俯瞰メルマガ・アーカイブ

 

 

俯瞰メール63号

◆時候のご挨拶◆

東京も紅葉の季節になりました。そしてもう少しで銀杏が真っ黄色に紅葉します。青山の絵画館前と東大本郷の銀杏並木は絶景です。ほんのわずかで黄色

花吹雪となります。

“金色の ちいさき鳥のかたちして 銀杏ちるなり夕日の丘に” 与謝野晶子『恋衣』

目次

・トランプ大統領という選択

・日本でも起きるかトランプ現象

・第37回俯瞰サロン「“品川ウォーターフロント”と 新しい水上交通システム」

・小浜市の“サバサミット”

・舞鶴の東郷邸と“岸壁の母”

・俯瞰のクッキング“鯖のフレーク”

・2020年以降の世界2 自動運転車

・俯瞰の書棚 「アルゴリズム革命の衝撃」

・編集後記

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◆トランプ大統領という選択◆

アメリカ国民はトランプ大統領という選択をしました。予想外、驚くべきといった悲鳴にも似たコメントが飛び交いました。一瞬、株式市場も大きく下げましたが、翌日にはそれ以上に上昇しました。まさにトランプ大統領に対し、市場は一時平常心を失いました。

 

選挙前、メディアによって、ヒラリー・クリントンが優勢と、ヒラリー・クリントン大統領誕生を想定する潜在意識を刷り込まれてきました。そしてこの結果について、たくさんの解説がされています。実は驚いた事に、7月29日に映画監督のマイケル・ムーアが「悪い知らせだ、ドナルド・トランプが11月の大統領選で勝つ」と予想しているのです。その理由は、

 

1. 中西部のラストベルト、ミシガン、オハイオ、ペンシルベニア、ウィスコンシンといった五大湖を取り巻く4つのブルーステートは伝統的に民主党であるが、ヒラリー・クリントンがNAFTA(北米自由貿易協定)を支持したから、製造業中心の中西部の州の壊滅を助長した、とトランプが煽り、これに共感した人達がトランプに投票するだろう。

 

2.  8年間も黒人大統領の指図を受けてきて、今度は威張り散らす女のもとで8年間も過ごすことになるのか、と煽られて、白人男性がトランプに投票する。

 

3. 有権者の70%はヒラリー・クリントンは信用できないと言っているし、不誠実だと考えている。若い女性が最大の反ヒラリー派で、ミレニアル次世代が、毎日のようにヒラリー・クリントンには投票しないと言っている。

 

4. サンダース支持者は投票所に行ってヒラリー・クリントンに投票するわけがない。たぶん投票所に行かないだろう。

 

このような雰囲気の報道は全くなく、特に日本はアメリカのABC放送を中心とした大メディアの流す情報に染まっていました。その大メディアはトランプが下品なことをいうと、そこだけを映像として取り上げて、トランプがどんな政策を打ち上げているかをほとんど報道して来ませんでした。さすがに、トランプ大統領という選択の前に敗北感に陥り、 ニューヨーク・タイムズは読者に対し、前代未聞の謝罪広告を出しました。

 

ウォール街はクリントン支持で反トランプと報道されてきましたが、トランプ大統領という結果に満足しているようで、ニューヨーク株式市場は上昇しています。

 

ドナルド・トランプの個人的な情報は、ほとんど報道されませんでしたが、実は気さくで、人から好かれ、酒も飲まない人間のようです。女好きのようですが人々は気にしません。

 

選挙前にあれこれ言っていた過激な主張は、政権が固まっていく中で落ち着いていくと思いますが、トランプ大統領にはいくつかの懸念があります。

 

世界的に大きな懸念は、やっとまとまった脱炭素社会のパリ協定からアメリカが脱退するとなると、気候温暖化という環境破壊が進むことです。

次にTPPですが、これははっきり反対と主張し、オバマ政権も議会の承認を諦めました。安倍首相はトランプ大統領に直接会って、 TPPはアメリカと日本にとって中国の台頭に対峙する戦略的な意味があることを説得するようですが、再交渉になって別のものに変わっていく可能性が高いですね。

 

経済的にはNAFTA(北米自由貿易協定)からの脱退は、日本の自動車産業に大きな打撃を与えることになります。マツダは米国内に工場を持たず最近メキシコに工場建設をしたばかりです。アメリカの自動車産業もメキシコに生産拠点を持ちアメリカに輸出していますから簡単には脱退できませんが、選挙での公約である製造業のアメリカ回帰は進めるでしょう。すでにiPhoneの生産をアメリカに移すことをEMSの鴻海は検討しているようです。ただアメリカで生産するとコストが2倍に膨らむとのことです。

 

経済的な政策では、富裕層と大企業に有利な税制改革をするでしょう。ですからウォール街はトランプ大統領を歓迎しているわけです。貧しい白人層がトランプ大統領に投票したと言われていますが、結果、ごく一部の富裕層が、所得税減税と相続税廃止という美味しいところを甘受することとなるのは政治の残酷さですね。貧しい白人層は裏切られたと思うかもしれません。

 

メキシコ国境に塀を建設するとか、イスラム教徒入国禁止などの過激な言動は、実際は行われないでしょう。外交はテクノラートが基本は仕切りますから。そしてトランプ大統領はビジネスマンですから政治感覚とは別のバランス感覚はあるでしょう。

 

勝てば官軍で、各国首脳がトランプ大統領にすり寄る中で、ドイツのメルケル首相は「ドイツにとって、EU以外の国の中で、米国ほど共通の価値によって緊密に結ばれている国はありません。その共通の価値とは、民主主義、自由、権利の尊重、全ての個人の尊厳を重んじることです。人権と尊厳は、出身地、肌の色、宗教、性別、性的な嗜好、政治思想を問うことなく守られなくてはなりません」と、選挙運動中に女性、メキシコ人、イスラム教徒、同性愛者を蔑むかのような発言を繰り返してきたことに対して暗黙の批判をしました。さすがメルケル首相と思います。安倍首相はやや前のめりですが、素早い行動は評価しましょう。

 

実際トランプ政権の政策が見えませんから、中国を含め各国とも様子を見ることになりますが、ロシアのプーチン大統領は冷戦後最悪のロシアとアメリカの関係を、これを機会に改善し、ウクライナ問題で受けている経済制裁の緩和を狙っているでしょう。その交渉カードとしてシリアでの軍事活動を活発化させています。

 

中国の習近平主席はじっとトランプ政権の動向を注視しているのでしょう。

 

ドナルド・トランプが大統領になる5つの理由を教えよう

http://www.huffingtonpost.jp/michael-moore/5-reasons-why-trump-will-win_b_11254142.html

トランプ氏「NYタイムズが読者に謝罪した」

http://www.yomiuri.co.jp/world/20161115-OYT1T50018.html

トランプ大統領誕生にウォール街がほくそ笑む理由

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/50203

トランプ氏はスシを食べず酒も飲まない

http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/110879/111500486/?rt=nocnt

「パリ協定」形骸化懸念 トランプ氏勝利で

http://mainichi.jp/articles/20161112/k00/00e/030/226000c?utm_source=dlvr.it&utm_medium=twitter

トランプとの対決姿勢を鮮明にしたメルケル

http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/219486/111100022/

トランプ勝利に反応か?ロシアがシリア空爆を再開 トランプの安保政策は未知数だが、早くも動いたプーチン

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/48416

 

◆日本でも起きるかトランプ現象◆

日本でもトランプ現象が起こるか、可能性はあります。移民に仕事を奪われるというような現象は日本にはありません。ただこの10年確実に経済格差は広がっています。年収400万円以下の世帯は約47%です。わずかな年金で暮らす人も大勢増えています。このシニア層を狙った政策に引き出されて、シニアは比較的投票率が高いのではないでしょうか。これも行き過ぎるとシルバー民主主義として若者は反発します。

 

若者も、お金がありません。政治に対して関心が薄いです。前回の参議院選挙から18歳以上が投票権を与えられました。若い人の票は自民党の方が野党よりも取っていますが、投票率は高くありません。20代の投票率は20%にとどまり、 18歳と19歳は、40% 60%の投票率でした。高校での選挙教育が効いたのでしょう。野党の政策も共感を覚えるものではありませんでした。そもそも政策ビジョンが全く見えませんでした。

 

安保法制反対、原発反対のデモもありましたが、韓国の抗議デモの100分の1もありません。という事は、トランプ現象やサンダース現象は日本では当分起こらないと思って良いかもしれません。

今回の大統領選挙では、メディアの世論調査が全く役に立たないことが判明しました。日本でもメディアが世論調査をしばしば行っていますが、その結果が国民や社会を正しく反映しているかは再確認の必要があると思います。以前は電話帳から無作為に番号を抽出して、電話で意見を聞いていたようですが、さすがに今時有線電話を持っていて、かつ電話帳に登録している人の意見では世論調査になりませんから、最近はRDD方式の電話調査で行なっているようです。「RDD」とは「ランダム・デジット・ダイヤリング(Random Digit Dialing)」の略。コンピューターで無作為に複数の電話番号を作成し、その番号に電話をして調査します。

 

たぶん、アメリカのメディアも同じような手法を使っていると思いますが、ソーシャルメディアの情報と大きく乖離しています。そしてソーシャルメディアを駆使したトランプ陣営が想定外の当選を果たしたわけです。Twitterのフォロワーは2800万人ともいわれてます。

 

ネットワークで、若者の琴線に響く政治を語り、燎原の火のように拡散されるそれを感情的に共有する訳ですので、ある意味危険な政治です。これがポピュリストの技法です。

 

大統領選挙では、Facebookでたくさんの「デマ」が拡散したと言われています。しかしFacebookの人気ではトランプが圧勝で、 11月4日の段階でもトランプ圧勝となっていますが、大手メディアはこれを無視してヒラリー・クリントン優勢という「デマ」を流し続けたことになります。

 

日本でも、注目すべき現象が先の参議院選挙でありました。参院選比例区で、新党改革の山田太郎氏が約29万票と大量得票したのに落選しました。民進、おおさか維新、社民、生活の4党のトップ当選者の獲得票を上回っています。自民党であれば11万票程度でも当選しています。

 

山田太郎氏は表現規制反対を訴えて、東京・秋葉原に選挙事務所を構え、オタク層の若者から幅広く支持を受けましたが、落選しました。これは参議院選挙制度の問題です。

 

ここで注目すべきは、政党からなんの支援もない山田太郎氏がSNSの力を使って約30万票獲得している事実です。要は既成の政党がSNSの使い方を知らないのです。たぶん大金を出して広告会社にネット選挙を仕掛けたのでしょうが、若者の琴線に響きませんでした。

逆にアニメやコミックの世界に生きている若者は、表現の自由を規制しようとする政治に反発し、 1人で立ち向かっていった山田太郎氏の姿勢が、オタクと呼ばれる若者の琴線に響いたのでしょう。確かに日本のアニメやコミックは未成年に相応しくない表現がありますが、表現の自由を規制しようとする政治に強く反発したのでしょう。そしてネット上で、万人単位で応援に駆けつけました。

 

ここで言いたい事は、トランプ現象を起こしたソーシャルメディアによる選挙活動の素地は、すでに日本にもあるということです。若い人でFacebookやLINEをやっていない人はほとんどいません。そして、ほとんど全員スマートフォンを持っています。火をつける人がいれば、それは燎原の火のように拡散するインフラがあるということです。ですからポピュリストが、社会に潜在する怒りに火をつけるような政治行動すれば、日本でもトランプ現象は起こり得ると考えます。

 

これは私が提案するものではではありませんが、もし次の衆議院選挙で野党が候補者を一本化し、原発反対の1点で勝負すれば、自民党は大敗するかもしれません。現在の世論調査でも原発反対は過半数超えています。安保法制や年金よりもわかりやすく、感情に訴える強い力がありますから。

 

「トランプ現象」は、いずれ日本でも起きる

http://toyokeizai.net/articles/-/145121?page=2

ソーシャルメディアの情報が世論調査よりも正確にアメリカ大統領選の結果を予測していた

http://jp.techcrunch.com/2016/11/12/20161110social-media-did-a-better-job-at-predicting-trumps-win-than-the-polls/

トランプ氏、「米大統領選の勝因はソーシャルメディア」

http://www.afpbb.com/articles/-/3107759

トランプVSクリントンのアメリカ大統領選、Facebook人気ならトランプ圧勝

http://gigazine.net/news/20161104-donald-trump-facebook/

米大統領選挙中、Facebookでのデマは大手メディア以上に拡散してた

http://www.gizmodo.jp/2016/11/fake-news-stories-outperformed-real-ones-on-facebook.html

米大統領選終盤のフェイスブック、偽ニュースが報道記事を凌駕

http://www.afpbb.com/articles/-/3108286

山田太郎氏、約29万票獲得も落選。民進党の比例当選トップを上回ったのになぜ?

http://www.huffingtonpost.jp/2016/07/10/taro-yamada_n_10921538.html

 

◆俯瞰サロン◆

第37回 俯瞰サロン 2016年12月12日(月)開催。

東京海洋大学 海洋工学部 海洋電子機械工学科

准教授 清水悦郎さんに聞く

「“品川ウォーターフロント”と、新しい水上交通システムの実現を目指して」

 

2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピックや、近い将来、訪れるであろう災害時への対応に向けて、水上交通をもっと利用できないか? 陸上のように水上ももっと先進技術を取り入れた交通システムが実現できないか? という視点から研究を進められています。

描かれている将来像と、技術面・法律面の課題への取り組み、研究の進捗状況をご紹介いただきます。

日 時: 12月12日(月)18:30-20:00 (18:15 受付開始)

場 所: 品川インターシティホール&会議室

     会議室5

     東京都港区港南2丁目15番4号

     http://www.sic-hall.com/home/contact.html

参加費: 1,000円★

定員 : 40名程度(定員に達した時点で受付終了します)

懇親会: 講演終了後に懇親会を開催します。

     懇親会参加費用は3,000円程度(学生無料)。

     ※会場準備の都合上、懇親会への参加の有無も

      ご提示ください。

日程・内容は予告なく変更されることがありますのでご容赦ください。

お申込みは、以下のサイトからお願いいたします

                http://www.fukan.jp/俯瞰サロン/

 

水素船 実用間近 東京海洋大がテスト航行 静か、排ガスのにおいなし 供給施設、建造費など課題

http://mainichi.jp/articles/20161119/dde/041/040/036000c

 

東京海洋大学プロジェクトページ

http://www2.kaiyodai.ac.jp/~takamasa/kaiyodai-ees-project/

 

 

◆小浜市の“サバサミット”◆

ご縁があって、こよなく鯖を愛する“全さば連“の方々とお付き合いがあります。この“全さば連“が仕掛人の”鯖サミット“というイベントが今年は若狭の小浜市であり、参加してきました。

 

全国から鯖の食材が展示されていて、試食もでき、買うことのできるというイベントです。主催者の話では延べ2?3万人の参加があったということでした。週末ということもあって大勢の家族連れで賑わっていました。実は10月29日30日という土日のスケジュールでしたが、土曜日は強風で、テントが飛ばされそうになるので中止となり、日曜日は見事な晴天となってイベントは開催されました。

 

驚くことに無尽蔵に獲れていた若狭の鯖は、ほとんど最近は獲れないそうで、地元の鯖の食材も、ほとんどノルウェー産の鯖でした。そして、地元では鯖の養殖を始め、最初のお披露目と試食が、このイベントで披露されました。鯖も養殖の時代ですか。

 

ニシンの群れが海から消え、ハタハタの群れが消え、そして鯖の群れが消えてしまったのです。うなぎの稚魚も、そしてマグロも。乱獲の因果応報でしょうが、深刻です。

 

食肉は基本的に全て養殖です。穀物や野菜も自然のものを収穫するものではありませんから、魚についても、天然から養殖になっていくのは仕方ないでしょう。既に鮭はチリ、ノルウェーからの輸入の養殖モノが大量に売られています。ちなみに東京では日本産のマサバは1,000円ぐらいします。

 

若狭に来るのは初めてでした。若狭湾は美しく、また魚に恵まれた豊穣の海であったため、古代から天皇家に食材を供給する土地でもあったとのことです。そして無尽蔵に取れたと思われる鯖は塩を振り、背中に背負って夜通し歩いて京都まで届けられてきました。その道が鯖街道です。その古い宿場町も観光資源として整備されつつありました。

この機会に少し西にある舞鶴に寄ってきました。

 

全日本さば連合会とは

http://all38.com/

全国津々浦々の鯖グルメが集合する「鯖サミットin若狭おばま」

http://wakasa-obama.jp/Event/eventDetail.php?254

 

◆舞鶴の東郷邸と“岸壁の母” ◆

舞鶴に行きたいと思ったのは2つの理由があります。日本の運命を決めた「皇国の興廃この一戦にあり。各員一層奮励努力せよ」の日本海海戦の連合艦隊司令官の東郷元帥の官舎を見たいということと、戦後中国大陸や朝鮮半島から多数の引揚者が上陸したあの“岸壁”を訪れてみたかったのです。

 

東郷元帥の官舎は少し山を登った所にありました、美しい庭が付いた木造です。玄関を上がってすぐ右の部屋が執務室であったようで、机もそのままあり、その上に連合艦隊司令官の任命書と罷免書のコピーがありました。初めて知りましたが、任期はわずか2年間でした。まさに日本海海戦のために舞鶴に赴任したのです。

 

その奥に8人ほどが入る会議室がありました。ここであの秋山真之参謀達と作戦を練り、議論したのでしょう。その奥には人を接待する大きな座敷がありました。そして、さらにその奥に、東郷元帥の書斎がありました。 四畳半の部屋に座卓が置いてあり、庭に向かって座るしつらえです。座って窓の外の庭を見ると、心が落ち着きました。この景色を東郷元帥もご覧になったと思うと感無量でした。立ち机だと四畳半では狭いと感じますが、座卓で座るとこの大きさが一番落ち着くと、改めて四畳半の座敷を見直しました。

 

引揚桟橋の桟橋は思っていたよりずっと短く、沖合に船を停泊させて小舟で人を運搬したのでしょう。ただこの桟橋の位置が若狭湾の一番東の外れに在ったのは意外でした。何十万という人たちが入国処理をするために広い場所が必要だったのでしょうか。

 

小学生の頃まだテレビがなくて映画館で映画の前にニュース映画が上映されました。興安丸という引揚船の映像が今でも思い出されます。このニュース映画で朝鮮の動乱という戦場からの映像も見ました。

 

二葉百合子さんの“岸壁の母”は、名曲というより熱いモノをこみ上げさせる歌ですね。強烈な反戦歌でもあります。二葉百合子さんから坂本冬美さんに引き継がれていくようです。

 

日本海海戦

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E6%B5%B7%E6%B5%B7%E6%88%A6

東郷邸

http://blog.goo.ne.jp/raffaell0/e/7e2a14f0660c31928d29e72d7ab4398b

京都府舞鶴、岸壁の母の引揚桟橋周辺

http://4travel.jp/travelogue/10356040

引揚船32隻の画像

http://www.geocities.jp/k_saito_site/hikiagesen1.html

引き揚げ

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BC%95%E3%81%8D%E6%8F%9A%E3%81%92

岸壁の母  二葉百合子

https://www.youtube.com/watch?v=Ti4IPKnp4Io

岸壁の母 坂本冬美

https://www.youtube.com/watch?v=45w9jKHekXI

 

◆俯瞰のクッキング“鯖のフレーク”◆

小浜市の鯖サミットで出店者から強く勧められて、“鯖のへしこ漬け”と“鯖のフレーク”を買ってきました。“へしこ漬け”というのは、鯖を塩漬けにしてから、さらに糠漬けにした保存食です。鯖のフレークは、“焼き鯖”という伝統的な食品を細かくほぐしたもので、新しく考案した食材のようです。

今回は“鯖のフレーク”を使った料理をいくつか考案して試食してみました。

まず“鯖フレークのパン粉”を使ったアスパラガスのオーブン焼きと カマスのオーブン焼きです。

 

ボールにパン粉を入れ、それに鯖のフレークをかなり入れ、ニンニクのみじん切り、イタリアンパセリのみじん切りを入れて、塩胡椒をし、かき混ぜます。それをさっと茹でたアスパラガスの上にかけ、オリーブ油をタラタラと上からかけてオーブンで数分焼くだけです。パン粉の量は好みですが、このパン粉がおいしいので、大匙4?5杯くらいでしょうか。

 

開いたカマスをオーブン皿に並べて、このパン粉を振って同じようにオリーブ油を全体にタラタラとかけて10分ほどオーブンで焼きました。 2つとも思った通り大変美味しく出来上がりました。アスパラガス以外の野菜にも応用出来ると思いますし、カマス以外の魚でもおいしいと思います。

 

ここではオーブンと書きましたが、実際はパナソニックのオーブンレンジBISTROの両面グリルを使いました。このグリルは、上面はヒーターで焼き色をつけ、下面は電子レンジで専用のグリル皿を加熱します。オーブントースターがあればこれも使えるでしょう。またアルミ箔を引いた両面魚焼き器も火加減を調節すれば使えると思います。

 

次は、豆腐のハンバーグです。豆腐を水切りしてボールで細かく潰して、そこにそのフレークをかなり入れ、刻んだネギ、繋ぎに片栗粉小さじ2杯くらいと卵を入れ、塩胡椒、または大さじ1杯程度のつゆの素を入れて味付けします。手でこねます。適当な大きさに整え、それをフライパンで両面焼きます。豆腐ハンバーグですがこれもかなりイケます。

 

問題は“焼き鯖のフレーク”。ほとんど売られていませんから、鯖のフレークを作ることを考えました。水煮の鯖缶を使い、中骨を取り除きその他の骨も除きます。実際は中骨を取り除くだけでいいと思います。これを中華鍋で玉杓子の腹で潰しながら水分を飛ばしていくと鯖のフレークのようなものができますから、これで代用できます。

 

“鯖のへしこ漬け”はかなりクセのある食材ですから、いくつか試作をしていますが次回にご紹介しましょう。

 

◆2020年以降の世界2 自動運転車◆

このコラムは2回目ですが、意図は“すでに見えている未来”を再確認し、そこからバックキャスティングによって、今何をしなければならないか、どんなチャンスがあるのかを考えることです。前回は電気自動車について考えましたが、今回は自動車業界に革命的な変革をもたらすと考えられている自動運転車について考えてみましょう。

 

まず自動運転車とは何かを、その定義を確認しましょう。

「日本政府や米国運輸省道路交通安全局 (NHTSA) では自動化のレベルを以下のように定義している

・レベル0

ドライバーが常にすべての主制御系統(加速・操舵・制動)の操作を行う。前方衝突警告(FCW)などの主制御系統を操作しない運転支援システムもレベル0に含む。

・レベル1

加速・操舵・制動のいずれかをシステムが行う状態。自動ブレーキなどの安全運転支援システムによる。

・レベル2

加速・操舵・制動のうち複数の操作をシステムが行う状態。アダプティブクルーズコントロール(ステアリングアシスト付き)等がこれに該当する。ドライバーは常時、運転状況を監視操作する必要がある。その為、2016年時点で市販されているシステムはある程度の時間(10?15秒等)、ハンドルから手を離しているとシステムが解除される等の仕様となっている。

・レベル3

加速・操舵・制動を全てシステムが行い、システムが要請したときはドライバーが対応する状態。加速・操舵・制動を全て自動的に行うシステム。通常時はドライバーは運転から解放されるが、緊急時やシステムの限界時には、システムからの運転操作切り替え要請にドライバーは適切に応じる必要がある。事故時の責任はドライバーとなる。

レベル3に該当するシステムは、2016年時点で市販されていない。しかし、自動車専用道を走行中のみに限定する等とした日産プロ・パイロットを搭載したセレナが8月下旬発売予定と発表され、他の多くの自動車メーカーやその他の企業が、レベル3相当の自動運転車の市販に向けて開発を行っており、日本政府も2020年までにレベル3自動運転車の実用化を目標としている。

・レベル4

完全自動運転。加速・操舵・制動を全てドライバー以外が行い、ドライバーが全く関与しない状態。安全に関わる運転操作と周辺監視をすべてシステムや外部に委ねる。有人、無人両方がある。レベル4に該当するシステムは、上記の鉱山等で運用されている無人ダンプや無人軍事用車両等、特殊環境で運用されているもののみで、一般市民が公道を走れるものは2016年時点では市販されていない。

 

2016年に世界で初めてオランダで公道でレベル4相当の無人バスの試験運転が開始された。無人バスは、WEPodと名づけられている。それまでは、レベル4目的の試験車両でも公道走行時にはドライバーが必ず必要であったが、今回はドライバーなしで、6人の乗客を乗せての公道走行を行った。公開されたデモでは約8km/hで約200mほどの公道を運転手不在で走行しただけだが、一般の乗客を乗せて、約24km/hで約11kmほどのルートを走行する公共交通機関として運用が開始される予定である。

 

日本政府は、レベル4の自動運転の実現は2020年代後半を目指すとしていたが、上記のように特定のルートを走る無人タクシー、バスという形で海外でレベル4の自動運転車の実用化が具体的になってきたこともあり、日本においても東京オリンピックが行われる2020年にレベル3の自動運転車の実現と平行して、レベル4の無人タクシーの運用開始を目標とする事を発表した。

 

自動運転車は、アメリカのテスラによって既に日本でも発売されています。それはレベル2を超え、レベル3に近いと思います。米国では運転手がスピード出しすぎ緊急時に対応しなかったので死亡事故になりました。2017年後半に納車が始まるテスラの新型車「モデル3」には、完全自動運転機能が搭載されるとテスラは発表しています。さらにテスラモーターズを率いるイーロン・マスクCEOは、「来年末までにロサンゼルスからニューヨークまで、車のハンドルに指1本触れずに横断してみせる」と胸を張っています。そしてテスラは今後生産されるすべてのテスラ車に完全自動運転機能を持つハードウエアを搭載することを発表しました。性能や機能の改善はネットワークでソフトウェアのダウンロードをすることになります。整備工場に持ち込む必要はありません。

 

新型のハードウエアは、外界の状況を認識するカメラの数が従来1個だったものが今回8個になり、これにより車の周囲360度、最長250メートルの範囲を認識し、12個の超音波センサーは従来比2倍の距離までの物体を検知します。

 

また、コンピューターの処理能力は「車の中にスーパーコンピューターがあるかのようだ」とマスク氏は胸を張っています。カメラやセンサーを通じて集められた情報を処理するソフトウエアは自社で開発したとのことです。

 

完全自動運転の自動車はすでに殆ど完成しているのです。ただネガティブリストの米国ですからこれからどのように行政として規制するかを議論していますが、ポジティブリストの日本では“やっていいこと”しか出来ませんから、イノベーションは遅れ気味です。

 

実際は、完全自動運転の自動車を公道で走らせるためには多くの課題があり、実証実験でこれを潰していく必要があります。

 

テスラに続き、全自動運転車は走るスーパーコンピュータ付きのスマートフォンですから、 GoogleとAppleが先行しています。ところが実証実験ではカーシェアのユニコーン企業のUVERが先行しています。 UVERは自動運転トラックによって運転士なしで高速道路を長時間走行して、ビールを5万本無事に配送したと発表しました。あくまで高速道路で市街地ではありません。

 

完全自動運転の車は、一般のドライバーはあまり必要を感じていないと思いますが、タクシーやトラック業界は運転士のコストを大幅に削減できるため積極的な取り組みをしています。市街地での自動運転の実証実験はGoogleが先行していたと思われていましたが、なんとアメリカのベンチャー、MITのロボット工学の教授が立ち上げた自動運転技術企業nuTonomyがシンガポールで世界初の自動運転タクシーの公開実験を始めました。そしシンガポールでは、自動運転大型バスの試験運行も開始しています。

 

自動運転車はハードウェアやソフトウェア以上に、運行のノウハウが重要です。無人運転の自動運転車は通信回線によって監視センターに接続されて常時監視と制御がされています。このためGoogleは早い段階から支援していたUVERと袖を分かち、自分でもカーシェアリングのサービスを始めました。

 

Googleと競い合うように完全自動運転の研究開発を推進してきたAppleですが、プロジェクトがいろいろな困難にぶつかっているようだと報道されています。 Googleも担当責任者が交代したり、退社しています。コンピューターのソフトウェアの開発とは違った障害が多くあるのでしょう。ただAppleには一、時は世界のスマートフォンをリードしたブラックベリーのエンジニアたちが参加しているとのことです。

 

日本は完全自動運転の自動車は2020年以降の普及を想定していましたが、世界の進歩のスピードに驚いて、このところ活発に動くようになりました。

 

オリンピックの2020年には選手村を中心に無人タクシーを走らせようという計画も進んでいます。ソフトバンクやイオンのような企業もこの自動運転の実証実験をしています。

 

すでにレベル2の車は発売されています。自動ブレーキや車線キープ、前に走る車に一定間隔で自動的に追従する機能が搭載された自動車です。

 

完全自動運転の自動車はタクシーやトラック業界内では重要になっていますが、このところ高齢者が運転を誤り、小学生などの通行人を死傷させています。東京都心部以外は、ともかく自動車がなくては生活できない地域はたくさんあります。ただ高齢者に免許証を返上させるわけにもいきません。といって、きめ細かな公共の移動手段を提供するのはコスト的に難しいです。

 

ですから、ぶつからない、溝に落ちない、という軽自動車が今すぐにも必要です。たぶんこの1?2年で急速に普及するのではないでしょうか。レベル2とレベル3の中間ぐらいでしょうか。むろんこれは電気自動車になります。

 

完全自動運転の自動車が普及すると車の所有と管理運用が変わってきます。現在の運転手つきのUVERでは本人は1台しか運用管理できませんが、完全自動運転の自動車であれば複数台を購入して、これをUVERで運用すれば新しいビジネスモデルになります。となると自動車のフィンテックです。

 

このようなカーシェアリングが普及すると、自動車の販売台数は減少します。ほとんどの自家用車はごくわずかしか動かず、大半は駐車しています。家庭の太陽光発電のバッテリとして使う案もありますが、車がお金を稼いでくれればそちらに回すでしょう。

 

最大の焦点は、トヨタ自動車、GM、フォルクスワーゲン、フォード自動車、その他の自動車企業がGoogle、 Apple、 UVERといった破壊的新規参入者とどう対峙するのか、連携するのかということです。トヨタ自動車は最近になって人工知能の研究所シリコンバレーに設立した段階ですし、ストリートビューもありません。したがってなんらかの連携が必要になってくると思います。いずれにせよ2020年までには大勢が判明するでしょう。

 

 

このように完全自動運転の自動車の普及は現在の自動車産業と車社会を大きく、場合によっては破壊的に変革して行くでしょう。まさに完全自動運転の車は破壊的イノベーションを起こそうとしているのです。これはすでに起きている未来そのものです。

 

Tesla社の自動運転のデモビデオがありますので、ご覧ください。

Tesla Self-Driving Demonstration

https://www.tesla.com/videos/autopilot-self-driving-hardware-neighborhood-long?redirect=no

「自動運転で米国横断」、テスラは正気なのか

http://toyokeizai.net/articles/-/141641

自動運転開発「Uberが独走、Googleには試練」のワケ

http://wedge.ismedia.jp/articles/-/8070

UberのOtto自動運転トラックの最初の積み荷はビール5万本

http://jp.techcrunch.com/2016/10/26/20161025ubers-otto-self-driving-truck-delivers-its-first-payload-50k-beers/

サンフランシスコでの相乗りサービスで、Uberの足元を脅かすGoogle

http://jp.techcrunch.com/2016/08/31/20160830google-said-to-undercut-uber-with-expanded-ride-share-service-in-san-francisco/

世界初の自動運転タクシー公開実験、米新興企業がシンガポールで開始

http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1608/26/news048.html

シンガポールで、自動運転大型バスの試験運行を開始

http://jp.techcrunch.com/2016/10/26/20161024singapore-to-trial-driverless-buses-after-successful-shuttle-pilot/

スマホを創ったレジェントたち…アップルカーの開発にBlackBerryのエンジニアが参加

http://www.gizmodo.jp/2016/11/apple-titan-blackberry.html

アップル、自動運転車のプロジェクトを見直しか

http://japan.cnet.com/news/business/35088891/

Appleは、もう自動車を作るつもりがない(Bloomberg報道)

http://jp.techcrunch.com/2016/10/18/20161017apple-reportedly-doesnt-want-to-build-a-car-anymore-just-its-brain/

GoogleやGMなど、自動運転車に関するカリフォルニア州の改正案に反発

http://itpro.nikkeibp.co.jp/atcl/news/16/102103072/?rt=nocnt

トヨタも危機感! 自動車は異業種提携でどこへ向かうのか

http://president.jp/articles/-/18649

 

◆俯瞰の書棚 “アルゴリズム革命の衝撃”◆

今回の紹介は「シリコンバレー発 アルゴリズム革命の衝撃」櫛田健児 2016 朝日新聞出版 です。

 

この本はシリコンバレーという巨大なスタートアップのエコシステムで何が起こっているかを解説しています。第1章は人工知能について、第2章はクラウドコンピューティングについて、第3章はIoTについて、そして第4章はフィンテックについて最新の状況を解説的に説明しています。ですからこれを読めばこの4つのキーワードを深く理解できます。

 

本来のメインテーマは、最後の第5章の、「日本企業がこれからすべき事」、すなわち日本はシリコンバレーと補完的な関係にあり、うまく使って経済成長をしましょう、ということです。

 

この4つのキーワードの本質は同じ現象で、

“人間の活動をキャプチャ「取り込み」、トランスフォーム「変形」し、リプレイス「置き換える」そしてソフトウェアのアルゴリズムで「自動化」する“

が著者の主張だと思います。

 

著者の櫛田 健児氏は、「日本のノンフィクション作家、政治経済学者。東京都出身。アメリカンスクール・イン・ジャパン、スタンフォード大学卒業。カリフォルニア大学バークレー校政治学博士。

父親が日本人で母親がアメリカ人のハーフ(ダブル、ミックスともいう)。

インターナショナルスクールやバイリンガル、バイカルチャーといったテーマを一般社会に広く紹介する本の著者。 カリフォルニア大学バークレー校政治学部博士。 スタンフォード大学アジア太平洋研究所で日本研究員として情報産業や政治経済を研究。(Wikipedia)」

ということでシリコンバレーをネイティブとして知り尽くし、コンパクトな本の中にシリコンバレーの最新の状況をまとめているので、ぜひご一読をお勧めします。この水準の知識は、ビジネスマンは頭の中に入れておかなければならないでしょう。

 

第1章から第4章までの内容の解説はしませんが、第5章の日本企業がこれからすべき事の内容を紹介しましょう。

・外部の力を取り込む「オープンイノベーション」

・シリコンバレーで人脈を作る

・トップがコミットし現場に裁量を与える

・デザインとコンセプトを買うという発想

・ロボティックスに活路を見出す

・日本のものづくりの真の強みは何か

 

最後に、キーワードは「デザイン思考」、の段落がありますがこの一部分を本から引用してご紹介します。

 

“シリコンバレーでは最近イノベーションを生み出す仕事をして「デザイン思考」を提唱する人が増えている。まだこの世に存在しないものについて、顧客に聞いても答えはない。だからこそ、顧客の立場に立ち顧客と同じように行動して「何が本当の問題か」を徹底的に掘り下げる必要がある。その上でその問題を抜本的に解決するアイディアを考える。

 

しかし出てきたアイディアが「本当に役立つかどうか」はわからない。そこでプロトタイプを作って、顧客に何度も繰り返してテストしてもらう。そこまでして初めて、本当の意味で顧客のためになるサービスを生み出すことができる。

 

詳しくは本書を読んでいただく必要がありますが、著者が日本をよく知っていることがよくわかります。機会あればいちどお会いしたいと思う人です。

櫛田健児日本語ホームページ

https://sites.google.com/a/kenjikushida.com/jap/home

 

◆編集後記◆

・アメリカメディアの大統領選挙報道、酷かったですね。謝罪の必要あります。日本のメディはその丸写し、自前の取材能力はないのでしょうか。

・メディアの世論調査は信用しないとは言わないまでも鵜呑みにしない事です。

・新政権がどんな外交を仕掛けてくるか全く見えませんが悲観的になる必要はないと思います。

・米中がどのように対峙をするかで東アジアの安保体制は決まりますが、今の韓国は完全な機能不全で、これをどうするかですね。

・日本の社会の中に断層があることを認識したほうがいいと思います。安倍政権の長期化に国民が閉塞感を持ち、大改革を求めるかしれません。仕掛ける人がいない?

・大衆魚のサバがとんでもないことになっていますね。そのうちにイワシも養殖。

・短時間でしたが、舞鶴の現場、行ってよかったです。

・電気自動車、自動運転、これは自動車産業を破壊的に変革する可能性があります。日本はハードに拘泥して出遅れ気味です。燃料電池車??

・シリコンバレーというエコシステム、例年ですが来月行ってきます。

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◆内容・記事に関するご意見・お問い合わせ/配信解除・メールアドレス変更は下記までwebmaster@fukan.jp

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◆俯瞰MAIL 0063号(2016年11月20日)

発行元:     一般社団法人 俯瞰工学研究所

発行人:   松島克守

編集長:   松島克守

URL:      http://fukan.jp

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俯瞰メール62号

◆時候のご挨拶◆

すっかり秋になりました。黄金色の田圃が刈り取られていきます。黄金色の実りで埋め尽くされた田圃を見ると、日本は黄金の国という感じがします。紅葉が始まっていますが、田圃の景色が一番季節を感じます。田舎育ちのためでしょうか。

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目次

●ロシアと米国の対立が尋常ではない

●日ロ平和条約の落としどころ

●中国外交の巻き返しが凄い

●カシミール情勢が危ない

●第36回俯瞰サロン “インターネットの次に来るもの”

●認知症の予兆を識る

●俯瞰のクッキング“炒め物の方程式”

●俯瞰の書棚 「ストラテジー・ルールズ」

●編集後記

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◆ロシアと米国の対立が尋常ではない◆

ロシアのプーチン大統領が今月3日、米国とロシア両政府が結んだ核兵器用プルトニウムの処分に関する合意について、その履行を一方的に停止すると声明しました。この合意は、米ロの核軍縮の一環として2000年に結ばれました。核兵器の解体・廃棄によって生じる大量の余剰プルトニウムを原子力発電の原料に再利用する形で処分し、再び軍事転用しないようにするのが狙いでした。

 

この直前にアメリカはシリア停戦交渉の打ち切りを発表しています。

アメリカとロシアは近年になく鋭い対立関係になりました。オバマ政権末期の権力の空白と、アメリカ大統領選挙の醜態を見て、プーチン大統領は行動に出ています。

 

シリアの海軍基地を無期限使用し、拡張するとしています。とすれば東地中海はロシアの影響下に入ります。ロシア海軍は黒海から最も狭い地点ではわずか800m程というボスポラス海峡を通って地中海に出なくてはなりませんから、このシリアの海軍基地は戦略的に極めて重要な意味があります

 

またサイバー攻撃によって、アメリカ大統領選挙に大きく関与していると言われています。クリントン陣営のメールが何者かによってハッキングされ、リークされています。アメリカはロシア政府によるサイバー攻撃だと非難していますが、有効な対抗策が取れません。

 

停戦合意破棄を受けてシリアでは、ロシアはISではなく、アサド政権と対立するアメリカが支援する反体制派を爆撃しています。多数の民間人の犠牲が出ています。とりわけ女性や子供が犠牲者です。心が痛みますが、残虐さによって精神的に制圧しようする意図があるとみられています。国際政治は力ずくです。

 

話し合いによる平和を諦め、否定することはできませんが、現実の社会が軍事力で決まっていくことも受け入れる必要があります。オバマ政権下でアメリカの覇権が弱まり、世界各地で軍事的な新しい均衡に向けて、緊張が高まっています。

 

オバマ氏退任前にロシアが浴びせた痛烈パンチ

http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/040400028/101200015/?rt=nocnt

ロシアのサイバー攻撃と米国のジレンマ

http://www.nikkei.com/article/DGXMZO08351030U6A011C1000000/

ウィキリークスのメール暴露、ロシア関与の見方強まる 米当局

http://www.cnn.co.jp/usa/35090548.html

ロシア シリア北西部基地の無期限使用など協定批准

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20161014/k10010730451000.html

ロシア、シリア・アレッポで空爆を再開

http://www.bbc.com/japanese/37627388

空爆で負傷したシリアの少女 胸に迫る泣き顔の映像が拡散

http://www.cnn.co.jp/world/35090360.html

 

◆日ロ平和条約の落としどころ◆

12月のプーチン大統領の日本訪問に向けて、北方領土に関する両国間の交渉の密度が上がっています。すでにいろいろな交渉が行われ、落としどころを探っている段階でしょう。憶測でしょうが、色々な人が着地点を解説しています。

 

悲観的な人は、結局北方領土の返還はなく経済協力の約束だけが残ると、また北方四島の領有権は認められるが、実効支配している国後、択捉は共同統治、もしくは返還されないとも、そして既に合意済みの歯舞、色丹だけが返還されるというのも落としどころの1つでしょう。

 

いずれにせよ、安倍首相とプーチン大統領という保守派の首脳同士が、今決めなければ70年後にも解決していないというのも正論です。国際政治は力と妥協です。国民も冷静に交渉の結果を受け止める必要があります。この機会に、何としても決着をつけてもらいたいと思います。

 

これまでのところ、アメリカはこの日ロ交渉に干渉しないようですが、先般のラオスでのASEAN首脳会議で、直前にオバマ大統領が安倍首相との首脳会談をキャンセルした事は、ある種のメッセージではないかという深読みもあります。アメリカは終戦の時、ロシアの千島占領を黙認し、70年間何もしていません。

 

ただ難しいのは、ロシアが返還後の北方領土は安保条約の適用内にしてくれと要求しているとありますが、日米安保条約は第5条で、適用地域を「日本国の施政の下にある領域」と定めていますので、アメリカとの難しい交渉が予想されます。尖閣列島は日米安保条約の適用内にしてくれ、北方領土は適用外にしてくれ、とアメリカにお願いすることは身勝手ですから。

 

日露次官、北方領土など3年8か月ぶり戦略対話

http://www.yomiuri.co.jp/politics/20161013-OYT1T50135.html

プーチン氏の訪日に向け、岸田外相訪ロへ 日ロ外相会談

http://www.asahi.com/articles/ASJ9Q45GKJ9QUTFK001.html?ref=smartnews

北方領土交渉は12月に進展も 日露「引き分け」が現実的な解決か

http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20160914/dms1609140830004-n1.htm

森元総理「2島返還」先行見通し 国後・択捉は共同

http://news.tv-asahi.co.jp/news_politics/articles/000084420.html

北方領土「2島先行返還」は本当なのか 鈴木宗男氏、安倍首相「大きな決断」を明言

http://www.j-cast.com/2016/09/28279244.html

コラム:北方領土問題で急接近するロシアと日本

http://jp.reuters.com/article/column-russia-japan-idJPKCN128040

日米首脳会談調整つかず見送りに

http://mainichi.jp/articles/20160909/k00/00m/030/084000c

北方領土 日米安保適用外に 返還後想定 ロシア要求

http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/international/international/1-0327096.html

 

◆中国外交の巻き返しが凄い◆

このところ中国外交の巻き返しが凄いですね。 オランダ・ハーグの仲裁裁判所は7月12日、「中国が主張する主権に法的根拠はない」との判断を下しました。それを受けて、フィリピンは、中国が二国間で話し合いで解決しようという提案をきっぱりと断りましたが、その後、粘り強い交渉と経済援助のコミットメントで、ドゥテルテ大統領は親中反米に変わりました。一度は、ドゥテルテ大統領はアメリカとの軍事同盟を破棄するような発言をしましたが、最近では維持すると言っています。

 

ドゥテルテ大統領が進めている「麻薬撲滅戦争」で、多数の人間が警察に射殺されていることに対するアメリカの非難に対し、オバマ大統領を侮辱するような発言をし、ラオスでの会談をキャンセルされた時から方向が変わったような気がします。「麻薬撲滅戦争」について、中国はドゥテルテ大統領を支援する声明を出します。加えて強力な外交努力をしたのでしょう。今月の下旬に中国訪問が決まりました。調略が成功でしょうか。

 

日本にもドゥテルテ大統領は来ます。そして、天皇陛下にも拝謁します。ただフィリピンが中国と対立し、日本、アメリカと軍事的に連携するという前提で、そして多分アメリカから要求されたのでしょうが、日本は気前よく大型の新造巡視船およびその他の巡視船を供与することを決めています。完全に日本もこの大統領に振り回されています。

 

ドゥテルテ大統領の国民の人気は圧倒的です。またフィリピンは若い人口が多い、これから経済成長見込まれている国ですから、「麻薬撲滅運動」で社会が健全化していくのは良い話でもありますが。

 

もしドゥテルテ大統領が中国訪問で経済援助と引き換えに、国際司法の判断ではなく二国間交渉で南シナ海の問題を処理することになれば、ベトナムとインドネシアにも二国間交渉を持ち出すでしょう。中国に「大国として国際司法を遵守する」ことを約束させる貴重な機会が失われます。そして南シナ海における中国の覇権が強まります。

 

中国は、周辺国に猛烈な外交攻勢をかけています。北京を訪れたミャンマーのスー・チー氏を国賓待遇で大歓迎して、中国南部とインド洋をつなぐ回廊を建設することに合意しています。マラッカ海峡を経由せずに直接インド洋への輸送路が拓けます。すでに出口の港湾は押さえています。

 

習近平国家主席はカンボジアを訪問して国王と首相に会い、手厚い経済援助を約束する予定です。バングラデシュにも訪問してインフラ整備の経済支援を約束しています。

 

李首相も外交で大活躍です。モンゴルを訪問し、国連総会でアメリカを訪問し、オバマ大統領と会談し、その後カナダとキューバを訪問しています。パキスタンもラオスも訪問しています。

 

これまで、外交はすべて習近平主席だけが表舞台に出ていましたが、ここに来て李首相が華々しい外交成果を上げています。これについては、中国内部の権力構造の変化があるのではないかと言われています。

 

中国共産党の権力構造が変動すると、中国の対外的な動きが想定外の方向に動く危険があります。尖閣諸島の緊張が高まります。航空自衛隊の戦闘機が中国機に対して緊急発進した回数が407回に上り、前年度の上半期(231回)より176回増加したとあります。

 

ともあれ、このところの中国外交は、一時、孤立した状態でしたが、一気にこれを巻き返すことに成功したといえます。凄いです。これは元駐日大使の王毅外相の努力と能力だと、私は認識しています。

 

「これは戦争だ」比ドゥテルテ大統領の右腕、死者増加を予想

http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2016/10/post-6009.php

国際刑事裁から警告!「麻薬容疑者の超法規的殺害は訴追対象だ」

http://www.sankei.com/world/news/161014/wor1610140050-n1.html

フィリピン、中国側の条件付き対話要請を拒否 南シナ海問題で

http://jp.reuters.com/article/philippines-southchinasea-idJPKCN0ZZ054

中国を選んだフィリピンのドゥテルテ大統領――訪中決定

http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2016/10/post-6039.php

中国、ドゥテルテ大統領の「麻薬撲滅戦争」を支持

http://www.afpbb.com/articles/-/3104459?cx_part=txt_topics

[FT]米国を凍らせるフィリピンの「中国回帰」

http://www.nikkei.com/article/DGXMZO07282270V10C16A9000000/

フィリピンのドゥテルテ大統領、アメリカ軍との軍事同盟維持表明

http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2016/10/post-6019.php

「暴言」大統領がやって来る…フィリピン・ドゥテルテ氏25日来日

http://www.sankei.com/politics/news/161011/plt1610110027-n1.html

反米・親中の国、フィリピンに軍事援助をする日本の滑稽

http://diamond.jp/articles/-/104394

スー・チー外交、中国・インドを手玉 「建国の父」譲りか

http://www.nikkei.com/article/DGXMZO06632080Z20C16A8000000/

中国、習近平国家主席がカンボジア訪問 ASEAN切り崩し狙いも

http://www.sankei.com/world/news/161013/wor1610130033-n1.html

オバマ大統領のラオス訪問を警戒せず、中国外務省

https://portal-worlds.com/news/laos/7863

中国、バングラデシュに240億ドル融資へ 習国家主席が14日訪問

http://diamond.jp/articles/-/104707

李首相、パキスタンの首相と会談

http://japanese.cri.cn/2021/2016/09/22/162s253813.htm

ラオス入りした中国首相

http://www.jiji.com/jc/p?id=20160906212124-0022276707

馬脚を現した習近平、反撃の李克強。激化し始めた中国最後の決戦

http://www.mag2.com/p/news/222813

中国機への緊急発進、407回…今年度上半期

http://www.yomiuri.co.jp/national/20161014-OYT1T50107.html

 

◆カシミール情勢が危ない◆

インドとパキスタンが、カシミール地方の帰属問題で何十年も争っています。過去に大規模な戦争を起こしています。しばらく小康状態にありましたが、ここにきて軍事的な応酬があります。インドと中国は強い敵対関係にあり、過去に戦争によりインドは領土を失っています。中国はパキスタンに経済支援を積極的に提案することで、インドを牽制しようとしています。中国もカシミールに一部進駐しています。

 

インドとパキスタンが核戦争になるという予言をしていた人がいます。「 22世紀から回顧する 21世紀全史」 2003年 ジェントリー・リー、マイケル・ホワイト、です。

 

「第2章 核の惨劇」では 2016年6月6日にインドとパキスタンが核戦争を起こすと予言しています。幸い外れましたが、依然として、その可能性があるということでしょうか。ちなみに「第4章 新世界秩序の構築」では、移民と人口移動の問題によるEUの崩壊や、ドイツの就業ビザの延長停止などを予言しています。2016年「現在」を理解するのに、この本は極めて有効です。ご一読をお勧めします。

 

話を戻すと、インドはパキスタンとの衝突の背後に中国を感じて、中国国境に巡航ミサイルを配備しました。そしてロシアから武器の輸入を進めています。ロシアは最新型のミサイルを提供します。

 

ともあれカシミールは、核保有国であるインド、パキスタン、中国が実効支配を分割しており、パキスタン側の北はアフガニスタンに接しています。わずかな誤解や行き違いで核戦争が勃発する可能性はゼロではありません。

 

無論このような南アジアの緊張は、日本の経済そして安全保障に関係してきます。幸いインドもパキスタンも親日的な国です。パキスタンは極めて危険な国ですが、なんとトヨタ自動車とマツダは自動車の生産をしています。そのトヨタの工場を見学しました。

 

一昨年パキスタンを訪問しましたが、カラチでは大規模なデモが発生し、やっと空港に脱出して帰国しましたが、カラチ脱出の直後に空港がテロ襲撃されたということをニュースで知りました。こういった肌感覚もニュースを読んでいるとき認識に効いてきます。

 

私はナショナリストではありませんが、 リアル感覚で国際情勢を認識しなければならないと心がけています。非武装中立という安住の場はありません。

 

近年最悪の緊張状態にあるカシミール紛争

https://news.nifty.com/article/magazine/12172-20161013-回顧する顧178629/

武装集団がインド軍基地を襲撃 カシミール、兵士17人死亡

http://www.sankei.com/world/news/160918/wor1609180039-n1.html

インド、カシミールで奇襲攻撃 パキスタン側は強く非難

http://www.afpbb.com/articles/-/3102652

印パ両軍、高まる緊張 カシミール、「越境攻撃」に応戦

http://www.asahi.com/articles/ASJ9Z5F1QJ9ZUHBI01R.html

インドが超音速巡航ミサイルを中印国境に配備へ

http://www.sankei.com/premium/news/160903/prm1609030012-n2.html

インドへロシアの最新鋭地対空ミサイルシステムS400の売却

http://mainichi.jp/articles/20161016/k00/00m/030/123000c

 

◆俯瞰サロン◆

俯瞰サロンはお陰様で36回目を迎えます。この度も告知から短時間で定員を上回る申込みを頂き、申し訳ございませんが、すでに申込み受付を締切らせていただいています。キャンセルなどにより状況が変わりましたら、ホームページでご案内してまいります。

また俯瞰サロンの開催情報をご希望の方は、webmaster@fukan.jpあて、その旨をご連絡ください。次回開催時よりメールでご案内申し上げます。よろしくお願いいたします。

 

 第36回 俯瞰サロン 2016年11月10日(木)

「『インターネットの次に来るもの』翻訳者、情報科学ジャーナリストの服部桂さんに聞く」

いま話題の『インターネットの次に来るもの 未来を決める12の法則』(WIRED創刊編集長ケヴィン・ケリー氏の最新作、NHK出版)の訳者であり、激動する情報科学分野のジャーナリストとして常に第一線におられる服部桂さんをお招きします。

日 時: 11月10日(木)18:30-20:00 (18:15 受付開始)

場 所: 品川インターシティフロント 6階(社)俯瞰工学研究所

URL:  http://www.fukan.jp/俯瞰サロン/

 

◆“認知症の予兆を識る”◆

ご縁あって、青森県のイノベーション・産業振興のプロジェクトを10年以上お手伝いしていますが、その一つが弘前大学のCOI です。センター・オブ・イノベーション(COI)プログラムとは10年後の目指すべき社会像を見据えたビジョン主導型のチャレンジング・ハイリスクな研究開発を、最長で9年間支援するJSTの(国立研究開発法人科学技術振興機構)のプログラムです。

 

弘前大学はその1つの拠点で認知症の予兆を研究しています。正式拠点名は『認知症・生活習慣病研究とビッグデータ解析の融合による画期的な疾患予兆発見の仕組み構築と予防法の開発』です。

 

私はそこのアドバイザリーボードでお手伝いしています。先般中間評価が終わり、それを踏まえてアドバイザリーボードが開催されました。このプロジェクトは、弘前大学が12年間、約1,000人の600項目もの健康診断データを収集分析している岩木山コホートプロジェクトを基盤にしています。

 

認知症という、多くの人が自分のこととして興味を持っている課題ですから、少しご紹介しましょう。とにかく、ありとあらゆる健康データと認知症の関連を精査しています。腸内細菌も関連を調べています。まだ結果は十分出ていませんが、確実に関連があるのは年齢です。ミニメンタルステート検査という簡単な認知症診断テストがありますが、驚いたのは60歳過ぎると急速に点数が落ちていました。 30点満点の26 点以下が、認知症が疑われる人です。テスト用紙が公開されていますから試してみますか。

 

認知症でなくても、確実に加齢で認知能力は低下していますから、シニアの働き方でもこれを考慮する必要があります。何よりも自覚が必要です。意思決定に若い人の意見を積極的に取り入れていく必要があります。高齢でワンマンな経営者はリスクがありますね。

 

その他関連が深いのは、下半身の筋肉量、握力などです。ではこれを鍛えれば認知症になりにくいのか、と考えるのは私の素人考えですが意識して鍛えています。

 

研究グループの伊藤健教授のマウスを使ったアルツハイマー病の予防の研究では、ローズマリー抽出物とブロッコリーの抽出物スルフォラファンが効果あるという結果を見て、すぐにネットでサプリメントを買いました。笑ってやってください!

 

このプロジェクトでは認知症予防の学術研究の他に、青森県の平均寿命全国最下位という不名誉な状況を改善するために、県民の健康意識の向上と健康増進の社会実装プログラムも力を入れています。

 

また産学連携も進んでいて、13社が具体的な製品・サービス化を推進しています。

下記の弘前大学のURLで是非プロジェクトの活動をご覧ください。大規模な学術研究は必ずや認知症予防の手法を発見し、早期の治療や改善の方法を提案してくれるでしょう。

皆さん是非ご支援ください。

 

センター・オブピ・イノベーション(COI)プログラム

http://www.jst.go.jp/coi/outline/outline.html

弘前大学COI研究推進機構

http://coi.hirosaki-u.ac.jp/web/

ミニメンタルステート検査

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9F%E3%83%8B%E3%83%A1%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%83%AB%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%BC%E3%83%88%E6%A4%9C%E6%9F%BB

 

◆俯瞰のクッキング“炒め物の方程式”◆

この夏、そして最近どんな料理を作ったか思い出してみると、夏野菜を使った炒め物が多かったようです。以前にご紹介したウー・ウェンの料理本の炒め料理をかなり作りました。この人の炒め物のレシピは方程式が確立しています。

1.材料を切る。

材料は水気を完全に切る。水気が残っていると油が跳ねる。水分があると炒める前に煮えてしまう。切り方も重要で白菜やきゅうり、セロリなど味の含みが悪い素材は斜めに切って切り口を大きくする。

2.あらかじめ火を通す。

プロは油通しをしますが、肉以外は湯通しで良い。湯通しで9割がた火を入れる。そして湯通しが済んだらザルに上げて水気をよく切る。

3.調味料を合わせる。

合わせ調味料、すなわち醤油や酢、オイスターソースです。最後に入れる水溶きの片栗粉も作っておく。基本は片栗粉1に対して水2。この片栗粉は“コーチェン”と呼ばれて調味料と材料を接着する糊です。すなわち、炒め物では調味料、味は材料に直接含ませません。含ませると浸透圧で水分が流れ出てきてしまう。ただ絡ませるだけ。炒めるとは水分を飛ばす事。強火でかき回す必要はありません。もやしでも約5分十分炒めます。

4.香辛料はニンニク、生姜、唐辛子、豆板醤、花椒、胡椒です。

 

炒める道具として、ウー・ウェンは自分が考案したフッ素加工の中華鍋を薦めています。大きさが大小ありますが、2人の場合は24センチの小型がぴったりです。この鍋で炒める、焼く、煮る、蒸す、ができます。次にレシピの例を挙げましょう。

 

<イカときのこの炒め物>

材料:イカ1ぱい、長ネギ10センチ、えのき1パック、しめじ1パック、エリンギ1パック。

合わせ調味料:酒大さじ1 、しょう油大さじ1 、黒酢大さじ1.5 、黒粒胡椒を挽いたもの小さじ1 、鶏ガラスープの素(顆粒)小さじ0.5、水0.5カップ、片栗粉大さじ0.5、水大さじ1.5。

1.イカは下ごしらえして輪切りにして湯通しする。ネギは斜めに薄切りする。きのこは石づきを取り、小分けする。

2.合わせ調味料を合わせておく。

片栗粉を溶いておく。

3.鍋にサラダオイル大さじ2杯を入れて、中火でネギの香が出るまで炒める。きのこを入れてじっくり炒め、しんなりしてきたらイカを加えて炒め、合わせ調味料入れて、強火にして絡ませて、水溶き片栗粉を回しいれ、とろみがついたら胡麻油で香りをつける。炒め時間は6分。

 

<茄子とひき肉の炒めもの>

材料:茄子4本、合いびき肉150g、生姜1かけ、長ネギ10cm、ニンニク1かけ。

合わせ調味料:醤油大さじ1、豆板 碵大さじ院��歛腓気���ぢ、鶏ガラスープの素小さじ1、水0.25カップ

片栗粉大さじ0.5、水大さじ1

1.茄子は所々皮をむき大きめの乱切りにする。油で揚げて油を切る。生姜、ネギ、ニンニクはみじん切りにする。

2.鍋にサラダオイルを大さじ1を入れ、生姜、ニンニク、ネギ、豆板醤を入れて香りを出す。合いびき肉を入れ、色が変わったら酒を振り、揚げた茄子と合わせ調味料を入れて煮立たたせ、水溶き片栗粉を回し入れてとろみをつける。以上で炒め時間は3分。

 

強火で炒めないと水っぽくなる!という常識は間違いで、炒めるとは水分を飛ばす事。調味料を混ぜ合わせたら、水溶き片栗粉でとろみをつける。これが、家庭の炒めものですね。

 

◆俯瞰の書棚 “ストラテジー・ルールズ”◆

今回の紹介は「ストラテジー・ルールズ」デイビッド・ヨッフィー, マイケル・クスマノ 2016 発行 パブラボ 販売 星雲社 です。

 

この本はIT業界で偉大な経営者として認められているマイクロソフトのビル・ゲイツ、インテルのアンディ・グローブ 、そしてアップルのスティーブ・ジョブスの3人の時系列的な経営分析から、成功要件として5つルールを導き出したものです。そのルールは。

ルール1 未来のビジョンを描き、逆算して今何をすべきかを導き出す。

ルール2 会社を危険にさらすことなく、大きな賭けをする。

ルール3 製品だけでなく、プラットホームとエコシステムを構築する。

ルール4 パワーとレバレッジを活用する、柔道と相撲の戦術。

ルール5 個人的な強みを核にして、組織を作る。

です。そしてその詳細を解説しています。彼らの失敗や過ちにも言及しています。いわゆるMBA的な戦略論とは異なる実証分析的な戦略論で、それを単純な5つのルールに抽象化したのは、著者の高いレベルの経営学の知性によると思います。 5つのルールについて第1章から第5章でそれぞれ分析結果を解説しています。記述も解りやすくご一読をお勧めします。

 

第1章では、まず未来の具体的なビジョンを描き、そこから今何をすべきか逆算するために過去を振り返る、とあります。歴史から未来を考えない!ビル・ゲイツもアンディ・グローブもそしてスティーブ・ジョブスも、将来の見込みを何度も間違ったことがありますが、それでも未来を予測し、新たな情報に基づいてそれを更新しています。そして「優れた戦略家とは、ビジョンが優れているのではなく、機会を逃さない」とあります。彼らは成長の兆しや、競合がまだ見つけていないわずかなギャップを見つけて、そこに行動を起こしています。

1.未来のビジョンを描き、次に境界線と優先度を設定する。

2.顧客のニーズを先取りし、次に必要な能力を取得する。

3.競合他社の動きを予測し、次に参入障壁の構築と顧客の囲い込みを行う。

4.業界の変曲点を予測し、すぐに変更と軌道修正を実施する。

 

第2章では、戦略は心臓の弱い人には向いていない。時には不確かで、非直感的な行動をとらなければならないことがあるからだ、とあります。

 

ビル・ゲイツはWindowsで巨人IBMと対決することを決断した、 アンディ・グローブはマイクロプロセッサーの圧倒的なシェアを確立するために数十億ドルの設備投資を決断した、 スティーブ・ジョブスはMacintoshのチップをIBMのPowerPCからインテルのチップに交換するという決断をした、この決断で彼らは大きな成功を掴んだとあります。つまり、彼らは大胆ではあるが無謀ではなかったとあります。この成功を促す4つの原則は。

1.ゲームを変える大きな賭けに出る。

2.会社を存続の危機にさらさない。

3.自社の事業を共食いする。

4.損失をカットする。

です。

 

第3章では、業界全体にまたがるプラットホームを構築し、補完的な製品やサービスの開発、販売、サービス、流通など幅広いパートナーからなるプラットホームとエコシステムを構築できたのが彼らの成功の要因であるとしています。これに1番早く気づいたのがビル・ゲイツで、 IBMパソコンのDOSを提供するにあたり、IBMは自由に搭載していいことにして、そのかわりマイクロソフトが他のメーカーに安く供給できる契約をしました。

 

その結果、Appleを除くほとんどのパソコンがマイクロソフトのソフトウェアを利用し、低価格のパソコンが個人に広がり、IT社会のプラットホームになりました。そしてその上に多くのソフトウェアベンダーがアプリケーションを開発し流通させることによって、エコシステムが完成しています。

 

アンディ・グローブは、 インテルのプロセッサーをすべてのパソコンのプロセッサーにするために、圧倒的な生産量を可能にする巨額の設備投資をしてこれを実現しています。結果としてマイクロソフトのソフトウェアとインテルのプロセッサーはパソコンの標準、すなわちプラットホームになりました。またインテルはムーアの法則を使いながらマイクロプロセッサーのテクノロジー・ロードマップを明示して、パソコンメーカー、アプリケーションソフトウェア開発者、半導体製造装置のメーカー、シリコンウェファーの生産者を含めたエコシステムを完成させました。

 

スティーブ・ジョブスは製品思考が強くて、プラットホームやエコシステムの構築が遅れました。 Appleのソフトウェアを他社に使わせる事はなく、市場のシェアを失っていきました。ある時ビル・ゲイツと提携して、 MacintoshでWindowsを動かすことができるようにし、それに対しビル・ゲイツは世界のデファクトスタンダートなっているオフィス製品を開発して提供しました。 Win Winの成功例です。 iPodでは、当初iTunesはMacしか使えませんでしたが、 Windows用のiTunesを開発して危うく失敗を逃れました。どうしても製品思考が強く、iPhoneは部品や生産ではエコシステムを構築しています。ソフトウェアではGoogleのAndroidがスマートフォンのプラットホームとなって大きなシェアを獲得しています。当初iPhoneのアプリケーションはAppleだけでしたが、第三者のアプリケーションを厳格に管理し、Apple Storeで販売するというエコシステムを構築しています。それにしてもAndroidのアプリケーションの数に比べれば極めて少数でしょう。このルールの成功要件は。

1.製品だけではなく、プラットホームについても考える。

2.プラットホームだけではなく、エコシステムについても考える。

3.自ら補完製品を作る。

4.プラットホームの改善と新規構築によって、陳腐化を避ける。

です。

 

第4章では、戦略的に考えることと、具体的な成果を出す戦術を結びつけることの重要性を紹介しています。力とレバレッジですが、例えが面白いですね。力ずくで相手をねじ伏せるのを相撲として、相手の力を利用しながら倒す事を柔道としています。力ずくとはジャックウェルチの「競合は買収するか潰す」です。マイクロソフトもインテルもたくさんやってきました。この3人は相撲の戦術と柔道の戦術をうまく組み合わせて成功したとあります。具体的には。

1.目立たないようにする。

2.敵を近くにもつ。

3.競合他社の強みを取り込み、拡張する。

4.力に物言わせることを恐れない。

1から3が柔道の戦術で、 4が相撲の戦術ですね。

 

第5章では、 3人はいずれも正式な経営の教育を受けていないので、バランスをうまくとるジェネラルマネージャではなかったが、それぞれに独自の強みがあり、それが彼らの会社に大きな影響を与えているとあります。ビル・ゲイツは当時としては誰よりもプログラムのコードを書く能力が優れていた、アンディローブは化学工学のエンジニアリングの知識があり、スティーブ・ジョブスはデザインの才能に優れていました。ただこのような個人的な強みは、新しい市場や技術、そしてビジネスモデルに企業が向かう時にそれを引きとめるというジレンマがありますが、彼らは自己を克服してスタッフを活用しながら変革を成し遂げています。地位や年齢に係わりなく、社内でその問題について最高の知識を持っている人間を探して任せています。具体的には。

1.ありのままの自分を知る。

2.厳選した対象の細部に注目する。

3.大局を見失わない。

4.知識を持つ人に力を与える。

です。

 

この後の終章では、彼らの次の世代すなわちGoogleのラリー・ペイジ 、 Facebookのマーク・ザッカーバーグ、 Amazonのジェフ・ベゾス、そして中国テンセントの馬化謄を分析すると3人との類似性が見えてくるとあります。

 

最後の後継者問題の記述の中で「補完は代替にはならない」が印象的です。 3人とも後継者として、自分の片腕として自分を補完してくれた人を指名しましたが結果として成功できていないと評価しています。たぶん取締役会も事業の継続を重視してこの選択をしたと思いますが、 3人を補完した3人は、引き継いだビジネスモデルを継続的に維持拡大する事しかできないのでしょう。ビジネスモデルは変えていませんが5年間で売り上げを2倍にしたアップルのジム・クックは評価しても良いと思います。

 

偉大な経営者の後継者問題は、日本の大企業でも重要な課題です。多くの失敗があります。最近の成功例は、日立製作所の川村さんから中西さんへのバトンですか。

ここまで読むと読んだ気がするかと思いますが、本書を読めば、ここで紹介できなかった、そして私が感じた以外のものを感じとることができると思います。

 

◆編集後記◆

●アメリカの大統領選挙はあまりに酷いので書く気がしません。といっても世界中が大きな影響を受けます。ヒラリークリントンでしょうが、TPPどうするのでしょう。

●原稿を書き終わったところで、北方領土の共同統治の新聞記事が出ましたが、書き変える必要はないとしました。

●今月行われた米韓軍事演習は凄かったですね。事あればそのまま平壌、核施設、ミサイル発射場を急襲する感じでした。

●李克強首相の活躍は中国内部の権力構造の変化を感じさせますね。王外相との連携かもしれません。ともかく中国のTOPは有能です。

●“2020年以降の世界は”は今回お休みです。

●弘前大学の認知症予兆と予防の研究プロジェクトはかなり大型で、世界一の疫学研究といわれる九州大学の久山コホート、京都府立大の認知症サポートをサテライト拠点として内包しています。結果が少しずつ公開されるでしょう。

●秋から冬にかけては、鋳物鍋でポットローストで手間かからずの料理の出番でしょうか。

 

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◆俯瞰MAIL 0062号(2016年10月17日)

発行元:     一般社団法人 俯瞰工学研究所

発行人:   松島克守

編集長:   松島克守

URL:      http://fukan.jp

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俯瞰メール61号

◆時候のご挨拶◆
今年の前半は台風の発生がありませんでしたが、最近は、日本列島は台風銀座です。これまで大きな台風被害がなかった東北、北海道の被害が酷いですね。青森のリンゴは無事だったようです。渇水の心配はなくなりましたが、稲刈りが終わるまでそっとしておいて欲しいと、祈る気持ちです。一方、秋の気配で空気が澄んできました。
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目次
●尋常ではない日本周辺の国際情勢
●アベノミクスをどう理解するのか
●リオオリパラから東京オリパラへの道
●沖縄・高江の報道
俯瞰サロン
俯瞰のクッキング “ロカボの実践”
●2020年以降の世界 “自動車産業”
俯瞰の書棚 「叛逆 マルチチュードの民主主義宣言」
●編集後記
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◆尋常ではない日本周辺の国際情勢◆
国際情勢はますます複雑化し、平和の見通しが全く立っていません。日本をとりまく情勢は北朝鮮の核開発とミサイル発射で極限状態にあります。先日、日本の排他経済水域に3発のミサイルをほぼ正確に同じ地点に着弾させ、距離と精度ともに高いレベルに到達した事を見せつけました。これに装着する核弾頭を開発すれば、日本は戦時体制に準じる対応が必要になります。気になるのは、これに関するニュースの情報は全て韓国国防省で、発射そのものは日本が検知できていないようです。発射を検知できなければ高価なイージス艦が使えないかもしれません。日本の誇る先端技術で、日本周辺を常時精密に監視する衛星を打ち上げる必要があります。

中国も尖閣列島に対し執拗な圧力を加え続けています。海洋における圧力に加え、戦闘機による圧力も強めていて、沖縄の自衛隊のスクランブルは年間500回を超えると言われています。

ここで最近急速に注目されるのが、日本とロシアの関係改善です。安倍首相は精力的に外交を仕掛けて、 12月のプーチン大統領の訪日が決定しました。すでに先日のG20の場でも、日本とロシアの首脳は関係改善のための話し合いを進展させています。安倍首相の従来の主張に囚われない経済協力の推進の提案に対し、プーチン大統領も前向きに対応しています。すでに、事務レベルでは歩み寄りのすり合わせが行われているのではないでしょうか。むろん日本からの経済協力と“見合い”になりますが。かつてプーチン大統領が提案した四島の二分割案、潜在主権を認めた上で、共同統治など様々なオプションが考えられます。 四島の一括返還を頑なに主張してきた日本ですが、今や保守派の統領になっている安倍首相であれば妥協的な決着がつけられるでしょう。

プーチン大統領も前向きな発言と同時に、国内世論を考えて、「経済と領土で取引しない」という発言もしています。またオホーツク海の軍事的な位置づけも関係してきます。太平洋における核ミサイル搭載潜水艦の根拠地になっているはずですから。地政学的には択捉は簡単には返還できないでしょう。

しかし、日本とロシアの接近をいつも牽制してきたアメリカが大統領選前で動きが弱まっています。つまり、オバマ大統領は何も動けません。そしてオバマ政権は、南シナ海での中国に対する対応に手を焼いています。このアメリカの状況も今回の結果に影響するかもしれません。トルコの情勢変化もあり、ロシアもフランスを始めEUとの関係に少しゆとりが出てきました

ロシアは資源大国で、ロシア経済は資源の安定した輸出先が必要です。シベリアやサハリンの天然ガスや石油資源は、中国だけが輸出先では価格交渉で不利になります。世界第3位の経済大国である日本との安定した経済関係はロシアにとっても戦略性が高いですから、ロシアにも今回の交渉をまとめるインセンティブがあります。同時に中国に対す牽制にもなります。ウラジオストクに3年ほど前に行きましたが、街中、中古の日本車が溢れていました。そして、日本との経済関係が極東地域の発展に必要だと、関係者は強調していました。

安倍首相の精力的な外交は評価されていいと思います。日ロ交渉を政治人生のレジェンドにしてほしいと思います。ただ最近の外遊を見ていると健康が気になります。「ご自愛を」です。かつては健康問題で内閣を投げ出した人ですから。

この安倍外交で、ロシア、トルコ、インド、ベトナム、台湾と言う中国包囲網は少しずつ形成されてきています。とりわけインドとロシアは中国牽制の強い駒、布石です。

プーチン大統領 北方領土問題で「歩み寄ろう」
https://www.youtube.com/watch?v=pwqCrxUzHnc
安倍首相、北方領土2分割に前向き、プーチンも理解示す
http://thutmose.blog.jp/archives/50416943.html
プーチン大統領北方領土「一つとして売らない」
http://mainichi.jp/articles/20160521/k00/00e/030/180000c

◆アベノミクスをどう理解するのか◆
外交では一定程度評価されている安倍首相ですが、経済すなわちアベノミクスの評判は極めて悪いです。内外の評価は、全て失敗という論調です。そもそもアベノミクスは存在しないと言う論調すらあります。“金融緩和に依存するインフレ政策はあまりにも筋が悪すぎた”という主張がありますが、確かに日銀の金融緩和以外にアベノミクスの実態は見えません。この間、選挙を意識した政策はいくつか打ちましたが、円安による株価の上昇はアベノミクスの成果とは言えず、震災によるエネルギー輸入による経常収支の悪化がもたらした円安で、その効果も一時的でした。年金運用のGPIFの日本株の大量購入と、日銀のETF買い入れの効果も極めて限定的で、現在も株価は低迷しています。GPIFの数兆円にも及ぶ損失については、夏の参議院選挙の前には公表せずにいました。

日銀による株式の大量買い入れは結果として、市場を歪めています。ブルームバーグの集計によると、“8月初旬時点で日経平均株価を構成する225銘柄のうち、75%で日銀が大株主上位10位以内に入っており、楽器・音響のヤマハに至っては既に事実上の筆頭株主状態にある。日銀が今回、ETF購入枠を従来の約2倍へ拡大したことで、年内にはセコムやカシオ計算機でも筆頭株主化し、2017年末には55銘柄まで増加する見通しだ。”素人の私が考えても不思議な状況です。しかも株価は低迷なのです。

一方、大企業はこの間、収益構造を強化して多額の内部留保を持っています。なんと377兆円と言う巨額の資金を、設備投資もせず、配当もせず、そして社員にも還元せず、持ち続けています。 GDPが500兆円程度ですからいかに巨額の資金が活用されずに眠っているかです。

経済は素人ですが、何かおかしいと思います。“アベノミクスという経済政策は存在していない”に同感です。唯一の「矢」であった日銀の金融緩和も空回りしていて、2%のインフレ目標は全く達成できていません。結果としてみると、無策の民主党政権の時の経済成長率の方が高いというのは皮肉です。勇気を持ってアベノミクスは失敗であったと総括し、新しい選択をする時期であると思います。

4年目のアベノミクス 厳しい論調に転じた海外メデイア
https://thepage.jp/detail/20160423-00000003-wordleaf
「アベノミクスは大失敗」と言える4つの根拠
http://toyokeizai.net/articles/-/120362
アベノミクス終焉で日本はかなり厳しくなる
http://toyokeizai.net/articles/-/117933
アベノミクス論争は無駄である
http://www.newsweekjapan.jp/obata/2016/07/post-8.php
企業の内部留保377兆円、4年連続過去最高
http://www.yomiuri.co.jp/economy/20160901-OYT1T50092.html
大株主「日銀」、17年末に日経平均4分の1で筆頭?ETF増功罪
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-08-14/OBMQHN6KLVRU01

◆リオオリパラから東京オリパラへの道◆
この夏のリオオリンピックでは、日本国中がメダルラッシュに沸きました。過去最高のメダル獲得です。日本人の素晴らしい資質を全国民が感じたことでしょう。そして元気を貰いました。これまでの選手強化の結果が出ました。これについては海外でも注目されているようです。

国民は連日の日本人選手の活躍をテレビで見ましたが、終わってみると、ちょっとおかしなことに気がつきました。国別のメダルランキングでは日本は第6位です。アメリカ、中国、ロシアが日本より上位にある事は納得できますが、イギリスの2位、ドイツの5位、メダルの総数では、日本より多いフランスが気になりました。人口から言えば、日本よりはるかに少ない国々です。確かに日本とドイツの卓球の試合を観戦しましたが、ドイツチームは、監督以下ほとんど全員が中国人の様に見えました。むろんドイツ国籍を持っているはずです。戦略として国籍の付与を含めた待遇の提供でチームを強化し、結果としてメダルを獲得したのでしょうか。

日本人は東京オリンピックでも、ドイツのような戦略をとることはできません。イギリスの2位は、元植民地からの移民、もしくは移民の二世によるダイバーシティの結果でしょうか。私は検証していませんが。

考えてみれば、日本人の活躍が期待できる種目と試合を、集中的に放映したのですから、私たちは日本がメダルラッシュでアメリカや中国に次ぐような結果を出していると、麗しい誤解をしたかもしれません。

たまたまこれはオリンピックですが、テレビや新聞というメディアの情報だけを受け止めていると、結果としてメディアの判断と価値観に誘導される危険性を感じました。日本のメディアはテレビを中心として、権力に対して“遠慮”あるいは気位が高く、“惻隠”(そくいん)か判りませんが、国民の知る権利を犯している状況があると思います。特に安倍政権になってから、その傾向が強いですね。先般の総務大臣のテレビ放映権の免許取り消しの恫喝も、 メディアに対するメッセージでしょう。

国別メダルランキング
http://sports.nhk.or.jp/medals/index.html

◆沖縄・高江の報道◆
メディアについて気になることがあります。沖縄・高江における反対運動と機動隊の激しい衝突についてNHKを始めメディアでは、ほとんどその映像が配信されません。

沖縄の基地問題については深い歴史的な事実があり、普天間移転では民主党政権の鳩山由紀夫首相の暴走も混乱に拍車をかけました。一方、日本を取り巻く国際情勢、とりわけ東シナ海の状況は、理想を目指すリベラリズムの主張と議論ではすみません。現状を踏まえたリアリズムの議論も必要です。結果としてリベラリズムの行動とリアリズムの行動の衝突は避けられません。

第二次大戦後の日本の歴史を見ると、最初の衝突はサンフランシスコ条約による日本の独立です。理想を掲げるリベラリズムは非武装中立を主張し、リアリズムが冷戦構造を踏まえ、日米安保条約と米軍の駐留を選択しましたが、結果としては、歴史はこれをよしとするでしょう。リベラリズムとは学識経験者で呼ばれている人々であったと思います。時の吉田茂首相は、非武装中立を説く時の南原繁 東大総長を“曲学阿世の徒”と切り捨て、条約に調印しました。この対立は“60年安保”の闘争につながりましたが、激しい国会周辺のデモにも動じることなく、時の岸信介首相はリアリズムで決行しました。安倍首相の憲法改正の強い決意は、これを継承している決意でしょう。

本当に国民にとって必要であることであれば、それを国民の前に見せるべきだと思います。民主制はギリシャの時代から衆愚制の面がありますが、情報のすべてを国民が共有し議論していくことが民主主義の神髄だと思います。ですから最近のメディアの姿勢には、強い違和感を感じます。

報道の統制と強権政治は、独裁政権の要件です。プーチン政権、中国共産党、最近ではトルコです。憲法改正に向かって、この方向に安倍政権が進むなら、国民はその危険性を感じ、総選挙にも反映されるでしょう。

憲法改正についても、ただ“押しつけ憲法”だという論理で明治憲法に回帰することは、反対です。未来志向で憲法改正をする必要があります。残念ながら、野党からもこの提案ができていません。9条改正反対だけでは議論になりません。何も変えない、これも政治になりません。日本の未来のビジョンを国民と共有し、その実現に必要な憲法改正を推進すべきだと思っています。残念なことに日本の未来の議論があまりにも無さ過ぎます。未来に関してはリベラリズムの議論も必要でしょう。

田中角栄の列島改造論は、あの時点では日本の未来のビジョンを示したことになります。そして気が付けば今、日本列島改造はほぼ完成しました。九州から北海道まで新幹線は繋がり、高速道路も全国的なネットワークができました。だから最近の再評価も“むべなるかな”という気持ちです。田中首相の金権事件がアメリカ(CIA)による冤罪だという説がありますが、違和感を覚えません。

高江、 機動隊
https://www.google.co.jp/webhp?tab=mw&ei=V92hVsXZOsKkmwHooJioDw&ved=0EKkuCAQoAQ#q=%E9%AB%98%E6%B1%9F+%E6%A9%9F%E5%8B%95%E9%9A%8A&tbm=vid
高江ヘリパッド
http://www.okinawatimes.co.jp/subcategory/%E9%AB%98%E6%B1%9F%E3%83%98%E3%83%AA%E3%83%91%E3%83%83%E3%83%89
冤罪 田中角栄とロッキード事件の真相
http://www.sankei.com/premium/news/160723/prm1607230016-n1.html

俯瞰サロン◆
第35回 俯瞰サロン
「理想のアイデンティティを作るための 先端的なビジュアルコミュニケーション技術
 ?シンデレラが“魔法”で叶えたような夢を“技術”で叶える?」
 久保友香博士 東京大学大学院 情報理工学系研究科 特任研究員
        東京工科大学メディア学部 専任講師
<シンデレラテクノロジー>とは、 日本の女の子から広がる「理想のアイデンティティを作るための先端的なビジュアルコミュニケーション技術」のことであり、「加工」する技術と「公開」する技術から成る。日本では古くから芸妓・巫女・花魁などの不特定多数から見られる仕事の女性が、化粧や衣装で元の姿を隠し、”アイデンティティを作る”ことをしてきた文化がある。その文化に現在、情報通信技術が影響を与え、技術革新が起きている。とのこと。http://cinderella-technology.com/about/
日 時: 10月5日(水)18:30-20:00 (18:15 受付開始)
場 所: 俯瞰工学研究所
     東京都港区港南2丁目14番14号
     品川インターシティフロントビル 6階
     http://www.sicity.co.jp/front/access/
参加費: 1,000円★
定員 : 40名程度(定員に達した時点で受付終了します)
懇親会: 講演終了後に懇親会を開催します。
     懇親会参加費用は3,000円程度(学生無料)。
     ※会場準備の都合上、懇親会への参加の有無もご提示ください。
主 催: 一般社団法人 俯瞰工学研究所 http://www.fukan.jp/
     日程・内容は予告なく変更されることがありますのでご容赦ください。
お申込みはこちらから:http://www.fukan.jp/俯瞰サロン/

俯瞰のクッキング “ロカボの実践” ◆
「ロカボ」をご存知ですか。炭水化物の摂取を控える食事のスタイルです。ダイエットしたい人、メタボリックを改善したい人のための食習慣です。

実は、私はこのロカボを実践しています。はっきり覚えていませんが最初は減量のために、ビールと日本酒を止めました。それまではビールを多量に飲んでいましたから、その効果てき面で、すぐに2 kgほど減量しました。73-4 kgから71-2 kgになったと思います。基本的には、朝はパンを食べずに炭水化物なしですが、ランチに寿司やパスタをとっていました。夕食は、ご飯は一杯だけでした。

多分2014年の初めから本格的なロカボの実践に入ったと思います。朝食は、それまでと同じで、人参とレモンとセロリの手作りのジュース、ブルーベリー(冷凍)カップ一杯、ミニトマト1パック、 納豆1パックでパンなどの炭水化物なしです。時に夕食の残りや、卵料理、ニラ玉、キャベツのニンニクアンチョビ炒めを作ります。

この朝食は10年以上続いています。最近は野菜ジュースにオメガ3のアマニ油を大匙一杯程度入れます

変わったのはランチを抜くことです。ランチはどうしても丼物、定食、麺類が多く、炭水化物が多くなります。ご飯を半分にしてもらったり、麺を半分にしてもらったりしていましたが、ランチを取らないことにしました。 仕事が減って人を誘って一緒にランチをする必要が殆どなくなったこともあります。

その代り、夜は好きなものを好きなだけ食べます。外の飲み会のような時は、いわゆるシメと呼ばれている炭水化物をパスします。フレンチなどではパンと最後のスイーツをパスします。

家で食事を取る時は、ご飯は一杯だけにします。 刺身のようなものがあると、やはり白米が欲しくなります。刺身と焼き魚、ほうれん草のお浸しは、我が家の定番です。そのかわり、野菜料理、魚料理、肉料理は食べたいものを食べます。味噌汁も作りますから、一汁三菜です。赤ワインも飲みたいだけ飲みます。なにしろランチを抜いていますから、カロリーが気になりません。揚げ物はあまりとりませんが、油はオリーブ油を中心にバターを含め特に控えていません。

結果として、2014年の5月には体重は69 kg 、BMIは22 、そして体脂肪率は20位になりました。そして現在までこの水準を保っています。タニタの体重計は体内年齢という不思議な数字が出ますが、実年齢は71歳ですが体内年齢は55歳くらいです。

血糖値も管理出来ています。血糖値に関しては糖質の制限が重要ですが、炭水化物を控えればこれも管理できます。

血糖値と食事については、グリセミックインデックスという話題があります。すなわち血糖値を短時間に上げる食品はグリセミックインデックスが高いので、避けた方が良いという説です。最近の研究によるとこの数値は、定義や測定値が曖昧であまり気にしなくて良いと言うことです。基本的には摂取する糖質の総量です。これに関して、これまで人参はこの値が高いとされてきましたが、これは誤りのようでした。

最後に糖質の多い食品として控えたほうが良いとされているものは、白いパンや麺、特にうどん、ジャガ芋、サツマイモ、かぼちゃ、レンコン、大豆以外の豆、砂糖や蜂蜜、春雨やビーフンなどです。 これらは避けています。

甘いものが好きな人にとってはスイーツが気になりますが、最近ではロカボのスイーツがいろいろと売られているようですからご心配なく。またワインについては、フランスワインは完全に糖質がなくなるまで発酵させるので糖質は少ないとのことですが、スパーリングワインは、最後の段階で砂糖を添加するので少し糖質が多いとのことです。

ロカボオフィシャルサイト
https://locabo.net/
GI値は本当に使えるか?
http://athletebody.jp/2016/07/27/glycemic-index/
人参のGI値はなぜ高いのか、間違った計測結果が世に浸透している
http://www.datumousyou.com/hairfood/vegetables/carrot-gi.html

◆2020年以降の世界は◆
これまで,“俯瞰のニューウェーブ”という連載をしてきました。紹介してきたトピックスは“すでに見えている未来”を意識してきました。その結果2020年以降の世界は、今の世界と大きく異なる世界になるという認識に至りました。 2020年はオリンピックの年です。日本全体が現在の延長線上に東京オリンピックを置いて進んでいくでしょう。しかし2020年以降の世界は、現在の延長線上の世界ではありません。

今回から2020年以降の世界がどうなるかを意識して、その変革の仕掛人、“すでに見えている未来”を紹介していきたいと思います。

今回は自動車産業に焦点を合わせてみました。昨年12月パリにおいてCOP 21が開催され、2020年に向かって地球温暖化の原因となっている炭酸ガスの排出削減を進めていくことに合意しました。最大の排出国であるアメリカと中国が参加しました。これに沿ってアメリカでは厳しい規制が自動車産業に課されます。そして新しい規制ではハイブリッドはエコカーから外れます。結果として電気自動車の販売が増加します。

中国では、炭酸ガス排出という面では自動車はそれほど大きくありませんが、あのもの凄い大気汚染の対策として、政府は電気自動車に補助金をつけて普及を進めています。まだ販売台数そのものは多くありませんが、今や中国は電気自動車の生産販売では、アメリカを抜いて世界一です。
すでに気候温暖化に敏感な北ヨーロッパの国々では、電気自動車は販売を伸ばしています。オランダでは、なんと2025年までにガソリン車とディーゼル車を販売禁止にしようと議論しています。アメリカではテスラが有名ですが、既存の自動車メーカーも電気自動車の販売に力を入れています。航続距離が短いことが電気自動車の欠点と言われてきましたが、すでに300キロを超える自動車が続々と販売されています。

各社が狙っている市場は中国です。中国では国産のBYDが大幅に販売台数を伸ばしていますが、今後はヨーロッパやアメリカのメーカーが積極的な販売をしていくでしょう。

電気自動車は構造が単純で生産そのものは難しくありません。電池の値段も急速に下がっています。そして生産台数が増えればコストも急速に下がります。すでにGMの電気自動車は3万ドル程度です。

2020年以降の世界では電気自動車が主流となるでしょう。これは自動車産業の破壊的な変革につながるでしょう。単純に言えば、電気自動車はラジエーターからエンジン、変速機、デフそしてマフラーがありません。この部分に関連している自動車部品産業は壊滅的な衝撃を受けることになるでしょう。加えて既存の自動車メーカー以外の企業が電気自動車には参入するでしょう。すでに中国では多くのベンチャー企業が立ち上がっているようです
トヨタが誇るハイブリッド車もエコカーのカテゴリではなくなります。加えてハイブリッド車で優位性を作っている、“摺合せの技術”も電気自動車では必要ないでしょう。スマートフォンで起きたように、電気自動車の生産は中国が主役となる事は想定できます。

今話題の自動運転車も電気自動車が主流となるでしょう。そして自動運転ではGoogleやAppleが業界と技術のリーダーです。

さらに今進んでいるカーシェアリングのビジネスは、自動車の販売台数にとってマイナス要因です。社会にとってカーシェアリングは環境・資源問題の解決として極めて有効です。したがってこのトレンドはますます強くなっていくでしょう。自動車を所有したいという需要は縮小し、モビリティというサービスが求められる時代になってきます。

以上のようなことを組み上げていくと、 2020年以降の世界では電気自動車が主役となり、結果として自動車産業は現在とは全く違う業界構造になっていると見るべきです。特に自動車部品産業は壊滅的な影響を受けることになります。

自動車産業と電機産業はこれまで日本の製造業の主役でしたが、既に電機産業は凋落し、そして“摺合せの技術”で優位性を保ってきた自動車産業も縮小するとなれば、日本の経済は大きな試練を受けます。

当然、上記の事は、自動車企業はわかっていると思いますが、まだハイブリッドや燃料電車に未来を託しているのでしょうか。

オランダで「2025年までにガソリン車とディーゼル車を販売禁止」する法制化が進行中
http://jp.autoblog.com/2016/08/21/2025-ban-gas-powered-cars-holland/
世界一の電気自動車大国になった中国 EVが次世代自動車の主役になるのか?
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/6738
フォルクスワーゲンとメルセデス・ベンツ、中国の電気自動車市場に本格参入を表明
http://jp.autoblog.com/2016/09/12/vw-mercedes-benz-china-new-ev-hotbed/
テスラが日本初、EVのSUV「モデルX」を投入 盛況な市場で勝負挑む
http://www.sankei.com/economy/news/160912/ecn1609120010-n1.html
ルノーのEV、世界累計販売10万台…5年で達成
http://response.jp/article/2016/09/13/281708.html
電気自動車(EV)で日本の自動車メーカーが中国メーカーに負ける日が近い!?
http://autoc-one.jp/special/2695104/
GM、航続383キロのEV 普及価格帯で最長
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM13H8J_T10C16A9FF1000/

俯瞰の書棚 “叛逆 マルチチュードの民主主義宣言”◆
今回の紹介は「叛逆 マルチチュードの民主主義宣言」アントニオ・ネグリ, マイケル・ハート 2013 NHKブックス です。

この本の著者、ネグリとハートは、「帝国」2000「マルチチュード」2004「コモンウェルス」2009の三部作によって、1989年のベルリンの壁崩壊以降の世界を分析し、「帝国」「マルチチュード」「共(コモン)」という概念で現在の世界を理解することを提案しています。

ただ、この三部作はいずれもかなりの分量があり、私もいずれは腰を据えて 読みたいと思っています。今回紹介する本は、その三部作を踏まえた上で、さらに2011年に起きたアラブの春やそれに続く民衆の蜂起とも言うべき活動を踏まえた、革命宣言のような本です。原著の題名は「DECLARATION」ですが日本語訳で上記のような題名になっています。「叛逆」とは意訳というより暴訳です。翻訳本でも編集者がとんでもない日本語のタイトルをつけている場合がよくありますが、原著のタイトルを尊重するべきだと思います。

叛逆ではなく、新しい民主主義の社会を建設することに積極的に参画することを提案している本です。

ただかなり難解な本ですので巻末にある解説を読んでから本文を読んだ方が分かりやすいかもしれません。少なくとも幾つかのキーワードを頭に入れておかないと読解が困難でしょう。

まず「帝国」とは、国民国家を超えてグローバルにネットワークされた、グローバルな主権のことです。すなわち世界銀行やIMF 、WTO 、そしてグローバル空間を自由に動くグローバル企業、金融、資本主義の「複合体」のことです。

これに対して「マルチチュード」は、このグローバル主権の下にいる多様な個人の集合体です。もともとマルチチュード(multitude)とは、「群衆」や「人々の群れ」という意味ですが、この本では積極的に「帝国」に対抗する主体として捉えられています。すなわち「帝国」の権力に抗して、グローバル民主主義の構成へと向かう多数多様な集団的主体をマルチチュードと定義しています。マルチチュードを単なる社会的なクラスと捉えるか、変革の意識を持った「前衛」と捉えるか、ですが。

今、格差社会が問題となっていますが、解りやすく言えば、ウォールストリートを占拠の抗議の主張であった「1%と99%の問題」です。すなわちグローバル経済の恩恵を受けた1%の集団が「帝国」であり、 99%の集団がマルチチュードです。

マルチチュードに対して「借金を負わされた者」「メディアに繋ぎとめられた者」「セキュリティに縛りつけられた者」「代表された者」の四つの視点を上げているのは興味深いです。
「借金を負わされた者」とは本来福祉政策で救済されるべきことが、金融ローンという個人の責任に転嫁され、その借金を返すために働かなければならない人々です。例えば教育ローンです。

「メディアに繋ぎとめられた者」とはメディアの情報に洗脳され、引きまわされる人たちです。スマホを触っていないと安心できない人もこれに入れられるかもしれませんね。
「セキュリティに縛りつけられた者」は監視カメラの監視される人、 GPSの位置情報、情報検索や買い物履歴を取られる人と言うイメージです。家の玄関を出た時からセキュリティと監視の中に我々いますから。

「代表された者」は、すでに述べた代表制という民主主義の構造的欠陥から、政治から実質的に外された人たちです。

また「 マルクス主義」という知識も必要でしょう。さらに「新自由主義」という概念も議論の前提になっています。これは小さな政府を標榜したサッチャリズムと考えると解りやすいでしょう。『新自由主義とは「ネオリベラリズム」(英: Neoliberalism)。1930年以降、社会的市場経済に対して個人の自由や市場原理を再評価し、政府による個人や市場への介入は最低限とすべきと提唱する。Wikipedia』

「共」 とは、”社会的労働の生産物──アイディア、イメージ、コード、情報、情動、その他を含む──に加えて、地球とその生態システム──森林と海洋や土、空気、水、等々──を指す“とあります。これらの概念を頭に入れて読んでいけば論旨はある意味単純です。

この本の主張する危機感が、民主制という皮をかぶった強権政治が世界中で増殖している事でしょう。ロシアのプーチン政権、トルコのエルドアン大統領、そしてエジプトなどの中東諸国の政権、中央アジア、そし最近のフィリピン・ドゥテルテ大統領です。すなわち "2011年に始まった多くの運動は、「代表される」ことそのものを拒絶し、代表制のさまざまな構造に強烈な批判を向けるものだった。これらの運動は、今日の代表制が民主主義を強化するどころか阻止しているということ、したがって「代表された者」は実効的な政治的行動に対するアクセスを阻まれた存在にほかならないということを、はっきりと認識していたからである。" とあります。そして、
“2010年代初頭、「アラブの春」に始まる直接抗議運動が世界中に広がった。専制的な政府、強欲な金融業界、民意を無視する政治に対して立ち上がり、支配体制を揺さぶった人びとこそ「マルチチュード」である。かれらが見せた新しいビジョンとは何か? 代議制の機能不全はどう克服されるのか? ”
とあります。そしてここにある新しいビジョンを提示しているのが本書です。

この本の主張は単純に言えば格差を生んでいる、グローバル経済の金融・資本主義と言う
「帝国」対抗し、そして形骸化した代表制という民主主義に代わる、マルチチュードのネットワーク、これは多様性を持った集団で、新しい民主主義を確立したいということです。さらに新自由主義という政治によって「帝国」に奪われた社会的労働の生産物を「公」すなわち自分たちを代表していると称する公的権力ではなくマルチチュードという主体的な「共」として取り戻すことを提案しているのではないかと思います。

具体的なマルチチュードの運動として、ウォールストリートを占拠、チュニジアでの大衆蜂起、そしてエジプトのタハリール広場の占拠によるムバラク政権崩壊、米国ウィスコンシン州の議事堂占拠、スペインのマドリードの太陽の門広場の泊り込み抗議、イスラエルテルアビブのテント抗議、アテネのシンタグマ広場の占拠、などを上げていますが、香港における雨傘運動、香港独立派の台頭、台湾における独立派の政権勝利もこの一連の動きに精神的には連帯しているのでしょう。ただマルチチュードと言う意識がない運動は、トルコに見られるような、ポピュリストの強権政治の餌食になってしまいます。その意味では、ここで提案されているマルチチュードという概念は、非常に重要です。このマルチチュードのネットワーク形成と活動にはソーシャルメディアの普及が背景にあります。

危機への反逆という第2章では、「借金をひっくり返せ」、「真理を作り出せ」、「逃走し自由になれ」、「自らを構成せよ」、と過激な主張がありますが読まないと理解できない部分です。
新共産党宣言という人もいるようですが、民衆にある種の蜂起を呼びかけている点では、そのように取れるでしょう。 確かにマルクス主義の匂いを感じさせる本です。

終わることのない戦争、テロや難民、アメリカ大統領選挙、強権とポピュリズムの台頭という現在の国際社会や政治を分析的に、また俯瞰的に理解するにはこの本の主張は参考になります。かなり難解ですがご一読をお勧めします。

実はこの本は最初にKindle本として出版され、後に紙の本が出版されたとのことですが、私はKindleで読みました。紙で読むよりも字が大きくて読みやすいので読書のスピードも上がりました。そろそろ紙の読書からKindleでの読書スタイルに移行しようと思っています。

世界中に拡大したウォール街デモその政治的影響力と米大統領選挙への波紋
http://diamond.jp/articles/-/14552

◆編集後記◆
●先のクリントン政権、そしてオバマ政権という民主党の中国政策の失敗が、現在のアジア情勢を作った一因でしょう。東アジア外交を仕切るライス大統領補佐官は親中国で、中国のG2にも理解を示しましたから。献金問題で見えましたが、クリントン家も中国のロビー活動の理解者です。ビル・クリントン大統領は東京をパスして北京訪問でした。
●豊洲の状況は酷いですね。前号の“小池知事という民意”で都庁は伏魔殿か、と書きましたが想像以上です!都庁幹部の倫理観、そして猪瀬、舛添知事が仕事をしていなかったことが暴露されました。そして石原元知事の影も。
●クリントンの健康問題、まさかトランプが大統領に。ヒラリー・クリントン余命1年という情報がネットにあります。英国EU離脱の結果の様に、まさかもあるかもしれません。
●蓮舫の圧勝で民進党の代表が決まりましたが、この後民進党はどうなるのでしょうか。レベルの低い二重国籍の話しか聞こえて来ませんでしたが。
●日本は技術力があると言われてきましたが、それは、古い技術が大半で、2020年以降の世界の重要な技術はかなり弱いと考えた方がいいかもしれません。

ヒラリー余命1年説?匿名を条件に「専門家」が投稿した動画の中身とは
http://www.mag2.com/p/money/22597

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◆内容・記事に関するご意見・お問い合わせ/配信解除・メールアドレス変更は下記までwebmaster@fukan.jp
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俯瞰MAIL 0061号(2016年9月16日)
発行元:     一般社団法人 俯瞰工学研究所
発行人:   松島克守
編集長:   松島克守
URL:      http://fukan.jp

 

俯瞰メール60号

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◆時候のご挨拶◆

連日猛暑日が続きますが、山の木々にはすでに赤や黄色の気配が目につきます。この

前まで緑一色だった田圃も、かすかに色づいています。猛暑なのに植物は秋を感じて

いるのです。日照時間の短縮を感じ取っているのでしょうが、どこにそのような判断

機能があるのか不思議です。脳がないわけですから、細胞ひとつひとつが日照時間を

感じ取ることができるのでしょう。

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● 象徴という暗喩

● 小池知事という民意

● トルコの独裁化で、さらに不透明化した国際情勢

● 中国の情勢が見えない

● 俯瞰サロン “米国情報通信分野の最新動向”

● 俯瞰のクッキング “ウー・ウェンの料理”

● ニューウェーブの俯瞰 “電子雑誌読み放題の時代になった”

● 俯瞰の書棚 「今、なぜデザインか」エレン・ラプトン他3人

● 編集後記

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◆象徴という暗喩◆

天皇陛下がお気持ちをメッセージで国民に伝えられた事は、大きな衝撃であったと思

います。政治的な意見表明ができないということで、練りに練られた文章だと思いま

す。

 

 

内容も誠に道理にかなうものです。体力が衰え公務を全うすることが困難になった、

といって体力に合わせて公務を縮小するわけにはいかない、また摂政をおくと、天皇

のまま死ぬことになるので、天皇の葬儀という大行事のために国政が停滞する。昭和

天皇のご葬儀の大変さを実感されて、もっと簡素な儀式にしたいというお気持ちが感

じ取れます。

 

このお気持ちは、そのまま受け止めるべきだと思います。ただ日本は特別な国だと強

い思いを持つ人々は、“自分たちの天皇制”に拘るわけですから、素直に受け止めら

れないかもしれません。そしてそういった人々は、天皇の気持ちに反することをする

ことがあります。

 

例えば、昭和天皇は靖国神社の宮司に戦犯を合祀しないようにというお気持ちを表明

していたにも関わらず、靖国神社宮司は戦犯を合祀しました。 それ以来、昭和天皇

は靖国神社を参拝することはありませんでした。伝えられるところによると、太平洋

戦争の開戦についても、昭和天皇はあくまで避けたいという強い気持ちを持たれてい

たにも関わらず、当時の軍部はそれを押し切って開戦したわけです。これが戦犯の靖

国神社への合祀に反対された理由かもしれません。

 

この天皇陛下のメッセージを読んでいると、象徴という言葉が8カ所もあります。こ

れは明らかにキーワードです。受験の現代国語の読解の手法です。そして最後にある

文章、

“そして象徴天皇の務めが常に途切れることなく、安定的に続いていくことをひとえ

に念じ、ここに私の気持ちをお話しいたしました。”

 

象徴天皇としての務めを全身全霊でやってきたことに満足されていると同時に、これ

は、現在の憲法が定める象徴天皇を変えることなく継続して欲しいと言う暗喩のよう

に読み取りました。憲法改正で天皇を国家元首にするということに対して、反対のご

意思を示されたのかもしれません。

 

【動画】象徴としてのお務めについて、お言葉を述べる天皇陛下

http://www.asahi.com/articles/ASJ8766FBJ87UTIL02P.html

 

◆小池知事という民意◆

サプライズではありませんが、予想を超える大差で小池百合子さんが東京都知事に当

選しました。自民党支持者の多くが小池候補に投票したようですから、浮動票集めで

当選したというよりも、これを民意として受け取るべきでしょう。

 

選挙戦としては、流石にTVキャスターの出身だけあってメディアをうまく使い、まだ

組織されていない無党派層には、ツイッターというSNSを駆使して直接メッセージを

毎日打ち込んでいたようです。時代をきちっと理解していると思います。ネットを活

用するという事を、政党という組織に乗っかっている政治家はこれまで重要視してき

ませんでした。

 

4年後の東京オリンピックは小池知事のリーダーシップで行われることになります。

オリンピック組織委員会は、全員が出向で期限付きの組織ですから、通常の組織のよ

うな統制が取れた仕事がかならずしもできていないでしょう。メインスタジアムやエ

ンブレムの問題がその内部的な問題を露呈させました。

 

このオリンピック組織委員会と小池知事がいい形で連携すれば、オリンピックの管理

運営のクオリティが上がるかもしれません。

 

都政においても、我々都民から見れば伏魔殿のように税金の使い道がわからない状態

が、小池知事が約束しているような見える化が進めば、利権や無駄遣いが減ることが

期待されます。なにしろ東京都はヨーロッパ一国分を超える人口や面積そして経済規

模があります。そして都知事は大統領です。

 

多分、既得権益を持つ集団は色々な手を使って抵抗するでしょうが、外部から真っ当

なスタッフを積極的に登用して都政の刷新を進め、必ず公約を果たして欲しいと思い

ます。ただ過去の都政では、都知事が連れてきた腹心と呼ばれた人がとかく問題を起

こしていましたから、側近をどのような人材で固めるかが新知事の成否を決めること

になります。

 

NHKの歴史ドラマに見るように、信頼関係にある側近がなく孤高の信長の挫折、そし

て信頼関係にある側近が複数いてもチームを組んでいず短期政権に終わった秀吉、こ

れに対し信頼関係に固められた家臣団、とりわけ本多忠勝、井伊直政、榊原康政、酒

井忠次という徳川四天王に支えられて、家康は天下を取り300年にわたる長期政権を

確立しました。周りにどんな人を置くか、それがリーダーの最も重要な器量です。

 

小池百合子都知事を「敵」であるはずの自民党支持層が高く支持

http://news.livedoor.com/article/detail/11864349/

小池氏フォロワー数優勢19万、鳥越氏追う15万

http://www.nikkansports.com/general/news/1679264.html

フォロワー数、「いいね!」とも小池百合子氏がトップ SNS

http://www.sankei.com/politics/news/160721/plt1607210041-n1.html

<偶然ではない>小池百合子にまんまと利用されたメディア

http://blogos.com/article/186187/

 

◆トルコの独裁化でさらに不透明化した国際情勢◆

英国のEU離脱の衝撃は、不安定さは残りながらも、とりあえず大きな混乱もなく収

まっていましたが、トルコのクーデター未遂で世界情勢は一変しました。その後のエ

ルドアン大統領の大粛清は異常で、独裁制へ向かうとみられています。反対派に処す

粛清はおろか、メディアに対しても弾圧を加えていますからトルコの民主制は終わり

ます。死刑制度復活などまさに恐怖政治そのものです。そして、真っ先にロシアの

プーチン大統領と会談するためにモスクワに飛んでいます。

 

比較的安全だったドイツは複数のテロ攻撃を受けました。ローマ法王にして“世界は

戦争状態”と言わしめました。ひろく難民を受け入れてきたドイツですが、危険な分

子もたくさん取り込んでしまったのでしょう。と思うドイツ国民は少なくありません

から、メルケル首相の支持も落ち込んでいます。

 

トルコに対しEUは何も動けません。なにしろEUはトルコに資金援助することを約束し

て、シリア難民をトルコ国内に留めてもらうように話をつけたばかりです。エルドア

ン大統領は人質を取っています。

 

もしロシアとトルコの連携が進み、EU 、西欧に対して共同歩調を取ることになれ

ば、ヨーロッパは流動化します。経済活動も大きな影響を受けます。流動化の中でロ

シアのプーチン大統領はウクライナや東欧諸国に対し圧力を強めるかもしれません。

 

一方米国は、大統領選挙で大混乱です。なぜか評判の悪いヒラリー・クリントンで

す。負ける事はないでしょうが、万が一ヒラリーが負ければ世界中大混乱です。今の

米国はヨーロッパやトルコ情勢に関与する力はありません。いずれにしても、今後の

国際情勢は不透明です。

 

「世界は戦争状態」=ローマ法王

http://www.jiji.com/sp/article?k=201607

トルコ、クーデター未遂で5万人粛清 国際社会の懸念深まる

http://www.afpbb.com/articles/-/3094657

トルコ、メディアへの弾圧拡大

http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/339866

トルコ国民は死刑復活を望んでいる=エルドアン大統領

http://diamond.jp/articles/-/96806

「西側諸国はテロとクーデターを支持」 トルコ大統領が強く非難

http://www.afpbb.com/articles/-/3096166

「クーデター粛清は行き過ぎ」 対トルコ、独が非難

http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/list/201608/CK2016080302000125.html

トルコのエルドアン政権が死刑復活ならEU加盟できず、ドイツがけん制

http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2016/07/post-5507.php

メルケル独首相、支持率急落 難民テロ影響か

http://www.sankei.com/world/news/160805/wor1608050007-n1.html

テロ多発地帯と化したドイツで、なぜメルケルは不気味な沈黙を保ち続けるのか

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/49308

トルコのクーデター未遂事件は 世界を一変させる「ブラックスワン」になるの

か!?

https://news.nifty.com/article/magazine/12215-20160808-98330/

まもなくトルコ・ロシア首脳会議、何が起こるか?

http://synodos.jp/article/17700

 

◆中国の情勢が見えない◆

南シナ海では、“国際法上、中国の領土ではない”と司法判断が出ましたが、中国は

まったく受け入れる気がない、と言いながらも実質は動きができません。 ASEANもラ

オスとカンボジアを除けば、他は中立もしくは反中国です。中国にとって、大きな外

交的敗北でした。

 

では東シナ海か。とにかく何か積極的な海洋進出の実績を示さないと、国内政治のバ

ランスが取れないのでしょうか、多数の漁船と公船すなわち日本でいう巡視船です

が、尖閣諸島の領海近くおよび領海内で威嚇行動をしています。

 

その背景には、今中国の中で深刻な権力闘争が行われているという見方が強まってい

ます。権力を争うのは江沢民派、李克強首相の出身母体である共青団、そして習近平

派ですが、共産党が指導する国有の大企業が鉄鋼業、造船業を中心に破綻しかけてい

ます。工業化の産業政策の基本ですから、最初に国家主導でエネルギー、インフラ、

重化学工業を起こし、ついでに自動車産業、電機産業、生活産業、そしてサービス産

業を起こしていきますが、国家主導の重化学工業は共産党の利権が複雑に絡みあって

いますから、権力闘争と政策闘争が入り混じった戦いでしょう。

 

“2013年に李克強首相ら経済改革派が行おうとした国有企業の「三歩走」、すなわち

「市場化→多元化→民営化」という改革を進めていれば、多くの国有企業が民営企業

に着地し、中国経済はダイナミックで持続可能な経済成長が期待できたのだ。それを

習近平主席ら中国共産党の保守派は、国有企業を政治的利権の道具にしようとした。

そのため昨年9月に、国有企業の「二歩走」、すなわち「淘汰→党中央の管理強化」

という「改悪」を国有企業改革の骨子に定めてしまった。”(近藤 大介『北京のラ

ンダム・ウォーカー』講談社現代ビジネス)

 

最近の貿易統計も対前年比マイナスを続けていますから、経済は停滞しているはずで

す。国民の政府に対する不満も高まっているでしょう。となると、外に目を向けさせ

るために尖閣列島を利用しているのかもしれません。ただ危険な火遊びで、不測の事

態が起こるかもしれません。たとえ小競り合いであっても日中の軍事衝突があれば世

界経済に与えるインパクトはリーマン以上です。我々国民も不測の事態を想定内とし

ておく必要があります。ただ現在の中国は深く世界経済に依存していますから、政治

の判断では衝突はありませんが、現場は場合によっては制御できません。自衛隊もあ

からさまにロックオンされれば自衛措置を取らざるをえません。

 

尖閣諸島周辺に約230隻の中国漁船

http://toyokeizai.net/articles/-/130692

中国はなぜ尖閣で不可解な挑発行動をエスカレートさせるのか

http://www.newsweekjapan.jp/ohara/2016/08/post-4.php

中国が秘密の「北戴河会議」開催か 序列5位の劉雲山氏が現地入り

http://www.sankei.com/world/news/160805/wor1608050070-n1.html

ASEAN会議 中国の国際法無視が目に余る

http://www.yomiuri.co.jp/editorial/20160726-OYT1T50137.html

中国人民大学「ゾンビ企業レポート」が示す習近平政権の致命的な過ち

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/49405

ナチスに酷似する中国、宥和では悲劇再現も

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/47517

 

◆俯瞰サロン◆

米国を拠点に活躍されているジャーナリストに聞く

“米国情報通信分野の最新動向”

日 時: 8月22日(月)18:30-20:00 (18:15 受付開始)

場 所: 俯瞰工学研究所

     東京都港区港南2丁目14番14号

     品川インターシティフロントビル 6階

     http://www.sicity.co.jp/front/access/

定員 : 40名程度

懇親会: 講演終了後に、立食形式で懇親会(有料)を開催します。

参加費: 講演会・無料

     懇親会・一般 3000円から4000円、学生(社会人学生を除く)無料

※すでに満席となっているかもしれませんが、http://www.fukan.jp/俯瞰サロン/

からお申し込みください

 

◆俯瞰のクッキング “ウー・ウェンの料理” ◆

有名な料理研究家のウー・ウェンのレシピは料理本で読んだことがありましたが、

Amazonで別の本を探している時、リコメンドされた本の1つが“ウェインさんちの定

番献立”という本でした。買って読んでみると改めて彼女は数多くいる料理研究家の

中でも特別な人だと思いました。レシピを読んでいると非常に知性が高い人だと感じ

ました。

 

そして企業と共同開発したウー・ウェンの中華鍋は、販売が16万個だそうです。売価

を考えると約2億円です。

 

北京から日本に来て、結婚するまで料理をしたことがなかったとのことですが、家族

ができて、食事は「料理は家族の健康そのもの」で人任せにできないと、料理をする

ことになったとのことですが、レシピはシンプルながら水準が高いです。

 

冒頭に台所の写真がありますが、“仕事の始まりと終わりは、いつも何もものが出て

いない状態で”、とあります。簡単そうでこれ結構難しいですね。そして鍋は3つ、

すなわちウェンパンと呼ばれる中華鍋(北京鍋)、湯鍋と呼ばれるソースパン、煮鍋

と呼ばれる平らな両手ナベです。実際は色々お持ちでしょうが、彼女の提案はこの3

つで良いとのことです。そして切菜刀と呼ばれる彼女が考案した、中華包丁と日本の

菜切包丁の良さを併せ持つ包丁です。

 

調味料も黒酢、醤油、太白ゴマ油、日本酒、塩だけです。その他の調味料もオイス

ターソース、焼き豆板醤、甜麺醤、そして顆粒の鳥ガラスープだけです。

 

これだけのシンプルなキッチンには憧れます。鍋だけでも20?30個、包丁もあれこれ

10本近くあり、その他の道具を合わせると、ちょっとしたキッチン用品の店が開ける

ような台所で料理を作っていると、シンプルキッチンに憧れます。

 

レシピは基本的「一汁 二菜」です。そして基本的に中華料理ですが、とてもシンプ

ルです。

多くの料理研究家の本はアイディアに満ちた料理の提案が多いですが、定番の献立は

簡単に作れる料理ばかりです。私たちが食べ慣れている、油をたっぷり使った中華料

理のような献立はほとんどありません。和食に近い家庭料理らしい中華料理です。

 

例えばある日の献立は、麻婆豆腐、キャベツ甘酢あえ、筍とアサリのスープです。ま

た別の献立では完熟トマトで作るエビチリ、インゲンの炒め物、ザーサイのスープ。

おなじみのキャベツの回鍋肉や青椒肉糸のレシピもシンプルですが本格的で勉強にな

ります。

 

彼女のレシピによく出てくる料理法は「蒸す」ことです。ウー・ウェンの鍋はフッ素

加工された底が少し平らな北京鍋ですが、付属の蒸し皿と蓋を合わせると、焼く、炒

める、煮る、 蒸す、ができます。たぶん簡単な薫製もできるでしょう。むろんIH対

応です。私は2つ買いましたが、 1つはフッ素が剥げてしまったからです。この点は

改良された新型が出たようです。

 

レシピの中で作ってみて、気に入った料理は、トマトと豚スペアリブ煮込み、エビチ

リ、蒸し豚、チャーシューです。このレシピで、これまで何気なく作っていたおなじ

みの料理が新しい料理に生まれかわったような気がします。完熟トマトで作ることが

重要でした。

 

日本料理と北京料理の文化の差を感じたのは、ダシです。彼女のスープは、 特別な

ダシを使わずに素材の旨みで十分、とありますが、濃いうまみに慣れている私の舌に

は物足りないので、顆粒の鶏ガラスープや昆布を入れてしまいます。海から獲れた鰹

節や煮干し、昆布のような、日本では普通のダシが、北京では入手できないことが差

異になっているのかもしれません。

 

◆ニューウェーブの俯瞰 “電子雑誌読み放題の時代になった”  ◆

いよいよ日本でも8月3日、Amazonが電子書籍読み放題のKindle Unlimitedサービスを

開始しました。Kindle unlimitedとは、講談社、小学館、文藝春秋、新潮社などの出

版社の協力により国内12万冊の和書が月額980円で読み放題というサービスです。ち

なみに先行している米国のおかげで、洋書は120万冊読み放題とのことです。迎え撃

つ集英社やKADOKAWAは今回参加してないようです。

 

これに対抗して楽天も8月9日、雑誌の読み放題のサービスを始めました。月額38

0円で週刊誌や経済誌、それにファッション誌など200誌以上を読むことができる

ということです。

 

Amazonは電子書籍も含みますが゛、楽天は雑誌だけです。雑誌の読み放題サービスは

早くからドコモがサービスしています。以前にここでもご紹介しました。雑誌読み放

題サービスは他にいくつかあります。例えば、

dマガジン約160誌月額400円

タブホ約400誌月額500円

ブック放題約130誌月額500円

ひかりTVブック        約350誌月額400円

少しずつ内容が違いますから一概にどれがいいとは決められませんが、サービス比較

対象のサイトを下記におきましたので、興味ある方は見てください。

 

この価格で雑誌が読み放題ということになると、紙の雑誌はどうなるでしょうか。す

でに出版部数は激減しています。広告媒体として、紙のメディアと電子メディアの併

売が有利であればこのトレンドは雑誌に対する救いになるでしょうが、タブレットで

本を読むことに慣れてしまうと、紙のメディアをわざわざ買うということをしません

から、雑誌にとっては苦渋の選択です。

 

個人的な体験ですが、ドコモの雑誌読み放題を使ってみると実に便利です。例えば新

聞に出ている週刊誌の広告を見て興味をひかれる記事があれば、すぐその記事を読む

ことができます。電車の中の時間を有効に使うためには、タブレットで書籍や雑誌を

読むのは非常に便利です。ましてや旅行や出張のような場合にはタブレットがあれ

ば、移動時間も苦になりません。

 

日経新聞も、朝は紙の新聞で読みますが、タブレットで読むと自由に拡大ができて視

力が落ちた私はこの方が快適です。私のパートナーは、同じ日経新聞を、隣でiPadで

読んでいます。

 

電子書籍や新聞の電子版、雑誌の電子版は、ほんの2?3年前は近未来のような話でし

たが、あっという間に普及してきました。時代は本当に速いスピードで変わってきて

います。そして人々のライフスタイルを変え、社会を変えてきます。これに既存の企

業はついて行っていません。

 

銀河系の星雲のように巨大な広がりを持つネットの世界、その凄さを改めて見せつけ

たのがゲームの“ポケモンGO”です。私もサービス開始日に早速学生の指導を受け

ながらやってみましたが、すぐに1つ捕獲しました。単純なゲームですが、この爆発

的な流行でApple Storeの売り上げは数十億ドルと言われています。最初無料です

が、ポケモンを捕獲していくとボールがなくなりますから購入しなければなりませ

ん。 Appleは何もしなくても売り上げが立ちます。ただこのAppleもスマートフォン

の世界を中国メーカーに奪われていくでしょう。盛者必衰です。すでにアメリカの自

動車ビックスリーはこれを味わいました。

 

私の友人の山田太郎さんは参議院選挙で再選されませんでしたが、ネットやゲームの

無党派層から29万票も支持をもらいました。インターネットとスマホが凄まじい変革

というか破壊を進めていることを認識すべきです。

 

経団連に名前を連ねる大企業も、この巨大な津波に飲み込まれていく事を意識する必

要があります。自動車産業は最大のターゲットです。中国の百度(Baidu)は、アメリ

カで自動車自動運転の研究開発を始めました。

 

みなさんも電子書籍読み放題で“時代の風”を感じてみたらいかがですか。

 

日本でもKindle Unlimited、月額980円の定額読み放題サービスを開始

http://www.amazon.co.jp/gp/press/pr/20160803/

Amazonの電子書籍読み放題サービス「Kindle unlimited」のサービス詳細

http://www.kokoro-fire.com/entry/kindle-unlimited

楽天が電子書籍の読み放題サービス 競争激化

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160809/k10010628621000.html

電子雑誌約200誌が月額380円で読み放題の「楽天マガジン」提供開始、「記事まと

め」機能も装備

http://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/1014605.html

雑誌読み放題サービス比較してみた

https://techub.jp/125594

百度、自動運転車開発チームを米国に結成 100人超規模目指す

http://itpro.nikkeibp.co.jp/atcl/news/16/042501214/?rt=nocnt

今や世界のスマホの3分の1が中国メーカー

http://japanese.engadget.com/2016/07/04/mwc-2016/

 

