先週の木曜日。2010年のボジョレーヌーボーが解禁になった。私もワインは嫌いではない方で、、、ついつい、一杯。
ヌーボー(新酒)は「その年のワインを評価するため」が本来の姿。11月の第3木曜日は、試飲が解禁され、そのワインを何年熟成させるか、どんな味になるのだろう、など夢がふくらむ瞬間である。
ところで、ワインの評価を考えるときに思い出す本がある。
「その数学が戦略を決める(イアン・エアーズ、文芸春秋、2007)」。
この本の主張は、「経験則にたよらず、統計的な計算(絶対計算と名付けている)に従うことで、確実な評価・判断を行える」とまとめられよう。ワインの評価は、その年の日照時間や降雨などから算出でき、その結果はPP(注)よりも正しいことが示されている。
この主張は大筋賛同できるのだが、、、ワイン呑みはきっと少し違う主張をするだろう。特にヌーボーに関しては。
ヌーボーの価値は呑む方も「夢」の価値。味や香りだけではない「期待」の価値がある。だから、だまされる(?)とは知りながらも毎年繰り返される「今年は○○年に一度の出来」という言葉に胸躍らせて第三木曜を待つ。これらは絶対計算で扱う統計分布から「外れた」価値だ。その価値に高い対価を払う。それで満足するのだ。(蛇足気味だが、統計分布から外れたその「期待感」を生み出すことが経済価値の一種だということも忘れないでほしい。)
今年のヌーボーは、凝縮感が去年より強く、将来を感じさせてくれた(と、私は毎年思うのだ)。 ヌーボーは、夢を呑むこと、を奨める。 (
原岡和生)
注:
PP・・・パーカーポイント の略、パーカーさんというワイン・エキスパートがつけたポイント。
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KT (日曜日, 21 11月 2010 23:09)
ワインネタであれば、「葡萄酒の戦略 ―ワインはいかに世界を席巻するか」http://www.amazon.co.jp/dp/4492043977もよろしいかと思いますがどうでしょう?
原岡和生 (月曜日, 22 11月 2010 18:53)
KTさま
コメントありがとうございます。ご指摘戴いた本は、
恥ずかしながら存じ上げませんでした。
早速、勉強させていただきます。
アマゾンの書評で読んだだけの感想で恐縮ですが、
経営戦略的な視点で見るなら
「柔道はなぜJUDOになったか」、という考察と
並行させると面白いのではないか、と感じます。
相撲も SUMO になりつつありますね、、、、
原岡和生 拝