◆俯瞰メルマガ第 84 号◆2018年12月28日発行

俯瞰メルマガ84
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◆時候のご挨拶◆

いよいよ寒波襲来で冬です。雪国の方々は大変でしょう。災害レベルに成らないことを祈ります。地球では火山の噴火、それに伴う津波と災害が絶えませんが、被害の大きさは事前の防災の対策が効きます。南海トラフ地震、首都直下地震と自分の災害対策も見直さないと。

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●大混乱のアメリカ

●ヨーロッパも大混乱

●中国を注視する必要がある

●日本も強権政治になったのか

●第62回俯瞰サロンのご案内 

●俯瞰のクッキング“ある日の試行”

●俯瞰の書棚 “四騎士が創り変えた世界”

●知識の俯瞰 知的腕力を鍛える5

●雑感・私感

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◆大混乱のアメリカ◆

トランプ政権の迷走が止まりません。アメリカの政治そのものが混乱しています。トランプ政権から次々と高官が離れていきます。特にトランプ大統領の最後の牽制であったマティス国防長官の辞任は、世界中に衝撃が走りました。政権に残った高官は、ほぼすべてイエスマンでしょう。トランプ大統領の感情的で、お山の大将的な挙動を、誰も止められません。

 

メキシコ国境に壁を作る予算を入れないと予算を承認しないと言って、政府機関の3回目の閉鎖です。アメリカ議会のほうも混乱しています。まだ共和党優勢の下院が壁の予算を付けた予算を可決したのに対し、さすが上院の良心か単なる政治かわかりませんが、共和党多数の上院では採決できません。政府機関閉鎖の責任を誰も取る気がないようです。国民も怒るでしょうね。

 

米中の貿易戦争も、結局アメリカ国民が、とりわけ庶民が代償を払わされています。下記のロバート・ライシュ元米労働長官の認識が、アメリカの知識階級の認識だと思います。ただ、このようなエリートに対して激しく反発しているのが、トランプ大統領の支持者たちです。彼らもジレンマを抱えているわけです。GMのように、企業は資本の論理でさっさと工場をたたんでいます。

 

米中の貿易戦争は米国と中国だけでなく、アジア諸国への悪影響が出てきています。当然、日本もその影響を受けますから、経済の先行きが見えません。

 

マティス国防長官は「侍」ですから、辞任(切腹)することで、トランプ大統領を諫めたのでしょう。トランプ本人は馬耳東風です。下記の辞表は心打たれます。これがアメリカの良識というものでしょう。

 

“米国の強さは、類いまれで包括的な同盟・協力システムと不可分に結びついている。強力な同盟の維持と同盟国への敬意なしに、国益を守り自由世界で不可欠な役割を果たすことはできない。あなた(トランプ大統領)と同様、私も当初から米軍は世界の警察官たるべきではないと言い続けてきた。米国は、同盟国に効果的な指導力を提供することを含め、共同防衛のために力を使うべきなのだ。

 また米国は、戦略的利益をめぐってますます緊張が高まっている国々に、断固とした態度を示すべきだ。たとえば中国やロシアが、その権威主義的な統治モデルと合致した世界を作り出し、近隣国や米国とその同盟国に犠牲を強いることで利益を追求しようとしているのは明白である。これこそ、米国が共同防衛のために、すべての力を使わなくてはならない理由だ。”

 

過激派組織ISの壊滅を目指す有志連合の調整役を3年前から担ってきたアメリカのマクガーク大統領特使も、抗議して辞任しました。信頼関係を裏切る前面に立たされたわけですから。トルコに対してサウジアラビア ムハマンド皇太子の情報をこれ以上公開しないようにということでしょうか。年明けからの民主党多数の下院です。その動きが気になります。弾劾まで踏み込むか。

 