◆俯瞰の書棚 “今なぜデザインか”◆

今回の紹介は「今なぜデザインか」エレン・ラプトン他3人 2012 英治出版 で

す。

この本はスミソニアン学術協会クーパーヒューイット国立デザイン博物館が2000年か

ら始めた、デザイントリエンナーレの第4弾2010 ナショナルデザイントリエンナーレ

が元になっています。この本は、現在起こっている数々のイノベーションのスナップ

ショットです。すなわち、すでに起こっている未来をこの本の中で見ることができま

す。そしてデザインがイノベーションを生み出す力を秘めていることを示していま

す。

 

既に起きている未来を知る事は、ビジネスはもとより人生の選択にも重要です。

この本は、エネルギー、モビリティ、コミュニティ、マテリアル、豊かさ、健康、コ

ミュニケーション、シンプリシティの八章から構成されています。

 

まずエネルギーの章では、海の波力発電のプロジェクトに興味をひかれました。再生

エネルギーの中で未だ実用化していない技術です。そして日本は周囲を海で囲まれて

いて、 無限の可能性を持っています。この章を読んでいくと電気自動車の時代が来

ることが実感できます。

 

モビリティの章では、「化石燃料による移動が急速に増えていることが問題だが、石

油が枯渇しかけているのではなく、二酸化炭素を大気に排出する余地がなくなりかけ

ている」と明快です。そして多様な移動手段を提供する必要のあることを説いていま

す。

 

道路に多数の充電ステーションを展開するというプロジェクトは、すでに実際に進ん

でいます。アメリカの場合でも、日々の移動は64キロ以内なので、この間隔を考え

て、充電ステーションを展開することを提案しています。そして 2015年までに、1万

台の充電ステーションを導入するプロジェクトをアムステルダム市が推進していまし

た。むろんアメリカでもカルフォルニアを中心に進んでいます。

 

確実に電気自動車の時代になりつつあることが認識できます。 MITのオンデマンドの

共用自動車のプロジェクトも近未来を示しています。ただこの電気自動車へのシフ

ト、そしてシェアリングは自動車産業に重大なインパクト与えます。これを想定して

企業戦略や人生設計を、いま考える必要があります。ただ自動車産業に代わるような

巨大な産業は、今は全く見えません。

 

コミュニティの章では、環境に配慮した建築のプロジェクトがいくつか紹介されてい

ます。その中で興味を惹かれたプロジェクトは、コロンビアのメデリン市の「最も美

しい建物を、最も貧しい場所に」というプロジェクトです。もっとも絶望的で危険な

地区の中に大規模な公共の建物、公園をつくりました。街の中心部には図書館、学

校、博物館、託児施設、職業安定所、融資相談などの公共サービスの拠点がありま

す。街は一変しているようです。

もう一つは、ロサンゼルスの中心のホームレスの高齢者・障害者の終の家となるア

パートメントです。都市の中心部に弱者が住めるようにすることは都市にとって重要

だと思います。

 

マテリアルの章では、鉛や錫、銅などの資源は近い将来に枯渇すると言われていま

す。そして環境問題から、製造時のエネルギーすなわち化石燃料の必要が少ない、持

続可能な素材が求められています。従って「 リディース、リユース、リサイクル」

が重要となります。

問題となっているプラスチック製容器に代わる、植物から作られる容器、生物分解性

の包装素材が紹介されていますが、興味を引かれたのは二酸化炭素をコンクリートに

閉じ込めるというプロジェクトです。もしこれが実用化されると、二酸化炭素排出問

題と火力発電が救われます。

 

豊かさの章では、貧困対策のいくつかのプロジェクトが紹介されていますが、興味を

引かれたのはノキアが行っている、スラムの住民のアイディアを生かす“ノキア・

オープンスタジオ”です。「人々の本当の生の声を企業に」とありますが、ノキアと

いう企業の経営理念の高い水準を感じさせます。この辺は日本の企業がこれから取り

入れていかなければならない近未来です。

 

健康の章では、いろいろなプロジェクトが紹介されていますが、ホンダの、中腰の仕

事をサポートするロボットが紹介されています。写真を見ると中腰での作業をこれで

支援しているようです。これは既に実用化された新しいロボットですが、中腰の作業

は多いので、もっと広く普及していくでしょう。

 

Webとビックデータを込み合せたヘルスマップは実用化されています。これはほぼ

リアルタイムで世界で病気を監視・視覚化するシステムです。ニュースやブログ、医

療のwebサイトのデータをもとに世界の各地でどんな病気が起きているかを無料で公

開しています。 Googleマップの上にデータは表示されています。旅行先や海外法人

の社員の健康を管理するのに有効なツールですね。

 

コミュニケーションの章では、 iPhoneとKindleが取りあげられています。確かにす

でに社会を変えたコミュニケーションツールです。

 

まだ十分評価していませんが、統計情報を分かり易く伝えるワールドマッパーも興味

を惹かれました。数値データを図解する(Infographic)ことは、コミュニケーショ

ンとして優れています。

 

シンプリシティの章では、“デザイナーは「ユニークで高価」か「平凡で安価」な製

品ではなく「豊かで低コスト、賢い低価格」の実現を目指している”とあります。

これもこれからのマーケティングにヒントをくれます。無印良品のベッドが取り上げ

られています。無印良品は成功した日本のビジネスモデルですが、その秘密はシンプ

リシティにあるわけです。もう一つ、日本のWASARAの、使い捨てでも美しい紙の食器

が紹介されています。現在の紙の食器は使い捨てということでデザインが貧弱です。

使いやすい、美しい、自然分解するという紙の食器です。日本文化の源流である「無

常の美」を具現化したとされています。探して入手してみたいと思います。

 

以上興味を惹かれたプロジェクトをご紹介しましたが、冒頭で書いたように、すでに

起きている未来をこの本で見ることができます。難しい理屈はないので楽しく読めま

す。原著は2010年の発行ですから、すでに実用化しているものもあるでしょう。夏休

みにパラパラとお読みになったらいかがでしょう。近未来を知ることはいろいろな意

思決定に必須ではないでしょうか。

 

◆編集後記◆

● 生前退位ぜひ実現したいですね。

● 企業経営者も。トラブルでやむなく退陣とは晩節を汚して見苦しいですね。独裁

の結果、周囲から忠臣が消えているでしょう。

● 小池百合子知事、公約の結果を出してください。よもや金のトラブルはないと思

いまますが。

● アメリカ、ヨーロッパの力が弱まると国際情勢は流動化し、資本はリスクを嫌っ

て積極的な投資を控えますので経済は成長できません。

● 中国はフェーズ2に軟着陸する苦しみの中にいるでしょう。これに権力争いが加

わると想定外の事態もあり得ます。

● 関東地域の大地震が無いように祈っています。

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◆内容・記事に関するご意見・お問い合わせ/配信解除・メールアドレス変更は下記

までwebmaster@fukan.jp

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◆俯瞰MAIL 0060号(2016年8月12日)

発行元:     一般社団法人 俯瞰工学研究所

発行人:   松島克守

編集長:   松島克守

URL:      http://fukan.jp

 

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俯瞰メール59号

◆時候のご挨拶◆

利根川水系の水源地のダムは干上がり気味で節水制限、そして九州は度々記録的な豪雨です。やっと台風1号が発生しましたが、今年は台風発生が少ないとなると、地球規模の気候変動が気になりますね。そして、この夏は記録的な猛暑という予報です。熱中症には注意ですね。

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● 英国のEU離脱という激震

● 俯瞰的にもう少し分析を

● そして日本の現状と変化を今一度考える

● 俯瞰サロン ブロックチェーンの応用可能性

● 俯瞰のクッキング “ふるさと納税をやってみました”

● ニューウェーブの俯瞰

● 俯瞰の書棚 「色のちから」ジャン・ガブリエル・コース

● 編集後記

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◆英国のEU離脱という激震◆

想定外の英国のEU離脱の国民投票の結果は、世界に激震を与えました。歴史の転換点になるという見方が支配的です。事前の報道を整理すれば。

 

“米国やカナダ、オーストラリア、ニュージーランドを含む多くの優れた民主主義国のように、われわれはEUの外でより裕福で安全になれ、ようやく自らの運命を決められる自由を手に入れる。残留すれば、英国はわずか数年後には、拡大するドイツ支配の連邦国家に容赦なく呑み込まれるだろう”と感情論を展開した「大衆紙サン」。

 

一方エリートが愛読する高級紙は、

“庶民がブレグジット賛成で、エリート層が反対である。だが、新自由主義的な経済政策をとったまま本当にブレグジットが実現したら、庶民の抱える問題はむしろ悪化するだろう”英紙「インディペンデント」。

“仮に英国民がEU離脱を選んだ場合、キャメロン首相は辞任し、スコットランドの独立派が勢いづき、連合王国の存在事態が危ぶまれることになる”英誌「エコノミスト」。

“ブレグジットに賛同する人々はロシアのプロパガンダに踊らされているのだ。近年、ロシアは英国に限らず、反EUを掲げる欧州の極右勢力を積極的に支援してきた。いまこそ西側諸国はプーチンの思惑に対して反撃するべきだ。” 英紙「タイムズ」。

“本当にブレグジットが実現したらどうなるのか。100人を超えるエコノミストに取材した結果、「中期的には悪影響」と見る人が75%を超えた。「プラスだ」と考える人はわずか8%だった”英紙「フィナンシャル・タイムズ」。

“ブレグジットで最も痛手を負うのはEUの中核たるドイツだろう。EUは英国を失うことで、「欧州第2位の経済大国」「国連安全保障理事会常任理事国」「核兵器保有国」「長年にわたり米国と欧州の仲介役を務めてきた国」をまとめて失うことになる”米紙「ワシントン・ポスト」。

“ゴールドマン・サックスなどの投資銀行が「負け組」になる”米紙「ウォール・ストリート・ジャーナル」。

“落ち着いて考えてみよう、不安要素が多すぎるブレグジットを前にすれば、英国民は現状維持を選ぶだろう、と考えられるからだ”とやや楽観的なフランス紙「ル・モンド」。

 

いずれも、エリートが上から目線で他人事のように解説しているような記事です。また、このような高級紙を読んでいる人は実利的判断で残留でしょうが、高級紙ではなく大衆紙を読んでいる人達は、感情的にEU官僚の理想主義に嫌気がさして離脱を求めたのでしょう。日経新聞の記事にあるようにグローバル化で得るものなく、多くを失って疲弊した地方は昔に還った方がほうがいいという感傷で離脱を選んだのでしょう。本当のエリートであれば、この感傷を受け止める能力が必要です。“ノブレス・オブリージュ(noblesse oblige)”の国だったはずです。

 

“地方経済は疲弊している。英国の2015年の成長率は2%強だったが、地方では成長の実感は乏しく、海外から資金や技能の高い人材が集まり繁栄するロンドンとの差は開くばかり。調査会社ユーガブによると、都市部では残留派が多数なのに対し、離脱派は脱工業化に失敗したイングランド北部や東部の地方に広がり、50歳以上の白人男性で労働者層が目立つという。「日経新聞小滝麻理子」は高級紙と違い緊張感ある記事ですね。

 

結果は大方の予想を裏切り離脱派が僅差で勝利しました。この結果に、離脱賛成に投票した人も後悔した人が多いようです。何よりも離脱をリードしたボリス・ジョンソン氏の当惑した顔が印象的でした。

 

想定外に離脱派は勝ってしまいましたが、その理由としてエリートが上から目線で経済危機の警告をしたことはかえって裏目に出たともいわれています。またEUへの拠出金がなくなれば、その3億5000万ポンドが国民の健康サービスに使えるという、まやかしの公約が効いたと同時に、移民問題をことさら強調することで、移民が仕事を奪っているという感情を煽り、イギリス人があまりやりたがらない農業や介護のようなサービス業が移民で成り立っているということは伏せて、経済構造をきちっと理解していない大衆を離脱に追い立てました。

 

何よりもエリートと言われるキャメロン首相の“バカな博打” 、首相の座をなんとか取りたいボリス・ジョンソン氏とマイケル・ゴーブ氏の利己主義による声高のキャンペーン、そして古きイギリスという幻想にかられた高齢者、などが理由として語られています。「戦後のベビーブーム世代の判断ミスによって金融危機が引き起こされ、多くの若者が国境を越えると信じてきた未来は奪われてしまった」(米紙ワシントン・ポストのサイトへの投稿)という認識も同感できます。

 

離脱に投票した英国人を責める事はできませんね。もともとイギリスと大陸諸国は文化や価値観がかなり異質です。ですからエリート層でも英国離脱を主張している人もいます。

 

次の意見も的を得ていると思います。“「残留派=理性的かつ現実的な知識層」で、「離脱派=不寛容で感情的な無教養層」と決め付ける論調がある。果たして、そうだろうか。EU加盟国間の歴然たる経済格差や、人種問題、国民性、宗教対立など、現実に存在する問題を無視あるいは軽視して、加盟国の拡大を続け、理想を無理やり押し付けた。”(ケント・ギルバート)

 

それにしても離脱を声高に叫んでいたボリス・ジョンソン氏と英国独立党のファラージ党首は負担金の予算が浮くと主張しましたが、このスローガンは「離脱派の過ちだった」とはあまりにも無責任です。ですから、離脱派は偽りのキャンペーンで大衆を煽ったと言われても仕方ありません。

 

しかし金融市場は様々な思惑で大混乱です。なにしろ先が見えませんから疑心暗鬼で大量に資金が動きます。ロンドンのシティーの金融業が縮小するかもしれないと言ってロンドンの不動産ファンドが売られています。簡単には現金化できませんから、その影響で不動産価格も下がるかもしれません。

 

相対的に安全資産として円が買われ、急ピッチで円高が進んでいますがこれも、この後どうなるか分かりません。

今は何もしない、これが大勢でしょう。

 

「英国のEU離脱問題」各国メディアはこう報じた

http://courrier.jp/news/archives/50083/

英国:離脱派が調査でリード、大衆紙サンも支持?週末にオッズ逆転か

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160614-58676759-bloom_st-bus_all

オバマ米大統領、世界経済への影響を懸念

http://wedge.ismedia.jp/articles/-/7188

キャメロン英首相 EU離脱派の主張は「事実と異なる」

http://www.bbc.com/japanese/36573374

EU離脱・残留両派 討論会で激しいやり取り

http://www.bbc.com/japanese/36593835

若者が高齢層に怒り心頭「ベビーブーム世代の判断ミスだ」

http://www.sankei.com/world/news/160626/wor1606260036-n1.html

離脱派が勝った8つの理由

http://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-36628343

離脱派に広がる「後悔」「Regrexit」の造語も登場 軽い気持ちで投票

http://www.sankei.com/world/news/160628/wor1606280056-n1.html

英離脱の国民投票「ひどい失敗」 FRBのグリーンスパン元議長

http://this.kiji.is/120343509564769789

EU側からみた英国離脱の衝撃

http://www.huffingtonpost.jp/michito-tsuruoka/analyze-brexit-from-viewpoint-of-eu_b_10710552.html

事前交渉を拒否、27カ国首脳会議 団結確認

http://www.sankei.com/world/news/160629/wor1606290045-n1.html

EU離脱、バラ色のはずが…旗振り役が「公約」を反故

http://digital.asahi.com/articles/ASJ6W5D0VJ6WUHBI026.html?_requesturl=articles%2FASJ6W5D0VJ6WUHBI026.html&rm=529

ジョンソン前ロンドン市長、英首相レース離脱?党首選出馬せず

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-06-30/O9L38H6TTDSE01

 

◆俯瞰的にもう少し分析を◆

もう少し結果の詳細を見ると、45歳以上の世代では離脱が多数を占め、それ以下では残留が多数でした。 18歳から24歳では離脱派はわずか27%ですが、 65歳以上では60%を上回っています。この45歳という年齢の人は、1993年のEU発足時に22歳です。ですからEU加入前のイギリスを知っているという見方もできます。これ以降の年代は古き良きイギリスに郷愁はなく、イギリス人ではなくヨーロッパ人として生きてきた現在に肯定的であるのかもしれません。

 

そもそもEUの前身はECです。 20世紀に2度の大戦を引き起こしたドイツ、そしてこれと戦ったフランスが、二度と戦争しないという不戦の誓いから、フランス、西ドイツ(現ドイツ)、イタリア、ベルギー、オランダ、ルクセンブルクの6カ国が欧州石炭鉄鋼共同体(ECSC)を1952年に設立しました。戦後間もないヨーロッパの復興には鉄鋼と石炭というエネルギーが重要だったのでしょう。そして1967年に欧州共同体ECが誕生しました。イギリスは1973年にデンマーク、アイルランドと一緒にECに加盟しています。 1989年にベルリンの壁が崩壊して東西冷戦が終結し、ヨーロッパは統合に向かっていきます。 1993年にマーストリヒト条約(欧州連合条約)が調印されEUが発足しました。そして1999年欧州単一通貨のユーロが導入されます。その後旧共産圏を含む10カ国(ポーランド、チェコ、スロバキア、ハンガリー、スロベニア、エストニア、リトアニア、ラトビア、マルタ、キプロス)が一挙にEUに加盟して、現在38の主権国家の複合体になりました。

 

EUの官僚も肥大化して約3万人と言われています。分担金の割合で行けばドイツ人とフランス人が多数を占めているでしょう。出発点は不戦の誓いですが、ここまでくると異なる価値観と文化を有する国家の複合体になっていますから、 一つヨーロッパという理想を追求して行けば行くほど内部に矛盾が生じてきます。加えて英国は“不戦の誓い”ではなく、実利を求めてEUに加盟したわけです。さらにイギリスのエリートから見るとブラッセルやベルリンの“若造”の指図を受けたくたくないという感情もあるでしょう。

 

確かにドイツ流の細かい規制は英国人の気性に合わないでしょうし、フランスやイタリアのラテン系にも合わないでしょう。しかし今現在、EUの意思決定は実質的にベルリンで決まっています。英国のEU離脱を受けてメルケル首相はフランスのオランド大統領とイタリアのレンツィ首相をベルリンに招いて、独仏伊が首脳会議を開催し、英国の離脱通告まで交渉拒否 の声明を出しています。「もういい加減にしてくれ」、「出て行くのであれば早く出て行って欲しい」、「出て行くのであれば早く出て行って欲しい」ということです。他の加盟国はその決定に従うだけの存在ですから、一つヨーロッパではありません。

 

ただ英国のEU離脱によってEUの結束が緩み、力が弱まると国際間の力の均衡が変化します。まずウクライナ問題で経済制裁を受けているロシアは経済制裁が緩むという期待が生まれるでしょう。ドイツは歴史的に、また地政学的にロシアと関係が深く経済制裁に関しても柔軟に対応する姿勢を見せていました。英国は米国とともに強硬な経済制裁を主張していましたから、ウクライナ問題については、ある種の政治的な妥協が生まれる可能性があります。もしこれが実現すると、日本の北方領土問題も動く可能性があります。ロシアの経済制裁の中でロシアに経済的な支援を行う形で北方領土問題を処理するわけにはいきませんから。

 

EUの弱体化は中国にとっても悪い話ではありません。AIIBではアメリカの予想を裏切ってまっさきに英国は参加を決めました。そして習近平の英国訪問で大型の経済交流を決めています。英国ではEUという市場から離れれば、さらに英が中国に経済依存するのではないかと言われています。ドイツもメルケル首相が9回も中国を訪問しているように中国に深入りしています。ただドイツのメルケル首相は、最近はやや中国から距離を置く言動です。前回の中国訪問でははっきりと中国覇権主義を批判しています。ともかくEU、そしてNATOという欧州の安全保障も微妙に変化するのではないでしょうか。

 

トルコのEU加盟は長年の懸案ですが、これも今回の国民投票で離脱派が移民が増えるということで反対をしていましたが、ドイツとトルコの関係も微妙で、移民問題を含め波乱が予想されます。

 

長々とECとEUについて書いてきましたが、今回の英国のEU離脱は単に英国の感情に溺れた国民の過ちではなく、 EUというヨーロッパの体制の矛盾が顕在化し、大きなEUの改革につながっていくのではないでしょうか。誰もこのあとのことはわかりません。それにしても離脱を声高に叫んでいたボリス・ジョンソン氏と英国独立党のファラージ党首は無責任なエリートの本性を出しました。天下国家を声高に論じる人は要注意です。

 

以上は英国EU離脱を受けて、改めて俯瞰的な理解をしたいと思って情報を集め整理した、私個人の勉強のまとめです。多くの情報の中から丁寧に拾ったつもりです。引用したURLも意識して時間軸に沿って紹介してあります。これを読んでいくと俯瞰的な認識を得られるのではないでしょうか。自分なりの俯瞰的な認識を持つことは重要ですから。

 

蛇足ですが、この記事を書いていく中で気付いた事は、主役のキャメロン首相、ボリス・ジョンソン氏とマイケル・ゴーブ氏は、ともにオックスフォード大学で学んでいます。キャメロンとジョンソンは裕福な家庭に生まれイートン校の出身でもあります。そして、あの無謀な戦争を始めたブレア元首相もオックスフォード大学の出身です。俯瞰的に見ればエリートの驕りと、暴走に対する国民の反乱と認識してもいいかなと思いました。

 

ちなみに、次期首相に決まった、テリーザ・メイ内相もオックスフォード大学出身です。

 

国の国民投票とEUの根本的問題 短期間に無茶をやり過ぎた欧州委員会

http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20160702/dms1607021000003-n1.htm

習近平が英国EU離脱を「歴史的好機」とほくそ笑んでいる

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/49025

ロシアへの波及警戒=制裁緩和に期待も?プーチン政権

http://news.livedoor.com/article/detail/11683237/

【年表】イギリスがEUを離脱するまで(1952-2016)

http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2016/06/eu1952-2016.php

GDP by Country, 1980-2015 - noema.com

http://jp.knoema.com/tbocwag/gdp-by-country-1980-2015?country=United%20Kingdom

英国で260万語のイラク戦争検証報告書、発表へ

http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2016/07/post-5415.php

ブッシュとブレアのイラク戦争に遅すぎた審判

http://www.newsweekjapan.jp/kimura/2016/07/post-14.php

 

◆そして日本の現状と変化を今一度考える◆

この際、日本の現状も気になりますから、幾つかの視点で考えてみます。

生産年齢人口の減少は言われて久しいですが、就業者全体に占める女性と高齢者の割合が5割を超えたとは驚きました。日本の変曲点でしょう。

 

“総務省が29日公表した2015年国勢調査の抽出速報集計で、就業者全体に占める女性と65歳以上の高齢者の割合が初めて5割を超えたことが分かった。少子高齢化のあおりで労働力人口は6075万人と前回の10年調査と比べ295万人減少し、6千万人割れが目前に迫る。増加する介護・福祉分野などの人手不足を補うため女性とシニア層が働き手として存在感を高めている。”「日経新聞2016/6/29」

 

一方、 OECDの調査によると1991年に9位だった日本の賃金は、2014年にはなんと19位に転落しています。そして1991年上位20カ国の中で、 25年後に賃金が下がったのは日本だけだということです。まさにバブル以降失われた25年です。一部の富裕層をのぞけば、国民の誰もがアベノミクスの恩恵を受けていると感じていないでしょう。

 

そして現在40歳で年収800万円の人が受け取る年金が月額約18万円とは驚きました。これでは暮らしていけません。ですからシニアの就業者が増えるのは当然です。むろん仕事があって働く事は、肉体的にも精神的にもいいことだと思いますが。しかし70歳を過ぎてくると体にいろいろな不調が出ますから仕事も辛くなります。

 

そして2020年には日本人の平均年齢は50歳となり、 65歳以上の高齢者の中で75歳以上が半数以上となります。壮絶なシニア社会、そして暮らしていけない年金です。さらに日銀総裁が追求しているインフレ2%の話を掛け合わせると、これから高齢者の生活保護世帯が増えると同時に、悪くすると、たぶん老人の自殺が増えるのではないでしょうか。

 

英国のEU離脱の結果で気になった事は、 45歳以上の世代では離脱が多数を占め、それ以下では残留が多数でした。 18歳から24歳では離脱派はわずか27%ですが、 65歳以上では60%を上回っています。いわゆるシニア民主主義の問題です。

 

安倍内閣は1100万人もの高齢者に一律3万円もの給付金を配り、子供1人あたり3千円の子育て給付金を打ち切る政策を行いました。明らかな参議院選挙を意識したシニア民主主義の取り込みです。日本の将来を真摯に考えているとは思えません。

 

今の安倍政権に対して国民が期待するのは憲法改正や安保法制ではなく、持続可能な日本社会のフレームワークを構築することではないでしょうか。しかし考えれば考えるほど極めて困難な課題です。

 

最後に、日本社会は基層に誇るべき精神文化があると再認識させられたことがあります。北海道ですが、本来廃止する事になっていた無人駅を、その駅を利用していた、たった1人の女子高校生のために 3月の卒業までその運用を続けて、廃止したという記事です。ネット上では中国で大きな反響があり、「日本は本当に学ぶところの多い国だ」、「日本人の精神を学ぶべき」、「日本に対しては好感が持てる」と言った書き込みがあったとのことです。こういうところから将来の日中関係が現在と全く違う状態になってくれるといいと思います。こんなニュースを中国語に翻訳して配信している人は素晴らしい民間外交大使ですね。

 

働く人、過半は女性とシニア 15年国勢調査

http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS29H5B_Z20C16A6MM8000/?n_cid=NMAIL001

先進国の1991年と2014年の賃金ランキング

http://president.jp/articles/-/18338?page=3

40歳のあの人は年金を一体いくらもらえるか

http://toyokeizai.net/articles/-/121989

生活保護の高齢世帯5割、50年で6倍に

http://www.yomiuri.co.jp/national/20160601-OYT1T50087.html

軽減税率導入、高齢者に給付金3万円

http://www.nippon.com/ja/genre/politics/l00145/

たった一人の女子高生のために卒後まで営業を続けた駅

http://sp.recordchina.co.jp/newsinfo.php?id=126644

 

◆俯瞰サロン◆

※すでに定員に達してしまい、申込み受付を締切っています。

キャンセルなどの状況により、受付を開始する可能性もありますので、

お手数ですが、ホームページをご覧くださいhttp://www.fukan.jp/俯瞰サロン/

第33回俯瞰サロン 2016年7月25日(月)

「ブロックチェーンの応用可能性・不可能性と新たな社会基盤」

日 時: 7月25日(月)18:30-20:00 (18:15 受付開始)

場 所: 俯瞰工学研究所

     東京都港区港南2丁目14番14号

     品川インターシティフロントビル 6階

     http://www.sicity.co.jp/front/access/

参加費: 1,000円

定員 : 40名程度(定員に達した時点で受付終了します)

懇親会: 講演終了後に懇親会を開催します。

     参加費用は3,000円程度。

【講師★斉藤賢爾さんご紹介】

慶應義塾大学 SFC 研究所 上席所員 / 株式会社ブロックチェーンハブ CSO

1993年 コーネル大学よりM.Eng取得(CS)

2006年 慶應義塾大学より博士号取得(政策・メディア)

2007年度?期 IPA 未踏ソフトウェア スーパークリエータ/天才プログラマ

「Development and Application of Global Operating System Shell((地球規模オペレーティングシステム外殻の開発と応用)」

 

この話は今聴くべき話です。ブロックチェーンは国際決済の通貨になる可能性がありますから。

 

◆俯瞰のクッキング “ふるさと納税をやってみました” ◆

以前から興味があってやっていなかったことに、ふるさと納税があります。ふるさと納税は私の理解では2,000円を超える寄付金額については、主として住民税から全額が控除されます。ただし上限が住民税の2割までです。暗算しやすいので、住民税が年額100万円の人を仮定すると、20万円までとなります。そこまで払っていない人が多いと思いますが、月5,000円払っている人は年間60万円になりますから、 12万円まででしょうか。給与所得者は確定申告をしなくても、送られてくる書類を寄付先の自治体に送るだけで良いようです。そして寄付金の使用先も指定できます。以上はあくまでわたしの理解と認識です。

 

ネットで寄付金金額のランキングを見ると、第1位は宮崎県都留市の42億円です。お礼として送られてくる品は牛肉と焼酎その他です。次は静岡県の焼津市で38億円です。人気のお礼の品はうなぎです。 1万円で2匹のうなぎです。次は山形県天童市で32億円です。リンゴやラフランスなどの果物とお米が多いようです。次は鹿児島県大崎町です。

 

とにかくこのような市町村には巨額の財源が生まれているわけです。逆に地域の住民が他の市町村に寄付する金額が、他から貰う寄付金額よりも大きいと赤字になります。ですから地域間競争になっているのです。そのためお礼の品ものはかなり魅力的なものになっています。

 

一部には過大のお礼の品は好ましくないという意見がありますが、その分地元の産品が輸出されていますから、たとえ給付金の半分をお礼の品に使っても、地元の生産者にとっては、有力な通信販売となります。これは素晴らしいと思います。いくらいいものを作っても販売する力がなければ事業になりません。またあまり知られていない特産品を全国的にマーケティングすることにもなります。知事や議員が無駄に使うよりも東京都民の住民税を地方に移算することはもっとやっていいと思います。

 

早速、牛肉を選んでみました。大体1万円で500グラム程度でしょうか。ステーキ用、すき焼き用、焼肉用で違いますが。冷凍で送られてきますからそのまま冷凍庫に保管しました。ふだんは買わない霜降りのステーキを2口手に入れました。海産物では生きたサザエ、雲丹を選びました。お米はどこでもありますが、 1万円の寄付で15キロから10キログラムです。うちの場合、3万円くらい寄付するとお米を買う必要がなくなります。

 

ついつい夢中になってあれこれ寄付してしまいましたが、品が着いてみると保管の場所に困ります。先月のここでご案内した大型冷蔵庫の買い替えでなんとかなりました。

 

これからは少しずつ必要に応じて寄付をしようと思います。うまくやると2000円で殆ど食材が調達できそうな気がしてきましたが、勘違いかも。

 

2016年 ふるさと納税なんでもランキング

http://www.furusato-tax.jp/rank.html#about09

県内11市町村「赤字」 ふるさと納税

http://www.shinmai.co.jp/news/nagano/20160708/KT160707ATI090028000.php

 

◆ニューウェーブの俯瞰  ◆

人工知能の自動運転の車両が死亡事故を起こしました。電気自動車のテスラです。直前に割り込んだトラックにブレーキをかけずに追突して運転手は死亡です。自動運転に任せてハリーポッターのビデオを見ていたという報道もあります。もともと現在の自動運転は無人運転ではなく自動ブレーキや車線変更の自動化です。基本的にハンドルに手を置いているのが原則です。このテスラの自動運転は日本でもこの1月から導入されています。ただこれで自動運転が危ないとか、規制を強めるというような、後ろ向きな議論はしたくないですね。このほかにも死亡事故を起こしていますが、酒気帯び運転や脇見運転、居眠り運転で膨大な死亡者が出ていますが、自動運転の技術は劇的にこの数を減らすことができます。

 

私の車は自動ブレーキ、車線キープの機能があります。以前は高速道路でオートクルーズをよく使っていましたが、最近はオートクルーズを使わずにハンドルをしっかり握り自分と車の一体感をキープするようにしています。一体感が失われていると非常事態にうまく連携できないのではないかと考えていますので。

 

自動車がなくては生活ができない人は多くいます。そして自動車が運転できない人がいます。地域のモビリティは公共的なインフラと同時に、自動運転というイノベーションで解決していかなければなりません。

 

もう10年になったGoogleマップですが最近NASAの地球観測衛星「ランドサット8号」の利用によって精度が格段に向上しました。グーグルアースで自宅周辺を見ると本当に細かいところまで写っています。さすがに車種まではわかりませんが走行中、駐車中の車ははっきり見えます。また立木も一本一本見えます。自宅周辺を見てみませんか。

 

Amazonが電子書籍読み放題を始めるようです。月1,000円程度で電子書籍の読み放題です。すでに音楽の世界ではダウンロードして買うということから定額で聞き放題になっています。映画やTV番組もネットフレックスで定額見放題です。雑誌は以前この欄でご紹介しましたがドコモのdマガジンでほとんどの雑誌が、月額500円で見放題です。高速回線とスマートフォン、タッチパッドの普及であっという間に新しい時代になってしまいました。出版社やコンテンツ制作会社にとっては諸刃の剣ですが、ユーザーが新しいライフスタイルに移行するのに逆らうことはできません。特にこの分野はApple、 Amazon、 Googleという革命児が巨額の資金を持って社会的イノベーションを推進していますから、日本の企業が新しい世界に行くこと逡巡していると、企業の存続が危うくなります。私たちも新しい世界に積極的に入っていって自分自身の可能性を広げていきましょう。

 

人工知能誤判断?テスラ、自動運転中に死亡事故

http://www.yomiuri.co.jp/economy/20160701-OYT1T50060.html

グーグルマップが衝撃の高画質化。「新衛星」でこんなに綺麗に!

http://sorae.jp/030201/2016_06_28_map.html

アマゾン、電子書籍読み放題へ 月額1000円前後

http://digital.asahi.com/articles/DA3S12430583.html?rm=150

 

◆俯瞰の書棚◆

今回の紹介は「色のちから」ジャン・ガブリエル・コース CCC メディアハウス 2016です。

 

普段あまり意識しませんが、私たちは色に囲まれて暮らしています。この本は色の与える心理的かつ生理学的影響に関する最近の研究を紹介したものです。読んでもっと色彩を意識する必要があると思いました。

 

第一章 色を理解する、第二章 色の与える影響、第三章 色を選ぶ、という構成です。

冒頭にアルチュール・ランボーの詩があります。母音に色があるということです。Aは黒、Eは白、Iは赤、Uは緑、Oは青です。こんな詩があるとは知りませんでした。

 

のっけから色というものは存在しない、色は人が見ることによってのみ存在する、ということです。つまり光とは電磁波が放射された後に、透過したかもしくは反射されたものである、です。色は3つの要素によって特徴づけられます。その要素とは色相、明度、彩度です。色相とは特定の波長に反応するスペクトルの色(青、緑、黄色、赤、茶色など)です。 明度は白の割合です。そして彩度は灰色の割合です。

 

美術館の照明について面白い事が書いてあります。かつては画家は蝋燭の光だけで描いていた、つまり強いオレンジ色の光の中で色彩を作成していたのだ、その絵画を白色照明で展示しているので、結果として美術館ではとても青く見えるとのことです。初期のピカソは蝋燭の光で書いていたらしい、とすれば彼の青の時代とは作品を展示する照明が間違っているだけだ、とあります。

 

男女間では色の感じ方に差異があり、男性は女性よりも暖色は暖かく感じることが証明されています。最近の研究によるとテレビゲームをしている若者たちは灰色を背景としたコントラストと細部に対する感受性が発達し、夜に文字を読んだり運転したりする能力が高まるとありますが。

 

動植物については、犬は青と黄色以外はうまく識別できないので犬の食器は青か黄色がいい、とあります。

 

第二章では、赤は私たちの論理的な能力を低下させるとあります。さらに赤を数秒間見ただけで人間は臆病になるという結果です、知的な論証で結果を出したければ赤を避けるべきとのことです。赤の持つ影響力は後天的なものではなく先天的なものであるようです。また先生が採点や評価に赤ペンを使う代わりに緑を使えば、子供たちへの励ましになるとのことです。緑は創造力を伸ばす効果があるとも言われています。また緑は人を納得させる力もあるとのことです。

 

リラックスさせる効果がある色はピンクです。ピンクは血圧を下げ、脈拍を減らし、エネルギーを削ぎ、撃性を弱めるとあります。

 

学習意欲と生産性を高める色については、白と黒と茶は学習能力を下げるとのことです。そして黄緑とオレンジと空色は学習能力を高めるとのことです。人は赤い環境では集中力が高まり、青い環境では直感を使うようになるとの研究もあるそうです。

 

マーケティングでは色が非常に重要で、商品のパッケージの色、店内の装飾についてはかなり研究結果が採用されているようです。スーパーの陳列棚で目に留めてもらえるかどうかは80%が色で決まるといわれています。マクドナルド店内の赤と黄色のコントラストのある内装は長居をせずテーブルの回転率を上げるためとのことです。

 

一般的にはそして世界中で、青は誰にも好かれる色です。私たちの色の好みは先天的なものか後天的なものかという点についてイギリス研究者は実験で、2歳以上の子供は、女子は次第にピンクを、男子は次第に青を好むようになるとのことです。確かに私の男の孫は青い車を好んでいました。

 

また、好きな色が黒だという人は少ないのですが、コンピューターやカメラゲーム機などは、なぜか黒が多いですね。

 

色と光は近年では医療にも応用されているようです。特にメラトニンの調節には光が重要で質の良い睡眠や、爽やかな目覚めに適した光が研究されているようです。

 

第三章は色を選ぶ、ですが色の選択は文化によります。例えば喪の色は中国では白であり西欧では黒です。エチオピアでは茶色、エジプトでは黄色、イランでは青とのことです。衣服の色も国によっては階級で使い分けられています。

 

ある色があなたの人格に文化的な影響を与えるかを知りたいならば、「目を閉じてその色を思い描き、頭の中に浮かんだ物体や形容詞を数え上げると良いでしょう」とあります。

 

そして結びにありますが、「光と色は我々の行動に強い影響を及ぼす驚くべき存在である、そしてその影響は科学的に証明されているにも関らず、過小評価されている」とあります。ですから色の持つ力を認識し今後は意識的に色を選ぶべきだということです。

 

そして「最高のカラリストはあなたの脳の中にいること忘れてはいけません、そのカラリストは直感です」と。

 

本書を読んで改めて色の力とその応用に興味が湧きました。周りを回してみると全く色に関する自分の意図がないことに気がつきました。強いていうと服装でしょうか。ジャケット、ワイシャツ、青が多いです

 

◆編集後記◆

● 参議院選挙は与党の圧勝でした。早速憲法改正を持ち出していますが、中国との関係は緊張しますね。

● 英国のEU離脱は2年以上先ですが、その前から新体制に移行する必要がありますから世界経済は不安定になるのでしょう。

● オックスフォード大学の歴史と文化に興味が出ました。英国、中国、日本ともに政治家は世襲制ですね。

● ふるさと納税はともあれ大ヒットですね。首都圏一極集中の現在、ささやかでも所得移転ができれば、過疎の地域に対する支援になると思いますが。

● 色について膨大な科学的研究がされているとは思いませんでした。人生にもっと色をつけましょう。

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◆内容・記事に関するご意見・お問い合わせ/配信解除・メールアドレス変更は、下記まで。

webmaster@fukan.jp

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◆俯瞰MAIL 0059号(2016年7月12日)

発行元:     一般社団法人 俯瞰工学研究所

発行人:   松島克守

編集長:   松島克守

URL:      http://fukan.jp

 

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俯瞰メール58号

◆時候のご挨拶◆

水が入り、田植えが終わった田が広がっています。あとわずか4ヶ月ほどで穂が出て実りの秋になります。

今は機械で田植をするので、田植えの作業を見る事はほとんどありません。私は子供の頃、大勢の人が田んぼに入って田植えをしている風景を見ました。そして田植えが終わると、早苗饗(さなぶり)という宴会です。田植えを手伝ってくれた人に、お礼の宴会をするわけです。もうほとんどなくなったでしょうが、日本のムラの習俗でした。

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● G7の成果は何?

● オバマ大統領の広島訪問

● 消費税増税延期の判断は

● 七十にして則を超えず

● 今年も本郷で俯瞰経営塾

● ディープラーニングという狂想曲

● 俯瞰のクッキング 最近、我が家のキッチンでは

● ニューウェーブの俯瞰 AIコンシェルジュとVR

● 俯瞰の書棚 「通貨の未来 円・ドル・元」英「エコノミスト編集部」

● 編集後記

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◆G7の成果は何?◆

伊勢志摩サミットが無事に開催されましたが、国民は殆ど関心がなかったようです。そして何が成果でしょう。首脳宣言は優等生の作文です。しかし7カ国集まって何を世界に発信し、これからのどんな行動をコミットしたのでしょうか。現在の世界の懸念を最大公約数的にまとめただけで、具体的な解決に向けた行動が、何もコミットされていません。参加しなかった国々も白けるでしょう。もうG7という集団が世界を仕切る時代ではないのでしょう。世界が対峙している課題を、G7だけでは何一つ解決できないことが露呈しました。

安倍首相も張り切って議長国を務めましたが、結果は無残です。中国は、中国で行われるG20がG7にとって代わることになると主張するでしょう。しかしロシアと中国が入り、その他の新興国も加わるG20では、共通認識と行動で共有できる課題は限定的になりますから、国際情勢は依然不安定になります。

 

“現在の国際経済はリーマン前の状況と同じだ”誰があれを言わせたのでしょう。本人が思いこんでいるとなると深刻です。経済の俯瞰的認識ができていませんから。頭の中はアベノミクスの失敗を認めないで、増税再延期をどういう論理で言明するかでいっぱいだったのでしょう。3党合意、という重い政党間の約束がありますから。

 

海外ではアベノミクスは失敗という評価で固まっていますから、財政政策の必要性を外遊で根回ししても誰にも相手にしてもらえませんでした。残念ながら、政治家としての資質の水準がメルケル首相に比べてかなり落ちます。それでも国内では一強というのは、他の政治家も相当に水準が低いということですか。政治的には二流国で、経済的には“沈みゆく先進国”というイメージを伊勢志摩から世界に発信しました。

 

G7 伊勢志摩首脳宣言 http://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000160267.pdf

中国発「リーマンショック並み」世界経済危機の兆候

http://biz-journal.jp/2016/06/post_15313.html

 

◆オバマ大統領の広島訪問◆

オバマ大統領の広島訪問は、安倍政権の大きな成果として率直に評価したいと思います。政治的遺産を残したい、というオバマ大統領の思惑が大きく作用していますが、ケリー国務長官やケネディ大使、そしてニューヨークタイムズのようなメディアの後押しもありました。米国内の原爆賛成派からの批判というリスクを取って訪問したわけです。

 

ただ、広島での演説は迫力ありませんでしたし、原爆資料館も、わずか10分の見学に終わったと言われています。このオバマ大統領は、プラハで核の根絶を宣言し、それだけでノーベル平和賞をもらいましたが、実際は何の進展もなく、そして広島訪問です。

 

一昨年の2014年6月6日、第2次大戦中の1944年6月6日に、連合軍がナチス・ドイツの支配する仏北岸ノルマンディーに上陸したことを記念する式典が開かれました。ロシアのプーチン大統領、米国のオバマ大統領ら18カ国の首脳と3000人の退役軍人が出席しました。

 

下にあるURLのYouTubeを見れば分かりますが、音楽とダンスがある時止まり、その大きなスクリーンに原爆投下の映像が映し出されました。それに対する反応が気になります。一般参加者は拍手をしました。 3人の首脳の態度が話題になりました。プーチン大統領は胸で十字を切りました。メルケル首相は食い入るように映像を見ています。オバマ大統領はガムを噛みながら拍手をしています。

 

やはりオバマ大統領は政治家として未熟で、結果として何の成果もあげられずに任期を終わることになるでしょう。この大統領に世界の平和を預けざるを得なかった国際社会は不幸でした。そして、この大統領と日米関係を深化させるしかなかった日本も不幸です。

 

ただオバマ大統領の広島訪問で安倍内閣の支持率は上がり、意味不明な経済危機の認識を掲げて参議院議員選挙に突入します。

 

ノルマンディー上陸作戦70周年記念式典

http://jp.reuters.com/article/dday-anniversary-idJPL3N0OL4PZ20140605

広島訪問は猿芝居 オバマは“原爆投下”映像に拍手していた

http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/182490

2014,6,13ノルマンディー上陸作戦記念式典

https://www.youtube.com/watch?v=-EE4_220zzo

オバマ広島訪問で棚ぼた 安倍内閣支持率が2年ぶり高水準

http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/182426

 

◆消費税増税延期の判断は◆

そして与党内の反対を押しきって増税延期を宣言しました。安倍首相にとっても大きなストレスであったと思います。なにしろ民主党政権の最後、野田首相はある意味、政権を降りる覚悟で3党合意を取りつけて財政再建への道をつけた形にしました。そして安倍首相は一昨年の12月に、この次は必ず増税をしますと断言して増税延期を決断して、衆議院選挙行って絶対的な与党勢力を形成しました。

 

私は、短期的には延期でもいいと思いますが、アベノミクスが不調で、周囲の経済アドバイザーから増税延期を進言され、そのためにノーベル賞経済学者を呼んで賛否を助言してもらい、さらにG7サミットでサポートをもらおうとしましたが、そんな日本の国内政治に付き合う首脳はいませんから、見苦しい結果になりました。取り分け“現時点がリーマン前と同じ状況である”で、世界に経済音痴と無能ぶりをさらけだしましたね。

 

日本国のBSを作ったという理系の異端の大蔵官僚OBの、“日本の財政はBS的には、全く問題がない”という主張も効いているかもしれません。しかし、いざという時、現金化できない資産はキャッシュフローが破綻したとき意味ありません。例えば南海トラフ地震や、首都直下型地震の時、現金が要ります。BSではなくPLで、FCFで安全性を見るべきだと思います。赤字のPLを続ければ企業は破綻します。最近ではシャープがその例です。

 

ですからプイラマリーバランスを黒字にするという公約は重要ですが、これを今回反古にしています。そして、担当である財務省は全く蚊帳の外です。政治が正常に回っているのか、暴走しているのか、これが問題です。

 

現在の安倍首相は、“一強”という虚構に溺れているのではないかと思います。追求しているものが国民生活の安定と向上ではなく、憲法改正という、祖父から言われた宿題の遂行ではないかと、思わずにはいられません。そして顔が最近よくないですね。本人も悩みくるっているのでしょうか。

 

消費するお金を持っているのはシニアですが、多くの人が90歳近くまで生きている現実を見ていると、貯金が仮に5000万円あっても、年250万で20年ですから、誰もお金を使いません。安心できる福祉環境を作らないと。

 

若い人は、いっぱいいっぱいの生活で貯金もできず、年金も当てにできないので、車も買わないという生活になります。

 

最近のニュースによれば、65歳以上の高齢者生活保護世帯は、82万6656世帯なり、全体の50・8%を占めました。高齢者世帯が半数を超えたのは統計を取り始めた1965年以来、初めてとのことです。社会全体の高齢者世帯の割合は3割に満ないですから、高齢者の貧困が進んでいることが浮き彫りになりました。基礎年金しかない一人暮らし老人が増えているのでしょう。財政負担拡大の流れは止められません。

 

残念ながら、私の経済学の知識では増税の可否は判断できません。ただ、その経済学もバブル崩壊以降成果を上げていません。そして財政出動で1000兆円という国の借金が積み上がりました。

 

消費増税延期は断固正しい!そのメリットをどこよりも分かりやすく解説しよう

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/48779

高橋洋一氏「日本の借金1000兆円はやっぱりウソでした」論は本当か?

http://www.mag2.com/p/money/7051

高橋洋一よ、頼むから少しは経済を勉強してくれ!

http://agora-web.jp/archives/1660413.html

再延期の波紋(上)「戦力外通告」の財務省

http://www.iza.ne.jp/kiji/politics/news/160602/plt16060201120004-n1.html

生活保護の高齢世帯5割、50年で6倍に

http://www.yomiuri.co.jp/national/20160601-OYT1T50087.html

 

◆七十にして則を超えず◆

「三十にして立つ。四十にして迷わず。 五十にして天命を知る。 六十にして耳従う。 七十にして心の欲するところに従いて、則をこえず。」

 

舛添知事も少なくとも東大入試の受験勉強で、漢文の勉強をしたはずです。論語は必ず、少しは読んだはずですが、「則」を超えすぎていますね。

 

東京大学の助教授を務め、国会議員を務め、そして閣僚を務めたキャリアですが、こんな人格でこの華麗なキャリアを持てるとは、日本社会の構造の欠陥と弱さを感じます。

 

あまりにも人格的に酷いので、ニュースを見るたびに心が汚れる感じがします。「七十にして心の欲するところに従いて、則をこえず」は、孔子の心境であるとともに老境にある人々の安寧を説いているのでしょう。これは最高の処世訓です。私もこの一文を心しております。

[則] 標準として守るべき事。

 

◆ 今年も本郷で俯瞰経営塾◆

今年も東大の本郷で俯瞰経営塾のゼミをやっています。学生は主として技術経営学専攻の修士1年生ですが、数人の中国人留学生と東工大から数人の参加があります。加えてTAとして、昨年の受講生の修士2年生8名が、学生の指導を手伝ってくれます。

 

この授業の目的は知識の獲得ではなく“知的腕力をつける”ことです。具体的には「情報の収集と分析そして編集」を短時間に高い水準で遂行する能力です。毎週課題を出し、5人のチームで1週間作業し、議論し、プレゼンテーションを作成して、当日にプレゼンテーションします。たぶん前日は半分徹夜のチームが多いでしょう。

そして当日は午後1時から5時までぶっ続けです。居眠りをする学生は1人もいません。まず質問しないとポイントが取れません。質問するためには真剣に聞いていないとできません。そして授業の最後にどのチームがベストか挙手で投票します。 ゼロのチームもあります。10票以上のチームも出ます。ものすごく時間を取られる授業ですが、これは自主ゼミのため単位は付きません。

 

今年はまずマーケティングを2回、会計、企業価値の算定、 M&Aとこなしてきました。この先はリーダーシップ、人事管理、技術開発戦略、経営戦略論、ドラッカーの経営学が予定されています。夏学期の毎週木曜日の13時から工学部3号館3階でやっていますから、授業参観をご希望の方はご連絡ください。

 

◆ ディープラーニングという狂想曲◆

機械学習、とりわけディープラーニングという言葉が大ブレイクです。“人工知能の発達で仕事がなくなる”、とか“暴走して人間の手に負えなくなる”という話がセンセーショナルに語られています。現在の技術水準は、分野においてはすでに人間を超える能力を証明しています。最近の衝撃的な事件は、今後10年かかるだろうと言われていた囲碁で世界名人を下し、人間以上の能力があることを示しました。

 

数多く紹介されているように、企業における応用もどんどん進んでいます。特に音声認識と音声合成というインターフェースを使ったコンシェルジュ型のサービスは、急速に広がっています。AmazonのAlexaはアメリカで大ブレイクしています。これをGoogle、Appleが追いかけています。機械学習を用いた画像の自動認識はGoogleが無料で提供しています。

どうやら現段階ではGoogleが機械学習の先頭を行っているように見えます。

 

Googleでは機械学習専用の半導体の開発も進んでいます。これも“コロンブスの卵”というか、イノベーションです。これまでコンピュータは計算の精度を上げるために16 bit、 32 bit、 64 bit、 128 bitと、長いデータを処理できるようにして速度を上げてきました。しかし機械学習ではそんな長いデータは必要なく12 bitでも十分であるとのことが分かり、したがってもっと簡単な半導体で低コストのシステムになります。競合各社もこのイノベーションを使って高度な機械学習のサービスを市場に投入すると予測されています。

 

では、人工知能で仕事がなくなるのか。囲碁の例を見ると、質の良いデータが大量にある特定の分野に限定した知的サービスは人間を超えることになるでしょう。例えば、弁護士事務所、特許事務所、投資顧問業、経営コンサルティング、そして医療診断などです。

いずれも質の良い膨大なデータが有りますから、このディープラーニングの応用は急速にサービスの現場に入ってくると思います。と言って、弁護士や弁理士、投資アドバイザー、経営コンサルタント、医師や看護師、薬剤師が職を失うという事はなく、仕事の質を向上させ、不用意なミスを避けることになるわけです。そして中途半端な専門知識では仕事がなくなりますが、俯瞰的な認識能力や、顧客の心理的な理解のような高度なスキルを持つ専門家は生き残ります。

 

対面のサービスは人間が重要ですが、機械学習による画像認識は人間の表情を読み取り、顧客の心理的な状態をも判断するようになるでしょう。

 

教育の分野でも極めて優れた個人教授が実現すると思いますが、教育は知識の獲得だけではなく教師と学生、学生と学生、という人間の交流で人格を磨き、倫理観を形成していくことが本質ですから、教員がなくなる事はありません。

 

最近日本政府は慌てて人工知能の研究と人材育成の体制を作り上げましたが、あまりにも遅すぎます。もともと人工知能には3つのブームがあり、最初はスタンフォード大学のMYCINに代表されるような知識を簡単なルールとして多数用意し、それによって診断を下すというシステムが数多く提案されました。これも限定的で波は消えました。

 

 2回目は、ニューラルネットワークという技術が開発されブームになりましたが、これも限界があり下火なりました。この時、日本政府が「第5世代コンピュータ」というプロジェクトを起こしました。成果は不明ですが、 極めて野心的なプロジェクトでした。が、この波も消えました。

 

しかし、粘り強く研究は続けられ、そしてカナダの大学が、ディープラーニングの驚異的な能力を見せつけたために、今回のブームに火が付き、 大きな期待というか、想像力で今や狂想曲の状態です。メディアや一部の専門家と称する人は、今、ビジネスとして実用化出来るコトと10年先の話をまぜこぜで話しています。ディープラーニングも研究途上で人間の脳に代わるものではありません。現段階では出来るコトは限られています。

仕事がなくなるというようなセンセーショナルな記事に惑わされてはいけませんが、その可能性を受けて、一段上の人間に進化する努力をしましょう。俯瞰的な視野と、倫理感の向上です。書を読み、質の高い人と積極的に交わる場に参画することです。

 

人工知能の技術革新で大きな衝撃を受けると予想されているのが自動車産業です。自動車産業は、いくつもの重大なイノベーションのジレンマを抱えています。まず環境問題から排気ガスです。従って、ガソリンエンジン、ディーゼルエンジンから、電気自動車へと大きく変化しています。ノルウィーは産油国ですが、2025年までに、ガソリン車、そしてディーゼル車の販売を「完全に禁止」することを、与野党間で合意したとのことです。

 

電気自動車には、ラジエーターからエンジン、変速機、ディファレンシャルギヤ、マフラー等の、付加価値の高い機械モジュールがありません。自動車部品産業は深刻な衝撃を受けます。

 

トヨタ自動車も、“2050年にはガソリン車はない”と言明していますが、あまりにも燃料電池車の開発に夢中になり、時間を使ってしまい、人工知能の研究開発に大きな遅れをとって、今、慌てて人材を集めています。しかし世界から見ると、2周遅れくらいでしょう。自動車産業は機械工業から情報サービス産業、そして化学産業になります。

 

加えて自動車業界では、“所有から利用”というパラダイムシフトが進行しています。カーシェアリングはどんどん普及しています。

 

アメリカのUberのビジネスモデルが衝撃です。 自動車を所有する人が、利用していない時間に、その車を低料金のタクシーとして使います。スマートフォンでいつでも呼ぶことができますから、車を持つ必要性もなくなります。アメリカでは相当に普及しているようですが、日本は規制をかけて利用できません。白タク禁止です。

 

将来、自動運転の車が、広くカーシェアリングとして提供されるようになれば、 一部のマニア以外は車は所有する必要がありません。長期的に見ると先進国では車の販売台数は増える事はなく減少していくと考えられます。

 

日本の自動車業界は、擦り合わせ、モノづくりという視点で従来の延長線上を追いかけてきましたが、電気自動車には、その擦り合わせをする機械モジュールがありません。

 

一方、人工知能の技術や、GoogleのStreet Viewという“横の地図情報”がありません。人間の場合は上からの視点である、平面図の地図が使えますが、自動運転の世界ではストリートビューという“横の地図情報”が必須です。ですからネットでは“トヨタ自動車がGoogleの軍門に下る日”という話も出ています。私が主宰している本郷の俯瞰経営塾の学生の意見は“だからトヨタ自動車の株は売れ”です。

 

それにしても日本政府および企業の技術戦略の貧弱さが目立ちます。

狂想曲といえばIoTの分野もやや暴走気味です。しかし、ありとあらゆるIoTのアイディアとビジネスチャンスを追求するエネルギーは評価できます。ここでも日本政府と企業の出遅れと慌てぶりが目につきます。

 

 IoTの分野においては、ベンチャー企業をはじめ一般企業でもセンサーを組み込んだモジュールを開発するのは容易ですが、膨大なセンサーから上がってくるデータを受け止めるプラットホームの構築は容易ではありません。すでにGEやシーメンスはそのプラットホームを企業に提供するサービスを始めています。 GoogleやMicrosoft、 Appleも高度な人工知能を併せ持つプラットホームを提供しつつあります。ここでも日本の影はあまりにも薄いです。

 

どうして日本は、日本人は巨大な津波のようなイノベーションについて行かないのでしょうか。ただ飲み込まれていくのでしょうか。アメリカでも、津波のようなイノベーションに飲み込まれていった巨大な企業、イースマン・コダック社の例もあります。フィルムカメラが無くなることが見えているのに。不沈艦のようだった。自動車ビッグスリーも今は見る影もありません。時代に遅れない!企業も個人もこれが生き残りを決めます。

 

「労働力」は不足するのか??AIとロボットによる労働代替化の行方

http://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=52971?site=nli

AI(人工知能)とBI(ベーシック・インカム)?「仕事を奪われる」のか、

http://www.huffingtonpost.jp/nissei-kisokenkyujyo/ai-bi_b_10230304.html

AI/クラウドで日本に勝ち目はない

http://techon.nikkeibp.co.jp/atcl/column/15/060100048/060100001/?n_cid=nbptec_tecml&rt=nocnt&d=1464918090360

このままでは日本の自動車メーカーは“生き残れない”!?トヨタも日産も?

http://autoc-one.jp/special/2738697/

アルファ碁支えたグーグルAI半導体 鍵は低精度

http://www.nikkei.com/article/DGXMZO02699240U6A520C1000000/

人工知能、VR、Chrome OS、Googleの方向性

http://news.mynavi.jp/articles/2016/05/30/google/

打倒米国へ「AIオールジャパン」 嵐の海へ船出

http://www.nikkei.com/article/DGXMZO00101010W6A420C1000000/

総務省における人工知能研究に関する取組と「人工知能戦略会議」の設置

http://www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/1605/20/news006.html

人工知能の応用で白黒写真を自然に彩色する手

http://www.mdn.co.jp/di/newstopics/45380/

Amazon.comのAIアシスタント「Alexa」をWebブラウザで使える「Echosim.io」登場

http://news.biglobe.ne.jp/it/0530/imn_160530_3545941438.html

「2025年までにガソリン車を全廃」ノルウェーの政党間で合意へ

http://www.huffingtonpost.jp/2016/06/07/norway-set-to-completely-ban_n_10332130.html

暴走気味のIoT、「スマートタンポン」必要か

http://jp.wsj.com/news/articles/SB10183435217094733641104582089982601009886?mod=djem_Japandaily_t

 

◆俯瞰のクッキング “最近、我が家のキッチンでは” ◆

最近、我が家のキッチンの出来事。 10年使った冷蔵庫を買い換えました。何の支障もありません。が、10年使ったという事は、その冷蔵庫は12?3年前の技術の実装です。この間、技術革新は進んでいます。断熱材の進歩もあるでしょうし、冷媒やモーターも進歩しているはずです。

 

技術革新を体感する為に、自分で使う機器を更新しています。パソコンは自作ですが、技術の進歩が早いので3年で作り直します。また、自作することで技術の最前線に触れることが出来ます。

 

家電製品はそれほど進歩が速くないので、買い替えは10年です。気がつくと自宅にある家電製品やオーディオ機器は10年前のものです。洗濯機も毎日使っていますが10年物です。

途中で一度故障して修理してもらいました。食洗機は10年間頑張っています。 IHのレンジは故障して修理しました。 シャープのヘルシオは2台故障して、今はパナソニックのBistroです。テレビはパナソニックのプラズマで、最近は一本白い筋が入っています。修理会社が来て、修理代が32万円だということを聞いて、当分そのままにしました。4Kの時代なりましたが、まだコンテンツが少ないので買い替えはもう少し後になるでしょう。

オーディオは途中でハイレゾ(high resolution)の機能を取り込みましたから、更新はせず、当分このままです。ブルーレイのレコーダーは2年ほど前に買い換えました。このメルマガでも紹介しましたが、 10チャンネル常時録画です。ですから予約録画という概念が頭から消えました。 一週間分の番組は全て録画されていますから、いつでも見ることが出来ます。ニュース番組は気が付くと開始時を回っていますので、タイムシフトで見ることが多いです。

 

その冷蔵庫ですが、パナソニックの最も大きい650リットルのものを買いました。どのぐらい電気料金が下がるか、まだ結果が出ていませんが、最近の買い物中では大満足のものです。全面ガラスでマグネットが使えないので、全面はすっきりしました。

 

では、美味しかったレシピを1つ。

ある時ランチを取るためにカフェに入りました。メニューに“カジキマグロのサルティンボッカ風”とありましたので、注文しました。カジキマグロの切り身を、生ハムで巻いてソテーしたものです。生ハムの塩味と魚の組み合わせが美味しかったです。家に帰って作ってみても、やはり美味しいです。通常サルティンボッカは、仔牛肉を薄く叩き、セージの葉を挟んで生ハムを上に載せ、手で押しつけて小麦粉をまぶし、バターでソテーします。

そして生クリームを入れて仕上げます。仔牛肉は日本ではあまり手に入らないので、私は豚のロース肉の脂の部分を取り除き、叩いて伸ばして、サルティンボッカをつくります。好物の1つです。その為、ベランダにセージが一鉢あります。

 

そして、銀杏のまな板を買いました。まな板は銀杏が最高と言われています。普通の大きさのものは、以前からありましたが、今回は思い切って50x28x3センチという大きなものを買いました。この柾目の板を切り出だした銀杏は相当太いもので、貴重な大木だったんでしょう。以前買ったものは、かなり匂いが気になりましたが、今回は乾燥もよくされているようで、ほとんど匂いはありません。この前に立つと料理する意欲が湧いてきます。

 

◆ニューウェーブの俯瞰 AIコンシェルジュとVR ◆

今、アメリカで大人気のAmazon Alexaは、人工知能と音声認識とクラウドサービスを組み合わせたAIコンシェルジェです。アメリカでは大ブレイクで話題になっているようです。

 

人間に話かける様に、このシステムにあれこれ聞くと、答えてくれるようです。日本では売ってないので使っていません。今日の予定は?何かいい献立ない?週末の天気どうなるの?とか、あの曲かけてよ!タクシー呼んで!のようなことに、対応出来るようです。

あくまでもホームページの紹介を見ただけですが。 1月にはわずか135のスキルしかなかったのに、現在は1,000を突破しているようです。その中の興味深いスキルは、金融サービスのCapital One、ピザのDomino’s、フィットネスのFitbit、航空券/ホテル予約のKAYAK、スマートホームのSmartThings、Uberなどなどのスキルです。AmazonでAlexaを担当しているディレクターRob Pulcianiによると、Alexaのスキルを作っているサードパーティのデベロッパーは数万人いるそうです。たくさんの人に新しいビジネスチャンスを与えているのです。これが日本に欠けています。

 

これに追い付き追い越せと、GoogleやAppleも対抗商品を用意しています。アップル製品には顔認識がつくという話がありますが、顔まで見られてしまうとなんか怖い気もします。

ある感想では使っていると部屋の中に誰かがいるような錯覚に陥ると言われています。

 1人暮らしの人にとっては、ペットの犬や猫よりも、言葉で会話が来るので近親感を持てるかもしれませんね。これは近未来ではなく、アメリカでは販売されていて、多くの人が日常的に使っているコトです。

 

今、ブレイク中は、仮想現実(VR)です。数多くの企業が参入しています。 Googleは段ボールで作る、安価なスマホ用のVR ゴーグルを売っています。これもAmazonで買って試しました。ソフトはネットで、無料でダウンロードできます。 iPhoneをセットして、VRが体験できます。

 

 

この仮想現実の技術は、VRのゴーグルがこれだけ普及してくると、ビジネスにも応用されるでしょう。まずゲームの世界が変わるでしょう。擬似的な旅行体験、観光ができます。美術館や博物館の案内人にもなります。映画やビデオコンテンツも異次元になります。

 

ただ、VRの本質的なインパクトは、“体験の共有”という新しいSNSです。テキストで主張や気持ちを共有するSNSとしてTwitter、Facebookが始まり、次に写真・動画を共有するSNSのInstagramがブレイクしました。そして“体験を共有する”という新しいSNSがブレイクするでしょう。ただ極めて高速の通信系が必要です。

 

以上、興味が湧いたら下のURLを覗いてみてください。私は、時代を感じる、時代についていく、これを強く意識していますが、あまりにも進みが早いので気を抜くと前を行く背中が遠くなってしまいます。日本が、そして日本企業が元気がないのは、この地球上のシリコンバレーで起こっている時代感覚からあまりにも外れているからだと思います。シリコンバレーにいる日本人も歯ぎしりしていますが、日本は動きません。なぜでしょうか。

 

Aamazon Alexaのスキルが1000を突破

http://jp.techcrunch.com/2016/06/04/20160603amazon-alexa-now-has-over-1000-skills-up-from-135-in-january/

人工知能、VR、Chrome OS、開発者会議で示したGoogleの方向性

http://news.mynavi.jp/articles/2016/05/30/google/001.html

Edge AIとクラウドAIの出会いがもたらす未来、Pepper×Azure協業の舞台裏

http://japan.zdnet.com/article/35083386/

Amazon.comのAIアシスタント「Alexa」をWebブラウザで使える「Echosim.io」登場

http://news.biglobe.ne.jp/it/0530/imn_160530_3545941438.html

AppleのAmazon Echo対抗製品は「顔認識機能」を搭載する?

http://www.gizmodo.jp/2016/05/appleamazon_echo.html

Google、Amazon Echo対抗の音声アシスタント端末「Google Home」を年内発売へ

http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1605/19/news064.html

GoogleがVRプラットフォーム「Daydream」発表 スマホがVRゴーグルに

http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1605/19/news078.html

iPhoneでもVRゴーグルを使ってYouTubeの360度動画を楽しめるように

http://app.famitsu.com/20160518_724027/

VRゴーグル「STEALTH VR」で360度世界を堪能

http://japanese.engadget.com/2016/05/07/vr-stealth-vr-360/

VRゴーグルが大ブーム!? 深センのスマホケース屋に異変

http://ascii.jp/elem/000/001/168/1168186/

 

 

◆俯瞰の書棚◆

今回の紹介は「通貨の未来 円・ドル・元」英「エコノミスト編集部」文芸春秋 2016です。

 

この本は一般の人がよくわからない世界の通貨について明快に今後の予測をしたものです。“通貨の未来”を通して私たちの未来も見えます。

 

この本は、この1年のエコノミスト誌の通貨に関する特集記事をまとめたものに加え、文芸春秋社がエコノミスト誌のシンクタンクに執筆依頼した「円の未来 黄昏の安定通貨」が最後の第四部にあります。過去1年間に円の特集記事は1本もなかったという事、まさに“黄昏の安定通貨”ですね。

 

この本の極めて明快な構成と記述が、本の作り方を改めて教えてくれました。表紙をめくるとそこには本書のまとめがあります。それは、

・現在の世界経済の最大の問題は米国が世界銀行、IMFへの責任を果たさない中、オフショアドルの市場が膨らんでいることだ。ここには危機の際の「最後の貸し手」がいない。

・世界の市場において人民元が台頭するのは確実だが、少なくともあと5年10年は、円は重要な国際通貨としての地位を失うものではない。

・アベノミクスの評価は総じて失敗。マイナス金利を実施しても融資は増えない。

・2016年から20年の間日本経済の実質成長率は年平均1% 。

・TPPによる恩恵は2020年以降にならないと現われない。

・人民元の国際化は、中国国内の完全自由化とトレードオフである。

 

この本の目次を読んでいけば、この本の完璧な要約になります。この本作りがすごいと思います。章末にはまとめがありますので、内容を再確認できます。本とはこのような構造化をすべきだと再確認しました。

その目次を紹介しましょう。

第一部 ドルの未来 責任を放棄した王者

第1章 ドル支配の限界とコスト

この70年間世界の金融通貨システムに君臨して来た基軸通貨ドル。だがその力を支えてきた米国の経済力は、中国の台頭によって次第に弱体化している。この覇権のぐらつきによって、世界経済は急速に不安定化している。

第2章 基軸通貨が交替する時

かつてポンドからドルに基軸通貨が移行する際、英国と米国は同盟国だった。一方で、今日、米国と中国は同盟国ではなく、お互いの力も未だ拮抗している。世界の資本移動も複雑化している中、ドルから元への交代は起きるのか。

第3章 ポピュリストたちの台頭

米国はIMF、世界銀行、 WTOといったグローバルな経済的枠組みに責任を果たさないようになっている。その原因は、国内の中流層の没落とリンクした、国内政治での左右両極のポピュリストの台頭にある。中道のクリントン大統領候補までが、 TPP反対を唱える。

第4章 「最後の貸し手」がいないシステム

急速に拡大している米国外のドル資産、オフショアドルの世界。米国以外の国は、このドル資産をもとに経済を運営している。だがそこには、危機に陥った際、国家や金融機関を、上から救う「最後の貸し手」が存在しない。

第5章 ニューヨークを人民元取引のハブにする

ニューヨークとは、世界の主要金融センターで、人民元取引を支援する仕組みのない唯一の都市だ。しかし、「最後の貸し手」不在の金融システムにおける唯一の解が、米国が人民元もAIIBも取り込んで、再び世界の金融システムの責任を担うことになるのだ。

第二部 元の未来 両刃の剣

第6章 人民元は基軸通貨になれるか?

世界各地に着々と人民元取引のネットワークを築いている中国。人民元が国際化すれば、ドルは経済制裁など政治的影響力をする手段として強みを失う。ドルを迂回する国際決済システムが出来上がるからだ。鍵は中国政府が国内の自由化をどれだけ受け入れるかにかかる。

第7章 市場全面開放というトレードオフ

中国本土の消費者はBMWの自動車やグッチのバックを買うことができるが、 BMWやグッチの株を買う事は許されていない。元を国際化しようと思えば、そうした国内の規制を完全自由化する必要がある。しかしそれはそのまま共産党にとって多くの権限を手放すというトレードオフになる。

第8章 2016年の元安の意味を考える

2016年、新年早々に世界を襲った同時株安。その原因は、中国が抱える「 3つの問題」にあった。この8年間で10兆ドルもの債務を積み上げた中国企業は、加速する元安に怯えている。中国発のデフレが世界を襲おうとしている。

第9章 習近平のジレンマ

民主化を達成せずに高所得国へ移行した国はいない。このドグマに公然と挑戦するのが、習近平だが、習の唱える「中国モデル2.0 」は、ナショナリズムに力点をおく改革だ。が、経済の国際化による新貧民層の誕生と、成長の鈍化による中流層の不満が、不吉な影となり習を悩ます。

第三部 仮想通貨の未来 究極の基軸通貨か?

第10章 絶対に改竄できないサイバー上の公開帳簿

詐欺の温床となったビットコインを、技術上のブレークスルーが救いつつある。サイバー上に置かれる改竄できない公開帳簿、「ブロックチェーン」だ。この技術は、仮想通貨を、為替リスクのない信頼できる究極の基軸通貨にすることができるだろうか?

第11章 仮想通貨の帳簿が世界を変える

ゴールドマンサックス、 JPモルガンなど、名だたる大企業が導入に乗り出しているビットコインの帳簿「ブロックチェーン」。人類最大の発明と呼ばれる複式簿記のように、この帳簿には世界があり方を変える力が十分にある。

第四部 円の未来 黄昏の安定通貨

第12章 マイナス金利という実験

2016年1月29日、日銀はマイナス金利導入を決めた。金融機関が資金を抱き込まず融資に回すと期待してのことだが、しかし忘れてはならない、日本で融資が増えていない理由は、融資資産の供給不足ではなくそもそも融資の需要がないことなのだ。

第13章 アベノミクスを採点する

エコノミスト・インテリジェンス・ユニットは、 2015年12月日本経済成長率と消費者物価上昇率の予測を大きく引き下げた。それはなぜなのか。そして、アベノミクスやTPPは、私たちの未来に一体何をもたらすのか。

 

ここまで紹介すると読まなくても読んだ気になる人も多いと思います。さらに第13章のまとめも紹介しておきましょう。

人民元が台頭することが確実だが、円は今後も資産の安全な投資先で有り続ける。少なくともあと5年から10年は、円は重要な国際通貨としての地位を失う事は無い。

TPPを運用するための仕組みづくりには、あと3年から4年かかる可能性がある。そのためTPPの影響が実際に現れるのは2020年以降になるだろう。それでも、ゆくゆくは日本の経済的地位を強くし、円の国際的地位も高める効果を持つ。

AIIBがアジアにおける中国の影響力を高める可能性は高いが、現段階ではドル建てしか融資しない方針であるため、円と元の勢力争いに与える影響は小さい。

東京五輪による日本経済への好影響は、特に開催前の2年間に強く現れる。だが、閉会後には、その揺り戻しで景気が冷え込む危険性もある。

アベノミクスは、選挙で有権者の支持を獲得する効果はあったが、実際に経済に与えている効果は限定的で、当初の期待に答えられていない。

本書を読んでみると、改めてエコノミスト誌の知的水準の高さを思い知らされます。簡潔で鋭い解説は練達の記者の見識とスキルの高さを、いやがうえにも思い知らされます。

このエコノミスト誌は1962年、特集「Consider Japan」で、日本が米国と並ぶ経済大国なることを予測し、敗戦国日本のイメージを、一変させました。その結果、世界銀行は日本に31件の大型融資を行いました。新幹線も東名高速も首都高速も、すべて世界銀行の融資です。電力インフラ、産業インフラの整備も世界銀行の融資です。トヨタ自動車の元町工場、今の本社工場も世界銀行の融資です。前回の東京オリンピックは全て、世界銀行からの借金で実現しました。そして31件の融資を1990年まで掛って返済しました。ただし、世界銀行の融資を全額返済した国は日本だけです。

 

ともかくエコノミスト誌の特集で日本は蘇りました。特集を掲載したエコノミスト誌の期待にも応えました。それだけに、この本が示す日本の未来は重い意味があります。

時間をかけてじっくり読む価値がある本です。ご一読をお勧めします。

 

◆編集後記◆

●現在の世界経済はリーマンショック以前と同じだ、とは驚きました。増税延期で頭がいっぱいでしたか。

●オバマ大統領とは政治家だったのか、だからフランケンシュタイン誕生というのも言い過ぎですが、クリントンはその後継といわれるリスクがあります。

●EUの難民問題はトルコを塞げば、た海上の悲劇の再発です。

●ますます強硬になる中国軍部の南シナ海の行動は、あの海域を核ミサイル搭載の原潜の格納庫にしたいのでしょう。米中の衝突をリスクとして考慮する必要が出てきましたね。一気に原油価格高騰ですか。

●繰り返される舛添知事のあまりにも見苦しい会見は、多くの人に不快感というストレスを与えています。あそこまで酷い人とは思っていませんでした。

●今年は台風の発生がゼロということで夏の水不足の不安が残ります。

●大きなパラダイムシフトが見えていて対応していない日本企業はイーストマン・コダックのようになるのでしょうか。

 

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◆内容・記事に関するご意見・お問い合わせ/配信解除・メールアドレス変更は右記まで

webmaster@fukan.jp

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◆俯瞰MAIL 0058号(2016年6月8日)

発行元:     一般社団法人 俯瞰工学研究所

発行人:   松島克守

編集長:   松島克守

URL:      http://fukan.jp

 

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俯瞰メール57号

◆時候のご挨拶◆

短い桜の季節が終わり、初夏に移り行く春が美しいですね。色々な花が咲きだし若葉が芽吹き、すぐに緑の葉になります。この時期は鯛の旬でもあり、魚屋さんの店頭に鱈子に代わり鯛の子が並べられます。そして新学期です。今年も本郷で俯瞰経営塾の授業がスタートします。

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・ 戦場となったヨーロッパの混迷

・ カリスマ創業経営者の残念な退場

・ メディア言論統制を強める安倍政権の危険性

・ パナマ文書で暴かれる世界の不正

・ 超高速大量データ高速処理による業務の進化

・ 俯瞰のクッキング 1.5時間で準備したディナー

・ ニューウェーブの俯瞰 スマートホームがキーワード

・ 俯瞰の書棚 「右脳の空手」大坪英臣 風雲舎  

・ 編集後記

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◆戦場となったヨーロッパの混迷◆

ブリュッセルのテロをきっかけに、ヨーロッパが混迷しています。ベルギーの当局が、トルコから提供されたテロリストに関する情報を適切に処理していなかったという批判があります。 ヨーロッパは既にISの戦場になった感があります。これをきっかけに英国のEU離脱の勢いが高まるのではないかという懸念が出てきました。仮にも英国がEUから離脱すれば、世界的に大きな経済的な混乱が予想されます。それでなくても、世界経済は極めて不安定な状況にあります。

 

一方、ドイツを中心に難民を広く受ける入れる動きがありましたが、今は完全に移民の流入を止めたいという動きになりました。 EUは巨額の資金をトルコに提供する見返りに、ギリシャに滞留する難民をトルコに引き取ってもらうということになりました。しかしトルコに難民を送り返した後、トルコはその難民をどうするつもりでしょうか。根本的な解決になるとは思いません。

 

ドイツのメルケル首相も苦悩の中にいると思いますが、彼女自身の人気はむしろ上がっています。ただ与党は選挙で苦戦しています。これをどう解釈すればいいのでしょうか。

元はと言えばアメリカのブッシュ元大統領が、石油利権欲しさに、イラクが大量破壊兵器を保有しているという理由でフセイン政権を倒したものの、その後の統治が全くできず、アルカイダの勢力を排除するどころか、イラク全体をテロリストの手に渡してしまったわけです。そして生まれたISがイラクとシリアで暴虐な統治を行った結果、大量の移民がシリアから出国することになったわけです。アメリカ介入後も混乱が続くアフガニスタンからも、難民がトルコそしてギリシャに向かっているわけです。

 

中国のAIISではあっさり長年の盟友の英国とそしてドイツからも裏切られた米国ですが、産油国になった途端に、長年の盟友のサウジアラビアとイスラエルをあっさり切り捨てるオバマ外交です。その結果中近東は大混乱になり、その隙にロシアがシリアの軍事的な利権を追求するという、何が起こってもいいような状態になっています。

 

これが、パリやブリュッセルのテロにつながり、この後どこでテロが発生してもおかしくないヨーロッパになってしまいました。 EUの理想だった域内での自由な人の移動は制限されるでしょう。そして英国のEU離脱が揺さぶりをかけます。

 

このような状況を、対岸の火事のように日本が見ていると大変なことになります。アメリカが世界の警察官をやめた今、日米同盟は重要ですが、それも日本の片思いになるかもしれません。トランプ候補の言動はある意味アメリカの本音でもあります。ともかく核武装してもいいから、自分で自分の国を守れとのことです。ですから日本も東アジアや南シナ海の緊張を不用意に高める行動は危険です。しかし、安倍政権は安保法制を背景にこれまでになく強い対応をしており、中国の反発も強まっています。

 

南シナ海における中国の強引な行動は東南アジア各国の反感を買い、中国が孤立化し、結果として、ある程度は行動を自制するかとも思いましたが、今のところその気配はありません。日中の対立もSUMMITを控えて先鋭化しています。

 

いずれにしろ、単に安保法制反対だけではなく、この日本を日本人がどう守っていくのか国民的な議論がなされるべきです。

 

ブリュッセル同時爆発攻撃、英国のEU離脱予想強まる

http://jp.reuters.com/article/brexit-brussel-idJPKCN0WO355

EU離脱、英国よりユーロ圏に大きなリスク

http://jp.wsj.com/articles/SB12748367622113273976104581646611116646114

非正規流入移民に関しEU=トルコが強制送還で合意

http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2016/03/post-4666.php

条件を釣り上げるトルコ、難民問題に出口は見えず

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/48149

メルケル独首相の支持率が今年最高に上昇

http://jp.reuters.com/article/germany-election-merkel-idJPKCN0WB0UL

第2次大戦前夜にそっくり!米国離れが加速する世界情勢

http://diamond.jp/articles/-/86785

中国、日本の名指しに抗議 安倍首相の南シナ海発言 サミット前に対立深刻化

http://www.sankei.com/world/news/160409/wor1604090029-n1.html

 

◆カリスマ創業経営者の残念な退場◆

セブンイレブンを創業し、日本にコンビニエンスストアという社会現象を起こした偉大な経営者が、残念な形で引退です。セブンイレブンの大きな発展は、学生の研究課題にもしてきました。先見性と高い戦略性は尊敬に値する経営でした。

 

ただ、強力な創業者が結果として残念な形で退場していくのは、これが初めてではありません。同じ小売業ではダイエーがあります。

 

よく言われることですが、人間引き際が難しいですね。晩節を汚す形で残念な退場をされた経営者は、常識的に見ても、殆ど居座りの感があります。悲しい人間の性を感じます。これに対して本田の創業者の本田宗一郎は、パートナーだった藤沢武夫と一緒に誠に潔く退場していきました。その後ホンダは世界的な企業に発展を続けます。

 

多くの場合は、最後に老害で会社、すなわち社員と株主に負の遺産を残したのに対し、今回の退場はその部分がありません。ですから、形が悪くても、ある意味潔い退場であったともいえます。ただ、その影に創業家の思惑や動きがあると言われていますから、後味の悪い話になりました。

 

一方では、指名委員会という高度なコーポレートガバナンスが効いた事例かもしれません。

過去には、ソニーや東芝のように、形だけの委員会制の企業が不祥事を起こしていますが、会社の形態としては本格的な委員会制にするべきでしょう。

 

流通のカリスマ退場 セブン&アイ鈴木氏「私の不徳」

http://www.nikkei.com/article/DGXLZO99421390Y6A400C1EA2000/?n_cid=NMAIL001

 

◆メディア言論統制を強める安倍政権の危険性◆

テレビのキャスターが次々と交代をさせられています。いずれも安倍政権に辛口のコメントをしたキャスターです。官邸の強引な言論統制が透けて見えます。言論の自由こそが民主主義の大前提であり、一方独裁的な政治は、この言論の自由を敵視します。中国の習近平政権、プーチン政権は徹底した言論統制で政権を維持しようとしています。日本は成熟した立憲君主制の国です。安倍政権の推進する政策そのものは、一部に異論はあるものの国民が受け入れられる政策でもあり、それ以前の、決められない政権に不満を持っていた国民にとって一定の評価はされていると思いますが、それでも自分のやっている政策に自信がないのでしょうか。キャスターのコメントが怖いのでしょうか。それとも感情的に気に入らないということでしょうか。もし反対意見を許さないと言論を統制しようとするのであれば、由々しき一大事です。もっと自信を持って政治をして欲しいと思います。

 

次々と出てくる自民党議員や大臣の失態を見ていると、政権内部に、自民党内部に権力に酔った驕りと傲慢さが腐臭として匂います。これはじわっと選挙に聞いてくるでしょう。国民もバカではありませんから。

 

さらに消費増税の先送りの状況を作るためといわれる、ノーベル賞経済学者との懇談の内容も、政権に都合が良いように翻訳して発表するとは呆れます。さすがにノーベル賞経済学者です、クルーグマン教授が極秘会合の中身を暴露しました。この内容はオフレコにお願いします、と言ったそうですが、会話の内容があまりにもお粗末で、政権中枢の経済学の知的水準が疑われるようなものであったので、オフレコにとお願いしたのでしょうか。かえってこれでアベノミクスのお粗末な実態を暴露してしまった感があります。

 

また、放送電波を止めるぞと脅した高市早苗総務相が、経歴詐称ではないかという話があります。ジャーナリストの鳥越俊太郎氏は、「これ言っておかないといけない。高市早苗さんは、米国の議会立法調査官をやっていたという触れ込みで日本に帰ってきて、田原さんの“朝まで生テレビ!”に出たんですよ」「ところが、彼女は見習い待遇で、無給で、未契約のフェロー、つまりコピー取り程度、お茶くみ程度のことしかやっていない」「だから、経歴詐称だよね、僕に言わせれば。経歴詐称」と発言しています。彼女は国粋的な発言をしていますが、このような倫理観で国体を論じる資格があるのか疑問に感じます。

 

それにしても、あまりにも野党勢力がだらしのないのが、このような自民党政権のお粗末な状況を許しているとしか言えません。そしてその原因は、国民が政治に対して真摯に対峙していない日本の現状があると思います。夏には衆参同時選挙の話が進んでいますが、これも党利党略で、大義がありません。一昨年に増税の賛否を諮って衆議院を解散しています。それを先送りしようとしている今、また衆議院を解散?

 

国民はここでどこまで賢く、どこまでバカでいるのかその自覚が必要です。

 

辛口キャスター、交代の春 本人の意思・数字

http://digital.asahi.com/articles/ASJ1X5KC3J1XUTIL02Q.html?_requesturl=articles%2FASJ1X5KC3J1XUTIL02Q.html&rm=1225

NHKニュースウオッチ9「大越キャスター」突然の交代人事に官邸の気配

http://www.dailyshincho.jp/article/2015/01280800/?all=1

安倍首相赤っ恥 クルーグマン教授が極秘会合の中身を暴露

http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/178338

安倍政権に屈したテレビ局

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/48001

強まる「同調圧力」。メディアは加担していないか。

http://www.buzzfeed.com/satoruishido/yuko-kuniya#.mh6njjEdw

NHK秘密のルール 政府に都合の悪い国会中継中止できる?

http://www.news-postseven.com/archives/20160408_399588.html

高市早苗総務相が経歴詐称か

http://news.livedoor.com/article/detail/11359520/

 

◆パナマ文書で暴かれる世界の不正◆

パナマ文書という情報のリークが世界政治を揺り動かしています。これまで闇の中にあったタックスヘイブンの実情が、正義感を持ってか、ある政治的な意図を持ってか、公開されました。下記のニューズウィークのサイトには。

 

“これまでに出ている情報によれば、発端は2014年末にある匿名の人物が南ドイツ新聞の記者に連絡をとり、パナマ文書のリークを申し出たこと。さながら「ディープスロート」のような人物から情報提供を受けた南ドイツ新聞は、米ワシントンに本拠を置く非営利組織「国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)」に話を持ちかけ、世界中のメディアを巻き込んで文書を分析することにした。文書データのサイズが2.6テラバイト、ファイル数にして1150万(480万の電子メール、100万の画像、210万のPDF)と莫大で、裏取りするのには、グローバルな調査報道体制を敷く必要があったからだ。”とあります。

 

そして、“ こうしてICIJの呼びかけで世界76カ国、100以上のメディアから記者370人以上が協力し、約1年かけて情報を分析していった。ICIJはプロジェクトに参加する記者だけがアクセスできるURLを作って、国をまたいで情報交換する仕組みを整えたという。この世界的な調査報道の成果が「パナマ文書」の衝撃だ。”とあります。日本からは朝日新聞が参画しています。

 

すでにアイスランドのグンロイグソン首相は国民の激しい非難の前に辞任しました。イギリスのキャメロン首相も、投資していたことを認めて苦しい立場に立っています。アルゼンチンのマイク大統領は捜査の対象になりました。パキスタンのシャリフ首相の一族、マレーシアのナジブ首相の息子、プーチン大統領の親友や、習近平主席の親族、その他、中国の最高首脳の親族等が告発されています。これはある意味テロです。しかし人類にとって、このような情報のリークは正義でもあります。

 

当然各国の税務当局は、この情報を精査していきますから、今後もいろいろな事件が起こってくるでしょう。そして各国の政権にも大きな影響が出る事は、間違いありません。中国では、厳しい報道管制がされていると言われていますが、今という時代では、情報は隠蔽できないでしょう。必ずしも安定状態にあるとは言えない習近平政権も、大きな衝撃を受ける可能性もあります。ロシアのプーチン政権も、そのリスクがあります。今のところ日本の政治家の名前は出ていませんが、国税庁が精査していくと、政治家に関連する企業が発覚することはあると思います。今後しばらく、これから目が離せません。

 

ただし、パナマやケイマンにSPC(特定目的会社)を設立する事は金融の世界では常識で、それ自体は違法性はありません。基本的に節税目的ですから、脱税とは紙一重です。

 

パナマ文書はどうやって世に出たのか

http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2016/04/post-4850.php

NYタイムズですら蚊帳の外、「パナマ文書」に乗り遅れた米メディア

http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2016/04/ny-5.php

パナマ文書「情報提供は犯罪行為止めたくて」

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160407/k10010470761000.html

「パナマ文書」とは何なのかまとめ

http://gigazine.net/news/20160406-panama-papers/

タックスヘイブンを使ったのは誰かが検索できる、日本の住所も多数あり

http://gigazine.net/news/20130615-icij/

モサック・フォンセカのデータを世界のマップに落とし込んだ

https://briankilmartin.cartodb.com/viz/54ddb5c0-f80e-11e5-9a9c-0e5db1731f59/public_map

「パナマ文書」米司法省が調査 各国首脳ら、租税回避か

http://www.asahi.com/articles/ASJ455T1QJ45UHBI01B.html

「パナマ文書」スキャンダル、早わかりQ&A

http://jp.wsj.com/news/articles/SB12748367622113273976104581644460949815354?mod=djem_Japandaily_t

「パナマ文書」に焦る中国、封じ込めに躍起

http://jp.wsj.com/articles/SB11960924612531984379704581642702739099650

 

 

◆超高速大量データ高速処理による業務の進化◆

2000年に創立を支援したベンチャー企業の株式会社ターボデータラボラトリ―が、最新の応用事例を紹介するセミナーを開催します。

 

株式会社ターボデータラボラトリ―は、メモリ上に大量のデータを展開して処理することで画期的な高速処理を実現する技術を開発しました。そして特許を取得し、これを展開してきました。最初、スーパーコンピューターの部品表データを使い、製造業において非常に時間のかかる“所要量展開”という生産計画の計算に使ってみました。それまで数時間かかっていた処理をわずか数秒で処理できました。あの時は感動しました。むろんユーザーも感動して、すぐに導入を決めてくれました。

 

それからこつこつと技術開発を進めると同時に、この間クラウドコンピューティングのような当時考えられないような巨大なコンピューターを簡単に利用できる時代になりました。その先進的な事例を紹介するセミナーです。製造業はもとより、ビックデータを使う業務改善やマーケティングに興味を持つ人は、是非ご参加下さい。申し込みは下記です。

 

株式会社ターボデータラボラトリ―

http://turbo-data.co.jp/

 

◆俯瞰のクッキング 1.5時間で準備したディナー◆

3月のある日、3人の友人を食事に招待しました。その日は溜池山王で13時まで会議がありました。そして夕食の開始が16時でした。今回は、そのおもてなし料理の準備についてご紹介しましょう。

 

会議を足早に退席し、南北線で麻布十番まで移動しました。そして“日進”というスーパーマーケットに入った時は、すでに13時30分です。買い物カートに、まずベビー・リーフを2パック入れました。サラダです。ドレッシングは、いくつか面白いものを頂いておりましたから。そしてミニトマトを何パックか、パパイヤ1個、香菜(コリアンダー)一束、生ハム1パック。そして肉売り場に行って骨付きの豚のロースを1.2?の塊で買いました。これはメインのローストポークです。次に冷凍食品の売り場に行って、えびのカクテルのパーティーパックを2つ、家にあるケチャップとレモン、そしてタバスコでカクテルソースを作り、これを魚料理とします。さらに26匹入りのブラックタイガーの冷凍パックを買いました。このエビでトムヤムクンスープと、パエリアを作ります。ワインは自宅の備蓄を使います。これだけの荷物を両手に抱え、店前からタクシーで自宅まで移動しました。すでに14時30分です。

 

冷凍のブラックタイガーを、水道の流水で解凍し始めました。オーブンを200度で予熱します。

 

骨つきの豚のロース肉に塩胡椒をすり込み、ローリエやタイムと一緒にジップ袋に入れ、さらに料理用の日本酒を少し入れて手で揉みこみました。

 

米を2カップ洗ってザルに上げて、パエリアの準備をしました。

 

ベビー・リーフは洗って水を切り、大きなサラダボールに入れました。

 

解凍できたブラックタイガーの皮をむき、その皮をノンスティックのフライパンで軽く焼いて水を入れ、エビのスープを取ります。ここまでくると、ほっとします。時間は15時です。

 

すなわちこの日のメニューは、スタートがパパイヤの生ハム乗せ、トムヤムクンスープ、サラダ、次に魚料理としてシュリンプカクテルです。その後メインとして、ローストポークがあり、締めはパエリアです。

 

骨付きのかたまり肉を、脂身のほうから骨に届くくらい1センチ間隔で切り込を入れ、オーブンに入れてスイッチオンです。 10分後脂身が溶け出したら温度を180度に下げて1時間半ほどゆっくりローストします。 40分ぐらい経ったとき、洗った皮付きのジャガイモを人数分オーブンに追加します。このレシピは、ホルトハウス房子という有名な料理家のレシピです。私よりもずっと年上ですが、こういう方のレシピは年々シンプルになり、そしてそれが美味しいのです。

 

トムヤムクンスープを仕込みます。先に取ったエビの殻のスープに水を加えて人数分にし、鍋にかけます。顆粒の鶏ガラスープを入れます。薄切りのタマネギを入れます。これから先は順不同ですが、ベランダで栽培したレモングラス、こぶみかんの葉(レモンリーフ)と、カーいうハーブ、そして赤唐辛子を2本をいれ、さらに市販のトムヤムペーストを小さじ2杯程度入れます。カピというエビペーストも小さじ1杯程度、ナンプラーで塩味を調整します。アクをすくって一旦火を止めます。食卓に出す直前に、エビと半分に切ったミニトマト絞ったレモン汁を入れ、さっと火を通して器に盛って、コリアンダーを入れます。

 

カクテルソースは、ケチャップに絞ったレモン汁を入れ、タバスコで辛味を調整します。

 

次はパエリアの仕込みです。米が2カップですから、スープは4カップになります。トマトジュースの缶詰を1缶、水を加えて4カップにします。これに顆粒の鶏ガラスープを大さじ2杯程度入れます。ターメリックを小さじ1杯程度入れて、高価なサフランはいれません。そしてしっかりと塩味をつけます。

 

パエリア鍋にオリーブオイルを多めに入れて、潰したニンニクを2?3片分いれます。いい香りがしてきたら、水分をぬぐったブラックタイガーを入れて炒めます。エビはいったん取り出し、ザルに上げておいた米を入れて軽く炒めます。そして用意したスープを注ぎ込みます。この日は赤ピーマンをエビと一緒に炒めて入れました。そしてエビを戻して、蓋をして弱火で40分、ただ放っておくだけです。

 

ここまでくると16時です。友人たちの到着です。玄関に出迎えて、スパークリングワインで乾杯して席に着いてもらいます。

 

ますパパイヤ生ハムを出して、ディナーのスタートです。次はトムヤムクンスープのハーブを取り除き、火を入れエビとミニトマトを入れ、味を確認して器に盛りコリアンダーを載せます。

 

次は、サラダボールから好みのドレッシングでベビー・リーフのサラダを食べてもらいます。まず野菜を食べるという事は、健康学の上では重要です。血糖値の上昇を抑えるからです。これは習慣にされると良いでしょう。野菜、魚、肉、そして炭水化物が健康のための順序です。フランス料理のコースはこれに沿っていますね。

次に解凍しておいたシュリンプカクテルをサービスします。カクテルソースはお好みでかけてもらいます。

 

ここまで来ると、オーブンのローストポークも焼き上がっていますから、取り出して切り分けて皿に盛り、焼きあがったジャガイモを半分くらいに切って添えます。マスタードを添えて出しました。

 

この間、適当に赤ワインを飲んでいますから、かなり雰囲気も盛り上がって、いつものように昔話で盛り上がっています。 

 

いよいよ締めのパエリアです。弱火で40分が良いと思います。これは、蓋を取って少し火を強めて、チリチリという音がするくらいに少し鍋底を焦がして、オコゲを作るというテクニックもあります。

 

ここまで来ると既に18時を回っています。後はコーヒーその他で終わることになります。門までお客様を送って終わりです。洗い物は黙々とパートナーが深夜までこなします。私は酔払って寝ます。以上、ある日のドキュメンタリーです。

 

dancyu「いいレシピって、なんだ?」

http://yuriika3.exblog.jp/22610795/

 

◆ニューウェーブの俯瞰 スマートホームがキーワード ◆

今、私が買いたいものは、アマゾンのEchoです。残念ながら、日本ではまだ発売されていません。これは今アメリカで注目集めているようです。スマートホームと言って、家の中のいろんなデバイスを音声でコントロールしたり、コンシェルジュのようにいろんなことを質問すると、ネットから答えを探してきてくれるという、ともかく非常に優秀なコンシェルジュが家に常駐している状態になるようです。

 

キーテクノロジーは音声認識ですが、ネットの上には人工知能が控えることになるでしょう。いろいろなスマートデバイスが提案されていますが、ユーザーから見て手で操作しなくても、人に話しかけるように音声で操作できれば最も便利です。それがすでに実現出来ます。

 

そして今、この分野で1番注目を集めているものが、アマゾンのechoです。Appleの共同創業者であるスティーブ・ウォズニアック氏も絶賛しています。そしてアマゾンのechoがあるとどんな生活になるかは、下記の週刊アスキーのサイトにあるYouTubeを見ると解ります。残念なことにこれも英語ですが、是非ご覧になるといいでしょう。

 

むろんGoogleもAppleも同じことを考えています。 ただGoogleもAppleもかなり遅れをとっているようです。キーテクノロジーの音声認識は、それぞれかなりの水準のアプリケーションを公開していますが、スマートホームというサービスではかなり遅れをとっているようです。音声認識の技術ではマイクロソフトも「コルタナ」という機能をWindows10に搭載していますから私の書斎のパソコンでも使えるはずですが、使っていません。 Appleのshiriは使いますが、実用的に全く問題ない水準だと思います。ちなみに何度もこのメルマガでもご紹介していますが、約1万2,000字のこのメールマガジンは、ほとんどすべてドラゴンスピーチというソフトウエアによる音声入力です。キーボードの操作に弱い私はミスタイプが多く、この音声認識ソフトに依って10倍以上の生産性を上げています。正答率は95%以上あると思います。意外と皆さん身近にある音声認識という時代のキーテクノロジーを活用していませんね。

 

日本の企業もスマートホームに注目しいてると思いますが、多分この分野ではAmazonやグーグル、 Appleに置いていかれるでしょう。特にAmazonは強力で、すでに家のリフォームも積水ハウスや大和ハウスと組んで、ネットで販売中です。もちろん家電製品の全てを取り扱っていますから、トータルなスマートホームを提案できます。アップルのスマートホームは、繋がる機器が現在の段階では極めて限定的で実用になりません。 Googleは詳細が把握できないほど出遅れです。

 

今産業界では、IoTすなわちモノのインターネットが注目集めています。すべてのものにセンサーがつけられ、そこからの情報を大量に収集して有効なサービスを創成しようというビジネスです。これは未来の話でなくテクノロジーとしては、ほとんど完成しています。普段、何気なく使っている交通カードもこのテクノロジーです。自動車もネットとつながってConnectedCarなっています。私も乗っています。このIoT から収集される膨大な情報はビックデータです。そしてこのビックデータはdeep learningできる人工知能で分析されるでしょう。繰り返しますがこれは未来ではなく、現在なんです。

 

日本の企業、産業界はセンサーを含めた機器に関する技術について、まったく問題ありませんが、顧客にとって本当に価値があるサービスを提供するシステムを商材として作り上げることができるか気になります。日本の企業で今自由にクラウドコンピューティングと人工知能をサービスビジネスに活用する、活用できる企業が私からは見えません。

 

いろんなところでお話していますが、日本の企業がもし元気でないとすれば、時代に付いて行っていないことだと思います。

私の周囲の学生や若い方には、まだガラケーを使っている人、モノづくりという言葉を連発する人、失われた20年という言葉を使う人の話を聞いてはいけない、と助言しています。こういう人たちは、物理的には2016年に生活しながら2000年以前の脳で暮らしています。あえて言いますと、日本の企業のトップの大半がこのセグメントに分類されるかもしれません。

 

俯瞰のニューウェーブというこのコラムは、ニューウェーブに意味があります。ニューウェーブとは、すでに起こっている近未来です。自分で未来を考えなくても、自分に向かって押し寄せてくる時代の波を見れば、自分が起こすべき行動はわかります。この時間差のマネージメントが、人生や企業業績を決定的に決めます。

 

アップル Siriより未来だ!Amazonの人工知能スピーカー『Echo』実機レビュー

http://weekly.ascii.jp/elem/000/000/350/350944/

ウォズニアック氏が「Amazon Echo」を大絶賛「次にくるのはこれだと思う」

http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1603/14/news100.html

GoogleやAppleを抑えて、スマートホーム市場を勝ち抜くAmazon Echo

http://readwrite.jp/trend/29435/

Amazon、音声制御のWi-Fiスピーカー「Echo」を199ドルで発売へ

http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1411/07/news057.html

Amazonのハードウェア史上最大のヒット商品になった「Amazon Echo」

http://gigazine.net/news/20160405-amazon-echo-development/

HomeKit 対応アクセサリを iPhone、iPad、および iPod touch で使う

https://support.apple.com/ja-jp/HT204893

新生グーグルの象徴 Nestが大幅機能アップデートを発表

http://forbesjapan.com/articles/detail/8102

Google、音声認識APIを公開

http://jp.techcrunch.com/2016/03/24/20160323google-opens-access-to-its-speech-recognition-api-going-head-to-head-with-nuance/

マイクロソフトの音声認識「コルタナ」に「『シリ』ってどう?」と質問

http://diamond.jp/articles/-/51316

 

◆俯瞰の書棚◆

今回の紹介は「右脳の空手」大坪英臣 風雲舎 2015 です。

著者の大坪英臣教授(東京大学名誉教授)は、畏敬する私の先輩教授です。現役時代は工学部3号館の3階に教授室を並べていました。大坪英臣教授は、世界最高水準の構造力学の研究者でした。指導される修士論文は審査会でも圧倒的な高い水準の研究内容で、その高い研究内容を論文の中だけではなく企業の技術者が利用できるようにしたいと相談したこともあります。

 

この本は定年後、研究・教育に代わる何か打ち込むものを探して、探して、そして空手という世界に、それを見つけた話です。 65歳で空手を始める、これ自体、既に並の人間ではないことをお分り頂けるでしょう、65歳で最初の試合は、8年間も空手を鍛えている52歳が相手です。蹴られても殴られても、ただただひたすら突きを出し、前進していくというくだりは迫力を感じます。そしてなんとその試合で勝ちました。壮年の部で決勝戦では負けましたが準優勝です。

 

教育と研究に打ち込んできて、自分が作り上げた研究室を出て行くという定年後の生活は、寂寥感に襲われます。今思うと私も大学を定年で離れてから、1 ―2年は精神的に不安定な状況にあったと思います。毎日が日曜日の生活は、打ち込むような趣味のない私にとって、戸惑いの時間でした。この本で、大坪教授とこの喪失感を共有しました。

 

最初やられた空手は、極真系の流れを汲む、フルコンタクトと呼ばれる実際に打ち合う空手です。骨折やケガが当たり前の格闘技だったそうです。

 

ある時運命の分かれ道に出会うことになります。真義館の麻山慎吾館長に出会ったことです。フルコンタクトの空手で厳しい修行を積み、その世界で生きてきた人です。鍛えすぎて体すら壊しています。

 

そして武術空手という、全く新しい空手の世界に到達したとあります。武術空手とは相手にダメージを与えることではなく、愛を与えるとあります。攻撃されても、愛を持って対峙すれば、相手が倒れるというのです。この辺は、とても私が説明できるものでないので、この本を読んでください。読めばわかります。練習は古伝の型です。武術空手は衝突の応酬がありませんので、一瞬で勝負は決まるとのことです。こんなことを書いていると、ますますこれを読んでいる人は混乱するでしょうが。

 

武術の神髄は「攻守一如」で、「観の目」と「入る」とあります。宮本武蔵も同じことを言っています。ここは説明が難しいところです。大坪教授は本の最後で、脳科学で説明されています。そして型の訓練によって、「自然体」という体の状態を作る術を獲得するとのことです。とても私が説明できることではないので、武術空手についての説明は、ここまでにします。

 

武術空手の到達点は、有名な伊藤一刀斎の「無想剣」です。そして維新の山岡鉄舟は、これを会得しました。この本によると山岡鉄舟は宮内庁に勤務していた時、月に1度の休日に、歩いて120キロ離れた三島の龍澤寺の星定和尚のもとに参禅に通い、 3年目に悟りを開いたとあります。悟りを開く前、山岡鉄舟は伊藤一刀斎の一刀流を正しく伝えるという浅利又七郎に、何度も試合を申し込みますが、全く歯が立ちませんでした。悟りを開いた後、浅利又七郎と試合をすると相手は木刀を捨て「段違いの腕前です、私がかなう相手ではありません」と言って伊藤一刀斎から受け継いだ「無想剣」の極意を伝えたそうです。このくだりを読んでいると、大坪教授が「師の麻山慎吾館長は現代の山岡鉄舟だ」と書きたい気持ちが伝わってきました。私はその一行を追加して読みました。

 

そして英国のパブリックスクールや、米国で教育を受けたご子息とコミュニケーションが上手に取れないで悩まれていたようですが、いちど道場に見学に来ないかと誘い、武術空手の稽古を施した時に、ご子息が終わった後正座をして入門をお願いされたというくだりでは涙が出ました。親と子、お互いにあまりにも深い愛情を持つ故に、心開く素直なコミュニケーションができません。その緊張関係を一瞬で溶かした瞬間でしたから。

 

なぜ「右脳空手」なのか、この解説は工学の研究者としての大坪教授らしい科学的な解説です。まず「観る」、「入る」の説明を脳科学の研究の「ベンジャミン・リベットの実験的研究―脳の0.5秒の騙し」で説明しています。これは、人は動き起こそうと脳で考える0.5秒前に、無意識に身体は動きを起こし始めている、それから0.5秒経って脳が動きの命令を出す、にもかかわらず脳は命令が出てから体が動いたと錯覚する、とのことです。この0.5秒の間に相手に入り込むと、相手は無抵抗に倒れるようです。この0.5秒は脳波トフォグラフィーとfMRIを使った実験で確認されているそうです。ただこの0.5秒の話は哲学的な論争を呼びます。自分の意思決定が実は自分が決めていない、自分はその結果であるということですが、ここではこれに立ち入りません。章末のURLで。

 

ですから「観る」力があれば、相手の脳が指令を出す前に、体が相手の中に「入る」動きができ、容易に相手を倒すことができるわけです。右脳が体を動かすのです。これが右脳空手の本質だと勝手に理解しましたが。

 

私たちは、2つの情報処理系を持っている事は確かです。ものを考えたり、話したり、書いたりする情報処理系は、意識下の中にあります。一方、鳥肌が立つ、震えが止まらない、飛んできたものを払う、といった身体的な動きは、私たちは意識して脳から指令を出していません。私たちの意識の外にある別の情報処理系があるはずです。その情報処理系は全身にある感覚器官からの情報を収集・分析して、独自に身体の各部に指令を出しているはずです。そして、この2つの情報処理系は情報の交換をしているはずです。

私は専門家ではありませんが、0.5秒の時間差は2つの情報処理系のデータ交換の処理時間ではないかと勝手に思い込みました。そうすると、右脳空手や山岡鉄舟の神業のような剣道、そして麻山慎吾館長の神技を理解できます。こういう私はやはり左脳人間ですか。

大坪教授は最後に「これに出会うために生きてきた」と結ばれています。こみ上げるような感動を覚えました。この本を読んで、自分が少し変わったと思います。もし心に迷いがあれば、この本を読んでみたらいかがでしょうか。大坪教授は論文ではなく、わかりやすい読み物として書かれています。

 

ユーザーイリュージョン 松岡正剛の千夜千冊

http://1000ya.isis.ne.jp/1509.html

http://1000ya.isis.ne.jp/file_path/1536_img05.jpg

 

◆編集後記◆

・ヨーロッパも不安定、アメリカの大統領選挙も大混乱、北朝鮮も異常と来れば、いつもニュースが気になります。

・パナマ文書は各国で政争の具として使われるでしょう。何か起こっても不思議ありません。ロシアはどうでしょう。日本も何か出てきてもおかしくありません。

・待機児童の問題も山尾議員の国会質問で火が付き、一見前に進んできましたが、検事出身にしてはガソリン代、事務所の会計処理の脇が甘いですね。甘利さんも良い仕事をしながら事務所の会計処理が残念です。

・80歳を超えての現役の経営者は、身体は衰えても、思考は問題ないと考えているのでしょうか。生理学的な脳はそれなりの劣化をしているという自覚がないのでしたら、それは認知症でしょう。

・0.5秒の時間差、初めて知りました。それにしても、松岡正剛は改めて見直しました。凄い!

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◆内容・記事に関するご意見・お問い合わせ/配信解除・メールアドレス変更は下記までwebmaster@fukan.jp

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◆俯瞰MAIL 0057号(2016年4月10日)

発行元:     一般社団法人 俯瞰工学研究所

発行人:   松島克守

編集長:   松島克守

URL:      http://fukan.jp

 

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俯瞰メール56号

◆時候のご挨拶◆

北日本では厳しい寒さが続いているようですが、東京では梅の花も咲き、あと3週間

もすれば桜の季節になりそうです。そして花粉症の季節になりましたね。時の流れは

年々早く感じます。今年こそはと考えていた事をすぐに実行しないと、何もしないで

1年が過ぎそうです。

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● 封印されたメルトダウン

● 同一労働同一賃金は日本の構造改革

● 行動しないオバマを見越すプーチンと習近平の行動

● ベトナムに行ってきました

● 眩しい人生

● プラチナセミナー

● 俯瞰のクッキング ―ロートレックのレシピ―

● ニューウェーブの俯瞰 ―アイディア最前線―

● 俯瞰の書棚 「WORK RULES!」ラズロ・ボック

● 編集後記

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◆封印されたメルトダウン◆

全く奇怪というか理解できない話です。東京電力の原子力発電所に関するマニュアル

が5年ぶりに見つかったということです。情報が共有されていなかった?こんなこと

がよく言えますね。マニュアルは、関係者がきちっと情報共有するためのツールで

す。マニュアルも見ることもなく、原子炉運転しているのでしょうか。社内で作られ

たマニュアルですから、書いた本人は内容を熟知しているはずです。そして津波で電

源消失は大事件ですから、マニュアルを思い出すことがないとは、全く不可思議な話

です。

 

炉心溶融という言葉を使いたくなかった、炉心損傷で押し通したかったという意志が

透けて見えます。これには当時の首相官邸の意向も働いていたとの話もあります。炉

心溶融という言葉で国民が、外国人がパニックを起こすリスクを考えて、あえて炉心

溶融の言葉を封印したとも言われています。確かに当時政権にあった民主党幹部から

も、これに対して何のコメントもありません。国民に真実を語る、これが政治の神髄

ではないでしょうか。不都合な真実を隠蔽する、これでは国民は国家を信じなくなり

ます。これでは一億総活性化は、夢のまた夢です。これでまた、国際的な日本の信用

は大きく傷つきます。公が平気で嘘をつくわけですから。

 

最近でも、東京電力柏崎原発では規格違反のケーブルが使用されていて問題になって

います。東京電力の原子力関係者はあまりにも職業倫理に欠けています。これでは一

定程度原子力発電所の再稼働を容認する立場の人々も、ノーというしかなくなりま

す。

 

津波対策を怠ったことで多数の命が失われ、 10万人を超える人たちが帰る家を失い

ました。検察は不起訴にしましたが、当時の東京電力の最高幹部が傷害致死罪で強制

起訴されました。当然でしょう。ただ強制起訴はほとんど無罪になっています。国民

感情からすれば実刑判決が期待されているのではないでしょうか。

 

メディアを含めた日本社会も歪んでいる気がします。明らかな東芝の粉飾決算を、不

適切な会計処理などいう言葉でごまかしているわけです。誰に対して何を隠そうとし

ているのか、意図がよく見えません。できるだけ穏便に、ことを荒立てずに処理した

い、という日本の文化は、社会に対する不正を隠すためならば、これは封印すべきで

す。

 

東電 炉心溶融の判断基準見逃す

http://www.niigata-nippo.co.jp/news/national/20160225237313.html

東京電力、福島県に陳謝 第1原発の炉心溶融で

http://mainichi.jp/articles/20160227/k00/00m/040/022000c

東電、「メルトダウン」社内マニュアルを5年経って「発掘」

http://www.j-cast.com/2016/02/25259646.html

柏崎刈羽原発のケーブル「違反」 規制委、全国の原発に点検を指示

http://www.sankei.com/life/news/160106/lif1601060025-n1.html

東京電力元会長の勝俣氏ら旧経営陣3人を強制起訴

http://www.sankei.com/affairs/news/160226/afr1602260014-n1.html

東電旧経営陣3人強制起訴へ 勝俣元会長「有罪」の現実味は

http://news.livedoor.com/article/detail/11233482/

 

◆同一労働同一賃金は日本の構造改革◆

安倍政権が、同一労働同一賃金を推進しようとしています。これは日本の社会を大き

く改革することになると思います。格差の問題を本質的に改善するには、これは必須

です。久しく議論されてきた、そして先送りになってきた構造改革です。 TPPよりも

この方が本質的な日本社会の構造改革になると思います。それだけに経済界も労働側

も厳しい決心をする必要があります。

 

すでに終身雇用制は幻想です。 一つの仕事、 一つの会社に人生を預ける働き方は、

産業や社会構造があまり変化しない時代では可能ですが、激しいテクノロジーの進歩

で、産業構造が速い速度で変化している時代では、社会もそれに応じて変化しなけれ

ばなりません。終身雇用制では雇用と仕事のミスマッチを吸収できません。一人一人

が人生を会社に預けるのではなく、自分で考えなくてはならない時代になり、働き方

も自分で考えなければならないという厳しい時代になりました。

 

また、企業が非正規雇用という低コスト労働力で収益を上げるビジネスモデルを採用

しているのでは、世界経済の中で日本経済は力強く成長できません。日本は大企業と

中小企業、そして正社員と派遣社員という二重構造で経済成長を維持してきました

が、すでにこのモデルが破綻している事は自明です。特に正社員を減らし、派遣社員

を増やすことで企業の収益を上げていることが格差を生んでいます。ですから安倍政

権にはこの政策を強力に推進してもらいたいです。

 

フルタイム労働者に対するパート労働者の時間当たりの賃金水準は、日本は57%、

ヨーロッパではフランスは9割、ドイツは8割です。まずはドイツの水準にする必要

があります。ドイツ経済はこれで経済が成り立っているのですから。

 

年功序列を軸に残業や転勤、異動、出向が伴う正社員の日本型賃金体系との兼ね合い

は課題ですが、これを理由に現状を維持することはできないでしょう。そして中小企

業はどうするという議論が出てきますが、中小企業が低賃金でないと産業が成り立た

ないのでは、先進国とはいえないでしょう。

 

「働き方改革」これこそがアベノニクスのまともな政策です。

 

「同一労働同一賃金」実現へ首相が法改正方針

http://www.yomiuri.co.jp/politics/20160224-OYT1T50016.html

「同一労働同一賃金」経済界は賛同表明も本音は困惑

http://www.sankei.com/politics/news/160224/plt1602240044-n1.html

生産性の視点が要る「同一労働同一賃金」

http://www.nikkei.com/article/DGXKZO97532180S6A220C1PE8000/

同一労働同一賃金の論点は(Q&A)

http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS23H4Q_T20C16A2EA2000/

同一労働同一賃金/成否は社会の根幹にも及ぶ

http://www.kahoku.co.jp/editorial/20160227_01.html

 

◆行動しないオバマを見越すプーチンと習近平の行動◆

岩礁を埋め立てて人工的に作った島にレーダーや戦闘機を配置するまでに、中国の南

シナ海の実効支配に対する行動はエスカレートしました。もともとアメリカの口先の

介入はするが軍事的な介入はしないという外交が、中国の強硬な南シナ海の実効支配

を許しています。この後、防空識別圏を設定して通過する航空機の事前登録を要求す

るまでに行くかもしれません。

 

かつて、シリアが毒ガス兵器を使用した場合には断固たる軍事介入をすると言ってお

きながら、突然それを反故にしたオバマ大統領です。ブッシュ大統領が始めたイラン

戦争とアフガン戦争から米軍を撤退させたという、感傷的なレジェンドに固執してい

ると誰もが思っています。

 

ですからプーチン大統領もシリアに軍事的な介入を行い、アサド政権によるシリアの

統治を通じてあの地域にロシアの影響力を維持し、このカードを使ってウクライナ紛

争を有利な形で処理し、欧米のロシアに対する経済制裁を終結させようと目論んでい

るのでしょう。

 

オバマ大統領は最近、そのシリアについて“シリアは確かに地獄に落ちたが、たとえ

可能であったとしても、戦火を消すのは米国の役目ではない”と重ねてアメリカは介

入しないというメッセージを、中国とロシアに送りました。冷静に考えればこれは正

しい判断でしょう。もともとブッシュが安易な気合でイラク、アフガンンに地上戦を

仕掛けたのが、事の始まりですから。

 

これを見て、自ら動くしかないと、サウジアラビアとトルコは地上兵力をシリアに送

ることを検討しているといわれていますが、これはスンニ派とシーア派の激突になり

ます。

 

中近東、アフリカ、アジア、中南米のすべての地域でアメリカの影響力は激減です。

だから感情的にアメリカ国民を鼓舞しているのが、トランプ大統領候補です。声高に

支援しているのは貧しい白人ですが、中間層の白人も本音では共感していると思いま

す。となると、ますます世界は不安定な状態になります。本戦でトランプ候補が勝利

するとは思いませんが、このアメリカ国民の感情を、仮にヒラリークリントンが政権

を担当しても無視できません。なにしろ議会の上院も下院も共和党が過半数ですか

ら。

 

オバマ大統領は安倍首相に対して、日本がロシアと接近しないように牽制をかけてい

るようですが、ここはアメリカの言いなりでなく独自のポジションを取るべきです。

 

「中国は東アジアの覇権を追求し南シナ海を軍事拠点化」米太平洋軍司令官

http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2016/02/post-4577.php

米国防総省、中国には南シナ海の実効支配は可能

http://jp.sputniknews.com/politics/20160227/1683870.html

ASEAN、南シナ海情勢「深刻な懸念」声明発表

http://www.sankei.com/world/news/160227/wor1602270042-n1.html

[FT]シリア混迷 ロシアの非情

http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM19H5M_Q6A220C1TZN000/

シリア停戦に向けてアメリカとロシアが共同声明。反体制派の懸念は?

http://www.huffingtonpost.jp/2016/02/22/syria-ceasefire_n_9294754.html

シリア停戦監視に無人機70機が使われる―ロシア国防省

http://jp.sputniknews.com/middle_east/20160227/1689007.html

ロシア、シリアに最新型のスパイ機派遣 空爆強化と関連か

http://www.cnn.co.jp/world/35078118.html

首相訪露にオバマ氏懸念…電話会談で延期求める

http://www.yomiuri.co.jp/politics/20160224-OYT1T50015.html

 

◆ベトナムに行ってきました◆

ホーチミンシティに20年ぶりに行ってきました。 20年前のホーチミンはベトナムが

経済開放を始めた直後でした。街はゴミ箱をまき散らしたような状態でした。むろん

近代的なビルはほとんどなく、自動車もほとんど見かけませんでした。ただいくつか

新しいホテルが出来ていて私たちはそこに泊まりました。

 

20年ぶりのホーチミンは道路にゴミ一つなく、近代的なビルが立ち並び、ピカピカ

の自動車が渋滞するほど走り回っていました。人々は笑顔に満ちて、輝きがありま

す。なにしろ国民の平均年齢が29歳という国ですから、若々しくたくましい成長を感

じさせます。

 

ベトナム戦争当時の大統領官邸が、観光の目玉です。実はここは3回目です。中には

ベトナム戦争の作戦本部や閣議の会議室がありますが、私にとっての見所は、屋上に

あるヘリポートです。ベトナム戦争の終結のとき、アメリカ軍の最後のヘリコプター

が飛び立つ瞬間の映像が今でも鮮明に蘇ります。一緒に連れて行ってほしいという泣

き叫ぶ人人たちが、人の鎖のようにヘリコプターにしがみつき、そしてバラバラと落

ちていった悲惨な光景です。

 

私達の年代は大学生の時にベトナム戦争をリアルタイムのニュースとして繰り返し、

毎日のように見てきました。ですから頭の中に様々な悲惨なイメージが蘇ります。近

くの戦争博物館に回ると、庭にはその当時のヘリコプターや戦闘機そして機関銃や大

砲が展示されています。そして館内には悲惨なベトナム戦争の写真が所狭しと、展示

されています。これを見ていると頭の中が40年前の世界になってきました。

 

サイゴン陥落の後、北ベトナム軍が粛々と進駐し大統領官邸に向かう情景は、当時の

産経新聞の支局長だった近藤 紘一氏の『サイゴンから来た妻と娘』 に描写された世

界として私の頭の中で広がっていきます。サイゴンの全市民が緊張し固唾を飲む中を

粛々と北ベトナム軍が町の中に進駐する緊張感は、この小説の中でもクライマックス

で、素晴らしいドキュメンタリーです。

 

そして再びホーチミンシティの街を見ると、明るくて活動的でたくましい経済成長を

実感させる風景が眩しいような情景として戻ってきます。

 

ホーチミンシティでレストランを経営している日本人の、眩しいような人生に出会い

ました。

 

https://www.youtube.com/watch?v=dqshKMuMnKo

http://mickeymouseclub.ifdef.jp/html/vietnam_rekishi_saigon01.htm

 

◆眩しい人生◆

ホーチミンでトレーニングレストラン“フーンライ(HuongLai)”を経営している白

井尋さんです。このレストランはストリートチルドレンや貧困で学校に行けない若い

人達をレストランのウェイター/ウェイトレスとして雇い学校に通わせ、そしてレス

トランで最高レベルの接客業務ができるように訓練します。そしてその人たちは、市

内の高級レストランに就職してきちっとした社会生活を送るようになります。なかに

はさらに五つ星のホテルに転職してキャリアアップしていく人たちもいます。

 

この方は若い時ベトナムに留学経験があり、貧しいベトナム人をなんとか支援したい

とこのレストランを経営してきたとのことです。驚くことに、寄付でこのレストラン

を経営するのではなく、きちんとしたビジネスとして持続的に経営されていることに

感銘を受けました。これがソーシャルビジネスのあるべき姿だと思いました。寄付で

このようなレストランを経営する例はあるようですが。

 

店の奥で背筋を伸ばして若い人達の動きを見守り、それぞれのテーブルに目配りをし

ている姿は、私にとって眩しいような姿でした。凛としたオーラが眩しかったので

す。一度しかない人生をこのように自己実現する方がいるのです。

 

◆プラチナセミナー◆

元東大総長の小宮山宏先生が主宰するプラチナ構想ネットワークの活動について、深

く理解していただくためにプラチナセミナーを企画しました。第一回目は、私が知る

限り日本で最も成功している地域プロジェクト“グランドワーク三島”の20年以上に

わたる活動をご紹介します。

 

日 時:2016年4月8日(金) 19:00 ― 20:20(18:40受付開始)

場 所:東急キャピトルタワー4階会議室又は霞ヶ関ナレッジスクエア

講師:渡辺豊博氏(グランドワーク三島 専務理事)

 

渡辺氏は、現職地方公務員時代から地域起こしの活動を精力的に行い、どぶ川の清掃

を一人で始めるところから、多くの市民を巻き込んで“水の都 三島”を再生させま

した。その道のりを中心に、真の協働と真の地域再生について伺う貴重な機会となっ

ております。

なお、講演終了後、60分程度の懇親会がございます(参加費2000円)。講師の先生、

また参加者相互の貴重な交流の機会ですので、あわせてご参加いただければ幸いで

す。

お申込みアドレス:register@platinum-network.jp

 

◆俯瞰のクッキング ―ロートレックのレシピ―◆

前回ロートレックの「カスレ」のレシピを紹介しましたが、ロートレックの料理本を

買ってみました。まさにロートレックは本物のシュフです。たくさんのレシピが紹介

されていますが、手が出るレシピは限られています。貴族階級であったロートレック

ですので狩りの獲物料理、いわゆるジビエ料理のレシピがありますがこれは手が出ま

せん。

 

最初にいろんなソースのレシピがありますが、かなり手が込んでいて家庭で作るには

重いですね。現在のフランス料理はヌーベル・キュイジーヌですが、この本のレシピ

はオートキュイジーヌと呼ばれる伝統的な料理です。

 

魚料理はいくつもありますが、川マスのレシピが多いです。冷蔵・冷凍設備のない時

代には、海岸近く以外では川マスが手に入る魚だったのでしょう。うなぎのレシピが

ありますが、いずれも皮をむくとあります。焼いた魚の皮はヨーロッパでは食べない

のでしょう。

 

ブイヤーベースのレシピもいくつかありますが、興味深いのは沸騰すると一旦火を止

め、また火を戻して3回ほど煮ることによってスープが美味しくなるというレシピで

す。また

また最初に魚と野菜を炒める時に使うオリーブ油の量がかなり多いですね。

 

レシピの中によく登場するのはバター、クリーム、卵黄そしてルーをかく、という言

葉です。また陶製の大きなシチュー鍋、がよくでてきます。オーブンは400度とあり

ますが、家庭のオーブンではとても無理ですね。

 

家畜料理のレシピはジビエ料理とは別の章になっていますが、これもなかなかレベル

が高く、われわれが家庭で作るレシピは限られています。その中で手が出そうなレシ

ピはこんなところでしょうか。

 

“ベシャメルソース”、これは、いわゆるホワイトソースです。問題ありませんね。

 

“貧乏人と呼ばれるソース”、これは赤ワインビネガーにみじん切りのパセリ、玉ね

ぎ、エシャロット、そして胡椒だけを加えてカキや貝類に使うということです。オイ

スターバーに行くとこれがでてきますね。

 

“ボルドー風の魚のスープ”、“地中海風の魚のスープ”、は地中海産の魚を使うか

北大西洋で取れる魚を使う違いがありますが、基本的にはブイヤーベースです。

 

“マスのクリーム煮”、これは内臓を取ったマスの腹に粒胡椒を2、3粒入れ、外側に

バターを塗り、塩胡椒をして焼き網で焼きます。そしてバターを塗った耐熱性の皿に

のせ、クリームをかけてオーブンでゆっくり煮るとあります。

 

“マスの水煮”、これは、内臓を取ったマスを、酢と少々の塩を入れて煮たてた鍋に

(クールブイヨン)、生きたままのマスを放り込むとあります。ニジマスは頭を叩い

て気絶させてから内臓をとるので、生きたままというのでしょう。そして、煮上げた

魚に溶かしバターをかけます。これはニジマスで何回かやったことがあります。クー

ルブイヨンは、本には数字はありませんが、水カップ3杯に酢を1/3カップ塩を小さ

じ2杯です。

 

“ブイヤーベース”、 かなりの好物であったようで、いくつもレシピがあります。

その一つ、6人前で地中海産の魚を3 kg用意するとあります。上質のオリーブ油を3/

4リツトル、みじん切りのタマネギを2個、ニンニクを5かけら、パセリ1束、タイム

少々、カイエンペッパーひとつまみ、新鮮なトマト5個、サフラン小さじ1/2杯、

荒塩大さじ1杯。

油がクリーム状になるまで野菜と調味料を鍋で絶えずかき混ぜながら、そして魚を入

れる。そして30分ほど置く。ここまでは火にかけないとのことです。具にする魚を取

り分けておき、一人当たり水を大きなコップに1杯すなわち6杯加える。 10分ぐらい

グラグラ煮たたせ、コップ1杯の冷水を入れ沸騰を鎮める。取り分けておいた魚を戻

して、再び3分間沸き立たせ、またコップ1杯加え沸騰を静まらせて、また沸騰させ、

またコップ1杯加え、さらに5分煮立てて、全体として18から20分間煮る。結局全部で

コップ8杯の水を加えることになる。3度沸騰させ2度沸騰を鎮めるプロセスで乳化し

た油は煮汁と混じり全体が完全に溶け合いとろみが出る、とあります。このほかに英

仏海峡風ブイヤーベースもありますが、これは地中海産の魚を用いないことだという

ことです。すぐに炒めるレシピもありました。

 

“ビーフシチュー”、面白いことに、ポトフで煮た後の牛肉を使うとあります。バ

ターを塗った陶製の皿に肉を並べて塩胡椒し、ブラウンソースをかけ、バターを乗せ

て、パセリのみじん切りを混ぜたパン粉をかけて、オーブンで焼くとありますが、

我々のビーフシチューとはかなり違っていますね。この昔ながらの料理法はすたれつ

つあるともあります。

“肉と白インゲンの煮込み(カスレ)” 、これは野菜や様々な肉のスープを用意

し、陶製の皿に煮込んだ白インゲンを敷き、その上にソテーした羊肉と鵞鳥の切り身

を置きスープをかけてパセリを混ぜたパン粉をかけてオーブンで焼くとあります。こ

のレシピもトマト仕立てのスープを作る部分に力が入っています。

 

この本は、各ページにロートレックが書いたデッサンがありますので、これを見てい

るだけでも結構楽しいです。

 

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8C%E3%83%BC%E3%83%99%E3%83%AB%E3%82%AD%

E3%83%A5%E3%82%A4%E3%82%B8%E3%83%BC%E3%83%8C

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AA%E3%83%BC%E3%83%88%E3%82%AD%E3%83%A5%

E3%82%A4%E3%82%B8%E3%83%BC%E3%83%8C

 

◆ニューウェーブの俯瞰 ―アイディア最前線―

毎日の様にアイディアに満ちた面白いものが発売されています。その中でちょっと

触ってみたいな、買ってもいいかな、と感じたものをいくつかご紹介しましょう。

どれも買っていませんが。

 

・オリンパスの「OLYMPUS AIR A01」

一眼レフカメラの交換レンズのような円筒型のスタイルで、“レンズ型カメラ”で

す。一見して普通のデジタルカメラらしくはないが、有効1,605万画素のマイクロ

フォーサーズセンサーを搭載する、れっきとしたミラーレスカメラです。液晶ディス

プレイや光学ファインダーを持たずに、撮影時の映像はスマートフォンのアプリで確

認するスタイルです。スマートフォンとの接続には、Bluetoothと無線LANを利用。ド

ローンやロボット、機器、壁などに装着すると面白いことができそうです。

 

・水中ドローンOpenROV

潜水可能な深度は100メートルまで、動作可能時間は2時間。OpenROVは自分で組み立

てるなら、11万8800円(税込)という驚異的な低価格です。そして購入してすぐに使

える水中ドローンOpenROV v2.8 水中観測キット【組立調整済】は37万8000円(税

込)。

 

・株式会社ドスパラUSBハブ付きOTGカードリーダー

スマホでマウスが使える!上海問屋がUSBハブ付きOTGカードリーダーを発売しまし

た。Androidスマートフォンやタブレット、PCなどで使用できるカードリーダーとハ

ブ機能を持った変換アダプター。OTG機能に対応しているスマートフォンやタブレッ

トに接続することにより、フラッシュメモリやマウス、キーボードなどを使用できま

す。

 

・アルカテル、本体が入っている箱がVRのヘッドセット

日本ではそれほど見かけない「アルカテル」のスマホですが、注目を浴びているのが

その最新機種。本体のスペックも良いですが、本体が入っている箱がVR(バーチャル

リアリティ)のヘッドセットになります!

