主任研究員

露木美幸 / Miyuki Tsuyuki

拓殖大学政治経済学部 講師

<略歴>
修士課程、博士後期課程を通して民事法学を専攻し、安全配慮義務と請求権競合論を
学ぶ。安全配慮義務が立法化される以前より、日本の安全配慮義務はドイツ判例法上
から由来すると考え、法人の社会的責任として配慮義務必要論を唱え、コンプライア
ンス・CSR構築による企業価値向上システムを考案する。
大学院在学中の2001年より金融商品販売にかかるソフトウェア開発にかかる知的財産
権保護、個人情報保護マネジメントシステムの構築に携わったことをきっかけに、数
社においてソフトウェア・電子商取引のコンプライアンス体制構築、教育機関、E
ラーニングにおける著作権リスクマネジメントを数多く行い、コンライアンス体制・
CSR体制の構築は企業にとって市場進出、進出後の信用確立に必須であることを感
じ、その必要性と急迫性を主張。現在は拓殖大学政治経済学部講師として知的財産権
法・CSR各論(環境論特講Ⅱ)・CSR実務(環境実務演習ⅠⅡ)・外国書購読
(ドイツ語)を教鞭をとりつつ、コンサルティング業務を行う。


<職歴>
2009年4月-現在
拓殖大学政治経済学部 講師
知的財産権法・CSR各論(環境論特講Ⅱ)・CSR実務(環境実務演習Ⅰ
Ⅱ)・外国書購読(ドイツ語)
2005年12月-2007年3月
専修大学法科大学院 非常勤嘱託 文部科学省教育高度化推進プログラム
知財教材開発プロジェクト 
2003年8月-現在     
大原法律専門学校 法律課 講師
ビジネス法・英米契約法・契約実務・英文ビジネス技法・CSR・知的財産法・
戦略情報システム
2001年4月-2004年3月
専修大学法学部 非常勤嘱託 
民法総則TA


<専門分野>
安全配慮義務(日本判例が形成した安全配慮義務とドイツ判例法上の社会生活上の義
務との相関関係)
従業員と使用者の債権債務関係につき、使用者にプラスαの付随債務を発生させる
という安全配慮義務の理論は、ドイツ判例法上のVerkehrspflicht(危険の源泉を生
み出した者がその社会的接触者に対して負う義務)に由来していると考えられる。こ
の安全配慮義務は、近代社会において民法が構築してきた「使用者従業者間の主従関
係」を「対等な個人間の自由な意思に基づく雇用契約」という美称で飾ってきた雇用
のあり方に対するアンチテーゼであるといえる。IFRSで要求される未消化の有給
休暇が従業員に対する使用者の「債務」であると表示するべきであるという会計基準
が示すように、雇用のあり方は『主従関係』からの『協働関係』へ時代は変遷しシフ
トしているといえる。すなわち、現代における組織の役割とは「従業員という各個人
が自らの自由意思で選択した自らの能力を生かす場の提供」なのである。
情報と法(コンプライアンス・CSR経営)
情報とは「無体資産」であり、企業の内部には物権債権などの財務諸表上に現れる
簿内資産だけではなく、個人情報やノウハウなど財務諸表に現れない無体資産があ
る。そして、企業の外部にはステークホルダーとの関係というCSRの領域がある。
このCSRというステークホルダーとの関係も企業の財務諸表に現れない無体資産で
ある。有体資産、無体資産、外部との関係としての無体資産、これらのすべてを統括
したものが企業の無体資産価値であり、それを可視化した文書がCSR報告書であ
る。M&A、農商工連携、企業合弁などの業務提携、または投資家の投資等において
重要視されるのは、財務諸表ではなくCSR報告書へと時代はシフトしていっている
のである。ISO26000にも象徴されるようにCSR報告書は必須の世の中にな
るのは時間の問題である。これらを構築するために、中小企業でも大企業でも活用で
きるTYKCマトリックス(コンプライアンス・CSRマトリックス)を考案した。
知的財産法(工学と法学)
日本には何の資源があるのか。限られた国土、石油もない、肥沃な大地もない、こ
こにあるのは人間の「知能」という知的財産のみである。狭い国土を活用し、代替資
源を開発し、ものづくりを実現してきた日本。この日本が再生するためには『知的財
産』を生かした経営をしていくべきであり、時代の変遷に同期してそのときに必要な
「資産」を生み出していくしかないのである。企業が経営戦略を立てる際に知的財産
部が企業の指令塔となり、中期計画の中に落とし込む時代はすでに到来している。こ
の変遷に気付かずに従来よりの経営戦略に拘泥している企業は、飽和状態であふれか
える無数の企業の中に埋没していくしかないのである。ITが必須の世の中になる
と、法を立法する際にも工学的視点は欠かせない。従来の民法学では予定していな
かった「有体物」以外のルールもやはり「法」で形成するしかない。ここに従来は考
えられなかった知の融合がある。知的財産法の分野はまさに「経営学」・「工学」・
「法学」が有機的に絡み合った分野であり、三位一体の知識が必要な高度情報化社会
に必須の学問領域である。
法と経営学
従来の法学は首尾一貫した論理学的審美理論であり、結果よりもむしろその理論構
築過程が重視された。これに対し、実業はその過程よりも利益という結果が重視され
た。論理学とビジネスが対峙する概念であることからも推察できるように、法と経営
はは真っ向から対立する概念(法規制は産業にとってのブレーキファクターである)
として考えられてきた。しかし、時代の変遷に伴い情報に財産的価値がシフトするに
つれ、コンプライアンスという無形の価値が重視されることとなる。ここに「法と経
営学」の分野の存在意義があると考える。したがって、私は法学の分野にはいまだ確
立されたとはいえない「法と経営学」の学問的体系を構築することが急務であり、そ
の先駆者となろうと考えている。なぜなら、産業に資する法律学の体系を構築するこ
とが日本の無体資産価値の向上に資すると考えるからである。