トランプ大統領、国境の壁予算なしなら政府閉鎖で態度和らげず

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-12-27/PKDC0X6K50XS01 

“裸の王様”になったトランプ、嫉妬に狂い、マティスに報復

http://wedge.ismedia.jp/articles/-/14921 

マティス氏「同盟国に敬意を」 辞表でトランプ氏に苦言

https://www.sankei.com/world/news/181221/wor1812210024-n1.html 

米大統領とFRB議長の会談、トランプ氏側近が模索

https://jp.reuters.com/article/trump-frb-idJPKCN1OQ07R 

「関税マン」トランプが招く貧乏なアメリカ

https://www.newsweekjapan.jp/amp/stories/world/2018/12/post-11453.php?page=1 

 

◆ヨーロッパも大混乱◆

ヨーロッパがますます混乱しています。フランスのマクロン大統領は、燃料税で国民の不満に火をつけてしまいました。主催者団体がない黄色いジャケットのデモは、フランス革命の再現のようにも受け取れます。マクロン大統領をギロチン台にかける事はしませんでしたが、マクロンの経済政策を修正させるという勝利を勝ち取りました。直接民主主義ですか。富裕税廃止、年金減額、燃料税増税、これでは国民も蜂起します。この結果、EUの財政規律も守ることが出来なくなりました。 EUのリーダの座から滑り落ちました。

 

ドイツのメルケル首相も、なんとか自分が推薦する後継者を党首にすることができましたが、かつてのEUの女帝の面影はありません。ドイツの先行きも不透明です。

 

イタリアもEUとの交渉をなんとか切り抜けて予算が成立したようですが、 EUのご指導に辟易しているようです。

 

なんといっても、ヨーロッパの最大の混乱は英国のブレグジットです。メイ首相が長い時間をかけてまとめあげた合意文書を議会で承認できません。年明けに議会にかけると言っていますが、承認される見通しは無いようです。見かねたエリザベス女王が国民の分裂を危惧する声明を出されました。

 

議会で承認されなかった場合、総選挙、国民投票そして合意なきブレグジットになりますが、どうも合意なきブレグジットとの可能性が高く、英国政府も予算をつけて対応策を検討しています。 EUにとっても大きな衝撃が出ますから、その場合でも軟着陸できる手段を考えているようです。思ったより英国に優しい気配りです。

 

EUの混乱は、欧州の統合という理想に走るEU官僚の言動に各国の国民が感情的に強く反発している事が原因ではないでしょうか。政策決定者と国民の間に距離が広がり、その中間にあるべき国という存在が薄れて、ブラッセルのEU官僚たちは、自分たちの苦境が、気持ちが伝わらないという、不満の鬱積がポピュリズムという波を作っているのだと思います。たぶんEUの官僚は有名な大学の出身で、エリートのオーラを撒き散らし、上から目線であれこれご指導しているのではないでしょうか。マクロン大統領にしても最高位の大学を卒業し、ロスチャイルド銀行出身という経歴ですから、富裕税廃止、年金減額、燃料税増税という政策を、国民がどう受け止めるのか、そしてどう行動するか、頭がいいのに予測もできなかったようです。

 

とにかくヨーロッパの混乱は、その基底に社会格差と難民と移民があると思います。日本も積極的に外国人労働者を受け入れることを決めましたが、社会がどう受け止めるか議論が詰まっていません。

 

フランスで大規模デモ、マクロン政権に抗議

https://www.jiji.com/jc/v7?id=201812france 

マクロン「黄色いベスト」デモ受け最低賃金引き上げなど発表 改革路線は堅持

https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2018/12/post-11396.php 

「メルケル後」のドイツとEUは新たな局面へ

https://toyokeizai.net/articles/-/254451 

EUも合意なしブレグジットの準備開始 欧州委が対策発表

https://www.bbc.com/japanese/46628945 

英内閣、合意なしブレグジットの準備を開始 20億ポンド振り向け

https://www.bbc.com/japanese/46616292 

 

