れに対し信頼関係に固められた家臣団、とりわけ本多忠勝、井伊直政、榊原康政、酒

井忠次という徳川四天王に支えられて、家康は天下を取り300年にわたる長期政権を

確立しました。周りにどんな人を置くか、それがリーダーの最も重要な器量です。

 

小池百合子都知事を「敵」であるはずの自民党支持層が高く支持

http://news.livedoor.com/article/detail/11864349/

小池氏フォロワー数優勢19万、鳥越氏追う15万

http://www.nikkansports.com/general/news/1679264.html

フォロワー数、「いいね!」とも小池百合子氏がトップ SNS

http://www.sankei.com/politics/news/160721/plt1607210041-n1.html

<偶然ではない>小池百合子にまんまと利用されたメディア

http://blogos.com/article/186187/

 

◆トルコの独裁化でさらに不透明化した国際情勢◆

英国のEU離脱の衝撃は、不安定さは残りながらも、とりあえず大きな混乱もなく収

まっていましたが、トルコのクーデター未遂で世界情勢は一変しました。その後のエ

ルドアン大統領の大粛清は異常で、独裁制へ向かうとみられています。反対派に処す

粛清はおろか、メディアに対しても弾圧を加えていますからトルコの民主制は終わり

ます。死刑制度復活などまさに恐怖政治そのものです。そして、真っ先にロシアの

プーチン大統領と会談するためにモスクワに飛んでいます。

 

比較的安全だったドイツは複数のテロ攻撃を受けました。ローマ法王にして“世界は

戦争状態”と言わしめました。ひろく難民を受け入れてきたドイツですが、危険な分

子もたくさん取り込んでしまったのでしょう。と思うドイツ国民は少なくありません

から、メルケル首相の支持も落ち込んでいます。

 

トルコに対しEUは何も動けません。なにしろEUはトルコに資金援助することを約束し

て、シリア難民をトルコ国内に留めてもらうように話をつけたばかりです。エルドア

ン大統領は人質を取っています。

 

もしロシアとトルコの連携が進み、EU 、西欧に対して共同歩調を取ることになれ

ば、ヨーロッパは流動化します。経済活動も大きな影響を受けます。流動化の中でロ

シアのプーチン大統領はウクライナや東欧諸国に対し圧力を強めるかもしれません。

 

一方米国は、大統領選挙で大混乱です。なぜか評判の悪いヒラリー・クリントンで

す。負ける事はないでしょうが、万が一ヒラリーが負ければ世界中大混乱です。今の

米国はヨーロッパやトルコ情勢に関与する力はありません。いずれにしても、今後の

国際情勢は不透明です。

 

「世界は戦争状態」=ローマ法王

http://www.jiji.com/sp/article?k=201607

トルコ、クーデター未遂で5万人粛清 国際社会の懸念深まる

http://www.afpbb.com/articles/-/3094657

トルコ、メディアへの弾圧拡大

http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/339866

トルコ国民は死刑復活を望んでいる=エルドアン大統領

http://diamond.jp/articles/-/96806

「西側諸国はテロとクーデターを支持」 トルコ大統領が強く非難

http://www.afpbb.com/articles/-/3096166

「クーデター粛清は行き過ぎ」 対トルコ、独が非難

http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/list/201608/CK2016080302000125.html

トルコのエルドアン政権が死刑復活ならEU加盟できず、ドイツがけん制

http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2016/07/post-5507.php

メルケル独首相、支持率急落 難民テロ影響か

http://www.sankei.com/world/news/160805/wor1608050007-n1.html

テロ多発地帯と化したドイツで、なぜメルケルは不気味な沈黙を保ち続けるのか

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/49308

トルコのクーデター未遂事件は 世界を一変させる「ブラックスワン」になるの

か!?

https://news.nifty.com/article/magazine/12215-20160808-98330/

まもなくトルコ・ロシア首脳会議、何が起こるか?

http://synodos.jp/article/17700

 

◆中国の情勢が見えない◆

南シナ海では、“国際法上、中国の領土ではない”と司法判断が出ましたが、中国は

まったく受け入れる気がない、と言いながらも実質は動きができません。 ASEANもラ

オスとカンボジアを除けば、他は中立もしくは反中国です。中国にとって、大きな外

交的敗北でした。

 

では東シナ海か。とにかく何か積極的な海洋進出の実績を示さないと、国内政治のバ

ランスが取れないのでしょうか、多数の漁船と公船すなわち日本でいう巡視船です

が、尖閣諸島の領海近くおよび領海内で威嚇行動をしています。

 

その背景には、今中国の中で深刻な権力闘争が行われているという見方が強まってい

ます。権力を争うのは江沢民派、李克強首相の出身母体である共青団、そして習近平

派ですが、共産党が指導する国有の大企業が鉄鋼業、造船業を中心に破綻しかけてい

ます。工業化の産業政策の基本ですから、最初に国家主導でエネルギー、インフラ、

重化学工業を起こし、ついでに自動車産業、電機産業、生活産業、そしてサービス産

業を起こしていきますが、国家主導の重化学工業は共産党の利権が複雑に絡みあって

いますから、権力闘争と政策闘争が入り混じった戦いでしょう。

 

“2013年に李克強首相ら経済改革派が行おうとした国有企業の「三歩走」、すなわち

「市場化→多元化→民営化」という改革を進めていれば、多くの国有企業が民営企業

に着地し、中国経済はダイナミックで持続可能な経済成長が期待できたのだ。それを

習近平主席ら中国共産党の保守派は、国有企業を政治的利権の道具にしようとした。

そのため昨年9月に、国有企業の「二歩走」、すなわち「淘汰→党中央の管理強化」

という「改悪」を国有企業改革の骨子に定めてしまった。”(近藤 大介『北京のラ

ンダム・ウォーカー』講談社現代ビジネス)

 

最近の貿易統計も対前年比マイナスを続けていますから、経済は停滞しているはずで

す。国民の政府に対する不満も高まっているでしょう。となると、外に目を向けさせ

るために尖閣列島を利用しているのかもしれません。ただ危険な火遊びで、不測の事

態が起こるかもしれません。たとえ小競り合いであっても日中の軍事衝突があれば世

界経済に与えるインパクトはリーマン以上です。我々国民も不測の事態を想定内とし

ておく必要があります。ただ現在の中国は深く世界経済に依存していますから、政治

の判断では衝突はありませんが、現場は場合によっては制御できません。自衛隊もあ

からさまにロックオンされれば自衛措置を取らざるをえません。

 

尖閣諸島周辺に約230隻の中国漁船

http://toyokeizai.net/articles/-/130692

中国はなぜ尖閣で不可解な挑発行動をエスカレートさせるのか

http://www.newsweekjapan.jp/ohara/2016/08/post-4.php

中国が秘密の「北戴河会議」開催か 序列5位の劉雲山氏が現地入り

http://www.sankei.com/world/news/160805/wor1608050070-n1.html

ASEAN会議 中国の国際法無視が目に余る

http://www.yomiuri.co.jp/editorial/20160726-OYT1T50137.html

中国人民大学「ゾンビ企業レポート」が示す習近平政権の致命的な過ち

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/49405

ナチスに酷似する中国、宥和では悲劇再現も

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/47517

 

◆俯瞰サロン◆

米国を拠点に活躍されているジャーナリストに聞く

“米国情報通信分野の最新動向”

日 時: 8月22日(月)18:30-20:00 (18:15 受付開始)

場 所: 俯瞰工学研究所

     東京都港区港南2丁目14番14号

     品川インターシティフロントビル 6階

     http://www.sicity.co.jp/front/access/

定員 : 40名程度

懇親会: 講演終了後に、立食形式で懇親会(有料)を開催します。

参加費: 講演会・無料

     懇親会・一般 3000円から4000円、学生(社会人学生を除く)無料

※すでに満席となっているかもしれませんが、http://www.fukan.jp/俯瞰サロン/

からお申し込みください

 

◆俯瞰のクッキング “ウー・ウェンの料理” ◆

有名な料理研究家のウー・ウェンのレシピは料理本で読んだことがありましたが、

Amazonで別の本を探している時、リコメンドされた本の1つが“ウェインさんちの定

番献立”という本でした。買って読んでみると改めて彼女は数多くいる料理研究家の

中でも特別な人だと思いました。レシピを読んでいると非常に知性が高い人だと感じ

ました。

 

そして企業と共同開発したウー・ウェンの中華鍋は、販売が16万個だそうです。売価

を考えると約2億円です。

 

北京から日本に来て、結婚するまで料理をしたことがなかったとのことですが、家族

ができて、食事は「料理は家族の健康そのもの」で人任せにできないと、料理をする

ことになったとのことですが、レシピはシンプルながら水準が高いです。

 

冒頭に台所の写真がありますが、“仕事の始まりと終わりは、いつも何もものが出て

いない状態で”、とあります。簡単そうでこれ結構難しいですね。そして鍋は3つ、

すなわちウェンパンと呼ばれる中華鍋(北京鍋)、湯鍋と呼ばれるソースパン、煮鍋

と呼ばれる平らな両手ナベです。実際は色々お持ちでしょうが、彼女の提案はこの3

つで良いとのことです。そして切菜刀と呼ばれる彼女が考案した、中華包丁と日本の

菜切包丁の良さを併せ持つ包丁です。

 

調味料も黒酢、醤油、太白ゴマ油、日本酒、塩だけです。その他の調味料もオイス

ターソース、焼き豆板醤、甜麺醤、そして顆粒の鳥ガラスープだけです。

 

これだけのシンプルなキッチンには憧れます。鍋だけでも20?30個、包丁もあれこれ

10本近くあり、その他の道具を合わせると、ちょっとしたキッチン用品の店が開ける

ような台所で料理を作っていると、シンプルキッチンに憧れます。

 

レシピは基本的「一汁 二菜」です。そして基本的に中華料理ですが、とてもシンプ

ルです。

多くの料理研究家の本はアイディアに満ちた料理の提案が多いですが、定番の献立は

簡単に作れる料理ばかりです。私たちが食べ慣れている、油をたっぷり使った中華料

理のような献立はほとんどありません。和食に近い家庭料理らしい中華料理です。

 

例えばある日の献立は、麻婆豆腐、キャベツ甘酢あえ、筍とアサリのスープです。ま

た別の献立では完熟トマトで作るエビチリ、インゲンの炒め物、ザーサイのスープ。

おなじみのキャベツの回鍋肉や青椒肉糸のレシピもシンプルですが本格的で勉強にな

ります。

 

彼女のレシピによく出てくる料理法は「蒸す」ことです。ウー・ウェンの鍋はフッ素

加工された底が少し平らな北京鍋ですが、付属の蒸し皿と蓋を合わせると、焼く、炒

める、煮る、 蒸す、ができます。たぶん簡単な薫製もできるでしょう。むろんIH対

応です。私は2つ買いましたが、 1つはフッ素が剥げてしまったからです。この点は

改良された新型が出たようです。

 

レシピの中で作ってみて、気に入った料理は、トマトと豚スペアリブ煮込み、エビチ

リ、蒸し豚、チャーシューです。このレシピで、これまで何気なく作っていたおなじ

みの料理が新しい料理に生まれかわったような気がします。完熟トマトで作ることが

重要でした。

 

日本料理と北京料理の文化の差を感じたのは、ダシです。彼女のスープは、 特別な

ダシを使わずに素材の旨みで十分、とありますが、濃いうまみに慣れている私の舌に

は物足りないので、顆粒の鶏ガラスープや昆布を入れてしまいます。海から獲れた鰹

節や煮干し、昆布のような、日本では普通のダシが、北京では入手できないことが差

異になっているのかもしれません。

 

◆ニューウェーブの俯瞰 “電子雑誌読み放題の時代になった”  ◆

いよいよ日本でも8月3日、Amazonが電子書籍読み放題のKindle Unlimitedサービスを

開始しました。Kindle unlimitedとは、講談社、小学館、文藝春秋、新潮社などの出

版社の協力により国内12万冊の和書が月額980円で読み放題というサービスです。ち

なみに先行している米国のおかげで、洋書は120万冊読み放題とのことです。迎え撃

つ集英社やKADOKAWAは今回参加してないようです。

 

これに対抗して楽天も8月9日、雑誌の読み放題のサービスを始めました。月額38

0円で週刊誌や経済誌、それにファッション誌など200誌以上を読むことができる

ということです。

 

Amazonは電子書籍も含みますが゛、楽天は雑誌だけです。雑誌の読み放題サービスは

早くからドコモがサービスしています。以前にここでもご紹介しました。雑誌読み放

題サービスは他にいくつかあります。例えば、

dマガジン約160誌月額400円

タブホ約400誌月額500円

ブック放題約130誌月額500円

ひかりTVブック        約350誌月額400円

少しずつ内容が違いますから一概にどれがいいとは決められませんが、サービス比較

対象のサイトを下記におきましたので、興味ある方は見てください。

 

この価格で雑誌が読み放題ということになると、紙の雑誌はどうなるでしょうか。す

でに出版部数は激減しています。広告媒体として、紙のメディアと電子メディアの併

売が有利であればこのトレンドは雑誌に対する救いになるでしょうが、タブレットで

本を読むことに慣れてしまうと、紙のメディアをわざわざ買うということをしません

から、雑誌にとっては苦渋の選択です。

 

個人的な体験ですが、ドコモの雑誌読み放題を使ってみると実に便利です。例えば新

聞に出ている週刊誌の広告を見て興味をひかれる記事があれば、すぐその記事を読む

ことができます。電車の中の時間を有効に使うためには、タブレットで書籍や雑誌を

読むのは非常に便利です。ましてや旅行や出張のような場合にはタブレットがあれ

ば、移動時間も苦になりません。

 

日経新聞も、朝は紙の新聞で読みますが、タブレットで読むと自由に拡大ができて視

力が落ちた私はこの方が快適です。私のパートナーは、同じ日経新聞を、隣でiPadで

読んでいます。

 

電子書籍や新聞の電子版、雑誌の電子版は、ほんの2?3年前は近未来のような話でし

たが、あっという間に普及してきました。時代は本当に速いスピードで変わってきて

います。そして人々のライフスタイルを変え、社会を変えてきます。これに既存の企

業はついて行っていません。

 

銀河系の星雲のように巨大な広がりを持つネットの世界、その凄さを改めて見せつけ

たのがゲームの“ポケモンGO”です。私もサービス開始日に早速学生の指導を受け

ながらやってみましたが、すぐに1つ捕獲しました。単純なゲームですが、この爆発

的な流行でApple Storeの売り上げは数十億ドルと言われています。最初無料です

が、ポケモンを捕獲していくとボールがなくなりますから購入しなければなりませ

ん。 Appleは何もしなくても売り上げが立ちます。ただこのAppleもスマートフォン

の世界を中国メーカーに奪われていくでしょう。盛者必衰です。すでにアメリカの自

動車ビックスリーはこれを味わいました。

 

私の友人の山田太郎さんは参議院選挙で再選されませんでしたが、ネットやゲームの

無党派層から29万票も支持をもらいました。インターネットとスマホが凄まじい変革

というか破壊を進めていることを認識すべきです。

 

経団連に名前を連ねる大企業も、この巨大な津波に飲み込まれていく事を意識する必

要があります。自動車産業は最大のターゲットです。中国の百度(Baidu)は、アメリ

カで自動車自動運転の研究開発を始めました。

 

みなさんも電子書籍読み放題で“時代の風”を感じてみたらいかがですか。

 

日本でもKindle Unlimited、月額980円の定額読み放題サービスを開始

http://www.amazon.co.jp/gp/press/pr/20160803/

Amazonの電子書籍読み放題サービス「Kindle unlimited」のサービス詳細

http://www.kokoro-fire.com/entry/kindle-unlimited

楽天が電子書籍の読み放題サービス 競争激化

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160809/k10010628621000.html

電子雑誌約200誌が月額380円で読み放題の「楽天マガジン」提供開始、「記事まと

め」機能も装備

http://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/1014605.html

雑誌読み放題サービス比較してみた

https://techub.jp/125594

百度、自動運転車開発チームを米国に結成 100人超規模目指す

http://itpro.nikkeibp.co.jp/atcl/news/16/042501214/?rt=nocnt

今や世界のスマホの3分の1が中国メーカー

http://japanese.engadget.com/2016/07/04/mwc-2016/

 

◆俯瞰の書棚 “今なぜデザインか”◆

今回の紹介は「今なぜデザインか」エレン・ラプトン他3人 2012 英治出版 で

す。

この本はスミソニアン学術協会クーパーヒューイット国立デザイン博物館が2000年か

ら始めた、デザイントリエンナーレの第4弾2010 ナショナルデザイントリエンナーレ

が元になっています。この本は、現在起こっている数々のイノベーションのスナップ

ショットです。すなわち、すでに起こっている未来をこの本の中で見ることができま

す。そしてデザインがイノベーションを生み出す力を秘めていることを示していま

す。

 

既に起きている未来を知る事は、ビジネスはもとより人生の選択にも重要です。

この本は、エネルギー、モビリティ、コミュニティ、マテリアル、豊かさ、健康、コ

ミュニケーション、シンプリシティの八章から構成されています。

 

まずエネルギーの章では、海の波力発電のプロジェクトに興味をひかれました。再生

エネルギーの中で未だ実用化していない技術です。そして日本は周囲を海で囲まれて

いて、 無限の可能性を持っています。この章を読んでいくと電気自動車の時代が来

ることが実感できます。

 

モビリティの章では、「化石燃料による移動が急速に増えていることが問題だが、石

油が枯渇しかけているのではなく、二酸化炭素を大気に排出する余地がなくなりかけ

ている」と明快です。そして多様な移動手段を提供する必要のあることを説いていま

す。

 

道路に多数の充電ステーションを展開するというプロジェクトは、すでに実際に進ん

でいます。アメリカの場合でも、日々の移動は64キロ以内なので、この間隔を考え

て、充電ステーションを展開することを提案しています。そして 2015年までに、1万

台の充電ステーションを導入するプロジェクトをアムステルダム市が推進していまし

た。むろんアメリカでもカルフォルニアを中心に進んでいます。

 

確実に電気自動車の時代になりつつあることが認識できます。 MITのオンデマンドの

共用自動車のプロジェクトも近未来を示しています。ただこの電気自動車へのシフ

ト、そしてシェアリングは自動車産業に重大なインパクト与えます。これを想定して

企業戦略や人生設計を、いま考える必要があります。ただ自動車産業に代わるような

巨大な産業は、今は全く見えません。

 

コミュニティの章では、環境に配慮した建築のプロジェクトがいくつか紹介されてい

ます。その中で興味を惹かれたプロジェクトは、コロンビアのメデリン市の「最も美

しい建物を、最も貧しい場所に」というプロジェクトです。もっとも絶望的で危険な

地区の中に大規模な公共の建物、公園をつくりました。街の中心部には図書館、学

校、博物館、託児施設、職業安定所、融資相談などの公共サービスの拠点がありま

す。街は一変しているようです。

もう一つは、ロサンゼルスの中心のホームレスの高齢者・障害者の終の家となるア

パートメントです。都市の中心部に弱者が住めるようにすることは都市にとって重要

だと思います。

 

マテリアルの章では、鉛や錫、銅などの資源は近い将来に枯渇すると言われていま

す。そして環境問題から、製造時のエネルギーすなわち化石燃料の必要が少ない、持

続可能な素材が求められています。従って「 リディース、リユース、リサイクル」

が重要となります。

問題となっているプラスチック製容器に代わる、植物から作られる容器、生物分解性

の包装素材が紹介されていますが、興味を引かれたのは二酸化炭素をコンクリートに

閉じ込めるというプロジェクトです。もしこれが実用化されると、二酸化炭素排出問

題と火力発電が救われます。

 

豊かさの章では、貧困対策のいくつかのプロジェクトが紹介されていますが、興味を

引かれたのはノキアが行っている、スラムの住民のアイディアを生かす“ノキア・

オープンスタジオ”です。「人々の本当の生の声を企業に」とありますが、ノキアと

いう企業の経営理念の高い水準を感じさせます。この辺は日本の企業がこれから取り

入れていかなければならない近未来です。

 

健康の章では、いろいろなプロジェクトが紹介されていますが、ホンダの、中腰の仕

事をサポートするロボットが紹介されています。写真を見ると中腰での作業をこれで

支援しているようです。これは既に実用化された新しいロボットですが、中腰の作業

は多いので、もっと広く普及していくでしょう。

 

Webとビックデータを込み合せたヘルスマップは実用化されています。これはほぼ

リアルタイムで世界で病気を監視・視覚化するシステムです。ニュースやブログ、医

療のwebサイトのデータをもとに世界の各地でどんな病気が起きているかを無料で公

開しています。 Googleマップの上にデータは表示されています。旅行先や海外法人

の社員の健康を管理するのに有効なツールですね。

 

コミュニケーションの章では、 iPhoneとKindleが取りあげられています。確かにす

でに社会を変えたコミュニケーションツールです。

 

まだ十分評価していませんが、統計情報を分かり易く伝えるワールドマッパーも興味

を惹かれました。数値データを図解する(Infographic)ことは、コミュニケーショ

ンとして優れています。

 

シンプリシティの章では、“デザイナーは「ユニークで高価」か「平凡で安価」な製

品ではなく「豊かで低コスト、賢い低価格」の実現を目指している”とあります。

これもこれからのマーケティングにヒントをくれます。無印良品のベッドが取り上げ

られています。無印良品は成功した日本のビジネスモデルですが、その秘密はシンプ

リシティにあるわけです。もう一つ、日本のWASARAの、使い捨てでも美しい紙の食器

が紹介されています。現在の紙の食器は使い捨てということでデザインが貧弱です。

使いやすい、美しい、自然分解するという紙の食器です。日本文化の源流である「無

常の美」を具現化したとされています。探して入手してみたいと思います。

 

以上興味を惹かれたプロジェクトをご紹介しましたが、冒頭で書いたように、すでに

起きている未来をこの本で見ることができます。難しい理屈はないので楽しく読めま

す。原著は2010年の発行ですから、すでに実用化しているものもあるでしょう。夏休

みにパラパラとお読みになったらいかがでしょう。近未来を知ることはいろいろな意

思決定に必須ではないでしょうか。

 

◆編集後記◆

● 生前退位ぜひ実現したいですね。

● 企業経営者も。トラブルでやむなく退陣とは晩節を汚して見苦しいですね。独裁

の結果、周囲から忠臣が消えているでしょう。

● 小池百合子知事、公約の結果を出してください。よもや金のトラブルはないと思

いまますが。

● アメリカ、ヨーロッパの力が弱まると国際情勢は流動化し、資本はリスクを嫌っ

て積極的な投資を控えますので経済は成長できません。

● 中国はフェーズ2に軟着陸する苦しみの中にいるでしょう。これに権力争いが加

わると想定外の事態もあり得ます。

● 関東地域の大地震が無いように祈っています。

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◆内容・記事に関するご意見・お問い合わせ/配信解除・メールアドレス変更は下記

までwebmaster@fukan.jp

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◆俯瞰MAIL 0060号(2016年8月12日)

発行元:     一般社団法人 俯瞰工学研究所

発行人:   松島克守

編集長:   松島克守

URL:      http://fukan.jp

 

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俯瞰メール59号

◆時候のご挨拶◆

利根川水系の水源地のダムは干上がり気味で節水制限、そして九州は度々記録的な豪雨です。やっと台風1号が発生しましたが、今年は台風発生が少ないとなると、地球規模の気候変動が気になりますね。そして、この夏は記録的な猛暑という予報です。熱中症には注意ですね。

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● 英国のEU離脱という激震

● 俯瞰的にもう少し分析を

● そして日本の現状と変化を今一度考える

● 俯瞰サロン ブロックチェーンの応用可能性

● 俯瞰のクッキング “ふるさと納税をやってみました”

● ニューウェーブの俯瞰

● 俯瞰の書棚 「色のちから」ジャン・ガブリエル・コース

● 編集後記

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◆英国のEU離脱という激震◆

想定外の英国のEU離脱の国民投票の結果は、世界に激震を与えました。歴史の転換点になるという見方が支配的です。事前の報道を整理すれば。

 

“米国やカナダ、オーストラリア、ニュージーランドを含む多くの優れた民主主義国のように、われわれはEUの外でより裕福で安全になれ、ようやく自らの運命を決められる自由を手に入れる。残留すれば、英国はわずか数年後には、拡大するドイツ支配の連邦国家に容赦なく呑み込まれるだろう”と感情論を展開した「大衆紙サン」。

 

一方エリートが愛読する高級紙は、

“庶民がブレグジット賛成で、エリート層が反対である。だが、新自由主義的な経済政策をとったまま本当にブレグジットが実現したら、庶民の抱える問題はむしろ悪化するだろう”英紙「インディペンデント」。

“仮に英国民がEU離脱を選んだ場合、キャメロン首相は辞任し、スコットランドの独立派が勢いづき、連合王国の存在事態が危ぶまれることになる”英誌「エコノミスト」。

“ブレグジットに賛同する人々はロシアのプロパガンダに踊らされているのだ。近年、ロシアは英国に限らず、反EUを掲げる欧州の極右勢力を積極的に支援してきた。いまこそ西側諸国はプーチンの思惑に対して反撃するべきだ。” 英紙「タイムズ」。

“本当にブレグジットが実現したらどうなるのか。100人を超えるエコノミストに取材した結果、「中期的には悪影響」と見る人が75%を超えた。「プラスだ」と考える人はわずか8%だった”英紙「フィナンシャル・タイムズ」。

“ブレグジットで最も痛手を負うのはEUの中核たるドイツだろう。EUは英国を失うことで、「欧州第2位の経済大国」「国連安全保障理事会常任理事国」「核兵器保有国」「長年にわたり米国と欧州の仲介役を務めてきた国」をまとめて失うことになる”米紙「ワシントン・ポスト」。

“ゴールドマン・サックスなどの投資銀行が「負け組」になる”米紙「ウォール・ストリート・ジャーナル」。

“落ち着いて考えてみよう、不安要素が多すぎるブレグジットを前にすれば、英国民は現状維持を選ぶだろう、と考えられるからだ”とやや楽観的なフランス紙「ル・モンド」。

 

いずれも、エリートが上から目線で他人事のように解説しているような記事です。また、このような高級紙を読んでいる人は実利的判断で残留でしょうが、高級紙ではなく大衆紙を読んでいる人達は、感情的にEU官僚の理想主義に嫌気がさして離脱を求めたのでしょう。日経新聞の記事にあるようにグローバル化で得るものなく、多くを失って疲弊した地方は昔に還った方がほうがいいという感傷で離脱を選んだのでしょう。本当のエリートであれば、この感傷を受け止める能力が必要です。“ノブレス・オブリージュ(noblesse oblige)”の国だったはずです。

 

“地方経済は疲弊している。英国の2015年の成長率は2%強だったが、地方では成長の実感は乏しく、海外から資金や技能の高い人材が集まり繁栄するロンドンとの差は開くばかり。調査会社ユーガブによると、都市部では残留派が多数なのに対し、離脱派は脱工業化に失敗したイングランド北部や東部の地方に広がり、50歳以上の白人男性で労働者層が目立つという。「日経新聞小滝麻理子」は高級紙と違い緊張感ある記事ですね。

 

結果は大方の予想を裏切り離脱派が僅差で勝利しました。この結果に、離脱賛成に投票した人も後悔した人が多いようです。何よりも離脱をリードしたボリス・ジョンソン氏の当惑した顔が印象的でした。

 

想定外に離脱派は勝ってしまいましたが、その理由としてエリートが上から目線で経済危機の警告をしたことはかえって裏目に出たともいわれています。またEUへの拠出金がなくなれば、その3億5000万ポンドが国民の健康サービスに使えるという、まやかしの公約が効いたと同時に、移民問題をことさら強調することで、移民が仕事を奪っているという感情を煽り、イギリス人があまりやりたがらない農業や介護のようなサービス業が移民で成り立っているということは伏せて、経済構造をきちっと理解していない大衆を離脱に追い立てました。

 

何よりもエリートと言われるキャメロン首相の“バカな博打” 、首相の座をなんとか取りたいボリス・ジョンソン氏とマイケル・ゴーブ氏の利己主義による声高のキャンペーン、そして古きイギリスという幻想にかられた高齢者、などが理由として語られています。「戦後のベビーブーム世代の判断ミスによって金融危機が引き起こされ、多くの若者が国境を越えると信じてきた未来は奪われてしまった」(米紙ワシントン・ポストのサイトへの投稿)という認識も同感できます。

 

離脱に投票した英国人を責める事はできませんね。もともとイギリスと大陸諸国は文化や価値観がかなり異質です。ですからエリート層でも英国離脱を主張している人もいます。

 

次の意見も的を得ていると思います。“「残留派=理性的かつ現実的な知識層」で、「離脱派=不寛容で感情的な無教養層」と決め付ける論調がある。果たして、そうだろうか。EU加盟国間の歴然たる経済格差や、人種問題、国民性、宗教対立など、現実に存在する問題を無視あるいは軽視して、加盟国の拡大を続け、理想を無理やり押し付けた。”(ケント・ギルバート)

 

それにしても離脱を声高に叫んでいたボリス・ジョンソン氏と英国独立党のファラージ党首は負担金の予算が浮くと主張しましたが、このスローガンは「離脱派の過ちだった」とはあまりにも無責任です。ですから、離脱派は偽りのキャンペーンで大衆を煽ったと言われても仕方ありません。

 

しかし金融市場は様々な思惑で大混乱です。なにしろ先が見えませんから疑心暗鬼で大量に資金が動きます。ロンドンのシティーの金融業が縮小するかもしれないと言ってロンドンの不動産ファンドが売られています。簡単には現金化できませんから、その影響で不動産価格も下がるかもしれません。

 

相対的に安全資産として円が買われ、急ピッチで円高が進んでいますがこれも、この後どうなるか分かりません。

今は何もしない、これが大勢でしょう。

 

「英国のEU離脱問題」各国メディアはこう報じた

http://courrier.jp/news/archives/50083/

英国:離脱派が調査でリード、大衆紙サンも支持?週末にオッズ逆転か

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160614-58676759-bloom_st-bus_all

オバマ米大統領、世界経済への影響を懸念

http://wedge.ismedia.jp/articles/-/7188

キャメロン英首相 EU離脱派の主張は「事実と異なる」

http://www.bbc.com/japanese/36573374

EU離脱・残留両派 討論会で激しいやり取り

http://www.bbc.com/japanese/36593835

若者が高齢層に怒り心頭「ベビーブーム世代の判断ミスだ」

http://www.sankei.com/world/news/160626/wor1606260036-n1.html

離脱派が勝った8つの理由

http://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-36628343

離脱派に広がる「後悔」「Regrexit」の造語も登場 軽い気持ちで投票

http://www.sankei.com/world/news/160628/wor1606280056-n1.html

英離脱の国民投票「ひどい失敗」 FRBのグリーンスパン元議長

http://this.kiji.is/120343509564769789

EU側からみた英国離脱の衝撃

http://www.huffingtonpost.jp/michito-tsuruoka/analyze-brexit-from-viewpoint-of-eu_b_10710552.html

事前交渉を拒否、27カ国首脳会議 団結確認

http://www.sankei.com/world/news/160629/wor1606290045-n1.html

EU離脱、バラ色のはずが…旗振り役が「公約」を反故

http://digital.asahi.com/articles/ASJ6W5D0VJ6WUHBI026.html?_requesturl=articles%2FASJ6W5D0VJ6WUHBI026.html&rm=529

ジョンソン前ロンドン市長、英首相レース離脱?党首選出馬せず

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-06-30/O9L38H6TTDSE01

 

◆俯瞰的にもう少し分析を◆

もう少し結果の詳細を見ると、45歳以上の世代では離脱が多数を占め、それ以下では残留が多数でした。 18歳から24歳では離脱派はわずか27%ですが、 65歳以上では60%を上回っています。この45歳という年齢の人は、1993年のEU発足時に22歳です。ですからEU加入前のイギリスを知っているという見方もできます。これ以降の年代は古き良きイギリスに郷愁はなく、イギリス人ではなくヨーロッパ人として生きてきた現在に肯定的であるのかもしれません。

 

そもそもEUの前身はECです。 20世紀に2度の大戦を引き起こしたドイツ、そしてこれと戦ったフランスが、二度と戦争しないという不戦の誓いから、フランス、西ドイツ(現ドイツ)、イタリア、ベルギー、オランダ、ルクセンブルクの6カ国が欧州石炭鉄鋼共同体(ECSC)を1952年に設立しました。戦後間もないヨーロッパの復興には鉄鋼と石炭というエネルギーが重要だったのでしょう。そして1967年に欧州共同体ECが誕生しました。イギリスは1973年にデンマーク、アイルランドと一緒にECに加盟しています。 1989年にベルリンの壁が崩壊して東西冷戦が終結し、ヨーロッパは統合に向かっていきます。 1993年にマーストリヒト条約(欧州連合条約)が調印されEUが発足しました。そして1999年欧州単一通貨のユーロが導入されます。その後旧共産圏を含む10カ国(ポーランド、チェコ、スロバキア、ハンガリー、スロベニア、エストニア、リトアニア、ラトビア、マルタ、キプロス)が一挙にEUに加盟して、現在38の主権国家の複合体になりました。

 

EUの官僚も肥大化して約3万人と言われています。分担金の割合で行けばドイツ人とフランス人が多数を占めているでしょう。出発点は不戦の誓いですが、ここまでくると異なる価値観と文化を有する国家の複合体になっていますから、 一つヨーロッパという理想を追求して行けば行くほど内部に矛盾が生じてきます。加えて英国は“不戦の誓い”ではなく、実利を求めてEUに加盟したわけです。さらにイギリスのエリートから見るとブラッセルやベルリンの“若造”の指図を受けたくたくないという感情もあるでしょう。

 

確かにドイツ流の細かい規制は英国人の気性に合わないでしょうし、フランスやイタリアのラテン系にも合わないでしょう。しかし今現在、EUの意思決定は実質的にベルリンで決まっています。英国のEU離脱を受けてメルケル首相はフランスのオランド大統領とイタリアのレンツィ首相をベルリンに招いて、独仏伊が首脳会議を開催し、英国の離脱通告まで交渉拒否 の声明を出しています。「もういい加減にしてくれ」、「出て行くのであれば早く出て行って欲しい」、「出て行くのであれば早く出て行って欲しい」ということです。他の加盟国はその決定に従うだけの存在ですから、一つヨーロッパではありません。

 

ただ英国のEU離脱によってEUの結束が緩み、力が弱まると国際間の力の均衡が変化します。まずウクライナ問題で経済制裁を受けているロシアは経済制裁が緩むという期待が生まれるでしょう。ドイツは歴史的に、また地政学的にロシアと関係が深く経済制裁に関しても柔軟に対応する姿勢を見せていました。英国は米国とともに強硬な経済制裁を主張していましたから、ウクライナ問題については、ある種の政治的な妥協が生まれる可能性があります。もしこれが実現すると、日本の北方領土問題も動く可能性があります。ロシアの経済制裁の中でロシアに経済的な支援を行う形で北方領土問題を処理するわけにはいきませんから。

 

EUの弱体化は中国にとっても悪い話ではありません。AIIBではアメリカの予想を裏切ってまっさきに英国は参加を決めました。そして習近平の英国訪問で大型の経済交流を決めています。英国ではEUという市場から離れれば、さらに英が中国に経済依存するのではないかと言われています。ドイツもメルケル首相が9回も中国を訪問しているように中国に深入りしています。ただドイツのメルケル首相は、最近はやや中国から距離を置く言動です。前回の中国訪問でははっきりと中国覇権主義を批判しています。ともかくEU、そしてNATOという欧州の安全保障も微妙に変化するのではないでしょうか。

 

トルコのEU加盟は長年の懸案ですが、これも今回の国民投票で離脱派が移民が増えるということで反対をしていましたが、ドイツとトルコの関係も微妙で、移民問題を含め波乱が予想されます。

 

長々とECとEUについて書いてきましたが、今回の英国のEU離脱は単に英国の感情に溺れた国民の過ちではなく、 EUというヨーロッパの体制の矛盾が顕在化し、大きなEUの改革につながっていくのではないでしょうか。誰もこのあとのことはわかりません。それにしても離脱を声高に叫んでいたボリス・ジョンソン氏と英国独立党のファラージ党首は無責任なエリートの本性を出しました。天下国家を声高に論じる人は要注意です。

 

以上は英国EU離脱を受けて、改めて俯瞰的な理解をしたいと思って情報を集め整理した、私個人の勉強のまとめです。多くの情報の中から丁寧に拾ったつもりです。引用したURLも意識して時間軸に沿って紹介してあります。これを読んでいくと俯瞰的な認識を得られるのではないでしょうか。自分なりの俯瞰的な認識を持つことは重要ですから。

 

蛇足ですが、この記事を書いていく中で気付いた事は、主役のキャメロン首相、ボリス・ジョンソン氏とマイケル・ゴーブ氏は、ともにオックスフォード大学で学んでいます。キャメロンとジョンソンは裕福な家庭に生まれイートン校の出身でもあります。そして、あの無謀な戦争を始めたブレア元首相もオックスフォード大学の出身です。俯瞰的に見ればエリートの驕りと、暴走に対する国民の反乱と認識してもいいかなと思いました。

 

ちなみに、次期首相に決まった、テリーザ・メイ内相もオックスフォード大学出身です。

 

国の国民投票とEUの根本的問題 短期間に無茶をやり過ぎた欧州委員会

http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20160702/dms1607021000003-n1.htm

習近平が英国EU離脱を「歴史的好機」とほくそ笑んでいる

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/49025

ロシアへの波及警戒=制裁緩和に期待も?プーチン政権

http://news.livedoor.com/article/detail/11683237/

【年表】イギリスがEUを離脱するまで(1952-2016)

http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2016/06/eu1952-2016.php

GDP by Country, 1980-2015 - noema.com

http://jp.knoema.com/tbocwag/gdp-by-country-1980-2015?country=United%20Kingdom

英国で260万語のイラク戦争検証報告書、発表へ

http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2016/07/post-5415.php

ブッシュとブレアのイラク戦争に遅すぎた審判

http://www.newsweekjapan.jp/kimura/2016/07/post-14.php

 

◆そして日本の現状と変化を今一度考える◆

この際、日本の現状も気になりますから、幾つかの視点で考えてみます。

生産年齢人口の減少は言われて久しいですが、就業者全体に占める女性と高齢者の割合が5割を超えたとは驚きました。日本の変曲点でしょう。

 

“総務省が29日公表した2015年国勢調査の抽出速報集計で、就業者全体に占める女性と65歳以上の高齢者の割合が初めて5割を超えたことが分かった。少子高齢化のあおりで労働力人口は6075万人と前回の10年調査と比べ295万人減少し、6千万人割れが目前に迫る。増加する介護・福祉分野などの人手不足を補うため女性とシニア層が働き手として存在感を高めている。”「日経新聞2016/6/29」

 

一方、 OECDの調査によると1991年に9位だった日本の賃金は、2014年にはなんと19位に転落しています。そして1991年上位20カ国の中で、 25年後に賃金が下がったのは日本だけだということです。まさにバブル以降失われた25年です。一部の富裕層をのぞけば、国民の誰もがアベノミクスの恩恵を受けていると感じていないでしょう。

 

そして現在40歳で年収800万円の人が受け取る年金が月額約18万円とは驚きました。これでは暮らしていけません。ですからシニアの就業者が増えるのは当然です。むろん仕事があって働く事は、肉体的にも精神的にもいいことだと思いますが。しかし70歳を過ぎてくると体にいろいろな不調が出ますから仕事も辛くなります。

 

そして2020年には日本人の平均年齢は50歳となり、 65歳以上の高齢者の中で75歳以上が半数以上となります。壮絶なシニア社会、そして暮らしていけない年金です。さらに日銀総裁が追求しているインフレ2%の話を掛け合わせると、これから高齢者の生活保護世帯が増えると同時に、悪くすると、たぶん老人の自殺が増えるのではないでしょうか。

 

英国のEU離脱の結果で気になった事は、 45歳以上の世代では離脱が多数を占め、それ以下では残留が多数でした。 18歳から24歳では離脱派はわずか27%ですが、 65歳以上では60%を上回っています。いわゆるシニア民主主義の問題です。

 

安倍内閣は1100万人もの高齢者に一律3万円もの給付金を配り、子供1人あたり3千円の子育て給付金を打ち切る政策を行いました。明らかな参議院選挙を意識したシニア民主主義の取り込みです。日本の将来を真摯に考えているとは思えません。

 

今の安倍政権に対して国民が期待するのは憲法改正や安保法制ではなく、持続可能な日本社会のフレームワークを構築することではないでしょうか。しかし考えれば考えるほど極めて困難な課題です。

 

最後に、日本社会は基層に誇るべき精神文化があると再認識させられたことがあります。北海道ですが、本来廃止する事になっていた無人駅を、その駅を利用していた、たった1人の女子高校生のために 3月の卒業までその運用を続けて、廃止したという記事です。ネット上では中国で大きな反響があり、「日本は本当に学ぶところの多い国だ」、「日本人の精神を学ぶべき」、「日本に対しては好感が持てる」と言った書き込みがあったとのことです。こういうところから将来の日中関係が現在と全く違う状態になってくれるといいと思います。こんなニュースを中国語に翻訳して配信している人は素晴らしい民間外交大使ですね。

 

働く人、過半は女性とシニア 15年国勢調査

http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS29H5B_Z20C16A6MM8000/?n_cid=NMAIL001

先進国の1991年と2014年の賃金ランキング

http://president.jp/articles/-/18338?page=3

40歳のあの人は年金を一体いくらもらえるか

http://toyokeizai.net/articles/-/121989

生活保護の高齢世帯5割、50年で6倍に

http://www.yomiuri.co.jp/national/20160601-OYT1T50087.html

軽減税率導入、高齢者に給付金3万円

http://www.nippon.com/ja/genre/politics/l00145/

たった一人の女子高生のために卒後まで営業を続けた駅

http://sp.recordchina.co.jp/newsinfo.php?id=126644

 

◆俯瞰サロン◆

※すでに定員に達してしまい、申込み受付を締切っています。

キャンセルなどの状況により、受付を開始する可能性もありますので、

お手数ですが、ホームページをご覧くださいhttp://www.fukan.jp/俯瞰サロン/

第33回俯瞰サロン 2016年7月25日(月)

「ブロックチェーンの応用可能性・不可能性と新たな社会基盤」

日 時: 7月25日(月)18:30-20:00 (18:15 受付開始)

場 所: 俯瞰工学研究所

     東京都港区港南2丁目14番14号

     品川インターシティフロントビル 6階

     http://www.sicity.co.jp/front/access/

参加費: 1,000円

定員 : 40名程度(定員に達した時点で受付終了します)

懇親会: 講演終了後に懇親会を開催します。

     参加費用は3,000円程度。

【講師★斉藤賢爾さんご紹介】

慶應義塾大学 SFC 研究所 上席所員 / 株式会社ブロックチェーンハブ CSO

1993年 コーネル大学よりM.Eng取得(CS)

2006年 慶應義塾大学より博士号取得(政策・メディア)

2007年度?期 IPA 未踏ソフトウェア スーパークリエータ/天才プログラマ

「Development and Application of Global Operating System Shell((地球規模オペレーティングシステム外殻の開発と応用)」

 

この話は今聴くべき話です。ブロックチェーンは国際決済の通貨になる可能性がありますから。

 

◆俯瞰のクッキング “ふるさと納税をやってみました” ◆

以前から興味があってやっていなかったことに、ふるさと納税があります。ふるさと納税は私の理解では2,000円を超える寄付金額については、主として住民税から全額が控除されます。ただし上限が住民税の2割までです。暗算しやすいので、住民税が年額100万円の人を仮定すると、20万円までとなります。そこまで払っていない人が多いと思いますが、月5,000円払っている人は年間60万円になりますから、 12万円まででしょうか。給与所得者は確定申告をしなくても、送られてくる書類を寄付先の自治体に送るだけで良いようです。そして寄付金の使用先も指定できます。以上はあくまでわたしの理解と認識です。

 

ネットで寄付金金額のランキングを見ると、第1位は宮崎県都留市の42億円です。お礼として送られてくる品は牛肉と焼酎その他です。次は静岡県の焼津市で38億円です。人気のお礼の品はうなぎです。 1万円で2匹のうなぎです。次は山形県天童市で32億円です。リンゴやラフランスなどの果物とお米が多いようです。次は鹿児島県大崎町です。

 

とにかくこのような市町村には巨額の財源が生まれているわけです。逆に地域の住民が他の市町村に寄付する金額が、他から貰う寄付金額よりも大きいと赤字になります。ですから地域間競争になっているのです。そのためお礼の品ものはかなり魅力的なものになっています。

 

一部には過大のお礼の品は好ましくないという意見がありますが、その分地元の産品が輸出されていますから、たとえ給付金の半分をお礼の品に使っても、地元の生産者にとっては、有力な通信販売となります。これは素晴らしいと思います。いくらいいものを作っても販売する力がなければ事業になりません。またあまり知られていない特産品を全国的にマーケティングすることにもなります。知事や議員が無駄に使うよりも東京都民の住民税を地方に移算することはもっとやっていいと思います。

 

早速、牛肉を選んでみました。大体1万円で500グラム程度でしょうか。ステーキ用、すき焼き用、焼肉用で違いますが。冷凍で送られてきますからそのまま冷凍庫に保管しました。ふだんは買わない霜降りのステーキを2口手に入れました。海産物では生きたサザエ、雲丹を選びました。お米はどこでもありますが、 1万円の寄付で15キロから10キログラムです。うちの場合、3万円くらい寄付するとお米を買う必要がなくなります。

 

ついつい夢中になってあれこれ寄付してしまいましたが、品が着いてみると保管の場所に困ります。先月のここでご案内した大型冷蔵庫の買い替えでなんとかなりました。

 

これからは少しずつ必要に応じて寄付をしようと思います。うまくやると2000円で殆ど食材が調達できそうな気がしてきましたが、勘違いかも。

 

2016年 ふるさと納税なんでもランキング

http://www.furusato-tax.jp/rank.html#about09

県内11市町村「赤字」 ふるさと納税

http://www.shinmai.co.jp/news/nagano/20160708/KT160707ATI090028000.php

 

◆ニューウェーブの俯瞰  ◆

人工知能の自動運転の車両が死亡事故を起こしました。電気自動車のテスラです。直前に割り込んだトラックにブレーキをかけずに追突して運転手は死亡です。自動運転に任せてハリーポッターのビデオを見ていたという報道もあります。もともと現在の自動運転は無人運転ではなく自動ブレーキや車線変更の自動化です。基本的にハンドルに手を置いているのが原則です。このテスラの自動運転は日本でもこの1月から導入されています。ただこれで自動運転が危ないとか、規制を強めるというような、後ろ向きな議論はしたくないですね。このほかにも死亡事故を起こしていますが、酒気帯び運転や脇見運転、居眠り運転で膨大な死亡者が出ていますが、自動運転の技術は劇的にこの数を減らすことができます。

 

私の車は自動ブレーキ、車線キープの機能があります。以前は高速道路でオートクルーズをよく使っていましたが、最近はオートクルーズを使わずにハンドルをしっかり握り自分と車の一体感をキープするようにしています。一体感が失われていると非常事態にうまく連携できないのではないかと考えていますので。

 

自動車がなくては生活ができない人は多くいます。そして自動車が運転できない人がいます。地域のモビリティは公共的なインフラと同時に、自動運転というイノベーションで解決していかなければなりません。

 

もう10年になったGoogleマップですが最近NASAの地球観測衛星「ランドサット8号」の利用によって精度が格段に向上しました。グーグルアースで自宅周辺を見ると本当に細かいところまで写っています。さすがに車種まではわかりませんが走行中、駐車中の車ははっきり見えます。また立木も一本一本見えます。自宅周辺を見てみませんか。

 

Amazonが電子書籍読み放題を始めるようです。月1,000円程度で電子書籍の読み放題です。すでに音楽の世界ではダウンロードして買うということから定額で聞き放題になっています。映画やTV番組もネットフレックスで定額見放題です。雑誌は以前この欄でご紹介しましたがドコモのdマガジンでほとんどの雑誌が、月額500円で見放題です。高速回線とスマートフォン、タッチパッドの普及であっという間に新しい時代になってしまいました。出版社やコンテンツ制作会社にとっては諸刃の剣ですが、ユーザーが新しいライフスタイルに移行するのに逆らうことはできません。特にこの分野はApple、 Amazon、 Googleという革命児が巨額の資金を持って社会的イノベーションを推進していますから、日本の企業が新しい世界に行くこと逡巡していると、企業の存続が危うくなります。私たちも新しい世界に積極的に入っていって自分自身の可能性を広げていきましょう。

 

人工知能誤判断?テスラ、自動運転中に死亡事故

http://www.yomiuri.co.jp/economy/20160701-OYT1T50060.html

グーグルマップが衝撃の高画質化。「新衛星」でこんなに綺麗に!

http://sorae.jp/030201/2016_06_28_map.html

アマゾン、電子書籍読み放題へ 月額1000円前後

http://digital.asahi.com/articles/DA3S12430583.html?rm=150

 

◆俯瞰の書棚◆

今回の紹介は「色のちから」ジャン・ガブリエル・コース CCC メディアハウス 2016です。

 

普段あまり意識しませんが、私たちは色に囲まれて暮らしています。この本は色の与える心理的かつ生理学的影響に関する最近の研究を紹介したものです。読んでもっと色彩を意識する必要があると思いました。

 

第一章 色を理解する、第二章 色の与える影響、第三章 色を選ぶ、という構成です。

冒頭にアルチュール・ランボーの詩があります。母音に色があるということです。Aは黒、Eは白、Iは赤、Uは緑、Oは青です。こんな詩があるとは知りませんでした。

 

のっけから色というものは存在しない、色は人が見ることによってのみ存在する、ということです。つまり光とは電磁波が放射された後に、透過したかもしくは反射されたものである、です。色は3つの要素によって特徴づけられます。その要素とは色相、明度、彩度です。色相とは特定の波長に反応するスペクトルの色(青、緑、黄色、赤、茶色など)です。 明度は白の割合です。そして彩度は灰色の割合です。

 

美術館の照明について面白い事が書いてあります。かつては画家は蝋燭の光だけで描いていた、つまり強いオレンジ色の光の中で色彩を作成していたのだ、その絵画を白色照明で展示しているので、結果として美術館ではとても青く見えるとのことです。初期のピカソは蝋燭の光で書いていたらしい、とすれば彼の青の時代とは作品を展示する照明が間違っているだけだ、とあります。

 

男女間では色の感じ方に差異があり、男性は女性よりも暖色は暖かく感じることが証明されています。最近の研究によるとテレビゲームをしている若者たちは灰色を背景としたコントラストと細部に対する感受性が発達し、夜に文字を読んだり運転したりする能力が高まるとありますが。

 

動植物については、犬は青と黄色以外はうまく識別できないので犬の食器は青か黄色がいい、とあります。

 

第二章では、赤は私たちの論理的な能力を低下させるとあります。さらに赤を数秒間見ただけで人間は臆病になるという結果です、知的な論証で結果を出したければ赤を避けるべきとのことです。赤の持つ影響力は後天的なものではなく先天的なものであるようです。また先生が採点や評価に赤ペンを使う代わりに緑を使えば、子供たちへの励ましになるとのことです。緑は創造力を伸ばす効果があるとも言われています。また緑は人を納得させる力もあるとのことです。

 

リラックスさせる効果がある色はピンクです。ピンクは血圧を下げ、脈拍を減らし、エネルギーを削ぎ、撃性を弱めるとあります。

 

学習意欲と生産性を高める色については、白と黒と茶は学習能力を下げるとのことです。そして黄緑とオレンジと空色は学習能力を高めるとのことです。人は赤い環境では集中力が高まり、青い環境では直感を使うようになるとの研究もあるそうです。

 

マーケティングでは色が非常に重要で、商品のパッケージの色、店内の装飾についてはかなり研究結果が採用されているようです。スーパーの陳列棚で目に留めてもらえるかどうかは80%が色で決まるといわれています。マクドナルド店内の赤と黄色のコントラストのある内装は長居をせずテーブルの回転率を上げるためとのことです。

 

一般的にはそして世界中で、青は誰にも好かれる色です。私たちの色の好みは先天的なものか後天的なものかという点についてイギリス研究者は実験で、2歳以上の子供は、女子は次第にピンクを、男子は次第に青を好むようになるとのことです。確かに私の男の孫は青い車を好んでいました。

 

また、好きな色が黒だという人は少ないのですが、コンピューターやカメラゲーム機などは、なぜか黒が多いですね。

 

色と光は近年では医療にも応用されているようです。特にメラトニンの調節には光が重要で質の良い睡眠や、爽やかな目覚めに適した光が研究されているようです。

 

第三章は色を選ぶ、ですが色の選択は文化によります。例えば喪の色は中国では白であり西欧では黒です。エチオピアでは茶色、エジプトでは黄色、イランでは青とのことです。衣服の色も国によっては階級で使い分けられています。

 

ある色があなたの人格に文化的な影響を与えるかを知りたいならば、「目を閉じてその色を思い描き、頭の中に浮かんだ物体や形容詞を数え上げると良いでしょう」とあります。

 

そして結びにありますが、「光と色は我々の行動に強い影響を及ぼす驚くべき存在である、そしてその影響は科学的に証明されているにも関らず、過小評価されている」とあります。ですから色の持つ力を認識し今後は意識的に色を選ぶべきだということです。

 

そして「最高のカラリストはあなたの脳の中にいること忘れてはいけません、そのカラリストは直感です」と。

 

本書を読んで改めて色の力とその応用に興味が湧きました。周りを回してみると全く色に関する自分の意図がないことに気がつきました。強いていうと服装でしょうか。ジャケット、ワイシャツ、青が多いです

 

◆編集後記◆

● 参議院選挙は与党の圧勝でした。早速憲法改正を持ち出していますが、中国との関係は緊張しますね。

● 英国のEU離脱は2年以上先ですが、その前から新体制に移行する必要がありますから世界経済は不安定になるのでしょう。

● オックスフォード大学の歴史と文化に興味が出ました。英国、中国、日本ともに政治家は世襲制ですね。

● ふるさと納税はともあれ大ヒットですね。首都圏一極集中の現在、ささやかでも所得移転ができれば、過疎の地域に対する支援になると思いますが。

● 色について膨大な科学的研究がされているとは思いませんでした。人生にもっと色をつけましょう。

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◆内容・記事に関するご意見・お問い合わせ/配信解除・メールアドレス変更は、下記まで。

webmaster@fukan.jp

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◆俯瞰MAIL 0059号(2016年7月12日)

発行元:     一般社団法人 俯瞰工学研究所

発行人:   松島克守

編集長:   松島克守

URL:      http://fukan.jp

 

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俯瞰メール58号

◆時候のご挨拶◆

水が入り、田植えが終わった田が広がっています。あとわずか4ヶ月ほどで穂が出て実りの秋になります。

今は機械で田植をするので、田植えの作業を見る事はほとんどありません。私は子供の頃、大勢の人が田んぼに入って田植えをしている風景を見ました。そして田植えが終わると、早苗饗(さなぶり)という宴会です。田植えを手伝ってくれた人に、お礼の宴会をするわけです。もうほとんどなくなったでしょうが、日本のムラの習俗でした。

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● G7の成果は何?

● オバマ大統領の広島訪問

● 消費税増税延期の判断は

● 七十にして則を超えず

● 今年も本郷で俯瞰経営塾

● ディープラーニングという狂想曲

● 俯瞰のクッキング 最近、我が家のキッチンでは

● ニューウェーブの俯瞰 AIコンシェルジュとVR

● 俯瞰の書棚 「通貨の未来 円・ドル・元」英「エコノミスト編集部」

● 編集後記

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◆G7の成果は何?◆

伊勢志摩サミットが無事に開催されましたが、国民は殆ど関心がなかったようです。そして何が成果でしょう。首脳宣言は優等生の作文です。しかし7カ国集まって何を世界に発信し、これからのどんな行動をコミットしたのでしょうか。現在の世界の懸念を最大公約数的にまとめただけで、具体的な解決に向けた行動が、何もコミットされていません。参加しなかった国々も白けるでしょう。もうG7という集団が世界を仕切る時代ではないのでしょう。世界が対峙している課題を、G7だけでは何一つ解決できないことが露呈しました。

安倍首相も張り切って議長国を務めましたが、結果は無残です。中国は、中国で行われるG20がG7にとって代わることになると主張するでしょう。しかしロシアと中国が入り、その他の新興国も加わるG20では、共通認識と行動で共有できる課題は限定的になりますから、国際情勢は依然不安定になります。

 

“現在の国際経済はリーマン前の状況と同じだ”誰があれを言わせたのでしょう。本人が思いこんでいるとなると深刻です。経済の俯瞰的認識ができていませんから。頭の中はアベノミクスの失敗を認めないで、増税再延期をどういう論理で言明するかでいっぱいだったのでしょう。3党合意、という重い政党間の約束がありますから。

 

海外ではアベノミクスは失敗という評価で固まっていますから、財政政策の必要性を外遊で根回ししても誰にも相手にしてもらえませんでした。残念ながら、政治家としての資質の水準がメルケル首相に比べてかなり落ちます。それでも国内では一強というのは、他の政治家も相当に水準が低いということですか。政治的には二流国で、経済的には“沈みゆく先進国”というイメージを伊勢志摩から世界に発信しました。

 

G7 伊勢志摩首脳宣言 http://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000160267.pdf

中国発「リーマンショック並み」世界経済危機の兆候

http://biz-journal.jp/2016/06/post_15313.html

 

◆オバマ大統領の広島訪問◆

オバマ大統領の広島訪問は、安倍政権の大きな成果として率直に評価したいと思います。政治的遺産を残したい、というオバマ大統領の思惑が大きく作用していますが、ケリー国務長官やケネディ大使、そしてニューヨークタイムズのようなメディアの後押しもありました。米国内の原爆賛成派からの批判というリスクを取って訪問したわけです。

 

ただ、広島での演説は迫力ありませんでしたし、原爆資料館も、わずか10分の見学に終わったと言われています。このオバマ大統領は、プラハで核の根絶を宣言し、それだけでノーベル平和賞をもらいましたが、実際は何の進展もなく、そして広島訪問です。

 

一昨年の2014年6月6日、第2次大戦中の1944年6月6日に、連合軍がナチス・ドイツの支配する仏北岸ノルマンディーに上陸したことを記念する式典が開かれました。ロシアのプーチン大統領、米国のオバマ大統領ら18カ国の首脳と3000人の退役軍人が出席しました。

 

下にあるURLのYouTubeを見れば分かりますが、音楽とダンスがある時止まり、その大きなスクリーンに原爆投下の映像が映し出されました。それに対する反応が気になります。一般参加者は拍手をしました。 3人の首脳の態度が話題になりました。プーチン大統領は胸で十字を切りました。メルケル首相は食い入るように映像を見ています。オバマ大統領はガムを噛みながら拍手をしています。

 

やはりオバマ大統領は政治家として未熟で、結果として何の成果もあげられずに任期を終わることになるでしょう。この大統領に世界の平和を預けざるを得なかった国際社会は不幸でした。そして、この大統領と日米関係を深化させるしかなかった日本も不幸です。

 

ただオバマ大統領の広島訪問で安倍内閣の支持率は上がり、意味不明な経済危機の認識を掲げて参議院議員選挙に突入します。

 

ノルマンディー上陸作戦70周年記念式典

http://jp.reuters.com/article/dday-anniversary-idJPL3N0OL4PZ20140605

広島訪問は猿芝居 オバマは“原爆投下”映像に拍手していた

http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/182490

2014,6,13ノルマンディー上陸作戦記念式典

https://www.youtube.com/watch?v=-EE4_220zzo

オバマ広島訪問で棚ぼた 安倍内閣支持率が2年ぶり高水準

http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/182426

 

◆消費税増税延期の判断は◆

そして与党内の反対を押しきって増税延期を宣言しました。安倍首相にとっても大きなストレスであったと思います。なにしろ民主党政権の最後、野田首相はある意味、政権を降りる覚悟で3党合意を取りつけて財政再建への道をつけた形にしました。そして安倍首相は一昨年の12月に、この次は必ず増税をしますと断言して増税延期を決断して、衆議院選挙行って絶対的な与党勢力を形成しました。

 

私は、短期的には延期でもいいと思いますが、アベノミクスが不調で、周囲の経済アドバイザーから増税延期を進言され、そのためにノーベル賞経済学者を呼んで賛否を助言してもらい、さらにG7サミットでサポートをもらおうとしましたが、そんな日本の国内政治に付き合う首脳はいませんから、見苦しい結果になりました。取り分け“現時点がリーマン前と同じ状況である”で、世界に経済音痴と無能ぶりをさらけだしましたね。

 

日本国のBSを作ったという理系の異端の大蔵官僚OBの、“日本の財政はBS的には、全く問題がない”という主張も効いているかもしれません。しかし、いざという時、現金化できない資産はキャッシュフローが破綻したとき意味ありません。例えば南海トラフ地震や、首都直下型地震の時、現金が要ります。BSではなくPLで、FCFで安全性を見るべきだと思います。赤字のPLを続ければ企業は破綻します。最近ではシャープがその例です。

 

ですからプイラマリーバランスを黒字にするという公約は重要ですが、これを今回反古にしています。そして、担当である財務省は全く蚊帳の外です。政治が正常に回っているのか、暴走しているのか、これが問題です。

 

現在の安倍首相は、“一強”という虚構に溺れているのではないかと思います。追求しているものが国民生活の安定と向上ではなく、憲法改正という、祖父から言われた宿題の遂行ではないかと、思わずにはいられません。そして顔が最近よくないですね。本人も悩みくるっているのでしょうか。

 

消費するお金を持っているのはシニアですが、多くの人が90歳近くまで生きている現実を見ていると、貯金が仮に5000万円あっても、年250万で20年ですから、誰もお金を使いません。安心できる福祉環境を作らないと。

 

若い人は、いっぱいいっぱいの生活で貯金もできず、年金も当てにできないので、車も買わないという生活になります。

 

最近のニュースによれば、65歳以上の高齢者生活保護世帯は、82万6656世帯なり、全体の50・8%を占めました。高齢者世帯が半数を超えたのは統計を取り始めた1965年以来、初めてとのことです。社会全体の高齢者世帯の割合は3割に満ないですから、高齢者の貧困が進んでいることが浮き彫りになりました。基礎年金しかない一人暮らし老人が増えているのでしょう。財政負担拡大の流れは止められません。

 

残念ながら、私の経済学の知識では増税の可否は判断できません。ただ、その経済学もバブル崩壊以降成果を上げていません。そして財政出動で1000兆円という国の借金が積み上がりました。

 

消費増税延期は断固正しい!そのメリットをどこよりも分かりやすく解説しよう

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/48779

高橋洋一氏「日本の借金1000兆円はやっぱりウソでした」論は本当か?

http://www.mag2.com/p/money/7051

高橋洋一よ、頼むから少しは経済を勉強してくれ!

http://agora-web.jp/archives/1660413.html

再延期の波紋(上)「戦力外通告」の財務省

http://www.iza.ne.jp/kiji/politics/news/160602/plt16060201120004-n1.html

生活保護の高齢世帯5割、50年で6倍に

http://www.yomiuri.co.jp/national/20160601-OYT1T50087.html

 

◆七十にして則を超えず◆

「三十にして立つ。四十にして迷わず。 五十にして天命を知る。 六十にして耳従う。 七十にして心の欲するところに従いて、則をこえず。」

 

舛添知事も少なくとも東大入試の受験勉強で、漢文の勉強をしたはずです。論語は必ず、少しは読んだはずですが、「則」を超えすぎていますね。

 

東京大学の助教授を務め、国会議員を務め、そして閣僚を務めたキャリアですが、こんな人格でこの華麗なキャリアを持てるとは、日本社会の構造の欠陥と弱さを感じます。

 

あまりにも人格的に酷いので、ニュースを見るたびに心が汚れる感じがします。「七十にして心の欲するところに従いて、則をこえず」は、孔子の心境であるとともに老境にある人々の安寧を説いているのでしょう。これは最高の処世訓です。私もこの一文を心しております。

[則] 標準として守るべき事。

 

◆ 今年も本郷で俯瞰経営塾◆

今年も東大の本郷で俯瞰経営塾のゼミをやっています。学生は主として技術経営学専攻の修士1年生ですが、数人の中国人留学生と東工大から数人の参加があります。加えてTAとして、昨年の受講生の修士2年生8名が、学生の指導を手伝ってくれます。

 

この授業の目的は知識の獲得ではなく“知的腕力をつける”ことです。具体的には「情報の収集と分析そして編集」を短時間に高い水準で遂行する能力です。毎週課題を出し、5人のチームで1週間作業し、議論し、プレゼンテーションを作成して、当日にプレゼンテーションします。たぶん前日は半分徹夜のチームが多いでしょう。

そして当日は午後1時から5時までぶっ続けです。居眠りをする学生は1人もいません。まず質問しないとポイントが取れません。質問するためには真剣に聞いていないとできません。そして授業の最後にどのチームがベストか挙手で投票します。 ゼロのチームもあります。10票以上のチームも出ます。ものすごく時間を取られる授業ですが、これは自主ゼミのため単位は付きません。

 

今年はまずマーケティングを2回、会計、企業価値の算定、 M&Aとこなしてきました。この先はリーダーシップ、人事管理、技術開発戦略、経営戦略論、ドラッカーの経営学が予定されています。夏学期の毎週木曜日の13時から工学部3号館3階でやっていますから、授業参観をご希望の方はご連絡ください。

 

◆ ディープラーニングという狂想曲◆

機械学習、とりわけディープラーニングという言葉が大ブレイクです。“人工知能の発達で仕事がなくなる”、とか“暴走して人間の手に負えなくなる”という話がセンセーショナルに語られています。現在の技術水準は、分野においてはすでに人間を超える能力を証明しています。最近の衝撃的な事件は、今後10年かかるだろうと言われていた囲碁で世界名人を下し、人間以上の能力があることを示しました。

 

数多く紹介されているように、企業における応用もどんどん進んでいます。特に音声認識と音声合成というインターフェースを使ったコンシェルジュ型のサービスは、急速に広がっています。AmazonのAlexaはアメリカで大ブレイクしています。これをGoogle、Appleが追いかけています。機械学習を用いた画像の自動認識はGoogleが無料で提供しています。

どうやら現段階ではGoogleが機械学習の先頭を行っているように見えます。

 

Googleでは機械学習専用の半導体の開発も進んでいます。これも“コロンブスの卵”というか、イノベーションです。これまでコンピュータは計算の精度を上げるために16 bit、 32 bit、 64 bit、 128 bitと、長いデータを処理できるようにして速度を上げてきました。しかし機械学習ではそんな長いデータは必要なく12 bitでも十分であるとのことが分かり、したがってもっと簡単な半導体で低コストのシステムになります。競合各社もこのイノベーションを使って高度な機械学習のサービスを市場に投入すると予測されています。

 

では、人工知能で仕事がなくなるのか。囲碁の例を見ると、質の良いデータが大量にある特定の分野に限定した知的サービスは人間を超えることになるでしょう。例えば、弁護士事務所、特許事務所、投資顧問業、経営コンサルティング、そして医療診断などです。

いずれも質の良い膨大なデータが有りますから、このディープラーニングの応用は急速にサービスの現場に入ってくると思います。と言って、弁護士や弁理士、投資アドバイザー、経営コンサルタント、医師や看護師、薬剤師が職を失うという事はなく、仕事の質を向上させ、不用意なミスを避けることになるわけです。そして中途半端な専門知識では仕事がなくなりますが、俯瞰的な認識能力や、顧客の心理的な理解のような高度なスキルを持つ専門家は生き残ります。

 

対面のサービスは人間が重要ですが、機械学習による画像認識は人間の表情を読み取り、顧客の心理的な状態をも判断するようになるでしょう。

 

教育の分野でも極めて優れた個人教授が実現すると思いますが、教育は知識の獲得だけではなく教師と学生、学生と学生、という人間の交流で人格を磨き、倫理観を形成していくことが本質ですから、教員がなくなる事はありません。

 

最近日本政府は慌てて人工知能の研究と人材育成の体制を作り上げましたが、あまりにも遅すぎます。もともと人工知能には3つのブームがあり、最初はスタンフォード大学のMYCINに代表されるような知識を簡単なルールとして多数用意し、それによって診断を下すというシステムが数多く提案されました。これも限定的で波は消えました。

