◆俯瞰MAIL第 92号◆2019年8月30日発行

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◆俯瞰MAIL第92号◆

俯瞰工学研究所の松島克守のメールマガジンです。俯瞰メルマガ92号をお送りします。pdf版はホームページに掲載し、facebookの俯瞰工学研究所のページにおいてもノートに掲載いたしますので、ご利用ください。

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◆時候のご挨拶◆

8月の初めの猛暑の日々、それに続く台風による愚図ついた天気、そして気がつけばもう夏も終わりそうです。田の稲はすでに穂をつけています。もう一月立てば秋分の日です。夜の方が長くなります。歳とともに時間の流れを早く感じます。

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●壊れたG7

●ガタガタになったヨーロッパ

●長期化必至の米中戦争

●温暖化にどう向き合うか

●俯瞰のクッキング“帝国ホテルのわざ”

●俯瞰の書棚 “ザ・フォーミュラ”

●雑感・私感

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◆壊れたG7◆

世界に主要国の分断を強くアピールしたG7になってしまいました。首脳宣言無しで、二国間の合意を1枚の紙にまとめただけです。首脳間の合意は不可能と考えたマクロン統領は、早々と首脳宣言を出さないことを決めてG7にのぞみました。前回のG7でもヨーロッパの首脳と厳しく対峙した後「シンゾウがいうなら俺も合意するよ」と言って首脳宣言に同意したトランプ大統領は、G7後のカナダの首相の記者会見に腹を立て首脳宣言を破棄しました。今回も行く前から時間の無駄のような事を言っていましたから、今回のG7も初めから壊れていました。

 

 いろいろなことが意見交換されたと思いますが、肝心な気候温暖化対策やプラスチックスの海洋汚染、世界貿易などの議論は表に出ず、誰でも合意できるアマゾン森林火災に対する懸念やイランの非核化が、世界に対する情報発信でした。

 

イランの非核化については、マクロン大統領の執念と予告なくイラン外相をG7の地に招くという奇策が目立ちました。結果として「環境が整えばイランの大統領あってもいい」という事が実現すれば、大きな成果になるでしょう。しかし中東でドローン空爆を相互に繰り返す現状見ると、環境が整うということ自体、非常に難しいのではないでしょうか。

 

さらに今回、イギリスのジョンソン首相という新たな「トランプ」が加わりましたから、G7そのものの存在意義が疑問視されてきました。次回の議長国のトランプ大統領は、開催を自分のファミリーのリゾートにやりたいと言い出して、すでにアメリカ国内で物議をかもしています。

 

このG7の状況にほくそ笑んでいるのは、ロシアと中国でしょう。欧米の弱体化は相対的に両国の存在感を高めます。この現下の国際情勢をみると、日本は日米同盟一本やりではなく、中国とロシアとの関係を丁寧に作り上げていく必要があります。問題はそこに朝鮮半島問題があることです。

 

トランプ大統領、来年のサミット会場に親族経営のリゾートを視野

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-08-26/PWUBN66VDKHU01 

 

◆ガタガタになったヨーロッパ◆

イギリスのトランプと言われる英国のジョンソン首相が、ドイツのメルケル首相とフランスのマクロン大統領に会いに行きました。むろんドイツもフランスも離脱案の見直しに応じないとしています。一方ジョンソン首相は、再交渉に行ったがEUが応じなかった、だから合意なき離脱が唯一の選択肢だと、議会と国民にいうために会談に入ったと思います。会談のあとの記者会見で、ズバリこの質問が記者からでました。

 

さすが老獪なメルケル首相だと思いました。離脱の見直しをその場で拒絶するのではなく、30日間の猶予あげるから宿題の答えを持ってきなさい、です。メルケル首相は、合意なき離脱にEUは準備しているとも付け加えました。なぜか、これにジョンソン首相は喜んでいたように見えました。 EUがどうしても譲れないバックストップ条項は、英国議会も絶対に譲れないものです。このやりとりをジョンソン首相はどう使うのでしょう。

 

フランスのマクロン大統領も、メイ首相とまとめた離脱案は見直さないと言いながらも30日間の時間については肯定的で、メルケル首相とのアウンの呼吸を感じます。両者とも本物の政治家ですね。合意なき離脱になると大勢の人は思っています。

 

しかしアイルランド国境問題は、離脱なき合意の最大の混乱になることは必至です。なにしろ、長年続いたカソリックとプロテスタントの戦闘の和平で認められた国境の自由ですから、ここにハードの国境施設を設ける事は大問題なります。テロや武闘のリスクすら論じられています。

 

そのドイツですが、ついにマイナス成長に陥りました。ヨーロッパ経済の屋台骨ですから、EU全体の経済の後退を意味します。無論、離脱後のイギリス経済はマイナスになります。ドイツ経済の不振の原因は、米中の貿易戦争による各地域の経済の後退です。GDPにおける輸出割合の高いドイツは、かなりの影響を受けています。したがってドイツは、マイナス成長になったのでしょう。

 

米中の貿易戦争による負の影響は、日本においても出ています。急成長の中国を前提とした企業活動は、大きな影響を受けています。自動車関係、工作機械、ロボットなどは大打撃です。

 

イタリアの連立政権は崩壊しました。もともと無理な連立政権でしたが、やはり極右の力が強く、政権の枠組みを維持できませんでした。極右は、総選挙に持ち込んで政権を奪取する勢いです。

 

スペインも、4月の総選挙の後、政権が成立できません。場合によっては11月に再選挙ということです。

 

要するに、陰りが見えたドイツのリーダーシップ、イタリアやスペインの政権不在、そしてイギリスのEU離脱と、ヨーロッパ全体がガタガタになった感じです。ここに忍び寄るのが中国でしょう。すでにイタリアとギリシアは、中国を受け入れています。地政学的には、ロシアにもヨーロッパの弱体は有意に働きます。加えてアメリカとEUは、ほとんど断絶状態です。私は何度も書いていますが、アメリカ、ロシア、中国が覇権を争う現在の世界において、EUこそが平和のバランスを取る力と思いますので、その弱体は気になります。改めて現在の世界は、アメリカ、中国、ロシアという3G世界で、そしてアメリカと中露の冷戦構造にあることを認識するしかありません。

 

名目GDPで世界11位、軍事予算は日本に次ぐ7位というロシアの存在感は、核保有国という力でしょうか。北朝鮮もこのモデルを見ているのでしょうか。日本はロシアより軍事予算が多いとすると、どこにお金を使っているのでしょう。割高な調達をしているのでしょうか。核兵器とミサイルが効率的な軍備なのでしょうか。

 

メルケル氏、ブレグジット国境問題の代替案「30日以内に可能」 英首相に

https://www.bbc.com/japanese/49430097 

フランス、英国の合意なきEU離脱が最もあり得るシナリオに

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-08-21/PWLDRUSYF01S01 

ブレグジットを大きく揺るがす「アイルランド国境問題」とは何か

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/58265 

西ベルファストの平行線:確執の都市風景

http://www.meijigakuin.ac.jp/~gill/pdf/belfast.pdf

ドイツ経済、マイナス成長継続の可能性=連銀

https://jp.reuters.com/article/germany-economy-bundesbank-idJPKCN1V90VZ 

イタリア首相が辞意表明、連立崩壊 同盟党首を強く非難

https://jp.reuters.com/article/italy-politics-conte-salvini-idJPKCN1VA1K3 

スペイン政局、混乱続く=連立交渉失敗なら再選挙

https://www.jiji.com/jc/article?k=2019072600713&g=int 

 

 

◆長期化必至の米中貿易戦争◆

アメリカと中国の関税引き上げの応酬が止まりません。トランプ大統領の関税引き上げ第4弾に対して、中国が対抗して関税引き上げを発表すれば、さらにそれに対して関税引き上げを発表し、まさに泥沼化しています。

 

これに対して、さすがにアメリカの産業界もとんでもないと反論しています。トランプ大統はチキンレースを楽しんでいるかに見えますが、すでに米国の国民は関税を支払っています。それでなくても景気後退の兆候が見られるアメリカ経済ですから、貿易戦争で産業界は投資を控え、人員削減さえ行おうとしています。何を追求しているのか、ただ自分の支持層に対するアピールだけで、全く国益を考えない、とんでもない大統領です。仕方なくアメリカの中央銀行も利下げのメッセージを市場に送りましたが、それでアメリカ経済の後退を止める事はできないでしょう。

 

このアメリカと中国の貿易戦争は、ヨーロッパをはじめ日本経済、韓国経済の減速を引き起こしています。ヨーロッパ最強のドイツ経済もマイナス成長に転じました。市場も長期化するという判断で、株式市場は大幅に下げています。

 

やっかいなことに、単なる貿易摩擦ではなく、いくつかの難しい問題とリンクされてしまいました。まずファーウェイ問題です。さすがにカナダで逮捕されているファーウェイ副会長の件は、司法の問題ですから繋がりませんが、米商務省はファーウェイ関連46社を新たな輸出管理対象にすると発表しました。ファーウェイに対する制裁は、ファーウェイに大きなインパクトを与えつつあります。

 

ファーウェイのCEOは、社内文書で存亡の危機と、社員に一致団結してこの難局を乗り越えようと呼びかけています。必死で独自の技術を開発することになります。そう簡単に技術は開発できません。しかしファーウェイの社員は、火事場の馬鹿力で結果を出すでしょう。今でも996体制という猛烈社員たちですから。即ち9時出社、9時退社、週6日。

 

トランプ大統領が、安全保障上の問題としてファーウェイの制裁を持ち出していますが、あながちこれは否定できません。制裁を破ってイランやシリアに輸出している事は事実です。ファーウェイ副会長もイランにオフィスがあることを認めています。アメリカは、かなりの証拠を握っているのでしょう。アメリカは簡単には妥協できません。

 

台湾問題も貿易戦争に絡んで来ました。中国の強い反対を押しきって台湾に最新の戦闘機を輸出することを決めました。すでに大量の戦車も輸出済みです。中国は1つの中国という立場ですから、激しく非難しています。アメリカから見れば、東アジア、西太平洋、南シナ海に勢力を広げる中国に対する対抗戦略ですので、これも譲れません。

 

加えて最近、香港の騒乱がアメリカと中国の論争の場になっています。中国の武力行使を、天安門事件を引き合いに出して牽制していますが、これも中国から見れば1国2制度という中国の国内問題で、アメリカの言動は内政干渉であると激しく反発しています。

 

これだけ絡まってくると、双方が歩み寄って貿易戦争を終結させる事は極めて難しくなります。かつて、アメリカから激しく叩かれた当時の対米依存の日本と違い、今や世界第二の経済大国ですし、ラオス、カンボジア、ミャンマーにベトナムを加えた中国の経済圏ができつつあります。一帯一路の戦略によって、ヨーロッパにも中国経済は広がりつつあります。すでにギリシア、イタリアは中国を積極的に受け入れる方向になっていますし、ドイツ経済をはじめとしてEUも中国の市場に大きく依存しています。 英国にとっても、中国市場はEU離脱後もアメリカに次ぐ重要な市場です。ですから、中国は経済成長を少し我慢すれば、長期戦に耐えることができるでしょう。無論、過去の無理な急成長のツケが国内金融市場にあるようですので、それが弾けなければ。

 

アメリカの敵は中国、ロシア、イランです。なので、中国に対する甘い対応は、国民や議会に見せられません。アメリカも世界一の国内市場がありますから、ある程度の耐久力はあります。アメリカの産業界が表立ってトランプ再選に反対するようなことがなければ、現状が続くのではないでしょうか。

 

日米間の貿易交渉は、妥結したようです。農業でTPPと同じ線まで譲歩し、とりあえず日本の要求の自動車追加関税については保留にするという、トランプ大統領に忖度する内容で手打ちしたようです。加えて、中国に輸出できない大豆の在庫を買ってあげるとまでサービスしました。トランプ大統領は「農業で日本から譲歩を引き出し、自動車は守った」と選挙民に言えます。なかなか大人の交渉でしたね。もともと日本の農業は過保護で関税が高すぎますから、これで国民は肉や乳製品が安く手に入ることになります。

 

トランプ氏が対中関税引き上げ、報復に対抗 米企業に中国撤退も

https://jp.reuters.com/article/usa-trade-china-trump-tariff-idJPKCN1VD2IM 

トランプ氏、9月からまた中国に追加関税とツイッターで発表 貿易戦争悪化へ

https://www.bbc.com/japanese/49201932 

米中貿易戦争で敗れるのは誰か

https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-48281312 

米商務省、ファーウェイ関連46社を新たな輸出管理対象に

https://www.jetro.go.jp/biznews/2019/08/32afce8b66f96797.html 

ファーウェイ禁輸また猶予 米商務省

https://www.sankei.com/world/news/190817/wor1908170018-n1.html 

米国務長官、ファーウェイ副会長「交渉材料とせず」

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO48899050T20C19A8000000/ 

ファーウェイCFO、イランオフィスの存在認める

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-08-21/PWL95Y6VDKHS01 

ファーウェイ「存亡の機」 社内文書で任CEO

https://www.sankei.com/world/news/190821/wor1908210027-n1.html 

トランプ大統領 香港抗議活動で「第二の天安門」の懸念を表明

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190819/k10012040281000.html 

アメリカ、台湾にF16戦闘機を売却へ 中国は猛反発

https://www.huffingtonpost.jp/entry/taiwan-f16-america_jp_5d58be3ce4b0d8840ff4426f 

 

◆温暖化にどう向き合うか◆

アマゾンで大規模な森林火災が発生していて、世界中の関心を集めています。マクロン大統領の「我が家が燃えている」という叫びは心に響きます。 G7でも取り上げられました。ブラジル大統領は、おせっかいだ、国内問題だ、 NGOが火をつけているとめちゃくちゃの発言です。まさにブラジルのトランプそのものです。トランプ大統領は、1つの大統領のモデルを作ってしまったようです。怖いのは、結構国民が支持していることです。

 

なにしろ地球の20%の酸素を作っているというアマゾンの森林ですから、人類の危機です。海岸のサンパウロは煙に覆われて、昼間が夜になっている映像は衝撃的です。近くの住民とっては生死に関わる問題です。

 

これほどの規模ではありませんが、北極圏でも大規模な森林火災が相次いでいます。この北極圏の森林火災の排出する二酸化炭素は、スウェーデン1国分だということですから、その規模の大きさが推し量られます。フランスや南ヨーロッパでも森林火災が多数発生しています。

 

これらはすべて熱波、猛暑、乾燥による自然発火ということですので、急激に進む地球温暖化の危機的な状況を、我々は改めて再認識して行動を起こさないといけないでしょう。自然が人類に警鐘を発していると受け止めたいです。まさにG7で取り上げるべきテーマですが、トランプ大統領は多分、これをよしとしないでしょう。就任後、真っ先にパリ協定を離脱した人ですから。それを見越してマクロン大統領は今回のG7では首脳宣言出さないと早々と宣言しました。

 

トランプ大統領も米国における豪雨による洪水、竜巻、暴風雨、そして冬の大雪を目の当たりにしていますから、気象温暖化が喫緊課題であることは承知しているでしょうが、選挙公約と関連する支持層に対するディコミットは出来ないということでしょう。

 

カルフォルニア州などは、連邦政府が緩和した自動車の排ガス規制を州独自に厳しくしています。カルフォルニア州は、二酸化炭素の排出についても規制を強めています。カルフォルニア州の山火事も凄いですから。

 

翻ってみると、日本の環境対策は進んでいるのでしょうか。水素社会を作るというような産業振興には経済産業省は熱心ですが、企業活動に負担となる環境政策にはあまり関心がないようです。スウェーデンやフランスのような、ヨーロッパの先進国が既に取り入れているカーボンプライシングについても、及び腰です。環境省のこれに関する委員会も結論を出していません。

 

消費税の次の財源として、炭素税が検討されているとのことですが、環境に対する意識レベルが低いことが気になります。しかし、実現すれば温暖化対策にもなります。世の中の資本の流れがESG投資に流れている時代に、経団連企業の意識の古さにはうんざりします。ESG投資という環境の中で、企業価値を出していくことが経営者の使命だという意識がないようです。それに寄り添う経済産業省というと、言い過ぎでしょうか。

 

北極圏で森林火災相次ぐ 国連「前代未聞の事態」

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190729/k10012012211000.html 

ブラジルのアマゾン熱帯雨林で火災が急増、国際社会が懸念https://jp.reuters.com/article/brazil-amazon-wildfire-idJPKCN1VD0CB 

カーボンプライシング 政府は導入の可否を決断せよ

https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00528351 

 

◆俯瞰のクッキング “帝国ホテルのわざ” ◆

NHKの「今日の料理」で、オリンピック村の食事について特集がありました。前回のオリンピックでは、全国から何百人もの料理人を集めましたが、当時はまだ西洋料理があまり普及していませんでした。リーダーになった当時の帝国ホテルの総料理長の村上信夫さんが、門外不出の帝国ホテルのソースのレジメを公開し、それを見て集められた者たちは料理を作ったとのことです。英断です。今回もオリンピックの料理に関しても元帝国ホテルの総料理長の田中健一郎さんがリーダーになって進めるようです。

 

