日本経済の現状俯瞰

日経新聞の4月27日の朝刊をいつものように1面から読んでい行くうちに日本経済の俯瞰的に認識をするモードに陥った。花王が20期連続増配で年間配当を57円にするという記事から始まった。このところ、増収、増配、臨時ボーナス・・かなりポジティブなキーワードが紙面に躍っていたが20期連続増配とは偉業である。この30年近く花王の経営は小職の教科書的な存在であった。次に目に入った記事は「上場企業数、3年連続減少」である。理由のひとつに新規上場企業の減少である。そして15面に行くと「一目均衡 日本企業は停滞から脱せるか」である。上場企業全体で、一株当たりの利益は21年前の94%に過ぎないが同じ期間で米国の上場企業は2.8倍!ドイツは2.9倍であるという。経団連幹部の経営する企業はこの数字も冴えないという。その記事で、早稲田大学の久保克行教授は3年連続で赤字の企業で社長交代はわずか7%でこれも其の原因の一つであると指摘している。明らかに日本経済は衰退し、欧米各国の背中は遠くなり、背後に韓国と中国の足音が迫ってくる。4月2日の経済教室では南カルフォルニア大学のロバート・ディークル教授が学術的分析から為替の適性水準は1ドル110円である言明している。(図参照)また、先進国クラブであるOECDの中では労働生産性が先進国の中では最下位の7位で、日本経済は労働生産性の改善が急務と毎年勧告されている。このように新聞に最近散見される記事を構造化して俯瞰すると、いかに日本経済が酷い状況か容易に理解できると思う。日本は2等国でであるという現実を直視し、発展途上国の意識にもう一度立ち返る必要がると思う。為替は複合的ではあるが国力の評価である。過去10年間の平均値も110円に近いことを考えると、ロバート・ディークル教授の評価が日本経済の国力であろう。少なくても国際的な市場評価は。更に国家の財政の劣化により日本国債の格付けがネガティブにという評価になり、」一方韓国は2階級昇格である。もう日本は日出づる国ではない。この原因を議論するのもいいだろう、夥しい書籍もありメディアに露出する専門家も諸説を披瀝している。一番大切なことはこの日本経済を底辺で支えて企業人として、自分の使命と業務を自覚した上で、日本経済をに自分で認識する必要がある。「考えろ!」とよく言われるだろうがこれが考えるということである。その認識の上で、産業構造の変化、市場の変化を見極め、自社の行動計画を策定する事がスタッフの仕事である。人の評論や上司の指示で行動するならば、それは仕事をしているのではなくただ作業をしているだけである。日本の救いが無い面も新聞紙上から見える。政治家は与党、野党を問わず日本経済に関して全くといって言及しない。興味も認識の構造もないとしか思えない。数字が示すように日本経済は酷い状況にあるが、加えて政治の品質の低さを合わせて考えれば日本経済短期の上り下りは有っても中長期的には低落のトレンドにあると思う。何故ならば今の日本人がこの後、経営も政治もやるだろうから。全体として人間は変えられないが、自律する個人では変身できるし、自律する小集団も変化出来る。そして、其の小集団の集合である企業を変革出来る。酷い日本を放っておいて1企業だけ変革を決意しても決してこれはエゴではない。先頭に立つ勇気を示すことになる。機会ある事に言っているが、この同じ時間に、継続的に高い成長を続ける地域がある。ただそこの地域が成長しても自動的に自社の売上が上がることはない。市場を開拓して勝ち取るしかない。其の方向に、個人を、そして小集団を向けていく事が、低落する日本経済に足をとられずに企業が持続的な成長を実現する道である。

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コメント: 1
  • #1

    八十川 紀夫 (土曜日, 09 10月 2010 10:25)

    日本の多国籍企業は税金の高い日本での所得は低くして当然。
    優良中堅、中小は相続税を考えれば利益を出すとヤバイ。
    事業承継税制など危ないので誰も利用していない。
    優秀な経営者が事業のことより相続のことに頭を悩ますのでは
    中国、韓国にやられてあたりまえ。
    (これでは第二のソニーなど現れない)
    ただし、今度のリーマンショックは事業承継で頭を悩ます経営者にとって千載一遇のチャンスとなった。
    優良中堅企業も瞬間的に赤字になったので一気に贈与できたのだ。
    経営者の報酬が安いから会社の利益をあげようとはしない。
    赤字が続く会社には人材が育っていないか辞めている。
    (日本では経営者の外部調達はできない。中小では従業員から登用しようとしても、個人保証の問題と低報酬でダメ。)
    日本では生産性というと工場のことしか考えない傾向がある。
    アメリカはまずオフィスのオーバーヘッドを問題にしている。
    負けたところはあっというまに市場から消えるので、
    残った企業は高収益。
    以上のようなことが体質に染み付いていると思う。
    ただし、アメリカやドイツにもからくりがあった。
    証券化商品と不動産バブルいうからくりがかなりの期間うちでのこづちとなり、好業績を維持していた。
    この間たとえば日本の製鉄所は2兆円を超える有利子負債を数千億円に減らしてしまっている。

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