 

・日産INTELLIGENT PARKING CHAIR

会議などで使ったあと、てんでんばらばらの場所に置いても、手を叩くだけで、もと

あった場所に戻っていく。イスの形をした、ちょっとしたロボットですね。駐車アシ

スト技術から着想を得たとのことです。

 

・GPSをインチレベル(約2.5cm)まで正確にする技術

GPS受信機は、地上2万 kmを飛行する衛星が発射している電波をとらえて、地球上の

自分の位置情報を出力してくれます。それ自体だとだいたい30フィート単位(約9m)

で位置を特定してくれます。最近の技術である、DGPSは、位置の分かっている基準局

が発信するFM放送の電波を利用して、GPSの計測結果の誤差を修正して精度を高めて

くれるので、3フィート(約90cm)単位まで精度が上がりました。

 

そして、カリフォルニア大学リバーサイド校の研究チームが、センサーから慣性測定

で定期的にGPSデータを増強する技術と、数桁のオーダーで計算の複雑さを軽減する

という新しいアルゴリズムを開発しました。この技術がモバイルデバイスに搭載され

るGPSシステムは、インチレベルの精度で位置を計算することができるようになりま

す。まだ製品になっていませんが、この技術を何に使いましょうか。

 

オリンパスの「OLYMPUS AIR A01」

http://dc.watch.impress.co.jp/docs/review/olympusair/20160217_743161.html

価格破壊な水中ドローン「OpenROV」

http://sorae.jp/030201/2016_02_17_rov.html

スマホでマウスが使える!

http://www.mdn.co.jp/di/newstopics/44099/

スマホの箱がそのままVRヘッドセットになる

http://www.gizmodo.jp/2016/02/alcatel_smartphone_VR_headset.html

日産がつくった「すごいイス」―使ったあと自分で元の場所にもどる

http://internetcom.jp/200233/nissan-smart-chair

位置情報がセンチ単位で正確になる、新しいGPSテクノロジー

http://www.gizmodo.jp/2016/02/gps_reserch.html

http://ieeexplore.ieee.org/xpl/articleDetails.jsp?reload=true&arnumber=7

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◆俯瞰の書棚◆

今回のご紹介は「WORK RULES!」ラズロ・ボック 東洋経済新報社 2015 です。

 

この本はGoogleの人事システムの紹介の本ですが、まさにGoogle発展の秘密を解き明

かしています。著者は、秘密主義と嘘と恐怖が蔓延していた共産主義政権下のルーマ

ニアからの移民ですが、その職歴が凄いです。デリカテッセンやレストラン、図書

館、高校生の家庭教師、日本で小学生に英語を教え、テレビ俳優、そしてコンサルタ

ントなどの多様な仕事を経験した後、“あらゆる企業の人材の使い方に変化をもたら

す方法を見つける”ことを目指し人事部の仕事を始めたとあります。マッキンゼーの

コンサルタントからGEの人事部に、そしてGoogleの人事部に移りました。

 

そして半分以上の時間を人事問題に費やしていたジャック・ウェルチの下で、業績に

基づいて社員を厳格にランク付けする人事システムを作り上げ、ニューヨークのクロ

トンビルにグローバル研修センターをつくるという仕事をしています。GEの人事シ

ステムはトップ20%ミドル70%ボトム10%に社員を振り分けるシステムです。トップ

の社員は特別扱いを受けリーダーシップ研修、ストックオプションといった報奨を手

に入れ、ボトム10%は解雇されます。

 

ジャック・ウェルチとジェフ・イメルトとの違いも述べています。ジャック・ウェル

チはsix sigma と人材を重視した、イメルトは売り上げとマーケティングを重視した

とあります。すなわち「エコマジネーション」です。そしてこの後Googleに移りま

す。上場から2年後のことです。

 

Googleは毎年約200万通の就職申請を受けるとのことです。そして雇う人数は数千人

ですからものすごい難関です。

 

全体で14章から成り立っていますが、第1章は創業者になろう(創業者のように振る

舞う)、第2章は文化が戦略を食う、です。戦略の基底にある文化が大切だというこ

とですが、これはピーター・ドッカーの言葉で、フォードの戦略会議室に貼ってある

そうです。

 

 Googleの文化の基底は、“ミッション”、“透明性”、“社員の発言権”です。そ

して第14章に、いわばこの本のエッセンスが集められています。“チームと職場を変

える10のステップ”です。

 1.仕事に意味を持たせる。

 2.人を信用する。

 3.自分より優秀な人だけを採用する。

 4.発展的な対話とパフォーマンスマネジメントを混同しない。

 5.「2本のテール」に注目する。

 6.金を使うべきときには惜しみなく使う。

 7.報酬は不公平に払う。

 8.「ナッジ」きっかけ作り。

 9.高まる期待をマネージメントする。

10.楽しもう!

 

この本読んでない人には、少し説明がいるでしょう。発展的な対話とは、どうしたら

もっと成長できるかというカウンセリングで、この会話と業績評価の話を一緒にする

な、です。

「2本のテール」というのは、すばらしい業績を上げている優秀な社員と業績が上が

らない社員のことです。すばらしい業績を上げている社員を丁寧に観察し、そこから

有効な情報を学び、業績が上がらない社員は能力が無いのではなく、与えられている

役割が不適切だと考えて、それを正すことです。

 

「ナッジ」とは、相手に気づかせて人生を良い方向に導いてあげることです。例えば

浪費をしないで、少しでも年金の積立金を増やしたほうが将来幸せになるとか、健康

についての習慣などを助言することです。

 

金を使うということは、Googleでは社員が死亡した場合、パートナーに未行使のス

トックオプションに相当する金額を払い、さらに社員のパートナーに10年間 給与の

60%支給し、子供がいる場合は19歳なるまで1人につき月1,000ドルを加算するという

手厚い、驚くようなお金の使い方です。

 

採用について興味深い記述があります。マネージャーに面接を任せると自分より優秀

な人を取らないから、専門のリクルーターが科学的なインタビューで面接します。そ

して自分より優秀な人だけを採るとあります。もっと採用に時間とお金をかけろとい

うことです。しかも心理学や社会学の博士の学位を持つような専門家を雇い、採用と

いうプロセスに科学を導入しています。またアイヴィーリーグの有名大学よりも州立

大学のトップクラスの人材をねらえということも面白いですね。ともかく驚くような

人材を世界中から発掘して採用するというのがGoogleの採用政策です。

 

採用に関するルールは、

1.求める人材の質の基準を高く設定する。

2.自分自身で採用候補者を見つける。

3.採用候補者を客観的に評価する。

4.採用候補者に採用の理由を伝える。

 

そして膨大な時間をかけた採用プロセスの開発で、最適な面接回数は4回、が結論で

す。ただし直感を信じるな、第一印象に囚われるなとあります。凡庸な面接者は最初

の5分間の印象で評価を行うとも言われていますし、さらに研究によれば面接の結果

は、最初の10秒で下された判断から予測できるともあります。Googleは、訓練された

面接者が複数で丁寧に面接するのです。そして確立された科学的な面接の手法は、構

造的行動面接と構造的状況面接を認識能力、誠実さ、リーダーシップの評価と組み合

わせるものです。この詳細は、本書を読まないとわからないと思いますが。

 

面接での質問の仕方についても興味深いGoogleのノウハウがあります。候補者が

Googleで成功するかどうかを予測できる4つの明確な属性があります。

1.一般認識能力、頭の良い人材です。

2.リーダーシップ。

3.Google的であること、ゆかいなことを楽しむ、従業員ではなくオーナーであって

ほしい、曖昧さを楽しむ。

4.職務関連知識、 Googleではコンピュータ・サイエンスに関する専門知識を重視

するようです。

 

また良いマネージャーの条件として、

1.良いコーチであること、

2.チームに権限を委譲しマイクロマネジメントをしないこと、

3.チームメンバーの成功や満足度に関心や気遣いを示すこと、

4.生産性・成果志向であること、

5.話を聞き情報を共有すること、

6.チームメンバーのキャリア開発を支援すること、

7.チームに対して明確な構想と戦略を持つ事、

8.チームに助言できるだけの重要な技術スキルを持っていること。

 

この本は、著者が作ったGoogleの最強の人事システムの紹介であり、その結果を披瀝

する本でもあります。

 

本書は人事関係者、部下を持つ管理職はもとより、経営トップが読むべき本です。そ

して人事と採用にもっともっと時間を割くべきだという自覚することになるでしょ

う。精鋭を集めることです。業績に悩んでいるであればGoogleに学ぶことです。

 

Google成長の秘密は、“社員に自由を与えれば驚くようなことをしてくれる、社員に

与える責任、自由、権力の程度は安心して与えられるよりもやや大きくしよう、あな

たが不安を感じないとすれば十分に与えていないということだ。”です。

 

 

◆編集後記◆

●アメリカ大統領選挙もクリントンとトランプの対決の様相になってきましたが、土

壇場で元ニューヨーク市長のブルンバーグの線もあるのでしょうか。

●日本の野党連合も進みつつありますが、国民の期待感はありません。政策のヴィ

ジョンがない人たちの野合でも、与党と対峙する勢力は牽制の意味で必要ですが。

●格差、貧困をなくす努力は、この国を風格ある国にして次世代に引き継ぐために必

要です。無論、各自が自分で努力する必要がありますが、努力をする場、働き場所が

必須です。

●英国のEU離脱で揺れる欧州ですが、軸となるドイツのメルケル首相が選挙で勝利し

たことでホッとした感じです。日本、米国、ドイツで国際社会の安定を担わないとい

けませんから。英国はAIIBやイラン戦争の様に当てになりませんから。

●Googleの人事システムは凄いですね。知り合いがいますが、内部の競争は凄くて、

本書に書いてあるように楽しんでいる人ばかりではない様です。ジョブセキュリティ

が全くないと、こぼしていましたから。創業者も移民で、逞しい自立心が日本人と違

います。逞しい移民が、米国社会を活性化しています。そんな逞しい移民を、日本社

会は受け入れられるのでしょうか。

 

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◆内容・記事に関するご意見・お問い合わせ/配信解除・メールアドレス変更右記ま

でwebmaster@fukan.jp

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◆俯瞰MAIL 0056号(2016年3月5日)

発行元:     一般社団法人 俯瞰工学研究所

発行人:   松島克守

編集長:   松島克守

URL:      http://fukan.jp

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俯瞰メール55号

◆時候のご挨拶◆

寒波だ、雪だと振り回されているうちに、気が付けばずいぶん日が長くなっています。夕刻5時でも明るいですね。ベランダのセージやバジル、ミント、イタリアンパセリ、タイム、マジョラム、みんな緑のまま越冬して新芽を出しそうです、やはり暖冬でしょうか。

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● 難民対応に苦しむヨーロッパ

● オバマ政権で崩れゆくのかアメリカ

● 18歳の新有権者はどこの党に投票するのか

● 俯瞰のクッキング―我が家の簡単料理―

● ニューウェーブの俯瞰―車の自動運転―

● 俯瞰の書棚 「都市の原理」ジェイン・ジェイコブズ

● 編集後記

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◆難民対応に苦しむヨーロッパ◆

トルコの海岸に打ち上げられた難民の男の子の写真から、ドイツを中心に積極的に難民を受け入れて支援しようとする動きがありました。

 

国連の高等弁務官事務所の集計によると、“年初から100万573人が欧州に上陸し、14年(約22万人)の5倍近くに上った。上陸できずに海で死亡したり行方不明になったりした人は3735人を数えた。上陸地点はギリシャが約84万人、イタリアが約15万人を占めた。出身地別では内戦が続く中東のシリアが49%で、アフガニスタン21%、イラク8%、アフリカのエリトリア4%と続いた”とあります。その大半が、バルカン半島の旧ユーゴスラビア諸国を北上するルートなどを通り、ドイツや北欧諸国に向かったと言われています。

 

ところがここに来て、風向きが変わりました。直接のきっかけは12月31日に起きたケルンでの難民による集団的な犯罪の事件です。 一時はロシア系のドイツ人の少女が難民から集団的レイプを受けたと報じられ、さらに難民に対する反発が高まりました。これは少女の茶番であったということがわかりましたが、難民に対する感情の爆発を引き起こしました。

 

そして寛容な社会で有名だったデンマークでは、難民の財産を没収するという法案が成立しました。法案は、難民申請をした人の現金や所持品が1万デンマーク・クローネ(約17万円)を超す場合、当局が超過分を没収できるとする内容。腕時計や携帯電話、コンピューターなども対象となり得る。一方、例外として結婚指輪や婚約指輪、家族写真、勲章やメダルといった「特別な思い入れのある貴重品」の没収は認めない方針、とのことです。

 

またヨーロッパの中でも最も移民と難民に好意的だったスウェーデンが、難民申請を却下した移民を強制的に送り返すと言う決定をしました。スウェーデンのイェーゲマン内相は27日、難民申請を却下した移民8万人を国外退去させる見通しだと発表しました。数年かけて、チャーター機で国外に移動させる方針ということです。

 

EU各国に働きかけて、積極的に難民を移民として受け入れる決定をしたドイツのメルケル首相も、今や苦しい立場になっているようです。さすがに各自治体も受け入れに悲鳴をあげ、そしてケルンの事件もあり、国会でも難民受け入れの拒否が強くなっています。

 

もともとこれらの難民は、欧米列強が中近東やアフリカに身勝手な介入を行い、統治体制を破壊した結果生じました。さらにシリアでは、ロシアが介入することによって絶望的な状況になり、シリア国民は生き残るために、国境を越えて安全な場所に家族を移さざるを得ません。シリア難民を大量に受け入れているヨルダンやトルコなどに対する財政支援もおこなわれていますが、収拾のめどは全くついていません。それどころかサウジアラビアとイランの対立は、この地域にあからさまなスンニ派とシーア派の宗派対立を激化させ、今後さらに事態が悪化する可能性すらあります。

 

日本はこの地域から遠隔にありますから、他人事のように思うかもしれませんが、もし北朝鮮の統治体制が混乱することがあれば、大量の難民が中国、韓国そして日本に押し寄せる可能性があります。この可能性があるために、中国は北朝鮮に対して厳しい制裁を課すことをためらっています。万が一にもこの状況になったとき、日本はどう対応するのか議論をしておく必要があるでしょう。イージス艦ではこれは防げませんから。

 

海岸に打ち上げられた移民男児の遺体、欧州各国で波紋呼ぶ

http://www.afpbb.com/articles/-/3059247?pid=16406551

ヨーロッパへ海路で渡った難民が100万人を突破~12月31日現在

http://globalrc.hatenablog.com/entry/2015/12/31/110018

大みそかの集団性犯罪に抗議、デモ隊と警察が衝突 独ケルン

http://www.cnn.co.jp/world/35076020.html

「難民が集団強姦」、少女の作り話だった ドイツ

http://www.cnn.co.jp/world/35077204.html

デンマーク、難民の財産没収法を可決 欧州の強硬姿勢に拍車

http://www.cnn.co.jp/world/35076875.html

非EU市民の流入に好意的な意見が大多数はスウェーデンのみ

http://www.huffingtonpost.jp/ginko-kobayashi/welcome-or-not-refugees_b_8107318.html

スウェーデン、亡命希望却下の移民8万人を国外退去に

http://www.bbc.com/japanese/35426146

難民政策で揺れる独の連立 「受け入れ限界」各地で悲鳴

http://www.sankei.com/world/news/160120/wor1601200021-n1.html

 

◆オバマ政権で崩れゆくのかアメリカ◆

アメリカ大統領選挙は理解しにくいような、ある意味見苦しい様相を示しています。トランプ候補とかサンダース候補が、あれだけの支持を広げている事は、明らかにアメリカ社会の中に大きな断層、亀裂があり、流動的で不安定な状態にあるとしか思えません。ただオバマ大統領はダメとは言え、アメリカは依然として唯一の超大国であり、この混乱の極みにある世界情勢に対して指導力を発揮してもらわなければならない国ですが、現在のオバマ政権は全くこの点において機能不全です。むろん国内においても機能していないのでしょう。涙を流して銃規制を訴えましたが、全く実効性がなく、茶番劇の様相です。

 

ブッシュ大統領が始めたアフガンとイラク戦争を終結させることを公約に当選しましたが、終結どころかさらに状況は悪くなりました。にもかかわらず何もしていません。何をしていいのか判らないのでしょう。外交担当のライス補佐官も問題あるようですが。

 

シリア情勢では全く無能ぶりを発揮し、結果として東地中海にロシアに軍事的な拠点を作らせてしまいました。ウクライナ情勢でも全く指導力がありません。加えて欧州が苦しむ難民問題についても何もできていません。

 

中国の覇権主義に対しても何も対応できずに、中国のAIIBの創設、南シナ海の不法占拠を見ているだけです。むろん北朝鮮に対しても何も対応できていません。

 

このオバマ政権を見てきたアメリカ国民は絶望的な気持ちになり、その捌け口としてトランプ候補やサンダース候補を支持しているのではないでしょうか。 2人とも可能性は無いと思いますが、アメリカ大統領になるととんでもない世界になってしまいそうです。

 

ブッシュ大統領に絶望したアメリカ国民は「チェンジ」の言葉に酔って、政治経験がほとんどないオバマ大統領を選択しましたが、結果としてアメリカの弱体化をもたらし、国際情勢の混迷化と国内の分断を生みました。民主主義の欠陥が顕在化しました。すなわち意味不明なアメリカ大統領選挙の状況は、オバマ大統領が作りだしたものだと言っていいでしょう。

 

日本にとって最も重要な同盟国であるアメリカの状況を、構造的に認識する必要がありますが、一般的なニュースだけからでは、本質に迫る認識を得ることができません。下記にある国際政治、アメリカ政治の専門家のブログは参考になると思います。私も読んでアメリカの認識が深まったと思います。御一読をお勧めします。3人のブログを読むと俯瞰の視野角が広がります。

 

逆転しつつある「オバマ」と「ブッシュ」の評価 会田弘継

http://www.huffingtonpost.jp/foresight/barack-obama_b_5885496.html

悲しき米大統領─オバマはなぜ期待外れなのか 石澤靖治

http://www.yomiuri.co.jp/adv/gakushuin/opinion/op002/page_01.html

「トランプ現象」で浮き彫りになった米社会の「地殻変動」 会田弘継

http://www.huffingtonpost.jp/foresight/donald-trump-america_b_8892664.html

米大統領選 共和党最有力候補マルコ・ルビオとは? 室橋祐貴

http://www.huffingtonpost.jp/yuki-murohashi/us-president-campaign_b_9001618.html

 

◆18歳の新有権者はどの党に投票するのか◆

夏の参議院選挙まで半年を切りましたが、政界の混乱は目を覆う惨状です。民主党と維新の会の統合の話も宙に浮いています。五野党で参議院1人区の候補一本化を議論していますが、政治に対するビジョンのないまま、これを進めても国民の支持を得る事は出来ないでしょう。自民党から野合と言われても反論できません。政策と公約のすり合わせもなしに一本化するわけですから。甘利経済相と遠藤五輪相の口利き疑惑のようなゴシップを予算委員会で議論するのも驚きです。そもそも予算委員会でなぜ政策と予算の整合性を議論しないのでしょうか、驚くべき永田町の常識です。もともと国民は永田町政治に期待もしていませんが、今度の選挙から新しい有権者になる18歳の人たちはどうすればいいのでしょう。彼らに対してどの政党も何もメッセージを出していないのです。

 

アメリカ大統領選挙のサンダース候補の支持者は既成の政治家に愛想をつかして政治家としての実績が殆ど無い彼を支持をしているのでしょうが、日本の若者は誰を支援していいのかわからないでしょう。結果として政治に対してさらに無関心になるのか、シールズのような新興勢力に支持が集まるのか、はたまた論理整然に聞こえる共産党に投票するのでしょうか。

 

日本の将来や改革に責任ある政党であれば、若い有権者に分かりやすい、未来に希望が持てるビジョンを熱く語るべきではないでしょうか。

 

最近の国会の質問では玉木雄一郎議員と山田太郎議員の質問が秀逸です。是非下記をお読みください。この二人に日本の未来を任せてもいいという気がします。

 

山田太郎議員の、「有害」図書の軽減税率排除という菅発言に対する質問

http://togetter.com/li/927296

参議院議員 山田太郎 オフィシャル Web サイト

https://taroyamada.jp/?page_id=1613

【衆院予算委】「税収下振れが戻ったからと使っては財政再建はできない」玉木議員

https://www.dpj.or.jp/article/108294

衆院予算委員会 安倍首相、憲法9条改正の必要性に言及

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160203-00000609-san-pol.view-000

 

◆俯瞰のクッキング―我が家の簡単料理―◆

料理自体が好きですから、手抜き料理を意識していませんが、本格的な手の込んだレシピも大変ですから簡略化します。ここでは意識的に簡略化した美味しい料理をいくつか紹介しましょう。

 

山菜の王様と言われるタラの芽は、天ぷらが一番美味しいと言われますが、衣を用意したり油で揚げたり手間がかかります。フライパンでオリーブオイルかバターでゆっくり炒めるとタラの芽の風味を十分楽しめます。

 

つぎは最近ハマっているレシピです。この季節は子持ちのヤリイカを魚屋で見かけます。いろいろな食べ方がありますが、トマトソースで、中火で15分ないし20分ほど煮るだけで美味しいヤリイカのトマトソース煮ができます。我が家ではトマトソースをまとめて作って小分けして冷凍してあります。今回はさらに簡略化して、カゴメのトマトソースの缶詰を使ってみました。鍋にトマトソースを入れ、そこに背骨を抜いたヤリイカ四ハイ入れて、蓋をして中火で20分ほど煮ただけです。ただそれだけですが、美味しい料理が完成しました。カモメのトマトソースの缶詰にはオリーブ油ベースのものと大豆油ベースのものがありますからご注意を。

 

南フランスの家庭料理にカスレという肉の煮込み料理があります。鴨肉、羊肉、豚肉、ソーセージなどのゴロゴロした肉と白インゲンの水煮にトマトを加えて煮込んだものです。最後にパン粉を振ってオーブンで焦げ目をつける、というレシピが一般的です。手間がかかるような料理に見えますが、これも意外と簡単にできます。

 

玉ねぎと人参、好みでニンニクのみじん切りを炒めて、そこにゴロゴロに切った肉を入れて炒めて、そこに白インゲンの水煮の缶詰もしくは紙パック入りを入れて、トマトジュース缶を入れて、ヒタヒタくらいまで水を足し、チキンコンソメか顆粒の鶏ガラスープを加えて、中火で40分ほど煮るだけです。そして塩胡椒で味を整えます。今回は鴨肉の燻製パックとベーコンを使いましたが、ソーセージだけで十分です。パン粉で焦げ目をつけなくても十分おいしいですが、耐熱皿に移してパン粉を振り焦げ目をつければ本格的です。元々は「カソール」という土鍋で作る料理なのでカスレとなっていたとのことです。ネットで見ると「カソール」は2‐3000円で売られています。

 

この料理との出会いは画家のロートレックが “お袋の味”として好物だったという雑誌の記事を見たことです。ロートレックは病弱で36歳で亡くなりましたが、貴族の出身で美食家ですから、そのレシピは豪華なものになっています。

 

トマトですが、普通のレシピでは湯?きにして種を取ったトマトを入れるとか、トマトの水煮の缶詰を入れるとありますが、生のトマトを湯?きにして種を取るのは手間かかりますし高価です。トマトの缶詰は量が多いので、残りの始末に頭を使います。その点トマトジュースの缶詰は簡便で、ビーフシチューやパエリア等にも活用しています。トマトジュースはカゴメの“夏しぼり”を愛用しています

http://shop.kagome.co.jp/lineup/summer/voice.html

 

◆ニューウェーブの俯瞰―車の自動運転―

車の自動運転は未来の話だと思っている人が多いかもしれませんが、すでに商業化が始まりました。電気自動車のテスラは1月15日に自動運転機能を含む新しいソフトウェアの配信を始めたと発表しました。今回配信される自動運転機能は、主に高速道路と自動車専用道路で自動運転が可能な「オートパイロット」、ウインカーを出せば自動的に車線を変更する「オートレーンチェンジ」、縦列と直角の駐車が可能な「オートパーク」の3つの機能です。ともかく、日本でも国土交通省の承認を受けて、公道での自動車の自動運転が始まったのです。そしてソフトウェアのダウンロード、インストールで車の機能がバージョンアップします。時代は変わったのです。これを改めて感じさせてくれます。

 

完全自動運転の電気自動車を2015年から公道で試験しているGoogleも着々と完成度を上げているようです。 Googleの自動運転車は実際に公道を走ると同時に、仮想空間で毎日480万キロドライブして安全性をチェックしているようです。

 

Appleも自動運転の技術開発を進めているようですが、 Googleとは少し違う自動運転カーになると言われています。たぶんAppleはソフトウェアを製品として自動車各社に提供するのではないでしょうか。

 

2020年の実用化を目指し、Google, Apple以外にも多くの企業が自動運転の開発に現在乗り出しています。アメリカ政府も自動運転車の研究に今後10年間で40億ドルを投資すると言われています。自動車の将来を決めるのは現在の自動車会社ではなくGoogleとApple、Teslaでしょう。

 

完全自動運転車にあまり積極的でなかったトヨタ自動車も、イノベーションの波に完全に置いていかれたことにやっと気がついて、米国に人工知能の組織を立ち上げていますが、相当ハンディがついてしまったと思います。私自身コンピューター産業の中に身を置き、巨人IBMが時代の波に乗ることができず、凋落していった状況を目の当たりに見ていますから、トヨタという巨人がこれと同じような凋落をする可能性を否定できません。

 

日本の自動車企業は、自動ブレーキには遅ればせながらも、なんとかキャッチアップしていますが、この自動ブレーキの威力は大きく、事故が6割も減ったということです。このため自動車保険の価格が下がるとも言われています。

 

時代の波、イノベーション波に付いていかない、ついていけない、これで日本の電機産業も、 IT産業も凋落していきました。自動車産業お前もか、という気持ちがします。

 

本来才能も知識も才気もある日本人が、組織という枠の中でこれを発揮できていないという事は疑う余地はありません。言った事はやれ、という“有言実行”の教え、目立つことなくきちっと仕事をする、周囲の空気を読む、日本の大企業が持つこの文化がイノベーションの阻害要因です。

 

自動運転社会始まる。国交省が承認し、テスラ「モデルS」用自動運転ソフトウェアの配信開始

http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/20160115_739177.html

Googleの自動運転カーは毎日480万kmを仮想空間でドライブし安全性をチェック

http://gigazine.net/news/20160203-google-self-driving-simulation/

Apple、自動運転技術の開発に着手 ??10年単位でビジネス化を計画か

https://web-at.jp/2015/02/business-of-apple-automatic-operation-technology/

Appleの電気自動車は2019年リリースで、Googleとは異なり自動運転カーではない可能性

http://gigazine.net/news/20150924-apple-electric-car-2019/

米政府、自動運転車研究に今後10年間で40億ドルを投資

http://jp.techcrunch.com/2016/01/15/20160114us-government-plans-to-invest-4b-into-autonomous-driving-research-over-the-next-10-years/

Google自動運転の成功の裏に隠された、人工知能技術の可能性とは?

http://getnews.jp/archives/1319959

車の未来変えるのはグーグルやアップル=奥山清行氏

http://jp.reuters.com/article/okuyama-i-idJPKCN0SL0CT20151027

日産が自動運転で目指す「ヒトと機械の共生」

http://toyokeizai.net/articles/-/97364?page=2

トヨタの自動運転、知られざる開発方針転換そして「その先」をにらむ日産

http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/264450/011700019/?rt=nocnt

自動ブレーキで事故6割減 変化迫られる自動車保険

http://trafficnews.jp/post/47865/

 

◆俯瞰の書棚◆

今回の紹介は「都市の原理」ジェイン・ジェイコブズ 鹿島出版会2011(1969) です。此の本は既にこの欄で一度紹介していますので2回目です。

 

今年はジェイン・ジェイコブズ生誕100年、没10年ということで、この機会に、ジェイコブズの全体像を描き出したいということで、雑誌『環』の別冊として「ジェイン・ジェイコブズの世界 1916-2006」の企画があり、その中のコラム「私にとってのジェイコブズ」に一文寄稿しないかというお話がありまして、改めて読み直しました。以下はその原稿です。

 

<ジェイン・ジェイコブズの衝撃>

もっと若い時に読んでおけばよかったと思う本は少なくありませんがジェイン・ジェイコブズの「都市の原理」はその一冊でした。1969年の旧い出版ですが、その真価は揺るぎがないと評価されています。この特集で重ねて紹介されるでしょうが、私が鮮烈な衝撃を受けた部分を紹介します。

 

ジェイン・ジェイコブズの言明は、冒頭から鮮烈でした。「都市ありき、そして農村が発生する」から始まり、「先史時代に農業と動物の飼育は都市で始まった」、「狩猟民の恒久的な集落が農耕前の生活の姿だと示唆したい」と言明しています。

 

「都市では新しい仕事が古い仕事に盛んに追加され、分業を増やしていく」が都市の原理であり、新しい仕事は「既に使われている物質又は技能から示唆されるものや出てきた特定の問題から生まれるアイディアから生まれる」そして「小さくても多彩な出発点を与える仕組みが都市の発展の要件である」これが本書のエッセンスだと思います。

 

「都市ありき、そして農村が発生する」は考古学的資料による実証的な言明です。新石器時代の世界最古の都市とされるトルコのカタル・フエクは、32エーカーの土地に泥の煉瓦で造られた建物が並び、人口は数千人にも達し、最古の布地もここで発見されており、多様な人々が交易するこの都市の人の集積と分業が農業や動物の飼育を始動させ、都市の外にそれを移転して農村が出来たという言説です。

 

ここの記述は、私の青森県の三内丸山遺跡を見た衝撃と重なります。三内丸山遺跡は単なる縄文式竪穴住居後ではなく都市であると、始めて訪れたとき確信しました。道幅が数メートルある大通りが十文字に走り、物見やぐら、居住区、穀物倉庫、集会場、墓地、ゴミ捨て場等が計画的に配置されている都市計画があり、 500棟以上の竪穴式住居跡があることから最盛期には数百人近い住民が居た可能性があるからです。出土物には黒曜石や漆など広域の交易の証左もあります。編み物もありました。今はありませんが街の周りには栗の木が栽培されていたようです。直径1メートルにもなる栗の樹です。縄文文化は狩猟採集文化といわれ、縄文人は移動する人々と思われていますが、ここでは1000年以上にわたり人が定住していたわけです。あのエジプトにクフ王のピラミッドが建設された時代です。

 

「新しい仕事が古い仕事に盛んに追加され、分業を増やしていくところ」が都市であり、「モノを新しく開発していく経済は拡大発展する、新しい種類の製品、サービスを追加するのでなく、ただ古い仕事を続けて繰り返すだけの経済は、あまり拡大せず、当然発展もしない」という言説は、経済という言葉を、企業に代えればそのまま当てはまります。「都市の発展は、新しい仕事が盛んに古い仕事に追加されることにある」という主張が二番目の言明です。

 

ここで興味深い論理展開が、「仕事の論理」です。親となる旧い仕事から、新しい仕事が生まれるとした上で、「追加される財貨やサービスは、旧い顧客が望むものと関係ない」と指摘しています。ですから売る相手も新しい顧客です。要は「ワクを大胆に打ち破って追加される」コトが新しい仕事です。デジタル・ネット時代のAppleやGoogle、Amazonがこれでしょう。

 

都市の爆発的成長については、「輸入品を置き換えていく過程は、都市を爆発的に成長させる」とし、事例として、明治の東京の自転車産業を挙げているのが面白いです。本書が執筆された時代は日本経済の高度成長期に当たりますので、成長の事例として日本は好都合であったのでしょう。

 

これらのジェイン・ジェイコブズの言説を今の日本に投影すると、成長戦略に対する助言そのものです。都市に集積した多彩な才能が、イノベーションを起こしていく仕掛けこそが成長戦略です。中小企業が集積している地域は、「旧い仕事に新しい仕事」を加えることでイノベーションン創出の街となれます。

 

ただ、「新しい仕事を追加する」しようとする人たちが知財や資本を手に出来る社会システムを整備する必要があります。

 

農業の六次産業化も議論されていますが、都市の科学技術や人材そして資本を農業に移転することが成功要件であることも明白です。先端的な植物工場の展開も科学技術の応用による「新しい仕事」で、国土の狭いオランダが世界有数の農業生産国になった成功要因です。

 

地域クラスターによる地域振興は地域内の取引密度と、金融を含む地域内の濃密なネットワークを形成することですが、地銀も東京で資金を運用するのではなく地域に戻り地域企業の「新しい仕事を追加する」ことに資金を提供する兆しが出てきました。

 

以上から、日本新生の成長戦略は、多様な集積がある、「新しい仕事を追加できる」都市を選択し、生活環境を整備し、そこに集中的に資本を投入することでリチャード・フロイトが説く、クリエイティブシティに繋げることです。幸い県庁所在地クラスの都市には文化と産業そしてそれを支えている人財があります。“地方消滅”は都市の原理に沿って克服するのです。

 

 

◆編集後記◆

● 前回から一月以上たってしました。色々な情報が脳に入力され、「さあ書くぞ」という精神の盛り上がりを待って書き始めるので、この俯瞰工学研究所のメルマガも不定期になってしまいします。

● それにしてもオバマ政権はまれにみる無策の政権で、ブッシュ政権が作った中近東の混乱をさらに重症にしました。パレスチナもニュースになりませんが平穏ではないでしょう。

● 安倍一強とか独裁とか言われますが、あまりに他が酷すぎます。民主党、維新の党も酷い。自民党内も定数削減でウジウジしていますが、安倍さんは公約とおり定数削減するでしょう。

● 食すべき食材をシンプルに料理して食す、これが重要です。ただ最近、野菜特にトマトが高いですね。セロリも。毎朝、人参とセロリとレモンのジュースを作って飲みますので。セロリはなぜか紀伊国屋が値段も安く質もいいです。ほかの野菜も質がいいですね。

● 日本企業ばかりでなく欧米の大企業も時代についていっていません。M&Aの足し算で規模を拡大しているだけで本質的な成長が見られません。自動車産業が直面する創造破壊の波がヒタヒタと迫ってきている感じがします。

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◆内容・記事に関するご意見・お問い合わせ/配信解除・メールアドレス変更右記までwebmaster@fukan.jp

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◆俯瞰MAIL 0055号(2016年2月7日)

発行元:     一般社団法人 俯瞰工学研究所

発行人:   松島克守

編集長:   松島克守

URL:      http://fukan.jp

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俯瞰メール53号

◆時候のご挨拶◆

北海道は大雪、東京も一気に冬の気配です。気が付けばもう師走も間近、本当に“光陰矢の如し”です。先日社会人の精華大学の学生の訪日研修で講演をしましたが、その折、朱熹の「偶成」の漢詩がキッチンに貼ってあり、“一寸の光陰軽んずべからず”といつも自戒していると、そして日本人は中国の文献を日本語で読む訓練を受け大学入試にも必要だったと、4行の詩を見せたところ、日本語で読んでみてくれとのことでしたので読んで見せたところ大きな拍手をもらいました。

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 来年夏の参議院選挙に向けて政局混沌

 域外各国の思惑でグチャグチャになった中東、そして無力なオバマ外交

 パリ同時テロとヨーロッパ経済への影響

 これでいいのか東芝の対応

 東芝、VWの不祥事に共通する構造

 ビジネスモデル学会第25回イブニングセッションのご案内

 俯瞰のクッキング~恵比寿の築地~

 ニューウェーブの俯瞰~ネットTVの時代を体感しましょう~

 俯瞰の書棚 「地図を旅する」

 編集後記

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◆来年夏の参議院選挙に向けて政局混沌◆

安倍首相は外交で飛び回っていますが、国内政治は混沌としてきました。まず、大阪維新の会がダブル選挙に勝利し国政に足場をつくりました。負けた大阪の自民党とは別に首相官邸はほっとしています。憲法改正の仲間ですから。

維新の会の分裂は決定的となり、その維新の会を民主党と一緒にするために、両党を解党して新しい党を作るという議論も混沌としています。何としても存在感のある野党を作りたいという気持ちはありますが、いろんな勢力がいろいろな思惑を絡めていますからこの動きも混沌としています。

自民党はこの野党の混沌とした状態を見て、来年夏の参議院選挙に衆議院選挙をあわせて一気に参議院と衆議院の両方において安定多数を獲得することを考えていると見る人もいます。できれば公明党抜きで両院での過半数を握りたいのでしょう。

与党の自民党と公明党は消費税の軽減税率で対立しています。ただこの議論は公明党が主張する生鮮食料品だけでは意味がなく、低所得者の多くはむしろ加工食品に頼っていると、これは正論だと思います。憲法改正についても慎重なリベラルですから自民党にとっても微妙な存在です。

このところ安倍首相のはしゃぎぶりは気になります。南シナ海の自衛隊の派遣にいったんは言及ししましたが一応否定しました。まさについ本音が漏れてしまったのでしょう。自民党内部に選挙の公認という睨みをきかせ沈黙させ、十分な議論を尽くす前にことを決めるという最近の状況には、「安倍首相は危険だ」という懐かしい共産党の不破共産前議長のコメントも納得がいきます。

この混沌の政局の後に来年の夏どんな政治体制になるかは、夏の選挙の国民の選択ですが、国民がどれだけ真剣に考えているのか不安です。そして18歳からの新しい選挙民の判断が興味深いです。


維新W選勝利、“都構想”議論再スタート 「野党再編」は混沌

http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/jnn?a=20151123-00000031-jnn-pol

維新分裂、再編に波紋 新党参加予定者ら165人を除籍

http://digital.asahi.com/articles/DA3S12017964.html?rm=150

大阪維新圧勝 自民敗北の内幕

http://www3.nhk.or.jp/news/web_tokushu/2015_1124.html

野党4党が勉強会 再編の土台作りも一体感は「?」

http://www.sankei.com/politics/news/151125/plt1511250042-n1.html

衆参同日選の可能性

http://blogos.com/article/145887/

「安倍政権は本当に危ない」 不破・共産前議長

http://www.asahi.com/articles/ASHCS6GB5HCSUTFK018.html


◆域外各国の思惑でグチャグチャになった中東、そして無力なオバマ外交◆

シリアを中心とした中東が域外各国の思惑でグチャグチャになっています。もともと混乱の極みのシリアにロシアが直接介入し、そしてアサド政権と敵対関係にあるトルコが別な思惑からIS包囲網にかかわり、シリア国境の上空でロシアの爆撃機を撃墜するというとんでもない火遊びをしました。

ロシアは手詰まりになったウクライナ情勢と経済制裁についてNATOと取引をするためにアサド政権を支援する形でISを追いつめる主導権を取りに行ったのですが、ロシア人観光客が乗っていた航空機をISに爆破され、シリア国境の反体制派を攻撃しているということがトルコによる爆撃機撃墜で露呈してしまいました。そのトルコに対しプーチン大統領はISの資金源である石油はトルコで取引されているという反撃に出ました。

フランスはパリの同時テロ事件で戦争宣言をし、地中海に攻撃型空母を出撃させてロシアとの共同作戦を始めています。そのフランスにイギリスのキャメロン首相はキプロス島にある空軍基地を提供しました。イギリス自身も直接戦闘行動を起こしたいと、議会に計っています。

さらにロシアと連携してシーア派のアサド政権を支援するイランの思惑、そのイランを牽制するスンニ派の湾岸産油国の思惑、本当に中東情勢はグチャグチャです。イスラエル・パエスチナも目が離せません。双方の武闘がエスカレーションしています。

この状況に何も出来ないのがアメリカのオバマ大統領です。オバマ大統領の外交は話し合いを重視する姿勢をとってきましたが、ISとどういう対話をするのでしょうか。中国に対しても対話を追求してきましたが、これも結局相手にされず南シナ海にイージス艦を派遣するという結果なりました。この支援にかっこよく海上自衛隊を派遣したい? それは安倍さんやり過ぎですよ。

ただこの中東の状況はどこまで正しい情報が報道されているのか判りません。様々な憶測がメディアから流れてきます。ただ日本もこの中東の情勢と無縁ではありません。直接的なテロのリスクが少なくても、経済的には大きな不確定要素を抱えることになりますから、企業は投資活動に慎重にならざるを得ません。イランの経済制裁の解除、ミャンマーの民主化、そして中国経済の停滞というグローバル経済の中で、日本も企業も我々国民も賢い判断を迫られます。


トルコ軍がロシア軍機撃墜 シリア国境、乗員2人死亡か

http://www.asahi.com/articles/ASHCS5TCCHCSUHBI01Q.html

ロシアのシリア「のめり込み」は止められない

http://toyokeizai.net/articles/-/94071

ロシアとイラン シリアを巡って欧米をけん制

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20151124/k10010317251000.html

IS殲滅には地上戦が不可欠 日本は報復の標的となりそうか?

http://news.finance.yahoo.co.jp/detail/20151125-00082152-diamond-column

アメリカ・マスコミ:「イスラム国」の熱心な広報チーム

http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/cat57052836/index.html

トルコが中東地域で孤立感を深める理由

http://toyokeizai.net/articles/-/62801

ネタニヤフがホロコースト修正主義と、イスラエルとパレスチナの衝突を必要とする理由

http://www.huffingtonpost.jp/stephen-zunes/netanyahu-holocaust-israel-palestine-in-japanese_b_8448708.html


◆パリ同時テロとヨーロッパ経済への影響◆

パリ同時テロは世界中に衝撃を与えるとともに、ヨーロッパにも深刻な影響を与えています。フランスの戦争宣言とISへの軍事的な反撃、シリアでのロシアの軍事介入とすでに紹介したように中東情勢はグチャグチャになっていますが、ヨーロッパの社会と経済にも今後じわりと影響を与えてくるでしょう。

心配される経済への影響ですが、 一時的な観光や消費の落ち込みあってもそれほど深刻な影響はないだろうという専門家の分析です。金融市場も冷静で問題もないようです。

ただ今後の中東情勢や第二第三のテロの発生があれば世界的に経済活動が減速し最悪の場合世界的な不況となるリスクもあります。という事は、企業はグローバルな投資を一時的に控えることになります。

最近はあまりニュースになりませんが依然としてギリシャ、ポルトガル等の南ヨーロッパの経済は深刻なままです。 一時40ドルを割った原油の価格に代表される資源価格の下落は各国の経済を翻弄しています。そういう中で市場の心理が少しでもぶれると、リーマンショックのような市場混乱が再発するのではないかという見方もあります。

ともあれ感度を上げて情報収集をし、細かな情報を俯瞰的に認識することを心がけていきましょう。小さなニュースはTVや新聞には報道されません。ネットのニュースを見る時間を取るべきです。とりわけロイターやFTそしてWSJという国際情報に強い情報源は重要です。


パリ同時テロニュース取りまとめ

http://jp.wsj.com/articles/SB11673646430017294066804581358370837715598

テロ、観光大国ゆさぶる 訪仏客・個人消費の減少懸念

http://digital.asahi.com/articles/DA3S12074895.html?rm=150

パリ・テロ事件が世界経済に与える影響は?

http://bylines.news.yahoo.co.jp/kodamakatsuya/20151115-00051485/

Terrorist attacks may pose risk to Europe's growth: S&P

http://www.cnbc.com/2015/11/19/terrorist-attacks-may-pose-risk-to-europes-growth-sp.html

今の相場が「リーマン前と類似」している理由とは?

http://newsbiz.yahoo.co.jp/detail?a=20151125-00000017-zuuonline-nb


◆これでいいのか東芝の対応◆

東芝の粉飾決算の後処理がおかしいですね。何とか曖昧な形で決着しようとする気配です。企業文化や体制を抜本的に変革し、日本を代表するグローバル企業として生まれ変わる決心を全く感じさせません。そもそも日本のメディアも粉飾決算を不正会計など、とんでもないことです。さらに子会社のWHの現存処理を開示しなかったことは殆ど証券法違反です。

当時の社外取締役も機能していませんでしたが、役員責任調査第三者委員会も機能していない感じです。 2,000億円以上の粉飾決算に対する責任が3億円という金額で世間はあっと驚きました。

むろんこんな出来レースの調査委員会は社会的に認知されていません。第三者委員会報告書格付け委員会は26日、東芝の不正会計に関する第三者委員会の調査結果を発表しました。委員8人のうち、4人が「C」、1人が「D」、3人が「F」と、総じて低い評価でした。

格付け委員会は、不祥事を起こした企業が問題調査のために設置した第三者委の発行する調査報告書を格付けする民間の独立機関です。最高評価の「A」から「D」と「F」(不合格)の5段階で評価します。

調査結果は、東芝の第三者委が調査の範囲を自ら設定せず、同社からの委嘱事項に限定したほか、「調査は東芝のためだけに行われた」としている点を問題視しました。不正会計に関与した歴代3人の経営者の動機に関する事実認定と評価が欠落しているとも指摘しました。さらに委員長の久保利弁護士は、東芝の報告書を「F」と評価し、第三者委員会のメンバーに、委員会発足直前まで東芝のグループ会社との顧問契約を締結していた弁護士がいた点や、公認会計士の一人が東芝と取引関係のあった監査法人に2014年まで在籍していたことを指摘し、「独立性に疑問がある」としました。

実は今回の事件は個人的にはあまり驚きませんでした。東芝とはいろんな人と個人的に、ビジネスでも長い付き合いがありましたが、その中で感じた東芝の企業文化には、 「気働き」、「上意下達」、「リスク回避」、「エリート意識」、「名門企業の自負」を感じました。これに首脳陣の権力争いという社内政治を混ぜ込めば今回のような事件は想定外ではありません。

東芝以外にも、杭打ちデータの改ざん、免震ゴムの検査データ偽造など明らかに企業文化に根ざした非倫理的な事件が相次いでいます。日本企業は外国の企業よりも倫理性が高いと思っていましたが、それは美しい誤解でした。日本企業ももっと厳しいコンプライアンス体制を強化する必要があるとつくづく感じました。ただ日本式経営は外部の者に口を挟んでもらいたくない、というところが依然としてあります。株主総会で委託された責任をきちっと果たしている社外取締役がどれだけいるか不安です。経営者も、社外取締役は自分が雇っていると思っている人も少なくないでしょう。経営者自身が選任するシステムはおかしいです。


東芝、WHの減損非開示で東証基準に違反

http://jp.reuters.com/article/2015/11/17/toshiba-wh-idJPKCN0T603W20151117

東芝は本当に反省しているのか 粉飾2248億円なのに損害賠償請求はわずか3億円 「不正なし」となお強弁

http://www.sankei.com/premium/news/151115/prm1511150005-n1.html

東芝「粉飾決算」の責任を問わない「役員責任調査委」驚愕の報告内容

http://www.huffingtonpost.jp/foresight/toshiba_b_8539192.html

元社長ら高額報酬なのに…東芝「たった3億円賠償訴訟」の裏

http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/168988/1

東芝の第三者委報告書、格付け委が低評価 事実認定など欠落と指摘

http://jp.reuters.com/article/2015/11/26/toshiba-report-idJPKBN0TF05M20151126

東芝、もはや修復不能だった歴代社長の確執

http://toyokeizai.net/articles/-/78211?page=2

元社長2人の対立で20万人東芝グループの危機

http://mainichi.jp/premier/business/entry/index.html?id=20150713biz00m010018000c

「業績至上」生んだトップの確執 「財界総理」固執が発端か

http://www.sankei.com/premium/news/150722/prm1507220009-n1.html


◆東芝、VWの不祥事に共通する構造◆

フォルクスワーゲンの排気ガス不正も東芝の粉飾決算の構造と共通するものがあります。首脳陣の確執、独裁制、エリート意識そして事なかれ主義です。なにしろ自動車の神様であるポルシェ博士の直系のファミリーがオーナーです。それの独裁制と2つに分かれたファミリーの覇権争いがこの大きな不正を社員に強いることになったのでしょう。

そして共通するのは大きな株主価値の毀損と社員の生活への甚大な影響です。

フォルクスワーゲンの場合は東芝とは比べ物にならないほどの巨額の財政的なインパクトがあります。巨額の賠償費用を捻出するために従業員は未来を失い、研究開発費と設備投資の中断により会社の未来を失い、株主は甚大な損害を受けます。

フォルクスワーゲンはドイツにとって特別な会社です。そこに生活の基盤を求めている人口はドイツ経済の中でも極めて大きな比重を持っています。株主に州政府が入っているためとりあえずリストラはやらないようですが、いずれは形を変えたリストラ話が出てくるでしょう。なにしろ2兆円を超えるという損害賠償ですから。企業存続の危機すら論じられていますが、その場合は公的救済になるでしょう。

ドイツ経済は加えて難民受け入れという大きな課題を抱えています。移民と難民という低賃金の労働者の上にドイツ経済は繁栄を築いてきた訳ですが、難民は即戦力にはなりません。その上にフォルクスワーゲンの販売不振、生産縮小が加わるとドイツ経済も変調を起こします。フォルクスワーゲンが売り上げの4割近く、利益の半分を依存する中国経済も停滞していますから。

このフォルクスワーゲンの不正のコストを肝に銘じて、そして東芝の轍を踏まないように日本の経営者はコンプライアンスに対して真剣に取り組んでいく必要があります。ですから東芝の後処理についても社会と国民がきちっと見守っていかなければなりません。


フォルクスワーゲンの最高実力者が辞任 現会長と確執

http://www.asahi.com/articles/ASH4V2Q3PH4VUHBI003.html

ポルシェ家とピエヒ家が議決権の過半を握る特殊な経営体制

http://diamond.jp/articles/-/82074?page=2

VW グループの排ガス問題、ガソリンエンジンにも拡大

http://s.response.jp/article/2015/11/04/263535.html

フォルクスワーゲンのエンジニア、二酸化炭素排出量に関する不正行為を認める

http://jp.autoblog.com/2015/11/11/vw-engineers-co2-emissions-cheat/

複数ディーゼル車で新たな排ガス不正の可能性…ドイツ当局

http://response.jp/article/2015/11/13/264142.html

フォルクスワーゲンの7〜9月期純損益 約2,300億円の赤字に

http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00306940.html

VW不正の莫大なコスト~リコール、訴訟、販売の減退

http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/219486/100500006/

フォルクスワーゲン、排出ガス不正対策費捻出のため、管理職の昇進停止と研究開発費の削減を決定

http://www.huffingtonpost.jp/autoblog-japan/vw-cut_b_8447574.html

不正に中国大失速まで…VW経営危機 メルケル首相の露骨な親中路線も裏目

http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20150930/frn1509301140002-n1.htm

VW不正事件を徹底追及するドイツ、一方、大企業に甘い日本、何が違うのか?

http://blogos.com/article/138733/


◆ビジネスモデル学会 イブニングセッション◆

1月18日(月) 第25回イブニングセッション開催のご案内

講演テーマ: ”俯瞰学で日本を識る、そしてどうする日本!”

講師:松島克守 氏 ビジネスモデル学会

   日時:1月18日(月) 19:00-21:30

場所:霞ヶ関ナレッジスクエア エキスパート倶楽部

(講演要旨)

「俯瞰学」には、時間的俯瞰、地勢的俯瞰、書誌的俯瞰、関係性俯瞰があります。この概要を説明したうえで日本の現状を深い水準で認識するため時間的俯瞰を行い、そして”既に見えている未来”を確認します。そして日本が持続的な成長をする為に必須の”イノベーション”がなぜ出てこないのかを分析します。参加各位の忌憚のないフィードバックを期待します。


◆俯瞰のクッキング~恵比寿の築地~◆

恵比寿駅前に祖父の代から3代目という魚屋があります。 「魚キヨ」です。普通の小売店ではなく、築地市場からとびきりうまい魚を仕入れてきて、付近の飲食店が買い出しに来る店です。ですから小さな築地市場が恵比寿駅の前にあると同じです。 小さく小売りもやっています。品川からの帰宅時に恵比寿で降りますからチョクチョク寄って魚を買って帰る店です。

近所のTSUTAYAいう書店にもチョクチョク立寄って本をなんとなく見て回っていますが、最近は主に料理本のコーナーに行きます。その中で面白そうな魚に関する本があったのでパラパラ捲ってみるとなんとその恵比寿の「魚キヨ」の本でした。本人たちが書いたというよりもたぶん話を聞いてライターが書いたと思われますが、これまで買った魚料理の本の中では1番の本でした。

魚に関する知識も増えましたし、今まで作っていない料理もたくさん紹介されています。料理というよりも魚の食べ方ですか。

今、旬のヤリイカですが塩で10分ほど茹でてしょうが醤油で食べる、これ簡単でイケます。此の塩ゆでは漁師料理でしょうか。

アナゴもよく店に出ています。これは醤油、酒、みりんで煮るという料理ですがこれはいつもやっています。ポイントは、開いたアナゴの背を表にして流しで熱湯を掛けることです。するとウロコが白いぬめりとして出ますからこれをこそげて切って煮るだけです。寿司屋のアナゴのネタです。

これから作ってみようと思っているのは、 10月から美味しくなるというカマスのフライです。いつも塩焼きしかしませんから。しかも今年は豊漁のようです。それからマグロのフライです。一度紹介しましたが牛肉のフライ(牛カツ)が絶品で且つ料理法として合理的です。さっとフライをした後取り出しておくとコロモの熱で牛肉全体に見事なピンク色に火が入ります。これと同じことをマグロでやってみたいと思います。ただついついマグロは刺身で食べてしまいますので、決心が必要です。

詳しくは下記の本でご覧下さい。

恵比寿「魚キヨ」が教える 本当にうまい魚の食べ方


◆ニューウェーブの俯瞰~ネットTVの時代を体感しましょう~

前回、我が家にニューウェーブが来たとネットTVを紹介しましたが、その後発売されたAppleTVとAmazonのFire TVを試してみました。

買ってから10年たったパナソニックのプラズマTVに接続して試してみました。 10年物のTVもこれを使えばネットTVに変身することが判りました。結論からいうとアマゾンのFire TVの方がお勧めです。Fire TV Stickは¥4,980です。音声認識リモコンがつくと¥6,480です。高機能型のAmazon Fire TVは¥12,980です。この高機能型に相当するApple TVは¥18,400です。細かい比較検討は出来ていませんがとりあえずFire TV Stick¥ 4,980でいいでしょう。私は音声認識リモコン付きを購入しました。TVに予備のHDMIのポートが必要です。なければ別にHDMI-D4変換器が必要です。

どのチャネルを見るかですが、Netflixを月1,000円弱で契約すれば見切れないほどのコンテンツが無料で見放題です。 Amazonのプライム会員ビデオは、どちらかというとビデオレンタル屋さんに近いです。かなり無料のコンテンツもあります。例えば“トップガン”とか、 “Steve Jobs”とかは無料コンテンツです。“アメリカのスナイパー”は500円のレンタルでした。

いずれも音声認識機能がついていて音声でコンテンツを検索できます。上記の3本も音声認識で検索したものです。Netflixでは三本とも無料コンテンツです。Amazonのプライム会員はもしネット通販を利用する人であればお勧めです。わずか3,900円で送料無料ですから、あっという間に元が取れます。

まだ十分な評価はできていませんが、気軽にネットTVの世界を体感するにはFire TV Stick¥ 4,980と、Netflixを契約するのがオススメでしょうか。Netflix はSDで650円、HDで950円、4Kで1,450円です。 HDは4K対応でもあります。残念ながら我が家の10年物のプラズマテレビは4Kに対応していません。 Netflixは世界50カ国以上で6,500万人超の会員を抱え、独自製作のオリジナルシリーズ、ドキュメンタリー、長編映画などを含め、多くのTVドラマや映画を低料金の月額定額制で配信しているだけの事はあります。何しろコンテンツに毎年3000億円近くかけていますから。

時代はどんどん動いています。とりわけネットがビジネスや生活に創造的破壊を起こしています。昔のままの生活もいいでしょうが、時代に付いていくことが重要です。とりわけシニアの人は意識的に新しい時代感覚を取り入れていかないと感性が鈍り、周囲の人に同じ昔話を繰り返し話すというマイナスの影響を与えます。

時代感覚に付いて行っていない経営者の企業の社員には悲惨な未来が待っています。ですから私は学生にはガラケーを愛用している人と付き合ないこと、 何故なら2000年以前の精神構造の人の話を聞いても意味がないどころか道を誤ると言っています。この15年で時代は不連続的といっていいほど激変しました。私が大学に帰任して俯瞰工学研究室を開いたのが2000年ですから変化を鮮明に記憶しています。

数千円の初期投資と月数百円のコンテンツ料金で2015年の世界に生きませんか、それともまだ2000年の(ブロードバンド、スマホ、Googleの無い)世界に生きていきますか。


◆俯瞰の書棚◆

今回の紹介は季刊誌 ”kotoba” の創刊5周年記念号「地図を旅する」です。何気なく書店で手に取ってパラパラめくって面白そうだったので買いました。読んでみると地図に関するあらゆる情報やエッセーが満載です。

まず「地図はどのように発展してきたのか」、というエッセーでは当たり前ですが税と軍事のために発達してきたわけです。とりわけ江戸時代の年貢という「物納」から明治になって金納の「地租」を正確に徴収するために「地租改正地引絵図」が作られたとのことです。明治政府は陸軍と海軍にそれぞれ地形図と海図を作成させてきました。面白いのは軍事的な理由から嘘の情報が書き込まれたとあります。 

「古地図を楽しむ」では時代小説は古地図を丹念に読みながら物語のイメージを作っているとのことです。現在街並みは変わっていますが、河筋は今も変わっていないのでこれをたどると昔と今を比較することができるともあります。古地図は時代を旅するための羅針盤とあります。 

「凸凹地図から都市を読み解く」はデジタル標高データを使って都市部の微妙な高低差を表現する凸凹地図が興味深いです。東京、名古屋、大阪の凸凹地図が紹介されていますが、かつて上野駅、東京駅、品川駅は海であったということが分かります。たぶん名古屋では熱田神宮の前は海ではなかったかと思います。この地図を見ると地震や津波の被害の予想ができると思います。特に東京は多角的に紹介されているので興味をそそられます。 「 GoogleMapはなぜ画期的なのか」この記事は目から鱗です。 「地図は上から見て、横で使うものだ」という言明です。これがグーグルアースの発想です。そしてストリートビューです。これを始めた人は天才だと思いました。世界中と言っていい地上の道路の映像をただで提供してくれます。そしてこのストリートビューの膨大なビックデータは今話題の自動車の自動運転に必須です。これなくして、自動運転は出来ませんから。日本における自動運転の実証実験もまず、実験ルートの撮影から始めなければなりません。もう一つ興味深いのはGoogleが独自に航空写真を撮っているのではなく、様々な機関が撮影して公開している航空写真を正確に縮尺して緯度経度を合わせて合成しているという事実がありました。 GoogleMapの通常の地図は地図会社から購入しているようです。それにしても10年前に始まったGoogleMapは天才的な仕事だと思います。

「ゼンリン住宅地図はこうして作られる」も目から鱗の記事でした。約1,000人の調査スタッフが全国各地を歩いて表札を確かめながら誰がどの家に住んでいるかを調べているのです。表札が出ていないマンションは調べられませんが。究極のアナログ地図です。凄い個人情報ですが販売されています。これがあるから消防車も救急車も迷わないのです。もちろん宅配業者も必須でしょう。 3·11では現地の自治体、警察、消防、自衛隊から紙版の住宅地図をすぐほしいと求められたとのことです。ゼンリンではすぐに住宅地図を閲覧できるインターネットでの無料公開をしましたがやはり「紙の地図」をほしいということです。

「 2020年の東京地図」に紹介されている1964年の東京と2020年の東京を想定した地図比較では、東京の50年のものすごい発展が認識できます。 2020年の東京は世界一の都市になっていることが分かります。

「宮本常一の地図の眼差し」は柳田国男を越えた民俗学者の凄さを教えてくれました。

この他にも面白い記事がたくさんあります。 「伊能忠敬が全国測量に出た理由」 、 「宮本常一の地図の眼差し」 、「ジパングがジャパンになるまで」 、 「縮尺のない鉄道路線図の歴史」と興味深い記事が満載です。ご一読をお勧めします。


◆編集後記◆

 今回は2か月時間が空いてしまいました。理由はわかりませんが書きたいというイニシエーションがなかったのでしょうか。パリの連続テロで活性化したみたいです。

 アメリカ共和党の大統領候補者レースを見ていると、こんな人達が世界をリードするのかと愕然とします。トランプ候補を支持するアメリカ国民と社会の黒い闇を感じます。

 普天間基地の辺野古移転は難航していますが、いまさら変更できないことはわかりますが、沖縄の「なぜ沖縄だけに基地が集中するのか、本土でも安全保障を分担すべき」も理解できます。佐賀県がオスプレイの配置をあっさり断りましたがそれでいいのでしょうか。九州には分担しようという機運はあるようですが。

 コンビニ弁当に代表される加工食品は低所得者や学生、シニアにとって比重が高いですから、公明党の税制再建の財源とは別に考えるべき、には同意します。

 一億総活性化、誰の発案か分かりませんが、アベノミクスの失敗で、“第4の矢”とは言えないのでしょうね。そういえばいつの間にか“アベノミクス”は見かけませんね。

 孫を連れて台場の科学未来館に行ってきましたが、設備もプログラムも中途半端という印象です。駐車スペースも狭くて、カフェも小さく、目玉のロボットアシモのデモが2時間おきに1日3回,たった10分間・・・、設立責任者の想い入れや拘りを全く感じさせないものでした。

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俯瞰メール52号

◆時候のご挨拶◆

田園風景はいま黄金色の実りが広がっています。瑞穂の国、黄金の国のイメージがぴった

りです。荒っぽい今年の気候に耐えてよくぞここまでという感じです。局地的にはこの収

穫を全て失ってしまわれた方もいらっしゃると思うと胸が痛みます。新米のご飯に、サン

マの塩焼き、大根おろし、カボス、日本人に生まれてよかった!

ただ今年のサンマは、いまいちですね。


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・EUの試練、難民受け入れ

・安保法制成立と今後

・インド経済をどう見るか

・ビジネスモデル学会第24回イブニングセッションのご案内

・第27回俯瞰サロンのご案内

・俯瞰のクッキング?料理の新常識?

・ニューウェーブの俯瞰?メディア革命が我が家に来た?

・俯瞰の書棚 「若い時に読んで人生に影響を与えた本」

・編集後記

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◆EUの試練、難民受け入れ◆

EUに押し寄せる難民が大きな問題となりました。特に、戦乱が長引き無政府状態に近いシ

リアからの大量の難民が、EUとりわけドイツおよびスウェーデンに向かって、さながら民

族大移動のような状態になりました。ボートが転覆し失われた小さな命が海岸に流れ付き、

その悲劇的な映像がネットで世界中に流れ衝撃を与えました。これを契機にEUの首脳、

なかでもドイツのメルケル首相が積極的な難民の受け入れを表明しました。ネットと映像

の力を改めて感じさせました。


ただ他の国はドイツほど積極的な難民の受け入れをしようとしていません。とりわけ東欧

や中欧の国々はネガティブで、通過するだけの難民に対しても、支援をするどころか排斥

するような行動もあります。ドイツはほぼ完全雇用の状態でむしろ働き手が足りません。

一方の東欧や中央ヨーロッパの国々は失業問題があり雇用をむしろ必要としている状態で

すから、当然受け入れにはネガティブです。


ドイツは第二世界大戦のあと、東ヨーロッパにいたドイツ系の移民を大量に受け入れまし

た。また東独の併合はある意味大量の難民受け入れであったかもしれません。しかし、

あまりにも数が多いので、ドイツだけでこれを受け入れることができません。イギリスや

アメリカも受け入れを表明しています。


元はと言えば、欧米の列強が中近東に利権を求めて介入して統治体制を混乱させ、内戦状

態を作り、制御不能な状態にしたことに原因があります。特にシリアはアサド政権と反体

制派、スンニ派とシーア派の代理戦争という構造が悪魔のようなイスラム国を生み、現段

階では直接介入すらできません。アサド政権に対立する反体制派に訓練と武器を供給しま

したが、なんとこれがイスラム国にまわっています。そしてロシアはアサド政権への武器

の供給を積極的行い、シリアの混乱をさらに強めています。


シリア以外にも、列強が人道支援と称してカダフィ体制を破壊して無政府状態になった

リビアを通ってサハラ砂漠以南の絶望的な貧しい人々が地中海を渡り、 EUを目指してい

ます。ただこの海上ルートは大変危険で何千人という難民が命を落としています。

これはヨーロッパの問題であると同時に世界的な人道問題です。この難民問題に日本がど

のような形と体制で対応するかが現在の重大な課題です。


ドイツと異なり、日本は難民受け入れの歴史もなくその知識もありません。しかし集団自

衛権で世界の安全保障に対して積極的に関与すると決めた以上、これに積極的な対応が求

められます。歴史的に日本人の大きな意識変革への挑戦と、受け入れる覚悟を迫られてい

ると思います。


溺死したシリア難民の男児の写真に世界が衝撃

http://jp.wsj.com/articles/SB12096842380967064583604581211692551093796

ドイツ、「年50万人の難民受け入れ可能」

http://www.afpbb.com/articles/-/3059761

難民は「未来の熟練工」、ドイツ高齢化の救世主か

http://jp.reuters.com/article/2015/09/11/analysis-migrants-germany-skilled-worker-idJPKCN0RB0I820150911

欧州目指す難民、ドイツに集中=EU全体の対策不可欠に

http://www.jiji.com/jc/zc?k=201508/2015082000458&g=int

欧州難民危機、知っておくべき4つのこと

http://jp.wsj.com/articles/SB10967160243142334065304581220070239235968

難民受け入れをめぐって東西に分裂するEU

http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/110879/090200077/?n_cid=nbpnbo_casr

ハンガリーがセルビア国境封鎖、EU域内への難民・移民流入阻止

http://jp.reuters.com/article/2015/09/16/europe-migrants-idJPKCN0RF2XG20150916

米国訓練のシリア武装勢力、配給の武器弾薬を過激派に渡す

http://www.cnn.co.jp/world/35071015.html

さて、安倍政権はどうする 国連からの難民受け入れ要請

http://blogos.com/article/132647/


◆安保法制成立と今後◆

国論を2分し激しい議論の末、かなりの強行突破で安保法制が成立しました。まさに熱く

長い夏でした。夏までには法制を整備するとアメリカ議会でコミットをし、スタンディン

グオーベルを受けた安倍首相の不退転の決意が法制の成立のドライバーだったと思います。

政治家としては一定程度の評価を受けていますが、欧米でも厳しい評価があります。また

アジアでは習近平よりも安倍首相のほうが、人気がないことは要注意です。日本の好感度

は最高ですが。


安保法制に対し対案という修正を主張しないで、憲法論議に終始した民主党と維新の党は

政権担当の意思を問われます。戦争法案という共産党、徴兵制という社民党は論外ですが。


一部の野党は集団自衛権の行使に対して強い国会の管理と関与を条件に賛成に回りました

が極めて正常な判断だと思います。放っておけば多数決で法案は成立するだけですから、

安保法案が持つリスクを軽減して成立させるという判断は、現実的な政治の技だと思います。


多くの憲法学者や、元最高裁判事、元法制局長官は憲法違反であることを主張していまし

たが、憲法学者の世界での自分の立場の擁護であって、政治的な議論とは別の話です。

そもそも憲法の解釈はすでに常識を超えています。陸海空の戦力は保持しないとしながら

も、世界有数の軍事力を自衛隊として日本は保有しています。これまでは専守防衛という

ことで戦力に当たらないという解釈で来ていましたが、今回の憲法論議で言えば明らかな

憲法違反でこれに言及することなく違憲論議を展開していました。


ただ国会論議の中で、首相自らヤジで委員会を混乱させたり、自民党議員が院外で無責任

な言動をして世論のヒンシュクを買うなど、自民党の品格を疑わせるような事象があった

ことも、国民感情を反対の方向に持っていきました。しかし世論の過半数が反対であって

も国会で多数決の論理で法案を通すということは、民主主義の仕組みの代表制の根本的な

課題です。


今回で興味深い現象は新しい学生運動です。かつての学生運動とは全く異なるもののよう

ですが、政治に白け切ってきた若い世代が政治に関心を持ち、発言をはじめたことはある

意味画期的な現象です。国会周辺での反対運動における言動は稚拙な水準であったように

伝えられていますが、選挙権が次の参議院選挙から18歳に引き下げることを考えると、

日本の政治に新しい何かを加えることになるかもしれません。これに対してかなり激しい

公安の対処があったような報道がされていますが、もしそうとすれば、そのような対処は

学生運動を過激化させる恐れがあります。


それにしてもこの安保法制に関するメディアの対応を見ると不安になります。なぜか政府

に対する遠慮がちな姿勢が気になります。 NHKは、一時は委員会審議の実況を途中で打

ち切るなどという、メディアとして自殺的な行動もありました。その他のメディアにして

も、なぜか半身の対応のような報道だったと思います。毅然としたメディアこそが、民主

主義の基底構造です。自らその使命を放棄するならば、メディアそのものが自滅の道を選

ぶことになります。それでなくても紙のメディアは凋落が激しく、テレビにしてもネット

の動画配信という大きな脅威に直面している現在ですから。そしてこの段階においても粉

飾決算を不適切会計処理と書いているメンタリティですから、若いメディアの方々が本来

の使命を自覚してこの状態をなんとかしてもらいたいと思います。


安保法案可決、賛否両論の海外

http://newsphere.jp/politics/20150926-1/

高感度調査は中国の習主席、日本の安倍総理、インドのモディ首相の順

http://www.pewglobal.org/2015/09/02/how-asia-pacific-publics-see-each-other-and-their-national-leaders/

http://blogos.com/article/134150/

SEALDs(シールズ)

http://www.sealds.com/

反安保の学生に警察が…土足でズカズカ“横暴捜査”実況中継

http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/164447

民主党の岡田克也代表が5日、党本部で大学生との座談会に

http://www.sankei.com/politics/news/150706/plt1507060005-n1.html


◆インド経済をどう見るか◆

中国経済の減速が構造的にも認識されるようになって、次の成長はインドという期待が高

まります。幸いインドは中国依存がほとんどなく、資源がありませんが、資源価格の暴落

は追い風です。インドは7%の経済成長と言われていますが、この段階では世界で最も高い

成長率になります。最近の新車販売も5%成長と伝えられていますから、 5%ないし6%の

経済成長の状態にあると考えてもいいでしょう。むろんインドが長期的な成長を継続でき

るかは疑問がありますが、インドは日本や中国と別の成長モデルになるのではないかと思

います。日本と中国は約10年間2ケタ成長という高度成長期を持ちましたが、その間に生

じた構造的な脆弱さが顕在化して、ハードランニングで5%程度の成長という世界に入った

わけです。そして日本は金融緩和で作られた不動産バブルとその崩壊によって、 1%程度

の低成長、デフレの時代に入り今日に至っています。中国も多分日本と同じ推移を辿ると

思います。


インドは2ケタ成長という高度成長モデルを取ることなく、5%ないし7%の中成長の経済

を持続することができれば、持っている人口のポテンシャルからかなりの経済大国になる

可能性があると思います。なぜか私は、1996年以来10回以上インドに行き、その変化と

驚異的な成長を見てきました。50万人であったバンガロールの人口が1千万人!


インドの強みは若い人口構成です。生産年齢が増え続けるといういわゆる「人口ボーナス

気」が2040年まで続くと言われていますし、農村から都市への労働力の移動である

「ルイスの転換点」もかなり先になります。無理な金融的な成長をしないで、現在進めて

いるインフラの整備、そして製造業の育成を進めていけば、持続的な経済成長を実現でき

るのではないでしょうか。


このような感覚からでしょうか、これまで距離を置いていた日本企業も活発にインド進出

を始めています。そのような日本の製造業の受け皿となる工業団地も続々とプロジェクト

が進められています。インド進出の企業にとって、大きな課題は労働慣行と土地収用の問

題です。工業団地という形で土地収用の問題を処理できれば企業の進出は容易になります。


一方の労働慣行は現政権も苦労しています。モディ政権は下院では過半数を取りましたが、

上院では過半数に達せず国民会議派に抑えられねじれ国会の状況で法案が通せません。

いくつかの大統領令でしのいでいますが、抵抗勢力の労働組合の力も強く雇用関係改善の

法制整備ができていません。


インドはソフトウェアとしてのIT産業は今や世界最大の規模ですが、ハードウェアの生産

ではかなり後進です。生産年齢人口もピークアウトし、「ルイスの転換点」を通過したとさ

れて人件費が急上昇している中国、さらに、すでに普及も飽和点をこしたといわれるスマ

ホのメーカーは、生産拠点を中国からインドに次々と移しています。アップルの生産を担

当するEMSも大々的にインドに移動しています。もうすぐインドが世界のスマホの生産供

給基地となりそうです。噂のアップルカーもインドで生産される可能性が高いと考えられ

ています。この勢いで関連する製造業が集積し、インド経済の課題である製造業の育成が

進むといいと思います。


その中でも日本の活躍も目につきます。日本の新幹線の技術がインドに取り入れられよう

としています。電力プラントでも、いくつかの大きな案件が進んでいます。もっとすごい

ことがあります。今インドでは61件の地下鉄のプロジェクトがあるということですが、

これは、ほとんど日本の主導で行われています。ニューデリーの地下鉄の総延長キロは、

すでに東京に抜いているようです。バンガロールでも工事は進んでいます。


なんとそのリーダーは阿部玲子さんという日本人の女性です。現地では“マダム阿部”と

呼ばれているようです。インドはもともと男尊女卑が強い国です。その中でのプロジェクト

を統括していく人間が女性ですから、当初は苦労されたようです。しかし、その強烈な

リーダーシップによって、今ではなんと、ジェンダーとして地下鉄工事の世界では男性、

女性、阿部という第3のカテゴリーを確立してしまったとのことでした。多くの現場で磨

きあげた技術の高さがそれを周囲に認めさせています。私は何年か前にバンガロールの地

下鉄の工事現場を案内して頂ました。 8月の俯瞰サロンでは講師としてお招きして、大勢

で感動、感動の時間を持ちました。また機会があったら企画します。


阿部さんは、現在、勤務しているコンサルティング会社のインド支社長に就任して、

さらに各都市の地下鉄のプロジェクトを指導しています。約4万人を統括しています。

その活躍ぶりは下のURLにありますが、 地下鉄工事で渋滞する中でタクシーの運転手が

「マダム、これが俺たちのメトロだ!」と自慢し、「ところであなたの国に地下鉄はあるの

か?」のくだりでは笑いながらも、感動で泣かされました。日本男児もっと頑張らないと

いけませんね。


それにしても、Apple、Microsoft、ソフトバンクというビックビジネスで次々とインド人

のCEOが誕生するとはインドが持っている人財の可能性を見せつけますね。


インド 新車販売、5%増の27万台…2か月連続で増加

http://carview.yahoo.co.jp/news/market/20150914-10229993-carview/

インドは長期好景気に恵まれるのか?

http://news.mynavi.jp/news/2015/08/17/491/

ルイスの転換点

https://kotobank.jp/word/%E3%83%AB%E3%82%A4%E3%82%B9%E3%81%AE%E8%BB%A2%E6%8F%9B%E7%82%B9-680548

人口ボーナス

https://kotobank.jp/word/%E3%83%AB%E3%82%A4%E3%82%B9%E3%81%AE%E8%BB%A2%E6%8F%9B%E7%82%B9-680548

https://kotobank.jp/word/%E3%83%AB%E3%82%A4%E3%82%B9%E3%81%AE%E8%BB%A2%E6%8F%9B%E7%82%B9-680548

インドで日本専用工業団地の整備が進んでいる

http://www.nikkan.co.jp/kogyodanchi/k-news/overseas/k130916a.html

議会、中央地方のねじれが障害

http://www.mizuho-ri.co.jp/publication/research/pdf/insight/as150310.pdf

インドで大規模ゼネスト、労組推計1億5000万人参加

http://www.afpbb.com/articles/-/3059237

小米がインドでスマホ生産へ、シェア拡大狙い鴻海と提携

http://jp.reuters.com/article/2015/08/10/xiaomi-idJPKCN0QF0XW20150810

中国のレノボ、インドでスマホ生産

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NT9PRL6S972I01.html

インドで日本の新幹線技術推奨

http://www.sankei.com/world/news/150720/wor1507200028-n1.html

マダム、これが俺たちのメトロだ!

http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/shiryo/hakusyo/13_hakusho/column/column06.html

阿部玲子さん?「ウーマン・オブ・ザ・イヤー2013」リーダー部門受賞

http://wol.nikkeibp.co.jp/article/column/20131127/167601/?rt=nocnt

建設コンサルのインド現地法人社長になった阿部玲子さん

http://www.sankei.com/world/news/141007/wor1410070005-n1.html

Sharing Technology for Metros in India

?Prime Minister's Office of Japan(日本政府)?

https://www.youtube.com/watch?v=p-95rBHZNBc&feature=youtu.be


◆ビジネスモデル学会 イブニングセッション◆

9月29日(火) 第24回イブニングセッション開催のご案内

詳細・お申し込みはこちら >> http://goo.gl/WneuR2

講演テーマ: 女性活躍推進がなぜビジネスを変えるのか?

講師:麓 幸子 氏

   日経BP社生活情報グループ統括補佐

   日経BPヒット総合研究所長・執行役員

日時:9月29日(火) 19:00-21:30

場所:霞ヶ関ナレッジスクエア エキスパート倶楽部

(講演要旨)

今国会で成立が見込まれる女性活躍推進法。その法律の解説を踏まえ、なぜ女性活躍推進

が必要なのか、ビジネス上でどんなメリットがあるのか、その戦略と効果的な施策を先進

企業の豊富な事例を交えて紹介する。


30年以上、働く女性と企業の女性活躍施策を追ってきたジャーナリストとしての知見と、

研究者として学術的に証明された理論を用いて講演する。

日本の企業が陥りやすい女性活躍NG事例も用意し、なかなか進まない女性活躍の阻害要因、

それを打破するためのポイントも提供する。


(講師プロフィール)

1984年筑波大学卒業。同年日経BP社入社。1988年『日経

WOMAN』創刊メンバー、2011年12月まで5年間『日経WOMAN』編集長。2012年よりビズラ

イフ局長に就任、『日経WOMAN』

や『日経ヘルス』などの媒体の発行人となる。2014年より現職。

同年、法政大学大学院経営学研究科修士課程修了。

内閣府企画調査委員、経団連21世紀政策研究所研究委員などを歴任。


◆第27回俯瞰サロンのご案内(10月30日)◆

「ブランディングの先駆者に聞く、“世界のソニー”ブランドの創造(仮)」

日本企業のグローバル化において、“世界のソニー”として確固たる地位を築いたソニー

が果たした役割はだれもが認 めるところです。

その立役者の一人として牽引した、元ソニー宣伝担当役員の河野透さんをお招きし、ブラ

ンディングについてお話を伺います。

 参考書籍:「ソニーのふり見て、我がふり直せ?ブランドで稼ぐ勘と感?」

       ソル・メディア発行 著:山口誠志、語り:河野透


日 時: 10月30日(金)18時30分から20時 (受付開始は18時15分)

場 所: SAP Creative Lounge

     港区港南1丁目7-1 ソニー本社ビル1階

     https://www.facebook.com/sapcreativelounge/info

参加費: 講演会のみは、無料

定員 : 60名程度 (定員に達した時点でお申込みを締めきります)

懇親会: 講演終了後、懇親会を開催。参加費用は3000円程度。


※日程・内容は予告なく変更されることがありますのでご容赦ください。


お申込み: http://www.fukan.jp/俯瞰サロン/


◆俯瞰のクッキング?料理の新常識?◆

肉は冷たいフライパンに入れなさい!という料理の新常識の話です。科学的料理を標榜す

る元シェフの水島弘史さんの科学的料理理論の話です。


基本は弱火で料理した方がいいということです。これはたんぱく質の凝固の温度が70度く

らいということから来ていますが、これまでもいろんな人が紹介しています。例えば豚の

冷しゃぶを作るときには、沸騰した湯ではなく70度程度の湯でさっとゆがくとか、ステー

キも空気を抜いたジップ袋を70度程度の湯に沈めて火を入れるなどです。


私も少しずつ弱火の使い方を意識してきたところでした。この本ではトンカツもチキンソ

テーもアジフライも、そして野菜炒めも、すべて冷たいフライパンに入れてから弱火、

もしくは中火でじっくりと火を通して最後にさっと焦げ目をつけるという料理法です。


アジフライもやってみましたが、うまくできました。これも衣をつけたアジをフライパン

に入れ、やっと被る程度のサラダオイルを注いで弱火でじっくりと火を通します。裏返し

て火を通した後取り出して、そのフライパンを180度程度に加熱し、その中でアジをさっ

と泳がせるようにして焦げ目をつけます。素晴らしい出来でした。ポイントの1つは並べ

た材料の面積とフライパンの面積が同じことです。我が家では加熱して酸化した油は捨て

ることにしていますので、この方法ですと捨てる油が最小限になります。フライパンは16、

20、24、26、33cmと揃えています。鍋道楽ですね。


チキンソテーもやっていましたが、これも上出来です。野菜炒めも鍋にサラダオイルを入

れて切った野菜を入れてゆっくり食べます。すべて冷たいフライパンからです。シャキシ

ャキと仕上がります。青椒肉糸も試しましたが、うまくできました。問題は調理時間が少

し長くなるということです。


中火、弱火ですが我が家はIHなので弱火は5、中火は6-7くらいですが、一度温度を測り

ながら決めたいと思います。


ムニエルのレシピもあります。水島流ではバターたっぷりです。まずバターを中火でゆっ

くり溶かしてその中に粉を叩いた魚を入れます。そしてじっくりと火を通すだけです。


たまたまテレビの番組で「さんま漁師に人気のレシピ。さんまのムニエルの作り方」とい

うのも見ましたので、この方法でやっていましたが、美味しかったですよ。どうしてもサ

ンマは塩焼きになってしまいますが、たまにはこの方法がいいですね。何よりもさんまか

ら煙が出ませんし、今年の秋刀魚は油がないのでこの料理、これからも時々やってみたい

と思います。


弱火コントロールで絶対失敗しない料理

http://mizushimacuisine.sakura.ne.jp/

書籍


http://www.amazon.co.jp/%E6%B0%B4%E5%B3%B6-%E5%BC%98%E5%8F%B2/e/B004LVMTMQ

さんま漁師に人気のレシピ。さんまのムニエルの作り方

http://kumiko-jp.com/archives/67397.html


◆ニューウェーブの俯瞰?電子メディア革命が我が家に来た?

最近は定額で動画見放題のサービスが次々と展開されています。 Amazon 、 TSUTAYA 、

 Google 、そして多分Appleも。世界で4,000万人の会員を持つと言われているNetflix

もサービスを始めました。いずれも最初の30日は無料お試しコースです。早速Netflixの

会員となって試しみました。新型のテレビにはリモコンにNetflixのボタンがあります。

HDMI 端子付きのテレビではGoogleのChromecastを差し込んでスマホやタブレットで

Netflixをテレビ画面に移せばいいでしょう。 AppleTVやアマゾンのFire TV Stickなど

直接Netflixをテレビに映すアダプターが続々と発売されます。


Netflixのコンテンツは膨大だと言われていますが、どのくらいあるのかわかりません。

新作でなければ、ほとんどの映画はあると思います。独自の番組もあります。月1,000円

もかかりません。


Amazonは、プライム会員は見放題のサービスを始めました。コレも試してみました。

ちょっと見ただけですが無料のものもありますが、有料のものも多くDVDを買わされるこ

とになるかもしれません。 TSUTAYAも試しましたが、どちらかというとDVDレンタル

借り放題のほうに誘導されることになりそうです。気を付けないといけないのは、Netflix

は勝手に有料サービスになりませんが、 TSUTAYAは勝手に有料サービスに移行ししまい

ますので気を付けた方が良いでしょう。ともかくDVDを借りて観るという時代は終わった

と感じました。画質もまったく問題ありません。


もっとお勧めなのは、ドコモが提供する電子雑誌見放題の“dマガジン”で、凄いです。

月400円で150の雑誌が読み放題です。週刊誌等を含めてほとんどすべての雑誌が無料で

見られます。多分日経BP社の雑誌以外はほとんど含まれていると思います。タブレットで

見るとちょうどいい具合です。ただ記事はダウンロードできません。クリッピングはでき

ますがこれも出来ない記事があります。今定期購読しているニューズウィークやクーリエ

ジャポンなどは購読をやめます。東洋経済、週刊ダイアモンド、エコノミストも含まれて

いますのでビジネス雑誌は買う必要がありません。およそちょっと見る雑誌はすべて含ま

れていますので、雑誌を買うというライフスタイルが終わりました。部屋に積んである紙

の雑誌の山もすっきりと消えるでしょう。問題はネットにつながっていないと読めません

が、家庭内を含めインターネット環境は整備されてきていますので、ほぼいつでもどこで

も好きな雑誌が読めます。電車のつり革広告の週刊誌の記事を見て手元の端末で、その記

事を読むことが出来るわけです。雑誌は部数がどんどん減っていますが、ネット環境に展

開することによって広告の価値が上がりますから、このビジネスモデルが成立していると

思います。日経ビジネスだけは別途有料で購読していますので端末にダウンロードできま

すが、それほど有り難みがある話ではありません。出張中の飛行機の中では便利ですが。


音楽のほうもApple Musicを含め定額聴き放題が普及していますが、これについては試し

ていません。理由はすでにモバイルを含めてハイレゾの環境を整備してしまっているので、

圧縮音源の音質が劣るサービスを利用する気になりません。また主に聴く音楽がクラシッ

クなので、新曲が出てきませんので手持ちのもので十分です。


しかし一般的にはCDを買う事はおろか、 CDを借りるというビジネスもほとんどなくな

るでしょう。


映画、テレビドラマ、ビデオレンタル、 DVD 、 CDというビジネスはネットでの見放題、

聴き放題のサービスで絶滅の危機になるでしょう。まさに我が家に来た電子メディア革命

です。問題は見たり聞いたりする時間がほとんどなく、タイムシフトで録画されたニュー

スを見るのがやっとですが。笑ってください。


◆俯瞰の書棚◆

今回の紹介は、特定の本ではなく私の昔の読書録です。たまたま一本のメールが入ってき

たことが切っ掛けです。今年は都市経済学者のジョイン・ジェイコムズの生誕百年の年に

あたるので記念行事や出版をするが、あなたもエッセーを書かないかということでした。


私は全く都市経済に関しては素人ですが、 5年前にとある事情で二子玉川のCreative city

コンソーシアムのアドバイザーを拝命して手がけてきたことと、この俯瞰メールの書評で

ジョイン・ジェイコムズ「都市の原理」を取り上げた事から私がそんなメールをいただく

ことになったようです。


都市については全くの素人だったのでにわか勉強で関連の書籍を当たりましたが、その時

読んだ本の一冊が「都市の原理」でした。その時もっと早く若い時にこの本を読んでいた

ら人生が少し変わったかもしれないと思った本でした。ちなみにもう1冊はリチャード・

フロイドの「都市経済論」です。他の本はパラパラとめくっただけでした。二子玉川の仕

事の基底になりました。


このメールがきっかけで、自分は若い時に読むべき本を読んだのだろうかと自問すること

になりました。私はいわゆる読書家ではありません。 40代50代は、本は読むのではなく

書くものだという傲慢な態度で、これまでに10冊以上書き上げました。


というわけで30年位前までに読んだ本の中で読んだことが思い出せる本を思い出してみま

した。そして今も残っているかすかな記憶の痕跡を紹介することにしました。


まずそのジョイン・ジェイコムズ「都市の原理」ですが強烈な衝撃を受けました。頭に入

っていた常識をかち割る記述に出会いました。トルコのカタル・フエクの遺跡の遺跡から

「都市ありき、そして農村が発生する」という常識を覆す言明です。「農業自体も都市で生

まれたのではないか」とも。即ち「先史時代でも農業と動物の飼育は都市で始まった」と

いう論理的な帰着を導いています。


この本は「都市ありき、そして農村が発生する」から始まりますが、「新しい仕事が古い仕

事に盛んに追加され、分業を増やしていくところ」が都市である。新しい仕事は「既に

使われている物質又は技能から示唆される」や「出てきた特定の問題から生まれるア

イディア」から生まれる、そして「小さくても多彩な出発点」を与える仕組みが都市

の発展の要件という言明、これが本書のエッセンスだと思います。


この言明と直接つながった記憶がペルーのマチュピチュの思い出です。山頂に孤立した都

市ですが、そこでは階段状の畑で農作物が栽培され自給されていたようです。むろん神官

や技術者、その他の都市の住人もいたでしょう。外の世界からモノを持ってくる交易の商

人も来たかもしれません。まず都市の中で農耕が始まり、それが周囲に広がっていったと

いうジェイコムズの「都市の原理」を実感できました。


次は青森の三代丸山遺跡を訪れたときです。縄文時代の住居遺跡という案内で行きました

が、一瞬にこれは単なる住居遺跡ではない、古代都市の遺跡だと理解しました。数百人が

収容できる市民ホールもあり、街路も整備されそして整然と住居が並んでいて、なんとゴ

ミ処理場もありました。海から近い土地ですぐ横に川が流れていますからたぶん発掘すれ

ば川港があるはずです。採集狩猟民の定住地すなわち都市だったのです。市民ホールの横

にある高い物見台は直径1メートルを超す栗の柱で建造されています。 密植という高度な

技術がなければ真っ直ぐな栗の柱作れません。また南方にしかない赤い漆を塗った縄文土

器は広範囲の交易が行われていたことを示しています。


縄文の時代にこれだけ高度な都市文明が存在していたとは驚きましたが、ジェイコブスの

論理が頭になければ、案内通り単なる縄文の住居跡に見えたかもしれません。青森県の方

には住居跡遺跡ではなく世界最古の都市文明として世界遺産に登録を働きかけてはどうか

と言ってきましたが。


学生の頃は、本を読まなくてはいけないという雰囲気や意識がありまして、周囲の読んで

いる書籍、非公式なリーディングアサインメントを消化していたと思います。


ルース・ベデディクト「菊と刀」は日本研究で、これが日本との戦争のために研究された

ということにショックを受けました。日本文化を“恥の文化”と一刀両断している言明が

印象に残ります。


ジグムント・フロイト「精神分析入門」もそんなリーディングアサインメントの1冊だっ

たと思います。あらゆるものを性的な衝動に結びつける理論に衝撃を受けました。当時は

第二外国語で名詞の性に苦労していますので友人とフォークは男性か女性かなどと冗談を

言ったことを覚えています。この後夢判断のような本を読んだ記憶がかすかにあります。


ボーボワール「第二の性」も同じような本で、特に興味があって読んだ本ではありません。

しかし社会的な環境によって男性に対し劣位の人工的な性として女性が作られたという言

明も衝撃的でした。逆に男性も、男の子だからと二言目には言われて男性になっていくの

だと感じましたが。


C.P.スノー「二つの文化と科学革命」もある意味推薦図書でした。いわゆる文理融合を説い

ていたと思います。私は理系ですので文理融合という概念も新鮮に受け止めました。そし

て、その後ずっとこれを意識することができました。結果として文理融合のような人生を

送りました。


エドワード・T・ホール「かくれた次元」は全く新しい世界を教えてくれました。単に非言

語的なコミュニケーションの世界があることを明示的に教えてくれただけですが。この後

body languageの本を読みましたが、人の所作や表情が重要な情報を発信していることを教

えてくれました。今日に至るまで重要なスキルになりました。


デイヴィッド・リースマン「孤独な群衆」は推薦図書だったのでしょう。これを読んだこ

とがない人がいるということが驚きでしたから。日本の社会に比べると当時のアメリカの

社会は相当先進的な状態にあり、社会学、社会心理学という人文科学の重要性と人文が科

学である、という認識を持たせくれました。今もう一度読んでも現代の日本を理解するヒ

ントを与えてくれのではないかという気がしますので、ぜひ読んでみようと思っています。


中尾佐助「栽培植物と農耕の起源」は文化人類学という分野を認識させてくれた本です。

アジアの地域が照葉樹すなわちつやつやした葉を持つ南方型の樹林と、栗やどんぐりの広

葉樹の森で覆われた北方型の樹林に分かれ、同じ稲作の米食でも重湯を流す照葉樹文化と

重湯炊き込める日本のような広葉樹文化があることを知りました。これはこの後、日本人

の源流どこなのかということを考えるときに重要な知識になりました。目からウロコのよ

うな学説でした。


ノバート・ウィーナー「サイバネティックス」はフィードバックという制御理論を広く展

開した工学系の教養書です。むろん専門科目として制御工学を学習していましたが、単な

る機械の制御ではなく社会全体を含めてフィードバック制御で物事を考えるという基礎を

得ることができました。この後、研究で時系列データの処理をずいぶんやりましたが、そ

の基本理論を作った人がノバート・ウィーナーであることをいつも思い出しました。そし

て時系列データの予測分析では、未来は予測できない事を嫌というほど思い知らされまし

たが、予測データと実データの残差が重要な情報であることに気づき、予測できないが、

定常状態から異変が起こった時の検出に利用できることを思いつき、切削加工中の工具破

損の検出に応用する研究に結びつきました。


レヴィ・ストロース「レヴィ・ストロース(料理の三角形)」は指導教官であった当時の吉

川弘之助教授(元東大総長)の推薦で読みました。いわゆる構造主義という学派の本です。

料理の三角形は非常に分かりやすい話で、構造主義の基本が分かったような気がしました。

構造主義の権威であったミシェル・フーコーの本に挑戦する勇気は出ませんでしたが、時

が経って助手の時指導していた学生がミシェル・フーコーの「言語と物」を読んでいてち

ょっとたじろぎました。


以上に比べると少し後ですがケン・フォレット「鷲の翼に乗って」はドキュメンタリーと

して楽しめました。イランのパーレビ王朝がイスラム原理革命で崩壊したときにITシステ

ムの開発のEDSという会社の社員が取り残されます。その社員を取り戻すために民間企業

として考えられないような大胆で大規模な救出作戦をした事実をドキュメンタリータッチ

で記述した書籍です。まるで映画を見ているような世界でしたが、社員をどうあっても救

い出すという強い経営者の行動に胸を打たれました。精神的な何かをもらった気がします。


布施英利「脳の中の美術館」は私に絵画と小説の鑑賞という意味を教えてくれました。美

術館に行って絵画を見ているのではなく、脳の中の自分を見ているのだと、美術館は自分

の脳の中にあると。小説では「雪国」の冒頭シーンですが、駒子に会いに行く列車の窓の

曇りを左手の指でこすると女の像が出てくる、物理的には反対側に座っている女ですがそ

れに駒子の記憶が重なりこの世ならぬ象徴の世界を見ていると、紙の上のインクのシミを

網膜で読むのではなく、脳の中で自分の世界を創成していくことが小説を鑑賞することだ

と教えてくれました。つまり芸術は脳の中にある自分を見ることだと。


松岡正剛「情報の歴史」これはいわば情報の年表です。文字の発生から現在に至るまで、

政治経済、宗教、哲学、テクノロジ、芸術、コミュニケーション、メディアの出来事を並

列的に年表形式にまとめた労作です。ものすごい時間が情報の収集と分析、そして編集に

要しただろうと思わせます。これを見ていくと時代と世界が俯瞰的に見えるような気がし

ます。この本から俯瞰的な認識を引き出すために、その後著者自ら「情報の歴史の読み方」

という本を出されています。松岡正剛は、最初たしか薄い雑誌のようなものを編集工学研

究所から出版されていて、それがすごく面白くて読んでいましたがこの分厚い本に出会っ

たとき、ものすごい知の巨人であることが実感できました。


最後の今井賢一「資本主義のシステム間競争」は今井賢一教授が定年に際して引出物とし

て配るために書いたと前書きに書いてあったと思いますが、システム間競争という概念は

現実のグローバル経済を理解する上で非常に役立ちました。文化や社会、歴史、法制、

産業構造、経済政策といったものがトータルで経済システムを構成していて、 国際的な経

済の競争はそのシステム力で決まるという論理だったと思います。まさに資本主義と社会

主義の経済的な戦いもこのモデルですし、アングロサクソン型の資本主義と、日本型の資

本主義の競争もこれで理解できます。中国型資本主義も理解できます。さらにこの概念の

延長で青木昌彦教授の「ルールを束ねた制度の分析」を理解する時にもこれが下敷きにな

ったと思います。


以上は読んだ順序も定かではなく、読み返したわけでもないので不正確さはご容赦くださ

い。下記の様にネットのおかげで今でもAmazon入手可能ですが、私が読んだ本とは別の

出版かもしれません。


ジョイン・ジェイコムズ「都市の原理」鹿島出版会

ルース・ベデディクト「菊と刀」講談社学術文庫

デイヴィッド・リースマン「孤独な群衆」みすず書房

ジグムント・フロイト「精神分析入門」中公文庫

ボーボワール「第二の性」新潮文庫

レヴィ・ストロース「レヴィ・ストロース(料理の三角形)」みすず書房

C.P.スノー「二つの文化と科学革命」みすずぶっくす

エドワード・T・ホール「かくれた次元」みすず書房

中尾佐助「栽培植物と農耕の起源」岩波文庫

ノバート・ウィーナー「サイバネティックス」岩波書店

ケン・フォレット「鷲の翼に乗って」集英社文庫

布施英利「脳の中の美術館」筑摩書房

松岡正剛「情報の歴史」NTT出版

今井賢一「資本主義のシステム間競争」筑摩書房


◆編集後記◆

・人間の中の悪魔を感じさせるVWの不正には唖然というか、やはりというか。日本のデ

ィーゼルはまさか、という心配がよぎりました。

・どうしようもないほどの中近東の混乱が気になります。イランとイスラエルという関係、

手を出しようもないシリア、イスラム国ですが、元はといえば米国のネオコンと呼ばれた

右派勢力の過ちです。

・集中豪雨、台風、そして火山活動と自然が牙をむいています。地震と火山は別ですが豪

雨、干ばつは人間の行為の結果です。米中が責任を持ってほしい。

・米国の共和党の混戦は図らずも米国の暗部を見せつけます。

ないと思いますが、トランプ大統領で世界はどうなるのでしょう。

・南シナ海に3000メートル級の3本の滑走路完成で、中国は制空権と制海権を確立したと

ことになります。


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◆内容・記事に関するご意見・お問い合わせ/配信解除・メールアドレス変更下記までwebmaster@fukan.jp

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◆俯瞰MAIL 0052号(2015年9月30日)

発行元:     一般社団法人 俯瞰工学研究所

発行人:   松島克守

編集長:   松島克守

URL:      http://fukan.jp

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俯瞰メール51号

◆時候のご挨拶◆

猛暑は日本の夏の新定常になってしまいました。その中で稲田はすでに穂をつけ、収穫の

秋が近いことを教えてくれます。暦の上では、すでに立秋を過ぎました。ふと気が付くと

モミジやナナカマドの枝には赤い葉も見えます。熱い甲子園の激闘を見て、盆の休みが終

われば、残暑の季節になり秋へ時間が流れていきます。

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● 無難な表現に落ち着いた70年談話

● 憲法9条の解釈は都度拡大されてきた

● 日本の猛暑ばかりか、世界中で異常気象

● 知床半島上陸ツアーに行ってきました

● 中国経済の減退は世界経済に影響

● ビジネスモデル学会 第24回イブニングセッションのご案内(9月29日)

● 第26回俯瞰サロンのご案内(8月27日)

● 俯瞰のクッキング?羅臼昆布は別格?

● ニューウェーブの俯瞰?EVへの大きなうねり?

● 俯瞰の書棚 「青木昌彦の経済学入門」青木昌彦

● 編集後記

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◆無難な表現に落ち着いた70年談話◆

8月14日、安倍首相の70年談話が発表されました。色々な発言で自分からこの70年談話

を、中韓のみならず米国、東南アジア、ヨーロッパまでが注視する“政治”にした中での

発表でした。


いくらナショナリストでも、国益を考えれば日中関係、米国の危惧、そして公明党の強い

要求を無視して自殺的な談話を出すとは考えられませんから、談話の内容も、国際的な反

応も想定内という認識です。


歴史認識に関するキーワードがすべて盛り込まれており、関係者はほっとしたと思います。

目立つのは中国に対する気働きで、中国は批判的な反応ですが、内容に関して反論はあり

ません。気配りは通じていると思います。これで、秋から日中関係の進展は期待できます。

いま経済が苦しい中、中国も日本との関係改善を必要としていますから。


一方、韓国に対してはやや冷淡で、慰安婦問題について間接的な記述をするにとどまって

います。無論、韓国メディアは強烈な批判です。しかし韓国の朴槿恵大統領は極めて押さ

えた談話で、続く日韓関係正常化への決意を示しています。ただ彼女は中国から招待され

た「抗日戦争勝利70年 」の記念行事に出席するかどうか、という難問を抱えています。

たとえ出席したとしても、日本が雅量を示せば慰安婦問題を含めた日韓正常化は成るので

はないでしょうか。ナショナリストは先の産業世界遺産で韓国に煮え湯を飲まされたとい

う思いが強いでしょうから、その圧力を安倍首相がどう処理するかですが、正に“政治”

です。


今回、満州事変からの日本の行動が間違っていたという記述を入れることによって、中国

に対する歴史認識を示しましたが、これはかねて天皇陛下が言及されてきたことで、今回

初めて“臣 安倍晋三”の立ち位置になりましたね。


8月15日の天皇陛下のお言葉では、新たに「さきの大戦に対する深い反省」が加わったこ

とが注目されていますが、「今後、戦争の惨禍が再び繰り返されぬことを切に願い」のお言

葉は、ある意味集団自衛権に対する暗喩のようにも受け取れます。

欧米に対してはこれまで使っていない「deep repentance」(悔恨、懺悔)の表現があるこ

とは米国や豪州等キリスト教徒への気配りでしょうか。


次世代が謝罪の必要がないという表現は安倍首相のギリギリの要求でしょうか。しかし謝

罪しなくてもこの負の資産は消すことはできませんので、きちっと継承されるべきでしょ

う。ナチスドイツが第一世界大戦の賠償に苦しむ国民に対し精神的な負の資産を取り除く

ことで支持を一気に固めた歴史があります。そしてワイマール憲法という平和憲法の解釈

を変えてナチス独裁の体制を確立したのです。現在参議院で論争中の安保法制もこの文脈

でとらえている内外の識者はいるでしょう。


これで内閣支持率が上がるとは思いませんので、国会論議の中で真摯で丁寧なもの言いと

集団自衛権の行使の歯止めを確約する必要があると思います。維新の党の線まで安倍首相

が歩み寄れるとは思いませんが、これも十分議論を尽くす必要があります。


◆憲法9条の解釈は都度拡大されてきた◆

安保法制の議論の中心は憲法9条です。憲法9条は、

“日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、

武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄

する。

前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、

これを認めない。“

とあります。


これはGHQの指導に沿ったものとされますが、そうでしょう。ただ、これは連合国内部で

の駆け引きで天皇制を維持することと対であったという説があります。


ポツダム宣言に天皇制の存続が書き込まれており、これがあったため受諾になり玉音放送、

終戦へと続いたとあります。


しかし、1950年朝鮮戦争の勃発で日本に駐留の全アメリカ軍が朝鮮半島に移動するにあた

り、日本国内の空白を埋め治安維持のためGHQによりあっさり再軍備になります。憲法解

釈の変更ではありません。また日本の再軍備は1948年には決定されていたとあります。


その後本格的な防衛力として陸海空で拡充され、現在では世界有数の軍事力を持つに至り

ました。調査機関によると日本の軍事予算、軍事力は世界9位とのことです。攻撃型空母

と原子力潜水艦を持てないので9位にとどまっているとのことです。専守防衛の装備です

から。特に海軍力は英国に次いで4位とのこと。ちなみに中国は6位、韓国は10位です。

それでも、戦力ではないということが公式見解ですが、ここまでは国民的合意ができてい

ると考えていいのでしょうか?


近年自衛隊のPKO活動にも参加が多くなり、イラク戦争、アフガン戦争にも限定的ですが

後方支援をしています。ここまでは個別自衛権で合憲ということになっています。ソマリ

ヤ沖の海賊対策では、日本は海賊対処法に基づいて09年から護衛艦とP3C哨戒機を派

遣し、13年にはCTF151に加わり、その司令官を今月23日までは海上自衛隊の海

将補が務めています。ソマリヤの隣国のジブチには海上自衛隊の基地もあります。


集団自衛権を核とした現在の安保法制ですが、政治も国民もこの現状について、腹を割っ

て議論する必要があります。


理は安倍首相にもありますが、歴史認識で過去の侵略を認めず、謝罪も必要ないというナ

ショナリストの勢力の代表では国民はついていけないでしょう。この後何をするか分から

ないという危惧が先に経ちますので。安倍内閣の主要閣僚はほとんど日本会議の支援者と

いわれていますから。


日本国憲法第9条

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E5%9B%BD%E6%86%B2%E6%B3%95%E7%AC%AC9%E6%9D%A1

警察予備隊

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%AD%A6%E5%AF%9F%E4%BA%88%E5%82%99%E9%9A%8A

警察予備隊違憲訴訟

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%AD%A6%E5%AF%9F%E4%BA%88%E5%82%99%E9%9A%8A%E9%81%95%E6%86%B2%E8%A8%B4%E8%A8%9F

砂川事件

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A0%82%E5%B7%9D%E4%BA%8B%E4%BB%B6

Countries Ranked by Military Strength (2015)

http://www.globalfirepower.com/countries-listing.asp

世界の海軍ランキング トップ10

http://matome.naver.jp/odai/2136679404229671901

主要国の軍事費をグラフ化してみる(2015年)

http://www.garbagenews.net/archives/2258794.html

日本会議

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E4%BC%9A%E8%AD%B0


◆中国経済の減退は世界経済に影響◆

中国経済の減速が世界経済に影響を与えてきています。中国政府は減速して経済成長率

7%と公表していますが、多くの人がそれ以下と認識しています。私も直接中国の製造業

の経営者から公式の経済成長率をかなり下回っていると聞いています。


英国のファゾム・コンサルティングは、今年の中国成長率は2.8%、2016年はわず

か1.0%にとどまると予想しています。李克強首相が重視するとした電力消費、鉄道貨

物量および銀行融資の3つのデータを基にした成長率は3.2%であると算出しています。


日本は2桁成長の時、オイルショックでハードランニングして5%の水準に落ちました。

第2フェーズです。そして91年のバブル崩壊で0?2%の成長率になり今日に至っていま

す。これをモデルとすると、中国の目指す新定常の7%は5%のラインでしばらく推移す

るのではないかと予測していますが。それとも一気に日本の第3フェーズに移行して2-3%

ラインまできますか。


各種の経済指標も経済減速を示しています。

工場出荷価格(生産者物価)が41ヶ月連続で下落しています。これは輸出が7月の輸出

が前年比8.9%減少という指標が示しているように成長エンジンの輸出が経済危機で経

済活動が低下している欧州向けが振るわないためです。輸出に代わる内需への転換は時間

がまだかかります。


不動産やインフラ投資に依存する脆弱な経済構造は心理的な不安を呼び、上海株式市場は

大幅な下落をし、政府が新規上場の中止や空売りの禁止など非常手段で支えましたが、先

進国では考えられない習近平政権の露骨な買い支えに、IMFから株式市場への介入をこ

れ以上行わないよう警告を受け、買い支えができなくなり続落です。中国当局がIMFの

警告を無視できないのは、人民元の国際化という悲願があり、これにはIMFの承認が必要

ですから。


ここで輸出テコ入れのため背に腹は代えられず、人民銀行は11日から連日人民元の基準値

を切り下げた結果、人民元の対ドル相場は急落しました。累計の切り下げ幅は対ドルで約

4.5%に達しました。人民元切り下げは輸出企業の収益にプラスに働きますが、市場では元

安による資金流出や金融機関が保有する人民元建て資産の価値下落に警戒感が広がってい

るとのことです。アメリカはもともと人民元は過小評価であると主張していますのでこれ

とも衝突します。


東南アジア諸国は中国輸出増の影響を受けますが、もともと中国経済への依存も大きいの

で、これで中国経済が復調すればありがたいという感覚もあるようです。


鉄鋼や自動車、電機等は過去も過剰設備投資で苦しんでいます。経済成長が鈍化すると個

人消費も鈍化しますから、高い成長をしてきた自動車販売も株価急落による消費者心理の

冷え込みなどを背景に今年の販売台数は、17年ぶりに前年割れするとの見通しです。


また2015年第1四半期における中国のスマートフォン出荷台数は9880万台となり、前年

同期から4.3%減少しました。これは市場の飽和でしょうか。ただAppleの出荷台数は、前

年同期から62.1%増えました。大型画面の「iPhone 6」と「同6 Plus」に対する需要が、

依然として旺盛だといいますが、人民元2%の切り下げでその日Appleの株価は5%下落

しました。市場関係者が先行きに不安を感じたのでしょうか。


スマホは完全に飽和状態になり今後は買い替え需要になるとみられています。自動車は飽

和状態言えないまでも小休止状態で、低成長が当分続くでしょう。


そのApple の製造委託先として有名なフォックスコン(鴻海科技集団)はインド西部マハ

ーラーシュトラ州政府と投資計画に関する覚書を締結し、3年にかけて同州で製造拠点を整

備し、50億米ドル(約6220億円)を投資するという中国撤退戦略を始めました。フォック

スコンは、2020年までにインドで計10-12カ所の製造拠点・研究センターを整備するとの

ことです。


中国経済の減速を受け、欧米企業の多くも、投資やコストの削減、生産ライン縮小のほか、

増加する不良債権の対処を考えています。


最近の中国株急落で、中国経済が、あと数年で過去のような力強い成長を取り戻すとの期

待は、大きくしぼみました。


この中国の経済減速の影響の強烈なインパクトを韓国が受けています。

韓国の貿易は輸出が中国 26.1%、アメリカ 11.1%、日本 6.2%、輸入は中国 16.1%、日本

 11.6%、アメリカ 8.1%と中国経済への依存が極端です。


韓国のGDPの輸出依存率は53.9%(13年,世界銀行)と極めて高い比率ですので、為替変

動や他国の景気動向の影響を受けやすい経済構造(13年の日本の輸出依存度は16.2%)で

す。加えて、サムスンのスマホ、ヒュンダイのセダンが苦戦しています。


東南アジア諸国も中国への輸出減少や中国人観光客の減少という影響を受けますが、マレ

ーシアを除くと韓国と比較して限定的という見方です。これは東南アジア各国の輸出の最

終需要地が米国と欧州であるという経済構造によるものです。


ただし、中国の成長で恩恵を受けていた国々は大きなインパクトを受ける可能性がありま

す。自動車や機械、電機などを中心とするドイツの輸出主導型経済は、中国から大きな恩

恵を受けてきました。14年、ドイツから中国への輸出額は745億ユーロ、ドイツの輸入額

は797億ユーロだったとのことです。1990年と比べると、ドイツから中国への輸出は20倍、

ドイツへの輸入は30倍にまで増加しています。ですから、中国主導のAIIBに参画したの

でしょう。しかし中国に代わる新市場はありません。


さらにブラジル、豪州などで中国の資源爆買いを長期の需要と考えて巨額投資した資源関

連企業です。すでに軒並み苦戦しています。シェールガス関連も損失を出していますね。


日本は、建機等は大きな影響を受けていますが、自動車は、欧米各社、韓国が販売不振の

中で日産を除くトヨタ、ホンダ、マツダの3社が2桁の伸びです。日本製の本質が中国の

消費者に浸透してきたのでしょう。訪日中国観光客の爆買を見ればわかります。


つまり、中国はすでに新興国ではなく、といって先進国でもない中進国の罠に入っている

のでしょうか。


このような経済状況は中国に日中経済交流の改善強化をうながすでしょう。すでに、反日

という“感情の外交”から“国益を追求する外交“に舵を切っています。韓国も”感情の

外交“から”国益を追求する外交“へ転換することになるでしょう。


世界第2位の経済大国の中国と、第3位の日本、そして第13位の韓国、そして第26位

の台湾という東アジア経済圏はゆうにEUをしのぐ経済規模ですから、経済成長を考えれば

いがみ合っていては国益を棄損します。


中国経済成長率、実際は公式統計の半分以下か

http://jp.reuters.com/article/2015/08/07/china-economy-data-idJPL3N10I27X20150807

中国、41カ月連続で工場出荷価格下落

http://japanese.joins.com/article/234/204234.html

中国経済が世界の重荷になる日

http://www.newsweekjapan.jp/stories/business/2014/11/post-3460_1.php

欧米企業に広がる「中国事業見直し」の動き

http://toyokeizai.net/articles/-/79248

フォックスコン:中国撤退加速、製造拠点をインドに

http://www.nikkei.com/article/DGXMZO90402410R10C15A8000000/

http://www.gci-klug.jp/fxnews/detail.php?id=270592

中国自動車販売、腰折れ 今年17年ぶり減少見通

http://www.sankeibiz.jp/macro/news/150804/mcb1508040500026-n1.htm

世界のスマホ市場に大変化、中国の成長ここまでか?

http://itpro.nikkeibp.co.jp/atcl/column/14/200047/060200012/

韓国の貿易

http://ecodb.net/country/KR/trade/

中国経済減速によるアジア経済の影響

http://www.mizuho-ri.co.jp/publication/research/pdf/insight/as150806.pdf

ドイツ経済は中国の成長鈍化に足を取られるのか

http://www.recordchina.co.jp/a116082.html

韓国の経済概況

http://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000005986.pdf


◆日本の猛暑ばかりか世界中で気象異常◆

日本は猛暑で死者まで出る危機的な気候ですが、世界的に異常気象です。

アメリカの4年も続く干ばつ、水資源はあと1年というNASAの警告です。フランスで

は猛暑で干ばつで原発の冷却水に支障が出るとも。かつてフランスは猛暑で約1万人の死

者を出しています。韓国、北朝鮮の干ばつも酷いようです。


この原因がもし二酸化炭素による地球温暖化であれば排出量の削減が急務です。京都議定

書を無視してきた排出大国の米国と中国も重い腰を上げざるを得ません。


この二酸化炭素排出には脱原発とのジレンマがあります。特に日本は原発の再稼働と石炭

火力の新設とのジレンマです。


電力業界の悲願であった原発再稼働は8月11日九州電力川内原子力発電所の再起動で今後

順次再稼働が進められるでしょう。しかし、燃料の再処理に目途はついていません。

中部電力の石炭火力申請には環境省が待ったを掛けました。


再生エネルギーといってもすぐにこれを代替することはできません。ただ再生エネルギー

では今後地熱発電がかなり有力になるでしょう。利に敏いソフトバンクが地熱発電を推進

するようですから。

エネルギー問題は“政治”や“感情”にしないで国民も冷静な過渡的なプロセスを認識す

る必要があります。


フランス 猛暑と干ばつで原発操業停止の恐れ

http://www.juno.dti.ne.jp/tkitaba/earth/nuclear/news/05071201.htm

【深刻 節水令】カリフォルニア・大干ばつ! 干ばつは4年前からhttp://matome.naver.jp/odai/2141105199998510101

韓国、深刻な干ばつで野菜価格高騰、白菜は前年比3倍

http://www.excite.co.jp/News/chn_soc/20150611/Recordchina_20150611070.html

中国、CO2削減へ新目標 05年比60―65%減

http://www.asahi.com/articles/ASH6Z6CRCH6ZUHBI023.html

中国CO2削減 これでは排出持続宣言だ

http://www.sankei.com/column/news/150706/clm1507060002-n1.html

米政府、火力発電で二酸化炭素排出を32%削減、2030年までに

http://www.sankei.com/world/news/150803/wor1508030007-n1.html


◆知床半島上陸ツアーに行ってきました◆

知床半島のツアーに参加して行ってきました。学生の時ですからもう三十数年前に行った

ことがありましたが、もう一度行ってこようと思い立ち行ってきました。知床半島が世界

遺産になって10周年記念と銘打って、3年間限定の半島上陸のツアーです。徒歩または

海上カヌー以外の上陸は現在許されていません。このツアーは動力船での上陸観光の特別

許可の実験プロジェクトのようです。


私たちのグループは11人で、男性6人女性5人でした。夫婦2組、女性3人組、男性お

ひとり様4名でした。


驚きは参加男性中、古稀の私が最年少でした。漁船で浜に乗り上げるようなかなりハード

な観光ですが。バスガイドは69歳でした。日本の高齢化社会を体験できました。皆様元

気です!