そうした、かつての料理人を各地に尋ねてインタビューするセクションの終わりに、 2つ3つ料理の紹介がありました。差し障りがあるかもしれませんが、いわゆる料理研究家と元帝国ホテルの総料理長の田中健一郎さんには、アマチュアとプロフェッショナルの違いを感じました。話すこと、包丁さばきなどの所作に違いを感じました。

 

その一つがインドネシア料理のナシゴレンでした。乱暴に言えば、インドネシア風ドライカレーでしょうか。語り口と手元の所作に惹かれて作ってみました。レシピはネットにあります。まずバターライスを炊きました。ずっと昔、まだピラフがそれほど一般的でない時、まずバターライスを作り、具を炒めた後にバターライス入れて、軽く炒めるというピラフの料理法でした。何十年ぶりにバターライスを炊きました。懐かしい昔の思い出がよみがえって来ました。

 

材料はピーマン、マッシュルーム、牛肉、むきエビ、ニンニクです。まず鍋にサラダオイルを入れてニンニクのみじん切りを炒め、香りが立ったらマッシュルームを入れて炒めて味を出し、ピーマンを入れてさっと炒めます。これを取り出して、同じフライパンで牛肉を炒めます。そして海老も加え、色が変わったら火を止めて、ナンプラーとカレー粉と塩で味付けをし、炒めておいたマッシュルームとピーマンを加えて、バターライス入れてさっと炒めます。

 

ここで印象に残ったのは、ピーマン、牛肉、マッシュルームも、すべて1センチ角の大きさに揃えることです。以前フランス料理を習いに行った時、「高級レストランではタマネギのみじん切りは一つ一つ切って大きさを揃える」と聞きましたが、まさに目の前で見ることができました。この辺が料理研究家と違います。火を止めてからカレー粉や調味料入れるという手順で香りを残すという技です。レシピではポーチドエッグを載せますが、ポーチドエッグを手際よく作る技が見事でした。手元は本当に淡々と静かな所作です。

 

作って食べましたが、おいしかったです。 バターライスも簡単にできます。我が家の定番となって時々作っています。

 

もう一つの料理は、野菜炒めの上に鳥のモモ肉のソテーを載せる料理でした。野菜はピーマン、ズッキーニ、タマネギ、トマト、ニンニクです。これもみじん切りのニンニク以外のすべての野菜は2センチ角に切りそろえます。同じ大きさに切りそろえる。これがプロの技でした。野菜を炒めた後に、湯むきしたトマトを入れて少し煮込んで塩こしょうで味付けです。トマトの種は取りませんでした。トリのモモ肉もゆっくりと、かなりきちっと焦げ目をつけていました。フライパンに入れた後、あまりいじらない、これも大切です。

 

この世界とは全く違う世界の料理ですが、ネットで「ナスの蒲焼き風」という料理が紹介されていましたので作ってみるとこれが結構おいしいです。レシピは簡単でナスを1センチくらいに薄切りにしてフライパンで、油で焼きます。ナスが焼けたら酒と醤油とみりんのタレをフライパンに入れて絡ませるだけです。ぶりの照り焼きに近いです。粉山椒を降って食べましたが美味しかったです。これも我が家の定番になりつつあります。

 

ナシゴレン

https://www.osarai-kitchen.com/nhk/nhk%E3%81%8D%E3%82%87%E3%81%86%E3%81%AE%E6%96%99%E7%90%86/%E3%83%8A%E3%82%B7%E3%82%B4%E3%83%AC%E3%83%B3-3/  

鶏肉と夏野菜のオリエンタル風

https://www.osarai-kitchen.com/nhk/nhk%e3%81%8d%e3%82%87%e3%81%86%e3%81%ae%e6%96%99%e7%90%86/%e9%b6%8f%e8%82%89%e3%81%a8%e5%a4%8f%e9%87%8e%e8%8f%9c%e3%81%ae%e3%82%aa%e3%83%aa%e3%82%a8%e3%83%b3%e3%82%bf%e3%83%ab%e9%a2%a8/ 

 

◆俯瞰の書棚“ザ・フォーミュラ”◆ 

今回は「ザ・フォーミュラ~科学が解き明かした成功の普遍的法則」アルバート=ラズロ・バラバシ、光文社 2019 です。

 

著者のバラバシは、ダンカン・ワッツとネットワークを科学として確立した、ノーベル賞級の理論物理学の研究者です。

 

ダンカン・ワッツはスモール・ワールド現象をネットワーク理論として証明しました。スモール・ワールド現象とは、知り合い関係を芋づる式に辿っていけば、比較的簡単に世界中の誰にでも行き着くという仮説です。あえて日本語にすれば「広いようで世間は狭い」という現象です。

 

バラバシは、WEBのネットワーク分析を通じて、インターネット世界は一部のノードが膨大なリンクを持つ一方で,ほとんどはごくわずかなノードとしか繋がっていないようなネットワーク構造を持つ、スケールフリーネットワークであることを見つけました。

 

この研究成果は、「新ネットワーク思考」(青木薫訳 NHK出版2002年)としてすぐに出版され、松島研究室では読んで勉強しました。そしてこのネットワーク分析の技術を使って、たくさんの研究をしました。

 

そのバラバシは、ネットワーク分析に目途をつけた後、「成功の科学」という研究を始めたわけです。よくある主観的、独断的な成功法則や事例を列挙した成功本とは一線を画し、彼は理論物理学者ですから、科学として「成功」を研究しようとする野心的な試みです。

 

まず成功とは何か?ですが、“本書において、私たちは成功を次のように定義した。成功とは、あなたが属する社会から受け取る報酬である”と言明しています。また“成功と名声とはまったく別ものなのだ”とも言っています。異論がある人もいるかと思いますが、明快です。

 

そして一番重要なことは、“成功とは「個人的なものではなく集団的なものであり、あなたが属する社会の反応を必要とする”です。私は研究室のOB会でいつも、「才能で人生を開けない、関係性である」と言ってきましたが、まさにこれです。

 

そして膨大な学術論文のネットワーク分析を行い、“データを分析するうち、私たちはすぐに一定のパターンを見つけ出し、その「公式」を使って、自分たちや同僚あるいはライバルの「未来の研究成果」を予測できるようになった。あまりにも普遍的なそのパターンを、私たちは「成功の法則」と呼び始めた。ビッグデータが登場して「成功の科学」が発見されるまで、成功に重要なのは、運か努力か才能か、はたまたその3つの秘密の比率の組み合わせだと、大勢の人は思い込んでいた”とあります。

 

研究成果を予測するという技術を確立して、過去のノーベル賞の受賞者がほぼ初期の研究段階から予測できたことが書かれていますが、 1つだけ外れたケースが見つかりました。“私たちによる最も残念な発見は? なぜか2008年のノーベル化学賞の選考から漏れた男性が、アラバマ州にあるトヨタの販売店で送迎バンの運転手をしていたことだった”と悲劇的です。

 

本書に書かれている成功の法則は下記です。

・成功の第一の法則

パフォーマンスが成功を促す。パフォーマンスが測定できない時には

ネットワークが成功を促す。

・成功の第二の法則

パフォーマンスには上限があるが、成功には上限はない

・成功の第三の法則

過去の成功×適応度=将来の成功

・成功の第四の法則

チームの成功にはバランスと多様性が不可欠だが、功績を認められるのは、ひとりだけだ。

・成功の第五の法則 

不屈の精神があれば、成功はいつでもやってくる。

 

スポーツのようにパフォーマンスが数値化されている場合は、成功はそれで決まることをテニスやアメフトのデータで証明していますが、パフォーマンスが数値化できないアーチストについての分析が興味深いです。

 

“分析の結果、絵画が世界中を転々とする様子がわかるマップが完成した。こうして、膨大な数の美術館やギャラリーとつながる主要なハブの存在が明らかになった。ネットワークのハブはどれも、非常に影響力の強い美術館やギャラリーだった。ニューヨーク近代美術館、グッゲンハイム美術館、ガゴシアン・ギャラリー。さらにペースギャラリー、メトロポリタン美術館、シカゴ美術館、ナショナル・ギャラリー・オブ・アートが続く。”

 

“実際、作品を見ただけで、その価値を見出したり評価したりできる者はいない。重要なのは、キュレーター、美術史家、ギャラリーのオーナー、美術商、エージェント、オークション会社、蒐集家たちの見えないネットワークである。美術館に収まる作品を決め、絵画に喜んで支払う額を決めるのも、その見えないネットワークだ。”

 

“ウォーホルは言った。アーチストとして成功するためには「作品をいいギャラリーに展示してもらわなければならない。」”です。すなわち、

“成功とは「個人的なものではなく集団的なものであり、あなたが属する社会の反応を必要とする」”です。

 

ワインの審査についても、えっと驚くような結論です。“「ワインが品評会で賞を獲るかどうかは、大きく運に左右される」という結論に達した”です。発端は、あるワイナリーのオーナーが自分の同じワインが品評会によって評価が大きくブレることを疑問に思ったことです。自分自身もいくつもの品評会で審査員をしています。そこでテイスティングの順番の中に同じワインを3回審査させました。同じワインですが3回とも評価はまちまちです。

 

結論は、もともと品評会に出品されるワインは最高級のワインで、ほとんど差異は無い、人間は瞬間的な感情で判断する性質があるために、同じワインでも評価がまちまちになってしまうということです。“研究者が「即時性バイアス」と呼ぶ心理的作用である。すなわち、人間は意思決定に際して、過去の感情よりもその場の感情に強く影響される。”とあります。その結果として、“品評会でゴールドメダルを獲ることはほとんど運なのだ”です。

 

恐ろしいのは「即時性バイアス」は、音楽コンクールの演奏の順番、面接の順番が運命を決めるということです。最初の段階では審査員がまた自分の評価基準を固めてないので、比較的厳しい評価になり、その後に評価基準が見えてくると評価点が上がるというわけです。分析では5番目が有利とありました。

 

「人間は瞬間的な感情で判断する性質がある」は認識しておく必要があります。すべて緻密なデータ分析の結果です。そしてプレゼンテーションについては、“自分をプレゼンテーションする際には、言葉以外の面がいかに重要かということである。パフォーマンスには上限があるのだから、自分が目立つような小さな方法を見つけ出して実行してみれば、大きな効果が望める。”とアドバイスしています。

 

この調子で他の法則も紹介していると切りがありませんから、後はご自身で読んでください。

 

著者は、しばしば理論物理学者であるアインシュタインと「成功の法則」の関連に言及していますが、“「成功の法則」と、気味悪く感じるほど一致している。まずは「成功で重要なのは、あなたではない。社会なのだ」”とあります。

 

アインシュタインは、27歳の時に発表した相対性理論の論文で若くして著名な物理学者として認められていました。そのアインシュタインがニューヨークに来るというにで、ワシントンポストの記者が出迎えに行ったところ、桟橋に数千人の群衆が集まっていたのを見て、アインシュタインはすごいと勘違いし、翌日の一面にアインシュタインのNY入りの記事とあの写真を掲載しました。実は数千人の群衆は、アインシュタインを出迎えに来たのではなく、ユダヤ人一行のリーダーであるシオニストを出迎えに来ていたのです。そして、ワシントンポストの一面の記事と写真は、アインシュタインを成功の軌道に乗せたわけです。成功は社会の反応を必要とする、の実例です。

 

「成功の第五の法則、不屈の精神があれば、成功はいつでもやってくる 」においても、“アインシュタインが1935年に発表した論文は、その後数十年にわたって、大勢の物理学者が、年老いた天才の取りとめのない誤りだと一蹴していた。ところが1990年代に入り、その論文で言明された「もつれ」が量子力学の重要な特徴であることに物理学者たちが気づくと、状況は一変した。アインシュタインの論文は再評価され、現在では、その考えを基に量子コンピュータの研究が進んでいる。”

そして、この論文は、相対性理論の論文よりも多く引用されているとのことです。

 

もう人生の黄昏と思っている人も「成功の第五の法則」で鼓舞されて、成功を追求しましょう。ご一読を強くお薦めします。

 

◆雑感・私感◆

以上も雑感・私感ですが、出来る限り参照データを紹介しています。個人のブログは面白いですが、個人的な偏りがありますからできるだけメジャーなメディアを引用しています。

 

G7の崩壊は、欧米というスキームの崩壊でもあります。アメリカ、 EU 、ロシア、中国、新興国、そして日本が相互の利害関係でバランスをとっていく世界になったということでしょう。ただ、人類の将来、世界経済の発展に対する指導的なリーダーシップをとるスキームはありません。 G7の中で日本は非常に微妙な立ち位置にいます。

 

気候温暖化とプラスチックゴミの海洋汚染については、G7で議論すべきだったと思います。子供や孫の世代から我々の世代は厳しく糾弾されることになるでしょう。スウエーデンの一少女の勇気ある行動が眩しいです。やはり若い世代は感受性が高いです。

 

韓国がGSOMIAの破棄を決めました。アメリカが事前に継続を求めていたにもかかわらず、大方の予想を裏切って破棄したわけです。アメリカ政府も強く反発しています。今や反日ヒステリーの状態ですから、文在寅政権は理性的な判断はできる状態にありません。が、この決定で韓国の反米的な姿勢がはっきりと見えました。と同時に、アメリカの韓国への影響力の陰りを見ました。ある意味、文在寅大統領にブレはありませんから、日韓の問題も文在寅大統領が変わらない限り解決されないでしょう。彼個人の北朝鮮への憧憬、南北統一という夢が、政権の行動を決めています。

 

心の底に眠っていた国民の感情を煽り立て政権の求心力にするという手法は、ヒトラーに相通じるものがあります。ヨーロッパで広がりつつあるポピュリズムも同様です。さすがに韓国有力紙は文在寅大統領のやり方に異議を表明するようになりました。日本は当分静観するしかありません。文在寅大統領の反日の扇動が、日本国内に嫌韓の空気を大きく広げてしまったことは、韓国の今後の負の遺産として残ることになります。加えて韓国の感受性の高い若い世代の心に、負の遺産を形成していきます。

当分、文在寅政権の言動を静観して、日本は動かずが、国民的な合意でしょう。

 

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◆俯瞰MAIL92号(2019年8月26日)

発行元:一般社団法人俯瞰工学研究所

発行人:松島克守

編集長:松島克守

配信人:石川公子

URL:https://www.fukan.jp/ 

 

 

◆俯瞰メルマガ第90号◆2019年7月1日発行

俯瞰メルマガ第90号
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◆時候のご挨拶◆

梅雨たけなわですが、所によっては災害的豪雨です。避難勧告が徹底しましたから大きな人的被害はないと思いますが。フランスの摂氏45度を超す猛暑のニュースを見ていると、気候変動の異常が想定以上に進んでいることを実感させられます。フランスはエアコンが普及してないので見ていても可哀想です。

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●G20とは何だったのか

●緊迫するイラン情勢とトランプ政権の混乱

●米中貿易戦争はどうなる

●今どきのオーディオシステムの完成

●第68回俯瞰サロン 開催案内 

●俯瞰のクッキング“油談義”

●俯瞰の書棚 “世界史の新常識”

●雑感・私感

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◆G20とは何だったのか◆

大阪のG20は二日間の日程を終了しました。しかし、あれは何だったのだろうかと思います。自国中心主義の20カ国が集まれば、何一つ一致して推進する実効性のある話は纏まるわけがありません。首脳宣言を見るとあまりにも空虚です。

 

単なる華やかな政治ショーであって、共通の課題を話し合う場ではなくなってしまいました。もともとリーマンショックの後をどうするかという、強い共通の課題があって始まったG20ですが、すっかり変わってしまったようです。世界がアメリカ、中国、ロシアそしてEUという世界に完全に分裂してしまったためでしょう。トランプ政権が自国第一主義を振りかざして、中国、ロシア、 EUと対立関係を作ってしまいました。結果として孤立し、アメリカのリーダシップは著しく損なわれました。偉大なアメリカを目指すトランプ大統領は、結果として超大国の地位を手放すことになりました。

 

G20の別の面は、各国首脳が高密度に二国間会談を展開する場です。今回注目された二国間会議は米中会談、米ロ会談でしょうか。米中会談は貿易戦争を抱えている中で行われましたが、とりあえず一時休戦して交渉再開という、最低限の結果は出しました。米ロ会談はお互いに主張を述べただけですが、軍縮交渉に応じる用意があるというプーチン大統領の言葉が結果でしょうか。その他の会談もお互いの主張を交換し、とりあえずの友好関係を取り繕うかのようでした。

 

気になったのは、驚くほどEUの存在感がなかったことです。 EUは欧州議会選挙の結果を受けて首脳陣が交代する時期ですし、ドイツのメルケル首相も政権の足元がぐらついています。フランスのマクロン大統領も国内がグチャグチャですからリーダシップを取れるはずがありません。イギリスのメイ首相に至ってはほとんど辞任したのも同然ですから、記念撮影に加わる程度の存在感です。大きく分裂した国際社会を取りまとめることができるのはEUですが、そのEUがこの状態ではますます亀裂は深まります。といってEUはブレグジットを抱え、各国ともにEUに懐疑的なポピュリストが台頭し、今後も強力なリーダシップを発揮できるような状態ではありません。

 