 

 2回目は、ニューラルネットワークという技術が開発されブームになりましたが、これも限界があり下火なりました。この時、日本政府が「第5世代コンピュータ」というプロジェクトを起こしました。成果は不明ですが、 極めて野心的なプロジェクトでした。が、この波も消えました。

 

しかし、粘り強く研究は続けられ、そしてカナダの大学が、ディープラーニングの驚異的な能力を見せつけたために、今回のブームに火が付き、 大きな期待というか、想像力で今や狂想曲の状態です。メディアや一部の専門家と称する人は、今、ビジネスとして実用化出来るコトと10年先の話をまぜこぜで話しています。ディープラーニングも研究途上で人間の脳に代わるものではありません。現段階では出来るコトは限られています。

仕事がなくなるというようなセンセーショナルな記事に惑わされてはいけませんが、その可能性を受けて、一段上の人間に進化する努力をしましょう。俯瞰的な視野と、倫理感の向上です。書を読み、質の高い人と積極的に交わる場に参画することです。

 

人工知能の技術革新で大きな衝撃を受けると予想されているのが自動車産業です。自動車産業は、いくつもの重大なイノベーションのジレンマを抱えています。まず環境問題から排気ガスです。従って、ガソリンエンジン、ディーゼルエンジンから、電気自動車へと大きく変化しています。ノルウィーは産油国ですが、2025年までに、ガソリン車、そしてディーゼル車の販売を「完全に禁止」することを、与野党間で合意したとのことです。

 

電気自動車には、ラジエーターからエンジン、変速機、ディファレンシャルギヤ、マフラー等の、付加価値の高い機械モジュールがありません。自動車部品産業は深刻な衝撃を受けます。

 

トヨタ自動車も、“2050年にはガソリン車はない”と言明していますが、あまりにも燃料電池車の開発に夢中になり、時間を使ってしまい、人工知能の研究開発に大きな遅れをとって、今、慌てて人材を集めています。しかし世界から見ると、2周遅れくらいでしょう。自動車産業は機械工業から情報サービス産業、そして化学産業になります。

 

加えて自動車業界では、“所有から利用”というパラダイムシフトが進行しています。カーシェアリングはどんどん普及しています。

 

アメリカのUberのビジネスモデルが衝撃です。 自動車を所有する人が、利用していない時間に、その車を低料金のタクシーとして使います。スマートフォンでいつでも呼ぶことができますから、車を持つ必要性もなくなります。アメリカでは相当に普及しているようですが、日本は規制をかけて利用できません。白タク禁止です。

 

将来、自動運転の車が、広くカーシェアリングとして提供されるようになれば、 一部のマニア以外は車は所有する必要がありません。長期的に見ると先進国では車の販売台数は増える事はなく減少していくと考えられます。

 

日本の自動車業界は、擦り合わせ、モノづくりという視点で従来の延長線上を追いかけてきましたが、電気自動車には、その擦り合わせをする機械モジュールがありません。

 

一方、人工知能の技術や、GoogleのStreet Viewという“横の地図情報”がありません。人間の場合は上からの視点である、平面図の地図が使えますが、自動運転の世界ではストリートビューという“横の地図情報”が必須です。ですからネットでは“トヨタ自動車がGoogleの軍門に下る日”という話も出ています。私が主宰している本郷の俯瞰経営塾の学生の意見は“だからトヨタ自動車の株は売れ”です。

 

それにしても日本政府および企業の技術戦略の貧弱さが目立ちます。

狂想曲といえばIoTの分野もやや暴走気味です。しかし、ありとあらゆるIoTのアイディアとビジネスチャンスを追求するエネルギーは評価できます。ここでも日本政府と企業の出遅れと慌てぶりが目につきます。

 

 IoTの分野においては、ベンチャー企業をはじめ一般企業でもセンサーを組み込んだモジュールを開発するのは容易ですが、膨大なセンサーから上がってくるデータを受け止めるプラットホームの構築は容易ではありません。すでにGEやシーメンスはそのプラットホームを企業に提供するサービスを始めています。 GoogleやMicrosoft、 Appleも高度な人工知能を併せ持つプラットホームを提供しつつあります。ここでも日本の影はあまりにも薄いです。

 

どうして日本は、日本人は巨大な津波のようなイノベーションについて行かないのでしょうか。ただ飲み込まれていくのでしょうか。アメリカでも、津波のようなイノベーションに飲み込まれていった巨大な企業、イースマン・コダック社の例もあります。フィルムカメラが無くなることが見えているのに。不沈艦のようだった。自動車ビッグスリーも今は見る影もありません。時代に遅れない!企業も個人もこれが生き残りを決めます。

 

「労働力」は不足するのか??AIとロボットによる労働代替化の行方

http://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=52971?site=nli

AI(人工知能)とBI(ベーシック・インカム)?「仕事を奪われる」のか、

http://www.huffingtonpost.jp/nissei-kisokenkyujyo/ai-bi_b_10230304.html

AI/クラウドで日本に勝ち目はない

http://techon.nikkeibp.co.jp/atcl/column/15/060100048/060100001/?n_cid=nbptec_tecml&rt=nocnt&d=1464918090360

このままでは日本の自動車メーカーは“生き残れない”!?トヨタも日産も?

http://autoc-one.jp/special/2738697/

アルファ碁支えたグーグルAI半導体 鍵は低精度

http://www.nikkei.com/article/DGXMZO02699240U6A520C1000000/

人工知能、VR、Chrome OS、Googleの方向性

http://news.mynavi.jp/articles/2016/05/30/google/

打倒米国へ「AIオールジャパン」 嵐の海へ船出

http://www.nikkei.com/article/DGXMZO00101010W6A420C1000000/

総務省における人工知能研究に関する取組と「人工知能戦略会議」の設置

http://www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/1605/20/news006.html

人工知能の応用で白黒写真を自然に彩色する手

http://www.mdn.co.jp/di/newstopics/45380/

Amazon.comのAIアシスタント「Alexa」をWebブラウザで使える「Echosim.io」登場

http://news.biglobe.ne.jp/it/0530/imn_160530_3545941438.html

「2025年までにガソリン車を全廃」ノルウェーの政党間で合意へ

http://www.huffingtonpost.jp/2016/06/07/norway-set-to-completely-ban_n_10332130.html

暴走気味のIoT、「スマートタンポン」必要か

http://jp.wsj.com/news/articles/SB10183435217094733641104582089982601009886?mod=djem_Japandaily_t

 

◆俯瞰のクッキング “最近、我が家のキッチンでは” ◆

最近、我が家のキッチンの出来事。 10年使った冷蔵庫を買い換えました。何の支障もありません。が、10年使ったという事は、その冷蔵庫は12?3年前の技術の実装です。この間、技術革新は進んでいます。断熱材の進歩もあるでしょうし、冷媒やモーターも進歩しているはずです。

 

技術革新を体感する為に、自分で使う機器を更新しています。パソコンは自作ですが、技術の進歩が早いので3年で作り直します。また、自作することで技術の最前線に触れることが出来ます。

 

家電製品はそれほど進歩が速くないので、買い替えは10年です。気がつくと自宅にある家電製品やオーディオ機器は10年前のものです。洗濯機も毎日使っていますが10年物です。

途中で一度故障して修理してもらいました。食洗機は10年間頑張っています。 IHのレンジは故障して修理しました。 シャープのヘルシオは2台故障して、今はパナソニックのBistroです。テレビはパナソニックのプラズマで、最近は一本白い筋が入っています。修理会社が来て、修理代が32万円だということを聞いて、当分そのままにしました。4Kの時代なりましたが、まだコンテンツが少ないので買い替えはもう少し後になるでしょう。

オーディオは途中でハイレゾ(high resolution)の機能を取り込みましたから、更新はせず、当分このままです。ブルーレイのレコーダーは2年ほど前に買い換えました。このメルマガでも紹介しましたが、 10チャンネル常時録画です。ですから予約録画という概念が頭から消えました。 一週間分の番組は全て録画されていますから、いつでも見ることが出来ます。ニュース番組は気が付くと開始時を回っていますので、タイムシフトで見ることが多いです。

 

その冷蔵庫ですが、パナソニックの最も大きい650リットルのものを買いました。どのぐらい電気料金が下がるか、まだ結果が出ていませんが、最近の買い物中では大満足のものです。全面ガラスでマグネットが使えないので、全面はすっきりしました。

 

では、美味しかったレシピを1つ。

ある時ランチを取るためにカフェに入りました。メニューに“カジキマグロのサルティンボッカ風”とありましたので、注文しました。カジキマグロの切り身を、生ハムで巻いてソテーしたものです。生ハムの塩味と魚の組み合わせが美味しかったです。家に帰って作ってみても、やはり美味しいです。通常サルティンボッカは、仔牛肉を薄く叩き、セージの葉を挟んで生ハムを上に載せ、手で押しつけて小麦粉をまぶし、バターでソテーします。

そして生クリームを入れて仕上げます。仔牛肉は日本ではあまり手に入らないので、私は豚のロース肉の脂の部分を取り除き、叩いて伸ばして、サルティンボッカをつくります。好物の1つです。その為、ベランダにセージが一鉢あります。

 

そして、銀杏のまな板を買いました。まな板は銀杏が最高と言われています。普通の大きさのものは、以前からありましたが、今回は思い切って50x28x3センチという大きなものを買いました。この柾目の板を切り出だした銀杏は相当太いもので、貴重な大木だったんでしょう。以前買ったものは、かなり匂いが気になりましたが、今回は乾燥もよくされているようで、ほとんど匂いはありません。この前に立つと料理する意欲が湧いてきます。

 

◆ニューウェーブの俯瞰 AIコンシェルジュとVR ◆

今、アメリカで大人気のAmazon Alexaは、人工知能と音声認識とクラウドサービスを組み合わせたAIコンシェルジェです。アメリカでは大ブレイクで話題になっているようです。

 

人間に話かける様に、このシステムにあれこれ聞くと、答えてくれるようです。日本では売ってないので使っていません。今日の予定は?何かいい献立ない?週末の天気どうなるの?とか、あの曲かけてよ!タクシー呼んで!のようなことに、対応出来るようです。

あくまでもホームページの紹介を見ただけですが。 1月にはわずか135のスキルしかなかったのに、現在は1,000を突破しているようです。その中の興味深いスキルは、金融サービスのCapital One、ピザのDomino’s、フィットネスのFitbit、航空券/ホテル予約のKAYAK、スマートホームのSmartThings、Uberなどなどのスキルです。AmazonでAlexaを担当しているディレクターRob Pulcianiによると、Alexaのスキルを作っているサードパーティのデベロッパーは数万人いるそうです。たくさんの人に新しいビジネスチャンスを与えているのです。これが日本に欠けています。

 

これに追い付き追い越せと、GoogleやAppleも対抗商品を用意しています。アップル製品には顔認識がつくという話がありますが、顔まで見られてしまうとなんか怖い気もします。

ある感想では使っていると部屋の中に誰かがいるような錯覚に陥ると言われています。

 1人暮らしの人にとっては、ペットの犬や猫よりも、言葉で会話が来るので近親感を持てるかもしれませんね。これは近未来ではなく、アメリカでは販売されていて、多くの人が日常的に使っているコトです。

 

今、ブレイク中は、仮想現実(VR)です。数多くの企業が参入しています。 Googleは段ボールで作る、安価なスマホ用のVR ゴーグルを売っています。これもAmazonで買って試しました。ソフトはネットで、無料でダウンロードできます。 iPhoneをセットして、VRが体験できます。

 

 

この仮想現実の技術は、VRのゴーグルがこれだけ普及してくると、ビジネスにも応用されるでしょう。まずゲームの世界が変わるでしょう。擬似的な旅行体験、観光ができます。美術館や博物館の案内人にもなります。映画やビデオコンテンツも異次元になります。

 

ただ、VRの本質的なインパクトは、“体験の共有”という新しいSNSです。テキストで主張や気持ちを共有するSNSとしてTwitter、Facebookが始まり、次に写真・動画を共有するSNSのInstagramがブレイクしました。そして“体験を共有する”という新しいSNSがブレイクするでしょう。ただ極めて高速の通信系が必要です。

 

以上、興味が湧いたら下のURLを覗いてみてください。私は、時代を感じる、時代についていく、これを強く意識していますが、あまりにも進みが早いので気を抜くと前を行く背中が遠くなってしまいます。日本が、そして日本企業が元気がないのは、この地球上のシリコンバレーで起こっている時代感覚からあまりにも外れているからだと思います。シリコンバレーにいる日本人も歯ぎしりしていますが、日本は動きません。なぜでしょうか。

 

Aamazon Alexaのスキルが1000を突破

http://jp.techcrunch.com/2016/06/04/20160603amazon-alexa-now-has-over-1000-skills-up-from-135-in-january/

人工知能、VR、Chrome OS、開発者会議で示したGoogleの方向性

http://news.mynavi.jp/articles/2016/05/30/google/001.html

Edge AIとクラウドAIの出会いがもたらす未来、Pepper×Azure協業の舞台裏

http://japan.zdnet.com/article/35083386/

Amazon.comのAIアシスタント「Alexa」をWebブラウザで使える「Echosim.io」登場

http://news.biglobe.ne.jp/it/0530/imn_160530_3545941438.html

AppleのAmazon Echo対抗製品は「顔認識機能」を搭載する?

http://www.gizmodo.jp/2016/05/appleamazon_echo.html

Google、Amazon Echo対抗の音声アシスタント端末「Google Home」を年内発売へ

http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1605/19/news064.html

GoogleがVRプラットフォーム「Daydream」発表 スマホがVRゴーグルに

http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1605/19/news078.html

iPhoneでもVRゴーグルを使ってYouTubeの360度動画を楽しめるように

http://app.famitsu.com/20160518_724027/

VRゴーグル「STEALTH VR」で360度世界を堪能

http://japanese.engadget.com/2016/05/07/vr-stealth-vr-360/

VRゴーグルが大ブーム!? 深センのスマホケース屋に異変

http://ascii.jp/elem/000/001/168/1168186/

 

 

◆俯瞰の書棚◆

今回の紹介は「通貨の未来 円・ドル・元」英「エコノミスト編集部」文芸春秋 2016です。

 

この本は一般の人がよくわからない世界の通貨について明快に今後の予測をしたものです。“通貨の未来”を通して私たちの未来も見えます。

 

この本は、この1年のエコノミスト誌の通貨に関する特集記事をまとめたものに加え、文芸春秋社がエコノミスト誌のシンクタンクに執筆依頼した「円の未来 黄昏の安定通貨」が最後の第四部にあります。過去1年間に円の特集記事は1本もなかったという事、まさに“黄昏の安定通貨”ですね。

 

この本の極めて明快な構成と記述が、本の作り方を改めて教えてくれました。表紙をめくるとそこには本書のまとめがあります。それは、

・現在の世界経済の最大の問題は米国が世界銀行、IMFへの責任を果たさない中、オフショアドルの市場が膨らんでいることだ。ここには危機の際の「最後の貸し手」がいない。

・世界の市場において人民元が台頭するのは確実だが、少なくともあと5年10年は、円は重要な国際通貨としての地位を失うものではない。

・アベノミクスの評価は総じて失敗。マイナス金利を実施しても融資は増えない。

・2016年から20年の間日本経済の実質成長率は年平均1% 。

・TPPによる恩恵は2020年以降にならないと現われない。

・人民元の国際化は、中国国内の完全自由化とトレードオフである。

 

この本の目次を読んでいけば、この本の完璧な要約になります。この本作りがすごいと思います。章末にはまとめがありますので、内容を再確認できます。本とはこのような構造化をすべきだと再確認しました。

その目次を紹介しましょう。

第一部 ドルの未来 責任を放棄した王者

第1章 ドル支配の限界とコスト

この70年間世界の金融通貨システムに君臨して来た基軸通貨ドル。だがその力を支えてきた米国の経済力は、中国の台頭によって次第に弱体化している。この覇権のぐらつきによって、世界経済は急速に不安定化している。

第2章 基軸通貨が交替する時

かつてポンドからドルに基軸通貨が移行する際、英国と米国は同盟国だった。一方で、今日、米国と中国は同盟国ではなく、お互いの力も未だ拮抗している。世界の資本移動も複雑化している中、ドルから元への交代は起きるのか。

第3章 ポピュリストたちの台頭

米国はIMF、世界銀行、 WTOといったグローバルな経済的枠組みに責任を果たさないようになっている。その原因は、国内の中流層の没落とリンクした、国内政治での左右両極のポピュリストの台頭にある。中道のクリントン大統領候補までが、 TPP反対を唱える。

第4章 「最後の貸し手」がいないシステム

急速に拡大している米国外のドル資産、オフショアドルの世界。米国以外の国は、このドル資産をもとに経済を運営している。だがそこには、危機に陥った際、国家や金融機関を、上から救う「最後の貸し手」が存在しない。

第5章 ニューヨークを人民元取引のハブにする

ニューヨークとは、世界の主要金融センターで、人民元取引を支援する仕組みのない唯一の都市だ。しかし、「最後の貸し手」不在の金融システムにおける唯一の解が、米国が人民元もAIIBも取り込んで、再び世界の金融システムの責任を担うことになるのだ。

第二部 元の未来 両刃の剣

第6章 人民元は基軸通貨になれるか?

世界各地に着々と人民元取引のネットワークを築いている中国。人民元が国際化すれば、ドルは経済制裁など政治的影響力をする手段として強みを失う。ドルを迂回する国際決済システムが出来上がるからだ。鍵は中国政府が国内の自由化をどれだけ受け入れるかにかかる。

第7章 市場全面開放というトレードオフ

中国本土の消費者はBMWの自動車やグッチのバックを買うことができるが、 BMWやグッチの株を買う事は許されていない。元を国際化しようと思えば、そうした国内の規制を完全自由化する必要がある。しかしそれはそのまま共産党にとって多くの権限を手放すというトレードオフになる。

第8章 2016年の元安の意味を考える

2016年、新年早々に世界を襲った同時株安。その原因は、中国が抱える「 3つの問題」にあった。この8年間で10兆ドルもの債務を積み上げた中国企業は、加速する元安に怯えている。中国発のデフレが世界を襲おうとしている。

第9章 習近平のジレンマ

民主化を達成せずに高所得国へ移行した国はいない。このドグマに公然と挑戦するのが、習近平だが、習の唱える「中国モデル2.0 」は、ナショナリズムに力点をおく改革だ。が、経済の国際化による新貧民層の誕生と、成長の鈍化による中流層の不満が、不吉な影となり習を悩ます。

第三部 仮想通貨の未来 究極の基軸通貨か?

第10章 絶対に改竄できないサイバー上の公開帳簿

詐欺の温床となったビットコインを、技術上のブレークスルーが救いつつある。サイバー上に置かれる改竄できない公開帳簿、「ブロックチェーン」だ。この技術は、仮想通貨を、為替リスクのない信頼できる究極の基軸通貨にすることができるだろうか?

第11章 仮想通貨の帳簿が世界を変える

ゴールドマンサックス、 JPモルガンなど、名だたる大企業が導入に乗り出しているビットコインの帳簿「ブロックチェーン」。人類最大の発明と呼ばれる複式簿記のように、この帳簿には世界があり方を変える力が十分にある。

第四部 円の未来 黄昏の安定通貨

第12章 マイナス金利という実験

2016年1月29日、日銀はマイナス金利導入を決めた。金融機関が資金を抱き込まず融資に回すと期待してのことだが、しかし忘れてはならない、日本で融資が増えていない理由は、融資資産の供給不足ではなくそもそも融資の需要がないことなのだ。

第13章 アベノミクスを採点する

エコノミスト・インテリジェンス・ユニットは、 2015年12月日本経済成長率と消費者物価上昇率の予測を大きく引き下げた。それはなぜなのか。そして、アベノミクスやTPPは、私たちの未来に一体何をもたらすのか。

 

ここまで紹介すると読まなくても読んだ気になる人も多いと思います。さらに第13章のまとめも紹介しておきましょう。

人民元が台頭することが確実だが、円は今後も資産の安全な投資先で有り続ける。少なくともあと5年から10年は、円は重要な国際通貨としての地位を失う事は無い。

TPPを運用するための仕組みづくりには、あと3年から4年かかる可能性がある。そのためTPPの影響が実際に現れるのは2020年以降になるだろう。それでも、ゆくゆくは日本の経済的地位を強くし、円の国際的地位も高める効果を持つ。

AIIBがアジアにおける中国の影響力を高める可能性は高いが、現段階ではドル建てしか融資しない方針であるため、円と元の勢力争いに与える影響は小さい。

東京五輪による日本経済への好影響は、特に開催前の2年間に強く現れる。だが、閉会後には、その揺り戻しで景気が冷え込む危険性もある。

アベノミクスは、選挙で有権者の支持を獲得する効果はあったが、実際に経済に与えている効果は限定的で、当初の期待に答えられていない。

本書を読んでみると、改めてエコノミスト誌の知的水準の高さを思い知らされます。簡潔で鋭い解説は練達の記者の見識とスキルの高さを、いやがうえにも思い知らされます。

このエコノミスト誌は1962年、特集「Consider Japan」で、日本が米国と並ぶ経済大国なることを予測し、敗戦国日本のイメージを、一変させました。その結果、世界銀行は日本に31件の大型融資を行いました。新幹線も東名高速も首都高速も、すべて世界銀行の融資です。電力インフラ、産業インフラの整備も世界銀行の融資です。トヨタ自動車の元町工場、今の本社工場も世界銀行の融資です。前回の東京オリンピックは全て、世界銀行からの借金で実現しました。そして31件の融資を1990年まで掛って返済しました。ただし、世界銀行の融資を全額返済した国は日本だけです。

 

ともかくエコノミスト誌の特集で日本は蘇りました。特集を掲載したエコノミスト誌の期待にも応えました。それだけに、この本が示す日本の未来は重い意味があります。

時間をかけてじっくり読む価値がある本です。ご一読をお勧めします。

 

◆編集後記◆

●現在の世界経済はリーマンショック以前と同じだ、とは驚きました。増税延期で頭がいっぱいでしたか。

●オバマ大統領とは政治家だったのか、だからフランケンシュタイン誕生というのも言い過ぎですが、クリントンはその後継といわれるリスクがあります。

●EUの難民問題はトルコを塞げば、た海上の悲劇の再発です。

●ますます強硬になる中国軍部の南シナ海の行動は、あの海域を核ミサイル搭載の原潜の格納庫にしたいのでしょう。米中の衝突をリスクとして考慮する必要が出てきましたね。一気に原油価格高騰ですか。

●繰り返される舛添知事のあまりにも見苦しい会見は、多くの人に不快感というストレスを与えています。あそこまで酷い人とは思っていませんでした。

●今年は台風の発生がゼロということで夏の水不足の不安が残ります。

●大きなパラダイムシフトが見えていて対応していない日本企業はイーストマン・コダックのようになるのでしょうか。

 

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◆内容・記事に関するご意見・お問い合わせ/配信解除・メールアドレス変更は右記まで

webmaster@fukan.jp

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◆俯瞰MAIL 0058号(2016年6月8日)

発行元:     一般社団法人 俯瞰工学研究所

発行人:   松島克守

編集長:   松島克守

URL:      http://fukan.jp

 

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俯瞰メール57号

◆時候のご挨拶◆

短い桜の季節が終わり、初夏に移り行く春が美しいですね。色々な花が咲きだし若葉が芽吹き、すぐに緑の葉になります。この時期は鯛の旬でもあり、魚屋さんの店頭に鱈子に代わり鯛の子が並べられます。そして新学期です。今年も本郷で俯瞰経営塾の授業がスタートします。

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・ 戦場となったヨーロッパの混迷

・ カリスマ創業経営者の残念な退場

・ メディア言論統制を強める安倍政権の危険性

・ パナマ文書で暴かれる世界の不正

・ 超高速大量データ高速処理による業務の進化

・ 俯瞰のクッキング 1.5時間で準備したディナー

・ ニューウェーブの俯瞰 スマートホームがキーワード

・ 俯瞰の書棚 「右脳の空手」大坪英臣 風雲舎  

・ 編集後記

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◆戦場となったヨーロッパの混迷◆

ブリュッセルのテロをきっかけに、ヨーロッパが混迷しています。ベルギーの当局が、トルコから提供されたテロリストに関する情報を適切に処理していなかったという批判があります。 ヨーロッパは既にISの戦場になった感があります。これをきっかけに英国のEU離脱の勢いが高まるのではないかという懸念が出てきました。仮にも英国がEUから離脱すれば、世界的に大きな経済的な混乱が予想されます。それでなくても、世界経済は極めて不安定な状況にあります。

 

一方、ドイツを中心に難民を広く受ける入れる動きがありましたが、今は完全に移民の流入を止めたいという動きになりました。 EUは巨額の資金をトルコに提供する見返りに、ギリシャに滞留する難民をトルコに引き取ってもらうということになりました。しかしトルコに難民を送り返した後、トルコはその難民をどうするつもりでしょうか。根本的な解決になるとは思いません。

 

ドイツのメルケル首相も苦悩の中にいると思いますが、彼女自身の人気はむしろ上がっています。ただ与党は選挙で苦戦しています。これをどう解釈すればいいのでしょうか。

元はと言えばアメリカのブッシュ元大統領が、石油利権欲しさに、イラクが大量破壊兵器を保有しているという理由でフセイン政権を倒したものの、その後の統治が全くできず、アルカイダの勢力を排除するどころか、イラク全体をテロリストの手に渡してしまったわけです。そして生まれたISがイラクとシリアで暴虐な統治を行った結果、大量の移民がシリアから出国することになったわけです。アメリカ介入後も混乱が続くアフガニスタンからも、難民がトルコそしてギリシャに向かっているわけです。

 

中国のAIISではあっさり長年の盟友の英国とそしてドイツからも裏切られた米国ですが、産油国になった途端に、長年の盟友のサウジアラビアとイスラエルをあっさり切り捨てるオバマ外交です。その結果中近東は大混乱になり、その隙にロシアがシリアの軍事的な利権を追求するという、何が起こってもいいような状態になっています。

 

これが、パリやブリュッセルのテロにつながり、この後どこでテロが発生してもおかしくないヨーロッパになってしまいました。 EUの理想だった域内での自由な人の移動は制限されるでしょう。そして英国のEU離脱が揺さぶりをかけます。

 

このような状況を、対岸の火事のように日本が見ていると大変なことになります。アメリカが世界の警察官をやめた今、日米同盟は重要ですが、それも日本の片思いになるかもしれません。トランプ候補の言動はある意味アメリカの本音でもあります。ともかく核武装してもいいから、自分で自分の国を守れとのことです。ですから日本も東アジアや南シナ海の緊張を不用意に高める行動は危険です。しかし、安倍政権は安保法制を背景にこれまでになく強い対応をしており、中国の反発も強まっています。

 

南シナ海における中国の強引な行動は東南アジア各国の反感を買い、中国が孤立化し、結果として、ある程度は行動を自制するかとも思いましたが、今のところその気配はありません。日中の対立もSUMMITを控えて先鋭化しています。

 

いずれにしろ、単に安保法制反対だけではなく、この日本を日本人がどう守っていくのか国民的な議論がなされるべきです。

 

ブリュッセル同時爆発攻撃、英国のEU離脱予想強まる

http://jp.reuters.com/article/brexit-brussel-idJPKCN0WO355

EU離脱、英国よりユーロ圏に大きなリスク

http://jp.wsj.com/articles/SB12748367622113273976104581646611116646114

非正規流入移民に関しEU=トルコが強制送還で合意

http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2016/03/post-4666.php

条件を釣り上げるトルコ、難民問題に出口は見えず

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/48149

メルケル独首相の支持率が今年最高に上昇

http://jp.reuters.com/article/germany-election-merkel-idJPKCN0WB0UL

第2次大戦前夜にそっくり!米国離れが加速する世界情勢

http://diamond.jp/articles/-/86785

中国、日本の名指しに抗議 安倍首相の南シナ海発言 サミット前に対立深刻化

http://www.sankei.com/world/news/160409/wor1604090029-n1.html

 

◆カリスマ創業経営者の残念な退場◆

セブンイレブンを創業し、日本にコンビニエンスストアという社会現象を起こした偉大な経営者が、残念な形で引退です。セブンイレブンの大きな発展は、学生の研究課題にもしてきました。先見性と高い戦略性は尊敬に値する経営でした。

 

ただ、強力な創業者が結果として残念な形で退場していくのは、これが初めてではありません。同じ小売業ではダイエーがあります。

 

よく言われることですが、人間引き際が難しいですね。晩節を汚す形で残念な退場をされた経営者は、常識的に見ても、殆ど居座りの感があります。悲しい人間の性を感じます。これに対して本田の創業者の本田宗一郎は、パートナーだった藤沢武夫と一緒に誠に潔く退場していきました。その後ホンダは世界的な企業に発展を続けます。

 

多くの場合は、最後に老害で会社、すなわち社員と株主に負の遺産を残したのに対し、今回の退場はその部分がありません。ですから、形が悪くても、ある意味潔い退場であったともいえます。ただ、その影に創業家の思惑や動きがあると言われていますから、後味の悪い話になりました。

 

一方では、指名委員会という高度なコーポレートガバナンスが効いた事例かもしれません。

過去には、ソニーや東芝のように、形だけの委員会制の企業が不祥事を起こしていますが、会社の形態としては本格的な委員会制にするべきでしょう。

 

流通のカリスマ退場 セブン&アイ鈴木氏「私の不徳」

http://www.nikkei.com/article/DGXLZO99421390Y6A400C1EA2000/?n_cid=NMAIL001

 

◆メディア言論統制を強める安倍政権の危険性◆

テレビのキャスターが次々と交代をさせられています。いずれも安倍政権に辛口のコメントをしたキャスターです。官邸の強引な言論統制が透けて見えます。言論の自由こそが民主主義の大前提であり、一方独裁的な政治は、この言論の自由を敵視します。中国の習近平政権、プーチン政権は徹底した言論統制で政権を維持しようとしています。日本は成熟した立憲君主制の国です。安倍政権の推進する政策そのものは、一部に異論はあるものの国民が受け入れられる政策でもあり、それ以前の、決められない政権に不満を持っていた国民にとって一定の評価はされていると思いますが、それでも自分のやっている政策に自信がないのでしょうか。キャスターのコメントが怖いのでしょうか。それとも感情的に気に入らないということでしょうか。もし反対意見を許さないと言論を統制しようとするのであれば、由々しき一大事です。もっと自信を持って政治をして欲しいと思います。

 

次々と出てくる自民党議員や大臣の失態を見ていると、政権内部に、自民党内部に権力に酔った驕りと傲慢さが腐臭として匂います。これはじわっと選挙に聞いてくるでしょう。国民もバカではありませんから。

 

さらに消費増税の先送りの状況を作るためといわれる、ノーベル賞経済学者との懇談の内容も、政権に都合が良いように翻訳して発表するとは呆れます。さすがにノーベル賞経済学者です、クルーグマン教授が極秘会合の中身を暴露しました。この内容はオフレコにお願いします、と言ったそうですが、会話の内容があまりにもお粗末で、政権中枢の経済学の知的水準が疑われるようなものであったので、オフレコにとお願いしたのでしょうか。かえってこれでアベノミクスのお粗末な実態を暴露してしまった感があります。

 

また、放送電波を止めるぞと脅した高市早苗総務相が、経歴詐称ではないかという話があります。ジャーナリストの鳥越俊太郎氏は、「これ言っておかないといけない。高市早苗さんは、米国の議会立法調査官をやっていたという触れ込みで日本に帰ってきて、田原さんの“朝まで生テレビ!”に出たんですよ」「ところが、彼女は見習い待遇で、無給で、未契約のフェロー、つまりコピー取り程度、お茶くみ程度のことしかやっていない」「だから、経歴詐称だよね、僕に言わせれば。経歴詐称」と発言しています。彼女は国粋的な発言をしていますが、このような倫理観で国体を論じる資格があるのか疑問に感じます。

 

それにしても、あまりにも野党勢力がだらしのないのが、このような自民党政権のお粗末な状況を許しているとしか言えません。そしてその原因は、国民が政治に対して真摯に対峙していない日本の現状があると思います。夏には衆参同時選挙の話が進んでいますが、これも党利党略で、大義がありません。一昨年に増税の賛否を諮って衆議院を解散しています。それを先送りしようとしている今、また衆議院を解散?

 

国民はここでどこまで賢く、どこまでバカでいるのかその自覚が必要です。

 

辛口キャスター、交代の春 本人の意思・数字

http://digital.asahi.com/articles/ASJ1X5KC3J1XUTIL02Q.html?_requesturl=articles%2FASJ1X5KC3J1XUTIL02Q.html&rm=1225

NHKニュースウオッチ9「大越キャスター」突然の交代人事に官邸の気配

http://www.dailyshincho.jp/article/2015/01280800/?all=1

安倍首相赤っ恥 クルーグマン教授が極秘会合の中身を暴露

http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/178338

安倍政権に屈したテレビ局

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/48001

強まる「同調圧力」。メディアは加担していないか。

http://www.buzzfeed.com/satoruishido/yuko-kuniya#.mh6njjEdw

NHK秘密のルール 政府に都合の悪い国会中継中止できる?

http://www.news-postseven.com/archives/20160408_399588.html

高市早苗総務相が経歴詐称か

http://news.livedoor.com/article/detail/11359520/

 

◆パナマ文書で暴かれる世界の不正◆

パナマ文書という情報のリークが世界政治を揺り動かしています。これまで闇の中にあったタックスヘイブンの実情が、正義感を持ってか、ある政治的な意図を持ってか、公開されました。下記のニューズウィークのサイトには。

 

“これまでに出ている情報によれば、発端は2014年末にある匿名の人物が南ドイツ新聞の記者に連絡をとり、パナマ文書のリークを申し出たこと。さながら「ディープスロート」のような人物から情報提供を受けた南ドイツ新聞は、米ワシントンに本拠を置く非営利組織「国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)」に話を持ちかけ、世界中のメディアを巻き込んで文書を分析することにした。文書データのサイズが2.6テラバイト、ファイル数にして1150万(480万の電子メール、100万の画像、210万のPDF)と莫大で、裏取りするのには、グローバルな調査報道体制を敷く必要があったからだ。”とあります。

 

そして、“ こうしてICIJの呼びかけで世界76カ国、100以上のメディアから記者370人以上が協力し、約1年かけて情報を分析していった。ICIJはプロジェクトに参加する記者だけがアクセスできるURLを作って、国をまたいで情報交換する仕組みを整えたという。この世界的な調査報道の成果が「パナマ文書」の衝撃だ。”とあります。日本からは朝日新聞が参画しています。

 

すでにアイスランドのグンロイグソン首相は国民の激しい非難の前に辞任しました。イギリスのキャメロン首相も、投資していたことを認めて苦しい立場に立っています。アルゼンチンのマイク大統領は捜査の対象になりました。パキスタンのシャリフ首相の一族、マレーシアのナジブ首相の息子、プーチン大統領の親友や、習近平主席の親族、その他、中国の最高首脳の親族等が告発されています。これはある意味テロです。しかし人類にとって、このような情報のリークは正義でもあります。

 

当然各国の税務当局は、この情報を精査していきますから、今後もいろいろな事件が起こってくるでしょう。そして各国の政権にも大きな影響が出る事は、間違いありません。中国では、厳しい報道管制がされていると言われていますが、今という時代では、情報は隠蔽できないでしょう。必ずしも安定状態にあるとは言えない習近平政権も、大きな衝撃を受ける可能性もあります。ロシアのプーチン政権も、そのリスクがあります。今のところ日本の政治家の名前は出ていませんが、国税庁が精査していくと、政治家に関連する企業が発覚することはあると思います。今後しばらく、これから目が離せません。

 

ただし、パナマやケイマンにSPC(特定目的会社)を設立する事は金融の世界では常識で、それ自体は違法性はありません。基本的に節税目的ですから、脱税とは紙一重です。

 

パナマ文書はどうやって世に出たのか

http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2016/04/post-4850.php

NYタイムズですら蚊帳の外、「パナマ文書」に乗り遅れた米メディア

http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2016/04/ny-5.php

パナマ文書「情報提供は犯罪行為止めたくて」

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160407/k10010470761000.html

「パナマ文書」とは何なのかまとめ

http://gigazine.net/news/20160406-panama-papers/

タックスヘイブンを使ったのは誰かが検索できる、日本の住所も多数あり

http://gigazine.net/news/20130615-icij/

モサック・フォンセカのデータを世界のマップに落とし込んだ

https://briankilmartin.cartodb.com/viz/54ddb5c0-f80e-11e5-9a9c-0e5db1731f59/public_map

「パナマ文書」米司法省が調査 各国首脳ら、租税回避か

http://www.asahi.com/articles/ASJ455T1QJ45UHBI01B.html

「パナマ文書」スキャンダル、早わかりQ&A

http://jp.wsj.com/news/articles/SB12748367622113273976104581644460949815354?mod=djem_Japandaily_t

「パナマ文書」に焦る中国、封じ込めに躍起

http://jp.wsj.com/articles/SB11960924612531984379704581642702739099650

 

 

◆超高速大量データ高速処理による業務の進化◆

2000年に創立を支援したベンチャー企業の株式会社ターボデータラボラトリ―が、最新の応用事例を紹介するセミナーを開催します。

 

株式会社ターボデータラボラトリ―は、メモリ上に大量のデータを展開して処理することで画期的な高速処理を実現する技術を開発しました。そして特許を取得し、これを展開してきました。最初、スーパーコンピューターの部品表データを使い、製造業において非常に時間のかかる“所要量展開”という生産計画の計算に使ってみました。それまで数時間かかっていた処理をわずか数秒で処理できました。あの時は感動しました。むろんユーザーも感動して、すぐに導入を決めてくれました。

 

それからこつこつと技術開発を進めると同時に、この間クラウドコンピューティングのような当時考えられないような巨大なコンピューターを簡単に利用できる時代になりました。その先進的な事例を紹介するセミナーです。製造業はもとより、ビックデータを使う業務改善やマーケティングに興味を持つ人は、是非ご参加下さい。申し込みは下記です。

 

株式会社ターボデータラボラトリ―

http://turbo-data.co.jp/

 

◆俯瞰のクッキング 1.5時間で準備したディナー◆

3月のある日、3人の友人を食事に招待しました。その日は溜池山王で13時まで会議がありました。そして夕食の開始が16時でした。今回は、そのおもてなし料理の準備についてご紹介しましょう。

 

会議を足早に退席し、南北線で麻布十番まで移動しました。そして“日進”というスーパーマーケットに入った時は、すでに13時30分です。買い物カートに、まずベビー・リーフを2パック入れました。サラダです。ドレッシングは、いくつか面白いものを頂いておりましたから。そしてミニトマトを何パックか、パパイヤ1個、香菜(コリアンダー)一束、生ハム1パック。そして肉売り場に行って骨付きの豚のロースを1.2?の塊で買いました。これはメインのローストポークです。次に冷凍食品の売り場に行って、えびのカクテルのパーティーパックを2つ、家にあるケチャップとレモン、そしてタバスコでカクテルソースを作り、これを魚料理とします。さらに26匹入りのブラックタイガーの冷凍パックを買いました。このエビでトムヤムクンスープと、パエリアを作ります。ワインは自宅の備蓄を使います。これだけの荷物を両手に抱え、店前からタクシーで自宅まで移動しました。すでに14時30分です。

 

冷凍のブラックタイガーを、水道の流水で解凍し始めました。オーブンを200度で予熱します。

 

骨つきの豚のロース肉に塩胡椒をすり込み、ローリエやタイムと一緒にジップ袋に入れ、さらに料理用の日本酒を少し入れて手で揉みこみました。

 

米を2カップ洗ってザルに上げて、パエリアの準備をしました。

 

ベビー・リーフは洗って水を切り、大きなサラダボールに入れました。

 

解凍できたブラックタイガーの皮をむき、その皮をノンスティックのフライパンで軽く焼いて水を入れ、エビのスープを取ります。ここまでくると、ほっとします。時間は15時です。

 

すなわちこの日のメニューは、スタートがパパイヤの生ハム乗せ、トムヤムクンスープ、サラダ、次に魚料理としてシュリンプカクテルです。その後メインとして、ローストポークがあり、締めはパエリアです。

 

骨付きのかたまり肉を、脂身のほうから骨に届くくらい1センチ間隔で切り込を入れ、オーブンに入れてスイッチオンです。 10分後脂身が溶け出したら温度を180度に下げて1時間半ほどゆっくりローストします。 40分ぐらい経ったとき、洗った皮付きのジャガイモを人数分オーブンに追加します。このレシピは、ホルトハウス房子という有名な料理家のレシピです。私よりもずっと年上ですが、こういう方のレシピは年々シンプルになり、そしてそれが美味しいのです。

 

トムヤムクンスープを仕込みます。先に取ったエビの殻のスープに水を加えて人数分にし、鍋にかけます。顆粒の鶏ガラスープを入れます。薄切りのタマネギを入れます。これから先は順不同ですが、ベランダで栽培したレモングラス、こぶみかんの葉(レモンリーフ)と、カーいうハーブ、そして赤唐辛子を2本をいれ、さらに市販のトムヤムペーストを小さじ2杯程度入れます。カピというエビペーストも小さじ1杯程度、ナンプラーで塩味を調整します。アクをすくって一旦火を止めます。食卓に出す直前に、エビと半分に切ったミニトマト絞ったレモン汁を入れ、さっと火を通して器に盛って、コリアンダーを入れます。

 

カクテルソースは、ケチャップに絞ったレモン汁を入れ、タバスコで辛味を調整します。

 

次はパエリアの仕込みです。米が2カップですから、スープは4カップになります。トマトジュースの缶詰を1缶、水を加えて4カップにします。これに顆粒の鶏ガラスープを大さじ2杯程度入れます。ターメリックを小さじ1杯程度入れて、高価なサフランはいれません。そしてしっかりと塩味をつけます。

 

パエリア鍋にオリーブオイルを多めに入れて、潰したニンニクを2?3片分いれます。いい香りがしてきたら、水分をぬぐったブラックタイガーを入れて炒めます。エビはいったん取り出し、ザルに上げておいた米を入れて軽く炒めます。そして用意したスープを注ぎ込みます。この日は赤ピーマンをエビと一緒に炒めて入れました。そしてエビを戻して、蓋をして弱火で40分、ただ放っておくだけです。

 

ここまでくると16時です。友人たちの到着です。玄関に出迎えて、スパークリングワインで乾杯して席に着いてもらいます。

 

ますパパイヤ生ハムを出して、ディナーのスタートです。次はトムヤムクンスープのハーブを取り除き、火を入れエビとミニトマトを入れ、味を確認して器に盛りコリアンダーを載せます。

 

次は、サラダボールから好みのドレッシングでベビー・リーフのサラダを食べてもらいます。まず野菜を食べるという事は、健康学の上では重要です。血糖値の上昇を抑えるからです。これは習慣にされると良いでしょう。野菜、魚、肉、そして炭水化物が健康のための順序です。フランス料理のコースはこれに沿っていますね。

次に解凍しておいたシュリンプカクテルをサービスします。カクテルソースはお好みでかけてもらいます。

 

ここまで来ると、オーブンのローストポークも焼き上がっていますから、取り出して切り分けて皿に盛り、焼きあがったジャガイモを半分くらいに切って添えます。マスタードを添えて出しました。

 

この間、適当に赤ワインを飲んでいますから、かなり雰囲気も盛り上がって、いつものように昔話で盛り上がっています。 

 

いよいよ締めのパエリアです。弱火で40分が良いと思います。これは、蓋を取って少し火を強めて、チリチリという音がするくらいに少し鍋底を焦がして、オコゲを作るというテクニックもあります。

 

ここまで来ると既に18時を回っています。後はコーヒーその他で終わることになります。門までお客様を送って終わりです。洗い物は黙々とパートナーが深夜までこなします。私は酔払って寝ます。以上、ある日のドキュメンタリーです。

 

dancyu「いいレシピって、なんだ?」

http://yuriika3.exblog.jp/22610795/

 

◆ニューウェーブの俯瞰 スマートホームがキーワード ◆

今、私が買いたいものは、アマゾンのEchoです。残念ながら、日本ではまだ発売されていません。これは今アメリカで注目集めているようです。スマートホームと言って、家の中のいろんなデバイスを音声でコントロールしたり、コンシェルジュのようにいろんなことを質問すると、ネットから答えを探してきてくれるという、ともかく非常に優秀なコンシェルジュが家に常駐している状態になるようです。

 

キーテクノロジーは音声認識ですが、ネットの上には人工知能が控えることになるでしょう。いろいろなスマートデバイスが提案されていますが、ユーザーから見て手で操作しなくても、人に話しかけるように音声で操作できれば最も便利です。それがすでに実現出来ます。

 

そして今、この分野で1番注目を集めているものが、アマゾンのechoです。Appleの共同創業者であるスティーブ・ウォズニアック氏も絶賛しています。そしてアマゾンのechoがあるとどんな生活になるかは、下記の週刊アスキーのサイトにあるYouTubeを見ると解ります。残念なことにこれも英語ですが、是非ご覧になるといいでしょう。

 

むろんGoogleもAppleも同じことを考えています。 ただGoogleもAppleもかなり遅れをとっているようです。キーテクノロジーの音声認識は、それぞれかなりの水準のアプリケーションを公開していますが、スマートホームというサービスではかなり遅れをとっているようです。音声認識の技術ではマイクロソフトも「コルタナ」という機能をWindows10に搭載していますから私の書斎のパソコンでも使えるはずですが、使っていません。 Appleのshiriは使いますが、実用的に全く問題ない水準だと思います。ちなみに何度もこのメルマガでもご紹介していますが、約1万2,000字のこのメールマガジンは、ほとんどすべてドラゴンスピーチというソフトウエアによる音声入力です。キーボードの操作に弱い私はミスタイプが多く、この音声認識ソフトに依って10倍以上の生産性を上げています。正答率は95%以上あると思います。意外と皆さん身近にある音声認識という時代のキーテクノロジーを活用していませんね。

 

日本の企業もスマートホームに注目しいてると思いますが、多分この分野ではAmazonやグーグル、 Appleに置いていかれるでしょう。特にAmazonは強力で、すでに家のリフォームも積水ハウスや大和ハウスと組んで、ネットで販売中です。もちろん家電製品の全てを取り扱っていますから、トータルなスマートホームを提案できます。アップルのスマートホームは、繋がる機器が現在の段階では極めて限定的で実用になりません。 Googleは詳細が把握できないほど出遅れです。

 

今産業界では、IoTすなわちモノのインターネットが注目集めています。すべてのものにセンサーがつけられ、そこからの情報を大量に収集して有効なサービスを創成しようというビジネスです。これは未来の話でなくテクノロジーとしては、ほとんど完成しています。普段、何気なく使っている交通カードもこのテクノロジーです。自動車もネットとつながってConnectedCarなっています。私も乗っています。このIoT から収集される膨大な情報はビックデータです。そしてこのビックデータはdeep learningできる人工知能で分析されるでしょう。繰り返しますがこれは未来ではなく、現在なんです。

 

日本の企業、産業界はセンサーを含めた機器に関する技術について、まったく問題ありませんが、顧客にとって本当に価値があるサービスを提供するシステムを商材として作り上げることができるか気になります。日本の企業で今自由にクラウドコンピューティングと人工知能をサービスビジネスに活用する、活用できる企業が私からは見えません。

 

いろんなところでお話していますが、日本の企業がもし元気でないとすれば、時代に付いて行っていないことだと思います。

私の周囲の学生や若い方には、まだガラケーを使っている人、モノづくりという言葉を連発する人、失われた20年という言葉を使う人の話を聞いてはいけない、と助言しています。こういう人たちは、物理的には2016年に生活しながら2000年以前の脳で暮らしています。あえて言いますと、日本の企業のトップの大半がこのセグメントに分類されるかもしれません。

 

俯瞰のニューウェーブというこのコラムは、ニューウェーブに意味があります。ニューウェーブとは、すでに起こっている近未来です。自分で未来を考えなくても、自分に向かって押し寄せてくる時代の波を見れば、自分が起こすべき行動はわかります。この時間差のマネージメントが、人生や企業業績を決定的に決めます。

 

アップル Siriより未来だ!Amazonの人工知能スピーカー『Echo』実機レビュー

http://weekly.ascii.jp/elem/000/000/350/350944/

ウォズニアック氏が「Amazon Echo」を大絶賛「次にくるのはこれだと思う」

http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1603/14/news100.html

GoogleやAppleを抑えて、スマートホーム市場を勝ち抜くAmazon Echo

http://readwrite.jp/trend/29435/

Amazon、音声制御のWi-Fiスピーカー「Echo」を199ドルで発売へ

http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1411/07/news057.html

Amazonのハードウェア史上最大のヒット商品になった「Amazon Echo」

http://gigazine.net/news/20160405-amazon-echo-development/

HomeKit 対応アクセサリを iPhone、iPad、および iPod touch で使う

https://support.apple.com/ja-jp/HT204893

新生グーグルの象徴 Nestが大幅機能アップデートを発表

http://forbesjapan.com/articles/detail/8102

Google、音声認識APIを公開

http://jp.techcrunch.com/2016/03/24/20160323google-opens-access-to-its-speech-recognition-api-going-head-to-head-with-nuance/

マイクロソフトの音声認識「コルタナ」に「『シリ』ってどう?」と質問

http://diamond.jp/articles/-/51316

 

◆俯瞰の書棚◆

今回の紹介は「右脳の空手」大坪英臣 風雲舎 2015 です。

著者の大坪英臣教授(東京大学名誉教授)は、畏敬する私の先輩教授です。現役時代は工学部3号館の3階に教授室を並べていました。大坪英臣教授は、世界最高水準の構造力学の研究者でした。指導される修士論文は審査会でも圧倒的な高い水準の研究内容で、その高い研究内容を論文の中だけではなく企業の技術者が利用できるようにしたいと相談したこともあります。

 

この本は定年後、研究・教育に代わる何か打ち込むものを探して、探して、そして空手という世界に、それを見つけた話です。 65歳で空手を始める、これ自体、既に並の人間ではないことをお分り頂けるでしょう、65歳で最初の試合は、8年間も空手を鍛えている52歳が相手です。蹴られても殴られても、ただただひたすら突きを出し、前進していくというくだりは迫力を感じます。そしてなんとその試合で勝ちました。壮年の部で決勝戦では負けましたが準優勝です。

 

教育と研究に打ち込んできて、自分が作り上げた研究室を出て行くという定年後の生活は、寂寥感に襲われます。今思うと私も大学を定年で離れてから、1 ―2年は精神的に不安定な状況にあったと思います。毎日が日曜日の生活は、打ち込むような趣味のない私にとって、戸惑いの時間でした。この本で、大坪教授とこの喪失感を共有しました。

 

最初やられた空手は、極真系の流れを汲む、フルコンタクトと呼ばれる実際に打ち合う空手です。骨折やケガが当たり前の格闘技だったそうです。

 

ある時運命の分かれ道に出会うことになります。真義館の麻山慎吾館長に出会ったことです。フルコンタクトの空手で厳しい修行を積み、その世界で生きてきた人です。鍛えすぎて体すら壊しています。

 

そして武術空手という、全く新しい空手の世界に到達したとあります。武術空手とは相手にダメージを与えることではなく、愛を与えるとあります。攻撃されても、愛を持って対峙すれば、相手が倒れるというのです。この辺は、とても私が説明できるものでないので、この本を読んでください。読めばわかります。練習は古伝の型です。武術空手は衝突の応酬がありませんので、一瞬で勝負は決まるとのことです。こんなことを書いていると、ますますこれを読んでいる人は混乱するでしょうが。

 

武術の神髄は「攻守一如」で、「観の目」と「入る」とあります。宮本武蔵も同じことを言っています。ここは説明が難しいところです。大坪教授は本の最後で、脳科学で説明されています。そして型の訓練によって、「自然体」という体の状態を作る術を獲得するとのことです。とても私が説明できることではないので、武術空手についての説明は、ここまでにします。

 

武術空手の到達点は、有名な伊藤一刀斎の「無想剣」です。そして維新の山岡鉄舟は、これを会得しました。この本によると山岡鉄舟は宮内庁に勤務していた時、月に1度の休日に、歩いて120キロ離れた三島の龍澤寺の星定和尚のもとに参禅に通い、 3年目に悟りを開いたとあります。悟りを開く前、山岡鉄舟は伊藤一刀斎の一刀流を正しく伝えるという浅利又七郎に、何度も試合を申し込みますが、全く歯が立ちませんでした。悟りを開いた後、浅利又七郎と試合をすると相手は木刀を捨て「段違いの腕前です、私がかなう相手ではありません」と言って伊藤一刀斎から受け継いだ「無想剣」の極意を伝えたそうです。このくだりを読んでいると、大坪教授が「師の麻山慎吾館長は現代の山岡鉄舟だ」と書きたい気持ちが伝わってきました。私はその一行を追加して読みました。

 

そして英国のパブリックスクールや、米国で教育を受けたご子息とコミュニケーションが上手に取れないで悩まれていたようですが、いちど道場に見学に来ないかと誘い、武術空手の稽古を施した時に、ご子息が終わった後正座をして入門をお願いされたというくだりでは涙が出ました。親と子、お互いにあまりにも深い愛情を持つ故に、心開く素直なコミュニケーションができません。その緊張関係を一瞬で溶かした瞬間でしたから。

 

なぜ「右脳空手」なのか、この解説は工学の研究者としての大坪教授らしい科学的な解説です。まず「観る」、「入る」の説明を脳科学の研究の「ベンジャミン・リベットの実験的研究―脳の0.5秒の騙し」で説明しています。これは、人は動き起こそうと脳で考える0.5秒前に、無意識に身体は動きを起こし始めている、それから0.5秒経って脳が動きの命令を出す、にもかかわらず脳は命令が出てから体が動いたと錯覚する、とのことです。この0.5秒の間に相手に入り込むと、相手は無抵抗に倒れるようです。この0.5秒は脳波トフォグラフィーとfMRIを使った実験で確認されているそうです。ただこの0.5秒の話は哲学的な論争を呼びます。自分の意思決定が実は自分が決めていない、自分はその結果であるということですが、ここではこれに立ち入りません。章末のURLで。

 

ですから「観る」力があれば、相手の脳が指令を出す前に、体が相手の中に「入る」動きができ、容易に相手を倒すことができるわけです。右脳が体を動かすのです。これが右脳空手の本質だと勝手に理解しましたが。

 

私たちは、2つの情報処理系を持っている事は確かです。ものを考えたり、話したり、書いたりする情報処理系は、意識下の中にあります。一方、鳥肌が立つ、震えが止まらない、飛んできたものを払う、といった身体的な動きは、私たちは意識して脳から指令を出していません。私たちの意識の外にある別の情報処理系があるはずです。その情報処理系は全身にある感覚器官からの情報を収集・分析して、独自に身体の各部に指令を出しているはずです。そして、この2つの情報処理系は情報の交換をしているはずです。

私は専門家ではありませんが、0.5秒の時間差は2つの情報処理系のデータ交換の処理時間ではないかと勝手に思い込みました。そうすると、右脳空手や山岡鉄舟の神業のような剣道、そして麻山慎吾館長の神技を理解できます。こういう私はやはり左脳人間ですか。

大坪教授は最後に「これに出会うために生きてきた」と結ばれています。こみ上げるような感動を覚えました。この本を読んで、自分が少し変わったと思います。もし心に迷いがあれば、この本を読んでみたらいかがでしょうか。大坪教授は論文ではなく、わかりやすい読み物として書かれています。

 

ユーザーイリュージョン 松岡正剛の千夜千冊

http://1000ya.isis.ne.jp/1509.html

http://1000ya.isis.ne.jp/file_path/1536_img05.jpg

 

◆編集後記◆

・ヨーロッパも不安定、アメリカの大統領選挙も大混乱、北朝鮮も異常と来れば、いつもニュースが気になります。

・パナマ文書は各国で政争の具として使われるでしょう。何か起こっても不思議ありません。ロシアはどうでしょう。日本も何か出てきてもおかしくありません。

・待機児童の問題も山尾議員の国会質問で火が付き、一見前に進んできましたが、検事出身にしてはガソリン代、事務所の会計処理の脇が甘いですね。甘利さんも良い仕事をしながら事務所の会計処理が残念です。

・80歳を超えての現役の経営者は、身体は衰えても、思考は問題ないと考えているのでしょうか。生理学的な脳はそれなりの劣化をしているという自覚がないのでしたら、それは認知症でしょう。

・0.5秒の時間差、初めて知りました。それにしても、松岡正剛は改めて見直しました。凄い!

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◆内容・記事に関するご意見・お問い合わせ/配信解除・メールアドレス変更は下記までwebmaster@fukan.jp

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◆俯瞰MAIL 0057号(2016年4月10日)

発行元:     一般社団法人 俯瞰工学研究所

発行人:   松島克守

編集長:   松島克守

URL:      http://fukan.jp

 

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俯瞰メール56号

◆時候のご挨拶◆

北日本では厳しい寒さが続いているようですが、東京では梅の花も咲き、あと3週間

もすれば桜の季節になりそうです。そして花粉症の季節になりましたね。時の流れは

年々早く感じます。今年こそはと考えていた事をすぐに実行しないと、何もしないで

1年が過ぎそうです。

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● 封印されたメルトダウン

● 同一労働同一賃金は日本の構造改革

● 行動しないオバマを見越すプーチンと習近平の行動

● ベトナムに行ってきました

● 眩しい人生

● プラチナセミナー

● 俯瞰のクッキング ―ロートレックのレシピ―

● ニューウェーブの俯瞰 ―アイディア最前線―

● 俯瞰の書棚 「WORK RULES!」ラズロ・ボック

● 編集後記

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◆封印されたメルトダウン◆

全く奇怪というか理解できない話です。東京電力の原子力発電所に関するマニュアル

が5年ぶりに見つかったということです。情報が共有されていなかった?こんなこと

がよく言えますね。マニュアルは、関係者がきちっと情報共有するためのツールで

す。マニュアルも見ることもなく、原子炉運転しているのでしょうか。社内で作られ

たマニュアルですから、書いた本人は内容を熟知しているはずです。そして津波で電

源消失は大事件ですから、マニュアルを思い出すことがないとは、全く不可思議な話

です。

 

炉心溶融という言葉を使いたくなかった、炉心損傷で押し通したかったという意志が

透けて見えます。これには当時の首相官邸の意向も働いていたとの話もあります。炉

心溶融という言葉で国民が、外国人がパニックを起こすリスクを考えて、あえて炉心

溶融の言葉を封印したとも言われています。確かに当時政権にあった民主党幹部から

も、これに対して何のコメントもありません。国民に真実を語る、これが政治の神髄

ではないでしょうか。不都合な真実を隠蔽する、これでは国民は国家を信じなくなり

ます。これでは一億総活性化は、夢のまた夢です。これでまた、国際的な日本の信用

は大きく傷つきます。公が平気で嘘をつくわけですから。

 

最近でも、東京電力柏崎原発では規格違反のケーブルが使用されていて問題になって

います。東京電力の原子力関係者はあまりにも職業倫理に欠けています。これでは一

定程度原子力発電所の再稼働を容認する立場の人々も、ノーというしかなくなりま

す。

 

津波対策を怠ったことで多数の命が失われ、 10万人を超える人たちが帰る家を失い

ました。検察は不起訴にしましたが、当時の東京電力の最高幹部が傷害致死罪で強制

起訴されました。当然でしょう。ただ強制起訴はほとんど無罪になっています。国民

感情からすれば実刑判決が期待されているのではないでしょうか。

 

メディアを含めた日本社会も歪んでいる気がします。明らかな東芝の粉飾決算を、不

適切な会計処理などいう言葉でごまかしているわけです。誰に対して何を隠そうとし

ているのか、意図がよく見えません。できるだけ穏便に、ことを荒立てずに処理した

い、という日本の文化は、社会に対する不正を隠すためならば、これは封印すべきで

す。

 

東電 炉心溶融の判断基準見逃す

http://www.niigata-nippo.co.jp/news/national/20160225237313.html

東京電力、福島県に陳謝 第1原発の炉心溶融で

http://mainichi.jp/articles/20160227/k00/00m/040/022000c

東電、「メルトダウン」社内マニュアルを5年経って「発掘」

http://www.j-cast.com/2016/02/25259646.html

柏崎刈羽原発のケーブル「違反」 規制委、全国の原発に点検を指示

http://www.sankei.com/life/news/160106/lif1601060025-n1.html

東京電力元会長の勝俣氏ら旧経営陣3人を強制起訴

http://www.sankei.com/affairs/news/160226/afr1602260014-n1.html

東電旧経営陣3人強制起訴へ 勝俣元会長「有罪」の現実味は

http://news.livedoor.com/article/detail/11233482/

 

◆同一労働同一賃金は日本の構造改革◆

安倍政権が、同一労働同一賃金を推進しようとしています。これは日本の社会を大き

く改革することになると思います。格差の問題を本質的に改善するには、これは必須

です。久しく議論されてきた、そして先送りになってきた構造改革です。 TPPよりも

この方が本質的な日本社会の構造改革になると思います。それだけに経済界も労働側

も厳しい決心をする必要があります。

 

すでに終身雇用制は幻想です。 一つの仕事、 一つの会社に人生を預ける働き方は、

産業や社会構造があまり変化しない時代では可能ですが、激しいテクノロジーの進歩

で、産業構造が速い速度で変化している時代では、社会もそれに応じて変化しなけれ

ばなりません。終身雇用制では雇用と仕事のミスマッチを吸収できません。一人一人

が人生を会社に預けるのではなく、自分で考えなくてはならない時代になり、働き方

も自分で考えなければならないという厳しい時代になりました。

 

また、企業が非正規雇用という低コスト労働力で収益を上げるビジネスモデルを採用

しているのでは、世界経済の中で日本経済は力強く成長できません。日本は大企業と

中小企業、そして正社員と派遣社員という二重構造で経済成長を維持してきました

が、すでにこのモデルが破綻している事は自明です。特に正社員を減らし、派遣社員

を増やすことで企業の収益を上げていることが格差を生んでいます。ですから安倍政

権にはこの政策を強力に推進してもらいたいです。

 

フルタイム労働者に対するパート労働者の時間当たりの賃金水準は、日本は57%、

ヨーロッパではフランスは9割、ドイツは8割です。まずはドイツの水準にする必要

があります。ドイツ経済はこれで経済が成り立っているのですから。

 

年功序列を軸に残業や転勤、異動、出向が伴う正社員の日本型賃金体系との兼ね合い

は課題ですが、これを理由に現状を維持することはできないでしょう。そして中小企

業はどうするという議論が出てきますが、中小企業が低賃金でないと産業が成り立た

ないのでは、先進国とはいえないでしょう。

 

「働き方改革」これこそがアベノニクスのまともな政策です。

 

「同一労働同一賃金」実現へ首相が法改正方針

http://www.yomiuri.co.jp/politics/20160224-OYT1T50016.html

「同一労働同一賃金」経済界は賛同表明も本音は困惑

http://www.sankei.com/politics/news/160224/plt1602240044-n1.html

生産性の視点が要る「同一労働同一賃金」

http://www.nikkei.com/article/DGXKZO97532180S6A220C1PE8000/

同一労働同一賃金の論点は(Q&A)

http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS23H4Q_T20C16A2EA2000/

同一労働同一賃金/成否は社会の根幹にも及ぶ

http://www.kahoku.co.jp/editorial/20160227_01.html

 

◆行動しないオバマを見越すプーチンと習近平の行動◆

岩礁を埋め立てて人工的に作った島にレーダーや戦闘機を配置するまでに、中国の南

シナ海の実効支配に対する行動はエスカレートしました。もともとアメリカの口先の

介入はするが軍事的な介入はしないという外交が、中国の強硬な南シナ海の実効支配

を許しています。この後、防空識別圏を設定して通過する航空機の事前登録を要求す

るまでに行くかもしれません。

 

かつて、シリアが毒ガス兵器を使用した場合には断固たる軍事介入をすると言ってお

きながら、突然それを反故にしたオバマ大統領です。ブッシュ大統領が始めたイラン

戦争とアフガン戦争から米軍を撤退させたという、感傷的なレジェンドに固執してい

ると誰もが思っています。

 

ですからプーチン大統領もシリアに軍事的な介入を行い、アサド政権によるシリアの

統治を通じてあの地域にロシアの影響力を維持し、このカードを使ってウクライナ紛

争を有利な形で処理し、欧米のロシアに対する経済制裁を終結させようと目論んでい

るのでしょう。

 

オバマ大統領は最近、そのシリアについて“シリアは確かに地獄に落ちたが、たとえ

可能であったとしても、戦火を消すのは米国の役目ではない”と重ねてアメリカは介

入しないというメッセージを、中国とロシアに送りました。冷静に考えればこれは正

しい判断でしょう。もともとブッシュが安易な気合でイラク、アフガンンに地上戦を

仕掛けたのが、事の始まりですから。

 

これを見て、自ら動くしかないと、サウジアラビアとトルコは地上兵力をシリアに送

ることを検討しているといわれていますが、これはスンニ派とシーア派の激突になり

ます。

 

中近東、アフリカ、アジア、中南米のすべての地域でアメリカの影響力は激減です。

だから感情的にアメリカ国民を鼓舞しているのが、トランプ大統領候補です。声高に

支援しているのは貧しい白人ですが、中間層の白人も本音では共感していると思いま

す。となると、ますます世界は不安定な状態になります。本戦でトランプ候補が勝利

するとは思いませんが、このアメリカ国民の感情を、仮にヒラリークリントンが政権

を担当しても無視できません。なにしろ議会の上院も下院も共和党が過半数ですか

ら。

 

オバマ大統領は安倍首相に対して、日本がロシアと接近しないように牽制をかけてい

るようですが、ここはアメリカの言いなりでなく独自のポジションを取るべきです。

 

「中国は東アジアの覇権を追求し南シナ海を軍事拠点化」米太平洋軍司令官

http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2016/02/post-4577.php

米国防総省、中国には南シナ海の実効支配は可能

http://jp.sputniknews.com/politics/20160227/1683870.html

ASEAN、南シナ海情勢「深刻な懸念」声明発表

http://www.sankei.com/world/news/160227/wor1602270042-n1.html

[FT]シリア混迷 ロシアの非情

http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM19H5M_Q6A220C1TZN000/

シリア停戦に向けてアメリカとロシアが共同声明。反体制派の懸念は?

http://www.huffingtonpost.jp/2016/02/22/syria-ceasefire_n_9294754.html

シリア停戦監視に無人機70機が使われる―ロシア国防省

http://jp.sputniknews.com/middle_east/20160227/1689007.html

ロシア、シリアに最新型のスパイ機派遣 空爆強化と関連か

http://www.cnn.co.jp/world/35078118.html

首相訪露にオバマ氏懸念…電話会談で延期求める

http://www.yomiuri.co.jp/politics/20160224-OYT1T50015.html

 

◆ベトナムに行ってきました◆

ホーチミンシティに20年ぶりに行ってきました。 20年前のホーチミンはベトナムが

経済開放を始めた直後でした。街はゴミ箱をまき散らしたような状態でした。むろん

近代的なビルはほとんどなく、自動車もほとんど見かけませんでした。ただいくつか

新しいホテルが出来ていて私たちはそこに泊まりました。

 

20年ぶりのホーチミンは道路にゴミ一つなく、近代的なビルが立ち並び、ピカピカ

の自動車が渋滞するほど走り回っていました。人々は笑顔に満ちて、輝きがありま

す。なにしろ国民の平均年齢が29歳という国ですから、若々しくたくましい成長を感

じさせます。

 

ベトナム戦争当時の大統領官邸が、観光の目玉です。実はここは3回目です。中には

ベトナム戦争の作戦本部や閣議の会議室がありますが、私にとっての見所は、屋上に

あるヘリポートです。ベトナム戦争の終結のとき、アメリカ軍の最後のヘリコプター

が飛び立つ瞬間の映像が今でも鮮明に蘇ります。一緒に連れて行ってほしいという泣

き叫ぶ人人たちが、人の鎖のようにヘリコプターにしがみつき、そしてバラバラと落

ちていった悲惨な光景です。

 