◆中国を注視する必要がある◆

米中貿易戦争の影響もありますが、中国が変調をきたしていると思います。単なる経済の落ち込み以上に、大きな社会変化に共産党政権がついていっていない感じです。なにしろ、すでに数億人の中産階級が存在し、家電、スマートフォンを持っていますし、その上部のクラスは車も持っています。共産党がいくら情報を管理しようとしても、中国の外の情報を国民はしっかり持っています。日本にきて日本を見る、アメリカの大学に35万人も留学している状態ですから、自分たちが置かれている環境がいかに異質か十分認識しているはずです。

 

ですから一度経済が変調を起こすと、鬱積した不満が発火する可能性もあります。ただ中国の経済政策の担当者は十分賢く、日本のバブル崩壊からの歴史も十分研究しているはずですから、日本よりうまくやるかもしれません。

 

80年代に“ジャパン アズ ナンバーワン“という日本を挑戦者とみたアメリカは、 1985年にプラザ合意で円安から円高に変えさせて、ジャパンバッシングをし、円高不況を起して日本に内需拡大を迫り、その結果大幅な金融緩和が行われ、そのマネーは不動産投資に流れ込みバブルを作りました。そしてバブル崩壊以降、日本は成長出来ない国になり、アメリカから見ると挑戦者でなくなりました。米中の貿易戦争を見ていると,

中国に日本と同じ道を押しつけようとしているようにも見えますが、中国が日本の学習からどんな動きをするか興味があります。

 

中国自動車販売、11月は前年比-13.9% 12年以降で最大の減少

https://jp.reuters.com/article/china-auto-sales-nov-idJPKBN1OA0IJ 

中国経済の「10月ショック」 自動車販売台数も落ち込み、「半死半生」に

https://www.sankei.com/column/news/181129/clm1811290005-n1.html 

中国経済は6カ月連続で減速、11月の先行指標示唆

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-11-28/PIVQ9R6JTSEX01 

追いつめられた中国経済、2019年の動向を占う

https://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/218009/122500193/?P=1 

中国が米国のようになると思ってはいけない

https://business.nikkeibp.co.jp/atcl/interview/16/062100026/062800004/?P=1 

2019年の中国を読む:「新皇帝」習近平の内憂外患

https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2018/12/2019-1_1.php 

 

◆日本も強権政治になったのか◆

最近の安倍政権を見ていると、かなり強権的な政治が目につきます。外国人労働者を受け入れるという極めて重い政策決定を、十分に内容が詰まっていない状態で、国会審議の時間もほとんど取らず、ある意味強行採決です。後から数字は作る、国会と国民を侮っている感じがします。

 

WC脱退、“官房長官は12月26日の記者会見で「商業捕鯨を来年7月から再開することとし、国際捕鯨取締条約から脱退することを決定した」と述べ、日本がIWC国際捕鯨委員会から脱退することを正式に表明しました。

 

これは、どのぐらい議論したでしょうか。和歌山の捕鯨、二階幹事長、国際組織脱退とは、選挙民ファースト、国際条約セカンドのトランプ大統領のやり方ではありませんか。

 

政府は「鯨類の中には十分な資源量が確保されているものがある」と指摘し、IWCについて「捕鯨産業の秩序ある発展が顧みられず、異なる意見や立場が共存する可能性すらない」として、脱退の理由を説明する官房長官談話を発表しました。エビデンスがありません。

 

「鯨類の中には十分な資源量が確保されているものがある」であれば、資源量を科学的に評価と保証する国際機関の枠組みを作ってしかるべきです。それでなくても製造業大手の偽装が国際的な日本の信用を貶めています。国際的な信用は、国民全体の資産です。これを毀損する行為は許されません。これを議論無しで押し切るとは、強権政治そのものではありませんか。強権政治は、どこでも国民の犠牲の上に成り立っているのです。

 

さすがに憲法改正は公明党という与党内の抵抗がありますから、強権を持って押し切る事はできないと思いますが。

 