この環境の中、G20で日本が出来る事は、おもてなし以外にほとんどありませんでした。今、日本がすべき事は、日米、日中、日露の二国間の関係を強化していくことです。それぞれ安倍首相の個人的な関係があるとされていますが、G20の最中にトランプ大統領の日米安保破棄のニュースが流れるなど、ドナルド・シンゾウの関係もどこまで信じていいのか解りません。これまで見てきたトランプ大統領という人格では相互に信頼する関係は難しそうです。いわば番長のトランプにポチのように追従する形になってしまいます。

 

日ロ関係についても、プーチン大統領はG20直前にロシアテレビのインタビューで「北方領土を日本に引き渡す)計画はない」、「南クリール諸島の施設からロシア国旗を下ろすことはあるか」と質問されると、「そのような計画はない」と答えています。安倍外交の実態も心配です。

 

ブレグジットが起これば、必然的に日英関係は深まるでしょう。英国は依然としてアジアに影響力を持っていますから、日英関係の強化は安全保障の面でも重要です。米中貿易戦争の結果、急速に日中関係の改善が進んだのは幸いです。日本の課題は弱体化したとはいえ、EUとの連携強化ではないでしょうか。この連携で国際社会に課題解決を働き掛けていくことです。文化的には、アメリカよりもヨーロッパの方が日本にとって近いと思います。アメリカの歴史は学校で学びませんが、ヨーロッパの歴史はギリシャ・ローマから20世紀に至るまで学びます。

 

北方領土返還「計画ない」 プーチン露大統領、訪日前に表明

https://www.sankei.com/world/news/190622/wor1906220022-n1.html 

 

◆緊迫するイラン情勢とトランプ政権の混乱◆

なぜか安倍首相がイラン訪問した時から、一気にイラン情勢の緊張が高まりました。まず驚いたことに、12日にアメリカはイランに対する新しい制裁を発表しました。そしてハメネイ師との会談当日13日には、日本のタンカーを含む2隻がホルムズ海峡で何者かに襲撃されました。

 

イラン政府は直前に外務大臣を日本に派遣して、イラン訪問を歓迎すると伝えたと思います。アメリカのトランプ大統領も安倍首相のイラン訪問を歓迎すると言っていました。ここがトランプ大統領の危ないところです。と言いながら、直前に新しいイラン制裁発表するわけです。

 

可哀想なのは安倍首相です。面目丸つぶれです。アメリカとイランの交渉を仲介するという華やかな外交的成果を夢見ていたでしょうが、結果は無残です。

 

会談の内容も寂しいです。「あなたの善意と真剣さに疑問を差しはさむ余地はありませんが、米大統領があなたに伝えたということに関していえば、トランプはメッセージを交換するに値する人物とは考えていません」と、「託すべきメッセージはない」と伝えたと報道されています。あなたが出る状況ではないと、子供のように諭されのでしょうか。

 

トランプ大統領はともかく、アメリカとイランの戦争を期待している勢力が存在するのでしょう。イランを叩いて欲しいという勢力です。またイランの中に安易にアメリカと妥協すべきでないという勢力もあるのでしょう。ホルムズ海峡の襲撃は、依然として謎に包まれています。

 

イスラム革命防衛隊は、絶対的権威のハメネイ師の直属の軍隊でイラン政府が制御できません。いわば戦前の日本軍のような位置づけですから、 過激派の一部が暴走した可能性もあります。

 

アメリカは手際よくイラン革命軍の映像を公表して、イランに責任があると主張しましたが、 EUも日本も証拠として不十分とし、きちっとした証拠を出すべきだと主張しました。珍しく日本はアメリカの主張を認めませんでした。貴重なイランとの友好関係を優先したのでしょう。

 

一方イランは、領空侵犯の一機100億円以上するアメリカの無人偵察機を撃墜しました。これに対しマイク・ポンペオ国務長官とジョン・ボルトン大統領補佐官が強硬策を主張し軍事的な報復を求めたとされますが、国防省幹部は慎重でドローン撃墜に軍事行動で対応すれば、事態は一気に悪化すると主張したようです。議会関係者も慎重な対応を求めたと報じられています。しかしトランプ大統領は、一旦は軍事行動を支持して許可を出したが、なんと10分前に中止を命令したとTwitterに書き込みました。火遊びが過ぎますね。

 

さらに驚く事は、マティス前国防長官の後任への起用を決めていたシャナハン長官代行が、指名を辞退しました。シャナハン氏は米航空大手ボーイングの上級副社長だった人で、軍歴や政治経験がありません。国防長官という戦争の司令塔をあまりにも軽んじていると思います。国防長官不在で戦争を始めるというのも、各方面から懸念を持たれているようです。

 

トランプ大統領はそもそも、ベトナム戦争中に計5回徴兵を回避した人です。クリントン大統領もブッシュ大統領、チェイニー副大統領もベトナム戦争の徴兵を回避した人です。このように、口では愛国、タカ派で自分は戦争に行きたくない人を「チキンホーク」と呼び、腰抜け野郎という揶揄的な意味で用いられるとの事です。こういうアメリカの大統領に世界は翻弄されています。日本でも、声高に国家主義を主張する人には注意が必要ですね。

 

米 イランに新たな制裁発動 このタイミングで譲歩引き出し狙い

https://www.fnn.jp/posts/00419190CX/201906131210_CX_CX 

ホルムズ海峡、日本タンカー襲撃事件の“真犯人”は?

https://nikkan-spa.jp/1581369 

安倍総理イラン訪問は失敗か?

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/65273 

トランプ氏、イラン爆撃をいったん承認し取りやめ 本人もツイート

https://www.bbc.com/japanese/48715280 

シャナハン氏が国防長官辞退=代行にエスパー陸軍長官

https://www.jiji.com/jc/article?k=2019061900124&g=int 

虚偽診断で徴兵回避か トランプ氏、ベトナム戦争

https://www.sankei.com/world/news/181227/wor1812270007-n1.html 

チキンホーク

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%81%E3%82%AD%E3%83%B3%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%82%AF 

 

◆米中貿易戦争はどうなる◆

世界中が注目した大阪での米中首脳会談の結果は、とりあえずほっとした感じになりました。中国からの輸入品およそ3000億ドル分に追加の関税を上乗せする措置は当分見送る、通信機器大手ファーウェイについて政府の許可なく取り引きすることを禁止する措置も緩和する、ということでした。水面下で中国がいくつか譲歩したと思いますが。

 

米中貿易戦争は世界経済に影を落としていましたから、世界中でとりあえずほっとしたのではないでしょうか。

 

アメリカ国内の反対も強かったはずです。まず農業団体は大きな痛手を受けていますから、制裁の強化は大反対でしょう。産業界も大反対だったようです。とりわけ半導体業界は、中国輸出を禁止されると業績に大きなインパクトを受けます。消費財の小売業界も値上げせざるを得ません。売り上げの減少につながります。景気後退にもつながります。

 

もしスマートフォンの関税が上がり、値上げされれば大騒ぎになるのは必定です。スマートフォンは今や生活必需品です。

 

といってアメリカが求めている知財保護や補助金、そして技術移転の強要など中国の制度改革は譲れません。これに対しては、与党共和党も民主党も強硬論で固まっているようですから、安易に妥協できません。中国は、制度改革は内政干渉と言って断固として拒絶しています。従って米中貿易戦争は長引くのではないでしょうか。

 

一方、この米中貿易戦争の影響は色々なところに出ています。中国の企業が、「脱中国」でベトナムをはじめとした東南アジアに生産の拠点を移し始めています。すでに中国の賃金は高騰していますから、この生産拠点の移転はこのままトレンドとして続くのではないでしょうか。直近では、ベトナムがその受け皿になって思わぬ経済成長の恩恵を受けています。中国に生産拠点を持つ海外企業もサプライチェーンの見直しを行い「脱中国」の動きは止まる事はないと思います。この動きは、長期的に中国経済の成長を押下げることになるでしょう。

 

それでなくても、すでに中国は消費の減速に直面しています。マンション、自動車、そして果物に至るまで、需要は減退していると言われています。特に自動車の販売は、このところ対前年比を下回ることが続いています。自動車については、次のような構造的な問題があるかもしれません。

 

経済が成熟した先進国、すなわち北米、ヨーロッパ、日本では国内の乗用車の保有台数は人口の半分です。例えば日本の場合人口1億2,000万人ですから、日本国内の乗用車の総数は6,000万台です。乗用車は12年間使用できるとされていますから、買い替え需要は500万台になります。この10年以上にわたって実際の販売台数も約500万台で推移しています。北米でもヨーロッパでもほぼ同じです。

 

中国の場合は、総人口というわけにいきません。中間層を何人と見るかです。中国共産党は4億人の中間層があると言っています。私は、車を買える中間層の数は5億から6億人いてもおかしくないと思っています。仮に6億人とすると、中国の乗用車保有総数は3億台となります。年間販売台数は2,500万台です。

 

まだ新規もあるでしょうが、既に過去10年間の自動車生産総台数(乗用車+商用車)は2億5,000万台くらいです。そして2016年以降は、車の販売台数はおよそ2,800台で成長していません。という事は、そろそろ市場の飽和点に近づいているのかもしれません。あくまでも私の勝手な仮説です。

 

あえて言えば、米中貿易戦争があってもなくても、中国は5%程度の経済成長率で経済と社会は成熟していくのではないでしょうか。アメリカがハイテク技術を遮断しても、その代替え技術を国産化していくでしょう。必要は発明の母です。かつて尖閣列島の問題で中国が日本に対してレアアースの輸出を制限したときに、日本のエンジニアは代替技術を開発しました。

 

米中貿易戦争は長期化すると思いますが、その中で中国経済は成熟していくと思います。日本もかつて石油ショックの後、ものすごい勢いで省エネルギー技術を開発し、スミソニアン協定で大幅な円高を強いられると猛烈な勢いでコスト削減を進め、 100円でも利益を出せる製造システムを作りあげました。振り返ってみると、1980年代は日本の製造業の黄金時代でした。

 

米中首脳会談 貿易交渉再開で一致 米は追加関税見送り

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190629/k10011974651000.html 

米中衝突ニュースまとめ

https://www.nikkei.com/theme/?dw=18040901 

米中貿易戦争、中国の中小メーカーを「脱中国」へ走らせる

https://www.newsweekjapan.jp/stories/business/2019/06/post-12426.php 

ベトナムの4~6月成長率6・71% 貿易戦争が追い風

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO46744460Y9A620C1FF8000/ 

「ファーウェイ容認」、なぜトランプは変節したのか

https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/56871 

米中会談で習氏に逆風、国内消費が減速

https://jp.wsj.com/articles/SB11478348302550594552304585388384286317358 

中国自動車市場の動向

https://www.smbc.co.jp/hojin/international/global_information/resources/pdf/smbccnrep_02_017.pdf 

 

◆今どきのオーディオシステムの完成◆

前回、AmazonのEcho Link Ampを購入して手持ちのスマートスピーカーのEchoPlusと連携させ、 10年以上前に購入してあまり使っていなかったネットプレーヤー(Cambridge Stream Magic)とスピーカー(PMC Twenty)を組み合わせて、今風のオーディオシステムを作った話をしました。その後Echo Link Ampの光信号入力端子に、これまた10年以上前に購入して、このところ使っていなかったパイオニアのユニバーサルプレーヤー(DVD-AX5AVi)を接続しました。

 

実は10年ほど前、引越しを期に新しいオーディオシステムを組み上げました。そして当時の高音質のスーパーオーディオCDやDVDオーディオといった、今風に言えばハイレゾ音源のディスクをいくつか買いましたが、いずれも低調になって、スーパーオーディオCDはともかくDVDオーディオは発売中止になり、再生するプレーヤーも発売されなくなりました。 2005年に発売のユニバーサルプレーヤーは、ブルーレイ以外はすべて再生できるという貴重な代物です。

 

ネットのハイレゾ音源はネットプレーヤーで、手持ちのハイレゾディスクはこのプレーヤーで再生出来るようになりました。久しぶりにDVDオーディオを聞いてみるとネットのハイレゾ音源を超える臨場感がありました。ネットはいろいろな経路を辿ってきますから、その分劣化するのでしょう。

 

これまた10年以上前のビクターのスーパーウーファー(SX-DW77)も、メインのオーディオシステムから繋ぎ替えました。低音がぐっと充実します。クラシックはいいですが、jazzは録音段階で低音が強調されていますから、響きすぎて夜間はスイッチを切ります。それぞれ新品で購入した時は、かなりの金額でしたが、ネットで中古を見ると当時20万のユニバーサルプレーヤーは1万円くらいです。中古で買い集めるとかなり安く高級オーディオが作れそうです。

 

さらに今風として、 Bluetoothのワイヤレスのイヤホンを買いました。価格と性能から深センのANKER soundcoreを選びました。これとiPhoneで、外で手持ちの音楽を聴けるようにしました。ANKER社はユーザーから高く評価されています。

 

10年以上前にオーディオシステムを作った時に、当時手持ちの200枚以上のCDをコンピュータに取り込み、それを外付けのネットワークHDD (NAS)に入れました。どこからでも聴くことができます。実はあまり使っていなくて、新しくiPhoneのアプリを入れるとNASのファームウェアが古いので使えないというメッセージが出ました。

 

そこでNASのファームウェアのバージョンアップをすることになりましたが、一時は途方にくれました。なにしろ 10年前に苦労して、QNAPという台湾のメーカーのNASを設定しましたが、それ以来全く触っていません。マニュアルがどこにあるかもわかりません。

 

雑多な情報はdropboxに入る習慣がありますから、 dropboxの中を“QNAP”で検索すると保証書がありました。これで型番がTS-119と分かり、QNAP社のサイトに行き、同梱されていたCDにあったソフトウェアの最新版を入手し、少しずつ思い出して、ファームウェアのバージョンアップをすることができました。

 

この時感激したのは、QNAP社のユーザーサポートのサイトが実によく出来ていて、 10年以上前の製品のサポートもきちんとしていることです。日本のメーカーとは段違いです。日本のメーカーはユーザーサポートの情報提供が非常に貧弱です。あえて名前を出すとソニーサイトとQNAPでは比べ物になりません。そもそも、ほとんどファームウェアのバージョンアップなどありません。日本の電機産業が凋落したのは色々な原因があると思いますが、顧客と真摯に向き合うという姿勢が不十分だったと言えるかもしれません。ともかく現在では、台湾や中国のメーカーの水準は日本を凌駕しています。

 

ということで「今風のオーディオシステム」が完成しました。ただシステムを作ってもそのうちにほったらかしになる危険があります。知識と機器を集めて組み上げるプロセスが好きですから。その時間が楽しい時間なのです。

 

音楽を聴く、音を聴くという2つのモードの切り替えが必要です。ややもするとオーディオマニアは、音を聞いて音楽を聞かないことなりますから。音域の広いチャイコフスキーのバイオリン協奏曲を聴きましたが、結構高音域も聞こえていてほっとしました。

 

◆第68回俯瞰サロン開催案内(7月23日)

東急電鉄 執行役員 東浦亮典さんに聞く、「私鉄3.0~電車に乗らなくても儲かる未来~」

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昨年末に「私鉄3.0-沿線人気No.1 東急電鉄の戦-略的ブランディング」(ワニブックスPLUS新書)を上梓された東浦亮典さんにお越しいただきます。提言されている、私鉄が目指すべきさらなる「未来=3.0」。「顧客との決済やポイントを基盤とした新たなサービス」「鉄道、バスの次に来る新しいモビリティ」「ベンチャー企業支援」などなどを、現役執行役員の視点から伺います。

 ■日 時: 2019年7月23日(火)18時30分より(18時受付開始)

■会 場: 品川インターシティ会議室3 東京都港区港南2-15-4

 http://www.sicity.co.jp/download/accessmap.pdf

■参加費: 講演会のみ 1,000円 / 懇親会 3,000円

      当日、受付にて申し受けます。

■定 員: 50名程度    (定員になり次第、申込みを締切ることがあります)

■お申込み専用サイト:

https://ssl.form-mailer.jp/fms/92a26e9a623580?fbclid=IwAR1F2bPHor4lpqL5_Tci4Bi4lC6y3-v9gYXGedHNp3NnScbT7AKwzsnHv_c

◆講師プロフィール

東京急行電鉄執行役員 渋谷開発事業部長。

1961年東京生まれ。1985年に東京急行電鉄入社。自由が丘駅駅員、大井町線車掌研修を経て、都市開発部門に配属。その後一時、東急総合研究所出向。復職後、主に新規事業開発などを担当。町田市の『グランベリーモール』、賃貸コンセプトマンションブランド『TOP-PRIDE』、『クリエイティブシティコンソーシアム』、『次世代郊外まちづくり』、『東急アクセラレートプログラム』などの立ち上げにも関わる。また東急沿線の都市開発戦略策定、マーケティング、プロモ―絵本、ブランディング、エリアマネジマントなども担当。2016年より執行役員。都市創造本部運営事業部長を経て現職。

著書: 

- 私鉄3.0-沿線人気No.1 東急電鉄の戦略的ブランディング(ワニブックスPLUS新書) http://u0u0.net/Y9Bz (AMAZONへの短縮URL)

 

◆俯瞰のクッキング “油談義” ◆

これまでも何回か食用油について記事を書きましたが、今回は料理に使う油のセットを変更したので油談義をしましょう。

 