私達の年代は大学生の時にベトナム戦争をリアルタイムのニュースとして繰り返し、

毎日のように見てきました。ですから頭の中に様々な悲惨なイメージが蘇ります。近

くの戦争博物館に回ると、庭にはその当時のヘリコプターや戦闘機そして機関銃や大

砲が展示されています。そして館内には悲惨なベトナム戦争の写真が所狭しと、展示

されています。これを見ていると頭の中が40年前の世界になってきました。

 

サイゴン陥落の後、北ベトナム軍が粛々と進駐し大統領官邸に向かう情景は、当時の

産経新聞の支局長だった近藤 紘一氏の『サイゴンから来た妻と娘』 に描写された世

界として私の頭の中で広がっていきます。サイゴンの全市民が緊張し固唾を飲む中を

粛々と北ベトナム軍が町の中に進駐する緊張感は、この小説の中でもクライマックス

で、素晴らしいドキュメンタリーです。

 

そして再びホーチミンシティの街を見ると、明るくて活動的でたくましい経済成長を

実感させる風景が眩しいような情景として戻ってきます。

 

ホーチミンシティでレストランを経営している日本人の、眩しいような人生に出会い

ました。

 

https://www.youtube.com/watch?v=dqshKMuMnKo

http://mickeymouseclub.ifdef.jp/html/vietnam_rekishi_saigon01.htm

 

◆眩しい人生◆

ホーチミンでトレーニングレストラン“フーンライ(HuongLai)”を経営している白

井尋さんです。このレストランはストリートチルドレンや貧困で学校に行けない若い

人達をレストランのウェイター/ウェイトレスとして雇い学校に通わせ、そしてレス

トランで最高レベルの接客業務ができるように訓練します。そしてその人たちは、市

内の高級レストランに就職してきちっとした社会生活を送るようになります。なかに

はさらに五つ星のホテルに転職してキャリアアップしていく人たちもいます。

 

この方は若い時ベトナムに留学経験があり、貧しいベトナム人をなんとか支援したい

とこのレストランを経営してきたとのことです。驚くことに、寄付でこのレストラン

を経営するのではなく、きちんとしたビジネスとして持続的に経営されていることに

感銘を受けました。これがソーシャルビジネスのあるべき姿だと思いました。寄付で

このようなレストランを経営する例はあるようですが。

 

店の奥で背筋を伸ばして若い人達の動きを見守り、それぞれのテーブルに目配りをし

ている姿は、私にとって眩しいような姿でした。凛としたオーラが眩しかったので

す。一度しかない人生をこのように自己実現する方がいるのです。

 

◆プラチナセミナー◆

元東大総長の小宮山宏先生が主宰するプラチナ構想ネットワークの活動について、深

く理解していただくためにプラチナセミナーを企画しました。第一回目は、私が知る

限り日本で最も成功している地域プロジェクト“グランドワーク三島”の20年以上に

わたる活動をご紹介します。

 

日 時:2016年4月8日(金) 19:00 ― 20:20(18:40受付開始)

場 所:東急キャピトルタワー4階会議室又は霞ヶ関ナレッジスクエア

講師:渡辺豊博氏(グランドワーク三島 専務理事)

 

渡辺氏は、現職地方公務員時代から地域起こしの活動を精力的に行い、どぶ川の清掃

を一人で始めるところから、多くの市民を巻き込んで“水の都 三島”を再生させま

した。その道のりを中心に、真の協働と真の地域再生について伺う貴重な機会となっ

ております。

なお、講演終了後、60分程度の懇親会がございます(参加費2000円)。講師の先生、

また参加者相互の貴重な交流の機会ですので、あわせてご参加いただければ幸いで

す。

お申込みアドレス:register@platinum-network.jp

 

◆俯瞰のクッキング ―ロートレックのレシピ―◆

前回ロートレックの「カスレ」のレシピを紹介しましたが、ロートレックの料理本を

買ってみました。まさにロートレックは本物のシュフです。たくさんのレシピが紹介

されていますが、手が出るレシピは限られています。貴族階級であったロートレック

ですので狩りの獲物料理、いわゆるジビエ料理のレシピがありますがこれは手が出ま

せん。

 

最初にいろんなソースのレシピがありますが、かなり手が込んでいて家庭で作るには

重いですね。現在のフランス料理はヌーベル・キュイジーヌですが、この本のレシピ

はオートキュイジーヌと呼ばれる伝統的な料理です。

 

魚料理はいくつもありますが、川マスのレシピが多いです。冷蔵・冷凍設備のない時

代には、海岸近く以外では川マスが手に入る魚だったのでしょう。うなぎのレシピが

ありますが、いずれも皮をむくとあります。焼いた魚の皮はヨーロッパでは食べない

のでしょう。

 

ブイヤーベースのレシピもいくつかありますが、興味深いのは沸騰すると一旦火を止

め、また火を戻して3回ほど煮ることによってスープが美味しくなるというレシピで

す。また

また最初に魚と野菜を炒める時に使うオリーブ油の量がかなり多いですね。

 

レシピの中によく登場するのはバター、クリーム、卵黄そしてルーをかく、という言

葉です。また陶製の大きなシチュー鍋、がよくでてきます。オーブンは400度とあり

ますが、家庭のオーブンではとても無理ですね。

 

家畜料理のレシピはジビエ料理とは別の章になっていますが、これもなかなかレベル

が高く、われわれが家庭で作るレシピは限られています。その中で手が出そうなレシ

ピはこんなところでしょうか。

 

“ベシャメルソース”、これは、いわゆるホワイトソースです。問題ありませんね。

 

“貧乏人と呼ばれるソース”、これは赤ワインビネガーにみじん切りのパセリ、玉ね

ぎ、エシャロット、そして胡椒だけを加えてカキや貝類に使うということです。オイ

スターバーに行くとこれがでてきますね。

 

“ボルドー風の魚のスープ”、“地中海風の魚のスープ”、は地中海産の魚を使うか

北大西洋で取れる魚を使う違いがありますが、基本的にはブイヤーベースです。

 

“マスのクリーム煮”、これは内臓を取ったマスの腹に粒胡椒を2、3粒入れ、外側に

バターを塗り、塩胡椒をして焼き網で焼きます。そしてバターを塗った耐熱性の皿に

のせ、クリームをかけてオーブンでゆっくり煮るとあります。

 

“マスの水煮”、これは、内臓を取ったマスを、酢と少々の塩を入れて煮たてた鍋に

(クールブイヨン)、生きたままのマスを放り込むとあります。ニジマスは頭を叩い

て気絶させてから内臓をとるので、生きたままというのでしょう。そして、煮上げた

魚に溶かしバターをかけます。これはニジマスで何回かやったことがあります。クー

ルブイヨンは、本には数字はありませんが、水カップ3杯に酢を1/3カップ塩を小さ

じ2杯です。

 

“ブイヤーベース”、 かなりの好物であったようで、いくつもレシピがあります。

その一つ、6人前で地中海産の魚を3 kg用意するとあります。上質のオリーブ油を3/

4リツトル、みじん切りのタマネギを2個、ニンニクを5かけら、パセリ1束、タイム

少々、カイエンペッパーひとつまみ、新鮮なトマト5個、サフラン小さじ1/2杯、

荒塩大さじ1杯。

油がクリーム状になるまで野菜と調味料を鍋で絶えずかき混ぜながら、そして魚を入

れる。そして30分ほど置く。ここまでは火にかけないとのことです。具にする魚を取

り分けておき、一人当たり水を大きなコップに1杯すなわち6杯加える。 10分ぐらい

グラグラ煮たたせ、コップ1杯の冷水を入れ沸騰を鎮める。取り分けておいた魚を戻

して、再び3分間沸き立たせ、またコップ1杯加え沸騰を静まらせて、また沸騰させ、

またコップ1杯加え、さらに5分煮立てて、全体として18から20分間煮る。結局全部で

コップ8杯の水を加えることになる。3度沸騰させ2度沸騰を鎮めるプロセスで乳化し

た油は煮汁と混じり全体が完全に溶け合いとろみが出る、とあります。このほかに英

仏海峡風ブイヤーベースもありますが、これは地中海産の魚を用いないことだという

ことです。すぐに炒めるレシピもありました。

 

“ビーフシチュー”、面白いことに、ポトフで煮た後の牛肉を使うとあります。バ

ターを塗った陶製の皿に肉を並べて塩胡椒し、ブラウンソースをかけ、バターを乗せ

て、パセリのみじん切りを混ぜたパン粉をかけて、オーブンで焼くとありますが、

我々のビーフシチューとはかなり違っていますね。この昔ながらの料理法はすたれつ

つあるともあります。

“肉と白インゲンの煮込み(カスレ)” 、これは野菜や様々な肉のスープを用意

し、陶製の皿に煮込んだ白インゲンを敷き、その上にソテーした羊肉と鵞鳥の切り身

を置きスープをかけてパセリを混ぜたパン粉をかけてオーブンで焼くとあります。こ

のレシピもトマト仕立てのスープを作る部分に力が入っています。

 

この本は、各ページにロートレックが書いたデッサンがありますので、これを見てい

るだけでも結構楽しいです。

 

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8C%E3%83%BC%E3%83%99%E3%83%AB%E3%82%AD%

E3%83%A5%E3%82%A4%E3%82%B8%E3%83%BC%E3%83%8C

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AA%E3%83%BC%E3%83%88%E3%82%AD%E3%83%A5%

E3%82%A4%E3%82%B8%E3%83%BC%E3%83%8C

 

◆ニューウェーブの俯瞰 ―アイディア最前線―

毎日の様にアイディアに満ちた面白いものが発売されています。その中でちょっと

触ってみたいな、買ってもいいかな、と感じたものをいくつかご紹介しましょう。

どれも買っていませんが。

 

・オリンパスの「OLYMPUS AIR A01」

一眼レフカメラの交換レンズのような円筒型のスタイルで、“レンズ型カメラ”で

す。一見して普通のデジタルカメラらしくはないが、有効1,605万画素のマイクロ

フォーサーズセンサーを搭載する、れっきとしたミラーレスカメラです。液晶ディス

プレイや光学ファインダーを持たずに、撮影時の映像はスマートフォンのアプリで確

認するスタイルです。スマートフォンとの接続には、Bluetoothと無線LANを利用。ド

ローンやロボット、機器、壁などに装着すると面白いことができそうです。

 

・水中ドローンOpenROV

潜水可能な深度は100メートルまで、動作可能時間は2時間。OpenROVは自分で組み立

てるなら、11万8800円(税込)という驚異的な低価格です。そして購入してすぐに使

える水中ドローンOpenROV v2.8 水中観測キット【組立調整済】は37万8000円(税

込)。

 

・株式会社ドスパラUSBハブ付きOTGカードリーダー

スマホでマウスが使える!上海問屋がUSBハブ付きOTGカードリーダーを発売しまし

た。Androidスマートフォンやタブレット、PCなどで使用できるカードリーダーとハ

ブ機能を持った変換アダプター。OTG機能に対応しているスマートフォンやタブレッ

トに接続することにより、フラッシュメモリやマウス、キーボードなどを使用できま

す。

 

・アルカテル、本体が入っている箱がVRのヘッドセット

日本ではそれほど見かけない「アルカテル」のスマホですが、注目を浴びているのが

その最新機種。本体のスペックも良いですが、本体が入っている箱がVR(バーチャル

リアリティ)のヘッドセットになります!

 

・日産INTELLIGENT PARKING CHAIR

会議などで使ったあと、てんでんばらばらの場所に置いても、手を叩くだけで、もと

あった場所に戻っていく。イスの形をした、ちょっとしたロボットですね。駐車アシ

スト技術から着想を得たとのことです。

 

・GPSをインチレベル(約2.5cm)まで正確にする技術

GPS受信機は、地上2万 kmを飛行する衛星が発射している電波をとらえて、地球上の

自分の位置情報を出力してくれます。それ自体だとだいたい30フィート単位(約9m)

で位置を特定してくれます。最近の技術である、DGPSは、位置の分かっている基準局

が発信するFM放送の電波を利用して、GPSの計測結果の誤差を修正して精度を高めて

くれるので、3フィート(約90cm)単位まで精度が上がりました。

 

そして、カリフォルニア大学リバーサイド校の研究チームが、センサーから慣性測定

で定期的にGPSデータを増強する技術と、数桁のオーダーで計算の複雑さを軽減する

という新しいアルゴリズムを開発しました。この技術がモバイルデバイスに搭載され

るGPSシステムは、インチレベルの精度で位置を計算することができるようになりま

す。まだ製品になっていませんが、この技術を何に使いましょうか。

 

オリンパスの「OLYMPUS AIR A01」

http://dc.watch.impress.co.jp/docs/review/olympusair/20160217_743161.html

価格破壊な水中ドローン「OpenROV」

http://sorae.jp/030201/2016_02_17_rov.html

スマホでマウスが使える!

http://www.mdn.co.jp/di/newstopics/44099/

スマホの箱がそのままVRヘッドセットになる

http://www.gizmodo.jp/2016/02/alcatel_smartphone_VR_headset.html

日産がつくった「すごいイス」―使ったあと自分で元の場所にもどる

http://internetcom.jp/200233/nissan-smart-chair

位置情報がセンチ単位で正確になる、新しいGPSテクノロジー

http://www.gizmodo.jp/2016/02/gps_reserch.html

http://ieeexplore.ieee.org/xpl/articleDetails.jsp?reload=true&arnumber=7

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◆俯瞰の書棚◆

今回のご紹介は「WORK RULES!」ラズロ・ボック 東洋経済新報社 2015 です。

 

この本はGoogleの人事システムの紹介の本ですが、まさにGoogle発展の秘密を解き明

かしています。著者は、秘密主義と嘘と恐怖が蔓延していた共産主義政権下のルーマ

ニアからの移民ですが、その職歴が凄いです。デリカテッセンやレストラン、図書

館、高校生の家庭教師、日本で小学生に英語を教え、テレビ俳優、そしてコンサルタ

ントなどの多様な仕事を経験した後、“あらゆる企業の人材の使い方に変化をもたら

す方法を見つける”ことを目指し人事部の仕事を始めたとあります。マッキンゼーの

コンサルタントからGEの人事部に、そしてGoogleの人事部に移りました。

 

そして半分以上の時間を人事問題に費やしていたジャック・ウェルチの下で、業績に

基づいて社員を厳格にランク付けする人事システムを作り上げ、ニューヨークのクロ

トンビルにグローバル研修センターをつくるという仕事をしています。GEの人事シ

ステムはトップ20%ミドル70%ボトム10%に社員を振り分けるシステムです。トップ

の社員は特別扱いを受けリーダーシップ研修、ストックオプションといった報奨を手

に入れ、ボトム10%は解雇されます。

 

ジャック・ウェルチとジェフ・イメルトとの違いも述べています。ジャック・ウェル

チはsix sigma と人材を重視した、イメルトは売り上げとマーケティングを重視した

とあります。すなわち「エコマジネーション」です。そしてこの後Googleに移りま

す。上場から2年後のことです。

 

Googleは毎年約200万通の就職申請を受けるとのことです。そして雇う人数は数千人

ですからものすごい難関です。

 

全体で14章から成り立っていますが、第1章は創業者になろう(創業者のように振る

舞う)、第2章は文化が戦略を食う、です。戦略の基底にある文化が大切だというこ

とですが、これはピーター・ドッカーの言葉で、フォードの戦略会議室に貼ってある

そうです。

 

 Googleの文化の基底は、“ミッション”、“透明性”、“社員の発言権”です。そ

して第14章に、いわばこの本のエッセンスが集められています。“チームと職場を変

える10のステップ”です。

 1.仕事に意味を持たせる。

 2.人を信用する。

 3.自分より優秀な人だけを採用する。

 4.発展的な対話とパフォーマンスマネジメントを混同しない。

 5.「2本のテール」に注目する。

 6.金を使うべきときには惜しみなく使う。

 7.報酬は不公平に払う。

 8.「ナッジ」きっかけ作り。

 9.高まる期待をマネージメントする。

10.楽しもう!

 

この本読んでない人には、少し説明がいるでしょう。発展的な対話とは、どうしたら

もっと成長できるかというカウンセリングで、この会話と業績評価の話を一緒にする

な、です。

「2本のテール」というのは、すばらしい業績を上げている優秀な社員と業績が上が

らない社員のことです。すばらしい業績を上げている社員を丁寧に観察し、そこから

有効な情報を学び、業績が上がらない社員は能力が無いのではなく、与えられている

役割が不適切だと考えて、それを正すことです。

 

「ナッジ」とは、相手に気づかせて人生を良い方向に導いてあげることです。例えば

浪費をしないで、少しでも年金の積立金を増やしたほうが将来幸せになるとか、健康

についての習慣などを助言することです。

 

金を使うということは、Googleでは社員が死亡した場合、パートナーに未行使のス

トックオプションに相当する金額を払い、さらに社員のパートナーに10年間 給与の

60%支給し、子供がいる場合は19歳なるまで1人につき月1,000ドルを加算するという

手厚い、驚くようなお金の使い方です。

 

採用について興味深い記述があります。マネージャーに面接を任せると自分より優秀

な人を取らないから、専門のリクルーターが科学的なインタビューで面接します。そ

して自分より優秀な人だけを採るとあります。もっと採用に時間とお金をかけろとい

うことです。しかも心理学や社会学の博士の学位を持つような専門家を雇い、採用と

いうプロセスに科学を導入しています。またアイヴィーリーグの有名大学よりも州立

大学のトップクラスの人材をねらえということも面白いですね。ともかく驚くような

人材を世界中から発掘して採用するというのがGoogleの採用政策です。

 

採用に関するルールは、

1.求める人材の質の基準を高く設定する。

2.自分自身で採用候補者を見つける。

3.採用候補者を客観的に評価する。

4.採用候補者に採用の理由を伝える。

 

そして膨大な時間をかけた採用プロセスの開発で、最適な面接回数は4回、が結論で

す。ただし直感を信じるな、第一印象に囚われるなとあります。凡庸な面接者は最初

の5分間の印象で評価を行うとも言われていますし、さらに研究によれば面接の結果

は、最初の10秒で下された判断から予測できるともあります。Googleは、訓練された

面接者が複数で丁寧に面接するのです。そして確立された科学的な面接の手法は、構

造的行動面接と構造的状況面接を認識能力、誠実さ、リーダーシップの評価と組み合

わせるものです。この詳細は、本書を読まないとわからないと思いますが。

 

面接での質問の仕方についても興味深いGoogleのノウハウがあります。候補者が

Googleで成功するかどうかを予測できる4つの明確な属性があります。

1.一般認識能力、頭の良い人材です。

2.リーダーシップ。

3.Google的であること、ゆかいなことを楽しむ、従業員ではなくオーナーであって

ほしい、曖昧さを楽しむ。

4.職務関連知識、 Googleではコンピュータ・サイエンスに関する専門知識を重視

するようです。

 

また良いマネージャーの条件として、

1.良いコーチであること、

2.チームに権限を委譲しマイクロマネジメントをしないこと、

3.チームメンバーの成功や満足度に関心や気遣いを示すこと、

4.生産性・成果志向であること、

5.話を聞き情報を共有すること、

6.チームメンバーのキャリア開発を支援すること、

7.チームに対して明確な構想と戦略を持つ事、

8.チームに助言できるだけの重要な技術スキルを持っていること。

 

この本は、著者が作ったGoogleの最強の人事システムの紹介であり、その結果を披瀝

する本でもあります。

 

本書は人事関係者、部下を持つ管理職はもとより、経営トップが読むべき本です。そ

して人事と採用にもっともっと時間を割くべきだという自覚することになるでしょ

う。精鋭を集めることです。業績に悩んでいるであればGoogleに学ぶことです。

 

Google成長の秘密は、“社員に自由を与えれば驚くようなことをしてくれる、社員に

与える責任、自由、権力の程度は安心して与えられるよりもやや大きくしよう、あな

たが不安を感じないとすれば十分に与えていないということだ。”です。

 

 

◆編集後記◆

●アメリカ大統領選挙もクリントンとトランプの対決の様相になってきましたが、土

壇場で元ニューヨーク市長のブルンバーグの線もあるのでしょうか。

●日本の野党連合も進みつつありますが、国民の期待感はありません。政策のヴィ

ジョンがない人たちの野合でも、与党と対峙する勢力は牽制の意味で必要ですが。

●格差、貧困をなくす努力は、この国を風格ある国にして次世代に引き継ぐために必

要です。無論、各自が自分で努力する必要がありますが、努力をする場、働き場所が

必須です。

●英国のEU離脱で揺れる欧州ですが、軸となるドイツのメルケル首相が選挙で勝利し

たことでホッとした感じです。日本、米国、ドイツで国際社会の安定を担わないとい

けませんから。英国はAIIBやイラン戦争の様に当てになりませんから。

●Googleの人事システムは凄いですね。知り合いがいますが、内部の競争は凄くて、

本書に書いてあるように楽しんでいる人ばかりではない様です。ジョブセキュリティ

が全くないと、こぼしていましたから。創業者も移民で、逞しい自立心が日本人と違

います。逞しい移民が、米国社会を活性化しています。そんな逞しい移民を、日本社

会は受け入れられるのでしょうか。

 

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◆内容・記事に関するご意見・お問い合わせ/配信解除・メールアドレス変更右記ま

でwebmaster@fukan.jp

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◆俯瞰MAIL 0056号(2016年3月5日)

発行元:     一般社団法人 俯瞰工学研究所

発行人:   松島克守

編集長:   松島克守

URL:      http://fukan.jp

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俯瞰メール55号

◆時候のご挨拶◆

寒波だ、雪だと振り回されているうちに、気が付けばずいぶん日が長くなっています。夕刻5時でも明るいですね。ベランダのセージやバジル、ミント、イタリアンパセリ、タイム、マジョラム、みんな緑のまま越冬して新芽を出しそうです、やはり暖冬でしょうか。

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● 難民対応に苦しむヨーロッパ

● オバマ政権で崩れゆくのかアメリカ

● 18歳の新有権者はどこの党に投票するのか

● 俯瞰のクッキング―我が家の簡単料理―

● ニューウェーブの俯瞰―車の自動運転―

● 俯瞰の書棚 「都市の原理」ジェイン・ジェイコブズ

● 編集後記

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◆難民対応に苦しむヨーロッパ◆

トルコの海岸に打ち上げられた難民の男の子の写真から、ドイツを中心に積極的に難民を受け入れて支援しようとする動きがありました。

 

国連の高等弁務官事務所の集計によると、“年初から100万573人が欧州に上陸し、14年(約22万人)の5倍近くに上った。上陸できずに海で死亡したり行方不明になったりした人は3735人を数えた。上陸地点はギリシャが約84万人、イタリアが約15万人を占めた。出身地別では内戦が続く中東のシリアが49%で、アフガニスタン21%、イラク8%、アフリカのエリトリア4%と続いた”とあります。その大半が、バルカン半島の旧ユーゴスラビア諸国を北上するルートなどを通り、ドイツや北欧諸国に向かったと言われています。

 

ところがここに来て、風向きが変わりました。直接のきっかけは12月31日に起きたケルンでの難民による集団的な犯罪の事件です。 一時はロシア系のドイツ人の少女が難民から集団的レイプを受けたと報じられ、さらに難民に対する反発が高まりました。これは少女の茶番であったということがわかりましたが、難民に対する感情の爆発を引き起こしました。

 

そして寛容な社会で有名だったデンマークでは、難民の財産を没収するという法案が成立しました。法案は、難民申請をした人の現金や所持品が1万デンマーク・クローネ(約17万円)を超す場合、当局が超過分を没収できるとする内容。腕時計や携帯電話、コンピューターなども対象となり得る。一方、例外として結婚指輪や婚約指輪、家族写真、勲章やメダルといった「特別な思い入れのある貴重品」の没収は認めない方針、とのことです。

 

またヨーロッパの中でも最も移民と難民に好意的だったスウェーデンが、難民申請を却下した移民を強制的に送り返すと言う決定をしました。スウェーデンのイェーゲマン内相は27日、難民申請を却下した移民8万人を国外退去させる見通しだと発表しました。数年かけて、チャーター機で国外に移動させる方針ということです。

 

EU各国に働きかけて、積極的に難民を移民として受け入れる決定をしたドイツのメルケル首相も、今や苦しい立場になっているようです。さすがに各自治体も受け入れに悲鳴をあげ、そしてケルンの事件もあり、国会でも難民受け入れの拒否が強くなっています。

 

もともとこれらの難民は、欧米列強が中近東やアフリカに身勝手な介入を行い、統治体制を破壊した結果生じました。さらにシリアでは、ロシアが介入することによって絶望的な状況になり、シリア国民は生き残るために、国境を越えて安全な場所に家族を移さざるを得ません。シリア難民を大量に受け入れているヨルダンやトルコなどに対する財政支援もおこなわれていますが、収拾のめどは全くついていません。それどころかサウジアラビアとイランの対立は、この地域にあからさまなスンニ派とシーア派の宗派対立を激化させ、今後さらに事態が悪化する可能性すらあります。

 

日本はこの地域から遠隔にありますから、他人事のように思うかもしれませんが、もし北朝鮮の統治体制が混乱することがあれば、大量の難民が中国、韓国そして日本に押し寄せる可能性があります。この可能性があるために、中国は北朝鮮に対して厳しい制裁を課すことをためらっています。万が一にもこの状況になったとき、日本はどう対応するのか議論をしておく必要があるでしょう。イージス艦ではこれは防げませんから。

 

海岸に打ち上げられた移民男児の遺体、欧州各国で波紋呼ぶ

http://www.afpbb.com/articles/-/3059247?pid=16406551

ヨーロッパへ海路で渡った難民が100万人を突破~12月31日現在

http://globalrc.hatenablog.com/entry/2015/12/31/110018

大みそかの集団性犯罪に抗議、デモ隊と警察が衝突 独ケルン

http://www.cnn.co.jp/world/35076020.html

「難民が集団強姦」、少女の作り話だった ドイツ

http://www.cnn.co.jp/world/35077204.html

デンマーク、難民の財産没収法を可決 欧州の強硬姿勢に拍車

http://www.cnn.co.jp/world/35076875.html

非EU市民の流入に好意的な意見が大多数はスウェーデンのみ

http://www.huffingtonpost.jp/ginko-kobayashi/welcome-or-not-refugees_b_8107318.html

スウェーデン、亡命希望却下の移民8万人を国外退去に

http://www.bbc.com/japanese/35426146

難民政策で揺れる独の連立 「受け入れ限界」各地で悲鳴

http://www.sankei.com/world/news/160120/wor1601200021-n1.html

 

◆オバマ政権で崩れゆくのかアメリカ◆

アメリカ大統領選挙は理解しにくいような、ある意味見苦しい様相を示しています。トランプ候補とかサンダース候補が、あれだけの支持を広げている事は、明らかにアメリカ社会の中に大きな断層、亀裂があり、流動的で不安定な状態にあるとしか思えません。ただオバマ大統領はダメとは言え、アメリカは依然として唯一の超大国であり、この混乱の極みにある世界情勢に対して指導力を発揮してもらわなければならない国ですが、現在のオバマ政権は全くこの点において機能不全です。むろん国内においても機能していないのでしょう。涙を流して銃規制を訴えましたが、全く実効性がなく、茶番劇の様相です。

 

ブッシュ大統領が始めたアフガンとイラク戦争を終結させることを公約に当選しましたが、終結どころかさらに状況は悪くなりました。にもかかわらず何もしていません。何をしていいのか判らないのでしょう。外交担当のライス補佐官も問題あるようですが。

 

シリア情勢では全く無能ぶりを発揮し、結果として東地中海にロシアに軍事的な拠点を作らせてしまいました。ウクライナ情勢でも全く指導力がありません。加えて欧州が苦しむ難民問題についても何もできていません。

 

中国の覇権主義に対しても何も対応できずに、中国のAIIBの創設、南シナ海の不法占拠を見ているだけです。むろん北朝鮮に対しても何も対応できていません。

 

このオバマ政権を見てきたアメリカ国民は絶望的な気持ちになり、その捌け口としてトランプ候補やサンダース候補を支持しているのではないでしょうか。 2人とも可能性は無いと思いますが、アメリカ大統領になるととんでもない世界になってしまいそうです。

 

ブッシュ大統領に絶望したアメリカ国民は「チェンジ」の言葉に酔って、政治経験がほとんどないオバマ大統領を選択しましたが、結果としてアメリカの弱体化をもたらし、国際情勢の混迷化と国内の分断を生みました。民主主義の欠陥が顕在化しました。すなわち意味不明なアメリカ大統領選挙の状況は、オバマ大統領が作りだしたものだと言っていいでしょう。

 

日本にとって最も重要な同盟国であるアメリカの状況を、構造的に認識する必要がありますが、一般的なニュースだけからでは、本質に迫る認識を得ることができません。下記にある国際政治、アメリカ政治の専門家のブログは参考になると思います。私も読んでアメリカの認識が深まったと思います。御一読をお勧めします。3人のブログを読むと俯瞰の視野角が広がります。

 

逆転しつつある「オバマ」と「ブッシュ」の評価 会田弘継

http://www.huffingtonpost.jp/foresight/barack-obama_b_5885496.html

悲しき米大統領─オバマはなぜ期待外れなのか 石澤靖治

http://www.yomiuri.co.jp/adv/gakushuin/opinion/op002/page_01.html

「トランプ現象」で浮き彫りになった米社会の「地殻変動」 会田弘継

http://www.huffingtonpost.jp/foresight/donald-trump-america_b_8892664.html

米大統領選 共和党最有力候補マルコ・ルビオとは? 室橋祐貴

http://www.huffingtonpost.jp/yuki-murohashi/us-president-campaign_b_9001618.html

 

◆18歳の新有権者はどの党に投票するのか◆

夏の参議院選挙まで半年を切りましたが、政界の混乱は目を覆う惨状です。民主党と維新の会の統合の話も宙に浮いています。五野党で参議院1人区の候補一本化を議論していますが、政治に対するビジョンのないまま、これを進めても国民の支持を得る事は出来ないでしょう。自民党から野合と言われても反論できません。政策と公約のすり合わせもなしに一本化するわけですから。甘利経済相と遠藤五輪相の口利き疑惑のようなゴシップを予算委員会で議論するのも驚きです。そもそも予算委員会でなぜ政策と予算の整合性を議論しないのでしょうか、驚くべき永田町の常識です。もともと国民は永田町政治に期待もしていませんが、今度の選挙から新しい有権者になる18歳の人たちはどうすればいいのでしょう。彼らに対してどの政党も何もメッセージを出していないのです。

 

アメリカ大統領選挙のサンダース候補の支持者は既成の政治家に愛想をつかして政治家としての実績が殆ど無い彼を支持をしているのでしょうが、日本の若者は誰を支援していいのかわからないでしょう。結果として政治に対してさらに無関心になるのか、シールズのような新興勢力に支持が集まるのか、はたまた論理整然に聞こえる共産党に投票するのでしょうか。

 

日本の将来や改革に責任ある政党であれば、若い有権者に分かりやすい、未来に希望が持てるビジョンを熱く語るべきではないでしょうか。

 

最近の国会の質問では玉木雄一郎議員と山田太郎議員の質問が秀逸です。是非下記をお読みください。この二人に日本の未来を任せてもいいという気がします。

 

山田太郎議員の、「有害」図書の軽減税率排除という菅発言に対する質問

http://togetter.com/li/927296

参議院議員 山田太郎 オフィシャル Web サイト

https://taroyamada.jp/?page_id=1613

【衆院予算委】「税収下振れが戻ったからと使っては財政再建はできない」玉木議員

https://www.dpj.or.jp/article/108294

衆院予算委員会 安倍首相、憲法9条改正の必要性に言及

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160203-00000609-san-pol.view-000

 

◆俯瞰のクッキング―我が家の簡単料理―◆

料理自体が好きですから、手抜き料理を意識していませんが、本格的な手の込んだレシピも大変ですから簡略化します。ここでは意識的に簡略化した美味しい料理をいくつか紹介しましょう。

 

山菜の王様と言われるタラの芽は、天ぷらが一番美味しいと言われますが、衣を用意したり油で揚げたり手間がかかります。フライパンでオリーブオイルかバターでゆっくり炒めるとタラの芽の風味を十分楽しめます。

 

つぎは最近ハマっているレシピです。この季節は子持ちのヤリイカを魚屋で見かけます。いろいろな食べ方がありますが、トマトソースで、中火で15分ないし20分ほど煮るだけで美味しいヤリイカのトマトソース煮ができます。我が家ではトマトソースをまとめて作って小分けして冷凍してあります。今回はさらに簡略化して、カゴメのトマトソースの缶詰を使ってみました。鍋にトマトソースを入れ、そこに背骨を抜いたヤリイカ四ハイ入れて、蓋をして中火で20分ほど煮ただけです。ただそれだけですが、美味しい料理が完成しました。カモメのトマトソースの缶詰にはオリーブ油ベースのものと大豆油ベースのものがありますからご注意を。

 

南フランスの家庭料理にカスレという肉の煮込み料理があります。鴨肉、羊肉、豚肉、ソーセージなどのゴロゴロした肉と白インゲンの水煮にトマトを加えて煮込んだものです。最後にパン粉を振ってオーブンで焦げ目をつける、というレシピが一般的です。手間がかかるような料理に見えますが、これも意外と簡単にできます。

 

玉ねぎと人参、好みでニンニクのみじん切りを炒めて、そこにゴロゴロに切った肉を入れて炒めて、そこに白インゲンの水煮の缶詰もしくは紙パック入りを入れて、トマトジュース缶を入れて、ヒタヒタくらいまで水を足し、チキンコンソメか顆粒の鶏ガラスープを加えて、中火で40分ほど煮るだけです。そして塩胡椒で味を整えます。今回は鴨肉の燻製パックとベーコンを使いましたが、ソーセージだけで十分です。パン粉で焦げ目をつけなくても十分おいしいですが、耐熱皿に移してパン粉を振り焦げ目をつければ本格的です。元々は「カソール」という土鍋で作る料理なのでカスレとなっていたとのことです。ネットで見ると「カソール」は2‐3000円で売られています。

 

この料理との出会いは画家のロートレックが “お袋の味”として好物だったという雑誌の記事を見たことです。ロートレックは病弱で36歳で亡くなりましたが、貴族の出身で美食家ですから、そのレシピは豪華なものになっています。

 

トマトですが、普通のレシピでは湯?きにして種を取ったトマトを入れるとか、トマトの水煮の缶詰を入れるとありますが、生のトマトを湯?きにして種を取るのは手間かかりますし高価です。トマトの缶詰は量が多いので、残りの始末に頭を使います。その点トマトジュースの缶詰は簡便で、ビーフシチューやパエリア等にも活用しています。トマトジュースはカゴメの“夏しぼり”を愛用しています

http://shop.kagome.co.jp/lineup/summer/voice.html

 

◆ニューウェーブの俯瞰―車の自動運転―

車の自動運転は未来の話だと思っている人が多いかもしれませんが、すでに商業化が始まりました。電気自動車のテスラは1月15日に自動運転機能を含む新しいソフトウェアの配信を始めたと発表しました。今回配信される自動運転機能は、主に高速道路と自動車専用道路で自動運転が可能な「オートパイロット」、ウインカーを出せば自動的に車線を変更する「オートレーンチェンジ」、縦列と直角の駐車が可能な「オートパーク」の3つの機能です。ともかく、日本でも国土交通省の承認を受けて、公道での自動車の自動運転が始まったのです。そしてソフトウェアのダウンロード、インストールで車の機能がバージョンアップします。時代は変わったのです。これを改めて感じさせてくれます。

 

完全自動運転の電気自動車を2015年から公道で試験しているGoogleも着々と完成度を上げているようです。 Googleの自動運転車は実際に公道を走ると同時に、仮想空間で毎日480万キロドライブして安全性をチェックしているようです。

 

Appleも自動運転の技術開発を進めているようですが、 Googleとは少し違う自動運転カーになると言われています。たぶんAppleはソフトウェアを製品として自動車各社に提供するのではないでしょうか。

 

2020年の実用化を目指し、Google, Apple以外にも多くの企業が自動運転の開発に現在乗り出しています。アメリカ政府も自動運転車の研究に今後10年間で40億ドルを投資すると言われています。自動車の将来を決めるのは現在の自動車会社ではなくGoogleとApple、Teslaでしょう。

 

完全自動運転車にあまり積極的でなかったトヨタ自動車も、イノベーションの波に完全に置いていかれたことにやっと気がついて、米国に人工知能の組織を立ち上げていますが、相当ハンディがついてしまったと思います。私自身コンピューター産業の中に身を置き、巨人IBMが時代の波に乗ることができず、凋落していった状況を目の当たりに見ていますから、トヨタという巨人がこれと同じような凋落をする可能性を否定できません。

 

日本の自動車企業は、自動ブレーキには遅ればせながらも、なんとかキャッチアップしていますが、この自動ブレーキの威力は大きく、事故が6割も減ったということです。このため自動車保険の価格が下がるとも言われています。

 

時代の波、イノベーション波に付いていかない、ついていけない、これで日本の電機産業も、 IT産業も凋落していきました。自動車産業お前もか、という気持ちがします。

 

本来才能も知識も才気もある日本人が、組織という枠の中でこれを発揮できていないという事は疑う余地はありません。言った事はやれ、という“有言実行”の教え、目立つことなくきちっと仕事をする、周囲の空気を読む、日本の大企業が持つこの文化がイノベーションの阻害要因です。

 

自動運転社会始まる。国交省が承認し、テスラ「モデルS」用自動運転ソフトウェアの配信開始

http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/20160115_739177.html

Googleの自動運転カーは毎日480万kmを仮想空間でドライブし安全性をチェック

http://gigazine.net/news/20160203-google-self-driving-simulation/

Apple、自動運転技術の開発に着手 ??10年単位でビジネス化を計画か

https://web-at.jp/2015/02/business-of-apple-automatic-operation-technology/

Appleの電気自動車は2019年リリースで、Googleとは異なり自動運転カーではない可能性

http://gigazine.net/news/20150924-apple-electric-car-2019/

米政府、自動運転車研究に今後10年間で40億ドルを投資

http://jp.techcrunch.com/2016/01/15/20160114us-government-plans-to-invest-4b-into-autonomous-driving-research-over-the-next-10-years/

Google自動運転の成功の裏に隠された、人工知能技術の可能性とは?

http://getnews.jp/archives/1319959

車の未来変えるのはグーグルやアップル=奥山清行氏

http://jp.reuters.com/article/okuyama-i-idJPKCN0SL0CT20151027

日産が自動運転で目指す「ヒトと機械の共生」

http://toyokeizai.net/articles/-/97364?page=2

トヨタの自動運転、知られざる開発方針転換そして「その先」をにらむ日産

http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/264450/011700019/?rt=nocnt

自動ブレーキで事故6割減 変化迫られる自動車保険

http://trafficnews.jp/post/47865/

 

◆俯瞰の書棚◆

今回の紹介は「都市の原理」ジェイン・ジェイコブズ 鹿島出版会2011(1969) です。此の本は既にこの欄で一度紹介していますので2回目です。

 

今年はジェイン・ジェイコブズ生誕100年、没10年ということで、この機会に、ジェイコブズの全体像を描き出したいということで、雑誌『環』の別冊として「ジェイン・ジェイコブズの世界 1916-2006」の企画があり、その中のコラム「私にとってのジェイコブズ」に一文寄稿しないかというお話がありまして、改めて読み直しました。以下はその原稿です。

 

<ジェイン・ジェイコブズの衝撃>

もっと若い時に読んでおけばよかったと思う本は少なくありませんがジェイン・ジェイコブズの「都市の原理」はその一冊でした。1969年の旧い出版ですが、その真価は揺るぎがないと評価されています。この特集で重ねて紹介されるでしょうが、私が鮮烈な衝撃を受けた部分を紹介します。

 

ジェイン・ジェイコブズの言明は、冒頭から鮮烈でした。「都市ありき、そして農村が発生する」から始まり、「先史時代に農業と動物の飼育は都市で始まった」、「狩猟民の恒久的な集落が農耕前の生活の姿だと示唆したい」と言明しています。

 

「都市では新しい仕事が古い仕事に盛んに追加され、分業を増やしていく」が都市の原理であり、新しい仕事は「既に使われている物質又は技能から示唆されるものや出てきた特定の問題から生まれるアイディアから生まれる」そして「小さくても多彩な出発点を与える仕組みが都市の発展の要件である」これが本書のエッセンスだと思います。

 

「都市ありき、そして農村が発生する」は考古学的資料による実証的な言明です。新石器時代の世界最古の都市とされるトルコのカタル・フエクは、32エーカーの土地に泥の煉瓦で造られた建物が並び、人口は数千人にも達し、最古の布地もここで発見されており、多様な人々が交易するこの都市の人の集積と分業が農業や動物の飼育を始動させ、都市の外にそれを移転して農村が出来たという言説です。

 

ここの記述は、私の青森県の三内丸山遺跡を見た衝撃と重なります。三内丸山遺跡は単なる縄文式竪穴住居後ではなく都市であると、始めて訪れたとき確信しました。道幅が数メートルある大通りが十文字に走り、物見やぐら、居住区、穀物倉庫、集会場、墓地、ゴミ捨て場等が計画的に配置されている都市計画があり、 500棟以上の竪穴式住居跡があることから最盛期には数百人近い住民が居た可能性があるからです。出土物には黒曜石や漆など広域の交易の証左もあります。編み物もありました。今はありませんが街の周りには栗の木が栽培されていたようです。直径1メートルにもなる栗の樹です。縄文文化は狩猟採集文化といわれ、縄文人は移動する人々と思われていますが、ここでは1000年以上にわたり人が定住していたわけです。あのエジプトにクフ王のピラミッドが建設された時代です。

 

「新しい仕事が古い仕事に盛んに追加され、分業を増やしていくところ」が都市であり、「モノを新しく開発していく経済は拡大発展する、新しい種類の製品、サービスを追加するのでなく、ただ古い仕事を続けて繰り返すだけの経済は、あまり拡大せず、当然発展もしない」という言説は、経済という言葉を、企業に代えればそのまま当てはまります。「都市の発展は、新しい仕事が盛んに古い仕事に追加されることにある」という主張が二番目の言明です。

 

ここで興味深い論理展開が、「仕事の論理」です。親となる旧い仕事から、新しい仕事が生まれるとした上で、「追加される財貨やサービスは、旧い顧客が望むものと関係ない」と指摘しています。ですから売る相手も新しい顧客です。要は「ワクを大胆に打ち破って追加される」コトが新しい仕事です。デジタル・ネット時代のAppleやGoogle、Amazonがこれでしょう。

 

都市の爆発的成長については、「輸入品を置き換えていく過程は、都市を爆発的に成長させる」とし、事例として、明治の東京の自転車産業を挙げているのが面白いです。本書が執筆された時代は日本経済の高度成長期に当たりますので、成長の事例として日本は好都合であったのでしょう。

 

これらのジェイン・ジェイコブズの言説を今の日本に投影すると、成長戦略に対する助言そのものです。都市に集積した多彩な才能が、イノベーションを起こしていく仕掛けこそが成長戦略です。中小企業が集積している地域は、「旧い仕事に新しい仕事」を加えることでイノベーションン創出の街となれます。

 

ただ、「新しい仕事を追加する」しようとする人たちが知財や資本を手に出来る社会システムを整備する必要があります。

 

農業の六次産業化も議論されていますが、都市の科学技術や人材そして資本を農業に移転することが成功要件であることも明白です。先端的な植物工場の展開も科学技術の応用による「新しい仕事」で、国土の狭いオランダが世界有数の農業生産国になった成功要因です。

 

地域クラスターによる地域振興は地域内の取引密度と、金融を含む地域内の濃密なネットワークを形成することですが、地銀も東京で資金を運用するのではなく地域に戻り地域企業の「新しい仕事を追加する」ことに資金を提供する兆しが出てきました。

 

以上から、日本新生の成長戦略は、多様な集積がある、「新しい仕事を追加できる」都市を選択し、生活環境を整備し、そこに集中的に資本を投入することでリチャード・フロイトが説く、クリエイティブシティに繋げることです。幸い県庁所在地クラスの都市には文化と産業そしてそれを支えている人財があります。“地方消滅”は都市の原理に沿って克服するのです。

 

 

◆編集後記◆

● 前回から一月以上たってしました。色々な情報が脳に入力され、「さあ書くぞ」という精神の盛り上がりを待って書き始めるので、この俯瞰工学研究所のメルマガも不定期になってしまいします。

● それにしてもオバマ政権はまれにみる無策の政権で、ブッシュ政権が作った中近東の混乱をさらに重症にしました。パレスチナもニュースになりませんが平穏ではないでしょう。

● 安倍一強とか独裁とか言われますが、あまりに他が酷すぎます。民主党、維新の党も酷い。自民党内も定数削減でウジウジしていますが、安倍さんは公約とおり定数削減するでしょう。

● 食すべき食材をシンプルに料理して食す、これが重要です。ただ最近、野菜特にトマトが高いですね。セロリも。毎朝、人参とセロリとレモンのジュースを作って飲みますので。セロリはなぜか紀伊国屋が値段も安く質もいいです。ほかの野菜も質がいいですね。

● 日本企業ばかりでなく欧米の大企業も時代についていっていません。M&Aの足し算で規模を拡大しているだけで本質的な成長が見られません。自動車産業が直面する創造破壊の波がヒタヒタと迫ってきている感じがします。

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◆内容・記事に関するご意見・お問い合わせ/配信解除・メールアドレス変更右記までwebmaster@fukan.jp

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◆俯瞰MAIL 0055号(2016年2月7日)

発行元:     一般社団法人 俯瞰工学研究所

発行人:   松島克守

編集長:   松島克守

URL:      http://fukan.jp

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俯瞰メール53号

◆時候のご挨拶◆

北海道は大雪、東京も一気に冬の気配です。気が付けばもう師走も間近、本当に“光陰矢の如し”です。先日社会人の精華大学の学生の訪日研修で講演をしましたが、その折、朱熹の「偶成」の漢詩がキッチンに貼ってあり、“一寸の光陰軽んずべからず”といつも自戒していると、そして日本人は中国の文献を日本語で読む訓練を受け大学入試にも必要だったと、4行の詩を見せたところ、日本語で読んでみてくれとのことでしたので読んで見せたところ大きな拍手をもらいました。

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 来年夏の参議院選挙に向けて政局混沌

 域外各国の思惑でグチャグチャになった中東、そして無力なオバマ外交

 パリ同時テロとヨーロッパ経済への影響

 これでいいのか東芝の対応

 東芝、VWの不祥事に共通する構造

 ビジネスモデル学会第25回イブニングセッションのご案内

 俯瞰のクッキング~恵比寿の築地~

 ニューウェーブの俯瞰~ネットTVの時代を体感しましょう~

 俯瞰の書棚 「地図を旅する」

 編集後記

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◆来年夏の参議院選挙に向けて政局混沌◆

安倍首相は外交で飛び回っていますが、国内政治は混沌としてきました。まず、大阪維新の会がダブル選挙に勝利し国政に足場をつくりました。負けた大阪の自民党とは別に首相官邸はほっとしています。憲法改正の仲間ですから。

維新の会の分裂は決定的となり、その維新の会を民主党と一緒にするために、両党を解党して新しい党を作るという議論も混沌としています。何としても存在感のある野党を作りたいという気持ちはありますが、いろんな勢力がいろいろな思惑を絡めていますからこの動きも混沌としています。

自民党はこの野党の混沌とした状態を見て、来年夏の参議院選挙に衆議院選挙をあわせて一気に参議院と衆議院の両方において安定多数を獲得することを考えていると見る人もいます。できれば公明党抜きで両院での過半数を握りたいのでしょう。

与党の自民党と公明党は消費税の軽減税率で対立しています。ただこの議論は公明党が主張する生鮮食料品だけでは意味がなく、低所得者の多くはむしろ加工食品に頼っていると、これは正論だと思います。憲法改正についても慎重なリベラルですから自民党にとっても微妙な存在です。

このところ安倍首相のはしゃぎぶりは気になります。南シナ海の自衛隊の派遣にいったんは言及ししましたが一応否定しました。まさについ本音が漏れてしまったのでしょう。自民党内部に選挙の公認という睨みをきかせ沈黙させ、十分な議論を尽くす前にことを決めるという最近の状況には、「安倍首相は危険だ」という懐かしい共産党の不破共産前議長のコメントも納得がいきます。

この混沌の政局の後に来年の夏どんな政治体制になるかは、夏の選挙の国民の選択ですが、国民がどれだけ真剣に考えているのか不安です。そして18歳からの新しい選挙民の判断が興味深いです。


維新W選勝利、“都構想”議論再スタート 「野党再編」は混沌

http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/jnn?a=20151123-00000031-jnn-pol

維新分裂、再編に波紋 新党参加予定者ら165人を除籍

http://digital.asahi.com/articles/DA3S12017964.html?rm=150

大阪維新圧勝 自民敗北の内幕

http://www3.nhk.or.jp/news/web_tokushu/2015_1124.html

野党4党が勉強会 再編の土台作りも一体感は「?」

http://www.sankei.com/politics/news/151125/plt1511250042-n1.html

衆参同日選の可能性

http://blogos.com/article/145887/

「安倍政権は本当に危ない」 不破・共産前議長

http://www.asahi.com/articles/ASHCS6GB5HCSUTFK018.html


◆域外各国の思惑でグチャグチャになった中東、そして無力なオバマ外交◆

シリアを中心とした中東が域外各国の思惑でグチャグチャになっています。もともと混乱の極みのシリアにロシアが直接介入し、そしてアサド政権と敵対関係にあるトルコが別な思惑からIS包囲網にかかわり、シリア国境の上空でロシアの爆撃機を撃墜するというとんでもない火遊びをしました。

ロシアは手詰まりになったウクライナ情勢と経済制裁についてNATOと取引をするためにアサド政権を支援する形でISを追いつめる主導権を取りに行ったのですが、ロシア人観光客が乗っていた航空機をISに爆破され、シリア国境の反体制派を攻撃しているということがトルコによる爆撃機撃墜で露呈してしまいました。そのトルコに対しプーチン大統領はISの資金源である石油はトルコで取引されているという反撃に出ました。

フランスはパリの同時テロ事件で戦争宣言をし、地中海に攻撃型空母を出撃させてロシアとの共同作戦を始めています。そのフランスにイギリスのキャメロン首相はキプロス島にある空軍基地を提供しました。イギリス自身も直接戦闘行動を起こしたいと、議会に計っています。

さらにロシアと連携してシーア派のアサド政権を支援するイランの思惑、そのイランを牽制するスンニ派の湾岸産油国の思惑、本当に中東情勢はグチャグチャです。イスラエル・パエスチナも目が離せません。双方の武闘がエスカレーションしています。

この状況に何も出来ないのがアメリカのオバマ大統領です。オバマ大統領の外交は話し合いを重視する姿勢をとってきましたが、ISとどういう対話をするのでしょうか。中国に対しても対話を追求してきましたが、これも結局相手にされず南シナ海にイージス艦を派遣するという結果なりました。この支援にかっこよく海上自衛隊を派遣したい? それは安倍さんやり過ぎですよ。

ただこの中東の状況はどこまで正しい情報が報道されているのか判りません。様々な憶測がメディアから流れてきます。ただ日本もこの中東の情勢と無縁ではありません。直接的なテロのリスクが少なくても、経済的には大きな不確定要素を抱えることになりますから、企業は投資活動に慎重にならざるを得ません。イランの経済制裁の解除、ミャンマーの民主化、そして中国経済の停滞というグローバル経済の中で、日本も企業も我々国民も賢い判断を迫られます。


トルコ軍がロシア軍機撃墜 シリア国境、乗員2人死亡か

http://www.asahi.com/articles/ASHCS5TCCHCSUHBI01Q.html

ロシアのシリア「のめり込み」は止められない

http://toyokeizai.net/articles/-/94071

ロシアとイラン シリアを巡って欧米をけん制

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20151124/k10010317251000.html

IS殲滅には地上戦が不可欠 日本は報復の標的となりそうか?

http://news.finance.yahoo.co.jp/detail/20151125-00082152-diamond-column

アメリカ・マスコミ:「イスラム国」の熱心な広報チーム

http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/cat57052836/index.html

トルコが中東地域で孤立感を深める理由

http://toyokeizai.net/articles/-/62801

ネタニヤフがホロコースト修正主義と、イスラエルとパレスチナの衝突を必要とする理由

http://www.huffingtonpost.jp/stephen-zunes/netanyahu-holocaust-israel-palestine-in-japanese_b_8448708.html


◆パリ同時テロとヨーロッパ経済への影響◆

パリ同時テロは世界中に衝撃を与えるとともに、ヨーロッパにも深刻な影響を与えています。フランスの戦争宣言とISへの軍事的な反撃、シリアでのロシアの軍事介入とすでに紹介したように中東情勢はグチャグチャになっていますが、ヨーロッパの社会と経済にも今後じわりと影響を与えてくるでしょう。

心配される経済への影響ですが、 一時的な観光や消費の落ち込みあってもそれほど深刻な影響はないだろうという専門家の分析です。金融市場も冷静で問題もないようです。

ただ今後の中東情勢や第二第三のテロの発生があれば世界的に経済活動が減速し最悪の場合世界的な不況となるリスクもあります。という事は、企業はグローバルな投資を一時的に控えることになります。

最近はあまりニュースになりませんが依然としてギリシャ、ポルトガル等の南ヨーロッパの経済は深刻なままです。 一時40ドルを割った原油の価格に代表される資源価格の下落は各国の経済を翻弄しています。そういう中で市場の心理が少しでもぶれると、リーマンショックのような市場混乱が再発するのではないかという見方もあります。

ともあれ感度を上げて情報収集をし、細かな情報を俯瞰的に認識することを心がけていきましょう。小さなニュースはTVや新聞には報道されません。ネットのニュースを見る時間を取るべきです。とりわけロイターやFTそしてWSJという国際情報に強い情報源は重要です。


パリ同時テロニュース取りまとめ

http://jp.wsj.com/articles/SB11673646430017294066804581358370837715598

テロ、観光大国ゆさぶる 訪仏客・個人消費の減少懸念

http://digital.asahi.com/articles/DA3S12074895.html?rm=150

パリ・テロ事件が世界経済に与える影響は?

http://bylines.news.yahoo.co.jp/kodamakatsuya/20151115-00051485/

Terrorist attacks may pose risk to Europe's growth: S&P

http://www.cnbc.com/2015/11/19/terrorist-attacks-may-pose-risk-to-europes-growth-sp.html

今の相場が「リーマン前と類似」している理由とは?

http://newsbiz.yahoo.co.jp/detail?a=20151125-00000017-zuuonline-nb


◆これでいいのか東芝の対応◆

東芝の粉飾決算の後処理がおかしいですね。何とか曖昧な形で決着しようとする気配です。企業文化や体制を抜本的に変革し、日本を代表するグローバル企業として生まれ変わる決心を全く感じさせません。そもそも日本のメディアも粉飾決算を不正会計など、とんでもないことです。さらに子会社のWHの現存処理を開示しなかったことは殆ど証券法違反です。

当時の社外取締役も機能していませんでしたが、役員責任調査第三者委員会も機能していない感じです。 2,000億円以上の粉飾決算に対する責任が3億円という金額で世間はあっと驚きました。

むろんこんな出来レースの調査委員会は社会的に認知されていません。第三者委員会報告書格付け委員会は26日、東芝の不正会計に関する第三者委員会の調査結果を発表しました。委員8人のうち、4人が「C」、1人が「D」、3人が「F」と、総じて低い評価でした。

格付け委員会は、不祥事を起こした企業が問題調査のために設置した第三者委の発行する調査報告書を格付けする民間の独立機関です。最高評価の「A」から「D」と「F」(不合格)の5段階で評価します。

調査結果は、東芝の第三者委が調査の範囲を自ら設定せず、同社からの委嘱事項に限定したほか、「調査は東芝のためだけに行われた」としている点を問題視しました。不正会計に関与した歴代3人の経営者の動機に関する事実認定と評価が欠落しているとも指摘しました。さらに委員長の久保利弁護士は、東芝の報告書を「F」と評価し、第三者委員会のメンバーに、委員会発足直前まで東芝のグループ会社との顧問契約を締結していた弁護士がいた点や、公認会計士の一人が東芝と取引関係のあった監査法人に2014年まで在籍していたことを指摘し、「独立性に疑問がある」としました。

実は今回の事件は個人的にはあまり驚きませんでした。東芝とはいろんな人と個人的に、ビジネスでも長い付き合いがありましたが、その中で感じた東芝の企業文化には、 「気働き」、「上意下達」、「リスク回避」、「エリート意識」、「名門企業の自負」を感じました。これに首脳陣の権力争いという社内政治を混ぜ込めば今回のような事件は想定外ではありません。

東芝以外にも、杭打ちデータの改ざん、免震ゴムの検査データ偽造など明らかに企業文化に根ざした非倫理的な事件が相次いでいます。日本企業は外国の企業よりも倫理性が高いと思っていましたが、それは美しい誤解でした。日本企業ももっと厳しいコンプライアンス体制を強化する必要があるとつくづく感じました。ただ日本式経営は外部の者に口を挟んでもらいたくない、というところが依然としてあります。株主総会で委託された責任をきちっと果たしている社外取締役がどれだけいるか不安です。経営者も、社外取締役は自分が雇っていると思っている人も少なくないでしょう。経営者自身が選任するシステムはおかしいです。


東芝、WHの減損非開示で東証基準に違反

http://jp.reuters.com/article/2015/11/17/toshiba-wh-idJPKCN0T603W20151117

東芝は本当に反省しているのか 粉飾2248億円なのに損害賠償請求はわずか3億円 「不正なし」となお強弁

http://www.sankei.com/premium/news/151115/prm1511150005-n1.html

東芝「粉飾決算」の責任を問わない「役員責任調査委」驚愕の報告内容

http://www.huffingtonpost.jp/foresight/toshiba_b_8539192.html

元社長ら高額報酬なのに…東芝「たった3億円賠償訴訟」の裏

http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/168988/1

東芝の第三者委報告書、格付け委が低評価 事実認定など欠落と指摘

http://jp.reuters.com/article/2015/11/26/toshiba-report-idJPKBN0TF05M20151126

東芝、もはや修復不能だった歴代社長の確執

http://toyokeizai.net/articles/-/78211?page=2

元社長2人の対立で20万人東芝グループの危機

http://mainichi.jp/premier/business/entry/index.html?id=20150713biz00m010018000c

「業績至上」生んだトップの確執 「財界総理」固執が発端か

http://www.sankei.com/premium/news/150722/prm1507220009-n1.html


◆東芝、VWの不祥事に共通する構造◆

フォルクスワーゲンの排気ガス不正も東芝の粉飾決算の構造と共通するものがあります。首脳陣の確執、独裁制、エリート意識そして事なかれ主義です。なにしろ自動車の神様であるポルシェ博士の直系のファミリーがオーナーです。それの独裁制と2つに分かれたファミリーの覇権争いがこの大きな不正を社員に強いることになったのでしょう。

そして共通するのは大きな株主価値の毀損と社員の生活への甚大な影響です。

フォルクスワーゲンの場合は東芝とは比べ物にならないほどの巨額の財政的なインパクトがあります。巨額の賠償費用を捻出するために従業員は未来を失い、研究開発費と設備投資の中断により会社の未来を失い、株主は甚大な損害を受けます。

フォルクスワーゲンはドイツにとって特別な会社です。そこに生活の基盤を求めている人口はドイツ経済の中でも極めて大きな比重を持っています。株主に州政府が入っているためとりあえずリストラはやらないようですが、いずれは形を変えたリストラ話が出てくるでしょう。なにしろ2兆円を超えるという損害賠償ですから。企業存続の危機すら論じられていますが、その場合は公的救済になるでしょう。

ドイツ経済は加えて難民受け入れという大きな課題を抱えています。移民と難民という低賃金の労働者の上にドイツ経済は繁栄を築いてきた訳ですが、難民は即戦力にはなりません。その上にフォルクスワーゲンの販売不振、生産縮小が加わるとドイツ経済も変調を起こします。フォルクスワーゲンが売り上げの4割近く、利益の半分を依存する中国経済も停滞していますから。

このフォルクスワーゲンの不正のコストを肝に銘じて、そして東芝の轍を踏まないように日本の経営者はコンプライアンスに対して真剣に取り組んでいく必要があります。ですから東芝の後処理についても社会と国民がきちっと見守っていかなければなりません。


フォルクスワーゲンの最高実力者が辞任 現会長と確執

http://www.asahi.com/articles/ASH4V2Q3PH4VUHBI003.html

ポルシェ家とピエヒ家が議決権の過半を握る特殊な経営体制

http://diamond.jp/articles/-/82074?page=2

VW グループの排ガス問題、ガソリンエンジンにも拡大

http://s.response.jp/article/2015/11/04/263535.html

フォルクスワーゲンのエンジニア、二酸化炭素排出量に関する不正行為を認める

http://jp.autoblog.com/2015/11/11/vw-engineers-co2-emissions-cheat/

複数ディーゼル車で新たな排ガス不正の可能性…ドイツ当局

http://response.jp/article/2015/11/13/264142.html

フォルクスワーゲンの7〜9月期純損益 約2,300億円の赤字に

http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00306940.html

VW不正の莫大なコスト~リコール、訴訟、販売の減退

http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/219486/100500006/

フォルクスワーゲン、排出ガス不正対策費捻出のため、管理職の昇進停止と研究開発費の削減を決定

http://www.huffingtonpost.jp/autoblog-japan/vw-cut_b_8447574.html

不正に中国大失速まで…VW経営危機 メルケル首相の露骨な親中路線も裏目

http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20150930/frn1509301140002-n1.htm

VW不正事件を徹底追及するドイツ、一方、大企業に甘い日本、何が違うのか?

http://blogos.com/article/138733/


◆ビジネスモデル学会 イブニングセッション◆

1月18日(月) 第25回イブニングセッション開催のご案内

講演テーマ: ”俯瞰学で日本を識る、そしてどうする日本!”

講師:松島克守 氏 ビジネスモデル学会

   日時:1月18日(月) 19:00-21:30

場所:霞ヶ関ナレッジスクエア エキスパート倶楽部

(講演要旨)

「俯瞰学」には、時間的俯瞰、地勢的俯瞰、書誌的俯瞰、関係性俯瞰があります。この概要を説明したうえで日本の現状を深い水準で認識するため時間的俯瞰を行い、そして”既に見えている未来”を確認します。そして日本が持続的な成長をする為に必須の”イノベーション”がなぜ出てこないのかを分析します。参加各位の忌憚のないフィードバックを期待します。


◆俯瞰のクッキング~恵比寿の築地~◆

恵比寿駅前に祖父の代から3代目という魚屋があります。 「魚キヨ」です。普通の小売店ではなく、築地市場からとびきりうまい魚を仕入れてきて、付近の飲食店が買い出しに来る店です。ですから小さな築地市場が恵比寿駅の前にあると同じです。 小さく小売りもやっています。品川からの帰宅時に恵比寿で降りますからチョクチョク寄って魚を買って帰る店です。

近所のTSUTAYAいう書店にもチョクチョク立寄って本をなんとなく見て回っていますが、最近は主に料理本のコーナーに行きます。その中で面白そうな魚に関する本があったのでパラパラ捲ってみるとなんとその恵比寿の「魚キヨ」の本でした。本人たちが書いたというよりもたぶん話を聞いてライターが書いたと思われますが、これまで買った魚料理の本の中では1番の本でした。

魚に関する知識も増えましたし、今まで作っていない料理もたくさん紹介されています。料理というよりも魚の食べ方ですか。

今、旬のヤリイカですが塩で10分ほど茹でてしょうが醤油で食べる、これ簡単でイケます。此の塩ゆでは漁師料理でしょうか。

アナゴもよく店に出ています。これは醤油、酒、みりんで煮るという料理ですがこれはいつもやっています。ポイントは、開いたアナゴの背を表にして流しで熱湯を掛けることです。するとウロコが白いぬめりとして出ますからこれをこそげて切って煮るだけです。寿司屋のアナゴのネタです。

これから作ってみようと思っているのは、 10月から美味しくなるというカマスのフライです。いつも塩焼きしかしませんから。しかも今年は豊漁のようです。それからマグロのフライです。一度紹介しましたが牛肉のフライ(牛カツ)が絶品で且つ料理法として合理的です。さっとフライをした後取り出しておくとコロモの熱で牛肉全体に見事なピンク色に火が入ります。これと同じことをマグロでやってみたいと思います。ただついついマグロは刺身で食べてしまいますので、決心が必要です。

詳しくは下記の本でご覧下さい。

恵比寿「魚キヨ」が教える 本当にうまい魚の食べ方


◆ニューウェーブの俯瞰~ネットTVの時代を体感しましょう~

前回、我が家にニューウェーブが来たとネットTVを紹介しましたが、その後発売されたAppleTVとAmazonのFire TVを試してみました。

買ってから10年たったパナソニックのプラズマTVに接続して試してみました。 10年物のTVもこれを使えばネットTVに変身することが判りました。結論からいうとアマゾンのFire TVの方がお勧めです。Fire TV Stickは¥4,980です。音声認識リモコンがつくと¥6,480です。高機能型のAmazon Fire TVは¥12,980です。この高機能型に相当するApple TVは¥18,400です。細かい比較検討は出来ていませんがとりあえずFire TV Stick¥ 4,980でいいでしょう。私は音声認識リモコン付きを購入しました。TVに予備のHDMIのポートが必要です。なければ別にHDMI-D4変換器が必要です。

どのチャネルを見るかですが、Netflixを月1,000円弱で契約すれば見切れないほどのコンテンツが無料で見放題です。 Amazonのプライム会員ビデオは、どちらかというとビデオレンタル屋さんに近いです。かなり無料のコンテンツもあります。例えば“トップガン”とか、 “Steve Jobs”とかは無料コンテンツです。“アメリカのスナイパー”は500円のレンタルでした。

いずれも音声認識機能がついていて音声でコンテンツを検索できます。上記の3本も音声認識で検索したものです。Netflixでは三本とも無料コンテンツです。Amazonのプライム会員はもしネット通販を利用する人であればお勧めです。わずか3,900円で送料無料ですから、あっという間に元が取れます。

まだ十分な評価はできていませんが、気軽にネットTVの世界を体感するにはFire TV Stick¥ 4,980と、Netflixを契約するのがオススメでしょうか。Netflix はSDで650円、HDで950円、4Kで1,450円です。 HDは4K対応でもあります。残念ながら我が家の10年物のプラズマテレビは4Kに対応していません。 Netflixは世界50カ国以上で6,500万人超の会員を抱え、独自製作のオリジナルシリーズ、ドキュメンタリー、長編映画などを含め、多くのTVドラマや映画を低料金の月額定額制で配信しているだけの事はあります。何しろコンテンツに毎年3000億円近くかけていますから。

時代はどんどん動いています。とりわけネットがビジネスや生活に創造的破壊を起こしています。昔のままの生活もいいでしょうが、時代に付いていくことが重要です。とりわけシニアの人は意識的に新しい時代感覚を取り入れていかないと感性が鈍り、周囲の人に同じ昔話を繰り返し話すというマイナスの影響を与えます。

時代感覚に付いて行っていない経営者の企業の社員には悲惨な未来が待っています。ですから私は学生にはガラケーを愛用している人と付き合ないこと、 何故なら2000年以前の精神構造の人の話を聞いても意味がないどころか道を誤ると言っています。この15年で時代は不連続的といっていいほど激変しました。私が大学に帰任して俯瞰工学研究室を開いたのが2000年ですから変化を鮮明に記憶しています。

数千円の初期投資と月数百円のコンテンツ料金で2015年の世界に生きませんか、それともまだ2000年の(ブロードバンド、スマホ、Googleの無い)世界に生きていきますか。


◆俯瞰の書棚◆

今回の紹介は季刊誌 ”kotoba” の創刊5周年記念号「地図を旅する」です。何気なく書店で手に取ってパラパラめくって面白そうだったので買いました。読んでみると地図に関するあらゆる情報やエッセーが満載です。

まず「地図はどのように発展してきたのか」、というエッセーでは当たり前ですが税と軍事のために発達してきたわけです。とりわけ江戸時代の年貢という「物納」から明治になって金納の「地租」を正確に徴収するために「地租改正地引絵図」が作られたとのことです。明治政府は陸軍と海軍にそれぞれ地形図と海図を作成させてきました。面白いのは軍事的な理由から嘘の情報が書き込まれたとあります。 

「古地図を楽しむ」では時代小説は古地図を丹念に読みながら物語のイメージを作っているとのことです。現在街並みは変わっていますが、河筋は今も変わっていないのでこれをたどると昔と今を比較することができるともあります。古地図は時代を旅するための羅針盤とあります。 

「凸凹地図から都市を読み解く」はデジタル標高データを使って都市部の微妙な高低差を表現する凸凹地図が興味深いです。東京、名古屋、大阪の凸凹地図が紹介されていますが、かつて上野駅、東京駅、品川駅は海であったということが分かります。たぶん名古屋では熱田神宮の前は海ではなかったかと思います。この地図を見ると地震や津波の被害の予想ができると思います。特に東京は多角的に紹介されているので興味をそそられます。 「 GoogleMapはなぜ画期的なのか」この記事は目から鱗です。 「地図は上から見て、横で使うものだ」という言明です。これがグーグルアースの発想です。そしてストリートビューです。これを始めた人は天才だと思いました。世界中と言っていい地上の道路の映像をただで提供してくれます。そしてこのストリートビューの膨大なビックデータは今話題の自動車の自動運転に必須です。これなくして、自動運転は出来ませんから。日本における自動運転の実証実験もまず、実験ルートの撮影から始めなければなりません。もう一つ興味深いのはGoogleが独自に航空写真を撮っているのではなく、様々な機関が撮影して公開している航空写真を正確に縮尺して緯度経度を合わせて合成しているという事実がありました。 GoogleMapの通常の地図は地図会社から購入しているようです。それにしても10年前に始まったGoogleMapは天才的な仕事だと思います。

「ゼンリン住宅地図はこうして作られる」も目から鱗の記事でした。約1,000人の調査スタッフが全国各地を歩いて表札を確かめながら誰がどの家に住んでいるかを調べているのです。表札が出ていないマンションは調べられませんが。究極のアナログ地図です。凄い個人情報ですが販売されています。これがあるから消防車も救急車も迷わないのです。もちろん宅配業者も必須でしょう。 3·11では現地の自治体、警察、消防、自衛隊から紙版の住宅地図をすぐほしいと求められたとのことです。ゼンリンではすぐに住宅地図を閲覧できるインターネットでの無料公開をしましたがやはり「紙の地図」をほしいということです。

「 2020年の東京地図」に紹介されている1964年の東京と2020年の東京を想定した地図比較では、東京の50年のものすごい発展が認識できます。 2020年の東京は世界一の都市になっていることが分かります。

「宮本常一の地図の眼差し」は柳田国男を越えた民俗学者の凄さを教えてくれました。

この他にも面白い記事がたくさんあります。 「伊能忠敬が全国測量に出た理由」 、 「宮本常一の地図の眼差し」 、「ジパングがジャパンになるまで」 、 「縮尺のない鉄道路線図の歴史」と興味深い記事が満載です。ご一読をお勧めします。


◆編集後記◆

 今回は2か月時間が空いてしまいました。理由はわかりませんが書きたいというイニシエーションがなかったのでしょうか。パリの連続テロで活性化したみたいです。

 アメリカ共和党の大統領候補者レースを見ていると、こんな人達が世界をリードするのかと愕然とします。トランプ候補を支持するアメリカ国民と社会の黒い闇を感じます。

 普天間基地の辺野古移転は難航していますが、いまさら変更できないことはわかりますが、沖縄の「なぜ沖縄だけに基地が集中するのか、本土でも安全保障を分担すべき」も理解できます。佐賀県がオスプレイの配置をあっさり断りましたがそれでいいのでしょうか。九州には分担しようという機運はあるようですが。

 コンビニ弁当に代表される加工食品は低所得者や学生、シニアにとって比重が高いですから、公明党の税制再建の財源とは別に考えるべき、には同意します。

 一億総活性化、誰の発案か分かりませんが、アベノミクスの失敗で、“第4の矢”とは言えないのでしょうね。そういえばいつの間にか“アベノミクス”は見かけませんね。

 孫を連れて台場の科学未来館に行ってきましたが、設備もプログラムも中途半端という印象です。駐車スペースも狭くて、カフェも小さく、目玉のロボットアシモのデモが2時間おきに1日3回,たった10分間・・・、設立責任者の想い入れや拘りを全く感じさせないものでした。

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俯瞰メール52号

◆時候のご挨拶◆

田園風景はいま黄金色の実りが広がっています。瑞穂の国、黄金の国のイメージがぴった

りです。荒っぽい今年の気候に耐えてよくぞここまでという感じです。局地的にはこの収

穫を全て失ってしまわれた方もいらっしゃると思うと胸が痛みます。新米のご飯に、サン

マの塩焼き、大根おろし、カボス、日本人に生まれてよかった!