オフォーツク側のウトロからは観光船が出ていますが、沖で見るだけで上陸はできません。

今回のツアーは羅臼から漁船です。正確にいうと羅臼の先道路が途切れる前泊の漁港から

漁船で約1時間半です。漁船には屋根もトイレもありません。浜にもトイレはありません。

波しぶきを被ります。4時間半トイレなしでお願いしますとのことでしたが、私より年長

者は持ちませんね。女性陣もほとんど私と同じくらいお年でしたが持ちました。


ツアーは羅臼昆布の歴史と文化を識る旅で私は羅臼昆布に関する貴重な知識を得ました。

印象に残ったのは羅臼の前方には20キロの距離で国後島がよく見えます。かつてはこの

羅臼とを国後島を行き来して生活をしてきたのでしょう。今も漁船の拿捕があり、現在抑

留中の漁船もあります。


そして気になったのは昆布、ウニともに資源が枯渇気味であることです。経済学でいわれ

ている“共有地の悲劇”しょうか。陸の農地と違い漁協の中では海域の私有はありません。

ただ一戸で一人という縛りと、漁期、時間の制限だけでその中では多くとった者勝ちです。

これでニシンもハタハタも枯渇したのでしょう。乱獲です。


乱獲といえば、サンフランシスコの南約200キロのモントレーはかつてイワシ漁で栄え

た町ですが、ある時からイワシの群れが消え、当時の缶詰工場が並んでいた場所が“キャ

ナリーロウ”という観光スポットになっています。当時の様子はノーベル文学賞作家スタ

インベックの小説にも描かれています。何十年か前訪れたことがあります。

そして、HPの創業家が寄贈した水族館が素晴らしかった記憶があります。

それにしても2泊3日で約15万円、日本のツーリズムはおかしいですね。


◆ビジネスモデル学会 イブニングセッション◆

9月29日(火) 第24回イブニングセッション開催のご案内

詳細・お申し込みはこちら >> http://goo.gl/WneuR2

講演テーマ: 女性活躍推進がなぜビジネスを変えるのか?

講師:麓 幸子 氏

   日経BP社生活情報グループ統括補佐

   日経BPヒット総合研究所長・執行役員

日時:9月29日(火) 19:00-21:30

場所:霞ヶ関ナレッジスクエア エキスパート倶楽部


(講演要旨)

今国会で成立が見込まれる女性活躍推進法。その法律の解説を踏まえ、なぜ女性活躍推進

が必要なのか、ビジネス上でどんなメリットがあるのか、その戦略と効果的な施策を先進

企業の豊富な事例を交えて紹介する。

30年以上、働く女性と企業の女性活躍施策を追ってきたジャーナリストとしての知見と、

研究者として学術的に証明された理論を用いて講演する。

日本の企業が陥りやすい女性活躍NG事例も用意し、なかなか進まない女性活躍の阻害要因、

それを打破するためのポイントも提供する。


(講師プロフィール)

1984年筑波大学卒業。同年日経BP社入社。1988年『日経WOMAN』創刊メンバー、2011年

12月まで5年間『日経WOMAN』編集長。2012年よりビズライフ局長に就任、『日経WOMAN』

や『日経ヘルス』などの媒体の発行人となる。2014年より現職。同年、法政大学大学院経

営学研究科修士課程修了。内閣府企画調査委員、経団連21世紀政策研究所研究委員などを

歴任。


◆第26回俯瞰サロンのご案内◆

講師の阿部玲子さんには、5年ほど前、バンガロールの地下鉄工事現場をヘルメット、作業

靴で案内していただきました。

受講を強くお勧めします。インドで仕事をしていますので滅多にお会いできません。


第26回 俯瞰サロン「世界の大型トンネル工事で活躍。土木技師 阿部玲子さんに聞く」

土木技師として、世界で活躍されている、阿部玲子さん(オリエンタルコンサルタンツグ

ローバル インド現地法人社長)をお招きします。

台湾新幹線のトンネル工事や、インドのデリーとバンガロールの地下鉄建設工事に携われ

てきました。バンガロールでは、安全・品質管理の責任者として従事し、現場の環境管理

システムを開発し、導入したことで、バンガロール・メトロの総裁から「ベスト・セーフ

ティー・アワード」の表彰を受けています。日本においても「ウーマン・オブ・ザ・イヤ

ー2013」リーダー部門を受賞され、今年3月には、政府の海外向け広報番組に取り上げら

れ、世界で注目を集めていらっしゃいます。

政府広報: https://www.youtube.com/watch?v=p-95rBHZNBc&feature=youtu.be


日 時: 8月27日(木)18時30分から20時(受付開始18時15分)

会場 : 港区港南1-9-1 品川TWINSオフィス棟1階

     NTT東 セミナールーム (品川駅港南口より徒歩5分)

          参加費: 講演会のみは、無料

定員 : 60名程度 (定員に達した時点でお申込みを締めきります)

懇親会: 講演終了後、懇親会を開催。参加費用は3,500円?4,000円。

お申込み: http://www.fukan.jp/俯瞰サロン/


◆俯瞰のクッキング?羅臼昆布は別格?◆

羅臼昆布を勉強してきたので少し紹介しましょう。下記の“うまいもんドットコム”の解

説が正確で丁寧ですから少し内容を引用しましょうか。工程は「知床からよろしく!」の

  昆布のページに写真で紹介されています。


「その歴史は意外に浅く、明治末期と言われています。大阪の商人が根室に昆布の買い付

けに訪れた際、品質の良いものの産地を辿ったところ、それが知床の産だったようです。

知床半島には深い森が広がり、無数の川がながれ、アムール川からの流氷は膨大なプラン

クトンを運んできます。さらに、複雑なリアス式海岸が豊かな生態系を生み、そこに育つ

羅臼昆布は昆布の中でも最高レベルとの評価を得ています。


そもそも、羅臼昆布は資源量が限られているので、北海道の昆布生産の3%にも満たない

量ですが、さらに、天然ものとなると、1%程度と、まさに幻の昆布です。」

「昆布は浅い水深(2?10m)の岩礁地帯に生息するので、天然もの漁場は基本的に前

浜となります。(※前浜とは、浜の目の前の海)

品質は浜によって異なるので、一概には言えませんが、羅臼昆布の場合、天然ものも養殖

ものも、同じ海域で、同じ期間をかけて育ちますが、養殖ものはロープに種を植え付けて

育ちやすい状態で生育することに対し、天然ものは海の底に横たわるように葉を広げ、厳

しい環境で育ちます。

海が荒れれば、岩とぶつかるでしょうし、昆布が大好物のウニに齧られるかもしれません。

そうした厳しい環境が天然の羅臼昆布を骨太に育ててくれるので、その出汁の根性にも、

当然差が出ます。」


「知床半島の短い夏、およそ40日間、羅臼昆布漁は行われます。40日間と言っても、

干す工程を考え、好天が続く見込みが立たなければ漁はできません。天候が悪ければ、良

質な昆布は作れないので、まさにお天道様頼みとなります。

昆布竿と水中めがね(箱めがね)を積んだ小舟が前浜に集結し、朝6時の白旗の合図とと

もに、一斉に漁を開始します。」


「昆布は胞子から1年で長く成長しますが、1年目の昆布の出汁の味はのりません。冬に

枯れ、春に芽吹き成長した2年目の肉厚の昆布を狙います。

水中メガネで昆布に狙いをつけ、長い竿をねじり、昆布を巻き取り水揚げする重労働は長

年の経験と技があって可能になります。」


水揚げされた昆布は玉砂利の乾場に並べて天日干しされます。玉砂利でなければ砂やゴミ

が付着したりするからです。少し乾いた段階で根を切り、夕方には番屋に取り込み、その

後は天日や機械を使い乾燥させます。


湿り取り、昆布巻き、昆布のし、庵蒸(あんじょう)、日入れ、二回目の庵蒸、根昆布を切

り、赤葉刈り、三回目の庵蒸、選別、箱詰め、検査 ようやく羅臼昆布となる乾燥した昆

布を夜の乾場に並べてあえて湿り気を加えます。この工程(湿り取り)で柔らかになった

昆布を2枚重ねで巻きながら細かなゴミを取り一晩寝かせます。この工程を昆布巻きと呼

び、さらにその昆布を広げ(昆布のし)、重ねてから重石を載せて一晩二晩寝かせます。こ

れを庵蒸(あんじょう)と呼びます。この工程で昆布の色・つや・味が引き出されます。


再び、昆布を干し(日入れ)、再度の庵蒸、根昆布を切り取り、縁の赤い部分(赤葉)や肉

薄な部分は思い切ってカットしていきます。さらに庵蒸させて選別し、箱詰めします。選

別は漁師が自分でしますが、出荷前に厳格な検査があり、検査済の判を押されなければ出

荷できません。


細かく区分けすると40にも分かれると言われる工程を経て、北国の海藻は上質な調味料

であり食材になります。この段階で水揚げした段階と比べ僅かに9%の重量に絞りこまれ、

熟成し、うまみの塊となります。」


羅臼昆布他の昆布と違うのは、40もの工程で熟成させうまみ成分を増加させることだとい

うことでした。組合の保管倉庫で説明を受けました。15キロ入りの羅臼昆布ですが最高級

の1等天然物は1箱約40万円、それ以下は7-8万円ということで、幻の昆布はこの一等

品です。


興味深いのは、昆布には、本当は賞味期限というのはないのです。現在の法律上、袋詰め

にして販売をすると賞味期限をつけなければならないので、賞味期限 をつけているとの

ことでした。あえて倉庫で寝かして“蔵囲昆布”として販売している店もあります。東京

の日本橋に店がありますのでそこで買えます。通販は送料がバカにならないので。


自分へのお土産に少量の1等の羅臼昆布も買ってきました。以前から私は羅臼昆布を愛用

しています。水につけておいて昆布水としても飲みます。


うまいもんドットコム

http://www.umai-mon.com/user/scripts/p_attribute.php?attribute_id=680

羅臼漁業協同組合 直営店 海鮮工房

http://xc532.eccart.jp/v383/item_detail/itemCode,B-1/

“蔵囲昆布”

http://www.konbu.jp/

知床からよろしく!  昆布

http://siretoko-21.cocolog-nifty.com/blog/cat3897310/index.html


◆ニューウェーブの俯瞰?EVへの大きなうねり?

EV普及のうねりが見えてきました。セブン&アイ・ホールディングスとNECは、全国45

店舗の「イトーヨーカドー」「Ario」「そごう」「西武」に合計3380台の電気自動車(EV)・

プラグインハイブリッド自動車(PHV)用充電器を設置し、有料充電サービスを提供する

と発表しました。お買い物の間充電してください、ということです。もちろんポイントで

払えます。ほかの小売業も追随するでしょう。軽自動車のEVも手ごろな価格で発売される

でしょう。


規模は小さいですが三菱地所とNECは三菱地所グループの施設にNECが開発した電気自

動車(EV)・プラグインハイブリッド車(PHV)用普通充電器を設置すると発表しました。

丸の内エリアの駐車場に設置を行い、その後「横浜ランドマークタワー」「サンシャインシ

ティ」「仙台ロイヤルパークホテル」など、三菱地所グループが所有する10施設に順次導

入していく計画とのことです。


海外のEVへのうねりは、もっと大きく行政も自動車メーカーも積極的な展開をしています。

ロンドンではバスもタクシーもEV化です。中国のBYDがバスを供給する動きです。ロン

ドンのタクシーは2018年からEVなど温暖化ガスを発生しない車に限定です。タクシー製

造では、日産自動車を含む5社が開発を急いでいるようです。


ディーゼルエンジンに注力してきた欧州のメーカーも積極的にEVを投入し始めました。

「BMW i3」や「VW e-ゴルフ」です。日本市場にも来ます。

米国ではテスラがひとり気を吐いていますが、燃料価格低下と大型SUV嗜好の消費者で高

利益を上げている米国のメーカーはEVに消極的です。


燃料電池車で孤軍奮闘のトヨタ自動車もこの流れにお付き合いでしょうか、次期型プリウ

スPHVは、EV走行距離が35マイル(約56km)に伸びるという50kmのEVですか。

もう、欧米の規制にはハイブリッド車はエコカーの範囲に入っていません。2012年には

HVが規制の枠組みから外され、また現在、自動車メーカーにカリフォルニア州内で売る新

車の14%をZEV車(EVと燃料電池車)にするよう義務づけている規制が、2018年から

は16%に引き上げられるとのこと。


現在利益を上げている商品の売上を第一とし、あえて未来にチャレンジすることに及び腰

の姿勢はいつものパターンですが、結果は見えています。私はIBM在任時代にパソコンの

マーケッティングを担当して、身に染みています。もはや当時ドル箱だった汎用機という

コンピュータは存在しません。


自動車業界にはGoogleとAppleという資金潤沢な新規参入者がもう見えています。彼らの

自動運転自動車は無論EVです。インドではすでにフォックスコン(鴻海)の新工場の建設

が進められています。Apple Carはここで組み立てられるのでしょう。EVは究極の“モ

ジュール”構造で、走るiPhoneですから比較的単純な組み立て作業でしょう。車体のプレ

ス、溶接、塗装の工程は枯れた技術ですから。


世界中のスマホは欧米や日本ではなく中国で生産されている現状を見ると、将来の小型EV

はインド生産になるのではないでしょうか。中国のEVメーカーがインドで生産して世界中

に輸出する?



イトーヨーカドーや西武など45店舗にEV・PHV用充電器3380台を設置

http://response.jp/article/2015/08/10/257618.html

グリーン電力活用したEV用充電器、437台設置してCO2フリーなドライブ

http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1507/30/news034.html

BYD、英国のバス製造大手と提携…ロンドンにEVバス納入へ

http://response.jp/article/2015/08/11/257664.html

ロンドンタクシー、18年から電気自動車を義務化

http://www.nikkei.com/article/DGXNASGM17012_X10C14A1MM0000/

VW ゴルフ のEV、米国で新グレード…価格を4500ドル引き下げ

http://response.jp/article/2015/08/07/257514.html

テスラ幹部、他メーカーにEV重視促す

http://jp.wsj.com/articles/SB10685294686418064255204581151851567780490

米自動車業界団体トップら、加州のEV販売比率規制に不満

http://jp.reuters.com/article/2015/08/05/autos-electric-idJPKCN0QA0RS20150805

次期型トヨタ「プリウスPHV」はEV走行距離が3倍に向上?

http://jp.autoblog.com/2015/07/24/new-toyota-prius-phev-could-have-35-mile-all-electric-range/

グーグル、自動車関連子会社「Google Auto LLC」を密かに登記

http://wirelesswire.jp/2015/08/44685/

アップルの電気自動車は「BMW i3」をベースに開発か

http://ggsoku.com/2015/07/apple-ev-bmw-i3/

まるで中国版テスラ「モデルS」上海のベンチャー企業がEV「Youxia X」を発表

http://jp.autoblog.com/2015/07/31/youxia-x-chinese-tesla-model-s/

レンジエクステンダーEVの普及で、内燃機関の多様化が始まる

http://techon.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20150803/430621/?rt=nocnt


◆俯瞰の書棚◆

今回の紹介は「青木昌彦の経済学入門」青木昌彦 ちくま新書 2014年 です。

この本は題名にあるように、経済学入門ではなく、“青木経済学”の入門書です。といって

も書き下ろしたものでなく、寄稿記事や対談、講演を集めてまとめたモノです。


青木昌彦の経済学は気になっていましたが、分厚い専門書を読む事には腰が引けていまし

たので、この新書を読んでみました。多分この本が最後の出版物でしょう。日本人で唯一

のノーベル経済学賞の候補者だったので、受賞前に逝去されたのは日本にとっても大変残

念なことです。


青木先生は制度論の大家ですが、高度成長期の制度(経済システム)が行き詰まり新しい

制度に移行するのに一世代30年かかるから“失われた20年”ではなく“移り行く30年”

であるという主張は説得力があります。


学生時代はブント(共産主義者同盟)に属し学生運動に没頭してマルクス経済学を読み込

んだ、大学院の入試では面接で落とされたという率直な語りは人柄をしのばせます。


京都大学経済学部自治会に招待されての講演「経済学を学ぶ心構え」では、まず数学をし

っかり勉強せよ、とのことです。数学をどう技術的に解くかではなく論理的な思考を磨け

ということです。そして、微積分だけではなく「相手が自分の行動にどう反応するかを読

みながら反応する」ためにゲーム理論が大変重要だとの事です。


二番目は国際コミュニケーション能力をつけろ、すなわち英語力をしっかりつけろという

子です。数学と英語、これは大学入試の最重要科目ですが、この受験勉強は大学以降の活

動と人生に意味があります。受験勉強で創造力が失われることはありません。創造性は後

述の様に“制度”の問題です。


三番目は行動経済学と脳科学です。人間の行動は脳がきめます。そして今脳科学が発展し

ています。

そして証券市場や資本主義利益一本やりの経営の時代ではないから、倫理観を養っておく

ようにとのことです。


制度分析進め方ですが、まず特定の社会ゲームの変数域(ドメイン)、例えばマーケット、

政治ドメイン、社会的シンボルが交換されるドメインを決めます。そしていずれのドメイ

ンもどのようなプレーヤーが、どのような手を打つことが出来るか決まっている、ゲーム

のルールは公式的なものと慣習のように社会に埋め込まれたモノがあるのです。


ゲームが進行すると社会に徐々に安定的な均衡が生まれてきて、その結果「社会的なゲー

ムが実際にどの様に行われているか」、「ルールから逸脱した行動をとるとどのようなこと

が起ころうるか」について人々の間で予想が共有される「共有予想」が制度であると定義

しています。

そのように共有化された予想に基づいて人々はそれぞれ戦略をとりますが、それらが全体

として一つの均衡を生み出し、その均衡が今度はゲームのルールを裏付け、そのようなル

ールに沿って社会が動いているということをみんなが再認識するという循環構造があると

いうことを説明しています。


ゲーム理論の有名な均衡に“ナッシュ均衡”がありますがこの本では「他の人が終身雇用

というルールに従っている限りは、自分も終身雇用というルールに従うのが最善の戦略」

と説明しています。日本のサラリーマンはこの戦略ですか。


制度革新とシュンペーターの話も興味深いですね。詳細はお読みいただくしかありません

が、制度変化とはゲーム理論でいうドメインを“束ねなおす”ことで、東部の古い組織的

な束ね方から脱して、緩い束ね方が新しい価値を生み出したのがシリコンバレーであると

解説しています。


そしてなぜ日本やヨーロッパにシリコンバレーが生まれないかについては、社会的な埋め

込みという慣性が強い場では“現在の束ね方”を変えるのが難しい、なぜならば古い束ね

方から利を得ているプレーヤーの抵抗が強く、周辺制度が頑健であるからと解説していま

す。

一読すると学が付くというより身の回りの状況が理解しやすいという感じです。東芝の“不

適切会計処理”の本質も分かったような気持ちになります。


最後の記事は2020年のオリンピックについてですが、これはある種の応援歌です。新国立

競技場、デザイン盗用のドタバタを見ないで逝去されたのは先生にはよかったですが、オ

リンピック委員会の端くれに参画している身としては、何とかしなくてはという新たな気

構えがでました。


ナッシュ均衡

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8A%E3%83%83%E3%82%B7%E3%83%A5%E5%9D%87%E8%A1%A1


◆編集後記◆

● 14日の首相の70年談話、15日の陛下のお言葉を確認しないといけないので配信

がお盆過ぎになりました。結果はやれやれです。

● 首相も、靖国参拝を強行したときに比べ、「相手が自分の行動にどう反応するかを

読みながら反応する」ことは理解したようですね。

● 中国の経済減退はある意味経済学のモデルとして冷静に認識したほうがいいと思

います。2012年の反日デモは、世界中がリーマンショックで落ち込んだ時、ひとり中

国は財政出動で2桁成長を持続した実績で胡錦濤政権が自信過剰の時期でした。皮肉

にもそれから徐々に成長が鈍化し、財政出動は不動バブル、過剰投資として今負の遺

産として残り、政策的な減速を余儀なくされています。

● EVの大きなうねりが見えてきました。その先には自動車産業の異次元的な構造

改革が見えるような気がします。Google、Apple、TESLAが仕掛ける自動車産業のニ

ューウェーブにワクワクします。

● Google はドル箱のネット広告の事業を新たなCEOに任せ、創業者二人は新会社

を設立して、新たなチャレンジをめました。潤沢な手元資金と現金収入をもっていま

すから、失敗を心配する必要がありませんので、きっと何かしでかすでしょう。その

津波のようなニューウェーブを、現在の自動車会社が乗り越えられるかです。情報革

命では既存のプレーヤーは、津波の中に全て飲み込まれてしまいました。

● ゲーム理論で社会を制度として認識するという、青木昌彦先生の考えを少しでし

ょうが理解できました。成長できない日本、シリコンバレーモデルをコピーできない

日本、そして無責任な企業経営、新国立競技場等は新たな理解の水準になりました。


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◆内容・記事に関するご意見・お問い合わせ/配信解除・メールアドレス変更右記まで

webmaster@fukan.jp

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◆俯瞰MAIL 0051号(2015年8月17日)

発行元:     一般社団法人 俯瞰工学研究所

発行人:   松島克守

編集長:   松島克守

URL:      http://fukan.jp

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俯瞰メール50号

◆時候のご挨拶◆

梅雨の季節で、天気が不安定です。昔の梅雨はしとしととした長雨でしたが、最近はメリ

ハリある気候の変化です。温暖化の影響でしょうか。温暖化は深刻な問題で人類を真綿で

首を絞めるように効いてくるでしょうが、個人レベルでは殆ど対応ができません。中国と

米国という炭酸ガス排出大国も少し反省しているようですが。


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  ● 強行突破するか、安倍首相

● 軍事的な空白が中国を南シナ海に進出させた

● 注目される日本の軍事技術

● 崖っぷちのギリシャそして日本は

● キューバ大使館に行ってきました

● ビジネスモデル学会第23回イブニングセッションのご案内

● 俯瞰のクッキング?シンプルレシピ?

● ニューウェーブの俯瞰?眠っている間にクリエイティビティを高めよう?

● 俯瞰の書棚 「IOTの衝撃」Harvard Business Review 2015年4月号

● 編集後記

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◆強行突破するか、安倍首相◆

安保法制の国会審議が混乱しています。最近では維新の党が内紛状態です。安保法制に積

極的な橋下氏と執行部が対立しています。集団的自衛権を容認するかしないかです。もと

もと集団的自衛権を何としても認めさせたい安倍首相の執念が今回の安保法制の基になっ

ています。


安倍晋三首相は10日の衆院平和安全法制特別委員会で、安全保障関連法案と維新の党な

どの対案が並行審議されたことを受け、「相当(国民の)理解が深まった」と主張、早期採

決に意欲を示しましたが、この文章を書いている時点では結果がどうなるか分かりません。

いずれにせよ憲法違反の訴訟が起こされ、最高裁判所の判断を待つことになるでしょう。


ただこれだけのことを国会で議論して議決するには、余りにも自民党に緊張感が欠けてい

ました。絶対多数を背景に一定程度野党の質問を受け流して十分な時間を委員会審議に使

ったという論理で多数決をすればいい、という安易な姿勢があまりにも露骨で、首相自ら

ヤジを飛ばすとか、自民党推薦の参考人がこともあろうに違憲であると述べるなど、明ら

かに自民党の傲慢の姿勢が徐々に国民全体の心理に染み込んできて、議論をすればするほ

ど国民は疑念を深めてきました。


さらにSEALDs=シールズという学生団体が1万5,000人以上集めて国会前の集会を

したということです。私は東大紛争の時の学生ですから、学生のパワーを実感しています。

あまりにも、これまで学生が政治に無関心だったということも気になっていました。学生

が動くとき、社会は否応なしに反応します。安倍首相の祖父の岸元首相が主導する日米安

保条約改正に反対するデモは国会を5万人で埋めつくし、警察の機動隊の警備活動中に死

者も出ました。


1960年6月15日のデモで全学連主流派が衆議院南通用門から国会に突入した際、警官隊

と衝突して東大の学生であった樺美智子さんが死亡しまた。当時、全学連主流派と対立し

ていた日本共産党は、彼女の死に際して、「樺美智子の死は、官憲の虐殺という側面とトロ

ツキスト樺への批判を混同してはいけない。樺の死には全学連主流派の冒険主義にも責任

がある」と全学連側の行動も非難したとされています。今回の学生の活動の背後に特定の

政治勢力が無く、純粋な学生運動であれば、 18歳の選挙権の時代に次世代を担う学生の意

思が政治に反映する時代が来たと思います。


しかし歴史的にこの日米安保条約改定を誤りという評価はありません。ここに今の安倍首

相は自分を重ねているのでしょうが。


色々ありますが、結果として最近の世論調査は過半数の国民が安保法制の今国会での議決

に反対で、加えて内閣支持率も下がり支持しない方が多数となりました。多くの地方議会

もこの法案に反対、もしくは慎重な立場を表明しています。さらに内閣法制局長官を歴任

したお二人が違憲であるという意見を表明するとなると、このまま今国会で多数を持って

可決することができるのでしょうか。


本来であれば、ここで衆議院を解散し、改めて国民の意思を確認するのが憲政の正道でし

ょうが、安倍首相は「解散を考えていない」と言っていますが、祖父である岸元首相の国

民の大多数が反対最中での安保改定の強行にならい「自分も歴史に名を刻みたい」と表明

しています。


小沢一郎氏の「安倍首相の野望は軍事大国を目指すことである」というような刺激的な発

言も国民から見ると、納得しやすいでしょう。そして一部の人々は、徴兵制の復活とかほ

とんど非現実的な議論を持ち出して、感情的に国民の不安を煽っています。しかし東アジ

アにおける軍事力関係は明らかに緊張状態にありますが、共産党は「外交で友好関係を築

き自衛隊を解散」などという、とんでもない議論をしています。一方自民党の安倍首相の

応援団と称する勉強会では、マスコミ報道の規制の議論を出して、世間の袋だたきにあい

安倍首相も謝罪せざるをえないような混乱ぶりです。


アメリカを始め各国政府は、この日本の混乱した議論がどこに収束するのか、固唾を飲ん

で見守っているのではないでしょうか。


このような安保法制が必要な事は認める必要があります。ただ憲法9条に合う範囲でその

限界を設定することが要点ではないでしょうか。その点では民主党と維新の会の共同提案

はきちっと議論すべき対象だと思います。

このような状況の中で、中国が尖閣諸島の領海内に侵入を繰り返していることは、どんな

意図があるのか計りかねます。


集団的か、個別的か…表現めぐり維新内紛 橋下氏は離党も示唆

http://www.sankei.com/politics/news/150709/plt1507090002-n1.html

安保法制で解散・総選挙まったく考えていない=安倍首相

http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKCN0PJ07J20150709

安保法制、144議会「反対」 181議会「慎重」

http://www.asahi.com/articles/ASH767W4YH76UTIL05Q.html

毎日新聞世論調査:安倍内閣不支持上回る 安保法案、説明不十分8割

http://mainichi.jp/shimen/news/20150706ddm001010163000c.html

歴代の法制局長官が「憲法9条に違反する」と指摘

http://news.tv-asahi.co.jp/news_politics/articles/000053128.html

安保関連法案:シールズの国会前集会に1万5000人以上

http://mainichi.jp/select/news/20150711k0000m040132000c.html

安保法案デモ 話題の学生団体「SEALDs」中心メンバーに聞く

http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/161627

安保法制に「違憲訴訟を準備」 小林節氏・長谷部恭男氏が安倍政権を批判

http://www.huffingtonpost.jp/2015/06/15/national-security-law-unconstitutional_n_7584650.html

剛腕・小沢一郎が安倍首相の野望を暴く「本音は軍事大国を目指すこと」

http://dot.asahi.com/wa/2015062400091.html

「外交で友好関係を築き、自衛隊解消へ」 共産・志位氏

http://www.asahi.com/articles/ASH6R6T8PH6RUTFK016.html?ref=newspicks

首相に罵声 欧米メディアはどう報じたか

http://www.okinawatimes.co.jp/article.php?id=121506

百田尚樹

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%99%BE%E7%94%B0%E5%B0%9A%E6%A8%B9

中国公船が領海侵入=今年19回目?沖縄・尖閣沖

http://www.jiji.com/jc/d4?p=kss816&d=d4_ter&kn=1

問題続出の緩みきった自民党安倍政権はいま、危機にさしかかっている!

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/44000


◆軍事的な空白が中国を南シナ海に進出させた◆

平和外交も重要ですが、現実は力の空白があれば、そこを誰かが埋めるということが国際

政治の常識です。


南シナ海における中国の強引な実効支配と軍事基地の建設は、元はと言えばフィリピンか

ら米軍が撤退した力の空白を、中国が埋めたともいえます。フィリピンはほとんど軍事力

がありません。しかしスプラトリー諸島の目の前にあったアメリカ海軍のスービック海軍

基地を米軍の要請を断って、返却させました。きっかけは、ピナツボ火山噴火により、ク

ラーク基地が甚大な被害を受け、火山灰により滑走路や設備が使用不能となり、復旧には

莫大な費用が発生することになったことです。これを機会に、米軍は軍事的価値の無いこ

の基地を返還することにしましたが、スービック海軍基地は使用継続を希望したのです。

しかしフィリピン国会は、国民にある反米感情を考慮して拒否しました。


南シナ海の埋め立てについては米軍の度重なる抗議に対し、中国は埋め立ての完了という

ことでアメリカとの対立を回避しましたが、すでに3,000メートルの滑走路を完成させこ

こに軍事的な拠点を着々と整備しています。


この南シナ海での中国とASEAN 、米国のせめぎ合いは日本も無関係ではいられません。

この辺が現在の安保法制の議論の中でもっと時間を割くべきだと思います。アラビア海の

ホルムズ海峡における機雷掃海について、安倍首相は憲法解釈を変更しても集団自衛権で

対処する必要があるという論法ですが、集団自衛権を認知させるために、ホルムズ海峡と

いう日本の生命線を持ち出しているような気がします。日本には原油の備蓄はおよそ100

日もあります。さらに現在では米国のシェールオイルもあります。このホルムズ海峡に、

日本が機雷掃海に出かける必要があるかは、議論を要します。安保法制の議論の混乱もこ

こに要因があります。


中国軍にスプラトリー諸島を占領された」フィリピン 米軍撤退と再駐留の理由

http://matome.naver.jp/odai/2139865888023459601

スービック海軍基地

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%83%BC%E3%83%93%E3%83%83%E3%82%AF%E6%B5%B7%E8%BB%8D%E5%9F%BA%E5%9C%B0

南シナ海の中国による埋め立て問題!アメリカが本腰を入れ始めた

http://matome.naver.jp/odai/2143285695476153801

南シナ海埋め立て「近く完了」=米との対立回避へ妥協か―中国

http://news.yahoo.co.jp/pickup/6163760

南沙諸島

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8D%97%E6%B2%99%E8%AB%B8%E5%B3%B6


◆注目される日本の軍事技術◆

長らく日本は武器の輸出をタブーとしてきましたが、今や積極的に武器輸出の方向に向か

っています。 一つは各国が日本の高い軍事技術に目をつけて、積極的にその導入に動くと

同時に、政府と産業界が一体となって軍事技術の輸出を推進しています。


まずオーストラリアの潜水艦の調達ですが、総額5兆円とも言われる大プロジェクトです。

アメリカは原子力潜水艦しか作れませんが、通常型の潜水艦では日本の「そうりゅう」型

潜水艦の性能が注目されています。たぶん日本海軍以来の技術が、脈々と進化しつつその

中に生きているのでしょう。第二次世界大戦中に日本海軍が建造した伊四百型潜水艦は、

それまで対艦兵器としかみなされていなかった潜水艦の用途を一変させ、第二次大戦後の

潜水艦の設計・運用姿勢に大きな影響を与えた結果、核の時代の弾道ミサイル発射能力を

持った米軍潜水艦に行き着いたということです。


海上自衛隊の飛行艇も世界最高の性能で注目集めています。US-2は、新明和工業製の巨大

飛行艇です。陸上・海上の両方で短距離離着陸が可能で、4500km以上の航続距離を誇りま

す。日本とインドは、2013年に同機に関する協力関係を話し合う共同作業部会「JWG」を

設立し、技術移転・ライセンス生産を含む売買契約を模索してきたが同機の購入計画を承

認する見通しだと報じられています。


最近のニュースでは、アメリカ海兵隊が三菱重工が開発中の水陸両用車両に興味を持って

いるということです。戦車から転用したエンジンと新しい水中推進技術を搭載したこの装

甲車は、揚陸作戦で米国の海兵隊が約40年使ってきた「AAV7」よりも、地上での機動力

に優れ、水の中を進むスピードも速いので、注目しているとのことです。「AAV7」は水中

での速度が遅いことに加え、南西諸島での作戦に必要な環礁を走破する能力がない可能性

があり、三菱重工はその後継車両を念頭に、新型車の研究を進めているとのことです。


日本の優秀な軍事技術の友好国への輸出は、安全保障上も、また防衛費削減にも有効です

が、その一方、域内の軍事的な緊張を高めることも考えられます。すなわち中国の軍拡を

結果として押し上げることにもなりますから、複雑な心境です。


日本、豪潜水艦受注で独仏と激突

http://www.sankeibiz.jp/smp/business/news/150424/bsc1504240500009-s.htm

インドが次期主力潜水艦に日本の「そうりゅう」型を検討と判明

http://news.livedoor.com/article/detail/9734064/

伊四百型潜水艦

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BC%8A%E5%9B%9B%E7%99%BE%E5%9E%8B%E6%BD%9C%E6%B0%B4%E8%89%A6

インド、日本の海自飛行艇を購入へ

http://newsphere.jp/politics/20150227-3/

三菱重の水陸両用車、米海兵隊が関心

http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0P32IA20150623


◆崖っぷちのギリシャそして日本は◆

国民投票で国民から緊縮財政反対の支持を背中に、ギリシャのチプラス首相は崖っぷちの

ゲームを続けています。


ギリシャ議会は11日、EUの新たな金融支援の条件としてチプラス政権が提出した構造改

革案の審議を行い、採決の結果、賛成251、反対32で承認しました。チプラス首相は国民

投票で否定されたにも関わらず付加価値税の増税で、年金支給額の削減などEUの要求を

ほとんど取り入れて、最後の決戦に臨んでいます。


ユーロ圏19か国の財務相会合でギリシャ支援が協議されますが、EU側は今回の改革案を

評価していることから、交渉再開が正式に決まる見込みになってきました。

ただEUは極めて強硬な姿勢を崩していません。とりわけドイツ国民は自分たちの税金で

奔放なギリシャ国民を救済することなど、絶対に許せないということでしょう。したがっ

てメルケル首相も強硬な姿勢を崩せません。 EU各国には温度差はありますが、ギリシャ

に対して厳しい姿勢で臨む事は共通しています。


しかし強硬派のドイツもかつてはデフォルトをして、 1953年には債務を50%減免しても

らっているということですから、メルケル首相も高度な政治判断をせざるを得ません。

これまでギリシャは、ロシアと中国というカードをちらつかせながら交渉をしています。

ロシアはEUの経済制裁がありますから経済的な支援はできませんが、精神的な支援は積

極的に行っています。


一方中国は、すでに民営化されるギリシャ最大の港湾ピレウス港の買収に、国有海運会社

の中国遠洋運輸(COSCO)が参加する計画が進めています。5億ユーロ(約680億円)規

模とされる売却額は、ギリシャ政府にとって貴重な収入となります。


中国はいま、欧州との間を結ぶインフラ網を築く「二つのシルクロード経済圏」構想を看

板政策に掲げ、西アジアと欧州の結節点に当たるギリシャに自由に使える港を確保するこ

とは、構想の具体化に大きな意味を持つと同時に軍艦の寄港基地としても使えます。


ギリシャは地中海の地政学的に極めて重要な位置にあります。ここにロシアと中国が影響

力を持つ事をアメリカは見過ごすわけにはいきません。したがってEUの専決事項であっ

たギリシャ危機についても関与を始めています。


ただ対岸のトルコは、極めて反中国です。人種的にも近く同じイスラム人であるウイグル

族の中国の弾圧に対し、激しく国民が反発し、中国人を襲うなどという暴行もあります。

したがってギリシャ危機は、単純にEUの経済的な問題として処理するわけにもいきませ

ん。


元はと言えば、 EUがギリシャはヨーロッパ文明の源流であるということで、トルコに認

めなかったEU加入を安易に認め、ユーロ圏に入ってギリシャは巨額のユーロ国債を発行

し、オリンピック開催を理由にインフラ投資を膨らませ、加えて国民には手厚い年金を約

束してきましたが、むろん経済的合理性がありませんから財政は破綻し、その破綻した状

況を隠してきた結果2010年から経済危機に陥りました。


現役時代の8割の年金が保証されそれを求めて50代で多くの国民が早期退職をするという

奔放なギリシャに対して、質実剛健を旨とする北ヨーロッパ各国が、厳しく臨むのは当然

でしょう。


幸いギリシャ経済は世界的には1%以下で、世界経済や日本経済にとってもほとんど影響が

ありません。ただ心理的には中国の経済減速と同時に進行ですから、市場心理を大きく動

かす可能性はあります。すでに上海の株式市場の暴落は世界市場の投資家に危機感を植え

付けています。日本の株式もこれに影響されて大きく乱高下しています。


しかし国債という国の借金で国民の関心を買うという政治の行く末をギリシャははっきり

と私たちに見せつけています。とんでもない浪費の新国立競技場や経済性が乏しい新幹線、

そして農業を中心としたバラマキの補助金を推進している現政権のリスクを、国民はこの

際はっきりと自覚すべきです。


ギリシャ議会、構造改革案を承認…交渉再開へ

http://www.yomiuri.co.jp/world/20150711-OYT1T50025.html

12日に合意できなければ「ギリシャは破綻」 支援判断の最終期限、EUが警告

http://www.sankei.com/world/news/150708/wor1507080044-n1.html

ドイツ与党内で強まる対ギリシャ強硬論、メルケル首相を束縛も

http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKCN0PH08120150707

過去にデフォルトしたドイツが、ギリシャに説教する立場にない

http://markethack.net/archives/51972863.html

「過去にデフォルトしたドイツが、ギリシャに説教する立場にない」

http://markethack.net/archives/51972863.html

ギリシャ巡りフランスでも厳しい声強まる

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150709/k10010144171000.html

ギリシャ孤立、米が警戒…ロシア接近をけん制

http://www.yomiuri.co.jp/world/20150708-OYT1T50036.html

危機ギリシャに触手 中国、インフラ投資の支援策 ロシア、制裁科すEU揺さぶり

http://digital.asahi.com/articles/DA3S11843742.html

中国、AIIBを通じてギリシャを支援か

http://jp.reuters.com/article/FiscoColumn/idJP00025100_20150707_00120150707

トルコ各地で反中デモ 中国人と間違え韓国人ツアー客を襲撃

http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20150706/frn1507061201008-n1.htm

ギリシャ危機、真の病巣は「バラマキ年金」にあり

http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/221102/070200016/?rt=nocnt

「五輪」を起爆剤にできなかったギリシャの悲劇

http://sankei.jp.msn.com/london2012/news/120630/clm12063008560000-n1.htm

「ギリシャ危機」の原因はアテネ五輪 東京も無策で“二の舞”に

http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/161510

ギリシャ問題、影響を過大評価せず冷静に注視を=甘利経済再生相

http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPL3N0ZG09320150630


◆キューバ大使館に行ってきました◆

ビジネスモデル学会の大使館プログラムで、キューバ大使館に行ってきました。赤羽橋近

くの小さな大使館でした。 50年も続いたアメリカのキューバの経済制裁が終り、国交回復

が実現しましたので、アメリカに従属的な関係の日本も、これから積極的な経済交流がで

きるようになりますから情報収集に行ったのです。

大使は休暇で本国に帰国していましたが、スタッフの方々が丁寧にキューバの現状を説明

してくれました。


説明会の部屋には、あのチェ・ゲバラの写真が飾ってありました。本当に懐かしい気持ち

で見ました。私はあのキューバ危機が高校3年生で、その当時の衝撃的な状況は、今でも

覚えています。しかしキューバ危機以降は、すっかりキューバに対する関心を失い、情報

もほとんど入ってきませんでした。


キューバの現状に対する説明で特筆すべき事は、非常に医学教育が進んでいて医師の数も

多く、キューバ国民は非常に良い医療を受けられているという事でした。そして各国に対

する支援活動としてキューバは医師団をたくさん派遣しているということです。

社会主義国ですから医療や教育はすべて無料です。治安も極めて良いようです。


ただアメリカと国交回復すれば、投資が始まり資本主義的な格差が広がるでしょう。ある

意味、汚れのないキューバという社会がどのように資本主義という汚れに染まっていくの

か気になりました。


日本の視点に立つと、アメリカのすぐ南にあるキューバは、アメリカへの輸出の生産基地

となります。いま自動車産業中心として、日本の製造業はアメリカの南のメキシコに大量

に進出していますが、メキシコは汚職と麻薬にまみれた治安が極めて悪い地域です。です

からキューバに生産基地を設ける事は、安く、豊富な労働力を活用できるばかりでなく、

日本人の駐在員にとってもメキシコよりもずっとよいと思います。


◆ビジネスモデル学会第23回イブニングセッションのご案内◆

プロジェクトリーダから経営者へ~理系女子が語る経営者の道~

日時:8月6日(木) 19:00-21:30

場所:霞ヶ関ナレッジスクエア エキスパート倶楽部

講師:加藤百合子 氏  株式会社エムスクエア・ラボ 代表取締役 http://m2-labo.jp/

講演要旨:

今振り返れば最初はお遊びでした。マーケティングも計画も粗く、何が必要かもしっかり

見えない中で、補助事業で事業推進。その後、数々の失敗を繰り返し、ようやく、ひと・

もの・かねのバランス感覚をつかみ、最近経営者になったと経験談を話します。


◆俯瞰のクッキング?シンプルレシピ?◆

最近買った中でかなりレベルの高い料理の本がありますのでご紹介します。

「暮しの手帖のシンプルレシピ」です。野崎洋光、ウー・ウェン、渡辺有子、飛田和緒と

いう当代一流の料理人が書いています。この本のシンプルレシピとは、 1少ない材料と手

順で作る料理、2ほっておいて美味しくなる料理、3あると助かる作り置き料理、です。


最初は日本料理の野崎洋光さんです。彼のポイントは、昔の料理と今の料理は違う、なぜ

かというと、昔といまでは魚の鮮度が違うからです。ですから魚も薄味でさっと煮ればい

いということです。次は塩を振って時間をおくという効果、塩を振って15分から30分、

これが「時間が美味しくする工程」と言っています。そして「湯通し」で雑味を取り除く、

です。アクが抜けて素材の旨みが引き立つとのことです。そして、火を入れすぎずに仕上

げる、です。例えば牛の冷しゃぶ、は70度のお湯を使う、です。


2番目に登場するのは中華料理のウー・ウェンさんです。彼女のポイントは、切り方で味わ

いを変える、炒め物は準備をしっかりと、火の入れ方と調味のタイミングです。中華料理

の炒め物というと、強火で素早くというようなイメージがありますが、彼女は強火でパッ

パではなく、中火でじっくりと炒め、素材が持つ水分を使って火を通す、と言っています。

この方法はIHのレンジでは大変助かります。


3番目の渡辺裕子さんは、ジャンルがわかりませんが、彼女がいうポイントは、少ない材料

で作る時は組み合わせを考える、手早く作るための準備と下ごしらえ、厚手の鋳物鍋です。

私も鋳物鍋が好きで、いくつも持っていますが、蓋をして弱火で蒸気を閉じ込めてじっく

り煮るのにはこれは欠かせません。楕円形の鍋は豚の肩ロースの塊がすっぽり入り、少な

い煮汁で煮豚などができます。


4番目は飛田和緒さんです。彼女のいうポイントは旬の食材を使う、揚げ物を活用する、水

ダシを常備する、作り置きならではの美味しさ、です。そして紹介している料理は、ごく

普通の料理ですが、日々の家庭料理にぴったりのものばかりです。



次は「日々 」ごちそう帖、です。私は見たことありませんが上、記の飛田和緒さんを中心

としたグループが作っている季刊雑誌「日々 」の関係者の人々が料理を紹介しています。

飛田和緒さんの魚料理、細川亜衣さんの野菜料理、坂田亜希子さんの肉料理、そしてこの

本の編集者である高橋佳枝さんの昭和のご飯、という構成です。ごく普通の料理ですが、

紹介されている料理一つ一つに知性を感じることができます。シンプルで、それゆえに美

味しいという料理ばかりが紹介されています。


このところ、外での会食や交流会が多く、家で料理を作る機会が少なかったのですが、や

っと渋谷のFood Showに行って自宅で夕食をつくりました。まず朝食のための定番ですが、

冷凍のブルーベリー、納豆、そして野菜ジュースのためのセロリ、レモン、人参、そして

アボカドとキウイ、バナナをカゴに入れました。そして魚屋に来てみると大ぶりの赤舌平

目がありましたので、反射的に買いました。これはバターでムニエルにします。そしてあ

まり見かけない白イカがありますので、なんとなくこれも買いました。店の人は刺身でべ

るとうまいと言ってくれました。


帰宅して白イカのレシピをiPadで探していると、なんと白イカのさばき方というYouTube

があったのでこれを見てさばいてみました。いつもやっている自己流のイカのさばき方と

は違っていましたが、刺身にするには合理的な方法でした。


問題は、うちのパートナーはもともと魚があまり好きでなく肉食系で、イカの刺身は食べ

ません。刺身用にさばいた白イカをじっと見てどう料理するか考えました。食材を見なが

らその料理法を考えるのは最高に楽しい時間です。肉好きのパートナーの嗜好を考えて、

開いた白いかの上にイタリアの生ハムを重ね、端からくるくると巻いて楊枝止めをオリー

ブ油でさっと焼きました。これは結構当たりでした。大葉も一緒に巻いてはどうかという

コメントをもらいました。


付け合わせの野菜料理は、冷蔵庫にあった太めのズッキーニを厚めに輪切りしてフライパ

ンで両面をオリーブ油焼き、その上にシラスのアヒージョを載せました。シラスのアヒー

ジョは小さな鍋にシラスとニンニクと赤唐辛子を入れ、それにひたひたのオリーブ油を入

れて弱火で少し煮込んだものです。これを作っておくと、キャベツの美味しい炒め物がで

きます。冷蔵庫で3、 4日は持ちます。むろんアヒージョとして薄切りのフランスパンに

のっけてもおいしいです。


◆ニューウェーブの俯瞰?眠っている間にクリエイティビティを高めよう?

ニューウェーブとは関係ありませんが夢と現実をコントロールするという面白い記事を見

つけたのでご紹介します。


夢はコントロールできるのか

多くの人にとって、夢は参加するものではなく見るものです。画像とアイデアが飛び交う

様子をはたから見ていて、目覚めたあともそれを覚えていたらラッキー。でも、その夢を、

自発的にコントロールできたらどうでしょう?


「Lucidity Institute」の創設者であるStephen LaBerge氏は、意識的に夢をコントロール

できる明晰夢の臨床研究者として有名です。


同氏はスタンフォード大学で、明晰夢の訓練を受けた人を対象とした実験を行いました。

夢を見始めたら、特定の目の動きをするよう(たとえば、右、右、左、右、左)に指示を

出したのです。ポリグラフを使って被験者の目の動きをモニターしたところ、被験者の目

の動きは、事前に決めたパターンとぴったり一致しました。目視でも、急速でランダムだ

った目の動きが、ゆっくりでコントロールされた動きになることが確認されたそう。これ

により、人は睡眠中に認知機能をコントロールできることが証明されました。


夢を覚えているエピソードとして、ポール・マッカートニーが非常に鮮明な夢を見たあと

に「Yesterday」のメロディを書いたことは有名です。しかし、多くの場合において、無意

識に答えを見つけられる場所を作るには、解決したい課題のことを強く意識しなければな

りません。


Steven Kotler氏は『Hacking Creativity』において、発明家であり予言者でもあるRay

Kurweil氏が明晰夢を使って複雑な問題を解決していることについて、このように書いてい

ます。


毎晩、彼の夢には断片的な解決策が浮かんでは消えていきます。そこにかすかな意識が働

いたとき、彼は課題について考え始めます。この短い準意識的な時間が「明晰夢」と呼ば

れる状態であり、意識的な思考と睡眠による身体のリラクゼーションが相まって、驚くべ

き洞察に至っているのです。


Kotler氏は、明晰夢のカギは、シンプルなパターン認識にあると結論づけています。身体

と心をリラックスさせて特定の問題や見たい夢に意識を集中させることで、脳の奥の部分

が、これまでとは違う新しい方法で情報を結合するようになるのです。


明晰夢を誘導する方法

寝ている間に自信を高め、クリエイティブになりたいという人は、夢をコントロールする

方法を学ぶといいでしょう。


私はよく、明晰夢とマインドフルネスを比較します。どちらも、自分の内外にあることに

意識を向けるという意味では同じです。結局のところ明晰夢の定義は、夢を認識できる能

力のこと。そのため、以下に示すテクニックはどれも、思考を集中させ、環境を敏感に認

識して対応する能力について言及しています。


1. 夢を思い出す訓練

枕元にメモを置いておき、起きると同時に、覚えていることをすべて書き留めます。最初

はわずかなヒントや思考を書き留め、そこからだんだん増やしていきましょう。毎晩ひと

つの夢を詳細に覚えられるようになるまで訓練を続けてください。よく見る夢の種類を明

確に描くことができるようになると、夢が始まったことを認識できるようになります。


2. 夢のサインを知る

7から12個の夢を記録したら、パターンを見つけましょう。よく出てくる人や場所、奇妙

なことなど、そこには共通の夢のサインがあるはずです。今後、そのサインを目印に、明

晰夢に入っていきます。


3. 現実をテストする

生活の中で、自分の周りで起こることに注意を払ってください。夢のサインに似た現象は

ありませんか? ここでの目標は、現実をテストすることを習慣にして、それを夢の中で

も行えるようにすることです。

たとえば、ある物を見て、その模様、色、質感を認識してから一度目をそらし、再び視線

を戻したときに、すべてが同じであることを確認してみてください。あるいは、1日中、次

のような質問を続けるのです。

これは夢なのか現実なのか? 今、何を着ている? 自分の名前は? 今、どこにいる?

5分前は何をしてた?

夢の世界では、物、文字、イベント、人などが、おかしな形で現れることがあります。


4. 導入

眠りに落ちる前に、以下のエクササイズをします。

        * リラクゼーション:まず、身体の緊張を解き、日々の心配事から心をクリアにするこ

とで、自分の意志に集中します。

 * 意志を定める:祈りの言葉などにより、夢の状態を知ることを決意します。

 * リハーサル:眠りに落ちるときに、意志を何度も可視化します。明晰夢を見ている自

分を想像し、見たい夢や解決したい問題が、あなたの意志となるように。


5. 睡眠サイクルを分割する

明晰夢を見る人は、睡眠を2つのセッションに分けている人が多いようです。5?6時間寝

て、1時間起きて、再び眠って誘導テクニックを適用するのです。これは、レム睡眠が長い

ほど、長く鮮明な夢が見られるからなのだとか。


これらのエクササイズは、実際にやろうとすると、かなり大変です。筆者も何週間か練習

を続けていますが、いまだに夢を見ている状態を認識できず、明晰夢に入ることができま

せん。


でも私は、寝ている時間を自分だけのバーチャルリアリティの場にしたいので、訓練を続

けるつもりです。夢の中でクリエイティビティを高め、新しいことを学び、面白い人と話

し、ネガティブなイメージを美しいものに変えるのです。

何よりも、空を飛べたらいいな。

How lucid dreaming can improve your creativity while you sleep | Crew Blog

Rosanna Casper(訳:堀込泰三)


明晰夢をマスターして、眠っている間にクリエイティビティを高めよう

http://www.lifehacker.jp/2015/07/150705lucid_dreaming.html

明晰夢

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%98%8E%E6%99%B0%E5%A4%A2

自由にできる夢は危険?明晰夢を見る方法とその注意点

http://matome.naver.jp/odai/2141398771814127701


◆俯瞰の書棚◆

今回の紹介は 「IOTの衝撃」Harvard Business Review 2015年4月号です。


この本はいわゆる書籍というよりも雑誌の特別号です。今流行のIOTに関する基礎的な解

説です。したがってIOTについて概要を頭に入れたい人にはお勧めです。収録されている

論文は、村井純「 IOTという新たな産業革命」 、マイケル・ポーター「 IOT時代の競争

戦略」 、マルコイヤンシティ、カリムR.ラカニー「 GEが目指すインダストリアル・イ

ンターネット」です。


村井論文は、インターネットは何かということを正しく理解するには最適の論文です。実

はインターネットという言葉には3つの意味があるのです。 1つ目はnetwork of networks

です。国際的にプロバイダーをネットワークするメタネットワークで、これが一般的なイ

ンターネットの定義です。 2つ目はTCP /IPという通信手段で世界中がつながるネットワ

ークのことを意味します。 3つ目はTCP/IPを使っているもののバラバラに動いているも

の、インターネットの技術を使うが、世界のインターネットとは繋がっていないものとい

う意味です。その後IOTの始まりからその社会への影響を解説しているので、ある意味バ

ズワードであるIOTを比較的正しく理解するに有効な論文です。


マイケル・ポーターの論文は、ほとんど未完成で、高校生でも分かるようなIOTの解説で

す。たぶん共著者の弟子が書いた論文だと思います。 IOTの解説がくどくどとありますが、

この論文の主張はIOT時代になっても、マイケル・ポーターが提案した、ファイブホース、

ポジショニング、バリューチェーン、トレードオフという競争戦略の基本形は依然として

有効であるということです。マイケル・ポーターはインターネットが出現した時にも、同

じ論理でインターネット時代になっても自分が提案した競争戦略のテンプレートは有効で

あると論文を発表しています。この主張は無論正しくて、各自がIOT戦略を考えるときに

マイケル・ポーターの提案する競争戦略の基本概念は有効でしょう。これに引き続いて論

文を出すといっていますからそこには、どんなことが書かれているのか興味深いです。


3番目の「 GEが目指すインダストリアル・インターネット」はGEがこの10年ほど推進

してきた旧来の取引ベースの故障や修理というサービスビジネスを、定額の契約ベースの

保守サービスに移行し、さらにジェットエンジンやプラントからの操業データを分析し、

それを顧客の資産とオペレーションの最適化、という新しい顧客価値を提供するサービス

ビジネスに進化させる中でIOTというデジタル革命を分析している論文です。これも多く

の製造業にとって示唆に富んだ IOTの事例となるでしょう。


IOTが今日これだけ注目されているには、この20年ばかりの驚異的なデジタル技術の進化

があります。半導体技術、マイクロプロセッサーの進歩は何億倍という性能向上を実現し

ています。通信技術もインターネットとともに進化し、 人間や機器・機械の周辺で使われ

ているIEEE802.11という通信技術もIEEE802.11.acまで発展し通信速度と容量は数千倍

に進化しました。 RFIDやセンサー技術も小型化が進み、すべてのものにセンサーを付け

られる段階にきました。人間にもウェアラブル機器としてセンサーがすでに装着されてい

ます。これらのセンサーから収集される天文学的な情報をクラウドコンピューティングの

世界に取り込み、 deep learningという機械学習の技術で分析し、その中から有効な情報

を取り出し、プラントや機器の最適オペレーション、故障保全の予兆検出、そして場合に

よっては直接的な制御も行う可能性が現実的なビジネスになることが理解できます。そし

てIOTというバズワードの中で、人々はビジネスチャンスを模索することになります。


この段階でIOTとは何か、という勉強はある意味、一周遅れですが、今からでも遅くあり

ません。


日本の企業はIOT戦略については米国に大きく遅れています。その一因がIOT推進をする

はずの日本のIT産業がほとんど崩壊状態です。アップルやグーグルそしてMicrosoftが展

開している世界で存在感のあるIT企業はありません。これは明らかに国策の誤りです。と

いうか国策に頼る日本企業の甘えが原因でしょう。いつも言っていますが、アップルやグ

ーグルが米国政府から補助金をもらったという話は聞いたことがありません。


◆編集後記◆

● ギリシャ危機の展開がクライマックスで結果が見えず、脱稿が遅れてしまいまし

た。見切り発車ですが、ギリギリEU残留でしょう。

● 安保法案は15日採決という情報もありますが、簡単には収束するとは思いません。

場合によっては解散総選挙もあり得ます。

● 日中関係もこのところかなり改善の方向が出てきましたが、日中関係は限定的な

解決で東アジアの緊張関係は解消されないでしょう。ただ日中関係が改善されると、日韓関係の改善が付いてくるでしょう。

● なぜ50年も隣国のキューバを、アメリカはいじめてきたのでしょうか。しかしキ

ューバ大使館のスタッフは凛とした方々でした。

● 日本の産業のアキレス腱はITに関する意識の遅れです。経営層のITリテラシー

があまりにも貧弱です。


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◆内容・記事に関するご意見・お問い合わせ / 配信解除・メールアドレス変更は、

  右記までwebmaster@fukan.jp

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◆俯瞰MAIL 0050号(2015年7月12日)

発行元:     一般社団法人 俯瞰工学研究所

発行人:   松島克守

編集長:   松島克守

URL:      http://fukan.jp

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7 件の古いメッセージ


Nobuhisa Amagata

松島さん ギリッシャ危機も、EUがギリシャの緊縮策を認めて、追加支援 決めましたね。又安保法案も衆議院通過しましたね。 いずれも、これからどうなるか不透明...

7月17日


susumu.osawa@nomura.com fukan.jp 経由

7月17日


To webmaster 

松島先生、ご無沙汰しております。

IOTを活用して金融事務の生産性向上を模索したいと思います。

アルゴリズムにアナリテイクを適用すれば外国為替の相場方向はできるのですが、

そこに存在する人間の心理を加えればいいのでしょうか??心拍数とか血圧とかで?


大沢


-----Original Message-----

From: (社)俯瞰工学研究所 [mailto:webmaster@fukan.jp]

Sent: Wednesday, July 15, 2015 9:15 PM

To: Osawa, Susumu (Operations/JP) / 大沢 晋 (GMオペレーション部)

Subject: ◆俯瞰 MAIL 0050 号( 2015 年 7 月)◆


俯瞰工学研究所の松島克守のメールマガジンです。第50号を送らせていただきます。

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◆このメールマガジンは、松島克守が、東京大学教授、そして(社)俯瞰工学研究所の代

表として名刺交換やメール交換をさせて頂いた方々にお送りしています。またこのような

メールマガジンはメールボックスのご迷惑と感じられる方もあるかと思います。ご遠慮な

く不要のお申し出を下さるようお願いします。また、内容等についてもご遠慮なくご意見

を頂ければ幸いです。お時間があれば章末のURLの元情報を読んでください。

過去の俯瞰メールは俯瞰工学研究所のHPの「俯瞰メールのアーカイブ」にあります。

http://www.fukan.jp/

ご友人、ご家族に転送して頂くことは大歓迎です。このマガジンは長いので添付の、pdfフ

ァイルを保存しておいて、タブレット等でゆっくりお読み頂くこともできます。

また、このメールマガジンに記事の投稿をご希望の方は是非原稿をお寄せください。

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◆時候のご挨拶◆

梅雨の季節で、天気が不安定です。昔の梅雨はしとしととした長雨でしたが、最近はメリ

ハリある気候の変化です。温暖化の影響でしょうか。温暖化は深刻な問題で人類を真綿で

首を絞めるように効いてくるでしょうが、個人レベルでは殆ど対応ができません。中国と

米国という炭酸ガス排出大国も少し反省しているようですが。


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  ● 強行突破するか、安倍首相

● 軍事的な空白が中国を南シナ海に進出させた

● 注目される日本の軍事技術

● 崖っぷちのギリシャそして日本は

● キューバ大使館に行ってきました

● ビジネスモデル学会第23回イブニングセッションのご案内

● 俯瞰のクッキング?シンプルレシピ?

● ニューウェーブの俯瞰?眠っている間にクリエイティビティを高めよう?

● 俯瞰の書棚 「IOTの衝撃」Harvard Business Review 2015年4月号

● 編集後記

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◆強行突破するか、安倍首相◆

安保法制の国会審議が混乱しています。最近では維新の党が内紛状態です。安保法制に積

極的な橋下氏と執行部が対立しています。集団的自衛権を容認するかしないかです。もと

もと集団的自衛権を何としても認めさせたい安倍首相の執念が今回の安保法制の基になっ

ています。


安倍晋三首相は10日の衆院平和安全法制特別委員会で、安全保障関連法案と維新の党な

どの対案が並行審議されたことを受け、「相当(国民の)理解が深まった」と主張、早期採

決に意欲を示しましたが、この文章を書いている時点では結果がどうなるか分かりません。

いずれにせよ憲法違反の訴訟が起こされ、最高裁判所の判断を待つことになるでしょう。


ただこれだけのことを国会で議論して議決するには、余りにも自民党に緊張感が欠けてい

ました。絶対多数を背景に一定程度野党の質問を受け流して十分な時間を委員会審議に使

ったという論理で多数決をすればいい、という安易な姿勢があまりにも露骨で、首相自ら

ヤジを飛ばすとか、自民党推薦の参考人がこともあろうに違憲であると述べるなど、明ら

かに自民党の傲慢の姿勢が徐々に国民全体の心理に染み込んできて、議論をすればするほ

ど国民は疑念を深めてきました。


さらにSEALDs=シールズという学生団体が1万5,000人以上集めて国会前の集会を

したということです。私は東大紛争の時の学生ですから、学生のパワーを実感しています。

あまりにも、これまで学生が政治に無関心だったということも気になっていました。学生

が動くとき、社会は否応なしに反応します。安倍首相の祖父の岸元首相が主導する日米安

保条約改正に反対するデモは国会を5万人で埋めつくし、警察の機動隊の警備活動中に死

者も出ました。


1960年6月15日のデモで全学連主流派が衆議院南通用門から国会に突入した際、警官隊

と衝突して東大の学生であった樺美智子さんが死亡しまた。当時、全学連主流派と対立し

ていた日本共産党は、彼女の死に際して、「樺美智子の死は、官憲の虐殺という側面とトロ

ツキスト樺への批判を混同してはいけない。樺の死には全学連主流派の冒険主義にも責任

がある」と全学連側の行動も非難したとされています。今回の学生の活動の背後に特定の

政治勢力が無く、純粋な学生運動であれば、 18歳の選挙権の時代に次世代を担う学生の意

思が政治に反映する時代が来たと思います。


しかし歴史的にこの日米安保条約改定を誤りという評価はありません。ここに今の安倍首

相は自分を重ねているのでしょうが。


色々ありますが、結果として最近の世論調査は過半数の国民が安保法制の今国会での議決

に反対で、加えて内閣支持率も下がり支持しない方が多数となりました。多くの地方議会

もこの法案に反対、もしくは慎重な立場を表明しています。さらに内閣法制局長官を歴任

したお二人が違憲であるという意見を表明するとなると、このまま今国会で多数を持って

可決することができるのでしょうか。


本来であれば、ここで衆議院を解散し、改めて国民の意思を確認するのが憲政の正道でし

ょうが、安倍首相は「解散を考えていない」と言っていますが、祖父である岸元首相の国

民の大多数が反対最中での安保改定の強行にならい「自分も歴史に名を刻みたい」と表明

しています。


小沢一郎氏の「安倍首相の野望は軍事大国を目指すことである」というような刺激的な発

言も国民から見ると、納得しやすいでしょう。そして一部の人々は、徴兵制の復活とかほ

とんど非現実的な議論を持ち出して、感情的に国民の不安を煽っています。しかし東アジ

アにおける軍事力関係は明らかに緊張状態にありますが、共産党は「外交で友好関係を築

き自衛隊を解散」などという、とんでもない議論をしています。一方自民党の安倍首相の

応援団と称する勉強会では、マスコミ報道の規制の議論を出して、世間の袋だたきにあい

安倍首相も謝罪せざるをえないような混乱ぶりです。


アメリカを始め各国政府は、この日本の混乱した議論がどこに収束するのか、固唾を飲ん

で見守っているのではないでしょうか。


このような安保法制が必要な事は認める必要があります。ただ憲法9条に合う範囲でその

限界を設定することが要点ではないでしょうか。その点では民主党と維新の会の共同提案

はきちっと議論すべき対象だと思います。

このような状況の中で、中国が尖閣諸島の領海内に侵入を繰り返していることは、どんな

平和外交も重要ですが、現実は力の空白があれば、そこを誰かが埋めるということが国際

政治の常識です。


南シナ海における中国の強引な実効支配と軍事基地の建設は、元はと言えばフィリピンか

ら米軍が撤退した力の空白を、中国が埋めたともいえます。フィリピンはほとんど軍事力

がありません。しかしスプラトリー諸島の目の前にあったアメリカ海軍のスービック海軍

基地を米軍の要請を断って、返却させました。きっかけは、ピナツボ火山噴火により、ク

ラーク基地が甚大な被害を受け、火山灰により滑走路や設備が使用不能となり、復旧には

莫大な費用が発生することになったことです。これを機会に、米軍は軍事的価値の無いこ

の基地を返還することにしましたが、スービック海軍基地は使用継続を希望したのです。

しかしフィリピン国会は、国民にある反米感情を考慮して拒否しました。


南シナ海の埋め立てについては米軍の度重なる抗議に対し、中国は埋め立ての完了という

ことでアメリカとの対立を回避しましたが、すでに3,000メートルの滑走路を完成させこ

こに軍事的な拠点を着々と整備しています。


この南シナ海での中国とASEAN 、米国のせめぎ合いは日本も無関係ではいられません。

この辺が現在の安保法制の議論の中でもっと時間を割くべきだと思います。アラビア海の

ホルムズ海峡における機雷掃海について、安倍首相は憲法解釈を変更しても集団自衛権で

対処する必要があるという論法ですが、集団自衛権を認知させるために、ホルムズ海峡と

いう日本の生命線を持ち出しているような気がします。日本には原油の備蓄はおよそ100

日もあります。さらに現在では米国のシェールオイルもあります。このホルムズ海峡に、

日本が機雷掃海に出かける必要があるかは、議論を要します。安保法制の議論の混乱もこ

こに要因があります。


中国軍にスプラトリー諸島を占領された」フィリピン 米軍撤退と再駐留の理由

http://matome.naver.jp/odai/2139865888023459601

スービック海軍基地

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%83%BC%E3%83%93%E3%83%83%E3%82%AF%E6%B5%B7%E8%BB%8D%E5%9F%BA%E5%9C%B0

南シナ海の中国による埋め立て問題!アメリカが本腰を入れ始めた

http://matome.naver.jp/odai/2143285695476153801

南シナ海埋め立て「近く完了」=米との対立回避へ妥協か―中国

http://news.yahoo.co.jp/pickup/6163760

南沙諸島

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8D%97%E6%B2%99%E8%AB%B8%E5%B3%B6


◆注目される日本の軍事技術◆

長らく日本は武器の輸出をタブーとしてきましたが、今や積極的に武器輸出の方向に向か

っています。 一つは各国が日本の高い軍事技術に目をつけて、積極的にその導入に動くと

同時に、政府と産業界が一体となって軍事技術の輸出を推進しています。


まずオーストラリアの潜水艦の調達ですが、総額5兆円とも言われる大プロジェクトです。

アメリカは原子力潜水艦しか作れませんが、通常型の潜水艦では日本の「そうりゅう」型

潜水艦の性能が注目されています。たぶん日本海軍以来の技術が、脈々と進化しつつその

中に生きているのでしょう。第二次世界大戦中に日本海軍が建造した伊四百型潜水艦は、

それまで対艦兵器としかみなされていなかった潜水艦の用途を一変させ、第二次大戦後の

潜水艦の設計・運用姿勢に大きな影響を与えた結果、核の時代の弾道ミサイル発射能力を

持った米軍潜水艦に行き着いたということです。


海上自衛隊の飛行艇も世界最高の性能で注目集めています。US-2は、新明和工業製の巨大

飛行艇です。陸上・海上の両方で短距離離着陸が可能で、4500km以上の航続距離を誇りま

す。日本とインドは、2013年に同機に関する協力関係を話し合う共同作業部会「JWG」を

設立し、技術移転・ライセンス生産を含む売買契約を模索してきたが同機の購入計画を承

認する見通しだと報じられています。


最近のニュースでは、アメリカ海兵隊が三菱重工が開発中の水陸両用車両に興味を持って

いるということです。戦車から転用したエンジンと新しい水中推進技術を搭載したこの装

甲車は、揚陸作戦で米国の海兵隊が約40年使ってきた「AAV7」よりも、地上での機動力

に優れ、水の中を進むスピードも速いので、注目しているとのことです。「AAV7」は水中

での速度が遅いことに加え、南西諸島での作戦に必要な環礁を走破する能力がない可能性

があり、三菱重工はその後継車両を念頭に、新型車の研究を進めているとのことです。


日本の優秀な軍事技術の友好国への輸出は、安全保障上も、また防衛費削減にも有効です

が、その一方、域内の軍事的な緊張を高めることも考えられます。すなわち中国の軍拡を

結果として押し上げることにもなりますから、複雑な心境です。


日本、豪潜水艦受注で独仏と激突

http://www.sankeibiz.jp/smp/business/news/150424/bsc1504240500009-s.htm

インドが次期主力潜水艦に日本の「そうりゅう」型を検討と判明

http://news.livedoor.com/article/detail/9734064/

伊四百型潜水艦

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BC%8A%E5%9B%9B%E7%99%BE%E5%9E%8B%E6%BD%9C%E6%B0%B4%E8%89%A6

インド、日本の海自飛行艇を購入へ

http://newsphere.jp/politics/20150227-3/

三菱重の水陸両用車、米海兵隊が関心

http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0P32IA20150623


◆崖っぷちのギリシャそして日本は◆

国民投票で国民から緊縮財政反対の支持を背中に、ギリシャのチプラス首相は崖っぷちの

ゲームを続けています。


ギリシャ議会は11日、EUの新たな金融支援の条件としてチプラス政権が提出した構造改

革案の審議を行い、採決の結果、賛成251、反対32で承認しました。チプラス首相は国民

投票で否定されたにも関わらず付加価値税の増税で、年金支給額の削減などEUの要求を

ほとんど取り入れて、最後の決戦に臨んでいます。


ユーロ圏19か国の財務相会合でギリシャ支援が協議されますが、EU側は今回の改革案を

評価していることから、交渉再開が正式に決まる見込みになってきました。

ただEUは極めて強硬な姿勢を崩していません。とりわけドイツ国民は自分たちの税金で

奔放なギリシャ国民を救済することなど、絶対に許せないということでしょう。したがっ

てメルケル首相も強硬な姿勢を崩せません。 EU各国には温度差はありますが、ギリシャ

に対して厳しい姿勢で臨む事は共通しています。


しかし強硬派のドイツもかつてはデフォルトをして、 1953年には債務を50%減免しても

らっているということですから、メルケル首相も高度な政治判断をせざるを得ません。

これまでギリシャは、ロシアと中国というカードをちらつかせながら交渉をしています。

ロシアはEUの経済制裁がありますから経済的な支援はできませんが、精神的な支援は積

極的に行っています。


一方中国は、すでに民営化されるギリシャ最大の港湾ピレウス港の買収に、国有海運会社

の中国遠洋運輸(COSCO)が参加する計画が進めています。5億ユーロ(約680億円)規

模とされる売却額は、ギリシャ政府にとって貴重な収入となります。


中国はいま、欧州との間を結ぶインフラ網を築く「二つのシルクロード経済圏」構想を看

板政策に掲げ、西アジアと欧州の結節点に当たるギリシャに自由に使える港を確保するこ

とは、構想の具体化に大きな意味を持つと同時に軍艦の寄港基地としても使えます。


ギリシャは地中海の地政学的に極めて重要な位置にあります。ここにロシアと中国が影響

力を持つ事をアメリカは見過ごすわけにはいきません。したがってEUの専決事項であっ

たギリシャ危機についても関与を始めています。


ただ対岸のトルコは、極めて反中国です。人種的にも近く同じイスラム人であるウイグル

族の中国の弾圧に対し、激しく国民が反発し、中国人を襲うなどという暴行もあります。

したがってギリシャ危機は、単純にEUの経済的な問題として処理するわけにもいきませ

ん。


元はと言えば、 EUがギリシャはヨーロッパ文明の源流であるということで、トルコに認

めなかったEU加入を安易に認め、ユーロ圏に入ってギリシャは巨額のユーロ国債を発行

し、オリンピック開催を理由にインフラ投資を膨らませ、加えて国民には手厚い年金を約

束してきましたが、むろん経済的合理性がありませんから財政は破綻し、その破綻した状

況を隠してきた結果2010年から経済危機に陥りました。


現役時代の8割の年金が保証されそれを求めて50代で多くの国民が早期退職をするという

奔放なギリシャに対して、質実剛健を旨とする北ヨーロッパ各国が、厳しく臨むのは当然

でしょう。


幸いギリシャ経済は世界的には1%以下で、世界経済や日本経済にとってもほとんど影響が

ありません。ただ心理的には中国の経済減速と同時に進行ですから、市場心理を大きく動

かす可能性はあります。すでに上海の株式市場の暴落は世界市場の投資家に危機感を植え

付けています。日本の株式もこれに影響されて大きく乱高下しています。


しかし国債という国の借金で国民の関心を買うという政治の行く末をギリシャははっきり

と私たちに見せつけています。とんでもない浪費の新国立競技場や経済性が乏しい新幹線、

そして農業を中心としたバラマキの補助金を推進している現政権のリスクを、国民はこの

ビジネスモデル学会の大使館プログラムで、キューバ大使館に行ってきました。赤羽橋近

くの小さな大使館でした。 50年も続いたアメリカのキューバの経済制裁が終り、国交回復

が実現しましたので、アメリカに従属的な関係の日本も、これから積極的な経済交流がで

きるようになりますから情報収集に行ったのです。

大使は休暇で本国に帰国していましたが、スタッフの方々が丁寧にキューバの現状を説明

してくれました。


説明会の部屋には、あのチェ・ゲバラの写真が飾ってありました。本当に懐かしい気持ち

で見ました。私はあのキューバ危機が高校3年生で、その当時の衝撃的な状況は、今でも

覚えています。しかしキューバ危機以降は、すっかりキューバに対する関心を失い、情報

もほとんど入ってきませんでした。


キューバの現状に対する説明で特筆すべき事は、非常に医学教育が進んでいて医師の数も

多く、キューバ国民は非常に良い医療を受けられているという事でした。そして各国に対

する支援活動としてキューバは医師団をたくさん派遣しているということです。

社会主義国ですから医療や教育はすべて無料です。治安も極めて良いようです。


ただアメリカと国交回復すれば、投資が始まり資本主義的な格差が広がるでしょう。ある

意味、汚れのないキューバという社会がどのように資本主義という汚れに染まっていくの

か気になりました。


日本の視点に立つと、アメリカのすぐ南にあるキューバは、アメリカへの輸出の生産基地

となります。いま自動車産業中心として、日本の製造業はアメリカの南のメキシコに大量

に進出していますが、メキシコは汚職と麻薬にまみれた治安が極めて悪い地域です。です

からキューバに生産基地を設ける事は、安く、豊富な労働力を活用できるばかりでなく、

日本人の駐在員にとってもメキシコよりもずっとよいと思います。


◆ビジネスモデル学会第23回イブニングセッションのご案内◆

プロジェクトリーダから経営者へ~理系女子が語る経営者の道~

日時:8月6日(木) 19:00-21:30

場所:霞ヶ関ナレッジスクエア エキスパート倶楽部

講師:加藤百合子 氏  株式会社エムスクエア・ラボ 代表取締役 http://m2-labo.jp/

講演要旨:

今振り返れば最初はお遊びでした。マーケティングも計画も粗く、何が必要かもしっかり

見えない中で、補助事業で事業推進。その後、数々の失敗を繰り返し、ようやく、ひと・

もの・かねのバランス感覚をつかみ、最近経営者になったと経験談を話します。


◆俯瞰のクッキング?シンプルレシピ?◆

最近買った中でかなりレベルの高い料理の本がありますのでご紹介します。

「暮しの手帖のシンプルレシピ」です。野崎洋光、ウー・ウェン、渡辺有子、飛田和緒と

いう当代一流の料理人が書いています。この本のシンプルレシピとは、 1少ない材料と手

順で作る料理、2ほっておいて美味しくなる料理、3あると助かる作り置き料理、です。


最初は日本料理の野崎洋光さんです。彼のポイントは、昔の料理と今の料理は違う、なぜ

かというと、昔といまでは魚の鮮度が違うからです。ですから魚も薄味でさっと煮ればい

いということです。次は塩を振って時間をおくという効果、塩を振って15分から30分、

これが「時間が美味しくする工程」と言っています。そして「湯通し」で雑味を取り除く、

です。アクが抜けて素材の旨みが引き立つとのことです。そして、火を入れすぎずに仕上

げる、です。例えば牛の冷しゃぶ、は70度のお湯を使う、です。


2番目に登場するのは中華料理のウー・ウェンさんです。彼女のポイントは、切り方で味わ

いを変える、炒め物は準備をしっかりと、火の入れ方と調味のタイミングです。中華料理

の炒め物というと、強火で素早くというようなイメージがありますが、彼女は強火でパッ

パではなく、中火でじっくりと炒め、素材が持つ水分を使って火を通す、と言っています。

この方法はIHのレンジでは大変助かります。


3番目の渡辺裕子さんは、ジャンルがわかりませんが、彼女がいうポイントは、少ない材料

で作る時は組み合わせを考える、手早く作るための準備と下ごしらえ、厚手の鋳物鍋です。

私も鋳物鍋が好きで、いくつも持っていますが、蓋をして弱火で蒸気を閉じ込めてじっく

り煮るのにはこれは欠かせません。楕円形の鍋は豚の肩ロースの塊がすっぽり入り、少な

い煮汁で煮豚などができます。


4番目は飛田和緒さんです。彼女のいうポイントは旬の食材を使う、揚げ物を活用する、水

ダシを常備する、作り置きならではの美味しさ、です。そして紹介している料理は、ごく

普通の料理ですが、日々の家庭料理にぴったりのものばかりです。



次は「日々 」ごちそう帖、です。私は見たことありませんが上、記の飛田和緒さんを中心

としたグループが作っている季刊雑誌「日々 」の関係者の人々が料理を紹介しています。

飛田和緒さんの魚料理、細川亜衣さんの野菜料理、坂田亜希子さんの肉料理、そしてこの

本の編集者である高橋佳枝さんの昭和のご飯、という構成です。ごく普通の料理ですが、

紹介されている料理一つ一つに知性を感じることができます。シンプルで、それゆえに美

味しいという料理ばかりが紹介されています。


このところ、外での会食や交流会が多く、家で料理を作る機会が少なかったのですが、や

っと渋谷のFood Showに行って自宅で夕食をつくりました。まず朝食のための定番ですが、

冷凍のブルーベリー、納豆、そして野菜ジュースのためのセロリ、レモン、人参、そして

アボカドとキウイ、バナナをカゴに入れました。そして魚屋に来てみると大ぶりの赤舌平

目がありましたので、反射的に買いました。これはバターでムニエルにします。そしてあ

まり見かけない白イカがありますので、なんとなくこれも買いました。店の人は刺身でべ

るとうまいと言ってくれました。


帰宅して白イカのレシピをiPadで探していると、なんと白イカのさばき方というYouTube

があったのでこれを見てさばいてみました。いつもやっている自己流のイカのさばき方と

は違っていましたが、刺身にするには合理的な方法でした。


問題は、うちのパートナーはもともと魚があまり好きでなく肉食系で、イカの刺身は食べ

ません。刺身用にさばいた白イカをじっと見てどう料理するか考えました。食材を見なが

らその料理法を考えるのは最高に楽しい時間です。肉好きのパートナーの嗜好を考えて、

開いた白いかの上にイタリアの生ハムを重ね、端からくるくると巻いて楊枝止めをオリー

ブ油でさっと焼きました。これは結構当たりでした。大葉も一緒に巻いてはどうかという

コメントをもらいました。


付け合わせの野菜料理は、冷蔵庫にあった太めのズッキーニを厚めに輪切りしてフライパ

ンで両面をオリーブ油焼き、その上にシラスのアヒージョを載せました。シラスのアヒー

ジョは小さな鍋にシラスとニンニクと赤唐辛子を入れ、それにひたひたのオリーブ油を入

れて弱火で少し煮込んだものです。これを作っておくと、キャベツの美味しい炒め物がで

きます。冷蔵庫で3、 4日は持ちます。むろんアヒージョとして薄切りのフランスパンに

のっけてもおいしいです。


◆ニューウェーブの俯瞰?眠っている間にクリエイティビティを高めよう?

ニューウェーブとは関係ありませんが夢と現実をコントロールするという面白い記事を見

つけたのでご紹介します。


夢はコントロールできるのか

多くの人にとって、夢は参加するものではなく見るものです。画像とアイデアが飛び交う

様子をはたから見ていて、目覚めたあともそれを覚えていたらラッキー。でも、その夢を、

自発的にコントロールできたらどうでしょう?


「Lucidity Institute」の創設者であるStephen LaBerge氏は、意識的に夢をコントロール

できる明晰夢の臨床研究者として有名です。


同氏はスタンフォード大学で、明晰夢の訓練を受けた人を対象とした実験を行いました。

夢を見始めたら、特定の目の動きをするよう(たとえば、右、右、左、右、左)に指示を

出したのです。ポリグラフを使って被験者の目の動きをモニターしたところ、被験者の目

の動きは、事前に決めたパターンとぴったり一致しました。目視でも、急速でランダムだ

った目の動きが、ゆっくりでコントロールされた動きになることが確認されたそう。これ

により、人は睡眠中に認知機能をコントロールできることが証明されました。


夢を覚えているエピソードとして、ポール・マッカートニーが非常に鮮明な夢を見たあと

に「Yesterday」のメロディを書いたことは有名です。しかし、多くの場合において、無意

識に答えを見つけられる場所を作るには、解決したい課題のことを強く意識しなければな

りません。


Steven Kotler氏は『Hacking Creativity』において、発明家であり予言者でもあるRay

Kurweil氏が明晰夢を使って複雑な問題を解決していることについて、このように書いてい

ます。


毎晩、彼の夢には断片的な解決策が浮かんでは消えていきます。そこにかすかな意識が働

いたとき、彼は課題について考え始めます。この短い準意識的な時間が「明晰夢」と呼ば

れる状態であり、意識的な思考と睡眠による身体のリラクゼーションが相まって、驚くべ

き洞察に至っているのです。


Kotler氏は、明晰夢のカギは、シンプルなパターン認識にあると結論づけています。身体

と心をリラックスさせて特定の問題や見たい夢に意識を集中させることで、脳の奥の部分

が、これまでとは違う新しい方法で情報を結合するようになるのです。


明晰夢を誘導する方法

寝ている間に自信を高め、クリエイティブになりたいという人は、夢をコントロールする

方法を学ぶといいでしょう。


私はよく、明晰夢とマインドフルネスを比較します。どちらも、自分の内外にあることに

意識を向けるという意味では同じです。結局のところ明晰夢の定義は、夢を認識できる能

力のこと。そのため、以下に示すテクニックはどれも、思考を集中させ、環境を敏感に認

識して対応する能力について言及しています。


1. 夢を思い出す訓練

枕元にメモを置いておき、起きると同時に、覚えていることをすべて書き留めます。最初

はわずかなヒントや思考を書き留め、そこからだんだん増やしていきましょう。毎晩ひと

つの夢を詳細に覚えられるようになるまで訓練を続けてください。よく見る夢の種類を明

確に描くことができるようになると、夢が始まったことを認識できるようになります。


2. 夢のサインを知る

7から12個の夢を記録したら、パターンを見つけましょう。よく出てくる人や場所、奇妙

なことなど、そこには共通の夢のサインがあるはずです。今後、そのサインを目印に、明

晰夢に入っていきます。


3. 現実をテストする

生活の中で、自分の周りで起こることに注意を払ってください。夢のサインに似た現象は

ありませんか? ここでの目標は、現実をテストすることを習慣にして、それを夢の中で

も行えるようにすることです。

たとえば、ある物を見て、その模様、色、質感を認識してから一度目をそらし、再び視線

を戻したときに、すべてが同じであることを確認してみてください。あるいは、1日中、次

のような質問を続けるのです。

これは夢なのか現実なのか? 今、何を着ている? 自分の名前は? 今、どこにいる?

5分前は何をしてた?

夢の世界では、物、文字、イベント、人などが、おかしな形で現れることがあります。


4. 導入

眠りに落ちる前に、以下のエクササイズをします。

        * リラクゼーション:まず、身体の緊張を解き、日々の心配事から心をクリアにするこ

とで、自分の意志に集中します。

 * 意志を定める:祈りの言葉などにより、夢の状態を知ることを決意します。

 * リハーサル:眠りに落ちるときに、意志を何度も可視化します。明晰夢を見ている自

分を想像し、見たい夢や解決したい問題が、あなたの意志となるように。


5. 睡眠サイクルを分割する

明晰夢を見る人は、睡眠を2つのセッションに分けている人が多いようです。5?6時間寝

て、1時間起きて、再び眠って誘導テクニックを適用するのです。これは、レム睡眠が長い

ほど、長く鮮明な夢が見られるからなのだとか。


これらのエクササイズは、実際にやろうとすると、かなり大変です。筆者も何週間か練習

を続けていますが、いまだに夢を見ている状態を認識できず、明晰夢に入ることができま

せん。


でも私は、寝ている時間を自分だけのバーチャルリアリティの場にしたいので、訓練を続

けるつもりです。夢の中でクリエイティビティを高め、新しいことを学び、面白い人と話

し、ネガティブなイメージを美しいものに変えるのです。

何よりも、空を飛べたらいいな。

How lucid dreaming can improve your creativity while you sleep | Crew Blog Rosanna Casper(訳:堀込泰三)


明晰夢をマスターして、眠っている間にクリエイティビティを高めよう

http://www.lifehacker.jp/2015/07/150705lucid_dreaming.html

明晰夢

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%98%8E%E6%99%B0%E5%A4%A2

自由にできる夢は危険?明晰夢を見る方法とその注意点

http://matome.naver.jp/odai/2141398771814127701


◆俯瞰の書棚◆

今回の紹介は 「IOTの衝撃」Harvard Business Review 2015年4月号です。


この本はいわゆる書籍というよりも雑誌の特別号です。今流行のIOTに関する基礎的な解

説です。したがってIOTについて概要を頭に入れたい人にはお勧めです。収録されている

論文は、村井純「 IOTという新たな産業革命」 、マイケル・ポーター「 IOT時代の競争

戦略」 、マルコイヤンシティ、カリムR.ラカニー「 GEが目指すインダストリアル・イ

ンターネット」です。


村井論文は、インターネットは何かということを正しく理解するには最適の論文です。実

はインターネットという言葉には3つの意味があるのです。 1つ目はnetwork of networks

です。国際的にプロバイダーをネットワークするメタネットワークで、これが一般的なイ

ンターネットの定義です。 2つ目はTCP /IPという通信手段で世界中がつながるネットワ

ークのことを意味します。 3つ目はTCP/IPを使っているもののバラバラに動いているも

の、インターネットの技術を使うが、世界のインターネットとは繋がっていないものとい

う意味です。その後IOTの始まりからその社会への影響を解説しているので、ある意味バ

ズワードであるIOTを比較的正しく理解するに有効な論文です。


マイケル・ポーターの論文は、ほとんど未完成で、高校生でも分かるようなIOTの解説で

す。たぶん共著者の弟子が書いた論文だと思います。 IOTの解説がくどくどとありますが、

この論文の主張はIOT時代になっても、マイケル・ポーターが提案した、ファイブホース、

ポジショニング、バリューチェーン、トレードオフという競争戦略の基本形は依然として

有効であるということです。マイケル・ポーターはインターネットが出現した時にも、同

じ論理でインターネット時代になっても自分が提案した競争戦略のテンプレートは有効で

あると論文を発表しています。この主張は無論正しくて、各自がIOT戦略を考えるときに

マイケル・ポーターの提案する競争戦略の基本概念は有効でしょう。これに引き続いて論

文を出すといっていますからそこには、どんなことが書かれているのか興味深いです。


3番目の「 GEが目指すインダストリアル・インターネット」はGEがこの10年ほど推進

してきた旧来の取引ベースの故障や修理というサービスビジネスを、定額の契約ベースの

保守サービスに移行し、さらにジェットエンジンやプラントからの操業データを分析し、

それを顧客の資産とオペレーションの最適化、という新しい顧客価値を提供するサービス

ビジネスに進化させる中でIOTというデジタル革命を分析している論文です。これも多く

の製造業にとって示唆に富んだ IOTの事例となるでしょう。


IOTが今日これだけ注目されているには、この20年ばかりの驚異的なデジタル技術の進化

があります。半導体技術、マイクロプロセッサーの進歩は何億倍という性能向上を実現し

ています。通信技術もインターネットとともに進化し、 人間や機器・機械の周辺で使われ

ているIEEE802.11という通信技術もIEEE802.11.acまで発展し通信速度と容量は数千倍

に進化しました。 RFIDやセンサー技術も小型化が進み、すべてのものにセンサーを付け

られる段階にきました。人間にもウェアラブル機器としてセンサーがすでに装着されてい

ます。これらのセンサーから収集される天文学的な情報をクラウドコンピューティングの

世界に取り込み、 deep learningという機械学習の技術で分析し、その中から有効な情報

を取り出し、プラントや機器の最適オペレーション、故障保全の予兆検出、そして場合に

よっては直接的な制御も行う可能性が現実的なビジネスになることが理解できます。そし

てIOTというバズワードの中で、人々はビジネスチャンスを模索することになります。


この段階でIOTとは何か、という勉強はある意味、一周遅れですが、今からでも遅くあり

ません。


日本の企業はIOT戦略については米国に大きく遅れています。その一因がIOT推進をする

はずの日本のIT産業がほとんど崩壊状態です。アップルやグーグルそしてMicrosoftが展

開している世界で存在感のあるIT企業はありません。これは明らかに国策の誤りです。と

いうか国策に頼る日本企業の甘えが原因でしょう。いつも言っていますが、アップルやグ

ーグルが米国政府から補助金をもらったという話は聞いたことがありません。


◆編集後記◆

● ギリシャ危機の展開がクライマックスで結果が見えず、脱稿が遅れてしまいまし

た。見切り発車ですが、ギリギリEU残留でしょう。

● 安保法案は15日採決という情報もありますが、簡単には収束するとは思いません。

場合によっては解散総選挙もあり得ます。

● 日中関係もこのところかなり改善の方向が出てきましたが、日中関係は限定的な

解決で東アジアの緊張関係は解消されないでしょう。ただ日中関係が改善されると、日韓関係の改善が付いてくるでしょう。

● なぜ50年も隣国のキューバを、アメリカはいじめてきたのでしょうか。しかしキ

ューバ大使館のスタッフは凛とした方々でした。

● 日本の産業のアキレス腱はITに関する意識の遅れです。経営層のITリテラシー

があまりにも貧弱です。


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◆内容・記事に関するご意見・お問い合わせ / 配信解除・メールアドレス変更は、

  右記までwebmaster@fukan.jp

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◆俯瞰MAIL 0050号(2015年7月12日)

発行元:     一般社団法人 俯瞰工学研究所

発行人:   松島克守

編集長:   松島克守

URL:      http://fukan.jp

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俯瞰メール49号

◆時候のご挨拶◆

北斗市では田植えが済んだ田圃が爽やかです。木々の緑も今が一番きれいで力強い色合いの時期です。小鳥もヒナを育てるためでしょうが忙しそうに飛び回っています。Tサイトで見かける人たちも楽しそうな顔をしていいます。そしてもう6月、半年過ぎてしまいました。

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 国民に決意を迫る安保法制議論

 南シナ海波高し

 動き出した日中関係

 二子玉川のクリエイティブシティー

 カンボジアに行ってきました

 俯瞰サロンへのお誘い

 ビジネスモデル学会第22回イブニングセッションのご案内

 俯瞰のクッキング~システムクッキング~

 ニューウェーブの俯瞰~熾烈な競争~

 俯瞰の書棚 「オートメーション・バカ」ニコラス・G・カー(篠儀直子訳)青土社 2014

 編集後記

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◆国民に決意を迫る安保法制議論◆

国民に歴史的な決断を迫る安保法制の議論が国会で始まりました。なにしろ交戦権を認めない憲法9条のもとで自衛隊に同盟国との連携行動を認めるという難しい議論です。戦争法案だから反対というような極論から、玉虫色の政府答弁の中で国民は安全保障に対するリスクを認識し、集団的自衛権の行使の限界を見極めた上で決心しなければなりません。

現在の東アジアの情勢を考えれば、日本単独で日本の安全を確保できない事は明白です。すなわち日米同盟なしには日本の安全と安心は確保できません。米国に日本の安全保障への支援を求めるのであれば、当然米国の軍事行動に対して一定程度貢献が求められます。問題は広範囲な地域で軍事活動を展開する米軍の支援をどこまでやるかの限界と、その行動のタイミングが議論の要点です。不用意に戦争に巻き込まれる事は避けなければなりませんが、場合によっては結果として戦闘に近い所で自衛隊が活動する事はあると覚悟しなければなりません。

問題は国会の議論そのものが過熱するのは良いのですが安倍首相と野党の双方が、かなり行儀が悪い状態です。特に安倍首相の答弁については各方面から厳しい評価がされています。そのようなホットな国会の状況を国民に見せたくないのか、 NHKが国会審議を中継しないという驚くべき事をしています。私も民主党の辻本議員の質問のニュースを見ていましたが、いいところで番組が終わってしまいました。このNHKの姿勢はあの会長の意向とすれば、言論の自由という民主主義の大前提に対す犯罪行為です。

安倍首相も率直に国民にある覚悟と決断を迫るべきです。なんとかグレーゾーンで逃げ切って、与党の賛成多数で今国会で成立させるという、そんな態度が言動に現れています。

今回の議論の中で驚いた事は、イラクおよびアフガンの後方支援についた自衛隊員が帰国後なんと54人も自殺しているという発表です。この異常な自殺率の高さは何を意味しているのでしょうか。日本の自衛隊が精神面でかなり脆弱であるということでしょうか。

さすがに民主党の岡田党首は法案に反対という意思表示はしませんでした。


NHK、安保法案の国会審議を中継せず

http://www.asahi.com/articles/ASH5V76YDH5VUCVL02K.html

首相、南シナ海シーレーンでの掃海活動に否定的

http://www.yomiuri.co.jp/politics/20150528-OYT1T50123.html?from=yartcl_blist

後方支援範囲限定へ…戦闘ないと見込まれる場所

http://www.yomiuri.co.jp/politics/20150527-OYT1T50211.html?from=yartcl_blist

またヤジで陳謝…安倍首相には「懲罰動議が相当」と森田実氏

http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/160289

「醜態、猛省を」と民主 安倍首相の「早く質問しろよ」やじ波紋

http://www.sankei.com/politics/news/150529/plt1505290030-n1.html

海外派遣の自衛隊員、帰国後の自殺者54人

http://www.yomiuri.co.jp/politics/20150528-OYT1T50118.html


◆南シナ海波高し◆

南シナ海の状況がかなり緊迫しています。強引に埋め立てを進め、滑走路含めた基地の建設に対し、アメリカは、はっきりと否定の意思を表明し、領海12カイリを認めず場合によっては艦船をその中に入れるという強硬な立場をとっています。むろんこれに対して中国は強烈に反発しています。さらに最近ではこの埋め立てた人工島に兵器を持ち込んでいるという報道があり、危機感が高まっています。

関係国であるベトナムやフィリピンもそれぞれ埋め立てを行い、実効支配を広げようとしています。まさに南シナ海は不測の事態を起こしかねない状況です。

中国との経済関係を大事にしたEUもこの中国の強引な行動に強く反対しています。

この南シナ海で日本の海上自衛隊が米軍と一緒に哨戒活動することを検討中というニュースがあります。先の安保法制の議論が直接関係する行動です。日本は強力な哨戒機を70機保有しています。ただこれを実際に行えば、中国の反発はある限界を超える可能性があります。そして結果的に米国と中国の軍事衝突に巻き込まれる危険すらあります。ですから安保法制は国民に十分な説明と、その上での決心を迫る必要があります。 NHKも安倍首相もこのことを十分に肝に銘じるべきです。


中国人工島、領有権の根拠にならず…米国防長官

http://www.yomiuri.co.jp/world/20150529-OYT1T50060.html

「挑発的な言動やめよ」「混乱の源になっている」…中国、南シナ海で米に反発

http://www.sankei.com/world/news/150528/wor1505280048-n1.html

「中国、人工島に兵器」…豪報道 米が批判

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150529-00000045-mai-int

中国進出に対抗、ベトナムは主権主張し埋め立て

http://www.yomiuri.co.jp/world/20150529-OYT1T50019.html

EU大統領:中国の南沙埋め立てを非難

http://mainichi.jp/select/news/20150527k0000e030200000c.html

南シナ海の哨戒活動を防衛省検討、米軍と協力=関係筋

http://jp.reuters.com/article/wtDomesticNews/idJPKBN0NK1AU20150429


◆動き出した日中関係◆

自民党の二階総務会長がなんと3,000人の随行を率いて中国を訪問し、習近平主席もこの大訪問団に会い歴史問題で釘を刺す事はしましたが全体として日中の経済交流を進めることを表明しています。

経済と政治の分離は、何十年も前から日中交流のモデルでした。韓国と違い中国は経済の実利を求めて日中関係の改善に踏み切ると思います。歴史問題でいがみ合う日中韓に対してアジアの国々からも苦言が表明されています。ミャンマー、タイ、ベトナム、カンボジアなど先の大戦で日本軍が侵攻し、色々あったと思いますが、これの国々は戦後の日本の支援を評価し戦争による負の遺産については封印しています。

またこれらの国は中国の影響、特に鉄道や港湾というインフラに対する投資もあり、日本からの技術と資金の援助も期待していますので、日中の交流が進むことはその国益にもなります。幸いにも東南アジアに反日の国はありません。どちらかというと親日です。

日中交流を推進するといっても尖閣列島での圧力は依然として継続している状態で、さらに南シナ海情勢によってはさらに強硬な行動に出る危険すらあります。南シナ海の状況を見ると習近平主席が軍部を完全に掌握しているか不安ですから。


二階総務会長 関係改善へ日中双方が努力を

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150524/k10010090081000.html

歴史問題で日中韓に異例の苦言 シンガポール首相

http://www.asahi.com/articles/ASH5Y7G0VH5YUHBI03R.html

対中コメ輸出拡大へ 日中両政府、指定精米工場増を検討 年内にも実現

http://www.sankei.com/politics/news/150502/plt1505020005-n1.html

尖閣周辺に中国船3隻 17日連続

http://www.sankei.com/affairs/news/150530/afr1505300011-n1.html


◆二子玉川のクリエイティブシティー◆

私が副会長をしていた、二子玉川に近未来都市クリエイティブシティーを作るというコンソーシアムの第1フェーズ5年が終了しました。東急電鉄が開発する第二期の工事が完成し入居が始まりました。ホテルの開業は先ですが、 TSUTAYA家電の店が大々的に開店して大賑わいです。そして6月からは総勢8,000人ともいわれる楽天の移転が始まります。もともとかなりの賑わいの街ですがこれからはもっと新しい何かが始まる気がします。

一つ関係者が懸念していることがあります。楽天は週に1度、朝8時半から社員全員が集まる朝礼があります。数千人が改札口に殺到し奥の楽天のビルに流れ込みます。この時間は二子玉川に来るのは避けてほしいということでしたが。

コンソーシアムでは数多くのワーキングループやプロジェクトの活動が行われ、様々な実証実験が行われました。その成果はホームページに紹介されていますから是非ご覧ください。

これからの第2フェーズは、二子玉川という点から、渋谷、二子玉川、自由が丘という三角形の地域、これを私たちはプラチナトライアングルと呼んでいますが、この面にこれまでの成果を広げていくことになります。

このプラチナトライアングルを構成する、渋谷区、世田谷区、目黒区は東京で最も裕福な地域です。なんとこの3つの区の世帯収入の合計は4兆円です。 16%以上が年収1,000万以上です。そして世帯主の3分の1は大学院及び大学という高学歴の街です。 14歳未満の人口の増加率がなんと9.4%という未来が育っている街です。オリンピックに向けてこのプラチナトライアングルが世界一のクリエイティブシティーになっていくことが期待されます。


http://creative-city.jp/


◆カンボジアに行ってきました◆

ビジネスモデル学会の視察ツアーでカンボジアに行ってきました。ご存知のようにタイ、ラオス、ベトナムに囲まれた小ぢんまりした国です。人口は約1,500万人です。かつてはポル・ポト派による国民虐殺等の悲劇がありましたが現在では政治も経済も安定しています。 GDP成長率は平均7.8%で、海外からの投資が現在盛んです。

プノンペンは大部分が中古車ですが高級車のレクサスやレンジローバーが圧倒的な存在感です。街を走っている90%以上はトヨタ車です。

商務省の官房長のような高官と懇談がありましたが、日本からの投資を期待していて、これから10年はカンボジアの投資が東南アジアではベスト、その後の10年がミャンマーでしょう、と言っていましたが納得です。

ご存知のようにタイには日本企業が集積していますが既に労働力が足りません。賃金も急上昇しています。カンボジアは人件費もまだ安く、労働力も豊富です。そしていま日本の援助でベトナムのホーチミンからミャンマーまでの幹線道路が整備されつつあります。すでにメコン川には日本の無償援助で長大な吊り橋が完成していました。

今度初めて知りましたが、カンボジアは外国の投資に非常にオープンです。資金移動が自由です。そして工場建設に必要な設備や資材は関税なしとのことでした。そして最初の9年間は法人税が免除されます。仏教国ですから人々はとても穏やかです。投資先としてはオススメですね。

アンコールワットで有名なシェムリアップにも行きました。市長さんと懇談しましたが日本からの援助を期待しています。

アンコールワットが世界遺産になって観光客が50万人から500万人くらいに急増しているとのことでした。結論として道路や上下水道やごみ処理が全く対応できないと嘆いていました。アンコールワット以外にも古い寺院がたくさんあり観光が基幹産業です。

ガイドの話ではアンコールワットのある街は、かつては東南アジア最大の都会であったということです。ともかくカンボジアはほとんど山がなく国土全体が平らで、米はいくらでも生産できそうです。未開拓の土地も豊富です。日本から農業法人が入って大規模な農業を行うことになると思いました。

現地では日本人女性の驚くべき活動がありました。 一つは“カモノハシ”というNPOで、少女の人身売買の売春を根絶するために、仕事を作りそして文字を教え、そして独り立ちすることを支援していました。これは学生時代にインターンシップに来てこの悲劇を目の当たりにした日本人の女性が中心となりこのNPOの活動を始めたとのことでした。現場には大学を休学してインターンシップにきている若い日本人の学生が3名いました。ソーシャルビジネスという今日的なビジネスの勉強です。現地のNPOのスタッフはカンボジアの平均給与以上の給与が支払えています。まさにソーシャルビジネス。日本からの寄付金も重要です

もう一つは日本人女性が始めた、アンコールワット観光のお土産のクッキー屋さんです。この人は最初シェムリアップで観光ガイドをしていたといいますが、その時日本人観光客に必須の適当なお土産がないことから思いついたということで、アンコールワットの形をしたクッキーを販売しています。大繁盛していました。洒落た売店とカフェがあります。


認定NPO法人かものはしプロジェクト

http://www.kamonohashi-project.net/


◆俯瞰サロン◆

第24回俯瞰サロン 7月7日

元ソニー 古賀宣行氏

“もしソニーが空気清浄機を作ったら…オンリーワンに賭けた電機マンの挑戦”

http://business.nikkeibp.co.jp/article/opinion/20130731/251777/?rt=nocnt


◆ビジネスモデル学会第22回イブニングセッションのご案内◆

日本のものづくり復活の最終手段 ”リンカーズ”

~極めて高いマッチング成約率のからくりとは?~

日時:6月30日(火) 19:00-21:30

場所:霞ヶ関ナレッジスクエア エキスパート倶楽部

講師:前田 佳宏 氏 リンカーズ株式会社 代表取締役

 講演要旨:

全国の”目利き役”を軸にしたものづくり系マッチングのリンカーズ。

サービスリリース後1年で利用企業が100社を突破。

マッチング成約率が低いと言われるものづくり系マッチングにおいて、リンカーズでは90%以上の成約率を実現。そのビジネスモデルとは?

http://www.biz-model.org/


◆俯瞰のクッキング~システムクッキング~◆

娘が、仕事を終え3歳の息子を保育所から受け出し、自分の夕食を作って食べて、息子の相手をし、家事をしていると睡眠時間が足りないと、現状の課題を話したので、時間を娘に贈る方法を考えました。それがシステムクッキングです。クオリティをあまり落とすことはなく食事の準備の時間を短縮する方法です。

食品をジップロック小型コンテナにあらかじめ調理して、冷凍保存もしくは冷蔵保存するという単純な話ですが。

夕食ですが、ご飯は1週間分炊いて小型コンテナに詰めて冷凍して、必要に応じて解凍して食します。炊きたての味にはなりませんが。味噌汁は椀一杯分の水に顆粒のだしを入れ、乾燥野菜、青さなどの海藻、「ブランチング」した野菜などを入れて味噌を溶き入れれば出来上がり。

魚はブリ、生鮭、鰆、などの切り身を西京味噌漬や粕漬にしてラップに包んで冷凍し、解凍して水洗いして水分を拭き取ってフライパンで焼く。油なしもしくはごく少量の油で。フライパンはSCANPAN CTX(コーティング10年保証)が最高ですが高価なのでお勧めはためらいますね 。

トリのモモ肉や豚のロース肉も1回分ずつ味噌漬けや、生姜醤油漬けにしてラップに包み冷凍。牛肉はビーフシチューもしくはカレーにして小型コンテナに入れて冷凍する。

野菜はブロッコリーやカリフラワー、ほうれん草、小松菜はそれぞれ「ブランチング」して小型コンテナに入れて冷凍。人参はオリーブ油を塗ってオーブンで焼いて小型コンテナ冷凍。レンコン、ごぼうは出し汁で煮含めて小型コンテナで冷凍。カボチャは酒と少量の醤油で蒸し煮して小型コンテナで冷凍。蕪は薄切りして酢漬け冷蔵保存。赤ピーマン、小タマネギ、ズッキーニはグリルしてピクルスにして冷蔵保存。これとは別にトマトソースを作って小型コンテナで冷凍保存。

これらの備蓄を適当に組み合わせて一汁三菜の夕食を用意するのです。解凍したブロッコリーや青菜は成城石井の“何でもいける胡麻ドレッシング”で食べると美味しいですね。余分なものが入っていないので愛用しています。

朝食は、トマトの缶ジュースにレモン1個をしぼって入れた“トマレモン” 、ミニトマト洗ってそのまま、納豆ワンカップ、バナナ1本、リンゴ、キウイ、アボカドなど適当に。を勧めていますが実態は不明。

ということですが、独り暮らしや2人暮らしでも応用できると思います。

これとは別に適当なサプリメントも取ります。間食にはクルミ、カシューナッツ、アーモンドなどのナッツをつまみます。

私は時間があるのでこのシステムクッキングのお世話になっていませんが。ご参考になりますか。仕込みを私がして届けていますのでかなりの“時間を贈る”ということは出来ているようです。


◆ニューウェーブの俯瞰~熾烈な競争~

コンピューターというものがどんどん見えるところから見えないクラウドコンピューティングの世界に消えていきますが、このクラウド市場はAmazonがダントツのシェアです。Microsoft、Google、IBM、SalesForceの合計シェアを上回ります。ただマイクロソフトの追い上げが凄いです。前年比で約倍です。クラウドコンピューティングのデータセンターに使われているコンテナ型のサーバーユニットは2005年にGoogleが特許を出していますが、 2009年にはマイクロソフトはシカゴにこれを使った大型のデータセンターを完成させています。 Googleは74%の伸びです。IBMも56%の伸びを見せていますが競争劣位は否めません。

Amazonの強さは信じられないビジネスモデルです。Amazonが2015年4月23日に発表した第1四半期(1~3月)の決算は、売上高227億1700万ドル(前年同期15%増)。一方で純損益は5700万ドルの赤字となっています。利益の全てをドローンによる実験的な配送や、UberやInstacartなどがしのぎを削る即時配達の分野、そしていよいよその驚異的な成長が公開されそうなクラウドコンピューティングの分野などに積極的な投資を続けているのです。CEOのジェフ・ベゾスは恐るべき経営者です。

これまで精彩を欠いていたMicrosoftも新しいインド人CEOのサトア・ナデラのもとでこれまでは考えられなかったような大胆な行動を始めています。 2000年にビルゲイツからCEOを引き継ぎ2014年にサトア・ナデラにCEOを譲るまでのスティーブ・バルマーの時代のマイクロソフトは着実に売り上げや利益を伸ばしたものの、AppleやGoogleに業界の覇権を奪われました。殆どイノベーションを起こす事はありませんでした。どこまでApple やGoogleを追い上げることができるのか楽しみです。

Appleは絶好調です。 Apple Watchは世界中で大評判です。まだまだ評価は固まっていませんが、まずまずの滑り出しです。トラブルが多くて出荷の障害になっていた中国製部品を日本電産に変更してから順調なようです。手首の戦争が始まったのです。念願の中国でのiPhoneの発売も大成功です。高い価格ですがAppleは大画面のiPhone 6/6 Plusが好調だったようです。一方中国メーカーのXiaomiはHuaweiなどのミッドレンジ端末メーカー同士との競合で失速したとのことです。

巨額の資金を持つAppleの次のターゲットはやはりApple CARでしょう。彼らは自動車をモバイルデバイスと定義しています。走るiPhoneです。現在の自動車メーカーはこのパラダイムチェンジにどう立ち向かうのでしょうか。

ただ中国市場でも既にスマートフォンは飽和状態で成長は難しくなります。ですから既にその先のビジネスモデルにも手を付けています。例えば日本郵政と米IBM、米Appleは提携し、日本の高齢者向けにiPadを提供して生活をサポートする新事業を行うと発表しました。IBMとAppleが開発した高齢者向けアプリなどをiPadに搭載。全国2万4000の郵便局ネットワークを活用し、2020年までに国内の400~500万人に提供するとのことです。提供するiPadは、FaceTimeやメッセージ機能、アプリなど基本機能に加え、薬を飲む時間のアラート機能や、食料・雑貨の買い物支援、地域情報サービス、就業支援など、高齢者向け機能を搭載するようです。

Googleは5月15日、自社で開発した自動運転カーのプロトタイプの公道での走行テストを今夏に本社のあるカリフォルニア州マウンテンビューで開始すると発表しました。これまではトヨタのプリウスやレクサスを改造したものが使われており、Google純正のプロトタイプが公道に出るのは初めてとのこと。そして公道ではいつでもマニュアル運転に切り替えられるよう必ずドライバーが乗車し、時速25マイル(約時速40キロ)以下で走行するとのことです。

クラウドコンピューティングでも先行するAmazon, Apple, Microsoftに対抗するため大胆なサービスを発表しています。写真とビデオのストレージを無料で無制限に提供するGoogle Photosサービスです。唯一の制限は写真が16メガピクセルまで、ビデオの解像度が1080Pまでということ。写真やビデオが大きすぎる時はGoogleが圧縮するが、見た目の画質は事実上変わらないと言っています。アプリの自動バックアップ機能によって、写真を保存することは忘れてよい、保存のための支払いも忘れてよい、と露骨にApple に挑戦の姿勢です。

Googleは、写真が金鉱であり、写真には撮影した人の情報が大量に含まれ、広告のターゲティングや体験のカスタマイズに利用できる、 それを堀り起こすツールさえあればと考えています。

同社の持つ画像認識、機械学習、人工知能を始めとする高度な技術を活用すれば、写真に写っている人々、場所、物等を認識し、そのデータをユーザーの個人情報と結び付けることができ、そのユーザーに見せるべき広告がわかり、そして、友達との自撮り写真から、Googleは誰とシェアするよう薦めるべきかのヒントを得られると考えているようです。


クラウドインフラ市場はAmazonが引き続きダントツのシェア。

http://www.publickey1.jp/blog/15/synergy_research_20151.html

Microsoft、“メガ”データセンターを欧米2カ所で開設

http://www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/0907/01/news035.html

アマゾンの驚くべき経営手法が分かるたった1枚のグラフ:その2

http://newclassic.jp/23229

ついに目覚めた巨人 Microsoftの逆襲

http://wirelesswire.jp/2015/05/29982/

甦る巨人

http://wired.jp/special/2015/microsoft-nadella/

Apple、中国スマートフォン市場でXiaomiから首位奪う

http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1505/11/news114.html

アップル幹部、「自動車は究極のモバイルデバイス」と語る

http://japan.cnet.com/news/business/35065135/

アップルの中国iPhone販売、初めて米国抜いた可能性

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NNFPUJ6S972A01.html

高齢者にiPad提供、生活サポートへ 日本郵政グループとIBM、Appleが提携

http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1505/07/news116.html

Google純正の自動運転カー、今夏公道デビュー

http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1505/16/news016.html

https://youtu.be/uCezICQNgJU

Google Photosの「無料無限ストレージ」

http://jp.techcrunch.com/2015/05/29/20150528free-dollars-and-fifty-free-cents/


◆俯瞰の書棚◆

今回の紹介は 「オートメーション・バカ」ニコラス・G・カー(篠儀直子訳)青土社 2014です。

この本はロボットや人工知能といったデジタル技術の発達の中で、人間が本来持つべき能力を失っていくことに対する警告の書です。ただ本のタイトルがあまりにもひどいと思います。原著のタイトルにはバカなどという単語ありません。”The Glass Cage: Automation and Us” です。編集者の知的な人格を疑いたくなります。同じ著者の前の本でも同じです。

“The Shallows: What the Internet is Doing to Our Brains”というタイトルを”ネットバカ”

としています。本の販売を意識して人にインパクトを与えたい気持ちわかりますが ”バカ”という言葉は使うべきではない日本語だと思います。オートメーションという言葉も日本にとって工場の自動化のようなイメージが強いですから、この本のタイトルはいかがなものかと思いました。

内容は、自動化の歴史は人間が本来持っていた能力や、修行によって身に付けるべき能力を失わせているという警告です。特にデジタル機器やそのソフトウェアによって、これまでの人間の高度な知的な仕事が、システムやソフトウェアに代替えさせることによって、その高度な知的な仕事そのもののスキルが失われていることを指摘しています。

一つの例として航空機のオートパイロットをあげています。パイロットが過度にオートパイロットに依存したため、手動操縦のスキルが失われ、予期せぬ状況に出会ったとき適切なリカバリーアクションができずに墜落するリスクを警告しています。これについてはアメリカの監督当局はパイロットにもっと手動操縦に時間を使い、そのスキルを磨いておくべきだと警告しているようです。

上記のリスクが顕在化した事例として、ブラジル発のエールフランス機が大西洋での墜落事故を紹介しています。逆にUS AirwaysのエアバスのA320がNYのラガーディア空港離陸直後、野ガモの群れが飛び込んだせいで全てエンジンがストップした時、機長と副操縦士は息詰まるような3分間の後、故障した機体を無事ハドソン川に着水させ乗員乗客は全員無事脱出した例をあげ、自動化されたシステムの環境にあっても、人間独自の能力を磨いておく重要性を紹介しています。