食用油には飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸があります。飽和脂肪酸は動物の油、ココナツオイルなどです。これはかなり知られてきましたが、飽和脂肪酸の中でもマーガリンやショートニングは摂取してはいけない油です。昔は植物性で健康に良いと推奨されたマーガリンですが、欧米では使用禁止状態です。気を付けなくてはいけないのは、ショートニングです。市販のパンやケーキに使用されている可能性があります。これは表示されていません。週刊誌は食べていけない食品を時々特集していますから、それを見るのもいいでしょう。私は基本的にパンとケーキは食べません。

 

動物脂肪は、霜降り肉や豚のバラ肉はあまり取りませんが必要な油でしょう。豚のバラ肉は、角煮がおいしいので時々食べます。トンカツも時々作りますが、ロースの背油は取り除きます。ココナツオイルは購入しましたが、香りが独特でどんな料理に向いているのかまだわからず、ほとんど使っていません。

 

不飽和脂肪酸はオメガ9系、オメガ6系、オメガ3系に分かれます。いずれも必要な脂肪酸ですが、摂取量の割合が重要だと言われています。

 

オメガ3系の脂肪酸にはα‐リノレン酸が含まれていて、体内でDHA、EPAに変換されます。積極的な摂取が進められています。一般に摂取量が少ないので。代表的な油はアマニオイル、エゴマオイルです。加熱に弱いので、私は朝食に作る野菜ジュースに大さじ1杯弱程度入れます。

 

オメガ6系は、大豆油やコーン油などいわゆるサラダオイルです。これも以前はリノール酸が体に良いとしてもてはやされましたが、現在では取り過ぎに注意ということになっています。サラダ油は揚げ物に使われますが、我が家では揚げ物の油として、キャノーラオイルを使用しています。キャノーラオイルはオメガ3とオメガ6が1:2で含まれています。

 

オメガ9系はオリーブオイルや米油です。今後は炒め物と焼き物に使う油を米油に変えることにしました。これまでは地中海料理の炒め物や焼き物はオリーブオイル、その他の炒め物と焼き物はキャノーラオイルを使っていましたが、テレビの番組で米油には他の油にない有効な成分があると紹介されたので、健康フリークの私は早速飛びついたわけです。

 

米油にしか含まれていないという成分は「γ-オリザノール」です。強力な抗酸化力が、コレステロールの吸収を抑える作用があると言われています。

 

そしてトコトリエノールです。ビタミン E はトコフェロールとトコトリエノールの二つのファミリーから構成されています。そしてトコトリエノールは抗酸化物質してはトコフェロールより強力といわれています。ビタミンEとしては、ほぼ毎日アボカドを朝食に食べています。

 

米油を精製する方法は「圧搾抽出」と「溶剤抽出」がありますが、むろん「圧搾抽出」を使っています。スーパーに置いてある米油は「溶剤抽出」が多いようです。ですからネットで買います。

 

揚げ物は好物ですが、あまり作らないようにしています。酸化した油は体に有害であると言われていますので、もったいないですが一回で捨てます。ただし使うキャノーラオイルの量は揚げ物でカップ1 、トンカツの場合は肉の厚さの半分程度です。そして、できるだけ小さなフライパンを使います。

 

細かい数字は「料理に使う油のおすすめは?」はわかりやすいでしょう。 https://syokuzaitakuhai-torisetsu.com/good-oil-bad-oil/ 

 

◆俯瞰の書棚“世界史の新常識”◆ 

今回は「世界史の新常識」文藝春秋 編集 文春新書 2019です。

この本はいくつかの雑誌に掲載されたコラムを選んで編集したものですので、文体や知識のレベルがバラバラで編集としては荒っぽい本ですが、いくつかの部分は興味深く、目からウロコもあります。冒頭に「新しい時代を生き抜くには、新しい視点で歴史を学び直す必要があります。今の世界をリアルに理解するための世界史」とありますが、同感です。

 

以下、面白いと思ったところをご紹介しましょう。まず古代編では。

“通常は、戦争に敗れた側が勝った側の文化に憧れる。ところがペルシア戦争に勝利したギリシア人が、敗れた側のペルシア文化を模倣し、ペルシア趣味に耽るという、逆の現象が生まれたのである。

豊かなアジア、貧しいギリシア。なぜギリシア人は、これほどまでにペルシア風を愛好したのか。世界史で習った印象とは逆に、ギリシアよりペルシアの方が、はるかに豊かだったからだ。ギリシアの国土は山がちで瘦せており、ブドウやオリーブは育っても、穀物の自給は難しく、一部を除いて貴金属も乏しい。対してペルシア人は、小アジアから中央アジアにまたがる大帝国を築き、農作物から貴石に至る豊かな産物を有していた”“今のペルシア、すなわちイランは豊富な石油もあります”

 

仏教については。

“禅宗は、六世紀の支那で、荘子思想を読み換えて成立した仏教なのである。ところが皮肉なことに、これが一度ひっくり返って、逆に仏教本来の姿を現している。

その仏教では何を説いているのか。釈迦の「悟った」という思想は何なのか。それは、この世のすべては「無常」だということである。無常とは、恒常、永遠を否定した言葉である。恒常、永遠のものはない、そのことが分からず、これに執着するから迷いとなる。 恒常、永遠は、無限、絶対、完全と言い換えてもいい。無常は、これに対し、有限、相対、不完全ということになる。”とありますが、これをカント哲学つなげている点が面白いです。

 

“カントは、理性は世界の究極に至りえないと考えたが、そうなると、我々人間の行動は何によって根拠づけられるのか、という大問題が浮かび上がってくる。それがカントにとっては「実践理性」であり、ハイデッガーにとっては「決断」であり、サルトルにとっては「投企」である。人間は現実に行動せざるをえない。”

次のくだりも興味深いです。

“これからのEU、あるいはEU諸国の文明の行く末を考える際に、ローマ帝国末期の事情を知ることは無駄ではないだろう。 滅亡は難民問題から始まった。フン族に追われたゴート族のローマ帝国への流入を受け入れました。難民受け入れです。

ローマはなぜ滅んだのか、と繰り返し問われて来た。その最大の理由はローマ帝国の滅亡が単なる一帝国の滅亡にとどまらず、帝国という政治組織とともに、ローマの文明そのものも同時に崩壊してしまったからであろう。民衆の大多数がその価値を認め、支持するからこそ文明は存続するのである”

 

最近とみに弱体化しているEUをローマ帝国の滅亡に重ね合わせると確かに面白いです。ルネッサンスに関しても興味深い記述があります。ルネッサンスはこれまでヨーロッパのサクセスストーリーとして位置づけられていましたが、そんな簡単なものではないということです。つまり、これまでは「古代の復活」、「ヨーロッパ人こそが古代ギリシアやローマの文化的後継者である」、「中世からの解放」 、 「近代の出発点」としてルネッサンスを位置づけてきましたが、ルネッサンスはビザンティン帝国によって始められ、オスマントルコによって継承され、そこからイタリアのルネッサンスに引き継がれたとのことです。

 

“ビザンティン帝国を倒したのは、オスマン帝国のメフメト二世ですが、彼はプトレマイオスの『地理学』やホメロスの写本などのほか、ヘブライ語、アラビア語の文献も数多く集め、トプカピ宮殿に所蔵しています。率直に言って、当時の西方のラテン語世界と東方のアラビア語世界を比較したら、知識の量、テキストの数いずれで見ても、はるかにアラビア語圏のほうが高い水準にありました”です。

 

産業革命がイギリス料理をまずくしたという話も面白いです。

“イギリスの食は、大量生産可能な農業牧畜産品、トロール漁業産品と、工業製品で占められるようになる。トロール漁業で水揚げされたタラ・オヒョウと、大量生産されたジャガイモで作られたフィッシュ・アンド・チップスや、同様に大量生産食材を用いたベーコン・アンド・エッグズは、19世紀後半以降の下層階級の栄養状態を改善するのに貢献した。産業化したイギリスは熱量の点では豊かさをもたらしたのだ。かつてあった、蒸す、直火で炙る、遠火で熱するなどさまざまな方法が消失した。また、野菜を生食するサラダも一九世紀前半には消滅し、その後はキャベツ、カリフラワー、にんじんやジャガイモ、カブなど、根菜類を塩茹でしたものをクリーム系のドレッシングで和えた「茹でサラダ」が登場し、調理方法の多様性の低下は料理の味付けにもおよび、調理段階では最低限の塩・胡椒 が用いられるだけとなった”ということです。この調子で紹介しているとキリがないので、最も印象に残ったところを紹介して終わりにします。

 

日本人はアメリカの歴史を正しく認識していないということです。

“アメリカの史書は中国にとっての「論語」のようなものだと言えばわかりやすい。アメリカの歴史家がそうであって欲しい(欲しかった)母国のありようが描かれているのである”

まず、なぜリンカーンが奴隷解放宣言したかという理由は、初めて知りました。

“アメリカの政治家にとって、英国は潜在敵国であり続けた。アメリカが英国に伍するためには軍事力を高めなくてはならない、そのためには州の権利を抑制してでも連邦政府主導で工業化を強力に進めるべきだ。そう考えたのがフェデラリスト党(連邦党)であり、同党が発展して結成された政党が共和党であった(1854年)。一方で、合衆国はあくまで合州国であり、州の権限を尊重すべきだと考える勢力が民主党(当時の呼称は民主共和党)であった(1824年結党)。彼らはとりわけ各州のプランテーション農業を重視した。

南部諸州は、「英国の政策に追随すれば巨利を得る。アメリカに必要な工業製品は英国から低関税で輸入すればよい」と考えた。民主党は、こうした南部プランテーションオーナーの支援を受けた。一方で英国に伍する強国に変貌すべきだと考える共和党は、工業立国を目指した。そのためには高関税政策(保護貿易)をとり、北部諸州の幼稚産業を保護しなくてはならなかった。

 

南北戦争が勃発した。このときリンカーン政権が最も恐れたのは、イギリスの軍事介入だった。イギリスは自由貿易帝国主義の重要な歯車となっていた南部諸州を支援したかったのである。そのイギリスの軍事介入を牽制する奇策が奴隷解放宣言(1862年9月)であった。イギリス知識人は奴隷制度を嫌悪していた。そのことはイギリスが1807年には奴隷貿易禁止法を成立させていることからわかる。リンカーン政権に戦いの目的を「奴隷制度廃止」と高々と 謳われてしまうと、イギリス政府は金縛りとなった。表立った介入は出来ず、せいぜい南部連合からの武器の注文に応える程度となった”とは驚きです。南部民主党は、一貫して人種差別主義だったようです。ウィルソン大統領、ルーズベルト大統領、トルーマン大統領いずれも、人種差別主義者だったということも驚きました。“現代の一般のアメリカ人も民主党の歴史を知らない。だからこそ、ウッドロー・ウィルソンもFDRも偉大なる大統領のままなのである”です。

 

人種差別主義を掲げていた民主党は、次第に共和党に対し劣勢になり、そこで劇的な変化を試みて大成功したとのことです。

“彼らは、過去の民主党の人種差別的行状を覆い隠すために、あるレトリックを使った。人種差別の主体を「アメリカ人全て」だったことにしたのである。民主党が人種差別をしたのではなく、「アメリカという国全体が人種差別的であった」ことにした。このレトリックは呆れるほどに効果的であった。”

いろいろ面白い話が紹介されていて、飲み会や食事会でレベルが高い話題になりますから、ご一読をお勧めします。

 

◆雑感・私感◆

以上も雑感・私感ですが出来る限り参照データを紹介しています。個人のブログは面白いですが、個人的な偏りがありますからできるだけメジャーなメディアを引用しています。

●トランプ大統領が板門店で金委員長と会談する、軍事境界線を越えるという政治ショウをしましたが、金委員長に完全非核化の意思はなく、トランプ大統領は非核化の推進ではなく再選のポイント稼ぎのショウです。

●ワールドニュースをよく見ますが、フランスの熱波は尋常ではありません。 45度を超える猛暑ですから。そのため自然発生的に山火事が発生しています。ほとんどの家はエアコンがありません。すでに手遅れですが、真剣に気象温暖化に取り組む必要があります。

●安倍首相も、かっこいい外交成果を飾って参議院議員選挙に臨む夢は絶たれました。幸い野党があまりにも酷いので不戦勝モードですか。野党を無力化したのは安倍政治の成果です。

●年金2,000万円問題は正論ですから、それから逃げる政権はおかしいです。 若い人たちはきちっと反応しつつあるようです。証券業界の活性化の意図も見ますが。

●一連の言動を見ていると、麻生財務大臣はいわば日本のトランプですか。各自それぞれ生活水準が異なりますから一概に言えませんが、たとえ厚生年金があっても、それだけで満足できる老後の生活はできません。少しずつ貯金を取り崩していくのでしょうが、人生80歳の時代から人生100歳の時代に移行すれば、老後に必要な自己資金はかなり増えます。多くの人がこの問題に直面するでしょう。

●それにしても霞ヶ関で覚せい剤の事件が後をたちませんが、実態はもっと悪いのかもしれません。その原因はやり切れないストレスの発散かもしれません。エリート官僚が安易にドラックに流れるとは情けないです。公務員が魅力がない職業になって、人材の質が落ちたのでしょうか。とすれば由々しき問題です。

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◆内容・記事に関するご意見・お問い合わせ/配信解除・メールアドレス変更は下記までwebmaster@fukan.jp

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◆俯瞰MAIL90号(2019年6月30日)

発行元:一般社団法人俯瞰工学研究所

発行人:松島克守

編集長:松島克守

配信人:石川公子

URL:https://www.fukan.jp/

 

◆俯瞰メルマガ第 89号◆2019年6月3日発行

俯瞰メルマガ89
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◆時候のご挨拶◆

5月から猛暑です。日本から春や秋が消えて、夏と冬という気象になるのでしょうか。アメリカでの竜巻、洪水のニュースが報じられますが、地球温暖化との関連のコメントはありません。海面温度の上昇等の地球温暖化が、竜巻や豪雨にエネルギーを与えているとは思わないのでしょうか。

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●米中はトゥキディデスの罠か

●揺らぐEUの理念

●緊迫のイラン情勢

●東大俯瞰塾

●今どきのオーディオシステム

●俯瞰サロン(第67回&第68回) 

●俯瞰のクッキング“ふるさと納税”

●俯瞰の書棚 “「HARD THINGS 」ベン・ホロウィッツ”

●雑感・私感

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◆米中はトゥキディデスの罠か◆

米中の通商協議が決裂してから、さらに米中貿易戦争は激しさを増しています。本質は覇権争い。とりわけハイテク分野での覇権は軍事力に影響しますから、挑戦を受けているアメリカは譲れません。この強行姿勢は、民主党を含めて強い支持を受けています。民主党は中国を暖かく国際社会に受け入れ経済成長すれば、民主化が進むと考えて中国政策を進めてきました。それが裏切られたというか、むしろ想定外に共産党統治が強固になったという忸怩たる思いがありますから、民主党政権になっても対中国政策は強硬策しかありません。

 

米国からの輸入が少ない中国は、関税戦争では対抗に限界がありますが、 アメリカに対する抵抗を強めています。レアアースという切り札をチラせかせてきました。

 

むろん中国経済も減速という悪影響を受けています。この中国経済の減速は、世界経済、日本経済にもマイナスの影響が出ています。引き続きアジア経済にも。もちろんアメリカ経済も影響を受けます。特に大豆農家は大きな打撃を受けますが、たっぷり補助金をもらっているようです。もともとトランプ大統領の最大そして唯一の関心は、大統領選挙ですから。

 

中国も妥協できませんから、この戦いは、いわゆる歴史的な「トゥキディデスの罠」すなわち、“台頭する新興国と守りに入る覇権国の衝突が、いつしか「引くに引けない」状況に追い込まれて戦争に突入する”状態で長い戦いになるでしょう。

 

アメリカはかつてスプートニクスショックをソ連から受けました。最先端の宇宙技術で見事に出し抜かれたわけです。そしてソ連は、核弾頭付きのICBMをアメリカにつきつけて対等の関係で冷戦をしました。

 

今回はハイテク分野、とりわけ5Gの分野でHuaweiに大きく追いこされていたことがショックでしょう。そして元々その知財は合法、非合法でアメリカから流出したものだという認識です。現在のアメリカはHuaweiを潰す、もしくは弱体化させるという意志が見えます。

 

深センのHuawei を訪問した時も、人民解放軍とは全く関係ない、共産党の介入を避けるために株式を公開しない、創業者は人民解放軍に在籍したといっても、たかが大尉だったというような説明を受けました。しかし先般カナダで逮捕された創業者の娘は複数のパスポートを所持するという、明らかに一般民間人では無いことが露呈しました。これ以外にも色々なエビデンスをトランプ政権は押さえているでしょう。

 

続くターゲットは、ドローンのDJIです。長らくアメリカに玩具として輸出していましたが、気がつけば世界のシェア70%で、全てGPSとカメラを装備しています。そして監視カメラでシェア世界一のHIKVISIONです。監視カメラはそれ自体がwebサーバーですからハッキングは容易できます。月の裏面に着陸させた宇宙技術もアメリカを超えているかもしれません。トランプ大統領が、アメリカが焦る気持ちもわかります。 

 

トランプ大統領、トランプ政権が理解できていないのは東洋の文化です。日本で言えば“恥の文化”です。圧力に屈するような屈辱的な行動は絶対に出来ません。とりわけ習近平主席は党内事情から弱腰な姿勢は許されません。無謀であっても、それに立ち向かう文化です。日本もかつてABC包囲網という圧力をかけられ、真珠湾攻撃に出てしまいました。中国国民もアメリカとの戦争ですから、ある程度の我慢はしても耐えるでしょう。経済が減速するといいますが、5%で問題ありません。巨大な国内市場があるので、この成長率で十分です。

 

日本は日米同盟でアメリカに寄り添う立ち位置ですから仲介はできませんが、日中関係の改善と経済関係の強化は進むかもしれません。

それにしても日露戦争も知らない無学のトランプ大統領とのお付き合い、お疲れ様です。トランプさん、真のリーダーは教養が核心的能力ですぞ!