<研究上の業績一覧(講演・学会発表・論文・出版等)>

講演 コンプライアンスの実践と必須の契約実務 2008年10月
         経済産業省中小企業庁管轄 独立行政法人 中小企業基盤整備機構 虎ノ
門セミナー
講演 中小企業の企業価値を高めるCSR経営の実践 2008年11月
         経済産業省中小企業庁所管 財団法人 中小企業総合研究機構 中小企業
懇話会
講演 不況時代を勝ち抜く中小企業経営~転換期の知的資産経営とCSR~ 2009年3月

         社団法人日本経営士会
講演 CSR経営・知的資産経営の意義~真の企業価値の向上に向けて~ 2009年5月
         DEE21研究会
講演 企業におけるCSR経営体制構築の重要性と急迫性―PMによるCSRマネジメントの
効果的構築― 2009年6月
         日本プロジェクトマネジメント協会(PMAJ)
講演 企業におけるCSR経営の重要性 2009年12月
社団法人日本経営士会千葉支部
講演 CSR経営導入の意義~CSR経営体制と企業の収益性との関係~ 2010年2

DEE21研究会

学会発表 中小企業の企業力を高めるCSR経営と知的資産経営―財務情報中心主義
から非財務情報中心主義へのパラダイム転換―2009年7月
          社団法人日本経営士会2009年全国研究大会
学会発表 日本経済を救うCSR―次世代のビジネスモデルとしてのCSR経営― 
2009年10月
ビジネスモデル学会2009年秋季大会
学会発表 IT社会における個人資本主義と知的財産-知的財産法制のドライブファ
クター化に関する考察- 2010年3月
ビジネスモデル学会2009年春季大会

翻訳 著作権の将来像 2005年
ALAI2005年
論文 中小企業が目指すべきコンプライアンス経営とCSR経営の実践~取締役の経営
の一環としてのコンプライアンス・CSRマネジメント~2009年3月
        Management Consultant2009年3月号 
論文 中小企業の企業力を高めるCSR経営と知的資産経営―財務情報中心主義から
非財務情報中心主義へのパラダイム転換―2009年7月
        社団法人日本経営士会全国大会予稿集
論文 日本経済を救うCSR―次世代のビジネスモデルとしての経営―
CSR, which can rescue Japanese Economy- A thought of CSR as a business
model for companies in the next generation –2009年10月
ビジネスモデル学会2009年秋季大会予稿集
論文 IT社会における個人資本主義と知的財産-知的財産法制のドライブファク
ター化に関する考察
Intellectual Property and Individualcreationism in IT society -The
future of Intellectual Property Laws and Regulations:We can change Laws and
Regulations from braking factor into driving factor -2010年3月
ビジネスモデル学会2010年春季大会予稿集
論文 CSR経営体制構築による企業価値向上スキーム-クラウド時代の企業の配慮
義務-
CSR management system, which can improve corporate value-Importance
of Duty of Care (Verkehrspflicht) for Organizations in this century-2010年3

ビジネスモデル学会2010年春季大会予稿集


共著 基礎からの公法入門地方自治法 第1節 法律の基礎―公法と私法担当 
(敬文堂 2008年3月)
単著 知的財産一問一答
(三和書籍 2007年9月)
単著 知的財産管理技能検定3級学科問題集
(三和書籍 2008年5月)
単著 知的財産管理技能検定3級入門テキスト
(三和書籍 2008年6月)
単著 知的財産管理技能検定2級学科問題集
(三和書籍 2008年10月)
単著 知的財産管理技能検定ガイダンス
(三和書籍 2008年12月)
単著 知的財産管理技能検定3級学科過去問題集
(三和書籍 2009年10月)
単著 知的財産管理技能検定2級学科過去問題集
(三和書籍 2009年10月)
単著 コンプライアンス時代の契約実務
(三和書籍 2008年8月)
単著 CSR概説-社会生活上の義務としてのコンプライアンス・CSRの実現を目
指して-
(敬文堂 2010年9月出版予定)
単著 知的財産法概説
(敬文堂 2011年2月出版予定)

<座右の銘>
「産業は学問の道場なり」
KS鋼(特許第32234号)を発明した東北帝国大学の本多光太郎博士の名言です。産業
に役立つ研究こそが学者の本質であることを説き、自ら産学連携の実践に努めた本多
先生の言葉を常に念頭においております。こと法律学は美しい理論の構築に拘泥しが
ちですが、企業にとって、組織にとって、個人にとって、およそすべての人類にとっ
て役立つ法律学、ドライブファクターとしての法適用の提案をしていきたいと考えて
おります。法と経営学の体系(コンプライアンス・CSRの体系化)を構築すること
が目標です。

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