消費税対策で大盤振る舞いした結果、ついに国家予算は100兆円を超えました。今年度も2度も補正予算を組んでいますから、かなりの額になっていると思いますが、財政再建よりも政権維持の方が重要だと思っているのでしょう。強いリーダーシップと強権政治は紙一重です。

 

安倍首相は経済政策が全く不調ですから外交に力を入れていますが、外交では強権は通じませんから,歯舞色丹の返還はかなり高度な外交能力を求められます。四島返還という原理主義を抑えて、二島返還で押し切る場合は強権とは思いませんが、知的腕力は必要です。

 

“機能不全”IWC脱退で「二階幹事長は神様」

https://www.fnn.jp/posts/00406140HDK 

 

◆第62回俯瞰サロンのご案内◆

IBM技術理事の山下克司さんに聞く「エッジコンピューティングのアーキテクチャ」

新しいエッジデバイスは、これまでにない超高精細なデータを捕捉し、デジタルツイン空間に実社会の写像を作り出します。このセッションでは、デバイスが生成するデータと、人工知能などの知的空間を包括するエッジコンピューティングのアーキテクチャについて議論します。

・日 時: 2019年1月29日(火)18時30分より(18時受付開始)

・会 場: 品川インターシティ会議室

      東京都港区港南2-15-4

http://sic-hall.com/pdf/map/accessn.pdf

・参加費: 講演会のみ 1,000円 / 懇親会 3,000円

      当日、受付にて申し受けます。

・定 員: 50名程度 (定員になり次第、申込みを締切ることがあります)

・懇親会:講演終了後に懇親会を開催します。

・参加ご希望の方は、下記のサイトからお申し込みください

https://ssl.form-mailer.jp/fms/363b5134602103

 

【講師プロフィール】山下 克司(やました かつし)

米IBM本社が任命するDistinguished Engineer(技術理事)としてTechnology Service事業の技術戦略を担当。2010年日本IBMのCloud Computing事業の最高技術統括(CTO)に就任。専門分野はハイブリッドクラウドとネットワーク、クラウドによるLEAN開発体制やSREなどを推進。

 

◆俯瞰のクッキング “ある日の試行” ◆

前回はややずっこけ気味でしたが、今回は少し頑張ってみました。

まず焼きエビです。カタクチイワシの焼き干は紹介しましたが、焼きエビと言う出汁もあります。ただこれもかなり高価です。 100グラム1,000円以上します。そこでネットで1キロ約120匹の甘エビの冷凍を買いました。2,000円弱です。いったん解凍して半分を焼きエビに、残りを10匹ずつ小分けにして再冷凍しました。

 

数10匹のエビを紙タオルで水分を拭いて、クッキングペーパーを敷いた天板に並べて、 120度で約2時間、焼くというより干物にするという感じです。市販品とほとんど同じです。出汁ではなく、そのまま食べると美味しくてビール、ワインのつまみとして最高でした。

 

三島由紀夫の最後の晩餐という記事を読みました。新橋の鳥割烹の「末げん」のとり鍋です。ガラスープで色々な部位の鶏肉を煮る、ネギ、シイタケ。豆腐以外は入れない。ということで作ってみました。ガラ2羽分で、ネギと生姜で丁寧にスープをとりました。鶏肉はモモ肉と、ささみ、レバーを用意しました。むろんネギとシイタケ、豆腐も用意しました。用意していく段階で脳にノイズが入り、いつしかトムヤムクン鍋に変身してしまいました。ベランダにはレモングラスの鉢があり、室内ではコブミカンの鉢もあります。冷蔵庫にはトムヤムクンペーストもあります。ということでトムヤムクン鍋に近いとり鍋ができました。おいしかったです。お店にもいちど行ってみたいと思います。

 