 

中国、政府へのデータ提供義務化=ファウエイ問題で米に対抗

https://www.jiji.com/jc/article?k=2019052900682&g=int 

米中貿易戦争が世界秩序を徹底的に変える-カール・スミス

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-05-28/PRZY3Q6KLVRS01 

中国、反米キャンペーン開始:最強硬メディア「光明日報」の主張を読み解く

https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2019/05/post-12211.php 

中国経済の見通しが5月に悪化、貿易対立激化響く

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-05-29/PS8OVS6TTDS301 

世界経済は緩やかに減速、貿易摩擦激化なら下振れも

https://www.mizuho-ri.co.jp/publication/research/pdf/forecast/outlook_190521.pdf 

世界経済は2019年後半に再加速するか? 米中交渉は最終段階で波乱含み

https://limo.media/articles/-/11051 

500年で衝突した新旧大国の戦争勃発、米中両国はその「歴史の罠」を避けられるか?

https://diamond.jp/articles/-/147978  

長期的な視野が必要な米中貿易戦争の行方

http://wedge.ismedia.jp/articles/-/16269 

レアアース市場での中国優位、長年続く見込み 加工分野で強み

https://web.smartnews.com/articles/fX1KPc3y2UJ 

ファウエイによる窃取疑惑、元社員らが語る詳細

https://jp.wsj.com/articles/SB12240879310288303561304585331864196561670 

ファウエイの正体

https://www.google.com/imgres?imgurl=http://dw.diamond.ne.jp/mwimgs/b/e/-/img_be8d5c976a4a4b3cbb7a6707475342b0252926.jpg&imgrefurl=https://ascii.jp/elem/000/001/742/1742034/&tbnid=s320Py_PpLCNPM&vet=1&docid=hToaezSsQn_okM&w=600&h=1739&hl=ja&source=sh/x/im 

https://www.google.com/imgres?imgurl=http://dw.diamond.ne.jp/mwimgs/f/3/-/img_f3d9e164e9ecdb468370d805389c3f93223705.jpg&imgrefurl=https://diamond.jp/articles/-/179812?page%3D3&tbnid=hZDvnOjQTxLMzM&vet=1&docid=l4lRAiSwft-d5M&w=600&h=1210&hl=ja&source=sh/x/im 

https://www.google.com/imgres?imgurl=https://techcrunchjp.files.wordpress.com/2019/03/huawei2.png?w%3D2249%26h%3D1125&imgrefurl=https://jp.techcrunch.com/2019/03/31/2019-03-29-huawei-books-8-8b-profit-for-2018/&tbnid=FW1I48tgVXzCkM&vet=1&docid=Sq8iMpL5ApL59M&w=2249&h=1125&hl=ja&source=sh/x/im 

安倍首相も呆れた トランプは日露戦争を知らなかった

https://ch.nicovideo.jp/shukanbunshun/blomaga/ar1765730 

 

◆揺らぐEU の理念◆

EUの議会選挙の結果が出ましたが、欧州の民意は理解しにくいですね。予想されたポピュリズムの極右政党の伸びがなかったことで安堵したところもありますが、フランスでは、ついにマクロンの政党を抜いて第一党になりました。

 

イタリア、ポーランドでも善戦したようです。イギリスでは、単純にブレグジットだけを公約にしたブレグジット党が第一党になりました。この政党もある意味ポピュリズムです。スコットランドでは反ブレグジットを掲げたスコットランド国民党が第一党になりました。保守党、労働党ともに大きく議席を失いました。国会の状態をみれば当然でしょう。メイ首相も涙の辞任ですが、あまりに能力に欠ける首相と判定されたのでしょう。イギリスは社会的にも地域的にも、大きく分断されていることがわかりました。イギリスの合意なきEU離脱が現実味を増してきました。

 

マクロン大統領はイエロージャケットのデモが続く中での敗戦ですから、リーダーシップが弱まります。ドイツの首相も退陣間近です。そして、この選挙結果を受けてフランスとドイツがEU委員長座を争っているとのことです。

 

EUは歴史的に戦乱に明け暮れたヨーロッパの恒久的な平和を構築するために、長年の宿敵のドイツとフランスが不戦の誓いをしてECを立ち上げ、ヨーロッパの統合を目指すという高い理念のもとに作られた挑戦的な政治プロジェクトです。加盟国が増えるに従って統合が難しくなってきたとは皮肉ですが、イギリスが離れ、フランスやイタリアその他の国でEU懐疑派が勢力をつけてくると、崩壊とはいかないまでも、統合とは逆の方向に行くかもしれません。

 

人権と民主主義の強固なEUは国際政治の要です。その理念にEU各国の国民の迷いが生じているとは。 EUと日本のEPAが示すように、合わせると世界のGDPの30%を占めます。日本はEUとの連携で国際社会の中できちっとした存在感を出す必要があります。日米同盟だけでは日本の戦略になりません。ですからEUの現状と今後が気になります。

 

欧州議会選、ポピュリスト政党伸び悩む-仏伊で善戦でも

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-05-26/PS4QVL6JTSE801 

英でブレグジット党が圧勝 2大政党は大敗 

https://www.bbc.com/japanese/48419234 

スコットランド国民党が躍進、反ブレグジット掲げ

https://www.bbc.com/japanese/48418824 

欧州議会選、仏は極右が第1党へ マクロン氏は僅差で第2党

https://jp.reuters.com/article/eu-election-france-lepen-idJPKCN1SW10O 

欧州議会選、二大会派過半数割れ 要職巡り駆け引き始まる

https://jp.reuters.com/article/eu-election-idJPKCN1SX00N 

欧州委員長候補めぐり仏独が対立 EU主要人事

https://www.bbc.com/japanese/48441534 

欧州議会選での主流会派の大敗は、EU崩壊の予兆か

https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00002/052700384/?P=1 

 

◆緊迫するイラン情勢◆

今回のイラン危機は、米国のトランプ大統領が5月8日に、2015年に米英独仏中ロとイランの間で結んだイラン核合意を離脱すると表明したことから始まりました 。そして、米国は合意によって解除していた経済制裁を全て再発動させました。

 

トランプ大統領は、イランが軍事的な対応をしないために攻撃型空母も派遣しました。何らかの情報があるのかもしれません。軍部が要求したようですから。

 

基本的にアメリカの敵国はロシア、中国、イランです。ですから、この3国には経済制裁を発動させて弱体化を進めています。

 

中東地域は国が分かれていますが、1つの枠組みはイスラム教のスンニ派とシーア派の対峙です。イランはそのシーア派の元締めとして中東各国の別働隊に資金援助をしてスンニ派の政権と対峙させています。シリアではアサド政権を支援するためにシリア南部のゴラン高原周辺に軍事勢力を展開しアサド政権のシリア制圧の支援をするとともに、イスラエル国内にミサイルを打ち込むなどして、イスラエルとの小競り合いを繰り返しています。

 

ガザ地区などでもヒズボラのような軍事勢力を資金援助し、そのヒズボラはイスラエルにミサイルを打ち込むような活動をしています。そしてこれに、イスラエルは反攻しています。

 

イエメンではシーア派のフーシ派を支援し内戦状態になり、フーシ派は政府軍を支援するサウジアラビアに対してミサイルやドローンを打ち込むなど過激な行動をしています。アメリカがテロ国家と罵るのも仕方ないかもしれません。イランも国民の生活水準の向上のために資金を使うべきです。

 

アメリカの立場は明快で、スンニ派の盟主のサウジアラビアを支援し、ユダヤ人の聖地イスラエルを強力支援です。火中の栗を拾うこともいとわず、アメリカ大使館をテリアビブからエリサレムに移し全世界、とりわけ米国内のユダヤ人社会にコミットメントを示しました。

問題は双方ともに一歩も譲らない状態で軍事的に対峙しているので、偶発的な衝突が懸念されることです。アメリカとイランは対話するチャネルが消えてしまっているようです。ですから、偶発的な衝突の時にそれが広がる危険があります。

 

先日、突然イランの外相が日本を訪問しました。アメリカとの対話のチャネルが消えた今、安倍首相とトランプ大統領の緊密な関係を直接対話の仲介として使いたいという意図だったのでしょう。何を伝えてくれとイランの外相が言って、何を伝えたかは不明ですが、多分ゴルフ場での話でしょう。しかし日本はアメリカに寄り添っていますから、単なるメッセンジャーしかできません。

 

日本とイランは歴史的に友好関係にあるといいます。その理由は1953年の日章丸事件です。イギリスに支配されてきたイランの石油資源を国有化してイギリスから海上封鎖されたイランに、日本の出光石油が日章丸というタンカーを秘密裏に派遣してイラン自前の石油を輸入した事件を、イランの人たちは欧米に長らく支配されていた状態を打破した快挙と受け止めて、それ以来、日本人に対して近親感を持つようになったと言われています。この事件は「海賊とよばれた男」として映画化されています。

 

アメリカが問題視しているのは、イランの核兵器開発と弾道ミサイルの開発です。 2015年の核合意は核開発の速度を落とすという中途半端な合意ですから、トランプ大統領は我慢できないので、ひどい行為だと言って一方的に破棄たしたわけです。ある意味イランは中東の北朝鮮です。近隣諸国、とりわけイスラエルとサウジアラビアは、北朝鮮と日本の関係に近いかもしれません。ですからトランプ大統領はイスラム原理主義の体制を変えるとは言わない、核廃棄を要求しているのだと言っています。北朝鮮に対する要求と同じです。

 

ここでもトランプ大統領は中国との交渉と同じ誤解を、認識不足をしていると思います。イランはギリシャ時代から中東に覇をとなえたペルシアです。他の中東諸国と違ってアラビア語を話しません。ペルシア語です。誇り高い民族ですから、圧力という恫喝に負けて妥協することはないでしょう。アメリカの経済制裁にイラン国民は苦しんでいますが、むしろ団結が強くなるでしょう。アメリカの発想は経済制裁で生活が苦しくなれば、国民が政府に対し不満をぶつけ国内事情が政権を妥協に動かすと考えているのかもしれません。フランスには、これが当てはまります。それは西洋文化の世界です。東洋は違うということを識る必要があります。

 

やはりリーダーは歴史や文化を広く、深く勉強する必要があります。ビジネス書を読むのではなく、教養を深めることが1番重要な修行です。

 

イラン、核合意を一部停止 米国は経済制裁を拡大

https://www.bbc.com/japanese/48210341 

トランプ大統領、イランの体制転換目指さず-目標は核開発阻止

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-05-27/PS5J8J6JTSE801 

「イランは終わりだ!」バグダッドの米大使館付近へのロケット砲攻撃にトランプ激怒

https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2019/05/post-12155.php 

米イラン中傷合戦でホットライン不通、一触即発の危険性

https://jp.reuters.com/article/usa-iran-communication-idJPKCN1SX1YK 

緊張高まるイラン 外相来日し「日本の協力に期待」

日章丸事件

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E7%AB%A0%E4%B8%B8%E4%BA%8B%E4%BB%B6 

イラン外相の訪日

https://news.tv-asahi.co.jp/news_politics/articles/000154675.html 

米制裁下のイラン、経済崩壊を回避できるか

https://jp.reuters.com/article/iran-economy-idJPKCN1NE0J6 

 

◆東大俯瞰塾◆

今年も4月から本郷の東大で俯瞰塾をやっています。定年から11年目ですが、単位のない学生の自主ゼミです。今年はOBの何人かがこの授業を継続する必要があると、支援を申し出でてくれました。本当にありがたいです。

 

毎回申し上げていますが、俯瞰塾の目的は知的腕力をつけることです。知的腕力とは、情報の収集、分析、編集を高い水準で、短時間で実行する能力です。時間をかければできますがそれでは競争優位に立てません。人生はある意味チーム間の競争であり、個人間での競争でもあります。

今年も5チーム、 25人の学生が参加しています。今年は少しカリキュラムを変えました。オリエンテーションの後、チームごとに、研究対象企業を決めました。従来は、ややもすると、よく知られた企業、 1部上場の企業になっていましたが、今年は上場以降一貫して成長している企業を選びました。といっても短期間では企業の評価はできませんから、少なくとも3年以上経っている企業です。

 

主に以下の4つの観点から、

・業績(主に売上やEBITDA)が継続的に伸びている

・株価も継続的に伸びている(やや横ばいも含む)

・学生内での知名度も比較的ある

・事業領域も比較的広い(1つに特化しすぎていない)

TAの学生が選び出した企業は、リクルート、LINE、SMS、ユーザーベース、MonotaROの5社です。学生から見た未来ある企業です。ですから就職もベンチャーを含めてこういう会社を選んでいます。もはや成長していない伝統的な経団連的な企業に、優秀な学生は行きません。

 

第1回の課題は有価証券の見方で、第2回の課題はいきなり企業価値の算出でした。第3回はマーケティングで、第4回は新しい課題の AIとIOTです。次の第5回の課題はM&Aです。このテンポで毎週ですからかなりのハードワークです。前日は半分徹夜になるでしょう。このハードワークも知的腕力の強化のためです。何年か前、ある学生が「東大に入ってこんなに勉強した事は初めてだ」と言いました。毎年の事ですが、5月の末になるとぐっと力がついてきたことが感じられます。これが教師の醍醐味です。

 

追及するものは知的腕力ですが、結果としてビジネス・リテラシーがついてきます。この授業が終われば知的腕力で就活戦線に参加するわけです。

 

毎週チーム全員が前に出てプレゼンテーションをします。全部終わった後で、どのチームが良かったかとして投票します。それがチームの点数です。質問の回数が個人の点数です。正規の授業時は、この合計点で上位からA,B,Cをつけました。Dは成績表が汚れるのでつけませんでした。

 

この俯瞰塾は毎週木曜日の午後、本郷の工学部3号館の3階で行っています。 参観可能です。ふらりと覗くのも問題ありません。

 

◆今どきのオーディオシステム◆

音声認識のスマートスピーカーをいくつか買って勉強するというか、時代の風を確認しました。現在ではキッチンと寝室にGoogle Miniを1台ずつ、リビングにはAmazon EchoPlusを置いています。キッチンでは翌日のスケジュールや天気予報を聞くことが多いです。寝室はもっぱら目覚ましです。リビングのEchoPlusではスタンドという床置きライトの点滅ができます。

 

 1番使うのは「アレクサ音楽かけて」です。Echoだけであれば6500万曲以上というAmazonUunlimitedが月額380円です。

 

やってみると困ったことが判明しました。曲名を直接言える曲はクラシックでもジャズでもほとんどありません。作曲者もモーツアルトやベートーベンといった限られた名前しか口にできません。「ベートーベンのピアノソナタをかけて」くらいがせいぜいです。歌手といっても昭和の歌謡曲やフォークソングの歌手しか知りません。平成の歌手は宇多田ヒカルとAKB48しかありませんでした。ですから結果として、歌手とか作曲家の名前で適当にシャッフル再生してもらうことになります。本当に何かを聞きたいときはCDを見て頼めばいいのですが、それが面倒だから「アレクサ音楽かけて」になるわけです。ワインを飲みながらのBGMです。

 

もう一つは音質です。EchoPlusは「パワフルな360°全方向スピーカーで、クリアなボーカル、ダイナミックな低音」という売り文句ですが、さすがに本格的なオーディオ装置に比べるとかなり落ちます。

 

そこで新たに発売されたEcho Link Ampを買って試してみました。マイクはついていませんのでEchoPlusと連携です。このアンプには電源スイッチはありません。電源コードを刺すだけです。前面も真ん中に大きな音量ボリュームがあるだけです。背面に外部機器入力として光デジタルとRF同軸ケーブルの端子がありますが、どこにも入力切り替えがありません。最初はわかりませんでしたが、アレクサから音楽を出力している時はそれが優先されるということです。思い切った割り切りです。

 

 10年くらい前に買って最近使ってないスピーカー(PMC Twenty)がありましたのでそれを繋ぎました。外部入力としてこれも最近使ってないネットプレーヤー(Cambridge Stream Magic) を接続しました。

 

最近オーディオの世界は高音質の「ハイレゾ」の世界です。ハイレゾとは、従来のCDを超える情報量を持つ高音質音源です。圧縮音源では伝えきれなかったレコーディング現場の空気感やライブの臨場感を、より感動的に体感できるということで急速に普及しました。