ただ今年のサンマは、いまいちですね。


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・EUの試練、難民受け入れ

・安保法制成立と今後

・インド経済をどう見るか

・ビジネスモデル学会第24回イブニングセッションのご案内

・第27回俯瞰サロンのご案内

・俯瞰のクッキング?料理の新常識?

・ニューウェーブの俯瞰?メディア革命が我が家に来た?

・俯瞰の書棚 「若い時に読んで人生に影響を与えた本」

・編集後記

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◆EUの試練、難民受け入れ◆

EUに押し寄せる難民が大きな問題となりました。特に、戦乱が長引き無政府状態に近いシ

リアからの大量の難民が、EUとりわけドイツおよびスウェーデンに向かって、さながら民

族大移動のような状態になりました。ボートが転覆し失われた小さな命が海岸に流れ付き、

その悲劇的な映像がネットで世界中に流れ衝撃を与えました。これを契機にEUの首脳、

なかでもドイツのメルケル首相が積極的な難民の受け入れを表明しました。ネットと映像

の力を改めて感じさせました。


ただ他の国はドイツほど積極的な難民の受け入れをしようとしていません。とりわけ東欧

や中欧の国々はネガティブで、通過するだけの難民に対しても、支援をするどころか排斥

するような行動もあります。ドイツはほぼ完全雇用の状態でむしろ働き手が足りません。

一方の東欧や中央ヨーロッパの国々は失業問題があり雇用をむしろ必要としている状態で

すから、当然受け入れにはネガティブです。


ドイツは第二世界大戦のあと、東ヨーロッパにいたドイツ系の移民を大量に受け入れまし

た。また東独の併合はある意味大量の難民受け入れであったかもしれません。しかし、

あまりにも数が多いので、ドイツだけでこれを受け入れることができません。イギリスや

アメリカも受け入れを表明しています。


元はと言えば、欧米の列強が中近東に利権を求めて介入して統治体制を混乱させ、内戦状

態を作り、制御不能な状態にしたことに原因があります。特にシリアはアサド政権と反体

制派、スンニ派とシーア派の代理戦争という構造が悪魔のようなイスラム国を生み、現段

階では直接介入すらできません。アサド政権に対立する反体制派に訓練と武器を供給しま

したが、なんとこれがイスラム国にまわっています。そしてロシアはアサド政権への武器

の供給を積極的行い、シリアの混乱をさらに強めています。


シリア以外にも、列強が人道支援と称してカダフィ体制を破壊して無政府状態になった

リビアを通ってサハラ砂漠以南の絶望的な貧しい人々が地中海を渡り、 EUを目指してい

ます。ただこの海上ルートは大変危険で何千人という難民が命を落としています。

これはヨーロッパの問題であると同時に世界的な人道問題です。この難民問題に日本がど

のような形と体制で対応するかが現在の重大な課題です。


ドイツと異なり、日本は難民受け入れの歴史もなくその知識もありません。しかし集団自

衛権で世界の安全保障に対して積極的に関与すると決めた以上、これに積極的な対応が求

められます。歴史的に日本人の大きな意識変革への挑戦と、受け入れる覚悟を迫られてい

ると思います。


溺死したシリア難民の男児の写真に世界が衝撃

http://jp.wsj.com/articles/SB12096842380967064583604581211692551093796

ドイツ、「年50万人の難民受け入れ可能」

http://www.afpbb.com/articles/-/3059761

難民は「未来の熟練工」、ドイツ高齢化の救世主か

http://jp.reuters.com/article/2015/09/11/analysis-migrants-germany-skilled-worker-idJPKCN0RB0I820150911

欧州目指す難民、ドイツに集中=EU全体の対策不可欠に

http://www.jiji.com/jc/zc?k=201508/2015082000458&g=int

欧州難民危機、知っておくべき4つのこと

http://jp.wsj.com/articles/SB10967160243142334065304581220070239235968

難民受け入れをめぐって東西に分裂するEU

http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/110879/090200077/?n_cid=nbpnbo_casr

ハンガリーがセルビア国境封鎖、EU域内への難民・移民流入阻止

http://jp.reuters.com/article/2015/09/16/europe-migrants-idJPKCN0RF2XG20150916

米国訓練のシリア武装勢力、配給の武器弾薬を過激派に渡す

http://www.cnn.co.jp/world/35071015.html

さて、安倍政権はどうする 国連からの難民受け入れ要請

http://blogos.com/article/132647/


◆安保法制成立と今後◆

国論を2分し激しい議論の末、かなりの強行突破で安保法制が成立しました。まさに熱く

長い夏でした。夏までには法制を整備するとアメリカ議会でコミットをし、スタンディン

グオーベルを受けた安倍首相の不退転の決意が法制の成立のドライバーだったと思います。

政治家としては一定程度の評価を受けていますが、欧米でも厳しい評価があります。また

アジアでは習近平よりも安倍首相のほうが、人気がないことは要注意です。日本の好感度

は最高ですが。


安保法制に対し対案という修正を主張しないで、憲法論議に終始した民主党と維新の党は

政権担当の意思を問われます。戦争法案という共産党、徴兵制という社民党は論外ですが。


一部の野党は集団自衛権の行使に対して強い国会の管理と関与を条件に賛成に回りました

が極めて正常な判断だと思います。放っておけば多数決で法案は成立するだけですから、

安保法案が持つリスクを軽減して成立させるという判断は、現実的な政治の技だと思います。


多くの憲法学者や、元最高裁判事、元法制局長官は憲法違反であることを主張していまし

たが、憲法学者の世界での自分の立場の擁護であって、政治的な議論とは別の話です。

そもそも憲法の解釈はすでに常識を超えています。陸海空の戦力は保持しないとしながら

も、世界有数の軍事力を自衛隊として日本は保有しています。これまでは専守防衛という

ことで戦力に当たらないという解釈で来ていましたが、今回の憲法論議で言えば明らかな

憲法違反でこれに言及することなく違憲論議を展開していました。


ただ国会論議の中で、首相自らヤジで委員会を混乱させたり、自民党議員が院外で無責任

な言動をして世論のヒンシュクを買うなど、自民党の品格を疑わせるような事象があった

ことも、国民感情を反対の方向に持っていきました。しかし世論の過半数が反対であって

も国会で多数決の論理で法案を通すということは、民主主義の仕組みの代表制の根本的な

課題です。


今回で興味深い現象は新しい学生運動です。かつての学生運動とは全く異なるもののよう

ですが、政治に白け切ってきた若い世代が政治に関心を持ち、発言をはじめたことはある

意味画期的な現象です。国会周辺での反対運動における言動は稚拙な水準であったように

伝えられていますが、選挙権が次の参議院選挙から18歳に引き下げることを考えると、

日本の政治に新しい何かを加えることになるかもしれません。これに対してかなり激しい

公安の対処があったような報道がされていますが、もしそうとすれば、そのような対処は

学生運動を過激化させる恐れがあります。


それにしてもこの安保法制に関するメディアの対応を見ると不安になります。なぜか政府

に対する遠慮がちな姿勢が気になります。 NHKは、一時は委員会審議の実況を途中で打

ち切るなどという、メディアとして自殺的な行動もありました。その他のメディアにして

も、なぜか半身の対応のような報道だったと思います。毅然としたメディアこそが、民主

主義の基底構造です。自らその使命を放棄するならば、メディアそのものが自滅の道を選

ぶことになります。それでなくても紙のメディアは凋落が激しく、テレビにしてもネット

の動画配信という大きな脅威に直面している現在ですから。そしてこの段階においても粉

飾決算を不適切会計処理と書いているメンタリティですから、若いメディアの方々が本来

の使命を自覚してこの状態をなんとかしてもらいたいと思います。


安保法案可決、賛否両論の海外

http://newsphere.jp/politics/20150926-1/

高感度調査は中国の習主席、日本の安倍総理、インドのモディ首相の順

http://www.pewglobal.org/2015/09/02/how-asia-pacific-publics-see-each-other-and-their-national-leaders/

http://blogos.com/article/134150/

SEALDs(シールズ)

http://www.sealds.com/

反安保の学生に警察が…土足でズカズカ“横暴捜査”実況中継

http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/164447

民主党の岡田克也代表が5日、党本部で大学生との座談会に

http://www.sankei.com/politics/news/150706/plt1507060005-n1.html


◆インド経済をどう見るか◆

中国経済の減速が構造的にも認識されるようになって、次の成長はインドという期待が高

まります。幸いインドは中国依存がほとんどなく、資源がありませんが、資源価格の暴落

は追い風です。インドは7%の経済成長と言われていますが、この段階では世界で最も高い

成長率になります。最近の新車販売も5%成長と伝えられていますから、 5%ないし6%の

経済成長の状態にあると考えてもいいでしょう。むろんインドが長期的な成長を継続でき

るかは疑問がありますが、インドは日本や中国と別の成長モデルになるのではないかと思

います。日本と中国は約10年間2ケタ成長という高度成長期を持ちましたが、その間に生

じた構造的な脆弱さが顕在化して、ハードランニングで5%程度の成長という世界に入った

わけです。そして日本は金融緩和で作られた不動産バブルとその崩壊によって、 1%程度

の低成長、デフレの時代に入り今日に至っています。中国も多分日本と同じ推移を辿ると

思います。


インドは2ケタ成長という高度成長モデルを取ることなく、5%ないし7%の中成長の経済

を持続することができれば、持っている人口のポテンシャルからかなりの経済大国になる

可能性があると思います。なぜか私は、1996年以来10回以上インドに行き、その変化と

驚異的な成長を見てきました。50万人であったバンガロールの人口が1千万人!


インドの強みは若い人口構成です。生産年齢が増え続けるといういわゆる「人口ボーナス

気」が2040年まで続くと言われていますし、農村から都市への労働力の移動である

「ルイスの転換点」もかなり先になります。無理な金融的な成長をしないで、現在進めて

いるインフラの整備、そして製造業の育成を進めていけば、持続的な経済成長を実現でき

るのではないでしょうか。


このような感覚からでしょうか、これまで距離を置いていた日本企業も活発にインド進出

を始めています。そのような日本の製造業の受け皿となる工業団地も続々とプロジェクト

が進められています。インド進出の企業にとって、大きな課題は労働慣行と土地収用の問

題です。工業団地という形で土地収用の問題を処理できれば企業の進出は容易になります。


一方の労働慣行は現政権も苦労しています。モディ政権は下院では過半数を取りましたが、

上院では過半数に達せず国民会議派に抑えられねじれ国会の状況で法案が通せません。

いくつかの大統領令でしのいでいますが、抵抗勢力の労働組合の力も強く雇用関係改善の

法制整備ができていません。


インドはソフトウェアとしてのIT産業は今や世界最大の規模ですが、ハードウェアの生産

ではかなり後進です。生産年齢人口もピークアウトし、「ルイスの転換点」を通過したとさ

れて人件費が急上昇している中国、さらに、すでに普及も飽和点をこしたといわれるスマ

ホのメーカーは、生産拠点を中国からインドに次々と移しています。アップルの生産を担

当するEMSも大々的にインドに移動しています。もうすぐインドが世界のスマホの生産供

給基地となりそうです。噂のアップルカーもインドで生産される可能性が高いと考えられ

ています。この勢いで関連する製造業が集積し、インド経済の課題である製造業の育成が

進むといいと思います。


その中でも日本の活躍も目につきます。日本の新幹線の技術がインドに取り入れられよう

としています。電力プラントでも、いくつかの大きな案件が進んでいます。もっとすごい

ことがあります。今インドでは61件の地下鉄のプロジェクトがあるということですが、

これは、ほとんど日本の主導で行われています。ニューデリーの地下鉄の総延長キロは、

すでに東京に抜いているようです。バンガロールでも工事は進んでいます。


なんとそのリーダーは阿部玲子さんという日本人の女性です。現地では“マダム阿部”と

呼ばれているようです。インドはもともと男尊女卑が強い国です。その中でのプロジェクト

を統括していく人間が女性ですから、当初は苦労されたようです。しかし、その強烈な

リーダーシップによって、今ではなんと、ジェンダーとして地下鉄工事の世界では男性、

女性、阿部という第3のカテゴリーを確立してしまったとのことでした。多くの現場で磨

きあげた技術の高さがそれを周囲に認めさせています。私は何年か前にバンガロールの地

下鉄の工事現場を案内して頂ました。 8月の俯瞰サロンでは講師としてお招きして、大勢

で感動、感動の時間を持ちました。また機会があったら企画します。


阿部さんは、現在、勤務しているコンサルティング会社のインド支社長に就任して、

さらに各都市の地下鉄のプロジェクトを指導しています。約4万人を統括しています。

その活躍ぶりは下のURLにありますが、 地下鉄工事で渋滞する中でタクシーの運転手が

「マダム、これが俺たちのメトロだ!」と自慢し、「ところであなたの国に地下鉄はあるの

か?」のくだりでは笑いながらも、感動で泣かされました。日本男児もっと頑張らないと

いけませんね。


それにしても、Apple、Microsoft、ソフトバンクというビックビジネスで次々とインド人

のCEOが誕生するとはインドが持っている人財の可能性を見せつけますね。


インド 新車販売、5%増の27万台…2か月連続で増加

http://carview.yahoo.co.jp/news/market/20150914-10229993-carview/

インドは長期好景気に恵まれるのか?

http://news.mynavi.jp/news/2015/08/17/491/

ルイスの転換点

https://kotobank.jp/word/%E3%83%AB%E3%82%A4%E3%82%B9%E3%81%AE%E8%BB%A2%E6%8F%9B%E7%82%B9-680548

人口ボーナス

https://kotobank.jp/word/%E3%83%AB%E3%82%A4%E3%82%B9%E3%81%AE%E8%BB%A2%E6%8F%9B%E7%82%B9-680548

https://kotobank.jp/word/%E3%83%AB%E3%82%A4%E3%82%B9%E3%81%AE%E8%BB%A2%E6%8F%9B%E7%82%B9-680548

インドで日本専用工業団地の整備が進んでいる

http://www.nikkan.co.jp/kogyodanchi/k-news/overseas/k130916a.html

議会、中央地方のねじれが障害

http://www.mizuho-ri.co.jp/publication/research/pdf/insight/as150310.pdf

インドで大規模ゼネスト、労組推計1億5000万人参加

http://www.afpbb.com/articles/-/3059237

小米がインドでスマホ生産へ、シェア拡大狙い鴻海と提携

http://jp.reuters.com/article/2015/08/10/xiaomi-idJPKCN0QF0XW20150810

中国のレノボ、インドでスマホ生産

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NT9PRL6S972I01.html

インドで日本の新幹線技術推奨

http://www.sankei.com/world/news/150720/wor1507200028-n1.html

マダム、これが俺たちのメトロだ!

http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/shiryo/hakusyo/13_hakusho/column/column06.html

阿部玲子さん?「ウーマン・オブ・ザ・イヤー2013」リーダー部門受賞

http://wol.nikkeibp.co.jp/article/column/20131127/167601/?rt=nocnt

建設コンサルのインド現地法人社長になった阿部玲子さん

http://www.sankei.com/world/news/141007/wor1410070005-n1.html

Sharing Technology for Metros in India

?Prime Minister's Office of Japan(日本政府)?

https://www.youtube.com/watch?v=p-95rBHZNBc&feature=youtu.be


◆ビジネスモデル学会 イブニングセッション◆

9月29日(火) 第24回イブニングセッション開催のご案内

詳細・お申し込みはこちら >> http://goo.gl/WneuR2

講演テーマ: 女性活躍推進がなぜビジネスを変えるのか?

講師:麓 幸子 氏

   日経BP社生活情報グループ統括補佐

   日経BPヒット総合研究所長・執行役員

日時:9月29日(火) 19:00-21:30

場所:霞ヶ関ナレッジスクエア エキスパート倶楽部

(講演要旨)

今国会で成立が見込まれる女性活躍推進法。その法律の解説を踏まえ、なぜ女性活躍推進

が必要なのか、ビジネス上でどんなメリットがあるのか、その戦略と効果的な施策を先進

企業の豊富な事例を交えて紹介する。


30年以上、働く女性と企業の女性活躍施策を追ってきたジャーナリストとしての知見と、

研究者として学術的に証明された理論を用いて講演する。

日本の企業が陥りやすい女性活躍NG事例も用意し、なかなか進まない女性活躍の阻害要因、

それを打破するためのポイントも提供する。


(講師プロフィール)

1984年筑波大学卒業。同年日経BP社入社。1988年『日経

WOMAN』創刊メンバー、2011年12月まで5年間『日経WOMAN』編集長。2012年よりビズラ

イフ局長に就任、『日経WOMAN』

や『日経ヘルス』などの媒体の発行人となる。2014年より現職。

同年、法政大学大学院経営学研究科修士課程修了。

内閣府企画調査委員、経団連21世紀政策研究所研究委員などを歴任。


◆第27回俯瞰サロンのご案内(10月30日)◆

「ブランディングの先駆者に聞く、“世界のソニー”ブランドの創造(仮)」

日本企業のグローバル化において、“世界のソニー”として確固たる地位を築いたソニー

が果たした役割はだれもが認 めるところです。

その立役者の一人として牽引した、元ソニー宣伝担当役員の河野透さんをお招きし、ブラ

ンディングについてお話を伺います。

 参考書籍:「ソニーのふり見て、我がふり直せ?ブランドで稼ぐ勘と感?」

       ソル・メディア発行 著:山口誠志、語り:河野透


日 時: 10月30日(金)18時30分から20時 (受付開始は18時15分)

場 所: SAP Creative Lounge

     港区港南1丁目7-1 ソニー本社ビル1階

     https://www.facebook.com/sapcreativelounge/info

参加費: 講演会のみは、無料

定員 : 60名程度 (定員に達した時点でお申込みを締めきります)

懇親会: 講演終了後、懇親会を開催。参加費用は3000円程度。


※日程・内容は予告なく変更されることがありますのでご容赦ください。


お申込み: http://www.fukan.jp/俯瞰サロン/


◆俯瞰のクッキング?料理の新常識?◆

肉は冷たいフライパンに入れなさい!という料理の新常識の話です。科学的料理を標榜す

る元シェフの水島弘史さんの科学的料理理論の話です。


基本は弱火で料理した方がいいということです。これはたんぱく質の凝固の温度が70度く

らいということから来ていますが、これまでもいろんな人が紹介しています。例えば豚の

冷しゃぶを作るときには、沸騰した湯ではなく70度程度の湯でさっとゆがくとか、ステー

キも空気を抜いたジップ袋を70度程度の湯に沈めて火を入れるなどです。


私も少しずつ弱火の使い方を意識してきたところでした。この本ではトンカツもチキンソ

テーもアジフライも、そして野菜炒めも、すべて冷たいフライパンに入れてから弱火、

もしくは中火でじっくりと火を通して最後にさっと焦げ目をつけるという料理法です。


アジフライもやってみましたが、うまくできました。これも衣をつけたアジをフライパン

に入れ、やっと被る程度のサラダオイルを注いで弱火でじっくりと火を通します。裏返し

て火を通した後取り出して、そのフライパンを180度程度に加熱し、その中でアジをさっ

と泳がせるようにして焦げ目をつけます。素晴らしい出来でした。ポイントの1つは並べ

た材料の面積とフライパンの面積が同じことです。我が家では加熱して酸化した油は捨て

ることにしていますので、この方法ですと捨てる油が最小限になります。フライパンは16、

20、24、26、33cmと揃えています。鍋道楽ですね。


チキンソテーもやっていましたが、これも上出来です。野菜炒めも鍋にサラダオイルを入

れて切った野菜を入れてゆっくり食べます。すべて冷たいフライパンからです。シャキシ

ャキと仕上がります。青椒肉糸も試しましたが、うまくできました。問題は調理時間が少

し長くなるということです。


中火、弱火ですが我が家はIHなので弱火は5、中火は6-7くらいですが、一度温度を測り

ながら決めたいと思います。


ムニエルのレシピもあります。水島流ではバターたっぷりです。まずバターを中火でゆっ

くり溶かしてその中に粉を叩いた魚を入れます。そしてじっくりと火を通すだけです。


たまたまテレビの番組で「さんま漁師に人気のレシピ。さんまのムニエルの作り方」とい

うのも見ましたので、この方法でやっていましたが、美味しかったですよ。どうしてもサ

ンマは塩焼きになってしまいますが、たまにはこの方法がいいですね。何よりもさんまか

ら煙が出ませんし、今年の秋刀魚は油がないのでこの料理、これからも時々やってみたい

と思います。


弱火コントロールで絶対失敗しない料理

http://mizushimacuisine.sakura.ne.jp/

書籍


http://www.amazon.co.jp/%E6%B0%B4%E5%B3%B6-%E5%BC%98%E5%8F%B2/e/B004LVMTMQ

さんま漁師に人気のレシピ。さんまのムニエルの作り方

http://kumiko-jp.com/archives/67397.html


◆ニューウェーブの俯瞰?電子メディア革命が我が家に来た?

最近は定額で動画見放題のサービスが次々と展開されています。 Amazon 、 TSUTAYA 、

 Google 、そして多分Appleも。世界で4,000万人の会員を持つと言われているNetflix

もサービスを始めました。いずれも最初の30日は無料お試しコースです。早速Netflixの

会員となって試しみました。新型のテレビにはリモコンにNetflixのボタンがあります。

HDMI 端子付きのテレビではGoogleのChromecastを差し込んでスマホやタブレットで

Netflixをテレビ画面に移せばいいでしょう。 AppleTVやアマゾンのFire TV Stickなど

直接Netflixをテレビに映すアダプターが続々と発売されます。


Netflixのコンテンツは膨大だと言われていますが、どのくらいあるのかわかりません。

新作でなければ、ほとんどの映画はあると思います。独自の番組もあります。月1,000円

もかかりません。


Amazonは、プライム会員は見放題のサービスを始めました。コレも試してみました。

ちょっと見ただけですが無料のものもありますが、有料のものも多くDVDを買わされるこ

とになるかもしれません。 TSUTAYAも試しましたが、どちらかというとDVDレンタル

借り放題のほうに誘導されることになりそうです。気を付けないといけないのは、Netflix

は勝手に有料サービスになりませんが、 TSUTAYAは勝手に有料サービスに移行ししまい

ますので気を付けた方が良いでしょう。ともかくDVDを借りて観るという時代は終わった

と感じました。画質もまったく問題ありません。


もっとお勧めなのは、ドコモが提供する電子雑誌見放題の“dマガジン”で、凄いです。

月400円で150の雑誌が読み放題です。週刊誌等を含めてほとんどすべての雑誌が無料で

見られます。多分日経BP社の雑誌以外はほとんど含まれていると思います。タブレットで

見るとちょうどいい具合です。ただ記事はダウンロードできません。クリッピングはでき

ますがこれも出来ない記事があります。今定期購読しているニューズウィークやクーリエ

ジャポンなどは購読をやめます。東洋経済、週刊ダイアモンド、エコノミストも含まれて

いますのでビジネス雑誌は買う必要がありません。およそちょっと見る雑誌はすべて含ま

れていますので、雑誌を買うというライフスタイルが終わりました。部屋に積んである紙

の雑誌の山もすっきりと消えるでしょう。問題はネットにつながっていないと読めません

が、家庭内を含めインターネット環境は整備されてきていますので、ほぼいつでもどこで

も好きな雑誌が読めます。電車のつり革広告の週刊誌の記事を見て手元の端末で、その記

事を読むことが出来るわけです。雑誌は部数がどんどん減っていますが、ネット環境に展

開することによって広告の価値が上がりますから、このビジネスモデルが成立していると

思います。日経ビジネスだけは別途有料で購読していますので端末にダウンロードできま

すが、それほど有り難みがある話ではありません。出張中の飛行機の中では便利ですが。


音楽のほうもApple Musicを含め定額聴き放題が普及していますが、これについては試し

ていません。理由はすでにモバイルを含めてハイレゾの環境を整備してしまっているので、

圧縮音源の音質が劣るサービスを利用する気になりません。また主に聴く音楽がクラシッ

クなので、新曲が出てきませんので手持ちのもので十分です。


しかし一般的にはCDを買う事はおろか、 CDを借りるというビジネスもほとんどなくな

るでしょう。


映画、テレビドラマ、ビデオレンタル、 DVD 、 CDというビジネスはネットでの見放題、

聴き放題のサービスで絶滅の危機になるでしょう。まさに我が家に来た電子メディア革命

です。問題は見たり聞いたりする時間がほとんどなく、タイムシフトで録画されたニュー

スを見るのがやっとですが。笑ってください。


◆俯瞰の書棚◆

今回の紹介は、特定の本ではなく私の昔の読書録です。たまたま一本のメールが入ってき

たことが切っ掛けです。今年は都市経済学者のジョイン・ジェイコムズの生誕百年の年に

あたるので記念行事や出版をするが、あなたもエッセーを書かないかということでした。


私は全く都市経済に関しては素人ですが、 5年前にとある事情で二子玉川のCreative city

コンソーシアムのアドバイザーを拝命して手がけてきたことと、この俯瞰メールの書評で

ジョイン・ジェイコムズ「都市の原理」を取り上げた事から私がそんなメールをいただく

ことになったようです。


都市については全くの素人だったのでにわか勉強で関連の書籍を当たりましたが、その時

読んだ本の一冊が「都市の原理」でした。その時もっと早く若い時にこの本を読んでいた

ら人生が少し変わったかもしれないと思った本でした。ちなみにもう1冊はリチャード・

フロイドの「都市経済論」です。他の本はパラパラとめくっただけでした。二子玉川の仕

事の基底になりました。


このメールがきっかけで、自分は若い時に読むべき本を読んだのだろうかと自問すること

になりました。私はいわゆる読書家ではありません。 40代50代は、本は読むのではなく

書くものだという傲慢な態度で、これまでに10冊以上書き上げました。


というわけで30年位前までに読んだ本の中で読んだことが思い出せる本を思い出してみま

した。そして今も残っているかすかな記憶の痕跡を紹介することにしました。


まずそのジョイン・ジェイコムズ「都市の原理」ですが強烈な衝撃を受けました。頭に入

っていた常識をかち割る記述に出会いました。トルコのカタル・フエクの遺跡の遺跡から

「都市ありき、そして農村が発生する」という常識を覆す言明です。「農業自体も都市で生

まれたのではないか」とも。即ち「先史時代でも農業と動物の飼育は都市で始まった」と

いう論理的な帰着を導いています。


この本は「都市ありき、そして農村が発生する」から始まりますが、「新しい仕事が古い仕

事に盛んに追加され、分業を増やしていくところ」が都市である。新しい仕事は「既に

使われている物質又は技能から示唆される」や「出てきた特定の問題から生まれるア

イディア」から生まれる、そして「小さくても多彩な出発点」を与える仕組みが都市

の発展の要件という言明、これが本書のエッセンスだと思います。


この言明と直接つながった記憶がペルーのマチュピチュの思い出です。山頂に孤立した都

市ですが、そこでは階段状の畑で農作物が栽培され自給されていたようです。むろん神官

や技術者、その他の都市の住人もいたでしょう。外の世界からモノを持ってくる交易の商

人も来たかもしれません。まず都市の中で農耕が始まり、それが周囲に広がっていったと

いうジェイコムズの「都市の原理」を実感できました。


次は青森の三代丸山遺跡を訪れたときです。縄文時代の住居遺跡という案内で行きました

が、一瞬にこれは単なる住居遺跡ではない、古代都市の遺跡だと理解しました。数百人が

収容できる市民ホールもあり、街路も整備されそして整然と住居が並んでいて、なんとゴ

ミ処理場もありました。海から近い土地ですぐ横に川が流れていますからたぶん発掘すれ

ば川港があるはずです。採集狩猟民の定住地すなわち都市だったのです。市民ホールの横

にある高い物見台は直径1メートルを超す栗の柱で建造されています。 密植という高度な

技術がなければ真っ直ぐな栗の柱作れません。また南方にしかない赤い漆を塗った縄文土

器は広範囲の交易が行われていたことを示しています。


縄文の時代にこれだけ高度な都市文明が存在していたとは驚きましたが、ジェイコブスの

論理が頭になければ、案内通り単なる縄文の住居跡に見えたかもしれません。青森県の方

には住居跡遺跡ではなく世界最古の都市文明として世界遺産に登録を働きかけてはどうか

と言ってきましたが。


学生の頃は、本を読まなくてはいけないという雰囲気や意識がありまして、周囲の読んで

いる書籍、非公式なリーディングアサインメントを消化していたと思います。


ルース・ベデディクト「菊と刀」は日本研究で、これが日本との戦争のために研究された

ということにショックを受けました。日本文化を“恥の文化”と一刀両断している言明が

印象に残ります。


ジグムント・フロイト「精神分析入門」もそんなリーディングアサインメントの1冊だっ

たと思います。あらゆるものを性的な衝動に結びつける理論に衝撃を受けました。当時は

第二外国語で名詞の性に苦労していますので友人とフォークは男性か女性かなどと冗談を

言ったことを覚えています。この後夢判断のような本を読んだ記憶がかすかにあります。


ボーボワール「第二の性」も同じような本で、特に興味があって読んだ本ではありません。

しかし社会的な環境によって男性に対し劣位の人工的な性として女性が作られたという言

明も衝撃的でした。逆に男性も、男の子だからと二言目には言われて男性になっていくの

だと感じましたが。


C.P.スノー「二つの文化と科学革命」もある意味推薦図書でした。いわゆる文理融合を説い

ていたと思います。私は理系ですので文理融合という概念も新鮮に受け止めました。そし

て、その後ずっとこれを意識することができました。結果として文理融合のような人生を

送りました。


エドワード・T・ホール「かくれた次元」は全く新しい世界を教えてくれました。単に非言

語的なコミュニケーションの世界があることを明示的に教えてくれただけですが。この後

body languageの本を読みましたが、人の所作や表情が重要な情報を発信していることを教

えてくれました。今日に至るまで重要なスキルになりました。


デイヴィッド・リースマン「孤独な群衆」は推薦図書だったのでしょう。これを読んだこ

とがない人がいるということが驚きでしたから。日本の社会に比べると当時のアメリカの

社会は相当先進的な状態にあり、社会学、社会心理学という人文科学の重要性と人文が科

学である、という認識を持たせくれました。今もう一度読んでも現代の日本を理解するヒ

ントを与えてくれのではないかという気がしますので、ぜひ読んでみようと思っています。


中尾佐助「栽培植物と農耕の起源」は文化人類学という分野を認識させてくれた本です。

アジアの地域が照葉樹すなわちつやつやした葉を持つ南方型の樹林と、栗やどんぐりの広

葉樹の森で覆われた北方型の樹林に分かれ、同じ稲作の米食でも重湯を流す照葉樹文化と

重湯炊き込める日本のような広葉樹文化があることを知りました。これはこの後、日本人

の源流どこなのかということを考えるときに重要な知識になりました。目からウロコのよ

うな学説でした。


ノバート・ウィーナー「サイバネティックス」はフィードバックという制御理論を広く展

開した工学系の教養書です。むろん専門科目として制御工学を学習していましたが、単な

る機械の制御ではなく社会全体を含めてフィードバック制御で物事を考えるという基礎を

得ることができました。この後、研究で時系列データの処理をずいぶんやりましたが、そ

の基本理論を作った人がノバート・ウィーナーであることをいつも思い出しました。そし

て時系列データの予測分析では、未来は予測できない事を嫌というほど思い知らされまし

たが、予測データと実データの残差が重要な情報であることに気づき、予測できないが、

定常状態から異変が起こった時の検出に利用できることを思いつき、切削加工中の工具破

損の検出に応用する研究に結びつきました。


レヴィ・ストロース「レヴィ・ストロース(料理の三角形)」は指導教官であった当時の吉

川弘之助教授(元東大総長)の推薦で読みました。いわゆる構造主義という学派の本です。

料理の三角形は非常に分かりやすい話で、構造主義の基本が分かったような気がしました。

構造主義の権威であったミシェル・フーコーの本に挑戦する勇気は出ませんでしたが、時

が経って助手の時指導していた学生がミシェル・フーコーの「言語と物」を読んでいてち

ょっとたじろぎました。


以上に比べると少し後ですがケン・フォレット「鷲の翼に乗って」はドキュメンタリーと

して楽しめました。イランのパーレビ王朝がイスラム原理革命で崩壊したときにITシステ

ムの開発のEDSという会社の社員が取り残されます。その社員を取り戻すために民間企業

として考えられないような大胆で大規模な救出作戦をした事実をドキュメンタリータッチ

で記述した書籍です。まるで映画を見ているような世界でしたが、社員をどうあっても救

い出すという強い経営者の行動に胸を打たれました。精神的な何かをもらった気がします。


布施英利「脳の中の美術館」は私に絵画と小説の鑑賞という意味を教えてくれました。美

術館に行って絵画を見ているのではなく、脳の中の自分を見ているのだと、美術館は自分

の脳の中にあると。小説では「雪国」の冒頭シーンですが、駒子に会いに行く列車の窓の

曇りを左手の指でこすると女の像が出てくる、物理的には反対側に座っている女ですがそ

れに駒子の記憶が重なりこの世ならぬ象徴の世界を見ていると、紙の上のインクのシミを

網膜で読むのではなく、脳の中で自分の世界を創成していくことが小説を鑑賞することだ

と教えてくれました。つまり芸術は脳の中にある自分を見ることだと。


松岡正剛「情報の歴史」これはいわば情報の年表です。文字の発生から現在に至るまで、

政治経済、宗教、哲学、テクノロジ、芸術、コミュニケーション、メディアの出来事を並

列的に年表形式にまとめた労作です。ものすごい時間が情報の収集と分析、そして編集に

要しただろうと思わせます。これを見ていくと時代と世界が俯瞰的に見えるような気がし

ます。この本から俯瞰的な認識を引き出すために、その後著者自ら「情報の歴史の読み方」

という本を出されています。松岡正剛は、最初たしか薄い雑誌のようなものを編集工学研

究所から出版されていて、それがすごく面白くて読んでいましたがこの分厚い本に出会っ

たとき、ものすごい知の巨人であることが実感できました。


最後の今井賢一「資本主義のシステム間競争」は今井賢一教授が定年に際して引出物とし

て配るために書いたと前書きに書いてあったと思いますが、システム間競争という概念は

現実のグローバル経済を理解する上で非常に役立ちました。文化や社会、歴史、法制、

産業構造、経済政策といったものがトータルで経済システムを構成していて、 国際的な経

済の競争はそのシステム力で決まるという論理だったと思います。まさに資本主義と社会

主義の経済的な戦いもこのモデルですし、アングロサクソン型の資本主義と、日本型の資

本主義の競争もこれで理解できます。中国型資本主義も理解できます。さらにこの概念の

延長で青木昌彦教授の「ルールを束ねた制度の分析」を理解する時にもこれが下敷きにな

ったと思います。


以上は読んだ順序も定かではなく、読み返したわけでもないので不正確さはご容赦くださ

い。下記の様にネットのおかげで今でもAmazon入手可能ですが、私が読んだ本とは別の

出版かもしれません。


ジョイン・ジェイコムズ「都市の原理」鹿島出版会

ルース・ベデディクト「菊と刀」講談社学術文庫

デイヴィッド・リースマン「孤独な群衆」みすず書房

ジグムント・フロイト「精神分析入門」中公文庫

ボーボワール「第二の性」新潮文庫

レヴィ・ストロース「レヴィ・ストロース(料理の三角形)」みすず書房

C.P.スノー「二つの文化と科学革命」みすずぶっくす

エドワード・T・ホール「かくれた次元」みすず書房

中尾佐助「栽培植物と農耕の起源」岩波文庫

ノバート・ウィーナー「サイバネティックス」岩波書店

ケン・フォレット「鷲の翼に乗って」集英社文庫

布施英利「脳の中の美術館」筑摩書房

松岡正剛「情報の歴史」NTT出版

今井賢一「資本主義のシステム間競争」筑摩書房


◆編集後記◆

・人間の中の悪魔を感じさせるVWの不正には唖然というか、やはりというか。日本のデ

ィーゼルはまさか、という心配がよぎりました。

・どうしようもないほどの中近東の混乱が気になります。イランとイスラエルという関係、

手を出しようもないシリア、イスラム国ですが、元はといえば米国のネオコンと呼ばれた

右派勢力の過ちです。

・集中豪雨、台風、そして火山活動と自然が牙をむいています。地震と火山は別ですが豪

雨、干ばつは人間の行為の結果です。米中が責任を持ってほしい。

・米国の共和党の混戦は図らずも米国の暗部を見せつけます。

ないと思いますが、トランプ大統領で世界はどうなるのでしょう。

・南シナ海に3000メートル級の3本の滑走路完成で、中国は制空権と制海権を確立したと

ことになります。


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◆内容・記事に関するご意見・お問い合わせ/配信解除・メールアドレス変更下記までwebmaster@fukan.jp

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◆俯瞰MAIL 0052号(2015年9月30日)

発行元:     一般社団法人 俯瞰工学研究所

発行人:   松島克守

編集長:   松島克守

URL:      http://fukan.jp

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俯瞰メール51号

◆時候のご挨拶◆

猛暑は日本の夏の新定常になってしまいました。その中で稲田はすでに穂をつけ、収穫の

秋が近いことを教えてくれます。暦の上では、すでに立秋を過ぎました。ふと気が付くと

モミジやナナカマドの枝には赤い葉も見えます。熱い甲子園の激闘を見て、盆の休みが終

われば、残暑の季節になり秋へ時間が流れていきます。

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● 無難な表現に落ち着いた70年談話

● 憲法9条の解釈は都度拡大されてきた

● 日本の猛暑ばかりか、世界中で異常気象

● 知床半島上陸ツアーに行ってきました

● 中国経済の減退は世界経済に影響

● ビジネスモデル学会 第24回イブニングセッションのご案内(9月29日)

● 第26回俯瞰サロンのご案内(8月27日)

● 俯瞰のクッキング?羅臼昆布は別格?

● ニューウェーブの俯瞰?EVへの大きなうねり?

● 俯瞰の書棚 「青木昌彦の経済学入門」青木昌彦

● 編集後記

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◆無難な表現に落ち着いた70年談話◆

8月14日、安倍首相の70年談話が発表されました。色々な発言で自分からこの70年談話

を、中韓のみならず米国、東南アジア、ヨーロッパまでが注視する“政治”にした中での

発表でした。


いくらナショナリストでも、国益を考えれば日中関係、米国の危惧、そして公明党の強い

要求を無視して自殺的な談話を出すとは考えられませんから、談話の内容も、国際的な反

応も想定内という認識です。


歴史認識に関するキーワードがすべて盛り込まれており、関係者はほっとしたと思います。

目立つのは中国に対する気働きで、中国は批判的な反応ですが、内容に関して反論はあり

ません。気配りは通じていると思います。これで、秋から日中関係の進展は期待できます。

いま経済が苦しい中、中国も日本との関係改善を必要としていますから。


一方、韓国に対してはやや冷淡で、慰安婦問題について間接的な記述をするにとどまって

います。無論、韓国メディアは強烈な批判です。しかし韓国の朴槿恵大統領は極めて押さ

えた談話で、続く日韓関係正常化への決意を示しています。ただ彼女は中国から招待され

た「抗日戦争勝利70年 」の記念行事に出席するかどうか、という難問を抱えています。

たとえ出席したとしても、日本が雅量を示せば慰安婦問題を含めた日韓正常化は成るので

はないでしょうか。ナショナリストは先の産業世界遺産で韓国に煮え湯を飲まされたとい

う思いが強いでしょうから、その圧力を安倍首相がどう処理するかですが、正に“政治”

です。


今回、満州事変からの日本の行動が間違っていたという記述を入れることによって、中国

に対する歴史認識を示しましたが、これはかねて天皇陛下が言及されてきたことで、今回

初めて“臣 安倍晋三”の立ち位置になりましたね。


8月15日の天皇陛下のお言葉では、新たに「さきの大戦に対する深い反省」が加わったこ

とが注目されていますが、「今後、戦争の惨禍が再び繰り返されぬことを切に願い」のお言

葉は、ある意味集団自衛権に対する暗喩のようにも受け取れます。

欧米に対してはこれまで使っていない「deep repentance」(悔恨、懺悔)の表現があるこ

とは米国や豪州等キリスト教徒への気配りでしょうか。


次世代が謝罪の必要がないという表現は安倍首相のギリギリの要求でしょうか。しかし謝

罪しなくてもこの負の資産は消すことはできませんので、きちっと継承されるべきでしょ

う。ナチスドイツが第一世界大戦の賠償に苦しむ国民に対し精神的な負の資産を取り除く

ことで支持を一気に固めた歴史があります。そしてワイマール憲法という平和憲法の解釈

を変えてナチス独裁の体制を確立したのです。現在参議院で論争中の安保法制もこの文脈

でとらえている内外の識者はいるでしょう。


これで内閣支持率が上がるとは思いませんので、国会論議の中で真摯で丁寧なもの言いと

集団自衛権の行使の歯止めを確約する必要があると思います。維新の党の線まで安倍首相

が歩み寄れるとは思いませんが、これも十分議論を尽くす必要があります。


◆憲法9条の解釈は都度拡大されてきた◆

安保法制の議論の中心は憲法9条です。憲法9条は、

“日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、

武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄

する。

前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、

これを認めない。“

とあります。


これはGHQの指導に沿ったものとされますが、そうでしょう。ただ、これは連合国内部で

の駆け引きで天皇制を維持することと対であったという説があります。


ポツダム宣言に天皇制の存続が書き込まれており、これがあったため受諾になり玉音放送、

終戦へと続いたとあります。


しかし、1950年朝鮮戦争の勃発で日本に駐留の全アメリカ軍が朝鮮半島に移動するにあた

り、日本国内の空白を埋め治安維持のためGHQによりあっさり再軍備になります。憲法解

釈の変更ではありません。また日本の再軍備は1948年には決定されていたとあります。


その後本格的な防衛力として陸海空で拡充され、現在では世界有数の軍事力を持つに至り

ました。調査機関によると日本の軍事予算、軍事力は世界9位とのことです。攻撃型空母

と原子力潜水艦を持てないので9位にとどまっているとのことです。専守防衛の装備です

から。特に海軍力は英国に次いで4位とのこと。ちなみに中国は6位、韓国は10位です。

それでも、戦力ではないということが公式見解ですが、ここまでは国民的合意ができてい

ると考えていいのでしょうか?


近年自衛隊のPKO活動にも参加が多くなり、イラク戦争、アフガン戦争にも限定的ですが

後方支援をしています。ここまでは個別自衛権で合憲ということになっています。ソマリ

ヤ沖の海賊対策では、日本は海賊対処法に基づいて09年から護衛艦とP3C哨戒機を派

遣し、13年にはCTF151に加わり、その司令官を今月23日までは海上自衛隊の海

将補が務めています。ソマリヤの隣国のジブチには海上自衛隊の基地もあります。


集団自衛権を核とした現在の安保法制ですが、政治も国民もこの現状について、腹を割っ

て議論する必要があります。


理は安倍首相にもありますが、歴史認識で過去の侵略を認めず、謝罪も必要ないというナ

ショナリストの勢力の代表では国民はついていけないでしょう。この後何をするか分から

ないという危惧が先に経ちますので。安倍内閣の主要閣僚はほとんど日本会議の支援者と

いわれていますから。


日本国憲法第9条

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E5%9B%BD%E6%86%B2%E6%B3%95%E7%AC%AC9%E6%9D%A1

警察予備隊

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%AD%A6%E5%AF%9F%E4%BA%88%E5%82%99%E9%9A%8A

警察予備隊違憲訴訟

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%AD%A6%E5%AF%9F%E4%BA%88%E5%82%99%E9%9A%8A%E9%81%95%E6%86%B2%E8%A8%B4%E8%A8%9F

砂川事件

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A0%82%E5%B7%9D%E4%BA%8B%E4%BB%B6

Countries Ranked by Military Strength (2015)

http://www.globalfirepower.com/countries-listing.asp

世界の海軍ランキング トップ10

http://matome.naver.jp/odai/2136679404229671901

主要国の軍事費をグラフ化してみる(2015年)

http://www.garbagenews.net/archives/2258794.html

日本会議

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E4%BC%9A%E8%AD%B0


◆中国経済の減退は世界経済に影響◆

中国経済の減速が世界経済に影響を与えてきています。中国政府は減速して経済成長率

7%と公表していますが、多くの人がそれ以下と認識しています。私も直接中国の製造業

の経営者から公式の経済成長率をかなり下回っていると聞いています。


英国のファゾム・コンサルティングは、今年の中国成長率は2.8%、2016年はわず

か1.0%にとどまると予想しています。李克強首相が重視するとした電力消費、鉄道貨

物量および銀行融資の3つのデータを基にした成長率は3.2%であると算出しています。


日本は2桁成長の時、オイルショックでハードランニングして5%の水準に落ちました。

第2フェーズです。そして91年のバブル崩壊で0?2%の成長率になり今日に至っていま

す。これをモデルとすると、中国の目指す新定常の7%は5%のラインでしばらく推移す

るのではないかと予測していますが。それとも一気に日本の第3フェーズに移行して2-3%

ラインまできますか。


各種の経済指標も経済減速を示しています。

工場出荷価格(生産者物価)が41ヶ月連続で下落しています。これは輸出が7月の輸出

が前年比8.9%減少という指標が示しているように成長エンジンの輸出が経済危機で経

済活動が低下している欧州向けが振るわないためです。輸出に代わる内需への転換は時間

がまだかかります。


不動産やインフラ投資に依存する脆弱な経済構造は心理的な不安を呼び、上海株式市場は

大幅な下落をし、政府が新規上場の中止や空売りの禁止など非常手段で支えましたが、先

進国では考えられない習近平政権の露骨な買い支えに、IMFから株式市場への介入をこ

れ以上行わないよう警告を受け、買い支えができなくなり続落です。中国当局がIMFの

警告を無視できないのは、人民元の国際化という悲願があり、これにはIMFの承認が必要

ですから。


ここで輸出テコ入れのため背に腹は代えられず、人民銀行は11日から連日人民元の基準値

を切り下げた結果、人民元の対ドル相場は急落しました。累計の切り下げ幅は対ドルで約

4.5%に達しました。人民元切り下げは輸出企業の収益にプラスに働きますが、市場では元

安による資金流出や金融機関が保有する人民元建て資産の価値下落に警戒感が広がってい

るとのことです。アメリカはもともと人民元は過小評価であると主張していますのでこれ

とも衝突します。


東南アジア諸国は中国輸出増の影響を受けますが、もともと中国経済への依存も大きいの

で、これで中国経済が復調すればありがたいという感覚もあるようです。


鉄鋼や自動車、電機等は過去も過剰設備投資で苦しんでいます。経済成長が鈍化すると個

人消費も鈍化しますから、高い成長をしてきた自動車販売も株価急落による消費者心理の

冷え込みなどを背景に今年の販売台数は、17年ぶりに前年割れするとの見通しです。


また2015年第1四半期における中国のスマートフォン出荷台数は9880万台となり、前年

同期から4.3%減少しました。これは市場の飽和でしょうか。ただAppleの出荷台数は、前

年同期から62.1%増えました。大型画面の「iPhone 6」と「同6 Plus」に対する需要が、

依然として旺盛だといいますが、人民元2%の切り下げでその日Appleの株価は5%下落

しました。市場関係者が先行きに不安を感じたのでしょうか。


スマホは完全に飽和状態になり今後は買い替え需要になるとみられています。自動車は飽

和状態言えないまでも小休止状態で、低成長が当分続くでしょう。


そのApple の製造委託先として有名なフォックスコン(鴻海科技集団)はインド西部マハ

ーラーシュトラ州政府と投資計画に関する覚書を締結し、3年にかけて同州で製造拠点を整

備し、50億米ドル(約6220億円)を投資するという中国撤退戦略を始めました。フォック

スコンは、2020年までにインドで計10-12カ所の製造拠点・研究センターを整備するとの

ことです。


中国経済の減速を受け、欧米企業の多くも、投資やコストの削減、生産ライン縮小のほか、

増加する不良債権の対処を考えています。


最近の中国株急落で、中国経済が、あと数年で過去のような力強い成長を取り戻すとの期

待は、大きくしぼみました。


この中国の経済減速の影響の強烈なインパクトを韓国が受けています。

韓国の貿易は輸出が中国 26.1%、アメリカ 11.1%、日本 6.2%、輸入は中国 16.1%、日本

 11.6%、アメリカ 8.1%と中国経済への依存が極端です。


韓国のGDPの輸出依存率は53.9%(13年,世界銀行)と極めて高い比率ですので、為替変

動や他国の景気動向の影響を受けやすい経済構造(13年の日本の輸出依存度は16.2%)で

す。加えて、サムスンのスマホ、ヒュンダイのセダンが苦戦しています。


東南アジア諸国も中国への輸出減少や中国人観光客の減少という影響を受けますが、マレ

ーシアを除くと韓国と比較して限定的という見方です。これは東南アジア各国の輸出の最

終需要地が米国と欧州であるという経済構造によるものです。


ただし、中国の成長で恩恵を受けていた国々は大きなインパクトを受ける可能性がありま

す。自動車や機械、電機などを中心とするドイツの輸出主導型経済は、中国から大きな恩

恵を受けてきました。14年、ドイツから中国への輸出額は745億ユーロ、ドイツの輸入額

は797億ユーロだったとのことです。1990年と比べると、ドイツから中国への輸出は20倍、

ドイツへの輸入は30倍にまで増加しています。ですから、中国主導のAIIBに参画したの

でしょう。しかし中国に代わる新市場はありません。


さらにブラジル、豪州などで中国の資源爆買いを長期の需要と考えて巨額投資した資源関

連企業です。すでに軒並み苦戦しています。シェールガス関連も損失を出していますね。


日本は、建機等は大きな影響を受けていますが、自動車は、欧米各社、韓国が販売不振の

中で日産を除くトヨタ、ホンダ、マツダの3社が2桁の伸びです。日本製の本質が中国の

消費者に浸透してきたのでしょう。訪日中国観光客の爆買を見ればわかります。


つまり、中国はすでに新興国ではなく、といって先進国でもない中進国の罠に入っている

のでしょうか。


このような経済状況は中国に日中経済交流の改善強化をうながすでしょう。すでに、反日

という“感情の外交”から“国益を追求する外交“に舵を切っています。韓国も”感情の

外交“から”国益を追求する外交“へ転換することになるでしょう。


世界第2位の経済大国の中国と、第3位の日本、そして第13位の韓国、そして第26位

の台湾という東アジア経済圏はゆうにEUをしのぐ経済規模ですから、経済成長を考えれば

いがみ合っていては国益を棄損します。


中国経済成長率、実際は公式統計の半分以下か

http://jp.reuters.com/article/2015/08/07/china-economy-data-idJPL3N10I27X20150807

中国、41カ月連続で工場出荷価格下落

http://japanese.joins.com/article/234/204234.html

中国経済が世界の重荷になる日

http://www.newsweekjapan.jp/stories/business/2014/11/post-3460_1.php

欧米企業に広がる「中国事業見直し」の動き

http://toyokeizai.net/articles/-/79248

フォックスコン:中国撤退加速、製造拠点をインドに

http://www.nikkei.com/article/DGXMZO90402410R10C15A8000000/

http://www.gci-klug.jp/fxnews/detail.php?id=270592

中国自動車販売、腰折れ 今年17年ぶり減少見通

http://www.sankeibiz.jp/macro/news/150804/mcb1508040500026-n1.htm

世界のスマホ市場に大変化、中国の成長ここまでか?

http://itpro.nikkeibp.co.jp/atcl/column/14/200047/060200012/

韓国の貿易

http://ecodb.net/country/KR/trade/

中国経済減速によるアジア経済の影響

http://www.mizuho-ri.co.jp/publication/research/pdf/insight/as150806.pdf

ドイツ経済は中国の成長鈍化に足を取られるのか

http://www.recordchina.co.jp/a116082.html

韓国の経済概況

http://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000005986.pdf


◆日本の猛暑ばかりか世界中で気象異常◆

日本は猛暑で死者まで出る危機的な気候ですが、世界的に異常気象です。

アメリカの4年も続く干ばつ、水資源はあと1年というNASAの警告です。フランスで

は猛暑で干ばつで原発の冷却水に支障が出るとも。かつてフランスは猛暑で約1万人の死

者を出しています。韓国、北朝鮮の干ばつも酷いようです。


この原因がもし二酸化炭素による地球温暖化であれば排出量の削減が急務です。京都議定

書を無視してきた排出大国の米国と中国も重い腰を上げざるを得ません。


この二酸化炭素排出には脱原発とのジレンマがあります。特に日本は原発の再稼働と石炭

火力の新設とのジレンマです。


電力業界の悲願であった原発再稼働は8月11日九州電力川内原子力発電所の再起動で今後

順次再稼働が進められるでしょう。しかし、燃料の再処理に目途はついていません。

中部電力の石炭火力申請には環境省が待ったを掛けました。


再生エネルギーといってもすぐにこれを代替することはできません。ただ再生エネルギー

では今後地熱発電がかなり有力になるでしょう。利に敏いソフトバンクが地熱発電を推進

するようですから。

エネルギー問題は“政治”や“感情”にしないで国民も冷静な過渡的なプロセスを認識す

る必要があります。


フランス 猛暑と干ばつで原発操業停止の恐れ

http://www.juno.dti.ne.jp/tkitaba/earth/nuclear/news/05071201.htm

【深刻 節水令】カリフォルニア・大干ばつ! 干ばつは4年前からhttp://matome.naver.jp/odai/2141105199998510101

韓国、深刻な干ばつで野菜価格高騰、白菜は前年比3倍

http://www.excite.co.jp/News/chn_soc/20150611/Recordchina_20150611070.html

中国、CO2削減へ新目標 05年比60―65%減

http://www.asahi.com/articles/ASH6Z6CRCH6ZUHBI023.html

中国CO2削減 これでは排出持続宣言だ

http://www.sankei.com/column/news/150706/clm1507060002-n1.html

米政府、火力発電で二酸化炭素排出を32%削減、2030年までに

http://www.sankei.com/world/news/150803/wor1508030007-n1.html


◆知床半島上陸ツアーに行ってきました◆

知床半島のツアーに参加して行ってきました。学生の時ですからもう三十数年前に行った

ことがありましたが、もう一度行ってこようと思い立ち行ってきました。知床半島が世界

遺産になって10周年記念と銘打って、3年間限定の半島上陸のツアーです。徒歩または

海上カヌー以外の上陸は現在許されていません。このツアーは動力船での上陸観光の特別

許可の実験プロジェクトのようです。


私たちのグループは11人で、男性6人女性5人でした。夫婦2組、女性3人組、男性お

ひとり様4名でした。


驚きは参加男性中、古稀の私が最年少でした。漁船で浜に乗り上げるようなかなりハード

な観光ですが。バスガイドは69歳でした。日本の高齢化社会を体験できました。皆様元

気です!


オフォーツク側のウトロからは観光船が出ていますが、沖で見るだけで上陸はできません。

今回のツアーは羅臼から漁船です。正確にいうと羅臼の先道路が途切れる前泊の漁港から

漁船で約1時間半です。漁船には屋根もトイレもありません。浜にもトイレはありません。

波しぶきを被ります。4時間半トイレなしでお願いしますとのことでしたが、私より年長

者は持ちませんね。女性陣もほとんど私と同じくらいお年でしたが持ちました。


ツアーは羅臼昆布の歴史と文化を識る旅で私は羅臼昆布に関する貴重な知識を得ました。

印象に残ったのは羅臼の前方には20キロの距離で国後島がよく見えます。かつてはこの

羅臼とを国後島を行き来して生活をしてきたのでしょう。今も漁船の拿捕があり、現在抑

留中の漁船もあります。


そして気になったのは昆布、ウニともに資源が枯渇気味であることです。経済学でいわれ

ている“共有地の悲劇”しょうか。陸の農地と違い漁協の中では海域の私有はありません。

ただ一戸で一人という縛りと、漁期、時間の制限だけでその中では多くとった者勝ちです。

これでニシンもハタハタも枯渇したのでしょう。乱獲です。


乱獲といえば、サンフランシスコの南約200キロのモントレーはかつてイワシ漁で栄え

た町ですが、ある時からイワシの群れが消え、当時の缶詰工場が並んでいた場所が“キャ

ナリーロウ”という観光スポットになっています。当時の様子はノーベル文学賞作家スタ

インベックの小説にも描かれています。何十年か前訪れたことがあります。

そして、HPの創業家が寄贈した水族館が素晴らしかった記憶があります。

それにしても2泊3日で約15万円、日本のツーリズムはおかしいですね。


◆ビジネスモデル学会 イブニングセッション◆

9月29日(火) 第24回イブニングセッション開催のご案内

詳細・お申し込みはこちら >> http://goo.gl/WneuR2

講演テーマ: 女性活躍推進がなぜビジネスを変えるのか?

講師:麓 幸子 氏

   日経BP社生活情報グループ統括補佐

   日経BPヒット総合研究所長・執行役員

日時:9月29日(火) 19:00-21:30

場所:霞ヶ関ナレッジスクエア エキスパート倶楽部


(講演要旨)

今国会で成立が見込まれる女性活躍推進法。その法律の解説を踏まえ、なぜ女性活躍推進

が必要なのか、ビジネス上でどんなメリットがあるのか、その戦略と効果的な施策を先進

企業の豊富な事例を交えて紹介する。

30年以上、働く女性と企業の女性活躍施策を追ってきたジャーナリストとしての知見と、

研究者として学術的に証明された理論を用いて講演する。

日本の企業が陥りやすい女性活躍NG事例も用意し、なかなか進まない女性活躍の阻害要因、

それを打破するためのポイントも提供する。


(講師プロフィール)

1984年筑波大学卒業。同年日経BP社入社。1988年『日経WOMAN』創刊メンバー、2011年

12月まで5年間『日経WOMAN』編集長。2012年よりビズライフ局長に就任、『日経WOMAN』

や『日経ヘルス』などの媒体の発行人となる。2014年より現職。同年、法政大学大学院経

営学研究科修士課程修了。内閣府企画調査委員、経団連21世紀政策研究所研究委員などを

歴任。


◆第26回俯瞰サロンのご案内◆

講師の阿部玲子さんには、5年ほど前、バンガロールの地下鉄工事現場をヘルメット、作業

靴で案内していただきました。

受講を強くお勧めします。インドで仕事をしていますので滅多にお会いできません。


第26回 俯瞰サロン「世界の大型トンネル工事で活躍。土木技師 阿部玲子さんに聞く」

土木技師として、世界で活躍されている、阿部玲子さん(オリエンタルコンサルタンツグ

ローバル インド現地法人社長)をお招きします。

台湾新幹線のトンネル工事や、インドのデリーとバンガロールの地下鉄建設工事に携われ

てきました。バンガロールでは、安全・品質管理の責任者として従事し、現場の環境管理

システムを開発し、導入したことで、バンガロール・メトロの総裁から「ベスト・セーフ

ティー・アワード」の表彰を受けています。日本においても「ウーマン・オブ・ザ・イヤ

ー2013」リーダー部門を受賞され、今年3月には、政府の海外向け広報番組に取り上げら

れ、世界で注目を集めていらっしゃいます。

政府広報: https://www.youtube.com/watch?v=p-95rBHZNBc&feature=youtu.be


日 時: 8月27日(木)18時30分から20時(受付開始18時15分)

会場 : 港区港南1-9-1 品川TWINSオフィス棟1階

     NTT東 セミナールーム (品川駅港南口より徒歩5分)

          参加費: 講演会のみは、無料

定員 : 60名程度 (定員に達した時点でお申込みを締めきります)

懇親会: 講演終了後、懇親会を開催。参加費用は3,500円?4,000円。

お申込み: http://www.fukan.jp/俯瞰サロン/


◆俯瞰のクッキング?羅臼昆布は別格?◆

羅臼昆布を勉強してきたので少し紹介しましょう。下記の“うまいもんドットコム”の解

説が正確で丁寧ですから少し内容を引用しましょうか。工程は「知床からよろしく!」の

  昆布のページに写真で紹介されています。


「その歴史は意外に浅く、明治末期と言われています。大阪の商人が根室に昆布の買い付

けに訪れた際、品質の良いものの産地を辿ったところ、それが知床の産だったようです。

知床半島には深い森が広がり、無数の川がながれ、アムール川からの流氷は膨大なプラン

クトンを運んできます。さらに、複雑なリアス式海岸が豊かな生態系を生み、そこに育つ

羅臼昆布は昆布の中でも最高レベルとの評価を得ています。


そもそも、羅臼昆布は資源量が限られているので、北海道の昆布生産の3%にも満たない

量ですが、さらに、天然ものとなると、1%程度と、まさに幻の昆布です。」

「昆布は浅い水深(2?10m)の岩礁地帯に生息するので、天然もの漁場は基本的に前

浜となります。(※前浜とは、浜の目の前の海)

品質は浜によって異なるので、一概には言えませんが、羅臼昆布の場合、天然ものも養殖

ものも、同じ海域で、同じ期間をかけて育ちますが、養殖ものはロープに種を植え付けて

育ちやすい状態で生育することに対し、天然ものは海の底に横たわるように葉を広げ、厳

しい環境で育ちます。

海が荒れれば、岩とぶつかるでしょうし、昆布が大好物のウニに齧られるかもしれません。

そうした厳しい環境が天然の羅臼昆布を骨太に育ててくれるので、その出汁の根性にも、

当然差が出ます。」


「知床半島の短い夏、およそ40日間、羅臼昆布漁は行われます。40日間と言っても、

干す工程を考え、好天が続く見込みが立たなければ漁はできません。天候が悪ければ、良

質な昆布は作れないので、まさにお天道様頼みとなります。

昆布竿と水中めがね(箱めがね)を積んだ小舟が前浜に集結し、朝6時の白旗の合図とと

もに、一斉に漁を開始します。」


「昆布は胞子から1年で長く成長しますが、1年目の昆布の出汁の味はのりません。冬に

枯れ、春に芽吹き成長した2年目の肉厚の昆布を狙います。

水中メガネで昆布に狙いをつけ、長い竿をねじり、昆布を巻き取り水揚げする重労働は長

年の経験と技があって可能になります。」


水揚げされた昆布は玉砂利の乾場に並べて天日干しされます。玉砂利でなければ砂やゴミ

が付着したりするからです。少し乾いた段階で根を切り、夕方には番屋に取り込み、その

後は天日や機械を使い乾燥させます。


湿り取り、昆布巻き、昆布のし、庵蒸(あんじょう)、日入れ、二回目の庵蒸、根昆布を切

り、赤葉刈り、三回目の庵蒸、選別、箱詰め、検査 ようやく羅臼昆布となる乾燥した昆

布を夜の乾場に並べてあえて湿り気を加えます。この工程(湿り取り)で柔らかになった

昆布を2枚重ねで巻きながら細かなゴミを取り一晩寝かせます。この工程を昆布巻きと呼

び、さらにその昆布を広げ(昆布のし)、重ねてから重石を載せて一晩二晩寝かせます。こ

れを庵蒸(あんじょう)と呼びます。この工程で昆布の色・つや・味が引き出されます。


再び、昆布を干し(日入れ)、再度の庵蒸、根昆布を切り取り、縁の赤い部分(赤葉)や肉

薄な部分は思い切ってカットしていきます。さらに庵蒸させて選別し、箱詰めします。選

別は漁師が自分でしますが、出荷前に厳格な検査があり、検査済の判を押されなければ出

荷できません。


細かく区分けすると40にも分かれると言われる工程を経て、北国の海藻は上質な調味料

であり食材になります。この段階で水揚げした段階と比べ僅かに9%の重量に絞りこまれ、

熟成し、うまみの塊となります。」


羅臼昆布他の昆布と違うのは、40もの工程で熟成させうまみ成分を増加させることだとい

うことでした。組合の保管倉庫で説明を受けました。15キロ入りの羅臼昆布ですが最高級

の1等天然物は1箱約40万円、それ以下は7-8万円ということで、幻の昆布はこの一等

品です。


興味深いのは、昆布には、本当は賞味期限というのはないのです。現在の法律上、袋詰め

にして販売をすると賞味期限をつけなければならないので、賞味期限 をつけているとの

ことでした。あえて倉庫で寝かして“蔵囲昆布”として販売している店もあります。東京

の日本橋に店がありますのでそこで買えます。通販は送料がバカにならないので。


自分へのお土産に少量の1等の羅臼昆布も買ってきました。以前から私は羅臼昆布を愛用

しています。水につけておいて昆布水としても飲みます。


うまいもんドットコム

http://www.umai-mon.com/user/scripts/p_attribute.php?attribute_id=680

羅臼漁業協同組合 直営店 海鮮工房

http://xc532.eccart.jp/v383/item_detail/itemCode,B-1/

“蔵囲昆布”

http://www.konbu.jp/

知床からよろしく!  昆布

http://siretoko-21.cocolog-nifty.com/blog/cat3897310/index.html


◆ニューウェーブの俯瞰?EVへの大きなうねり?