炊き込みご飯、パエリヤは、水加減と火加減が微妙でやっぱり難しいです。とりわけ2人分の1合の場合は難しいです。改めて丁寧に鯛飯ならぬ、鯛のパエリヤを作ってみました。洗ってザルにあげた一合(180cc)の米に対しカップ1(200cc)で丁寧に焚きあげました。結果は、初に玉ねぎとニンニクのみじん切りを炒めた時にオリーブ油が少し多すぎたようで、油っぽく仕上がりました。 2人分の炊きパエリヤは構難しいです。

 

◆俯瞰の書棚 “四騎士が創り変えた世界” ◆

今回は「四騎士が創り変えた世界」スコット・ギャロウェイ 訳 渡会圭子 2018です。

 

この10年で破壊的な急成長で世界を変えてきたGAFAすなわちGoogle、 Apple、 Facebook、 Amazonの分析と独自の評価をしている書籍です。彼らがいかに破壊的で非道徳的な行動をとっているか暴露している本でもあります。否応なしに私たちはGAFAに依存した生活をしています。その本質を理解しておく事は必須です。日本企業はデジタライゼーションに大きく遅れをとっているため、その破壊的な影響を受け止めていないかもしれませんが、これは近未来の衰退と終焉に繋がりかねません。すでにアメリカでは小売業は破壊されつつあります。オモチャのトイザラス、シアーズなどです。メディア、広告業界も破壊の矛先にあります。

 

実務者、経営管理者はこの本で状況を再認識した方がいいと思います。GAFA 以後の世界は、現代の必修科目です。ただこの本は、2016年の状態で記述されていますが、 2年後の現在では、すでに少し乖離が出ています。EUのGAFA に対する規制と課税、情報利用に関して社会が厳しくなって、これまでのような野放図な成長が出来にくくなったことです。 iPhoneも利益は上げていますが、販売台数は伸び悩んでいます。その結果関連企業に大きな影響が出ています。

 

本書の構成は前半でGAFAをそれぞれ分析し、後半ではこれらの企業が成長と利益のために、人間の最も基本的な本能をどのように利用しているのかを解説しています。かなり独断的な評価ですが傾聴すべき意見です。以下に私がマークした部分をいくつか紹介しましょう。

 

Amazonの分析では。

“アマゾンが訴えかけるのは、より多くのものをできるだけ楽に集めようとする我々の狩猟採集本能だ”、“このアマゾンの最新の作戦でリスクを被るのは誰か、レジ係として雇われている340万人のアメリカ人だ。これはアメリカの小学校と中学校の教師の数とほぼ同じである”、“歴史的には大胆さが報われている。おとなしいことには代償がともなう”、“世間がまだアマゾンを小売企業と思っているのを尻目に、同社はいつのまにかクラウド企業となっていたのだ。しかも世界最大のIT企業である”、“ブランド時代はピークを過ぎた。ブランドを殺すものには名前がある。それはアレクサだ”、“ ポルシェからプラダまで、そのすべてに共通する5つの性質があると断言できる。それはアイコン的な創業者、職人気質、垂直統合、世界展開、高価格である”

 

Appleの分析では。

“アップル成功の陰のヒーローは、ナップスターの創業者ショーン・ファニングである。彼の会社の脅威により、音楽業界はアップルの手に落ちた。音楽業界はバンパイアが血液袋に引き寄せられるがごとく、アップルと手を組もうとした”、ジョブスについて“彼はアップルによいことをたくさんもたらしはしたが、同時に会社の中の破壊勢力でもあった。従業員を罵倒する。博愛精神や団結心はゼロ。気まぐれと誇大妄想癖のおかげで、アップルは常に無秩序すれすれだった”、“アップルの成功の決め手となったのは、 iPhone ではなくアップルストアなのだ。富裕層が集う 18 カ国の街に出店した 492 の店舗には、毎日 100 万人の崇拝者がやってくる”、“テクノロジー企業から高級ブランドへ転換するというジョブズの決定は、ビジネス史上、とりわけ重要な──そして価値を創造した──見識だった”、“消滅しかかっているのは店舗ではなく中産階級であり、彼らに商品を売っていた店舗である。中産階級の世帯が集まる地域、あるいはそこをターゲットにしていた店は苦闘している。それに比べ、富裕層が集まる地域の店は好調である”。