ネット上にたくさんのハイレゾ音楽がありますから、ネットプレーヤーを使えば膨大な曲を聴くことができます。またネット上には無数の放送局が存在します。

その中でも最高の音質のスコットランドのLINNは定評があります。少し音質が落ちますが、日本のOTTOVAも人気があります。 

 

ネットプレーヤーのLINNでリビングの本格的なオーディオとEcho Link Ampのシステムと聞き比べていましたが、もう私の耳では差を感じることが出来ませんでした。高音域の聴力が歳ともに落ちていますから。どのくらいまで聞こえているか一度耳鼻科に行って検査してもらおうと思っています。

 

音楽の時だけEcho Link Ampに切り替わるだけです。これもどこにも書いてありません。むろん入力切り替えも。というよりマニュアルは存在しません。接続方法の簡単なパンフレットがついてくるだけです。

 

ともかく、まだあまり使い込んでいませんが、EchoPlusに話しかけるだけで音楽が高音質で楽しめるのは、新しい時代の風です。キーボードから音声コミュニケーションの世界へ確実に移行しつつあることを実感できます。

これとハイレゾのスマートフォンと組み合わせれば、今どきのオーディオシステムです。

 

◆俯瞰サロン開催のお知らせ(第67回&第68回)

【第67回俯瞰サロン(6/19)

河野通長さんに聞く スマートシティモデルで拓く未来社会】

 

日時:2019年6月19日(水)18:30-(18:00 受付開始)

会場:品川インターシティ会議室

  東京都港区港南2丁目15-4 地下1階(品川駅港南口徒歩5分ほど)

参加費:懇親会 1000円、懇親会3000円 当日、会場にて申し受けます。

お申込みサイト:https://ssl.form-mailer.jp/fms/363b5134602103

 

 先月号の俯瞰メルマガで紹介した「スマートシティモデルで拓く未来社会: まちづくりを超えて成長エンジンへと深化するスマートシティ」(Kindle版)の著者 河野通長さんにお越しいただきます。日立製作所でのスマートシティ事業の立ち上げを経られて、現在、国内外で持続可能なまちづくりをテーマとしたコンサルタントとして活動されています。

 

概要:

わが国の科学技術政策の重要テーマとなった“Society 5.0”に関連して、わが国の府省が主導する「スマートシティ」が再びブームとなっている。

スマートシティは2008年頃に国内外で最初のブームを迎えたが、その当時は地球環境の保全を目的とした省エネルギーに偏重したもの、あるいは情報通信技術の活用に偏重したものなど技術指向で、その牽引役は産業界であった。企業が提唱するスマートシティに失望感が生まれると共に「スマートシティ」という流行語も飽きられて死語となった。

しかし、欧米では市民・住民を中心に行政、特に自治体が主体的に牽引する課題解決指向のスマートシティを目指すという方向に視点を変えてスマートシティ・ブームが再燃している。その実現を支える仕組みとして、オープンイノベーションの分野で近年注目されている「クアドルプル・へリックス・モデル」と同等の体制構築が欧米での共通認識となっている。

本講演では、「スマートシティ」の理解の変容を辿り、そこから欧米での共通認識となった体制構築や近年のボトムアップ的な活動の傾向を取り上げ、わが国の最近の府省主導のプロジェクトの課題を指摘し、解決の方向性について聴講者と議論を進めたい。

 

河野通長さんのプロフィール:

1948年東京生まれ、麻布学園高校を経て、東京大学工学部精密機械工学科を卒業

1972年日立製作所に入社。同社生産技術研究所において産業用ロボット、ロボット応用ライン、CIMシステムの研究開発に従事。本社の社内情報システム部門長として日立グループ全体のネットワーク基盤の構築、運用統括を経て、経営企画部門において新事業の創生ならびにスマートシティ事業の立上げを推進。

2013年日立製作所を退社。株式会社ミチクリエイティブシティデザイナーズを設立し、持続可能なまちづくりをテーマとしたフリーランスコンサルタントとして活動。最近は特にロシアにおける各種フォーラムへの参加が多い。

・アジア太平洋経済協力(APEC)Low-Carbon Town Taskforce 民間有識者委員

・ISO TC268/SC1 Smart Community Infrastructure 国際登録エキスパート

・著作:

- スマートシティモデルで拓く未来社会: まちづくりを超えて成長エンジンへと深化するスマートシティ(Kindle版) http://u0u0.net/TjdW(AMAZONへのURL)

- 海外スマートシティ最新事情2017:新しい視点で勢いづく欧米と周回遅れの日本(Kindle版)  http://u0u0.net/ToQC(AMAZONへのURL)

 

【第68回俯瞰サロン(7/23)

東急電鉄執行役員 東浦亮典さんに聞く、

私鉄3.0‐電車に乗らなくても儲かる未来‐(仮)】

 

日時:2019年7月23日(火)18:30- (18:00 受付開始)

会場:品川インターシティ会議室

  東京都港区港南2丁目15-4 地下1階(品川駅港南口徒歩5分ほど)

参加費:懇親会 1000円、懇親会3000円 当日、会場にて申し受けます。

お申込みサイト:https://ssl.form-mailer.jp/fms/92a26e9a623580

 

昨年末に「私鉄3.0-沿線人気No.1 東急電鉄の戦略的ブランディング」(ワニブックスPLUS新書)を上梓された東浦亮典さんにお越しいただきます。提言されている、私鉄が目指すべきさらなる「未来=3.0」。「顧客との決済やポイントを基盤とした新たなサービス」「鉄道、バスの次に来る新しいモビリティ」「ベンチャー企業支援」などなどを、現役執行役員の視点から伺います。

 

東浦亮典さんのプロフィール:

東京急行電鉄執行役員 渋谷開発事業部長。

1961年東京生まれ。1985年に東京急行電鉄入社。自由が丘駅駅員、大井町線車掌研修を経て、都市開発部門に配属。その後一時、東急総合研究所出向。復職後、主に新規事業開発などを担当。町田市の『グランベリーモール』、賃貸コンセプトマンションブランド『TOP-PRIDE』、『クリエイティブシティコンソーシアム』、『次世代郊外まちづくり』、『東急アクセラレートプログラム』などの立ち上げにも関わる。また東急沿線の都市開発戦略策定、マーケティング、プロモ―絵本、ブランディング、エリアマネジマントなども担当。2016年より執行役員。都市創造本部運営事業部長を経て現職。

著書:

- 私鉄3.0-沿線人気No.1 東急電鉄の戦略的ブランディング(ワニブックスPLUS新書) http://u0u0.net/Y9Bz (AMAZONへの短縮URL)

 

◆俯瞰のクッキング “ふるさと納税” ◆

昨今いろいろと問題視されて、大盤振る舞いの4自治体が特例から外されました。当然だと思います。しかし「ふるさと納税」の制度は大変良いと思っています。企業の本社が集中する東京が元々税金の取りすぎです。過疎の市町村が地元産品を送ることで首都圏の税金を移転する仕組みは、素晴らしいと思います。

 

ということで私も利用しています。まずお米は最近買った事はありません。 1万円で10キロ近く受け取れます。我が家では玄米を選びます。冷蔵庫の野菜室に保管して必要な量だけ小型の精米機で精米して食べます。

 

肉もかなりの量をふるさと納税で入手します。特例から外された大阪の泉佐野市はかなり他と比べて量が多かったと思います。我が家では12個1.8kgで1万5000円のハンバーグをとりよせます。冷凍のまま冷凍庫で保管しておくと便利です。豚のしゃぶしゃぶ肉は1.8 kg 1万円です。

 

魚介類では2尾で1万円のうなぎの蒲焼、 1 kg 1万円のホタテ貝柱、西京漬詰め合わせ1万円、 1 kg 1万円の明太子、天然の時知らず鮭半身(塩なし)1万5000円など取り寄せてよかったと感じたものです。

野菜果物は日持ちしませんので利用したことはありません。新鮮魚介も後が大変なので手を出していません。

 

冒頭でも書きましたが、地元産品を返礼品にするふるさと納税は、見方を変えれば自治体が生産者に代わってネット販売をするわけですから、地元経済も潤います。ただ一部の生産者だけが潤うというのでは不公平感が出ますので難しいところがあるでしょうが、東京にいる私たちは積極的に参加していいと思います。

 

むろん基礎自治体の税収は住民税と固定資産税が大きい事は承知していますが、目黒区や世田谷区、港区の財政が毀損するほどではありません。

 

◆俯瞰の書棚“HARD THINGS ” ◆ 

今回は「HARD THINGS 」ベン・ホロウィッツ、日経BP社 2018です。

本書はクラウドコンピューティングを始めた人と言われているベン・ホロウィッツのベンチャー経営の苦闘と成功の体験の記録でもあり、それに基づいたベンチャー経営者の助言というか、マニュアルでもあります。またシリコンバレーでドットコムバブルが弾けた2000年以降の凄まじい勝ち残りの物語でもあります。前回もGoogleMapを立ち上げた人々の物語から当時のシリコンバレーの状況が生々しく認識できましたが、本書もそれ以上に生々しい当時の状況を感じることができます。例えば下記(ラウドクラウドとオプスウェア)は、彼が立ち上げたベンチャー企業です。

 

 

“ラウドクラウドとオプスウェアで、ダーウィン・プロジェクトは一番楽しく、一番大変なプロジェクトだった。週7日間、朝8時から夜 10 時まで、6カ月間休みなく働き続けた。あれはとんでもなかった。週に一度、妻と夜にデートをして、午後6時から深夜0時まで全神経を妻に集中させた。そして翌日、それが土曜日であっても、午前8時に会社に戻り、夕食まで会社で過ごした。家に帰るのは 10 時から 11 時だった。毎晩だ。そして、それは私だけではなかった。社員全員がそうだった。われわれに期待されていた技術的な仕様は素晴らしいものだった。どうやって実現するかブレインストーミングを重ね、それを実際の製品へと落とし込んでいった。大変だった。しかし楽しかった。その間に誰かがいなくなった記憶はない。あれはまるで「やるしかない。やらなければここにいられない。ほかの仕事を探さなくちゃならない」という雰囲気だった。

それは、固い絆で結ばれたグループだった。多くの未熟な連中が、本当に一段成長した。海に放り込まれて「さあ泳げ」と言われたことは、彼らの成長にとって素晴らしい経験だった。6カ月後、突如として会社は、これまでになかった概念実証の契約が取れるようになった。プロジェクトの実現可能性を示すための実験の契約だ。ベンはすばらしい仕事をした。われわれにフィードバックを返し、終わったときには、みんなの背中を軽く叩いてねぎらった。”

 

何十年も前のIBM 時代に2年間くらい深夜まで働いた体験があります。ですから当時のスタッフは今でも戦友です。そして今でも年に1度は集まります。ある日の午前1時に「お先に」と言ってオフィスを出たとき女性の3人のスタッフが残っていたシーンを、私は今も忘れません。

 

次のくだりもシリコンバレーの厳しい職場環境を感じさせます。

“創造を強いる。 毎月、毎週、あるいは毎日でも目標を与えて、すぐに結果が出せることを確認する。ほかの社員たちもこの様子を見ている。「理解」しているか確認する。 コンテキストを持たない幹部は、スタートアップでは価値を持たない。どの幹部も、製品、テクノロジー、顧客、市場を理解する必要がある。新米幹部には無理にでも覚えてもらう。たとえば、CEOと新幹部とのミーティングを毎日設定する。その日耳にしたけれど完全には理解できなかったことへの疑問を、このミーティングですべて列挙させる。CEOは原則に沿って、疑問に詳しく答える。できるだけ早く、必要な情報を与えること。何も質問がなければ、解雇を検討すべきだ。 30 日。”

 

 いま話題の中国のHuaweiもこんな感じで急成長したのでしょう。私が昨年深センの本社に行った時、ほとんどの社員は3食会社で取っていると言っていました。いわゆる996です。9時から9時まで週6日。私のビジネスマン現役時代のある時期は、9時出社12時退社週6日でした。

 

“第5章 人、製品、利益を大切にする──この順番で”にあるように「 人」に関する記述が多いです。冒頭にベンチャー経営者の能力として。

“何かを生み出す人、リーダー、起業家となる人には、ふたつの能力が必要になる。ひとつは、現状を正しく把握する力。ふたつ目は、困難の嵐がやってきたときに、次々と手を打つ能力だ。”そして軍人であったコリン・パウエル元国務長官は「リーダーシップというのはたとえ好奇心からにせよ、人を自分の後に続かせる能力だ」と言ったとあります。私は8人の上司を持ちましたが3人はこの能力を持っていたと思います。

 

彼の絶体絶命のピンチは、“悲惨なドットコムバブルの破裂が起きた。ナスダック指数は2000年3月 10 日に、1年前の2倍以上に相当する5048.62の最高値を記録していたが、 10 日後には 10 パーセント暴落した。ドットコム崩壊は、われわれの予測をはるかに上回る惨状だった。それに気づいたのは、新規顧客を見込んでクラウド基盤構築のために現金の大半を投入してしまった後だった。”ということでシリコンバレーからあっという間にマネーが引き上げられ、多くのベンチャーが倒産した時期です。そして彼の苦悩に満ちた人生が語られます。

 

大企業で活躍した人材がベンチャー企業でうまくいかない理由がいくつか述べられていますが参考になります。彼は会社を売ってからHPで何千人もの組織を持った経験からいくつかの気づきを紹介しています。

 

“私の経歴の中で早くに学んだ教訓は、大企業でプロジェクト全体が遅れる原因は、必ずひとりの人間に帰着するということだった。”

“私の時間のほとんどは、既存ビジネスの最適化と調整に費やされた。仕事のほとんどが「受け身」だった。対照的に、スタートアップの幹部の場合、自分が仕掛けない限り何も起こらない。会社の立ち上げ時期には、1日に8から 10 のプロジェクトを処理できなければ、会社は止まってしまう。“

“数字を重視しすぎる。数字で厳しく管理することはぬり絵キットに似ている。HPのいくつかの部門は将来の競争力を犠牲にして現在を最適化した。会社は、会社にとって良くない方法で短期目標を達成したマネジャーたちに、褒賞を与えた。”

 

グサリと胸を刺される感じですね。この時代のHPのCEOは確か年収100億と言われたフィオリーナです。短期的な数字を追うMBA的な経営でHPも凋落しました。これで伝統的な大企業は凋落していきましたね。IBM・・・・・。

 

いろいろ興味深いフレーズがありますが、 CEOとして幾度か危機に直面したとき「心を鎮めるため」に行った事は。

“友達をつくる。問題点を書き出す。側壁ではなくコースに意識を集中する。怖気づかず、投げ出さず。恐怖と勇気は紙一重。”

参考になりますね。マネジャーを解雇するノウハウも紹介されていますがここでは割愛します。

 

 平時のCEOと戦時のCEOについて。

“平時のCEOは企業文化の育成に務める。戦時のCEOは生き残りを賭けた闘争に自ら企業文化をつくらせる。コンサルタントが書く経営書のほとんどは、成功した企業の平時の経営スタイルの研究を基にしていることに注意しなければならない。”これも認識すべき現実ですね。

幾多の困難を乗り越えた体験からくる言明はとにかく説得力があります。ベンチャーの経営者でなくても、人生論としても興味深い内容です。ご一読をお勧めします。

 

◆雑感・私感◆

以上も雑感・私感ですが出来る限り参照データを紹介しています。個人のブログは面白いですが個人的な偏りがありますから、できるだけメジャーなメディアを引用しています。

●あまりにも私たちはアメリカを識らないと改めて感じました。だからトランプ政権が理解できないのでしょう。共和党のリンカーンは北部の産業をバックに人種差別反対を推し進め、それに対して南部民主党は人種差別維持を推進した結果、北部共和党に敗北しました。今では共和党が白人主義で民主党が黒人やヒスパニックの支持を受けています。いつの間にか立場が入れ替わっています。これはまた次回に。

●ギリシャ、ローマ文明の流れを世界史の本流として位置付け、それを受け継ぐ西洋文化が国際政治の本流という思い込みがあるとすれば、中国やイランという東洋文化と融和できませんね。そう思うと明治維新以来の日本は何でしょうか。

●「ホワイトハウスが米海軍に対し、横須賀基地に停泊中の米誘導ミサイル駆逐艦「ジョン・S・マケイン」を隠し、大統領の視界に入れないよう指示していたことが分かった。故ジョン・マケイン上院議員と対立関係にあった大統領は30日、指示は「善意」によるものだったとして、関与した人物を擁護した。」とありますが、ホワイトハウスの官僚と日本の官邸官僚の忖度感覚は似ていますね。さすがアメリカ海軍は撥ね付けました。

●翻って見るとたしか、クリントン元大統領、ブッシュ元大統領、トランプ大統領はベトナム戦争の兵役をすり抜けていたと思います。それで安全保障を口にしています。ジョン・マケイン上院議員は、ベトナム戦争で負傷し、捕虜となり、拷問され、米国において「英雄」と呼ばれ、米政界でも特に高名で尊敬された上院議員となった人です。

●忖度が能力とされる大企業が多いですが結果は無残です。といって専制的で高齢でトップに居つづけた経営者の末路も哀れですね。

●6月です、夏です明るく楽しい夏を迎えましょう。

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◆内容・記事に関するご意見・お問い合わせ/配信解除・メールアドレス変更はwebmaster@fukan.jp まで。

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◆俯瞰MAIL89号(2019年5月31日)

発行元:一般社団法人俯瞰工学研究所

発行人:松島克守

編集長:松島克守

配信人:石川公子

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◆俯瞰メルマガ第 87 号◆2019年3月25日発行

俯瞰メルマガ87
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時候のご挨拶

桜、桜、あっという間に花見がやってきます。葉桜になると、桜を意識していないので先日花見をしたばかりという気持ちになるのでしょうか。元旦と同じように新年度の誓いを立てますか。で、何を?