EV普及のうねりが見えてきました。セブン&アイ・ホールディングスとNECは、全国45

店舗の「イトーヨーカドー」「Ario」「そごう」「西武」に合計3380台の電気自動車(EV)・

プラグインハイブリッド自動車(PHV)用充電器を設置し、有料充電サービスを提供する

と発表しました。お買い物の間充電してください、ということです。もちろんポイントで

払えます。ほかの小売業も追随するでしょう。軽自動車のEVも手ごろな価格で発売される

でしょう。


規模は小さいですが三菱地所とNECは三菱地所グループの施設にNECが開発した電気自

動車(EV)・プラグインハイブリッド車(PHV)用普通充電器を設置すると発表しました。

丸の内エリアの駐車場に設置を行い、その後「横浜ランドマークタワー」「サンシャインシ

ティ」「仙台ロイヤルパークホテル」など、三菱地所グループが所有する10施設に順次導

入していく計画とのことです。


海外のEVへのうねりは、もっと大きく行政も自動車メーカーも積極的な展開をしています。

ロンドンではバスもタクシーもEV化です。中国のBYDがバスを供給する動きです。ロン

ドンのタクシーは2018年からEVなど温暖化ガスを発生しない車に限定です。タクシー製

造では、日産自動車を含む5社が開発を急いでいるようです。


ディーゼルエンジンに注力してきた欧州のメーカーも積極的にEVを投入し始めました。

「BMW i3」や「VW e-ゴルフ」です。日本市場にも来ます。

米国ではテスラがひとり気を吐いていますが、燃料価格低下と大型SUV嗜好の消費者で高

利益を上げている米国のメーカーはEVに消極的です。


燃料電池車で孤軍奮闘のトヨタ自動車もこの流れにお付き合いでしょうか、次期型プリウ

スPHVは、EV走行距離が35マイル(約56km)に伸びるという50kmのEVですか。

もう、欧米の規制にはハイブリッド車はエコカーの範囲に入っていません。2012年には

HVが規制の枠組みから外され、また現在、自動車メーカーにカリフォルニア州内で売る新

車の14%をZEV車(EVと燃料電池車)にするよう義務づけている規制が、2018年から

は16%に引き上げられるとのこと。


現在利益を上げている商品の売上を第一とし、あえて未来にチャレンジすることに及び腰

の姿勢はいつものパターンですが、結果は見えています。私はIBM在任時代にパソコンの

マーケッティングを担当して、身に染みています。もはや当時ドル箱だった汎用機という

コンピュータは存在しません。


自動車業界にはGoogleとAppleという資金潤沢な新規参入者がもう見えています。彼らの

自動運転自動車は無論EVです。インドではすでにフォックスコン(鴻海)の新工場の建設

が進められています。Apple Carはここで組み立てられるのでしょう。EVは究極の“モ

ジュール”構造で、走るiPhoneですから比較的単純な組み立て作業でしょう。車体のプレ

ス、溶接、塗装の工程は枯れた技術ですから。


世界中のスマホは欧米や日本ではなく中国で生産されている現状を見ると、将来の小型EV

はインド生産になるのではないでしょうか。中国のEVメーカーがインドで生産して世界中

に輸出する?



イトーヨーカドーや西武など45店舗にEV・PHV用充電器3380台を設置

http://response.jp/article/2015/08/10/257618.html

グリーン電力活用したEV用充電器、437台設置してCO2フリーなドライブ

http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1507/30/news034.html

BYD、英国のバス製造大手と提携…ロンドンにEVバス納入へ

http://response.jp/article/2015/08/11/257664.html

ロンドンタクシー、18年から電気自動車を義務化

http://www.nikkei.com/article/DGXNASGM17012_X10C14A1MM0000/

VW ゴルフ のEV、米国で新グレード…価格を4500ドル引き下げ

http://response.jp/article/2015/08/07/257514.html

テスラ幹部、他メーカーにEV重視促す

http://jp.wsj.com/articles/SB10685294686418064255204581151851567780490

米自動車業界団体トップら、加州のEV販売比率規制に不満

http://jp.reuters.com/article/2015/08/05/autos-electric-idJPKCN0QA0RS20150805

次期型トヨタ「プリウスPHV」はEV走行距離が3倍に向上?

http://jp.autoblog.com/2015/07/24/new-toyota-prius-phev-could-have-35-mile-all-electric-range/

グーグル、自動車関連子会社「Google Auto LLC」を密かに登記

http://wirelesswire.jp/2015/08/44685/

アップルの電気自動車は「BMW i3」をベースに開発か

http://ggsoku.com/2015/07/apple-ev-bmw-i3/

まるで中国版テスラ「モデルS」上海のベンチャー企業がEV「Youxia X」を発表

http://jp.autoblog.com/2015/07/31/youxia-x-chinese-tesla-model-s/

レンジエクステンダーEVの普及で、内燃機関の多様化が始まる

http://techon.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20150803/430621/?rt=nocnt


◆俯瞰の書棚◆

今回の紹介は「青木昌彦の経済学入門」青木昌彦 ちくま新書 2014年 です。

この本は題名にあるように、経済学入門ではなく、“青木経済学”の入門書です。といって

も書き下ろしたものでなく、寄稿記事や対談、講演を集めてまとめたモノです。


青木昌彦の経済学は気になっていましたが、分厚い専門書を読む事には腰が引けていまし

たので、この新書を読んでみました。多分この本が最後の出版物でしょう。日本人で唯一

のノーベル経済学賞の候補者だったので、受賞前に逝去されたのは日本にとっても大変残

念なことです。


青木先生は制度論の大家ですが、高度成長期の制度(経済システム)が行き詰まり新しい

制度に移行するのに一世代30年かかるから“失われた20年”ではなく“移り行く30年”

であるという主張は説得力があります。


学生時代はブント(共産主義者同盟)に属し学生運動に没頭してマルクス経済学を読み込

んだ、大学院の入試では面接で落とされたという率直な語りは人柄をしのばせます。


京都大学経済学部自治会に招待されての講演「経済学を学ぶ心構え」では、まず数学をし

っかり勉強せよ、とのことです。数学をどう技術的に解くかではなく論理的な思考を磨け

ということです。そして、微積分だけではなく「相手が自分の行動にどう反応するかを読

みながら反応する」ためにゲーム理論が大変重要だとの事です。


二番目は国際コミュニケーション能力をつけろ、すなわち英語力をしっかりつけろという

子です。数学と英語、これは大学入試の最重要科目ですが、この受験勉強は大学以降の活

動と人生に意味があります。受験勉強で創造力が失われることはありません。創造性は後

述の様に“制度”の問題です。


三番目は行動経済学と脳科学です。人間の行動は脳がきめます。そして今脳科学が発展し

ています。

そして証券市場や資本主義利益一本やりの経営の時代ではないから、倫理観を養っておく

ようにとのことです。


制度分析進め方ですが、まず特定の社会ゲームの変数域(ドメイン)、例えばマーケット、

政治ドメイン、社会的シンボルが交換されるドメインを決めます。そしていずれのドメイ

ンもどのようなプレーヤーが、どのような手を打つことが出来るか決まっている、ゲーム

のルールは公式的なものと慣習のように社会に埋め込まれたモノがあるのです。


ゲームが進行すると社会に徐々に安定的な均衡が生まれてきて、その結果「社会的なゲー

ムが実際にどの様に行われているか」、「ルールから逸脱した行動をとるとどのようなこと

が起ころうるか」について人々の間で予想が共有される「共有予想」が制度であると定義

しています。

そのように共有化された予想に基づいて人々はそれぞれ戦略をとりますが、それらが全体

として一つの均衡を生み出し、その均衡が今度はゲームのルールを裏付け、そのようなル

ールに沿って社会が動いているということをみんなが再認識するという循環構造があると

いうことを説明しています。


ゲーム理論の有名な均衡に“ナッシュ均衡”がありますがこの本では「他の人が終身雇用

というルールに従っている限りは、自分も終身雇用というルールに従うのが最善の戦略」

と説明しています。日本のサラリーマンはこの戦略ですか。


制度革新とシュンペーターの話も興味深いですね。詳細はお読みいただくしかありません

が、制度変化とはゲーム理論でいうドメインを“束ねなおす”ことで、東部の古い組織的

な束ね方から脱して、緩い束ね方が新しい価値を生み出したのがシリコンバレーであると

解説しています。


そしてなぜ日本やヨーロッパにシリコンバレーが生まれないかについては、社会的な埋め

込みという慣性が強い場では“現在の束ね方”を変えるのが難しい、なぜならば古い束ね

方から利を得ているプレーヤーの抵抗が強く、周辺制度が頑健であるからと解説していま

す。

一読すると学が付くというより身の回りの状況が理解しやすいという感じです。東芝の“不

適切会計処理”の本質も分かったような気持ちになります。


最後の記事は2020年のオリンピックについてですが、これはある種の応援歌です。新国立

競技場、デザイン盗用のドタバタを見ないで逝去されたのは先生にはよかったですが、オ

リンピック委員会の端くれに参画している身としては、何とかしなくてはという新たな気

構えがでました。


ナッシュ均衡

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8A%E3%83%83%E3%82%B7%E3%83%A5%E5%9D%87%E8%A1%A1


◆編集後記◆

● 14日の首相の70年談話、15日の陛下のお言葉を確認しないといけないので配信

がお盆過ぎになりました。結果はやれやれです。

● 首相も、靖国参拝を強行したときに比べ、「相手が自分の行動にどう反応するかを

読みながら反応する」ことは理解したようですね。

● 中国の経済減退はある意味経済学のモデルとして冷静に認識したほうがいいと思

います。2012年の反日デモは、世界中がリーマンショックで落ち込んだ時、ひとり中

国は財政出動で2桁成長を持続した実績で胡錦濤政権が自信過剰の時期でした。皮肉

にもそれから徐々に成長が鈍化し、財政出動は不動バブル、過剰投資として今負の遺

産として残り、政策的な減速を余儀なくされています。

● EVの大きなうねりが見えてきました。その先には自動車産業の異次元的な構造

改革が見えるような気がします。Google、Apple、TESLAが仕掛ける自動車産業のニ

ューウェーブにワクワクします。

● Google はドル箱のネット広告の事業を新たなCEOに任せ、創業者二人は新会社

を設立して、新たなチャレンジをめました。潤沢な手元資金と現金収入をもっていま

すから、失敗を心配する必要がありませんので、きっと何かしでかすでしょう。その

津波のようなニューウェーブを、現在の自動車会社が乗り越えられるかです。情報革

命では既存のプレーヤーは、津波の中に全て飲み込まれてしまいました。

● ゲーム理論で社会を制度として認識するという、青木昌彦先生の考えを少しでし

ょうが理解できました。成長できない日本、シリコンバレーモデルをコピーできない

日本、そして無責任な企業経営、新国立競技場等は新たな理解の水準になりました。


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◆内容・記事に関するご意見・お問い合わせ/配信解除・メールアドレス変更右記まで

webmaster@fukan.jp

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◆俯瞰MAIL 0051号(2015年8月17日)

発行元:     一般社団法人 俯瞰工学研究所

発行人:   松島克守

編集長:   松島克守

URL:      http://fukan.jp

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俯瞰メール50号

◆時候のご挨拶◆

梅雨の季節で、天気が不安定です。昔の梅雨はしとしととした長雨でしたが、最近はメリ

ハリある気候の変化です。温暖化の影響でしょうか。温暖化は深刻な問題で人類を真綿で

首を絞めるように効いてくるでしょうが、個人レベルでは殆ど対応ができません。中国と

米国という炭酸ガス排出大国も少し反省しているようですが。


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  ● 強行突破するか、安倍首相

● 軍事的な空白が中国を南シナ海に進出させた

● 注目される日本の軍事技術

● 崖っぷちのギリシャそして日本は

● キューバ大使館に行ってきました

● ビジネスモデル学会第23回イブニングセッションのご案内

● 俯瞰のクッキング?シンプルレシピ?

● ニューウェーブの俯瞰?眠っている間にクリエイティビティを高めよう?

● 俯瞰の書棚 「IOTの衝撃」Harvard Business Review 2015年4月号

● 編集後記

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◆強行突破するか、安倍首相◆

安保法制の国会審議が混乱しています。最近では維新の党が内紛状態です。安保法制に積

極的な橋下氏と執行部が対立しています。集団的自衛権を容認するかしないかです。もと

もと集団的自衛権を何としても認めさせたい安倍首相の執念が今回の安保法制の基になっ

ています。


安倍晋三首相は10日の衆院平和安全法制特別委員会で、安全保障関連法案と維新の党な

どの対案が並行審議されたことを受け、「相当(国民の)理解が深まった」と主張、早期採

決に意欲を示しましたが、この文章を書いている時点では結果がどうなるか分かりません。

いずれにせよ憲法違反の訴訟が起こされ、最高裁判所の判断を待つことになるでしょう。


ただこれだけのことを国会で議論して議決するには、余りにも自民党に緊張感が欠けてい

ました。絶対多数を背景に一定程度野党の質問を受け流して十分な時間を委員会審議に使

ったという論理で多数決をすればいい、という安易な姿勢があまりにも露骨で、首相自ら

ヤジを飛ばすとか、自民党推薦の参考人がこともあろうに違憲であると述べるなど、明ら

かに自民党の傲慢の姿勢が徐々に国民全体の心理に染み込んできて、議論をすればするほ

ど国民は疑念を深めてきました。


さらにSEALDs=シールズという学生団体が1万5,000人以上集めて国会前の集会を

したということです。私は東大紛争の時の学生ですから、学生のパワーを実感しています。

あまりにも、これまで学生が政治に無関心だったということも気になっていました。学生

が動くとき、社会は否応なしに反応します。安倍首相の祖父の岸元首相が主導する日米安

保条約改正に反対するデモは国会を5万人で埋めつくし、警察の機動隊の警備活動中に死

者も出ました。


1960年6月15日のデモで全学連主流派が衆議院南通用門から国会に突入した際、警官隊

と衝突して東大の学生であった樺美智子さんが死亡しまた。当時、全学連主流派と対立し

ていた日本共産党は、彼女の死に際して、「樺美智子の死は、官憲の虐殺という側面とトロ

ツキスト樺への批判を混同してはいけない。樺の死には全学連主流派の冒険主義にも責任

がある」と全学連側の行動も非難したとされています。今回の学生の活動の背後に特定の

政治勢力が無く、純粋な学生運動であれば、 18歳の選挙権の時代に次世代を担う学生の意

思が政治に反映する時代が来たと思います。


しかし歴史的にこの日米安保条約改定を誤りという評価はありません。ここに今の安倍首

相は自分を重ねているのでしょうが。


色々ありますが、結果として最近の世論調査は過半数の国民が安保法制の今国会での議決

に反対で、加えて内閣支持率も下がり支持しない方が多数となりました。多くの地方議会

もこの法案に反対、もしくは慎重な立場を表明しています。さらに内閣法制局長官を歴任

したお二人が違憲であるという意見を表明するとなると、このまま今国会で多数を持って

可決することができるのでしょうか。


本来であれば、ここで衆議院を解散し、改めて国民の意思を確認するのが憲政の正道でし

ょうが、安倍首相は「解散を考えていない」と言っていますが、祖父である岸元首相の国

民の大多数が反対最中での安保改定の強行にならい「自分も歴史に名を刻みたい」と表明

しています。


小沢一郎氏の「安倍首相の野望は軍事大国を目指すことである」というような刺激的な発

言も国民から見ると、納得しやすいでしょう。そして一部の人々は、徴兵制の復活とかほ

とんど非現実的な議論を持ち出して、感情的に国民の不安を煽っています。しかし東アジ

アにおける軍事力関係は明らかに緊張状態にありますが、共産党は「外交で友好関係を築

き自衛隊を解散」などという、とんでもない議論をしています。一方自民党の安倍首相の

応援団と称する勉強会では、マスコミ報道の規制の議論を出して、世間の袋だたきにあい

安倍首相も謝罪せざるをえないような混乱ぶりです。


アメリカを始め各国政府は、この日本の混乱した議論がどこに収束するのか、固唾を飲ん

で見守っているのではないでしょうか。


このような安保法制が必要な事は認める必要があります。ただ憲法9条に合う範囲でその

限界を設定することが要点ではないでしょうか。その点では民主党と維新の会の共同提案

はきちっと議論すべき対象だと思います。

このような状況の中で、中国が尖閣諸島の領海内に侵入を繰り返していることは、どんな

意図があるのか計りかねます。


集団的か、個別的か…表現めぐり維新内紛 橋下氏は離党も示唆

http://www.sankei.com/politics/news/150709/plt1507090002-n1.html

安保法制で解散・総選挙まったく考えていない=安倍首相

http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKCN0PJ07J20150709

安保法制、144議会「反対」 181議会「慎重」

http://www.asahi.com/articles/ASH767W4YH76UTIL05Q.html

毎日新聞世論調査:安倍内閣不支持上回る 安保法案、説明不十分8割

http://mainichi.jp/shimen/news/20150706ddm001010163000c.html

歴代の法制局長官が「憲法9条に違反する」と指摘

http://news.tv-asahi.co.jp/news_politics/articles/000053128.html

安保関連法案:シールズの国会前集会に1万5000人以上

http://mainichi.jp/select/news/20150711k0000m040132000c.html

安保法案デモ 話題の学生団体「SEALDs」中心メンバーに聞く

http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/161627

安保法制に「違憲訴訟を準備」 小林節氏・長谷部恭男氏が安倍政権を批判

http://www.huffingtonpost.jp/2015/06/15/national-security-law-unconstitutional_n_7584650.html

剛腕・小沢一郎が安倍首相の野望を暴く「本音は軍事大国を目指すこと」

http://dot.asahi.com/wa/2015062400091.html

「外交で友好関係を築き、自衛隊解消へ」 共産・志位氏

http://www.asahi.com/articles/ASH6R6T8PH6RUTFK016.html?ref=newspicks

首相に罵声 欧米メディアはどう報じたか

http://www.okinawatimes.co.jp/article.php?id=121506

百田尚樹

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%99%BE%E7%94%B0%E5%B0%9A%E6%A8%B9

中国公船が領海侵入=今年19回目?沖縄・尖閣沖

http://www.jiji.com/jc/d4?p=kss816&d=d4_ter&kn=1

問題続出の緩みきった自民党安倍政権はいま、危機にさしかかっている!

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/44000


◆軍事的な空白が中国を南シナ海に進出させた◆

平和外交も重要ですが、現実は力の空白があれば、そこを誰かが埋めるということが国際

政治の常識です。


南シナ海における中国の強引な実効支配と軍事基地の建設は、元はと言えばフィリピンか

ら米軍が撤退した力の空白を、中国が埋めたともいえます。フィリピンはほとんど軍事力

がありません。しかしスプラトリー諸島の目の前にあったアメリカ海軍のスービック海軍

基地を米軍の要請を断って、返却させました。きっかけは、ピナツボ火山噴火により、ク

ラーク基地が甚大な被害を受け、火山灰により滑走路や設備が使用不能となり、復旧には

莫大な費用が発生することになったことです。これを機会に、米軍は軍事的価値の無いこ

の基地を返還することにしましたが、スービック海軍基地は使用継続を希望したのです。

しかしフィリピン国会は、国民にある反米感情を考慮して拒否しました。


南シナ海の埋め立てについては米軍の度重なる抗議に対し、中国は埋め立ての完了という

ことでアメリカとの対立を回避しましたが、すでに3,000メートルの滑走路を完成させこ

こに軍事的な拠点を着々と整備しています。


この南シナ海での中国とASEAN 、米国のせめぎ合いは日本も無関係ではいられません。

この辺が現在の安保法制の議論の中でもっと時間を割くべきだと思います。アラビア海の

ホルムズ海峡における機雷掃海について、安倍首相は憲法解釈を変更しても集団自衛権で

対処する必要があるという論法ですが、集団自衛権を認知させるために、ホルムズ海峡と

いう日本の生命線を持ち出しているような気がします。日本には原油の備蓄はおよそ100

日もあります。さらに現在では米国のシェールオイルもあります。このホルムズ海峡に、

日本が機雷掃海に出かける必要があるかは、議論を要します。安保法制の議論の混乱もこ

こに要因があります。


中国軍にスプラトリー諸島を占領された」フィリピン 米軍撤退と再駐留の理由

http://matome.naver.jp/odai/2139865888023459601

スービック海軍基地

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%83%BC%E3%83%93%E3%83%83%E3%82%AF%E6%B5%B7%E8%BB%8D%E5%9F%BA%E5%9C%B0

南シナ海の中国による埋め立て問題!アメリカが本腰を入れ始めた

http://matome.naver.jp/odai/2143285695476153801

南シナ海埋め立て「近く完了」=米との対立回避へ妥協か―中国

http://news.yahoo.co.jp/pickup/6163760

南沙諸島

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8D%97%E6%B2%99%E8%AB%B8%E5%B3%B6


◆注目される日本の軍事技術◆

長らく日本は武器の輸出をタブーとしてきましたが、今や積極的に武器輸出の方向に向か

っています。 一つは各国が日本の高い軍事技術に目をつけて、積極的にその導入に動くと

同時に、政府と産業界が一体となって軍事技術の輸出を推進しています。


まずオーストラリアの潜水艦の調達ですが、総額5兆円とも言われる大プロジェクトです。

アメリカは原子力潜水艦しか作れませんが、通常型の潜水艦では日本の「そうりゅう」型

潜水艦の性能が注目されています。たぶん日本海軍以来の技術が、脈々と進化しつつその

中に生きているのでしょう。第二次世界大戦中に日本海軍が建造した伊四百型潜水艦は、

それまで対艦兵器としかみなされていなかった潜水艦の用途を一変させ、第二次大戦後の

潜水艦の設計・運用姿勢に大きな影響を与えた結果、核の時代の弾道ミサイル発射能力を

持った米軍潜水艦に行き着いたということです。


海上自衛隊の飛行艇も世界最高の性能で注目集めています。US-2は、新明和工業製の巨大

飛行艇です。陸上・海上の両方で短距離離着陸が可能で、4500km以上の航続距離を誇りま

す。日本とインドは、2013年に同機に関する協力関係を話し合う共同作業部会「JWG」を

設立し、技術移転・ライセンス生産を含む売買契約を模索してきたが同機の購入計画を承

認する見通しだと報じられています。


最近のニュースでは、アメリカ海兵隊が三菱重工が開発中の水陸両用車両に興味を持って

いるということです。戦車から転用したエンジンと新しい水中推進技術を搭載したこの装

甲車は、揚陸作戦で米国の海兵隊が約40年使ってきた「AAV7」よりも、地上での機動力

に優れ、水の中を進むスピードも速いので、注目しているとのことです。「AAV7」は水中

での速度が遅いことに加え、南西諸島での作戦に必要な環礁を走破する能力がない可能性

があり、三菱重工はその後継車両を念頭に、新型車の研究を進めているとのことです。


日本の優秀な軍事技術の友好国への輸出は、安全保障上も、また防衛費削減にも有効です

が、その一方、域内の軍事的な緊張を高めることも考えられます。すなわち中国の軍拡を

結果として押し上げることにもなりますから、複雑な心境です。


日本、豪潜水艦受注で独仏と激突

http://www.sankeibiz.jp/smp/business/news/150424/bsc1504240500009-s.htm

インドが次期主力潜水艦に日本の「そうりゅう」型を検討と判明

http://news.livedoor.com/article/detail/9734064/

伊四百型潜水艦

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BC%8A%E5%9B%9B%E7%99%BE%E5%9E%8B%E6%BD%9C%E6%B0%B4%E8%89%A6

インド、日本の海自飛行艇を購入へ

http://newsphere.jp/politics/20150227-3/

三菱重の水陸両用車、米海兵隊が関心

http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0P32IA20150623


◆崖っぷちのギリシャそして日本は◆

国民投票で国民から緊縮財政反対の支持を背中に、ギリシャのチプラス首相は崖っぷちの

ゲームを続けています。


ギリシャ議会は11日、EUの新たな金融支援の条件としてチプラス政権が提出した構造改

革案の審議を行い、採決の結果、賛成251、反対32で承認しました。チプラス首相は国民

投票で否定されたにも関わらず付加価値税の増税で、年金支給額の削減などEUの要求を

ほとんど取り入れて、最後の決戦に臨んでいます。


ユーロ圏19か国の財務相会合でギリシャ支援が協議されますが、EU側は今回の改革案を

評価していることから、交渉再開が正式に決まる見込みになってきました。

ただEUは極めて強硬な姿勢を崩していません。とりわけドイツ国民は自分たちの税金で

奔放なギリシャ国民を救済することなど、絶対に許せないということでしょう。したがっ

てメルケル首相も強硬な姿勢を崩せません。 EU各国には温度差はありますが、ギリシャ

に対して厳しい姿勢で臨む事は共通しています。


しかし強硬派のドイツもかつてはデフォルトをして、 1953年には債務を50%減免しても

らっているということですから、メルケル首相も高度な政治判断をせざるを得ません。

これまでギリシャは、ロシアと中国というカードをちらつかせながら交渉をしています。

ロシアはEUの経済制裁がありますから経済的な支援はできませんが、精神的な支援は積

極的に行っています。


一方中国は、すでに民営化されるギリシャ最大の港湾ピレウス港の買収に、国有海運会社

の中国遠洋運輸(COSCO)が参加する計画が進めています。5億ユーロ(約680億円)規

模とされる売却額は、ギリシャ政府にとって貴重な収入となります。


中国はいま、欧州との間を結ぶインフラ網を築く「二つのシルクロード経済圏」構想を看

板政策に掲げ、西アジアと欧州の結節点に当たるギリシャに自由に使える港を確保するこ

とは、構想の具体化に大きな意味を持つと同時に軍艦の寄港基地としても使えます。


ギリシャは地中海の地政学的に極めて重要な位置にあります。ここにロシアと中国が影響

力を持つ事をアメリカは見過ごすわけにはいきません。したがってEUの専決事項であっ

たギリシャ危機についても関与を始めています。


ただ対岸のトルコは、極めて反中国です。人種的にも近く同じイスラム人であるウイグル

族の中国の弾圧に対し、激しく国民が反発し、中国人を襲うなどという暴行もあります。

したがってギリシャ危機は、単純にEUの経済的な問題として処理するわけにもいきませ

ん。


元はと言えば、 EUがギリシャはヨーロッパ文明の源流であるということで、トルコに認

めなかったEU加入を安易に認め、ユーロ圏に入ってギリシャは巨額のユーロ国債を発行

し、オリンピック開催を理由にインフラ投資を膨らませ、加えて国民には手厚い年金を約

束してきましたが、むろん経済的合理性がありませんから財政は破綻し、その破綻した状

況を隠してきた結果2010年から経済危機に陥りました。


現役時代の8割の年金が保証されそれを求めて50代で多くの国民が早期退職をするという

奔放なギリシャに対して、質実剛健を旨とする北ヨーロッパ各国が、厳しく臨むのは当然

でしょう。


幸いギリシャ経済は世界的には1%以下で、世界経済や日本経済にとってもほとんど影響が

ありません。ただ心理的には中国の経済減速と同時に進行ですから、市場心理を大きく動

かす可能性はあります。すでに上海の株式市場の暴落は世界市場の投資家に危機感を植え

付けています。日本の株式もこれに影響されて大きく乱高下しています。


しかし国債という国の借金で国民の関心を買うという政治の行く末をギリシャははっきり

と私たちに見せつけています。とんでもない浪費の新国立競技場や経済性が乏しい新幹線、

そして農業を中心としたバラマキの補助金を推進している現政権のリスクを、国民はこの

際はっきりと自覚すべきです。


ギリシャ議会、構造改革案を承認…交渉再開へ

http://www.yomiuri.co.jp/world/20150711-OYT1T50025.html

12日に合意できなければ「ギリシャは破綻」 支援判断の最終期限、EUが警告

http://www.sankei.com/world/news/150708/wor1507080044-n1.html

ドイツ与党内で強まる対ギリシャ強硬論、メルケル首相を束縛も

http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKCN0PH08120150707

過去にデフォルトしたドイツが、ギリシャに説教する立場にない

http://markethack.net/archives/51972863.html

「過去にデフォルトしたドイツが、ギリシャに説教する立場にない」

http://markethack.net/archives/51972863.html

ギリシャ巡りフランスでも厳しい声強まる

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150709/k10010144171000.html

ギリシャ孤立、米が警戒…ロシア接近をけん制

http://www.yomiuri.co.jp/world/20150708-OYT1T50036.html

危機ギリシャに触手 中国、インフラ投資の支援策 ロシア、制裁科すEU揺さぶり

http://digital.asahi.com/articles/DA3S11843742.html

中国、AIIBを通じてギリシャを支援か

http://jp.reuters.com/article/FiscoColumn/idJP00025100_20150707_00120150707

トルコ各地で反中デモ 中国人と間違え韓国人ツアー客を襲撃

http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20150706/frn1507061201008-n1.htm

ギリシャ危機、真の病巣は「バラマキ年金」にあり

http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/221102/070200016/?rt=nocnt

「五輪」を起爆剤にできなかったギリシャの悲劇

http://sankei.jp.msn.com/london2012/news/120630/clm12063008560000-n1.htm

「ギリシャ危機」の原因はアテネ五輪 東京も無策で“二の舞”に

http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/161510

ギリシャ問題、影響を過大評価せず冷静に注視を=甘利経済再生相

http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPL3N0ZG09320150630


◆キューバ大使館に行ってきました◆

ビジネスモデル学会の大使館プログラムで、キューバ大使館に行ってきました。赤羽橋近

くの小さな大使館でした。 50年も続いたアメリカのキューバの経済制裁が終り、国交回復

が実現しましたので、アメリカに従属的な関係の日本も、これから積極的な経済交流がで

きるようになりますから情報収集に行ったのです。

大使は休暇で本国に帰国していましたが、スタッフの方々が丁寧にキューバの現状を説明

してくれました。


説明会の部屋には、あのチェ・ゲバラの写真が飾ってありました。本当に懐かしい気持ち

で見ました。私はあのキューバ危機が高校3年生で、その当時の衝撃的な状況は、今でも

覚えています。しかしキューバ危機以降は、すっかりキューバに対する関心を失い、情報

もほとんど入ってきませんでした。


キューバの現状に対する説明で特筆すべき事は、非常に医学教育が進んでいて医師の数も

多く、キューバ国民は非常に良い医療を受けられているという事でした。そして各国に対

する支援活動としてキューバは医師団をたくさん派遣しているということです。

社会主義国ですから医療や教育はすべて無料です。治安も極めて良いようです。


ただアメリカと国交回復すれば、投資が始まり資本主義的な格差が広がるでしょう。ある

意味、汚れのないキューバという社会がどのように資本主義という汚れに染まっていくの

か気になりました。


日本の視点に立つと、アメリカのすぐ南にあるキューバは、アメリカへの輸出の生産基地

となります。いま自動車産業中心として、日本の製造業はアメリカの南のメキシコに大量

に進出していますが、メキシコは汚職と麻薬にまみれた治安が極めて悪い地域です。です

からキューバに生産基地を設ける事は、安く、豊富な労働力を活用できるばかりでなく、

日本人の駐在員にとってもメキシコよりもずっとよいと思います。


◆ビジネスモデル学会第23回イブニングセッションのご案内◆

プロジェクトリーダから経営者へ~理系女子が語る経営者の道~

日時:8月6日(木) 19:00-21:30

場所:霞ヶ関ナレッジスクエア エキスパート倶楽部

講師:加藤百合子 氏  株式会社エムスクエア・ラボ 代表取締役 http://m2-labo.jp/

講演要旨:

今振り返れば最初はお遊びでした。マーケティングも計画も粗く、何が必要かもしっかり

見えない中で、補助事業で事業推進。その後、数々の失敗を繰り返し、ようやく、ひと・

もの・かねのバランス感覚をつかみ、最近経営者になったと経験談を話します。


◆俯瞰のクッキング?シンプルレシピ?◆

最近買った中でかなりレベルの高い料理の本がありますのでご紹介します。

「暮しの手帖のシンプルレシピ」です。野崎洋光、ウー・ウェン、渡辺有子、飛田和緒と

いう当代一流の料理人が書いています。この本のシンプルレシピとは、 1少ない材料と手

順で作る料理、2ほっておいて美味しくなる料理、3あると助かる作り置き料理、です。


最初は日本料理の野崎洋光さんです。彼のポイントは、昔の料理と今の料理は違う、なぜ

かというと、昔といまでは魚の鮮度が違うからです。ですから魚も薄味でさっと煮ればい

いということです。次は塩を振って時間をおくという効果、塩を振って15分から30分、

これが「時間が美味しくする工程」と言っています。そして「湯通し」で雑味を取り除く、

です。アクが抜けて素材の旨みが引き立つとのことです。そして、火を入れすぎずに仕上

げる、です。例えば牛の冷しゃぶ、は70度のお湯を使う、です。


2番目に登場するのは中華料理のウー・ウェンさんです。彼女のポイントは、切り方で味わ

いを変える、炒め物は準備をしっかりと、火の入れ方と調味のタイミングです。中華料理

の炒め物というと、強火で素早くというようなイメージがありますが、彼女は強火でパッ

パではなく、中火でじっくりと炒め、素材が持つ水分を使って火を通す、と言っています。

この方法はIHのレンジでは大変助かります。


3番目の渡辺裕子さんは、ジャンルがわかりませんが、彼女がいうポイントは、少ない材料

で作る時は組み合わせを考える、手早く作るための準備と下ごしらえ、厚手の鋳物鍋です。

私も鋳物鍋が好きで、いくつも持っていますが、蓋をして弱火で蒸気を閉じ込めてじっく

り煮るのにはこれは欠かせません。楕円形の鍋は豚の肩ロースの塊がすっぽり入り、少な

い煮汁で煮豚などができます。


4番目は飛田和緒さんです。彼女のいうポイントは旬の食材を使う、揚げ物を活用する、水

ダシを常備する、作り置きならではの美味しさ、です。そして紹介している料理は、ごく

普通の料理ですが、日々の家庭料理にぴったりのものばかりです。



次は「日々 」ごちそう帖、です。私は見たことありませんが上、記の飛田和緒さんを中心

としたグループが作っている季刊雑誌「日々 」の関係者の人々が料理を紹介しています。

飛田和緒さんの魚料理、細川亜衣さんの野菜料理、坂田亜希子さんの肉料理、そしてこの

本の編集者である高橋佳枝さんの昭和のご飯、という構成です。ごく普通の料理ですが、

紹介されている料理一つ一つに知性を感じることができます。シンプルで、それゆえに美

味しいという料理ばかりが紹介されています。


このところ、外での会食や交流会が多く、家で料理を作る機会が少なかったのですが、や

っと渋谷のFood Showに行って自宅で夕食をつくりました。まず朝食のための定番ですが、

冷凍のブルーベリー、納豆、そして野菜ジュースのためのセロリ、レモン、人参、そして

アボカドとキウイ、バナナをカゴに入れました。そして魚屋に来てみると大ぶりの赤舌平

目がありましたので、反射的に買いました。これはバターでムニエルにします。そしてあ

まり見かけない白イカがありますので、なんとなくこれも買いました。店の人は刺身でべ

るとうまいと言ってくれました。


帰宅して白イカのレシピをiPadで探していると、なんと白イカのさばき方というYouTube

があったのでこれを見てさばいてみました。いつもやっている自己流のイカのさばき方と

は違っていましたが、刺身にするには合理的な方法でした。


問題は、うちのパートナーはもともと魚があまり好きでなく肉食系で、イカの刺身は食べ

ません。刺身用にさばいた白イカをじっと見てどう料理するか考えました。食材を見なが

らその料理法を考えるのは最高に楽しい時間です。肉好きのパートナーの嗜好を考えて、

開いた白いかの上にイタリアの生ハムを重ね、端からくるくると巻いて楊枝止めをオリー

ブ油でさっと焼きました。これは結構当たりでした。大葉も一緒に巻いてはどうかという

コメントをもらいました。


付け合わせの野菜料理は、冷蔵庫にあった太めのズッキーニを厚めに輪切りしてフライパ

ンで両面をオリーブ油焼き、その上にシラスのアヒージョを載せました。シラスのアヒー

ジョは小さな鍋にシラスとニンニクと赤唐辛子を入れ、それにひたひたのオリーブ油を入

れて弱火で少し煮込んだものです。これを作っておくと、キャベツの美味しい炒め物がで

きます。冷蔵庫で3、 4日は持ちます。むろんアヒージョとして薄切りのフランスパンに

のっけてもおいしいです。


◆ニューウェーブの俯瞰?眠っている間にクリエイティビティを高めよう?

ニューウェーブとは関係ありませんが夢と現実をコントロールするという面白い記事を見

つけたのでご紹介します。


夢はコントロールできるのか

多くの人にとって、夢は参加するものではなく見るものです。画像とアイデアが飛び交う

様子をはたから見ていて、目覚めたあともそれを覚えていたらラッキー。でも、その夢を、

自発的にコントロールできたらどうでしょう?


「Lucidity Institute」の創設者であるStephen LaBerge氏は、意識的に夢をコントロール

できる明晰夢の臨床研究者として有名です。


同氏はスタンフォード大学で、明晰夢の訓練を受けた人を対象とした実験を行いました。

夢を見始めたら、特定の目の動きをするよう(たとえば、右、右、左、右、左)に指示を

出したのです。ポリグラフを使って被験者の目の動きをモニターしたところ、被験者の目

の動きは、事前に決めたパターンとぴったり一致しました。目視でも、急速でランダムだ

った目の動きが、ゆっくりでコントロールされた動きになることが確認されたそう。これ

により、人は睡眠中に認知機能をコントロールできることが証明されました。


夢を覚えているエピソードとして、ポール・マッカートニーが非常に鮮明な夢を見たあと

に「Yesterday」のメロディを書いたことは有名です。しかし、多くの場合において、無意

識に答えを見つけられる場所を作るには、解決したい課題のことを強く意識しなければな

りません。


Steven Kotler氏は『Hacking Creativity』において、発明家であり予言者でもあるRay

Kurweil氏が明晰夢を使って複雑な問題を解決していることについて、このように書いてい

ます。


毎晩、彼の夢には断片的な解決策が浮かんでは消えていきます。そこにかすかな意識が働

いたとき、彼は課題について考え始めます。この短い準意識的な時間が「明晰夢」と呼ば

れる状態であり、意識的な思考と睡眠による身体のリラクゼーションが相まって、驚くべ

き洞察に至っているのです。


Kotler氏は、明晰夢のカギは、シンプルなパターン認識にあると結論づけています。身体

と心をリラックスさせて特定の問題や見たい夢に意識を集中させることで、脳の奥の部分

が、これまでとは違う新しい方法で情報を結合するようになるのです。


明晰夢を誘導する方法

寝ている間に自信を高め、クリエイティブになりたいという人は、夢をコントロールする

方法を学ぶといいでしょう。


私はよく、明晰夢とマインドフルネスを比較します。どちらも、自分の内外にあることに

意識を向けるという意味では同じです。結局のところ明晰夢の定義は、夢を認識できる能

力のこと。そのため、以下に示すテクニックはどれも、思考を集中させ、環境を敏感に認

識して対応する能力について言及しています。


1. 夢を思い出す訓練

枕元にメモを置いておき、起きると同時に、覚えていることをすべて書き留めます。最初

はわずかなヒントや思考を書き留め、そこからだんだん増やしていきましょう。毎晩ひと

つの夢を詳細に覚えられるようになるまで訓練を続けてください。よく見る夢の種類を明

確に描くことができるようになると、夢が始まったことを認識できるようになります。


2. 夢のサインを知る

7から12個の夢を記録したら、パターンを見つけましょう。よく出てくる人や場所、奇妙

なことなど、そこには共通の夢のサインがあるはずです。今後、そのサインを目印に、明

晰夢に入っていきます。


3. 現実をテストする

生活の中で、自分の周りで起こることに注意を払ってください。夢のサインに似た現象は

ありませんか? ここでの目標は、現実をテストすることを習慣にして、それを夢の中で

も行えるようにすることです。

たとえば、ある物を見て、その模様、色、質感を認識してから一度目をそらし、再び視線

を戻したときに、すべてが同じであることを確認してみてください。あるいは、1日中、次

のような質問を続けるのです。

これは夢なのか現実なのか? 今、何を着ている? 自分の名前は? 今、どこにいる?

5分前は何をしてた?

夢の世界では、物、文字、イベント、人などが、おかしな形で現れることがあります。


4. 導入

眠りに落ちる前に、以下のエクササイズをします。

        * リラクゼーション:まず、身体の緊張を解き、日々の心配事から心をクリアにするこ

とで、自分の意志に集中します。

 * 意志を定める:祈りの言葉などにより、夢の状態を知ることを決意します。

 * リハーサル:眠りに落ちるときに、意志を何度も可視化します。明晰夢を見ている自

分を想像し、見たい夢や解決したい問題が、あなたの意志となるように。


5. 睡眠サイクルを分割する

明晰夢を見る人は、睡眠を2つのセッションに分けている人が多いようです。5?6時間寝

て、1時間起きて、再び眠って誘導テクニックを適用するのです。これは、レム睡眠が長い

ほど、長く鮮明な夢が見られるからなのだとか。


これらのエクササイズは、実際にやろうとすると、かなり大変です。筆者も何週間か練習

を続けていますが、いまだに夢を見ている状態を認識できず、明晰夢に入ることができま

せん。


でも私は、寝ている時間を自分だけのバーチャルリアリティの場にしたいので、訓練を続

けるつもりです。夢の中でクリエイティビティを高め、新しいことを学び、面白い人と話

し、ネガティブなイメージを美しいものに変えるのです。

何よりも、空を飛べたらいいな。

How lucid dreaming can improve your creativity while you sleep | Crew Blog

Rosanna Casper(訳:堀込泰三)


明晰夢をマスターして、眠っている間にクリエイティビティを高めよう

http://www.lifehacker.jp/2015/07/150705lucid_dreaming.html

明晰夢

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%98%8E%E6%99%B0%E5%A4%A2

自由にできる夢は危険?明晰夢を見る方法とその注意点

http://matome.naver.jp/odai/2141398771814127701


◆俯瞰の書棚◆

今回の紹介は 「IOTの衝撃」Harvard Business Review 2015年4月号です。


この本はいわゆる書籍というよりも雑誌の特別号です。今流行のIOTに関する基礎的な解

説です。したがってIOTについて概要を頭に入れたい人にはお勧めです。収録されている

論文は、村井純「 IOTという新たな産業革命」 、マイケル・ポーター「 IOT時代の競争

戦略」 、マルコイヤンシティ、カリムR.ラカニー「 GEが目指すインダストリアル・イ

ンターネット」です。


村井論文は、インターネットは何かということを正しく理解するには最適の論文です。実

はインターネットという言葉には3つの意味があるのです。 1つ目はnetwork of networks

です。国際的にプロバイダーをネットワークするメタネットワークで、これが一般的なイ

ンターネットの定義です。 2つ目はTCP /IPという通信手段で世界中がつながるネットワ

ークのことを意味します。 3つ目はTCP/IPを使っているもののバラバラに動いているも

の、インターネットの技術を使うが、世界のインターネットとは繋がっていないものとい

う意味です。その後IOTの始まりからその社会への影響を解説しているので、ある意味バ

ズワードであるIOTを比較的正しく理解するに有効な論文です。


マイケル・ポーターの論文は、ほとんど未完成で、高校生でも分かるようなIOTの解説で

す。たぶん共著者の弟子が書いた論文だと思います。 IOTの解説がくどくどとありますが、

この論文の主張はIOT時代になっても、マイケル・ポーターが提案した、ファイブホース、

ポジショニング、バリューチェーン、トレードオフという競争戦略の基本形は依然として

有効であるということです。マイケル・ポーターはインターネットが出現した時にも、同

じ論理でインターネット時代になっても自分が提案した競争戦略のテンプレートは有効で

あると論文を発表しています。この主張は無論正しくて、各自がIOT戦略を考えるときに

マイケル・ポーターの提案する競争戦略の基本概念は有効でしょう。これに引き続いて論

文を出すといっていますからそこには、どんなことが書かれているのか興味深いです。


3番目の「 GEが目指すインダストリアル・インターネット」はGEがこの10年ほど推進

してきた旧来の取引ベースの故障や修理というサービスビジネスを、定額の契約ベースの

保守サービスに移行し、さらにジェットエンジンやプラントからの操業データを分析し、

それを顧客の資産とオペレーションの最適化、という新しい顧客価値を提供するサービス

ビジネスに進化させる中でIOTというデジタル革命を分析している論文です。これも多く

の製造業にとって示唆に富んだ IOTの事例となるでしょう。


IOTが今日これだけ注目されているには、この20年ばかりの驚異的なデジタル技術の進化

があります。半導体技術、マイクロプロセッサーの進歩は何億倍という性能向上を実現し

ています。通信技術もインターネットとともに進化し、 人間や機器・機械の周辺で使われ

ているIEEE802.11という通信技術もIEEE802.11.acまで発展し通信速度と容量は数千倍

に進化しました。 RFIDやセンサー技術も小型化が進み、すべてのものにセンサーを付け

られる段階にきました。人間にもウェアラブル機器としてセンサーがすでに装着されてい

ます。これらのセンサーから収集される天文学的な情報をクラウドコンピューティングの

世界に取り込み、 deep learningという機械学習の技術で分析し、その中から有効な情報

を取り出し、プラントや機器の最適オペレーション、故障保全の予兆検出、そして場合に

よっては直接的な制御も行う可能性が現実的なビジネスになることが理解できます。そし

てIOTというバズワードの中で、人々はビジネスチャンスを模索することになります。


この段階でIOTとは何か、という勉強はある意味、一周遅れですが、今からでも遅くあり

ません。


日本の企業はIOT戦略については米国に大きく遅れています。その一因がIOT推進をする

はずの日本のIT産業がほとんど崩壊状態です。アップルやグーグルそしてMicrosoftが展

開している世界で存在感のあるIT企業はありません。これは明らかに国策の誤りです。と

いうか国策に頼る日本企業の甘えが原因でしょう。いつも言っていますが、アップルやグ

ーグルが米国政府から補助金をもらったという話は聞いたことがありません。


◆編集後記◆

● ギリシャ危機の展開がクライマックスで結果が見えず、脱稿が遅れてしまいまし

た。見切り発車ですが、ギリギリEU残留でしょう。

● 安保法案は15日採決という情報もありますが、簡単には収束するとは思いません。

場合によっては解散総選挙もあり得ます。

● 日中関係もこのところかなり改善の方向が出てきましたが、日中関係は限定的な

解決で東アジアの緊張関係は解消されないでしょう。ただ日中関係が改善されると、日韓関係の改善が付いてくるでしょう。

● なぜ50年も隣国のキューバを、アメリカはいじめてきたのでしょうか。しかしキ

ューバ大使館のスタッフは凛とした方々でした。

● 日本の産業のアキレス腱はITに関する意識の遅れです。経営層のITリテラシー

があまりにも貧弱です。


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◆内容・記事に関するご意見・お問い合わせ / 配信解除・メールアドレス変更は、

  右記までwebmaster@fukan.jp

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◆俯瞰MAIL 0050号(2015年7月12日)

発行元:     一般社団法人 俯瞰工学研究所

発行人:   松島克守

編集長:   松島克守

URL:      http://fukan.jp

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7 件の古いメッセージ


Nobuhisa Amagata

松島さん ギリッシャ危機も、EUがギリシャの緊縮策を認めて、追加支援 決めましたね。又安保法案も衆議院通過しましたね。 いずれも、これからどうなるか不透明...

7月17日


susumu.osawa@nomura.com fukan.jp 経由

7月17日


To webmaster 

松島先生、ご無沙汰しております。

IOTを活用して金融事務の生産性向上を模索したいと思います。

アルゴリズムにアナリテイクを適用すれば外国為替の相場方向はできるのですが、

そこに存在する人間の心理を加えればいいのでしょうか??心拍数とか血圧とかで?


大沢


-----Original Message-----

From: (社)俯瞰工学研究所 [mailto:webmaster@fukan.jp]

Sent: Wednesday, July 15, 2015 9:15 PM

To: Osawa, Susumu (Operations/JP) / 大沢 晋 (GMオペレーション部)

Subject: ◆俯瞰 MAIL 0050 号( 2015 年 7 月)◆


俯瞰工学研究所の松島克守のメールマガジンです。第50号を送らせていただきます。

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◆このメールマガジンは、松島克守が、東京大学教授、そして(社)俯瞰工学研究所の代

表として名刺交換やメール交換をさせて頂いた方々にお送りしています。またこのような

メールマガジンはメールボックスのご迷惑と感じられる方もあるかと思います。ご遠慮な

く不要のお申し出を下さるようお願いします。また、内容等についてもご遠慮なくご意見

を頂ければ幸いです。お時間があれば章末のURLの元情報を読んでください。

過去の俯瞰メールは俯瞰工学研究所のHPの「俯瞰メールのアーカイブ」にあります。

http://www.fukan.jp/

ご友人、ご家族に転送して頂くことは大歓迎です。このマガジンは長いので添付の、pdfフ

ァイルを保存しておいて、タブレット等でゆっくりお読み頂くこともできます。

また、このメールマガジンに記事の投稿をご希望の方は是非原稿をお寄せください。

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◆時候のご挨拶◆

梅雨の季節で、天気が不安定です。昔の梅雨はしとしととした長雨でしたが、最近はメリ

ハリある気候の変化です。温暖化の影響でしょうか。温暖化は深刻な問題で人類を真綿で

首を絞めるように効いてくるでしょうが、個人レベルでは殆ど対応ができません。中国と

米国という炭酸ガス排出大国も少し反省しているようですが。


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  ● 強行突破するか、安倍首相

● 軍事的な空白が中国を南シナ海に進出させた

● 注目される日本の軍事技術

● 崖っぷちのギリシャそして日本は

● キューバ大使館に行ってきました

● ビジネスモデル学会第23回イブニングセッションのご案内

● 俯瞰のクッキング?シンプルレシピ?

● ニューウェーブの俯瞰?眠っている間にクリエイティビティを高めよう?

● 俯瞰の書棚 「IOTの衝撃」Harvard Business Review 2015年4月号

● 編集後記

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◆強行突破するか、安倍首相◆

安保法制の国会審議が混乱しています。最近では維新の党が内紛状態です。安保法制に積

極的な橋下氏と執行部が対立しています。集団的自衛権を容認するかしないかです。もと

もと集団的自衛権を何としても認めさせたい安倍首相の執念が今回の安保法制の基になっ

ています。


安倍晋三首相は10日の衆院平和安全法制特別委員会で、安全保障関連法案と維新の党な

どの対案が並行審議されたことを受け、「相当(国民の)理解が深まった」と主張、早期採

決に意欲を示しましたが、この文章を書いている時点では結果がどうなるか分かりません。

いずれにせよ憲法違反の訴訟が起こされ、最高裁判所の判断を待つことになるでしょう。


ただこれだけのことを国会で議論して議決するには、余りにも自民党に緊張感が欠けてい

ました。絶対多数を背景に一定程度野党の質問を受け流して十分な時間を委員会審議に使

ったという論理で多数決をすればいい、という安易な姿勢があまりにも露骨で、首相自ら

ヤジを飛ばすとか、自民党推薦の参考人がこともあろうに違憲であると述べるなど、明ら

かに自民党の傲慢の姿勢が徐々に国民全体の心理に染み込んできて、議論をすればするほ

ど国民は疑念を深めてきました。


さらにSEALDs=シールズという学生団体が1万5,000人以上集めて国会前の集会を

したということです。私は東大紛争の時の学生ですから、学生のパワーを実感しています。

あまりにも、これまで学生が政治に無関心だったということも気になっていました。学生

が動くとき、社会は否応なしに反応します。安倍首相の祖父の岸元首相が主導する日米安

保条約改正に反対するデモは国会を5万人で埋めつくし、警察の機動隊の警備活動中に死

者も出ました。


1960年6月15日のデモで全学連主流派が衆議院南通用門から国会に突入した際、警官隊

と衝突して東大の学生であった樺美智子さんが死亡しまた。当時、全学連主流派と対立し

ていた日本共産党は、彼女の死に際して、「樺美智子の死は、官憲の虐殺という側面とトロ

ツキスト樺への批判を混同してはいけない。樺の死には全学連主流派の冒険主義にも責任

がある」と全学連側の行動も非難したとされています。今回の学生の活動の背後に特定の

政治勢力が無く、純粋な学生運動であれば、 18歳の選挙権の時代に次世代を担う学生の意

思が政治に反映する時代が来たと思います。


しかし歴史的にこの日米安保条約改定を誤りという評価はありません。ここに今の安倍首

相は自分を重ねているのでしょうが。


色々ありますが、結果として最近の世論調査は過半数の国民が安保法制の今国会での議決

に反対で、加えて内閣支持率も下がり支持しない方が多数となりました。多くの地方議会

もこの法案に反対、もしくは慎重な立場を表明しています。さらに内閣法制局長官を歴任

したお二人が違憲であるという意見を表明するとなると、このまま今国会で多数を持って

可決することができるのでしょうか。


本来であれば、ここで衆議院を解散し、改めて国民の意思を確認するのが憲政の正道でし

ょうが、安倍首相は「解散を考えていない」と言っていますが、祖父である岸元首相の国

民の大多数が反対最中での安保改定の強行にならい「自分も歴史に名を刻みたい」と表明

しています。


小沢一郎氏の「安倍首相の野望は軍事大国を目指すことである」というような刺激的な発

言も国民から見ると、納得しやすいでしょう。そして一部の人々は、徴兵制の復活とかほ

とんど非現実的な議論を持ち出して、感情的に国民の不安を煽っています。しかし東アジ

アにおける軍事力関係は明らかに緊張状態にありますが、共産党は「外交で友好関係を築

き自衛隊を解散」などという、とんでもない議論をしています。一方自民党の安倍首相の

応援団と称する勉強会では、マスコミ報道の規制の議論を出して、世間の袋だたきにあい

安倍首相も謝罪せざるをえないような混乱ぶりです。


アメリカを始め各国政府は、この日本の混乱した議論がどこに収束するのか、固唾を飲ん

で見守っているのではないでしょうか。


このような安保法制が必要な事は認める必要があります。ただ憲法9条に合う範囲でその

限界を設定することが要点ではないでしょうか。その点では民主党と維新の会の共同提案

はきちっと議論すべき対象だと思います。

このような状況の中で、中国が尖閣諸島の領海内に侵入を繰り返していることは、どんな

平和外交も重要ですが、現実は力の空白があれば、そこを誰かが埋めるということが国際

政治の常識です。


南シナ海における中国の強引な実効支配と軍事基地の建設は、元はと言えばフィリピンか

ら米軍が撤退した力の空白を、中国が埋めたともいえます。フィリピンはほとんど軍事力

がありません。しかしスプラトリー諸島の目の前にあったアメリカ海軍のスービック海軍

基地を米軍の要請を断って、返却させました。きっかけは、ピナツボ火山噴火により、ク

ラーク基地が甚大な被害を受け、火山灰により滑走路や設備が使用不能となり、復旧には

莫大な費用が発生することになったことです。これを機会に、米軍は軍事的価値の無いこ

の基地を返還することにしましたが、スービック海軍基地は使用継続を希望したのです。

しかしフィリピン国会は、国民にある反米感情を考慮して拒否しました。


南シナ海の埋め立てについては米軍の度重なる抗議に対し、中国は埋め立ての完了という

ことでアメリカとの対立を回避しましたが、すでに3,000メートルの滑走路を完成させこ

こに軍事的な拠点を着々と整備しています。


この南シナ海での中国とASEAN 、米国のせめぎ合いは日本も無関係ではいられません。

この辺が現在の安保法制の議論の中でもっと時間を割くべきだと思います。アラビア海の

ホルムズ海峡における機雷掃海について、安倍首相は憲法解釈を変更しても集団自衛権で

対処する必要があるという論法ですが、集団自衛権を認知させるために、ホルムズ海峡と

いう日本の生命線を持ち出しているような気がします。日本には原油の備蓄はおよそ100

日もあります。さらに現在では米国のシェールオイルもあります。このホルムズ海峡に、

日本が機雷掃海に出かける必要があるかは、議論を要します。安保法制の議論の混乱もこ

こに要因があります。


中国軍にスプラトリー諸島を占領された」フィリピン 米軍撤退と再駐留の理由

http://matome.naver.jp/odai/2139865888023459601

スービック海軍基地

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%83%BC%E3%83%93%E3%83%83%E3%82%AF%E6%B5%B7%E8%BB%8D%E5%9F%BA%E5%9C%B0

南シナ海の中国による埋め立て問題!アメリカが本腰を入れ始めた

http://matome.naver.jp/odai/2143285695476153801

南シナ海埋め立て「近く完了」=米との対立回避へ妥協か―中国

http://news.yahoo.co.jp/pickup/6163760

南沙諸島

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8D%97%E6%B2%99%E8%AB%B8%E5%B3%B6


◆注目される日本の軍事技術◆

長らく日本は武器の輸出をタブーとしてきましたが、今や積極的に武器輸出の方向に向か

っています。 一つは各国が日本の高い軍事技術に目をつけて、積極的にその導入に動くと

同時に、政府と産業界が一体となって軍事技術の輸出を推進しています。


まずオーストラリアの潜水艦の調達ですが、総額5兆円とも言われる大プロジェクトです。

アメリカは原子力潜水艦しか作れませんが、通常型の潜水艦では日本の「そうりゅう」型

潜水艦の性能が注目されています。たぶん日本海軍以来の技術が、脈々と進化しつつその

中に生きているのでしょう。第二次世界大戦中に日本海軍が建造した伊四百型潜水艦は、

それまで対艦兵器としかみなされていなかった潜水艦の用途を一変させ、第二次大戦後の

潜水艦の設計・運用姿勢に大きな影響を与えた結果、核の時代の弾道ミサイル発射能力を

持った米軍潜水艦に行き着いたということです。


海上自衛隊の飛行艇も世界最高の性能で注目集めています。US-2は、新明和工業製の巨大

飛行艇です。陸上・海上の両方で短距離離着陸が可能で、4500km以上の航続距離を誇りま

す。日本とインドは、2013年に同機に関する協力関係を話し合う共同作業部会「JWG」を

設立し、技術移転・ライセンス生産を含む売買契約を模索してきたが同機の購入計画を承

認する見通しだと報じられています。


最近のニュースでは、アメリカ海兵隊が三菱重工が開発中の水陸両用車両に興味を持って

いるということです。戦車から転用したエンジンと新しい水中推進技術を搭載したこの装

甲車は、揚陸作戦で米国の海兵隊が約40年使ってきた「AAV7」よりも、地上での機動力

に優れ、水の中を進むスピードも速いので、注目しているとのことです。「AAV7」は水中

での速度が遅いことに加え、南西諸島での作戦に必要な環礁を走破する能力がない可能性

があり、三菱重工はその後継車両を念頭に、新型車の研究を進めているとのことです。


日本の優秀な軍事技術の友好国への輸出は、安全保障上も、また防衛費削減にも有効です

が、その一方、域内の軍事的な緊張を高めることも考えられます。すなわち中国の軍拡を

結果として押し上げることにもなりますから、複雑な心境です。


日本、豪潜水艦受注で独仏と激突

http://www.sankeibiz.jp/smp/business/news/150424/bsc1504240500009-s.htm

インドが次期主力潜水艦に日本の「そうりゅう」型を検討と判明

http://news.livedoor.com/article/detail/9734064/

伊四百型潜水艦

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BC%8A%E5%9B%9B%E7%99%BE%E5%9E%8B%E6%BD%9C%E6%B0%B4%E8%89%A6

インド、日本の海自飛行艇を購入へ

http://newsphere.jp/politics/20150227-3/

三菱重の水陸両用車、米海兵隊が関心

http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0P32IA20150623


◆崖っぷちのギリシャそして日本は◆

国民投票で国民から緊縮財政反対の支持を背中に、ギリシャのチプラス首相は崖っぷちの

ゲームを続けています。


ギリシャ議会は11日、EUの新たな金融支援の条件としてチプラス政権が提出した構造改

革案の審議を行い、採決の結果、賛成251、反対32で承認しました。チプラス首相は国民

投票で否定されたにも関わらず付加価値税の増税で、年金支給額の削減などEUの要求を

ほとんど取り入れて、最後の決戦に臨んでいます。


ユーロ圏19か国の財務相会合でギリシャ支援が協議されますが、EU側は今回の改革案を

評価していることから、交渉再開が正式に決まる見込みになってきました。

ただEUは極めて強硬な姿勢を崩していません。とりわけドイツ国民は自分たちの税金で

奔放なギリシャ国民を救済することなど、絶対に許せないということでしょう。したがっ

てメルケル首相も強硬な姿勢を崩せません。 EU各国には温度差はありますが、ギリシャ

に対して厳しい姿勢で臨む事は共通しています。


しかし強硬派のドイツもかつてはデフォルトをして、 1953年には債務を50%減免しても

らっているということですから、メルケル首相も高度な政治判断をせざるを得ません。

これまでギリシャは、ロシアと中国というカードをちらつかせながら交渉をしています。

ロシアはEUの経済制裁がありますから経済的な支援はできませんが、精神的な支援は積

極的に行っています。


一方中国は、すでに民営化されるギリシャ最大の港湾ピレウス港の買収に、国有海運会社

の中国遠洋運輸(COSCO)が参加する計画が進めています。5億ユーロ(約680億円)規

模とされる売却額は、ギリシャ政府にとって貴重な収入となります。


中国はいま、欧州との間を結ぶインフラ網を築く「二つのシルクロード経済圏」構想を看

板政策に掲げ、西アジアと欧州の結節点に当たるギリシャに自由に使える港を確保するこ

とは、構想の具体化に大きな意味を持つと同時に軍艦の寄港基地としても使えます。


ギリシャは地中海の地政学的に極めて重要な位置にあります。ここにロシアと中国が影響

力を持つ事をアメリカは見過ごすわけにはいきません。したがってEUの専決事項であっ

たギリシャ危機についても関与を始めています。


ただ対岸のトルコは、極めて反中国です。人種的にも近く同じイスラム人であるウイグル

族の中国の弾圧に対し、激しく国民が反発し、中国人を襲うなどという暴行もあります。

したがってギリシャ危機は、単純にEUの経済的な問題として処理するわけにもいきませ

ん。


元はと言えば、 EUがギリシャはヨーロッパ文明の源流であるということで、トルコに認

めなかったEU加入を安易に認め、ユーロ圏に入ってギリシャは巨額のユーロ国債を発行

し、オリンピック開催を理由にインフラ投資を膨らませ、加えて国民には手厚い年金を約

束してきましたが、むろん経済的合理性がありませんから財政は破綻し、その破綻した状

況を隠してきた結果2010年から経済危機に陥りました。


現役時代の8割の年金が保証されそれを求めて50代で多くの国民が早期退職をするという

奔放なギリシャに対して、質実剛健を旨とする北ヨーロッパ各国が、厳しく臨むのは当然

でしょう。


幸いギリシャ経済は世界的には1%以下で、世界経済や日本経済にとってもほとんど影響が

ありません。ただ心理的には中国の経済減速と同時に進行ですから、市場心理を大きく動

かす可能性はあります。すでに上海の株式市場の暴落は世界市場の投資家に危機感を植え

付けています。日本の株式もこれに影響されて大きく乱高下しています。


しかし国債という国の借金で国民の関心を買うという政治の行く末をギリシャははっきり

と私たちに見せつけています。とんでもない浪費の新国立競技場や経済性が乏しい新幹線、

そして農業を中心としたバラマキの補助金を推進している現政権のリスクを、国民はこの

ビジネスモデル学会の大使館プログラムで、キューバ大使館に行ってきました。赤羽橋近

くの小さな大使館でした。 50年も続いたアメリカのキューバの経済制裁が終り、国交回復

が実現しましたので、アメリカに従属的な関係の日本も、これから積極的な経済交流がで

きるようになりますから情報収集に行ったのです。

大使は休暇で本国に帰国していましたが、スタッフの方々が丁寧にキューバの現状を説明

してくれました。


説明会の部屋には、あのチェ・ゲバラの写真が飾ってありました。本当に懐かしい気持ち

で見ました。私はあのキューバ危機が高校3年生で、その当時の衝撃的な状況は、今でも

覚えています。しかしキューバ危機以降は、すっかりキューバに対する関心を失い、情報

もほとんど入ってきませんでした。


キューバの現状に対する説明で特筆すべき事は、非常に医学教育が進んでいて医師の数も

多く、キューバ国民は非常に良い医療を受けられているという事でした。そして各国に対

する支援活動としてキューバは医師団をたくさん派遣しているということです。

社会主義国ですから医療や教育はすべて無料です。治安も極めて良いようです。


ただアメリカと国交回復すれば、投資が始まり資本主義的な格差が広がるでしょう。ある

意味、汚れのないキューバという社会がどのように資本主義という汚れに染まっていくの

か気になりました。


日本の視点に立つと、アメリカのすぐ南にあるキューバは、アメリカへの輸出の生産基地

となります。いま自動車産業中心として、日本の製造業はアメリカの南のメキシコに大量

に進出していますが、メキシコは汚職と麻薬にまみれた治安が極めて悪い地域です。です

からキューバに生産基地を設ける事は、安く、豊富な労働力を活用できるばかりでなく、

日本人の駐在員にとってもメキシコよりもずっとよいと思います。


◆ビジネスモデル学会第23回イブニングセッションのご案内◆

プロジェクトリーダから経営者へ~理系女子が語る経営者の道~

日時:8月6日(木) 19:00-21:30

場所:霞ヶ関ナレッジスクエア エキスパート倶楽部

講師:加藤百合子 氏  株式会社エムスクエア・ラボ 代表取締役 http://m2-labo.jp/

講演要旨:

今振り返れば最初はお遊びでした。マーケティングも計画も粗く、何が必要かもしっかり

見えない中で、補助事業で事業推進。その後、数々の失敗を繰り返し、ようやく、ひと・

もの・かねのバランス感覚をつかみ、最近経営者になったと経験談を話します。


◆俯瞰のクッキング?シンプルレシピ?◆

最近買った中でかなりレベルの高い料理の本がありますのでご紹介します。

「暮しの手帖のシンプルレシピ」です。野崎洋光、ウー・ウェン、渡辺有子、飛田和緒と

いう当代一流の料理人が書いています。この本のシンプルレシピとは、 1少ない材料と手

順で作る料理、2ほっておいて美味しくなる料理、3あると助かる作り置き料理、です。


最初は日本料理の野崎洋光さんです。彼のポイントは、昔の料理と今の料理は違う、なぜ

かというと、昔といまでは魚の鮮度が違うからです。ですから魚も薄味でさっと煮ればい

いということです。次は塩を振って時間をおくという効果、塩を振って15分から30分、

これが「時間が美味しくする工程」と言っています。そして「湯通し」で雑味を取り除く、

です。アクが抜けて素材の旨みが引き立つとのことです。そして、火を入れすぎずに仕上

げる、です。例えば牛の冷しゃぶ、は70度のお湯を使う、です。


2番目に登場するのは中華料理のウー・ウェンさんです。彼女のポイントは、切り方で味わ

いを変える、炒め物は準備をしっかりと、火の入れ方と調味のタイミングです。中華料理

の炒め物というと、強火で素早くというようなイメージがありますが、彼女は強火でパッ

パではなく、中火でじっくりと炒め、素材が持つ水分を使って火を通す、と言っています。

この方法はIHのレンジでは大変助かります。


3番目の渡辺裕子さんは、ジャンルがわかりませんが、彼女がいうポイントは、少ない材料

で作る時は組み合わせを考える、手早く作るための準備と下ごしらえ、厚手の鋳物鍋です。

私も鋳物鍋が好きで、いくつも持っていますが、蓋をして弱火で蒸気を閉じ込めてじっく

り煮るのにはこれは欠かせません。楕円形の鍋は豚の肩ロースの塊がすっぽり入り、少な

い煮汁で煮豚などができます。


4番目は飛田和緒さんです。彼女のいうポイントは旬の食材を使う、揚げ物を活用する、水

ダシを常備する、作り置きならではの美味しさ、です。そして紹介している料理は、ごく

普通の料理ですが、日々の家庭料理にぴったりのものばかりです。



次は「日々 」ごちそう帖、です。私は見たことありませんが上、記の飛田和緒さんを中心

としたグループが作っている季刊雑誌「日々 」の関係者の人々が料理を紹介しています。

飛田和緒さんの魚料理、細川亜衣さんの野菜料理、坂田亜希子さんの肉料理、そしてこの

本の編集者である高橋佳枝さんの昭和のご飯、という構成です。ごく普通の料理ですが、

紹介されている料理一つ一つに知性を感じることができます。シンプルで、それゆえに美

味しいという料理ばかりが紹介されています。


このところ、外での会食や交流会が多く、家で料理を作る機会が少なかったのですが、や

っと渋谷のFood Showに行って自宅で夕食をつくりました。まず朝食のための定番ですが、

冷凍のブルーベリー、納豆、そして野菜ジュースのためのセロリ、レモン、人参、そして

アボカドとキウイ、バナナをカゴに入れました。そして魚屋に来てみると大ぶりの赤舌平

目がありましたので、反射的に買いました。これはバターでムニエルにします。そしてあ

まり見かけない白イカがありますので、なんとなくこれも買いました。店の人は刺身でべ

るとうまいと言ってくれました。


帰宅して白イカのレシピをiPadで探していると、なんと白イカのさばき方というYouTube

があったのでこれを見てさばいてみました。いつもやっている自己流のイカのさばき方と

は違っていましたが、刺身にするには合理的な方法でした。


問題は、うちのパートナーはもともと魚があまり好きでなく肉食系で、イカの刺身は食べ

ません。刺身用にさばいた白イカをじっと見てどう料理するか考えました。食材を見なが

らその料理法を考えるのは最高に楽しい時間です。肉好きのパートナーの嗜好を考えて、

開いた白いかの上にイタリアの生ハムを重ね、端からくるくると巻いて楊枝止めをオリー

ブ油でさっと焼きました。これは結構当たりでした。大葉も一緒に巻いてはどうかという

コメントをもらいました。


付け合わせの野菜料理は、冷蔵庫にあった太めのズッキーニを厚めに輪切りしてフライパ

ンで両面をオリーブ油焼き、その上にシラスのアヒージョを載せました。シラスのアヒー

ジョは小さな鍋にシラスとニンニクと赤唐辛子を入れ、それにひたひたのオリーブ油を入

れて弱火で少し煮込んだものです。これを作っておくと、キャベツの美味しい炒め物がで

きます。冷蔵庫で3、 4日は持ちます。むろんアヒージョとして薄切りのフランスパンに

のっけてもおいしいです。


◆ニューウェーブの俯瞰?眠っている間にクリエイティビティを高めよう?

