学生時代、カメラを持ち歩いていた。
もちろん、フィルムカメラである。
Photograph= Photo+graph 。直訳すれば光の図。
レンズを通してフィルムに届いた一瞬の光を、図として切り取ったものが写真=Photograph。もともと、「写真技術」の進歩は、「馬が走っているときに全ての脚が地面から離れていることを証明することを目的になされてきた」と聞いたことがあるが、なるほど、「真を写す」為のものであり、瞬間を切り出す芸術だと思う。
学生時代、フィルム代も現像料も安くは無かった。一瞬を狙ってにシャッターを切る瞬間には緊張があったし工夫もした。現像して焼き付けされて出てくるまでのワクワク感もあった。良い写真が出来たときの感動は一入だった。
最近、巷でカメラといえば、デジタルカメラをさしている。私もiPhoneのカメラ機能を愛用している。
デジカメで撮られたものは、写真=Picture、だと思う。Pictureは絵画。絵画ならば、デフォルメや強調、切り出し、貼り合わせなどは自由に行って、ある意味では蓄積されていく芸術表現である。
デジカメで撮った写真をパソコンに取り込んで、色々な加工を行い、プリントアウト。動画のように沢山撮った中から選ぶ、ということも可能になった。その意味では随分安い趣味になったと思うし、自己表現の幅は増えたかもしれない。でも、その分、緊張感と工夫とワクワク感が、そしてなにより感動が減ったような気がする。
IT技術の進歩で、より身近になった写真。
だからこそ、もう一度「PhotoGraph」を、あの感動を味わいたい。 (原岡和生)
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