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変身を迫られるGAFA

ブレグジットの迷走から何を学ぶか

中国の今後は

国際政治の蜃気楼

エストニアに行ってきました

65回俯瞰サロン開催案内

「サムソンが日本の半導体を超えた秘密~俯瞰力・企画力を支える超見える化~

俯瞰のクッキングイタリア料理の裏技

俯瞰の書棚 先延ばし克服完全メソッド

雑感・私感

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変身を迫られるGAFA

これまで我が世の春を謳歌してきたGAFAが、厳しい状況になってきました。政治コンサルティング会社、英ケンブリッジ・アナリティカによるフェイスブックの個人データ流用事件を発端にして、GAFAの個人情報の取り扱いについてEUは厳しい規制を導入しました。個人情報保護の大幅な強化と域外持ち出しを禁止する規制です。

 

一般データ保護規則(GDPR)によって個人情報の厳格な管理を求めるとともに、違反に対しては巨額の制裁金を課すことになります。もちろん日本もその影響受けます。ただ日本の個人情報の保護は極めて厳しいために、日本とEUは相互に個人データ保護水準に関する相互十分性を認定しました。しかしGDPR はわかりにくく曖昧な部分もあるので日本企業にとっても厄介な問題です。日本に来たEU の人、 EUに居住する日本人駐在員の情報の取扱い等、今後いろいろなケースが考えられます。何しろ巨額の制裁金という脅しがありますから、厄介です。

 

個人情報保護以外でも独禁法がらみの規制が強化されています。Googleがインターネット広告事業で反競争的行為があったとして、EU149000万ユーロ(17億ドル)の制裁金を課したと発表しました。欧州委がGoogleに制裁金支払いを命じるのは、過去2年の間で3回目です。

Facebookが、ユーザーの許可を得ずにサードパーティーが個人情報にアクセスすることを許す契約を結んでいた問題、最近の一連のセキュリティ問題に対し、議会への証人喚問や政府の諸機関による調査が行われています。最近では、また数億人のパスワードを平文で保存していたことで厳しい非難を浴びています。

 

結果としてFacebookは巨額の利益を上げているネット広告のターゲットマーケティングについて、ユーザーを人種、性別、年齢などに基づいて、求人、住宅、クレジットの広告の対象から除外できるように修正すると発表しまた。すなわち絞り込みを緩めるということでしょうか。これはGoogleAmazonにとっても重大な課題です。なにしろ、独占的に所有する膨大な個人情報からピンポイントでターゲットを絞り込むことを武器にして成長してきた彼らですから。

 

EUにはGAFAに対して規制を強めることによってEU内のIT企業の成長を促したいという意図と、同時にGAFAに対し、域内で上げた売上に対してデジタル課税をかけ新しい財源としたいという意図もあります。すでにフランスとイギリスは、独自にデジタル課税を発表しています。

 

事情は日本にとっても同じで、日本の規制当局も動き始め、自民党も日本のGAFAを呼んでヒアリングし対抗処置をとること決めました。規制当局は、Amazonが出店者に対し不公正な契約を強要していることを問題視しています。Appleについても、Apple Storeのアプリ供給者に対する30%の手数料の是非などの懸念を表明しています。

いずれにしても、GAFAにとって野放図な成長は許されない時代になりました。

 

Facebook、広告の差別的ターゲティング裁判で和解

https://www.itmedia.co.jp/news/articles/1903/20/news083.html 

Facebookが数億人のパスワードを平文で保存していたと認める

https://jp.techcrunch.com/2019/03/22/2019-03-21-facebook-plaintext-passwords/ 

独禁法推進派がもくろむFacebookの分社化

https://jp.techcrunch.com/2019/03/21/2019-03-19-facebook-cicilline-antitrust-house-congress/ 

欧州委、グーグルに制裁金17億ドル ネット広告で反競争的行為

https://jp.reuters.com/article/eu-google-antitrust-idJPKCN1R11YY 

GAFAのデータ独占に公取委がメス!本気の実態解明へ

https://diamond.jp/articles/-/197645 

アップルは優越的地位を濫用している? 公取委が調査

https://www.businessinsider.jp/post-187542 

GAFAに課税せよ!広がる「デジタル税」の正体

https://toyokeizai.net/articles/-/268692 

欧州連合における個人情報保護の枠組みGDPR

http://www.fujitsu.com/jp/group/fjm/mikata/column/sawa2/001.html 

EU、個人情報保護を大幅強化へ 域外持ち出し原則禁止

https://www.asahi.com/articles/ASL5Q1PG0L5QUHBI001.html

EU間で個人データ保護水準に関する相互十分性を認定

https://www.jetro.go.jp/biznews/2019/01/61496577e90fd3e8.html 

GAFA規制、仕掛ける自民 国際的枠組み作り主導狙う

https://www.asahi.com/articles/ASM3Q5D5BM3QULFA01S.html

 

ブレグジットの迷走から何を学ぶか

英国のEU離脱、ブレグジットの混乱も末期的な状況になりました。合意なき離脱も真実味を帯びてきました。もしくは国民投票を再度行って結果として、残留を選ぶことになるかもしれません。ロンドン中心部で23日、2度目の国民投票を求める大規模デモがありました。主催者団体は100万人が参加したと発表、多くは離脱に反対する人たちです。

 

ついにメイ首相の辞任の可能性も出てきました。となると、自爆的な国民投票をあり得ます。全く予断できません。日本への直接的な影響は大きくないと思いますが、世界経済に与えるインパクトで、為替などの想定外の影響は考えられます。

 

事の発端は、前回のキャメロン首相の国民投票にあります。彼自身、まさかの結果でした。

 

大部分の国民、とりわけ労働者階級の人たちに、離脱派の政治家は、EUがいかに官僚的で非民主的、イギリス国民から金も主権も国境コントロールも奪う存在であるかを吹聴しました。特にEU加盟国のためイギリスに大量に移民が押しかけ、国の医療、教育、サービスなどに負担をかけ、失業率や犯罪率は上がり給料は下がるという危惧を大げさに語り、そういう話をあおったのです。

 

日産の工場があるイギリス北東部サンダーランドでは、2016年に行われたEU離脱を問う国民投票では61%が離脱票を投じました。そして結果として、日産は生産を英国外に移すことを決め、雇用が失われることに愕然としています。すでに、国際企業が車を組み立てる場所としての英国の魅力は下がりました。

 

イギリスがEUを離脱するとはどういうことなのかを、きちんと説明してもらえないままに投票した人たちも多かったようです。

 

これは直接民主主義の怖さを象徴しています。といって議会制民主主義の英国議会が現在、理性的な対応をしているわけではありません。最近トーンが落ちましたが日本でも憲法改正の国民投票の話がありますが、国民全体が十分に自分の判断の結果を理解しないまま国民投票を行えば真実の民意と違う結果が出るでしょう。日本の場合は感情的な戦争反対のキャンペーンと自主防衛の主張が国民の分断をもたらすと思います。ナチスドイツは 国民投票を頻繁に行ったとのことです。

学ぶべき事は、メディアと政治家は国民に対し十分な情報を提供し、広く国民の理解を深めることと、我々国民が政治にもっと真剣に取り組む必要があるということです。とりわけ先の長い若い人たちが、自分たちの未来がかかる政治判断に冷静に取り組む必要があります。政府機関紙のようなメディア、ヒステリックな反政府メディア以外に良心をかけたメディアが、民主主義には必須です。トランプ大統領のおかげで米国メディアも正義感が出てきましたか。

 

EU離脱、2度目の国民投票を ロンドン「百万人」デモ

https://www.asahi.com/articles/ASM3S2SY3M3SUHBI003.html 

EUにブレグジット疲れ 英に「次の一手」明示要求

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO42821180T20C19A3000000/ 

EU離脱撤回を求める請願書に現れる「英国の混乱」

https://forbesjapan.com/articles/detail/26268 

英国では署名が10万人を超えた嘆願書について、議会で議論に付すか検討の対象になる。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190322-86564887-bloom_st-bus_all 

英首相、離脱案巡り閣僚・強硬派と協議 辞任圧力の報道も

https://jp.reuters.com/article/britain-eu-idJPKCN1R6009 

イギリスEU離脱で日産工場に影響:Brexitで被害をこうむる人たち

https://1ovely.com/leave-eu/ 

英EU離脱、ゴールドマンが合意なき離脱の確率を引き上げ

https://jp.reuters.com/article/britain-eu-goldmansachs-idJPKCN1R30VD 

 

中国の今後は

アメリカと中国の貿易摩擦は中国が一定程度譲歩して、ある種の妥結が実現するのではないでしょうか。先日閉幕した中国全人代で、政府を代表して李克強首相が行った政府活動報告では、アメリカと正面から競合する姿勢を避けてwin winの関係を作り出したいというメッセージがあったように思います。そして、これまでの経済政策を一部否定していました。

 

この全人代ですが、習近平総書記が終始仏頂面で資料を見ていない、という映像が話題になりました。昨年の全人代では全権を掌握し、終始笑顔であったことと対照的です。という事は、一度は失った経済政策の権限を李克強首相が取り戻したという事でしょうか。というか、習近平総書記の権力基盤も盤石ではないということですか。

 

中国経済の成長の鈍化が、かなり厳しいようですが、もともと2ケタ成長は長期間続きません。人口ボーナス、環境汚染のような成長の限界がありますから。これは日本がたどってきた道です。中国もその例外ではありません。ただ日本は、オイルショックというハードランニングで高度成長から5%の成長に移行しました。中国はアメリカとの貿易摩擦でハードランニングに近い、新常態に移行しているのでしょう。私は中国の現在の成長率は5%がせいぜいだと、かねがね言ってきました。

 

日本の場合と違って、今は大きなテクノロジーの波があります。今回「製造強国」のスローガンは下げましたが、EVGAI、バイオの急速な導入により一気に新しい産業国家に変身する可能性があります。米国や特に日本は、気がつくと後進国になっていたということもありえます。

 

EUはこれまで、中国市場を経済成長の源泉として中国に寄り添う政治姿勢をとってきましたが、ここにきて「中国恐るべし」との認識になったようです。「中国はライバル」と正面から戦略を議論しています。イタリアは借金漬けで、中国の投資を引き入れようと、中国の「一帯一路」参加国になりました。すでにエストニア、ラトビア、リトアニア、ポーランド、チェコ、スロバキア、ハンガリー、スベロニア、クロアチア、ブルガリア、ギリシア、マルタ、ポルトガルは、「一帯一路」に関し中国と覚書を交わしています。まさに「中国恐るべし」です。

 

通商合意「おそらく実現」、国内自動車生産なら関税回避=米大統領

https://jp.reuters.com/article/usa-trade-china-trump-idJPKCN1R31QM 

対中制裁関税、すぐ撤廃は「ノー」トランプ氏

https://www.yomiuri.co.jp/economy/20190321-OYT1T50122/ 

ロイター企業調査:米中摩擦の影響「ある」5割超に増加、昨秋3

https://jp.reuters.com/article/reuters-poll-trade-japan-idJPKCN1R304C 

全人代ルポ 仏頂面の習主席、李首相と目も合わせず

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO42038380V00C19A3FF2000/?n_cid=SPTMG002 

激しさ増す米中新冷戦、中国にとってトランプはむしろ救世主?

http://wedge.ismedia.jp/articles/-/15671?page=2 

EU「中国はライバル」=戦略見直し-首脳会議

https://www.jiji.com/jc/article?k=2019032300305&g=int 

イタリア、一帯一路参画へ 対中国でEUの足並みに乱れ

https://www.asahi.com/articles/ASM3K238ZM3KUHBI003.html 

 

国際政治の蜃気楼

物別れに終わった米朝首脳会談は、北朝鮮の非核化という蜃気楼を追いかけていたのではないでしょうか。だから近づけば逃げて、消える、やっとトランプ大統領も気がついたのかもしれません。文在寅大統領は、トランプ大統領に「金正恩は本気で非核化を決心している」と告げ、金正恩には「トランプ大統領は焦っているから、寧辺(ヨンビョン)の核施設を廃棄すれば経済制裁の解除に応じる」と言った結果として、米朝首脳会談は、双方ともに蜃気楼を追うことになっていたかもしれません。

 

その文在寅大統領も南北統一という蜃気楼を追っていたのかもしれません。「私は何十年も前から200回以上、韓国を訪れているが、現地の経営者たちと酒を飲むと、『核を持ったまま北朝鮮が倒れたら、我々は核保有国になり、7000万人以上の人口を持つ、隣国(日本)と遜色ない大国になれる』と皆がいう」(大前研一 BIZトピックス 2017/04/07配信分)という蜃気楼です。韓国の核保有が許されるはずがありえないのに。経済制裁で一カ月も持つわけありませんから。結果として、文在寅大統領は双方から信用を失いました。

 

もう一つの蜃気楼は、北方領土返還かもしれません。どう考えてもロシアが北方領土を返還するとは思えません。繰り返しロシアは、第二次世界大戦の結果を受け入れるべきだと言っています。 70年の実効支配の後、どんな理由で国民を納得させるのでしょう。クリミア半島は軍事力でウクライナから奪い取りました。もともとクリミア半島はロシアが血を流して獲得した領土です。国民は大喝采です。しかしクリミア半島に多額の国家資金が投入されることになると、国民は懐疑的になっているようです。

 

仮に北方領土が歯舞色丹だけでも返還されたとしても、インフラ整備に巨額の資金が必要となります。赤字財政で社会福祉に巨額資金の必要な現在の日本にとって、投資する価値があるのか、国民は改めて考えさせられることになるかもしれません。

国民感情に訴える政治手法は、極めて危険です。まともな政治家ならば国民と腹を割って話す必要があります。

 

エストニアに行ってきました

エストニアという国

エストニアに行ってきました。個人的にサイバー戦に興味があり、 NATOの研究所があるので、いちど現状を確認したいと思っていました。加えて世界一の電子政府を実現した国でもあります。

 

エストニアはあまり日本では知られていませんので、簡単に紹介します。バルト海の奥、フィンランドの南の人口130万人の小国です。長く他民族の支配下にあった悲惨な国です。ドイツ騎士団、デンマーク、スウェデン、ロシアそしてソ連の支配下に置かれ、土着のエストニア人は悲惨な生活を強いられてきたようです。

 

ロシア帝国が崩壊した1918年に独立を果たしました。ですから昨年で独立100年ということですが、 1940年にはソ連に併合され、再び独立を失い、東西冷戦が終わった1991年に再度独立を果たしました。

 

電子政府の構築

1991年からゼロからの国づくりです。この時のリーダーの決断がエストニアの今日を決めました。 ITで行政システムを作る、という決断です。近隣諸国から古い通信システムや、 faxの寄付の申し出がありましたが、それを断り、ペーパーレスの電子政府の構築を始めたのです。

 

ソ連の情報関係の機関が置かれていたことから、IT技術者が集積していたのだろうと思っていましたが、エストニア人のIT技術者の数はそれほど多くなく、ほとんどが顔見知りだったと聞きました。それぞれ自分のパソコンを持ち寄って、電子政府の開発を始めたようです。

ただ時代の巡りあわせが絶妙です。まさにインターネットの時代の始まりと建国が重なっています。

 

1990 CERN のティム・バーナーズ・リーWWWを提案・実装

1991 エストニア独立

1993 NCSAのマーク・アンドリーセンMosaic(ブラウザー)をリリース

1994 Amazon設立

1995 インターネットの商業化

   マイクロソフト社がWindows '95 を発売

1998  Google設立

2000  スティーブ・ジョブスがAppleCEOに復帰

2004 Facebook設立     

2006 Amazon(AWS)開始 クラウドコンピューティング

 

という時代です。このビックウェーブを見据えた建国は、同時に独立したリトアニアとラトビアと、大きな差を生みました。

 

エストニアは個別アプリケーションを開発してきましたが、2012 X-Road により完全に統合化されたデータベースが完成し、現在の電子政府システムが完成しました。結果として、行政処理の99%はネットで処理されます。例外的に結婚、離婚、不動産売買契約については、ネットではできません。

 

日本でうるさい個人情報ですが、エストニアでは発想が全く違います。個人情報はすべて公開です。ただ、誰がいつ何を見たかは公開されますから、それが悪用の抑止力になっているようです。例外は病気に関する個人情報は、自分で選別的にロックできます。

 

このエストニアが完成した統合データベースのIT技術は、民間の企業でも転用できると思いました。まだまだ日本の企業では個別アプリケーションが林立し、データベースの統合ができていません。X-Roadの技術を応用すれば、社内システムの統合化が容易に実現できるような気がしました。

 