ニューウェーブとは関係ありませんが夢と現実をコントロールするという面白い記事を見

つけたのでご紹介します。


夢はコントロールできるのか

多くの人にとって、夢は参加するものではなく見るものです。画像とアイデアが飛び交う

様子をはたから見ていて、目覚めたあともそれを覚えていたらラッキー。でも、その夢を、

自発的にコントロールできたらどうでしょう?


「Lucidity Institute」の創設者であるStephen LaBerge氏は、意識的に夢をコントロール

できる明晰夢の臨床研究者として有名です。


同氏はスタンフォード大学で、明晰夢の訓練を受けた人を対象とした実験を行いました。

夢を見始めたら、特定の目の動きをするよう(たとえば、右、右、左、右、左)に指示を

出したのです。ポリグラフを使って被験者の目の動きをモニターしたところ、被験者の目

の動きは、事前に決めたパターンとぴったり一致しました。目視でも、急速でランダムだ

った目の動きが、ゆっくりでコントロールされた動きになることが確認されたそう。これ

により、人は睡眠中に認知機能をコントロールできることが証明されました。


夢を覚えているエピソードとして、ポール・マッカートニーが非常に鮮明な夢を見たあと

に「Yesterday」のメロディを書いたことは有名です。しかし、多くの場合において、無意

識に答えを見つけられる場所を作るには、解決したい課題のことを強く意識しなければな

りません。


Steven Kotler氏は『Hacking Creativity』において、発明家であり予言者でもあるRay

Kurweil氏が明晰夢を使って複雑な問題を解決していることについて、このように書いてい

ます。


毎晩、彼の夢には断片的な解決策が浮かんでは消えていきます。そこにかすかな意識が働

いたとき、彼は課題について考え始めます。この短い準意識的な時間が「明晰夢」と呼ば

れる状態であり、意識的な思考と睡眠による身体のリラクゼーションが相まって、驚くべ

き洞察に至っているのです。


Kotler氏は、明晰夢のカギは、シンプルなパターン認識にあると結論づけています。身体

と心をリラックスさせて特定の問題や見たい夢に意識を集中させることで、脳の奥の部分

が、これまでとは違う新しい方法で情報を結合するようになるのです。


明晰夢を誘導する方法

寝ている間に自信を高め、クリエイティブになりたいという人は、夢をコントロールする

方法を学ぶといいでしょう。


私はよく、明晰夢とマインドフルネスを比較します。どちらも、自分の内外にあることに

意識を向けるという意味では同じです。結局のところ明晰夢の定義は、夢を認識できる能

力のこと。そのため、以下に示すテクニックはどれも、思考を集中させ、環境を敏感に認

識して対応する能力について言及しています。


1. 夢を思い出す訓練

枕元にメモを置いておき、起きると同時に、覚えていることをすべて書き留めます。最初

はわずかなヒントや思考を書き留め、そこからだんだん増やしていきましょう。毎晩ひと

つの夢を詳細に覚えられるようになるまで訓練を続けてください。よく見る夢の種類を明

確に描くことができるようになると、夢が始まったことを認識できるようになります。


2. 夢のサインを知る

7から12個の夢を記録したら、パターンを見つけましょう。よく出てくる人や場所、奇妙

なことなど、そこには共通の夢のサインがあるはずです。今後、そのサインを目印に、明

晰夢に入っていきます。


3. 現実をテストする

生活の中で、自分の周りで起こることに注意を払ってください。夢のサインに似た現象は

ありませんか? ここでの目標は、現実をテストすることを習慣にして、それを夢の中で

も行えるようにすることです。

たとえば、ある物を見て、その模様、色、質感を認識してから一度目をそらし、再び視線

を戻したときに、すべてが同じであることを確認してみてください。あるいは、1日中、次

のような質問を続けるのです。

これは夢なのか現実なのか? 今、何を着ている? 自分の名前は? 今、どこにいる?

5分前は何をしてた?

夢の世界では、物、文字、イベント、人などが、おかしな形で現れることがあります。


4. 導入

眠りに落ちる前に、以下のエクササイズをします。

        * リラクゼーション:まず、身体の緊張を解き、日々の心配事から心をクリアにするこ

とで、自分の意志に集中します。

 * 意志を定める:祈りの言葉などにより、夢の状態を知ることを決意します。

 * リハーサル:眠りに落ちるときに、意志を何度も可視化します。明晰夢を見ている自

分を想像し、見たい夢や解決したい問題が、あなたの意志となるように。


5. 睡眠サイクルを分割する

明晰夢を見る人は、睡眠を2つのセッションに分けている人が多いようです。5?6時間寝

て、1時間起きて、再び眠って誘導テクニックを適用するのです。これは、レム睡眠が長い

ほど、長く鮮明な夢が見られるからなのだとか。


これらのエクササイズは、実際にやろうとすると、かなり大変です。筆者も何週間か練習

を続けていますが、いまだに夢を見ている状態を認識できず、明晰夢に入ることができま

せん。


でも私は、寝ている時間を自分だけのバーチャルリアリティの場にしたいので、訓練を続

けるつもりです。夢の中でクリエイティビティを高め、新しいことを学び、面白い人と話

し、ネガティブなイメージを美しいものに変えるのです。

何よりも、空を飛べたらいいな。

How lucid dreaming can improve your creativity while you sleep | Crew Blog Rosanna Casper(訳:堀込泰三)


明晰夢をマスターして、眠っている間にクリエイティビティを高めよう

http://www.lifehacker.jp/2015/07/150705lucid_dreaming.html

明晰夢

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%98%8E%E6%99%B0%E5%A4%A2

自由にできる夢は危険?明晰夢を見る方法とその注意点

http://matome.naver.jp/odai/2141398771814127701


◆俯瞰の書棚◆

今回の紹介は 「IOTの衝撃」Harvard Business Review 2015年4月号です。


この本はいわゆる書籍というよりも雑誌の特別号です。今流行のIOTに関する基礎的な解

説です。したがってIOTについて概要を頭に入れたい人にはお勧めです。収録されている

論文は、村井純「 IOTという新たな産業革命」 、マイケル・ポーター「 IOT時代の競争

戦略」 、マルコイヤンシティ、カリムR.ラカニー「 GEが目指すインダストリアル・イ

ンターネット」です。


村井論文は、インターネットは何かということを正しく理解するには最適の論文です。実

はインターネットという言葉には3つの意味があるのです。 1つ目はnetwork of networks

です。国際的にプロバイダーをネットワークするメタネットワークで、これが一般的なイ

ンターネットの定義です。 2つ目はTCP /IPという通信手段で世界中がつながるネットワ

ークのことを意味します。 3つ目はTCP/IPを使っているもののバラバラに動いているも

の、インターネットの技術を使うが、世界のインターネットとは繋がっていないものとい

う意味です。その後IOTの始まりからその社会への影響を解説しているので、ある意味バ

ズワードであるIOTを比較的正しく理解するに有効な論文です。


マイケル・ポーターの論文は、ほとんど未完成で、高校生でも分かるようなIOTの解説で

す。たぶん共著者の弟子が書いた論文だと思います。 IOTの解説がくどくどとありますが、

この論文の主張はIOT時代になっても、マイケル・ポーターが提案した、ファイブホース、

ポジショニング、バリューチェーン、トレードオフという競争戦略の基本形は依然として

有効であるということです。マイケル・ポーターはインターネットが出現した時にも、同

じ論理でインターネット時代になっても自分が提案した競争戦略のテンプレートは有効で

あると論文を発表しています。この主張は無論正しくて、各自がIOT戦略を考えるときに

マイケル・ポーターの提案する競争戦略の基本概念は有効でしょう。これに引き続いて論

文を出すといっていますからそこには、どんなことが書かれているのか興味深いです。


3番目の「 GEが目指すインダストリアル・インターネット」はGEがこの10年ほど推進

してきた旧来の取引ベースの故障や修理というサービスビジネスを、定額の契約ベースの

保守サービスに移行し、さらにジェットエンジンやプラントからの操業データを分析し、

それを顧客の資産とオペレーションの最適化、という新しい顧客価値を提供するサービス

ビジネスに進化させる中でIOTというデジタル革命を分析している論文です。これも多く

の製造業にとって示唆に富んだ IOTの事例となるでしょう。


IOTが今日これだけ注目されているには、この20年ばかりの驚異的なデジタル技術の進化

があります。半導体技術、マイクロプロセッサーの進歩は何億倍という性能向上を実現し

ています。通信技術もインターネットとともに進化し、 人間や機器・機械の周辺で使われ

ているIEEE802.11という通信技術もIEEE802.11.acまで発展し通信速度と容量は数千倍

に進化しました。 RFIDやセンサー技術も小型化が進み、すべてのものにセンサーを付け

られる段階にきました。人間にもウェアラブル機器としてセンサーがすでに装着されてい

ます。これらのセンサーから収集される天文学的な情報をクラウドコンピューティングの

世界に取り込み、 deep learningという機械学習の技術で分析し、その中から有効な情報

を取り出し、プラントや機器の最適オペレーション、故障保全の予兆検出、そして場合に

よっては直接的な制御も行う可能性が現実的なビジネスになることが理解できます。そし

てIOTというバズワードの中で、人々はビジネスチャンスを模索することになります。


この段階でIOTとは何か、という勉強はある意味、一周遅れですが、今からでも遅くあり

ません。


日本の企業はIOT戦略については米国に大きく遅れています。その一因がIOT推進をする

はずの日本のIT産業がほとんど崩壊状態です。アップルやグーグルそしてMicrosoftが展

開している世界で存在感のあるIT企業はありません。これは明らかに国策の誤りです。と

いうか国策に頼る日本企業の甘えが原因でしょう。いつも言っていますが、アップルやグ

ーグルが米国政府から補助金をもらったという話は聞いたことがありません。


◆編集後記◆

● ギリシャ危機の展開がクライマックスで結果が見えず、脱稿が遅れてしまいまし

た。見切り発車ですが、ギリギリEU残留でしょう。

● 安保法案は15日採決という情報もありますが、簡単には収束するとは思いません。

場合によっては解散総選挙もあり得ます。

● 日中関係もこのところかなり改善の方向が出てきましたが、日中関係は限定的な

解決で東アジアの緊張関係は解消されないでしょう。ただ日中関係が改善されると、日韓関係の改善が付いてくるでしょう。

● なぜ50年も隣国のキューバを、アメリカはいじめてきたのでしょうか。しかしキ

ューバ大使館のスタッフは凛とした方々でした。

● 日本の産業のアキレス腱はITに関する意識の遅れです。経営層のITリテラシー

があまりにも貧弱です。


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◆内容・記事に関するご意見・お問い合わせ / 配信解除・メールアドレス変更は、

  右記までwebmaster@fukan.jp

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◆俯瞰MAIL 0050号(2015年7月12日)

発行元:     一般社団法人 俯瞰工学研究所

発行人:   松島克守

編集長:   松島克守

URL:      http://fukan.jp

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俯瞰メール49号

◆時候のご挨拶◆

北斗市では田植えが済んだ田圃が爽やかです。木々の緑も今が一番きれいで力強い色合いの時期です。小鳥もヒナを育てるためでしょうが忙しそうに飛び回っています。Tサイトで見かける人たちも楽しそうな顔をしていいます。そしてもう6月、半年過ぎてしまいました。

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 国民に決意を迫る安保法制議論

 南シナ海波高し

 動き出した日中関係

 二子玉川のクリエイティブシティー

 カンボジアに行ってきました

 俯瞰サロンへのお誘い

 ビジネスモデル学会第22回イブニングセッションのご案内

 俯瞰のクッキング~システムクッキング~

 ニューウェーブの俯瞰~熾烈な競争~

 俯瞰の書棚 「オートメーション・バカ」ニコラス・G・カー(篠儀直子訳)青土社 2014

 編集後記

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◆国民に決意を迫る安保法制議論◆

国民に歴史的な決断を迫る安保法制の議論が国会で始まりました。なにしろ交戦権を認めない憲法9条のもとで自衛隊に同盟国との連携行動を認めるという難しい議論です。戦争法案だから反対というような極論から、玉虫色の政府答弁の中で国民は安全保障に対するリスクを認識し、集団的自衛権の行使の限界を見極めた上で決心しなければなりません。

現在の東アジアの情勢を考えれば、日本単独で日本の安全を確保できない事は明白です。すなわち日米同盟なしには日本の安全と安心は確保できません。米国に日本の安全保障への支援を求めるのであれば、当然米国の軍事行動に対して一定程度貢献が求められます。問題は広範囲な地域で軍事活動を展開する米軍の支援をどこまでやるかの限界と、その行動のタイミングが議論の要点です。不用意に戦争に巻き込まれる事は避けなければなりませんが、場合によっては結果として戦闘に近い所で自衛隊が活動する事はあると覚悟しなければなりません。

問題は国会の議論そのものが過熱するのは良いのですが安倍首相と野党の双方が、かなり行儀が悪い状態です。特に安倍首相の答弁については各方面から厳しい評価がされています。そのようなホットな国会の状況を国民に見せたくないのか、 NHKが国会審議を中継しないという驚くべき事をしています。私も民主党の辻本議員の質問のニュースを見ていましたが、いいところで番組が終わってしまいました。このNHKの姿勢はあの会長の意向とすれば、言論の自由という民主主義の大前提に対す犯罪行為です。

安倍首相も率直に国民にある覚悟と決断を迫るべきです。なんとかグレーゾーンで逃げ切って、与党の賛成多数で今国会で成立させるという、そんな態度が言動に現れています。

今回の議論の中で驚いた事は、イラクおよびアフガンの後方支援についた自衛隊員が帰国後なんと54人も自殺しているという発表です。この異常な自殺率の高さは何を意味しているのでしょうか。日本の自衛隊が精神面でかなり脆弱であるということでしょうか。

さすがに民主党の岡田党首は法案に反対という意思表示はしませんでした。


NHK、安保法案の国会審議を中継せず

http://www.asahi.com/articles/ASH5V76YDH5VUCVL02K.html

首相、南シナ海シーレーンでの掃海活動に否定的

http://www.yomiuri.co.jp/politics/20150528-OYT1T50123.html?from=yartcl_blist

後方支援範囲限定へ…戦闘ないと見込まれる場所

http://www.yomiuri.co.jp/politics/20150527-OYT1T50211.html?from=yartcl_blist

またヤジで陳謝…安倍首相には「懲罰動議が相当」と森田実氏

http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/160289

「醜態、猛省を」と民主 安倍首相の「早く質問しろよ」やじ波紋

http://www.sankei.com/politics/news/150529/plt1505290030-n1.html

海外派遣の自衛隊員、帰国後の自殺者54人

http://www.yomiuri.co.jp/politics/20150528-OYT1T50118.html


◆南シナ海波高し◆

南シナ海の状況がかなり緊迫しています。強引に埋め立てを進め、滑走路含めた基地の建設に対し、アメリカは、はっきりと否定の意思を表明し、領海12カイリを認めず場合によっては艦船をその中に入れるという強硬な立場をとっています。むろんこれに対して中国は強烈に反発しています。さらに最近ではこの埋め立てた人工島に兵器を持ち込んでいるという報道があり、危機感が高まっています。

関係国であるベトナムやフィリピンもそれぞれ埋め立てを行い、実効支配を広げようとしています。まさに南シナ海は不測の事態を起こしかねない状況です。

中国との経済関係を大事にしたEUもこの中国の強引な行動に強く反対しています。

この南シナ海で日本の海上自衛隊が米軍と一緒に哨戒活動することを検討中というニュースがあります。先の安保法制の議論が直接関係する行動です。日本は強力な哨戒機を70機保有しています。ただこれを実際に行えば、中国の反発はある限界を超える可能性があります。そして結果的に米国と中国の軍事衝突に巻き込まれる危険すらあります。ですから安保法制は国民に十分な説明と、その上での決心を迫る必要があります。 NHKも安倍首相もこのことを十分に肝に銘じるべきです。


中国人工島、領有権の根拠にならず…米国防長官

http://www.yomiuri.co.jp/world/20150529-OYT1T50060.html

「挑発的な言動やめよ」「混乱の源になっている」…中国、南シナ海で米に反発

http://www.sankei.com/world/news/150528/wor1505280048-n1.html

「中国、人工島に兵器」…豪報道 米が批判

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150529-00000045-mai-int

中国進出に対抗、ベトナムは主権主張し埋め立て

http://www.yomiuri.co.jp/world/20150529-OYT1T50019.html

EU大統領:中国の南沙埋め立てを非難

http://mainichi.jp/select/news/20150527k0000e030200000c.html

南シナ海の哨戒活動を防衛省検討、米軍と協力=関係筋

http://jp.reuters.com/article/wtDomesticNews/idJPKBN0NK1AU20150429


◆動き出した日中関係◆

自民党の二階総務会長がなんと3,000人の随行を率いて中国を訪問し、習近平主席もこの大訪問団に会い歴史問題で釘を刺す事はしましたが全体として日中の経済交流を進めることを表明しています。

経済と政治の分離は、何十年も前から日中交流のモデルでした。韓国と違い中国は経済の実利を求めて日中関係の改善に踏み切ると思います。歴史問題でいがみ合う日中韓に対してアジアの国々からも苦言が表明されています。ミャンマー、タイ、ベトナム、カンボジアなど先の大戦で日本軍が侵攻し、色々あったと思いますが、これの国々は戦後の日本の支援を評価し戦争による負の遺産については封印しています。

またこれらの国は中国の影響、特に鉄道や港湾というインフラに対する投資もあり、日本からの技術と資金の援助も期待していますので、日中の交流が進むことはその国益にもなります。幸いにも東南アジアに反日の国はありません。どちらかというと親日です。

日中交流を推進するといっても尖閣列島での圧力は依然として継続している状態で、さらに南シナ海情勢によってはさらに強硬な行動に出る危険すらあります。南シナ海の状況を見ると習近平主席が軍部を完全に掌握しているか不安ですから。


二階総務会長 関係改善へ日中双方が努力を

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150524/k10010090081000.html

歴史問題で日中韓に異例の苦言 シンガポール首相

http://www.asahi.com/articles/ASH5Y7G0VH5YUHBI03R.html

対中コメ輸出拡大へ 日中両政府、指定精米工場増を検討 年内にも実現

http://www.sankei.com/politics/news/150502/plt1505020005-n1.html

尖閣周辺に中国船3隻 17日連続

http://www.sankei.com/affairs/news/150530/afr1505300011-n1.html


◆二子玉川のクリエイティブシティー◆

私が副会長をしていた、二子玉川に近未来都市クリエイティブシティーを作るというコンソーシアムの第1フェーズ5年が終了しました。東急電鉄が開発する第二期の工事が完成し入居が始まりました。ホテルの開業は先ですが、 TSUTAYA家電の店が大々的に開店して大賑わいです。そして6月からは総勢8,000人ともいわれる楽天の移転が始まります。もともとかなりの賑わいの街ですがこれからはもっと新しい何かが始まる気がします。

一つ関係者が懸念していることがあります。楽天は週に1度、朝8時半から社員全員が集まる朝礼があります。数千人が改札口に殺到し奥の楽天のビルに流れ込みます。この時間は二子玉川に来るのは避けてほしいということでしたが。

コンソーシアムでは数多くのワーキングループやプロジェクトの活動が行われ、様々な実証実験が行われました。その成果はホームページに紹介されていますから是非ご覧ください。

これからの第2フェーズは、二子玉川という点から、渋谷、二子玉川、自由が丘という三角形の地域、これを私たちはプラチナトライアングルと呼んでいますが、この面にこれまでの成果を広げていくことになります。

このプラチナトライアングルを構成する、渋谷区、世田谷区、目黒区は東京で最も裕福な地域です。なんとこの3つの区の世帯収入の合計は4兆円です。 16%以上が年収1,000万以上です。そして世帯主の3分の1は大学院及び大学という高学歴の街です。 14歳未満の人口の増加率がなんと9.4%という未来が育っている街です。オリンピックに向けてこのプラチナトライアングルが世界一のクリエイティブシティーになっていくことが期待されます。


http://creative-city.jp/


◆カンボジアに行ってきました◆

ビジネスモデル学会の視察ツアーでカンボジアに行ってきました。ご存知のようにタイ、ラオス、ベトナムに囲まれた小ぢんまりした国です。人口は約1,500万人です。かつてはポル・ポト派による国民虐殺等の悲劇がありましたが現在では政治も経済も安定しています。 GDP成長率は平均7.8%で、海外からの投資が現在盛んです。

プノンペンは大部分が中古車ですが高級車のレクサスやレンジローバーが圧倒的な存在感です。街を走っている90%以上はトヨタ車です。

商務省の官房長のような高官と懇談がありましたが、日本からの投資を期待していて、これから10年はカンボジアの投資が東南アジアではベスト、その後の10年がミャンマーでしょう、と言っていましたが納得です。

ご存知のようにタイには日本企業が集積していますが既に労働力が足りません。賃金も急上昇しています。カンボジアは人件費もまだ安く、労働力も豊富です。そしていま日本の援助でベトナムのホーチミンからミャンマーまでの幹線道路が整備されつつあります。すでにメコン川には日本の無償援助で長大な吊り橋が完成していました。

今度初めて知りましたが、カンボジアは外国の投資に非常にオープンです。資金移動が自由です。そして工場建設に必要な設備や資材は関税なしとのことでした。そして最初の9年間は法人税が免除されます。仏教国ですから人々はとても穏やかです。投資先としてはオススメですね。

アンコールワットで有名なシェムリアップにも行きました。市長さんと懇談しましたが日本からの援助を期待しています。

アンコールワットが世界遺産になって観光客が50万人から500万人くらいに急増しているとのことでした。結論として道路や上下水道やごみ処理が全く対応できないと嘆いていました。アンコールワット以外にも古い寺院がたくさんあり観光が基幹産業です。

ガイドの話ではアンコールワットのある街は、かつては東南アジア最大の都会であったということです。ともかくカンボジアはほとんど山がなく国土全体が平らで、米はいくらでも生産できそうです。未開拓の土地も豊富です。日本から農業法人が入って大規模な農業を行うことになると思いました。

現地では日本人女性の驚くべき活動がありました。 一つは“カモノハシ”というNPOで、少女の人身売買の売春を根絶するために、仕事を作りそして文字を教え、そして独り立ちすることを支援していました。これは学生時代にインターンシップに来てこの悲劇を目の当たりにした日本人の女性が中心となりこのNPOの活動を始めたとのことでした。現場には大学を休学してインターンシップにきている若い日本人の学生が3名いました。ソーシャルビジネスという今日的なビジネスの勉強です。現地のNPOのスタッフはカンボジアの平均給与以上の給与が支払えています。まさにソーシャルビジネス。日本からの寄付金も重要です

もう一つは日本人女性が始めた、アンコールワット観光のお土産のクッキー屋さんです。この人は最初シェムリアップで観光ガイドをしていたといいますが、その時日本人観光客に必須の適当なお土産がないことから思いついたということで、アンコールワットの形をしたクッキーを販売しています。大繁盛していました。洒落た売店とカフェがあります。


認定NPO法人かものはしプロジェクト

http://www.kamonohashi-project.net/


◆俯瞰サロン◆

第24回俯瞰サロン 7月7日

元ソニー 古賀宣行氏

“もしソニーが空気清浄機を作ったら…オンリーワンに賭けた電機マンの挑戦”

http://business.nikkeibp.co.jp/article/opinion/20130731/251777/?rt=nocnt


◆ビジネスモデル学会第22回イブニングセッションのご案内◆

日本のものづくり復活の最終手段 ”リンカーズ”

~極めて高いマッチング成約率のからくりとは?~

日時:6月30日(火) 19:00-21:30

場所:霞ヶ関ナレッジスクエア エキスパート倶楽部

講師:前田 佳宏 氏 リンカーズ株式会社 代表取締役

 講演要旨:

全国の”目利き役”を軸にしたものづくり系マッチングのリンカーズ。

サービスリリース後1年で利用企業が100社を突破。

マッチング成約率が低いと言われるものづくり系マッチングにおいて、リンカーズでは90%以上の成約率を実現。そのビジネスモデルとは?

http://www.biz-model.org/


◆俯瞰のクッキング~システムクッキング~◆

娘が、仕事を終え3歳の息子を保育所から受け出し、自分の夕食を作って食べて、息子の相手をし、家事をしていると睡眠時間が足りないと、現状の課題を話したので、時間を娘に贈る方法を考えました。それがシステムクッキングです。クオリティをあまり落とすことはなく食事の準備の時間を短縮する方法です。

食品をジップロック小型コンテナにあらかじめ調理して、冷凍保存もしくは冷蔵保存するという単純な話ですが。

夕食ですが、ご飯は1週間分炊いて小型コンテナに詰めて冷凍して、必要に応じて解凍して食します。炊きたての味にはなりませんが。味噌汁は椀一杯分の水に顆粒のだしを入れ、乾燥野菜、青さなどの海藻、「ブランチング」した野菜などを入れて味噌を溶き入れれば出来上がり。

魚はブリ、生鮭、鰆、などの切り身を西京味噌漬や粕漬にしてラップに包んで冷凍し、解凍して水洗いして水分を拭き取ってフライパンで焼く。油なしもしくはごく少量の油で。フライパンはSCANPAN CTX(コーティング10年保証)が最高ですが高価なのでお勧めはためらいますね 。

トリのモモ肉や豚のロース肉も1回分ずつ味噌漬けや、生姜醤油漬けにしてラップに包み冷凍。牛肉はビーフシチューもしくはカレーにして小型コンテナに入れて冷凍する。

野菜はブロッコリーやカリフラワー、ほうれん草、小松菜はそれぞれ「ブランチング」して小型コンテナに入れて冷凍。人参はオリーブ油を塗ってオーブンで焼いて小型コンテナ冷凍。レンコン、ごぼうは出し汁で煮含めて小型コンテナで冷凍。カボチャは酒と少量の醤油で蒸し煮して小型コンテナで冷凍。蕪は薄切りして酢漬け冷蔵保存。赤ピーマン、小タマネギ、ズッキーニはグリルしてピクルスにして冷蔵保存。これとは別にトマトソースを作って小型コンテナで冷凍保存。

これらの備蓄を適当に組み合わせて一汁三菜の夕食を用意するのです。解凍したブロッコリーや青菜は成城石井の“何でもいける胡麻ドレッシング”で食べると美味しいですね。余分なものが入っていないので愛用しています。

朝食は、トマトの缶ジュースにレモン1個をしぼって入れた“トマレモン” 、ミニトマト洗ってそのまま、納豆ワンカップ、バナナ1本、リンゴ、キウイ、アボカドなど適当に。を勧めていますが実態は不明。

ということですが、独り暮らしや2人暮らしでも応用できると思います。

これとは別に適当なサプリメントも取ります。間食にはクルミ、カシューナッツ、アーモンドなどのナッツをつまみます。

私は時間があるのでこのシステムクッキングのお世話になっていませんが。ご参考になりますか。仕込みを私がして届けていますのでかなりの“時間を贈る”ということは出来ているようです。


◆ニューウェーブの俯瞰~熾烈な競争~

コンピューターというものがどんどん見えるところから見えないクラウドコンピューティングの世界に消えていきますが、このクラウド市場はAmazonがダントツのシェアです。Microsoft、Google、IBM、SalesForceの合計シェアを上回ります。ただマイクロソフトの追い上げが凄いです。前年比で約倍です。クラウドコンピューティングのデータセンターに使われているコンテナ型のサーバーユニットは2005年にGoogleが特許を出していますが、 2009年にはマイクロソフトはシカゴにこれを使った大型のデータセンターを完成させています。 Googleは74%の伸びです。IBMも56%の伸びを見せていますが競争劣位は否めません。

Amazonの強さは信じられないビジネスモデルです。Amazonが2015年4月23日に発表した第1四半期(1~3月)の決算は、売上高227億1700万ドル(前年同期15%増)。一方で純損益は5700万ドルの赤字となっています。利益の全てをドローンによる実験的な配送や、UberやInstacartなどがしのぎを削る即時配達の分野、そしていよいよその驚異的な成長が公開されそうなクラウドコンピューティングの分野などに積極的な投資を続けているのです。CEOのジェフ・ベゾスは恐るべき経営者です。

これまで精彩を欠いていたMicrosoftも新しいインド人CEOのサトア・ナデラのもとでこれまでは考えられなかったような大胆な行動を始めています。 2000年にビルゲイツからCEOを引き継ぎ2014年にサトア・ナデラにCEOを譲るまでのスティーブ・バルマーの時代のマイクロソフトは着実に売り上げや利益を伸ばしたものの、AppleやGoogleに業界の覇権を奪われました。殆どイノベーションを起こす事はありませんでした。どこまでApple やGoogleを追い上げることができるのか楽しみです。

Appleは絶好調です。 Apple Watchは世界中で大評判です。まだまだ評価は固まっていませんが、まずまずの滑り出しです。トラブルが多くて出荷の障害になっていた中国製部品を日本電産に変更してから順調なようです。手首の戦争が始まったのです。念願の中国でのiPhoneの発売も大成功です。高い価格ですがAppleは大画面のiPhone 6/6 Plusが好調だったようです。一方中国メーカーのXiaomiはHuaweiなどのミッドレンジ端末メーカー同士との競合で失速したとのことです。

巨額の資金を持つAppleの次のターゲットはやはりApple CARでしょう。彼らは自動車をモバイルデバイスと定義しています。走るiPhoneです。現在の自動車メーカーはこのパラダイムチェンジにどう立ち向かうのでしょうか。

ただ中国市場でも既にスマートフォンは飽和状態で成長は難しくなります。ですから既にその先のビジネスモデルにも手を付けています。例えば日本郵政と米IBM、米Appleは提携し、日本の高齢者向けにiPadを提供して生活をサポートする新事業を行うと発表しました。IBMとAppleが開発した高齢者向けアプリなどをiPadに搭載。全国2万4000の郵便局ネットワークを活用し、2020年までに国内の400~500万人に提供するとのことです。提供するiPadは、FaceTimeやメッセージ機能、アプリなど基本機能に加え、薬を飲む時間のアラート機能や、食料・雑貨の買い物支援、地域情報サービス、就業支援など、高齢者向け機能を搭載するようです。

Googleは5月15日、自社で開発した自動運転カーのプロトタイプの公道での走行テストを今夏に本社のあるカリフォルニア州マウンテンビューで開始すると発表しました。これまではトヨタのプリウスやレクサスを改造したものが使われており、Google純正のプロトタイプが公道に出るのは初めてとのこと。そして公道ではいつでもマニュアル運転に切り替えられるよう必ずドライバーが乗車し、時速25マイル(約時速40キロ)以下で走行するとのことです。

クラウドコンピューティングでも先行するAmazon, Apple, Microsoftに対抗するため大胆なサービスを発表しています。写真とビデオのストレージを無料で無制限に提供するGoogle Photosサービスです。唯一の制限は写真が16メガピクセルまで、ビデオの解像度が1080Pまでということ。写真やビデオが大きすぎる時はGoogleが圧縮するが、見た目の画質は事実上変わらないと言っています。アプリの自動バックアップ機能によって、写真を保存することは忘れてよい、保存のための支払いも忘れてよい、と露骨にApple に挑戦の姿勢です。

Googleは、写真が金鉱であり、写真には撮影した人の情報が大量に含まれ、広告のターゲティングや体験のカスタマイズに利用できる、 それを堀り起こすツールさえあればと考えています。

同社の持つ画像認識、機械学習、人工知能を始めとする高度な技術を活用すれば、写真に写っている人々、場所、物等を認識し、そのデータをユーザーの個人情報と結び付けることができ、そのユーザーに見せるべき広告がわかり、そして、友達との自撮り写真から、Googleは誰とシェアするよう薦めるべきかのヒントを得られると考えているようです。


クラウドインフラ市場はAmazonが引き続きダントツのシェア。

http://www.publickey1.jp/blog/15/synergy_research_20151.html

Microsoft、“メガ”データセンターを欧米2カ所で開設

http://www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/0907/01/news035.html

アマゾンの驚くべき経営手法が分かるたった1枚のグラフ:その2

http://newclassic.jp/23229

ついに目覚めた巨人 Microsoftの逆襲

http://wirelesswire.jp/2015/05/29982/

甦る巨人

http://wired.jp/special/2015/microsoft-nadella/

Apple、中国スマートフォン市場でXiaomiから首位奪う

http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1505/11/news114.html

アップル幹部、「自動車は究極のモバイルデバイス」と語る

http://japan.cnet.com/news/business/35065135/

アップルの中国iPhone販売、初めて米国抜いた可能性

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NNFPUJ6S972A01.html

高齢者にiPad提供、生活サポートへ 日本郵政グループとIBM、Appleが提携

http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1505/07/news116.html

Google純正の自動運転カー、今夏公道デビュー

http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1505/16/news016.html

https://youtu.be/uCezICQNgJU

Google Photosの「無料無限ストレージ」

http://jp.techcrunch.com/2015/05/29/20150528free-dollars-and-fifty-free-cents/


◆俯瞰の書棚◆

今回の紹介は 「オートメーション・バカ」ニコラス・G・カー(篠儀直子訳)青土社 2014です。

この本はロボットや人工知能といったデジタル技術の発達の中で、人間が本来持つべき能力を失っていくことに対する警告の書です。ただ本のタイトルがあまりにもひどいと思います。原著のタイトルにはバカなどという単語ありません。”The Glass Cage: Automation and Us” です。編集者の知的な人格を疑いたくなります。同じ著者の前の本でも同じです。

“The Shallows: What the Internet is Doing to Our Brains”というタイトルを”ネットバカ”

としています。本の販売を意識して人にインパクトを与えたい気持ちわかりますが ”バカ”という言葉は使うべきではない日本語だと思います。オートメーションという言葉も日本にとって工場の自動化のようなイメージが強いですから、この本のタイトルはいかがなものかと思いました。

内容は、自動化の歴史は人間が本来持っていた能力や、修行によって身に付けるべき能力を失わせているという警告です。特にデジタル機器やそのソフトウェアによって、これまでの人間の高度な知的な仕事が、システムやソフトウェアに代替えさせることによって、その高度な知的な仕事そのもののスキルが失われていることを指摘しています。

一つの例として航空機のオートパイロットをあげています。パイロットが過度にオートパイロットに依存したため、手動操縦のスキルが失われ、予期せぬ状況に出会ったとき適切なリカバリーアクションができずに墜落するリスクを警告しています。これについてはアメリカの監督当局はパイロットにもっと手動操縦に時間を使い、そのスキルを磨いておくべきだと警告しているようです。

上記のリスクが顕在化した事例として、ブラジル発のエールフランス機が大西洋での墜落事故を紹介しています。逆にUS AirwaysのエアバスのA320がNYのラガーディア空港離陸直後、野ガモの群れが飛び込んだせいで全てエンジンがストップした時、機長と副操縦士は息詰まるような3分間の後、故障した機体を無事ハドソン川に着水させ乗員乗客は全員無事脱出した例をあげ、自動化されたシステムの環境にあっても、人間独自の能力を磨いておく重要性を紹介しています。

この航空機については徹底した自動操縦を追求するエアバス社とパイロットに適切な負担をかけるデザインにしているボーイング社の比較もあります。エアバスはパイロットの前の操縦桿を取り去り横の小さなレバーにしているため機長と副操縦士がお互いの操作を簡単に確認できないのに対し、ボーイングは操縦桿を残し、しかも機長と副操縦士が同じ操縦桿を操作することによって相手の動作を容易に確認できるとあります。

北極のイヌイットは、かつては地図もない、目印もない白一色の世界の中でも天体、風、雲など自然界の動きを観察して正確なナビゲーションの能力がありましたが、 GPSが導入されることによってこのナビゲーションの能力を取得する機会を失い、 GPSの誤動作や過信によってしばしば事故を起こすようになったという事例もあげています。

電子カルテのような医療システムによって医師の診断能力の低下やシステムの過剰な介入により、不要な検査や薬剤を投与するなど医療費の増加という問題点も指摘しています。

建築においても高度のCADシステムが設計者の創造性を失わせているとも指摘しています。

人工知能についても、例えば有名なIBMのワトソンにしても、人間の思考そのものを代行するのではなく強力なファイル検索機能で“結果を代行”しているだけだと指摘しています。この議論は人工知能に対して過大な期待をしている人に対しては重要です。人工知能は人間の思考そのものを模倣しているのではなく、思考の結果を別な方法で見つけているわけです。むろん最近話題のdeep learningは思考そのものだと言いたい人もいるでしょうが、人間の思考とは全く別のものだと思います。かつて人工知能のブームがありましたが、私も人工知能技術を活用した、機械加工の工程設計システムを開発しました。結果はエンジニアと同じ結果を出すことができましたが、それに至るプロセスは私がプログラムした論理であって、熟練のエンジニアの創造的なソリューションを出す事はできないと実感していますから。

地図を使わずにスクリーンでルート検索をする現状に対しても、地図でルートを探す人間とデジタルマップによる誘導の本質的な差異を論じています。すなわち地図を使う人は脳が鍛えられ、でない人は脳が退化するということです。

「身体化された認知」という概念が面白いと思いました。手を動かし身体を動かし、注意深く観察することなしに高度な知は獲得できないということです。私たちの物理的存在がそれを生み出した社会から切り離せないと同じくらい、我々の思考を我々の物理的な存在から切り離せないということです。

著者がこの本を書くきっかけは、現実味を帯びてきた車の自動運転や無人機・ロボットによる戦争があるように思います。

Googleはすでに100万マイル以上の実験をし、公道での試験を始めようとしています。日本でも自動運転の実験は名古屋等で始まっています。技術的課題はすでにほとんど開発されていると思いますが、実装するソフトウェアの倫理的な側面が最大の課題だと思います。

この本では自動運転の車の前にペットが飛び出した場合、ペットを避けることを優先し乗客に損傷を与える可能性のある動作をするか、もしくは乗客の安全を優先しペット轢き殺すこととするか、またそのペットが自分のペットならどうするか、などの例を挙げています。ソフトウェアはいかようにも作れます。また車が小学生の通学の列と並行して走行している時、子供がよろめき飛び出たとき、子供の命と乗客の安全のどちらをとるのか、などです。

一方特に米国では多くの人が交通事故で命を落としています。自動運転はその死亡事故を減らすことが期待されています。人間のドライバーよりも自動運転の車の方が安全とも言われています。プリウスを利用したGoogleのテストカーは大きな事故を起こしたことがありますがそれはたまたま人間が運転した時だということです。

戦争に投入される、ロボットや無人機も大きな倫理的な課題を持っています。現在の無人機は遠隔ではありますが最終的にミサイルを発射するかしないかの判断はスクリーンの映像を見ながら人間が判断しています。この判断をロボットのシステムに委ねると殺人ロボットになります。ロボットには感情はありませんから判断ルールに沿って発砲したり、発射したりすることにためらいはありません。恐ろしいことになります。

すなわちこの本は急速に進むデジタル技術にどっぷりつかってしまっている現状は、本来私たちが獲得すべき「身体化された認知」を失い、退化した思考能力と小さな知力の世界すなわち「ガラスの檻」といういわば”金魚鉢“の中の世界で私たちが生かされているのですよ、という警告でしょうか。広い海で自由に泳ぐ潜在能力があるにもかかわらず。


◆編集後記◆

 月に1回このメルマガを配信と思いますが、あっという間の1か月です。書くことより情報の仕込みが大変です。

 東大の俯瞰塾も6回を終え折り返しですが凄い成長ぶりです。授業参観どうぞ。

 安倍首相の傲慢さが目につくようになりました。アメリカ国会での演説が大成功と囃されたのがきっかけとすれば残念です。

 日本列島全体の火山活動が活発になってきたような気がませんか。小松左京の“日本列島沈没”という小説を思い出します。

 それにしても日本企業とシリコンバレー企業の差が大きすぎます。日本企業は最高益と言いながら売上成長がありません。東芝など経理という内部統制もできていないとは。IT産業であった富士通やNECそしてSI各社はどこに沈没したのでしょうか。


俯瞰メール48号

◆時候のご挨拶◆

萌える若葉が美しい季節になりました。花の命が短いように、萌えの季節も以外とみじかいですね。田圃では田起こし・代かきが進んでいます。田植えの季節もすぐです。

新たにキャリアのスタートを切った新入社員も萌える気持ちが落ち着いて、業務が少し見えてきましたでしょう。自分が新入社員の時この時期がどうであった全く記憶がありませんが。

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 日米「不動の同盟国」(steadfast allies)

 安倍首相の米議会演説

 アジアを金融で束ね、政治で孤立する中国

 原発をどう考えるか

 今年も東大本郷で俯瞰経営塾の授業をしています

 ビジネスモデル学会第21回イブニングセッションのご案内

 俯瞰のクッキング~幾つかの出会い~

 ニューウェーブの俯瞰~新しいメディアの時代~

 俯瞰の書棚 「ザプレゼンテーション」ナンシー・ヂュアルテ ダイヤモンド社 2012

 編集後記

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◆日米「不動の同盟国」(steadfast allies)◆

前の俯瞰メールでは“孤立する日米同盟”を書きましたが、それ故か安倍首相とオバマ大統領の首脳会談は例年になく親密な日米同盟をアピールしました。「不動の同盟国」がキーワードです。余力を失った米国の軍事力を日本の軍事力で補完することによって、アジアにおける中国の脅威に対抗しようということになったわけです。日米同盟はある意味で歴史的な変化をします。

共同声明にもこれまでにない言及があります。尖閣列島への侵攻は日米安保条約の対象になると明記し、有事には共同で敵の侵攻を“撃破”するという勇ましい文章があります。広島と長崎の原爆投下についても明示的に人類対する罪である事を書き込み、そして70年前には敵対的関係にあった日米が「不動の同盟国」(steadfast allies)になったことを強調し、日韓・日中の関係改善も当事者が努力すればきっとできると言明しています。

ただ、今回見直された「日米防衛協力指針」は、日米協力は平時から有事まで「切れ目のない形で行う」と明記しています。すなわち時間的にも、地政学的にも切れ目なしの連携となります。

「日本以外の国に対する武力攻撃」への対処行動として集団的自衛権の行使を想定し、(1)米艦船などのアセット(装備品など)防護(2)捜索・救難(3)機雷掃海や艦船護衛などの海上作戦(4)ミサイル防衛(5)後方支援-での協力を例示しました。

また、地理的制約が事実上課せられていた周辺事態法を「重要影響事態法」に改正することを念頭に、日本有事以外で対米後方支援が必要となる事態は「地理的に定めることはできない」とし、日本周辺に限られないことを明確にしました。これは地球規模のいわば“常時接続”の日米連携を意味します。

憲法9条で国の交戦権を放棄している日本にとっては、今回の日米防衛協力の体制は明らかに大きく逸脱していると考えるのは当然で、護憲派は反発しています。日弁連の会長は強く反対の声明を出しています。ただ、護憲派が憲法改正の議論そのものをタブーとして封じこめることはヒステーリー症状で道を誤ります。憲法は神聖にして犯すべからずでは戦前の天皇の統帥権と同じになって民主制に反することになります。明治維新の初心に帰り、五箇条御誓文第一条の“広く会議を興し、万機公論に決すべし”で行くべきです。

吉田首相のサンフランシスコ平和条約、即ち日米同盟に対し非武装中立の主張をした南原東大元総長は“曲学阿世”と一刀両断されましたが、歴史的にも冷戦とその後の国際情勢を顧みれば有識者という知識が、安保反対の学生運動レベルの学識であったことが露呈していますから。

残念なのは民主党中心とした野党がはっきりした認識と対応を打ち出していないことです。反対の声を上げていますが、現在の国際情勢の認識とそれに基づいた安全保障の体制について全く腰が座っていません。

私はナショナリストではありませんが今回の日米同盟は現実的な国策であるとして受け入れています。ただ国会の承認なしに、総理大臣が自衛隊を簡単に動かすことができるという点については、厳しい歯止めが必要だと思いますが、その歯止めとなるべく期待している公明党も、意外と最近は物分かりがいいようです。あくまで連立政権にとどまって与党である利権を守りたいのでしょうか。国民は公明党のリベラルに期待するところ大です。


日米「不動の同盟国」(steadfast allies) 共同声明、TPP妥結へ協力

http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS28H4F_Y5A420C1MM8000/

首脳共同記者会見の要旨

http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20150430&ng=DGKKZO86288440Q5A430C1FF1000日米首脳会談の発言要旨

http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20150430&ng=DGKKZO86288410Q5A430C1FF1000

尖閣で中国「撃破」 日米新ガイドライン合意 「切れ目のない協力」確立

http://news.livedoor.com/article/detail/10058724/

日米防衛協力の指針再改定 集団的自衛権で5分野例示

http://www.sankei.com/politics/news/150428/plt1504280003-n1.html

日米安全保障協議委員会共同発表 4月27日

http://www.mod.go.jp/j/approach/anpo/shishin/pdf/js20150427j.pdf

日弁連会長「日米防衛協力指針」改定に反対声明「恒久平和主義に違反する」

http://www.bengo4.com/topics/3034/


◆安倍首相の米議会演説◆

安倍首相が米国の上下両院合同会議で演説をしました。祖父の岸信介元首相の米国議会での演説を引き、日米同盟が祖父から始まったことを強調し、また自分も米国留学の経験があり、米国をよく知る人間であることを強調し、何よりも英語の演説です。演説原稿を読んでみると、非常によくできた演説原稿だと思います。ご関係の方々のご苦労と、その能力の高さが十分に認識できます。

演出も凄いです。日本軍20,129名の戦死、米軍は戦死6,821名・戦傷21,865名の計28,686名という日本軍を上回る損害で、あのノルマンディー上陸作戦における戦死傷者数を上回る第二次大戦最高の激戦地の硫黄島攻防戦に、海兵隊大尉として上陸したローレンス・スノーデン海兵隊中将が傍聴席に、硫黄島守備隊司令官の栗林忠道陸軍大将の孫、新藤義孝国会議員もいるという中で、「硫黄島には、勝利を祝うため行ったのではない、行っているのでもない。その厳かなる目的は、双方の戦死者を追悼し、栄誉をたたえることだ」いうローレンス・スノーデン海兵隊中将の、硫黄島で開く日米合同の慰霊祭での言葉を引用しています。ここは演説の山場だったでしょう。かつて戦火を交えた日米の和解の象徴として紹介された2人は傍聴席で握手を交わし、議場の出席者が総立ちとなって2人に拍手喝采を送ったとあります。

演説の要旨は、先の大戦での反省、先の大戦におけるアジア諸国民対する「痛切な反省」(deep remorse over the war)を表明しています。このremorseという単語が注目されています。そして第二次世界大戦で戦死した米国の若人に対しては'Deep Repentance'という表現を使っていることが注目されているようです。

村山談話は実は"deep remorse"という表現を使っていますが、村山富市首相談話で使った「heartfeltapology(心からのお詫び)」は口にしていません。すなわち村山談話の「痛切な反省の意を表し、心からのお詫びの気持ちを表明いたします。」の前半を踏襲し後半を割愛したわけです。これは政治です。

歴史認識という点では作家の村上春樹さんは「歴史認識の問題はすごく大事なことで、ちゃんと謝ることが大切だと僕は思う。相手国が「すっきりしたわけじゃないけれど、それだけ謝ってくれたから、わかりました、もういいでしょう」というまで謝るしかないんじゃないかな。謝ることは恥ずかしいことではありません。細かい事実はともかく、他国に侵略したという大筋は事実なんだから。」と言っています。政治と文学のこの間で一般国民は悩みます。

後半は安全保障体制としてのTPPの実現を呼びかけ、日本の改革をコミットしています。

そして最後は、「希望の同盟」の呼びかけで締めています。

議会演説の際、聴衆らが立ち上がって拍手を送る場面が10回以上あり、終了後は米議員から相次いで握手を求められた、とありますから今回安倍首相は良い仕事を成し遂げできたと評価していいと思います。

反応は賛否ありますが、十分な摺合せで、かつ米国に対する最大限の気配りの演説ですから、ケネディ駐日大使は「非常に力強い演説」と高く評価しています。議会指導者の評価もいいですが、韓国ロビーを意識してか、米国メディアは謝罪がないということで若干辛口の評価です。

日系3世のマイク・ホンダ議員は元慰安婦を招待して反日をアッピールして批判しています。彼は韓国ロビーの中心的人物で、2007年7月30日に下院本会議で日本政府への慰安婦に対する謝罪要求決議案の採決を成功させました。ただこの時の採決は議事進行簡潔化の為にサスペンションルールが適用され、議場にいた10人は反対意見がないことを確認し決議は可決されたとあります。というのは米国議会では午後3時以降は議員の退席が認められていますが、議場委任が条件です。此の議案を最後の議案にして残った議員10名で採決したわけです。これは当時の関係者から直接聞いた話です。ロビー活動としては辣腕です。


首相、先の大戦「痛切な反省」 米議会で演説

http://www.nikkei.com/article/DGXLASDE29H0H_Z20C15A4MM8000/

Japan PM Expresses 'Deep Repentance' For WWII

http://news.sky.com/story/1474612/japan-pm-expresses-deep-repentance-for-wwii

首相の米議会演説の全文

http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS29H1E_Z20C15A4M10600/

「戦後50周年の終戦記念日にあたって」(いわゆる村山談話)

http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/danwa/07/dmu_0815.html

村上春樹さん、時代と歴史と物語を語る(下)

http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201504/20150427_73049.html

マイク・ホンダ 日本名:本田 実

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%82%A4%E3%82%AF%E3%83%BB%E3%83%9B%E3%83%B3%E3%83%80

「非常に力強い演説」…ケネディ大使、高く評価http://www.yomiuri.co.jp/politics/20150430-OYT1T50063.html

謝罪明確にしなかった…米メディア、厳しい評もhttp://www.yomiuri.co.jp/world/20150430-OYT1T50073.html?from=yartcl_blist

中国、焦点絞り批判 安倍演説 韓国メディアは「不十分」

http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20150430&ng=DGKKASGM30H2F_Q5A430C1EAF000


◆アジアを金融で束ね、政治で孤立する中国◆

AIIB=アジアインフラ投資銀行の設立ではアメリカの同盟国であるイギリスやオーストリア含めたEUの主要国を巻き込んだ形で、アジアに中国主導の国際金融機関を設立するという快挙を成し遂げつつある中国ですが、設立が実現するためにはまだ紆余曲折がありそうです。日本の議論は有識者の間でも、参加しないとはなんという愚かという人と、参加しなく良かった、いつでも入れるんだからという人、そしてそんな金があるんだったらアジア開発銀行に資本注入をした方がいいという人もいて議論を発散しています。

しかし政治では、ASEANの首脳会議は中国が南シナ海で進める岩礁の埋め立てについて、「深刻な懸念を共有する」と表明しました。ASEANが公式に中国の埋め立てに言及するのは初めてです。いつもは中国の意向に遠慮がちなASEANですが、直接的な脅威にさらされているフィリピンとベトナムの強い主張で、中国の海洋進出について懸念を直接声明文に書き入れました。

声明では、中国の埋め立てが「南シナ海の平和や安全、安定を損ないかねない」と指摘し、これに対し、加盟国首脳が外相に、早急に対処するよう指示したことも明記しました。

先の日米同盟も中国の海洋進出に対する対抗措置ですから、この南シナ海の安全保障問題には日本は否応なしに対峙させられることになります。

ASEANと対立すると、中国とインドは犬猿の仲ですから、中国はアジア中で孤立します。インドと犬猿の仲のパキスタンですが、そこで中国はこのパキスタンに巨額の支援を申し出ています。パキスタンを通ってウイグル地区からインド洋のパキスタン南西部グワダル港を結ぶ「経済回廊」の建設が目的で、この先には中国が圧倒的な存在感を示すアフリカに繋がります。ただパキスタン南西部のグワダル港と新疆ウイグル自治区を結ぶ物流網「中国・パキスタン経済回廊」の計画は、治安上の不安から実現が危ぶまれていいます。

一方、ウイグルの隣のアフガニスタンが再びタリバンの勢力下に入ると、ここがウイグル独立派のテロ組織の拠点になる懸念から中国は米軍がアフガン駐留を継続を望んでいるという説もあります。

国際関係は実に複雑で現実主義的な理解と行動が必要ですが、日本人はこれが苦手ですね。

日米関係、日中関係も現実主義的な認識と理解で進めていくことが必須です。次に日本が現実主義的な判断を迫られるのは北方四島です。土地を半分に分けるか、共同統治かでしょう。ロシアが実効支配している北方四島返還しか頭にない人は多いでしょうが。

日韓関係改善は韓国の国内事情とりわけ朴大統領の政権運用の混乱から進展は難しいですね。ともかく人材難で首相がなかなか決まらず、やっと決めた人もスキャンダルで辞任が既に5人です。何も成果がないまま朴大統領の任期が終わってしまいそうです。その時まで日韓関係は改善しないと考えた方がいいかもしれません。日中関係とちがい日韓関係の改善ついては日本人はあまり熱意が感じられませんね。


AIIB設立へ 55国参加し初の交渉会議

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150428/k10010064391000.html

AIIB、中国の能力不足を疑う声も=いかにして懸念に答えるかhttp://www.recordchina.co.jp/a106532.html

ASEAN 中国の埋め立てに深刻な懸念

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150428/k10010064111000.html

中国、南シナ海めぐるASEAN声明を「非常に懸念」

http://jp.reuters.com/article/worldNews/idJPKBN0NJ12J20150428

中国がパキスタン支援で合意、インフラ開発に460億ドル

http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0NB0SW20150420

米軍のアフガン駐留を中国が望む理由

http://m.newsweekjapan.jp/stories/world/2014/04/post-3243_1.php

韓国・朴大統領、首相辞任で声明「国民に心配かけ残念」=秘書官が代読に野党から不満―中国メディア

http://www.recordchina.co.jp/a107655.html

内政も外交も袋小路に迷い込んだ朴大統領 韓国メディアは総攻撃状態

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150430-00000002-ykf-int


◆原発をどう考えるか◆

やっと我が国のエネルギー政策の叩き台が発表されました。経済産業省は28日、2030年時点の望ましい電源構成(ベストミックス)案を公表しました。原子力の比率は20~22%と、東日本大震災前の28.6%より低くして、太陽光などの再生エネルギーは最大24%を掲げ、原子力を上回る普及をめざすとしています。コスト低減と環境への配慮の両立をはかる案です。大フィーバーだった太陽光発電は7%と控えめです。

依然として原子力発電が最も発電コストが低いということになっています。石炭火力は炭酸ガス排出の課題がありますから既存の原発を活用したいという議論も理解はできます。

さすがに原発の新設や増設は困難ですから、 40年という決められた原発の寿命を延ばして使い続けるという政策です。

原発の再稼働は悩ましい課題です。今日現在、原発がなくても特に電力供給に支障はなく、ただ電気料金が2ないし3割上がったことです。化石燃料の輸入コストも長期的にはともかく当面はこの円安で抑えられます。

ただ原子力発電にはどうしようもない壁があります。使用済み燃料の処理の問題です。これは日本固有の問題ではなく原子力発電という技術が持っている本質的な課題です。ですから米国やイギリスでも未だにもてあましています。地下深く埋めるという構想も米国で頓挫しているようです。使用済み燃料がずっと地上の中間処理施設に仮置きされるという現状では原子力発電を推進することができません。

更に最近見つけた情報ですが、チェルノブイリ事故の原因は、無理な実験計画とオペレーターのミスもあるようですが、直接の引き金は直下の地震にあったと言われています。下記のURLでYouTubeをご覧になると地震と原発の脅威がわかります。日本も原発の敷地内の断層について議論がありますが、チェルノブイリでは地震がトリガーであったのです。この地震のリスクが払拭できないと、原発の再稼働も困難になります。

すでに福井地裁では再稼働中止の仮処分出され、一方鹿児島地裁では仮処分は却下されました。この後の司法判断も分かれてくると思います。

といって夢のような水素革命に答えを求めるわけにはいきません。2050年に160兆円市場、「水素社会」到来の巨大インパクトと囃されていますが、水素がエネルギーミックスの一部になるのは50年後です。


原発比率、30年に20~22% 電源構成案を公表 経産省、再生エネは倍増

http://www.nikkei.com/article/DGXLASDF28H1R_Y5A420C1MM8000/

チェルノブイリ 事故の原因

https://www.youtube.com/watch?v=pU2bSAIDMVc

チェルノブイリ原発 隠されていた事実

https://www.youtube.com/watch?v=b0-AWtxkrjE

https://www.youtube.com/watch?v=bYlJC6ijpuY

https://www.youtube.com/watch?v=fiW10XUnkaw

米、核のごみ処分計画先送り 地下施設めど立たず

https://socialnews.rakuten.co.jp/link/518486

GOVERNMENT MINISTER TO HAVE LAST SAY ON UNDERGROUND NUCLEAR REPOSITORY

http://www.newsandstar.co.uk/news/government-minister-to-have-last-say-on-underground-nuclear-repository-1.1203758

Nuclear waste disposal – what the UK can learn from its Gallic neighbours

http://www.power-technology.com/features/featurenuclear-waste-disposal-what-the-uk-can-learn-from-its-gallic-neighbours-4400126/

50年に160兆円市場、「水素社会」到来の巨大インパクト

http://www.nikkei.com/article/DGXNASFK1500矯正_V11C13A0000000/

「燃料電池車(FCV)が普及したら水素社会なのかな?」

http://www.nikkei.com/article/DGXKZO85347190W5A400C1TJP001/


◆今年も東大本郷で俯瞰経営塾の授業をしています◆

今年も東大のMOT、技術経営戦略学専攻の修士1年生と俯瞰経営塾のゼミやっています。学生の自主的なゼミで、単位がつきません。たぶん前の晩は徹夜に近いでしょう。当日は木曜日の午後ですが1時から5時近くまでぶっ続けです。東大を定年して7年目ですが今年も学生たちの依頼でやっています。前年度に受講した学生の有志がTAとしてゼミ生を集め運営をしてくれます。技術経営戦略学専攻の発足以来の授業ですから卒業生の大半、たぶん300人近くがこの授業を受けていると思います。この授業を受ける人は知的にも倫理的にも水準が高いので、きっと各自の自己実現を通じて日本を変革してくれると思います。

授業は講義ではありません。実社会でキャリアをスタートする前のブートキャンプ(Boot Camp)です。その目的は知的腕力をつけることです。知的腕力とは何かと思うでしょうが、この授業では単純です。情報の収集、分析、編集(企画)を短時間に高い水準で行う能力です。加えてプレゼンテーション含めその企画を相手に理解を超えて、得心させることです。そして大切な事はprofessional imageの高水準の確立です。

ですから、第一回目は自己紹介の練習です。毎回お辞儀の練習をします。そして日本語の矯正です。小学校以来国語の授業がありますが完璧な日本語の能力を持った学生に東京大学で出会ったことがありません。ここで国語教育の問題を提起する気はありませんが、この授業の間で日本語の読み、書き、話す、聞く、の能力を仕上げます。言語がコミュニケーションの基礎ですから。リーダーの日本語が完璧でないとリーダーシップは無理ですね。

毎回課題を出します。授業は毎年30名程度ですから、 5人ずつ6チームができます。各チームは課題をこなし発表します。課題は基本的にビジネスリテラシーの課題ですから、結果としてビジネスリテラシーの知識は付きますが、あくまでこのゼミの目的は知的腕力をつけることです。追求するものとついてくるものがきちっと認識できないでモノを語り,コトを図る人が多いので、これを峻別する能力の獲得もこの授業の目的です。この授業ではプレゼンテーションに対し基本的に私はコメントしません。学生間で、評価をしてもらいます。授業の終わりにどのチームが1番良かったが手を挙げて投票します。それが決まってから若干のコメントはします。学生の評価に影響を与えないコメントは授業の中で行います。上を向いて仕事をするのではなく市場を見て、顧客を見て仕事をするビジネスの基本を理解するためです。

課題は会計、マーケティング、イノベーション、リーダーシップ、技術戦略、人事システム、経営戦略、経営学、 M&Aと毎回変わります。

今年気づいたことあります。年々生徒の水準が上がっていくのです。もともと東大工学系の中で多分上位3分の1以内の学生しか受講しませんが、全員ではありませんがそれでもこの3年水準が上がっています。東京大学のMOTの学生は元気になっているということです。今年は技術経営戦略学専攻が22名、東大の経済、農学で2名、東工大MOTが2名、中国留学生が3名です。私はファシリテーター、コーチです。

この授業は木曜日の午後東大本郷の3号館の3階のゼミ室でやっていますからいつでも授業参観に来てください。


◆ビジネスモデル学会第21回イブニングセッションのご案内◆

茗荷谷のシリコンバレーを目指すZMP社長が語る 

「Robot of EverythingとZMPの世界戦略」

日時:5月21日(木) 19:00-21:30

場所:霞ヶ関ナレッジスクエア エキスパート倶楽部

講師:谷口 恒 氏   株式会社ゼットエムピー 代表取締役社長

 講演要旨:

ZMPは、2014年から総合ロボット会社としてRobot of Everything戦略を開始しており、2015年からは建機や農機など多種多様な機械にロボット及び自動車で培った自動運転技術を応用し、Robot of Everythingを加速させている。今回の講演では、ZMPの これまでの開発の歴史のご紹介とともに、「Robot of Everything」とは何か、その本質と必要性について、更には今後のZMPの世界戦略についてお話させていただく。

申し込みは急いでください。席に限りがありますから。

http://www.biz-model.org/


◆俯瞰のクッキング~幾つかの出会い~◆

最近のクッキングに関するいくつかの出会いをご紹介します。

表参道の地下鉄の駅にあるフードコートは雰囲気がアバンギャルドで気に入った場所の1つですが、その一角に雑貨屋があり、そこに電子レンジ用の圧力鍋がある事は以前から知っていましたが、たまたまその側にクッキングブックがあったのでパラパラめくっているうちに興味惹かれ、帰宅してからAmazonで購入しました。MEYER 電子レンジ圧力鍋です。世界のベストセラーのようです。大小ありまが、小では米は1カップしかたけません。

これがなかなかの優れもので、ともかく従来のように圧力鍋に圧がかかるまで見ていて火を弱めてタイマーをセットするという手間がいりません。

我が家では長年ご飯は圧力鍋で炊いています。このご飯炊きに威力を発揮しました。米を洗ってコメと同量の水を入れ30分ほど浸水させて、 600ワットで8分、ムラシ15分と全自動でできます。同様に中華おこわも8分で簡単にできます。玄米は水が倍で600ワット20分です。我が家のクッキングのちょっとしたイノベーションです。

自宅の近くのTSUTAYAで時々本を見て回ります。特に料理コーナーはよく行きます。気になる本が見つかるとばらばらめくって、何かインスパイアされるものがあるとその本を買います。最近「くろぎのおかず」という湯島の“くろぎ”黒木純さんが書かれた本を手にとってぱらぱらめくるとこの料理人は違うと感じました。私もたくさんの料理本を買ってきましたが中の料理を見ると、名人の域にある料理人の本は違います。和食では分とく山の野崎洋光さんの本がそうです。レシピは単純ですが、素人が決して到達できないプロの知恵をそこに感じさせます。

その冒頭に「牛ヒレカツ」の写真がありました。これまで良い牛肉はステーキが一番と思っていましたから牛肉のカツレツは興味ありませんでした。

「お祝いの日に父がヒレカツを作ってくれました。レアだけども中心まで熱がしっかり通った、その絶妙な火加減に感動いたものです 」という文章と写真に惹かれ作ってみました。彼の父親は料理人です。だから自分は“おふくろの味”を知らないと言ってます。絶品です。衣をつけて衣がキツネ色になるまで揚げ、そして引き上げ余熱でじっくり中まで火を通すというレシピが絶妙です。肉は70度位で火を入れるのが最高ですが、このレシピはそのようになっています。その他のレシピも料理人の名人芸を伝えています。

ちなみに渋谷のニュークイックが閉店になってしまったので、“麻布の日進”に週末に車で買い物に行くことになりました。“麻布の日進”は外国人向けのスーパーマーケットですので、輸入肉が豊富です。オーストラリア、ニュージーランド、アメリカ、カナダとおいてあります。ここで買うヒレ肉はオーストラリア産で100グラム400円くらいです。鮮魚をのぞけば野菜、果物も安くワインショップも充実しています。今では失われた、かつての“青山の紀伊国屋”のような雰囲気がありますので、私にとってノスタルジックな時間でもあります。


◆ニューウェーブの俯瞰~新しいメディアの時代~◆

このコラムで以前にテレビ放送の全録画について書いたときに、これはテレビ放送というメディアから時間軸を消え去ったものだと書きました。予約録画ということがなくなるのです。パラダイムシフトです、イノベーションです、過去1週間分の全てテレビ放送を選んで視ることができるのです。人と話していて「先週のあの番組良かったね」、家に帰って視ることができます。

最近YouTubeを時々見ます。 YouTubeは1週間分の全録画どころではありません。無限大に近い動画も何時でも検索して視ることができます。改めてこれはテレビというメディアは遥かに超えた新しいメディアであると確信しました。テレビという機器はインターネット端末が基本機能で、テレビ放送も視ることができるという時代になっています。ですからNHKもテレビを持っていない人からも視聴料を取りたいと言っています。

そのYouTubeですが、興味深いそして勉強になるコンテンツがいくつもあります。英語の勉強にもなります。繰り返し見ているコンテンツがありますのでご紹介しましょう。

まず“スティーブ・ジョブスのスタンフォード大学卒業式の講演”です。何度視ても感動を与えてくれます。繰り返し聞いていると初めて彼が伝えたかったことが分かってくるような気がしました。

“スティーブ・ジョブスが語るソニーの失敗”も大きな気づきを与えてくれました。ソニーの失敗については星の数ほど話がありますが、彼の指摘が一番的を射ていると思います。彼は本質的な価値はソフトウエアにあるとしています。ハードウェアは単なる入れ物です。

プレゼンテーションではTED に素晴らしいものがたくさんあります。このプレゼンテーションを見ていると、いかに自分のプレゼンテーションが稚拙か思い知らされます。

時々見ているプレゼンテーションは、チェルノブイリの立ち入り禁止区域内で暮らしている歳を取った女性達です。男は原発事故の後生活が乱れて全員死んでしまったのです。生き残った彼女たちは自分たちの魂の住処に戻って住んでいるのです。その逞しさ、その運命に感動します。

“面接の2分前にこれをやっておけ”という、社会心理学者のプレゼンテーションも興味深い話です。前向きに考えれば体のホルモンバランスから変化できる、ネガティブな思考はホルモンバランスをネガティブな方に崩す、という実験の話は説得力があります。そして“感動するプレゼンテーション”のすべての技巧が使われています。

俯瞰の書棚で取り上げた「ザプレゼンテーション」ナンシー・ヂュアルテの“プレゼンテーションには「型」がある”もあります。

米国ポートランドの環境への取り組みのプロジェクトの成果は大きな示唆を与えてくれます。アメリカは郊外へ住宅地を広げた結果、アメリカ人は移動のためにお金と時間を多大に失っています。緑の中に住むことがエコであるというまやかしも指摘しています。ポートランドはWalkable Cityという車なしで暮らせるまちづくりを長年追求した結果、 QOLの高い街を作りあげたわけです。高学歴の若い人たちがポートランドに集まってきました。まず住みたい場所を決めてそこに住む、そして誰と一緒に暮らすか、何をするかを決めるという、都市学者のリチャード・フロイドのCreative Cityが実現しています。通勤にお金と時間をかけないと街にお金が落ちます。地域経済が発展します。日本ではアメリカほどの車社会ではありませんが、 都市部を離れれば車なしでは暮らしていけません。ですから日本でも車なしで暮らせる富山市のようなコンパクトシティのプロジェクトもっと推進すべきです。

YouTubeの画質も今はHDが多いですからiPad見ると素晴らしい画像です。

TEDは英語ですが、 iPadやiPhoneではアプリを入れると英語と日本語の字幕が表示されますので英会話の教材にもなります。

ブロードバンドのインターネットは時間軸のない電波に代わるメディア空間を提供しています。この中にサイトというたくさんの“チャネル”がすでに動いています。テレビ、新聞、雑誌はなくなりませんが大きなターニングポイント迎えているのです。


スティーブ・ジョブス スタンフォード大学卒業式スピーチ

https://www.youtube.com/watch?v=VyzqHFdzBKg

スティーブ・ジョブスが語るソニーの失敗

https://www.youtube.com/watch?v=8w2U7nTQqWA

チェルノブイリで住み続ける女性達

https://www.ted.com/talks/holly_morris_why_stay_in_chernobyl_because_it_s_home

面接の前にやっておくこと

https://www.ted.com/talks/amy_cuddy_your_body_language_shapes_who_you_are

ポートランドのWalkable Cityの成果

https://www.ted.com/talks/jeff_speck_the_walkable_city

優れたプレゼンテーションには「型」がある

http://www.ted.com/talks/nancy_duarte_the_secret_structure_of_great_talks


◆俯瞰の書棚◆

今回の紹介は 「ザプレゼンテーション」ナンシー・ヂュアルテ(中西真雄美訳) ダイヤモンド社 2012です。

長い間たくさんのプレゼンテーションをしてきました、ほとんど自己流です。いろんな人にプレゼンテーションのアドバイスをしてきましたが、自分自身も、もう一度基本に戻りプレゼンテーションを勉強したいと思ってこの本を手に取りました。目からウロコというか、非常に高いプレゼンテーションの技法が紹介されていました。プレゼンテーションを改めて磨きたいという方にはお勧めです。

本の中にいくつもの素晴らしプレゼンテーションのケーススタディーがありますが、これが非常に参考になります。中でもマーティン・ルーサー・キング・ジュニアの「私には夢がある」の演説は、筆者ga

いうスパークラインという時系列分析で、心を掴むプレゼンテーションが,

何かを解説しています。

第1章 心動かすプレゼンテーション、このキーワードは聴衆こそがヒーロー、です。

第2章 神話や映画に学べ、このキーワードはストーリーを組み込む、です。またこの章ではスパークラインという分析手法を紹介しています。すなわち良いプレゼンテーションは“現在の姿”と“未来の姿”を交互に語ることがポイントで、これを見える化する分析手法です。

第3章 聴衆を知る、このキーワードは聴衆を分類する、です。

第4章  旅の計画、このキーワードはビッグアイディアという伝えたいメッセージで、その条件は、1.独自の視点で明確に表現する、2.何が今危機にさらされているかを伝える、3.完全な文章であること、です。

第5章 内容を練る、キーワードはありとあらゆる情報を集める、です。これは私が東大のゼミで行っている情報の収集、分析、編集(企画)、の収集・分析に当ります。

第6章 構成を考える、キーワードは理解できるプレゼンテーション、です。ここは編集(企画)に相当します。

第7章 記憶に残る何かを伝える、キーワードはSTAR(Something Always They’ll Remember)の瞬間で、いつまでも相手の記憶に残る何かを、です。この章はこの本の一つの山場ですね。

第8章 改善の余地はどこにでも転がっている、です。要はプレゼンテーションのスライド表現の磨です。ニューヨーク・フィル指揮者だったレナード・バーンスタインが行ってきた講義形式のコンサートに対する彼の綿密な準備と推敲の記録が圧巻です。

第9章 世界を変えよう、この章にマーティン・ルーサー・キング・ジュニアの「私には夢がある」の演説の分析があります。Webで動画を視ることをお勧めします。この後彼は暗殺されましたが、公民権運動でアメリカを大きく変えました。演説の随所に入れられた「私には夢がある」で人々を鼓舞して行動に駆り立てました。

終章 インスピレーションはどこからでも得られる、この章ではモーツァルトのソナタを例にとってその構成がプレゼンテーションに大いに参考になるとしています。モーツァルトの「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」の第一楽章も例のスパークラインで分析しています。続くアルフレッド・ヒッチコックの綿密な脚本作りの話があります。

この本を読んで大いに参考になりましたが、これからのプレゼンテーションにどこまで生かせるか、そして自分のプレゼンテーションをどこまで高められるか、これがワクワクするような私の課題です。


◆編集後記◆

 安倍首相にとって就任以来、今回の訪米を目標にいささか強引に進めてきたが全てを入れ込んだ首脳会談と上下両院の演説です。本人は達成感があると思います。これ程明示的に仮想敵国にされた中国はこの後どう出てくるかです。

 原発の使用済燃料は大問題ですね。福島の原発に入ったままの燃料棒をどうするかが再稼働の前の議論と行動です。

 定年から7年、現役の学生と一緒にゼミができることは幸せなことです。年々自分も成長できます。企業の次世代リーダーの育成プログラムもやっていますが、現役の学生はこれからキャリアを考えその実現を追及するわけですからオーラが違い

 ます。秋からは外資系の就活が始まります、ブートキャンプからの旅立ちです。

 ノビシロが大きいと、ゴルフと英語の勉強を始めてTEDを視るようになりましたがその過程でプレゼンテーションの理論を勉強することになりました。これもまだノビシロが大きいと感じました。ノビシロをいかに埋めるか、これが新たな課題です。


俯瞰メール47号

◆時候のご挨拶◆

寒波、豪雪と言っていましが、もう桜満開です。彼岸できっぱりコートは着るのは止めました。かつて彼岸を過ぎてコートを着ている部下に、昨日の延長線で今日を生きるなと言いましたから。

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 国民的議論なしに突き進む安倍政権の海外派兵の法制整備

 孤立する日米同盟

 アラブの春は無政府状態への始まりだった?