この航空機については徹底した自動操縦を追求するエアバス社とパイロットに適切な負担をかけるデザインにしているボーイング社の比較もあります。エアバスはパイロットの前の操縦桿を取り去り横の小さなレバーにしているため機長と副操縦士がお互いの操作を簡単に確認できないのに対し、ボーイングは操縦桿を残し、しかも機長と副操縦士が同じ操縦桿を操作することによって相手の動作を容易に確認できるとあります。

北極のイヌイットは、かつては地図もない、目印もない白一色の世界の中でも天体、風、雲など自然界の動きを観察して正確なナビゲーションの能力がありましたが、 GPSが導入されることによってこのナビゲーションの能力を取得する機会を失い、 GPSの誤動作や過信によってしばしば事故を起こすようになったという事例もあげています。

電子カルテのような医療システムによって医師の診断能力の低下やシステムの過剰な介入により、不要な検査や薬剤を投与するなど医療費の増加という問題点も指摘しています。

建築においても高度のCADシステムが設計者の創造性を失わせているとも指摘しています。

人工知能についても、例えば有名なIBMのワトソンにしても、人間の思考そのものを代行するのではなく強力なファイル検索機能で“結果を代行”しているだけだと指摘しています。この議論は人工知能に対して過大な期待をしている人に対しては重要です。人工知能は人間の思考そのものを模倣しているのではなく、思考の結果を別な方法で見つけているわけです。むろん最近話題のdeep learningは思考そのものだと言いたい人もいるでしょうが、人間の思考とは全く別のものだと思います。かつて人工知能のブームがありましたが、私も人工知能技術を活用した、機械加工の工程設計システムを開発しました。結果はエンジニアと同じ結果を出すことができましたが、それに至るプロセスは私がプログラムした論理であって、熟練のエンジニアの創造的なソリューションを出す事はできないと実感していますから。

地図を使わずにスクリーンでルート検索をする現状に対しても、地図でルートを探す人間とデジタルマップによる誘導の本質的な差異を論じています。すなわち地図を使う人は脳が鍛えられ、でない人は脳が退化するということです。

「身体化された認知」という概念が面白いと思いました。手を動かし身体を動かし、注意深く観察することなしに高度な知は獲得できないということです。私たちの物理的存在がそれを生み出した社会から切り離せないと同じくらい、我々の思考を我々の物理的な存在から切り離せないということです。

著者がこの本を書くきっかけは、現実味を帯びてきた車の自動運転や無人機・ロボットによる戦争があるように思います。

Googleはすでに100万マイル以上の実験をし、公道での試験を始めようとしています。日本でも自動運転の実験は名古屋等で始まっています。技術的課題はすでにほとんど開発されていると思いますが、実装するソフトウェアの倫理的な側面が最大の課題だと思います。

この本では自動運転の車の前にペットが飛び出した場合、ペットを避けることを優先し乗客に損傷を与える可能性のある動作をするか、もしくは乗客の安全を優先しペット轢き殺すこととするか、またそのペットが自分のペットならどうするか、などの例を挙げています。ソフトウェアはいかようにも作れます。また車が小学生の通学の列と並行して走行している時、子供がよろめき飛び出たとき、子供の命と乗客の安全のどちらをとるのか、などです。

一方特に米国では多くの人が交通事故で命を落としています。自動運転はその死亡事故を減らすことが期待されています。人間のドライバーよりも自動運転の車の方が安全とも言われています。プリウスを利用したGoogleのテストカーは大きな事故を起こしたことがありますがそれはたまたま人間が運転した時だということです。

戦争に投入される、ロボットや無人機も大きな倫理的な課題を持っています。現在の無人機は遠隔ではありますが最終的にミサイルを発射するかしないかの判断はスクリーンの映像を見ながら人間が判断しています。この判断をロボットのシステムに委ねると殺人ロボットになります。ロボットには感情はありませんから判断ルールに沿って発砲したり、発射したりすることにためらいはありません。恐ろしいことになります。

すなわちこの本は急速に進むデジタル技術にどっぷりつかってしまっている現状は、本来私たちが獲得すべき「身体化された認知」を失い、退化した思考能力と小さな知力の世界すなわち「ガラスの檻」といういわば”金魚鉢“の中の世界で私たちが生かされているのですよ、という警告でしょうか。広い海で自由に泳ぐ潜在能力があるにもかかわらず。


◆編集後記◆

 月に1回このメルマガを配信と思いますが、あっという間の1か月です。書くことより情報の仕込みが大変です。

 東大の俯瞰塾も6回を終え折り返しですが凄い成長ぶりです。授業参観どうぞ。

 安倍首相の傲慢さが目につくようになりました。アメリカ国会での演説が大成功と囃されたのがきっかけとすれば残念です。

 日本列島全体の火山活動が活発になってきたような気がませんか。小松左京の“日本列島沈没”という小説を思い出します。

 それにしても日本企業とシリコンバレー企業の差が大きすぎます。日本企業は最高益と言いながら売上成長がありません。東芝など経理という内部統制もできていないとは。IT産業であった富士通やNECそしてSI各社はどこに沈没したのでしょうか。


俯瞰メール48号

◆時候のご挨拶◆

萌える若葉が美しい季節になりました。花の命が短いように、萌えの季節も以外とみじかいですね。田圃では田起こし・代かきが進んでいます。田植えの季節もすぐです。

新たにキャリアのスタートを切った新入社員も萌える気持ちが落ち着いて、業務が少し見えてきましたでしょう。自分が新入社員の時この時期がどうであった全く記憶がありませんが。

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 日米「不動の同盟国」(steadfast allies)

 安倍首相の米議会演説

 アジアを金融で束ね、政治で孤立する中国

 原発をどう考えるか

 今年も東大本郷で俯瞰経営塾の授業をしています

 ビジネスモデル学会第21回イブニングセッションのご案内

 俯瞰のクッキング~幾つかの出会い~

 ニューウェーブの俯瞰~新しいメディアの時代~

 俯瞰の書棚 「ザプレゼンテーション」ナンシー・ヂュアルテ ダイヤモンド社 2012

 編集後記

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◆日米「不動の同盟国」(steadfast allies)◆

前の俯瞰メールでは“孤立する日米同盟”を書きましたが、それ故か安倍首相とオバマ大統領の首脳会談は例年になく親密な日米同盟をアピールしました。「不動の同盟国」がキーワードです。余力を失った米国の軍事力を日本の軍事力で補完することによって、アジアにおける中国の脅威に対抗しようということになったわけです。日米同盟はある意味で歴史的な変化をします。

共同声明にもこれまでにない言及があります。尖閣列島への侵攻は日米安保条約の対象になると明記し、有事には共同で敵の侵攻を“撃破”するという勇ましい文章があります。広島と長崎の原爆投下についても明示的に人類対する罪である事を書き込み、そして70年前には敵対的関係にあった日米が「不動の同盟国」(steadfast allies)になったことを強調し、日韓・日中の関係改善も当事者が努力すればきっとできると言明しています。

ただ、今回見直された「日米防衛協力指針」は、日米協力は平時から有事まで「切れ目のない形で行う」と明記しています。すなわち時間的にも、地政学的にも切れ目なしの連携となります。

「日本以外の国に対する武力攻撃」への対処行動として集団的自衛権の行使を想定し、(1)米艦船などのアセット(装備品など)防護(2)捜索・救難(3)機雷掃海や艦船護衛などの海上作戦(4)ミサイル防衛(5)後方支援-での協力を例示しました。

また、地理的制約が事実上課せられていた周辺事態法を「重要影響事態法」に改正することを念頭に、日本有事以外で対米後方支援が必要となる事態は「地理的に定めることはできない」とし、日本周辺に限られないことを明確にしました。これは地球規模のいわば“常時接続”の日米連携を意味します。

憲法9条で国の交戦権を放棄している日本にとっては、今回の日米防衛協力の体制は明らかに大きく逸脱していると考えるのは当然で、護憲派は反発しています。日弁連の会長は強く反対の声明を出しています。ただ、護憲派が憲法改正の議論そのものをタブーとして封じこめることはヒステーリー症状で道を誤ります。憲法は神聖にして犯すべからずでは戦前の天皇の統帥権と同じになって民主制に反することになります。明治維新の初心に帰り、五箇条御誓文第一条の“広く会議を興し、万機公論に決すべし”で行くべきです。

吉田首相のサンフランシスコ平和条約、即ち日米同盟に対し非武装中立の主張をした南原東大元総長は“曲学阿世”と一刀両断されましたが、歴史的にも冷戦とその後の国際情勢を顧みれば有識者という知識が、安保反対の学生運動レベルの学識であったことが露呈していますから。

残念なのは民主党中心とした野党がはっきりした認識と対応を打ち出していないことです。反対の声を上げていますが、現在の国際情勢の認識とそれに基づいた安全保障の体制について全く腰が座っていません。

私はナショナリストではありませんが今回の日米同盟は現実的な国策であるとして受け入れています。ただ国会の承認なしに、総理大臣が自衛隊を簡単に動かすことができるという点については、厳しい歯止めが必要だと思いますが、その歯止めとなるべく期待している公明党も、意外と最近は物分かりがいいようです。あくまで連立政権にとどまって与党である利権を守りたいのでしょうか。国民は公明党のリベラルに期待するところ大です。


日米「不動の同盟国」(steadfast allies) 共同声明、TPP妥結へ協力

http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS28H4F_Y5A420C1MM8000/

首脳共同記者会見の要旨

http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20150430&ng=DGKKZO86288440Q5A430C1FF1000日米首脳会談の発言要旨

http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20150430&ng=DGKKZO86288410Q5A430C1FF1000

尖閣で中国「撃破」 日米新ガイドライン合意 「切れ目のない協力」確立

http://news.livedoor.com/article/detail/10058724/

日米防衛協力の指針再改定 集団的自衛権で5分野例示

http://www.sankei.com/politics/news/150428/plt1504280003-n1.html

日米安全保障協議委員会共同発表 4月27日

http://www.mod.go.jp/j/approach/anpo/shishin/pdf/js20150427j.pdf

日弁連会長「日米防衛協力指針」改定に反対声明「恒久平和主義に違反する」

http://www.bengo4.com/topics/3034/


◆安倍首相の米議会演説◆

安倍首相が米国の上下両院合同会議で演説をしました。祖父の岸信介元首相の米国議会での演説を引き、日米同盟が祖父から始まったことを強調し、また自分も米国留学の経験があり、米国をよく知る人間であることを強調し、何よりも英語の演説です。演説原稿を読んでみると、非常によくできた演説原稿だと思います。ご関係の方々のご苦労と、その能力の高さが十分に認識できます。

演出も凄いです。日本軍20,129名の戦死、米軍は戦死6,821名・戦傷21,865名の計28,686名という日本軍を上回る損害で、あのノルマンディー上陸作戦における戦死傷者数を上回る第二次大戦最高の激戦地の硫黄島攻防戦に、海兵隊大尉として上陸したローレンス・スノーデン海兵隊中将が傍聴席に、硫黄島守備隊司令官の栗林忠道陸軍大将の孫、新藤義孝国会議員もいるという中で、「硫黄島には、勝利を祝うため行ったのではない、行っているのでもない。その厳かなる目的は、双方の戦死者を追悼し、栄誉をたたえることだ」いうローレンス・スノーデン海兵隊中将の、硫黄島で開く日米合同の慰霊祭での言葉を引用しています。ここは演説の山場だったでしょう。かつて戦火を交えた日米の和解の象徴として紹介された2人は傍聴席で握手を交わし、議場の出席者が総立ちとなって2人に拍手喝采を送ったとあります。

演説の要旨は、先の大戦での反省、先の大戦におけるアジア諸国民対する「痛切な反省」(deep remorse over the war)を表明しています。このremorseという単語が注目されています。そして第二次世界大戦で戦死した米国の若人に対しては'Deep Repentance'という表現を使っていることが注目されているようです。

村山談話は実は"deep remorse"という表現を使っていますが、村山富市首相談話で使った「heartfeltapology(心からのお詫び)」は口にしていません。すなわち村山談話の「痛切な反省の意を表し、心からのお詫びの気持ちを表明いたします。」の前半を踏襲し後半を割愛したわけです。これは政治です。

歴史認識という点では作家の村上春樹さんは「歴史認識の問題はすごく大事なことで、ちゃんと謝ることが大切だと僕は思う。相手国が「すっきりしたわけじゃないけれど、それだけ謝ってくれたから、わかりました、もういいでしょう」というまで謝るしかないんじゃないかな。謝ることは恥ずかしいことではありません。細かい事実はともかく、他国に侵略したという大筋は事実なんだから。」と言っています。政治と文学のこの間で一般国民は悩みます。

後半は安全保障体制としてのTPPの実現を呼びかけ、日本の改革をコミットしています。

そして最後は、「希望の同盟」の呼びかけで締めています。

議会演説の際、聴衆らが立ち上がって拍手を送る場面が10回以上あり、終了後は米議員から相次いで握手を求められた、とありますから今回安倍首相は良い仕事を成し遂げできたと評価していいと思います。

反応は賛否ありますが、十分な摺合せで、かつ米国に対する最大限の気配りの演説ですから、ケネディ駐日大使は「非常に力強い演説」と高く評価しています。議会指導者の評価もいいですが、韓国ロビーを意識してか、米国メディアは謝罪がないということで若干辛口の評価です。

日系3世のマイク・ホンダ議員は元慰安婦を招待して反日をアッピールして批判しています。彼は韓国ロビーの中心的人物で、2007年7月30日に下院本会議で日本政府への慰安婦に対する謝罪要求決議案の採決を成功させました。ただこの時の採決は議事進行簡潔化の為にサスペンションルールが適用され、議場にいた10人は反対意見がないことを確認し決議は可決されたとあります。というのは米国議会では午後3時以降は議員の退席が認められていますが、議場委任が条件です。此の議案を最後の議案にして残った議員10名で採決したわけです。これは当時の関係者から直接聞いた話です。ロビー活動としては辣腕です。


首相、先の大戦「痛切な反省」 米議会で演説

http://www.nikkei.com/article/DGXLASDE29H0H_Z20C15A4MM8000/

Japan PM Expresses 'Deep Repentance' For WWII

http://news.sky.com/story/1474612/japan-pm-expresses-deep-repentance-for-wwii

首相の米議会演説の全文

http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS29H1E_Z20C15A4M10600/

「戦後50周年の終戦記念日にあたって」(いわゆる村山談話)

http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/danwa/07/dmu_0815.html

村上春樹さん、時代と歴史と物語を語る(下)

http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201504/20150427_73049.html

マイク・ホンダ 日本名:本田 実

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%82%A4%E3%82%AF%E3%83%BB%E3%83%9B%E3%83%B3%E3%83%80

「非常に力強い演説」…ケネディ大使、高く評価http://www.yomiuri.co.jp/politics/20150430-OYT1T50063.html

謝罪明確にしなかった…米メディア、厳しい評もhttp://www.yomiuri.co.jp/world/20150430-OYT1T50073.html?from=yartcl_blist

中国、焦点絞り批判 安倍演説 韓国メディアは「不十分」

http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20150430&ng=DGKKASGM30H2F_Q5A430C1EAF000


◆アジアを金融で束ね、政治で孤立する中国◆

AIIB=アジアインフラ投資銀行の設立ではアメリカの同盟国であるイギリスやオーストリア含めたEUの主要国を巻き込んだ形で、アジアに中国主導の国際金融機関を設立するという快挙を成し遂げつつある中国ですが、設立が実現するためにはまだ紆余曲折がありそうです。日本の議論は有識者の間でも、参加しないとはなんという愚かという人と、参加しなく良かった、いつでも入れるんだからという人、そしてそんな金があるんだったらアジア開発銀行に資本注入をした方がいいという人もいて議論を発散しています。

しかし政治では、ASEANの首脳会議は中国が南シナ海で進める岩礁の埋め立てについて、「深刻な懸念を共有する」と表明しました。ASEANが公式に中国の埋め立てに言及するのは初めてです。いつもは中国の意向に遠慮がちなASEANですが、直接的な脅威にさらされているフィリピンとベトナムの強い主張で、中国の海洋進出について懸念を直接声明文に書き入れました。

声明では、中国の埋め立てが「南シナ海の平和や安全、安定を損ないかねない」と指摘し、これに対し、加盟国首脳が外相に、早急に対処するよう指示したことも明記しました。

先の日米同盟も中国の海洋進出に対する対抗措置ですから、この南シナ海の安全保障問題には日本は否応なしに対峙させられることになります。

ASEANと対立すると、中国とインドは犬猿の仲ですから、中国はアジア中で孤立します。インドと犬猿の仲のパキスタンですが、そこで中国はこのパキスタンに巨額の支援を申し出ています。パキスタンを通ってウイグル地区からインド洋のパキスタン南西部グワダル港を結ぶ「経済回廊」の建設が目的で、この先には中国が圧倒的な存在感を示すアフリカに繋がります。ただパキスタン南西部のグワダル港と新疆ウイグル自治区を結ぶ物流網「中国・パキスタン経済回廊」の計画は、治安上の不安から実現が危ぶまれていいます。

一方、ウイグルの隣のアフガニスタンが再びタリバンの勢力下に入ると、ここがウイグル独立派のテロ組織の拠点になる懸念から中国は米軍がアフガン駐留を継続を望んでいるという説もあります。

国際関係は実に複雑で現実主義的な理解と行動が必要ですが、日本人はこれが苦手ですね。

日米関係、日中関係も現実主義的な認識と理解で進めていくことが必須です。次に日本が現実主義的な判断を迫られるのは北方四島です。土地を半分に分けるか、共同統治かでしょう。ロシアが実効支配している北方四島返還しか頭にない人は多いでしょうが。

日韓関係改善は韓国の国内事情とりわけ朴大統領の政権運用の混乱から進展は難しいですね。ともかく人材難で首相がなかなか決まらず、やっと決めた人もスキャンダルで辞任が既に5人です。何も成果がないまま朴大統領の任期が終わってしまいそうです。その時まで日韓関係は改善しないと考えた方がいいかもしれません。日中関係とちがい日韓関係の改善ついては日本人はあまり熱意が感じられませんね。


AIIB設立へ 55国参加し初の交渉会議

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150428/k10010064391000.html

AIIB、中国の能力不足を疑う声も=いかにして懸念に答えるかhttp://www.recordchina.co.jp/a106532.html

ASEAN 中国の埋め立てに深刻な懸念

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150428/k10010064111000.html

中国、南シナ海めぐるASEAN声明を「非常に懸念」

http://jp.reuters.com/article/worldNews/idJPKBN0NJ12J20150428

中国がパキスタン支援で合意、インフラ開発に460億ドル

http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0NB0SW20150420

米軍のアフガン駐留を中国が望む理由

http://m.newsweekjapan.jp/stories/world/2014/04/post-3243_1.php

韓国・朴大統領、首相辞任で声明「国民に心配かけ残念」=秘書官が代読に野党から不満―中国メディア

http://www.recordchina.co.jp/a107655.html

内政も外交も袋小路に迷い込んだ朴大統領 韓国メディアは総攻撃状態

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150430-00000002-ykf-int


◆原発をどう考えるか◆

やっと我が国のエネルギー政策の叩き台が発表されました。経済産業省は28日、2030年時点の望ましい電源構成(ベストミックス)案を公表しました。原子力の比率は20~22%と、東日本大震災前の28.6%より低くして、太陽光などの再生エネルギーは最大24%を掲げ、原子力を上回る普及をめざすとしています。コスト低減と環境への配慮の両立をはかる案です。大フィーバーだった太陽光発電は7%と控えめです。

依然として原子力発電が最も発電コストが低いということになっています。石炭火力は炭酸ガス排出の課題がありますから既存の原発を活用したいという議論も理解はできます。

さすがに原発の新設や増設は困難ですから、 40年という決められた原発の寿命を延ばして使い続けるという政策です。

原発の再稼働は悩ましい課題です。今日現在、原発がなくても特に電力供給に支障はなく、ただ電気料金が2ないし3割上がったことです。化石燃料の輸入コストも長期的にはともかく当面はこの円安で抑えられます。

ただ原子力発電にはどうしようもない壁があります。使用済み燃料の処理の問題です。これは日本固有の問題ではなく原子力発電という技術が持っている本質的な課題です。ですから米国やイギリスでも未だにもてあましています。地下深く埋めるという構想も米国で頓挫しているようです。使用済み燃料がずっと地上の中間処理施設に仮置きされるという現状では原子力発電を推進することができません。

更に最近見つけた情報ですが、チェルノブイリ事故の原因は、無理な実験計画とオペレーターのミスもあるようですが、直接の引き金は直下の地震にあったと言われています。下記のURLでYouTubeをご覧になると地震と原発の脅威がわかります。日本も原発の敷地内の断層について議論がありますが、チェルノブイリでは地震がトリガーであったのです。この地震のリスクが払拭できないと、原発の再稼働も困難になります。

すでに福井地裁では再稼働中止の仮処分出され、一方鹿児島地裁では仮処分は却下されました。この後の司法判断も分かれてくると思います。

といって夢のような水素革命に答えを求めるわけにはいきません。2050年に160兆円市場、「水素社会」到来の巨大インパクトと囃されていますが、水素がエネルギーミックスの一部になるのは50年後です。


原発比率、30年に20~22% 電源構成案を公表 経産省、再生エネは倍増

http://www.nikkei.com/article/DGXLASDF28H1R_Y5A420C1MM8000/

チェルノブイリ 事故の原因

https://www.youtube.com/watch?v=pU2bSAIDMVc

チェルノブイリ原発 隠されていた事実

https://www.youtube.com/watch?v=b0-AWtxkrjE

https://www.youtube.com/watch?v=bYlJC6ijpuY

https://www.youtube.com/watch?v=fiW10XUnkaw

米、核のごみ処分計画先送り 地下施設めど立たず

https://socialnews.rakuten.co.jp/link/518486

GOVERNMENT MINISTER TO HAVE LAST SAY ON UNDERGROUND NUCLEAR REPOSITORY

http://www.newsandstar.co.uk/news/government-minister-to-have-last-say-on-underground-nuclear-repository-1.1203758

Nuclear waste disposal – what the UK can learn from its Gallic neighbours

http://www.power-technology.com/features/featurenuclear-waste-disposal-what-the-uk-can-learn-from-its-gallic-neighbours-4400126/

50年に160兆円市場、「水素社会」到来の巨大インパクト

http://www.nikkei.com/article/DGXNASFK1500矯正_V11C13A0000000/

「燃料電池車(FCV)が普及したら水素社会なのかな?」

http://www.nikkei.com/article/DGXKZO85347190W5A400C1TJP001/


◆今年も東大本郷で俯瞰経営塾の授業をしています◆

今年も東大のMOT、技術経営戦略学専攻の修士1年生と俯瞰経営塾のゼミやっています。学生の自主的なゼミで、単位がつきません。たぶん前の晩は徹夜に近いでしょう。当日は木曜日の午後ですが1時から5時近くまでぶっ続けです。東大を定年して7年目ですが今年も学生たちの依頼でやっています。前年度に受講した学生の有志がTAとしてゼミ生を集め運営をしてくれます。技術経営戦略学専攻の発足以来の授業ですから卒業生の大半、たぶん300人近くがこの授業を受けていると思います。この授業を受ける人は知的にも倫理的にも水準が高いので、きっと各自の自己実現を通じて日本を変革してくれると思います。

授業は講義ではありません。実社会でキャリアをスタートする前のブートキャンプ(Boot Camp)です。その目的は知的腕力をつけることです。知的腕力とは何かと思うでしょうが、この授業では単純です。情報の収集、分析、編集(企画)を短時間に高い水準で行う能力です。加えてプレゼンテーション含めその企画を相手に理解を超えて、得心させることです。そして大切な事はprofessional imageの高水準の確立です。

ですから、第一回目は自己紹介の練習です。毎回お辞儀の練習をします。そして日本語の矯正です。小学校以来国語の授業がありますが完璧な日本語の能力を持った学生に東京大学で出会ったことがありません。ここで国語教育の問題を提起する気はありませんが、この授業の間で日本語の読み、書き、話す、聞く、の能力を仕上げます。言語がコミュニケーションの基礎ですから。リーダーの日本語が完璧でないとリーダーシップは無理ですね。

毎回課題を出します。授業は毎年30名程度ですから、 5人ずつ6チームができます。各チームは課題をこなし発表します。課題は基本的にビジネスリテラシーの課題ですから、結果としてビジネスリテラシーの知識は付きますが、あくまでこのゼミの目的は知的腕力をつけることです。追求するものとついてくるものがきちっと認識できないでモノを語り,コトを図る人が多いので、これを峻別する能力の獲得もこの授業の目的です。この授業ではプレゼンテーションに対し基本的に私はコメントしません。学生間で、評価をしてもらいます。授業の終わりにどのチームが1番良かったが手を挙げて投票します。それが決まってから若干のコメントはします。学生の評価に影響を与えないコメントは授業の中で行います。上を向いて仕事をするのではなく市場を見て、顧客を見て仕事をするビジネスの基本を理解するためです。

課題は会計、マーケティング、イノベーション、リーダーシップ、技術戦略、人事システム、経営戦略、経営学、 M&Aと毎回変わります。

今年気づいたことあります。年々生徒の水準が上がっていくのです。もともと東大工学系の中で多分上位3分の1以内の学生しか受講しませんが、全員ではありませんがそれでもこの3年水準が上がっています。東京大学のMOTの学生は元気になっているということです。今年は技術経営戦略学専攻が22名、東大の経済、農学で2名、東工大MOTが2名、中国留学生が3名です。私はファシリテーター、コーチです。

この授業は木曜日の午後東大本郷の3号館の3階のゼミ室でやっていますからいつでも授業参観に来てください。


◆ビジネスモデル学会第21回イブニングセッションのご案内◆

茗荷谷のシリコンバレーを目指すZMP社長が語る 

「Robot of EverythingとZMPの世界戦略」

日時:5月21日(木) 19:00-21:30

場所:霞ヶ関ナレッジスクエア エキスパート倶楽部

講師:谷口 恒 氏   株式会社ゼットエムピー 代表取締役社長

 講演要旨:

ZMPは、2014年から総合ロボット会社としてRobot of Everything戦略を開始しており、2015年からは建機や農機など多種多様な機械にロボット及び自動車で培った自動運転技術を応用し、Robot of Everythingを加速させている。今回の講演では、ZMPの これまでの開発の歴史のご紹介とともに、「Robot of Everything」とは何か、その本質と必要性について、更には今後のZMPの世界戦略についてお話させていただく。

申し込みは急いでください。席に限りがありますから。

http://www.biz-model.org/


◆俯瞰のクッキング~幾つかの出会い~◆

最近のクッキングに関するいくつかの出会いをご紹介します。

表参道の地下鉄の駅にあるフードコートは雰囲気がアバンギャルドで気に入った場所の1つですが、その一角に雑貨屋があり、そこに電子レンジ用の圧力鍋がある事は以前から知っていましたが、たまたまその側にクッキングブックがあったのでパラパラめくっているうちに興味惹かれ、帰宅してからAmazonで購入しました。MEYER 電子レンジ圧力鍋です。世界のベストセラーのようです。大小ありまが、小では米は1カップしかたけません。

これがなかなかの優れもので、ともかく従来のように圧力鍋に圧がかかるまで見ていて火を弱めてタイマーをセットするという手間がいりません。

我が家では長年ご飯は圧力鍋で炊いています。このご飯炊きに威力を発揮しました。米を洗ってコメと同量の水を入れ30分ほど浸水させて、 600ワットで8分、ムラシ15分と全自動でできます。同様に中華おこわも8分で簡単にできます。玄米は水が倍で600ワット20分です。我が家のクッキングのちょっとしたイノベーションです。

自宅の近くのTSUTAYAで時々本を見て回ります。特に料理コーナーはよく行きます。気になる本が見つかるとばらばらめくって、何かインスパイアされるものがあるとその本を買います。最近「くろぎのおかず」という湯島の“くろぎ”黒木純さんが書かれた本を手にとってぱらぱらめくるとこの料理人は違うと感じました。私もたくさんの料理本を買ってきましたが中の料理を見ると、名人の域にある料理人の本は違います。和食では分とく山の野崎洋光さんの本がそうです。レシピは単純ですが、素人が決して到達できないプロの知恵をそこに感じさせます。

その冒頭に「牛ヒレカツ」の写真がありました。これまで良い牛肉はステーキが一番と思っていましたから牛肉のカツレツは興味ありませんでした。

「お祝いの日に父がヒレカツを作ってくれました。レアだけども中心まで熱がしっかり通った、その絶妙な火加減に感動いたものです 」という文章と写真に惹かれ作ってみました。彼の父親は料理人です。だから自分は“おふくろの味”を知らないと言ってます。絶品です。衣をつけて衣がキツネ色になるまで揚げ、そして引き上げ余熱でじっくり中まで火を通すというレシピが絶妙です。肉は70度位で火を入れるのが最高ですが、このレシピはそのようになっています。その他のレシピも料理人の名人芸を伝えています。

ちなみに渋谷のニュークイックが閉店になってしまったので、“麻布の日進”に週末に車で買い物に行くことになりました。“麻布の日進”は外国人向けのスーパーマーケットですので、輸入肉が豊富です。オーストラリア、ニュージーランド、アメリカ、カナダとおいてあります。ここで買うヒレ肉はオーストラリア産で100グラム400円くらいです。鮮魚をのぞけば野菜、果物も安くワインショップも充実しています。今では失われた、かつての“青山の紀伊国屋”のような雰囲気がありますので、私にとってノスタルジックな時間でもあります。


◆ニューウェーブの俯瞰~新しいメディアの時代~◆

このコラムで以前にテレビ放送の全録画について書いたときに、これはテレビ放送というメディアから時間軸を消え去ったものだと書きました。予約録画ということがなくなるのです。パラダイムシフトです、イノベーションです、過去1週間分の全てテレビ放送を選んで視ることができるのです。人と話していて「先週のあの番組良かったね」、家に帰って視ることができます。

最近YouTubeを時々見ます。 YouTubeは1週間分の全録画どころではありません。無限大に近い動画も何時でも検索して視ることができます。改めてこれはテレビというメディアは遥かに超えた新しいメディアであると確信しました。テレビという機器はインターネット端末が基本機能で、テレビ放送も視ることができるという時代になっています。ですからNHKもテレビを持っていない人からも視聴料を取りたいと言っています。

そのYouTubeですが、興味深いそして勉強になるコンテンツがいくつもあります。英語の勉強にもなります。繰り返し見ているコンテンツがありますのでご紹介しましょう。

まず“スティーブ・ジョブスのスタンフォード大学卒業式の講演”です。何度視ても感動を与えてくれます。繰り返し聞いていると初めて彼が伝えたかったことが分かってくるような気がしました。

“スティーブ・ジョブスが語るソニーの失敗”も大きな気づきを与えてくれました。ソニーの失敗については星の数ほど話がありますが、彼の指摘が一番的を射ていると思います。彼は本質的な価値はソフトウエアにあるとしています。ハードウェアは単なる入れ物です。

プレゼンテーションではTED に素晴らしいものがたくさんあります。このプレゼンテーションを見ていると、いかに自分のプレゼンテーションが稚拙か思い知らされます。

時々見ているプレゼンテーションは、チェルノブイリの立ち入り禁止区域内で暮らしている歳を取った女性達です。男は原発事故の後生活が乱れて全員死んでしまったのです。生き残った彼女たちは自分たちの魂の住処に戻って住んでいるのです。その逞しさ、その運命に感動します。

“面接の2分前にこれをやっておけ”という、社会心理学者のプレゼンテーションも興味深い話です。前向きに考えれば体のホルモンバランスから変化できる、ネガティブな思考はホルモンバランスをネガティブな方に崩す、という実験の話は説得力があります。そして“感動するプレゼンテーション”のすべての技巧が使われています。

俯瞰の書棚で取り上げた「ザプレゼンテーション」ナンシー・ヂュアルテの“プレゼンテーションには「型」がある”もあります。

米国ポートランドの環境への取り組みのプロジェクトの成果は大きな示唆を与えてくれます。アメリカは郊外へ住宅地を広げた結果、アメリカ人は移動のためにお金と時間を多大に失っています。緑の中に住むことがエコであるというまやかしも指摘しています。ポートランドはWalkable Cityという車なしで暮らせるまちづくりを長年追求した結果、 QOLの高い街を作りあげたわけです。高学歴の若い人たちがポートランドに集まってきました。まず住みたい場所を決めてそこに住む、そして誰と一緒に暮らすか、何をするかを決めるという、都市学者のリチャード・フロイドのCreative Cityが実現しています。通勤にお金と時間をかけないと街にお金が落ちます。地域経済が発展します。日本ではアメリカほどの車社会ではありませんが、 都市部を離れれば車なしでは暮らしていけません。ですから日本でも車なしで暮らせる富山市のようなコンパクトシティのプロジェクトもっと推進すべきです。

YouTubeの画質も今はHDが多いですからiPad見ると素晴らしい画像です。

TEDは英語ですが、 iPadやiPhoneではアプリを入れると英語と日本語の字幕が表示されますので英会話の教材にもなります。

ブロードバンドのインターネットは時間軸のない電波に代わるメディア空間を提供しています。この中にサイトというたくさんの“チャネル”がすでに動いています。テレビ、新聞、雑誌はなくなりませんが大きなターニングポイント迎えているのです。


スティーブ・ジョブス スタンフォード大学卒業式スピーチ

https://www.youtube.com/watch?v=VyzqHFdzBKg

スティーブ・ジョブスが語るソニーの失敗

https://www.youtube.com/watch?v=8w2U7nTQqWA

チェルノブイリで住み続ける女性達

https://www.ted.com/talks/holly_morris_why_stay_in_chernobyl_because_it_s_home

面接の前にやっておくこと

https://www.ted.com/talks/amy_cuddy_your_body_language_shapes_who_you_are

ポートランドのWalkable Cityの成果

https://www.ted.com/talks/jeff_speck_the_walkable_city

優れたプレゼンテーションには「型」がある

http://www.ted.com/talks/nancy_duarte_the_secret_structure_of_great_talks


◆俯瞰の書棚◆

今回の紹介は 「ザプレゼンテーション」ナンシー・ヂュアルテ(中西真雄美訳) ダイヤモンド社 2012です。

長い間たくさんのプレゼンテーションをしてきました、ほとんど自己流です。いろんな人にプレゼンテーションのアドバイスをしてきましたが、自分自身も、もう一度基本に戻りプレゼンテーションを勉強したいと思ってこの本を手に取りました。目からウロコというか、非常に高いプレゼンテーションの技法が紹介されていました。プレゼンテーションを改めて磨きたいという方にはお勧めです。

本の中にいくつもの素晴らしプレゼンテーションのケーススタディーがありますが、これが非常に参考になります。中でもマーティン・ルーサー・キング・ジュニアの「私には夢がある」の演説は、筆者ga

いうスパークラインという時系列分析で、心を掴むプレゼンテーションが,

何かを解説しています。

第1章 心動かすプレゼンテーション、このキーワードは聴衆こそがヒーロー、です。

第2章 神話や映画に学べ、このキーワードはストーリーを組み込む、です。またこの章ではスパークラインという分析手法を紹介しています。すなわち良いプレゼンテーションは“現在の姿”と“未来の姿”を交互に語ることがポイントで、これを見える化する分析手法です。

第3章 聴衆を知る、このキーワードは聴衆を分類する、です。

第4章  旅の計画、このキーワードはビッグアイディアという伝えたいメッセージで、その条件は、1.独自の視点で明確に表現する、2.何が今危機にさらされているかを伝える、3.完全な文章であること、です。

第5章 内容を練る、キーワードはありとあらゆる情報を集める、です。これは私が東大のゼミで行っている情報の収集、分析、編集(企画)、の収集・分析に当ります。

第6章 構成を考える、キーワードは理解できるプレゼンテーション、です。ここは編集(企画)に相当します。

第7章 記憶に残る何かを伝える、キーワードはSTAR(Something Always They’ll Remember)の瞬間で、いつまでも相手の記憶に残る何かを、です。この章はこの本の一つの山場ですね。

第8章 改善の余地はどこにでも転がっている、です。要はプレゼンテーションのスライド表現の磨です。ニューヨーク・フィル指揮者だったレナード・バーンスタインが行ってきた講義形式のコンサートに対する彼の綿密な準備と推敲の記録が圧巻です。

第9章 世界を変えよう、この章にマーティン・ルーサー・キング・ジュニアの「私には夢がある」の演説の分析があります。Webで動画を視ることをお勧めします。この後彼は暗殺されましたが、公民権運動でアメリカを大きく変えました。演説の随所に入れられた「私には夢がある」で人々を鼓舞して行動に駆り立てました。

終章 インスピレーションはどこからでも得られる、この章ではモーツァルトのソナタを例にとってその構成がプレゼンテーションに大いに参考になるとしています。モーツァルトの「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」の第一楽章も例のスパークラインで分析しています。続くアルフレッド・ヒッチコックの綿密な脚本作りの話があります。

この本を読んで大いに参考になりましたが、これからのプレゼンテーションにどこまで生かせるか、そして自分のプレゼンテーションをどこまで高められるか、これがワクワクするような私の課題です。


◆編集後記◆

 安倍首相にとって就任以来、今回の訪米を目標にいささか強引に進めてきたが全てを入れ込んだ首脳会談と上下両院の演説です。本人は達成感があると思います。これ程明示的に仮想敵国にされた中国はこの後どう出てくるかです。

 原発の使用済燃料は大問題ですね。福島の原発に入ったままの燃料棒をどうするかが再稼働の前の議論と行動です。

 定年から7年、現役の学生と一緒にゼミができることは幸せなことです。年々自分も成長できます。企業の次世代リーダーの育成プログラムもやっていますが、現役の学生はこれからキャリアを考えその実現を追及するわけですからオーラが違い

 ます。秋からは外資系の就活が始まります、ブートキャンプからの旅立ちです。

 ノビシロが大きいと、ゴルフと英語の勉強を始めてTEDを視るようになりましたがその過程でプレゼンテーションの理論を勉強することになりました。これもまだノビシロが大きいと感じました。ノビシロをいかに埋めるか、これが新たな課題です。


俯瞰メール47号

◆時候のご挨拶◆

寒波、豪雪と言っていましが、もう桜満開です。彼岸できっぱりコートは着るのは止めました。かつて彼岸を過ぎてコートを着ている部下に、昨日の延長線で今日を生きるなと言いましたから。

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 国民的議論なしに突き進む安倍政権の海外派兵の法制整備

 孤立する日米同盟

 アラブの春は無政府状態への始まりだった?

 安田講堂の大改修後の内覧会に行ってきました

 ビジネスモデル学会2015年春季大会報告

 俯瞰のクッキング~東急プラザ49年の歴史を閉じる~

 ニューウェーブの俯瞰~手首争奪の戦争~

 俯瞰の書棚 「How Google Works」日本経済出版社 2014

 編集後記

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◆国民的議論なしに突き進む安倍政権の海外派兵の法制整備◆

安倍内閣は昨年7月、憲法解釈を変更して集団的自衛権の行使を認めるとともに、他国軍への後方支援を拡大する閣議決定をしました。憲法9条の下では、従来個別的自衛権の行使しか認められてこなかったのですが。今回の与党正式合意で、自公が憲法解釈変更に基づく法律の枠組みを容認したことになります。憲法9条の解釈を変えた事に伴う法律の整備です。これだけ重要な意思決定ですが、国会やメディアで十分に議論が尽くされているという感じがしません。とりわけ野党の方々はこれについて相対的に静かで、安倍政権が突出して推進している印象を持ちます。野党の民主党は大臣の補助金と寄付の問題を声高に国会で質問していますがこの問題にはあまり熱心では無いのでしょうか。世論調査では国民は安倍政権の提案に賛成していないことが判明しています。

日本経済新聞社とテレビ東京による3月20~22日の世論調査で、集団的自衛権の行使を可能にするための関連法案について、今国会での成立に「賛成」は31%にとどまり「反対」の51%を下回っています。政府・与党は5月に関連法案を提出して今国会での成立を図るようですがが、国民の間では依然として慎重論が根強いのです。ただ最近の海外での事件を受けて自衛隊の海外での活動の拡大に関しては賛否が拮抗しています。

今回の関連法案はある意味自衛隊の海外派遣をかなり大幅に認めることにもなりますので、国民もそして野党ももっと本格的に議論すべきではないでしょうか。

 連立与党の公明党がある程度歯止めというか抵抗していますが、どうも公明党副代表の北側一雄氏に丸投げしているような感じがあります。氏は先の集団的自衛権の行使を認める閣議決定に際して、武力行使のための「新3要件」に、1972年政府見解の「根底から覆される」という文言を盛り込ませることに成功したと言っていますが、どうも自民党の高村副総裁とある意味政治家としての「握り」があるように思います。

その武力行使の新3要件とは、

(1)我が国に対する武力攻撃が発生した場合のみならず、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合に、(2)これを排除し、我が国の存立を全うし、国民を守るために他に適当な手段がない時に、(3)必要最小限度の実力を行使すること――という内容です。

自民党の議員の中にはナショナリストの方が現在の安部政権の受けが良いと思っているのか、意味がわかって言っているのかわかりませんが「八紘一宇」を予算委員会で紹介している元女優の議員などは「国益」をどのように認識しているのでしょうか。自民党の何人かの女性議員の勇ましい発言はある種の猟官運動でしょうか。とすれば真面目に努力している有能な女性そのものに対する侮辱です。

3月26日は日米で戦没者20万人、そして住民が多数の自決者617人という沖縄戦の沖縄米軍上陸の70周年です。勇ましいことを口にする前に慰霊祭に参列し不戦の原点を真摯に認識するのが政治家のすべきことではないでしょうか。心ある政治家は参画しています。

憲法9条はある意味アジア諸国の日本に対する緊張を下げるものです。もし憲法9条を改正すると中国はこれに対抗した軍拡を進めることになります。そして日本も軍拡で応じるならば日本の社会と経済は大きな負担を強いられます。国益、これを第一に考えて政治家は発言と行動をすべきです。

私もジレンマがあります。先の竹島や現在の尖閣列島、そして南シナ海の状況を見れば速やかな軍事的な対応も必要です。一方国会の議論と承認なしにナショナリストの首相が自衛隊を独断で動かすこともリスクがあります。また派遣される自衛隊の生命やそのご家族のこともきちんとした議論が必要でしょう。さらに憲法9条で国際社会とりわけアジアにコミットしている専守防衛の平和国家としての現在価値も重要だと認識しています。

安倍首相はNATOの一員としてイラク戦争いやアフガン戦争に参画したドイツのような行動の自由が、いわゆる一等国の要件であると思っているかもしれません。かつての歴史は陸軍と関東軍の暴走でしたが、これからはナショナリストの暴走のリスクを法制としてきちっと管理することが必須だと思います。とにかくNHKの会長を含め安倍首相の周辺のブレーンの資質が気になります。


安保法制の基本方針、与党正式合意 法案具体化へ

http://www.asahi.com/articles/ASH3N5GW5H3NUTFK00V.html

安保法制今国会で成立目指す

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150323/k10010025001000.html

「もっともっと議論を」憲法改正で公明・山口代表

http://www.sankei.com/politics/news/150324/plt1503240021-n1.html

民主・岡田氏、与党の安保法制を批判「わかりにくい」

http://www.asahi.com/articles/ASH3G54CLH3GUTFK005.html

社説[「わが軍」「八紘一宇」]緊張欠く慢心発言次々

https://www.okinawatimes.co.jp/article.php?id=109116

慶良間諸島米軍上陸70年 沖縄戦悲劇の始まり

http://www.yomiuri.co.jp/kyushu/news/20150326-OYS1T50067.html

沖縄戦から70年 座間味で慰霊祭

http://www.qab.co.jp/news/2015032664443.html


◆孤立する日米同盟◆

中国の習金平主席の外交がホームランを打ちました。中国の提案するアジアインフラ投資銀行(AIIB)への参画が雪崩現象です。口火を切ったのはイギリスです。これをトリガーにヨーロッパ諸国が参画を決めました。中央アジアでの中国のリーダーシップに対して微妙な立場にあったロシアもついに参画を決めました。南米のブラジルも、そしてアングロサクソンの豪州も参画を決め、すでに40カ国以上の参加が決まっています。 1番苦しい決断は韓国でしょう。しかし参画を決めました。その裏ではアメリカと相当厳しいやり取りがあったはずです。

アジアインフラ投資銀行(AIIB)はアメリカ主導の世界銀行、日本主導のアジア開発銀行、そしてヨーロッパ主導のIMFに対する中国の挑戦です。第二次世界大戦後続いてきたパックスアメリカナの終焉かもしれません。

イギリスの政治家はいつもすごく国益の追求に徹しています。 EUに加盟しながら通貨同盟には合流せず、今やEUからの脱離の国民投票を予定しています。これは再び、スコットランドの独立の議論を再燃させると思いますが。キャメロン首相は多分オバマ大統領と何の打合せもなくこの決定をしたと思います。これを見てドイツ、フランスをはじめヨーロッパ諸国は、アジアインフラ整備という経済的なチャンスのおこぼれをもらおうと雪崩的に参加を表明しました。背景には長引くロシア経済制裁とロシア経済の縮小でその代替の市場をアジアのインフラプロジェクトに求めているのでしょうが。

韓国はアメリカと中国の間にあって苦悩の決断だと思います。すでにミサイル防衛網では再三のアメリカの呼びかけににも拘らず米国、日本、韓国の共同ミサイル防衛網THAADに対して中国への遠慮というか、恫喝に屈してか参加を保留しています。結果として韓国はアメリカではなく中国に自国の未来をかける決断をしたのかもしれません。これは客観的に見れば1つの選択です。すでに経済的には中国依存から離れられません。北朝鮮の脅威についてはどこまで中国が北朝鮮をコントロールできるかわかりませんが、これに賭けたのでしょうか。

1950年1月12日、アメリカ政府のディーン・アチソン国務長官が、「アメリカが責任を持つ防衛ラインは、フィリピン - 沖縄 - 日本 - アリューシャン列島までである。それ以外の地域は責任を持たない」と発言して、朝鮮戦争を誘引しました。このままいけば再びアメリカはアチソンの防衛戦略に立ち戻ることにもなりかねません。アメリカのミサイル防衛網を受け入れない韓国からは米軍は沖縄とグアム島まで兵力を引くことになります。もしこうなれば東アジアの力の均衡は崩れます。

ただ歴史的に俯瞰すると、この戦後70年を除けば朝鮮は中国を宗主国としてその支援のもとに日本から侵攻に対抗してきました。とすればこの歴史的な形に戻るのでしょうか。

更に歴史をさかのぼれば、朝鮮半島南部から出雲を中心に渡来して日本海沿岸に広がり、大和にまで広がった出雲族、そして百済経由で治水技術による稲作文化を持って北九州に侵入して大和の地に大和朝廷を拓いたのが現在の日本です。関係が深いから、いがみ合うのでしょうか。

こうして色々俯瞰してみると、結果として日本とアメリカは国際社会から孤立した状態になっています。アメリカの絶対的な同盟国であったアングロサクソンのイギリスや豪州もアメリカの経済から中国主導の経済を新しい機会として考えたということでしょうか。

日米同盟、それでもこれは日本の国益から来る決心でしょう。アメリカが本気で日本が最後のパートナーだと思ってくれるか、これが問題ですが。

私はこの段階で目の前の札束を拾うためにアジアインフラ投資銀行(AIIB)に参画することよりも日米同盟という国益を取るべきだと思います。ただ懸念は相手があのオバマ大統領では懸念が残りますね。


ロシアも参加表明 中央アジア諸国の相次ぐ表明に押され

http://www.sankei.com/world/news/150328/wor1503280029-n1.html

アジアインフラ投資銀行(AIIB)へ欧州各国が参加を表明

http://matome.naver.jp/odai/2142688814829905101

中国主導のアジアインフラ投資銀行に「日本も関与すべき」との声高まる、経済界切実―加盟表明国急拡大で方針転換もhttp://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150320-00000022-rcdc-cn

中国主導のアジアインフラ投資銀で米国が戦略転換、協力模索へ

http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0MJ2I920150323

韓国、強大国・米中の板挟みに

http://www.nikkei.com/article/DGXMZO84777390U5A320C1000000/

http://www.nikkei.com/article/DGXMZO84777390U5A320C1000000/?df=2

米新迎撃システムの韓国配備 中国の懸念に反論=米次官補

http://japanese.yonhapnews.co.kr/headline/2015/03/17/0200000000AJP20150317001800882.HTML?input=rss

ついに米国も韓国に踏み絵を突きつけた

http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20131006/254231/?rt=nocnt

MDは中国が韓国に突きつける“踏み絵”

http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20140901/frn1409011530003-n1.htm

朝鮮戦争http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9C%9D%E9%AE%AE%E6%88%A6%E4%BA%89#.E6.9D.8E.E6.89.BF.E6.99.A9.E3.81.AE.E5.AF.BE.E6.97.A5.E8.A1.8C.E5.8B.95.E3.81.A8.E3.82.A2.E3.83.A1.E3.83.AA.E3.82.AB.E3.81.AE.E8.AA.A4.E7.AE.97


◆アラブの春は無政府状態への始まりだった?◆

早いものでイラク戦争から12年です。ワシントンでは反戦デモが行われたようです。当然でしょう。中近東の現在の混乱のすべての発端となった愚かな戦争ですから。中近東は完全に無政府状態に陥っています。

態勢をぶち壊すのは簡単ですが新しい秩序を作ることには長い時間が、そして多くの犠牲が伴う事は人類の歴史を俯瞰すればわかるはずです。ヨーロッパ中を戦乱の渦に巻き込み文明の停滞を招いた30年戦争、鎌倉幕府崩壊後、実質的な統治能力がない室町幕府からの徳川幕府成立までの戦国時代などです。ソ連崩壊後のロシアと東欧も。

アラブの春の発端を作り民主化のモデルとされたチュニジアでもイスラム国が繁殖しています。イスラム国という怪物はリビアでも、アフリカのナイジェリアそしてシリアからイラクを無政府状態にしています。

そして今アラビア半島最南端のイエメンも国家崩壊状態です。イエメンはもともと南北にわかれた国でしたが何とか一時は国家の形態を保っていました。しかしアルカイダをはじめ過激派が侵食し群雄割拠の状態になってしまいました。

これら中近東の混乱の基底にはイスラム教のスンニ派とシーア派の対立という厄介な問題があります。スンニ派のリーダーはサウジアラビアで、シーア派のリーダーはイランです。シリアやイラク、そしてイエメンもこの構造です。永年の怨讐が凄惨なテロの応酬、そして民兵という軍閥の割拠という無政府状態を作り出しています。

この中近東の混乱に無力なオバマ政権が歯がゆいですね。オバマ米大統領が半年前にテロ対策の「成功例」と持ち上げたイエメンです。迷走する米中東政策を曝け出しています。サウジアラビアやエジプトそしてイスラエルという伝統的な親米の同盟国も不信の目を向けているようです。そのうえきちっとしたコミュニケーションも出来ていないようです

問題はイエメンの対岸のソマリアです。このソマリアも無政府状態で海賊の根拠地になっています。スエズ運河につながる紅海からアラビア海への出口は狭く、紅海からアラビア海に抜けるアデン湾は現在でも海賊が跋扈していますから、さらに不安定になりかねません。

しかしこのルートは日本と欧州を結ぶ太い物流ルートですから、この地域に自衛隊を派遣するかどうかという議論になります。こうした現状も先に論じた集団的自衛権、自衛隊海外派遣の法制整備の中で議論していくことになります。アラビア半島とイランとの間にあるホルムズ海峡はエネルギーの大半をこのホルムズ海峡のルートに頼っている日本にとっては重大な安全保障の課題だとして、安倍首相は28日の衆院予算委員会で、紛争に伴いシーレーンに敷設された機雷の除去について、「個別的自衛権で対処できないのは明白だ」と述べ、憲法解釈を変更して集団的自衛権に基づき対処する必要があるとの政府見解を強調しました。

与党の法案も固まりいよいよ国会に関連法案が提出されて議論が始まるはずですが、すでに述べたように国民と野党は真剣に、日本を取り巻く地政学的状況、日本の国際的な位置づけ、軍拡の経済的負担について重大な判断と決断を迫られる時が来ました。この議論を一部のナショナリストに任せるわけにはいきません。


イラク戦争開戦から12年 米首都で反戦デモ

http://www.cnn.co.jp/usa/35062106.html

イスラム国、リビア自爆攻撃で犯行声明 報復合戦に

http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPL3N0WR1C320150325

チュニジア テロ事件1週間 観光打撃が目的か

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150325/k10010026931000.html

国連安保理:「イエメンは国家崩壊の危機」

http://mainichi.jp/select/news/20150324k0000m030070000c.html

イエメン全土で内戦に発展も

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150323/k10010024791000.html

米の中東政策迷走 イエメン混乱、米に不信感 指導力発揮できず

http://www.47news.jp/47topics/e/263653.php

アラブ連盟が合同軍創設で合意、イエメン「フーシ派」に撤退要求

http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0MQ02O20150330

ソマリアの海賊による船舶襲撃の動画&海賊対処部隊の攻撃の動画

http://matome.naver.jp/odai/2140279932448167501

自衛隊、ホルムズ海峡の機雷掃海へ、政府検討

http://matome.naver.jp/odai/2140136649527073301


◆安田講堂の大改修後の内覧会に行ってきました◆

先の震災で耐震性に問題が生じたため大規模な改修工事が行われた安田講堂ですが足りない予算を寄付で賄いました。長年お世話になった、学び舎であり、職場でもあったので寄付に応じました。完成後の安田講堂の内覧会に招かれましたので行ってきました。私の名前の銘版がついた椅子が用意されていました。

説明を聞くと色々興味深いことがあります。安田講堂創建の発端は、大学に天皇陛下がお見えになったときの休憩所「便殿」がないのははなはだ失礼であるとして、富山県出身で、金融業で成功した安田善次郎氏が寄付を申し出たことで、結果として大講堂付きの大学本部の建設になったとのことでした。確かに東大紛争までは大学本部で、総長室がありました。

基礎工事の段階で関東大震災に会いましたが被害がなく現在の安田講堂が完成したとの事でした。その後何度か改修され、特に東大紛争では全共闘の拠点となり大変な被害を受け、しばらくは封鎖されていましたがその後改修されて、入学式や卒業式の会場として使われ、大きな学術会議の会場としても貸出されてきました。

今回の改修では、天井のガラスの改修が大きな焦点だったようです。午前中には明るく優しい光が講堂に注ぎ込むとのことでした。さらに、ひどかった音響が改善されとのことでした。

そして非常に貴重な歴史的な資産として、重要文化財の認定を想定して創建された時の状態に限りなく復元したとのことでした。

私は改修前の安田講堂で国際会議をやったり、学位授与式に参加したりしましたが便殿という部屋の事は知りませんでした。物置として使っていたとのことでしたから。その便殿は正面玄関2階部分にありました。

便殿という言葉の紹介で、「便」という漢字には、「くつろぐ、やすむ」という意味もあることを知りました。


【便殿】天皇・皇族の行幸・行啓時に、休憩のために設けられた部屋、元は中国語で、貴人の休息のために設けた御殿。または、部屋。


◆ビジネスモデル学会2015年春季大会報告◆

2015年春季大会は 小さな経済と地域新生 ~ 地域新生に果たす小さな経済の可能性 ~をテーマに盛況理に3月28日(土)に東京大学本郷キャンパス工学部新2号館講堂で開催されました。

我が国では、2040年までに現存自治体の半数近くが消滅の可能性があるとする衝撃的な報告(いわゆる増田レポート)がでたのは記憶に新しいところですが、地域経済の衰退が大きな社会問題となっています。

決して日本だけがこのような地方の衰退という問題を抱えているわけではありません。そして、その課題を克服した地域も存在します。例えば、イタリアのスローフード運動に根ざした地域再生の経済モデルや、アメリカ、ポートランドのコンパクトシティモデルなど、地元民と地元中・小企業、協同組合、農業組合等の連携・活躍や、地域の再開発に共鳴する市民の積極的な参加により、一度は荒廃した地域が生まれ変わるという事例が、海外には数多く見られます。このような地域では、地域住民が、受け身な消費者・居住者という存在から、小さな事業の共創者、共同出資者といった地域経済の主体的な創造者へと変貌を遂げています。また、住民が互いに持つ資源・能力を分かち合い、助け合って、その地域の小さな経済が自立し、持続可能となります。海外事例を横展化した日本での事例があります。今回はそのような事例を選りすぐって報告していただきました。(大会実行委員長メッセージ)


まず、渡辺 豊博 氏(グラウンドワーク三島 専務理事)から、地域資源を活用した「NPOビジネス」の新展開と題して、三島で20年前にドブ川だった源兵衛川の清掃をたった一人ではじめたが、やがて、賛同者を巻き込んだ市民運動にして、清流を蘇らせた伝説の人物です。イギリスのグランドワーク運動を参考に、地域起こしを展開、地元のシニアに運営させる街カフェ、環境保全の専門学校の運営、耕作放棄地の大規模開墾など、様々なプロジェクトを手がけている現状を報告いただきました。

20年を超える活動の成果は圧倒的な組織力と経済的な結果を出しています。三島のメインストリートに空き店舗はありません!今までいくつもの地域振興の現場を視察してきましたがここが最強です。ここには、いわゆる“ばか者、よそ者、若者”が揃っています。渡辺豊博さんは“ジャンボ”な“ばか者”でしょうか、失礼!

http://www.gwmishima.jp/


次に、大手 智之 氏(アソビズム 代表取締役社長)から 「長野門前で見た、若者 x 地域の可能性」と題して、モバイル向けのアプリケーション開発をおこなうIT企業の経営者であり、率先して、長野に移住、善光寺の旅館を長野ブランチオフィスとして、地元コミュニティーの活性化、地元への就業機会の提供を目指している活動をご報告いただきました。東京でゲーム会社を経営していいましたが東京で子供を進学競争の中で育てることに疑問を持ち長野移住を決めたとのことです。東京に出張したり、テレビ会議で東京の会社経営は続けています。大手智之さんは子供を持つ若い人たちを地域に引き入れる条件として、仕事、住居、そして教育環境をあげています。私も長年地域クラスタの研究をしてきましたが、これこそが地域振興の必要条件です。特に優れた教育環境です。 http://www.asobism.co.jp/nagano/


続いて、引地 恵 氏(WATALIS 代表理事)。感謝を包む手仕事で、幸せを世界に繋ぐ

~小さな本気が東北の未来を創る~と題して、東日本大震災時、地元亘理町で学芸員をしていたが、震災を契機に地元の女性の活性化のため一念発起、地元で、古い着物地を利用した袋に豆や米を入れて贈り物をしていた風習を思い出し、古い着物地から袋物をデザインし販売する社会事業を開始、海外にも売り出そうとしている活動をご報告いただきました。

引地恵さんは生まれた亘理町の公務員でしたが、埋もれている地元の文化を丁寧に掘り起こしている中で、感謝する心をたくさん持つことが幸せな人生を送ることである事を、偶然見つけてそこから公務員を止め起業したとの事でした。ある農家で、着物地の小さな端切れを集めた巾着袋を見つけ、これに豆や米を入れて、感謝したいときに気持ちを込めて贈ってきたという素晴らしい地元亘理町の伝統文化を見つけたのです。地元に伝わる縫製の技術も数少ない達人から伝授を受けていますが、その時の教えは「縫い目の仕上がりが人格だよ」。活き活きと溌溂なお顔は都会では殆ど見られませんね。

http://watalis.jimdo.com/


特別講演の最後は、高橋 幸司 氏(置賜自給圏推進機構  代表理事)。置賜自給圏推進機構の目指すものと題して、米沢を中心とした地域連携のプロジェクトについてご報告をいただきました。これからの展開に期待できます。http://www.okitama-jikyuken.com/


◆俯瞰のクッキング~東急プラザ49年の歴史を閉じる~◆

3月22日に渋谷駅前の東急プラザが閉店となりました。思えば18歳で上京して駒場寮に住みました、そしてその後も井の頭線、東横線沿線に居を構えましたので渋谷は特別な街です。考えてみると東急プラザの49年は私の上京後の人生の重要なフィールドです。そして永年東急プラザの地下にある食料品の市場で買い物をしてきました。最後はずいぶんキレイになりましたが昔は戦後の闇市はこんな感じかという時期もありました。

“肉のニュークイック”、“鮮魚の魚耕”、“野菜のさわみつ”は値段が安くこれがなくなると大変こまります。九階にあるレストラン街も古くからの店が多く、行きつけの店がなくなるのも寂しいです。

21日に最後の買い物に行きました。 100グラム158円の豪州産の牛のモモ肉の塊を買ってきて、和風ビーフシチューなるものを作りました。これはKIHACHIの熊谷シェフのレシピを参考にしたものです。簡単にレシピを紹介しましょう。


1.肉は60グラムくらいの大きな塊に切り分けます。ニンジン、タマネギ、セロリそれぞれ2分の1程度を刻みます。ニンニクも潰しておきます。

2.肉と野菜をボールに入れ赤ワインをヒタヒタに入れます。本来はこれを冷蔵庫で一晩マリネしますが、この日はその時間がないので強めに揉みこんで30分ほどおきました。

3.大根を厚めの輪切りにし、皮をむいて竹串が通る程度に煮ておきます。

4.肉を取り出し小麦粉をまぶして、フライパンで六面に焼目をつけます。

5.圧力鍋にマリネ液をこした野菜を入れて炒めます。その上に焼目をつけた肉をおきます。マリネ液も入れます。肉が隠れる程度に水を入れ、顆粒状の鶏ガラスープを大さじ1杯ほど入れます。(ここで水煮のトマト入れれば西洋風のビーフシチューなりますが)そしてアクをさっと取って30分ほど圧力をかけて煮ます。

6.圧力鍋のピンが下がったら、肉を取り出し残りの野菜をシノアでこします。野菜はほとんど溶けている状態ですが残った繊維を除いて口当たりを良くするためです。

7.鍋に肉と漉した煮汁を入れ弱火で煮ながら、白味噌と赤味噌あれば八丁味噌を、味を見ながらそれぞれ大さじ1杯程度入れます。

8.大根をフライパンで焦げ目がつくように焼き、シチュー鍋に入れます。

以上

安い肉屋がなくなってしまったので、これからは車で麻布にある“日進”に行くことになるでしょう。”日進“は外国人駐在員の御用達の店で、輸入肉の種類が豊富で値段も安いですから。ワインも品揃えが豊富で安いと思います。


◆ニューウェーブの俯瞰~手首争奪の戦争~◆

AppleWatchがいよいよ4月24日発売になります。各社からもウェアラブル端末が次々と発売されています。 今回のAppleWatchの発売が“手首争奪の戦争”ゲームのキックオフになるでしょう。

日本でもソニー、NTT、東レ、セイコーエプソンなどウェアラブル機器を相次ぎ商品化しています。ウェアラブル端末は手首に装着するものが大半です。医療・健康管理向けが多く、どの製品にも高性能の小型センサーが多数搭載されています。例えばMicrosoft Bandには光学式心拍センサー、3軸加速度センサー、ジャイロスコープ、環境光センサー、体温センサー、UVセンサー、静電センサー、皮膚反応センサー、マイク、そしてGPSが組み込まれていて様々なデータを計測します。

糖尿病患者向けの血糖値のセンサーは目下各社が最も力を入れて開発しているものです。グーグルは既にコンタクトレンズ型の血糖値センサーを開発して発表しています。

このような情報はBluetoothという近距離の無線通信によりその人が持っているスマートフォンにデータを送ります。ユーザはスマートフォンで情報をチェックできます。そしてスマートフォンはそのデータをクラウドに転送します。クラウドに集められたデータは様々な分析と応用に使われます。

このクラウドによるビックデータが大きなビジネスになると各企業は考えています。ですからAppleやGoogleは巨額の投資で専門家を集めた研究所を開設しています。

一番単純な応用は各個人が健康管理に役立てることですが、クラウドと常時接続もしくはそれに順ずる連携ができれば、健康アドバイスのコンサルティングや、医療保険会社の被保険者の管理のようなサービスが実用化されるでしょう。健康管理がよくできている人は保険料が安くなるとか、その逆もありますね。

このウェアラブル端末が常時接続でクラウドと同期することは、いわゆるIoT(Internet of Things)の人間版です。私がこれをIoP(Internet of People)と呼びたいと思います。

現在すでに一部の車はクラウドと常時接続状態にあります。高度なサービスが受けられますが考えてみると全ての行動がサービスプロバイダーに把握されることになります。究極の個人情報ですが。もしこのIoP(Internet of People)が普及するとこれ以上に究極の個人データがサービスプロバイダーに渡ることになります。 AppleやGoogleの規模を考えると彼らがクラウドに収集するビックデータはとんでもない量になりますから、それと別のデータと人口知能の技術を組み合わせると創薬に関する情報とか、医薬の評価などにも応用することになっているでしょう。

この分野ではウェアラブル端末については日本の企業もある程度存在感を持つことが出来るかもしれませんが、クラウドを利用したビックデータの活用についてはAppleやGoogleと競争できるとは思えません。マイクロソフトは社運をかけてAppleとGoogle に挑むでしょう。これがマイクロソフトにとって最後の決戦かもしれません。

手首には多分一つの端末しか装着しませんので、手首争奪の戦争となります。これは未来ではなく、今年から始まる戦争です!


ウエアラブル端末、健康向けに実用化加速

https://www.evernote.com/shard/s14/nl/1595864/c167c3fc-a2fc-463e-bcc8-2c36b9a3e66a/

「Apple Watch」の健康・フィットネス機能

http://healthcare.itmedia.co.jp/hc/articles/1502/22/news010.html


「スマート・コンタクトレンズ」が示すグーグルの優れた研究体制

http://wired.jp/2014/01/22/google-lens-microsoft/

Apple Watchのため2年間も最重要機密だったAppleの「フィットネス研究所」が公開

http://gigazine.net/news/20150323-apple-watch-secret-health-fitness-lab/

Apple Watchの強敵か ウエアラブル、MSの逆襲

http://www.nikkei.com/article/DGXMZO81200920S4A221C1000000/

すぐ出世腕時計型、イヤホン型、メガネ型…コンピューターの新しいかたち「ウェアラブル端末」をソニーにきく

http://www.athome.co.jp/vox/life/31365/

ソニーのウェアラブルグラスで震災被災地の記憶を継承http://www.excite.co.jp/News/it_g/20150309/Cycle_style_20279.html

睡眠やこころの状態もモニターできる「PULSENSE」で生活が変わるhttp://healthcare.itmedia.co.jp/hc/articles/1411/13/news003.html

比較2015' 最新のリストバンド型活動量計15機種の性能とおすすめ

http://monomania.sblo.jp/article/83142639.html

ウェアラブル端末、期待する企業はGoogle、Apple、Sony、CASIO - MM総研

http://news.mynavi.jp/news/2015/02/06/254/


◆俯瞰の書棚◆

今回のご紹介は 「How Google Works」日本経済出版社 2014です。著者はGoogleの取締役会長で2011年までCEOを務めた、エリック・シュミットとCEOのラリー・ペイジのアドバイザーを務めるジョナサン・ローゼンバームです。実際の文章の書き手は表紙にあるアラン・イーグルという人でしょう。プロ中のプロのライターと思います。軽快でドラマチックそして臨場感ある文章は、とても普通の人が書ける水準の文章ではありません。まだまだ文章を書くというスキルが、プロレベルに達していないことを私は思い知らされました。随所に挿入された注釈がすごいので、かなりのレベルの高い編集スタッフが参加しているはずです。そしてレベルの高い査読者がその水準を引き上げていると思います。

この本は“Googleの経営学”というタイトルが相応しい内容で、「現代の経営学」を書き換えるものでもあります。経営者と、経営者を目指す方々には必読の書と思いますのでご一読をお勧めします。

序文は創業者の1人で現在のCEOであるラリー・ペイジが書いていますがその中で「自律的思考」がGoogleの成功と誕生の基本原理だと言明しています。そして「どうやら大抵の人は型破りな発想をするような教育を受けていないらしい。現実世界の現象から出発し何ができるか見定めようとしないで、最初から無理だと決めてかかる。 Googleが自律的思考の持ち主を採用し壮大な目標を設定するためにあらゆる手段を尽くすのはこのためだ。適切な人材と壮大な夢が揃えば大抵の夢は現実になる。たとえ失敗しても、きっと重要な学びがあるはずだ。大抵の会社はこれまでやってきたことを継続し、多少の漸進的な変化を加えるだけで満足している。だが漸進的なアプローチはいずれ時代に取り残される。」とあります、いかがですか。

この本のエッセンスは「 はじめに」に凝縮されています。そのなかのキーワードとフレーズを紹介しましょう。冒頭にある「フィンランドプロジェクト」が面白いです、“フィンランド”とはマイクロソフトのコードネームでした。当時このIT業界の巨人がこのベンチャーを潰しにかかることを恐れていました。歴史は皮肉です。今やマイクロソフトはGoogleとAppleの前に存亡の危機に晒されています。先にラリー・ペイジが言明しているように漸進的アプローチのマイクロソフトは時代に取り残されてしまったのです。

最初のキーワードは「エンジニアと話してこいよ」

IT業界のベテランマネージメントのジョナサンが入社して、自分の経験知からプロダクト開発に、明確に定義されたプロセスとフェーズと目標を持つ「ゲートベース・アプローチ」というプロダクト開発計画手法をこの会社に導入することを提案し、ラリー・ペイジにプレゼンテーションした時、「エンジニアの連中のところに行って話してみろ」、「計画でイノベーションが起こるわけがない」と言われたのです。そして書籍では「私たちが20世紀に学んだことのほとんどは間違っており、それを根本から見直す時期が来ている。」という文で最初の段落は終わっています。

「驚異が驚異でなくなる時代」

インターネット世紀について、3つの強力な技術トレンドが、ほとんどの業界の競争条件を根本的に変えたとしています。第一に情報が無料に豊富になりどこでも入手できるようになった、第二に帯端末やネットワークの広がりにより常時接続が普及した、第三にクラウドコンピューティングによって無限のコンピューティング能力やストレージ、そして高度なツールやアプリケーションを誰でも安価に利用出来るようになった、とあります。コンテナ型のクラウドコンピューティングはグーグルの発明です。

次は「スピード」

前にあげた3つの生産要素は従来型企業に壊滅的な影響を与えたとあります。そしてアマゾン創業者のジェフ・ベソスの言葉を引用して「古い世界では持てる時間の30%を優れたプロダクト開発に充て、 70%でそれがどれほど素晴らしいプロダクトかを吹聴して回っていた、それが新しい世界では逆転した」と従来のマーケティングの無力を指摘しています。そして成功や優れたプロダクトの優位性を支えるのはスピードなのだ、と言っています。極めつけの言葉は「説明はいらないから、見せてくれ」です。

そして「スマート・クリエイティブ」

従来型企業で働くナレッジワーカーは、専門分野には秀でていても能力に幅がないか、幅広い経営能力を備えていても専門性にかけるかのどちらかであったが、 Googleの人材は専門性とビジネススキルと創造能力を合わせ持っているスマート・クリエイティブという人間です。

スマート・クリエイティブに関するキーワードは、実行力、プロトタイプを作る人間、分析力、ビジネス感覚、競争心、ユーザのこともわかっている、自らパワーユーザー、自発的、自由に他者と協力しアイデア分析し、誰がそれを最初に口にしたかを気にしないで議論する、細かい点まで注意が行き届く、集中力を切らずにどんな細かいことも覚えている、コミュニケーションは得意だ、です。

ただこの全てを備えている人材は数少ないが全員に共通するのは、ビジネスセンス、専門知識、クリエイティブなエネルギー、自分で手を動かして業務を遂行しようとする姿勢、これが基本要件です。

そしてこの本で興味深い事実は、シリコンバレーでは成功した経営者は駆け出しの経営者を、時間をかけて指導していることです。シスコのCEOだったチェンバーズは駆け出しの頃ヒューレット・パッカードのCEOルイス・ブラッドに度々会って戦略や経営について議論したといい、その親切に感謝し、ある時なぜ他社の若い経営者に貴重な時間をこれほど割いてくれるのかと尋ねたところ、 「それがシリコンバレーのルールだからさ、私たちの仕事は君たちに手を貸すことなんだ」と答えたそうです。またスティーブ・ジョブスは、自宅が近かったラリー・ペイジに度々アドバイスを与えたといいます。これがシリコンバレーの成功の秘密でしょう。

最後に成功成長するベンチャー企業の発達過程を次のように記述しています。まず最高のスマート・クリエイティブを惹きつける企業文化が出発点で、次が戦略、その次が採用でこれがリーダーの最も大事な仕事であると、最高の人材を十分に集めることができれば知性と知性が混じり合いクリエイティビティと成功が生まれるのは確実だ、そして 「意見の一致」という合意形成のコミュニケーションのやり方、そして次がイノベーション、とあります。


この後の章は、文化、戦略、人材、意思決定、コミュニケーション、イノベーション、おわりに、です。いずれも読むべき価値があります。

以上述べた“Googleの経営学”は結果を出しました。Googleの経営は大きな成功を収め、時価総額では、アップルの時価総額は7,480億ドル、第2位はグーグルで、時価総額3,830億ドル、第3位はExxon Mobil社で、時価総額は3,710億ドルです。ちなみにマイクロソフトは3,600億ドルで第5位です。(2015年2月)昔のITの巨人IBMの時価総額は1,580億ドルです。この業界は栄枯盛衰が激しいですね。

そして現在のグーグルの現金保有高は640億ドル(約7兆7700億円)を超えます。ちなみにアップルの現金・債券は22兆円を超えていますが。この資金で有望なベンチャー企業を次々買収しています。東大発のロボットベンチャー企業も高額で買収しています。

従来型企業の集合で、日銀券の増刷という日本経済の成長戦略、根本から間違っていませんか。取り敢えず65歳以上のTOPは潔く引退しませんか。


自律的思考の解説の一つです

http://www.entre.co.jp/jiritsu/jiritsu06.html


◆編集後記◆

 以前、「第五の権力」という同じエリック・シュミットの本をここで紹介しましたが、今回の本のほうが数段すぐれています。ライターや編集スタッフの差異でしょうか。「私たちが20世紀に学んだことのほとんどは間違っており、それを根本から見直す時期が来ている。」は刺さりました。

 地域に根を生やして自分がやるべきと信じていることを粛々と実行している方々に会うと自分の生き方がこれでよかったか不安になりますが、ビジネスモデル学会も必要だと決心して2000年創設からすでに16年目です。やってきてよかったと思いました。

 ニュースを分析していると、アメリカの衰退、特に政権末期のオバマ政権の実情をヒシヒシと感じます。永年アメリカの覇権の下でぬくぬくしてきた時代が終わりつつあるという感じがしてきます。私を含めて政治的課題にきちっと向き合ってこなかった国民もそろそろ自覚しないといけませんね。

 中近東は今後数十年混乱が継続しそうです。民主主義の脆い構造を思い知らされます。軍事政権に戻ったエジプトの安定化、人権問題があったとしてもフセインのイラク、カダフィのリビア・・悩ましいですね。

 最近の捨身に近いマイクロソフトの戦略を見ると結局ビルゲイツとバルマーという創業経営者の最後の10年は何であったか、と思わざるを得ません。自分が創り出した組織を離れる決断が、その個人にとって最後のイノベーションなのでしょう。


俯瞰メール46号

◆時候のご挨拶◆

厳しい寒波で北陸や東北・北海道で大雪になり、東京も冷え込みました。そして気が付けば2月も半ばです。山は既にうっすら芽吹きの準備が出来つつある色になりました。もうすぐフキノトウが芽を出しそうです。-----------------------------------------------------------------------------

 勝利した総選挙で安倍政権の向かうところは

 戦争の匂いに動いた独仏とプーチン大統領の駆け引き、そして米国

 正念場のメルケル首相、ギリシャのEU離脱のリスク

 燃料電池自動車ミライに試乗してきました

 ビジネスモデル学会2015年春季大会

 俯瞰サロン 第20回 “イノベーションの起こし方”

 俯瞰のクッキング~我が家の食卓~

 ニューウェーブの俯瞰~創造的破壊~

 俯瞰の書棚 「2050年の世界」英エコノミスト

 編集後記

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◆勝利した総選挙で安倍政権の向かうところは◆

12月の総選挙では大勝利して自信満々で活動を開始ました。まず得意としている外交では中近東に行きました。あいにくイスラム国の日本ジャーナリストテロ事件に巻き込まれて結果は出せませんでした。ただこの事件は今後の安全保障政策の議論の方向に影響を与えることになります。まず各国への駐在武官を増員することになりました。これは当然でしょう、情報戦の現在少なすぎますから。国会における施政演説では格調高く政策を掲げましたが総選挙直後に口にした憲法改正は強調しませんでしたが、決意を感じさせます。

ともかく色々ありますがJA全中の社団法人化を押し切りました。裏があると思いますが素直に評価すべきでしょう。盤石の国会勢力を活かした行動ですから。平河町の全中全農の巨大なビルを見れば彼らがいかに巨大な利権を有してきたか実感できますよ。

今また雇用の自由度をあげる「高度プロフェッショナル制度」を推進していますがこれも日本を活性化する規制緩和です。労働組合が長時間労働になると反対しているようですが、これも押し切るでしょう。農協、労組という高度成長期には必要であっても既にずっと以前から日本の成長の障害でしかなかった利権集団をともかく一定程度抑えこむことができました。これは日本を変えることになります。

アベノミクスは色々議論ありますが、さらなる医療、教育、税制等の規制緩和の推進で体質的な変革をしない限り成長路線には乗らないでしょう。ただ、日本だけ低成長ではなく、ドイツもフランスも英国もずっと低成長です。デフレということで日本だけが“失われた20年”と言われてきましたがEUも日銀と同じ金融緩和で経済を立て直すことになりました。なんとか金融緩和で経済を立て直し金融緩和を止めた米国も高い失業率等で実態は不安があり利上げは先になりそうです。とすると先進国はすべて金融緩和ですからこの巨額のマネーはどこに向かうのでしょうか。

問題は施政演説にある、積極的平和主義です。ISIS(イスラム国)の日本人テロ事件で安全保障の議論が積極的な方向に向いてきたことです。安倍首相の「その罪を償わせるため」という発言は内外に衝撃を与えると同時に何かを考えているということでしょう。

集団的自衛権の積極的な拡大解釈です。さすが公明党も米軍以外の支援には腰が引けています。海外に兵員を出せば自衛隊が偶発的に戦闘に巻き込まれる危惧は排除できません。このような安倍首相のナショナリストの言動はアメリカ議会でも注意が喚起されています。

戦争責任については天皇陛下の新年のお言葉に「本年は終戦から70年という節目の年に当たります。多くの人々が亡くなった戦争でした。各戦場で亡くなった人々、広島、長崎の原爆、東京を始めとする各都市の爆撃などにより亡くなった人々の数は誠に多いものでした。この機会に、満州事変に始まるこの戦争の歴史を十分に学び、今後の日本のあり方を考えていくことが、今、極めて大切なことだと思っています」とあり関東軍が柳条湖で南満州鉄道の線路を爆破し、これを中国軍の仕業として軍事行動を開始し、不幸な戦争に日本を引き込んだという認識を示され、また多数の非戦闘員が無差別に殺されたというある意味では米国の非人道的行為の歴史にも触れられて、ご自身の歴史認識を示されています。私も含め多くの国民は陛下と同じ認識でしょう。

満州事変の主導者として、東条英機(関東軍参謀長)星野直樹(満州国総務長官)松岡洋右(満鉄総裁)岸信介 (満州国産業部次長、安倍首相祖父)鮎川義介(日産財閥総帥)が挙げられていて敗戦でA級戦犯になりました。

そして昭和53年にA級戦犯が合祀(ごうし)されてから昭和天皇が靖国神社を参拝していないことも引き継がれています。しかし安倍首相は靖国神社参拝を強行して米国を激怒させ中国と韓国との外交関係を最悪にしました。これら安倍内閣の向かう方向には国民が十分な関心を持ち、次世代に対する責任を認識したうえで自分の立ち位置を決める必要があります。



農協60年ぶり改革 JA全中、指導権廃止を受諾

http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS09H7I_Z00C15A2MM8000/

日米関係めぐる米議会調査局報告書 安倍首相を「国粋主義者」 事実誤認も

http://www.iza.ne.jp/kiji/world/news/150118/wor15011819110022-n1.html

http://www.iza.ne.jp/kiji/world/news/150118/wor15011819110022-n2.html

積極的平和主義を再考する

http://blogos.com/article/105211/

首相、農協改革・安保法制に意欲 施政方針演説

http://www.asahi.com/articles/ASH2B65Q2H2BUTFK01M.html

安倍首相「憲法改正は悲願」 - Yahoo!ニュース

http://news.yahoo.co.jp/list?t=the_constitution_of_japan

天皇陛下がご感想で「満州事変」について述べられた重い意味

http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20150107/430946/?ST=business&P=1

天皇陛下、新年にあたっての感想全文

http://www.asahi.com/articles/ASGD07R5SGD0UTIL00K.html

宮内庁HPの天皇陛下のご感想(新年に当たり)

http://www.kunaicho.go.jp/okotoba/01/gokanso/shinnen-h27.html

満州事変

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%BA%80%E5%B7%9E%E4%BA%8B%E5%A4%89


◆戦争の匂いに動いた独仏とプーチン大統領の駆け引きそして米国◆

薄氷を踏む感じですが、ウクライナの停戦が合意されました。16時間に及ぶ、ドイツのメルケル首相とオランド仏大統領とプーチン大統領のバトルの結果です。ただ現場は最後の火事泥棒的な陣取りゲームです。停戦成立時の支配地域で境界が決められるのは自明ですから。

今回の合意は、欧州の事は欧州人で決める、アメリカの都合では決めさせない、という強い意志です。直前メルケル首相は米国に飛びオバマ大統領に根回ししています。ただドイツと米国はこのところ同盟関係が微妙です。一方米国はウクライナに正面装備の武器援助をする用意があることを表明しています。これが実行されるとウクライナ東部は米国とロシアの代理戦争という本格的な戦争状態になるという危機感が、最後はメルケルとプーチンの妥協につながったと思います。ロシアは核兵器こそ持っていますが通常兵器では米軍に大きく後れを取っていますから不利です。加えてさらなる経済制裁ではロシア経済も持ちません。

それにしてもメルケル首相の精神の強さと体力には脱帽です。オランド大統領はメルケルの副官のようにさえ見えます。サッチャー以来の“鉄の女”を感じます。そして米国はドイツという同盟国を既に失っているようです。

それにしてもアメリカの凋落は想定以上です。今回出番はありません。そして中近東のISIS(イスラム国)に対する対応でも人質救出を目的とした特殊部隊の派遣を容認する程度の

武力行使決議案は厳しい批判を浴びています。共和党からは「既に戦争が進行し、われわれはその真っただ中にいるのに、大統領はまだテロ対策程度の認識しかない」と。ただ次期国防長官には共和党も一致目置く学究肌で天才の誉れ高いアシュトン・カーター前国防副長官が就任しますが、どうこの窮地をしのぐのでしょう。ただ米国では“学究肌”はポジティブな評価ではないようです。

人間は凄いなとつくづく思わせるのは絶望的なバクダッドで宗派・立場を超えて国立交響楽団が演奏活動を続けているというニュースです。音楽の力を確信し、信じているのでしょう。イスラエルとパレスチナでも、あのダニエル・バレンボエムがユダヤ人とパレスチナ人の混成の音楽活動を粘り強く推進しています。音楽、これは宗教よりずっと実体があり強い力を持っているに違いありません。


ウクライナ停戦で合意 実現は不透明か

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150212/t10015415531000.html

ウクライナ:米露の代理戦争を懸念の独仏

http://mainichi.jp/select/news/20150210k0000m030066000c.html

ウクライナ:政府軍に武器供与検討 米大統領、独首相に

http://mainichi.jp/select/news/20150210k0000e030204000c.html

「悪い警官」オバマと「良い警官」メルケルの冷たい関係 ウクライナへの武器提供で対立

http://blogos.com/article/105364/

対「イスラム国」武力行使案、オバマ大統領が議会に提出

http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0LF1UR20150211

米下院議長、武力行使容認決議案を批判「敵を壊滅するなら力強い戦略必要」

http://www.sankei.com/world/news/150213/wor1502130019-n1.html

次期国防長官にカーター氏 前国防副長官

http://www.asahi.com/articles/ASH2F24TQH2FUHBI003.html

イラク、不屈のタクト 演奏続ける国立交響楽団

http://www.asahi.com/articles/ASH1M71Z5H1MUHBI03F.html?ref=nmail


◆正念場のメルケル首相、ギリシャのEU離脱のリスク◆

ヨーロッパ、そしてメルケル首相にはもう一つ難題があります。ギリシャ問題です。人気取りのばら撒き政治のために国債を身の丈以上に発行して財政危機を招き、EUは巨額の債権放棄と援助と引き換えに厳しい緊縮財政を求めましたが、ギリシャ国民は悲鳴を上げその感情に乗って実行不可能な公約で左派政権が成立しました。新政権は緊縮財政の停止と援助を求めてEUと交渉していますが、これ以上甘やかせないというドイツの意思を通せばギリシャはユーロ離脱になり、EUそのものの連帯にひびが入ります。いまや、やりたくないのにメルケル首相はEUの仕切り人の役を押し付けられています。

ギリシャがユーロ離脱を決めると世界経済は大きな衝撃を受けることは必定で、リーマンショックの二乗という話もあります。景気回復の途上の日本も大きな衝撃を受けることは覚悟しなければなりません。

ギリシャと日本は巨額国家債務ではほとんど同じ状態ですが、違いは国内金融資産で賄っている日本に対してギリシャは国外金融に頼っているため債務不履行は国際経済に衝撃をあたえます。ただ日本も高齢化で金融資産を持っているシニアが預金を取り崩して生活しています。これまで高い貯蓄率を誇っていた日本ですがついにマイナスに転じました。経緯対策、地方創成等という美しい言葉で赤字国債を日銀に買わせるということはほんの一時的な政策であることを国民も認識すべきです。


ギリシャのユーロ離脱、衝撃は「リーマン・ショックの二乗」も

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NHPKJS6VDKHX01.html

米国がギリシャ問題で欧州に妥協求める、世界経済を懸念

http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPKBN0LC0YI20150208

ギリシャのユーロ離脱が近づく欧州危機、6月までの切り抜け策は見つかるか

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150211-00000014-zuuonline-bus_all


◆燃料電池自動車ミライに試乗してきました◆

豊田市で“プラチナスクール@豊田市”をやっている関係で、豊田市に行き、燃料電池自動車(FCV)に試乗することができました。一言で言うと物凄くキャビンの中が静粛でエアコンの音だけが聞こえました。路上で試乗運転しましたが、加速はすごく良いですね。プリウスは運転の経験がありませんが同じような感じでしょうか。

兎も角ハイブリッド車で世界一番乗りのプリウスに続く燃料電池自動車(FCV)でも世界一番乗りの快挙です。

ただ依然“夢の車”です。水素ステーションがインフラとして整備されない限り極めて限定的な地域しか走行できませんから。そして何よりも水素製造技術にイノベーションが必要です。現在は大半の水素は天然ガスのような化石燃料から製造しますので炭酸ガスが発生して放出されます。エコになりません!化学プラントで副産物に出る水素程度の量では解決になりません。燃費でいえば直接天然ガスでエンジンを回したほうがずっといいでしょう。

近未来はむしろEVが本命でしょう。EVは走行距離が短いといわれていますが米国のテスラは既に一回の充電で500-600km走行できます。電気のインフラは整備されていますので充電ステーションは簡単に設置できます。家庭でも充電できます。カリフォルニアではかなり整備が進んでいてテスラは売れています。オーナーはかってプリウスを自慢げに乗り回していた人達でしょう。

日本の車の半分は軽自動車です。地域の足です。しかし月間平均走行距離は軽乗車は452km、すなわち平均で1日15kmですから、30-50km程度走れる電池装着で十分です。深夜電力で家庭で充電すれば走行コストは半分以下です。このEV軽自動車は今年にも発売されるかもしれません。EVは走行距離が短い?EVとFCVの比較は下記のURLでどうぞ。

豊田市は環境未来都市を標榜していて、人間と環境が様々な方法で融合した社会の実現を目指して“ミライのフツー”という興味深いプロジェクトを推進しています。“とよたエコフルタウン”という小さなテーマパークが街の真ん中にあり、そこで近未来的な都市生活の体験ができます。その一つのプログラムが“モビリティーシェアリング”です。

トヨタ自動車は、2012年10月より、豊田市や交通事業者などとの連携により、都市交通システムの実証運用を開始しています。豊田市内の最寄駅等に、計30ヵ所程シェアリングのステーションを設置しています、そして公共交通の最寄駅と目的地の間の数キロ程度の近距離移動用として、超小型EVと電動アシスト自転車を配置して「電動モビリティシェアリングサービス「Ha:mo RIDE」を提供しています。これはすごく良いなと思いました。さらにこれが自動運転のEVになれば酒気帯び運転の呪縛から解放されて街が活性化するかもしれません。夜間ほとんど人通りがない街が多いですから。


燃料電池自動車(FCV)

http://www.toyota.co.jp/jpn/tech/environment/fcv/

軽自動車の使用実態調査報告書http://www.jama.or.jp/lib/invest_analysis/pdf/2009LightCars.pdf

電気自動車とガソリン車のランニングコスト比べてみました。

http://ev.gogo.gs/news/detail/1408604268/

電気自動車(EV)と燃料電池車(FCV)の比較

http://www.22satei.com/next.html

とよたエコフルタウン

http://toyota-ecofultown.com/introduction/syokai_ecoful.html

スマートモビリティパーク

http://toyota-ecofultown.com/pavilion/smartmobility.html

http://www2.toyota.co.jp/jp/news/13/05/nt13_0501.html


◆ビジネスモデル学会2015年春季大会◆

テーマ: 小さな経済と地域新生~ 地域新生に果たす小さな経済の可能性 ~

 日時: 2015年3月28日(土) 10時-18時 交流会18時-20時

場所: 東京大学本郷キャンパス工学部新2号館

(大会実行委員長メッセージ)

我が国では、2040年までに、現存自治体の半数近くが、消滅可能性があるとする衝撃的な報告(いわゆる増田レポート)がでたのは、記憶に新しいところですが、地域経済の衰退が、大きな社会問題となっています。これが、日本経済の行方に影響を与え、ビジネスの行方にも多大な影響をもたらす課題であることは間違いありません。そして、安倍首相も、その認識のもとに、政権の重要施策課題として、地方創生を打ち出しているわけですが、今の所、その具体的な方策がどのようなものかはっきり見えているわけでもありません。そんな状況で、難しい課題だからといって、私たちがそのまま、手を拱いていてもいいのでしょうか、何か、私たちにできることはないのでしょうか?

決して、日本だけが、このような地方の衰退という問題を抱えているわけではありません。そして、その課題を克服した地域も存在します。例えば、イタリアのスローフード運動に根ざした地域再生の経済モデルや、アメリカ、ポートランドのコンパクトシティモデルなど、地元民と地元中・小企業、協同組合、農業組合等の連携・活躍や、地域の再開発に共鳴する市民の積極的な参加により、一度は荒廃した地域が生まれ変わるという事例が、海外には数多く見られます。このような地域では、地域住民が、受け身な消費者・居住者という存在から、小さな事業の共創者、共同出資者といった地域経済の主体的な創造者へと変貌を遂げています。また、住民が互いに持つ資源・能力を分かち合い、助け合って、その地域の小さな経済が自立し、持続可能となる、シビック・エコノミーともいうべきしくみが埋め込まれているように思われます。

実は、このような、小さいながらも自立・持続可能な地域経済の成立を可能とする地域のビジネス・モデルというべきものが確立できれば、増田レポートで、消滅寸前と言われるような地域であっても、存続が可能なのではないでしょうか?

本大会では、世界的なシビック・エコノミーの動きにつながるような先駆的な活動を牽引されてきた先達や、地域に根ざして農業実践を続けながら、地域経済のあらたなあり方を目指す方、地域と根付いた企業活動を目指す経営者、被災地で地元に新たな就業機会をもたらそうとする活動家など、実践的な行動をすでに起こされた多彩な方々をお招きしております。

ご参加の皆様とともに、地域の真の活性化・再生について、様々な実例を伺いながら、私たちが実践できることは何かを、探っていきたいと思っております。

2015年春季大会実行委員長

西田 治子

http://www.biz-model.org/


◆第20回俯瞰サロン◆

期日2月24日 18:30-

場所 品川インターシティフロント 6階 (社)俯瞰工学研究所 セミナールーム

演題:“イノベーションの起こし方” (社)俯瞰工学研究所 所長 松島克守

イノベーションは国家、企業そして個人にとっても最重要課題です。しかしイノベーションは決して偶然に起るものではありません。色々な研究からイノベーションのモデルは明らかになりつつあります。本講演ではイノベーションのモデルを紹介し事例研究について論じたいと思います。


◆俯瞰のクッキング~我が家の食卓~◆

我が家の夕食は、一汁三菜が基本です。 1日に一杯しか食べないご飯と味噌汁、野菜料理、魚料理、魚料理もしくは肉料理です。肉料理は週に1回くらいでしょうか。 気がつくとワンパターンになってしまいます。野菜料理はほうれん草のお浸しが多いですね。何故か小松菜になると煮浸しになります。魚料理は刺身が多いです。おいしくて簡単ですから。マグロ、カツオ、ぶり、タイが多いです。もう1品魚料理というと塩焼きが多くなります。さんま、イワシ、ぶりが多くなりますか。以前にご紹介した食すべき魚からこうなります。肉料理は鳥の手羽先、スペアリブ、牛肉のモモステーキの出番が多いです。ビーフシチューやポトフもよく作ります。先日筋を取った時のササミを薄切りのベーコンで巻いて焼いてみました。肉の肉巻きです。

魚料理ではこの季節、揚げない牡蠣の春巻きをつくります。レシピを紹介しましょう。

カキはざっと洗ってペーパータオルで水気を取ります。シロネギを細かく刻みます。春巻きの皮を広げて手前3分の1くらいのところに大さじ1杯程度の刻んだネギをおきます。その上にカキを2個、大きければ1個載せます。ネギの上に乗せるのはカキの水分で春巻きの皮が破れないためです。その上にすりおろしたパルメザンチーズを小さじ1杯ほど振ります。市販のカキはコクがないためです。後は手前を折って左右を折って薄い長方形に仕上げます。次に皿にサラダオイルを取り全体に油をオーブンで200度のオーブンで約15分焼いて出来上がりです。この辺はお使いのオーブンによって調整してください。カキフライが好物ですがカロリーを考えて極力揚げものは避けていますのでこんな料理になりました。

野菜料理は、夏はよくラタトゥイユをつくります。ナスを魚焼き器で焼き、皮をむいて生姜醤油で食べます。その時、竹串であらかじめ穴を空けておかないと破裂します。最近よく作るのがカブのローストです。カブをよく洗い、皮

のまま上下を切ります。塩胡椒してこれにオリーブ油を塗り、クッキングシートの上に並べ、オーブンで20分ほどローストします。シンプルですがおいしいです。キャベツのアンチョビとニンニクの炒め物も好物です。

ワインのつまみとしては、ししゃものアヒダージもおいしいです。小さな鍋にオリーブ油と唐辛子とニンニクそしてししゃもを入れてゆっくり加熱します。アツアツを食べます。

我が家の夕食は、というかなりの健康食ですから、この数年BMI 22そして体脂肪率20で管理できています。


◆ニューウェーブの俯瞰~”創造的破壊の現実~◆

創造的破壊という言葉はイノベーションの本質として多くの人が口にしますが、単なる概念ではありません。今日現在、物凄い創造的破壊が進行しています。その破壊力をまだ認識していない人が大多数ではないでしょうか。創造的破壊の後に生まれる未来の世界はすでに現実の世界にあります。今回はその現実をGoogleとAppleのプロジェクトからご紹介しましょう。関連するURLを文末に紹介してありますからこれを一つ一つ読んで皆様の“頭の時計”を現在時間に同期させませんか。「すでに起こった未来―変化を読む眼」P.F.ドラッカーという本もあります。

創造的破壊で世界中の人のライフスタイルが変わったことの一つは、 AppleのiPhoneに代表されるスマートフォンでしょう。またGoogle Mapは地図の概念を変えました。そのサービスが提供されて10年です。 10年前には存在しなかったものが、今は日常です。さらにすべての地上をカメラで撮影して世界中どこの光景も見ることもできます。富士山の山頂にもカメラを担ぎ上げたと言われています。さらにGoogleは自前の人工衛星を打ち上げてGoogle Mapをもっと精密にしたいと言っています。

人工衛星は世界中をインターネットで覆いかぶせるという壮大なプロジェクトにも登場します。 180個の自前の人工衛星でこれを実現するとのことです。

自動車の自動運転ではプロトタイプを公開しています。自動運転車はアメリカで社会的な課題を解決する素晴らしいビジネスになると思います。 一部の地域を除けばアメリカでは車なしに生活できません。しかし寿命が延びて80歳、90歳で車を運転することは危険になります。しかしモビリティは人間としての尊厳を保つ必須の機能です。自動運転の車はこの社会的な課題を解決する事が期待されます。日本でも事情同じです。ここでストリートビューが威力を発揮するでしょう。

ロボットベンチャーをいくつか買収しましたが、ロボット技術はGoogleの傘の下で順調に進化しているようです。下のURLにありますが足で蹴っても転ばないような、すごい犬のロボットが開発されています。当然これには軍事関係者は興味を持っています。ロボット技術で戦闘が創造的破壊で一変するでしょう。犬?なぜ日本人は二足に拘るのでしょう。

さらに、健康医療という大きな社会的課題に対しても積極的にサービスを展開するとともに研究を進めています。その中で興味深いプロジェクトがありました。人工皮膚の開発です。この話は是非URLで画像を見て、読んでいただきたい情報です。

研究チームが現在開発を進めているのは「リストバンド」です。しかし、ただのリストバンドではなく、人間の血中からガン細胞を検知し、ガンを初期段階の内に発見してしまうというもの。リストバンドを巻き、ナノ粒子カプセルを飲むことでガンの検知が可能になります。ナノ粒子がガン細胞に吸着します。Googleが現在開発中のリストバンドは、このナノ粒子を磁力でリストバンド下の血管に集めることが可能で、それにより、体内を循環してきたナノ粒子が収集した情報をリストバンドで確認できるようになります。ナノ粒子が体内で集めた情報は、リストバンドと血中のナノ粒子が光を使って通信してデータのやり取りを行います。このデータを得るには、体内のナノ粒子が発する光を正確に検知する必要があり、そのためには人間の皮膚を光がどのように通過するのかを詳細に知る必要があります。そのため、人工合成皮膚の開発が進められている、というわけです。

Appleも、凄い創造的破壊を進めています。この5月に発売が予定されているApple Watchもライフスタイルのイノベーションを起こすことが予想されていますが、自動車も発売するようです。自動車の開発はGoogleの方が先行していますが、 Apple Carは動くiPhoneになるのでしょう。 メルセデスベンツやフォード自動車からエンジニアを引き抜き1000人規模の開発チームを立ち上げたようです。

自動車の製造開発は巨額の資本を費用とするものとなるが、株式時価総額7400億ドル、手持ちの現金資産は1780億ドル(約20兆円)にも及び、世界最強の資本力を有するAppleにとって自動車の製造開発を進めることは少なくとも資金面では大きな制約にはならないとも見られています。発売は数年先と言われていますが自動車業界にGoogleとともに創造的破壊を起こすでしょう。 

むしろ現在進んでいる金融での創造的破壊の方がインパクトは強いかもしれません。極端に言えばAppleが世界最大の金融業になる可能性もあります。 iPhoneによるモバイル決済のApple Payです。お財布携帯で日本の方が先行しているようにも見えますがその広がりが凄いです。数億台あるiPhoneの数を考えてください。

米国では90%のクレジットカード会社がすでに採用を決めていますし、その他多くの金融機関が参画を決めています。パナソニックと組んで航空機の機内販売もiPhoneで決済するようになります。さらに政府も採用を決めています。各種の行政サービスがiPhoneで支払うことができます。基になっているNFCという技術はソニーが先行しましたが、その展開力という点では見る影もありません。この技術陣を買い取った楽天はこれに対しどう対抗するのでしょうか。

このようなGoogleとAppleの、物凄い創造的破壊力は、彼らの頭の中は「強い男に未来を予想する必要はない、自分で作るのだ」。という信念があるのでしょう。

ただこのAppleから優秀な人材を引き抜いていく企業が電気自動車で有名なベンチャーのテスラです。このテスラも自動車業界に創造的破壊をすでに起こしつつあります。

ここで紹介した世界にはIT業界とか、自動車業界とか、金融業とか、医療健康産業とかそういうような業界の区分がありません。業界団体で関連企業を工業会として集約し、それをもとに産業政策を進めている日本の産業経済政策こそが、創造的破壊を抑え込んでいるのです。総務省、経済産業省、厚生労働省、と縄張り争いが優先し、イノベーションによる日本経済の再生は二の次です。そしてイノベーション、イノベーションと声高に成長戦略を説いているのは誠に滑稽ではありませんか。日本の文化が日本人の創造的破壊の障害になっているのではなく、企業経営者、政策関係者が全く時代についていけないことだと思います。 

創造的破壊という津波に飲み込まれる前に何かできる少しの時間はあります。何もしないで立ちどまれば津波に飲み込まれて消滅します。すでにそうした事例はあります。例えば写真フィルムのコダック、コンピューターのIBM?


「Google マップ」が無かった時代を覚えていますか?サービス開始10周年!

http://internetcom.jp/webtech/20150209/google-maps-tenth-anniversary.html

Googleがマップ強化のために自前の人工衛星をインドから打ち上げへ

http://gigazine.net/news/20150209-isro-google-satellite/

Googleが180個の人工衛星を使って全世界のどこでもネットを可能に

http://gigazine.net/news/20140603-google-satellite-internet/

Google、自走するクルマの完全なプロトタイプを公開http://markezine.jp/article/detail/21673

なぜGoogleは人工合成皮膚を開発しているのか?http://gigazine.net/news/20150202-google-human-skin/

Googleの新しいロボット犬は、押されても立ち直って歩き続ける

http://jp.techcrunch.com/2015/02/10/20150209google-spot-dog-robot/

Apple: 自動車製造部門を立ち上げ・数年以内にアップルカーの販売開始

http://www.businessnewsline.com/news/201502141231240000.html

Appleの自動車R&Dチームは総勢1000名、フォードやベンツからも指導的人材を確保

http://jp.techcrunch.com/2015/02/14/20150213apple-car/

アップル「Apple Pay」、米クレジットカード取引90%を占めるカードに対応

http://japan.cnet.com/news/service/35057992/

Apple Pay、来年(2015)にはアメリカのガソリンスタンドに進出予定http://www.gizmodo.jp/2014/12/apple_pay_7.html

機内販売もApple Payで支払い可能!パナソニックの次世代シートが凄い!

http://iphone-mania.jp/news-59485/

Apple Pay(アップルペイ)の最新ニュース&動向まとめ!噂される3月の日本上陸

http://cards.hateblo.jp/entry/apple-pay-matome2015/

Apple Pay、9月から米国行政サービスで利用可能に

http://jp.techcrunch.com/2015/02/16/20150213apple-pay-coming-to-federal-institutions-starting-in-septemberky8k6v9kj/

Appleから優秀な人材がイーロン・マスク率いるテスラへ流出しまくり

http://gigazine.net/news/20150209-tesla-attract-apple-worker/


◆俯瞰の書棚◆

今回のご紹介は「2050年の世界」英エコノミスト 文芸春秋 2012です。この本は英国の経済誌“エコノミスト”の編集部が20人の専門家に依頼して編集した貴重な知識の構造化です。ご一読を強くお勧めします。2012年の出版ですから現在既に4年経過し一部の予測は結果が出ていますのでそこも注意して読むと興味深いです。そして予測された近未来は現実になりつつあります。20人の予測の手法には共通項があります。まず過去を概観していますが、それを単に未来に外挿することなく、その断絶を積極的に見越していきます。そしてアジア・中国を重視することです。更に悲観論的な未来論が多い中、積極的な前向きの思考です。

最後の第20章“予言はなぜ当たらないか”を最初に読むのもいいかと思います。そのほうが各章の理解が深くなるかもしれません。

構成は4部20章です。第一部「人間とその相互関係」、第二部「環境、信仰、政府」、第三部「経済とビジネス」、第四部「知識と科学」です。本書は特異な構成で、章の初めにまず結論が書かれ、各章の最後にはまとめが付いていますので難しい内容ですが普通の読解力で十分理解できます。

折角各章の冒頭に結論がありますので紹介しておきましょう。

第1章 世界的な出生率の低下は人口動態で突出した出っ張りの世代を生み出し、その世代が労働人口に達する地域は急成長し、リタイアする 被扶養世代になった時に、成長が止まる。

第2章 高齢化と肥満化が世界的な趨勢となり、途上国にも慢性疾患に苦しむ人が増える。急速な都市化もそれを後押しする。一方で、医療技術の進歩は疾病の治療法に革命をもたらす。

第3章 過去40年、先進国でめざましい発展をみせた男女同権。今後はBRICs等の新興国で経済成長の必要から女性の機会はより開かれる。が、中東などでは時間がかかるだろう。

第4章 常時接続と常時オンライン、ソーシャル化されたスーパークラウドの世界は車や電化製品などにも広がる。一方で一社支配に対する懸念も強まり、政府の規制が予想される

第5章 グローバル化と最新技術は文化に影響を及ぼすだろう。しかし、人々の嗜好には地元色がいつまでも残り続けるだろう。英語の一極支配は続き、中国語は世界言語とはならない。

第6章 経済発展で人々は宗教を相対化する傾向にある。2050年には世界の信仰者の数自体は増えているが、原理主義的勢力は退潮し、最終的に地球を受け継ぐのは無宗教の勢力だ。

第7章 地球は、温暖化することは間違いないが、それがどの程度の温暖化になるのかは、不確定要素が多く、判断が困難。温暖化の条件がそろうとそれを修正するには時間がかかる。

第8章 中国の台頭、技術の拡散、新しい形のテロ戦争などでアメリカの超軍事国家としての優位性はさまざまな領域で崩れ始める。そうした中で、核戦争の危険は冷戦時代以上に高まる。

第9章 民主主義は、先進国において縮小し、新興国において亢進するだろう。ツイッターなどのウェブ世界の進展は、民主化に一定の役割を果たすが、民主化された後の影響は限定的だ。

第10章 世界的な高齢化によって、国家には年金や保険医療についての国民との約束を果たす余裕がなくなってくる。が、市場経済の一定の導入による効率化など「改革」の打ち手はまだある。

第11章 新興国の経済は、今後40年間、先進国が経済成長を達成した速度を上回る速さで成長する。中でも教育に投資している国のスピードは速い。急速に高齢化する中国は減速。

第12章 グローバリゼーションは、どれほど反発を受けようと、今後数十年間後戻りすることはない。グローバリゼーションは、アジアが世界経済の支配的勢力に返り咲くのと同時に進む。

第13章 世界の貧富の差は、2050年には今よりはるかに縮小されている。貧富を左右する要因としてはどこに住んでいるかより、どんな教育を受けるかのほうがずっと大きいだろう。

第14章 これからのビジネス界では、創造的破壊のあらしが一層猛威を振るう。予想もしないような技術革新は、これまでのビジネス環境を一変させることに。

第15章 株式市場では 1966~19 82年の弱気の過程を経て、1982~2000年まで強気の過程が続いた。こうしたサイクルは今後も繰り返すのだろうか?地価は?商品価格は?

第16章 人類の知への探求は新たな領域に入り、そこでは上下関係に苦しむ東洋より、リベラルで序列にとらわれない欧米諸国の方が、より多くを研究し、より多くの実りを手にする。

第17章 栄光の有人飛行競争の時代は終わりを告げた。米国は月への飛行を取りやめ、周回軌道上を回る人工衛星にさまざまの用途を見いだす時代になった。中国が独自の宇宙国家として台頭。

第18章 インターネットは極めて短時間に社会を変容させた。生み出され処理されるデータの量は指数関数的な割合で増えていくので、経済、社会とともに今後の変化はさらに加速する。

第19章 テクノロジーが距離を葬った。通信費は限りなく無料に近づき、様々なソフトウエアで人はこれまで以上につながるようになり、どこにいるのかがかつてないほど重要になる。

第20章 1970年代になされた予言を検証すると、みな悲観的でしかもそのほとんどすべてが間違っていた。2012年の時点の予言も楽観論の方がずっと根拠がある。


以上は各章のタイトルに対する結論ですが、これで読まずに済ますことなくぜひ本書をお読みください。脳に楽をさせるとボケますから。各章の結論は紹介しておきましたがそのタイトルは紹介してありません。各章のタイトルを結論から推定すると脳の体操になりますが。

本書全体で気になることはやはり英国のエリートの臭みが気になります。経済的にアジアが大きくなっても科学はやはり西欧がリードし続けるとしていますし、グローバリゼーションのくだりにしても東インド会社の時代感覚を感じます。ノーベル賞については、日本は人口の割に受賞者は少ない(本書では15名実際は22名)、オーストリアより一人多いだけだと言っています。選考過程の問題は?と言いたいですが。

既に起こっていることとしては、“第14章 これからのビジネス界では、創造的破壊のあらしが一層猛威を振るう。”とありますがGoogleやAppleの行動はこれそのものです。

第4章にある ”常時接続と常時オンライン、ソーシャル化されたスーパークラウドの世界は車や電化製品などにも広がる“ これは既に現実です。8年間乗った車を買い換えましたが、今度の車は常時クラウド接続です。コンシェルジュサービスやSOSのボタンもありますが、完全に行動は記録されますね!サービスは無料ですがこのビックデータをどう活用するのでしょう!

第18章に“新たなことを学び、それをもとに革新を行うことでビジネスの未来が決定される。だから企業はあらゆる努力をして、従業員が情報に簡単にアクセスし、情報交換できるようにしなければならない。”とありますがこれが日本の企業で一番できない経営課題でしょう。

格差については“国家間の格差は急速に縮まるが、国家内の格差は広がる"とありますがまさにこれが今流行りの”トマ・ピケティの経済学“でしょうか。

最後に、ちょっとおもしろい話がありましたので紹介します。

“企業は力のある経済組織というだけではなく、他人との協調を求める人間の欲望をある程度満たしているはずだ。Companyという言葉は二つのラテン語“cum”と"pene“に由来し「ともに食事をする」という意味がある。”ということです。食事会は重要です!


◆編集後記◆

 総選挙での安倍首相の大勝、全面戦争さえ危惧するウクライナ危機、為替と株の乱高下、ギリシャ総選挙でEU離脱とその世界的な影響と懸念が頭を巡ります。間が空いてしまいましたが俯瞰メールマガジン46号を書き上げました。

 あまりテレビは見ませんが、偶然50歳を超えている著名な映画監督のインタビューを見ました。「なぜ今回はスタッフも驚くような手法、まず実写の映画を作りそれをアニメに落とす、をされたのですか?」に対して「自分のノビシロを考えて」という答え。ハットしました、あまりにも現状に深く満足して悠悠自適の生活などと言っている自分の間違いに気づかされました。まだノビシロがある、という気持ちに切り替えます。

 各記事で引用したURLを読んでいただけると深い知識が得られますがかなりの時間を必要とします。これより有効な時間の使い方がある方はそれに時間を。時間を使ってURLを読んでもその見返りは大きいと思います。情報の収集・分析・編集に私が使っている時間の数分の一でしょうから。

 気がつくと字数が15,000字になってしまいました。


俯瞰メール45号

◆時候のご挨拶◆

12月として厳しい寒波で西日本や東北で大雪になり、東京も冷え込みました。そして気が付けば師走です、あっという間に一年が過ぎました。年賀状を書き心新たに新年をむかましょう。

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 Creative City Summit 2014

 俯瞰のクッキング~寒くなると作りたくなる料理~

 ニューウェーブの俯瞰~書斎のパソコンバージョンアップ~

 俯瞰の書棚 「イノベーションへの解」クレイトン・クリステンセン他 

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◆白けた総選挙で安倍政権の向かうところ◆

大義なき総選挙と非難されましたが、敵である野党が弱い時に絶対多数の議席を確保するという行動は戦略的には否定されません。ただ国民は白けた気分で投票率も過去最低になりました。結果で注目すべきは共産党の躍進です。ある意味全くぶれない明快な反アベノミクスの主張は投票先のない人に1つの場を与えたのでしょう。また微増ですが公明党も議席を増やしました。連立与党中にあって右傾化する安倍首相に対するリベラルでバランスの取れた行動が一定程度創価学会以外の人の支持を受けたのではないでしょうか。

すでに安倍首相は憲法改正などと口にしていますが、やるべき事は徹底的な少子化対策と規制緩和による新規産業、起業による成長政策ではないでしょうか。長期的には人口減少を食い止める少子化が最重要だと思います。人口が減っていく国はまさに「日沈む国」です。シンガポールに住んでいる著名な米国人の投資家のジム・ロジャースの日本に対する認識は参考にすべきでしょう

 「投資家として、向こう1~2年は楽観的に見ている。日本株は持っているし、買い足す予定だ。日銀の金融緩和が株価を押し上げているし、原油安も日本経済にとっては追い風だ」 「だが、長期的にはかなり悲観的だ。債務が膨らみ、人口が減り、通貨の価値が落ちていく。大惨事ではないか。日本は世界で最も好きな国々の一つだ。でも、私が仮に20歳以下の日本人なら国を出ていくだろう」 「衆院選で大勝した安倍晋三首相には改革ができるはずだ。ここ数十年で、安倍政権ほど安定した政治基盤を持ち変化の必要性を理解している政権はない」

その安倍首相ですが、田原総一朗氏がインタビューの中で今回の総選挙の目的は4年間の時間を確保することで、この4年の間に「戦後レジームからの脱却」を完成させるのが狙いだと言っています。その戦後レジュームとは、まず東京裁判の見直し、次に憲法改正、次に対米従属からの脱却、最後に教育基本法の改正ということです。ナショナリストの安倍首相の本音はこんなところにあるのかもしれませんが、余りにも国民全体の考えることから乖離しています。このいずれも国民はほとんど考えていません。しかし国民は4年間の安定した時間を安倍首相に渡したのです。頼りになる野党はいません。唯一、政権与党にある公明党の良識に頼るしかないのでしょうか。


マネー収縮に備えを 投資家・ジム・ロジャーズ氏

http://www.nikkei.com/article/DGXLASDF23H0U_T21C14A2MM8000/

安倍政権が表に出さない「本当の目標」~田原総一朗

http://blogos.com/article/101839/


◆追い込まれるプーチン大統領◆

ロシアのプーチン大統領が追い込まれています。クリミア侵攻からウクライナでの軍事圧力に対する、欧米の経済制裁に加え、ロシアの国家財政を支える原油価格が急落し、さらに通貨のルーブルが急落し絶体絶命の経済危機を迎えています。愛国心で求心力を保つといってもこの経済状況が続くと国民生活は大きな打撃を受け、プーチン大統領の権力基盤も揺るぐことになるでしょう。

あまりの急速なルーブルの急落で、家具のIKEAとかAppleがネット販売を中止する措置を取りました。ロシアを中核とした経済圏の再興に同意していた友好国も離反しつつあります。友好国であったベラルーシも貿易の決済をルーブルではなくユーロまたはドルにするように求めています。さらにベラルーシの大統領とカザフスタンの大統領はウクライナのプルシェンコ大統領に会い貿易強化や軍事協力を呼びかけています。ウクライナはこれまでの非同盟の立場を放棄してあからさまにNATO加盟を希望する姿勢を打ち出しています。

これに対しては猛然とプーチン大統領も反発し、米国やNATOに対抗して核戦力を強化すると表明しています。 2015年に50基以上の大陸間段弾道ミサイルを配備し、戦略爆撃機も導入するというまさに冷戦時代に逆戻りです。

プーチン大統領を苦しめている原油価格の急落はサウジアラビアが減産による原油価格の維持に反対したためです。いろんな説がありますがサウジアラビアはコスト競争力が高いので現在の原油価格では赤字になっている、宿敵シーア派のイランに対する圧力であり、長期的に脅威となる米国のシェールガス生産業者の投資を止め、サウジアラビアの市場シェアの維持拡大を意図しているではないかという説が有力です。ルーブル急落については一部ではアメリカの陰謀という説もあります。

先日のプーチン大統領の記者会見をテレビで見ましたが欧米に対し毅然と対抗していく鋭い表情でしたが、女性の記者がなんと「今離婚されて独身ですが、愛している人はいますか」と聞くと顔が緩んで「愛してくれている人は居る」と答えていました。また経済問題なると厳しい顔に戻っていましたが。

実は個人的にはプーチン大統領は憎めない人で理由はわかりませんが近親感を覚えます。大統領も日本に対しては欧米とは違った近親感を持っていると思います。ただこれと北方問題は直接には繋がりませんが、中長期ではロシア極東と日本は緊密な関係を築いていくべきでしょう。昨年ウラジオストクのマツダ自動車の工場を訪問したおり工場の完成式に招待もなく出席し、ヨーロッパへの完成車の輸送をシベリア鉄道経由で、無料で輸送することができるという破格の待遇を受けた、ということを思い出しました。

ロシア、ウクライナ以外にも中近東、各地での無差別のテロ、南シナ海や東シナ海における中国の海洋進出による軍事的な緊張があります。いわゆる東西冷戦の時代にはある程度世界秩序が保たれていたたわけですが、皮肉にもベルリンの壁崩壊以降世界の秩序は1時は米国の覇権のもとに保たれていましたがその米国が衰退し、圧倒的な覇権国がなくなり新しい国際秩序は隔離されていません。この状態を「Gゼロ」と呼びますがいつになったら安定した国際秩序が隔離するか見えていません。 アメリカの民主党政権は中国とG2のような動きをしましたが論外です。国際秩序の欠如の大きな問題は、結果として軍拡競争が始まり膨大な軍事費が無駄に使われることです。この資源を本来環境やエネルギー、そして貧困と言う社会的な課題に使うべきですが、それができていません。今年パキスタンに行きました核兵器を持っていながら、義務教育すら整備されていません。むろん非武装中立などと言う空想は譲れませんが、安倍内閣での集団的自衛権の議論は国民全体で十分に議論して認識を共通する必要があります。自主独立、これはナショナリズムではありません。


ロシアと盟友国、広がる溝 ベラルーシ・カザフ首脳、ウクライナ訪問

http://www.asahi.com/articles/DA3S11523530.html?ref=nmail_20141225mo&ref=pcviewpage

ウクライナが非同盟の立場を放棄、ロシアは反発

http://jp.wsj.com/news/articles/SB11988376816316583367704580355630661910128?mod=djem_Japandaily_t

ロシア大統領、核戦力の強化表明 米・NATOに対抗女子http://buzz.news.yahoo.co.jp/article/65dfbd1db955f771094d09605aa7489a322ac61d/

http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM19H73_Z11C14A2FF1000/?n_cid=TPRN0005

Gゼロ

http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20141224&ng=DGKKASGM28H5O_T21C14A2FF2000


◆香港に行ってきました◆

ほぼ10年ぶりに香港に行ってきました。街が綺麗で、人がいっぱいですが平均年齢が若くて、顔が明るく幸せそうな人々、そんな印象を受けました。一人当たりGDPは日本をわずかに下回る水準でイスラエル、イタリア、スペイン、韓国より上位にあります。

ちょうど到着した前日に例の街頭占拠が終わり最後の片付けの最中でした。道路にほとんどゴミ1つありませんが近年タバコの投げ捨て等については数万円の罰金を課す条例を施行したためと、町中に該当掃除の人が掃除をしていました。たぶん東京よりも道路はキレイでしょう。

香港は観光客の街です。人口の700万に対し観光客は約5,000万人と言われています。中国大陸からの観光客が圧倒的でしょうが世界中から観光客が集まっているのです。ですから街中には高級ブティックや宝飾店が多く目につきます。

着いた日が週末でしたが平日の昼間を見ると杖をついたシニアが目につきます。やはりここでも高齢化社会が進行しているようです。ただ男子の平均寿命は日本よりも上です。平均寿命の上位5カ国は、男性では、香港、アイスランド、スイス、日本、シンガポールです。ちなみに女性は日本、香港、スペイン、フランス、スイスです。これを見ると何を食べればいいのか迷いますね。これから見ても香港の人たちは健康で幸せな生活を送っていると思っていいでしょう。そして香港在住の日本人の方に理由を聞いてみると、前向きで明るくてストレスを溜めないこと、そして医療制度が完備しているといいます。そこそこ質の高い医療が極めて低コストで提供されています。その上で極めて高度な医療はかなり高コストで富裕層に提供されているといいます。どちらにしても自分の健康は自分で守るという自主独立の意識が強いし、その強い自立心が長寿の原動力になっているのでしょう。ただ食事は外食の人が多いといいます。

その外食の店ですがものすごい日本食ブームです。至る所に日本食の店があり、特にラーメン屋が行列の店が多く、 3時間待ちなどザラのようです。香港市民は日本食大好きだそうです。

香港には光と影があります。香港の女性は大半を働いています。ですから豊かで外食楽しんでいますが、そのためには家事を任せるメイドの存在があります。かつてはフィリピンからの出稼ぎ多かったのですが、最近はインドネシアが増えているそうです。さらにネパールからの出稼ぎも増えているとのことです。想像ですが、低賃金で長時間の労働するメイドさん達は、ささやかに日曜日の休暇を公園に集まって息抜きをしています。香港セントラルの中心にある皇后像広場はそういった日曜日にメイドさんたちが集まり友人や同郷の人たちと一時の安らぎ求めている場所です。

安倍首相の女性活性化政策の1つに家事は外国人の家政婦に頼み日本人女性は働けばいいという話がありましたが、香港の公園の情景を日本にも作りたいのでしょうか。将来に日本人の教育を外国人家政婦に任せるのでしょうか。それでアジアのリーダーになるのでしょうか。どうも安倍首相の周りにいるアドバイザーというか振り付けをしている人たちに何か問題はないのかといつも思います。ただ周囲にどのような人を置くかはその人の器量であり人格です。

なぜ香港に行ったのか、それは日本の高い品質のそして高コストの農林水産物を香港の富裕層に売る販売チャネルを開拓するためです。全くおせっかいなプロジェクトですが農業で頑張っている人を応援するには高く売れる販売チャネルを開拓する必要があると考えたからです。果物市場や高級スーパーの店頭を見て回りました。青森のりんごは、高級品は1個1,000円です。いちごは圧倒的に博多の「あまおう」が人気で1パック1,000円です。基本的に高級スーパーの果物売り場は日本の果物で占拠されています。関係者のこれまでの大変なご努力の結果でしょう。

香港で人気の日本の果物は桃、メロン、いちごで次にりんご、梨、などが並びます。香港の人はとにかく果物好きで毎日果物を食べるということです。果物市場で仲買をしている日本留学組の人に会って話しましたが、日本の果物はたくさん来ているがもっともっと欲しいということでした。特にメロンは足りないということでした。

香港には香港でビジネスをしようとする何人かの日本人とお会いしました。香港に在住してビジネスを展開している日本人のコミュニティーが和喬会です。立派なオフィスがあり、会議室やカフェ、バーもありました。ここで情報交換をし、お互い助け合いビジネスを広げているとのことでした。

香港では日本人も精神的な殻を破り、自由な発想と敏速に行動する、新しい日本人に変身してしまうようです。ですから日本に帰るのではなく香港から世界に羽ばたくそんな雰囲気の日本人、すなわち「和喬」が育っているようです。

いま販売チャネルを開拓中ですが、もしこのメールマガジンを読んでいられる方で、これはという高級食材を香港に輸出したい方はぜひご連絡ください。


日本人男性の平均寿命、初の80歳超え 女性も過去最高

http://www.asahi.com/articles/ASG703HKDG70UTFL001.html

外国人労働者拡大へ 首相、家事支援など活用指示 「女性の活躍推進の観点から」

http://www.sankei.com/politics/news/140404/plt1404040040-n1.html

安倍首相「女性の社会進出のため、家事に外国人を」 ネット上では、疑問や批判の声が相次ぐ

http://www.j-cast.com/2014/04/07201461.html


◆ビジネスモデル学会から◆

 1月26日(月) 第19回イブニングセッション開催のご案内

 グローバル買収戦略と課題

~活発な海外企業買収に日本企業を駆り立てる物は何か?