 

Facebookの分析では。

“消費者の購買欲を高めるという面から見ると、フェイスブックが特に大きな影響を及ぼしているのは、マーケティングの 漏斗 のいちばん上にある「 認知」の段階だ。つまりフェイスブックはアマゾンより漏斗の上部にある。フェイスブックは〝何〟を提案し、グーグルは〝方法〟を提示し、アマゾンは〝いつ〟それが手に入るかを教えてくれる”、“規模とターゲティング能力を併せ持っているメディア企業は、フェイスブックだけだ。フェイスブックは影響力でも情報収集でも秀でている”、“第二次世界大戦はイギリス人の頭脳、アメリカ人の腕力、そしてロシア人の血による勝利であると、チャーチルは言った。顧客であるあなたが、そのどれにあたるのかといえば、血である”、“フェイスブックの唯一のミッションは金儲けである。進歩的という毛布をかぶることができる。強欲、保守的、税金逃れ、雇用破壊といった、弱肉強食と感じるような行動を 隠蔽 できるのだ。”

 

Googleの分析では。

“グーグルが現代の神と呼ばれる理由の1つは、グーグルが私たちの心の奥底にある秘密を知っているからだ。グーグルは透視能力を持ち、私たちの思考と意図の記録をつける。質問することによって、私たちはグーグルに、司祭やラビ、母親、親友、医師にさえ話さないことを告白する”。私たちは秘密の思いを質問として伝え、人知を超えた能力をグーグルに与えている”、“ニューヨーク・タイムズは近代ビジネス史上、最大級の間違いを犯したのだ。グーグルはインターネットの重要な土地を領主のように支配している。ニューヨーク・タイムズ社はその土地の小作人だった”、“グーグルの社員たちは、自分が誰よりも賢いと思っている。そして本当に誰よりも賢いのだ”。

 

そしてGAFAに共通するものは。

“重要なのは、若い企業は〝盗んで〟大きくなるということだけでなく、ほかの人には見えない価値を見抜き、ほかの人には引き出せない価値を引き出すことができるということだ。そして彼らは、必要ならばどんな手を使ってでもそれをやりとげる”、“四騎士のもう 1つのずるいやり方は、情報をどこかから借りて、それを相手に返すときにお金を取ることだ。そのよい例がグーグルである”、“成功するビジネスはどれも、体の3 つの部位のどれかに訴えかけるものだ。その 3 つとは脳、心、性器である。心は巨大な市場である。体──脳と心と性器──とビジネスの関係を知ることは、四騎士の破格の成功を理解する上で非常に有効だ”、“アップルは生殖本能にアピールすることで、他者と比べて法外な利益を得て、史上最高に利益率の高い企業となった”、

 “四騎士に共通する8つの要素がある。 1.商品の差別化、 2.ビジョンへの投資、 3.世界展開、 4,好感度、 5.垂直統合、 6.AI、 7.キャリアの箔づけになる、 8.地の利”、“この4社のおかげで、秀でたもののない会社が成功することや、消費者向けテクノロジー新興企業が競争に参加して生き残るのが以前より難しくなった”

 

GAFAに対抗する企業について。

“ウーバーには領主(8000 人の社員)と農奴(平均時給 7.75ドルで働く200万人のドライバー)がいる。8000人の社員で 700億ドルを山分けし、200万ドルがドライバーの時給となる”、“アリババはビッグデータと AI の使用に精通し自由に操れる”、“テスラの革新の本質は、顧客との近さである”、“エアビーアンドビーは〝シェアリング〟業界で第五の騎士にいちばん近い企業だろう。彼らの弱みは垂直統合されていないことだ“。

 

この後ベンチャー企業と個人的な成功の要件を説いていますが、これもアメリカの競争社会を理解するには参考になるでしょう。

 