 安田講堂の大改修後の内覧会に行ってきました

 ビジネスモデル学会2015年春季大会報告

 俯瞰のクッキング~東急プラザ49年の歴史を閉じる~

 ニューウェーブの俯瞰~手首争奪の戦争~

 俯瞰の書棚 「How Google Works」日本経済出版社 2014

 編集後記

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◆国民的議論なしに突き進む安倍政権の海外派兵の法制整備◆

安倍内閣は昨年7月、憲法解釈を変更して集団的自衛権の行使を認めるとともに、他国軍への後方支援を拡大する閣議決定をしました。憲法9条の下では、従来個別的自衛権の行使しか認められてこなかったのですが。今回の与党正式合意で、自公が憲法解釈変更に基づく法律の枠組みを容認したことになります。憲法9条の解釈を変えた事に伴う法律の整備です。これだけ重要な意思決定ですが、国会やメディアで十分に議論が尽くされているという感じがしません。とりわけ野党の方々はこれについて相対的に静かで、安倍政権が突出して推進している印象を持ちます。野党の民主党は大臣の補助金と寄付の問題を声高に国会で質問していますがこの問題にはあまり熱心では無いのでしょうか。世論調査では国民は安倍政権の提案に賛成していないことが判明しています。

日本経済新聞社とテレビ東京による3月20~22日の世論調査で、集団的自衛権の行使を可能にするための関連法案について、今国会での成立に「賛成」は31%にとどまり「反対」の51%を下回っています。政府・与党は5月に関連法案を提出して今国会での成立を図るようですがが、国民の間では依然として慎重論が根強いのです。ただ最近の海外での事件を受けて自衛隊の海外での活動の拡大に関しては賛否が拮抗しています。

今回の関連法案はある意味自衛隊の海外派遣をかなり大幅に認めることにもなりますので、国民もそして野党ももっと本格的に議論すべきではないでしょうか。

 連立与党の公明党がある程度歯止めというか抵抗していますが、どうも公明党副代表の北側一雄氏に丸投げしているような感じがあります。氏は先の集団的自衛権の行使を認める閣議決定に際して、武力行使のための「新3要件」に、1972年政府見解の「根底から覆される」という文言を盛り込ませることに成功したと言っていますが、どうも自民党の高村副総裁とある意味政治家としての「握り」があるように思います。

その武力行使の新3要件とは、

(1)我が国に対する武力攻撃が発生した場合のみならず、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合に、(2)これを排除し、我が国の存立を全うし、国民を守るために他に適当な手段がない時に、(3)必要最小限度の実力を行使すること――という内容です。

自民党の議員の中にはナショナリストの方が現在の安部政権の受けが良いと思っているのか、意味がわかって言っているのかわかりませんが「八紘一宇」を予算委員会で紹介している元女優の議員などは「国益」をどのように認識しているのでしょうか。自民党の何人かの女性議員の勇ましい発言はある種の猟官運動でしょうか。とすれば真面目に努力している有能な女性そのものに対する侮辱です。

3月26日は日米で戦没者20万人、そして住民が多数の自決者617人という沖縄戦の沖縄米軍上陸の70周年です。勇ましいことを口にする前に慰霊祭に参列し不戦の原点を真摯に認識するのが政治家のすべきことではないでしょうか。心ある政治家は参画しています。

憲法9条はある意味アジア諸国の日本に対する緊張を下げるものです。もし憲法9条を改正すると中国はこれに対抗した軍拡を進めることになります。そして日本も軍拡で応じるならば日本の社会と経済は大きな負担を強いられます。国益、これを第一に考えて政治家は発言と行動をすべきです。

私もジレンマがあります。先の竹島や現在の尖閣列島、そして南シナ海の状況を見れば速やかな軍事的な対応も必要です。一方国会の議論と承認なしにナショナリストの首相が自衛隊を独断で動かすこともリスクがあります。また派遣される自衛隊の生命やそのご家族のこともきちんとした議論が必要でしょう。さらに憲法9条で国際社会とりわけアジアにコミットしている専守防衛の平和国家としての現在価値も重要だと認識しています。

安倍首相はNATOの一員としてイラク戦争いやアフガン戦争に参画したドイツのような行動の自由が、いわゆる一等国の要件であると思っているかもしれません。かつての歴史は陸軍と関東軍の暴走でしたが、これからはナショナリストの暴走のリスクを法制としてきちっと管理することが必須だと思います。とにかくNHKの会長を含め安倍首相の周辺のブレーンの資質が気になります。


安保法制の基本方針、与党正式合意 法案具体化へ

http://www.asahi.com/articles/ASH3N5GW5H3NUTFK00V.html

安保法制今国会で成立目指す

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150323/k10010025001000.html

「もっともっと議論を」憲法改正で公明・山口代表

http://www.sankei.com/politics/news/150324/plt1503240021-n1.html

民主・岡田氏、与党の安保法制を批判「わかりにくい」

http://www.asahi.com/articles/ASH3G54CLH3GUTFK005.html

社説[「わが軍」「八紘一宇」]緊張欠く慢心発言次々

https://www.okinawatimes.co.jp/article.php?id=109116

慶良間諸島米軍上陸70年 沖縄戦悲劇の始まり

http://www.yomiuri.co.jp/kyushu/news/20150326-OYS1T50067.html

沖縄戦から70年 座間味で慰霊祭

http://www.qab.co.jp/news/2015032664443.html


◆孤立する日米同盟◆

中国の習金平主席の外交がホームランを打ちました。中国の提案するアジアインフラ投資銀行(AIIB)への参画が雪崩現象です。口火を切ったのはイギリスです。これをトリガーにヨーロッパ諸国が参画を決めました。中央アジアでの中国のリーダーシップに対して微妙な立場にあったロシアもついに参画を決めました。南米のブラジルも、そしてアングロサクソンの豪州も参画を決め、すでに40カ国以上の参加が決まっています。 1番苦しい決断は韓国でしょう。しかし参画を決めました。その裏ではアメリカと相当厳しいやり取りがあったはずです。

アジアインフラ投資銀行(AIIB)はアメリカ主導の世界銀行、日本主導のアジア開発銀行、そしてヨーロッパ主導のIMFに対する中国の挑戦です。第二次世界大戦後続いてきたパックスアメリカナの終焉かもしれません。

イギリスの政治家はいつもすごく国益の追求に徹しています。 EUに加盟しながら通貨同盟には合流せず、今やEUからの脱離の国民投票を予定しています。これは再び、スコットランドの独立の議論を再燃させると思いますが。キャメロン首相は多分オバマ大統領と何の打合せもなくこの決定をしたと思います。これを見てドイツ、フランスをはじめヨーロッパ諸国は、アジアインフラ整備という経済的なチャンスのおこぼれをもらおうと雪崩的に参加を表明しました。背景には長引くロシア経済制裁とロシア経済の縮小でその代替の市場をアジアのインフラプロジェクトに求めているのでしょうが。

韓国はアメリカと中国の間にあって苦悩の決断だと思います。すでにミサイル防衛網では再三のアメリカの呼びかけににも拘らず米国、日本、韓国の共同ミサイル防衛網THAADに対して中国への遠慮というか、恫喝に屈してか参加を保留しています。結果として韓国はアメリカではなく中国に自国の未来をかける決断をしたのかもしれません。これは客観的に見れば1つの選択です。すでに経済的には中国依存から離れられません。北朝鮮の脅威についてはどこまで中国が北朝鮮をコントロールできるかわかりませんが、これに賭けたのでしょうか。

1950年1月12日、アメリカ政府のディーン・アチソン国務長官が、「アメリカが責任を持つ防衛ラインは、フィリピン - 沖縄 - 日本 - アリューシャン列島までである。それ以外の地域は責任を持たない」と発言して、朝鮮戦争を誘引しました。このままいけば再びアメリカはアチソンの防衛戦略に立ち戻ることにもなりかねません。アメリカのミサイル防衛網を受け入れない韓国からは米軍は沖縄とグアム島まで兵力を引くことになります。もしこうなれば東アジアの力の均衡は崩れます。

ただ歴史的に俯瞰すると、この戦後70年を除けば朝鮮は中国を宗主国としてその支援のもとに日本から侵攻に対抗してきました。とすればこの歴史的な形に戻るのでしょうか。

更に歴史をさかのぼれば、朝鮮半島南部から出雲を中心に渡来して日本海沿岸に広がり、大和にまで広がった出雲族、そして百済経由で治水技術による稲作文化を持って北九州に侵入して大和の地に大和朝廷を拓いたのが現在の日本です。関係が深いから、いがみ合うのでしょうか。

こうして色々俯瞰してみると、結果として日本とアメリカは国際社会から孤立した状態になっています。アメリカの絶対的な同盟国であったアングロサクソンのイギリスや豪州もアメリカの経済から中国主導の経済を新しい機会として考えたということでしょうか。

日米同盟、それでもこれは日本の国益から来る決心でしょう。アメリカが本気で日本が最後のパートナーだと思ってくれるか、これが問題ですが。

私はこの段階で目の前の札束を拾うためにアジアインフラ投資銀行(AIIB)に参画することよりも日米同盟という国益を取るべきだと思います。ただ懸念は相手があのオバマ大統領では懸念が残りますね。


ロシアも参加表明 中央アジア諸国の相次ぐ表明に押され

http://www.sankei.com/world/news/150328/wor1503280029-n1.html

アジアインフラ投資銀行(AIIB)へ欧州各国が参加を表明

http://matome.naver.jp/odai/2142688814829905101

中国主導のアジアインフラ投資銀行に「日本も関与すべき」との声高まる、経済界切実―加盟表明国急拡大で方針転換もhttp://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150320-00000022-rcdc-cn

中国主導のアジアインフラ投資銀で米国が戦略転換、協力模索へ

http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0MJ2I920150323

韓国、強大国・米中の板挟みに

http://www.nikkei.com/article/DGXMZO84777390U5A320C1000000/

http://www.nikkei.com/article/DGXMZO84777390U5A320C1000000/?df=2

米新迎撃システムの韓国配備 中国の懸念に反論=米次官補

http://japanese.yonhapnews.co.kr/headline/2015/03/17/0200000000AJP20150317001800882.HTML?input=rss

ついに米国も韓国に踏み絵を突きつけた

http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20131006/254231/?rt=nocnt

MDは中国が韓国に突きつける“踏み絵”

http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20140901/frn1409011530003-n1.htm

朝鮮戦争http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9C%9D%E9%AE%AE%E6%88%A6%E4%BA%89#.E6.9D.8E.E6.89.BF.E6.99.A9.E3.81.AE.E5.AF.BE.E6.97.A5.E8.A1.8C.E5.8B.95.E3.81.A8.E3.82.A2.E3.83.A1.E3.83.AA.E3.82.AB.E3.81.AE.E8.AA.A4.E7.AE.97


◆アラブの春は無政府状態への始まりだった?◆

早いものでイラク戦争から12年です。ワシントンでは反戦デモが行われたようです。当然でしょう。中近東の現在の混乱のすべての発端となった愚かな戦争ですから。中近東は完全に無政府状態に陥っています。

態勢をぶち壊すのは簡単ですが新しい秩序を作ることには長い時間が、そして多くの犠牲が伴う事は人類の歴史を俯瞰すればわかるはずです。ヨーロッパ中を戦乱の渦に巻き込み文明の停滞を招いた30年戦争、鎌倉幕府崩壊後、実質的な統治能力がない室町幕府からの徳川幕府成立までの戦国時代などです。ソ連崩壊後のロシアと東欧も。

アラブの春の発端を作り民主化のモデルとされたチュニジアでもイスラム国が繁殖しています。イスラム国という怪物はリビアでも、アフリカのナイジェリアそしてシリアからイラクを無政府状態にしています。

そして今アラビア半島最南端のイエメンも国家崩壊状態です。イエメンはもともと南北にわかれた国でしたが何とか一時は国家の形態を保っていました。しかしアルカイダをはじめ過激派が侵食し群雄割拠の状態になってしまいました。

これら中近東の混乱の基底にはイスラム教のスンニ派とシーア派の対立という厄介な問題があります。スンニ派のリーダーはサウジアラビアで、シーア派のリーダーはイランです。シリアやイラク、そしてイエメンもこの構造です。永年の怨讐が凄惨なテロの応酬、そして民兵という軍閥の割拠という無政府状態を作り出しています。

この中近東の混乱に無力なオバマ政権が歯がゆいですね。オバマ米大統領が半年前にテロ対策の「成功例」と持ち上げたイエメンです。迷走する米中東政策を曝け出しています。サウジアラビアやエジプトそしてイスラエルという伝統的な親米の同盟国も不信の目を向けているようです。そのうえきちっとしたコミュニケーションも出来ていないようです

問題はイエメンの対岸のソマリアです。このソマリアも無政府状態で海賊の根拠地になっています。スエズ運河につながる紅海からアラビア海への出口は狭く、紅海からアラビア海に抜けるアデン湾は現在でも海賊が跋扈していますから、さらに不安定になりかねません。

しかしこのルートは日本と欧州を結ぶ太い物流ルートですから、この地域に自衛隊を派遣するかどうかという議論になります。こうした現状も先に論じた集団的自衛権、自衛隊海外派遣の法制整備の中で議論していくことになります。アラビア半島とイランとの間にあるホルムズ海峡はエネルギーの大半をこのホルムズ海峡のルートに頼っている日本にとっては重大な安全保障の課題だとして、安倍首相は28日の衆院予算委員会で、紛争に伴いシーレーンに敷設された機雷の除去について、「個別的自衛権で対処できないのは明白だ」と述べ、憲法解釈を変更して集団的自衛権に基づき対処する必要があるとの政府見解を強調しました。

与党の法案も固まりいよいよ国会に関連法案が提出されて議論が始まるはずですが、すでに述べたように国民と野党は真剣に、日本を取り巻く地政学的状況、日本の国際的な位置づけ、軍拡の経済的負担について重大な判断と決断を迫られる時が来ました。この議論を一部のナショナリストに任せるわけにはいきません。


イラク戦争開戦から12年 米首都で反戦デモ

http://www.cnn.co.jp/usa/35062106.html

イスラム国、リビア自爆攻撃で犯行声明 報復合戦に

http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPL3N0WR1C320150325

チュニジア テロ事件1週間 観光打撃が目的か

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150325/k10010026931000.html

国連安保理:「イエメンは国家崩壊の危機」

http://mainichi.jp/select/news/20150324k0000m030070000c.html

イエメン全土で内戦に発展も

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150323/k10010024791000.html

米の中東政策迷走 イエメン混乱、米に不信感 指導力発揮できず

http://www.47news.jp/47topics/e/263653.php

アラブ連盟が合同軍創設で合意、イエメン「フーシ派」に撤退要求

http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0MQ02O20150330

ソマリアの海賊による船舶襲撃の動画&海賊対処部隊の攻撃の動画

http://matome.naver.jp/odai/2140279932448167501

自衛隊、ホルムズ海峡の機雷掃海へ、政府検討

http://matome.naver.jp/odai/2140136649527073301


◆安田講堂の大改修後の内覧会に行ってきました◆

先の震災で耐震性に問題が生じたため大規模な改修工事が行われた安田講堂ですが足りない予算を寄付で賄いました。長年お世話になった、学び舎であり、職場でもあったので寄付に応じました。完成後の安田講堂の内覧会に招かれましたので行ってきました。私の名前の銘版がついた椅子が用意されていました。

説明を聞くと色々興味深いことがあります。安田講堂創建の発端は、大学に天皇陛下がお見えになったときの休憩所「便殿」がないのははなはだ失礼であるとして、富山県出身で、金融業で成功した安田善次郎氏が寄付を申し出たことで、結果として大講堂付きの大学本部の建設になったとのことでした。確かに東大紛争までは大学本部で、総長室がありました。

基礎工事の段階で関東大震災に会いましたが被害がなく現在の安田講堂が完成したとの事でした。その後何度か改修され、特に東大紛争では全共闘の拠点となり大変な被害を受け、しばらくは封鎖されていましたがその後改修されて、入学式や卒業式の会場として使われ、大きな学術会議の会場としても貸出されてきました。

今回の改修では、天井のガラスの改修が大きな焦点だったようです。午前中には明るく優しい光が講堂に注ぎ込むとのことでした。さらに、ひどかった音響が改善されとのことでした。

そして非常に貴重な歴史的な資産として、重要文化財の認定を想定して創建された時の状態に限りなく復元したとのことでした。

私は改修前の安田講堂で国際会議をやったり、学位授与式に参加したりしましたが便殿という部屋の事は知りませんでした。物置として使っていたとのことでしたから。その便殿は正面玄関2階部分にありました。

便殿という言葉の紹介で、「便」という漢字には、「くつろぐ、やすむ」という意味もあることを知りました。


【便殿】天皇・皇族の行幸・行啓時に、休憩のために設けられた部屋、元は中国語で、貴人の休息のために設けた御殿。または、部屋。


◆ビジネスモデル学会2015年春季大会報告◆

2015年春季大会は 小さな経済と地域新生 ~ 地域新生に果たす小さな経済の可能性 ~をテーマに盛況理に3月28日(土)に東京大学本郷キャンパス工学部新2号館講堂で開催されました。

我が国では、2040年までに現存自治体の半数近くが消滅の可能性があるとする衝撃的な報告(いわゆる増田レポート)がでたのは記憶に新しいところですが、地域経済の衰退が大きな社会問題となっています。

決して日本だけがこのような地方の衰退という問題を抱えているわけではありません。そして、その課題を克服した地域も存在します。例えば、イタリアのスローフード運動に根ざした地域再生の経済モデルや、アメリカ、ポートランドのコンパクトシティモデルなど、地元民と地元中・小企業、協同組合、農業組合等の連携・活躍や、地域の再開発に共鳴する市民の積極的な参加により、一度は荒廃した地域が生まれ変わるという事例が、海外には数多く見られます。このような地域では、地域住民が、受け身な消費者・居住者という存在から、小さな事業の共創者、共同出資者といった地域経済の主体的な創造者へと変貌を遂げています。また、住民が互いに持つ資源・能力を分かち合い、助け合って、その地域の小さな経済が自立し、持続可能となります。海外事例を横展化した日本での事例があります。今回はそのような事例を選りすぐって報告していただきました。(大会実行委員長メッセージ)


まず、渡辺 豊博 氏(グラウンドワーク三島 専務理事)から、地域資源を活用した「NPOビジネス」の新展開と題して、三島で20年前にドブ川だった源兵衛川の清掃をたった一人ではじめたが、やがて、賛同者を巻き込んだ市民運動にして、清流を蘇らせた伝説の人物です。イギリスのグランドワーク運動を参考に、地域起こしを展開、地元のシニアに運営させる街カフェ、環境保全の専門学校の運営、耕作放棄地の大規模開墾など、様々なプロジェクトを手がけている現状を報告いただきました。

20年を超える活動の成果は圧倒的な組織力と経済的な結果を出しています。三島のメインストリートに空き店舗はありません!今までいくつもの地域振興の現場を視察してきましたがここが最強です。ここには、いわゆる“ばか者、よそ者、若者”が揃っています。渡辺豊博さんは“ジャンボ”な“ばか者”でしょうか、失礼!

http://www.gwmishima.jp/


次に、大手 智之 氏(アソビズム 代表取締役社長)から 「長野門前で見た、若者 x 地域の可能性」と題して、モバイル向けのアプリケーション開発をおこなうIT企業の経営者であり、率先して、長野に移住、善光寺の旅館を長野ブランチオフィスとして、地元コミュニティーの活性化、地元への就業機会の提供を目指している活動をご報告いただきました。東京でゲーム会社を経営していいましたが東京で子供を進学競争の中で育てることに疑問を持ち長野移住を決めたとのことです。東京に出張したり、テレビ会議で東京の会社経営は続けています。大手智之さんは子供を持つ若い人たちを地域に引き入れる条件として、仕事、住居、そして教育環境をあげています。私も長年地域クラスタの研究をしてきましたが、これこそが地域振興の必要条件です。特に優れた教育環境です。 http://www.asobism.co.jp/nagano/


続いて、引地 恵 氏(WATALIS 代表理事)。感謝を包む手仕事で、幸せを世界に繋ぐ

~小さな本気が東北の未来を創る~と題して、東日本大震災時、地元亘理町で学芸員をしていたが、震災を契機に地元の女性の活性化のため一念発起、地元で、古い着物地を利用した袋に豆や米を入れて贈り物をしていた風習を思い出し、古い着物地から袋物をデザインし販売する社会事業を開始、海外にも売り出そうとしている活動をご報告いただきました。

引地恵さんは生まれた亘理町の公務員でしたが、埋もれている地元の文化を丁寧に掘り起こしている中で、感謝する心をたくさん持つことが幸せな人生を送ることである事を、偶然見つけてそこから公務員を止め起業したとの事でした。ある農家で、着物地の小さな端切れを集めた巾着袋を見つけ、これに豆や米を入れて、感謝したいときに気持ちを込めて贈ってきたという素晴らしい地元亘理町の伝統文化を見つけたのです。地元に伝わる縫製の技術も数少ない達人から伝授を受けていますが、その時の教えは「縫い目の仕上がりが人格だよ」。活き活きと溌溂なお顔は都会では殆ど見られませんね。

http://watalis.jimdo.com/


特別講演の最後は、高橋 幸司 氏(置賜自給圏推進機構  代表理事)。置賜自給圏推進機構の目指すものと題して、米沢を中心とした地域連携のプロジェクトについてご報告をいただきました。これからの展開に期待できます。http://www.okitama-jikyuken.com/


◆俯瞰のクッキング~東急プラザ49年の歴史を閉じる~◆

3月22日に渋谷駅前の東急プラザが閉店となりました。思えば18歳で上京して駒場寮に住みました、そしてその後も井の頭線、東横線沿線に居を構えましたので渋谷は特別な街です。考えてみると東急プラザの49年は私の上京後の人生の重要なフィールドです。そして永年東急プラザの地下にある食料品の市場で買い物をしてきました。最後はずいぶんキレイになりましたが昔は戦後の闇市はこんな感じかという時期もありました。

“肉のニュークイック”、“鮮魚の魚耕”、“野菜のさわみつ”は値段が安くこれがなくなると大変こまります。九階にあるレストラン街も古くからの店が多く、行きつけの店がなくなるのも寂しいです。

21日に最後の買い物に行きました。 100グラム158円の豪州産の牛のモモ肉の塊を買ってきて、和風ビーフシチューなるものを作りました。これはKIHACHIの熊谷シェフのレシピを参考にしたものです。簡単にレシピを紹介しましょう。


1.肉は60グラムくらいの大きな塊に切り分けます。ニンジン、タマネギ、セロリそれぞれ2分の1程度を刻みます。ニンニクも潰しておきます。

2.肉と野菜をボールに入れ赤ワインをヒタヒタに入れます。本来はこれを冷蔵庫で一晩マリネしますが、この日はその時間がないので強めに揉みこんで30分ほどおきました。

3.大根を厚めの輪切りにし、皮をむいて竹串が通る程度に煮ておきます。

4.肉を取り出し小麦粉をまぶして、フライパンで六面に焼目をつけます。

5.圧力鍋にマリネ液をこした野菜を入れて炒めます。その上に焼目をつけた肉をおきます。マリネ液も入れます。肉が隠れる程度に水を入れ、顆粒状の鶏ガラスープを大さじ1杯ほど入れます。(ここで水煮のトマト入れれば西洋風のビーフシチューなりますが)そしてアクをさっと取って30分ほど圧力をかけて煮ます。

6.圧力鍋のピンが下がったら、肉を取り出し残りの野菜をシノアでこします。野菜はほとんど溶けている状態ですが残った繊維を除いて口当たりを良くするためです。

7.鍋に肉と漉した煮汁を入れ弱火で煮ながら、白味噌と赤味噌あれば八丁味噌を、味を見ながらそれぞれ大さじ1杯程度入れます。

8.大根をフライパンで焦げ目がつくように焼き、シチュー鍋に入れます。

以上

安い肉屋がなくなってしまったので、これからは車で麻布にある“日進”に行くことになるでしょう。”日進“は外国人駐在員の御用達の店で、輸入肉の種類が豊富で値段も安いですから。ワインも品揃えが豊富で安いと思います。


◆ニューウェーブの俯瞰~手首争奪の戦争~◆

AppleWatchがいよいよ4月24日発売になります。各社からもウェアラブル端末が次々と発売されています。 今回のAppleWatchの発売が“手首争奪の戦争”ゲームのキックオフになるでしょう。

日本でもソニー、NTT、東レ、セイコーエプソンなどウェアラブル機器を相次ぎ商品化しています。ウェアラブル端末は手首に装着するものが大半です。医療・健康管理向けが多く、どの製品にも高性能の小型センサーが多数搭載されています。例えばMicrosoft Bandには光学式心拍センサー、3軸加速度センサー、ジャイロスコープ、環境光センサー、体温センサー、UVセンサー、静電センサー、皮膚反応センサー、マイク、そしてGPSが組み込まれていて様々なデータを計測します。

糖尿病患者向けの血糖値のセンサーは目下各社が最も力を入れて開発しているものです。グーグルは既にコンタクトレンズ型の血糖値センサーを開発して発表しています。

このような情報はBluetoothという近距離の無線通信によりその人が持っているスマートフォンにデータを送ります。ユーザはスマートフォンで情報をチェックできます。そしてスマートフォンはそのデータをクラウドに転送します。クラウドに集められたデータは様々な分析と応用に使われます。

このクラウドによるビックデータが大きなビジネスになると各企業は考えています。ですからAppleやGoogleは巨額の投資で専門家を集めた研究所を開設しています。

一番単純な応用は各個人が健康管理に役立てることですが、クラウドと常時接続もしくはそれに順ずる連携ができれば、健康アドバイスのコンサルティングや、医療保険会社の被保険者の管理のようなサービスが実用化されるでしょう。健康管理がよくできている人は保険料が安くなるとか、その逆もありますね。

このウェアラブル端末が常時接続でクラウドと同期することは、いわゆるIoT(Internet of Things)の人間版です。私がこれをIoP(Internet of People)と呼びたいと思います。

現在すでに一部の車はクラウドと常時接続状態にあります。高度なサービスが受けられますが考えてみると全ての行動がサービスプロバイダーに把握されることになります。究極の個人情報ですが。もしこのIoP(Internet of People)が普及するとこれ以上に究極の個人データがサービスプロバイダーに渡ることになります。 AppleやGoogleの規模を考えると彼らがクラウドに収集するビックデータはとんでもない量になりますから、それと別のデータと人口知能の技術を組み合わせると創薬に関する情報とか、医薬の評価などにも応用することになっているでしょう。

この分野ではウェアラブル端末については日本の企業もある程度存在感を持つことが出来るかもしれませんが、クラウドを利用したビックデータの活用についてはAppleやGoogleと競争できるとは思えません。マイクロソフトは社運をかけてAppleとGoogle に挑むでしょう。これがマイクロソフトにとって最後の決戦かもしれません。

手首には多分一つの端末しか装着しませんので、手首争奪の戦争となります。これは未来ではなく、今年から始まる戦争です!


ウエアラブル端末、健康向けに実用化加速

https://www.evernote.com/shard/s14/nl/1595864/c167c3fc-a2fc-463e-bcc8-2c36b9a3e66a/

「Apple Watch」の健康・フィットネス機能

http://healthcare.itmedia.co.jp/hc/articles/1502/22/news010.html


「スマート・コンタクトレンズ」が示すグーグルの優れた研究体制

http://wired.jp/2014/01/22/google-lens-microsoft/

Apple Watchのため2年間も最重要機密だったAppleの「フィットネス研究所」が公開

http://gigazine.net/news/20150323-apple-watch-secret-health-fitness-lab/

Apple Watchの強敵か ウエアラブル、MSの逆襲

http://www.nikkei.com/article/DGXMZO81200920S4A221C1000000/

すぐ出世腕時計型、イヤホン型、メガネ型…コンピューターの新しいかたち「ウェアラブル端末」をソニーにきく

http://www.athome.co.jp/vox/life/31365/

ソニーのウェアラブルグラスで震災被災地の記憶を継承http://www.excite.co.jp/News/it_g/20150309/Cycle_style_20279.html

睡眠やこころの状態もモニターできる「PULSENSE」で生活が変わるhttp://healthcare.itmedia.co.jp/hc/articles/1411/13/news003.html

比較2015' 最新のリストバンド型活動量計15機種の性能とおすすめ

http://monomania.sblo.jp/article/83142639.html

ウェアラブル端末、期待する企業はGoogle、Apple、Sony、CASIO - MM総研

http://news.mynavi.jp/news/2015/02/06/254/


◆俯瞰の書棚◆

今回のご紹介は 「How Google Works」日本経済出版社 2014です。著者はGoogleの取締役会長で2011年までCEOを務めた、エリック・シュミットとCEOのラリー・ペイジのアドバイザーを務めるジョナサン・ローゼンバームです。実際の文章の書き手は表紙にあるアラン・イーグルという人でしょう。プロ中のプロのライターと思います。軽快でドラマチックそして臨場感ある文章は、とても普通の人が書ける水準の文章ではありません。まだまだ文章を書くというスキルが、プロレベルに達していないことを私は思い知らされました。随所に挿入された注釈がすごいので、かなりのレベルの高い編集スタッフが参加しているはずです。そしてレベルの高い査読者がその水準を引き上げていると思います。

この本は“Googleの経営学”というタイトルが相応しい内容で、「現代の経営学」を書き換えるものでもあります。経営者と、経営者を目指す方々には必読の書と思いますのでご一読をお勧めします。

序文は創業者の1人で現在のCEOであるラリー・ペイジが書いていますがその中で「自律的思考」がGoogleの成功と誕生の基本原理だと言明しています。そして「どうやら大抵の人は型破りな発想をするような教育を受けていないらしい。現実世界の現象から出発し何ができるか見定めようとしないで、最初から無理だと決めてかかる。 Googleが自律的思考の持ち主を採用し壮大な目標を設定するためにあらゆる手段を尽くすのはこのためだ。適切な人材と壮大な夢が揃えば大抵の夢は現実になる。たとえ失敗しても、きっと重要な学びがあるはずだ。大抵の会社はこれまでやってきたことを継続し、多少の漸進的な変化を加えるだけで満足している。だが漸進的なアプローチはいずれ時代に取り残される。」とあります、いかがですか。

この本のエッセンスは「 はじめに」に凝縮されています。そのなかのキーワードとフレーズを紹介しましょう。冒頭にある「フィンランドプロジェクト」が面白いです、“フィンランド”とはマイクロソフトのコードネームでした。当時このIT業界の巨人がこのベンチャーを潰しにかかることを恐れていました。歴史は皮肉です。今やマイクロソフトはGoogleとAppleの前に存亡の危機に晒されています。先にラリー・ペイジが言明しているように漸進的アプローチのマイクロソフトは時代に取り残されてしまったのです。

最初のキーワードは「エンジニアと話してこいよ」

IT業界のベテランマネージメントのジョナサンが入社して、自分の経験知からプロダクト開発に、明確に定義されたプロセスとフェーズと目標を持つ「ゲートベース・アプローチ」というプロダクト開発計画手法をこの会社に導入することを提案し、ラリー・ペイジにプレゼンテーションした時、「エンジニアの連中のところに行って話してみろ」、「計画でイノベーションが起こるわけがない」と言われたのです。そして書籍では「私たちが20世紀に学んだことのほとんどは間違っており、それを根本から見直す時期が来ている。」という文で最初の段落は終わっています。

「驚異が驚異でなくなる時代」

インターネット世紀について、3つの強力な技術トレンドが、ほとんどの業界の競争条件を根本的に変えたとしています。第一に情報が無料に豊富になりどこでも入手できるようになった、第二に帯端末やネットワークの広がりにより常時接続が普及した、第三にクラウドコンピューティングによって無限のコンピューティング能力やストレージ、そして高度なツールやアプリケーションを誰でも安価に利用出来るようになった、とあります。コンテナ型のクラウドコンピューティングはグーグルの発明です。

次は「スピード」

前にあげた3つの生産要素は従来型企業に壊滅的な影響を与えたとあります。そしてアマゾン創業者のジェフ・ベソスの言葉を引用して「古い世界では持てる時間の30%を優れたプロダクト開発に充て、 70%でそれがどれほど素晴らしいプロダクトかを吹聴して回っていた、それが新しい世界では逆転した」と従来のマーケティングの無力を指摘しています。そして成功や優れたプロダクトの優位性を支えるのはスピードなのだ、と言っています。極めつけの言葉は「説明はいらないから、見せてくれ」です。

そして「スマート・クリエイティブ」

従来型企業で働くナレッジワーカーは、専門分野には秀でていても能力に幅がないか、幅広い経営能力を備えていても専門性にかけるかのどちらかであったが、 Googleの人材は専門性とビジネススキルと創造能力を合わせ持っているスマート・クリエイティブという人間です。

スマート・クリエイティブに関するキーワードは、実行力、プロトタイプを作る人間、分析力、ビジネス感覚、競争心、ユーザのこともわかっている、自らパワーユーザー、自発的、自由に他者と協力しアイデア分析し、誰がそれを最初に口にしたかを気にしないで議論する、細かい点まで注意が行き届く、集中力を切らずにどんな細かいことも覚えている、コミュニケーションは得意だ、です。

ただこの全てを備えている人材は数少ないが全員に共通するのは、ビジネスセンス、専門知識、クリエイティブなエネルギー、自分で手を動かして業務を遂行しようとする姿勢、これが基本要件です。

そしてこの本で興味深い事実は、シリコンバレーでは成功した経営者は駆け出しの経営者を、時間をかけて指導していることです。シスコのCEOだったチェンバーズは駆け出しの頃ヒューレット・パッカードのCEOルイス・ブラッドに度々会って戦略や経営について議論したといい、その親切に感謝し、ある時なぜ他社の若い経営者に貴重な時間をこれほど割いてくれるのかと尋ねたところ、 「それがシリコンバレーのルールだからさ、私たちの仕事は君たちに手を貸すことなんだ」と答えたそうです。またスティーブ・ジョブスは、自宅が近かったラリー・ペイジに度々アドバイスを与えたといいます。これがシリコンバレーの成功の秘密でしょう。

最後に成功成長するベンチャー企業の発達過程を次のように記述しています。まず最高のスマート・クリエイティブを惹きつける企業文化が出発点で、次が戦略、その次が採用でこれがリーダーの最も大事な仕事であると、最高の人材を十分に集めることができれば知性と知性が混じり合いクリエイティビティと成功が生まれるのは確実だ、そして 「意見の一致」という合意形成のコミュニケーションのやり方、そして次がイノベーション、とあります。


この後の章は、文化、戦略、人材、意思決定、コミュニケーション、イノベーション、おわりに、です。いずれも読むべき価値があります。

以上述べた“Googleの経営学”は結果を出しました。Googleの経営は大きな成功を収め、時価総額では、アップルの時価総額は7,480億ドル、第2位はグーグルで、時価総額3,830億ドル、第3位はExxon Mobil社で、時価総額は3,710億ドルです。ちなみにマイクロソフトは3,600億ドルで第5位です。(2015年2月)昔のITの巨人IBMの時価総額は1,580億ドルです。この業界は栄枯盛衰が激しいですね。

そして現在のグーグルの現金保有高は640億ドル(約7兆7700億円)を超えます。ちなみにアップルの現金・債券は22兆円を超えていますが。この資金で有望なベンチャー企業を次々買収しています。東大発のロボットベンチャー企業も高額で買収しています。

従来型企業の集合で、日銀券の増刷という日本経済の成長戦略、根本から間違っていませんか。取り敢えず65歳以上のTOPは潔く引退しませんか。


自律的思考の解説の一つです

http://www.entre.co.jp/jiritsu/jiritsu06.html


◆編集後記◆

 以前、「第五の権力」という同じエリック・シュミットの本をここで紹介しましたが、今回の本のほうが数段すぐれています。ライターや編集スタッフの差異でしょうか。「私たちが20世紀に学んだことのほとんどは間違っており、それを根本から見直す時期が来ている。」は刺さりました。

 地域に根を生やして自分がやるべきと信じていることを粛々と実行している方々に会うと自分の生き方がこれでよかったか不安になりますが、ビジネスモデル学会も必要だと決心して2000年創設からすでに16年目です。やってきてよかったと思いました。

 ニュースを分析していると、アメリカの衰退、特に政権末期のオバマ政権の実情をヒシヒシと感じます。永年アメリカの覇権の下でぬくぬくしてきた時代が終わりつつあるという感じがしてきます。私を含めて政治的課題にきちっと向き合ってこなかった国民もそろそろ自覚しないといけませんね。

 中近東は今後数十年混乱が継続しそうです。民主主義の脆い構造を思い知らされます。軍事政権に戻ったエジプトの安定化、人権問題があったとしてもフセインのイラク、カダフィのリビア・・悩ましいですね。

 最近の捨身に近いマイクロソフトの戦略を見ると結局ビルゲイツとバルマーという創業経営者の最後の10年は何であったか、と思わざるを得ません。自分が創り出した組織を離れる決断が、その個人にとって最後のイノベーションなのでしょう。


俯瞰メール46号

◆時候のご挨拶◆

厳しい寒波で北陸や東北・北海道で大雪になり、東京も冷え込みました。そして気が付けば2月も半ばです。山は既にうっすら芽吹きの準備が出来つつある色になりました。もうすぐフキノトウが芽を出しそうです。-----------------------------------------------------------------------------

 勝利した総選挙で安倍政権の向かうところは

 戦争の匂いに動いた独仏とプーチン大統領の駆け引き、そして米国

 正念場のメルケル首相、ギリシャのEU離脱のリスク

 燃料電池自動車ミライに試乗してきました

 ビジネスモデル学会2015年春季大会

 俯瞰サロン 第20回 “イノベーションの起こし方”

 俯瞰のクッキング~我が家の食卓~

 ニューウェーブの俯瞰~創造的破壊~

 俯瞰の書棚 「2050年の世界」英エコノミスト

 編集後記

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◆勝利した総選挙で安倍政権の向かうところは◆

12月の総選挙では大勝利して自信満々で活動を開始ました。まず得意としている外交では中近東に行きました。あいにくイスラム国の日本ジャーナリストテロ事件に巻き込まれて結果は出せませんでした。ただこの事件は今後の安全保障政策の議論の方向に影響を与えることになります。まず各国への駐在武官を増員することになりました。これは当然でしょう、情報戦の現在少なすぎますから。国会における施政演説では格調高く政策を掲げましたが総選挙直後に口にした憲法改正は強調しませんでしたが、決意を感じさせます。

ともかく色々ありますがJA全中の社団法人化を押し切りました。裏があると思いますが素直に評価すべきでしょう。盤石の国会勢力を活かした行動ですから。平河町の全中全農の巨大なビルを見れば彼らがいかに巨大な利権を有してきたか実感できますよ。

今また雇用の自由度をあげる「高度プロフェッショナル制度」を推進していますがこれも日本を活性化する規制緩和です。労働組合が長時間労働になると反対しているようですが、これも押し切るでしょう。農協、労組という高度成長期には必要であっても既にずっと以前から日本の成長の障害でしかなかった利権集団をともかく一定程度抑えこむことができました。これは日本を変えることになります。

アベノミクスは色々議論ありますが、さらなる医療、教育、税制等の規制緩和の推進で体質的な変革をしない限り成長路線には乗らないでしょう。ただ、日本だけ低成長ではなく、ドイツもフランスも英国もずっと低成長です。デフレということで日本だけが“失われた20年”と言われてきましたがEUも日銀と同じ金融緩和で経済を立て直すことになりました。なんとか金融緩和で経済を立て直し金融緩和を止めた米国も高い失業率等で実態は不安があり利上げは先になりそうです。とすると先進国はすべて金融緩和ですからこの巨額のマネーはどこに向かうのでしょうか。

問題は施政演説にある、積極的平和主義です。ISIS(イスラム国)の日本人テロ事件で安全保障の議論が積極的な方向に向いてきたことです。安倍首相の「その罪を償わせるため」という発言は内外に衝撃を与えると同時に何かを考えているということでしょう。

集団的自衛権の積極的な拡大解釈です。さすが公明党も米軍以外の支援には腰が引けています。海外に兵員を出せば自衛隊が偶発的に戦闘に巻き込まれる危惧は排除できません。このような安倍首相のナショナリストの言動はアメリカ議会でも注意が喚起されています。

戦争責任については天皇陛下の新年のお言葉に「本年は終戦から70年という節目の年に当たります。多くの人々が亡くなった戦争でした。各戦場で亡くなった人々、広島、長崎の原爆、東京を始めとする各都市の爆撃などにより亡くなった人々の数は誠に多いものでした。この機会に、満州事変に始まるこの戦争の歴史を十分に学び、今後の日本のあり方を考えていくことが、今、極めて大切なことだと思っています」とあり関東軍が柳条湖で南満州鉄道の線路を爆破し、これを中国軍の仕業として軍事行動を開始し、不幸な戦争に日本を引き込んだという認識を示され、また多数の非戦闘員が無差別に殺されたというある意味では米国の非人道的行為の歴史にも触れられて、ご自身の歴史認識を示されています。私も含め多くの国民は陛下と同じ認識でしょう。

満州事変の主導者として、東条英機(関東軍参謀長)星野直樹(満州国総務長官)松岡洋右(満鉄総裁)岸信介 (満州国産業部次長、安倍首相祖父)鮎川義介(日産財閥総帥)が挙げられていて敗戦でA級戦犯になりました。

そして昭和53年にA級戦犯が合祀(ごうし)されてから昭和天皇が靖国神社を参拝していないことも引き継がれています。しかし安倍首相は靖国神社参拝を強行して米国を激怒させ中国と韓国との外交関係を最悪にしました。これら安倍内閣の向かう方向には国民が十分な関心を持ち、次世代に対する責任を認識したうえで自分の立ち位置を決める必要があります。



農協60年ぶり改革 JA全中、指導権廃止を受諾

http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS09H7I_Z00C15A2MM8000/

日米関係めぐる米議会調査局報告書 安倍首相を「国粋主義者」 事実誤認も

http://www.iza.ne.jp/kiji/world/news/150118/wor15011819110022-n1.html

http://www.iza.ne.jp/kiji/world/news/150118/wor15011819110022-n2.html

積極的平和主義を再考する

http://blogos.com/article/105211/

首相、農協改革・安保法制に意欲 施政方針演説

http://www.asahi.com/articles/ASH2B65Q2H2BUTFK01M.html

安倍首相「憲法改正は悲願」 - Yahoo!ニュース

http://news.yahoo.co.jp/list?t=the_constitution_of_japan

天皇陛下がご感想で「満州事変」について述べられた重い意味

http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20150107/430946/?ST=business&P=1

天皇陛下、新年にあたっての感想全文

http://www.asahi.com/articles/ASGD07R5SGD0UTIL00K.html

宮内庁HPの天皇陛下のご感想(新年に当たり)

http://www.kunaicho.go.jp/okotoba/01/gokanso/shinnen-h27.html

満州事変

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%BA%80%E5%B7%9E%E4%BA%8B%E5%A4%89


◆戦争の匂いに動いた独仏とプーチン大統領の駆け引きそして米国◆

薄氷を踏む感じですが、ウクライナの停戦が合意されました。16時間に及ぶ、ドイツのメルケル首相とオランド仏大統領とプーチン大統領のバトルの結果です。ただ現場は最後の火事泥棒的な陣取りゲームです。停戦成立時の支配地域で境界が決められるのは自明ですから。

今回の合意は、欧州の事は欧州人で決める、アメリカの都合では決めさせない、という強い意志です。直前メルケル首相は米国に飛びオバマ大統領に根回ししています。ただドイツと米国はこのところ同盟関係が微妙です。一方米国はウクライナに正面装備の武器援助をする用意があることを表明しています。これが実行されるとウクライナ東部は米国とロシアの代理戦争という本格的な戦争状態になるという危機感が、最後はメルケルとプーチンの妥協につながったと思います。ロシアは核兵器こそ持っていますが通常兵器では米軍に大きく後れを取っていますから不利です。加えてさらなる経済制裁ではロシア経済も持ちません。

それにしてもメルケル首相の精神の強さと体力には脱帽です。オランド大統領はメルケルの副官のようにさえ見えます。サッチャー以来の“鉄の女”を感じます。そして米国はドイツという同盟国を既に失っているようです。

それにしてもアメリカの凋落は想定以上です。今回出番はありません。そして中近東のISIS(イスラム国)に対する対応でも人質救出を目的とした特殊部隊の派遣を容認する程度の

武力行使決議案は厳しい批判を浴びています。共和党からは「既に戦争が進行し、われわれはその真っただ中にいるのに、大統領はまだテロ対策程度の認識しかない」と。ただ次期国防長官には共和党も一致目置く学究肌で天才の誉れ高いアシュトン・カーター前国防副長官が就任しますが、どうこの窮地をしのぐのでしょう。ただ米国では“学究肌”はポジティブな評価ではないようです。

人間は凄いなとつくづく思わせるのは絶望的なバクダッドで宗派・立場を超えて国立交響楽団が演奏活動を続けているというニュースです。音楽の力を確信し、信じているのでしょう。イスラエルとパレスチナでも、あのダニエル・バレンボエムがユダヤ人とパレスチナ人の混成の音楽活動を粘り強く推進しています。音楽、これは宗教よりずっと実体があり強い力を持っているに違いありません。


ウクライナ停戦で合意 実現は不透明か

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150212/t10015415531000.html

ウクライナ:米露の代理戦争を懸念の独仏

http://mainichi.jp/select/news/20150210k0000m030066000c.html

ウクライナ:政府軍に武器供与検討 米大統領、独首相に

http://mainichi.jp/select/news/20150210k0000e030204000c.html

「悪い警官」オバマと「良い警官」メルケルの冷たい関係 ウクライナへの武器提供で対立

http://blogos.com/article/105364/

対「イスラム国」武力行使案、オバマ大統領が議会に提出

http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0LF1UR20150211

米下院議長、武力行使容認決議案を批判「敵を壊滅するなら力強い戦略必要」

http://www.sankei.com/world/news/150213/wor1502130019-n1.html

次期国防長官にカーター氏 前国防副長官

http://www.asahi.com/articles/ASH2F24TQH2FUHBI003.html

イラク、不屈のタクト 演奏続ける国立交響楽団

http://www.asahi.com/articles/ASH1M71Z5H1MUHBI03F.html?ref=nmail


◆正念場のメルケル首相、ギリシャのEU離脱のリスク◆

ヨーロッパ、そしてメルケル首相にはもう一つ難題があります。ギリシャ問題です。人気取りのばら撒き政治のために国債を身の丈以上に発行して財政危機を招き、EUは巨額の債権放棄と援助と引き換えに厳しい緊縮財政を求めましたが、ギリシャ国民は悲鳴を上げその感情に乗って実行不可能な公約で左派政権が成立しました。新政権は緊縮財政の停止と援助を求めてEUと交渉していますが、これ以上甘やかせないというドイツの意思を通せばギリシャはユーロ離脱になり、EUそのものの連帯にひびが入ります。いまや、やりたくないのにメルケル首相はEUの仕切り人の役を押し付けられています。

ギリシャがユーロ離脱を決めると世界経済は大きな衝撃を受けることは必定で、リーマンショックの二乗という話もあります。景気回復の途上の日本も大きな衝撃を受けることは覚悟しなければなりません。

ギリシャと日本は巨額国家債務ではほとんど同じ状態ですが、違いは国内金融資産で賄っている日本に対してギリシャは国外金融に頼っているため債務不履行は国際経済に衝撃をあたえます。ただ日本も高齢化で金融資産を持っているシニアが預金を取り崩して生活しています。これまで高い貯蓄率を誇っていた日本ですがついにマイナスに転じました。経緯対策、地方創成等という美しい言葉で赤字国債を日銀に買わせるということはほんの一時的な政策であることを国民も認識すべきです。


ギリシャのユーロ離脱、衝撃は「リーマン・ショックの二乗」も

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NHPKJS6VDKHX01.html

米国がギリシャ問題で欧州に妥協求める、世界経済を懸念

http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPKBN0LC0YI20150208

ギリシャのユーロ離脱が近づく欧州危機、6月までの切り抜け策は見つかるか

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150211-00000014-zuuonline-bus_all


◆燃料電池自動車ミライに試乗してきました◆

豊田市で“プラチナスクール@豊田市”をやっている関係で、豊田市に行き、燃料電池自動車(FCV)に試乗することができました。一言で言うと物凄くキャビンの中が静粛でエアコンの音だけが聞こえました。路上で試乗運転しましたが、加速はすごく良いですね。プリウスは運転の経験がありませんが同じような感じでしょうか。

兎も角ハイブリッド車で世界一番乗りのプリウスに続く燃料電池自動車(FCV)でも世界一番乗りの快挙です。

ただ依然“夢の車”です。水素ステーションがインフラとして整備されない限り極めて限定的な地域しか走行できませんから。そして何よりも水素製造技術にイノベーションが必要です。現在は大半の水素は天然ガスのような化石燃料から製造しますので炭酸ガスが発生して放出されます。エコになりません!化学プラントで副産物に出る水素程度の量では解決になりません。燃費でいえば直接天然ガスでエンジンを回したほうがずっといいでしょう。

近未来はむしろEVが本命でしょう。EVは走行距離が短いといわれていますが米国のテスラは既に一回の充電で500-600km走行できます。電気のインフラは整備されていますので充電ステーションは簡単に設置できます。家庭でも充電できます。カリフォルニアではかなり整備が進んでいてテスラは売れています。オーナーはかってプリウスを自慢げに乗り回していた人達でしょう。

日本の車の半分は軽自動車です。地域の足です。しかし月間平均走行距離は軽乗車は452km、すなわち平均で1日15kmですから、30-50km程度走れる電池装着で十分です。深夜電力で家庭で充電すれば走行コストは半分以下です。このEV軽自動車は今年にも発売されるかもしれません。EVは走行距離が短い?EVとFCVの比較は下記のURLでどうぞ。

豊田市は環境未来都市を標榜していて、人間と環境が様々な方法で融合した社会の実現を目指して“ミライのフツー”という興味深いプロジェクトを推進しています。“とよたエコフルタウン”という小さなテーマパークが街の真ん中にあり、そこで近未来的な都市生活の体験ができます。その一つのプログラムが“モビリティーシェアリング”です。

トヨタ自動車は、2012年10月より、豊田市や交通事業者などとの連携により、都市交通システムの実証運用を開始しています。豊田市内の最寄駅等に、計30ヵ所程シェアリングのステーションを設置しています、そして公共交通の最寄駅と目的地の間の数キロ程度の近距離移動用として、超小型EVと電動アシスト自転車を配置して「電動モビリティシェアリングサービス「Ha:mo RIDE」を提供しています。これはすごく良いなと思いました。さらにこれが自動運転のEVになれば酒気帯び運転の呪縛から解放されて街が活性化するかもしれません。夜間ほとんど人通りがない街が多いですから。


燃料電池自動車(FCV)

http://www.toyota.co.jp/jpn/tech/environment/fcv/

軽自動車の使用実態調査報告書http://www.jama.or.jp/lib/invest_analysis/pdf/2009LightCars.pdf

電気自動車とガソリン車のランニングコスト比べてみました。

http://ev.gogo.gs/news/detail/1408604268/

電気自動車(EV)と燃料電池車(FCV)の比較

http://www.22satei.com/next.html

とよたエコフルタウン

http://toyota-ecofultown.com/introduction/syokai_ecoful.html

スマートモビリティパーク

http://toyota-ecofultown.com/pavilion/smartmobility.html

http://www2.toyota.co.jp/jp/news/13/05/nt13_0501.html


◆ビジネスモデル学会2015年春季大会◆

テーマ: 小さな経済と地域新生~ 地域新生に果たす小さな経済の可能性 ~

 日時: 2015年3月28日(土) 10時-18時 交流会18時-20時

場所: 東京大学本郷キャンパス工学部新2号館

(大会実行委員長メッセージ)

我が国では、2040年までに、現存自治体の半数近くが、消滅可能性があるとする衝撃的な報告(いわゆる増田レポート)がでたのは、記憶に新しいところですが、地域経済の衰退が、大きな社会問題となっています。これが、日本経済の行方に影響を与え、ビジネスの行方にも多大な影響をもたらす課題であることは間違いありません。そして、安倍首相も、その認識のもとに、政権の重要施策課題として、地方創生を打ち出しているわけですが、今の所、その具体的な方策がどのようなものかはっきり見えているわけでもありません。そんな状況で、難しい課題だからといって、私たちがそのまま、手を拱いていてもいいのでしょうか、何か、私たちにできることはないのでしょうか?

決して、日本だけが、このような地方の衰退という問題を抱えているわけではありません。そして、その課題を克服した地域も存在します。例えば、イタリアのスローフード運動に根ざした地域再生の経済モデルや、アメリカ、ポートランドのコンパクトシティモデルなど、地元民と地元中・小企業、協同組合、農業組合等の連携・活躍や、地域の再開発に共鳴する市民の積極的な参加により、一度は荒廃した地域が生まれ変わるという事例が、海外には数多く見られます。このような地域では、地域住民が、受け身な消費者・居住者という存在から、小さな事業の共創者、共同出資者といった地域経済の主体的な創造者へと変貌を遂げています。また、住民が互いに持つ資源・能力を分かち合い、助け合って、その地域の小さな経済が自立し、持続可能となる、シビック・エコノミーともいうべきしくみが埋め込まれているように思われます。

実は、このような、小さいながらも自立・持続可能な地域経済の成立を可能とする地域のビジネス・モデルというべきものが確立できれば、増田レポートで、消滅寸前と言われるような地域であっても、存続が可能なのではないでしょうか?

本大会では、世界的なシビック・エコノミーの動きにつながるような先駆的な活動を牽引されてきた先達や、地域に根ざして農業実践を続けながら、地域経済のあらたなあり方を目指す方、地域と根付いた企業活動を目指す経営者、被災地で地元に新たな就業機会をもたらそうとする活動家など、実践的な行動をすでに起こされた多彩な方々をお招きしております。

ご参加の皆様とともに、地域の真の活性化・再生について、様々な実例を伺いながら、私たちが実践できることは何かを、探っていきたいと思っております。

2015年春季大会実行委員長

西田 治子

http://www.biz-model.org/


◆第20回俯瞰サロン◆

期日2月24日 18:30-

場所 品川インターシティフロント 6階 (社)俯瞰工学研究所 セミナールーム

演題:“イノベーションの起こし方” (社)俯瞰工学研究所 所長 松島克守

イノベーションは国家、企業そして個人にとっても最重要課題です。しかしイノベーションは決して偶然に起るものではありません。色々な研究からイノベーションのモデルは明らかになりつつあります。本講演ではイノベーションのモデルを紹介し事例研究について論じたいと思います。


◆俯瞰のクッキング~我が家の食卓~◆

我が家の夕食は、一汁三菜が基本です。 1日に一杯しか食べないご飯と味噌汁、野菜料理、魚料理、魚料理もしくは肉料理です。肉料理は週に1回くらいでしょうか。 気がつくとワンパターンになってしまいます。野菜料理はほうれん草のお浸しが多いですね。何故か小松菜になると煮浸しになります。魚料理は刺身が多いです。おいしくて簡単ですから。マグロ、カツオ、ぶり、タイが多いです。もう1品魚料理というと塩焼きが多くなります。さんま、イワシ、ぶりが多くなりますか。以前にご紹介した食すべき魚からこうなります。肉料理は鳥の手羽先、スペアリブ、牛肉のモモステーキの出番が多いです。ビーフシチューやポトフもよく作ります。先日筋を取った時のササミを薄切りのベーコンで巻いて焼いてみました。肉の肉巻きです。

魚料理ではこの季節、揚げない牡蠣の春巻きをつくります。レシピを紹介しましょう。

カキはざっと洗ってペーパータオルで水気を取ります。シロネギを細かく刻みます。春巻きの皮を広げて手前3分の1くらいのところに大さじ1杯程度の刻んだネギをおきます。その上にカキを2個、大きければ1個載せます。ネギの上に乗せるのはカキの水分で春巻きの皮が破れないためです。その上にすりおろしたパルメザンチーズを小さじ1杯ほど振ります。市販のカキはコクがないためです。後は手前を折って左右を折って薄い長方形に仕上げます。次に皿にサラダオイルを取り全体に油をオーブンで200度のオーブンで約15分焼いて出来上がりです。この辺はお使いのオーブンによって調整してください。カキフライが好物ですがカロリーを考えて極力揚げものは避けていますのでこんな料理になりました。

野菜料理は、夏はよくラタトゥイユをつくります。ナスを魚焼き器で焼き、皮をむいて生姜醤油で食べます。その時、竹串であらかじめ穴を空けておかないと破裂します。最近よく作るのがカブのローストです。カブをよく洗い、皮

のまま上下を切ります。塩胡椒してこれにオリーブ油を塗り、クッキングシートの上に並べ、オーブンで20分ほどローストします。シンプルですがおいしいです。キャベツのアンチョビとニンニクの炒め物も好物です。

ワインのつまみとしては、ししゃものアヒダージもおいしいです。小さな鍋にオリーブ油と唐辛子とニンニクそしてししゃもを入れてゆっくり加熱します。アツアツを食べます。

我が家の夕食は、というかなりの健康食ですから、この数年BMI 22そして体脂肪率20で管理できています。


◆ニューウェーブの俯瞰~”創造的破壊の現実~◆

創造的破壊という言葉はイノベーションの本質として多くの人が口にしますが、単なる概念ではありません。今日現在、物凄い創造的破壊が進行しています。その破壊力をまだ認識していない人が大多数ではないでしょうか。創造的破壊の後に生まれる未来の世界はすでに現実の世界にあります。今回はその現実をGoogleとAppleのプロジェクトからご紹介しましょう。関連するURLを文末に紹介してありますからこれを一つ一つ読んで皆様の“頭の時計”を現在時間に同期させませんか。「すでに起こった未来―変化を読む眼」P.F.ドラッカーという本もあります。

創造的破壊で世界中の人のライフスタイルが変わったことの一つは、 AppleのiPhoneに代表されるスマートフォンでしょう。またGoogle Mapは地図の概念を変えました。そのサービスが提供されて10年です。 10年前には存在しなかったものが、今は日常です。さらにすべての地上をカメラで撮影して世界中どこの光景も見ることもできます。富士山の山頂にもカメラを担ぎ上げたと言われています。さらにGoogleは自前の人工衛星を打ち上げてGoogle Mapをもっと精密にしたいと言っています。

人工衛星は世界中をインターネットで覆いかぶせるという壮大なプロジェクトにも登場します。 180個の自前の人工衛星でこれを実現するとのことです。

自動車の自動運転ではプロトタイプを公開しています。自動運転車はアメリカで社会的な課題を解決する素晴らしいビジネスになると思います。 一部の地域を除けばアメリカでは車なしに生活できません。しかし寿命が延びて80歳、90歳で車を運転することは危険になります。しかしモビリティは人間としての尊厳を保つ必須の機能です。自動運転の車はこの社会的な課題を解決する事が期待されます。日本でも事情同じです。ここでストリートビューが威力を発揮するでしょう。

ロボットベンチャーをいくつか買収しましたが、ロボット技術はGoogleの傘の下で順調に進化しているようです。下のURLにありますが足で蹴っても転ばないような、すごい犬のロボットが開発されています。当然これには軍事関係者は興味を持っています。ロボット技術で戦闘が創造的破壊で一変するでしょう。犬?なぜ日本人は二足に拘るのでしょう。

さらに、健康医療という大きな社会的課題に対しても積極的にサービスを展開するとともに研究を進めています。その中で興味深いプロジェクトがありました。人工皮膚の開発です。この話は是非URLで画像を見て、読んでいただきたい情報です。

研究チームが現在開発を進めているのは「リストバンド」です。しかし、ただのリストバンドではなく、人間の血中からガン細胞を検知し、ガンを初期段階の内に発見してしまうというもの。リストバンドを巻き、ナノ粒子カプセルを飲むことでガンの検知が可能になります。ナノ粒子がガン細胞に吸着します。Googleが現在開発中のリストバンドは、このナノ粒子を磁力でリストバンド下の血管に集めることが可能で、それにより、体内を循環してきたナノ粒子が収集した情報をリストバンドで確認できるようになります。ナノ粒子が体内で集めた情報は、リストバンドと血中のナノ粒子が光を使って通信してデータのやり取りを行います。このデータを得るには、体内のナノ粒子が発する光を正確に検知する必要があり、そのためには人間の皮膚を光がどのように通過するのかを詳細に知る必要があります。そのため、人工合成皮膚の開発が進められている、というわけです。

Appleも、凄い創造的破壊を進めています。この5月に発売が予定されているApple Watchもライフスタイルのイノベーションを起こすことが予想されていますが、自動車も発売するようです。自動車の開発はGoogleの方が先行していますが、 Apple Carは動くiPhoneになるのでしょう。 メルセデスベンツやフォード自動車からエンジニアを引き抜き1000人規模の開発チームを立ち上げたようです。

自動車の製造開発は巨額の資本を費用とするものとなるが、株式時価総額7400億ドル、手持ちの現金資産は1780億ドル(約20兆円)にも及び、世界最強の資本力を有するAppleにとって自動車の製造開発を進めることは少なくとも資金面では大きな制約にはならないとも見られています。発売は数年先と言われていますが自動車業界にGoogleとともに創造的破壊を起こすでしょう。 

むしろ現在進んでいる金融での創造的破壊の方がインパクトは強いかもしれません。極端に言えばAppleが世界最大の金融業になる可能性もあります。 iPhoneによるモバイル決済のApple Payです。お財布携帯で日本の方が先行しているようにも見えますがその広がりが凄いです。数億台あるiPhoneの数を考えてください。

米国では90%のクレジットカード会社がすでに採用を決めていますし、その他多くの金融機関が参画を決めています。パナソニックと組んで航空機の機内販売もiPhoneで決済するようになります。さらに政府も採用を決めています。各種の行政サービスがiPhoneで支払うことができます。基になっているNFCという技術はソニーが先行しましたが、その展開力という点では見る影もありません。この技術陣を買い取った楽天はこれに対しどう対抗するのでしょうか。

このようなGoogleとAppleの、物凄い創造的破壊力は、彼らの頭の中は「強い男に未来を予想する必要はない、自分で作るのだ」。という信念があるのでしょう。

ただこのAppleから優秀な人材を引き抜いていく企業が電気自動車で有名なベンチャーのテスラです。このテスラも自動車業界に創造的破壊をすでに起こしつつあります。

ここで紹介した世界にはIT業界とか、自動車業界とか、金融業とか、医療健康産業とかそういうような業界の区分がありません。業界団体で関連企業を工業会として集約し、それをもとに産業政策を進めている日本の産業経済政策こそが、創造的破壊を抑え込んでいるのです。総務省、経済産業省、厚生労働省、と縄張り争いが優先し、イノベーションによる日本経済の再生は二の次です。そしてイノベーション、イノベーションと声高に成長戦略を説いているのは誠に滑稽ではありませんか。日本の文化が日本人の創造的破壊の障害になっているのではなく、企業経営者、政策関係者が全く時代についていけないことだと思います。 

創造的破壊という津波に飲み込まれる前に何かできる少しの時間はあります。何もしないで立ちどまれば津波に飲み込まれて消滅します。すでにそうした事例はあります。例えば写真フィルムのコダック、コンピューターのIBM?