 なぜうまくいかないのか? 〜

講師:平野 正雄 氏

   早稲田大学ビジネススクール教授

   元マッキンゼー・アンド・カンパニー日本支社長

   元カーライルジャパン共同代表

日時:1月26日(月) 19:00-21:30

場所:霞ヶ関ナレッジスクエア エキスパート倶楽部

講演要旨:

日本企業による大型の海外企業買収が相次いでいる。しかし、大型買収の大半は失敗すると言われるくらい、買収価格を正当化し、所期の買収目標を達成することは難しい。何故なのか。どこで躓くのか。それでも、経営者を買収に駆り立てるものは何なのか。多くのM&Aの現場に立会い、また買収後のマネージメントに関わってきた実務家の立場から、クロスボーダーM&Aの実態や課題、そして展望について、分かりやすく解説する。

http://www.biz-model.org/


◆俯瞰工学研究所から◆

俯瞰サロンの次回(第19回) 2015年1月28日(水) 

「 世界へ!最先端の指静脈認証システム」

 新年明けての俯瞰サロンは、指静脈認証技術で世界に挑まれているモフィリアの天貝佐登史さんにお越しいただきます。

 天貝さんは、ソニー在職中、エンタテインメント・ロボットカンパニー・プレジデントとしてaibo、QRIOの事業に、その後、静脈認証の開発に事業開発室長として携われていました。そして2010年12月に、株式会社モフィリアを設立されています。

 現在、指静脈認証技術を世界市場に向けて展開されています。技術はもとより、多様な市場開拓における取り組みを伺います。

 http://www.mofiria.com/

 会場は、秋葉原に2014年秋にオープンしたDMM.make.Akibaをお借りします。モノづくりのためのスペース です。自由に使える5億円分の工作機械設備、レンタルオフィス、イベントスペースなどを備えています。

http://akiba.dmm-make.com/about/facility

https://akiba.dmm-make.com/

施設見学も予定しておりますので、ご期待ください。

 なお今回は、講演と懇親会を同じ会場にて行う関係上、参加費用(飲食代)を設けさせていただいております。ご了承くださいますようお願い申し上げます。

場 所: DMM.make.AKIBA 12階 (受付は4階)

     千代田区神田練塀町3 富士ソフト秋葉原ビル 

     地図: https://goo.gl/maps/b888o

開始:  18時30分開始(18時10分開場)

     20時頃より懇親会

講演会&懇親会: 3,000 円

     開場の都合上、懇親会と併設とさせていただきます。

http://www.fukan.jp/


◆Creative City Summit 2014◆

2014年12月6日(土)、渋谷ヒカリエにて、クリエイティブ・シティ・コンソーシアム主催「Creative City Summit 2014 〜アイデアからビジネスへ〜」が1000人のご参加をいただいて開催されました。詳細はHPでご覧下さい。高校生のCEOの仁禮さんのプレゼンテーションが圧倒的なインパクトを聴衆に与えました。何らかの形で映像も公開したいと思います。


<主催者プレゼンテーション>

  松島克守氏(クリエイティブ・シティ・コンソーシアム副会長)            「二子玉川で起きているイノベーション」

<特別講演>

 増田宗昭氏(カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社代表取締役社長兼CEO)  「東京はクリエイティブ・シティになる」

<プレゼンテーション&トーク> 

 西口尚宏氏(社団法人 Japan Innovation Network 専務理事)

 「大企業でもイノベーションは興せる!」 

 仁禮彩香氏(株式会社GLOPATH CEO)

 「高校生CEO~世界が舞台~」

 笹本 裕氏(Twitter Japan 株式会社 代表取締役/株式会社WESYM 取締役会長)

 「クラウドファンディング×ソーシャルメディア×事業創造」                                    

<ナビゲーター>

 石戸奈々子氏 (NPO法人CANVAS 理事長/株式会社デジタルえほん代表取締役)

総合司会 福満景子氏(元NHKキャスター、フリーアナウンサー)


http://creative-city.jp/news/2014/1211_181539.html

http://creative-city.jp/

http://creative-city.jp/docs/CreativeCitySummit2014pamph.pdf


◆俯瞰のクッキング~健康の食習慣と天皇家の食事~◆

いよいよお正月休みですが風邪の季節でもあります。特段の情報ではありませんが風邪の予防をということで食べるもの少し意識されたらどうでしょうか。ネットの情報ですが食すべき5つの食品としては、ニンニク、これはフードピラミッドでも免疫力高める最高の食品として推薦されています。鮭、鮭の赤みはアスタキサンチンという色素で活性酸素を取り除いてくれる非常に高い抗酸化作用をもつ物質であると言われています。加えてオメガ3脂肪酸と言う体内の炎症を抑え免疫力高める脂肪酸があります。柑橘類、なんといってもビタミンCの補給になりますし袋ごと食べれば豊富な生もとれます。ヨーグルト、腸内細菌いわゆる善玉気にします。多くの研究から腸の中の健康状態が免疫力に非常に関係があると言われています。ブルーベリー、あの鮮やかなブルーこそがポリフェノールのアンチオキシダントです。昔から視力を回復すると言われていますね。私は毎日コーヒーカップいっぱいブルーベリーをとっています。ブルーベリーは冷凍で買うとかなり安く買えます。

次の情報は寿命を縮める5の生活習慣です。

ストレス、これはどうも万病の元のようです。何か上手なトレス解消の方法を考える上ありますが、手軽にはお風呂でしょうか。その後ビールもいいですがアルコールは悪い習慣になりますね。炭酸飲料の飲み過ぎ、炭酸飲料にはほとんどブドウ糖が入っていますから血糖値の点からはほとんど毒ですね。昔はよくビタミン入りの清涼飲料水を飲んでいましたが今は大変後悔しています。食生活の偏り、ともかく野菜果物を中心としたバランスの取れた食事こそが健康の基本でしょう、これは食のスタイルとして形を作っておくといいと思います。アメリカで推奨されているフードピラミッドがいくつかありますがこれも参考になります。ただ乳製品ついては大変難しい議論があります。タバコ、これ論外ですね。アルコール、ストレス解消と称してアルコールを飲んでいますがこれも確実に寿命縮める要素のようです。ただアルコールなしの生活は私にとってストレスを増やすことになりますから大きなジレンマです。まあこれも旅の問題でしょう。フードピラミッドでは赤ワインは適度に取れとあります。飲めば飲むほど良いという説もあるそうです。

究極の健康食は何だ、ということで天皇家の食事という情報です。

天皇家の食事は1800Kcal 、化学調味料が使わずに塩分10 g以内だそうです。宮内庁には和食、洋食、和菓子、パンと洋菓子の4つの係があって最高の健康食を考えてお出ししているとのことです。

食材の大半は栃木県の御料牧場で生産されているとのことです。興味深い事は、昭和天皇の料理係だった人の言う「明治の料理の三大原則」です。

「“焦がすな”“捨てるな”“腐らすな”と非常にシンプルなことでした。」

そして調理の基本とされたのが「一物全体食」という食材を余すことなく使い切るという考えだったという。

「それが栄養のバランスが偏らないようにする大膳課に伝わる伝統なんです。例えば、野菜の皮は、後でスープの具にしたり、葉物なら後日漬け物にします。鶏肉も、胸肉、もも肉は主菜に使い、手羽は後日、スープの具に。骨はスープのだしを取るのに使い、ぼんじりは軽く揚げてつけ合わせにするといったようにです」とあります

一日1800Kcalという目安は私も意識しています。そのため炭水化物は控えて夕食にご飯1膳にしています。塩分10 gは意識していても管理できません。よく刺身を食べますからその醤油が問題ですし、味噌汁が好きで毎日飲みますからこれも要注意、加えて毎日納豆を食べますからあのタレも問題ですね。

ともかく自分なりに好みに合わせて健康な食習慣をライフスタイルとして作り上げていくことです。



意外なパワー!「なんか風邪っぽい…」ってときに食べたい5つの食品

http://wooris.jp/archives/111321

いくつ当てはまる?老化を早めて「寿命を縮める」NG生活習慣5つ

http://wooris.jp/archives/summary/108170

健長寿のためのヘルシーフードピラミッド

http://www.aaw21.com/special/0708.html

天皇家の食事 1日1800kcal、化学調味料使わず塩分10g以内

http://news.mynavi.jp/news/2012/11/22/022/


◆ニューウェーブの俯瞰◆



サムスンの「スマホ事業」は衰退しつつある=香港メディアhttp://biz.searchina.net/id/1545047


◆俯瞰の書棚◆

今回のご紹介は「イノベーションの最終解」クレイトン・クリステンセン、マイケル・レイナー 翔泳社 2014です。この本は「明日は誰のものか イノベーションの最終解」として2005年にHarvard business school pressから出版されていますが訳に違和感があったのか訳者を替えて再出版されています。『イノベーションのジレンマ』『イノベーションへの解』に続く第三弾で三部作になります。内容は、

序章

第一部 理論を分析に用いる方法

第一章 変化のシグナル――機会はどこにある?

第二章 競争のバトル――競合企業の経営状況を把握する

第三章 戦略的選択――重要な選択を見きわめる

第四章 イノベーションに影響を与える市場外の要因

第二部 理論に基づく分析の実例

第五章 破壊の学位――教育の未来

第六章 破壊が翼を広げる――航空の未来

第七章 ムーアの法則はどこへ向かうのか?――半導体の未来

第八章 肥大化した業界を治療する――医療の未来

第九章 海外のイノベーション――理論をもとに企業と国家の戦略を分析する

第一〇章 電線を切断する――通信の未来

終章 結論――次に来るのは何か?

です。

第一部で『イノベーションの解』で示された理論の使い方を解説し、第二部で教育、航空、半導体、医療、通信の業界を事例にして如何に理論が有効で素晴らしいかを述べています。

『イノベーションへの解』 を読んだ人がさらに理解を深めるのに役立つでしょう。三部作とありますが読むべきは『イノベーションへの解』の一冊です。

この本は共著とありますが読んで感じる文体は前の2つの本と異なりクリステンセン本人が書き下ろしたものではないような気がします。翻訳プロセスを通しても文章から伝わってくる書き手のオーラというか「気」は感じとることはできます。ずっと以前に、職場で繰り返される匿名の投書をいくつも読んでいくうちに書き手が判った気がしました。その人と直接話しているときに感じる「気」の様なものに気がつきました。嫌な仕事でしたがそこで文章の向こうにいる生身の人間を感じとるようなスキルが身についたような気がします。

この本の翻訳そのものはよくできています。ただ冒頭に数人の有名人が推薦の辞を書いていますが、今更クリステンセンの著書にこのようなものが必要かと、違和感を感じました。それとも出版社が内容に不安を感じたのでしょうか。

業界の分析や、企業の分析そして企業戦略の評価にはこの本で提案されているクリステンセンの理論の使い方は有効なツールの1つになると思います。文中にもありますが、といってイノベーション良否、成功するかしないかということを確実に教えてくれるものではありません。

第一部の第4章イノベーションに影響を与える市場外の要因は今盛んに議論されている規制と規制緩和の産業に与える影響を議論するのに役立つと思います。この章はこの三部作の中で初めての議論です。

またこの本の中で必ずしも破壊的イノベーションだけを進めるのではなく持続的イノベーションも重要であるという言明もあります。

実はこの本は電子書籍のKindle版で読みました。初めての経験です。香港出張中に一部をKindleで読みましたが、とにかく軽くて重量がありませんから紙の本よりずっと快適です。さらにフォントの大きさが自由に選べるので老眼の目にはとても助かります。紙の本にマーカーで印を付ける「ハイライト機能」や、ページにポストイット貼って書き込むような「メモを追加」の機能もあります。ただ後からぱらぱらとめくってハイライトした部分を見つけるというような動作はできませんが、これはたぶんスキルの問題と思います。またどのくらい読み進んだのかも感覚がわかりません。しかしKindle 1つあれば何十冊の本を旅行に持っていきますし、家で読んでいても手が疲れません。これからはこのKindleを積極的に利用と思います。


俯瞰メール44号

◆時候のご挨拶◆

山の紅葉はすでに終わりましたが東京など平地ではこれからが見ごろになります。

神宮外苑の絵画館前の銀杏並木や東大構内の銀杏は幻想的です。

北国は雪の季節を迎えます。

そして年末まで、あまり時間がありません。時の流れは早いですね。

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●安倍政権の出直しか

●新冷戦の時代

●ベルリンの壁崩壊から25年

●防衛大学校の文化祭に行ってきました

●ビジネスモデル学会から

●俯瞰工学研究所から

●Creative City Summit 2014

●俯瞰のクッキング?寒くなると作りたくなる料理?

●ニューウェーブの俯瞰?書斎のパソコンバージョンアップ?

●俯瞰の書棚 「イノベーションへの解」クレイトン・クリステンセン他

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◆安倍政権の出直し◆

噂はありましたが、 唐突に総選挙です。強気のアベノニクスも春の増税以来、経済が湿りがちで、

10%の消費税増税は2年後に延期される模様です。目標とした2%インフレも思うようにいきません。

朝鮮拉致問題も一向に進展せず、この際やっと実現した日中首脳会談の成果を背景に

再度政権の信任を国民に問う選挙になります。公約した成長戦略や規制緩和の法律は

ほとんど廃案となります。野党が分裂して選挙態勢が全く整っていない隙を突く戦略

でしょうが、まさに政治家の論理でしかありません。ただ安倍内閣が、

長かった日本の閉塞感を払拭した事はおおいに評価しましょう。

経済界も無責任で、散々円高の是正を口にしながら、円安になると一転して、円安是正を

口にしています。かっての輸出の主役であった自動車、電機、精密機械などは中国および

東南アジアに生産拠点を移しましたから、円安になっても輸出は伸びず、エネルギー輸入

の赤字だけが積み上がります。当然電気代は上がるでしょう。それが辛い、中長期の視野

で経営している経営者は少ないのでしょうか。

今回の総選挙で気になるのは人為的な株高の操作です。国民の大切な年金基金をいとも簡

単に取り崩しで株式市場に投入するという事はある意味暴挙です。株高で潤う国民はごく

一部です。リスクを背負うのは全国民です。前回の集団自衛権でも非常に重要な事項を十

分議論しないまま突っ走る安倍政権の姿勢はある意味危険で、総選挙で国民が賢い判断

することが望まれますが、これまた、政党の撒き餌のような公約に騙されて、おかしな判

断を下す国民も毎度のことです。万が一にも自民党単独政権になると怖いですね。


◆新冷戦の時代◆

ウクライナ情勢は、停戦と総選挙で安定化するかと希望を持ちましたが、結果は逆方向で、

ロシアは堂々と兵器と人員を送り込み、東部の事実上の分離を既成事実にしようとしてい

ます。従ってロシアに対する経済制裁はむしろ強まり、 ドイツをはじめヨーロッパ経済も

苦境に立たされています。加えてシリアとイラク情勢は、イスラム国の拡大により、

ますます危険な状況になっています。

勇気ある政策でしたが、イラクからの米軍の撤退は、誤った判断としてアメリカの中間選

挙で厳しい批判を受け、オバマ大統領も地上兵力派遣を口にせざるを得ません。ただ今の

アメリカにはヨーロッパと中近東の2面作戦をする余裕がありませんから、中近東に重点

を移し、東欧の冷戦状態はしばらく続くでしょう。中近東は冷戦ではなく戦争状態ですから。

この状態に加えて東アジアでの緊張は、アメリカにとっても負担が大きすぎますから、

日本と中国の双方に相当圧力をかけて日中首脳会談を実現させたのではないでしょうか。

その中で韓国は安全保障と外交の軸を失っています。韓国経済は、中国経済に対する依存

が大きいことと、反日の怨念で親中の路線で来ましたが、米軍は静かに韓国から引き揚げ

つつあり、慌てて自分で要求していた戦時作戦統制権の韓国への移譲の延期を求めました。

新冷戦では韓国が竹のカーテンの中に取り残されるのかもしれません。

新冷戦構造はアジアでも形成されています。アジアでは、中国の軍事的な拡大に対抗する

ためアメリカ、日本、オーストラリアが軍事的な連携を推進しています。とりわけ中国海

軍の潜水艦の増強に対抗するため、オーストラリアは新型の潜水艦を大量に調達しようと

しています。ディーゼルエンジンの潜水艦では世界最高水準の技術を持つ日本から船体を

導入し、装備はアメリカから調達するという枠組みができつつあります。その先にはオー

ストラリアがインド洋と南シナ海に展開し、東シナ海は日本の海上自衛隊が展開し、西太

平洋をアメリカ海軍が担当するというシナリオも見えてきています。日米豪の共同軍事演

習も積極的に行われるでしょう。

ロシアと中国に対抗する新冷戦が形成されていると認識すべきでしょう。


戦闘激化で和平は事実上“破綻”

http://www.sankei.com/smp/world/news/141112/wor1411120032-s.html?utm_source=dlvr.it&utm_medium=twitter

「大国間衝突の恐れ」=プーチン氏

http://www.jiji.com/jc/zc?k=201410/2014102400944&g=int

ロシア軍の戦車多数や砲門など越境か、ウクライナ東部情勢

http://www.cnn.co.jp/world/35056284.html

スウェーデン海軍、「謎の潜水艦」 情報収集作戦の範囲を拡大

http://www.afpbb.com/articles/-/3029428

朴政権ショック 米軍精鋭部隊が撤退 反日強める韓国への警告

http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20141107/frn1411071830005-n1.htm

米韓、戦時作戦統制権移譲を再延期

http://www.sankei.com/world/news/141024/wor1410240038-n1.html

日豪首脳会談で潜水艦交渉が進展か

http://newsphere.jp/politics/20141114-3/

日米豪首脳会談 共同声明向け最終調整

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20141116/k10013237091000.html


◆ベルリンの壁崩壊から25年◆

東西冷戦を象徴したベルリンの壁が1989年11月10日に崩壊して25年です。突然、そし

てあっけなく冷戦が終わってしまいました。ゴルバチョフの推進していたペレストロイカ

という時代の流れと、チェコスロバキアとハンガリーが西側への国境を解放したり、東ド

イツ政府の勘違いとかいろいろな偶然も重なって、ベルリンの壁が民衆によって壊され、

その映像は世界中に衝撃を与え、一気に世界を変えてしまいました。

冷戦終結によって東西に分断されていた経済が統合され、経済開放を推進する中国市場と

合わせて巨大きなグローバル経済が出現しました。そして世界経済は大きく発展してきました。

当時その渦中にあった人たちの回顧談を読むと、この冷戦終結に西側諸国がほとんど関与

していないことも見えてきます。ゴルバチョフは冷戦終結で歴史的なヒーローになりまし

たが、現在は複雑な心境のようです。そして統一されたドイツでも、いろいろなきしみが

出ているようです。そして今また、新冷戦という言葉が飛び交う時代になってしまいました。

ネットにたくさん関連する写真が出ていますが、まだ壁がある1981年に、私はアレキサン

ダー・フォン・フンボルト財団の奨学金でベルリン工科大学に留学していました。当時の

ベルリンは周囲を高い壁で囲まれた陸の孤島でした。数百キロをアウトバーンで走ると、

やっと自由の西ドイツに入ることができる状態です。東西ベルリン分断の象徴はブランデ

ンブルク門でした。ブランデンブルク門が解放されて、波のように東ベルリンから民衆が

西ベルリンに流れ込んでくる映像は、今でも鮮明に記憶しています。

そのブランデンブルク門ですが、留学当時はベルリンの壁で通行はできませんでした。

この門から先はウンター・デン・リンデンというドイツ帝国の栄華を残す菩提樹の大通りで、

進んでいくと森鴎外、鈴木梅太郎、北里柴三郎たちがドイツ医学を習得したベルリン大学

(フンボルト大学)があり、その先にはオトマール・スウィトナーの背中が見える最前列

で音楽を聴いた思い出のシュタット・オペラ、そして舞姫エリスと主人公が出会ったとさ

れるマリエン教会が右にあり、往時のベルリンの中心のアレキサンダー広場に至ります。この地区は悲恋の“舞姫”の舞台でロマンティックな感傷を与えてくれる場所でもあります。


ゴルバチョフはもはやヒーローではない。プーチンと同じだ

http://www.huffingtonpost.jp/2014/11/10/gorbachev_n_6131438.html

ベルリンの壁崩壊をめぐる3つの誤解

http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2014/11/post-3455.php

東西統一25周年控えるドイツで噴出してきた“不都合な真実”

http://diamond.jp/articles/-/61150?display=b

ベルリンの壁崩壊から25年 東西ドイツ統一はいま

http://digital.asahi.com/articles/ASGC67JYXGC6UHBI031.html?iref=comkiji_txt_end_s_kjid_ASGC67JYXGC6UHBI031

ベルリンの壁崩壊から25年 「過去と現在」が時空を越えてシンクロする(画像)

http://www.huffingtonpost.jp/2014/11/08/berlin-wall-25th-anniversary_n_6127104.html

ベルリンの壁崩壊から25年、今なお壁で分断された村

http://jp.wsj.com/news/articles/SB12377912224764574491004580262174196541974


◆防衛大学校の文化祭に行ってきました◆

今年は自衛隊創設60周年です。防衛大学校開学から62年です。友人の制服組である教員

から招待されて、横須賀の防衛大学校開学62周年記念式典に参加してきました。

観閲行進、訓練展示、棒倒し等がなければ普通の大学の学園祭と同じです。

空挺部隊の落下訓練の実演がありましたが8,000メートルの高度から見事に観閲官の前の

ピンポイントに降下しました。 30 km程度の範囲は自由に狙って着地できるようです。

この防衛大学校の友人によれば、日本の海上自衛隊はアメリカ海軍に次ぐ世界第二の海軍

力ということですから、現在の尖閣列島問題に対して、かなりの抑止力になっているので

しょう。ちなみに新設の航空自衛隊や再発足の陸上自衛隊と異なり、海上自衛隊は旧日本

海軍を直接そのまま引き継いだとのことです。

私が防衛大学校に興味を持っているのは、防衛大学校におけるサイバー戦争の教育の拡充

にあります。サイバー戦争は現在、世界規模で戦闘状態にあります。下記のサイトを参照

してください。これに対して日本のインフラや政府機関、企業は、極めて脆弱な防御態勢

しかありません。日本には対応できる専門人材が極めて少ないのです。これに対抗するに

は防衛大学校の定員を増員して、新しい学科を新設して人材育成をすることが急務だと考

え、これに対してわれわれ民間が何か支援することができないかと考えています。

むろん民間としても専門人材を育成し、自らの安全を確保する努力が必要だと思います。

一方、正面装備の面でも色々な問題があるようです。以前にも防衛省の調達に関し企業が

水増し要求する不正がありましたが、こともあろうに防衛省が定める発射速度や目標命中

率などの基準を満たさないまま、機銃の性能の書類を改ざんして納入していることが報道

されています。内容を読んでみると、供給企業と防衛省との不明朗な調達の事態が見えて

きます。もしかすると企業側は、納入した機銃が実戦で使用されることはないとして、

実害はないとしているのかも知れませんが、現在の状況は想定外の衝突で機銃を使用する

ことは十分考えられます。何よりも国の安全保障を損なうような不正を行い、収益を上げ

ているという企業が日本に存在することに驚かされます

我が国では自衛隊や国防について言及することを避ける知識人が少なくありませんが、国

家の基本は国民の安全保障を確保することにありますから、日本が置かれている国際情勢

や自衛隊の実情に、国民がもっと関心を持つ必要があります。無関心であればむしろテク

ノラートの暴走を許すことにもなりかねません。国防について言及しても、それでナショ

ナリストということではないと思います。私もいわゆるナショナリストではありません。


現在進行中のサイバー攻撃をリアルタイムに可視化する世界地図

http://cybermap.kaspersky.com/

http://www.digitalattackmap.com/#anim=1&color=0&country=ALL&time=16387&view=map

なぜ自衛隊は「暴発する機銃」を使うのか

http://toyokeizai.net/articles/-/52889?display=b


◆ビジネスモデル学会から◆

ビジネスモデル学会の秋季大会を10月18日東京大学で開催しました。

テーマは“新しい産業スマートアグリカルチャー 新しい仕事 グリーンカラー”です。

これに興味を持つ方が多いのでしょう、過去最大の150名の参加者がありました。

今回、講師としてお招きしたのは下記の方々です。

農水省の室長 安岡様に国家としての日本の農業戦略を語って頂きました

自然光ドーム型野菜工場を推進し単年度黒字を達成している71歳の経営者・グランパ社長

阿部様に事業戦略を語って頂きました。

中東/インド等へイチゴ輸出事業を展開する36歳の若き経営者・GRA社長 岩佐様に事業戦

略を語って頂きました。

Smart Agriに新規事業参入したグローバル?エレクトロニクスのパナソニック、福井様に女

性目線で語って頂きました

東北の野菜王 舞台ファーム代表取締役 針生様に、アイリスオーヤマ様とコラボした被災

地での大型事業展開を語って頂きました。

日本NO.1のソーシャル・ビジネスモデルとして政府からも表彰されたNPO”えがおつなげて”

代表 曽根原様にNPOのビジネスモデルを語って頂きました

すでに終了していますが、あまりにも貴重な情報なので何らかの形で公開したいと思います。

次回の春季大会の企画は現在ケンケンガクガクと運営委員会で議論しています。

ビジネスモデル学会では2か月に1度くらいの頻度でイブニングセッションと言う勉強会

を続けてきています。次回は“ グローバル買収戦略と課題?活発な海外企業買収に日本企

業を駆り立てるものは何か、なぜうまく行かないのか?~”というテーマで、早稲田大学

商学学術院 教授、前マッキンゼー日本支社長、ビジネスモデル学会副会長の平野正雄氏が

講師です。会員以外でも学会のホームページから申し込めますから是非ご参加下さい。

なかなか他では聞けない話を選んで毎回開催しています。

このほかビジネスモデル学会では大使館プログラムという大使館との情報交換のプログラムもあります。

これまでラトビア、パキスタン、ハンガリーと開催してきました。

直接駐日大使や書記官からお話を伺って、一般情報とは違う生の情報が得られます。

次回はまだ決まっていませんが、時々ホームページをチェックしてください。

http://www.biz-model.org/


◆俯瞰工学研究所から◆

俯瞰サロンも異業種交流の勉強会ですが、 11月13日、ソニー本社に9月にオープンして

話題になった ソニーSAP Creative Loungeを会場にお借りして17回目をやりました。

今回のテーマは『“心から仕事をしてしまう要素”とは??アフリカでのサッカーパブリックビューイング?』でした。

国際試合で自国のチームが活躍しているのに、電気がないため現地の子供はその試合を見ることができません。

これは可哀想だとソニーの有志とJICAが共同でサッカーの試合のビューイングを展開した話です。

太陽電池で電気を数時間かけてリチウムイオン電池に溜め、 200インチのスクリーンに

プロジェクターで投影するものです。

そのとき記録した映像を見ました。子供たちの目が星のように輝いているのが印象に残りました。

会社予算はゼロ、業務評価外の仕事なのになぜ、社員達は集まってきたのか?

このチームに何が起こっていたのか?

原動力のお一人である吉村司さんにお話を伺いました。

アフリカの危険地域に出かけていってこのようなボランティアの活動をするソニー社員たちをみると、

まだまだソニーには再生のエネルギーが残っていると実感させられました。

世界中の人がソニーの再建を祈念していますが、今の経営陣がこれに応えることができるでしょうか。

俯瞰サロンは製品開発、起業時の実情、プロジェクト、ビジネス連携の裏側、

変化を続ける業界の今・・・そんな時間を人生の一コマに持った方を講師としてお招きし、

今だから話せる、今こそ話そうという貴重な証言をうかがっています。

次回の俯瞰サロンはまだ決まっていませんが、時々俯瞰工学研究所のホームページをチェックしてください。

http://www.fukan.jp/


◆Creative City Summit 2014◆

私が副会長している二子玉川の近未来都市の実験プロジェクトであるクリエイティブ

コンソーシアムが12月6日渋谷のヒカリエで表記のイベントを行います。

プログラムは下記です。

<主催者プレゼンテーション>

  松島克守氏(クリエイティブ・シティ・コンソーシアム副会長)

 「二子玉川で起きているイノベーション」

<特別講演>

 増田宗昭氏(カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社代表取締役社長兼CEO)

「東京はクリエイティブ・シティになる」

<プレゼンテーション&トーク>

西口尚宏氏(社団法人Japan Innovation Network専務理事)

「大企業でもイノベーションは興せる!」

仁禮彩香氏(株式会社GLOPATH CEO)

「高校生CEO?世界が舞台?」

笹本 裕氏(Twitter Japan株式会社 代表取締役/株式会社WESYM取締役会長)

「クラウドファンディング×ソーシャルメディア×事業創造」

<ナビゲーター>

石戸奈々子氏 (NPO法人CANVAS理事長/株式会社デジタルえほん代表取締役)

総合司会    福満景子氏(元NHKキャスター、フリーアナウンサー)

入場は無料ですが事前登録が必要です。下記から申し込んでください。

http://creative-city.jp/

http://creative-city.jp/docs/CreativeCitySummit2014pamph.pdf


◆俯瞰のクッキング◆

寒くなると作りたくなるいくつかの料理があります。

まず“鶏のスープ”です。手羽先を15本くらいと鶏ガラ2羽分を大きなストック鍋で

3時間くらい煮出します。野菜もニンジン1本、玉葱1個、ニンニク2、3片、ネギ1本、

生姜1片を刻んで入れます。粒胡椒もいれます。カルダモンやグローブなど入れて薬膳風

にすることもあります。これを毎朝大きめのカップで塩胡椒を振って飲みます。 3日ほど

火を入れて飲みます。「これは体に良いな」と思って飲みます。料理にも使います。我が家

は食いしん坊なので、大きく美味しそうな手羽先を5、6本抜いてローストして食べ、骨を

スープに戻します。

シチューもこの季節なると作りたくなる料理です。むろん赤ワインを使ったビーフシチュ

ーも作りますが、店でビーツを見つけると“ボルシチ”を作りたくなります。ビーツは煮

えにくいので、通常は皮のまま4、50分茹でてから皮をむいて料理することになります。

これが面倒ですね。そこで超簡単なボルシチづくりを考えました。

肉は渋谷のニュークイックで売っている100グラム148円のオーストラリア産の肩ロース

の塊600?800gを大きめにゴロゴロと切ります。ビーツは皮をむいて適当な大きさに切り

ます。あと玉葱をみじん切りし、ニンニクも2、3片刻みます。ニンジンも刻んで入れてい

いと思います。

超簡単な仕掛けは圧力鍋です。フライパンで肉の側面を軽く焼いて固め、鍋に入れます。

次に玉ねぎを少しじっくり炒めて、他の野菜も入れて少し炒めて鍋に移します。

そこに缶詰のトマトジュースを入れます。水を適当に足して、顆粒状の鳥ガラスープを入

れます。私は成城石井の”鳥ガラスープ化学調味料無添加”を愛用していますが。さらに

月桂樹の葉、あればタイムの枝を入れます。

我が家ではベランダにタイム、セージ、ローズマリー、イタリアンパセリ、オレガノ、

ミントなどの香草を育てていますから適当に料理に入れます。

鍋を火にかけアクを適当にとったら蓋をして加圧して10?15分煮ます。時間は圧力鍋によ

って違いますから調整する必要があるでしょう。自然冷却して蓋を取って塩胡椒で味を整

えれば出来上がりです。“我が家風のボルシチ”の出来上がりです。もともとこの料理はウ

クライナの家庭料理ですから、すべての家に独自の”おふくろの味”があるようです。

いわば実だくさんのスープでイタリアのミネストローネをはじめ、西洋の国には何処にも

似た料理がありますが、ビーツを入れるのが特徴でしょうか。あの赤い色は如何にも体に

いいポリフェノールがあると思わせます。


◆ニューウェーブの俯瞰◆

自宅のデスクトップパソコンを最新技術でバージョンアップしました。これまで使ってい

たデスクトップパソコンは、この俯瞰メールマガジンを始めるにあたって当時最先端のテ

クノロジーを使って自作したものです。当時としては入手可能な最高速のパソコンでした。

インテルがマイクロプロセッサーのアーキテクチュア―として発売していた、“22nmプロ

セスのIvy Bridge”の最上位のプロセッサーに、ハードディスクに変えてSSDという半導

体ディスクをシステムディスクにしたパソコンです。そして2013年6月には次世代の

“Haswellマイクロアーキテクチャ”が発売されました。技術の進歩はめざましくついて

くのが大変です。マイクロプロセッサー以外のSSDやハードディスク、その他の電子部品

の進歩もあり、この 9月に決心して、自宅パソコンのバージョンアップを行ないました。

マザーボードにはASUSUの堅牢なゲーマー用のMAXIMUS V11 GENEを、マイクロ

プロセッサーには最高速のintel 4770K、SSDにはSANDISKのExtreme PRO(250GB)、

メモリーはCFD elixirで16GB、データ用のHDDは高信頼度のNAS用Western Digital

Red WD20EFRX 2 TBを選び、グラフィックボードは上を見ればきりがないので、これは

中の上クラスのGEFORCE-GTX760にしました。電源の管理が非常に高度化していますか

ら、電源もgold、silver、copperと規格はありますがsilverのHaswell対応というものを

選びました。このパソコン関係では、高級品は必ず日本製コンデンサー使用を売りにして

います。

結果的に組立パーツに日本製品はありません。内部の部品単位では日本製品が要所要所を

固めていると思いますが。

デスクトップパソコンの組み立ては意外と簡単で、マザーボードにマイクロプロセッサー

を取り付け、ケースにマザーボードを固定した後、部品やケーブルを差し込めば出来上が

りです。そして最新版のWindows8.1を導入すればおしまいです。これでほぼ世界最高速

のパソコンの出来上がりです。かつてのスーパーコンピュータよりはるかに高速処理です。

 読出し550MB/s、書込み520Mb/sとSSDの進歩が大きいせいか体感的なスピードはかな

り高速になりWindowsもすぐ立ち上がります。あと3年くらいは最高水準の処理速度をエ

ンジョイできます。

なぜ書斎のパソコンを自作するかというと、物凄いスピードで進化するテクノロジーを実

感するためです。 IT業界に身を置いたこともあり、人様に情報処理についてあれこれ助言

や提言をしていますから、ひと昔前の古いテクノロジーを使いながら最先端技術の利用を

提言するのは憚れます。自分自身が時代に同期できないで、人に時代遅れになるなと諭す

こともできません。パソコンを自作するにあたっては、その時点で最先端技術について情

報を集め、差異を理解してパーツを選択するという過程で知識がバージョンアップされま

す。 3年前の技術は、実用上は全く問題ありませんが、3年前の知識は使い物になりませ

ん。いつまで最先端の技術に付いて行けるか分かりませんが、頑張っています。


22nmプロセスのIvy BridgeはSandy Bridgeと何が違うのか?

http://ascii.jp/elem/000/000/688/688949/

Haswellマイクロアーキテクチャ

http://www.itmedia.co.jp/pcuser/articles/1306/02/news008.html


◆俯瞰の書棚◆

今回のご紹介は「イノベーションへの解」クレイトン・クリステンセン、マイケル・レイナー

翔泳社 2003です。

クレイトン・クリステンセンは1997年に「イノベーションのジレンマ」(邦訳2001)の提案で

一躍有名になった人です。この本を読んで影響を受けた人は多いと思います。

そこにおける彼のイノベーション理論は、イノベーションには従来製品の改良する“継続

的イノベーション”と従来製品の価値を破壊する全く新しい価値を生み出す“破壊的イノ

ベーション”があるということです。そして優良企業は事業の基盤である製品を磨いてい

く“持続的イノベーション”を推進するため、“破壊的イノベーション”を無視せざるを得

ない結果として、この新しい破壊的イノベーションにより企業の地位を失っていくという

ことです。事例としてコンピューターのハードディスクを使って明快な解析をしています。

2001年の日本語版で読みましたが非常に明快でインパクトを受けたことを思い出します。

ただ事象の分析はあっても、どうしたら“破壊的イノベーション”を起こすことが出来る

かという事は、ほとんど解説されていませんでした。今回ご紹介する「イノベーションの

解」はその答えを与えるものです。そして共著になっているようにかなり強力な研究チー

ムを組んで破壊的イノベーションのメカニズムを解明し、経営者がいかにそれを実践する

かを丁寧に書いています。加えて関連する経営学の研究成果をフンダンに引用して解説し

ているので、現在の経営学の俯瞰的な理解が得られます。ぜひご一読をお勧めします。

“破壊的イノベーション”を起こすために経営者がやるべき事を明快に解説しています。

それは“高い能力の成長エンジンをビジネスプロセスに埋め込む”ということです。

そして成長エンジンには4つの要素があると言います。

ステップ1:必要になる前に始める。企業がまだ成長を持続している間に新規事業を始める。

ステップ2:アイディアを適切なプロセスおよび資源配分プロセスへ導く上級役員を任命す

る。

破壊的潜在力を持つアイディアに、きちっとした経営資源を配分する権限のある役員が必要である。

ステップ3:アイディアを形成するためのチームやプロセスを作る。

“破壊的イノベーション”を起こすためには現在のプロセスではなく

独立したビジネスプロセスが必要で、専任の固定的なメンバーからなるチームが必要である。

ステップ4:営業やマーケティング、エンジニアリングの社員を訓練し

“破壊的イノベーション”のアイディアやシーズを発見させる。

そしてその上級役員がイノベーションのマネジメントにおいて果たすべき役割は4つあるといいます。

第一に、連携のプロセスに積極的に関与する。

第二に、部下が新しいコミュニケーション、連携、意思決定のパターンを必要とするとき

には既存のプロセスの支配力を崩さなければならない。

第三に、同じような行動や決定が組織内で繰り返し行われる時、これに関わる社員の活動

を確実に導き連携させるプロセスを創りださなければならない。

第四に、同時進行する複数のプロセスやビジネスモデルを構築し維持するために、様々な

組織の橋渡しを行なって、新規事業での有益な学習を主流部門に還流させて適切な資源、

プロセス、価値基準が適切な状況で用いられるよう、心をくだかなければならない。

とあります。新規事業に必要な事業構造や条件は、

低価格ラインでも魅力ある利益を上げ、しかも上位市場に持ち込むことができるような

コスト構造を最初に構築すること、

競合企業に対しては破壊的な位置に付けることで相手に戦うよりは逃走したいと思わせること、

これまで消費者でなかったためにソコソコの製品で満足してくれる顧客の攻略から始めること、

”顧客が片付けようとしている用事“にターゲットを定めること、これまでお金があった場所でなく、これからお金が向かう場所に移動すること、

適切な知識を習得したマネージャに任務を任せ、必要な課題と調和したプロセスや

価値基準の中で任務を遂行させること、

有効な戦略が出現したらそれに柔軟に対処すること、そして成長を気長に待てる資金で始めること

と解説しています。

“片づけるべき用事” という視点で市場型破壊の参入を生み出せという助言も面白いですね。

また組織の能力と言う曖昧な用語は、資源、プロセス、価値基準に因数分解して考えろ、と明快です。

またビジネスモデルとしてモジュール単位で外注し組み立てるモジュール方式と、

いわゆるすり合わせ型の垂直統合のモデルの使い分けとしても明快な判断基準を示しています。

すなわち製品そのものが顧客や市場の要求に対し十分でないときは垂直統合型を、

すでに十分以上であるときには積極的に外注を活用するモジュール型ということです。

これ以上内容の解説はしませんが、これを読むと日本の電機産業がいかに敗退し、そして

また今サムソンがスマートフォンで中国に敗退しつつある現状を見事に説明できています。

最後のくだりが面白いです。“ IBM 、インテル、マイクロソフト、ヒューレット・パッカ

ード、ジョンソン・エンド・ジョンソン、コダック、シスコ、インチュイットは数度の破

壊的イノベーションを成功させている。そしてソニーは1955年から成長エンジンが停止し

た1982年までの間に何度も破壊的イノベーションを生み出した。”とソニーを高く評価し

ていますが、裏返すとソニーの衰退のモデルの解説になります。

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◆内容・記事に関するご意見・お問い合わせ/配信解除・メールアドレス変更右記まで

webmaster@fukan.jp

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◆俯瞰MAIL 0044号(2014年11月15日)

発行元:     一般社団法人 俯瞰工学研究所

発行人:   松島克守

編集長:   松島克守

URL:     http://fukan.jp

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俯瞰メールのアーカイブ

俯瞰メール43号

皆様

◆時候のご挨拶◆

秋ですね。田園には黄金の稲田が広がります。すでに色づいている枝もあります。

田植えや若葉の季節がほんの昨日のようですが、時は凄い速さで流れて行きます。

“少年老い易く学成り難し、一寸の光陰軽んずべからず・・・・”、

キッチンの扉に貼って絶えず見ますが、最近では最後の“階前の梧葉すでに秋声”が気になります。


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・欧州、中近東、アジアで続く世界秩序の激動

・中国をどう見るか

・ソニーの苦悩と新生は国民的課題

・米国俯瞰の旅

・俯瞰のクッキング --健康寿命--

・ニューウェーブの俯瞰 -- デジタル企業の手首の激戦--

・俯瞰の書棚 「月の裏側」 クロード・レヴィ=ストロース

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◆欧州、中近東、アジアで続く世界秩序の激動◆

依然として世界各地の騒乱が続いています。ウクライナも不思議な妥協の結果、

停戦には持ち込みましたがこの後の落とし所が微妙です。事の起こりも変ですが、

ロシアが軍事力を使って第二次世界大戦後の国境を変更した事は欧州の緊張関係を高め

経済交流を制限することになります。


スコットランドの独立投票も欧州の緊張感を高めました。

結果は否決ですが、各地の独立を要求している地域への影響は今後も残るでしょう。

EUという超国家がこれまでの国家の概念に影響与えています。


しかもこの後、英国はEU離脱の可否を問う国民投票を予定しています。

ただ経済的にはロンドンという世界屈指の巨大都市国家の外延部でしかないスコットランドが

自立した経済成長を維持できるとは考えられません。

ロンドンには最高の人材が能力を発揮できる場を求めて集り、結果、最高の人材を独占しているのです。


日本でも地方分権という議論がありますが、既に日本は東京という超大型の都市国家と

その周辺の地域経済という構造ができています。

東京に大企業の本社が集中し、人材と情報を独占している状態を改めて認識する必要があります。

新幹線と高速道路そして空港の整備は、東京圏というメガ地域と

地方の中堅都市という衛星都市のネットワークを強化し、

このネットワークにつながらない地域は経済的に衰退し消滅へ向かうでしょう。

ですから単なる地方分権や権限委譲のような単純な議論で日本の将来はすみません。

新しい日本の国家モデルを作り出していく必要があります。


その意味でも自治権を拡大するスコットランド、北アイルランド、ウェールズと

ロンドンというイギリスの国家体制の今後の動向が興味深いですね。

また、EU離脱であればその後のイギリスの動きも興味深いですね。

中近東は依然としてシリア、イラクのイスラム国との戦い、イスラエルとハマスのにらみ合いが続きます。

とりわけ欧米によるイスラム国勢力への空爆、今後のシリア空爆と戦乱は激しさを増しますが、

腰が座らないオバマ政権の対応に国内外に苛立ちがあります。

すでにイラクとアフガニスタンの戦争で懲りて、この地域での戦闘に参加を避けたい米国ですが、

それがイスラム国の台頭を招いたことも事実です。

さらに驚く事は、アラブの革命以来ほとんど無政府状態のリビアについて、欧米は全く関与を諦めているようです。

したがってエジプト、サウジアラビアや首長国連邦が米国に事前通報しないまま勝手に空爆しています。

この状態はこの地域の混乱をさらに深めそうです。

すなわちこの地域におけるアメリカの影響力は驚くほど小さくなってしまいました。

その結果さらに不安定になるという悪循環です。

難産だったアフガニスタンの大統領選挙もなんとか妥協ができたようですが、

米軍完全撤退後の展望は全く見えていません。

ある意味ブッシュのアメリカが掻き回して後は知らん、ですか。


アジアでは中国が周辺国との関係を改善する努力を見せています。

モンゴルから東南アジア、そしてスリランカ、インドと習近平主席が訪問外交しています。

11月の北京でのAPECで地域のリーダーとしての姿を見せたいのでしょうが、

インド中国国境の睨み合いなど現場ではなかなかことがうまく運んでいないようです。

そして予断は許しませんが、中国の国内事情から日中関係は改善の方向に向かいそうです。


実体のないNATOの決定にロシアが反発し、ウクライナ危機が深まった

http://mainichi.jp/select/news/20140921k0000e030123000c.html

リビア「空爆」なぜ? UAE・エジプト、イスラム過激派伸長に危機感

http://sankei.jp.msn.com/world/news/140831/mds14083120240010-n1.htm

中国が新たな世界秩序をゆっくりと構築中―米メディア

http://www.xinhuaxia.jp/social/47305


◆中国をどう見るか◆

中国経済に関しては、絶えず悲観的な記事が目に付きます。

いろいろな課題がある事は事実でしょうが、中国経済が「フェーズ2」に入ったと私は認識しています。

これは日本経済の過去の経緯を分析した結果から言えます。

日本経済はオリンピックと万国博と10%を超す経済成長してきましたが

オイルショックいうハードランディングで6?5%の成長という「フェーズ2」の段階になりました。

オイルショック時は国家存亡の危機であったのです。

全量を輸入に依存していた原油が3ドルから12ドルと4倍にも跳ね上がり、

消費者物価は23%上昇して、トイレットペーパーを奪い合うような狂乱物価で高度成長は終焉しました。

これを日本人は乗り切って80年代の黄金時代を築きました。

さらに第二次オイルショックを産業構造改革でのりきり、バブル崩壊まで内部的な充実を図りつつ10数年成長してきました。

そして91年のバブル崩壊からは「フェーズ3 」の段階になり、その後は今日まで2?0%の低成長がですが2%は悪くない数字だと思います。

この間リーマンショックというハードランニングも乗り切りました。

この日本の経済発展のモデルを中国に当てはめると、中国経済が「フェーズ2」の段階になったと私は考えるわけです。

ですからそれほど悲観的な認識をしていませんがハードランニングです。

これからは7?5%の成長が現実的でしょう。

まさに中国首脳陣が繰り返し言っている安定成長への経済改革は間違ってないと思います。

習近平は「新常態」という言葉を使い、予想されるハードランニングに対して

国民が一致してこれを乗り切るように求めています。


ただ当時の日本との違いは政治の安定性です。当時日本は日米安保改定が済み、

学生運動も終焉、自民党の絶対多数単独政権と政治体制は最も安定していた時代でした。

一方現在の中国は共産党独裁とはいえ、党内に元老を頭とする派閥があり、軍部も政府の指揮下にありません。

加えて、ウィグル、チベットのような内陸部に不安定要因があります。

ハードランニングに伴い国内が政治的に混乱するリスクはかなりあります。

ですから「フェーズ2」への移行における混乱のリスクがあり、成長が減速しますから

中国市場の急成長を想定した企業判断はできないと思います。

すでに海外からの中国投資は減少しています。日本の場合は過去の事件の件もあり、

他国に比べるとASEANへの投資の傾斜が強く大幅な減少となっています。

一方政治的にも新しいフェーズに入ったように思います。

もともと習近平は胡錦濤の推す李克強に対して、江沢民に代表される共産党の古い勢力の支持で政権を獲得した経緯から、

権力基盤が脆弱でその強化にこれまで時間をかけたと思います。

この権力闘争も共産党の古い勢力を汚職絶滅という錦の御旗で次々と粛清し、

最大の政敵である石油閥の周永康の摘発でほぼ完成したのではないでしょうか。

胡錦濤の共青団に対しても一定の威圧をかけています。

従ってこの自信から軍の改革に着手し権力を絶対的なものにしつつあると思います。


ですから日本に対する政策もこの余裕から変化が出てきているのでしょうし、

今後の国内情勢を考えれば周辺諸国と事を構える余裕はありません。

領土拡張の強硬な外交路線も周辺国のモンゴルやアジアへの歴訪の中で少しずつ平和的な言動をするようになっています。

最大の宿敵であるインドも訪問し連携と投資を約束しています。


まだまだ予断は許しませんが、国内政治の求心力のために反日カードを使う必要がなくなった

とすると日中関係は改善の方向に向かうかもしれません。

日中経済連携はハードランニングにおいても最重要のカードですから。


そして、これまで反日と中国シフトを進めた韓国もこの状況では日韓関係を改善する必要が出てきます。

ただ経済的には韓国はあまりにも中国市場に依存すぎていますから対応が微妙でしょうが。

とにかく国内政治が旅客船セウォル号の沈没事故以来、機能不全状態のようです。


さらに中国シフトの外交政策の影響は韓国の国防にも影を落としています。

ソウルの北部に駐屯していた最前線の米軍はソウル南部に移動することになりました。

米軍の本音は陸軍の韓国撤退で、有事はイラクの様に空爆で対応でしょうか。

元々冷戦の始めアメリカは、アリューシャン列島、日本列島、沖縄、フィリピンを太平洋の反共防衛線とし、

韓国はその外にあったため、それを見たスターリンが北朝鮮に侵攻を命じて朝鮮戦争が始まった歴史があります。


前の政権から米韓連合軍司令部の指揮権の返還を要求し、日本との軍事情報の共有の協定を拒否するなど

中国に気遣う外交もこの米軍の退却に関係しているのでしょうし、

仮に米軍が韓国から撤退すれば北を勇気づけ、中国を喜ばせます。


現在の対日外交も深く考えられたものではない感情的なものでしょう。

米軍と自衛隊の支援なしに韓国の国防はありえない事は分かっていても複雑な国民感情があるでしょう。

日本でも国防に関しては集団自衛権の議論のように国民感情は複雑です。

この次元に民主党政権は落ちて普天間基地問題をグチャグチャにしました。

沖縄の海兵隊のグアム島への後退は米軍も歓迎でしょう。経費は日本持ちですから。


中国の悲惨な統計、実体経済悪化の「予兆」

http://jp.reuters.com/article/jp_column/idJPKBN0HB0AT20140916

中国経済に「ハードランディング」の恐れも

http://biz.searchina.net/id/1535027

オイルショックhttp://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AA%E3%82%A4%E3%83%AB%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%83%E3%82%AF

中国経済構造急転換、新興産業急成長

http://www.xinhuaxia.jp/social/47196

中国経済の減速は安定成長へ向けたステップ=大和総研が前向き評価

http://biz.searchina.net/id/1543857

中国への直接投資 減少傾向続く

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140916/k10014633801000.html

冷え込む中国の不動産市場、バブル臨界点を突破か 世界が注目

http://www.epochtimes.jp/jp/2014/09/html/d24375.html

中国権力構造の変化

http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/100/195106.html

周永康は「500日かけて煮込まれた」

http://blogos.com/article/91863/

中国における反腐敗キャンペーンと経済構造改革

http://www.rieti.go.jp/jp/columns/a01_0405.html

中国山西省で腐敗摘発強化 習近平氏の共青団潰しの狙いあり

http://www.news-postseven.com/archives/20140903_274147.html

習近平国家主席、軍改革のトップに 権力集中が鮮明

http://www.asahi.com/articles/ASG3H5QRHG3HUHBI01P.html

中国が刺激したロシア海軍の復活

http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2014/08/post-3354.php

習主席「好戦的でない」、国境問題が対インド外交に影

http://jp.reuters.com/article/jpchina/idJPKBN0HD0V820140918

「中国共産党2.0」を目指す習近平の闘い

http://www.huffingtonpost.jp/toshiya-tsugami/chinese-communist-party_b_5706465.html

韓国国会マヒ、法案1件も処理できず…沈没余波

http://www.yomiuri.co.jp/world/20140918-OYT1T50009.html?from=hochi

韓国から静かに離れる米国

http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20140916/271306/?n_cid=nbpnbo_bv_ru&rt=nocnt

太平洋防共防衛線アチソン・ライン

http://chuka123.hatenablog.com/entry/2014/04/16/050248

韓国軍「離米」に最後の抵抗「作戦統制権」で岐路に立った韓国(重要)

http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20130730/251726/?rt=nocnt


◆ソニーの苦悩と新生は国民的課題か◆

ソニーがスマホ事業減損で初の無配 というニュースは多くの人に少なからず衝撃を与えました。

またかよ!という感じもあるでしょう。業績の下方修正はこのところ頻繁ですから。

構造改革という名の人員削減が続いている環境で、業績が回復できない事はむろん経営責任です。

ともかくストリンガー体制以降、世の中を驚かせ、業界を震撼させる製品はソニーから生まれていません。

ソニーの不振の根本原因は組織の深いところにあるのでしょう。

多くの記事がリストラによる人材の流出や、ソニーの原点ともいうべき自由闊達な文化の消失、

構造改革の遅れ、コスト管理の甘さを指摘していますが、こんな発想ではソニーは生まれ変わる事は出来ないでしょう。

まだファンドの提案のほうが検討に値します。結論から言えば過去を捨てて生まれ変わるしかありません。


私も考えてみると、トランジスタラジオから始めてベータマックスやデジカメやオーディオ、パソコンなど、

ほとんどすべてのソニー製品は買ってきました。技術が好きな人はソニーの製品を買ってきたと思います。

ですからソニーの不振は人ごとのようには思っていません。まさに国民的課題です。

と同時に凋落していた日本の電子産業に対する追想です。なぜ追想か、それはすでに諦めの境地になっていますので。


電子産業の凋落について、責任は経営者だけではないと思います。エンジニアです。

特に技術系出身のマネジメントの責任は大きいと思います。

トレンドがわかっていても過去の経緯に拘泥して革新と変革の芽を摘み、抑えてきたことがあるはずです。


現場のエンジニアにも驕りと未熟さがあります。

私もほとんどすべてのソニー製品買ってきました。最近も10万円近いウォークマンを買いました。

率直にいうと、どの製品にもいつも不満が残りました。商品としての完成度がいまひとつです。

加えて品質に問題があることがよくあります。 組み込みソフトウェアの更新も非常に不十分です。

買うといつも裏切られた感じがしました。

それでも買い続けるのはやはりソニー頑張ってもらいたいという気持ちが強いのでしょう。むろん離れていったソニーファンは多いでしょう。


新しいソニーがどんな形に生まれ変わるべきか、国民的な議論をしたがどうでしょうか。

エレクトロニクス事業のOBが再建に乗り出してくるシナリリオは最悪です。

ソニーを離れたエンジニアは二段ロケットに着火して新しい惑星に夢を託すべきです。

ところで、今や日本に残る最後のパソコンメーカーである東芝の事業も疑問符が3つくらいつきます。

1994年から7年間世界一であったようですが、それは2000年で終わっていますそれから15年何を考えてきたのでしょうか。

粘り強い!日本的な美徳でありますが電子産業凋落の共通因子でもあります。


「アップルにソニーが2度目の大敗」の重み

http://toyokeizai.net/articles/-/48395

消せないソニー首脳の責任論

http://diamond.jp/articles/-/59459

ソニー、広がる平井社長退任観測、後任は吉田CFOを軸に調整か

http://biz-journal.jp/2014/09/post_6094.html

ソニーは4Kテレビで復活できるのか?

http://thepage.jp/detail/20140417-00000017-wordleaf

トリニトロン、ウォークマン……ソニーが生み出した名品たち

http://thepage.jp/detail/20140224-00000007-wordleaf

なぜソニーだけが復活できないのか?

http://thepage.jp/detail/20140920-00000004-wordleaf

米ヘッジファンド提案はソニーにとって「良いこと」=平井社長

http://jp.wsj.com/news/articles/SB10001424127887324353404579085783328878944

東芝 個人向けPC事業を縮小し法人向けへのシフトを強化

http://economic.jp/?p=40470

東芝、パソコン事業縮小 個人向け新興国撤退へ

http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ1804Z_Y4A910C1TI0000/


◆米国俯瞰の旅◆

ボストンからシカゴそしてシリコンバレーと、米国俯瞰の旅をしてきました。

ある企業の次世代リーダー育成研修の修学旅行のようなものです。


中国も重要ですがアメリカとどう付き合うかが日本の国、企業にとって依然として最重要課題ですから。


まずボストンに行き1620年にメイフラワー号上陸のプリマスに行きました。

私は30数年ぶりです。 ここから現在のアメリカがスタートしたのです。

今回知ったのですが、メイフラワー号以降十年ほどで約2万人以上の移民が

このニューイングランドに上陸して開拓を進め東部13州を形成しました。

北大西洋にシャトル便のような移民船が運行されていたのです。


当時のプランテーションが再現されていますが、小さな土間の家です。

そしてその近くに原住民の当時の集落が再現されていますが、

驚いたのは二つの住戸遺跡は縄文集落の三内丸山遺跡の住居よりずっと原始的で、

いかに一万年前の縄文時代の文化が高い水準にあったかを再認識しました。

ちなみに三内丸山遺跡は縄文の“集落”というよりも都市国家そのものです。

木と石という素材と、形は違いますがマチュピチの都市国家以上です。


そして、最初友好的な関係にあった原住民を虐殺し土地を奪って開拓を進めたわけです。

ボストンで1775年の独立戦争当時の遺跡を回るフリーダムトレイルを歩きました。

これも30数年ぶりです。プリマス上陸から約150年で独立です。

そのアメリカが飛躍的な発展を遂げプリマスから300年、独立から150年後の第一次世界大戦で、世界の覇者となったのです。

北米の豊かな天然資源を肥やしにして大きく羽ばたいたわけです。

しかしその過程で先住民族の浄化を行い、土地を奪っていったことも歴史的事実です。

第 2時世界大戦では日系市民を全て強制収容所に収容したことも、アメリカの歴史文化でしょう。

日米同盟に甘い期待は禁物です。


ハーバード大学、 MIT 、 Harvard ビジネススクールのキャンパスを見学しました。

研修生はこれまで見たこともありませんから。

天然資源に加えこの強力なリーダー人材の育成もアメリカの成功のもとです。

それが全て寄付で賄われていることのもアメリカの歴史文化です。

むろん西海岸ではスタンフォード大学の広大なキャンパスも見学に連れて行きました。

実はボストンではロボット企業いくつか見学したいと思ったのですが、すべて断わられました。

ほとんどロボット企業は軍関係の資金を受けているでしょう。

軍事利用が最大のロボット需要かもしれません。地上軍として人的損害を出しませんから。


シカゴでは国際工作機械見本市に行きました。

世界最大級の工作機械見本市で最先端の工作機械が展示されていました。

ただ来るべき電気自動車の時代にこの業界が受ける衝撃を考えると見え方が変わります。

この見本市はアメリカの製造業の伝統的な雰囲気を再認識する場でもあります。

私事ですが、日頃お付き合いが金融関係やIT関係そしてコンサルティング関係ですので

その世界のアメリカ人とは違う、純朴で人懐っこい感じの人々を見るとほっとします。

これもアメリカです。


いつもの事ですが、私はメイン会場ではなくロボットや新興企業が展示している物を見て回りました。

これは次の時代のテクノロジーがベンチャーによって展示されているからです。

“すでに起こっている未来”を見つける、これが重要です。

次にシカゴ博物館にあるものを見に行きました。

受胎後8週間から37週間までの胎児の標本がずらっと並んでいます。

この世界に生れ出る前の人間です。これも30数年前に見ました衝撃を受けました。

命の尊さを確認する聖地です。人体のスライスした標本も衝撃的です。


そしてシリコンバレーに入りました。研究室のOBが何人か仕事しています。その一つのGoogleに行きました。

いつ行ってもものすごい活気があり大学のキャンパスのようです。まさに自由闊達の雰囲気です。

シリコンバレーは多様な才能と情報の巨大なるつぼで、これがイノベーションを生んでいるのです。

古典的なイノベーションの定義では新結合がイノベーションされていますが、

まさに出会いと混淆の場がイノベーションを生むプラットホームだと再確認しました。

この規模のプラットホームはここ以外無理でしょう。

世界中から才能が集まり、企業から企業へ転職することによって、巨大なるつぼが形成されているわけです。

シリコンバレーは世界の才能と人財を独占しています。

一人一人の能力は決して日本人は負けることありません。

ただ巨大都市東京でも才能の数と多様性が小さすぎます。


日本にイノベーションのプラットホームをどう作るか、これが日本の成長戦略の本質です。


シカゴ科学産業博物館の強烈な展示: 夢にまで出てきそう

http://blog.chase-dream.com/2011/01/25/1173


◆俯瞰のクッキング◆

社会的には高齢化が大きな課題ですが、これは寿命が伸びれば必然的にどの国でも起こることです。


問題は寿命が延びた高齢者が社会的な負担となることです。

とりわけ生きていながら自律的な生活ができないと家族や社会の負担が大きくなります。

ですから寿命延伸もさることながら自律的な生活が出来る健康寿命延伸が極めて重要です。


最近の調査では静岡県の浜松市が健康寿命で日本一です。

浜松市のある静岡県など健康寿命が長いところは食材が豊かで、就業率が高く、

喫煙率は低い傾向があったとあります。

平均寿命と健康寿命の差はじつに男性では10年、女性では12年です。

浜松市の場合は最短の健康寿命に対し実に5年も長いのです。財政的なインパクトも大きいでしょう。


平均寿命では長野県が1位です。長野県の調査では理由として就業率が女性4位、男性5位、

65歳以上の男性の就業率が全国1位(いずれも2007年)の特徴がみられたとしています。

さらに研究チームは「高い就業意欲や積極的な社会活動参加により生きがいを持って暮らしている」

ことが健康長寿の要因の一つとの見方を示しています。

他にも男性の習慣喫煙率が全国で44位(06年?10年)、女性の野菜摂取量が全国1位(同)と

「健康に対する意識の高さ」も特徴的だったとしています。

ではその野菜の摂取ですが、ロンドン大学の研究では野菜果物を毎日5品目とると死亡率が16%下がるということです。

あくまで新鮮な野菜と果物で、フルーツジュースのようなものではありません。


私は毎朝、人参、セロリ、レモンのジュースを作って飲んでいます。

オメガ3のエゴマオイルも入れていますが、加えてミニトマト、

ブルーベリー(ただし冷凍) 、さらにリンゴとかミカン、プラムなど季節によって食べます。

したがってここまでで5品目になります。そして少なくとも夕食には野菜料理を1ないし2品取りますから合格点ですね。


さらに踏み込んで、食すべき野菜は何かということになります。

ネットの記事では、スイスチャード、ルッコラ、コラードグリーン、チンゲンサイ、ケール

とありましたが馴染みがない野菜が多いです。

前回は同様の記事として紹介した紹介した“最強の野菜は何?”の記事の方が判りやすいでしょう。

いつも食べている野菜をちょっと変えると強力野菜になるという記事もあります。


健康寿命、浜松市が1位

http://digital.asahi.com/articles/ASG5R56TQG5RULBJ00M.html?iref=comkiji_txt_end_s_kjid_ASG5R56TQG5RULBJ00M

平均寿命と健康寿命との差

http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/dl/chiiki-gyousei_03_02.pdf

長野県が平均寿命1位の要因

http://digital.asahi.com/articles/ASG525QFMG52UOOB00R.html?_requesturl=articles%2FASG525QFMG52UOOB00R.html&iref=comkiji_txt_end_s_kjid_ASG525QFMG52UOOB00R

野菜果物は5品目取れば死亡率が下がる

http://irorio.jp/daikohkai/20140805/153122/

病気知らずの体をつくる5つの最強野菜

http://irorio.jp/asteroid-b-612/20140826/157786/

最強の野菜は何?栄養素密度ランキングで1位に輝いたのは「クレソン」

http://karapaia.livedoor.biz/archives/52168562.html

いつもの食材に置き換えるべき健康的な食べ物6選

http://irorio.jp/manamisgmt/20140611/138705/


◆ニューウェーブの俯瞰?手首の激戦?◆

9月9日の新型iPhoneの発表で世界が湧きましたがその時同時に、アップルがウェアラブル、Apple Watchを発表しました。

久しぶりの新製品です。ウェアラブルについては、サムスン、ソニー、モトローラなどが先に発売しており、

アップルが出遅れていましたがこれで遅れを挽回できるでしょうか。

デザイン的にはアップルらしいユニークな製品ですが、機能としては先行する製品と大差なくやや失望感があるようです。

ただこのアップルのスマートウォッチで、単なるスマートフォンとつながる情報機器から

毎日腕につけるオシャレな新型の時計の市場が広がっていくのでしょう。


といっても先行する健康情報を主体としたリストバンドからは進歩しています。

Jawbone UpやFitbitといった多くのシンプルなフィットネス・トラッカーは、

いわば加速度計の万歩計の延長でしたが、腕で心拍数が計測できるとのことです。

加えてiPhoneのような情報端末としての機能がありますから、これまでのリストバンドの製品は脅威を感じるはずです。


宿命のライバルとも言えるGoogleも、同社の基本ソフト「アンドロイド・ウエア」を搭載した

新しいスマートウォッチを発表しましたが市場ではまだまだ新参者として見られています。 AppleのスマートウォッチがiPhoneとの強い連携を想定しているのに対し、

GoogleはBluetoothを使って各社の各種のウェアラブル機器を連携させることを考えているようですが

すべてはこれからでしょう。


各社がこの腕につけるウェアラブル機器に熱いのは、この市場が急成長すると見込まれているためです。

調査会社によると2015年には世界中で5,000万台近い出荷が予想されています。

そしてこの市場はまずアップルが牽引すると見ています。

従って当座は、先行メーカーはAppleが開く市場の成長の恩恵を受けることになる

と思いますが、すでにスマートフォンで見えている構図である、高機能で高価格のアップルと

低価格の中国メーカーの挟み撃ちに苦しむことが予想されます。

もしかしたらいきなり低価格端末に強いXiaomi(小米科技)が市場を席巻する可能性もあります。


今はナイキやアディダスというスポーツ企業がフィットネス用に新製品を投入して頑張っています。

私も2?3試しましたがフィットネスと睡眠だけでは飽きてしまいました。

いつもの事ですが、ソニーも当初自社独自のプラットホームに固執しましたが、 Androidの新型を発表しています。

スマートフォンの惨敗の印象が強いですから成功をあまり期待できません。

むろんサムソンとLGという韓国勢も新製品を投入してきています。

ここでサムソンはあくまで独自OSの製品を発表し、大きな賭けに出ています。

LGはAndroidベースです。


ウォッチといえば本家はスイスです。

潜在的市場価値が930億ドル(約9兆7,000億円)とも言われるウェアラブル市場に対し

スウォッチグループは他社と提携せず、同社単独で参入するとのことです。

きっとデジタル企業やネット企業のセンスは全く違う新しい分野のスマートウォッチを市場に投入してくるでしょう。

最後に画期的というか極めてユニークなウォッチが、

戦乱に揺れるウクライナの企業から発表されています。文字盤がないのです。

リストバンドに付いている小型のプロジェクターで手の甲に情報を投影するというのです。

いかにもベンチャー企業らしいイノベーションです。


それにしてもこういった近未来の市場に対する日本企業の存在感が寂しいですね。

東芝もリストバンドを発表していますよ!

以下、発表文から:

---本商品は、加速度センサーで測定した情報を分析し、歩数・移動距離・消費カロリーなどの「活動量」と

睡眠時間・睡眠サイクルなどの「睡眠」を推定するリストバンド型の活動量計。

算出されたデータはBluetoothでスマートフォンへ転送され、専用アプリ上にグラフ等で表示される。

「食事」については専用アプリ上で写真を記録でき、活動量・睡眠・食事をトータルで管理することが可能---


これイノベーション?これで新市場へ参入?ビジネスモデルはどうなっているの?

いつから日本の企業は突破力を失ってしまったのでしょう。

企業文化、統治機能、人材育成すべての面で時代の変化に遅れてしまったのでしょう。

時代に同期できない経営者が権力にしがみ付いていては、企業は衰退します。

企業トップの定年をあえて60歳にすることを提案したいですね。

経験知は他社の社外役員で社会に還元するとか、まだ仕事したい人はベンチャー立ち上げたらどうでしょうか、

もしくは社会貢献活動で健康維持を図られたいいと思います。


Apple Watchの登場で始まるこの冬のスマートウォッチの進化競争

http://news.livedoor.com/article/detail/9241767/

アップルウォッチに見るイノベーション力

http://www.newsweekjapan.jp/column/takiguchi/2014/09/post-880.php

アップルの「Apple Watch」、ライバル他社を青ざめさせる

http://news.livedoor.com/article/detail/9251846/

グーグルのスマートウォッチ まだ産声を上げたばかり

http://jp.wsj.com/news/articles/SB10001424052702304057704579649272961603760?tesla=y

グーグルの「Android Wear」、Bluetoothヘッドセットとの連携やGPSに対応

http://japan.cnet.com/news/service/35053233/

ウエアラブルバンド市場はAppleがけん引、2015年の出荷台数2.3倍に

http://itpro.nikkeibp.co.jp/atcl/news/14/091200861/

アディダスやナイキが開発するスマートウォッチが進化している

http://matome.naver.jp/odai/2138259316889164401

ソニー「SmartWatch 3」がAndroid Wear

http://k-tai.impress.co.jp/docs/event/ifa2014/20140903_665052.html

サムスン Gear S発表、3G対応スマートウォッチ

http://japanese.engadget.com/2014/08/28/gear-s-3g-os-tizen/

Android Wearの第1弾、スマートウォッチ「LG G Watch」

http://gigazine.net/news/20140707-lg-g-watch/

スウォッチグループは他社と提携せず、同社単独で参入

http://wired.jp/2014/09/04/swatch-touch-smartwatch/

文字盤がないブレスレット型腕時計「Ritot」が凄い!

http://matome.naver.jp/odai/2140816880282594601

東芝:2週間充電不要のリストバンド型活動量計を8/20に発売

http://www.sakurafinancialnews.com/news/6502/20140811_9


◆俯瞰の書棚◆

今回のご紹介は「月の裏側」クロード・レヴィ=ストロース 中央公論新社 2014です。

この本は「悲しき熱帯」で有名な文化人類学者のレヴィ=ストロースの比較的最近の講演や対話集を編集したものです。


レヴィ=ストロースは2009年に100歳でこの世を去っています。

間違いなく20世紀の「知の巨人」でです。この本は最近新聞の書評欄で見つけて読みましたが、是非ご一読をお勧めします。

また訳者の川田順三教授は「悲しき熱帯」の翻訳者であり生涯友人関係であったようです。

最良の翻訳者だと思います。

この本は九つの記事から構成されていますが、最初の「世界における日本文化の位置」と

次の「月の隠れた面」が特に興味深いですね。


レヴィ=ストロースは幼少の時、画家であった父親から勉強のご褒美に浮世絵をもらって

これを大切にしていた関係でしょうか。日本に対する興味と深い愛情が滲みでています。

彼は人類学者の仕事は、「土着の人たちが近すぎて知ることができなかった全体の眺めを消化して輪郭に還元された眺めを提供することである」としています。

まさに俯瞰的視座です。その視座から日本についていくつか含蓄の深い認識を述べています。


まず西洋人は神話と歴史をはっきりと分けているのに対し、

日本では神話と歴史の相互が親密につながっているとしています。

この本を読んで初めて知りましたが1876年にはイギリス人によって「古事記」と「日本書紀」が西欧に紹介され

1880年と1890年になんと英語訳とドイツ語訳が出版されているのです。


当時開国したばかりの日本に対する西欧の関心と研究熱心さに驚きます。

そしてさらに興味深いのはこの翻訳も出ていない1755年に、あのジャン=ジャック・ルソーは

「あまりに僅かしか知らされていない文化を、現地に行って研究することが緊急に必要であろう」と

北半球では15ほどの国を挙げそして「特に日本は」と日本に対し特別な地位を与えています。


レヴィ=ストロースは文化人類学者の立場から日本の神話に独自のものはなく、

アメリカ先住民と日本とインドネシア三地域の神話は細部に至るまで一致していると言っています。

では日本文化の独自性は何かというと、大陸の東の端という地理的環境と断続的に孤立していた状況が、

日本を出会いと混淆の場にし、一種のフィルターや蒸留器のような機能を持たせたと言います。

そして日本の旧跡時代は他に類を見ない豊かな時代であったと同時にそれに続く縄文の時代こそが日本的美意識の変わることのない特徴を与えているとしています。

そして構造主義の視座からは日本は「分割主義」であり絵画でも料理でも音楽でも共通しているというのです。


絵画の大和絵は、描線をはっきりさせその部分、部分に鮮明な彩色をしている、

料理においては素材や味を混ぜ合わせることを避け、素材を盛り、食べる時に各自が主体的に組み合わせをして食する、

そして音楽でも和音の体型がなく楽音と虫の声のような噪音が巧みに組み合わされているというのです。

そして日本人については「日本では一人一人が熱心に自分の勤めをよく果たそうとしている事に心打たれる」としています。


さらに日本はヨーロッパからそしてアメリカから多くのものを受け取りましたが

それらを入念に濾過し最上の部分だけを上手に同化したので、現在でも日本文化は

その独自性を失っていない、即ち明治時代の初めに日本が西洋と対等になろうとしたのは

西洋に同化するためではなく、西洋から自分をよりよく守るための手段を見つけるためだった、

としています。まさに慧眼ですね。


日本らしさとして挙げているのが、音楽、グラフィック・アート、そして料理です。

ちなみに晩年の好物は炊飯器で炊いたご飯と海苔だったそうです。それで100歳!

この本を一読すると日本に対する認識が深まり俯瞰的な理解が深かまると思います。

別な本の

「レヴィ=ストロースの庭」港千尋 NTT出版、

は写真集ですがレヴィ=ストロースの世界を理解するのに良い本だと思います。



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◆内容・記事に関するご意見・お問い合わせ/配信解除・メールアドレス変更

右記まで  webmaster@fukan.jp

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◆俯瞰 MAIL 0043号(2014年9月24日)

発行元:     一般社団法人 俯瞰工学研究所

発行人:   松島克守

編集長:   松島克守

URL:     http://fukan.jp


俯瞰メール42号

皆様

◆時候のご挨拶◆

梅雨も明け、猛暑です。子供のころは35度というのは特別な日でしたが最近は連日どこか

でこれくらいの気温に達し、熱中症で病院搬送あるいは死亡のニュースです。平均気温が3

度くらい上昇すると植生も変わり、人間の熱に対する耐性の限界を超えるのかもしれません。

電力消費のピークと供給も気になります。

前回から少し間が空きましたが42号をお届けします。今回は参照先を少し多めにあげまし

たので夏休みで時間が空いたときにでもゆっくり元情報をお読みください。

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・世界秩序の再形成に向かうのか

・安倍政権の支持率が落ちてきたのは何故か

・韓国経済の変調が気になります

・今年も東大本郷で俯瞰経営学の授業を開講しました

・俯瞰のクッキング ?健康にいい野菜のランキング?

・ニューウェーブの俯瞰 ?グーグル帝国の中に取り込まれる我々?

・俯瞰の書棚 「近代ヨーロッパ史」 福井憲彦 筑摩書房2010

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◆世界秩序の再形成に向かうのか◆

最近の国際情勢のニュースを追っていくと、歴史的な世界秩序の変化の時代にあるという

認識に至ります。

ウクライナ情勢はマレーシア機の撃墜を受けて、一気に緊迫した情勢になりました。

さすがにこれまで対ロシア追加制裁について経済的な理由からためらっていたEU諸国も対

ロシア追加制裁に踏み切りました。経済的には双方に相当のマイナス要因となり世界経済

の成長を阻害することになるでしょうが。

一方このマレーシア航空機撃墜による緊迫した政治情勢は、意外とウクライナ情勢の終結

を早める結果になるかもしれません。というのは冷戦時代を思わせるプーチン大統領のKGB

的な古い力の外交が破綻したわけです。さすがプーチン大統領も供与した対空ミサイルで

親ロシア派が民間機を撃墜するとは予想もしなかったのでしょう。

今の段階ではロシアの世論はプーチン大統領の親ロシア派支援を支持していて、安易な妥

協は弱腰としてプーチン政権を弱体化しかねませんが、元々経済状況がよくない上に今回

の制裁で経済成長がマイナスになるようなことになれば国民も冷静な判断をできるように

なるでしょう。そして多分、結果として親ロシア派に対する支援を縮小もしくは中止せざ

るを得ません。その結果新しいウクライナ体制が形成される可能性があります。

なぜここまでプーチン大統領がウクライナでリスクをとろうとするかという議論がありま

すが、私はプーチン大統領が非常に追い詰められた状況にあることが、クリミア併合に始

まるウクライナ情勢の要因ではないかと推察します。

というのは冷戦終結後に旧ソ連の支配下にあったポーランド、ハンガリー、バルト海3国、

チェコ、スロバキア、ブルガニア、ルーマニアはワルシャワ条約機構と対峙したNATOに加

盟し国境線を保証され、さらにEUにも加盟することによって西欧としての経済発展を続け

ています。ウクライナとベラルーシは旧ソ連邦であり、ロシアにとっては歴史的にヨーロ

ッパからの侵入に対する防御線です。絶対にNATOやEUに譲るわけにはいかないという信

念でしょう。

ただ、 NATOとEUに加盟した東欧諸国は経済的な発展を続け、ロシアおよびウクライナと

ベラルーシは経済的に取り残されています。国民が自動車を買ったり、テレビを買ったり、

服を買ったり、そんな生活水準の実感である、“一人当たりの購買力平価GDP ”の推移を調

べてみると、下記にありますがすでに“大国ロシア”はポーランドに抜かれています。従

って強権をもってしてもプーチン政権から民心が離れ弱体化していきます。これに対処す

るためにはウクライナやベラルーシおよびその他の旧ソ連邦諸国との経済連携が緊要課題

です。ですからウクライナは譲れないのでしょう。

ついにイスラエルがガザ地区に地上侵攻しました。多くの市民の犠牲もでています。悲劇

と恩讐の連鎖です。まさに泥沼的な状況です。アメリカの必死の停戦仲介も聞きません。

隣国のエジプトはアラブの春から一転にしてイスラム原理主義を許さない軍事政権にかわ

り、ガザ地区との経済交流を絞りました。ガザ地区を実効支配しているハマスはシーア派

のイランの支援を受けていても経済的に困窮します。となるとその矛先はイスラエルに向

かいます。しかしハマスが長距離ミサイルを入手してイスラエルの市街地をロケット攻撃

すればイスラエルとしてはその攻撃力を撃破するしかありません。誰がミサイルを供与し

ているのか?判ったたような気がしますが絶望感があります。

イラクではスンニ派が武装組織「イラク・レバントのイスラム国(ISIL)」という独立国家

を宣言し、イラク情勢は一気に緊迫した情勢になりました。イラク南部の油田を抑えるシ

ーア派、そして中部の油田を抑えるISIL 、北部の油田を抑えるクルド勢力という事実上3

国に分かれる可能性が高まってきました。もともとこの利権を狙ってアメリカのブッシュ

大統領とイギリスのブレア首相という列強が仕掛けたイラク戦争の結末です。かつてのイ

ラク戦争でも多くの貴重な文化財が失われましたが今回はウラン化合物が武装勢力にわた

るという事態まで起こっています。

シリアでも内戦が悲劇を産んでいます。すでに犠牲者は17万人を越えそのうち9,000人を

超える子供が犠牲になっていると報告されています。ここもシーア派のアサド政権とそれ

に対抗するスンニ派諸国の支援を受けた武装勢力の戦闘がこの悲劇を産んでいます。この

地域の悲劇的な混乱の、もともとの原因は列強の利権争いですが、そこにスンニ派とシー

ア派という宗教勢力の敵対構造が、着地点が見えない悲劇的な騒乱という火に油を注いで

いると思います。

アフガニスタンでも政情は不安定で、大統領選挙も決着がついていません。悪くすると内

戦状態にまた入る可能性があります。ブッシュ大統領の、あのアフガニスタン戦争は一体

何を追求したものだったのでしょうか。このような列強の思惑で始まり広がった戦乱に、

列強が武器を供給しそれが拡散し、次の混乱を発生させていくという悪魔の連鎖が止まり

ません。

シリアからの難民が流入しているというトルコですが、このトルコも変調をきたしていま

す。エルドアン首相の言動が国内情勢をおかしくしていますが、ここでもイスラム教が影

を落としています。もともとトルコは建国の父であるケマル・アタテュルクの脱イスラム

主義を国是にしてきましたが、ここに来て現政権が宗教を持ち込んできました。これに対

する国民の反発が混乱を招きました。エジプトの反イスラム政権との関係もギクシャクし

ています。

このエルドアン首相も理解に苦しむ行動を起こしています。NATO加盟国であり、EU加盟を

希望しているトルコですが、 セキュリティーに関して懸念を持つNATOの強い反対を押し

きって通信インフラを中国企業に発注し、さらに新幹線も中国企業に発注するという中国

よりの外交をしています。ただこの中国製の新幹線はエルドアン首相も参加した開通式に

故障してしまいました。この地域の安定性を脅かす存在になるかもしれません。他の“ア

ラブの春の諸国”も政情不安と混乱が続いています。

長々と中近東の国際情勢について書いてきましたが、日本は今日現在エネルギーの大半を

中近東に依存していることを忘れてはなりません。この地域の混乱は日本の安全保障の最

重要課題でもありますから、私たちは常にこの地域の状況を把握し必要あれば危機回避の

行動を速やかに取らなくてなりません。そしてこの地域の人々は非常に親日的です。将来の市場としても極めて有望です。

集団的自衛権の議論も歴史的な世界秩序の変化の時代だという俯瞰的認識の視座でなされ

なければいけません。 詳細は下記のサイトで。

 

EU、対ロシア追加制裁を決定

http://jp.wsj.com/news/articles/SB10001424052702304126704580059654207131796

プーチン政権想定外のマレーシア航空機撃墜 ウクライナ東部安定化へのカギ

http://diamond.jp/articles/-/56454?display=b#gunosy

悲劇の地図:マレーシア機残骸はいかに散らばったか

http://jp.wsj.com/news/articles/SB10001424052702304180804580060720793820134

プーチンはなぜウクライナで大きなリスクをとろうとするのか

http://m.jp.wsj.com/articles/SB10001424052702303828304580044083486180818?mobile=y

旧ソ連圏ヨーロッパ各国の一人当たりの購買力平価の推移(1980?2014年)

http://ecodb.net/exec/trans_country.php?type=WEO&d=PPPPC&s=1980&e=2014&c1=LV&c2=EE&c3=RU&c4=LT&c5=PL&c6=CZ

国際宇宙ステーションからガザ地区

http://www.huffingtonpost.jp/2014/07/24/gaza-from-the-iss_n_5616084.html

イスラエル軍、ガザに地上侵攻 09年以来、犠牲拡大も

http://www.asahi.com/articles/ASG7L1VPJG7LUEHF001.html

イスラエル、ガザ攻撃を再開 休戦延長白紙に

http://www.asahi.com/articles/ASG7W3GNBG7WUHBI001.html

緊迫のイラク情勢 いったい何が起こっているのか?

http://thepage.jp/detail/20140618-00000001-wordleaf

ウラン化合物が暴徒の手に 国連に報告「拡散の危険はない」

http://sankei.jp.msn.com/world/topics/world-14898-t1.htm

高まる原油価格高騰リスク

http://diamond.jp/articles/-/55116

拘束後に首切断…イスラム国、シリア軍兵士50人を殺害

http://sankei.jp.msn.com/world/news/140726/mds14072611400006-n1.htm

死者17万人超、人権監視団が集計 子供も9千人超

http://sankei.jp.msn.com/world/news/140711/mds14071100200001-n1.htm

シリア出国、トルコにあつまる密航希望者たち

http://middleeast.asahi.com/watch/2014072900001.html?iref=comtop_rnavi_chumo_l

アフガニスタン大統領選、全投票の再調査で合意 雪辱を期すアブドラ候補の思いとは?

http://www.huffingtonpost.jp/2014/07/13/afghanistan_n_5581533.html

トルコとエジプトの関係が悪化―エルドアン首相の言動で

http://jp.wsj.com/news/articles/SB10001424052702304067104580054352682052256

中国、高速鉄道を海外輸出 「中国標準」規格の普及狙うもトルコ首相の乗った一番電車で

トラブル

http://www.huffingtonpost.jp/2014/07/29/turkey-high-speed-rail-maid-by-china_n_5629155.html

リビア:首都で燃料タンク炎上 高まる内戦突入への懸念

http://mainichi.jp/select/news/20140730k0000m030078000c.html

 

◆安倍政権の支持率が落ちてきたのは何故か ◆

メディア各社の世論調査では安倍政権の支持率が落ちてきたようです。集団的自衛権では

強引なリーダーシップで大きく国民の支持を減らしました。特に若い世代の支持率が急激

に落ちているようです。憲法9条の、「交戦権はこれを認めない」を憲法改正ではなく内閣

の判断で超える(オーバーライド)という知恵はだれが授けたかわかりませんが、わから

ない陰の力で安倍首相もやらざるをえなかったという仮説も考えられます。その事情を聞

かされた公明党も妥協したと。平和主義と護憲を結党の旗印にしている公明党も苦悩の決

断でしょう。か単なる“政治家の信条”と“政治判断”かもしれませんが。

ただこの後、国民が白けた気分になったことは事実で、国民が安倍首相に体を張ってやっ

てもらいたかったのは経済政策で、少子化対策、規制改革、医療。教育・・でした。これ

も抵抗勢力の骨抜きで何かと、特区で済ますのでは白けますね。日本全体を特区にするの

が国政ですから。国民の、特に若い層の白けた気分、これが内閣支持率低下の原因で、経

済停滞に繋がりかねません。

日本経済に対する情報はプラス材料もマイナス材料もありますが、基本的に自動車、電機

という基幹産業は業績が好調です。この段階では白けた国民の情緒を明るく持ち上げてい

く必要があります。我々もメディアの悲観的な意見や見解に引きずりこまれないようにし

ないといけません。楽観的な見解や予想よりも悲観的な見解のほうが何故か受け入れられ

やすいという“日本人のサガ”がありますので。このような悲観的なメディア報道こそチ

ャンスだという意見や歴史的な大波が来るという株屋さんの話を聞くのも精神的にいいか

もしれません。

さすが日銀は、景気は停滞気味でデフレ脱却も道半ばだといっていますが立場上そう言う

しかないでしょう。

 

内閣支持率、50%を切る 特定秘密保護法の成立時より高い

http://www.huffingtonpost.jp/2014/07/03/cabinet-approval-rating-abe_n_5556779.html

日本の成長率引き上げ「アベノミクスを反映」 IMF専務理事

http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM3000T_Q4A730C1EAF000/

電機大手7社、業績回復度合いで明暗 ソニー、再建は厳しいまま

http://www.sankeibiz.jp/business/news/140801/bsb1408010500001-n1.htm

鉱工業生産3.3%低下 6月「弱含み」 7、8月は回復見込む

http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20140730&ng=DGKDASFS30H07_Q4A730C1MM0000

景気回復「腰折れ」報道は本格回復のサイン(澤上篤人)

http://www.nikkei.com/money/column/moneyblog.aspx?g=DGXNASFK0100V_01072014000000

6月の全国消費者物価3.3%上昇 13カ月連続プラス

http://www.nikkei.com/article/DGXNNSE2ICP01_T20C14A7000000/

6月景気ウオッチャー調査で反動減薄らぐ、先行き家計関連が悪化

http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0FD0BQ20140708

歴史的大相場の入り口? 景気サイクルに乗る投資

http://www.nikkei.com/money/features/37.aspx?g=DGXZZO7457357022072014000000

増税後の国内景気に漂いはじめた停滞感

http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20140710/407004/

デフレ制圧が視野、物価2%は道半ば=中曽日銀副総裁

http://www.newsweekjapan.jp/headlines/business/2014/07/130783.php

全9地域の判断据え置き、人手不足がリスク要因に=日銀地域経済報告

http://jp.reuters.com/article/vcJPboj/idJPKBN0FC0C320140707

「デフレ脱却」で賃金は下がり、景気は悪化する

http://www.newsweekjapan.jp/column/ikeda/2014/07/post-867.php

 

◆韓国経済の変調が気になります◆

韓国の経済の変調が気になります。あの沈没事故以来いろいろな事故のニュースが入って

きています。自粛ムードで消費の落ち込みのような経済的な影響もあるかと思いますが、

ウォン高による韓国の主要な製造業の業績が落ち込んでいます。

特に韓国のGDPの16%を占めるといわれるサムスンの不調が注目を浴びています。収益の

柱だったスマホの不振が業績の足を引っ張っているようです。スマホとタブレットで業績

を伸ばしてきたサムスンですが、この市場ではAppleのiPhoneと中国の低価格製品の挟み

撃ちなっています。これはこの業界の典型的なジレンマで、価格競争力のあるメーカーと

ブランド力が強い上位機種メーカーの間に挟まって身動きの取れない状況に陥っています。

 Appleは、中国市場では出遅れましたが中国における4Gサービスの普及によって低価格の

機種からAppleの乗り換えが好調です。そして中国にはAppleのアプリケーションを開発

してApp Storeに売り出そうとするプログラマが15万人もいると言われています。 次の

iPhone 6でも成長が期待されています。

中国では携帯やスマートフォンの生産の基盤が急速に整備されています。そして多くのチ

ップやプロセッサーのメーカーが台頭しています。そのメーカーからの設計図も提供され

ますので誰でも低価格のスマホは製造できます。

中国のスマホの市場は低所得者層が牽引役です。低価格のスマホのセグメントは中国スマ

ホメーカーの独壇場です。主なメーカーはHuawei(華為)、ZTE(中興)、Lenovo(聯想)、

Xiaomi(小米)が有力ですが、いずれも東南アジア、北米、欧州そして南米とグローバル

展開していますから海外でもサムスンはシェアを奪われていくでしょう。低価格のスマホ

メーカーとしての強力なライバルはインドにもいます。

ただサムスンが不況でも日本の部品メーカーはあまり影響を受けない構造に既になってい

るようです。かつてのAppleショップから供給先を分散してリスクを下げているようです。

このような市場競争の脅威に加え、サムスンは内部的に深刻な課題を抱えています。 1つ

は工場における労働問題で、国内でも深刻な訴訟等を抱えていますし、海外工場での子供

の労働問題も告発されています。韓国企業は全般に急速な拡大路線をとってきましたが、

安全や品質面で手を抜いてきたツケがいま回ってきていますので、これからは安全と品質

という内部構造を改善しそのコストを払っていかなければなりません。

さらにサムスンはこの成長を主導して来た会長が倒れ、その回復が見えません。何れにし

てもサムスンの次世代の形がどうなるか大きな懸念です。もともと現会長も兄弟との争い

から経営の主導権を奪い、グローバル企業サムスンを作ってきましたが、その会長の次世

代がこの巨大企業をうまく引き継いで成長路線を続けられるかが課題です。もともとサム

スンの支配構造は複雑な資本関係によってわずか数%の持ち株でオーナーが支配してきま

したがこの構造がそのまま継続できるのかも疑問です。

IBMに在職時に、サムスンが日産自動車と提携して自動車事業を起こす支援をしている韓国

IBMの自動車産業マーケッティングチームのサポートで、現代自動車の蔚山工場にも行き、

サムスン自動車にも行きましたが、現代自動車の幹部とサムスン自動車の幹部では全く印

象が異なりました。現代自動車は我々日本人にはきわめて紳士的で迎賓館で食事が出まし

たが、サムスン自動車は非常にアグレッシブで猛々しいマネージャー達だったと思います。

韓国IBMの営業も現代自動車の営業担当はいいがサムスンの営業担当にはなりたくないと

言っていました。多くの幹部は米国での教育を受けており非常に優秀です。ということで

一族経営から日本と同じような非同族の経営形態に移行しても十分やっていけると思いま

すが。

サムスンと並んで韓国経済を牽引する現代自動車の業績も悪化しています。ウォン高ドル

安が響いたとされていますが、李明博前大統領の推進したアメリカとEUとのFTAも効いて

います。これまで現代自動車の独壇場であった韓国国内市場はヨーロッパ車と北米からの

輸入で高級車のシェアをどんどん失っています。北米市場でも日本メーカーがいったん失

ったシェアを回復しています。

現代自動車もウォン高ドル安という為替要因以外に、北米での大規模なリコールによるブ

ランドイメージの低下とそれによる販売不振という構造的な問題があります。リコールの

内容も雨漏りがするという、考えられないような不具合です。加えて韓国での生産では強

力な労働組合との問題があり、しばしば大規模なストライキのため供給が滞ることが起こ

ります。ここでも安全、品質、労務管理という内部構造の改革と整備に時間とコストかけ

なければなりません。

このような韓国経済の変調に加え、政治的には朴槿恵大統領の支持率が大幅に落ちていま

す。なにしろ「セウォル号」の沈没事故以降いくつかの事故も重なり、政府の対応のまず

さが国民の非難のもとになると同時に、その余波で首相すら決められない状態です。もと

もと社会に大きな格差があり矛盾があると言われていますからそれに対する国民の不満は

大きいようで、若年層の支持率が極めて低く20代では23% 、 30代では31%しかないと

報道されています。現政権で効果的な経済政策が遂行されるか懸念があります。

朴槿恵大統領は反日と親中の外交を推進していますが、日本と韓国は歴史問題が存在する

ほど密接な隣国であり、経済活動も非常に濃密なネットワークを形成していますから韓国

経済の変調は日本経済に大きな影響を与える可能性があります。サムスンも現代自動車も

日本に追いつき、追い越してグローバル企業に成長した企業です。それが短期間でその輝

きを失っていくのを見るのは複雑な気持ちです。

日韓、日朝、韓中ともつれていますが、日本と韓国の協調こそが両国の戦略的な利益につ

ながると思いますので韓国経済の復調を期待したいですね。

 

韓国GDP0.6%増、沈没事故が響き減速 4?6月 民間消費5四半期ぶりマイナス

http://www.nikkei.com/article/DGXNASGM24H0H_U4A720C1MM0000/

韓国で列車が正面衝突! 1人死亡、80人重軽傷

http://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/000031194.html

事故に揺れる韓国経済の「今」

http://www.tv-tokyo.co.jp/mv/nms/feature/post_70694/

ウォン高逆風…韓国製造主要5社中4社で減益

http://www.yomiuri.co.jp/economy/20140728-OYT1T50125.html

サムスン電子が大幅減収減益 スマフォ不振

http://www.sankeibiz.jp/smp/business/news/140708/bsb1407081155002-s.htm

サムスン電子、スマホ不振でモバイル部門トップ苦境

http://m.jp.wsj.com/articles/SB10001424052702304180804580062252247776026?mobile=y

サムスンにふりかかる“チャイナパニック” 日本製品に頼る韓国製造業の現実

http://www.sankeibiz.jp/business/news/140723/bsj1407231115001-n1.htm

iPhone 6と中国メーカーに脅かされる、サムスンの苦境

http://www.huffingtonpost.jp/2014/07/25/mobile-china-apple_n_5622507.html

中国のスマホは、中国が作る

http://techon.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20140708/363840/?n_cid=nbptec_r_NTO&rt=nocnt

サムスン変調でも冷静な部品各社 分散供給が奏功

http://it.igiw.net/?p=7226

なぜアップルとサムスンは訴訟闘争を続けるのか?

http://diamond.jp/articles/-/39889

サムスンの工場の過酷な環境。子供に時給120円で11時間の強制労働、しかも深夜勤務

http://blog.livedoor.jp/itsoku/archives/40030995.html

サムスンの「ブラック度」を告白

http://news.livedoor.com/article/detail/8412597/

サムスンの創業者一族、巨大帝国の支配力維持は困難か

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-N922Q66TTDSC01.html

サムスン電子に続き…製造業の韓国代表現代自動車にも赤信号

http://japanese.joins.com/article/500/187500.html?servcode=300&sectcode=300

現代自の4?6月期営業益 13.3%減=ウォン高響く

http://japanese.yonhapnews.co.kr/headline/2014/07/24/0200000000AJP20140724002500882.HTML

米国で主力車88万台をリコール 韓国現代自動車

http://www.sankeibiz.jp/smp/business/news/140731/bsa1407310905003-s.htm

現代自動車 労組、賃金合意を賛成多数で承認しスト終結

http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPL3N0H605620130910

正念場の韓国大統領 若者離れを侮れない事情

http://www.nikkei.com/article/DGXNZO74519820Z10C14A7TY9000/

 

◆今年も東大本郷で俯瞰経営学の授業を開講しました◆

今年も東大の技術戦略経営学専攻で俯瞰経営学の授業をしました。現役の時から数えると

11年目の授業、退官して6年目です。内容は少しずつ進化しています。ただ私の定年後は

単位がつきませんが自主ゼミとして開催を学生から求められているので続いています。前

年度受講した学生の中の有志がTAとして授業の設定をしてくれます。

学生は受講を希望する約30名です。この学生は5人ずつ6チームに分かれて夏学期の間自

己研鑽を行います。というのはこの授業の目的は知識の習得ではなく、追求するものは「課

題に立ち向かい打破していく突破力」という「知的腕力」の鍛錬です。ここで「知的腕力」

とは正しく課題を認識し、その課題に関する“情報の収集、分析、編集のプロセス”を高

い水準でかつ短時間で成し遂げる知的能力です。毎回の課題がビジネス分野ですので結果

としてビジネスマネージメントの知識も付くということです。知識は教えられるものでは

なく自ら学ぶものです。それをファシリテーションするのが教師の役割です。

第1回目でチーム分けを行い、夏学期を通して研究対象とする企業を決めます。今年度は

研究対象企業として業界の二番手を選びました。 KDDI 、川崎重工、ドトール、サントリ

ー、 JAL 、ローソンです。業界二番手の経営は一番難しいかもしれません。

その企業を対象に会計、マーケティング、 技術戦略、戦略論、企業価値、 M&A 、経営学

 そしてその企業への変革の提言をしていきます。そして毎週課題について情報の収集、分

析、編集の成果をプレゼンテーションします。これ以外にビジネスリテラシーとして人事

管理、リーダーシップ、 ICT最先端技術、近代ヨーロッパ史を課題にしました。ほぼ例年

通りですが、新しい試みとして近代ヨーロッパ史、ドラッカーの経営学とICT最先端技術

を入れました。

近代ヨーロッパ史を追加した理由は、地球的規模で流動化する不安定な国際情勢を俯瞰的

に理解するには、現在が、欧米という世界支配体制の終焉と新しい国際秩序の形成の時代

だ、という事を認識する必要があるからです。 19世紀にイギリス、オランダ、フランス、

ドイツ、イタリア、スペイン、ポルトガル、ロシアというヨーロッパに国家が形成され、

それに新大陸のアメリカが加わり欧米が成立しました。そしてその欧米が地球的な利権を

奪い合う中で、 2つの世界大戦が起こり、さらに民族独立、冷戦が続きました。冷戦はゴ

ルバチョフの英断により終結しましたがその残渣が現在のウクライナ情勢を引き起こして

います。これらの国際情勢と今後の新世界体制を俯瞰的に理解するためには、 19世紀と

20世紀のヨーロッパ史の知識が必須ですから。ただこの課題はリーディングアサイメント

で「書評」をA4 で1枚程度にまとめさせました。

実はこの授業では日本語の、「読む、書く、話す、聞く」のスキルアップを重要な目標にし

ています。将来のリーダーとなる人材は日本語の能力において完璧である必要があります

が、これまで11年の授業でこの能力がほぼ完璧であった学生はゼロです。ただ基礎があり

ますから指導すればすぐに向上します。書評を「書く」という事は意外と難しいのです。

ドラッカーの論文ですが、彼が94歳であった2004年の「プロフェッショナルマネジャー

の行動原理」 、 1997年の「すでに起こった未来への準備」 、 1994年の「企業永続の理

論」 、 1991年の「知識労働とサービス労働の生産性」の4本の論文を読んで内容を要約

し、それを研究対象企業へどのように応用するかが課題です。改めて学生と一緒に読んで

みると極めて今日的な経営学であることを再認識させられました。特に「企業永続の理論」

は感銘を受けました。社会と市場の変化に絶え間なく対応していく変革力こそが経営の神

髄であると言明しています。

戦略論はマイケル・ポーター中心ですが、彼の理論も「競争優位の戦略」から進化し、今

やCSV(Creating Shared Value)です。コトラーのマーケティングも今は「マーケティン

グ3.0 」です。

興味深いのは、ポーターもコトラーもそしてドラッカーも経営のあるべき姿として、今や

社会的な課題を解決する行動が経営者の目指すべき目標であるとしている点です。このよ

うな論文の購読と理解も非常に高いレベルで学生は消化していきます。

下記に参考となる情報を紹介しておきますので、夏休みの時間を利用して読まれたらいか

がでしょう。それぞれ要約ですのでそれほど時間はかかりませんが内容は濃密です。実務

家は古い論文や書籍は読んでもしかたがないでしょう。

 

フィリップ・コトラーのマーケティング3.0

http://blogs.itmedia.co.jp/saito/2010/10/marketing30-6fe.html

http://social-sensing.com/archives/569

https://www.kinmei.co.jp/ideaplus/images/pdf/no63/pdf_book_no63_2.pdf

http://webcreate.united-youth.jp/marketing3/

 

マイケル・ 。ポーターのCSV(Creating Shared Value、共有価値創造)http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20110516/219999/

http://bizacademy.nikkei.co.jp/feature/article.aspx?id=MMACz2000007012013

http://www.csvjapan.com/cn20/csv.html

http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20110530/220297/

http://andomitsunobu.net/?p=6509

 

P.F.ドラッカ-「企業永続の理論」

http://www.ritsumei.ac.jp/~kazuichi/pdf/kigyoueizoku.pdf

http://www.bookpark.ne.jp/cm/contentdetail.asp?content_id=DHBL-BS199501-414

http://drucker-ws.org/wp/wp-content/themes/drucker_workshop2012/projects/pdf/annualreport_vol03.pdf

 

P.F.ドラッカー HBR全論文

http://toshimitsuhara.wordpress.com/2010/05/29/%E3%83%8F%E3%83%BC%E3%83%90%E3%83%BC%E3%83%89%E3%83%BB%E3%83%93%E3%82%B8%E3%83%8D%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%83%AC%E3%83%93%E3%83%A5%E3%83%BC2010%E5%B9%B406%E6%9C%88%E5%8F%B7%EF%BC%9Ap%EF%BC%8Ef%EF%BC%8E/

 

◆俯瞰のクッキング◆

喜ばしいことに日本人男性の平均寿命が80歳を超えました。 80.2歳です。女性も過去最

高の86.6歳で世界第1位です。ちなみに男性の平均寿命は第1位が香港、そしてアイスラ

ンド、スイスが続き日本は第4位です。

ただ気を付けないといけないのは平均寿命と健康寿命は、男性では9歳そして女性では13

歳の乖離があります。大切なのは健康寿命の延伸です。女性13年は膝の不具合が多く歩行

の傷害のため数字が悪くなるのでしょう。

その健康寿命のカギは生活習慣すなわち運動と食事です。質の良い食事は健康寿命の要で

すが特に野菜と果物摂取が重要といわれています。

ではどんな野菜が体にいいのかということですが、アメリカの研究者の報告によるとトッ

プはクレソンです。次はチンゲンサイなど中国野菜で続いてフダンソウ、ビーツの葉、ほ

うれん草、チコリ、リーフレタス、パセリ・・・です。詳細は以下のURLから。

このランキングは、アメリカ疾病予防管理センター(CDC)の機関誌「Preventing Chronic

Disease(慢性疾患を予防する)」に発表された研究で、健康に重要とされるカリウム、食

物繊維、タンパク質、カルシウム、鉄、チアミン、リボフラビン、ナイアシン、葉酸、亜

鉛、ビタミンA、B6、B12、C、D、E、Kの17の栄養素の含有量をもとに食品がスコア化さ

れそれに基づいたランキングです。

またよく地中海食が健康にいいと言われています。なぜいいのかわかっていなかったそう

ですが、オリーブ油がなぜ体にいいのかという研究結果も報告されています

硝酸塩や亜硝酸塩を多く含むホウレンソウ、セロリ、ニンジンを、体に良い脂肪を含むア

ボカドオイル、ナッツオイル、オリーブオイルと一緒に摂取することでニトロ脂肪酸が形

成されるということです。このような結果を見ると前の号で紹介したガスパチョやラタト

ゥイユはまさに健康食ですね。野菜ジュースに亜麻オイルとかエゴマオイル入れて飲みま

せんか。

ただ平均寿命ランキングを見るとスイスが第3位に入っています。見るところ乳製品と肉

が多く摂取されている国です。アイスランドも羊肉と乳製品そして魚です。何が身体に良

いのか迷いますね。

このところ健康に関する常識をひっくり返すような報告がいくつかあります。

例えば卵はコレスロールを増やすからいけないという説も疑問視されています。肉を食べ

るな、いやもっと肉を食べろとかいう話もあります。痩せすぎよりも少し太っていた方が

寿命は長いとか。要は質の良い油と質の良いたんぱく質、そして身体に野菜と果物をバラ

ンスよくとることが健康寿命の要点のようです。下記にあるフードピラミッドがその参考

になります。

 50年の歴史がある福岡県の久山町のコーホート研究によると和食+乳製品が良いという

結果が出ています。この和食も内容次第で、素朴な和食をとっていた時代の日本人の平均

寿命は約50歳で、高度成長期以降、食事の内容が欧米化しタンパク質や油を多く摂取する

ようになってから平均寿命はぐんぐん伸びてついに女性は世界1位になったわけです。む

ろんこの間医療制度とその技術の進歩があります。

一方人間ドックで生活習慣病と判定される基準が大幅に緩和されて論議を巻き起こしてい

ます。血圧や血糖値の基準が大幅に緩和され、これまで飲む必要のない薬を飲まされてい

たと、これまでの厳しい基準は製薬会社の陰謀のような話になっています。

しかし判定基準が緩められたとしてもその値は低い方がよく、これまでの基準値を目標に

管理していった方がいいと思います。私は肥満についてはこの数年かなり管理ができてい

て毎朝タニタの体重計に乗りますがBMIは22 、体脂肪率は20をほぼ維持できています。

このため糖質を控え、足の筋肉維持のため毎朝スクワットを40回しています。そして体

内年齢という表示は53歳から57歳を上下しています。実年齢は69歳です。体内年齢が若

く表示されるとちょっと嬉しい感じです。

 

日本人男性の平均寿命、初の80歳超え 女性も過去最高

http://www.asahi.com/articles/ASG703HKDG70UTFL001.html

最強の野菜は何?栄養素密度ランキングで1位に輝いたのは「クレソン」

http://karapaia.livedoor.biz/archives/52168562.html

オリーブオイルが血圧を下げる仕組みを解明、英米研究

http://www.afpbb.com/articles/smp/3015343/?device=smp

低脂肪製品は本当に健康にいい?食品と健康にまつわる3つの誤解

http://irorio.jp/utopia/20140725/150847/

フードピラミッド

http://sugp.wakasato.jp/Material/Medicine/cai/text/subject07/no10/html/section4.html

健康診断の判定基準を改訂 150万人の調査結果を反映 人間ドック学会

http://tokuteikenshin-hokensidou.jp/news/2014/003497.php

日米で降圧目標値が緩和 あらためて血圧を考える

http://diamond.jp/articles/-/53418

「健康な人」の血圧やBMIの基準値変更!?人間ドック学会が発表

http://matome.naver.jp/odai/2139669611741938201

 

◆ニューウェーブの俯瞰◆

今回は次々とビジネスイノベーションを仕掛けてきているGoogleの最近の動向をまとめて

みました。

まずネットにつながることにより従来にない機能を提供するいくつかのハードウェアの発

表があります。 Google Glassはメガネ型の携帯端末で視野の中に様々な情報が表示され、

両手が自由に使えるために幅広い応用が期待されています。実際に幾つかの企業では作業

現場に導入する試行があります。

日本ではまだ発売されていませんが既に幾つかの企業が導入を検討しています。例えば日

本語の記事を見ると自動的に翻訳した文章が表示されるとか、目的地まで誘導するナビゲ

ーションとか、さらに論議を呼んでいるのは人の顔を識別同定してその人の情報をネット

から映し出すということもできます。さすがにこの機能があるためGoogle Glassをつけた

人は入場禁止の場所も米国ではあるようです。

またGEは作業現場にGoogle Glassが使えるのではないかと試行を決めたようです。保守

サービスのエンジニアが必要な図面を、これを使って現場で見ることができます。

次はAndroid TVというインターネットTVの発売です。広い意味のインターネットにつな

がるテレビは既に世界で10億台を超えているそうですが、パソコンやタブレットに繋がな

くてもインターネット上にあるYouTubeなどのコンテンツがテレビを見るように見られる

ものです。そしてコンテンツとしてゲーム動画のTwitchを10億ドルで買収しています。

Twitchは世界最大のゲーム・コミュニティ・サイトで、ここでゲーム愛好者は視聴者に向

けて自身のプレイをライブ配信することができるサイトです。

スマートフォンも開発して発売の予定です。買収したモトローラの製品ですがインターフ

ェースが非常に斬新で多様なカスタマイズができ使いやすいという評判です。

小売業にも進出しようとしています。 Amazonが物品販売を核に多様なネットサービスを展

開することに対抗するのでしょうか。Amazonが従来型の店舗より商品を安く売ることで多

くの実店舗の脅威となってきたのに対し、Googleは自らを実店舗の協力者と位置付け、

Googleは、Amazonのように自前の倉庫を運営するのではなく、地域の小売店から商品を提

供してもらう予定だとあります。

風船を使ってインターネットサービスをしようという試みを、ブラジルでしています。風

船でWi-Fiサービスを提供するのですGoogleは2013年6月、インターネットアクセスを

世界中のいたるところに提供することを目的として、「Project Loon」を正式に発表した。

それから1年を経て、同プロジェクトは現在、数多くの問題を解消し、気球の強度を高め

るとともに、フィールドテストしているそうです。

さらにその上空の衛星にもGoogleは投資を始めました。Googleは、現在はサービスが行き

届いていない地域でネット利用者を開拓することで収入や利益を押し上げたい考えのよう

です。

最近の人工知能の進歩は目覚ましものがあるようですが、 Googleは人工知能について極め

て野心的な展開をしています。Googleは最近、「深層学習(Deep Learning)」というAI新

分野の探究のため、天才たちをさらに雇い入れていると言われています。

深層学習とはつまり、人間の脳の生物学的構造をソフトウェアで模倣して、「オーガニック

に」、すなわち人間の関与なしで学習するマシンを開発しようというものでこれは、人間の

言語を理解する助けになるかもしれません。そして同社のスマートフォンアプリやGoogle

Glassの重要な武器になるでしょう。

米国のIT企業はこぞって人工知能に大量の投資をしています。その1つの理由がビックデ

ータです。ビックデータを単に統計処理するだけではなく、人工知能の機械学習の機能を

使ってさらに有効な知恵を抽出しようとしているのです。この技術はロボットや工場の生

産ラインなど広い分野に応用できます。

自動車の自律運転もGoogleが力を入れている分野です。すでに市街地での自律運転の実験

を続けています。実験結果ではもしかしたら人間よりも安全かもしれないとも言われてい

ます。お酒を飲んだら自律運転という交通規則が出来るかもしれませんね。

さらにAppleに対抗し自動車のカーナビにかわり様々なネットサービスが可能となるシス

テムを自動車会社に提供しています。この分野では世界の自動車会社はAppleのシステム

かGoogleのシステムのどちらかを選択することになります。Googleは自動車をモバイル機

器と同じように考えているのでしょう。あまりいろんなサービスが提供されると脇見運転

の心配がありますが。

ロボット事業にも参入を表明して相次いでベンチャー企業を買収していますが、その一つ

は東大発ベンチャー企業のSCHAFTです。SCHAFTは米国防総省高等研究計画局(DARPA)主

催の災害対応ロボットの競技会で1位になったベンチャー企業で、東京大学でロボットを

研究する研究室のOBらによって設立されました。

私が最も注目しているのはGoogleの健康サービスの展開です。血糖値を測定できる無線チ

ップ内蔵のコンタクトレンズを開発し、その製造を大手製薬会社のノバルティスにライセ

ンスを供与したと発表しています。ソフトコンタクトレンズ用素材でできた2枚の膜の間

に微小な無線チップと血糖値センサー、毛髪より細いアンテナ、LEDライトが挟み込まれて

おり、1秒ごとに血糖値をチェックするとのことです。

最近各社から腕に装着して心拍数や動きを検出し、それを無線でスマホに転送しさらにそ

れをクラウドに集約して様々な健康のアドバイスをユーザーに提供するサービスが発表さ

れていますが、 Googleもこの分野のサービスを始めるようです。噂されているGoogle Fit

では、コンシューマーがフィットネスデバイスやアプリを通じて健康に関するデータをト

ラッキングできるということです。

さらに驚くような野心的なこの分野のプロジェクトを発表しています。Googleは数千人の

血液や尿、涙などの生体データを収集し、健康のベースラインを発見するプロジェクト

「Baseline Study」を開始するとのことです。データ収集には、スマートコンタクトレン

ズや、Google Xで開発されるウェアラブルデバイスが利用されます。Google Xは、これら

の収集したデータを分析し、完璧な健康な人間の基準値を割り出します。そして算出され

た基準値は、健康の維持だけでなく病気の早期発見にも役立てられるとのこと。

これら一連の野心的なプロジェクトを推進している部門がGoogle Xです。Google Xは、同

社のいわゆる「ムーンショット」プロジェクトの多くを生み出してきた部門で、ムーンシ

ョットとは、技術を飛躍的に進歩させることを目指した実験的な取り組みで、自律走行車

や、Wi-Fi気球、Google Glass 、Baseline Study、などを推進しています。

Googleの共同創業者でGoogle Xに従事するサーゲイ・ブリン氏は「われわれの夢は人々の

生活の質を高めるために最新技術を役立てることだ」と語っています。

Googleが何を考えているのかは下記にある共同創業者の2人がベンチャキャピタルから受

けた公開インタビューが極めて興味深い内容で参考になります、ぜひお読みになったらい

かがでしょう。

このようにGoogleは検索エンジンと広告という事業から得られた巨額の資金を使って手当

たり次第に企業や技術を買収しているように見えますが、人間の全ての活動を、それに関

連する情報をすべてGoogleが収集し分析し、人工知能を使って有益な知恵を抽出しそれを

社会に還元していく、というような壮大な野心が見えます。一方我われから見ると生活の

すべてをGoogleに取り込まれ、その中で生かされるということにもなります。といってネ

ットの情報なしに私たちは生活していくのが困難です。すでに見えている未来の社会をど

う管理するのか、その中で私たちはどんな暮らしをするのかをもう考え始めなければいけ

ません。

Googleは以上紹介したような野心的なプロジェクト以外に、社会に価値あるNPO等を支援

するプログラムを発表していますのでご関係のかたは応募されたら如何でしょう。

 

Google Glass、多彩な活用サービス、各社で試行続々 普及への課題も露呈

http://biz-journal.jp/2014/05/post_4852.html

GE、「グーグル・グラス」を現場エンジニア向けにテスト

http://m.jp.wsj.com/articles/SB10001424052702303768704580036173199771944?mobile=y

Googleは二股デバイスAndroid TVで市場支配をねらう

http://jp.techcrunch.com/2014/07/10/20140709connected-tv-market-crosses-1b-devices-as-google-pins-its-hopes-on-android-tv/

革新的なグーグルフォン「MOTO X」

http://wired.jp/2013/08/02/moto-x-gallery/

グーグルはゲーム動画の支配に動く

http://ascii.jp/elem/000/000/919/919859/

Googleはなぜモバイルに力を入れるのか?

http://html5experts.jp/furoshiki/8582/

グーグル、「Google Shopping Express」への資金投入を拡大

http://japan.cnet.com/news/service/35050511/

グーグル、規模拡大の鍵は米国外にあり?

http://zuuonline.com/archives/12145

グーグル「Project Loon」、ブラジルでネット接続を提供

http://japan.cnet.com/news/service/35049510/

グーグルが衛星に投資、ネット接続大幅に拡大へ

http://jp.wsj.com/news/articles/SB10001424052702303335604579600990161617238

グーグル「世界を覆う人工知能ネットワーク」構想

http://wired.jp/2014/01/29/google-buying-way-making-brain-irrelevant/

グーグルなどが買収合戦 米ITが人工知能に夢中な理由

http://www.nikkei.com/article/DGXNASFK0702I_X00C14A7000000/

グーグルの自律走行車は「人間より安全運転」かもしれない

http://wired.jp/2014/04/30/google-cars-city-driving/?utm_source%3Dfeed%26utm_medium%3D

グーグルの自動運転車、市街地も克服

http://jp.wsj.com/news/articles/SB10001424052702303709304579530673973559930

グーグルの完全自律走行車は「人間を守ってくれる」(動画あり)

http://wired.jp/2014/05/29/google-builds-a-self-driving-car/

Androidを使った車載インフォテインメントで、Appleの「CarPlay」との競争が激化していく

http://clicccar.com/2014/06/30/260232/

グーグル、ロボット事業に参入 東大発VBを買収

http://www.nikkei.com/article/DGXNASGM0501I_V01C13A2MM0000/

Googleのスマートコンタクトレンズ、ノバルティスが製造へ

http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1407/16/news042.html

グーグル、健康関連サービス「Google Fit」を準備か

http://japan.cnet.com/news/service/35049344/

Google X、新プロジェクト「Baseline」で疾病予防に挑戦

http://japan.cnet.com/news/business/35051430/

数千人の血液や尿、涙などの生体データを収集し、健康のベースラインを発見するプロジ

ェクト「Baseline Study」を開始

http://androidlover.net/androidnews/google-baseline-study.html

無人自動車からロボットまで 「世の中すべてをデータ化しコンピューターで便利に」

あらゆる業界の再編を目論むGoogleの戦略

http://blogos.com/article/88381/

ラリー・ペイジ、サーゲイ・ブリンがGoogleを語る―ヘルス分野は規制が重荷、手を広げ

すぎた方が実は効率的

http://jp.techcrunch.com/2014/07/08/20140706google-co-founders-talk-long-term-innovation-making-big-bets-and-more-in-fireside-chat-with-vinod-khosla/

Google 、非営利団体の活動をテクノロジーの力でサポート

http://googlejapan.blogspot.jp/2014/07/g4np2014.html

http://www.google.co.jp/intl/ja/nonprofits/

 

◆俯瞰の書棚◆

今回のご紹介は 「近代ヨーロッパ史」 福井憲彦 筑摩書房2010 です。

既に“東大俯瞰経営学”で書きましたが、地球的規模で流動化する不安定な国際情勢を俯

瞰的に理解するには、現在の支配体制すなわち“欧米”という世界支配体制の成立とその

後の歴史的な流れを認識する必要があります。19世紀にイギリス、オランダ、フランス、

ドイツ、イタリア、スペイン、ポルトガル、ロシアというヨーロッパに国家が形成されそ

れに新大陸のアメリカが加わり“欧米”が成立しました。そしてその“欧米”が地球的な

利権を奪い合う中で、 2つの世界大戦が起こり、さらに民族独立、冷戦が続きました。冷

戦はゴルバチョフの英断により終結しましたがその残渣が現在のウクライナ情勢を引き起

こしています。ですから現在の国際情勢理解し今後の新世界体制を俯瞰的に理解するため

には、 19世紀と20世紀のヨーロッパ史の知識が必須です。

この本は放送大学の教材としてまとめられたようですが、もともと著者の膨大な研究の要

約になりますので、本来の歴史的な情報の量に比べてページ数が少ないので

 

記述がかなり簡潔です。したがってある程度ヨーロッパについての基礎的な知識がないと、

意味的な文脈を追うのは難しいかもしれません。

ポルトガルとスペインによる大航海時代に始まり第一次世界大戦とその後までをざっと理

解できるコンパクトな本です。著者も言っていますが全体の流れは“近代ヨーロッパの光

と影“です。ヨーロッパの悲劇であった第一次世界大戦の経験がありながら第二次世界大

戦に突入した20世紀の歴史は極めて重要です。従って20世紀の歴史は別な本で補完した

方がいいと思います。第二次世界大戦に関しては以前紹介したオリバーストーンのドキュ

メンタリービデオをご覧になるのがいいと思います。第一次世界大戦後の世界から現在ま

でを歴史として取り扱っている書籍を見つけたらまたご紹介したいと思います。またご存

知の方は教えてください。

 

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俯瞰メール41号

皆様

◆時候のご挨拶◆

爽やかな新緑の春を楽しむ季節は短く、梅雨入りで豪雨、多分梅雨明け猛暑でしょう。

日本以外でも天候の大荒れが報告されるでしょう。

地球温暖化による気象構造が変わってしまっていると思います。

これを前提に生活、農業そして産業全体が変革を迫られていると思います。

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・不安定な国際秩序

・少し動き出したか規制緩和

・パキスタンに行ってきました

・俯瞰のクッキング

・デジタル世界の俯瞰

・俯瞰の書棚

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◆不安定な国際秩序◆

国際関係に関するいくつかの重要なイベントが6月初めにありました。

まず6日にベルギーでロシア抜きのG7が開かれました。

むろんG7には中国は入っていません。日本が唯一のアジア・アフリカからの参加国です。

声明は、「力による領土の変更を認めない」という共同宣言でしたが、

どうも実態は各国首脳の思惑の違いから「呉越同舟」状態だったようです。

欧州の金融と経済はロシアと切っても切れない関係です。

これ以上のロシア制裁に踏み込めません。

ですからさらに強いロシア制裁を求めるオバマ大統領の話を素直に聞くわけがありません。

一方オバマ大統領は、これまでの優柔不断な外交が現在の混乱の基であるという

国内の批判を払しょくするために、ロシア制裁を強く主張するしかありません。

国際的な孤独感は有っても、このようなG7の状況を見ながら

プーチン大統領はクリミア問題の既成事実化を着々と進めているでしょう。

東ウクライナでの一定程度の譲歩と引き換えにウクライナが一定以上に

EUに連携しないことを強要してくるでしょう。

力による領土の変更を認めない、という声明の文章も欧州はウクライナ情勢を指し、

東シナ海や南シナ海の中国の進出も意識していないようです。

日本のメディアは、G7で中国の海洋進出を懸念すると報道していますが。

可哀想ですがこれまでのように日本の首相はG7では孤独な“お客さん”のようです。

ウクライナの新しい大統領が就任し、就任式にはロシアも外務大臣を送り、

中国の習主席も祝電を送ったということで、ここで国際世界から認知された安定政権が

発足することになります。

むろん新大統領は、「クリミアはあくまでウクライナの領土で妥協はしない」と

力強く政治家らしい立場を言明しています。

現実的には、依然続く東部ウクライナの戦闘をどう収束させるかです。大量の武装勢力が

ロシア国境から依然流入していると報道されていますし、ウクライナ軍の輸送機が撃墜さ

れていますから、手持ち式の対空ミサイルがロシアから供与されている可能性があります。

東シナ海と南シナ海の問題に対しても同様な欧米の足並みの乱れが想定されます。ヨーロ

ッパとくにドイツは中国との経済関係の拡大を意図しています。従って公式的には中国の

海洋進出に対する批判をしながらも一方ではそれ以上の厳しい批判を避けるでしょう。

ただ清代の古い地図をドイツを訪問した習主席に贈ってやんわりと

欧州人の東アジアの状況に対する歴史的な認識を示しました。

アメリカはここアジアでも難しい立場に立たされています。日本、台湾、フィリピン

といういわば軍事同盟を結んでいる国々の脅威に対し、これまでのような曖昧な姿勢と

行動を取り続ければアメリカの国際的な信頼感はさらに落ちます。

一方ではイラク戦争、アフガン戦争と戦争に疲れた米国民は海外での紛争に巻き込まれる

のはごめんだと言う気持ちでしょうから、ネオコンのブッシュ大統領のような

無茶な行動はとてもできません。どうするオバマ大統領!