最終的な著者の結論は、“四騎士は計り知れないほどの力を集めた組織である。力は腐敗する。特にローマ教皇が〝金銭への崇拝〟と呼んだものに感染している社会では、それが顕著だ。これらの企業が税金を逃れ、プライバシーを侵害し、利益を増やすために雇用を破壊するのは・・・それが可能だからだ。心配なのは四騎士がそうすることだけではなく、それが得意技になっていることだ。彼らの目指すもの、それはつまるところ金儲けなのだ。この調子だとアメリカは 300 万人の領主と 3 億人の農奴の国となる”、でしょうか?

 

◆知識の俯瞰◆ 知的腕力を鍛える5

知的腕力を鍛えるといいうことは「脳を鍛える」ことです。情報の収集、その分析、そして得られた知識の編集ということが脳を鍛える行動です。たくさんの本を読んでいてもそれだけで終わると、知識を、物事の判断や行動に応用出来ません。人にそれを話し、文章に書くと応用力のある知識になります。

 

情報の収集能力の強化には書籍、文書、講演、人の話、映像、旅など多様な情報源から積極的に継続的に収集する習慣をつける必要があります。そしてその情報の分析には俯瞰的な知識の集積が必要になります。積極的に情報を知識に変える手法も習得する必要があります。文章としてまとめるという作業はこの情報の収集、分析を踏まえた編集作業です。これによって知的腕力は鍛えられます。先進的な手法を身に付ければさらに高い水準の分析が可能になります。

 

意外と使われていないのが文章を効率的に書く音声認識の利用です。この原稿も音声認識で入力しています。手書きの2倍から3倍の速度で入力できます。無料のソフトウェアで十分です。今話題のスマートスピーカーもこの技術の応用です。

 

文章の重要語を抽出し、その出現頻度、単語間の関係性を分析してくれる無料のサイトもあります。テキストデータを入力すれば分析してくれます。 2つの文章の比較もできます。

このサイトは文章の要約もしてくれます。ちなみに11月18日付の日経新聞に掲載された約1700字の「小粒になった日本企業 『寿命』突出の89年 成長鈍く」の記事を要約させると重要なセンテンスをマークすると同時に、 

「三行ダイジェスト」では“企業再編などによる「新陳代謝」が鈍く、成長力の差を生んでいるとの指摘が多い。”と要約され 、

「五行ダイジェスト」では“企業再編などによる「新陳代謝」が鈍く、成長力の差を生んでいるとの指摘が多い。多くの専門家が指摘するのが「企業の新陳代謝が国際的にみて鈍い」という問題だ。成長志向の弱さという問題は以前より悪化している可能性がある。 東証一部に上場してさえいれば一定の買いが入る。業績低迷を放置していても株安による市場からの圧力を受けにくくなった。”となかなかの出来栄えです。

これは人工知能を使ったツールです。

 

他人の文章もさることながら、自分の原稿を分析すると文章の校正や推敲に役立ちそうです。この原稿の校正前と校正後の2つの文書の比較をしてみましたが、これも見事に差分が出ました。こうした新しいツールを、好奇心を持って試してみる、これも重要な知的腕力の鍛え方です。

https://textmining1.userlocal.jp/

 

極めれば人工知能の利用です。人工知能は、情報を知識に変えさらに判断に変えるツールであると考えていいでしょう。ディープラーニングという技術で大量の情報を学習することによって高度の分析と編集が可能になります。といっても一般人が簡単に使えませんが無料のツールとして公開されているものもあります。

 

私は研究としてはかなり前から、人工知能の教師無し学習の一種であるクラスタリングを活用してきました。特定の学術分野でも年間何千本もの論文が発表されます。読み切れませんので、これをネットワーク分析によって構造化して研究の発展を俯瞰的に認識することをしていました。現在でもこの手法を使って社内に蓄積された大量の技術文書を分析し、類似文書に分類して、組織の知識を有効に活用するシステムを作っています。