「Google マップ」が無かった時代を覚えていますか?サービス開始10周年!

http://internetcom.jp/webtech/20150209/google-maps-tenth-anniversary.html

Googleがマップ強化のために自前の人工衛星をインドから打ち上げへ

http://gigazine.net/news/20150209-isro-google-satellite/

Googleが180個の人工衛星を使って全世界のどこでもネットを可能に

http://gigazine.net/news/20140603-google-satellite-internet/

Google、自走するクルマの完全なプロトタイプを公開http://markezine.jp/article/detail/21673

なぜGoogleは人工合成皮膚を開発しているのか?http://gigazine.net/news/20150202-google-human-skin/

Googleの新しいロボット犬は、押されても立ち直って歩き続ける

http://jp.techcrunch.com/2015/02/10/20150209google-spot-dog-robot/

Apple: 自動車製造部門を立ち上げ・数年以内にアップルカーの販売開始

http://www.businessnewsline.com/news/201502141231240000.html

Appleの自動車R&Dチームは総勢1000名、フォードやベンツからも指導的人材を確保

http://jp.techcrunch.com/2015/02/14/20150213apple-car/

アップル「Apple Pay」、米クレジットカード取引90%を占めるカードに対応

http://japan.cnet.com/news/service/35057992/

Apple Pay、来年(2015)にはアメリカのガソリンスタンドに進出予定http://www.gizmodo.jp/2014/12/apple_pay_7.html

機内販売もApple Payで支払い可能!パナソニックの次世代シートが凄い!

http://iphone-mania.jp/news-59485/

Apple Pay(アップルペイ)の最新ニュース&動向まとめ!噂される3月の日本上陸

http://cards.hateblo.jp/entry/apple-pay-matome2015/

Apple Pay、9月から米国行政サービスで利用可能に

http://jp.techcrunch.com/2015/02/16/20150213apple-pay-coming-to-federal-institutions-starting-in-septemberky8k6v9kj/

Appleから優秀な人材がイーロン・マスク率いるテスラへ流出しまくり

http://gigazine.net/news/20150209-tesla-attract-apple-worker/


◆俯瞰の書棚◆

今回のご紹介は「2050年の世界」英エコノミスト 文芸春秋 2012です。この本は英国の経済誌“エコノミスト”の編集部が20人の専門家に依頼して編集した貴重な知識の構造化です。ご一読を強くお勧めします。2012年の出版ですから現在既に4年経過し一部の予測は結果が出ていますのでそこも注意して読むと興味深いです。そして予測された近未来は現実になりつつあります。20人の予測の手法には共通項があります。まず過去を概観していますが、それを単に未来に外挿することなく、その断絶を積極的に見越していきます。そしてアジア・中国を重視することです。更に悲観論的な未来論が多い中、積極的な前向きの思考です。

最後の第20章“予言はなぜ当たらないか”を最初に読むのもいいかと思います。そのほうが各章の理解が深くなるかもしれません。

構成は4部20章です。第一部「人間とその相互関係」、第二部「環境、信仰、政府」、第三部「経済とビジネス」、第四部「知識と科学」です。本書は特異な構成で、章の初めにまず結論が書かれ、各章の最後にはまとめが付いていますので難しい内容ですが普通の読解力で十分理解できます。

折角各章の冒頭に結論がありますので紹介しておきましょう。

第1章 世界的な出生率の低下は人口動態で突出した出っ張りの世代を生み出し、その世代が労働人口に達する地域は急成長し、リタイアする 被扶養世代になった時に、成長が止まる。

第2章 高齢化と肥満化が世界的な趨勢となり、途上国にも慢性疾患に苦しむ人が増える。急速な都市化もそれを後押しする。一方で、医療技術の進歩は疾病の治療法に革命をもたらす。

第3章 過去40年、先進国でめざましい発展をみせた男女同権。今後はBRICs等の新興国で経済成長の必要から女性の機会はより開かれる。が、中東などでは時間がかかるだろう。

第4章 常時接続と常時オンライン、ソーシャル化されたスーパークラウドの世界は車や電化製品などにも広がる。一方で一社支配に対する懸念も強まり、政府の規制が予想される

第5章 グローバル化と最新技術は文化に影響を及ぼすだろう。しかし、人々の嗜好には地元色がいつまでも残り続けるだろう。英語の一極支配は続き、中国語は世界言語とはならない。

第6章 経済発展で人々は宗教を相対化する傾向にある。2050年には世界の信仰者の数自体は増えているが、原理主義的勢力は退潮し、最終的に地球を受け継ぐのは無宗教の勢力だ。

第7章 地球は、温暖化することは間違いないが、それがどの程度の温暖化になるのかは、不確定要素が多く、判断が困難。温暖化の条件がそろうとそれを修正するには時間がかかる。

第8章 中国の台頭、技術の拡散、新しい形のテロ戦争などでアメリカの超軍事国家としての優位性はさまざまな領域で崩れ始める。そうした中で、核戦争の危険は冷戦時代以上に高まる。

第9章 民主主義は、先進国において縮小し、新興国において亢進するだろう。ツイッターなどのウェブ世界の進展は、民主化に一定の役割を果たすが、民主化された後の影響は限定的だ。

第10章 世界的な高齢化によって、国家には年金や保険医療についての国民との約束を果たす余裕がなくなってくる。が、市場経済の一定の導入による効率化など「改革」の打ち手はまだある。

第11章 新興国の経済は、今後40年間、先進国が経済成長を達成した速度を上回る速さで成長する。中でも教育に投資している国のスピードは速い。急速に高齢化する中国は減速。

第12章 グローバリゼーションは、どれほど反発を受けようと、今後数十年間後戻りすることはない。グローバリゼーションは、アジアが世界経済の支配的勢力に返り咲くのと同時に進む。

第13章 世界の貧富の差は、2050年には今よりはるかに縮小されている。貧富を左右する要因としてはどこに住んでいるかより、どんな教育を受けるかのほうがずっと大きいだろう。

第14章 これからのビジネス界では、創造的破壊のあらしが一層猛威を振るう。予想もしないような技術革新は、これまでのビジネス環境を一変させることに。

第15章 株式市場では 1966~19 82年の弱気の過程を経て、1982~2000年まで強気の過程が続いた。こうしたサイクルは今後も繰り返すのだろうか?地価は?商品価格は?

第16章 人類の知への探求は新たな領域に入り、そこでは上下関係に苦しむ東洋より、リベラルで序列にとらわれない欧米諸国の方が、より多くを研究し、より多くの実りを手にする。

第17章 栄光の有人飛行競争の時代は終わりを告げた。米国は月への飛行を取りやめ、周回軌道上を回る人工衛星にさまざまの用途を見いだす時代になった。中国が独自の宇宙国家として台頭。

第18章 インターネットは極めて短時間に社会を変容させた。生み出され処理されるデータの量は指数関数的な割合で増えていくので、経済、社会とともに今後の変化はさらに加速する。

第19章 テクノロジーが距離を葬った。通信費は限りなく無料に近づき、様々なソフトウエアで人はこれまで以上につながるようになり、どこにいるのかがかつてないほど重要になる。

第20章 1970年代になされた予言を検証すると、みな悲観的でしかもそのほとんどすべてが間違っていた。2012年の時点の予言も楽観論の方がずっと根拠がある。


以上は各章のタイトルに対する結論ですが、これで読まずに済ますことなくぜひ本書をお読みください。脳に楽をさせるとボケますから。各章の結論は紹介しておきましたがそのタイトルは紹介してありません。各章のタイトルを結論から推定すると脳の体操になりますが。

本書全体で気になることはやはり英国のエリートの臭みが気になります。経済的にアジアが大きくなっても科学はやはり西欧がリードし続けるとしていますし、グローバリゼーションのくだりにしても東インド会社の時代感覚を感じます。ノーベル賞については、日本は人口の割に受賞者は少ない(本書では15名実際は22名)、オーストリアより一人多いだけだと言っています。選考過程の問題は?と言いたいですが。

既に起こっていることとしては、“第14章 これからのビジネス界では、創造的破壊のあらしが一層猛威を振るう。”とありますがGoogleやAppleの行動はこれそのものです。

第4章にある ”常時接続と常時オンライン、ソーシャル化されたスーパークラウドの世界は車や電化製品などにも広がる“ これは既に現実です。8年間乗った車を買い換えましたが、今度の車は常時クラウド接続です。コンシェルジュサービスやSOSのボタンもありますが、完全に行動は記録されますね!サービスは無料ですがこのビックデータをどう活用するのでしょう!

第18章に“新たなことを学び、それをもとに革新を行うことでビジネスの未来が決定される。だから企業はあらゆる努力をして、従業員が情報に簡単にアクセスし、情報交換できるようにしなければならない。”とありますがこれが日本の企業で一番できない経営課題でしょう。

格差については“国家間の格差は急速に縮まるが、国家内の格差は広がる"とありますがまさにこれが今流行りの”トマ・ピケティの経済学“でしょうか。

最後に、ちょっとおもしろい話がありましたので紹介します。

“企業は力のある経済組織というだけではなく、他人との協調を求める人間の欲望をある程度満たしているはずだ。Companyという言葉は二つのラテン語“cum”と"pene“に由来し「ともに食事をする」という意味がある。”ということです。食事会は重要です!


◆編集後記◆

 総選挙での安倍首相の大勝、全面戦争さえ危惧するウクライナ危機、為替と株の乱高下、ギリシャ総選挙でEU離脱とその世界的な影響と懸念が頭を巡ります。間が空いてしまいましたが俯瞰メールマガジン46号を書き上げました。

 あまりテレビは見ませんが、偶然50歳を超えている著名な映画監督のインタビューを見ました。「なぜ今回はスタッフも驚くような手法、まず実写の映画を作りそれをアニメに落とす、をされたのですか?」に対して「自分のノビシロを考えて」という答え。ハットしました、あまりにも現状に深く満足して悠悠自適の生活などと言っている自分の間違いに気づかされました。まだノビシロがある、という気持ちに切り替えます。

 各記事で引用したURLを読んでいただけると深い知識が得られますがかなりの時間を必要とします。これより有効な時間の使い方がある方はそれに時間を。時間を使ってURLを読んでもその見返りは大きいと思います。情報の収集・分析・編集に私が使っている時間の数分の一でしょうから。

 気がつくと字数が15,000字になってしまいました。


俯瞰メール45号

◆時候のご挨拶◆

12月として厳しい寒波で西日本や東北で大雪になり、東京も冷え込みました。そして気が付けば師走です、あっという間に一年が過ぎました。年賀状を書き心新たに新年をむかましょう。

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 Creative City Summit 2014

 俯瞰のクッキング~寒くなると作りたくなる料理~

 ニューウェーブの俯瞰~書斎のパソコンバージョンアップ~

 俯瞰の書棚 「イノベーションへの解」クレイトン・クリステンセン他 

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◆白けた総選挙で安倍政権の向かうところ◆

大義なき総選挙と非難されましたが、敵である野党が弱い時に絶対多数の議席を確保するという行動は戦略的には否定されません。ただ国民は白けた気分で投票率も過去最低になりました。結果で注目すべきは共産党の躍進です。ある意味全くぶれない明快な反アベノミクスの主張は投票先のない人に1つの場を与えたのでしょう。また微増ですが公明党も議席を増やしました。連立与党中にあって右傾化する安倍首相に対するリベラルでバランスの取れた行動が一定程度創価学会以外の人の支持を受けたのではないでしょうか。

すでに安倍首相は憲法改正などと口にしていますが、やるべき事は徹底的な少子化対策と規制緩和による新規産業、起業による成長政策ではないでしょうか。長期的には人口減少を食い止める少子化が最重要だと思います。人口が減っていく国はまさに「日沈む国」です。シンガポールに住んでいる著名な米国人の投資家のジム・ロジャースの日本に対する認識は参考にすべきでしょう

 「投資家として、向こう1~2年は楽観的に見ている。日本株は持っているし、買い足す予定だ。日銀の金融緩和が株価を押し上げているし、原油安も日本経済にとっては追い風だ」 「だが、長期的にはかなり悲観的だ。債務が膨らみ、人口が減り、通貨の価値が落ちていく。大惨事ではないか。日本は世界で最も好きな国々の一つだ。でも、私が仮に20歳以下の日本人なら国を出ていくだろう」 「衆院選で大勝した安倍晋三首相には改革ができるはずだ。ここ数十年で、安倍政権ほど安定した政治基盤を持ち変化の必要性を理解している政権はない」

その安倍首相ですが、田原総一朗氏がインタビューの中で今回の総選挙の目的は4年間の時間を確保することで、この4年の間に「戦後レジームからの脱却」を完成させるのが狙いだと言っています。その戦後レジュームとは、まず東京裁判の見直し、次に憲法改正、次に対米従属からの脱却、最後に教育基本法の改正ということです。ナショナリストの安倍首相の本音はこんなところにあるのかもしれませんが、余りにも国民全体の考えることから乖離しています。このいずれも国民はほとんど考えていません。しかし国民は4年間の安定した時間を安倍首相に渡したのです。頼りになる野党はいません。唯一、政権与党にある公明党の良識に頼るしかないのでしょうか。


マネー収縮に備えを 投資家・ジム・ロジャーズ氏

http://www.nikkei.com/article/DGXLASDF23H0U_T21C14A2MM8000/

安倍政権が表に出さない「本当の目標」~田原総一朗

http://blogos.com/article/101839/


◆追い込まれるプーチン大統領◆

ロシアのプーチン大統領が追い込まれています。クリミア侵攻からウクライナでの軍事圧力に対する、欧米の経済制裁に加え、ロシアの国家財政を支える原油価格が急落し、さらに通貨のルーブルが急落し絶体絶命の経済危機を迎えています。愛国心で求心力を保つといってもこの経済状況が続くと国民生活は大きな打撃を受け、プーチン大統領の権力基盤も揺るぐことになるでしょう。

あまりの急速なルーブルの急落で、家具のIKEAとかAppleがネット販売を中止する措置を取りました。ロシアを中核とした経済圏の再興に同意していた友好国も離反しつつあります。友好国であったベラルーシも貿易の決済をルーブルではなくユーロまたはドルにするように求めています。さらにベラルーシの大統領とカザフスタンの大統領はウクライナのプルシェンコ大統領に会い貿易強化や軍事協力を呼びかけています。ウクライナはこれまでの非同盟の立場を放棄してあからさまにNATO加盟を希望する姿勢を打ち出しています。

これに対しては猛然とプーチン大統領も反発し、米国やNATOに対抗して核戦力を強化すると表明しています。 2015年に50基以上の大陸間段弾道ミサイルを配備し、戦略爆撃機も導入するというまさに冷戦時代に逆戻りです。

プーチン大統領を苦しめている原油価格の急落はサウジアラビアが減産による原油価格の維持に反対したためです。いろんな説がありますがサウジアラビアはコスト競争力が高いので現在の原油価格では赤字になっている、宿敵シーア派のイランに対する圧力であり、長期的に脅威となる米国のシェールガス生産業者の投資を止め、サウジアラビアの市場シェアの維持拡大を意図しているではないかという説が有力です。ルーブル急落については一部ではアメリカの陰謀という説もあります。

先日のプーチン大統領の記者会見をテレビで見ましたが欧米に対し毅然と対抗していく鋭い表情でしたが、女性の記者がなんと「今離婚されて独身ですが、愛している人はいますか」と聞くと顔が緩んで「愛してくれている人は居る」と答えていました。また経済問題なると厳しい顔に戻っていましたが。

実は個人的にはプーチン大統領は憎めない人で理由はわかりませんが近親感を覚えます。大統領も日本に対しては欧米とは違った近親感を持っていると思います。ただこれと北方問題は直接には繋がりませんが、中長期ではロシア極東と日本は緊密な関係を築いていくべきでしょう。昨年ウラジオストクのマツダ自動車の工場を訪問したおり工場の完成式に招待もなく出席し、ヨーロッパへの完成車の輸送をシベリア鉄道経由で、無料で輸送することができるという破格の待遇を受けた、ということを思い出しました。

ロシア、ウクライナ以外にも中近東、各地での無差別のテロ、南シナ海や東シナ海における中国の海洋進出による軍事的な緊張があります。いわゆる東西冷戦の時代にはある程度世界秩序が保たれていたたわけですが、皮肉にもベルリンの壁崩壊以降世界の秩序は1時は米国の覇権のもとに保たれていましたがその米国が衰退し、圧倒的な覇権国がなくなり新しい国際秩序は隔離されていません。この状態を「Gゼロ」と呼びますがいつになったら安定した国際秩序が隔離するか見えていません。 アメリカの民主党政権は中国とG2のような動きをしましたが論外です。国際秩序の欠如の大きな問題は、結果として軍拡競争が始まり膨大な軍事費が無駄に使われることです。この資源を本来環境やエネルギー、そして貧困と言う社会的な課題に使うべきですが、それができていません。今年パキスタンに行きました核兵器を持っていながら、義務教育すら整備されていません。むろん非武装中立などと言う空想は譲れませんが、安倍内閣での集団的自衛権の議論は国民全体で十分に議論して認識を共通する必要があります。自主独立、これはナショナリズムではありません。


ロシアと盟友国、広がる溝 ベラルーシ・カザフ首脳、ウクライナ訪問

http://www.asahi.com/articles/DA3S11523530.html?ref=nmail_20141225mo&ref=pcviewpage

ウクライナが非同盟の立場を放棄、ロシアは反発

http://jp.wsj.com/news/articles/SB11988376816316583367704580355630661910128?mod=djem_Japandaily_t

ロシア大統領、核戦力の強化表明 米・NATOに対抗女子http://buzz.news.yahoo.co.jp/article/65dfbd1db955f771094d09605aa7489a322ac61d/

http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM19H73_Z11C14A2FF1000/?n_cid=TPRN0005

Gゼロ

http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20141224&ng=DGKKASGM28H5O_T21C14A2FF2000


◆香港に行ってきました◆

ほぼ10年ぶりに香港に行ってきました。街が綺麗で、人がいっぱいですが平均年齢が若くて、顔が明るく幸せそうな人々、そんな印象を受けました。一人当たりGDPは日本をわずかに下回る水準でイスラエル、イタリア、スペイン、韓国より上位にあります。

ちょうど到着した前日に例の街頭占拠が終わり最後の片付けの最中でした。道路にほとんどゴミ1つありませんが近年タバコの投げ捨て等については数万円の罰金を課す条例を施行したためと、町中に該当掃除の人が掃除をしていました。たぶん東京よりも道路はキレイでしょう。

香港は観光客の街です。人口の700万に対し観光客は約5,000万人と言われています。中国大陸からの観光客が圧倒的でしょうが世界中から観光客が集まっているのです。ですから街中には高級ブティックや宝飾店が多く目につきます。

着いた日が週末でしたが平日の昼間を見ると杖をついたシニアが目につきます。やはりここでも高齢化社会が進行しているようです。ただ男子の平均寿命は日本よりも上です。平均寿命の上位5カ国は、男性では、香港、アイスランド、スイス、日本、シンガポールです。ちなみに女性は日本、香港、スペイン、フランス、スイスです。これを見ると何を食べればいいのか迷いますね。これから見ても香港の人たちは健康で幸せな生活を送っていると思っていいでしょう。そして香港在住の日本人の方に理由を聞いてみると、前向きで明るくてストレスを溜めないこと、そして医療制度が完備しているといいます。そこそこ質の高い医療が極めて低コストで提供されています。その上で極めて高度な医療はかなり高コストで富裕層に提供されているといいます。どちらにしても自分の健康は自分で守るという自主独立の意識が強いし、その強い自立心が長寿の原動力になっているのでしょう。ただ食事は外食の人が多いといいます。

その外食の店ですがものすごい日本食ブームです。至る所に日本食の店があり、特にラーメン屋が行列の店が多く、 3時間待ちなどザラのようです。香港市民は日本食大好きだそうです。

香港には光と影があります。香港の女性は大半を働いています。ですから豊かで外食楽しんでいますが、そのためには家事を任せるメイドの存在があります。かつてはフィリピンからの出稼ぎ多かったのですが、最近はインドネシアが増えているそうです。さらにネパールからの出稼ぎも増えているとのことです。想像ですが、低賃金で長時間の労働するメイドさん達は、ささやかに日曜日の休暇を公園に集まって息抜きをしています。香港セントラルの中心にある皇后像広場はそういった日曜日にメイドさんたちが集まり友人や同郷の人たちと一時の安らぎ求めている場所です。

安倍首相の女性活性化政策の1つに家事は外国人の家政婦に頼み日本人女性は働けばいいという話がありましたが、香港の公園の情景を日本にも作りたいのでしょうか。将来に日本人の教育を外国人家政婦に任せるのでしょうか。それでアジアのリーダーになるのでしょうか。どうも安倍首相の周りにいるアドバイザーというか振り付けをしている人たちに何か問題はないのかといつも思います。ただ周囲にどのような人を置くかはその人の器量であり人格です。

なぜ香港に行ったのか、それは日本の高い品質のそして高コストの農林水産物を香港の富裕層に売る販売チャネルを開拓するためです。全くおせっかいなプロジェクトですが農業で頑張っている人を応援するには高く売れる販売チャネルを開拓する必要があると考えたからです。果物市場や高級スーパーの店頭を見て回りました。青森のりんごは、高級品は1個1,000円です。いちごは圧倒的に博多の「あまおう」が人気で1パック1,000円です。基本的に高級スーパーの果物売り場は日本の果物で占拠されています。関係者のこれまでの大変なご努力の結果でしょう。

香港で人気の日本の果物は桃、メロン、いちごで次にりんご、梨、などが並びます。香港の人はとにかく果物好きで毎日果物を食べるということです。果物市場で仲買をしている日本留学組の人に会って話しましたが、日本の果物はたくさん来ているがもっともっと欲しいということでした。特にメロンは足りないということでした。

香港には香港でビジネスをしようとする何人かの日本人とお会いしました。香港に在住してビジネスを展開している日本人のコミュニティーが和喬会です。立派なオフィスがあり、会議室やカフェ、バーもありました。ここで情報交換をし、お互い助け合いビジネスを広げているとのことでした。

香港では日本人も精神的な殻を破り、自由な発想と敏速に行動する、新しい日本人に変身してしまうようです。ですから日本に帰るのではなく香港から世界に羽ばたくそんな雰囲気の日本人、すなわち「和喬」が育っているようです。

いま販売チャネルを開拓中ですが、もしこのメールマガジンを読んでいられる方で、これはという高級食材を香港に輸出したい方はぜひご連絡ください。


日本人男性の平均寿命、初の80歳超え 女性も過去最高

http://www.asahi.com/articles/ASG703HKDG70UTFL001.html

外国人労働者拡大へ 首相、家事支援など活用指示 「女性の活躍推進の観点から」

http://www.sankei.com/politics/news/140404/plt1404040040-n1.html

安倍首相「女性の社会進出のため、家事に外国人を」 ネット上では、疑問や批判の声が相次ぐ

http://www.j-cast.com/2014/04/07201461.html


◆ビジネスモデル学会から◆

 1月26日(月) 第19回イブニングセッション開催のご案内

 グローバル買収戦略と課題

~活発な海外企業買収に日本企業を駆り立てる物は何か?

 なぜうまくいかないのか? 〜

講師:平野 正雄 氏

   早稲田大学ビジネススクール教授

   元マッキンゼー・アンド・カンパニー日本支社長

   元カーライルジャパン共同代表

日時:1月26日(月) 19:00-21:30

場所:霞ヶ関ナレッジスクエア エキスパート倶楽部

講演要旨:

日本企業による大型の海外企業買収が相次いでいる。しかし、大型買収の大半は失敗すると言われるくらい、買収価格を正当化し、所期の買収目標を達成することは難しい。何故なのか。どこで躓くのか。それでも、経営者を買収に駆り立てるものは何なのか。多くのM&Aの現場に立会い、また買収後のマネージメントに関わってきた実務家の立場から、クロスボーダーM&Aの実態や課題、そして展望について、分かりやすく解説する。

http://www.biz-model.org/


◆俯瞰工学研究所から◆

俯瞰サロンの次回(第19回) 2015年1月28日(水) 

「 世界へ!最先端の指静脈認証システム」

 新年明けての俯瞰サロンは、指静脈認証技術で世界に挑まれているモフィリアの天貝佐登史さんにお越しいただきます。

 天貝さんは、ソニー在職中、エンタテインメント・ロボットカンパニー・プレジデントとしてaibo、QRIOの事業に、その後、静脈認証の開発に事業開発室長として携われていました。そして2010年12月に、株式会社モフィリアを設立されています。

 現在、指静脈認証技術を世界市場に向けて展開されています。技術はもとより、多様な市場開拓における取り組みを伺います。

 http://www.mofiria.com/

 会場は、秋葉原に2014年秋にオープンしたDMM.make.Akibaをお借りします。モノづくりのためのスペース です。自由に使える5億円分の工作機械設備、レンタルオフィス、イベントスペースなどを備えています。

http://akiba.dmm-make.com/about/facility

https://akiba.dmm-make.com/

施設見学も予定しておりますので、ご期待ください。

 なお今回は、講演と懇親会を同じ会場にて行う関係上、参加費用(飲食代)を設けさせていただいております。ご了承くださいますようお願い申し上げます。

場 所: DMM.make.AKIBA 12階 (受付は4階)

     千代田区神田練塀町3 富士ソフト秋葉原ビル 

     地図: https://goo.gl/maps/b888o

開始:  18時30分開始(18時10分開場)

     20時頃より懇親会

講演会&懇親会: 3,000 円

     開場の都合上、懇親会と併設とさせていただきます。

http://www.fukan.jp/


◆Creative City Summit 2014◆

2014年12月6日(土)、渋谷ヒカリエにて、クリエイティブ・シティ・コンソーシアム主催「Creative City Summit 2014 〜アイデアからビジネスへ〜」が1000人のご参加をいただいて開催されました。詳細はHPでご覧下さい。高校生のCEOの仁禮さんのプレゼンテーションが圧倒的なインパクトを聴衆に与えました。何らかの形で映像も公開したいと思います。


<主催者プレゼンテーション>

  松島克守氏(クリエイティブ・シティ・コンソーシアム副会長)            「二子玉川で起きているイノベーション」

<特別講演>

 増田宗昭氏(カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社代表取締役社長兼CEO)  「東京はクリエイティブ・シティになる」

<プレゼンテーション&トーク> 

 西口尚宏氏(社団法人 Japan Innovation Network 専務理事)

 「大企業でもイノベーションは興せる!」 

 仁禮彩香氏(株式会社GLOPATH CEO)

 「高校生CEO~世界が舞台~」

 笹本 裕氏(Twitter Japan 株式会社 代表取締役/株式会社WESYM 取締役会長)

 「クラウドファンディング×ソーシャルメディア×事業創造」                                    

<ナビゲーター>

 石戸奈々子氏 (NPO法人CANVAS 理事長/株式会社デジタルえほん代表取締役)

総合司会 福満景子氏(元NHKキャスター、フリーアナウンサー)


http://creative-city.jp/news/2014/1211_181539.html

http://creative-city.jp/

http://creative-city.jp/docs/CreativeCitySummit2014pamph.pdf


◆俯瞰のクッキング~健康の食習慣と天皇家の食事~◆

いよいよお正月休みですが風邪の季節でもあります。特段の情報ではありませんが風邪の予防をということで食べるもの少し意識されたらどうでしょうか。ネットの情報ですが食すべき5つの食品としては、ニンニク、これはフードピラミッドでも免疫力高める最高の食品として推薦されています。鮭、鮭の赤みはアスタキサンチンという色素で活性酸素を取り除いてくれる非常に高い抗酸化作用をもつ物質であると言われています。加えてオメガ3脂肪酸と言う体内の炎症を抑え免疫力高める脂肪酸があります。柑橘類、なんといってもビタミンCの補給になりますし袋ごと食べれば豊富な生もとれます。ヨーグルト、腸内細菌いわゆる善玉気にします。多くの研究から腸の中の健康状態が免疫力に非常に関係があると言われています。ブルーベリー、あの鮮やかなブルーこそがポリフェノールのアンチオキシダントです。昔から視力を回復すると言われていますね。私は毎日コーヒーカップいっぱいブルーベリーをとっています。ブルーベリーは冷凍で買うとかなり安く買えます。

次の情報は寿命を縮める5の生活習慣です。

ストレス、これはどうも万病の元のようです。何か上手なトレス解消の方法を考える上ありますが、手軽にはお風呂でしょうか。その後ビールもいいですがアルコールは悪い習慣になりますね。炭酸飲料の飲み過ぎ、炭酸飲料にはほとんどブドウ糖が入っていますから血糖値の点からはほとんど毒ですね。昔はよくビタミン入りの清涼飲料水を飲んでいましたが今は大変後悔しています。食生活の偏り、ともかく野菜果物を中心としたバランスの取れた食事こそが健康の基本でしょう、これは食のスタイルとして形を作っておくといいと思います。アメリカで推奨されているフードピラミッドがいくつかありますがこれも参考になります。ただ乳製品ついては大変難しい議論があります。タバコ、これ論外ですね。アルコール、ストレス解消と称してアルコールを飲んでいますがこれも確実に寿命縮める要素のようです。ただアルコールなしの生活は私にとってストレスを増やすことになりますから大きなジレンマです。まあこれも旅の問題でしょう。フードピラミッドでは赤ワインは適度に取れとあります。飲めば飲むほど良いという説もあるそうです。

究極の健康食は何だ、ということで天皇家の食事という情報です。

天皇家の食事は1800Kcal 、化学調味料が使わずに塩分10 g以内だそうです。宮内庁には和食、洋食、和菓子、パンと洋菓子の4つの係があって最高の健康食を考えてお出ししているとのことです。

食材の大半は栃木県の御料牧場で生産されているとのことです。興味深い事は、昭和天皇の料理係だった人の言う「明治の料理の三大原則」です。

「“焦がすな”“捨てるな”“腐らすな”と非常にシンプルなことでした。」

そして調理の基本とされたのが「一物全体食」という食材を余すことなく使い切るという考えだったという。

「それが栄養のバランスが偏らないようにする大膳課に伝わる伝統なんです。例えば、野菜の皮は、後でスープの具にしたり、葉物なら後日漬け物にします。鶏肉も、胸肉、もも肉は主菜に使い、手羽は後日、スープの具に。骨はスープのだしを取るのに使い、ぼんじりは軽く揚げてつけ合わせにするといったようにです」とあります

一日1800Kcalという目安は私も意識しています。そのため炭水化物は控えて夕食にご飯1膳にしています。塩分10 gは意識していても管理できません。よく刺身を食べますからその醤油が問題ですし、味噌汁が好きで毎日飲みますからこれも要注意、加えて毎日納豆を食べますからあのタレも問題ですね。

ともかく自分なりに好みに合わせて健康な食習慣をライフスタイルとして作り上げていくことです。



意外なパワー!「なんか風邪っぽい…」ってときに食べたい5つの食品

http://wooris.jp/archives/111321

いくつ当てはまる?老化を早めて「寿命を縮める」NG生活習慣5つ

http://wooris.jp/archives/summary/108170

健長寿のためのヘルシーフードピラミッド

http://www.aaw21.com/special/0708.html

天皇家の食事 1日1800kcal、化学調味料使わず塩分10g以内

http://news.mynavi.jp/news/2012/11/22/022/


◆ニューウェーブの俯瞰◆



サムスンの「スマホ事業」は衰退しつつある=香港メディアhttp://biz.searchina.net/id/1545047


◆俯瞰の書棚◆

今回のご紹介は「イノベーションの最終解」クレイトン・クリステンセン、マイケル・レイナー 翔泳社 2014です。この本は「明日は誰のものか イノベーションの最終解」として2005年にHarvard business school pressから出版されていますが訳に違和感があったのか訳者を替えて再出版されています。『イノベーションのジレンマ』『イノベーションへの解』に続く第三弾で三部作になります。内容は、

序章

第一部 理論を分析に用いる方法

第一章 変化のシグナル――機会はどこにある?

第二章 競争のバトル――競合企業の経営状況を把握する

第三章 戦略的選択――重要な選択を見きわめる

第四章 イノベーションに影響を与える市場外の要因

第二部 理論に基づく分析の実例

第五章 破壊の学位――教育の未来

第六章 破壊が翼を広げる――航空の未来

第七章 ムーアの法則はどこへ向かうのか?――半導体の未来

第八章 肥大化した業界を治療する――医療の未来

第九章 海外のイノベーション――理論をもとに企業と国家の戦略を分析する

第一〇章 電線を切断する――通信の未来

終章 結論――次に来るのは何か?

です。

第一部で『イノベーションの解』で示された理論の使い方を解説し、第二部で教育、航空、半導体、医療、通信の業界を事例にして如何に理論が有効で素晴らしいかを述べています。

『イノベーションへの解』 を読んだ人がさらに理解を深めるのに役立つでしょう。三部作とありますが読むべきは『イノベーションへの解』の一冊です。

この本は共著とありますが読んで感じる文体は前の2つの本と異なりクリステンセン本人が書き下ろしたものではないような気がします。翻訳プロセスを通しても文章から伝わってくる書き手のオーラというか「気」は感じとることはできます。ずっと以前に、職場で繰り返される匿名の投書をいくつも読んでいくうちに書き手が判った気がしました。その人と直接話しているときに感じる「気」の様なものに気がつきました。嫌な仕事でしたがそこで文章の向こうにいる生身の人間を感じとるようなスキルが身についたような気がします。

この本の翻訳そのものはよくできています。ただ冒頭に数人の有名人が推薦の辞を書いていますが、今更クリステンセンの著書にこのようなものが必要かと、違和感を感じました。それとも出版社が内容に不安を感じたのでしょうか。

業界の分析や、企業の分析そして企業戦略の評価にはこの本で提案されているクリステンセンの理論の使い方は有効なツールの1つになると思います。文中にもありますが、といってイノベーション良否、成功するかしないかということを確実に教えてくれるものではありません。

第一部の第4章イノベーションに影響を与える市場外の要因は今盛んに議論されている規制と規制緩和の産業に与える影響を議論するのに役立つと思います。この章はこの三部作の中で初めての議論です。

またこの本の中で必ずしも破壊的イノベーションだけを進めるのではなく持続的イノベーションも重要であるという言明もあります。

実はこの本は電子書籍のKindle版で読みました。初めての経験です。香港出張中に一部をKindleで読みましたが、とにかく軽くて重量がありませんから紙の本よりずっと快適です。さらにフォントの大きさが自由に選べるので老眼の目にはとても助かります。紙の本にマーカーで印を付ける「ハイライト機能」や、ページにポストイット貼って書き込むような「メモを追加」の機能もあります。ただ後からぱらぱらとめくってハイライトした部分を見つけるというような動作はできませんが、これはたぶんスキルの問題と思います。またどのくらい読み進んだのかも感覚がわかりません。しかしKindle 1つあれば何十冊の本を旅行に持っていきますし、家で読んでいても手が疲れません。これからはこのKindleを積極的に利用と思います。


俯瞰メール44号

◆時候のご挨拶◆

山の紅葉はすでに終わりましたが東京など平地ではこれからが見ごろになります。

神宮外苑の絵画館前の銀杏並木や東大構内の銀杏は幻想的です。

北国は雪の季節を迎えます。

そして年末まで、あまり時間がありません。時の流れは早いですね。

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●安倍政権の出直しか

●新冷戦の時代

●ベルリンの壁崩壊から25年

●防衛大学校の文化祭に行ってきました

●ビジネスモデル学会から

●俯瞰工学研究所から

●Creative City Summit 2014

●俯瞰のクッキング?寒くなると作りたくなる料理?

●ニューウェーブの俯瞰?書斎のパソコンバージョンアップ?

●俯瞰の書棚 「イノベーションへの解」クレイトン・クリステンセン他

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◆安倍政権の出直し◆

噂はありましたが、 唐突に総選挙です。強気のアベノニクスも春の増税以来、経済が湿りがちで、

10%の消費税増税は2年後に延期される模様です。目標とした2%インフレも思うようにいきません。

朝鮮拉致問題も一向に進展せず、この際やっと実現した日中首脳会談の成果を背景に

再度政権の信任を国民に問う選挙になります。公約した成長戦略や規制緩和の法律は

ほとんど廃案となります。野党が分裂して選挙態勢が全く整っていない隙を突く戦略

でしょうが、まさに政治家の論理でしかありません。ただ安倍内閣が、

長かった日本の閉塞感を払拭した事はおおいに評価しましょう。

経済界も無責任で、散々円高の是正を口にしながら、円安になると一転して、円安是正を

口にしています。かっての輸出の主役であった自動車、電機、精密機械などは中国および

東南アジアに生産拠点を移しましたから、円安になっても輸出は伸びず、エネルギー輸入

の赤字だけが積み上がります。当然電気代は上がるでしょう。それが辛い、中長期の視野

で経営している経営者は少ないのでしょうか。

今回の総選挙で気になるのは人為的な株高の操作です。国民の大切な年金基金をいとも簡

単に取り崩しで株式市場に投入するという事はある意味暴挙です。株高で潤う国民はごく

一部です。リスクを背負うのは全国民です。前回の集団自衛権でも非常に重要な事項を十

分議論しないまま突っ走る安倍政権の姿勢はある意味危険で、総選挙で国民が賢い判断

することが望まれますが、これまた、政党の撒き餌のような公約に騙されて、おかしな判

断を下す国民も毎度のことです。万が一にも自民党単独政権になると怖いですね。


◆新冷戦の時代◆

ウクライナ情勢は、停戦と総選挙で安定化するかと希望を持ちましたが、結果は逆方向で、

ロシアは堂々と兵器と人員を送り込み、東部の事実上の分離を既成事実にしようとしてい

ます。従ってロシアに対する経済制裁はむしろ強まり、 ドイツをはじめヨーロッパ経済も

苦境に立たされています。加えてシリアとイラク情勢は、イスラム国の拡大により、

ますます危険な状況になっています。

勇気ある政策でしたが、イラクからの米軍の撤退は、誤った判断としてアメリカの中間選

挙で厳しい批判を受け、オバマ大統領も地上兵力派遣を口にせざるを得ません。ただ今の

アメリカにはヨーロッパと中近東の2面作戦をする余裕がありませんから、中近東に重点

を移し、東欧の冷戦状態はしばらく続くでしょう。中近東は冷戦ではなく戦争状態ですから。

この状態に加えて東アジアでの緊張は、アメリカにとっても負担が大きすぎますから、

日本と中国の双方に相当圧力をかけて日中首脳会談を実現させたのではないでしょうか。

その中で韓国は安全保障と外交の軸を失っています。韓国経済は、中国経済に対する依存

が大きいことと、反日の怨念で親中の路線で来ましたが、米軍は静かに韓国から引き揚げ

つつあり、慌てて自分で要求していた戦時作戦統制権の韓国への移譲の延期を求めました。

新冷戦では韓国が竹のカーテンの中に取り残されるのかもしれません。

新冷戦構造はアジアでも形成されています。アジアでは、中国の軍事的な拡大に対抗する

ためアメリカ、日本、オーストラリアが軍事的な連携を推進しています。とりわけ中国海

軍の潜水艦の増強に対抗するため、オーストラリアは新型の潜水艦を大量に調達しようと

しています。ディーゼルエンジンの潜水艦では世界最高水準の技術を持つ日本から船体を

導入し、装備はアメリカから調達するという枠組みができつつあります。その先にはオー

ストラリアがインド洋と南シナ海に展開し、東シナ海は日本の海上自衛隊が展開し、西太

平洋をアメリカ海軍が担当するというシナリオも見えてきています。日米豪の共同軍事演

習も積極的に行われるでしょう。

ロシアと中国に対抗する新冷戦が形成されていると認識すべきでしょう。


戦闘激化で和平は事実上“破綻”

http://www.sankei.com/smp/world/news/141112/wor1411120032-s.html?utm_source=dlvr.it&utm_medium=twitter

「大国間衝突の恐れ」=プーチン氏

http://www.jiji.com/jc/zc?k=201410/2014102400944&g=int

ロシア軍の戦車多数や砲門など越境か、ウクライナ東部情勢

http://www.cnn.co.jp/world/35056284.html

スウェーデン海軍、「謎の潜水艦」 情報収集作戦の範囲を拡大

http://www.afpbb.com/articles/-/3029428

朴政権ショック 米軍精鋭部隊が撤退 反日強める韓国への警告

http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20141107/frn1411071830005-n1.htm

米韓、戦時作戦統制権移譲を再延期

http://www.sankei.com/world/news/141024/wor1410240038-n1.html

日豪首脳会談で潜水艦交渉が進展か

http://newsphere.jp/politics/20141114-3/

日米豪首脳会談 共同声明向け最終調整

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20141116/k10013237091000.html


◆ベルリンの壁崩壊から25年◆

東西冷戦を象徴したベルリンの壁が1989年11月10日に崩壊して25年です。突然、そし

てあっけなく冷戦が終わってしまいました。ゴルバチョフの推進していたペレストロイカ

という時代の流れと、チェコスロバキアとハンガリーが西側への国境を解放したり、東ド

イツ政府の勘違いとかいろいろな偶然も重なって、ベルリンの壁が民衆によって壊され、

その映像は世界中に衝撃を与え、一気に世界を変えてしまいました。

冷戦終結によって東西に分断されていた経済が統合され、経済開放を推進する中国市場と

合わせて巨大きなグローバル経済が出現しました。そして世界経済は大きく発展してきました。

当時その渦中にあった人たちの回顧談を読むと、この冷戦終結に西側諸国がほとんど関与

していないことも見えてきます。ゴルバチョフは冷戦終結で歴史的なヒーローになりまし

たが、現在は複雑な心境のようです。そして統一されたドイツでも、いろいろなきしみが

出ているようです。そして今また、新冷戦という言葉が飛び交う時代になってしまいました。

ネットにたくさん関連する写真が出ていますが、まだ壁がある1981年に、私はアレキサン

ダー・フォン・フンボルト財団の奨学金でベルリン工科大学に留学していました。当時の

ベルリンは周囲を高い壁で囲まれた陸の孤島でした。数百キロをアウトバーンで走ると、

やっと自由の西ドイツに入ることができる状態です。東西ベルリン分断の象徴はブランデ

ンブルク門でした。ブランデンブルク門が解放されて、波のように東ベルリンから民衆が

西ベルリンに流れ込んでくる映像は、今でも鮮明に記憶しています。

そのブランデンブルク門ですが、留学当時はベルリンの壁で通行はできませんでした。

この門から先はウンター・デン・リンデンというドイツ帝国の栄華を残す菩提樹の大通りで、

進んでいくと森鴎外、鈴木梅太郎、北里柴三郎たちがドイツ医学を習得したベルリン大学

(フンボルト大学)があり、その先にはオトマール・スウィトナーの背中が見える最前列

で音楽を聴いた思い出のシュタット・オペラ、そして舞姫エリスと主人公が出会ったとさ

れるマリエン教会が右にあり、往時のベルリンの中心のアレキサンダー広場に至ります。この地区は悲恋の“舞姫”の舞台でロマンティックな感傷を与えてくれる場所でもあります。


ゴルバチョフはもはやヒーローではない。プーチンと同じだ

http://www.huffingtonpost.jp/2014/11/10/gorbachev_n_6131438.html

ベルリンの壁崩壊をめぐる3つの誤解

http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2014/11/post-3455.php

東西統一25周年控えるドイツで噴出してきた“不都合な真実”

http://diamond.jp/articles/-/61150?display=b

ベルリンの壁崩壊から25年 東西ドイツ統一はいま

http://digital.asahi.com/articles/ASGC67JYXGC6UHBI031.html?iref=comkiji_txt_end_s_kjid_ASGC67JYXGC6UHBI031

ベルリンの壁崩壊から25年 「過去と現在」が時空を越えてシンクロする(画像)

http://www.huffingtonpost.jp/2014/11/08/berlin-wall-25th-anniversary_n_6127104.html

ベルリンの壁崩壊から25年、今なお壁で分断された村

http://jp.wsj.com/news/articles/SB12377912224764574491004580262174196541974


◆防衛大学校の文化祭に行ってきました◆

今年は自衛隊創設60周年です。防衛大学校開学から62年です。友人の制服組である教員

から招待されて、横須賀の防衛大学校開学62周年記念式典に参加してきました。

観閲行進、訓練展示、棒倒し等がなければ普通の大学の学園祭と同じです。

空挺部隊の落下訓練の実演がありましたが8,000メートルの高度から見事に観閲官の前の

ピンポイントに降下しました。 30 km程度の範囲は自由に狙って着地できるようです。

この防衛大学校の友人によれば、日本の海上自衛隊はアメリカ海軍に次ぐ世界第二の海軍

力ということですから、現在の尖閣列島問題に対して、かなりの抑止力になっているので

しょう。ちなみに新設の航空自衛隊や再発足の陸上自衛隊と異なり、海上自衛隊は旧日本

海軍を直接そのまま引き継いだとのことです。

私が防衛大学校に興味を持っているのは、防衛大学校におけるサイバー戦争の教育の拡充

にあります。サイバー戦争は現在、世界規模で戦闘状態にあります。下記のサイトを参照

してください。これに対して日本のインフラや政府機関、企業は、極めて脆弱な防御態勢

しかありません。日本には対応できる専門人材が極めて少ないのです。これに対抗するに

は防衛大学校の定員を増員して、新しい学科を新設して人材育成をすることが急務だと考

え、これに対してわれわれ民間が何か支援することができないかと考えています。

むろん民間としても専門人材を育成し、自らの安全を確保する努力が必要だと思います。

一方、正面装備の面でも色々な問題があるようです。以前にも防衛省の調達に関し企業が

水増し要求する不正がありましたが、こともあろうに防衛省が定める発射速度や目標命中

率などの基準を満たさないまま、機銃の性能の書類を改ざんして納入していることが報道

されています。内容を読んでみると、供給企業と防衛省との不明朗な調達の事態が見えて

きます。もしかすると企業側は、納入した機銃が実戦で使用されることはないとして、

実害はないとしているのかも知れませんが、現在の状況は想定外の衝突で機銃を使用する

ことは十分考えられます。何よりも国の安全保障を損なうような不正を行い、収益を上げ

ているという企業が日本に存在することに驚かされます

我が国では自衛隊や国防について言及することを避ける知識人が少なくありませんが、国

家の基本は国民の安全保障を確保することにありますから、日本が置かれている国際情勢

や自衛隊の実情に、国民がもっと関心を持つ必要があります。無関心であればむしろテク

ノラートの暴走を許すことにもなりかねません。国防について言及しても、それでナショ

ナリストということではないと思います。私もいわゆるナショナリストではありません。


現在進行中のサイバー攻撃をリアルタイムに可視化する世界地図

http://cybermap.kaspersky.com/

http://www.digitalattackmap.com/#anim=1&color=0&country=ALL&time=16387&view=map

なぜ自衛隊は「暴発する機銃」を使うのか

http://toyokeizai.net/articles/-/52889?display=b


◆ビジネスモデル学会から◆

ビジネスモデル学会の秋季大会を10月18日東京大学で開催しました。

テーマは“新しい産業スマートアグリカルチャー 新しい仕事 グリーンカラー”です。

これに興味を持つ方が多いのでしょう、過去最大の150名の参加者がありました。

今回、講師としてお招きしたのは下記の方々です。

農水省の室長 安岡様に国家としての日本の農業戦略を語って頂きました

自然光ドーム型野菜工場を推進し単年度黒字を達成している71歳の経営者・グランパ社長

阿部様に事業戦略を語って頂きました。

中東/インド等へイチゴ輸出事業を展開する36歳の若き経営者・GRA社長 岩佐様に事業戦

略を語って頂きました。

Smart Agriに新規事業参入したグローバル?エレクトロニクスのパナソニック、福井様に女

性目線で語って頂きました

東北の野菜王 舞台ファーム代表取締役 針生様に、アイリスオーヤマ様とコラボした被災

地での大型事業展開を語って頂きました。

日本NO.1のソーシャル・ビジネスモデルとして政府からも表彰されたNPO”えがおつなげて”

代表 曽根原様にNPOのビジネスモデルを語って頂きました

すでに終了していますが、あまりにも貴重な情報なので何らかの形で公開したいと思います。

次回の春季大会の企画は現在ケンケンガクガクと運営委員会で議論しています。

ビジネスモデル学会では2か月に1度くらいの頻度でイブニングセッションと言う勉強会

を続けてきています。次回は“ グローバル買収戦略と課題?活発な海外企業買収に日本企

業を駆り立てるものは何か、なぜうまく行かないのか?~”というテーマで、早稲田大学

商学学術院 教授、前マッキンゼー日本支社長、ビジネスモデル学会副会長の平野正雄氏が

講師です。会員以外でも学会のホームページから申し込めますから是非ご参加下さい。

なかなか他では聞けない話を選んで毎回開催しています。

このほかビジネスモデル学会では大使館プログラムという大使館との情報交換のプログラムもあります。

これまでラトビア、パキスタン、ハンガリーと開催してきました。

直接駐日大使や書記官からお話を伺って、一般情報とは違う生の情報が得られます。

次回はまだ決まっていませんが、時々ホームページをチェックしてください。

http://www.biz-model.org/


◆俯瞰工学研究所から◆

俯瞰サロンも異業種交流の勉強会ですが、 11月13日、ソニー本社に9月にオープンして

話題になった ソニーSAP Creative Loungeを会場にお借りして17回目をやりました。

今回のテーマは『“心から仕事をしてしまう要素”とは??アフリカでのサッカーパブリックビューイング?』でした。

国際試合で自国のチームが活躍しているのに、電気がないため現地の子供はその試合を見ることができません。

これは可哀想だとソニーの有志とJICAが共同でサッカーの試合のビューイングを展開した話です。

太陽電池で電気を数時間かけてリチウムイオン電池に溜め、 200インチのスクリーンに

プロジェクターで投影するものです。

そのとき記録した映像を見ました。子供たちの目が星のように輝いているのが印象に残りました。

会社予算はゼロ、業務評価外の仕事なのになぜ、社員達は集まってきたのか?

このチームに何が起こっていたのか?

原動力のお一人である吉村司さんにお話を伺いました。

アフリカの危険地域に出かけていってこのようなボランティアの活動をするソニー社員たちをみると、

まだまだソニーには再生のエネルギーが残っていると実感させられました。

世界中の人がソニーの再建を祈念していますが、今の経営陣がこれに応えることができるでしょうか。

俯瞰サロンは製品開発、起業時の実情、プロジェクト、ビジネス連携の裏側、

変化を続ける業界の今・・・そんな時間を人生の一コマに持った方を講師としてお招きし、

今だから話せる、今こそ話そうという貴重な証言をうかがっています。

次回の俯瞰サロンはまだ決まっていませんが、時々俯瞰工学研究所のホームページをチェックしてください。

http://www.fukan.jp/


◆Creative City Summit 2014◆

私が副会長している二子玉川の近未来都市の実験プロジェクトであるクリエイティブ

コンソーシアムが12月6日渋谷のヒカリエで表記のイベントを行います。

プログラムは下記です。

<主催者プレゼンテーション>

  松島克守氏(クリエイティブ・シティ・コンソーシアム副会長)

 「二子玉川で起きているイノベーション」

<特別講演>

 増田宗昭氏(カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社代表取締役社長兼CEO)

「東京はクリエイティブ・シティになる」

<プレゼンテーション&トーク>

西口尚宏氏(社団法人Japan Innovation Network専務理事)

「大企業でもイノベーションは興せる!」

仁禮彩香氏(株式会社GLOPATH CEO)

「高校生CEO?世界が舞台?」

笹本 裕氏(Twitter Japan株式会社 代表取締役/株式会社WESYM取締役会長)

「クラウドファンディング×ソーシャルメディア×事業創造」

<ナビゲーター>

石戸奈々子氏 (NPO法人CANVAS理事長/株式会社デジタルえほん代表取締役)

総合司会    福満景子氏(元NHKキャスター、フリーアナウンサー)

入場は無料ですが事前登録が必要です。下記から申し込んでください。

http://creative-city.jp/

http://creative-city.jp/docs/CreativeCitySummit2014pamph.pdf


◆俯瞰のクッキング◆

寒くなると作りたくなるいくつかの料理があります。

まず“鶏のスープ”です。手羽先を15本くらいと鶏ガラ2羽分を大きなストック鍋で

3時間くらい煮出します。野菜もニンジン1本、玉葱1個、ニンニク2、3片、ネギ1本、

生姜1片を刻んで入れます。粒胡椒もいれます。カルダモンやグローブなど入れて薬膳風

にすることもあります。これを毎朝大きめのカップで塩胡椒を振って飲みます。 3日ほど

火を入れて飲みます。「これは体に良いな」と思って飲みます。料理にも使います。我が家

は食いしん坊なので、大きく美味しそうな手羽先を5、6本抜いてローストして食べ、骨を

スープに戻します。

シチューもこの季節なると作りたくなる料理です。むろん赤ワインを使ったビーフシチュ

ーも作りますが、店でビーツを見つけると“ボルシチ”を作りたくなります。ビーツは煮

えにくいので、通常は皮のまま4、50分茹でてから皮をむいて料理することになります。

これが面倒ですね。そこで超簡単なボルシチづくりを考えました。

肉は渋谷のニュークイックで売っている100グラム148円のオーストラリア産の肩ロース

の塊600?800gを大きめにゴロゴロと切ります。ビーツは皮をむいて適当な大きさに切り

ます。あと玉葱をみじん切りし、ニンニクも2、3片刻みます。ニンジンも刻んで入れてい

いと思います。

超簡単な仕掛けは圧力鍋です。フライパンで肉の側面を軽く焼いて固め、鍋に入れます。

次に玉ねぎを少しじっくり炒めて、他の野菜も入れて少し炒めて鍋に移します。

そこに缶詰のトマトジュースを入れます。水を適当に足して、顆粒状の鳥ガラスープを入

れます。私は成城石井の”鳥ガラスープ化学調味料無添加”を愛用していますが。さらに

月桂樹の葉、あればタイムの枝を入れます。

我が家ではベランダにタイム、セージ、ローズマリー、イタリアンパセリ、オレガノ、

ミントなどの香草を育てていますから適当に料理に入れます。

鍋を火にかけアクを適当にとったら蓋をして加圧して10?15分煮ます。時間は圧力鍋によ

って違いますから調整する必要があるでしょう。自然冷却して蓋を取って塩胡椒で味を整

えれば出来上がりです。“我が家風のボルシチ”の出来上がりです。もともとこの料理はウ

クライナの家庭料理ですから、すべての家に独自の”おふくろの味”があるようです。

いわば実だくさんのスープでイタリアのミネストローネをはじめ、西洋の国には何処にも

似た料理がありますが、ビーツを入れるのが特徴でしょうか。あの赤い色は如何にも体に

いいポリフェノールがあると思わせます。


◆ニューウェーブの俯瞰◆

自宅のデスクトップパソコンを最新技術でバージョンアップしました。これまで使ってい

たデスクトップパソコンは、この俯瞰メールマガジンを始めるにあたって当時最先端のテ

クノロジーを使って自作したものです。当時としては入手可能な最高速のパソコンでした。

インテルがマイクロプロセッサーのアーキテクチュア―として発売していた、“22nmプロ

セスのIvy Bridge”の最上位のプロセッサーに、ハードディスクに変えてSSDという半導

体ディスクをシステムディスクにしたパソコンです。そして2013年6月には次世代の

“Haswellマイクロアーキテクチャ”が発売されました。技術の進歩はめざましくついて

くのが大変です。マイクロプロセッサー以外のSSDやハードディスク、その他の電子部品

の進歩もあり、この 9月に決心して、自宅パソコンのバージョンアップを行ないました。

マザーボードにはASUSUの堅牢なゲーマー用のMAXIMUS V11 GENEを、マイクロ

プロセッサーには最高速のintel 4770K、SSDにはSANDISKのExtreme PRO(250GB)、

メモリーはCFD elixirで16GB、データ用のHDDは高信頼度のNAS用Western Digital

Red WD20EFRX 2 TBを選び、グラフィックボードは上を見ればきりがないので、これは

中の上クラスのGEFORCE-GTX760にしました。電源の管理が非常に高度化していますか

ら、電源もgold、silver、copperと規格はありますがsilverのHaswell対応というものを

選びました。このパソコン関係では、高級品は必ず日本製コンデンサー使用を売りにして

います。

結果的に組立パーツに日本製品はありません。内部の部品単位では日本製品が要所要所を

固めていると思いますが。

デスクトップパソコンの組み立ては意外と簡単で、マザーボードにマイクロプロセッサー

を取り付け、ケースにマザーボードを固定した後、部品やケーブルを差し込めば出来上が

りです。そして最新版のWindows8.1を導入すればおしまいです。これでほぼ世界最高速

のパソコンの出来上がりです。かつてのスーパーコンピュータよりはるかに高速処理です。

 読出し550MB/s、書込み520Mb/sとSSDの進歩が大きいせいか体感的なスピードはかな

り高速になりWindowsもすぐ立ち上がります。あと3年くらいは最高水準の処理速度をエ

ンジョイできます。

なぜ書斎のパソコンを自作するかというと、物凄いスピードで進化するテクノロジーを実

感するためです。 IT業界に身を置いたこともあり、人様に情報処理についてあれこれ助言

や提言をしていますから、ひと昔前の古いテクノロジーを使いながら最先端技術の利用を

提言するのは憚れます。自分自身が時代に同期できないで、人に時代遅れになるなと諭す

こともできません。パソコンを自作するにあたっては、その時点で最先端技術について情

報を集め、差異を理解してパーツを選択するという過程で知識がバージョンアップされま

す。 3年前の技術は、実用上は全く問題ありませんが、3年前の知識は使い物になりませ

ん。いつまで最先端の技術に付いて行けるか分かりませんが、頑張っています。


22nmプロセスのIvy BridgeはSandy Bridgeと何が違うのか?

http://ascii.jp/elem/000/000/688/688949/

Haswellマイクロアーキテクチャ

http://www.itmedia.co.jp/pcuser/articles/1306/02/news008.html


◆俯瞰の書棚◆

今回のご紹介は「イノベーションへの解」クレイトン・クリステンセン、マイケル・レイナー

翔泳社 2003です。

クレイトン・クリステンセンは1997年に「イノベーションのジレンマ」(邦訳2001)の提案で

一躍有名になった人です。この本を読んで影響を受けた人は多いと思います。

そこにおける彼のイノベーション理論は、イノベーションには従来製品の改良する“継続

的イノベーション”と従来製品の価値を破壊する全く新しい価値を生み出す“破壊的イノ

ベーション”があるということです。そして優良企業は事業の基盤である製品を磨いてい

く“持続的イノベーション”を推進するため、“破壊的イノベーション”を無視せざるを得

ない結果として、この新しい破壊的イノベーションにより企業の地位を失っていくという

ことです。事例としてコンピューターのハードディスクを使って明快な解析をしています。

2001年の日本語版で読みましたが非常に明快でインパクトを受けたことを思い出します。

ただ事象の分析はあっても、どうしたら“破壊的イノベーション”を起こすことが出来る

かという事は、ほとんど解説されていませんでした。今回ご紹介する「イノベーションの

解」はその答えを与えるものです。そして共著になっているようにかなり強力な研究チー

ムを組んで破壊的イノベーションのメカニズムを解明し、経営者がいかにそれを実践する

かを丁寧に書いています。加えて関連する経営学の研究成果をフンダンに引用して解説し

ているので、現在の経営学の俯瞰的な理解が得られます。ぜひご一読をお勧めします。

“破壊的イノベーション”を起こすために経営者がやるべき事を明快に解説しています。

それは“高い能力の成長エンジンをビジネスプロセスに埋め込む”ということです。

そして成長エンジンには4つの要素があると言います。

ステップ1:必要になる前に始める。企業がまだ成長を持続している間に新規事業を始める。

ステップ2:アイディアを適切なプロセスおよび資源配分プロセスへ導く上級役員を任命す

る。

破壊的潜在力を持つアイディアに、きちっとした経営資源を配分する権限のある役員が必要である。

ステップ3:アイディアを形成するためのチームやプロセスを作る。

“破壊的イノベーション”を起こすためには現在のプロセスではなく

独立したビジネスプロセスが必要で、専任の固定的なメンバーからなるチームが必要である。

ステップ4:営業やマーケティング、エンジニアリングの社員を訓練し

“破壊的イノベーション”のアイディアやシーズを発見させる。

そしてその上級役員がイノベーションのマネジメントにおいて果たすべき役割は4つあるといいます。

第一に、連携のプロセスに積極的に関与する。

第二に、部下が新しいコミュニケーション、連携、意思決定のパターンを必要とするとき

には既存のプロセスの支配力を崩さなければならない。

第三に、同じような行動や決定が組織内で繰り返し行われる時、これに関わる社員の活動

を確実に導き連携させるプロセスを創りださなければならない。

第四に、同時進行する複数のプロセスやビジネスモデルを構築し維持するために、様々な

組織の橋渡しを行なって、新規事業での有益な学習を主流部門に還流させて適切な資源、

プロセス、価値基準が適切な状況で用いられるよう、心をくだかなければならない。

とあります。新規事業に必要な事業構造や条件は、

低価格ラインでも魅力ある利益を上げ、しかも上位市場に持ち込むことができるような

コスト構造を最初に構築すること、

競合企業に対しては破壊的な位置に付けることで相手に戦うよりは逃走したいと思わせること、

これまで消費者でなかったためにソコソコの製品で満足してくれる顧客の攻略から始めること、

”顧客が片付けようとしている用事“にターゲットを定めること、これまでお金があった場所でなく、これからお金が向かう場所に移動すること、

適切な知識を習得したマネージャに任務を任せ、必要な課題と調和したプロセスや

価値基準の中で任務を遂行させること、

有効な戦略が出現したらそれに柔軟に対処すること、そして成長を気長に待てる資金で始めること

と解説しています。

“片づけるべき用事” という視点で市場型破壊の参入を生み出せという助言も面白いですね。

また組織の能力と言う曖昧な用語は、資源、プロセス、価値基準に因数分解して考えろ、と明快です。

またビジネスモデルとしてモジュール単位で外注し組み立てるモジュール方式と、

いわゆるすり合わせ型の垂直統合のモデルの使い分けとしても明快な判断基準を示しています。

すなわち製品そのものが顧客や市場の要求に対し十分でないときは垂直統合型を、

すでに十分以上であるときには積極的に外注を活用するモジュール型ということです。

これ以上内容の解説はしませんが、これを読むと日本の電機産業がいかに敗退し、そして

また今サムソンがスマートフォンで中国に敗退しつつある現状を見事に説明できています。

最後のくだりが面白いです。“ IBM 、インテル、マイクロソフト、ヒューレット・パッカ

ード、ジョンソン・エンド・ジョンソン、コダック、シスコ、インチュイットは数度の破

壊的イノベーションを成功させている。そしてソニーは1955年から成長エンジンが停止し

た1982年までの間に何度も破壊的イノベーションを生み出した。”とソニーを高く評価し

ていますが、裏返すとソニーの衰退のモデルの解説になります。

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webmaster@fukan.jp

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◆俯瞰MAIL 0044号(2014年11月15日)

発行元:     一般社団法人 俯瞰工学研究所

発行人:   松島克守

編集長:   松島克守

URL:     http://fukan.jp

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俯瞰メールのアーカイブ

俯瞰メール43号

皆様

◆時候のご挨拶◆

秋ですね。田園には黄金の稲田が広がります。すでに色づいている枝もあります。

田植えや若葉の季節がほんの昨日のようですが、時は凄い速さで流れて行きます。

“少年老い易く学成り難し、一寸の光陰軽んずべからず・・・・”、

キッチンの扉に貼って絶えず見ますが、最近では最後の“階前の梧葉すでに秋声”が気になります。


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・欧州、中近東、アジアで続く世界秩序の激動

・中国をどう見るか

・ソニーの苦悩と新生は国民的課題

・米国俯瞰の旅

・俯瞰のクッキング --健康寿命--

・ニューウェーブの俯瞰 -- デジタル企業の手首の激戦--

・俯瞰の書棚 「月の裏側」 クロード・レヴィ=ストロース

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◆欧州、中近東、アジアで続く世界秩序の激動◆

依然として世界各地の騒乱が続いています。ウクライナも不思議な妥協の結果、

停戦には持ち込みましたがこの後の落とし所が微妙です。事の起こりも変ですが、

ロシアが軍事力を使って第二次世界大戦後の国境を変更した事は欧州の緊張関係を高め

経済交流を制限することになります。


スコットランドの独立投票も欧州の緊張感を高めました。

結果は否決ですが、各地の独立を要求している地域への影響は今後も残るでしょう。

EUという超国家がこれまでの国家の概念に影響与えています。


しかもこの後、英国はEU離脱の可否を問う国民投票を予定しています。

ただ経済的にはロンドンという世界屈指の巨大都市国家の外延部でしかないスコットランドが

自立した経済成長を維持できるとは考えられません。

ロンドンには最高の人材が能力を発揮できる場を求めて集り、結果、最高の人材を独占しているのです。


日本でも地方分権という議論がありますが、既に日本は東京という超大型の都市国家と

その周辺の地域経済という構造がで