2014年には世界中の誰でもエストニアの市民になれるe-Residencyというプログラムを始めました。これでエストニアの市民になればEUの中で起業し、ビジネスができます。日本でもかなりの人が参加しているようです。

 

NATOサイバー防衛協力センター

NATOサイバー防衛協力センターの発端は、2007年のサイバー攻撃です。赤軍記念碑移転をめぐるロシア系住民の暴動による混乱の中で行われました。これを援護するかのような大規模なDDoS攻撃(大量のデータを送り付けるなどのサイバー攻撃)というサイバー攻撃を受け、エストニアの銀行、通信、政府機関、報道機関などのコンピューターシステム、ネットワークが麻痺状態となり、社会は大混乱となりました。桁違いに大がかりで組織的だったので、同国との関係が悪化しているロシア政府の関与が指摘されています。

 

エストニアは小規模で、そして長い闘争を経て独立を勝ち取ったため、国民の団結力が強く、ネット機能がダウンするという暗黒状態でも、国民がパニックに陥ることはなかったとのことです。

 

これを機会にエストニアはNATO諸国に、共同でサイバー攻撃に対抗する組織をつくることを提案しましたが、当初は欧米の首脳が「サイバー攻撃とは何?」という状態で、なかなか腰を上げなかったとのことです。それでも粘ってNATOサイバー防衛協力センターCCDCOENATO Cooperative Cyber Defense Centre of Excellence)の設立にこぎつけました。日本はNATO加盟国ではありませんが、CCDCOEに参画して、今年から職員を一名派遣します。安倍首相も小野寺防相も訪問しています。

 

年に一度首都タリンで国際会議CyConを開くとともに、加盟国全体で1,000名が参加するサイバー防衛演習「Locked Shields(ロックト・シールズ)も実施しています。赤組と青組とに別れて、赤組が攻撃側で青組が防衛側です。実戦さながらの訓練は、世界最大級の対戦ゲームでしょうか。日本の防衛省もこれに参加して、防衛力を高めていくことが期待されます。

 

そしてCCDCOEはサイバー活動に適用される国際法に関する文書「タリン・マニュアル2.0」を発表しました。なにしろ宣戦布告の無い戦争ですし、現在も攻撃が続いています。どこまで反撃して良いかも不明ですから新しい国際法が必要ということです。

 

スタートアップ

エストニアはまた、スタートアップに対するビジネス環境が良い事でも知られています。いくつかのスタートアップ支援の場所を見てきました。続々とベンチャー企業が生まれています。事の起こりはあのSkypeです。アノ成功、アレに続けということです。人口130万人の国ですがユニコーン(巨大ベンチャー企業)4社あります。ユニコーン4社とは具体的には、通話サービスのSkype、オンラインカジノソフトのPlaytech、個人間送金サービスのTransferWise、ライドシェアアプリのTaxify201937日に「Bolt」に社名変更)です。これらに共通するのは“Skype Mafia”です。Skypeの社員は、会社の売却で巨額の資金を得ました。この資金で新たな企業を起こしてきました。

 

従来の産業振興のモデルは、製造業の振興でしたが、今はその時代ではありません。初期投資が膨大です。ネット企業であれば、パソコン1つでアイデア次第で起業できます。

 

特にエストニア人がITな才能があるわけではありません。私の認識では、もともと産業基盤がありませんから就職する大企業はありません。ですからIT企業を起こすことになります。また人口130万人という事は、国内市場ありませんからいきなりグローバル市場に行くことになります。日本は幸か不幸か就職の選択肢は広くあります。加えてスタートアップ企業にとって、とりあえずの市場は国内にあります。加えて日本人の好きな堅実な成長はグローバルのスケールに届きません。

エストニアで起業している日本人にも会いました。安全で住みやすいと言っていました。特に日本のベンチャー企業と差を感じませんでしたが、エストニアというゆりかごで、彼らがどこまでスケーラブルに成長するか楽しみです。

 

NATOが「サイバー空間に適用できる国際法」を研究したタリン・マニュアル2.0を発表

https://the01.jp/p0004346/ 

 

65俯瞰サロンのご案内

外山 咊之さんに聞く、「サムソンが日本の半導体を超えた秘密

~俯瞰力・企画力を支える超見える化~」

かつて世界を席巻した日本の半導体産業。それがごく短期間の間に韓国企業に追い抜かれ、今ではその背中を見ることすら難しくなってしまいました。なぜこんな事が起こったのか?外山さんは、1995にサムソンの役員会で、『経営システムにおける超見える化---Big Logic技法』について講演をしましたが、反応がないことを怪訝に思いNo.2に確認したところ、『既に導入済だ。複雑な600工程が見えた。素晴らしかった!』との回答を得ました。今回の俯瞰サロンではBig Logicの超見える化の要求軸とその対応技法を概説し、適用事例の紹介と電気業界で起こった過去を振り返り、日本の産業再建ためのヒントをいただきます。

・日 時: 2019425日(木)1830分より(18時受付開始)

・会 場: 品川インターシティ会議室

      東京都港区港南2-15-4

                            http://sic-hall.com/pdf/map/accessn.pdf

・参加費: 講演会のみ 1,000 / 懇親会 3,000

      当日、受付にて申し受けます。

・定 員: 50名程度 (定員になり次第、申込みを締切ることがあります)

・懇親会:講演終了後に懇親会を開催します。

・参加ご希望の方は、下記のサイトからお申し込みください

https://ssl.form-mailer.jp/fms/363b5134602103

【講師プロフィール】
外山 咊之 (とやまたかゆき)

1958、東京工業大学電気工学卒。(旧)富士製鉄にて、一貫製鉄所の複雑な経営を、正確に把握して、見える化するアイディア:構造マトリックスを発想(1960年代)。日本IBMに移り、1974、ドイツ鉄鋼業に於いて、同じアイディアが発展していることを知る。1973のオイル・小さいショックで大混乱した神戸製鋼の強い要求で解読、ドイツ方式で、全面的に導入。その後、対話ソフト化を行い、経営計画・予算策定等の意思決定システムへと適用を広げ、適用業界も装置、製造、金融、エネルギー、食品等へ広げ、150件販売。この数は、IBMは『世界では小さい。』と販売停止。日本の経営Topの関心は低かったが、韓国Top企業の関心は強烈で役員会でレクチャーを実施。 海外学会でも数多く発表。国際MOT学会(1991. マイアミ)、意思決定支援システム学会(ISDSS)でも発表。UNESCOも人類の財産と認める。その後も内外の論文寄稿を数多く実施。東京工業大学経営工学にて博士号取得。

論文:論文:「構造マトリクスにおけるタイプ記号の諸性質とビジネス構造の表現に関する一考察」(ダイヤモンドハーバードレビュー、外山咊之 柴直樹 飯島淳一 東京工業大学)」

 

俯瞰のクッキング イタリア料理の裏技

料理通信という雑誌があります。一般向けというよりもプロの料理人向けの雑誌だと思います。ですから参考になります。1月号は「まだ日本人が、気が付いていない、イタリアの味づくりのコツ、裏技編」でした。確かにいろいろ興味深いノウハウが紹介されていました。冒頭の16ページと17ページに引き込まれました。

 

「蓋あり料理-オイルで蒸し煮」です。言ってしまえば、イタリア風の野菜炒めです。簡単です。鍋にオリーブ油とニンニクを入れ、低温でゆっくり香りを出し、水洗いした野菜を入れ、塩を振って、蓋をして中火で3 ―4蒸し煮します。それだけです。

 

私たちは、どうしても中華料理の影響で鍋の中でかき回して炒めますが、イタリア人の発想は違います。 1度ぐらいは鍋の中をひっくり返したほうが良いのですが、手間をかけずに野菜炒めが完成します。今回は季節の菜の花でやりました。おいしかったです。

 

次のページは「蓋なし料理」です。ジェノベーゼ・ナポリターナです。大量の玉ねぎと豚の肩ロース肉を、オーブンで表面を焦げ色に焼き、赤ワインで煮込む料理です。今回は肩ロース400 g弱を5センチ角くらい切り分けて塩を振ってフライパンで肉の表面を焼きます。別の鍋で玉ねぎ600 gくらいを薄切りにして炒めます。レシピではラードで炒めることになっていますが、ありませんからバターで弱火で炒めました。その鍋に肉を移し、赤ワインを250 ミリリットル入れ、トマトペーストを40 g近く入れます。水をひたひたに入れて、少し煮て味をなじませて、 180度のオーブンに蓋をしないで入れて焼き煮します。時々かき混ぜて40分ほど煮ました。焼けたところを液体に戻す作業はカスレに近いですね。

 

これは、玉ねぎの濃厚な旨味があるソースが美味しいです。パスタやバターライスと一緒に食べても美味しいと思います。発想を変えれば、牛肉の赤ワイン煮でも、鶏肉の赤ワイン煮も変身できます。

 

この雑誌には、これ以外にも作ってみようと思う料理がいくつもありました。例えば、いつもはフライパンでソテーしているラムチョップのフライもやってみました。美味しかったです。

 

俯瞰の書棚 先延ばし克服完全メソッド

今回は「先延ばし克服完全メソッド」ピーター・ルドウィグ CCCメディアハウス 2018です。

 

冒頭で、ローマ帝国の哲学者、セネカもこう言っている。 「我々がためらい、先延ばしをして時間を無駄にしている間に人生は過ぎてしまう」から本書は始まります。耳が痛いですね。

 

本書は究極のHow To 本で、その構成は。

最初のセクションでは モチベーション がどのように働くのかを説明し、「自分のビジョン」をまとめるのに役立つツールを紹介する。それによって、あなたは自分自身の中に長期的なモチベーションを維持できるようになる。第2のセクションは、規律がテーマだ。大事なことを日々積み重ね、一定の習慣を守るという規律によって、自分のビジョンに沿った生活ができるようになる。先延ばしと戦う方法、仕事と時間を管理する方法、ネガティブな習慣を断ち、ポジティブな習慣を身につけるための方法を紹介する。第3のセクションでは、自分の行動の 成果 に焦点を当て、幸福感を維持するための方法について説明する。情緒的な安定を高めることに役立つ実用的なツールを紹介する。それによって、外からのネガティブな力に対する抵抗力がつく。

 

最後のセクションのテーマは 客観性 だ。これは、あなたを取り囲む状況と自分自身に関する誤った認識に気づく能力だ。自分の問題を見極めなければ解決は望めない。

です。

 

章末に「ノウハウ・デザイン」というポンチ画の、手書きのイラストで内容をサマリーしていますので解り易いです。私はkindle版で読みましたが紙のほうがいいかも知れません。手書きを著者は強調していますから。

 

最初の部分に「決断のまひ」ということが出てきますが、情報が多くて選択肢が多いとどれを選択するか決められなくて決断を先延ばしてしまうという現象です。

「私たちの問題は、知っていることが少なすぎるということではなく、知っていることの多くが間違っているということだ」第1の問題は、 得られる情報が極めて無秩序な状態で、質も悪いことだ。アドバイスの内容が逆だったりもするです。

 

先延ばしの習慣を変えるエッセンス、キーワードは、自分のモチベーション、 規律、 成果、客観性です。

 

モチベーションを高めることによって、先延ばしは克服できるといいます。モチベーションには、ビジョンが必要です。「行動なきビジョンは白昼夢。ビジョンなき行動は悪夢」ですから、行動を意識したビジョンが必要です。

 

自分がしていること、特に自分がやりたいと思ってしていることに意義を見いだせるとき、最も強力な形態のモチベーションが生まれる。それが「内なる旅に基づくモチベーション」だ

 

規律とは、生産性と効率を確保することです。頭は「はい」と言っているのに、気持ちが「いいえ」と言っているときですが、「象と象使い」という例えで、我々は、感情的な「象」と「合理的な象使い」の組み合わせで、いかに理性で感情を制御するのかがカギです自己統制 は「象」を操る「象使い」の能力だ。習慣化、自分の「象」をどう訓練するか、これはコーチングの基本モデルです。

 

 一流のアスリートや科学者、芸術家、実業家に関する研究は、彼らに共通する要素があることを示している。それは、行動が「フロー(流れ)の状態」になっていることだ。このフローは何かに挑戦しているときに生まれ、自分の強みとスキルが発揮されるようになる。自分がしていることに完全に没頭し、時間が止まったような感覚になる。目標を達成した後の つかの間の喜びの感情とは違い、 フロー状態 に達するとドーパミンの分泌が長く続くようになると、フローの境地を目指さないといけません。即ち、「成功は幸福のカギではない。幸福が成功のカギなのだ。自分がしていることを愛せれば、成功できる」です。

 

以下は具体的なツールを使った助言です。コンサルティングです。

ビジョン作成の準備は、SWOT自己分析:SWOT分析チャートの「自分の 強み 弱み は何か」と自問し、それぞれ5つ以上を挙げる。

自分の業績リスト:自分が誇りに思う業績を少なくとも10項目挙げる。

モチベーションを生む活動の分析:自分を高める活動 後に残る成果を生む活動 関係を構築する活動を列挙する。

 

そして、自分のビジョンを紙に書いておくと、本当に効果が上がる。いつも持ち歩くこともできるし、どこか目につきやすい場所に貼っておくのもいい「有形にする」「感情的反応を高める」「目標でなく行動に的を合わせる」「『自己2.0』の活動を組み入れる」「バランスとつながり」「アンカーを使う」だ 、「自己2.0」とは、自分のためだけでなく他者のためになることを入れることです。アンカーは、それを見るとビジョンをリマインドするもので、指輪でも、写真でも時々見るものであれば何でもいいです。

 

以下は規律を維持するツールです。

まず、「習慣リスト」:EXCELで列に毎日実行する習慣化の行動をいくつか書きます。例えば、ジョギングとか勉強とか。そして行に達成度を日々一月分記入する表を管理します。

 

次のツールは「To-Do トゥデー」で前日に翌日に何をするか書きます。紙に手書きで。翌日の「To-Do トゥデー」を作るときには必ず、「To-Do」や「アイデア」「カレンダー」の中から仕事を選ぶようにするべきです。「To-Do トゥデー」に移した仕事は、元のリストから抹消するようにします。「To-Do トゥデー」よって、 生産性 効率、すなわち規律 を根本的に高めることができるとの事です。大きな仕事は分割し、小さな仕事は1つにまとめます。

 

そして1日の道筋を決める 最も重要な(おそらく最も気が重い)仕事を朝一番にすることをお勧めするです。

 

そして「To-Do オール」ということで所謂TODOリストです。ポイントは完璧が達成されるのは、もう加えるものがなくなったときではなく、もう削るものがなくなったときであるです。断捨離ということでしょうか。

 

次は「アイデア」マップです。ここに入るのは浮かんだ自分のアイデアです。

最後の部分は「カレンダー」で、人と会う約束や会議など時間に縛られる仕事だけを入れます。

 

To-Do トゥデー」「To-Do」「アイデア」は、それぞれの紙をすべて1つのクリアファイルに入れておくと便利だ。「To-Do トゥデー」をいちばん上にして見えるようにする。今日やる仕事だけが目に入るようにして、すべての仕事の山に気後れしてしまうような状態を防ぐわけだ。このシステムは、カレンダー1つと3枚の紙だけでも成り立つ(「To-Do トゥデー」「To-Do」「アイデア」の3枚)

 

3つの主要なツールを紹介した。 自分のビジョン はモチベーションにつながる。「習慣リスト」は、あなたの「象」を意のままに動かし、意志力の筋肉を強めるのに役立つ。そして「To-Do トゥデー」は、「決断のまひ」をなくして毎日前進していくことに役立つ。これで、あなたの生産性と効率は大きく高まるが、これらのツールを最大限に活用するには、もう1つの極めて重要なスキルを身につける必要がある

 

それは、「ヒロイズム」です。心地よい状態、心地良いベッドからでる、コンフォート・ゾーンから踏み出すことです。その勇気です。心地良い状態からあえて出てビジョンに向かう勇気です。群れを離れる時です。

 

この後は「ネガティブな過去」から「ポジティブな過去」に移る「インナースイッチ」 とありますが。

以下気になった文章は、

「本当に進歩したければ、しっかりした土台の上で自分を高めていかなければならない」

「人生で最も大事なのは、自分自身の人生以上の何かのために生きることだ」

「人間の脳はしばしば、現実と異なることを信じる傾向がある」

ご一読をお勧めします。

 

雑感・私感

以上も雑感・私感ですが、出来る限り参照データを紹介しています。個人のブログは面白いですが個人的な偏りがありますから、できるだけメジャーなメディアを引用しています。

●ISは消滅したことになりますが、トルコ、クルド、シリア、イスラエル、イラン、イラクとグチャグチャです。また、トランプ大統領のゴラン高原のイスラエル主権承認混乱に拍車をかけました。さすがシリア撤退は口にしていません。

経済規模にそぐわないロシアの軍拡、大国風のふるまいはいつまで続きますか。といって北方領土が帰ってくるわけはありませんが。お金は日本もちで共同管理ですか。

中国は5%成長でアメリカを凌駕する超大国になる可能性はあります。先端技術の人材の厚さが凄いです。特許、学術論文を見ればわかります。

直接民主主義は専制政治になりやすいようですね。トランプ大統領、プーチン大統領、エルドアン大統領・・・・

民主主義とは何か改めて勉強しなくては。

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