 

G7首脳会議、ロシア批判展開し閉幕 制裁には温度差

http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPL3N0ON0HM20140606

きしみ目立つ首脳外交 指導者に「自国本位」の誘惑

http://www.nikkei.com/paper/article/?ng=DGKDZO72440230Y4A600C1FF8000

空回りするG7の安倍首相

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2014060602000143.html

ノルマンディー式典で首脳外交

http://www.nikkei.com/article/DGXNASGM06037_W4A600C1FF2000/

欧米、危うい対話路線 露、クリミア「不問」に自信

http://sankei.jp.msn.com/world/news/140607/erp14060709030004-n1.htm

米大統領「ロシアの孤立深まる」 プーチン氏との対話で

http://www.nikkei.com/article/DGXNASGM07008_X00C14A6NNE000/

ウクライナで、ポロシェンコ大統領の就任式

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140607/k10015051711000.html

中国主席、ウクライナ新大統領に祝意

http://sankei.jp.msn.com/world/news/140608/chn14060810430002-n1.htm

ウクライナ親ロ派勢力が軍輸送機撃墜

http://www.nikkei.com/article/DGXNASGM0701Z_X00C14A6FF8000/

習近平氏への贈り物は「尖閣もチベットも領土ではない中国古地図」

http://sankei.jp.msn.com/west/west_affairs/news/140417/waf14041707000002-n1.htm

 

◆少し動き出したか規制緩和◆

久しぶりに東証株価が1万5,000円台を回復しました。アベノミクスというかアベノマジ

ックの効果でしょうか。世界最大といわれているわが国の年金基金も株式投資の部分を増

やすというリップサービスをしています。欧米の株価も好調の上、円安傾向もあり、

このままぐっと上昇するという感情の高まりが株価を上げているのでしょうか。

ともかくこれは悪くありませんね。昨年の5月、安倍首相が成長戦略を発表している最中

に、内容に対する失望から株価が急落したという苦い過去があります。

1年経った今、少しずつ具体的な政策が見えてきたからでしょう。まず女性の登用を義務化

する法律を整備するとか、企業に女性役員の登用を働きかけるとか、共働き家庭などの小

学生の放課後児童クラブの整備、そして待機児童解消に向けた支援などを年度内に行いた

いという明確なコミットは市場が当然評価したと思います。

いわれて久しい法人税率低減ですが、やっとこれも動き出す気配です。 13年度の納税額で

法人税が最大1兆円上振れし、大企業は5割の増収という結果も背中を押したのか、与党

の税制部会も法人税減税の方向に舵を切りました。むろん財政再建の大命題がありますか

らそれに代わる課税の拡大という条件付きですが。確かに法人税を払っていない企業の方

が多く、本来納税すべき企業に対し単なる会計上の数字で所得税を減免するのではなく実

質的な付加価値に対して一定程度課税すべきだと私も強く思っていました。

次は農業改革です。政府はJA全中と言う中央会制度の廃止や、 JA全農の株式会社化を与

党と協議に入りました。当然これはJAを支持基盤とする自民党議員から猛烈な反発があり

ますが今回はある程度前進するのではないかという期待値を持たせています。企業の農業

参入についても農地所有を認めないが農業法人への出資比率を50%未満までに緩めること

を検討しています。

抵抗勢力といわれている農業族議員ですが、農業のGDP比率は1.2%もしくは1.4%で

す。この数字と農業族議員%の不公平性の解消こそ、いわゆる議員定数是正が必達要件で

す。定数削減に反対する議員と農業改革反対の議員は多くは重なるでしょう。ですから憲

法違反状態の議員定数の是正こそが真の成長戦略なのです。

次は長い議論が続いている混合医療です。これもやっと少し前進するようです。混合医療

とは、いまは保険診療に自由診療を組み合わせると、本来なら保険が使える部分も含めて

全額自己負担になると言う不思議な規制です。簡単な例ですと健康診断と治療を同じ日に、

同じ病院で受けられないのです。自費負担の人間ドックは自由診療で、ついでにいつもの

診療科で治療を受けると保険の対象から外されます。東大病院で体験しました!

対応策として、医師と患者の合意を条件に大幅に広げる「選択療養」という新しい枠組み

を導入しようとしているようです。ただこれも混合診療の審査をこれまで数カ月かかって

いた審査期間を6週間に短縮するということですが、その間に患者は生きてないかもしれ

ません。

各規制緩和に共通するのは既成勢力に譲歩してなんとか前に進めようとする努力、これは

認めますが、この例では肝心な患者の命という事は二次的になってしまいます。

むろんこの「選択医療」という混合医療についても強力な反対勢力があります。医師会で

す。この医師会も実態以上に政治権力を振り回しすぎます。これも東京、名古屋、大阪と

それ以外の議員定数の不公平な割り振りが根本にあると思います。都市部以外では開業医

の影響力は社会的に強いものがあります。彼は地域の有力者で、議員の有力な後援者です。

反対の建前は国民皆保険と言う理念の追求です。国民皆保険はそれ自体日本が誇るべき社

会制度で、長年にわたってアメリカの民主党政権がその実現を試みながらも挫折している

社会課題です。国民皆保険は日本国民に平等に高い水準の医療を提供していることを認め

ますが、これが混合医療と相容れない訳ではありません。考えられないような医療法人に

対する税制上の優遇措置の上に築かれた利権の維持が目的でしょう。小泉元首相は「抵抗

勢力はビジョンを熱く語る」と言ったそうです。

しかし上に述べた懸案の規制が少し取れるだけでも、日本経済は活性化します。そして消

費税率を上げても2-3%程度の経済成長は実現し維持できると思います。 ただし2-3%の成

長率は現在の日本の実力であって、活性化してもゆめゆめ昔の高い成長に戻る事はありま

せん。それ以上の成長は大胆な“出生改革”次第です。3人産む人をもっと優遇しないとい

けません。

 

東証2カ月ぶり1万5000円台回復 成長戦略に高まる期待

http://sankei.jp.msn.com/economy/news/140604/fnc14060409250006-n1.htm

成長戦略:女性登用義務化

http://mainichi.jp/select/news/20140603k0000m020120000c.html

与党 課税ベース拡大を前提に法人税減税へ

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140605/k10015003311000.html

法人税最大1兆円上振れ 13年度納税額、大企業5割増

http://ceron.jp/url/www.nikkei.com/article/DGXNASGC0700K_X00C14A6MM8000/

中央会制度廃止や全農株式会社化 JAは反発

http://mainichi.jp/select/news/20140515k0000m020104000c.html

JA全農に株式会社化促す 農政改革、政府が骨格

http://ameblo.jp/capitarup0123/entry-11872904068.html

http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20140607&ng=DGKDAS7TL2L01_W4A600C1EA2000

農業改革:政府 JA全中の廃止容認 5年後

http://mainichi.jp/select/news/20140606k0000m010151000c.html

自民、政府の農協改革案に批判続出 月内にも対案

http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS2102U_R20C14A5PP8000/

混合診療、2016年度にも拡大 全国の病院で実施

http://www.huffingtonpost.jp/2014/06/05/story_n_5456051.html

混合診療、審査を6週間に短縮

http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS0600M_W4A600C1EAF000/

規制改革会議が提言している「選択療養制度(仮称)」への反対決議が全会一致で採択

http://www.med.or.jp/nichinews/n260605a.html

 

◆パキスタンに行ってきました◆

 

ビジネスモデル学会の定例の海外視察でパキスタンに行ってきました。パキスタンはあま

り日本人には馴染みがありませんが、人口が約1億8,000万人で、数少ない日本より人口

の多い国です。面積は約日本の2.1倍です。主要産業は、基本は農業ですが、輸出産業は

繊維産業や食品産業の割合が大きく、また天然ガス等の天然資源も豊富とは言われていま

す。インドとの3度にわたる戦争で負け、そのため1998年に核実験を成功させ今は核保有

国です。また保守的なイスラム文化に支配され、特に女性差別は目に余ります。

なぜパキスタンか、ですがビジネスモデル学会には大使館プログラムがあります。その第1

回目が東京のパキスタン大使館でした。大使や公使にお会いすると「インドまでは多くの

日本人がきて多大な投資をしていますが、パキスタンには極めて少ないのです。しかしパ

キスタンには大きなビジネスチャンスがありますから是非日本との関係を深め投資を呼び

込みたい」ということでした。学会として何かできることがあれば支援したいということ

になりましたが如何せんパキスタンに関してほとんど知識がありません。で、ビジネスモ

デル学会の会員有志で視察団を編成して訪問したわけです。

まずカラチに入りました。かなり熱い、埃っぽい、そして喧噪の街です。訪問前に大使か

ら、「カラチは危険という印象ありますがカラチで死んだ日本人ビジネスマンはいません」

と言われてきましたが、町中に銃が氾濫しています。我々のチャーターしたバスにも抜き

身の拳銃を右手に持ったガードマンが同乗します。ショッピングセンターや主要な施設お

よび企業にはライフル銃を肩に掛け所持しているガードマンが2、3人警備しています。あ

る意味では強盗などに襲われるリスクは少ないです 。

最初の訪問企業はカラチ郊外のインダスモーター、すなわちトヨタ自動車です。現地との

合弁で小規模に主としてカローラを組み立てています。ボディー溶接以外は大半が輸入か

現地調達です。溶接作業はすべて手作業です。重労働です。合弁のためもあって完全なTPS

すなわちトヨタ生産システムは出来ていないとのことです。それでも5Sと小集団活動は行

われていました。

この厳しいカラチに赴任され、ほぼ一から自動車生産の立ち上げでご苦労されている最前

線の企業戦士にお会いして改めて日本人のポテンシャルを再認識しました。先頭に立って

自動車産業を立ち上げたトヨタ、ホンダ、日野、スズキの努力の結果、パキスタンでは日

本車が市場をほぼ独占しています。東南アジアの自動車産業も日本勢の先行戦略で市場の

リーダーシップを握り欧米は手が出ない状態です。

次にカラチ市内の三菱東京UFJ銀行のカラチ支店に伺いました。そこで非常に良く纏まっ

た、パキスタンの概要とビジネス機会そして課題を説明して頂きました。

名目GDPは世界45位240億ドルですが、一人当たりの名目GDPは世界147位の1,304

ドルです。ただかなり大きい裏経済の存在があります。その規模はGDPの36%と推定さ

れています。また出稼ぎから140億ドルというGDPの36%に相当する大量の送金があり

ます。これは全輸出額240億ドルに近い額です。そのためかショッピングセンターや高級

住宅地の商店やレストランはかなり繁盛しています。格差が相当大きい国です。なにしろ

富裕層は力を使って納税しない国だそうです。したがって税収が少なく国は貧困です。そ

のため社会インフラは貧弱で、驚いたことに現在でも義務教育の制度はありません。結果

として識字率は男性69% 、女性45%です。これに敢然と挑戦し、女性の教育を世界に訴

えた若い女性がイスラム―タリバーン運動(TPP)に頭を銃撃され重傷を負いました。そ

れでも要求を続ける勇気に対し彼女はノーベル平和賞の候補にノミネートされました。一

方連邦予算の18%が軍事費です。戦前の日本もこんなものだったのでしょう。

日本にとって良いこともあります。日本という国が好きか、日本人が好きか、日本製品は

好きかという調査では100%大好き、好きでアジアで最も親日的な国です。ちなみにこの調

査におけるアジア各国の評価ですが、韓国が最悪で次に中国です。パキスタンでは幾度か

日本人はリスペクトされているという言葉を聞きました。仕事がパーフェクトであるとの

ことです。これは日本製品の品質と技術力、最前線にいる企業戦士やジェトロ、 JICAな

どの方々の献身的な仕事ぶりが高く評価され、それが日本という国、日本人の評価に繋が

っているに違いありません。改めて国際関係における個人の責任を再認識しました。

一方アメリカは18億ドルともいわれる援助をしているにも拘らず、アメリカ人は嫌いとい

うことです。隣国のアフガニスタン、イラン制裁、イラク戦争を目の当たり見てくれば同

じイスラム教徒として嫌悪感を持つのは当然でしょう。ただ結構ショッピングモールには

お馴染みのアメリカ系企業が出店していますから製品として好きなものは好きでもあるよ

うです。

パキスタンに入って初めて体感できたことですが、人種的にはインド人よりもずっと欧米

系の感じの人達です。服装は、富裕層は女性を含め殆ど完全な欧米スタイルですが庶民の

女性は殆ど伝統衣装です。パキスタンの企業にも何社か訪問しました。いずれも国内市場

が小さいため輸出志向です。マネジメントと話すと驚くほど欧米スタイルで水準が高い人

たちです。失礼ですがビジネスリテラシーという面では、日本の通常の企業経営陣より洗

練されています。殆どが欧米で教育を受け欧米のビジネスを経験している富裕層でしょう。

パキスタンはアパレルが主要産業です。欧米のH&M等のジーンズは殆どパキスタンで作

られているようです。また皮革業も盛んでヨーロッパの多くのブランドの製品を製造して

います。特にサッカーボールは世界の大半を供給しているようです。これがヨーロッパか

ら日本に輸入されます。

パキスタンの社会はまだよく理解できませんが、どの企業も社会的課題を解決する事業に

きわめて積極的に取り組んでいることが印象的でした。この辺は日本企業より進んでいま

す。個々の個人は友人を大切にし、周囲の人々との間では固い信頼で結ばれた強いコミュ

ニティを形成している事が、目にした幾つかの事例から判りました。実はカラチ滞在中は

例外的な緊張状態にあり街中の道路は大混乱でした。理由はイギリスに逃亡している野党

指導者がマネーロンダリングで英国当局に逮捕され、その抗議のデモが荒れ狂っていまし

た。カラチからラホールに移動する日も渋滞で車は殆ど進めません。GoogleMapで動いて

いそうなルートを探索しながらの移動です。予約していた空港近くのレストランをキャン

セルしました。するとレストランの主人は動かないような渋滞の中をオートバイでバスに

駆けつけ、空港近くの地点に予定していた食事を電話で指示して、テイクアウトのパッケ

ージで届けさせました。とてもそんな事が出来るような状態ではないにも関わらず。そし

て暫く行くと道路で人々が渋滞中の車の中の人たちに水を差し入れています。聞くとその

地域のボランティアが行っているとのことです。さらに空港出発前に企業訪問したジーン

ズ企業の人が、危険で大渋滞の中を空港までプレゼント(Give Away)を届けに来ていまし

た。これまで行った新興国では見られないコミットメントと信頼の絆を強く持っている

人々でした。この人々達と仕事をすることは他の国の人たちとよりもリスクがないかもし

れないと思わされました。

ラホールはかつてのムガール帝国が城を築き根拠地とした地ですが、緑豊かで相対的に平

和な街です。これはカラチが歴史的な民族の吹き溜まりに対して、ここは殆ど単一民族で

構成されている事によるようです。高級住宅地には高級ブランドを売る店や洒落たレスト

ランが軒を並べています。ただ気温が昼は47度、夜でも40度以上という酷暑の街で焼け

たフライパンの底にいる感じです。デング熱もあります。トヨタとスズキそして今度進出

するヤマハ発動機はカラチですがホンダはラホールが拠点です。

ここまでパキスタンの負な面を幾つか書きましたが、最大の要因は貧富の格差であり、過

激派の内ゲバに似た部族間、私的な権力争いが原因です。この地域の多くの国は部族分断

の英国植民地経営からいきなり人工的な国境線が策定され宗教・民族問題を抱えたまま建

国したため、国家の規範よりも部族の規範を優先する前近代的な社会のままです。さらに

カラチなどは狭い地域に多くの部族・民族がひしめき合って居住しているため、互いに“シ

マ”を作り小競り合いをして治安を悪化させています。“シマ”の掟が国家より優先されま

す。

そしてテロの構図は富裕層に支配されたパキスタン軍と、TPPと呼ばれる過激派がイスラ

ム教という宗教を楯に、未来に救いのない貧困の中に苦しむ下層階級の若者を煽り利用し

ている構図ではないでしょうか。

長くなりますので詳しい報告はビジネスモデル学会のサイトに後で上げたいと思います。

これを書いている間にカラチ空港が武装集団に襲撃されたニュースが入って来ました!

このパキスタン視察も「現地に行って、現物を見て、初めて現状を理解できる」という日

本の行動原理に基づいて決行されました。

 

パキスタン

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%91%E3%82%AD%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%B3

印パ戦争

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8D%B0%E3%83%91%E6%88%A6%E4%BA%89

銃撃されたパキスタン少女がノーベル平和賞候補に

http://www.jiji.com/jc/d4?d=d4_acs&p=mrr205

パキスタンで頻発する「名誉殺人」とは一体なにか?

http://newclassic.jp/14968

「名誉殺人」黙認の警官を捜査へ

http://www.cnn.co.jp/world/35048754.html

タリバーン系過激派が分裂、内紛で幹部暗殺も

http://www.cnn.co.jp/world/35049084.html

パキスタン・タリバーン運動

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%91%E3%82%AD%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%AA%E3%83%90%E3%83%BC%E3%83%B3%E9%81%8B%E5%8B%95

カラチの国際空港に襲撃、21人死亡

http://www.cnn.co.jp/world/35049091.html

 

◆俯瞰のクッキング◆

創刊号から「頭が良くなるクッキング」と言う連載記事を書いてきましたが今回からコラ

ムのタイトルを表記に変えたいと思います。内容はほとんど変わらないと思いますが、気

分を新たにするためです。実践が難しくない健康な食習慣の追及をしていきます。

このところ、出汁、鍋、包丁と、書いてきましたが今回はこれからの季節に私がちょくち

ょく作るお気に入りのレシピを紹介します。夏野菜が豊富に出回る季節になります。トマ

ト、ナス、きゅうり、ズッキーニ、ピーマンなどです。この季節に、つい作ってしまうのがガスパチョです。材料を入れてミキサーでよく攪拌して冷蔵庫で一晩冷やせば出来上が

りです。野菜ジュースではなくサラダのような野菜料理の一品です。

次はラタトゥイユです。これはナス、ズッキーニ、ピーマン、玉ねぎ、ニンニクをオリー

ブ油で炒め、湯むきトマトと一緒に水を加えずに煮込みます。味付けは塩こしょうだけで

す。あったかくても冷めていても美味しいです。ガスパチョはもともと好物ですが、以前

スペインを旅行した時、行く先々の土地でガスパチョを注文しました。一緒にパエリアも

注文して味を比べてきました。結論から言うとガスパチョもいろいろありますがスペイン

レストランのガスパチョは日本のレストランのガスパチョに比べるとかなり水っぽい感じ

でした。ちなみにパエリアも日本で食べるパエリアの方がずっとおいしいと思います。た

ぶん日本人好みに仕上げてあるのでしょう。この2つの料理は自宅で、自分で作るものが

最高だと自負しています。

ガスパチョとラタトゥイユのレシピは料理本やネットに数多くあります。もともと簡単な

料理ですからお手軽をアピールするレシピよりも本格的レシピの方をお勧めします。たぶ

ん自分流のガスパチョのレシピができてくるでしょう。地中海式料理はラテン風にアバウ

トで良いのです。

 

ガスパチョのレシピ

http://www.kyounoryouri.jp/recipe/18813_%E6%9C%AC%E6%A0%BC%E3%82%AC%E3%82%B9%E3%83%91%E3%83%81%E3%83%A7.html

http://www.disseny.jp/kimama/recipe/r-card/07090.html

http://www.hotelokura.co.jp/tokyo/restaurant/recipe/details/449

ラタトゥイユのレシピ

http://www.kyounoryouri.jp/recipe/17545_%E6%9C%AC%E6%A0%BC%E3%83%A9%E3%82%BF%E3%83%88%E3%82%A5%E3%82%A4%E3%83%A6.html

http://www.lecreuset.jp/community/recipe/ratatouille/

 

◆ニューウェーブの俯瞰◆

このコラムも長らく「デジタル書斎」というタイトルで連載してきましたが、

デジタルのニューウェーブを俯瞰的に理解するという視点を強くしたいと思います。

AppleやGoogleそしてAmazonが仕掛けている新しいプロジェクトを俯瞰的に見るだけで

近未来が大きく変わることが認識できます。ただあまりにも革新的でかつ具体的そして実

現可能性が高いので社会に対し大きなインパクトを与え、産業構造を大きく変革していく

ことは間違いありません。この波は単にデジタル機器や音楽配信のサービスを変えるのではなく、

社会インフラに関する産業や自動車産業といった現在の基幹産業に大きな変革を迫ると思

いますが、これに改善志向の日本の企業や産業がついていけず取り残されていくことを恐

れています。手がけていますが何か時代感覚がずれています。それは近未来を俯瞰的に理

解できていないのではないかというのが私の仮説です。

今回は詳しく書きませんが、 Appleはこの秋に発表される新しいOSの機能として健康を

志向した機能を盛り込む発表をしています。これに呼応して新しいサービスが、アプリが

開発されて発表されるでしょう。 Googleの最近の買収攻勢は尋常ではありません。ロボッ

ト関係、人工知能関係、自動車、人工衛星等々、創業から15年で143社、総額2兆6,800

億円と言う巨額です。これらを俯瞰してみれば、取分け最近の買収案件を俯瞰してみれば

Googleが目指している世界、野望が見えてくるでしょう。

Appleも最近技術Beatsという高級ヘッドホンと無料音楽配信のベンチャーを3,000億円

と言う高額で買収しています。 Apple自身が時代の流れ、市場の変化に必死で対応しよう

としているからでしょう。

この視点からの情報の俯瞰はまだできませんので今回はこれまでにします。

 

シリコンバレーで1番企業買収を行っている企業はGoogle

http://svjapan.blogspot.jp/2014/02/google1514326800.html

過去の企業買収から読み解くグーグルの投資戦略

http://zuuonline.com/archives/12145

アップル、ビーツ買収はリスクはらむ賭け云々

http://jp.wsj.com/news/articles/SB10001424052702304817704579593433892133154ん

iPhone発売以来Appleが買収した21社

http://osusumeapps.net/2013/10/15/apple/

 

◆俯瞰の書棚◆

今回のご紹介は 「日本語練習帳」 大野晋 岩波新書1999と、「文章のみがき方」

 辰濃和男 2007 岩波新書 です。

読むこと、書くことは人間だけに与えられた特別な能力です。識字率と言う言葉がありま

すが、読み、書きの能力です。人は健康体である限り母国語の会話には不自由しません。

外国語の場合は、読み、書く、話す、聞く、はそれぞれ訓練を受けます。日本語は不思議

なことに小学校以来国語の教育を受けてきましたが、この4つの特別な訓練は無かったよ

うに思います。

実は本郷で授業を長年持っていますが、日本語の読み、書く、話す、聞く、が完全な学生

は殆どいません。入試に現代文がありますから、読むことについてはほぼ問題有りません

が、書く、話す、聞く、については結構問題があります。ですから開講している俯瞰ゼミ

ではこの日本語の4つの能力を磨くことを意識し、そのことを学生に伝えて、磨く必要が

あることを話します。何故ならば彼らは日本の次世代のリーダーに成るべき人材だからで

す。そしてリーダーには明快で、簡潔で、論理的な言語コミュニケーション能力が必須で

あることを再認識してもらいます。ですから日本語については120%の能力を目指して磨き

をかけるように言います。

話す、聞くという訓練は質疑応答で行います。ゼミでは毎回それぞれチームに分かれて課

題に対する発表をします。まずここできちんとした日本語で話すことを訓練します。 4月

初めに酷い日本語を話していた学生たちも日本語120%を意識しているので5月末にな

ればかなり水準が上がります。話し方が長たらしい、くどい、論理的な構成のない日本語

を話さないようにするためにはもう少し時間がかかります。

質疑応答はどれだけ意味的な内容を聞いて吸収しているかのチェックです。質問自体が日

本人特有の言いたいことがはっきりしない、言いたいことが判らないダラダラした場合に

は、注意して質問をやり直させます。質問がプレゼンテーションに対してポイントがずれ

ていると、それは音響的に聞いていても意味的に聞くことが出来ていない、隠されている

意味構造を認識出来ていない、そして話者の論理的な主張を聞くことが出来ていないわけ

です。次に質問の答えですが、もともと構造が崩れた質問の日本語から質問する人が何を

知りたいのかを抽出し場合よっては一部を推定する「聞く」という訓練です。質問を簡潔

にかつ判り易く投げかける能力、それに対しビシッとボールを撃ち返すように簡潔に応え

る能力、これを質疑応答で磨きます。

読む能力は相対的に高いと言いましたがそれをさらに磨くために、ビジネスに関する論文

を読みその要点を抽出し、それに対して自分の、グループの認識・評価と対案を纏めさせ

て発表します。今年はリーダーシップに関する論文を9本読んで、リーダーシップのモデ

ルの分類とこれからどういう風に自己研鑽をしてリーダーシップの能力を磨くのかを発表

しもらいました。この課題はリーダーシップに関する知識を得ると同時に日本語の読解力

の訓練です。論文読解の課題はほかにもあります。

このゼミの中では文章を書くと言う訓練はしません。研究室に学部学生を持っていたとき

は卒論を仕上げる過程を「日本語を書く」訓練としました。そして論文とは論理的な文章

であり、エッセーではないと強く言います。論文は長文ですから、文章の論理的な骨格が

必要です。これはワードのアウトラインという機能で作るのです。多くの人はワードを単

なるテキストエディタとしてしか使っていません。であればあのワードを使う必要はあり

ません。アウトラインの機能使って文章の骨格を論理的にデザインし、それに文章をつけ

ていくのが論文の書き方です。

かくいう私も日本語の能力について不十分だと自覚しています。取分けこの俯瞰メールの

ように文章を綴り、人様に読んでもらう以上、より良い日本語を書く努力をしなければな

らないと自戒して日本語に関する本を何冊か読んでいます。今回取り上げた2冊は比較的

最近読んだ本です。

まず「日本語練習帳」は私が購入したものが実に56刷ですから大ベストセラーです。もう

読んだ方も多いかと思います。この本の要点は、「単語一つ一つを丁寧に選択すること」、

文法について言えば「ハとガを正しく使い分ける事」、夏目漱石が多用したという「のであ

る」 「のだ」を使わない、そして「ガを使うな」というアドバイスです。そして国語力を

磨くために「縮約」という、要約や要点を取るのではなく、文章全体をぐっと圧縮する、

訓練を勧めています。

「ガを使うな」という事は何十年か前に読んだ同じ岩波新書の清水幾太郎の「論文の書き

方」にもあって他の内容はほとんど忘れましたが以来「ガを使うな」という教えはずっと

気にしています。

「文章のみがき方」は朝日新聞の記者として職業的に日本語を書いてきた著者の助言です。

文字通り磨き方が書いてあります。そしてこの本は非常によく纏められています。ですか

ら著者の言わんとするところは誰にも理解できると思います。この本をもっと早く読んで

おけばよかった、と思わせてくれました。

要点そのものが目次になっていますからその一部をご紹介しておきましょう。

1 毎日書く、2書き抜く、3繰り返し読む、4乱読を楽しむ、5歩く、6現場感覚を鍛える、

7小さな発見を重ねる。以上が基本的なことで、辞書を手元に置く、借り物でない言葉で書

く、単純簡潔に書く、具体性を大切にして書く、推敲する、落語に学ぶ、動詞を中心に据

える、渾身の力で取り組む、など具体的なアドバイスが簡潔に数多く紹介されています。

自分が知的価値を創出する職業人であることを意識している人であれば、日本語を書く能

力は職業人として生涯磨いていかなければなりません。

洒落たスライドのプレゼンテーションだけで仕事になっていると勘違いしている人も少なくありませんが。

仕事の中に「書く」という仕事がある人、「書く」という知的価値を付加価値としようとす

る人はこの本を読むと少しキャリアをアップ出来るかもしれませんね。

 

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俯瞰メール40号

皆様

◆時候のご挨拶◆

目に青葉、山ホトトギス、初鰹の季節になりました。そして一年の三分の一が

もう過ぎてしまいましたね。次は田植えで若緑のカーペットが田に広がります。

日本は春夏秋冬で世界が変わっていきますが、温暖化のせいか春と秋が短くな

ってきたような気がします。

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・ギリギリのゲームをするプーチン

・首脳会談でも決着できないTPP

・じわりと存在感を増したか、日本

・時代から取り残されるか日本の製造業

・ビジネスモデル学会 イブニングセッションのご案内

・頭のよくなるクッキング26

・デジタル書斎の構築32

・書評 「第五の権力」エリック・シュミット、ジャレッド・コーエン

ダイヤモンド社 2014

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◆ギリギリのゲームをするプーチン◆

ウクライナの情勢が予断を許しません。プーチン大統領はギリギリのゲームを

しているのでしょう。もし大規模な衝突がウクライナ東部で起これば、プーチ

ンはロシア系ウクライナ人保護の名目で国境を越えようとするでしょうか。立

て籠っている親ロシア市民は挑発行為によってこの状況を作ろうとしているの

でしょうか。

先日外務省の担当の参事官から直接ウクライナの情勢を聞く機会がありました。

時系列的な丁寧な説明を聞いてみてもこの先何が起こるか予測もできません。

プーチン大統領はたとえ軍事介入してもEUが本格的な経済制裁に踏み切らな

いと判断しているのでしょう。現在EUのリーダーはドイツのメルケル首相で

す。そのドイツは天然ガスの大半をロシアに依存すると同時に、経済的に極め

て深い関係があります。さらにドイツは安全保障について日本のように米国に

依存しているわけではありませんので米国追随の必要は弱いです。加えてドイ

ツと米国の関係は冷たい関係であるとも言われています。このような状況から

プーチン大統領は経済制裁について限定的と判断しているのでしょう。渡航制

限や資産差し押さえ程度では深刻なインパクトを受けないとしているのでしょ

う。ただし4月29日の段階ではロシア国防相はウクライナへの侵攻は無いと

言っていますが親ロシア勢力が次々と拠点を占拠しています。行き着く先は連

邦制ですか。

ロシアからみるとEUのメディアは極めて偏向しているということになります。

ただ日本にとってウクライナ情勢は対岸の火事ということにはなりません。グ

ローバルに連結された世界経済の中では日本の経済もかなりの影響を受けます。

連休明けの株式市況など気になります。場合によってはウクライナ情勢が引き

金になってアベノミクスが腰折れするリスクもあります。

中国はこのウクライナ情勢については沈黙を保ち何もしないでしょう。ウクラ

イナの論理を認めれば、国内のチベット、ウイグルの独立を認めることになり

ますから。日本も北方領土問題がありますから米国追随であっても微妙な言動

をすることになるでしょう。プーチンも日本とは決定的な対立を避けたいと思

っていますから。

 

プーチン大統領が警告、軍事演習を再開

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-N4IRAJ6S972901.html

ウクライナが東部に兵力1万5千人集結か

http://www.cnn.co.jp/world/35047179.html

「ロシアに軍撤収要求」ウクライナ、米幹部と対応協議

http://www.nikkei.com/article/DGXNASGM24059_V20C14A4EB1000/

親ロ派が国際監視団員ら拘束 ウクライナ東部

http://www.nikkei.com/article/DGXNASFK26002_W4A420C1000000/

米欧、対ロ追加制裁で最終調整 ウクライナ東部緊迫

http://www.nikkei.com/article/DGXNASGM25051_V20C14A4FF1000/

ロシア軍が国境を越えてウクライナ東部に侵攻する考えはない

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140429/k10014102111000.html

米国が手を焼くもうひとつの「冷戦」

http://1topi.jp/curator/kumaboo/1404/21/521762

独首相 対ロシア経済制裁に慎重姿勢

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140426/k10014047841000.html

力の源泉は「天然ガス」―なぜ制裁を恐れないのか

http://jp.wsj.com/article/SB10001424052702303595604579516654257318492.html

ウクライナ問題で反ロシアに凝り固まるEU

http://www.diplo.jp/articles14/1404antirusse.html

円買い優勢,ウクライナ情勢緊迫への懸念からリスク回避先

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-N4PPAV6JTSE801.html

 

◆首脳会談でも決着できないTPP◆

オバマ大統領との首脳会談でもTPPは決着できませんでした。ただ相当に交渉

が済んだ事は事実でしょう。 一時入院を伝えられた甘利大臣が徹夜で交渉に当

たっている姿は痛々しい感じもしますがここは頑張ってほしいですね。

豚肉と牛肉の関税が焦点のようですが、関係の議員や全農の意固地な抵抗が国

民の共感を呼ぶとはとても思えません。

しかし結局オバマ大統領も安倍首相もTPPを自分では決めることができない

ということを露呈したのが今回の首脳会談ではないでしょうか。

調べてみると日本の農林水産業のGDPは1.2%で、農林水産省の予算は一般

会計の3.2%(国債費を除く)です。 TPPで恩恵を受ける産業から農林水産

業への利益の付け替えは構わないと思いますが、バラマキ的で現在の農業構造

を温存するような補助金を付けるわけにはいきません。

オバマ大統領が慰安婦問題について言及したことは韓国に対するサービスかも

しれませんが、改めて米国内の韓国ロビーのアメリカ政界への浸透を再認識さ

せられます。しかし韓国からマレーシアに飛行するにあたって中国の防空識別

圏を突っ切っていたということは評価してもいいですね。

 

TPP、日米すれ違い

http://mainichi.jp/shimen/news/20140426ddm003010065000c.html

米大統領、TPP合意に意欲=中間選挙前にも―甘利担当相

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140427-00000047-jij-pol

日米TPP交渉の状況(2014年4月)

http://www.jiji.com/jc/graphics?p=ve_pol_seisaku-tsusyo20140419j-03-w550

「オバマにまとめる力はない」 TPP交渉で麻生財務相

http://www.iza.ne.jp/kiji/economy/news/140425/ecn14042513310021-n1.html

オバマ大統領機、中国の“防空識別圏”を突っ切る

http://newsphere.jp/world-report/20140428-5/

 

◆じわりと存在感を増したか、日本◆

外務省が委託した調査によるとASEAN 7カ国の調査で最も信頼できる国とし

て日本は第一位になったようです、そして今後最も重要な国となりました。日

中および日韓の関係はギクシャクしていますが、現在最も成長著しいASEAN

の国々はアメリカの衰退というかオバマ政権の腰の座らないアジア外交に不信

感を持ち、かつ中国の強圧的な姿勢にも失望し相対的に日本を頼ることになっ

たのでしょうが、日本にとっては大きなチャンスです。ただ日本の外交技術が

どこまでこの機会を有効に生かすかが課題です。このままいくとASEANは中

国に抵抗するベトナム、ミャンマー、フィリピンと中国に寄り添わなければい

けないカンボジア、ラオスそしてその中間のインドネシア、マレーシア、タイ、

シンガポールの3グループに分裂するのではないかと言われていますがこれを

1つにまとめていく努力が日本の安全保障と経済成長の要諦ではないでしょうか。

 

ASEAN7カ国の調査で、最も信頼できる国として日本がトップ!

http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/press23_000019.html

http://matome.naver.jp/odai/2139794852099412801

中国が引き裂く東南アジア 日本、試される外交力

http://blogs.yahoo.co.jp/mamostt/12051082.html?from=relatedCat

 

◆時代から取り残されるか日本の製造業◆

製造業の分野では、グローバルで日本とドイツが2強です。製品の電子化では

日本がドイツを凌駕し、機械のハードにこだわったドイツを抜きました。車の

電子化もドイツは遅れました。半導体も出遅れました。一方、製薬や素材関係

は知識の蓄積が効きますからドイツの優位は揺るぎませんでした。

生産システムもロボットやファクトリーオートメーションではマイコンの応用

技術で日本はドイツに対して競争優位を維持しました。

時代は流れ、いま日本の生産システムが時代から取り残されるリスクを感じま

す。日本は個別の工作機械やロボットの機能に拘泥し、単にそれをうまくつな

げた生産ラインを作ることに注力しています。しかし生産システムはシステム

です。情報通信技術の進歩はGoogleやAppleそしてAmazonの成長をみると

明快で、とんでもない次元に進歩しています。日本の企業はこれについて行っ

ていません。電子立国で世界一を極めた電機産業が見るも無残に崩落していた

原因は、ネット時代という時代に取り残されたからです。

下の記事にあるドイツの生産システムのイノベーションを見たとき、日本の製

造業がこれについていっていないかもしれない、という感を持ちました。単な

る自動化ではファクトリーオートメーションから進歩していません。センサー

ネットワークや人工知能そしてクラウドのような時代を拓いている情報通信技

術を取り入れていかないと今度はドイツの後塵を拝する可能性があります。

もし関係者が今でもガラケーの携帯を使い、スマートフォンやクラウドコンピ

ューティングを仕事に使っていないとすれば、その人はリーダーから降りるべ

きです。そのようなリーダーは時代についていけませんから、リーダーシップ

を発揮してはいけないのです。事業を潰しますから。

 

ドイツ発、考える工場 シーメンス・ダイムラーなど連合

http://www.nikkei.com/article/DGXNZO69859730U4A410C1FFB000/

GE、機器間通信のデータ分析を日本などで外販 ソフトバンクと組む

http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20140423/552683/

http://www.nikkei.com/paper/article/?ng=DGKDASDZ220CL_S4A420C1TJ1000

 

◆ビジネスモデル学会 イブニングセッションのご案内◆

 第14回イブニングセッション開催のご案内

「奇人・変人が日本を変える」

日時:5月21日(水) 19:00-21:30

場所:霞ヶ関ナレッジスクエア エキスパート倶楽部

講師:安達 俊久 氏

伊藤忠テクノロジーベンチャーズ株式会社 代表取締役社長

日本ベンチャーキャピタル協会 会長

講師略歴:

東京工業大学電気工学科卒業、伊藤忠商事株式会社に入社。産業電気機器部門

において、1995年から2002年まで伊藤忠テクノソリューションズ株式会社に

出向して事業企画室長などを歴任し、ベンチャー投資業務に携わる。

その間、米国シリコンバレーとの幅広い人脈を構築した。

2002年5月より現職伊藤忠テクノロジーベンチャーズ株式会社 代表取締役社

長として、総額211億円のファンド運営責任者を務めている。

また、2008年7月より日本ベンチャーキャピタル協会の理事、2011年7月より

同協会の会長に就任している。

 

◆頭のよくなるクッキング26◆

クッキングを“因数分解”すると、加熱と冷却のプロセス、鍋、包丁、道具、

皿と什器、食材、レシピそしてスキルとなります。

今回は包丁について書いてみます。加熱の機器と鍋そして包丁はクッキングの

3種の神器です。

包丁の材質は大きく分けると炭素鋼とステンレスそしてセラミックスに分かれ

ます。炭素鋼はヤキ入れをした鋼です。極めれば日本刀です。かつてタタラで

作った玉鋼とほぼ同じ鋼を作ることに日立金属が成功しています。料理人が使

う高級な包丁はこれで作られていますが、鋼は錆びます。そしてきちっと砥石

で研がないと切れ味を維持できません。したがって素人には向かないと思います。

一方セラミックスは硬度が高いので、自宅では砥石で研ぐことは難しいです。

したがって家庭で使う包丁はステンレス鋼になります。

ステンレス鋼は鋼とクロム、ニッケル、コバルト、バナジウム、モリブデンな

どの金属の合金で様々な種類があり、包丁のメーカーによって使い分けられて

います。詳しくは下にある藤次郎のサイトをご覧ください。

ところで包丁を研ぐということは、実は先に細かいノコギリ状の歯を立てるこ

とです。使っているとこれが落ちて滑らかになってしまうのです。ステンレス

の包丁はかなり固いので研ぐのが難しくなります。しかし固いといっても次第

に丸くなりますので、研がないと切れ味は復活しません。

実は研がなくても包丁自身がノコギリ状の歯を自己再生できる包丁もあります。

それはIHIが航空機用エンジン部品のために開発した特殊な表面処理技術を包

丁に応用したものです。穂岐山刃物という革新的なメーカーです。イノベーシ

ョンですね。この原理は刃物鋼に超硬質の粒子を融合させた刃先で、硬さの差

によって絶えず超硬質の粒子が刃先に露出するわけです。買って試しましたが

切れ味が長続きしています。

出刃包丁とか柳葉包丁、菜切り包丁といういわゆる和包丁と、明治以降に製作

が始まった洋包丁という区分がありますが、家庭用は洋包丁が一般的でしょう。

洋包丁にはいろいろな形があります。家庭では牛刀とペティナイフと呼ばれる

二本があれば事足りますが、刃先がノコギリ状のパン切りナイフがあるとパン

はもとより、野菜やトマトは捕まりがよく切り易いです。

刃物は伝統的な産業ですから数多くのメーカーが技を競っています。もっとも

集積しているのは堺です。その他燕三条とか各地にあります。日本の包丁は世

界的にも有名で海外のシェフも日本製を使っているようです。

ステンレス鋼の包丁の中でダマスカス鋼と称するものが売られています。ダマ

スカス鋼はその昔インドで開発され、それがシリアに伝わり、強靭で折れない

刀剣として発達したとあります。十字軍がそれを持ち帰ってヨーロッパに伝え

たようですが、ダマスカス鋼を今では作る事はできないようです。インドには

1600年にわたって雨ざらしであるにも拘らず錆びていない「デリーの鉄柱」が

ありこれもダマスカス鋼ではないかという話もあります。現物を見たことがあ

りますが、錆びていませんでした。

日本のステンレスの包丁でダマスカス鋼というのは異種の鋼材を積層鍛造して、

即ち重ね合わせた金属を叩いて何度も折り返し多層に仕上げたものです。日本

刀の波紋のように美しい模様が出ます。

私は藤次郎の64層のステンレス包丁を使っています。見事な波紋です。これ

は研ぐのが大変なので電動のダイヤモンド砥石で研いでいます。

先日燕三条のタダフサという工房のパン切りナイフを買いました。これは刃先

の方がノコギリ波になっています。ですからトマトなどを刃先で捕らえてその

後うまく切れます。全体に切れ味もすごくいいです。3本セットもあります。

鍋もそうですが包丁も故障したりすることはありませんので、一生モノですの

で良いものを買い求めることをおすすめします。

 

穂岐山刃物

http://www.hokiyama.com/

ダマスカス鋼

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%80%E3%83%9E%E3%82%B9%E3%82%AB%E3%82%B9%E9%8B%BC

http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1079415350

藤次郎・Tojiro包丁シリーズ

http://tojiro.net/jp/guide/material_damascus.html

ダダフサ

http://www.shokunin.com/jp/tadafusa/houchou.html?gclid=CK6Z_f6zhb4CFUp8vQodHxoAK

電動ダイヤモンド砥石

http://www.kyocera.co.jp/news/2013/0505_gtmr.html

 

◆デジタル書斎の構築32◆

スマートフォンの低価格化が急速に進んでいます。日本でもイオンが端末込み

で月3,000円を切る低価格スマホを発売しています。これが引き金になってビ

ックカメラやヨドバシカメラも追随するようです。機能が限定でもほとんどの

人にとって十分でしょう。出先で動画をサクサクと見たいという人はともかく

メールとweb検索とかLINEとかFaceTimeの音声だけの通話であれば不満は

ないでしょう。

世界中でも低価格のスマートフォンの販売が加速されると予測されています。

低価格化の推進勢力は中国製です。すでに5,000円程度のスマホが販売されて

います。これは、スマホ業界はもとより、社会的にあるいは政治的な大きなイ

ンパクトを与える可能性を示唆しています。

直接には現在の2強であるAppleとサムソンにインパクトを与えるでしょう。

彼らは低価格のスマホの市場に入っていくことができません。

世界的なスマートフォンの成長は新興国市場です。新興国では何よりも人々は

スマートフォンを手に入れることを優先するでしょう。単なる通話や情報収集

以上にスマートフォンはIDであり、お金の出入り口になります。送金もスマ

ホです。給料も確実に本人に届くスマホでの決済機能に移るかもしれません。

直接にはサムソンに重大な経営危機をもたらす可能性が強いですね。とすると

韓国経済も甚大な影響を受けることになります。液晶TVで日本のシャープや

パナソニック、ソニーが韓国と中国の低価格戦略の前に敗退したように。

低価格化によってスマホが普及していくと、そのネットワークの力は新興国で

は政治的な力のバランスを変えます。すでに中国では新浪微博は数億人のユー

ザーがあり、共産党政権とって最も手ごわい政治集団と化しています。低価格

スマートフォンの急速な普及が社会や政治にどのようなインパクト与えるか、

これが次の「書評」に紹介した「第5の権力」の話になります。

日本でもすでに大きな社会的、商業的な変化が起きていますが、これに追随し

ていく企業と追随できない企業の間に大きな断層が生まれつつあります。とも

かく日本のマネージメント層のネット文明の認識はあまりにもお粗末だと思い

ます。今日現在ガラケーの携帯を使っている経営者はすぐにスマートフォンに

交換するか、次世代に譲って引退するか、というと言い過ぎでしょうか。

 

月額2980円、イオンが火をつけた低価格スマホ、ビックやヨドバシが追随

http://www.nikkeibp.co.jp/article/matome/20140423/394181/?rt=nocnt

世界中で低価格帯スマートフォンの販売が加速しそうだ

http://ascii.jp/elem/000/000/882/882427/

低価格化が止まらない中国に「500元スマホ時代」

http://www.itmedia.co.jp/mobile/articles/1312/09/news098.html

サムスンは2度負けた…

http://sankei.jp.msn.com/west/west_economy/news/140203/wec14020307000000-n3.htm

MotorolaのCEO50ドルのスマートフォンの投入

http://gigazine.net/news/20140123-motorola-50usd-smartphone/

中国レノボ、モトローラ吸収 サムソン・アップル2強体制 揺さぶるか

http://japan.hani.co.kr/arti/economy/16607.html

スマホの主戦場は新興国に向かう

http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/column/20140303/1055638/

新浪微博http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%96%B0%E6%B5%AA%E5%BE%AE%E5%8D%9A

 

◆書評◆

今回の書評は「第五の権力」エリック・シュミット、ジャレッド・コーエン ダ

イヤモンド社 2014です。

この本の原題はThe New Digital Age です。題名通りネット技術の社会への

インパクトについて解説しています。ネットが持つ社会的、政治的な意味につ

いて多くの記述がありますので邦題も適切なタイトルだと思います。また著者

のエリック・シュミットはGoogleの経営者ですからGoogleが何を考えている

か、何を仕掛けようとしているのかという観点で読んでも興味深いと思います。

この本は社会学的な分析はなく、比較的軽く、思いつくことをさらさらと書い

ているので読みやすいと言えば読みやすいですが、人によっては物足りないで

しょう。ただネットについての知識が深まりますので、時代についていくため

にご一読をお勧めします。

新しい言葉もいくつか覚えました。たとえばハッカーとアクティビストを掛け

合わせた「ハクティビスト」はアノニマスのようなハッカー集団を指します。

 「アノニマス」とはネット上で抗議行動やハッキングする集団を指す言葉です。

 「デジタルカースト」や「デジタル警察国家」というような言葉も出てきます。

「メーカーズ現象」とは市販の製品を何種類か組み合わせれば、これまで普通

の人には難しくて到底作れないようなものが作れるようになることです。自分

がメーカーになれるのです。いわゆる3Dプリンタはその走りです。

「キュレーター」は膨大なネット上から独自の視点で「情報のフィルター役」

として情報源を開拓、選定する人のようです。このメールマガジンもある意味

この「キュレーター」を意識しています。

色々長々書いてありますが要点はネットワークで多数の人が接続される、すな

わちネットワークされた集団というかコミュニティーは社会的にも政治的にも

これまで考えられないような力を持つことになり、既成の国家権力と国民との

権力の葛藤や独裁者と改革者の競合、テロや革命での強力な情報網と扇動、宣

伝の可能性そして国家間のサイバー戦争の実態やリスクといったことが記述の

かなりの部分を占めます。この辺の記述に対し第5の権力という邦題が付けら

れたと思います。むろんネットという新しい技術やツールを使って世界をより

よくより豊かにすることができるという論調もあります。

目次を拾うと、“未来の私たち”、“プライバシーの未来”、“国家の未来”、

“革命の未来”、“テロリズムの未来”、“紛争と戦争の未来”、“復興の未来”

そして“私たちの結論”です。

その結論は、1技術は万能ではないが賢明に利用すれば大きな違いを生む。

2仮想世界は現実世界でのあらゆる動きを複雑にしていく。3国家は現実世界

と仮想世界でそれぞれ異なる政策を実行することができる。 4コネクティビテ

ィと携帯電話の普及で市民は大きな力を手に入れるが、それに伴いプライバシー

とセキュリティという代償を払うことになる。

文中に現在世界的な通信メーカーはスウェーデンのエリクソン、中国の華為技

術、フランスのアルカテル・ルーセントそしてアメリカのCisco社の4社だと

いう記述があり日本の通信メーカーは時代のプレーヤになっていません。

繰り返しこのメールマガジンでも書いていますが日本の企業、行政、社会はネ

ット文化とその基本となっている技術について時代感覚で取り残されていて、

これが日本の停滞や衰退の大きな要因だと思います。

 

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◆内容・記事に関するご意見・お問い合わせ/配信解除・メールアドレス変更

右記まで  webmaster@fukan.jp

……………………………………………………………………………………………

◆俯瞰 MAIL 0040号(2014年4月30日)

発行元:     一般社団法人 俯瞰工学研究所

発行人:   松島克守

編集長:   松島克守

URL:     http://fukan.jp

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俯瞰メール39号

皆様

◆時候のご挨拶◆

春一番、卒業式、送別会、桜の蕾の便り、そして新しい年度が始まります。 1年経つ

のは本当に早いですね。世の中、信じられないような不思議なことが起こっています

し、世界の情勢もハラハラするような状況になっています。株式市場も下がり、ベー

スアップ、増税による景気後退の危惧など、あまりのどかな春を感じる気分ではない

かもしれませんが、ともかく4月1日は業務の上では元旦ですから、ここでもう一度一

年の計を立てましょうか。

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・ロシアによるクリミアの併合

・各国の軍事演習の競演の場になったマレーシア航空機の探索

・史上最高額の予算で成長路線に乗れるのか

・日本の科学技術のブランドが毀損した

・ビジネスモデル学会 イブニングセッションのご案内

・頭のよくなるクッキング25

・デジタル書斎の構築31

・書評「信長公記」太田牛一(中川太古現代語訳)講談社新人物文庫 2013

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◆ロシアによるクリミアの併合◆

これまで何回かアメリカという超大国の衰退が新冷戦構造をもたらし、世界中に混乱

を起こすことになると言う思いを書いてきましたが、まさにウクライナの混乱とクリ

ミアのロシアの併合はその一つの結果です。

 

今後の展開は予測出来ませんが、プーチン大統領はクリミア編入で事を止め、ウクラ

イナに対する一定の影響力を確保することで納めると思います。過去のナポレオンや

ドイツの侵攻の歴史からベルラーシとウクライナはロシアの防衛線です。冷戦崩壊後

にNATOがこの地域に勢力を伸ばしてきた事はロシアにとって重大な脅威でしょう。

 

また住民が独立を宣言しユーゴスラビアから離脱したコソボのケースを見れば、クリ

ミアはこれと同じです。コソボ独立についてNATOは軍事力を行使してこれを実現させ

ました。 NATOはやって良くてロシアはいけない、という事は、プーチンは認めない

でしょう。また、テロリストの巣窟だと言ってアフガニスタンに軍事行動を起し当時

の政権のタリバンを倒し、欧米の主導する政権を仕立て、そして偽りの大量破壊兵器

という理由でアメリカとイギリスがイラクに侵攻したことを正当化することも難しい

ですね。

 

ただあの周辺には民族自決の独立を主張している地域がたくさんあります。加えて民

族の国を持つことを悲願としているクルド族もいます。さらにスペインのバスクにも

同じモデルがあります。中国にはチベット、ウイグルという独立を主張する強い動き

があります。これらの地域にドミノ的に独立運動が展開されればさらに世界は流動化

します。

 

このロシアのクリミア併合を米国とEUは激しく非難し、制裁措置を発表し、実行しよ

うとしていますが、プーチンはこの影響を限定的と分析した上で事を起こしたに違い

ありません。第一にヨーロッパは天然ガスの大部分をロシアに依存しています。短期

的にこれを他のエネルギーやシェールガスに切り替える事は出来ません。加えてかつ

ての冷戦時代は完全に欧米・日本の経済と共産圏の経済は分離していましたが、現在

は相互に非常に深い関係にありますので、 EUは本格的な制裁は出来ません。無論NATO

はウクライナに軍事力を行使する力もなければ意思もありません。相互の経済に重大

な影響を与えない程度のロシア制裁でこの件はうやむやに処理されていくのではない

でしょうか。

 

日本は北方領土返還の悲願がありますから、難しい選択を迫られますが、多分ロシア

は深刻には考えていないと思います。ロシアの富豪が個人名で日本国内に大きな資産

を持っているとも思えませんし、極東地域はすでに地域間でかなりの経済交流があり

ますからビザを止めるとむしろロシアの極東地域の経済にインパクトがあります。特

にサハリンやウラジオストクのLNG関連のプロジェクトは両国にとって極めて戦略的

ですから、現場の交流を止める事はないと思います。

 

ただプーチン大統領が簡単に北方領土を返還すると期待するのは甘いと思います。ゴ

ルバチョフがトップであったときに唯一チャンスがありましたが時の橋本龍太郎首相

はこれを見逃しました。ドイツのコール首相はこの期に東ドイツを奪還しました。政

治家の資質の問題が大きすぎます。

 

問題はこのような国際社会の対応をみて、中国が南シナ海や尖閣列島に行動を起こす

リスクは排除出来ません。

 

ともかく予測を超える国際的な流動化現象を前提にして日本はグローバルに経済を展

開していくしかありません。ただ現在の日本の政治家に、このような難しい状況の舵

取りが出来る人物を見つけることができません。国民が俯瞰的な理解で政治を導いて

いくしかありませんね。

 

プーチン大統領、クリミア編入認める

http://jp.wsj.com/article/SB10001424052702304471904579446730692111294.html

プーチン氏「これ以上の企てない」

http://jp.wsj.com/article/SB10001424052702304471904579447492357754258.html?dsk=y

オバマ米大統領、対露制裁強化

http://sankei.jp.msn.com/world/news/140321/amr14032100460001-n1.htm

ロシアへの制裁強化は不可能か

http://www.huffingtonpost.jp/2014/03/19/russia_n_4991212.html?utm_hp_ref=japan

NATO 、冷戦終結後最も深刻だ

http://sankei.jp.msn.com/smp/world/news/140320/amr14032010220002-s.htm?utm_source=dlvr.it&utm_medium=twitter

周辺諸国、「併合ドミノ」警戒

http://sankei.jp.msn.com/world/news/140319/erp14031923020023-n1.htm

「戦争モード」に突入したウクライナ情勢

http://diamond.jp/articles/-/50449

プーチンに北方領土返還の意志はない

http://sankei.jp.msn.com/smp/world/news/140320/amr14032010220002-s.htm?utm_source=dlvr.it&utm_medium=twitter

 

 

◆各国の軍事演習の競演の場になったマレーシア航空機の探索◆

本当に不思議なマレーシア航空の事故です。妄想をすれば007のフィクションのように

もなります。真相は、今は闇の中ですがその国際的な探索活動は俯瞰的に見るとまさ

に軍事演習の競演です。中国は大量の航空機と艦艇を投入し、南沙に基地建設までし

ようとしています。上空のアメリカと中国のスパイ衛星の画像分析もされているはず

が、手の内を見せられないので映像はあまり発表されていません。無論分析によって

発見できていないのでしょう。とするとインド洋深く沈んでいると考えるしかありま

せんが。

 

ここで突飛もないことを考えてみました。日本の海上自衛隊の救難飛行艇は着水能力

では世界一の性能を誇っていると思います。これをこの探索に投入したらどうでしょ

うか。日本の技術力を世界に示す機会となります。

 

すでにこの救難艇はインドが目をつけ購入を決めています。これは武装していません

から武器輸出ではありません。この様な飛行艇はインド以外にもタイやベトナム、イ

ンドネシア、フィリピンにとっても非常に有効な海難事故の救援能力となります。し

ばしば満員のフェリーが沈没して多くの乗客がサメに襲われたりして死亡する悲惨な

ニュースがありますから。こんなこと言うとお前もナショナリストかと言われそうで

すが。

 

中国、不明機捜索で南沙に基地建設

http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20140314-OYT1T00902.htm

海上自衛隊が運用する救難飛行艇

http://ja.wikipedia.org/wiki/US-2_(%E8%88%AA%E7%A9%BA%E6%A9%9F)

救難飛行艇US-2 引き継がれてきた技術と将来展望

http://oceans.oprf-info.org/analysis_ja02/b131111.html

インドが日本の救難飛行艇購入でほぼ合意、総額16億ドル超

http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPTJEA0R02Y20140128

 

 

◆史上最高額の予算で成長路線に乗れるのか◆

ニュースやネットの情報を見ていくほど、ますます日本経済の今後がわからなくなり

ます。安倍内閣のデフレ脱却政策も1年目を迎えます。そして史上最高額の予算案が成

立しました。積み残した補正予算を入れれば100 兆円を超えます。これでデフレ脱却

ができて成長路線に乗るとも考えられません。何回かこのメルマガで書いていますが、

これが最後の賭けです。このままいけば日本は双子の赤字の国になります。大変な局

面を迎えるかもしれません。

 

これまでの景気は多くが円安の為替差益であって企業も行政もほとんど構造改革がで

きていません。その円安もほぼ一服し、そこにウクライナの混乱から、ロシア制裁と

いう経済活動に対してマイナス要因が浮上しています。株式市場も下げ止まりが出来

ません。ただこの1年ほどで海外投資家は15兆円程度の“日本買い”していますが、

今の“売り”はその1割程度ということで、下がる要因は国内投資家の売りでしょうか。

 

消費税の駆け込み需要とその後の反動が懸念されていますが、これはあまり影響がな

いのではないかと私は楽観しています。しかし、各種の規制緩和、法人税の引き下げ

を安倍首相がリーダーシップを発揮して果敢に実行して行かないと景気は腰折れする

可能性がありますね。

 

今日3月22日、嬉しいニュースが1つありました。かねて私が主張していたベンチャー

企業への減税が自民党の中で議論されているということです。ともかく日本の成長は

新規の企業、新興企業の成長に掛っています。日本人の持っているポテンシャルをビ

ジネスとして実体化していくことを強力に進めることが、日本の持続的な成長になり

ます。間違っても単純労働者が足りないから、人口が減るからといって外国人労働者

や移民を安易に導入することは反対です。日本の国は単純労働の産業で成長する国を

目指すのではなく、創意と工夫、そして志高く新しい世界を築いていく国を目指すこ

とです。

 

予算成立

http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS20015_Q4A320C1000000/

外国人投資家、株の売越額9700億円

http://www.nikkei.com/article/DGXNASGC2001T_Q4A320C1EE8000/

東京株、米市場混乱で1カ月半ぶり安値水準

http://www.zakzak.co.jp/economy/investment/news/20140320/inv1403201520000-n1.htm

もう一段の円安がアベノミクスを救う

http://www.zakzak.co.jp/economy/ecn-news/news/20140320/ecn1403201801002-n1.htm

円安一服と景気先行き懸念

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-N2NLUL6KLVRT01.html

法人税引き下げ、成長戦略に明記

http://www.sankeibiz.jp/macro/news/140320/mca1403202228014-n1.htm

双子の赤字

http://news.kanaloco.jp/editorial/article/1403190001/

 

 

◆日本の科学技術のブランドが毀損した◆

ノーベル賞物と発表された理化学研究所のSTAP細胞の発表論文の顛末も、誠に不思議

な話になってきました。こうなるといろんな情報が個人を含めほじくり出され、日本

の科学界の暗部というか影の部分も見えてきました。これを機会に研究者の組織や社

会も構造改革をする必要があります。

 

この発表で関連する企業の株価が乱高下していますが、これからの産業として非常に

重要で注目されているバイオ関連の企業の信用が揺らぎ、危ない業界と思われるとこ

れは大きなマイナスになります。共同研究者がセルシードの会社社外役員をしている

こともあって注目を集めています。

 

ともかくこれによって日本の科学の輝かしいブランドは大きく毀損しました。この責

任はどう処理するのでしょうか。理化学研究所の調査の中間発表を見ていると何か

はっきり言えない部分と事があるように感じます。

 

論文の引き下げを文部科学大臣が口にしていますが、これはあくまで研究者の判断が

優先し政治が発言することではないと思います。そして謝れば許されている日本人の

安易な思想が問題です。アメリカの研究者は反対しています。あくまでもう一度STAP

細胞を作って世界に見せて欲しいと思います。その方法が論文で発表したものと異

なっていてもためらう必要はありません。

 

誰もが、STAP細胞は存在する、再現できます、という言明を心待ちにしています。

 

酸の刺激だけで万能細胞作製 新型「STAP」理研が成功

http://sankei.jp.msn.com/science/news/140129/scn14012921150000-n1.htm

小保方晴子氏のSTAP細胞関連騒動が焙り出した大学の構造問題

http://www.huffingtonpost.jp/iwao-yamaguchi/stap_2_b_4997072.html

「STAP細胞は存在するのか」理研が独自調査へ 論文記事はサイトから削除

http://www.huffingtonpost.jp/2014/03/18/riken-stap-cell_n_4983234.html?utm_hp_ref=japan&ir=Japan#gunosy

STAP細胞 バイオ関連株活況

http://stocks.finance.yahoo.co.jp/stocks/chart/?code=7776.T&ct=z&t=3m&q=c&l=off&z=m&p=m65,m130,s&a=v

新日本科学株価

http://stocks.finance.yahoo.co.jp/stocks/chart/?code=2395.T&ct=z&t=3m&q=c&l=off&z=m&p=m65,m130,s&a=v

株式会社セルシード (CellSeed Inc.)

http://www.cellseed.com/company/index.html

セルシード株価

http://stocks.finance.yahoo.co.jp/stocks/chart/?code=7776.T&ct=z&t=3m&q=c&l=off&z=m&p=m65,m130,s&a=v

 

 

◆ビジネスモデル学会 イブニングセッションのご案内◆

第14回イブニングセッション開催のご案内

「奇人・変人が日本を変える」

日時:5月21日(水) 19:00-21:30

場所:霞ヶ関ナレッジスクエア エキスパート倶楽部

講師:安達 俊久 氏

      伊藤忠テクノロジーベンチャーズ株式会社 代表取締役社長

      日本ベンチャーキャピタル協会 会長

講師略歴:

東京工業大学電気工学科卒業、伊藤忠商事株式会社に入社。産業電気機器部門におい

て、1995年から2002年まで伊藤忠テクノソリューションズ株式会社に出向して事業企

画室長などを歴任し、ベンチャー投資業務に携わる。その間、米国シリコンバレーと

の幅広い人脈を構築した。

2002年5月より現職伊藤忠テクノロジーベンチャーズ株式会社 代表取締役社長として、

総額211億円のファンド運営責任者を務めている。

また、2008年7月より日本ベンチャーキャピタル協会の理事、2011年7月より同協会の

会長に就任している。

2010年4月より2012年8月まで、法制審議会会社法制部会委員を務めた。

2013年12月まで、金融審議会リスクマネー供給のあり方に関するWGの委員を務めた。

 

 

◆頭のよくなるクッキング25◆

クッキングを“因数分解”すると、加熱と冷却のプロセス、鍋、包丁、道具、皿と什

器、食材、レシピそしてスキルとなります。これからこれらの要素を一つずつ書いて

いこうと思います。

 

加熱のプロセスは基本的にはガスか電気の選択です。結論はIHです。なんといっても

密閉した現在の住宅で裸火を室内で燃やすのは危険で野蛮です。IHであれば鍋に煤が

つきませんし、鍋掴みや袖口を誤って焦がすこともありません。プロの世界はともか

く素人の世界ではIHは極めて強火が可能です。ただ機器や加熱プロセスの変更が必要

です。

 

ご存じのように磁石がつかないマテリアルの鍋は使えません。アルミ鍋、銅鍋や土鍋

は使えません。鍋料理にカセットボンベのコンロを使いますが密閉した室内では短時

間で有毒のCOが充満する危険性があります。今はIHで使える土鍋がありますからIHの

コンロで安全な鍋料理が可能です。どうしても直火で炙りたい料理もあります。例え

ばカツオのタタキです。これは限定的に手持ちのガスバーナーでできます。プロは

使っています。

 

オーブンとグリルは西洋料理では必須に近いですね。またインドのタンドリや中華の

焼き豚などはオーブンが欲しいですね。日本にはこの機能に加え電子レンジとスチー

ム加熱の出来る調理器具が販売されています。オーブンとグリル機能はキッチンに組

み込み用に設計された本格的なオーブンやグリルにはかないませんがかなりの料理は

できます。電子レンジも有力な加熱プロセスです。

 

冷却は冷蔵庫と冷凍庫になりますが定期的に霜取りが入る冷凍庫よりも直冷式の方が

食品の長期保存に向いています。そして冷凍庫には性能に差がありますから最も低温

に冷凍できる機種を選んだほうがいいでしょう。

 

加熱プロセスと食材の仲立ちをするのが鍋です。鍋は多種多様ですが、ここでは我が

家の出番の多い鍋を紹介しましょう。

 

まず毎日使っている鍋は圧力鍋です。ご飯は白米も玄米もこれで炊きます。白米は加

熱時間わずか3分です。玄米はなんと23分です。いずれも圧力鍋で炊くとモッチリした

美味しい仕上がりになります。ビーフシチューやポトフなどの肉も下処理をして圧力

鍋で30分加熱すると柔らかくなります。40分加熱するとホロホロになります。その後

シチューやポトフに仕上げます。したがって夕食として時間内に作ることができます。

 

2番目に出番が多いのはダイヤモンドコーティングのフライパンです。炒める、蒸し焼

き、焼き餃子と万能です。テフロンコーティングのフライパンが普及していますが、

一定以上の高温になると有毒ガスが出るということで現在はダイヤモンドコーティン

グもしくはセラミックスコーティングが増えてきました。これにガラスの蓋を併用す

ると蒸し焼きやその他の料理ができます。

 

次に出番が多いのは小型の片手鍋と深なべです。小型の片手鍋は味噌汁に必須です。

深なべは野菜を茹でたり、スープストックを取ったりすることに使います。この手の

鍋は5つほど直径と深さを変えて用意していますが、マテリアルとしてはステンレスと

アルミの多層鍋がお勧めです。私はスイスのSpring を使っていますが、この会社は

WEDGWOODに買収されて現在ではSpringのブランドでは売られていません。WEDGWOODの

商標で鍋も売られています。

 

生のアルミの鍋がまだ日本では売られていますが欧米では売り場に見たことがありま

せん。 アルミは酸性で溶け出しますので、そのアルミが脳に蓄積しアルツハイマー

の原因ではないかという議論があって欧米からは姿を消しました。私も気に入ったフ

ランス製の鍋がありましたが涙を飲んで全て処分しました。ステンレスの多層鍋は高

価ですが柄も金属であれば一生使えます。

 

ステンレス多層鍋でなくても鍋底がきちっとした鍋であれば問題ありません。高価で

すがドイツのフィスラー製が秀逸です。

 

次に使う鍋は鋳造の鍋です。アメリカのLODGEのスキレットは手放せません。分厚いス

テーキやタリアータを、周囲に薄く焦げ目をつけ内部を均一にピンクに仕上げる時に

これを使います。

 

煮込み料理には鋳造の鍋のLECREUSETとSTAUBEを使います。どちらかというとSTAUBEが

良いと思います。いずれもかなり高価ですから日本製の鋳造の鍋で良いと思います。

柳宗理のデザインの鍋はデザインが優れている上に値段も高くありません。

楕円の鍋があると、肉の塊を加熱する焼き豚や煮豚には煮汁が少なくて済むので便利

です。

 

このほか道楽でいろんな鍋を持っていますがその話は後日にしましょう。

次回は包丁の話をしたいと思います。

 

 

◆デジタル書斎の構築31◆

前回取り残されていく日本のIT産業について書きましたが、 IT産業の最前線を今回

俯瞰してみました。主役はAppleとGoogleです。双方とも数百億ドル(数兆円)以上の

現金を持っていますから、その進撃は凄まじいものがあります。

 

AppleもGoogleも次世代の自動車産業に目を向けています。 Appleは自動車とiPhone

を連動させるiOSのCarPlay(カープレー)を発表しました。すでに主要な自動車メー

カーは対応をコミットしています。現在のiPhoneの普及を考えれば対応せざるを得ま

せんね。さらにAppleは電気自動車のトップランナーであるステラに買収を持ちかけて

いるとも伝えられています。

 

Googleは自動車に関してはもっと積極的で、すでに無人自動車を公道で試運転してい

ます。このようなAppleとGoogleの攻勢に対し既存の自動車メーカーは当惑していると

も言われています。既存の自動車メーカーとは全く発想が違う自動車産業への取り組

みですが、当惑して時を失うと、気がつくと自動車産業の覇権を失うことになりかね

ません。既にコンピューターの世界ではIBMからウィンテルへの覇権の交代、そして

ウィンテルからGoogleへの覇権の交代が起こっています。ソニーからAppleへの道もこ

の例に加えても良いかもしれません。

 

ただAppleとGoogleは次世代の自動車に対してかなり違うコンセプト持っているようで

す。GoogleとAppleはスマートホンの次と言われるウェアラブルコンピューターについ

ても激突しています。 Googleは「Googleグラス」や「腕時計型端末」のような製品の

OS 「Android Wear」を発表し、 Appleを引き離そうとしています。一方Appleも

iPhoneの実績と技術を使って腕時計型のウェアラブルコンピューターを発表しようと

しています。

 

この腕時計型のコンピューターの戦略的なアプリケーションは「健康」です。健康情

報を収集し、ネット上のビックデータの分析と組み合わせ高度な健康医療情報サービ

スをしようとしています。これについてはナイキもすでに腕輪型の製品を発売して市

場を狙っています。腕輪型の運動や睡眠のモニターシステムは多くのベンチャー企業

が進出しています。日本のオムロンやタニタそしてテルモなどは・・・・・・。

 

さらにGoogleはロボットのベンチャーをいくつも買収してこの分野にも進出しようと

しています。東大発の日の丸ベンチャーを買収して近頃話題になりましたね。

 

ハードウェアは現在手掛けていませんがAmazonも次世代を見すえた行動をいくつか起

こしています。無人ヘリによる配達は話題になりました。手堅いところでは仮想現実

を使いiPhoneで商品をスキャンするとその場でAmazonのオンラインショップで買い物

ができるアプリケーションをすでに発表しています。

 

このように物凄いことが進行していますが、日本勢の存在感はありません。色々やっ

ているんでしょうが、ついて行っていないと思います。その理由はネット時代の時代

感覚に製品企画や商品企画の機能がついていっていないのでしょう。既存製品に囚わ

れすぎです。日本はどうしても「もの作り」という時代遅れの発想から抜けられない

ようで、ウェアラブルコンピューターでも高機能で高付加価値のハードウェアの開発

に注力しネットが持っているとんでもない可能性を未だにつかんでいないのではない

かと考えざるを得ません。加えてすでに今では手持ち現金の額が2桁以上違いますから

先行どころかキャッチアップすら難しいでしょう。

 

実は次世代自動車にせよロボットにせよその基盤は機械のメカニズムとマイコンの制

御システムが統合された「メカトロニクス」です。これは日本が最も得意とする技術

でGoogleもAppleもこの技術はありません。ただこんなことで安心したり、驕ってい

ると大変です。彼らの資金力をもってすれば日本の自動車会社やロボットメーカーを

買収するのはいとも簡単です。

 

下記にこの記事に関連するサイトのURLを紹介します。時間が掛りますがお時間がある

ときにこのサイトの情報をまとめて見ていただければ今“既に起こっている近未来”

が見えてきます。残念ですがそこに日本の未来は見えませんが。

 

Appleがクルマに熱い視線

http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20140306/260651/?ST=smart

Google、ホンダ・GMなど5社と提携 OS開発

http://www.nikkei.com/article/DGXNASDD060UO_W4A100C1000000/

Google「夢の無人自動車」が公道デビュー!

http://www.newsweekjapan.jp/stories/business/2012/05/post-2537.php

「走る端末」Googleなど本腰 距離感めぐり頭悩ます自動車メーカ

http://mag.executive.itmedia.co.jp/executive/articles/1401/23/news058.html

Googlevs日本車各社、自動運転めぐり火花 日本勢、悩むITとの連携

http://www.nikkei.com/article/DGXNZO65119500Q4A110C1SHA000/

AppleとGoogleが描く「自動車の未来」が、こんなに違うなんて!

http://news.livedoor.com/article/detail/8603506/

Apple、電気自動車大手のテスラに買収提案?

http://www.huffingtonpost.jp/2014/02/18/apple-and-tesla_n_4806517.html

AppleイOS搭載腕時計「iWatch」

http://matome.naver.jp/odai/2136073749793386501

Appleを突き放すGoogle

http://www.sankeibiz.jp/smp/express/news/140320/exb1403200002000-s.htm

Google Glass

http://ja.wikipedia.org/wiki/Google_Glass

ロボット企業を相次ぎ買収した米Google

http://it.impressbm.co.jp/e/2013/12/26/5368

GoogleがウエアラブルOS発表、腕時計型端末発売へ

http://www.nikkei.com/article/DGXNASFK19028_Z10C14A3000000/

Googleが侵食するマイクロソフトの牙城

http://www.huffingtonpost.jp/hiroshi-onishi/google_b_4976864.html

Google、ウェアラブル端末用OS「Android Wear」を発表

http://wirelesswire.jp/Watching_World/201403191423.html

NASAの巨大格納庫「ハンガー・ワン」がGoogleの“手中”に

http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20140305/260639/?ST=smart

Amazon、30分以下で届ける小型無人8翼ヘリPrime Air を公開

http://japanese.engadget.com/2013/12/01/30-8-prime-air-2015/

iPhoneで撮ってその場で買える、Amazonアプリの新機能「Flow」

http://wired.jp/2014/02/07/amazon-flow/?utm_source%3Dfeed%26utm_medium%3D

 

 

◆書評◆

今回の書評は

「信長公記」太田牛一(中川太古 現代語訳)講談社新人物文庫 2013  です。

 

この本は信長の身近に仕えた太田牛一が信長の行動を見たままに記録した貴重な歴史

資料です。後から資料を研究して歴史として描いたものではありません。いわば500

年前の実況中継です。有難いことに中川太古さんが現代語に訳してくれたので私たち

は読むことができます。現代語訳は労作です。

 

記述は信長の父織田信秀が信長に家督を譲るところから始まります。この時代は駿河

の今川義元がしばしば三河に侵入する時代です。一方織田信秀は美濃に進出をしてい

ます。斎藤道三との戦いです。

 

当時の信長はよくドラマに出てくるようにひどい格好と立ち居振る舞いで人々から大

馬鹿者と言われていますが、斎藤道三の娘との縁組がまとまり、道三と面会の時には、

信長発案の三間半の朱塗りの長槍500本、弓・鉄砲500丁を足軽に持たせて会見場所に

乗り込み、その面会の時にあっと驚くような立派な身支度で人々を驚かせます。帰り

道に「この道三の息子どもは必ずあの阿呆の門前に馬を繋ぐことになるだろう」と信

長の器量と将来を見通しています。そして信長を馬鹿者呼ばわりにする人は1人もい

なくなった、と書かれています。

 

この時代は数キロの距離でそれぞれが勢力を張り、たえず戦をしていたことがわかり

ます。お互いに殺し合い首を取り合い、敵方に侵入しては集落を焼き、米や麦を斬り

倒すというとんでもないことを繰り返していた時代の描写が延々と続きます。兄弟で

家督を争い、殺し合います。信長も弟たちを全て成敗して織田家の棟梁になります。

信長は少人数を連れただけで行動することが多いので何度か暗殺の企てに会いますが

運の強い人でそれを逃れています。太田牛一は「一城の主ともある人は万事に注意し

て油断をしてはならない」と言っていますがこれが本能寺の変という信長の最後に繋

がりますね。ともかく東は駿河勢と戦い、西は美濃勢との戦いに明け暮れます。

 

有名な桶狭間の合戦の時には、出陣の前の夜は家老達に作戦に関する話題を持ち出さ

ず雑多な世間話だけで終わり「さあ、夜もふけたから帰宅してよいぞ」と退出の許可

を出すと家老たちは「運の尽きるときには知恵の鏡も曇るというが、今がまさにその

時だ」とみんなで信長を評し嘲笑いながら帰った、とあります。明け方「人間50年下

天の内・・・・」と歌い、舞い、鎧をつけ、立ったまま食事をとり、兜をかぶって出

陣したとあります。その時信長に従ったのは騎馬6騎と雑兵200人ほどであったとあり

ます。次第に兵が集まりますが2,000に満たない兵力でした。一方、敵の今川義元は

4万5,000の兵を引き桶狭間で人馬に休息を与えていました。初戦の勝利で上機嫌で謡

を三番歌ったという事です。信長の家老たちは必死で進撃を止めますが信長は「今川

の兵は疲れきっている、こちらは新手の兵である。少数の兵だからといって多数の敵

を恐れるな、勝敗の運は天にある」と言って油断しきっていた今川義元の本陣をつき

混乱の中で今川義元の首をあげます。首実検した首の数は3,000にものぼるとあります。

 

太田牛一は、義元が忠節を尽くした家来に褒美をやらなかったり、ささいな疑いから

切腹させたりしたことを取りあげ「善悪二つの道理は明らかで、天道に背くと恐ろし

いことになる」と書き留めています。この「天道に背く」という記述はしばしば出て

きますが太田にとっては、信長はいつも善であり天道を行く人です。この後信長は、

足利義昭を支援して畿内を平定していくわけですが、この頃から木下藤吉郎の名前が

出てきます。

 

北近江の浅井と越前の朝倉には長い間手を焼いています。越前と京都を結ぶ長浜は経

済の要であったので経済力があり勢力が強かったのでしょう。戦乱の中での息抜きで

しょうが、よく相撲を取らせて観覧し、能を鑑賞しています。良い相撲をとった男に

は気前よく褒美を出し、召し抱えてもいます。そしてよく鷹狩りをしています。駿馬

も大好きですね。ですから名馬と鷹の献上が多くあります。これにも気前よく金銀を

与えています。だからドンドン献上します。

 

比叡山の焼き討ちですが、浅井・朝倉との攻防の中で、信長に味方すれば信長の領国

の中の延暦寺領を返還する、出家の身では一方のみに味方できないならば、信長の妨

害をするな、もし信長に敵すれば比叡山を焼き払う、と通告していますが、比叡山の

僧兵は浅井・朝倉に味方します。そして比叡山の僧侶たちが堕落しきっていることを

知り、全てを焼き尽くします。ですから信長から見ればこれは天道です。

 

信長は領国とした国の道路を広め、橋をかけ、関所を撤廃して人々の交通や物資の流

通を便利にしたので、庶民の生活は安定したと書かれています。規制緩和の経済成長

の政策です。

 

ただ信勝必罰は徹底しており、気前よく褒美を出すと同時に命に従わない者は容赦な

く首を切っていきます。しかし争いごとの裁判は厳正に行っています。

上杉謙信、武田信玄が相次いで没し、浅井・朝倉を滅ぼし畿内をほぼ平定する時にな

ると、東北の南部氏、伊達氏、関東の北条氏が名馬や鷹を献上し恭順の意を表します。

東の脅威は有りませんから、畿内の石山本願寺とそれと連携する毛利が最大の敵国です。

 

またNHKの黒田官兵衛にある播磨の赤松、小寺、別所が上洛して信長に挨拶したこと

も書かれています。畿内を平定した時、家督を長男の信忠に譲り岐阜の城も蓄えた宝

物もすべて譲り、茶の湯の道具だけ持って安土に行きます。

 

安土城についても色々な記述がありますが城跡に行ったことがあるので興味深く読む

ことができました。ある時安土城に詰めている武士たちが妻子を国に残しての単身赴

任が多いことに怒り、彼らの領地の家を焼き払います。太田牛一は、ここまで信長は

30年間まったく粉骨砕身の努力をした、と書いています。

 

この後は石山本願寺の一向宗徒との長い戦いになります。北国には柴田勝家、前田利

家らを配して加賀、能登、越中の一向宗徒を平定していきます。一方、秀吉は播磨、

但馬、因幡を平定していき、この卓越した成果について信長は感(謝)状を送ってい

ます。この本の後半は秀吉の活躍が多く書かれています。放映中のNHKのドラマの世界

です。

 

壮絶な殺戮の場面がいくつもありますが、長島一揆の一向宗徒の虐殺と荒木村薫に

見殺しにされた人質数百人の女性の処刑の記述はあまりにも壮絶で心が凍りました。

石山本願寺とは朝廷の仲介で和議が結ばれ、門跡は大阪を出て紀州雑賀に落ちていき

ます。残って戦い続けるという勢力もあったそうですが、長島の虐殺の記憶が背中を

押して石山本願寺を放棄し、火事もあってすべて灰塵に帰します。

 

木曽義昌が味方になり穴山梅雪も徳川家康の味方になり、甲斐の武田勝頼を滅ぼしま

す。そのあとゆっくりと甲斐から、富士山や東海の名所旧跡を訪ね安土に帰還します。

このときの徳川家康の歓待ぶりは物凄いですね。道の樹木、枝を切り払い、兵を配置

し万全の警備をし、行き先、行き先に仮の御殿を立てて徹底した接待をしています。

天竜川には船橋をかけました。大層金が掛っただろうと書いています、その返礼とし

て徳川家康と穴山梅雪を安土に招待しこれまた徹底的に接待します。そして京都や堺

をゆっくり見物して帰る手はずを整えます。そして本能寺の変です。家康はなんとか

逃れますが、別動の穴山梅雪は一揆衆に殺されたとあります。

 

一方西の毛利と大軍同士で決戦をし、その勢いで九州までをも平定するために北国以

外の武将に出陣を命じます。明智光秀もいったん帰国し出陣することになります。信

長は平定した京都にはいつも少数の小姓組を引き連れてだけで来ていますので、この

時も定宿の本能寺に小姓組だけで宿泊します。不幸にも長男の信忠も京都に滞在して

います。あとはご存知の通りです。

 

淡々とドキュメンタリータッチで記述が続きますが、映画やドラマのイメージがあり

ますからその裏話として面白く読めます。この本はドラマや小説のネタ本ですね。

 

太田 牛一

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%AA%E7%94%B0%E7%89%9B%E4%B8%80

今川 義元

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BB%8A%E5%B7%9D%E7%BE%A9%E5%85%83

穴山梅雪

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A9%B4%E5%B1%B1%E4%BF%A1%E5%90%9B

木曾義昌

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9C%A8%E6%9B%BE%E7%BE%A9%E6%98%8C

小山田信茂

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B0%8F%E5%B1%B1%E7%94%B0%E4%BF%A1%E8%8C%82

 

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◆内容・記事に関するご意見・お問い合わせ/配信解除・メールアドレス変更

右記まで  webmaster@fukan.jp

……………………………………………………………………………………………

◆俯瞰 MAIL 0039号(2014年3月23日)

発行元:  一般社団法人 俯瞰工学研究所

発行人: 松島克守

編集長: 松島克守

URL:http://fukan.jp/

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俯瞰メール38号

皆様

◆時候ご挨拶◆

大雪で東京や山梨県そして秩父などで交通の混乱と集落の孤立で大変な2月でしたが

やっと春の兆しも感じられます。いずれも過去になかった大雪で想定外という事です

が、現在、すでに地球の温暖化の影響で気象は全く過去とは違っていることを認識す

べきです。

厳しい暑さと寒さ、大型の台風、豪雨は毎年起こると想定しなければいけないと思い

ます。北極海の氷の減少を見れば解ります。想定を変えることはビジネスや農業でも

必要でしょう。

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・厳しい評価の安倍首相

・新たな冷戦時代になったのか

・対岸の火事では済まされないPM2.5

・ビジネスモデル学会 春季大会

・ビジネスモデル学会 イブニングセッションのご案内

・頭のよくなるクッキング24

・デジタル書斎の構築30

・「オリバーストーンのもう一つのアメリカ史」

-----------------------------------------------------------------------------

 

◆厳しい評価の安倍首相◆

安倍内閣が発足して1年経ちました。支持率は依然高い水準を保っていますが、評価

は厳しくなっています。

安倍政権への国民の期待は、日本経済新聞の世論調査で、安倍晋三首相が優先すべき

政策課題を聞いたところ、3割超の支持を集めたのが社会保障改革(38%)と規制改

革(30%)。社会保障改革は女性の42%、男性の33%と男女ともに最も多かったとあ

ります。規制改革は女性32%、男性28%が優先課題に挙げたが、安保政策は6%です。

 

ただ安倍首相は外交と安保政策に力を入れているようですが、そこのところは皮肉に

も評価は厳しいところです。

安倍首相には緊密な関係にあるナショナリストが影響力を持っているようです。ただ

あまり質が良いとは思われません。 NHKの会長と経営委員は安倍首相の強い意向で決

められたと思いますが、あの会長の発言あるいは経営委員の発言を見るとなぜこんな

人を選んだのかと言わざるをえませんが、結局あのような人々の影響を受けて外交や

安保政策に関する発言をしているのではないでしょうか。

 

あの靖国神社参拝にしても日米関係にこれほどのインパクトがあるという認識がなかっ

たようです。アメリカが失望という言葉を使ったことが注目されていますが、私は安

倍首相の政治的資質に対し失望したのではないかと思います。党内の保守派へのコミッ

トメントがあったような話もありますが、国益とのバランスが取れていません。さら

にダボス会議でも自分がナショナリストであることをアピールするような失言をして

います。

 

集団的自衛権や教育改革では公明党のリベラルに助けられ、失政をなんとか免れまし

た。選挙で選ばれた首長が教育行政の絶対的な指揮権を持つようなとんでもない話が

ありましたが、教育は長期的に一貫した価値観に基づいて行われるべきであって、時

々の首長が軽率な指導するものではありません。名前は挙げませんがおかしな人格の

人が時々当選する衆愚な世界ですから。

 

アベノミクスも海外では厳しい論調が目立ちます。日本でもアベノミクスではなくア

ベノマジックとも揶揄されています。なんといっても第3の矢である成長戦略が見えま

せんし実現していません。賃上げを熱心に経済界に要請していますが、これが成長戦

略とは言えません。成長戦略に必須の規制緩和もTPPもリーダーシップを発揮できてい

ません。アベノミクスの評価については下にあるノア・スミス 「アベノミクスの教訓」

が良い解説をしています。

 

安倍政権の課題は

http://www.nikkei.com/paper/article/?ng=DGKDASFS2301D_T20C14A2PE8000

「政権の広報機関化」が加速するNHK

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/38259

教委改革を盛り込んだ地方教育行政法改正案

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140214/stt14021415230001-n1.htm

「日米関係傷つけた」…首相の靖国参拝で米議会

http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20140227-OYT1T00470.htm?utm_source=dlvr.it&utm_medium=twitter

靖国参拝、米「失望」表明の舞台裏

http://www.nikkei.com/article/DGXNASDC1400N_W4A110C1SHA000/

なぜダボス会議の安倍発言は物議を醸したか

http://diamond.jp/articles/-/48962?display=b

[FT]待望した安倍首相を今は悔やむ米政府

http://www.nikkei.com/article/DGXNASGM2001W_Q4A220C1000000/

アベノミクスはアベマジックだったのか?

http://diamond.jp/articles/-/48997?display=b

[FT]アベノミクス、内部分裂で最大の試練

http://www.nikkei.com/article/DGXNASGV08003_Y3A101C1000000/

ノア・スミス 「アベノミクスの教訓」

http://econ101.jp/%E3%83%8E%E3%82%A2%E3%83%BB%E3%82%B9%E3%83%9F%E3%82%B9-%E3%80%8C%E3%82%A2%E3%83%99%E3%83%8E%E3%83%9F%E3%82%AF%E3%82%B9%E3%81%AE%E6%95%99%E8%A8%93%E3%80%8D/

 

 

◆新たな冷戦時代になったのか◆

ウクライナの最近の政治的な混乱を見るとまさにかつての冷戦構造を思い出させます。

ソ連が無くなって民主化が進んだ東ヨーロッパはEUとロシアという二大勢力の代理戦

争の感があります。このままいけばウクライナはEUよりの国と、ロシアよりの国に分

裂する可能性すらあります。ロシアの軍事力の行使は決定的な冷戦構造を生み出す恐

れがあります。アジアではアメリカと中国の間で東南アジアの小国が双方との距離感

に悩んでいます。ベトナム、ラオス、ミャンマー、タイなどです。インドは対中国に

対しては強硬な立場をとっていますが。

 

いずれにせよ超大国であったアメリカが、その力を失った今、世界各地の情勢は流動

化しヨーロッパではロシアとEU、アジアではアメリカと中国という冷戦構造が固まっ

てくるのかもしれません。その意味では日本での安全保障政策はもっと議論されるべ

きですが、それをナショナリストに委ねてはいけないと思います。もっと国民的な議

論が必要ですが国民はあまり関心がないようです。

 

ウクライナ、危機感強める

http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20140301&ng=DGKDASGM2804H_Y4A220C1FF2000

ウクライナで親欧米政権始動 親ロ派、地方政府占拠

http://www.nikkei.com/article/DGXNASGM27040_X20C14A2FF2000/

インド次期首相有力候補のモディ氏、領土問題で中国に警告

http://jp.wsj.com/article/SB10001424052702304380304579402581065730544.html?dsk=y

 

 

◆対岸の火事では済まされないPM2.5◆

中国の大気汚染が深刻です。この状態が続けば国民の間でパニックが起こり、共産党

政権の存続すら危機に瀕するでしょう。さらに日本にとっても対岸の火事では済まさ

れません。すでに日本にもPM2.5が飛来しています。観測体制を強化するといっても

所詮飛来を防ぐことはできませんから、マスクの着用など必要になってくるかもしれ

ません。

 

PM2.5は強烈な発ガン物質です。大気汚染の影響でしょうが、なんと世界の癌死亡者

の3分の1以上が中国人です。加えて水質汚染や土壌汚染が深刻ですから、中国の国民

も黙って我慢する限界を超えています。という事は中国の政治に大きな不安定要素が

あることになります。無論経済的な影響も深刻でしょう。例えば自動車の販売も規制

されれば自動車産業の成長にも影響が出ます。鉄鋼や化学プラントはすでに設備過剰

ですから思い切って老朽化した設備を廃棄するでしょう。

という事は想定しなかったような中国の変化があり得ることを頭に入れて企業も行動

する必要がありますね。

 

中国で大気汚染とめどなし―57都市でPM2.5が「最悪レベル」

http://news.livedoor.com/article/detail/8570940/

この冬最悪の大気汚染 北京周辺、越境懸念も

http://sankei.jp.msn.com/world/news/140224/chn14022419560001-n1.htm

越境する大気汚染物質の衛星観測

http://www.eorc.jaxa.jp/imgdata/topics/2014/tp140227.html

がん発症、中国が突出 肺がんは世界の36%

http://www.nikkei.com/article/DGXNASGM1203G_T10C14A2EB1000/

 

 

◆ビジネスモデル学会 春季大会◆

一日で半年分の勉強ができるビジネスモデル学会春季大会のご案内です。まだ参加の

ご経験のない方は是非これを実感し下さい。

 

テーマ: 目から鱗のビジネスモデル

 

日時: 2014年3月15日(土) 10時-18時 交流会18時-20時

場所: 東京大学本郷キャンパス工学部新2号館  (アクセス)

 

2014年の春季大会のテーマは「目から鱗のビジネスモデル」です。

今回の春季大会では、一つの社会的課題から捉えるのではなく、学会の原点である

「ビジネスモデル」そのものに焦点を当てて、多様な分野で活躍されている経営者や

専門家に登壇いただき、各人が取り組む「ビジネスモデル」を紹介していただきます。

この結果、参加者の皆様が、今の「旬な」ビジネスモデルや、「先端的」ビジネスモ

デルから刺激を受けて、今後のビジネスモデルの進化の姿を思い描く、貴重な機会と

なることを願っております。

 

また今大会では、昨年に発足した「日本ビジネスモデル大賞」の第二回受賞企業の発

表・表彰を行います。ここで、受賞企業の「独自性」「事業性」「共感性」に卓越し

たビジネスモデルを、経営者の記念講演として、直にご紹介する場を提供いたします。

さらに、ネットベンチャーの若手経営者による「パネル討議」や「アートとテクノロ

ジー」を駆使する、先端クリエーター経営者との対談など、今までになかった新たな

試みにも挑戦しています。「旬な全体感」と「先端的刺激」をキーワードに、ビジネ

スモデル学会の「新しい」形を皆様と共有できることを大変楽しみにしております。

 

3月15日、東大本郷の工学部2号館ホールで、ビジネスや研究分野で活躍されている多

様な方々にお会いできることを願っております。

http://www.biz-model.org/

 

 

◆ビジネスモデル学会 イブニングセッションのご案内◆

3月3日(月) 第14回イブニングセッション開催のご案内

 

成功のビジネスモデルは人の脳と心抜きには語れない

 ―ハイパフォーマーを応用スポーツ心理学に基づき育てる―

 

講師:辻 秀一 氏

      スポーツドクター、株式会社エミネクロス代表

      オフィシャルサイト:http://www.doctor-tsuji.com/

日時:3月3日(月) 19:00-21:30

場所:霞ヶ関ナレッジスクエア エキスパート倶楽部

 

(講演要旨)

ビジネスにおける戦略はさまざま存在する。しかし、どんな戦略もそれを実行するの

は人そのものである。その戦略を遂行するための人材づくりは普遍的テーマであり、

それこそが成功のビジネスモデルでもあると考える。パフォーマンスを最高に発揮す

るための心づくり、人づくりをスポーツ心理学、フロー理論などを交えながら実際の

事例を踏まえてスポーツドクターとして紹介する。柔軟でしなやかで強い心のための

脳の使い方・鍛え方のヒントを述べる。スポーツもビジネスもその強化モデルがあれ

ば、個人としても組織としても常勝できるはずである。

http://www.biz-model.org/%E3%82%A4%E3%83%96%E3%83%8B%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%82%BB%E3%83%83%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3/%E7%AC%AC14%E5%9B%9E%E3%82%A4%E3%83%96%E3%83%8B%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%82%BB%E3%83%83%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3/

 

 

◆頭のよくなるクッキング24◆

和食が世界無形文化遺産に登録されました。和食とは何か色々な定義があると思いま

すが、基本は出汁と呼ばれる旨味を使った料理ではないでしょうか。ということで和

食の出汁についていろいろ勉強しました。きっかけはTSUTAYAでたまたま「だしと日

本人」というムックを見つけて読んだことです。Umamiは、今は5番目の基本味として

世界が認知している国際語です。明治時代に昆布の旨味はグルタミン酸であることが

発見され、大正時代に鰹節の旨味がイノシン酸であることが発見されさらに昭和になっ

てシイタケの旨味がグアニル酸であることが発見されました。したがってダシの主な

素材は昆布、鰹節、干し椎茸です。煮干しも素材です。

 

昆布にはいくつかの種類がありますが一番旨味成分が多いのは羅臼昆布です。次に真

昆布で利尻昆布そして日高昆布が続きますが、1番安い日高昆布は旨味が極端に少な

いですね。羅臼昆布は高価ですが出汁を取った後も柔らかく煮物にも使えます。鰹節

は縄文時代から食用にされてきたと言われていますが九州から千葉にかけての太平洋

岸の産物ですから、その他の地域ではイワシの煮干を使ったり、トビウオを使ったり

しています。

 

昆布だしの取り方は色々言われていますが科学的な研究の結果、60度のお湯で1時間

浸すのが1番良いようです。一般には水から昆布を入れ沸騰寸前に取り出すとありま

すが、試してみると60度くらいで1時間ぐらいじっくり煮出した方がずっとうま味が

出ます。高温にすると旨味成分以外が溶け出して雑味が出るわけです。

そして昆布を引き上げたあと鰹節を入れ一気に煮上げてこして造るのが「一番だし」

です。色々試しましたがこれがやはり最高の出汁でした。

 

煮干は頭とワタとって水に浸しておきこれを煮出すと美味しい出汁が出ます。味噌汁

に向きます。アゴと呼ばれるトビウオも同じような味です。また煮干ではなく青森地

方には「焼干し」というイワシのダシがあります。煮干しは字のごとくイワシを一旦

煮てから干すためこの段階である程度旨味が失われますが、「焼き干し」は直接イワ

シを焼いて乾燥させもので煮干より美味しいと言われていますが、かなり高価です。

 

干し椎茸は水で戻しますが、煮出す時に一気に60ないし70度くらいに温度を上げる必

要があるとのことです。何故ならば旨味成分であるグアニル酸を分解する酵素が45な

いし50度で最大なためです。さらに旨味は足し算、掛け算の効果がありますので複数

の素材で強い旨味を出すことが出来ます。以上はムックから学んだことです。という

ことで色々な昆布を買って試してみました。ムックに紹介されていた福井県の「奥井

海生堂」から通販で買いました。ここでは昆布を何年か蔵で寝かせて味わいに深みを

出しているとのことです。利尻の切り落としという徳用品を主に使っています。

 

鰹節もこのムックで紹介されている静岡県の田子の「カネサダ商店」から本枯節を取

寄せました。鰹節は高価なようですが実は鰹節そのものを買って自宅で削るとリーズ

ナブルなコストなります。考えてみれば子供の頃はどの家にも鰹節を削る道具があり、

私もそれで鰹節を削っていました。何十年も忘れていましたがやってみました。とこ

ろがなかなかうまく削れません。みんな粉なってしまうのです。どうも鰹節が乾燥し

すぎていると粉になることと、削る方向にも寄ることがわかりました。回転式の安全

な鰹節削機もあります。

 

出汁は毎日使う物ですからコストが気になります。小さなパックになった削り節は非

常に高価です。1グラム当たり26円になります。鰹節を削れば1グラム当たり10円です。

煮干は1グラム当たり5円くらいです。ダシ用として大きな袋で売られている削り節は

意外と安くて1グラム当たり5円くらいです。

 

結論からいうと先に紹介した昆布と鰹節の出汁がコストから見ても味から見ても最高

です。いろいろなだしの実験をしているとつくづく昆布という食材がすごい食材であ

ることが分かってきました。基本的には日本人しか食用しませんからまさに和食の基

本です。北海道でしか取れない昆布ですが沖縄でも大量に食されているという事から、

日本海の海運ルートのすごさも判ります。誰がつけたか知りませんが裏日本とはひど

い日本語ですね。麦茶を冷やすような容器にミネラルウォーターと昆布を入れておく

と昆布水ができます。これを飲用すると体に良いということも言われています。

 

昆布については「奇跡の昆布革命」という本があります。昆布水の作り方は水1リッ

トルに10グラムの昆布をハサミで細切りにしていれ一晩冷蔵庫に置くだけです。冷蔵

庫では10日間は持つそうです。このほかにもたくさんの昆布レシピが紹介されています。

 

和食、世界無形文化遺産に登録

http://sankei.jp.msn.com/life/news/131205/edc13120500270001-n1.htm

「だしと日本人」 NTS 2012

むつ市のうまいは日本一!「焼き干し」

http://www.city.mutsu.lg.jp/index.cfm/15,5580,51,700,html

奥井海生堂

http://www.konbu.jp/

カネサダ商店

http://homepage2.nifty.com/kanesa16/

「奇跡の昆布革命」喜多篠清光 大和書房 2012

 

 

◆デジタル書斎の構築30◆

日本と米国のIT企業の格差があまりにもひどすぎます。アメリカのIT産業はものすご

い変化を起こし続けています。GoogleやAppleは自動車産業さえも読み込もうとして

います。そして膨大な現金を持っており、これで“新しい世界”の積極的な投資をし

ています。ともかく上位6社で37兆円もの現金を積み上げています。

 

その米国でも時代の変化に付いていけなかったマイクロソフトの凋落が著しいですね。

なかなか決まらなかった次のCEOも結局内部昇格でなんとか決まりましたが、またビル

・ゲイツがアドバイザーで新CEOを助けるそうですから時代に付いていけるとは思いま

せんね。

 

日本でもLINEが渋谷で頑張っていますが、この企業は韓国のNAVERの子会社です。

スマートフォンの半導体でも日本企業は世界の業界に付いていけず脱落です。任天堂

もスマートフォンという大きな波に乗り遅れて見る影もありません。過去の成功体験

にとらわれて時代の流れに置いていかれる、教科書的なケースです。

 

なぜか日本人はソニーが大好きなようです。したがってソニーの苦境に心を痛め、復

活への期待が強いですね。ただこの好景気の中で、次々と発表されるリストラや、赤

字決算は何が根本的な原因なのでしょう。私がたまたまたくさんのソニーのエンジニ

ア、そのOBとお話する機会があります。そこで感じるのはもう一度初心に帰って出直

すしかない、です。その初心とは「真面目なる技術者の技能を、最高度に発揮せしむ

べき自由闊達にして愉快なる理想工場の建設」ではないでしょうか。現在のソニーの

経営はこれを失ったことにあると思います。

 

それにしても日本と米国のIT企業の格差があまりにもひどすぎます。復活ではなく新

しい企業として生まれ変わるしか日本のIT産業の生きる道はありません。

 

アップル・テスラとソニー・楽天 広がる革新格差

http://www.nikkei.com/article/DGXNASFK1901B_Z10C14A2000000/

孫氏も狙うLINEのお値段 1.5兆円は正当か

http://www.nikkei.com/article/DGXBZO67369100V20C14A2000000/

米IT、空前の「金余り」 6社の手元資金37兆円

http://www.nikkei.com/article/DGXNASGM26038_W4A220C1FF2000/

誤算のウィンドウズ8 マイクロソフトに迫る落日

http://www.nikkei.com/article/DGXNASFK31036_R30C13A5000000/

決壊するウィンドウズ帝国 マイクロソフト、迷宮に

http://www.nikkei.com/article/DGXNASFK2705C_X21C13A2000000/

富士通・ドコモ・NEC、スマホ半導体の開発断念

http://sankei.jp.msn.com/economy/news/140227/biz14022711070027-n1.htm

クラウド時代 迷う任天堂

http://blogs.yahoo.co.jp/news_matome4946/15229762.html

ソニー、「エレキ中心主義」が遅らせる復活

http://www.nikkei.com/markets/kigyo/editors.aspx?g=DGXNMSGD06067_06022014000000

ソニー設立趣意書

http://www.sony.co.jp/SonyInfo/CorporateInfo/History/prospectus.html

 

 

◆書評◆

今回は書籍ではなく映像情報です。多分書籍にすれば数十巻となるでしょう。

第一世界大戦から100年の歴史を俯瞰的に理解しないといけないと、前回書きましたが

第二次世界大戦から今日までの俯瞰する重要な情報が見つかりましたので、ご紹介し

ます。第一次世界大戦から第二次世界大戦までは約30年ですがこの間は依然として世

界の覇権は大英帝国が握っていたと思います。一方アメリカは経済的には英国をはるか

に凌駕する規模になっていましたが、この間大恐慌で塗炭の苦しみを味わっています。

このアメリカ発の大恐慌はある意味第二次世界大戦の原因を作っていったと思います。

 

前置きが長くなりましたが、NHK BSのドキュメンタリー番組として「オリバーストー

ンのもう一つのアメリカ史」という十回の番組がありました。これは録画して保存し

てありますのでこれを全て観ました。各回が1時間近くの大作ですから全10巻は一度

には見られません。 2-3回分ずつ分けて観ました。圧巻です。アメリカのルーズベル

ト大統領の時代から現在のオバマ大統領の時代まで俯瞰的に約70年間の歴史の流れが

理解できます。これをもっと早く見ておけばよかったと思いました。無論これはオリ

バーストーンという人の視点からの解釈ですが、映像を駆使した解説は、文字で書か

れた歴史書の情報量とは次元が違います。よくこれだけの映像を探し出したと思いま

した。文字で書かれた歴史書とは違い直接感性という脳の中枢に情報が打ち込まれる

感じです。

 

ナチスの台頭に対し西ヨーロッパは極めて不完全な対応することによって結果として

ヒトラーの暴挙を許し、ヨーロッパだけでも3,000万人近い犠牲を出し、完全に世界

の覇権をアメリカに渡すことになります。この原因は第一次世界大戦によって生まれ

たソ連という共産主義の恐怖と反発が原因だったことがわかります。

 

チャーチルの度重なるアメリカ参戦の要求をルーズベルト大統領は理解しつつも、当

時アメリカ参戦に消極的な国民感情に配慮し、なかなか踏み切れません。そのために

はとんでもない事件が必要とされました。ルーズベルトの巧妙な政治手法によってま

んまと日本は真珠湾攻撃と入っていたことがわかります。ですから、アメリカにとっ

て主たる戦争はヨーロッパ大陸であって、太平洋戦争はむしろ二次的な戦争だったと

位置づけられています。スターリンは圧倒的なドイツの軍事攻勢に対抗することがで

きないので、まずナチスに対する防衛線を国境の西に置くためにポーランド侵攻、フィ

ンランド侵攻、バルト海3国の併合をします。この段階では欧米はヒトラーに共産主

義撲滅の期待すらかけています。ですから第二世界大戦の初期は孤立無縁のソ連のス

ターリンが多大な犠牲を払って祖国防衛戦争をしたわけです。

 

凄いのは全ての工業生産力をはるか東に再構築し、その生産力でレニングラードを死

守して反攻に転じますが、その時点でもまだ連合軍はノルマンディーに上陸していま

せん。第二次世界大戦のヨーロッパでの勝者はソ連のスターリンです。第二次大戦直

後、スターリンは西ヨーロッパとの共存を模索しますが結果として欧米は共産主義に

対する嫌悪感からこれを受け入れません。そのためソ連はポーランド、ハンガリー、

東ドイツ、チェコスロバキア、ブルガニアと民主政権を倒して鉄のカーテンを構築し

ていったとあります。東アジアでは防衛線として朝鮮半島の共産化を進めこれが朝鮮

戦争と展開されました。

 

ルーズベルト大統領の後を継いだトルーマン大統領は悪人として描かれています。彼

は台頭するソ連との冷戦構造の認識から、必要もない原爆投下を指示します。広島と

長崎はスターリンに対する威嚇行動だったのです。そして対立的な行動から冷戦構造

を完成させていきました。このあとを継いだアイゼンハワー大統領も軍人ですから冷

戦構造の推進者です。この後のケネディ大統領が高く評価されています。すでにこの

時にはソ連は核を保有しています。

 

ベトナム戦争はフランスの植民地からの独立の戦争として始まりましたが、冷戦構造

の認識では、アジア全般への共産主義の拡張として位置づけられます。そして南ベト

ナムの戦争とつながります。この泥沼の戦争が意味のないことを理解していたケネディ

大統領は撤退を決意して宣言しますが、ダラスで凶弾に倒れ、ジョンソン大統領の時

代となります。ジョンソン大統領はケネディの決定をひっくり返し、トンキン湾事件

をでっち上げ北爆を拡大し、一時は50万ものアメリカ軍を投入し無差別の殺掠を行い

ますが、結局4流国と侮ったホーチミンを降伏させることができず、高まる国内のベ

トナム反戦の波に押されて大統領再選を諦めます。ここにも驕りからの単純な誤解が

あります。ベトナム人にとってベトナムから撤退するという選択はありません。最後

の1人になっても戦うしかないのです。

 

この後の歴史で最も重要な働きをしたのはソ連のゴルバチョフです。彼は意味のない

冷戦を止め、軍事予算を国民の生活水準の向上に使うべきだという信念から核廃絶と

冷戦終結をアメリカに持ち掛けますが、当時のレーガン大統領は産軍複合体の保守派

の傀儡ですからまともに核廃絶の提案に乗りません。結局ゴルバチョフは一方的に鉄

のカーテンを撤去してヨーロッパから軍事的脅威をなくします。この上にEUが発展し、

東に影響力を広げています。これに対抗するためプーチンは勢力挽回の行動をしてい

ます。

 

この後の最悪の大統領としてブッシュ親子が描かれています。サダム・フセインのク

エート侵攻に対し、サウジアラビア国境にイラクが集結しサウジアラビアを侵攻する

という画像処理をした映像でサウジアラビアに基地提供をさせ、イラク攻略を行いま

す。狙いはイラクの石油です。イラクの石油利権はそれまでイギリスのものですから

当然英国も参戦します。さらにイランの脅威から中東の石油を守るために軍事行動を

必要としましたが、 9.11という絶好の事件が起こり、ブッシュ大統領はオールマイ

ティーの戦時の大統領になりました、意味のないアフガン侵攻を行い、大量破壊兵器

という虚偽の理由で再びイラク進攻を決行します。英国のブレア首相は石油利権の回

復のため参戦します。結果はご存知の通りです。

 

アメリカには産軍複合体と石油マフィアで固まったいわゆるネオコンという保守勢力

があり、これがそのあくなき欲望のまま世界を意のままに仕切って来たのです。20世

紀はアメリカの世紀と言われますがこれが実態です。ここで重要なことは、日米同盟

が強固であると言われた時期は、基本的にアメリカがネオコン主導の政権であった時

です。ロンヤスと言われたレーガン大統領と中曽根首相、小泉首相とブッシュ大統領

です。クリントン大統領とオバマ大統領の政権は日米同盟よりも中国との関係を重視

しました。結果としてこれが高度成長による経済力に支えられた人民解放軍の軍拡、

そして近隣諸国に対する伝統的な覇権主義を強めることになります。

 

長くなりますのでこの辺で筆を止めますが、ぜひご覧になることをお勧めします。

TSUTAYAで探してみると現在1巻から5巻まではレンタル可能です。図書館等にあるか

もしれません。

 

下記のサイトでも見ることが出来ます。

http://www.at-douga.com/?tag=%E3%82%AA%E3%83%AA%E3%83%90%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%BC%E3%83%B3%E3%81%8C%E8%AA%9E%E3%82%8B-%E3%82%82%E3%81%86%E3%81%B2%E3%81%A8%E3%81%A4%E3%81%AE%E3%82%A2%E3%83%A1%E3%83%AA%E3%82%AB

 

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◆内容・記事に関するご意見・お問い合わせ/配信解除・メールアドレス変更

右記まで  webmaster@fukan.jp

……………………………………………………………………………………………

◆俯瞰 MAIL 0038号(2014年2月28日)

発行元:     一般社団法人 俯瞰工学研究所

発行人:   松島克守

編集長:   松島克守

URL:http://fukan.jp

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俯瞰メール37号

皆様

◆時候ご挨拶◆

新年おめでとうございます。皆様にとって昨年が良いお年で、本年もさらに良いお年

となりますよう祈念いたします。

この俯瞰メールマガジンは始めて4年目に入りました。これはひとえに、皆様にお読

み頂いている、という思いが励みになり続けてこられました。最初はそれまでの数千

枚の名刺をOCRで乱暴に処理して読み取ったアドレスの1194人から始めましたがその

後に交換の名刺は丁寧にメールアドレスを抽出して今日現在は4017人に配信しており

ます。3年間に3000人近い方々と名刺交換をさせて頂いたのでしょうか。今後とも宜

しくお付き合いをお願いします。

このメールマガジンに記事の投稿をご希望の方は是非原稿をお寄せください。

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・脱原発の議論の前に福島の汚染水の処理を!

・第一次大戦から100年の歴史を俯瞰的に理解しないと

・米国の韓国ロビーの活動に対抗できるか

・二子玉川クリエイティブ・シティ・フォーラム2014開催

・ビジネスモデル学会 イブニングセッションのご案内

・頭のよくなるクッキング23

・デジタル書斎の構築29

・書評 「被曝と発がんの真実」中川恵一 KKベストセラーズ 2012

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◆脱原発の議論の前に福島の汚染水の処理を!◆

都知事選挙の争点が脱原発になるようですが、東京都には原発はなく、福島と新潟

の原発からの送電で東京都民は繁栄を謳歌してきたわけです。その福島で汚染水の

問題が終息できていません。脱原発の議論の前に東京都民は福島の汚染水の解決に

何ができるか議論すべきではないでしょうか。

 

むろん政府も東電に任せるのではなく巨額の予算を投じて凍土遮水壁の建設で汚染

水を閉じ込めるというプロジェクトも推進しています。ただこれには大きな技術的

な課題があるといわれています。

 

長年日本は科学技術立国を標榜し、技術力を誇示してきました。イノベーションと

いう成長戦略にも力を入れています。今、日本が誇る科学技術の人材と知識を汚染

水の処理というイノベーションに集中して解決すべきだと思います。このイノベー

ションは間違いなく成長戦略にもなります。関連するすべての科学者、技術者がこ

の1点に集中すべきでしょう。日露戦争の203高地です。ただ技術だけを追求しても

汚染水の問題は解決しないようです。ニューズウィークに寄稿された米国の専門家

の助言は聞くに値すると思います。

 

下記にその記事のいくつかのフレーズを紹介したいと思います。まず”日本のマス

コミが報道しているほど事態は悪くない”と指摘しています。“マスコミの偏った

報道がたびたび世間を騒がせ、国民の不安に拍車を掛けている。”ということを指

摘しています。まず、“汚染水漏れや現場作業員の被曝、近海の魚から検出された

放射能など悲観的な話題が多いのは事実だが、冷静に考えてみれば状況はそれほど

悪くない。安倍晋三首相が9月のIOC総会で状況は「コントロールできている」

と宣言したのも、あながち根拠なき主張ではない。”

 

そして、“当面の重要問題は汚染水漏れだ。しばしば混同されていることだが、地

下水によって運ばれる放射能汚染の問題と、タンクなどからの漏水問題は性質が異

なる問題だ。 地下水、雨、潮の干満など天然の水の作用で引き起こされる水の汚

染は通常、放射能の濃度が比較的低いが、水の総量は非常に多い。一方、タンクや

処理システムからの漏水では、汚染水の量は少ないが、放射能の濃度は前出の天然

の水のケースより高い。この2つの問題には異なる種類の困難があり、別々の解決

法が必要だ。“とあります。続けて、“タンク内の汚染水のほとんどは、セシウム

除去のフィルターを通して(完全な除去はできないにしても)放射能のレベルを大

幅に減少させた後のものだ。それにこれらのタンクは海から何百メートルも離れて

いるから、タンクからの漏水で海水が汚染される可能性も低い。”とあります。

 

凍土遮水壁の建設については、“そのコストおよび必要となる労働力を勘案して総

合的に評価すると、日本政府が320億円を投じようとしている凍土遮水壁の建設

には疑問を呈さざるを得ない。遮水壁がこれほどの規模で造られた例は過去になく、

その有効性を疑う専門家もいる。”と指摘しています。

 

さらに続けて、“もう1つ、議論が必要なのは汚染水をためておくか海に放出する

かという問題だ。政府は国民を安心させるために厳しい環境基準を設定したが、結

果として期待値を非現実的なレベルにまで上げることになった。現行基準の達成に

は、大変な困難と莫大な出費が伴うだろう。”

 

安全安心の議論も重要ですが、国際基準から見ても厳しすぎる基準が問題を大きく

しているとも指摘しています。“期待値をあまりに高く設定すると実現が困難にな

るし、そこまで達成しない限り失敗とされてしまう。現状では、飲料水と同じくら

い厳しい基準を満たさないと汚染水を放出することは許されない。日本の飲料水の

セシウムの安全基準は、1リットルにつき10ベクレル以下となっている。ところが、

福島の地下水を海に放出するためには、セシウムの量が1リットル当たり1ベクレ

ル以下でなくてはならない。それ以外の水の放出基準は、25ベクレル/リットル以

下に設定されている。”

 

要するに、“地下水の放出基準を国際的な基準に合う程度まで緩和することを議論

してもいいだろう。それによって少しは汚染水対策の重荷を減らせる。労働力を

もっと重要なプロジェクトに集中させることで、水漏れを防ぐ役に立つかもしれな

い。”“日本政府は汚染水対策への技術的提案について国際社会に助言を求めた。

だが、他の汚染された地域における研究を基に、福島のケースに適合するように考

慮されたより合理的な放出基準を設定するための勧告を求めたほうが、ずっと役に

立つかもしれない。”

 

汚染水の語られざる現実

http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2013/12/post-3140.php

http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2013/12/post-3141.php

 

 

◆第一次大戦から100年の歴史を俯瞰的に理解しないと◆

今年は第一次世界大戦から100年ということで、この100年の歴史を改めて解釈し、

今日の不安定な世界情勢を理解して、そしてその情勢の中における日本の行動を考

えることが重要だという気がしてきました。これに関していろいろな見解が発表さ

れていますが、 1つの見方は、第一次大戦の背景の一つに、「世界最大の海軍国英

国と世界最大の陸軍国ドイツ」の覇権争いがあり、そして現在は太平洋の大国とし

ての米国に中国が挑戦する構図であるとする見方です。

 

ただ、今の米国は、超大国ではなく、一つの大国でかつてのような力はなく、大統

領の資質や国内状況もあって、指導的役割を果たせないので、英国のように覇権を

失うというシナリオもあり得ます。ですから世界情勢は急速に流動化しているので

しょう。英国のメディアではこの視点で、米国と大英帝国、中国と帝政ドイツ、そ

してなんと日本とフランスという例えをしています。フランスですか?

