この研究は東京大学総合試験所俯瞰研究部門の、玄場公規研究室で行われたプロジェクトの資料で、プロジェクトの中心となったのは中野泰臣助手であった。
夜間の都市の僅かな光を、衛星画像から丁寧に画像処理して、長時間露光し抽出したアジアの主要都市の「夜景」である。
この画像から統計値ではない、地域の経済力を推定しようとした、貴重な研究であり労作である。アジアの経済統計は今もあまり変わらないが信憑性にかける場合があるので、このような地政学的俯瞰の手法が考えられた。
上海周辺の夜景の1993-2001年の変化は、この地域の急速な都市化、即ち経済成長を如実に示している。上海から南京そして武漢にかけて経済成長か見て取れる。全体図からは内陸部の発展は遅いことが見て取れる。
全体図の左端は、中東の油田地帯であり、ガスが大規模に燃焼している為で、都市の光ではない。インドはニューデリー周辺を含め、全土にわたり光が見え、それなりの電力インフラがあるようだ。
なお朝鮮半島南部には、沿岸部海上のイカ釣り漁船団の強力な光が、雲のようみえている。
これは貴重な研究資料であるがこれまで限られた人しか見ていないていないと思うので研究グループの功績として紹介したい。