 

人工知能の知識がなくても人工知能の利用ができるサイトがいくつか公開されていますので、知的野心がある方はこれに挑戦してみるのも良いかもしれません。https://ferret-plus.com/7193

 

最後に本連載で紹介した知的腕力の鍛え方の要点をまとめておきます。

まず、情報を収集し分析する知力をつけるには情報を知識に変換する作業が必要です。情報の収集ですが、脳の中にテーマ別のフォルダーを用意することが必要です。すなわち自分が興味を持つ分野を強く意識することです。これによって書籍、文書、講演、人の話、映像、旅など情報源から効率的に情報を収集することができます。

 

溜まった情報を時々分析すると知識となります。知識の集積が知的腕力の源です。書籍にしてもよく選んで精読することです。この読書についてはKindleがお勧めです。老眼の私などは、フォントの大きさを変えられるので、読書のスピードが2倍くらいになります。そしてマークした部分はパソコンでリスト表示できますから、再確認ができます。

 

そして知識を構造化して編集するする作業が重要です。断片的な知識の構造化の手法として「こざね法」を紹介しました。文章の分析をしてくれる無料のサイトも紹介しました。文書の読解力の補完になります。

 

知識の構造化としては原稿を書くことです。無手勝流ですが私の「本の書き方」を紹介しました。要点は書籍のデザインです。目次によって全体のデザインをします。これがきちんとできれば本は、七、八割完成です。

 

分析と編集のレベルを上げるには俯瞰力が必要です。俯瞰力をつけるためには歴史認識とテクノロジートレンドの認識のレベルを上げることが必要です。とりわけ現在の基層が作られ、その上に現在の地政学的な構造が作られていった1900年以降の歴史が重要です。この時代の産業の歴史の認識も重要です。特に1990年以降のテクノロジーの発展の歴史の再確認は、今起きている産業構造の激変の理解に欠かせません。

 

テクノロジーの進歩がすごいスピードですから、多くの経営者が時代についていません。最先端の情報を適宜アップデートするためには読書だけでなくNHKの科学と技術をテーマにした番組を積極的に見る必要があります。ネットでwiredの記事をフォローすることも重要です。

 

あくまで我流の「知的腕力の鍛え方」ですがお役に立てれば幸いです。連載終了。

 

◆雑感・妄想◆

以上も雑感・妄想ですが、出来る限り参照データを紹介しています。個人のブログは面白いですが、個人的な偏りがありますから、できるだけメジャーなメディアを引用しています。

我が家の災害対策は、飲料水はペットの買い置き、トイレ用にはふろ水を落とさずにおく、カセットコンロとボンベの買い置き、缶詰と乾物の備蓄をしています。停電の時の通信確保のためにスマホ用の充電バッテリーを小まめに充電する、でしょうか。

 

 9年も続くアメリカの好景気もそろそろ景気循環のサイクルで下降するのではないかと疑心暗鬼で市場は揺れ動いています。市場の20%くらいはテック企業の時価総額でこれは買われ過ぎだと思っていますので、何かのトリガーで全面安の局面がくるかもしれません。

 

ブレグジットとトランプが最大のリスク要因と不確実性ですね。何が起きてもおかしくありません。

 

南北融和で北の脅威がなくなった、と韓国軍まで思い込んでいるのでしょうか。トランプ大統領が、在韓米軍の撤退をもし決めた時の中国と北朝鮮の動きを、どう見ているのでしょう。朝鮮半島全体が中国の地政学の中に取り込まれるでしょう。マティス国防長官亡き後のトランプ政権では日米同盟も怪しいので、ある覚悟も必要かもしれません。

 

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◆俯瞰MAIL84号(2018年12月28日)

発行元:一般社団法人俯瞰工学研究所

発行人:松島克守

編集長:松島克守

配信人:石川公子

URL:http://fukan.jp

 

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