秋の夜長、頭のビタミン補給(いわゆる蘊蓄)はどうだろうか?
私は「語源調べ」を奨める。
例えば英語の Hospital と Hotel。語源をたどっていくと、殆ど同じ語(派生語の関係)であることが判る。ラテン語で "hospes= もてなす人" という意味の単語が時代とともに変化し、形容詞 hospitality
を経て"hotel=宿"となり、hospitalityが派生して"hospital=病院"となる。そのように考えれば、西洋のにおける HospitalもHotelも「おもてなし」が基本にあることが分かる。
ついでに書けば、clinicはギリシャ語が語源。それも病人が横たわる台(つまり、今の日本で一般的に考えられているBed)と言う意味である。だから、日本において Bed の数で Hospital(病院) という呼称と Clinic(クリニック)
という呼称が分けられているが(その結果、ベットが無いクリニックは存在する!)、英語Nativeな方にしてみれば、どうしてそういう区別をするのか、きっと悩むに違いない。
日本語の語源も面白い。
「経済」という言葉の語源を調べてみると、「経済戦争に勝って、会社を大きくした」という日本語は、少し疑問を呈したくなる。
たしかに、wikiでの定義も "社会が生産活動を調整するシステム、あるいはその生産活動のことである"
とあり、私も日ごろの研究活動の中でこれに疑問を挟むものではないが、語源としては「経世済民(世をおさめ、民をすくう)」の短縮とされている。だから、よしんば経済活動に勝ち負けがあるとしても、他社より金銭的利益を出すことでない、ことはお分かりいただけるだろう。ちなみに、福沢諭吉が「経済」という語を作った時は「Political Economy」の訳語としてであり、単なる Economy
の訳語では無かった。
語源を知っていても一銭の得にもならないかもしれない。でも、そのような"経済"価値に基づく打算は捨て、頭のビタミン補給をするのはいかがだろうか?
(原岡和生)
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