 

日本人の見方としては下記にあります、山崎正和氏の見識は1つの視点を与えてく

れます。氏の見解として第一次世界大戦の文明史的な意味は、まず西欧中心の世界

が崩壊し代わって米国が台頭した。またオーストリアのハプスブルグ家、ドイツの

ホーエンツォレルン家、トルコのオスマン帝国、ロシアのロマノフ王朝という4つ

の帝国が終焉した、としています。さらに広義のグローバリズムの始まりです。こ

のグローバリズムの対極にあるのがナショナリズムでその対立が戦争を引き起こす

と指摘しています。そしてこのナショナリズム台頭が大きなリスクであるという見

解です。第二次大戦はドイツと日本のナショナリズムが欧米のグローバリズムに挑

戦して引き起こされたという認識です。

 

中国、インド、アジア、中東、アフリカ、南米・・・・ナショナリズムが紛争を生

んでいます。この第一次世界大戦100年の歴史をこれからじっくり勉強するつもり

です。

 

第一次大戦百年後の今日性

http://sankei.jp.msn.com/world/news/140114/erp14011409260003-n1.htm

第一次大戦から100年

http://blogos.com/article/77456/

戦争から考える2014年 山崎正和氏

http://mainichi.jp/journalism/listening/news/20140110org00m010001000c.html

 

 

◆米国の韓国ロビーの活動に対抗できるか◆

韓国政府の慰安婦問題を掲げた反日行動はますます強化されていますが、問題は米

国内の強力な韓国ロビーが無視できない勢力を米国国会に持つようになったことです。

 

もともと慰安婦問題は第一次安倍政権の河野官房長官談話で折り合いをつけたこと

になっているのですが、韓国は強力な韓国ロビーを使って2007年、米国下院外交委

員会において賛成39 票、反対2票で可決させました。そして本会議で10人程の議員

の出席で、投票ではなく声による反対意見無しが確認された上で、満場一致で採択

されました。これは米国議会の慣習を巧妙に使った結果です。確か米国国会では3時

以降の退席が許されていますが、投票権は議場に委任です、ですからこの議題は韓

国ロビーの力で最後の議題とされほとんど韓国ロビーの議員だけが残っている状態

で採択されたということです。

 

昨年の12月にはバージニア州で公立学校の教科書に”日本海”に合わせて韓国が主

張する”東海”を表記させることに成功しています。これは以前にも紹介しました

が、これは連邦政府は拒否しています。

 

さらに最近ではこの慰安婦問題に対して政府が行動をとるように、米国の歳出法案

の中に書き込ませることに成功しています。法的な強制力はありませんが、法案の

中に対応をすべき、と明示されていますから米国政府も何らかの対応をするかもし

れません。日本の地方議員団もアメリカでアピールしていますが、とても韓国ロビ

ーの敵ではありません。一方米国国内でも慰安婦の像を立てているロサンゼルス郊

外の町対し撤去する署名を10万人集めたという話もありますが、日本ロビーの活躍

とはとても言えません。日本は韓国ロビーに対抗するようなロビー活動が必要であ

ると思います。場合によっては民間ベースで米国の新聞に日本の主張を記事広告と

して出すことも選択肢の1つかもしれません。これをやれば日韓関係は最悪になり

ますが、ただ大人の我慢だけではかえって良くないかもしれません。

 

アメリカ合衆国下院121号決議

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%A1%E3%83%AA%E3%82%AB%E5%90%88%E8%A1%86%E5%9B%BD%E4%B8%8B%E9%99%A2121%E5%8F%B7%E6%B1%BA%E8%AD%B0

韓国系ロビー、米議会動かす

http://www.nikkei.com/article/DGXDZO55998620Y3A600C1NN9001/

日本海・東海併記の動き 公立学校教科書

http://www.nikkei.com/article/DGXNASGM1700X_X10C14A1EB1000/

米歳出法案の中に「慰安婦謝罪」

http://japanese.joins.com/article/686/180686.html?servcode=A00&sectcode=A10&cloc=jp|article|ichioshi

慰安婦像撤去へ地方議員が米国でアピール

http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20140114/frn1401141810005-n1.htm

慰安婦像の撤去、アメリカで請願署名10万超す

http://www.huffingtonpost.jp/2014/01/05/ianfu-remove-us_n_4543618.html

 

 

◆二子玉川クリエイティブ・シティ・フォーラム2014開催◆

GoodLifeのあり方についてみなさんと考えるトークショーを開催いたします。

CCCの増田宗昭さんが、代官山T-SITEの先にあるもの、という講演で二子玉川に

計画中の新しいプロジェクトのお話があります、ぜひこの機会に二子玉川から吹く

新しい時代の息吹を感じてください。

申込み:http://creative-city.jp/ccf2014.html

 

主催:クリエイティブ・シティ・コンソーシアム

日時:2014年2月15日(土)13:40-20:00

会場:二子玉川ライズ・オフィス8階 カタリストBA

 

・総合司会 福満景子 元NHKキャスター、フリーアナウンサー

・オープニング 13:40- コンソーシアム副会長 松島克守

・『幸福途上国ニッポン -幸福なお金の使いかた-』目崎雅昭氏

  国際文化アナリスト・幸福研究家、日本メガソーラー整備事業(株)代表取締役社長

・『世田谷から実践する里山資本主義』東大史氏

  一般社団法人上山集落監事(元・美作市地域おこし協力隊)、村楽LLP(地域おこ

  し協力隊全国ネットワーク)参謀/事業プロデューサー

・『鯖がつなぐ食のコミュニケーション』池田陽子氏・小林崇亮氏

  全日本さば連合会

★『GOODLIFE -代官山T-SITEの先にあるもの-(仮)』増田宗昭氏

  カルチュア・コンビニエンス・クラブ(株)代表取締役社長兼CEO

 

 

◆ビジネスモデル学会 イブニングセッションのご案内◆

運動をすれば、細胞レベルから脳と身体が若返るといいう科学の実証研究の発表です、

これを聞かないでどうしますか!

 

“新しい健康科学の考え方-身体をつくる細胞と制御する脳、適応・進化から考える”

  講師:跡見順子 東京大学名誉教授

 

日時:1月28日(火) 19:00-21:30

場所:霞ヶ関ナレッジスクエア エクスパート倶楽部

講演要旨:

進展が著しい生命科学は、iPSにノーベル賞が与えられたことからも分かるように、生

命の単位である「細胞」が大きな適応力をもつことをあきらかにした。医療だけではな

く多細胞/脊椎動物/哺乳類/霊長類の仲間である人間の健康についても細胞から考える

メリットは大きい。また他の動物と異なり巨大な脳を発達させ、科学を発達させ、独

自な文化を生み出した人間について、脳により制御される60兆の細胞から成る人の身

体や動きに着目して身心を健康にする考え方を紹介する。

 

詳細・お申し込みはこちら

http://bit.ly/1hUw7fR

 

 

◆頭のよくなるクッキング23◆

年頭にあたって食習慣の再設計をしませんか。健康は生活習慣、すなわち食と運動が

全てですから。これまで何回か食すべき食材について紹介してきましたが、 3年経ち

ましたのでここで改めてまとめてご紹介しましょう。

 

まず、1990年「デザイナーズフーズ」が発表されています。3段階に分かれています

が、最上位のランクは、ニンニク、キャベツ、甘草、大豆、生姜、セリ科(人参、

セロリ、バースニップ)です。甘草は漢方で有名です。バースニップはヨーロッパで

栽培されている白人参です。この下の第2ランクは玉ねぎ、茶、ターメリック、玄米、

全粒小麦、亜麻、柑橘類(オレンジ、レモン、グレープフルーツ)、ナス科(トマト、

ナス、ピーマン)、アブラナ科(ブロッコリー、カリフラワー、芽キャベツ)です。

第3レベルはハーブ類です。いかがですか。

 

次は「食すべきトップテン」というレポートです。それによると、第1位はリンゴで

す。第2位はアーモンド、第3位はブロッコリー、第4位はブルーベリー、第5位は魚油、

第6位は緑の葉菜、第7位はサツマイモ、第8位は小麦胚芽、第9位はアボガド、第10位

はオートミールです。日本ではオートミールは麦ごはんか玄米食でしょうか。

 

ちなみに、私は、朝食に野菜ジュースとして人参、セロリ、レモンを取り、果物とし

てこの季節はリンゴ、ミカンを、そして通年でブルーベリー(冷凍)をコーヒーカッ

プ1杯、そして納豆、野菜としてトマトを取り、日によってはニラ卵いため、やキャ

ベツ炒め、軽く蒸したブロッコリー、ほうれん草お浸し、アボガドを取っています。

夕食は刺身と、焼き魚か煮魚、野菜料理、味噌汁(キノコ)、ご飯は時々は玄米を食

しています。ニンニクと生姜は常備してよく使います。肉は10日に1-2回、鶏肉、

牛赤身を食します。外食が多いので夕食は管理が難しいですね。

 

油について、

摂取してはいけない油:マーガリン、ショートニング(安いケーキやクッキー)酸化

した油(外食等の古い油の揚げ物)これらトランス脂肪酸は動脈硬化を引き起こし心

臓や血管に有害です。

摂取を避ける油:動物性脂肪、乳脂肪、ヤシ油、ココナッツ油、これらは飽和脂肪酸

でコレステロールを増やし動脈硬化を引き起こします。

 

摂取可の油:大豆油、コーン油、綿実油、ごま油、菜種油、紅花油、ひまわり油これ

らは多不飽和脂肪酸で、いわゆるオメガ6のリノール酸が多く含まれています。一時

摂取が推奨されましたが、これが多すぎるとアトピーの原因とか、酸化しやすい上、

悪玉コレステロールを減らしますが善玉コレステロールも減らすといわれています。

また精製の過程で化学品を使用するので少量有害なトランス脂肪酸を含みます。

 

摂取お勧めの油:オメガ9のオレイン酸が多い、キャノーラ油、オリーブ油です。出

来ればエクストラバージンオリーブ油。化学品で抽出したオリーブ油は避けます。

 

積極的に摂取すべき油:オメガ3脂肪酸です。オメガ3脂肪酸は限られた植物油にしか

含まれません。現代人には不足してこれが色々問題を起こしていると言われています。

この不足するオメガ3脂肪酸を含む油は、エゴマ油、シソ油、亜麻仁油です。ただし

酸化に敏感なため決して加熱しないで、生で摂取すると同時に冷暗所に保存する事。

食物ではクルミ、そしてサケ、イワシ、サバ、ニシンという冷たい海の魚はオメガ

3脂肪酸を造るEPAやDHAを豊富に含みます。

 

注意、菜種油とキャノーラ油は別物でキャノーラ油は品種改良されて有害なエルカ酸

を無くしたものでこれは摂取してもよいと言われています。青森産の菜種油は品種改

良されたものです。紅花油も品種改良されてオレイン酸を多く含むものは摂取してい

いです。ピーナッツ油は避けます、これは発がん物質のアフラトキシンを含んでいる

可能性がありますので。私は、サラダオイルとしては品種改良された缶入りの紅花油、

バージンオリーブオイルを複数、生野菜用にエゴマ油、シソ油、亜麻仁油のいずれか

です。ゴマ油は香りづけに少し。

 

魚は良質の蛋白源であることは自明ですが、とりわけ期待されているのが「血液サラ

サラ効果」のEPAとDHAです。これは植物性脂肪の必須のオメガ3脂肪酸のα-リノレン

酸に対応する脂肪酸です。そのEPAとDHAはどの魚種にあるのかを調べてみました。

 

多くは頭や内臓、皮にありますが殆ど捨てられていますから、可食部の含有量で比較

した情報が日本食品脂溶成分表というものにあるようですが、それを引用している

ニッスイのサイトで見てみました。圧倒的に多いのは本マグロのトロですが、これは

あまり口に入りませんね。赤身になるとガックリ下がります。EPAとDHAの多い魚は

(可食部100gに含まれるmg)、

 

マイワシ     EPA1381 DHA1136 計2517

本マグロ(トロ) EPA1288 DHA2877 計4165

サバ       EPA1214 DHA1781 計2995

マダイ      EPA1085 DHA1830 計2915

ブリ       EPA 899 DHA1785 計2684

サンマ      EPA 844 DHA1398 計2242

サケ       EPA 492 DHA 820  計1312

アジ       EPA 408 DHA 748  計1156

 

です。あとの魚種、カレイ(計412)、ヒラメ(計284)、マグロの赤身(計142)・・

はかなり落ちます。鮭はこれとは別に強力な抗酸化成分のアスタキサンチンがありま

すから積極的に食すべき魚です。特に紅鮭は養殖がなく天然ですから養殖魚の抗生物

質のリスクがありませんね。私は、マグロ、イワシ、ブリ、タイ、サンマ、サケ、サ

バで出来るだけ天然ものを選びます。

 

雑誌の特集で「今年こそ、自分で健康になる食習慣、医者いらずの食べ方」(日経お

となのOFF)がありましたのでご参考にご紹介しましょう。

 

有名な順天堂大学の白澤教授は5つのルールを提案しています。 1. 炭水化物を制限、

2.良質のタンパク質をしっかりとる、3.質の良い脂質を取る、 4. .野菜を多く取

る、5.甘いお菓子は絶対ダメ。そして朝食に野菜ジュースを勧めています。

 

癌の治療で有名な西台クリニック院長の済陽先生は、リンゴ、はちみつ、レモン、

ヨーグルトを勧めていますが特に野菜ジュースを勧めています。癌治療に大きな効果

を上げているといいます。そして食材としてキノコ、卵、玄米、ニラ、あしたば、モ

ロヘイヤなどクセのある野菜、海藻、タマネギ、ネギ、魚介類、大豆食品、芋類、ニ

ンニク、鶏肉を「癌を防ぐスープ」の食材として勧めています。

 

新宿溝口クリニック院長の溝口先生は50代以降足りなくなる栄養素として、オメガ3

脂肪酸系の良い油、肉魚豆というタンパク質、ビタミンB、ミネラルを上げています。

以上ご参考になりましたか。食習慣をデザインする、どうでしょう。

 

マクガバンレポートから「デザイナーズフーズ」

http://www.nissui.co.jp/academy/market/01/02.html

フードピラミッド

https://www.google.co.jp/search?q=%E3%83%95%E3%83%BC%E3%83%89%E3%83%94%E3%83%A9%E3%83%9F%E3%83%83%E3%83%89&hl=en&prmd=imvns&tbm=isch&tbo=u&source=univ&sa=X&ei=YZNWUJH1OYzMmAXvnIGIBg&sqi=2&ved=0CBwQsAQ&biw=960&bih=1212

健康に良い食べ物ベストテン

http://www.medicalnewstoday.com/articles/245259.php

http://life-support.cocolog-nifty.com/lifelonglifelog/2012/06/post-a046.html

 

 

◆デジタル書斎の構築29◆

腕に着けて一日の活動を記録でき、仲間と情報共有もできるセンサーを搭載して、活

動量などをスマホなどで確認できるウエアラブルという製品が様々発表・発売されて

います。ジョウボーンやフィットビットなど米ベンチャー企業が開発したもの、米ナ

イキなども発売しています。 Apple Storeやビックカメラでも販売しています。この

市場は今かなり熱いと思います。

 

複数の友人もこれに関連した起業を考えています。まさに健康産業花盛りです。前回

の書評で書きましたが、運動は体を健康にする以上に脳を健康にするということなの

で、書斎にルームランナーを買って、このウエアラブルの手首のバンドも買って、一

日の運動量すなわち歩数、夜の睡眠時間の管理をしてみました。ルームランナーでは

時速5キロで約45分運動します。ウォームアップ5分、クールダウン5分、20分後から

有酸素運動を20分します。心拍数は110-120です。睡眠時間の管理も面白くて、深く

眠っている時間と、浅く眠っている時間が検出されます。

 

このほかにタニタの体重計で体重と同時にいろんなデータが取れます。この数年この

体重計のおかげでBMI 23 、体脂肪率21をほぼ維持できています。

 

ここで問題です。各社各様の情報規格のため一元的に管理できません。特に日本の体

重計や血圧計は極めて上質ですが、ハードウェア単体で高機能化し、閉じた世界で情

報管理していますから総合的な管理が出来ません。つまりタニタの体重計とオムロン

の血圧計、ウエアラブルの歩数、睡眠時間が一元化できません。メーカーの担当執行

役員と話しましたがこれはインテルにおまかせとのことでした。

 

統合できると新しいサービスが創出されるのですがこれができない、やらない、これ

が日本の製造業という文化でしょうか。多分すぐにもここをチャンスと見て賢いベン

チャー企業が解決してくれること期待しています。

個人的な課題はこの運動習慣がいつまで続くかということです。

 

 

◆書評◆

今月の、ご紹介は「被曝と発がんの真実」中川恵一 KKベストセラーズ 2012 です。

 

この本の著者は長年放射線による癌治療行ってきた東大病院の放射線科の専門医です。

最近では福島の飯舘村に定期的に調査に行って地域の方々に正しい放射線と癌の関係

について情報提供しています。あまりにも、放射線と発がんの関係についての正しい

知識が国民に提供がされていないという思いが強く出ています。

 

重要な言明は広島と長崎の真実、チェルノブイリの真実という人類の貴重なデータか

ら、行き過ぎた放射能と癌のリスクのいわば風評のリスクについて述べているところ

です。広島と長崎の被爆者を永年調査した結果から、100ミリシーベルト以下では発

癌のリスクは極めて低いと言明しています。すなわち100ミリシーベルト以下で発癌

をしたという科学的な事例はないというのです。むしろ危険を強調し続け、ストレス

を抱えて生活習慣を悪化させ病気になるということです。また内部被曝は外部被曝に

比べ極めて危険だということもないということです。

 

100ないし200ミリシーベルトという値は福島第一原発で作業をする人たちが受ける被

曝量ですが、喫煙はその10倍以上の発がん率を高め、受動喫煙ですら100ミリシーベル

トの被曝に近い影響があると言います広島と長崎の真実では非常に興味深い事実が紹

介されています。広島では原爆の破壊力や熱線、放射線によって9万から16万人が被

爆後4ヶ月以内に死亡しました。長崎では6万から8万人が死亡しています。ただ死因の

内訳は、爆風による外傷が20%、放射線による障害が20%、熱線と二次的な火災によ

る熱傷が60%です。 2000年までに放射線による被曝で発症した癌の総数は1,900と推

定されています。この広島と長崎のデータから100ミリシーベルト以上の被曝では発

癌のリスクが上昇することがわかったのです。ただ子供の発症率は数倍に上がります。

当然ですが被爆者の子供に何の影響もありません。爆弾投下の2週間以内に爆心地から

2キロ以内に入った人を「入市被害者」といいます。ただ驚くことにこの「入市被害

者」の平均寿命調べると日本の平均より長いのです。特に広島市の女性の平均寿命は

日本一長い(2005年)ということです。この人たちは原爆手帳を支給され、病院に原

則無料で掛ることができます。このため非常に充実した医療の効果で全国平均を上

回ったのです。

 

チェルノブイリの真実では重大な事実が判明しています。チェルノブイリ原発は福島

の原発を違って容器がない形です。ですからものすごい量の放射性物質が放出されま

した。

 

まず決死隊として飛び込んだ所員や消防士の134人は1000から8000シーベルトの大量

の放射線を被曝したと推定されています。うち28人は事故から3ヶ月間の間に死亡し

ています。残りの 20人が事故から25年の間に死亡しています。突入した134人中、原

発事故で亡くなった人は50人ということです。決死隊とは別に事故処理の作業者や一

般市民50万人が記録を取られていますが、このうち198人が事故から25年経つ間に白

血病で亡くなっています。小児甲状腺がんは増えています。これは人災です。本来ソ

連政府は直ちに乳製品の摂取を止めさせ、ヨウ素を配布すべきでしたがこれを怠って

います。従って甲状腺癌を発症した小児は2006年時点で5,000人に上り、このうち9人

が死亡しました。2011年では6000人が癌の手術を受けうち15人が死亡しています。

 

福島では牛乳や食品の摂取制限が行われチェルノブイリのようなことが起こっていま

せん。すなわちチェルノブイリの住民に確認されている健康被害は小児の甲状腺癌だ

けです。

 

重大な事実は、チェルノブイリでは平均寿命がその後著しく低下しています。事故が

原因での死亡者と推定されるものは、原発に飛び込んだ50人と事故処理に関わった作

業員で、白血病で死亡した80人、一般市民で甲状腺癌を発症した6,000人のうちの15

人だけですから、これは平均寿命を下げるものでありません。平均寿命を下げた原因

は、原発事故によって人生に絶望したり、強制的な避難で職を失ったり、コミュニ

ティーを失ったりした結果から生じたストレス、生活習慣の乱れ、とりわけ高齢男性

者の精神的ダメージ、で短命なったという事実です。

 

チェルノブイリの教訓は、精神的ストレス、慣れ親しんだ生活様式の破壊、経済活動

の制限といった事故に伴う副次的な影響の方が、放射線被曝よりもはるかに大きな損

害をもたらすことが明らかになったことです。チェルノブイリでは年間の被曝線量が

5ミリシーベルトを以上となる地域の住民に強制避難区域になりました。これは福島

の計画的避難区域の年間20ミリシーベルトの4倍の厳しい基準です。1ミリシーベルト

を20シーベルトに変更することに抗議して涙の記者会見をした、内閣参与の東大教授

もいますが。

 

この広島・長崎とチェルノブイリの教訓を、現在の福島の問題にきちっと生かしてい

く必要があるとつくづく認識しました。

いま食品売り場にいくと福島の野菜は殆どありませんが、茨城産や宮城産の野菜が他

に比べ低価格で売られています。まさに風評被害です。茨城産の野菜、宮城県産の野

菜はこの本を読んでから何のためらいもなく買うことが出来るようになりました。

この本は新書ですので簡単に読めます。ぜひご一読を。

 

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◆内容・記事に関するご意見・お問い合わせ/配信解除・メールアドレス変更

右記まで  webmaster@fukan.jp

……………………………………………………………………………………………………

◆俯瞰 MAIL 0037号(2014年1月20日)

発行元:     一般社団法人 俯瞰工学研究所

発行人:   松島克守

編集長:   松島克守

URL:     http://fukan.jp

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俯瞰メール36号

皆様

◆時候ご挨拶◆

本格的な寒さです、冬はある程度寒くないと季節感ありませんね。街の賑わいと渋滞

である程度高揚した景気感がわかります。株価も上昇を続け、かなり明るい年末にな

る予感です。その一方一寸先は闇の市場ですから薄氷を踏む感じもありますが、ここ

は明るく前向きに行きましょう。

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・最後の賭けのアベノミクス予算

・不安定化する東アジア情勢

・女性が改革のリーダーになる時代

・二子玉川クリエイティブ・シティ・フォーラム2014開催

・ビジネスモデル学会 イブニングセッションのご案内

・頭のよくなるクッキング22

・デジタル書斎の構築28

・書評 「脳を鍛えるには運動しかない」ジョンJ・レイティー NHK出版2009

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◆最後の賭けのアベノミクス予算◆

来年度予算案が決まりました。過去最高の96兆円です。補正予算を加えれば100兆円を

超します。消費税増税を実施してなおデフレ脱却、景気回復という野心的な予算です

が、よく見ると利権集団の圧力に屈した旧自民党的な予算ではないでしょうか。民主

党の予算もバラマキで財政規律から見ると無責任な予算でしたが、今年度予算も結局

は同じような構造になっていますね。収入に占める借金の割合はなお4割を超えてい

ます。

 

社会保障費が巨額ですが、それに関連する診療報酬は医師会の圧力でほとんど無傷で

す。老朽化したインフラの整備ということで公共予算が増えていますし、新幹線もど

んどん建設です。企業の投資を促進するような政策も無論あります。その結果給料が

上がり、家計が潤い、消費が伸びるという好循環に不安を感じます。いくつか味付け

的な政策がありますがこれで本当に景気回復と財政再建というアベノミクスの実現が

出来るのか、これが最後の賭けだと思います。

 

ご存じのように既に日本国の債務はGDPの約230%近くで世界一です。その後はギリ

シャを始めとするヨーロッパのデフォルト候補の国々です。日本は国内の金融資産が

豊富でそれが国債の買い手であるので、なんとかなるという議論もそろそろ限界だと

思います。これでダメならまた来年も大型予算を組んでいくのでしょうか。

 

ともかく旧来の利権的な不合理な予算や、民間が積極的にサービス部門に進出できる

思い切った規制の緩和が掛け声で終わっています。構造改革をやると言っていますが

結局薬のネット販売すら不十分に終わっています。国民は構造改革を妨げる規制を洗

い出し、見える化してその撤廃を声高に主張していくしかないと思います。

 

デフレ脱却と財政健全化と言う二兎(にと)を追う首相の戦略は絵に描いた餅に終わ

りかねません。この予算を最後の賭けとして来年からはあるべき方向に進むべきです。

 

2014年度政府予算案

http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20131225&ng=DGKDASGC2401V_U3A221C1MM8000

http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS23032_U3A221C1EB2000/

http://www.nikkei.com/markets/column/globaloutlook.aspx?g=DGXNASDF20008_20122013000000

債務残高GDP比率ランキング

http://10rank.blog.fc2.com/blog-entry-159.html

 

 

◆不安定化する東アジア情勢◆

東アジア情勢がさらに不安定化しています。北朝鮮の大粛清のあと、北朝鮮は挑発的

な行動に出ています。予告なく報復するという恫喝を韓国にしています。これに対し

韓国も危機感を募らせ大統領が最前線の部隊を視察しています。折しも南スーダンで

は予備の銃弾が不足していることである意味超法規的に韓国への弾薬供与をしていま

すが、これも後味の悪い結末なりました。しかし朝鮮半島の有事に際しては、韓国は

在日米軍と自衛隊の支援が必須です。現在のような心理状態は安全保障上極めて異常

です。

 

中国の動静も不安定です。日本と米国は尖閣の近くの海上で大規模な合同演習をしま

した。当然中国はこれに重大な危機感を持っています。なにしろ習近平はオバマ大統

領に太平洋を米国と中国で仕切ろうと提案したくらいですから。そして南シナ海での

米軍の演習にはなんと500メートルまで艦艇を近づけ米国を脅かしました。ともかく

東アジアから南シナ海まで異常な緊張が続いています。

 

そこになんと安倍首相の靖国神社参拝です。火に油を注ぐ行動ではないでしょうか。

国民も同盟国も、むろん中国も韓国も全く歓迎できない行動です。国民の大部分も唖

然でしょう。まさに自己満足と独りよがりです。愛国心という覚せい剤に昂進された

異常行動だと思います。

 

中国と韓国の反発は想定内ですが、同盟国の米国が不快感を隠していません。韓国の

執拗な反日外交に対して最近やっと米国も異常という認識を示し日本に理解をし始め

たばかりですが、日韓はほっとけと言う気持ちになったかもしれません。

 

日米同盟という御旗も実態は薄い同盟かもしれません。それでなくても米国の影響力

は急速に衰退しています。ライス大統領補佐官はなんと中国に対しG2を容認するよう

な発言をして中国を喜ばせています。

 

ロシアも不快感を表明しています。今は北方領土問題を抱えていますがプーチンも相

手にしていいか迷いますね。

 

この靖国神社参拝に対し中国も何も反応しないわけにはいきませんから何らかの行動

をとるでしょう。やっと回復した日本車の販売もインパクトを受けるでしょう。緊張

感ある尖閣海域で小競り合いでも起これば、今は空前の株高で高揚している市場も一

瞬にして崩壊するリスクがあります。アベノミクスの成功の真逆の行動です。

 

ともかく国民は何ていうとんでもない事をしてくれたと言う気持ちでしょう。安倍首

相が現在の結果を全て想定していたのであれば、この内閣で日中韓の関係改善はしな

いと決心して参拝という行動を起こしたのでしょうねと問いたいです。もし米国やロ

シアの反応が想定外であるというのであれば、あまりにも知的水準が低い人間で、あ

の「僕が1番、我妻君(民法の権威の我妻栄元東大教授)が2番」と言ってはばからな

かった岸信介の遺伝子は3代目で失われてしまったということでしょう。

 

この国民的ご迷惑はあの石原慎太郎の尖閣買収騒動と同じです。自民党の保守派は国

益追求ではなく、自己満足の自己陶酔の追求が信条なんでしょうか。

 

北朝鮮、韓国に通知文「予告なく報復」

http://www.nikkei.com/article/DGXNASGM2001M_Q3A221C1EB2000/

韓国大統領、北朝鮮の挑発に「断固対応」 前線部隊を視察

http://www.nikkei.com/paper/article/?ng=DGKDASGM2403R_U3A221C1FF2000

中国警戒、沖縄沖で日米演習

http://www.nikkei.com/article/DGXDZO64452380R21C13A2NN9001/

米中の艦船が接近、一時緊迫

http://www.nikkei.com/article/DGXNASGM1400Y_U3A211C1NNE000/

靖国参拝、波紋広がる 中韓反発、米は「失望」表明

http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20131227&ng=DGKDASFS2603R_W3A221C1MM8000

米、不快感隠さず

http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20131227&ng=DGKDZO64640440X21C13A2EA1000

 

 

◆女性が改革のリーダーになる時代◆

次のGMのCEOにメアリー・バーラと言う業界初の女性のCEOが決まりました。GMの叩き

上げの社員です。父親もGMの機械工だったという生粋のGM一家です。未だ再建途上に

あるこの会社の経営を女性に託すことになったのです。男にできなかったGMの改革が

進むような気がします。

 

すでにIBMも叩き上げの女性のCEOが改革のリーダーシップをとっています。激しく構

造が変化するIT業界において経営の舵取りは極めて難しい判断の連続でしょう。かつ

て業界の覇者であったIBMはパソコンのマイクロソフトとインテルに覇権を奪われて凋

落しましたが、そのウインテルもYahoo、GoogleとAppleそしてAmazonというネット企

業にその座を奪われました。わずか10数年の間で起こった激震的な企業構造の変化で

多くの企業が栄枯盛衰を繰り替えしています。

 

検索エンジンで先行したYahooは後発のGoogleに抜かれ苦境に立たされていましたが、

そのGoogleから女性のCEOマリッサ・メイヤーを引き抜いて再建を託しました。彼女は

まず、業界で常識だった在宅勤務を禁じ波紋を投げかけましたが結果はOKです。さら

に大胆なビジネスモデルの変革をしているようです。 Google時代は3時間程度しか睡

眠を取らなかったと聞きました。なぜかと聞くと父親も同じ様に働いていていたと言

ったそうです。

 

政治の世界でもドイツのメルケル首相は3期目の政権を立ち上げEUを背負って立ってい

ます。今やヨーロッパはメルケルの判断が全てです。

 

そしてアメリカの次期大統領もどうやら女性になりそうな気配です。ヒラリー・クリ

ントンはすでに選挙活動を開始しているとされていますが、最近では駐日大使になっ

たキャロライン・ケネディーも下馬評に上がってきました。かつての超大国ではなく

1つの大国になった米国、これはこれまで続いた男性の大統領の治世の結果かもしれ

ません。

 

男性文化の企業経営陣ではどうしても男性は過去に引きずられるのでしょう。女性は

もしかしたら、「過去は存在しない、あるのは現在と未来だ」という明快な信念から

大胆な改革を打ち出すことができるのかもしれません。と言うと大胆な改革をHPで推

進したカーリー・フィオリーナの失敗例を思い出すかもしれませんが、企画した改革

案はほぼそのまま後継の経営者が実施したとも聞いています。もしかしたら男性陣か

らの妬み嫉みと足の引っ張りで思ったことが実行できなかったのかもしれません。

 

日本では最近女性の経営者が増えてきていますがまだまだです。政界では何人かいま

すが、見識と言動がイマイチのように思います。育成のプロセスの問題であると思い

ます。現在日本の政治を今の女性の政治家に託したいとは思いませんが、いつか日本

も女性の首相が生まれるのでしょう。

 

ビジネスのプロジェクトでも女性のメンバーが複数入っているプロジェクトの方が成

功の確率が高いとも言われています。最近家庭用品で女性がいないプロジェクトの失

敗例を見てきました。

 

メアリー・バーラ米GM次期CEO

http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20131224&ng=DGKDZO64486740U3A221C1PE8000

「100年の巨人」を支えるバージニア・ロメッティ

http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20131212/257005/?ST=smart

辣腕の女性CEOで息吹き返すヤフー

http://sankei.jp.msn.com/world/news/130831/amr13083107000000-n1.htm

なぜヤフーのマリッサ・メイヤーは、ネットポータルに回帰するのか

http://pc.nikkeibp.co.jp/article/news/20130603/1092685/?rt=nocnt

メルケル政権、3期目に 大連立政権発足

http://www.cnn.co.jp/world/35041589.html

メルケル首相は「現状維持」の守護者

http://www.nikkei.com/article/DGXNASGM2005V_U3A221C1FF1000/

全世界の女性CEOの実情を分かりやすく説明した図

http://gigazine.net/news/20110320_worlds_female_ceos/

米国次期大統領選挙は、ヒラリー・クリントンVSキャロライン・ケネディ

http://blog.goo.ne.jp/itagaki-eiken/e/de534ce023347b0e8375cb1328b73be6

カーリー・フィオリーナ

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%83%BC%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%83%95%E3%82%A3%E3%82%AA%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%8A

 

 

◆二子玉川クリエイティブ・シティ・フォーラム2014開催◆

GoodLifeのあり方についてみなさんと考えるトークショーを開催いたします。

CCCの増田宗昭さんが、代官山T-SITEの先にあるもの、という講演で二子玉川に計

画中の新しいプロジェクトのお話があります。ぜひこの機会に二子玉川から吹く新し

い時代の息吹を感じてください。

申込み:http://creative-city.jp/ccf2014.html

 

主催:クリエイティブ・シティ・コンソーシアム

日時:2014年2月15日(土)13:40-20:00

会場:二子玉川ライズ・オフィス8階 カタリストBA

 

・総合司会 福満景子 元NHKキャスター、フリーアナウンサー

・オープニング 13:40- コンソーシアム副会長 松島克守

・『幸福途上国ニッポン -幸福なお金の使いかた-』目崎雅昭氏

  国際文化アナリスト・幸福研究家、日本メガソーラー整備事業(株)代表取締役社長

・『世田谷から実践する里山資本主義』東大史氏

  一般社団法人上山集落監事(元・美作市地域おこし協力隊)、村楽LLP(地域おこ

  し協力隊全国ネットワーク)参謀/事業プロデューサー

・『鯖がつなぐ食のコミュニケーション』池田陽子氏・小林崇亮氏

  全日本さば連合会

★『GOODLIFE -代官山T-SITEの先にあるもの-(仮)』増田宗昭氏

  カルチュア・コンビニエンス・クラブ(株)代表取締役社長兼CEO

 

 

◆ビジネスモデル学会 イブニングセッションのご案内◆

運動をすれば、細胞レベルから脳と身体が若返るといいう科学の実証研究の発表です、

これを聞かないでどうしますか!

 

“新しい健康科学の考え方-身体をつくる細胞と制御する脳、適応・進化から考える”

講師:跡見順子 東京大学名誉教授

日時:1月28日(火) 19:00-21:30

場所:霞ヶ関ナレッジスクエア エクスパート倶楽部

講演要旨:

進展が著しい生命科学は、iPSにノーベル賞が与えられたことからも分かるように、生

命の単位である「細胞」が大きな適応力をもつことをあきらかにした。医療だけではな

く多細胞/脊椎動物/哺乳類/霊長類の仲間である人間の健康についても細胞から考える

メリットは大きい。また他の動物と異なり巨大な脳を発達させ、科学を発達させ、独

自な文化を生み出した人間について、脳により制御される60兆の細胞から成る人の身

体や動きに着目して身心を健康にする考え方を紹介する。

 

詳細・お申し込みはこちら

http://www.biz-model.org/イブニングセッション/第13回イブニングセッション/

 

 

◆頭のよくなるクッキング22◆

書評が長いので簡単にします。また書評の中に食についての記述もあります。

野菜を食べろとはよく言われますが、いつもサラダでは飽きますね。イタリア料理の

バーニャカウダはいかがでしょう。手間の掛るレシピがありますが、超簡単に作って

みましたが、結構いけました。

 

まずにんにく2房をそのまま鍋でゆでます。竹櫛がすっととおるくらいになったら取

り出して中だけを取り出します。プードプロセッサーでこれとアンチョビとオリーブ

油を入れてガーと混ぜて出来上りです。匂い消しに牛乳を入れるというレシピもあり

ます。分量は適当に。野菜スティックにつけてよし、温野菜につけてよし。

 

 

◆デジタル書斎の構築28◆

iPadを手に入れたら真っ先にインストールすべき33このアプリ、という記事がネット

にありまたのでご紹介しておきます。多分ほとんどのアプリはAndroidでも提供されて

いるでしょうし、iPhoneでもあるのではないでしょうか。それぞれのアプリケーショ

ンは直接確認していませんので詳細はサイトでご覧ください。

 

■コミュニケーション系

Facebook: Facebookの純正アプリ

Facebookページマネージャ: ブログ投稿

Janetter: Twitterクライアントの中では高機能Janetter for Twitter

All SNSChecker: 複数のSNSに同時投稿できるアプリ

Google +: Google+の純正アプリ

ハングアウト: Googleハングアウト専用のアプリ

Skype: Skypeの純正アプリ

 

■読み物系

Reeder2: 大人気のRSSリーダー。Feedly対応

SmartNews: 定期配信のニュースリーダー

Pocket: 後で読むサービス「Pocket」の純正アプリ

Kindle: Kindle本を読むためのリーダー

Flipboard: 各SNSの更新情報を、雑誌をめくるかのようにパラパラと読める

cooliris: 画像閲覧特化アプリ

 

■データ管理系

Dropbox: Dropboxの純正アプリ

Googleドライブ: Googleドライブの純正アプリ

CloudClip: iPhone←→iPad←→Mac間で、クリップボード

DeskConnect: iPhone←→iPad←→Mac間で、ファイルの受け渡しが可能

GoodReader: ファイル管理アプリ。ZIPファイルを解凍

 

■手書きアプリ系

Noteshelf: iPadをノート代わりに使うなら

Paper by Fifty Three: キャンバス代わりに使えるアプリ

 

■テキストエディタ系

Byword: ブログの下書きや、ちょっと長めの文章を書くとき

Clever Memo: Evernoteへのテキスト送信特化型アプリ

 

■エンタメ系

Youtube: Youtubeの純正アプリ

niconico: ニコニコ動画の純正アプリ

Air Display 2: iPadをMacのサブディスプレイとして使いたいならAir Display 2

Seeq: 次世代検索ランチャー

MyShortcuts+Viewer: SySight メモリー解放アプリ

Chrome: パソコンでお馴染みのChrome

Evernote: Evernote純正アプリ

電卓 HD +: 計算機アプリ。計算式の履歴を残してくれる

Google Maps: Google Mapsの純正アプリ

乗換NAVITIME: 電車でのルート検索

 

デジタル書斎としては、基本を情報の収集、その分析、編集、お基本的な知的作業と

していますので少し観点が違います。追加すべきアプリケーションを紹介しておきます。

 

まず情報収集ツールとしては、 Twitterは新聞社等のフォローで適時重要な情報が収

集できますが、加えてソーシャルニュースというジャンルのGunosyとVingow、Bylineが

欲しいですね。またニュースソースとして日経新聞、WSJ日本版、ロイターのニュース

プロなどをインストールしています。

 

Webページの情報や新聞記事のスクラップはEvernoteのClearlyでサイトの広告を削除

してクリップすることが重要です。

 

雑誌の記事やPDFのドキュメントはDropboxでもいいのですが、この情報をあるグループ

で共有して活用するにはBOXというアプリケーションがきわめて有効です。このアプリ

ケーションの特徴は誰かがドキュメントをアップするとメンバーに通知が行きます。ま

たメンバーがドキュメント見たり、ダウンロードするとその通知がメンバーにメールさ

れます。したがって密度の濃い情報共有が可能です。ですから私は俯瞰塾の学生とド

キュメントや課題の共有に活用しています。ここからダウンロードしてiBookで閲覧す

ると電子書籍のように活用できます。

 

会議のホワイトボードやクリップチャートなどを写真に撮ることもありますが

DocScannerを使えばクリップチャートやホワイトボードだけを切り出して撮影し、さら

にOCRも掛けられます。

 

またデジタル書斎としては辞書・辞典をいくつかインストールしておきたいですね。私

は大辞泉、ウィズダム、コトバンクのアプリをインストールしてあります旅先でちょっ

とした原稿を書くのにはPlaintextを利用します。これは書いた結果が自動的にDropbox

に入りますから家に帰ってから便利です。

 

オフィス文書の処理には7notesが必要です。さらに講演などの録音にはRecorderという

アプリケーションを入れていますし、口述メモにはDragon Dictationという強力なアプ

リがあります。

 

iPadを買ったら真っ先にインストールするべき33個のアプリ

http://bamka.info/ipad-33app

 

 

◆書評◆

今月の、ご紹介は

「脳を鍛えるには運動しかない」ジョンJ・レイティー NHK出版2009 です。

 

この本のエッセンスをいくつか紹介します。

・運動が脳にもたらす効果は身体への効果よりもはるかに重要であり、筋力や心肺機

 能を高める事はむしろ副次的な効果に過ぎない。

・私たちが体を動かしてしている限り脳は自らを修復することができる、本来そのよ

 うに設計されている。

・運動は脳の機能を最善にする唯一にして最強の手段である。

・2007年にコロンビア大学で人間の脳におけるニューロン新生の根拠が初めて見つかった。

・私たちは動くように生まれついているのだ。動いている時あなたの人生は燃え始める。

 

著者はハーバード大学医学部の教員であり専門は精神医学の臨床医です。多くの論文

も発表しており科学的な学術情報を基に平明に解説をしています。ただ啓蒙書である

ため巻末に文献リストがないので元の論文を同定はできません。

 

冒頭は、イリノイ州の高校で取り入れた運動教育の効果が画期的な学力の向上をもた

らしたことから始まります。結果は約23万人が参加した1999年のTIM SSという国際的

な数学と理科のテストにおいてそれまでアジア諸国に大きく水をあけられていました

が、理科では1番、数学で6番の成績を上げることができたということです。米国の平

均は、理科は18位、数学は19位です。ちなみに数学の上位はシンガポール、韓国、台

湾、香港、日本です。

 

このあと、学習、ストレス、不安(パニック症)、うつ、注意欠陥障害、薬物依存症、

ホルモンの変化、加齢、脳を作る鍛練、という章があり、それぞれに解りやすい事例

やなぜ運動が効果があるのかという科学的で実証的な解説がされています。そしてど

の章にも、こんな運動しようという親切なアドバイスがあります。

 

学習ではなんと日本の研究の例が紹介されています。30分のジョギングを週に3回する

だけで脳の機能が向上することが確認されたそうです。著者のお薦めは単なるジョギ

ングだけではなく心血管系と脳を同時に酷使するスポーツ例えばテニスなどが効果的

だということです。ストレスでは米国国立老化研究所のマーク・マットソンの言葉、

“少なく食べて多くは走ろう”が端的です。脳を使って勉強し、カロリーを抑え、運

動しそして野菜をたくさん食べなさいです。

 

この章には面白い逸話が挿入されています。原子力船造船所の労働者の例ですが、 2

つのグループの比較実験です。仕事はほぼ同じですが一方のグループはごく微量の放

射線を発する物を扱っていましたがもう一方はこれとは無縁でした。1980年から1988

年にかけて働いていた労働者を追跡調査いたところ驚くべき結果が出たそうです。放

射線にさらされていた2万8,000人の労働者は、そうでない3万2,000人の労働者と比べ

て死亡率が34%低かった、ということです。少々のストレスを与えると脳細胞は12分

に回復し将来の要請に備えてガードを固くし強い免疫力を高めるということです。こ

の結果は研究の仮説と相いれないので公表されなかったということです。

 

パニック障害では、なんであれ心拍数を上げる運動した方がいいということです。ラ

ンニングエアロバイク・・・。実験では激しい運動だけが、不安による肉体的な工夫

に対する感受性を和らげるということです。そして誰かと一緒に運動することが良い

そうです。“うつ“は脳細胞そのものを破壊していくとあります。無論薬はあります

からそれと併用して運動を取り入れることを進めています。おすすめはほぼ毎日中程

度の有酸素運動を30分することです。

 

注意欠陥障害とはやる気が出ない、常識外れの行動をする様な症状だそうです。やら

なくてはいけないと思いながらもそれに手が付けられない、という現象は私も時々感

じます。これは比較的最近認識された病気のようで1980年に初めてこの言葉が出たそ

うです。これも脳の生物科学的な原因からです。優先順位をつけることや、長期的目

標を認識できないという現象もこの病気の症状ですが、これはかなりの日本人に当て

はまるのではないでしょうか。この解説はかなり興味がありますが結論を書きましょ

う。ともかく心拍数を上げることが重要です。できれば最大心拍数の75%の負荷で20

分から30分有酸素運動を続けることです。最大心拍数とは人間の心臓が1分間に鼓動

しうる回数の生理的限界で、一般には220から年齢を引いた数だそうです。ですから

50歳で170、60歳で160ですか。心拍計は最近腕や胸につけスマホで見るようなものを

含め各種販売されています。最低限というのであれば有酸素運動30分だそうです。こ

れで集中力が出てやる気が出て、優先順位が認識できるようになるそうです。

 

薬物依存症ですが、これはアルコールも入ります。この章では面白い逸話があって

「中国語では動物は主語になりうるが、野菜は主語にならない。野菜にあそこまで

ジャンプしろとは言えません。動くのをやめてしまえばあなたは動物でなく、植物に

なってしまうのです」。植物人間かなりいますよね。この際、科学的、実証的な解説

をカットしてお勧めの運動にいきましょう。週に5日、 30分のハードな有酸素運動と

いうのが最低ラインだそうです。できれば毎日した方がいいとのことですホルモンの

変化、そして女性の閉経、の章です。これはPMS(月経前症候群)と妊婦、産後のうつ、

そして閉経に関する解説です。ここでの面白い逸話は、妊婦は中程度の有酸素運動を

すくなくとも週30分した方がいいとのことです。運動は子宮内の胎児を揺さぶり、赤

ん坊が撫でられたり、抱かれたりするのと同様の刺激を胎児に与え明らかに脳の発達

を促進するとのことです。ここも実験例があって、5歳になった段階で比較するとIQ

と言語能力において著しい差異があったとのことです。そしてお勧めの運動は最大心

拍数の60%から65%の有酸素運動です。骨そこつ症を予防するためには週に2日筋力

トレーニングを合わせてすることが大切だそうです。

 

加齢、これは最も興味を持って読んだ章です。 1900年にはアメリカ人の平均寿命は

47歳で、今日は76歳を上回るが、高齢者は慢性疾患によって多くはなくなります。

平均寿命を超えて亡くなる人は、多くは3種類の慢性疾患を抱え、5種類の処方箋を

服用しているそうです。喫煙、運動不足、栄養の偏りがこれらの病気をもたらすこ

とはよく知られています。そして体に悪いことは脳にとっても悪いのです。

 

ここでは認知症予防のためにオメガ3脂肪酸を摂取しようと勧めています。 65歳以

上の人の3分の1はあまり運動していないようであるがもし運動が体だけでなく脳の

老化を防ぐことがわかっていればもっと真剣に運動について考えるようになるだろ

うとも言っています。これも実証的な解説がついています。ここでは週に1時間半程

度のウォーキングでも効果があるとのことです。

 

ここで紹介されている実験が凄いです。普段あまり運動しない60から79歳前の人間

59名を2グループに分け6か月にわたって週に3回1時間ジムで運動させました。一方

はランニングマシンで歩き、もう一方はストレッチ体操をしただけです。ランニン

グマシンでのトレーニングは最大心拍数の40%からスタートし段階的に60%、70%

に上げました。 6ヶ月のランニングマシンで運動者は最大酸素摂取量が平均で16%

上昇していました。驚く事はMRIの検査によってランニングマシンを使った人は前

頭葉と側頭葉の皮資容積が増えていたのです。科学者は海馬の容積が増えることは

知っていましたが皮質の容積が増える事は驚愕だったそうです。運動が脳の衰えを

止めるだけでなく、老化に伴う細胞の衰えを逆行させるのです。運動が認知症を予

防することが証明されているのです。

 

この章ではありがたいことに人生のリストと言う生活習慣の提言があります。

1心血管系を強くする、2燃料を調整する、3肥満を防ぐ、 4ストレス閾値を上

げる、5気分を明るくする、 6免疫系を強化する、7骨を強くする、 8意欲を高

める、 9ニューロンの可塑性を高める、です。そしてこれはすべて運動が処方箋

です。

 

食事についてもあります。摂取カロリーを抑えるということはよく知られています。

細胞の修復メカニズムを活性化する食品としては、クミン、ニンニク、タマネギ、

ブロッコリー、ブルーベリー、ざくろ、ほうれん草、 ビーツ、緑茶、赤ワインな

どが挙げられています。それ以外に全粒粉の穀物、タンパク質と脂肪をバランスよ

くとることとありますが低炭水化物ダイエットは脳には良くないとあります。さら

にオメガ3脂肪酸の摂取のため魚を食べる、あるいはサプリメントを取るとあります。

 

いよいよ運動ですが60歳以上の人には例外なくほぼ毎日運動することを勧めたいと

あります。運動は有酸素運動、筋力強化、バランス、柔軟性とあります。有酸素運

動は週に4日30分から1時間、最大心拍数の60から65%の運動する、とありますがこ

れはかなりハードルが高いですね。筋力は週2回ダンベルかトレーニングマシンで

無理のない重さで10回から15回を1セットとして3セット。

 

頭の体操もしろと書いてあります。脳を使い続けることです。ここにあるエピソー

ドは凄いです。ミネソタ州の修道院の例ですが修道女たちは常に学び、社会の課題

は何かと探求し、社会問題について話し合って頭を鍛えています。そして多くが

100歳を超えるまで長生きするとあります。亡くなった人の脳を調べてみると、ア

ルツハイマーのせいで大半がボロボロになっていましたが、にも拘らず生前最後ま

で鋭敏な知力を失っていなかったそうです。

 

最後の章は脳を鍛える、です。運動は脳の機能を最善にする唯一にして最強の手段

だとの事です。この10年以内に発表された何百という研究論文に基づいた結論です。

2007年コロンビア大学で人間の脳におけるニューロン新生の証拠が見つかったので

す。MRIや顕微鏡で確認されたのです。運動で脳が鍛えられるという事は科学的な

事実なのです。

 

詳細は読んで頂ければわかります。ただこの本はやたら難しいセロトニンとかグル

タミン酸とかドーパミンとか、アミノ核酸というような専門用語がいっぱいでてき

ますからその辺は読み飛ばしながら読んで行かないととても最後まで読めません。

すでに翻訳版でも18刷ですからかなり読まれています。

 

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◆内容・記事に関するご意見・お問い合わせ/配信解除・メールアドレス変更

右記まで  webmaster@fukan.jp

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◆俯瞰 MAIL 0036号(2013年12月28日)

発行元:     一般社団法人 俯瞰工学研究所

発行人:   松島克守

編集長:   松島克守

URL:     http://fukan.jp

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俯瞰メール35号

皆様

◆時候ご挨拶◆

今年は秋を楽しむ間もなく、もう晩秋そして冬という感じです。台風が何度も来てそ

の対応で秋が無くなってしまった感じです。日本経済は何となく良くなってきた感じ

ですが、国際情勢は雲行き怪しい感じです。アベノミクスも懸念を感じますが、原発

再開の地ならしは着々と進んでいますね。

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・機密情報盗聴で同盟国の信頼を失い孤立する米国という大国

・昭和に戻るのか自民党と霞が関

・泥沼化した日韓関係

・サムスンの研究

・シャネルのブランド戦略

・モーターショーに行ってきました

・頭のよくなるクッキング21

・デジタル書斎の構築27

・書評 「誰も知らなかったココ・シャネル」 ハル・ヴァーン 文芸春秋2012

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◆機密情報盗聴で同盟国の信頼を失い孤立する米国という大国◆

米国という大国が急速にその影響力を失っているようです。財政の壁という共和党保

守派とオバマ政権の確執で世界の信頼を失い、その余波でアジア歴訪をドタキャンし

アジア諸国の信頼感も傷つき、エジプトを含め中近東の同盟関係も綻んで、超大国と

いう地位を失ってきた事は前回も書きましたが、さらにその後同盟国の首脳の通信の

盗聴という事件で、ヨーロッパの同盟国の信頼も失いました。特にドイツのメルケル

首相の携帯盗聴で日本と並ぶ最有力な同盟国の信頼関係を深く傷つけました。ドイツ

は日本と異なりそれほど対米依存が強くなく、かつEUという国家連合に守られていま

すから安全保障上の懸念も少ないので、アメリカに対しかなり強い対応をすると思い

ます。結果的にアメリカとヨーロッパの同盟関係が弱まり、ロシアのプーチン首相の

影響力が強まりました。そしてロシアの圧力でウクライナのEUの統合が頓挫しました。

 

この事件で明るみにでたのはやはりアングロサクソンの強い連携です。一連の情報収

集活動はイギリス、豪州の情報機関が米国と連携して行っていたとのことです。これ

はフランスとドイツというEUのリーダーにとっても不愉快なことでしょう。ただ情報

収集は国家安全保障の基本ですから、暗号化なしの携帯で国家秘密の会話をしていて、

盗聴されたことをただ怒るのでは子供ですね。

 

それにしても米国の最高の国家機密を持ったままロシアに亡命したスノーデンがリー

クする情報の質の高さと威力を思い知らされました。そのスノーデンはプーチンの手

元にあるわけです。

 

中近東の和平に関しケリー国務長官も頑張っていますが、イランとの交渉を含め強烈

なイスラエルの抵抗に手こずっています。アフガンの駐留延長についても交渉が頓挫

しています。エジプトやサウジアラビアも現在では米国と一定程度の距離を置いてい

ます。プーチン主導で進んでいるシリアの化学兵器廃棄は、結果としてアサド政権の

復活を進め、内戦はむしろ激化しているようです。

 

すなわち中近東での米国の影響力は極めて限定的になっているということでしょう。

最終的には米国はイスラエルの支援をする国とみられていますから、中東での和平の

仲介も難しいですね。米国の軍幹部は最終的にはイスラエルの軍事行動を容認し支援

すると言明しています。

 

一方、オバマ大統領は国内でもオバマケアに関連して急速に国民の支持を失っている

ようです。いわゆる政権末期の「 レームダック 」状態です。すでに国民の関心は次

期大統領選挙、ヒラリークリントンへの期待のほうに行っているように見えます。彼

女も正式に大統領選出馬を宣言しました。

 

ということで雑誌フォーブスが発表した「世界で最も影響力のある人物」ではオバマ

大統領は一位の座をプーチン大統領に譲ってしまいました。ちなみに日本からは、日

本銀行の黒田東彦総裁が39位、ソフトバンク創業者の孫正義氏が45位、安倍晋三首相

が57位にランクインしています。韓国人では潘基文国連事務総長が32位、李健煕サム

スン電子会長が41位です。朴槿恵大統領は52位とのことです。外交に熱心な安倍首相

も朴大統領も国際社会ではこの程度の影響力ですね。

 

アメリカという大国の衰亡は世界中に不安定で危険な状況を引き起こすという可能性

は前回も書きましたが、ついに現実になりました。中国が尖閣列島を含む空域を防空

識別圏として宣言しました。日本の防空識別圏と大きく重なっています。これは中国

が米国の衰退と軍事力の実行を見くびり、日本と韓国の対立を機会として捉えたので

しょう。習近平が軍部を抑えられないという中国内部の不安定性もあるでしょう。ア

メリカが超大国の時代には考えられないようなことです。これには最近にない衝撃を

覚えました。まさにパックスアメリカーナの終焉です。国際情勢は流動化して不安定

になります。

 

このところ中国べったりの韓国も自国領土と主張している岩礁がこの空域に含まれて

いるため猛然と抗議しています。アメリカはグァム島から大型爆撃機のB52を2機、中

国に通告することなくこの空域を飛行させて西太平洋での存在感を示し、日本という

同盟国へのコミットメントを誇示しましたが、防空識別圏の設定前にやるべきだった

のです。基本的には後の祭りです。中国は恥をかいたことになりますのでこの後の反

応が気になります。

 

日本政府も猛然とこれには抗議し、日本の航空会社が中国に通行計画を提出すること

を止めさせました。無論この中国の挑発的な行動は国際社会からも強い懸念を表明さ

れています。注意すべきは心理面で金融市場に影響を与えて世界経済のパニックも想

定されます。最高値を付けた東証も一瞬で崩壊というシナリオも否定できなくなりま

した。

 

ここは日本も一歩も引けませんね。誠に難しい状況ですが国際的な連帯でこの中国の

挑発を抑え込むしかありません。米国という大国の衰退と日韓の反目、それを見透か

した中国の挑発の状況では、改めて日本は自分で国を守るということの重大さを認識

するしかありません。むろん日米同盟という連携を基本としますが、アメリカが守っ

てくれるというような甘い夢からはもう覚めましょう。

 

思い出せば、第二世界大戦の講和条約の時、当時の南原東大総長をはじめとする知識

人が、非武装中立を論じ、長く日本の進歩的と称する知識人の主張となって来ました

が、ここに来て非武装中立がいかに非現実的であったかはっきりとしました。さすが

当時の吉田首相は南原総長を「曲学阿世」の徒と一蹴しました。

 

従って自衛隊の正面装備の強化は必要ですが、と言って安易な軍備増強でこの緊張を

高める事は愚策中の愚策です。国際連携の強い体制を、失われたパックスアメリカー

ナの代わりに構築するしかありません。となると今議論の最中にある集団自衛権は必

須になります。パックスアメリカーナの下で、甘い平和の夢の中でまどろんでいた時

が懐かしいですね。詳細は下記のサイトで。

 

ドイツのメルケル首相の携帯電話、アメリカ情報機関が通話を盗聴か

http://www.huffingtonpost.jp/2013/10/24/merkel-usa-wire-tapping_n_4154890.html

米国がメルケル首相の電話盗聴していた可能性―独政府が抗議声明

http://jp.wsj.com/article/SB10001424052702304523904579154183115467674.html

独野党、スノーデン氏の証人喚問http://jp.wsj.com/article/SB10001424052702304894104579206670084664350.htmlhttp:/

ロシア大統領、ウクライナめぐりEUを牽制

http://sankei.jp.msn.com/world/news/131127/erp13112712390008-n1.htm

米、豪と共謀の疑い アジアで揺らぐ主導力

http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20131117&ng=DGKDASGM1602K_W3A111C1FF8000

米国民の「大統領不信」強まる、オバマケアの混乱で

http://www.asahi.com/international/reuters/CRWTYE9AP03E.html

2013年「世界でもっとも影響力のある人物」発表 オバマ大統領が2位転落

http://www.huffingtonpost.jp/2013/10/30/forbes-most-powerful-people_n_4179469.html

オバマ大統領、来春にアジア歴訪

http://www.asahi.com/articles/TKY201311210067.html

イラン核協議の歴史的合意、中東のパワーバランス再編も

http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPL4N0JB10120131126

イスラエルがイラン攻撃なら支援 米統参議長が「責務」指摘

http://www.cnn.co.jp/usa/35040293.html

中国 尖閣上空などに防空識別圏設定

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20131123/k10013283991000.html

米爆撃機、防空識別圏を飛行 中国には通告せず

http://www.asahi.com/articles/TKY201311270003.html

【社説】米国が中国に示したB52爆撃機という返答

http://jp.wsj.com/article/SB10001424052702303735804579223192684635568.html

【社説】日本との連帯感示した米政権―日米合同の監視体制構築すべき

http://jp.wsj.com/article/SB10001424052702304471504579225080656472664.html?dsk=y

[FT]中国は日本への挑発をやめよ(社説) http://www.nikkei.com/article/DGXNASGV26001_W3A121C1000000/

日本政府、韓台ASEANと共同で自制・撤廃要求へ

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/131127/plc13112707000005-n1.htm

日本の航空各社、中国防空識別圏設定で飛行計画の提出中止 政府要請受け

http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPL4N0JB3F320131126

中国の防空識別圏:東アジアの地政学リスクが金融市場の錯乱要因にも

http://kabutan.jp/news/marketnews/?b=n201311270044

吉田首相、南原繁東大総長を「曲学阿世」と非難

http://showa.mainichi.jp/news/1950/05/post-7820.html

 

 

◆昭和に戻るのか自民党と霞が関◆

静岡県立掛川西高校を卒業して49年です。年一回の東京の同窓会に出席しました。こ

こでは相対的にまだ年少組に近いですね、諸先輩元気です。若い人が参加しないのは

何か運営に問題があるのでしょうか。

 

同窓生でもある副校長が近況を報告しました。彼も10数年ぶりに母校に帰任したそう

ですが感想は、昭和の雰囲気に戻っている、といいました。男子は丸刈りで詰襟、学

帽、大声で挨拶、女生徒に茶髪、ピアスなしで、近隣の高校からどうすればそうなる

のかという問い合わせが有ると言っていました。あの学校は従順でいい子の集団です

から。

 

自民党の状況も昭和に回帰しているのでしょうか、18歳の成人化に反対しています。

高校を卒業して社会人になっても投票権もなく一方的に国家債務を負わされます。働

けば所得税も負担ですし、年金等の後年負担も。

 

自民党は機密保護法案には熱心ですし、ねじれ国会が解消すると族議員が復活してき

て結果、TPP反対、規制緩和反対・・・・。ネットの薬品販売では国民目線はなく業

界目線です。厚労省も一体です。タクシー減車・・・・これはまさに昭和の政治体制

です。一票の格差解消も及び腰です。

 

日本の国を本来の方向に進めるには若い人の力が必須です。都市部の発言力が重要で

す。地域には膨大な交付金と補助金が交付されていますから。そして今こそ選挙制度

の抜本的な改革の時だと思います。一票の格差是正と18歳選挙権は何が問題でしょう

か、選挙権も与えず若者に西南諸島の防衛に行けというのでしょうか。

 

 

◆泥沼化した日韓関係◆

日韓関係はどうしようもないほどの泥沼化です。政権の求心力を反日で確保するとい

う政権の動き、李明博大統領の竹島上陸に始まり、朴大統領の執拗な反日キャンペー

ンで日韓関係は極めて異常な状況になってしまいました。朴大統領の反日外交の状況

を見るとすでに政治家としてのバランス感覚というものは全く失われ、差し障りがあ

りますが「女のヒステリー」というような感じです。側近の首相も同調していますか

ら政権でも共有しているのでしょうが、国際的な常識から大きく逸脱しています。一

般の韓国民の感情からも逸脱しているのではないかと思いますが、メディアの反日

キャンペーンや戦時中の徴用工賠償判決という司法当局の挙動を見ていると、否応な

しに韓国国民も反日に煽られて来ていると思います。むろん常識的な国際感覚がある

人はやり過ぎだと思っているでしょうが、その声は小さいですね。

 

または韓国大統領はそれほど政権運営に自信がないのでしょうか。韓国経済はよくも

ありませんが悪くもありません。ただ就職難や財閥中心の政策による中小企業の苦難、

格差、労働争議等の社会的な課題は深刻です。

 

朴大統領はヨーロッパ歴訪でも歴史問題と称して慰安婦問題を解き続けましたが、多

分どの首脳も異常さを感じることがあっても、関心を示したとは思いません。ロシア

のプーチン首相との会談でも反日を説き続けて声明文に強引に盛り込みましたが、

プーチン大統領はその不快感を首脳会談に30分遅刻するということでメッセージを発

しました。

 

それに先立つアメリカのヘーゲル国防長官との会談でも歴史問題しか言わない朴大統

領にヘーゲル長官も呆れて、いらだったようです。北朝鮮の脅威と韓国の安全保障と

いう最重要課題を何も議論しないで終わったようです。

 

さすがにこの状況では日本国民も気持ちが引いてきて、韓流ドラマのブームで高まっ

た韓国への近親感が急速に冷めて、嫌韓派が増えていると思います。日本のほうは相

対的に冷静で大人の対応ができています。しかし一部には韓国に対する経済制裁を口

にする政治家まで出てきて、それには韓国のメディアも慌てた対応をしています。

 

これで失われた日韓の損失は膨大です。すでに日本からの旅行客も大幅に減少し、投

資も大きく減少しているようです。来日する韓国の観光客も減っています。中国観光

客は増加ですが。

 

問題は隣国という逃れられない共同体の日韓ですから、暴走的な現在の韓国政府です

が、日本としては感情的な議論や行動を厳に慎む必要があります。どうしてもポロッ

と感情が出るのでしょうか、安倍首相の「愚かな国」という発言があった、ないと言

うような騒ぎや、日本と同じである標準時を30分ずらすかどうかとか言う韓国与党政

治家や、日本国内ではこれまで決して話題にしなかった「ライダイハン」のようなベ

トナム戦争時の韓国軍の負の歴史が一流の雑誌の記事として取り上げられるようにま

でなりました。日本でも韓流ドラマが下火になる一方、日本の人気漫画が韓国で軍国

主義的と非難されたり、泥仕合がエスカレートしていくのが気になります。

 

韓国政府が執拗な反日キャンペーンを強化推進しているのを見ると、この政権の間は、

日韓関係はどうにもならないという絶望感があります。ここまでやれば朴大統領も

引っ込みがつかないでしょうから。ですから一層民間レベルと個人レベルでは今まで

以上に連携を強めて行く必要を感じます。多くの日本人は焼肉とキムチが大好物なん

ですから、このあたりからやり直すのでしょうか。最近焼き肉屋に行っていませんが、

これは健康食の観点からです。

 

この日韓の歴史認識の論争は国際的な調停機関で事実確認と国際条約の判断として結

論を出すのが唯一の解決策ですが、これに韓国が応じることは無いのでしょう。とす

ればこの反日キャンペーンは感情論としか言いようがありませんが、感情論で一国の

外交が成り立ちますか。この状況には中国とロシアは微妙なスタンスをとっています

ね。詳細は下記のサイトで。

 

目に余る朴大統領の反日外交

http://sankei.jp.msn.com/world/news/131116/kor13111608230002-n1.htm

それに同調する鄭首相

http://www.nishinippon.co.jp/nnp/world/article/52918

NYタイムズ「日韓関係悪化は米に大きな支障」

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20131125/k10013321011000.html

強引な韓国への強い不満 遅刻で見せつけたプーチン大統領

http://www.sankeibiz.jp/express/news/131117/exd1311171057002-n1.htm

反日をやりすぎとの声が韓国内からも

http://news.ameba.jp/20131120-56/

暴走する韓国と大人の関係を築けるか?

http://diamond.jp/articles/-/44650

韓国与党議員、標準時変更を発議

http://www.j-cast.com/2013/11/22189724.html

片山さつき氏経済制裁論

http://m.news-postseven.com//archives/20131121_227597.html

それを警戒する韓国

http://www.j-cast.com/2013/11/25189952.html

週刊文春の安倍首相発言

http://japanese.yonhapnews.co.kr/headline/2013/11/15/0200000000AJP20131115001000882.HTML

韓国の米国ロビー活動、慰安婦問題の拡大指示米西海岸で

http://sankei.jp.msn.com/world/news/131110/kor13111012580000-n1.htm

ライダイハン

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%80%E3%82%A4%E3%83%8F%E3%83%B3

韓国の元徴用工裁判

http://www.nhk.or.jp/worldwave/marugoto/2013/11/1101.html

韓国、元徴用工らの名簿を公開

http://www.nikkei.com/article/DGXNASGM1902K_Z11C13A1FF2000/

韓国が戦争犯罪を認めない訳

http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2013/10/post-3075.php

ベトナム訪問の朴大統領 過去の戦争の歴史で謝罪せず

http://sankei.jp.msn.com/world/news/130910/asi13091021240000-n1.htm

韓国の異常反日、今度は“漫画狩り

http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20131108/frn1311081810006-n1.htm

 

 

◆サムスンの研究◆

週刊ダイヤモンドの11月16日はサムスンの特集を掲載していますが、論調の“嫌韓”

の感じが気になります。まさに上の記事で心配しているような風潮だからです。ビジ

ネスマンは冷静に!

 

確かにいろんな手段で日本から先進技術を貪欲に吸収し、それを模倣し、ウォン安や

経済合理性が薄い低コストの電力を活用して、前を走っていた日本のライバルを抜き

去ったことは事実ですが、すでにそのキャッチアップモードは終わり自力で先進的な

製品を開発している世界的な企業であることを認識する必要があります。スマート

フォンの快進撃を見れば既に日本企業の模倣ではなくグローバルマーケットの最先端

を走るサムスンです。

 

ただサムスンに関してきちっとした情報や知識を持っていない人には読む価値があり

ます。サムスン帝国の全貌を掴むことができます。サムスンの弱みも理解出来ます。

 

特集の中で、刺激的な記事は「サムスンが飲み込んだ日本の技術」と称する流出技術

のリストです。なんとサムスンに貢献した日本人技術者ランキングというものもあり

ます。リストラされた社員の中から有用な人材を採用したり、あるいは引き抜きをし

ていますがこれはビジネスでは当然でしょう。また日本の企業と合弁や技術供与に

よって技術を吸収していますがこれも問題にするものではありません。

 

問題はサムスンがいずれ日本企業を抜くという認識がないまま安易な合弁をしてきた

日本企業にあります。サムスンが日本企業を抜き去ったのはこの10年以内です。その

10年日本企業は何をしていたのでしょうか。日本の製造業の驕りと無策、ビジネスマ

インド無き“モノづくり”志向がサムスンの成功の応援団でしょう。

 

元サムスンの常務であった、東大特任教授の吉川さんから以前聞いた話ですが、アジ

ア経済危機の時IMFの強引な経済政策の中で、韓国国民は金銀の供出を行って外貨建

ての債務を払い、サムスンもどん底まで落ちてそこから這い上がってきたのです。当

時サムスンではコピー機があっても文房具自己負担のため用紙はないので、結果社内

はすべてペーパーレスになったとか。それでも製品開発の情報システムに巨額を投資

して、一気に最先端のIT化を進めたとか・・・これがサムスンの現在の成功の礎では

ないかと思います。

 

ただ不公正な部分もあります。 一つは李明博大統領の恣意的なウォン安政策、政策

的な安い電気料金で日本企業と競争、加えてサムスン会長の検察告発に対する特別恩

赦などです。また韓国の官僚機構は場合によっては公共の利益を無視するような、財

閥と極めて強く深い連携関係があると思います。かつての日本もそうですが。

 

この記事はよくできていますが2つの点で私は不満です。 一つはサムスン帝国のすべ

ての戦略を立案し指揮している未来戦略室( 旧構造調整本部)の内部と活動の分析

が不十分です。もう一つは複雑怪奇なグループの株式持ち合い構造の図を出していま

すが、サムスンネバーランドというリゾート管理の企業を帝国の要としていますが、

金蔵、キャッシュフローについて考えればサムスン生命保険に関する分析がなされて

ないことです。

 

ともあれこの特集はサムスンの俯瞰的な理解を助けてくれる記事ですから一読をお勧

めします。

 

週刊ダイヤモンドサムスンの研究

http://diamond.jp/articles/-/44210

バレたらクビ!現役サムスン社員・覆面座談会

http://diamond.jp/articles/-/44462

 

 

◆シャネルのブランド戦略◆

世界的なブランド「シャネル」日本法人のリシャール・コラス社長の「ブランドのつ

くり方」という講演を青森で11月1日に聞きました。大盛況で会場に入り切れないほ

どの600人以上の人が参加しました。

 

これは私がアドバイザーとして参画している、鮭の頭の軟骨から弘前大学の開発した

技術により抽出したプロテオグリカンと言う高機能の保湿剤を使って化粧品、関連の

美容産業で地域経済の活性化を目指しているプロジェクトのイベントです。私も講演

の後のトークセッションのモデレータを務めました。

 

講演の内容はいかにしてシャネルというブランドが生まれ、確立したかということで

大変興味深い内容でした。

 

シャネルというブランドは約100年前生まれたココ・シャネルという強烈な個性を持

つ女性が女性解放を進める当時としてはラジカルなファッションを創生した時から始

まっていますが、シャネルブランドはその原型を一貫して保持すると同時に、色々な

要素を統合し、そして新しい時代の風を取り入れるというブランド戦略でした。

 

何といってもシャネルは香水のシャネルNo.5が神髄です。現在でも30秒に1本売れて

いるそうです。シャネルのサイトを開くとそこはマリリン・モンローです。有名な

「ベットで身に付けるものはシャネルのNo.5だけ」と言う台詞がありますから。

 

講演の最後のスライドが凄いです。銀座の本社ビルの正面脇にある黒御影の銘板に、

このビルの建設に携わった、交通整理の人まで含めて全ての工事関係者の2,500人も

の名前を刻み込み、そのプロフェッショナルとしての仕事に敬意を表したという件で

す。施主のこの申し出には建築会社も感動したそうです。多重の下請け構造の中で全

員を漏らさずリストアップするのは大変だった様ですが。会場はこの時静まりかえり

ました。目が潤むような感動を与える見事なプレゼンテーションでした。

 

銀座に行く用事のついでにその本社ビルの銘板を見に行きました。正面向かって左の

脇にそれはありました。店に入り、有名なシャネルのハンドバックを見ました。およ

そ50万円です!

 

講演の後、「青森のブランドを強化するにはどうしたいいか?」という質問が当然あ

りました。それに対するアドバイスは「青森には自然と雪がある、雪はピュアだ。こ

れをイメージしたらどうか」ということでした。

 

なぜ彼が青森での講演を引き受けたかということですが、何十年か前に下北半島を旅

行したことがあって民宿のような宿に泊まった時、集落全体の人が集まって一緒に酒

を飲んでくれたと言っていました。この機会に家族を連れてまた恐山に行くとも言っ

ていました。夫人は若く美しい日本女性でした。可愛らしいご子息も一緒でした。

 

むろん青森講演の実現には関係者の並々ならぬ努力がありましたが、人と地域との縁

が重要ですね。講演を聞き、ともかくココ・シャネルという人間とシャネルというブ

ランドに強い興味を覚えました。

 

「2013 BRAND FORUM IN AOMORI」

http://www.hirosaki-u.ac.jp/wordpress/news/event/3429/

シャネルの日本社長の講演と、青森ブランド確立への助言

http://mainichi.jp/area/aomori/news/20131102ddlk02040051000c.html

シャネルというブランド

http://www.chanel.com/ja_JP/

リシャール・コラスという人

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AA%E3%82%B7%E3%83%A3%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%82%B3%E3%83%A9%E3%82%B9

 

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◆モーターショーに行ってきました◆

ビックサイトのモーターショーに行ってきました。思ったより小規模ですね。海外か

らはドイツの各社、現代自動車が参加しているだけで米国のビッグスリーは出展して

いません。むろん中国からも出展はありません。招待日だったためゆっくり見られま

した。

 

トヨタ自動車の大きなブースは歩くのが困難なほど人を集めていましたが、それにく

らべると日産自動車は人が少なかったですね。相対的に人を集めていたのはスバルで

した。

 

ともかく電気自動車がたくさん展示されていました。トヨタ自動車もセグエーに似た

立ち乗りのEVを展示していました。電気自動車をいくつも見ているうちにもう少しで

EVの時代が来ると感じました。

 

モーターショーではいくつかの部品メーカーが出展しています。通常は見ることがで

きないパワートレインを見ることができます。パワートレインとは回転運動の伝達機

構だなと改めて認識しました。そしてベアリングの塊ですね。昔の自動車に比べると

このモジュールは多分ものすごい高機能化と複雑化が進んだのでしょう。

 

見ているうちに今後自動車業界に大革命が起きる予感がしてきました。というのは8月

にカルフォルニアで電気自動車のテスラーのカットモデルを見たときにその構造があ

まりにもシンプルでほとんどパワートレインという機械系が存在しないのに驚いたこ

とを思い出したからです。EVには当然エンジンもパワートレインもありません。とす

ると機械加工で削り出す部品はほとんど不要です。電気自動車ではエンジンもパワー

トレインもないのですからこれが普及すればこれに関連する企業は不要になります。

 

何十年も前の体験ですが、当時使っていたオリベッティやレミントンの芸術的な機械

式のタイプライターがあっという間に駆逐され、機械系がほとんどないインクジェッ

トプリンターに代替されています。これと同じことが自動車業界に起こりうると思い

ました。むろん現在の機械システムの塊である自動車もある部分残るでしょうが、長

距離ドライブが水素系の電気自動車になり、近距離型が小型でシンプルなリチウム電

池の電気自動車になるのは火を見るより明らかです。コスト大半を占めるエンジンと

パワートレインがないのですから圧倒的な低コストになります。とりわけ新興国での

低コストの自動車はこれになるでしょう。再生エネルギーの活用でガソリンスタンド

のインフラがないところでもEVは走ります。

 

一方自動車産業はこれに代わる産業が考えられないほどの巨大な産業ピラミッドを形

成していますがそのピラミッドが極端にスリム化されるわけです。逆の意味の産業革

命が起こることになります。2020年の東京オリンピックの時には世界は何か変わって

いるのではないでしょうか。

 

モーターショーにいかなければこの感覚は得られなかったと思います。まさに「現地

に行って現物を見なければ、現状を正しく理解できない」と言う、三現主義の教えです。

 

 

◆頭のよくなるクッキング21◆

他の記事が長くなったので今回はごく簡単にします。

最近、辰巳芳子さんの料理の本が書店に多く見られますね。もう相当なお年ですが大

活躍されています。特にスープという料理に力を入れているように思います。雑誌の

記事で読んだ中で“しいたけスープ”の紹介がありました。これはいわば日本料理の

だし汁です。日本料理の出汁は、鰹節と昆布が基本です。そして干し椎茸です。この

だし汁と言う食品は相当奥深い感じがしていましたが、“しいたけスープ”はそれを

スープという料理にしたわけです。これは一晩水に浸した昆布と干し椎茸を汁ごと40

分ほど蒸すというレシピです。中に梅干しを1つ。作ってみましたが本当に滋味深い、

癒される感じのスープです。私はさらに干した貝柱とショウガも入れますが。

 

このスープは多くの人に感動を与えるようで、なんと琺瑯鍋で有名な野田琺瑯がこの

スープに適した蒸し器を開発して発売しています。ついつい鍋道楽の心が抑えがたく

この鍋を買いました。

 

蒸すと言う料理法は何かめんどくさそうで、あまり使っていませんがこの鍋について

くる小さな冊子、再考「蒸し仕事」には作ってみたくなる蒸し料理がたくさん並んで

います。この蒸し料理と言うジャンルの料理を増やしたいと思います。

 

前回は料理本を紹介したので、この後は鍋、そして包丁について書いていきたいと思

います。

 

しいたけスープのレシピ:干し椎茸(日本産原木)60g、天然昆布 5センチ角を6枚、

梅干し(無農薬有機) 1と1/2個、水 9カップ

 

 

 

◆デジタル書斎の構築27◆

他の記事が今回は長くなりましたので、ごく短くします。

iPad Airを買いました。 11月1日発売ですが11月2日渋谷のアップルストアに行くとす

べてのモデルが在庫ありで、思い切って64Gモデルを買いました。

 

第一印象ですがとても軽くなりました。これまでのiPadは片手で持つのが辛くて、寝

転んで見ても腕が疲れましたが今回は片手で持つ事は全く問題ありません。かなりの

イノベーションですね。処理のスピードも早いですね。前回書いたようにiPhone 5s

を使った後はiPadが随分遅いように感じましたが、今回のスピードはiPhone 5sを超え

る感じです。

 

画像も綺麗です。バッテリーの持ちも良いので、外で文章を書いたり、データ分析を

しないのならばノートパソコンの代わりにこれを持っていけば十分でしょう。タブ

レット端末の売り上げがパソコンを凌駕し、パソコン関係のビジネスが苦境となって

いますが、当然ですね。

 

内部記憶が大きいので映像データなどをかなり大量に持ち歩けそうです。電子化され

れば書斎のすべての書籍を持ち歩くことができます。何年か前にiPodが発売されたと

き、持っているCDを全て持ち歩けるということが言われましたが、それと同じような

発想の転換が可能になります。デジタル書斎がiPad一つで完結ですか。書籍の完全電

子書籍化の時代ですよ。

 

 

◆書評◆

今月のご紹介は

「誰も知らなかったココ・シャネル」 ハル・ヴァーン 文芸春秋2012 です。

 

青森でシャネルの講演を聞いてココ・シャネルに強い興味を覚えたので、ココ・シャ

ネルの伝記を読もうと思いました。 Amazonで見るといくつかの伝記がありました。

タイトルが刺激的でかつ最も新しい出版であったのでこの本を選びました。このほか

2種類の伝記も購入しましたが、改めてここに取り上げた書籍が1番であると確信しま

した。今回は映画化されたココ・シャネルのDVDも見ました。 DVDは別の伝記、エド

モンド・シャルル著を基にしています。ただ映像の威力は凄いものがあります。まず

この本の最初の部分を読んでからDVDを見ましたので最初のシーンから引き込まれる

ものがありました。非常に美しい映像でした。それからこの本を一気に読んでいきま

した。ですから今回の読書は文字からのイマジネーションと映像の統合という新しい

読書のスタイルになったと思います。DVDは人生の前半と最後だけで途中の波乱の人

生は描かれていません。

 

この本が衝撃的なのは、ココ・シャネルはナチスのスパイであったという事でしょう。

これは偶然に公文書館で別の人物の情報調査している時に、ココ・シャネルの情報が

目に入りそこにはナチスドイツの情報部がつけたココ・シャネルのスパイとしてのコ

ードがあったと言うことです。実はこの本の著者はハル・ヴァーンというジャーナリ

ストですが朝鮮戦争に従軍した折に米軍のインテリジェンスを担当し、冷戦時代には

アメリカの機密情報活動に携わったCIAのスパイなのです。ですから情報の収集と分

析はプロです。

 

彼はそこから各国の公文書館にあるココ・シャネルに関する情報を収集分析し、その

資料をもとにココ・シャネルの人生の軌跡をあぶり出したわけです。たぶん成人まで

の情報は別の伝記を参照していると思います。ちなみにハル・ヴァーンが調査の為公

文書を調査していた対象の人物は、戦争中にヨーロッパに渡り香水のシャネルのNo.5

の製法を盗みだした男で、後にシャネル社の社長となったハーバート・グレゴリー・

トーマスでした。こんな感じですからこの本も映画化してほしいですね。

 

第1章冒頭部分にも衝撃的な記述がありました。ココ・シャネルの本名はガブリエル・

シャネルです。貧しい家庭に生まれたガブリエル・シャネルは12歳の時に父親に修道

院の孤児院にいわば捨てられ、そこでカソリックの厳格な教育を受けてきました。

18歳の時に別のカソリック系の女子寄宿学校に入っています。そして20歳のときにお

針子として働き始めました。アルバイトとしてカフェで歌を唄っていたようです。こ

のカフェで彼女は「ココ」と呼ばれるようになったのですがこれは彼女が歌っていた

シャンソンのタイトルともいわれていますが、「ココット」という言葉は「囲われ女」

という意味がありこれを縮めたものという説もあるということです。この後の彼女の

この「囲われ女」で世の中に出ていくのです。 最初の愛人はこのカフェで知り合った

金持ちの元騎兵隊将校のエティエンヌ・バルサンです。その時彼女は23歳です。それ

から3年パリ郊外の厩舎つきの大きな城館で暮らしました。そこで彼女は乗馬を覚え上

流階級の生活スタイルを学んだようです。ここでバルサンの友人の上流階級出身のイ

ギリス人であるアーサー・カペルと恋に落ちます。そして1908年パリのアパルトマン

に囲われ、彼の援助で、パリで婦人帽の店を開くことになります。こうして輝かしい

デザイナーとしてのスタートを切るのです。

 

この後は次々と愛人が変わっていきますが、別れた後もどの愛人も、友人として長く

付き合っていきます。この本を読む時は大変だったのは、複雑に込み入った愛人関係

や友人関係の人の名前をフォローしきれないので巻頭にある人物相姦のネットワーク

図を絶えず見なければなりません。愛人と友人が愛人関係であったり、同性愛関係で

あったりして頭が混乱します。ただこんな関係はヨーロッパの文化ではあまり珍しく

なく、かなり普通の人間関係なのでしょう。実は30年以上前ですがベルリン留学中の

時、新聞の「交際求む」の欄に男女、男男、女女の3つの欄があるのに驚きました。

上流階級はもっと自由な人間関係を楽しんでいるでしょう。

 

その人物相姦のネットワークの中でココ・シャネルは栄光への階段を登りつめたわけ

です。数多くの愛人の中で重要な人物はイギリス一の富豪と言われていたウェストミ

ンスター公爵、美貌で有名だったドイツ外交官のディンクラーゲ男爵、そしてイギリ

ス上流社会のアーサー・カペルでしょう。愛人関係ではありませんがココ・シャネル

の人生の経済面ではユダヤ人実業家のボール・ヴェルテメールです。

 

ウェストミンスター公爵は英国王室とも近くその縁でチャーチルとの関係も出来まし

た。第二次世界大戦後にナチスのスパイ容疑で逮捕されたとき、即日チャーチルの力

で釈放されています。そしてその後は長くスイスのローザンヌで亡命生活を送ること

になります。その時代は逃げ回っていた元ドイツ外交官のディンクラーゲ男爵と仲良

く暮らしています。

 

パリ駐在のドイツ外交官のディンクラーゲ男爵こそがナチスの大物スパイだったわけ

です。その関係で、パリの上流社会に入り込み、裕福な夫人たちを顧客として高価な

ファッションを売るというビジネスの成功がついてきましたが、一方このドイツ外交

官の関係からナチスのスパイネットワークに組み入れられていたようです。このため

ココ・シャネルは戦争前も、ドイツのパリ占領中も、そしてローザンヌから戻ってき

た後も超高級ホテル・リッツのスイートに住み続けることができたわけです。彼女は

ここで息を引き取ります。

 

1956年ココ・シャネルはすでに70歳を超えていましたがパリのファッション界に劇的

にカムバックします。ファッションショーは大成功でしたが彼女のビジネスは破綻寸

前でした。

 

ココ・シャネルは強烈な反ユダヤ主義者でしたが皮肉にも彼女の事業はユダヤ人実業

家のボール・ヴェルテメールが結果として全て引き継ぐことになります。ヴェルテメ

ール一族とはこれまでシャネルのNo.5のビジネスをめぐり何度も裁判をしていた仲で

すが、彼女の才能を尊敬し、評価していたヴェルテメール一族がデザイナーとしての

ココ・シャネルを救ったのです。

 

ヴェルテメール一族に彼女の会社および商業用不動産さらにシャネル名義の持ち株を

すべて彼に売却する代わりに、ヴェルテメール一族は彼女の費用全て、すなわちホテ

ル・リッツの滞在費、メイドへの支払い、電話代、郵便料金その他生活費一切をヴェ

ルテメール一族が払うという契約です。これはココ・シャネルにとっても有益な契約

でしたが、ヴェルテメール一族にとっては現在に至るまで金のなる木を買ったことに

なります。したがって現在のシャネル社はその流れです。

 

このように書いていくときりがないのでこのへんで内容紹介は終りますが、この本を

読めばドラマチックな彼女の人生を共有できます。シャネルの言葉としていくつかの

言葉が紹介されていますし、それだけで本も出版されていますが、いくつかご紹介す

ると、「もし翼を持たずに生まれてきたのなら、翼をはやすためにどんなことでもし

なさい」、「早起きして、よく働きなさい。やってみて損は無い。精神は活発に、体

は活動的になる。」、「私は失敗というものを知らない」

 

そして1971年1月10日ココ・シャネルはホテル・リッツの自分の部屋で息を引き取り

ますがその最後の言葉は「ああ、こんな風に人は死ぬのね」であったとあります。

 

この本を読んで最も感銘したのは、波瀾万丈の中にあって決してブレないものが彼女

には有ったことです。追及するものを見失っていません。お針子として始めたプロ

フェッショナルの初一念、ファッションデザイナーとしての成功を目指す信念と行動

です。デザイナーとして勝つ、先進的な女性の美をあくまでも追求する、これです。

ですから現在でも他のブランドとは違いシャネルは決して男性向けの商品を発売しな

いということで、現在に至るまでこの彼女の精神は引き継がれているわけです。この

ぶれない背骨これがシャネルというブランドの強さの秘密です。

 

華やかな愛人関係もありますが全てはファッションデザイナーとしての成功の“肥や

し”です。ただ単純な功利主義的な人間関係ではなく、寂しかった子供時代の反動で

いつも男から愛されていたいという欲求が華やかな愛人関係の理由とも言われていま

す。少なくとも成功した後は男からの経済的支援は必ずしも必要ありませんから。ま

た女として最後まで生きる姿勢は70歳を越した後も新しい愛人を作っています。ただ

悲しいことですが数多く愛人がいましたが、彼女が深く愛したと思われる愛人はいず

れも早世し、また誰一人として彼女一人だけに尽くした男はいなかったようです。

 

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◆内容・記事に関するご意見・お問い合わせ/配信解除・メールアドレス変更

右記まで  webmaster@fukan.jp

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◆俯瞰 MAIL 0035号(2013年11月30日)

発行元:     一般社団法人 俯瞰工学研究所

発行人:   松島克守

編集長:   松島克守

URL:     http://fukan.jp

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俯瞰メール34号

皆様

◆時候ご挨拶◆

台風で大きな被害が出ていますが、多くは人災ともいうべき要因で人的被害は出てい

ます。想定外、記録的、観測史上最高という集中豪雨で裏山の土砂崩れが起きます。

避難勧告が出た、ない、難しい話ですね。多くの地域では大切な土地を田にする為に

家は山裾に建てられていますから家の裏は山です。ただ土砂崩れが想定される所は既

に特定されています。雨量も刻々と測定されています。空振りを恐れずに該当する住

民に避難を喚起出来ないのでしょうか。

大切な事は本人が自分と家族の生命を守るという強い意志ですが、老人だけが取り残

されている過疎の地域では行政とコミュニティーの連携が必須です。町長も副町長も

台風接近時に離れた地に行政視察では人災という非難は免れません。

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・急速に存在感を失う米国という大国

・遠野に行ってきました

・伊根に行ってきました

・ビジネスモデル学会に参加しませんか

・俯瞰サロンは大盛況です

・頭のよくなるクッキング20

・デジタル書斎の構築26

・書評 「究極の食」 南清貴 講談社インターナショナル 2008

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◆急速に存在感を失う米国という大国◆

世界中をやきもきさせたアメリカの財政問題も想定通り最後の土壇場でアメリカ国債

のデフォルトを回避しましたが、その影響は甚大で米国は信用失墜し、その存在感が

急速に弱体化しています。ほんのこの間まで日本がねじれ国会で迷走していたと同じ

現象がアメリカを迷走させ、米国に対する世界の信頼感という国益を失っています。

原因は共和党の超保守派の強引な政局操作ですが、それが止められないのがアメリカ

の国会の状況です。

 

オバマ大統領はこの国内事情を理由にAPECを欠席しました。本人は大変悔やんでいま

すが取り返しのつかない失敗です。

 

オバマ大統領が欠席したAPECでは中国とロシアが漁夫の利を得て存在感を誇示しまし

た。特に中国は韓国、ベトナム、台湾との個別会談で東南アジアにおける影響力を強

めることに成功しました。本来ならこの場でTPPをまとめ上げアメリカの太平洋にお

けるリーダーシップを確立する予定だったはずです。オバマ大統領が国内地政局を理

由にアジア歴訪をとりやめるのは今回が3回目です。いくら口でアジア重視といって

も誰も信用しないでしょう。今回もケリー国務長官がアジア重視に変わりはないと新

聞に寄稿していますがこれも焼け石に水でしょう。

 

結果としてロシアと中国はAPECの主役となり東南アジアに対する影響力を強化するこ

とに成功しました。日本のメディアでは安倍首相もかなり主役のように写っています

が、首脳が一堂に壇上に並んだAPECの写真が凄いですね。本来ならば中央に立つべき

オバマ大統領代わりに中国の習近平主席が立っています。アメリカのケリー長官は右

の奥の隅です。安倍首相はなんと最後列の左ハジです。韓国の朴大統領の方が中央寄

りです。安倍首相も華々しくアジアを中心に外交に力を入れていますが、これが日本

の外交力でしょうか。

 

このアメリカの凋落は国際政治に不安定さをもたらしていくでしょう。既に中近東で

もアメリカの支援と影響力に代わりサウジアラビアなどの湾岸諸国がそれにとって代

っています。中近東はアラブの春以来、混乱と混迷の中にあります。先日もリビアの

首相が一時アルカイダに拘束されるという事件も起こっています。イスラエルもアメ

リカとイランの交渉を見守っていますが、状況によっては行動を起こしかねません。

ある意味シリアは安定度を増したかもしれませんが無秩序な混乱は続いています。

 

そのサウジアラビアは一旦立候補、当選した国連安保理事会の非常任理事国を辞退す

ると言って国連外交を混乱させています。シリア問題でサウジアラビアなどの湾岸諸

国の非難決議の要請をロシアと中国の常任理事国の反対でしなかったことを理由に挙

げています。背後にスンニ派とシーア派の対立というモスレムの事情がありますが。

 

ローマ帝国崩壊後のヨーロッパの大混乱や中国の古代からの歴史を見ればわかるよう

にスーパーパワーが消滅した後、大きな混乱が起こることは歴史の教えるところです。

アメリカはこれまで唯一の超大国、すなわちローマ帝国でしたから帝国の崩壊は世界

各地に混乱を引き起こす恐れがあります。中国は近隣諸国に対し積極的な外交を展開

し、アメリカに変わるスーパーパワーを目指しているでしょう。韓国はすでに安全保

障をアメリカから中国に求めている様な動きをしています。日米同盟の強化に対して

も米国への不満を高め米国と国防上も距離を置くかのような言動をしています。

安倍首相の外交もどこまで出来るのか心配です。

 

米財政問題

http://sankei.jp.msn.com/economy/news/131019/fnc13101914220003-n1.htm

米国の迷走は「敵や競争相手を勇気づけ友人たちを落胆させた」

http://www.nikkei.com/article/DGXNASFK1704U_X11C13A0000000/

中国とロシアは“主役”ぶりを発揮

http://sankei.jp.msn.com/world/news/131010/asi13101023550004-n1.htm

新秩序形成…米国の衰退浮き彫り

http://newsbiz.yahoo.co.jp/detail?a=20131015-00000506-biz_san-nb

オバマ欠席で中国の東南アジアでの存在感拡大

http://jp.wsj.com/article/SB10001424052702304676604579115960513884606.html

中国の李克強首相ベトナムを訪問

http://jp.wsj.com/article/SB10001424052702304676604579115960513884606.html

習近平国家主席台湾代表団の蕭万長・前副総統と会談

http://jp.reuters.com/article/worldNews/idJPTYE99603W20131007

習近平国家主席が韓国の朴槿恵大統領と会談

http://www.nikkei.com/article/DGXNASGM0703J_X01C13A0FF1000/

APECでの立ち位置、安倍首相とケリー長官は隅、日本は韓国より下座

http://vovworld.vn/Uploaded/anhtuan/2013_10_09/apec.jpg

ケリー長官、アジア重視と寄稿

http://sankei.jp.msn.com/smp/world/news/131019/amr13101910070004-s.htm?utm_source=dlvr.it&utm_medium=twitter

サウジアラビア国連安保理事国を辞退

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20131019/k10015400021000.html?utm_source=dlvr.it&utm_medium=twitter

韓国国防相「米MD参加せず」そしてヘーゲル国防長官は

http://sankei.jp.msn.com/world/news/131016/kor13101622020003-n1.htm

http://sankei.jp.msn.com/world/news/131002/amr13100222020010-n1.htm

米韓同盟を最大の柱とする韓国の外交政策が揺れている

http://mainichi.jp/select/news/20131019k0000m030119000c.html

 

 

◆遠野に行ってきました◆

遠野市が積極的に推進している医療・健康のプロジェクトのヒアリングのために遠野

市に行ってきました。遠野市はイメージしていたように周囲をなだらかな山で囲まれ

た、落ち着いた街でした。柳田邦男の遠野物語で全国に知られた街ですが、民話の里

という先入観が穏やかな街、懐かしい街という感情を起こさせるのでしょうか。

 

遠野市の健康プロジェクトは3本の柱から構成されています。まず妊婦支援システム

の「ねっと・ゆりかご」です。なんと市内に出産施設がなくなってしまったため妊婦

は市外の病院に通院することになりました。そこで妊婦が通院する離れた病院と、妊

婦がICTを使って緊密に連絡ができ、不安や体調の相談を出来るようにしたのです。

福祉施設の中に助産師が常駐する部屋を作りそこからテレビ電話で連携する医師とコ

ミュニケーションが出来ます。その場所には胎児の心音を測定する機器があり、その

心音を遠隔地の医師が聞いて診断します。

 

ブロードバンドと言う先端的なICTを活用したこの様な取り組みが日本各地で大変有

効だと思いますが、大きな課題は残っています。

 

現在の医師法では面談による診察が原則ですから通信回線を使った遠隔地の診断は診

断行為として認められません。従って医師は無報酬です。従ってこのシステムを企画

した当初、なかなか参画し支援してくれる産科の医師が確保できなかったそうです。

ただこの企画に共鳴した県の産科の医師のリーダーが仲間に声をかけ参画する医師を

確保することが出来たそうです。

 

第2の柱は生涯の健康データを記録する「すこやか電子手帳」です。妊娠中の「親子

手帳」、そして出産後の「子育て手帳」、成人になると「健康増進手帳」、そしてシ

ニアには「長寿手帳」という情報システムで生涯の健康データを記録し、健康増進を

図っています。このデータはネットワークを通じていつでも自分で情報を確認でき、

それに基づいて自分の健康を増進することを支援しています。 1人1人が自分自身の

健康を、データを使って管理すると言う高度な情報システムです。当然医療現場とも

情報共有できます。

 

第3の柱は「遠野ICT健康塾」です。これはテレビ電話というICTを使って医師と健康

スタッフが連携した健康サポートのシステムです。狙いは自発的な健康意識の醸成そ

れに基づく疾病予防です。参加者は万歩計を持って毎日運動し、 1週間もしくは2週

間に1度巡回で開設される健康相談所に行き、そこで万歩計のデータをシステムに入

力すると同時に血圧や体重、体組成を計測し、このデータもシステムに入力します。

巡回式の健康相談所には看護師とそのスタッフがいて測定や入力を支援します。さら

にコールセンターがありテレビ電話でそこの専門スタッフに色々な健康相談ができま

す。看護師がいますから血液検査もできます。このプロジェクトに参画している医師

とは年に2ないし3回はテレビ電話で指導を受けることができます。医師は継続的に測

定された健康データと血液検査の結果を遠隔地で見ながら適切な健康指導ができます。

 

いずれも当初は総務省の補助事業でしたが現在は自立して事業を継続しています。

これは素晴らしいですね。時々補助金がなくなると事業が継続できなくなり放棄され

る例があります。遠野市では関係者と住民が力を合わせ健康増進の事業が継続できま

す。そしてこれはとりもなおさずコミュニティーの構築と強化になります。

 

残された課題もあります。まだまだ健康意識が高い人が少ないことや、女性に比べ男

性の参加が少ないとのことです。

 

詳細はいずれプラチナ構想の情報データーバンクであるプラチナ構想ハンドブックの

サイトで公開します。

 

プラチナ構想ハンドブック

http://www.platinum-handbook.jp/

 

 

◆伊根に行ってきました◆

舟屋で有名な丹後半島の伊根に行ってきました。永い間行ってみたいところでしたが、

何しろ京都から列車とバスを乗り継いで4時間近くかかるところですから、なかなか

機会がなくて、今回関西にいくつかの仕事がありましたのでその空き時間を利用して

行ったわけです。想像通り素晴らしい風景の伊根でした。 NHKのドラマの舞台になっ

たり、フーテンの寅さんの撮影があったりして結構有名な場所です。

 

日本海にありながら南向きの湾で、また入り口に青島と言う天然の防波堤があるため

に湾の中は非常に穏やかです。また日本海は太平洋岸に比べ干満の差が少なくこのた

め舟屋という建築が可能になったとのことです。湾の中はほとんど平地はなく多くの

家は山を削り建てられています。その家の前の漁の作業場が舟屋です。江戸時代から

あるようですが、現在のようなきちっとした建築になったのは大正・昭和からのよう

です。本来は山側の母屋と舟屋は一対でその間は通りというより人が1人通れるくら

いの路地だったようですが、大正・昭和になって鰤景気が来て資金が流入したので前

の舟屋を海側に移動する形で建築した結果、現在は母屋と舟屋の間はバスが通れるよ

うな立派な道になっています。近年は専業の漁師は少なくなっていますから多くの舟

屋は単なる離れとか放置されるままになっているようです。

 

ともかくロマンチックというか可愛いというか、いい感じの建築です。ある意味で和

風のベネチアのようなイメージです。

 

興味を持ったのは風景だけではなく、遠い昔海を渡ってきた日本人の祖先の中に、船

を巧みに操り、陸地で田を拓き稲作をするではなく、海岸線で、漁労で生活する集団

というか部族があったのではないかというイマジネーションがあったからです。以前

このメールでも書きましたがボルネオに行き海岸線にそのような人たちが住んでいる

風景を見たこともあります。ともかく伊根には平地はなく険しい山肌にしがみつくよ

うに住んでいるわけです。道もなかったことからある意味外敵から襲われることも無

かったでしょう。また若狭湾の海の幸も豊富だったのでしょう。ともかく大正時代か

ら昭和にかけて鰤の大漁が続き大変な好景気だったようで各家に立派な土蔵がありま

す。今でも伊根は富山県の氷見と九州の五島列島と並び鰤の三大産地です。今は湾内

の生け簀でヒラマサの養殖をしているようです。

 

舟屋は海から見ないとよく見えませんからボートに乗って湾内を海上タクシーで周り

ました。30分1,000円でした。途中カッパエビセンを船尾から空中に放るとカモメの

群れがついて来て空中でそれをくわえます。楽しいですがちょっと怖い感じもします

ね。私たちの年代はヒッチコックの「鳥」と言う映画で鳥の怖さを見せられています

から。

 

それから湾に沿って母屋と舟屋の間の道を端から端まで歩きましたが、町の人たちや

下校の小中学生が「こんにちは」と声をかけてくれることが多く、コミュニティーの

存在を実感させます。途中で古い神社を見つけました。本殿がないので裏を見ると巨

木がありますのでそれが古いご神体かもしれません。無理して斜面を登ってみると上

に人工的に石を並べた天を仰ぐような空間がありました。

 

もし伊根にお出かけなら私の泊まった与謝荘がいいでしょう。舟屋を改築し綺麗です

し、船が入っていた空間がレストランになっていて大きな窓から対岸の舟屋が楽しめ

ます。ここは対岸が近いので舟屋の風景が楽しめます。対岸が遠い宿ははるかかなた

に舟屋を見ることになります。ただ縦長の舟屋ですから海に面した部屋は確か4部屋

しかないはずですから無理を言ってその部屋にしてもらわないといけませんね。

 

伊根町

http://ine-kankou.jp/

http://www.town.ine.kyoto.jp/pub_rela/somu/hurusatonouzei/%E8%88%9F%E5%B1%8B%E2%91%A0.jpg

阿字野神社

http://www.panoramio.com/photo/61668506

 

 

◆ビジネスモデル学会に参加しませんか◆

2013 年秋季大会のご案内

テーマ: ソーシャルビジネス

日時: 2013年10月26日(土)10時-18時 交流会18時-20時

場所: 東京大学本郷キャンパス工学部新2号館

 

(大会実行委員長メッセージ)

「ソーシャルビジネス」 ―その発想、ビジネスモデル、描く理想の社会、生き方―

ソーシャルビジネスを題材に、「未来の可能性の輝き」を感じる一日となるよう準備

しています。

 

2013 年秋季大会 主な講演者:

ムハマド・ユヌス 氏(映像出演)

  グラミン銀行創設者 /ノーベル平和賞受賞

 

中村 陽一 氏 立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科教授

  ソーシャルビジネスの可能性と社会デザイン

 

熊野 英介 氏 アミタホールディングス株式会社代表取締役会長兼社長

  省資源から創資源へ―見捨てたものに価値をつける―

 

海津 歩 氏 株式会社スワン 代表取締役社長

  社会企業スワンベーカリーの取り組みについて

  障害のある人もない人も共に働き共に生きていく社会の実現

 

出雲 充 氏 ユーグレナ 代表取締役

  ミドリムシが地球を救う

 

大山 隆久 氏 日本理化学工業株式会社 代表取締役社長

  社員に教えてもらったこと

 

藤川 立也 氏 一般社団法人マザーワークマネジメント 代表理事

  マザーワークによるワークライフバランスの実現

 

この大会に参加すれば1日でソーシャルビジネスが理解でき、新しい発想の仕事が始ま

るでしょう。詳細は下記。

http://www.biz-model.org/

 

 

◆俯瞰サロンは大盛況です◆

製品開発、起業時の実情、プロジェクト、ビジネス連携の裏側、変化を続ける業界の

今・・・そんな時間を人生の一コマに持った方を講師としてお招きし、今だから話せ

る、今こそ話そうという貴重な証言をうかがっています。講師名は此処には記載しま

せん。

 

今回は10月25日「激変するインドIT業界」です。

 

場所:品川インターシティA棟18階の森精機内 俯瞰工学研究所

開始時刻:18時30分。20時頃より、希望者にて懇親会

http://www.fukan.jp/

 

 

◆頭のよくなるクッキング20◆

先月は料理本を紹介しましたが、其のメールを読んであの「アラン・デュカスの一皿

フレンチ 魚」本を買ったという友人に会いましたので勇気づけられ、これまで買っ

て読んで作った料理本の中で特によく読んで教えられ、その中の料理をよく作った本

を紹介します。私の現在の料理生活の基盤です。

 

村上信夫 「おそうざいフランス料理」 暮らしの設計

1980年にドイツに留学するときにこの本を1冊持っていきました。ドイツでは日本食の

材料がないので西洋料理を作るしかないと思ってこの本を1冊選んで持っていきました。

ドイツで自炊するためです。素晴らしい本です。とにかく素人が作る事を前提に丁寧

に書いてあります。多分一つ一つ原稿を実際に作りながら確認したと思います。古い

本ですがたくさんの版を重ねたはずです。アマゾンの中古品では1996年に第20版とあ

ります。

ですから私の料理の原点はここにあります。かなりの料理は作りました。鶏の赤ぶど

う酒煮、ポトフはよくつくりました。文章の各所に“バターをおごって”というフレ

ーズがありました。バターとクリームがフレンチの核であったのです。表紙もボロボ

ロになっています。幸いアマゾンの中古が5000円でありましたのでこれを機会に購入

しました。既に故人です。

 

丸元淑生 「続新家庭料理」

何冊か買いましたがこの本を挙げておきます。丸元淑生の本から健康と食を学びまし

た。料理本ではなく食と健康について書かれた本があり、そこからサプリメントに開

眼したといってもいいでしょう。銀杏の葉とかサメの軟骨のようなものがサプリメン

トであることを初めて知りました。彼は多くのレシピを読んでいるようでこの本では

シンプルで正統な料理をいくつも紹介しています。またもやしのパワーに注目して

「もやし研究会」を組織して、ザルでもやしを育てる手法を提案していました。その

ザルも買いました。

ただビタクラフトというステンレスの多層鍋のマーケティングに協力していたようで

それに関する礼賛が目につきます。ビタクラフトは非常に高機能ですがかなり高価で

した。加えて柄の部分がプラスチックスのためオーブンに入れることができません。

私はスイスのSpring社のステンレス5層鍋を使用しています。全て金属製ですから耐

久性もありオーブンに入れられます。兎も角、蓋と鍋の仕上げ精度が精密で完全な無

水鍋です。現在も使っていますが、現在でも最高の鍋だと思っています。残念ながら

会社が食器のWEDGWOOD、買収されてしまい購入できません。

この本で紹介されているレシピはすべて健康食だといえます。ただ残念なことに食道

がんで死去、74歳です。食と健康を人に説いたのでご自身無念でしょう。食道がんは

ご用心!お酒を飲んだ後は水を飲んでのどのアルコールを流しています、自己流ですが。

 

熊谷喜八 「熊谷喜八の“キハチ流”気ままな洋風おかず」 (NHKきょうの料理シリ

ーズ)

根津美術館近くの南青山に1987年レストランキハチが開店しました。当時は1階が魚

を売るスペースで2階が創作料理のレストランでした。ものすごい人気で予約の取れ

ない店でした。料理界の風雲児のようでしたね。その後大成功して多分皆さんご存知

でしょう。あの南青山の店の当時の雰囲気が今でも懐かしいです。料理本は何冊か買

いましたがこの本が多分熊谷喜八が書いた最初の本のように思います。この本の料理

もいくつもつくりました。どれも独創的で刺激的でした。「叩きえびの春巻き」は美

味しくて、これを応用して「カキの春巻き」を創案してみましたが美味しいです。さ

らに「カキの餃子」も創りました。この本で料理の広がりと創作料理の世界を知りま

した。

 

周富徳   「広東料理は野菜がうまい」 ( NHK今日の料理シリーズ )

この人は、当時すでにテレビタレントでした。有名な料理人でした。この本を挙げた

のはそれまでの中華料理と違う自由闊達な、そしてわかりやすい、作りやすいレシピ

が魅力だったからです。とりわけ冒頭のレタスのオイスター炒めは今でもつくります。

ここで、油を入れた沸騰する鍋で青菜をさっと湯通しするという技法を学びました。

この技法は家庭で野菜炒めを作るのにとてもいい技法です。どの料理も美味しかった

と思います。

 

野崎洋光 「おいしい方程式」文化出版局

この本は日本料理の基礎の基礎を教えてくれます。基本は出汁です。その出汁を使っ

たシンプルでおいしい日本料理が紹介されています。煮物、蒸し物、揚げ物の勘所を

教えてくれます。炊き込みご飯のレシピも紹介されていますが、炊き込みご飯ではも

ち米を1割打てと、出汁のためでパサつくご飯がしっとりできるということを知りま

した。今でもこれは実行しています。ともかく基本の基本を丁寧に解説しています。

この後続編も何冊か買いましたが全て良い本です。

 

日高良美

 「もっとシンプルにスキレットでつくる僕のイタリアごはん」プレジデント社

この本は鋳物鍋で有名なロッジのスキレットで作る料理の本です。日高シェフはアク

アパッツアいうイタリア風煮魚の料理を紹介し一世を風靡したと思います。むろんそ

の店に行ったことあります。当時の日本では衝撃的な料理でした。確か店の名前もア

クアパッツアだったと思います。このスキレットは非常に優れものの鍋で今でも分厚

いステーキを焼くときはこれを使います。表面を焼いてから弱火でじっくり蓋をして

火を通すと厚い肉でも均一にピンクに仕上がります。本当に万能でこれ1つあればど

んな料理もできると思わせる鍋です。この鍋は気に入って私の大学教授時代の秘書を

やっていただいた方々にはこの本と一緒にこのスキレットをプレゼントしてきました。

 

大森由紀子 「フランス地方のおそうざい」 柴田書店

この本には本当に簡単で美味しい料理のレシピがあります。そして他のフランス料理

の本に紹介されていない素朴な料理が多く紹介されています。例えば「タラのバスク

風」とか「バスク風ブイヤーベース」とか、「鶏肉のバスク風」などです。また「カ

スレ」のような凝った料理も比較的簡単なレシピです。中には珍しい料理があります。

ベッコフと言うアルザス特有の土鍋の料理はこれで知りました。幸い小さなベッコフ

の土鍋は通販で買えました。

 

ダニエル・マルタン 「フレンチの贅沢」 雄鶏社

これは本格的なフランス料理を紹介していますがレシピも丁寧で美味しい料理が紹介

されています。そしてオーラを感じさせてくれます。フレンチの技も多く紹介されて

います。この中でお気に入りは「牛肉と人参の煮込み」です。とてもさっぱりしたビ

ーフシチューと思っていいでしょう。これは牛肉を白ワインで煮込みますが人参が主

役です。

 

ダニエラ・オージック 「南イタリアの家庭料理」保健同人社

これはイタリアの庶民的な料理の紹介です。典型的なオリーブ油、ニンニク、野菜、

魚そして肉料理です。この中に子羊肉料理として「クラウンロースト」があります。

見た目が豪華ですから来客が来たときよくつくりました。ヤリイカにパルメザンチー

ズの粉やパン粉、オレガノを詰めて焼く「ヤリイカのグリル」もおすすめです。この

本はメインと付け合わせ、パスタを組み合わせたメニューで紹介しています。

 

栗原はるみ 「タレの本」文化出版局

小さな本ですがタレを軸にいろんな料理を紹介しています。この後この人は大ブレイ

クしました。どちらかというと素人っぽい料理が多分受け入れられたのでしょう。今

では堂々たるタレントです。そして色々なジャンルに挑戦していますし、電子レンジ

の使いこなしもかなり研究しています。ただ私は、最近電子レンジをメインの加熱に

使う事は避けるようになりました。やはり通常の焼く、煮る、蒸す、のような加熱が

美味しい料理の原点のように思います。

 

森田幸二 「フライパンで作るビストロフレンチ」青春出版社

この本の著者である森田シェフにフランス料理を習いました。シェフのレストランで

数人の人たちと料理を習い、それを食べて帰ると言う料理教室でした。どれか一品を

授業として作り、後はシェフが作って生徒の私たちがコースのフレンチを食べると言

うイージーな料理教室でした。ただいつもフレンチのプロの技法を一つ教えてくれま

した。料理本もたくさん書かれていますが、この本が一番気に入っています。ともか

くシンプルで美味しい料理だからです。しかし本格的な料理です。気に入った料理を

一つ紹介しておくとそれは「トマトのコンポート」です。いわばフレンチのトマトの

お浸しです。ノルマンディー風のブイヤーベースといわれる「さばのブーリード」も

美味しいですね。兎も角本格的なフレンチ料理をフライパン一つで仕上げるという簡

単さが魅力です。

 

このほかにも幾冊もありますがここに挙げた料理本はいずれも何度も読んで美味しそ

うな料理をいくつか作ったものです。そして現在の私の料理の基本になっています。

 

 

◆デジタル書斎の構築26◆

まず前回のiPhone5sですが、結論から言うとかなりレベルが上がっていると感じま

す。iOSもバージョンアップしたこともありますがiPhone5sはCPUが64 bitになって

いますので、処理スピードがかなり上がっていると思います。というのはiPhone5s

を使うようになってからiPadがなぜか遅く感じます。多分ほんの1秒くらいの応答時

間差かと思いますが以前には感じなかった感覚です。また写真に関する機能は分解能

含め、パノラマ写真やいろいろな機能が追加されています。ビデオもなぜかスローモ

ーションが出来ます。何のためにこれを使うのかということで、私はゴルフのスイン

グの分析に使うのかと言いましたら、知人は孫をとってゆっくり見るんだと言ってい

ました。使い方色々ですね。

 

指紋認証もなかなか良いです。クイックに起動できますから。iPhoneアプリを買う時

も指紋認証で買えます。 Apple IDとパスワードの入力よりもずっと簡単です。

 

Windows 8.1がバージョンアップしました。早速無料のアップグレードをしました。

評判の悪かったユーザインターフェイスがかなり改良されています。ともかくスター

ト画面にいつも使っているアプリのアイコンがタイルとして表示されますからアプリ

ケーションのスタートが簡単になりました。左の隅に画面切り替えのメニューが出ま

すからこれも便利です。まだほとんど使っていませんから詳しい事は分かりませんが、

色々な機能が追加されているようです。とりわけWindows XPのメンテナンス終了に伴

う法人ユーザーの乗り換えを期待して、法人向けの機能が強化されているようです。

セキュリティーやスタート画面を企業で固定して共通化する機能、個人が色々な自分

の端末から企業システムを利用することを想定した機能なども追加されているようで

す。私はIEを使っていませんが、 IEも検索エンジンのリングとの統合を強め機能強

化されているようです。

 

ただすでにパソコンの出荷量はタブレットに抜かれていますし、タブレットには

Androidに加えchrome OSも出荷されています。端末もGoogleからNEXUS 7と言う低コ

ストの端末が発売されています。また世界最大のパソコンベンダーであるHPが

chrome OSのブックを発売するようです。 AmazonのKindle新型も相当高性能なようで

す。さらに近々 AppleがiPad miniの新型を投入するようです。ただこれはNEXUS 7や

Amazonの新型に比べて相対的に高いので、この辺のシェアの争いも興味深いですが、

ここではたぶんマイクロソフトはリングの外でしょう。

 

マイクロソフトの次のCEOの人選が進んでいるようですが、なんと自動車のフォード

のCEOがその候補者の1人として挙がっているようです。どんなビジネスモデルを展開

するのでしょうか。マイクロソフトは、Nokiaの携帯電話事業を買収しましたが、こ

れとWindows、Officeの事業をどう統合するのでしょうか。

 

ともあれ依然としてビジネスパソコンの標準のOSであるWindowsはこの新しいバージ

ョンでなんとか使えるような水準に改善されました。 Windows 8.1バージョンアップ

はお勧めします。

 

 

◆書評◆

今月の、ご紹介は「究極の食」 南清貴 講談社インターナショナル 2008 です。

 

この著者は演劇を学んだ後、独学で整体の勉強を行い、健康という観点から健康にな

る創作料理を考案し、レストランを開業しその後そのレストランを閉じて現在は食関

係のコンサルティングやプロデューサーをやっているようです。

 

整体、食に関しても独学で体得しているようです。この本を見る限り食については特

に栄養学の文献を研究するのではなく一般の啓蒙書を多数読んでそのエッセンスを吸

収しているようです。それだけにある意味バランスがとれた主張になっていると思い

ます。参考文献を見ると定評ある健康や健康食の一般書を挙げています。例えば上記

の頭のよくなるクッキングで紹介した丸元淑生さんの書籍をたくさん挙げています。

また米国で有名な栄養学のアンドルー・ワイルの著書もたくさん出ています。

 

ですからほとんど書かれていることは一般的なことですが、印象に残ったフレーズを

いくつか挙げると、「すべての生命は他の物質を自分の一部に作り替えている」、

「自分たちは動物である」、「私たちは「食べる」ということによって自分を作り替

えたり、様々な活動をしている」、などがあります。

 

植物要素と呼ばれる植物だけに含まれている特殊な要素が重要であるとも言っていま

す。例えばポリフェノール、 βカロチン、アントシアニン、大豆イソフラボンなの

です。この中で紹介されている「いのちの食べ方」と言うドキュメンタリーのフィル

ムがありますがYouTubeで見ることができます。ものすごい迫力です。一度見ること

をおすすめします。私たちが命を食べていることが実感できます。子供には見せない

方がいいかもしれません。肉食についてもあまり積極的でありませんが、玄米を主食

としたマクロビオテックとは一線を画しています。むろん 脂肪については積極的な

オメガ3の摂取を薦めています。豆乳については脱脂大豆が作る市販の豆乳について

は添加物が多いので勧めていませんが、豆から直接来る豆乳は肯定的です。我が家に

ある豆乳製造機も出番がありますね。この辺は議論が残りますが、朝食には果物だけ

で十分だとも言っています。

 

印象に残ったメッセージは私たちを取り巻く環境の中で、「食と言う環境だけは個人

の思惑で変えていくことが可能である」ということです。サプリメントについては否

定的です。むろんコンビニ食については非常に否定的です。コンビニ食品は脳を壊す

物質を含んでいるという立場です。また輸入食品についても否定的で、良質の食材に

応分のコストを払うことを主張しているのは納得できます。また料理法については、

電子レンジを使ったものを料理としてはいけない、とも言っています。

 

ダイエットとウェイトロスを区別していますがこれも同感です。原典にあたっていま

せんがジャン・ジャック・ルソーが教育論「エミール」の中で「自己を守る知恵を身

につける事は、何をどのように食べればよいかを知ること」と言う意味のことを述べ

ているとあります。これも印象的です。色々な食の啓蒙書をサマリーしていますので

一読するとご参考になると思います。最後に整体の指導の結果「人の体はその人が思

った通りになっている」ということを言っています。自分の体が発しているメッセー

ジを受け止めよ、と言う言葉も印象に残りました。

 

「食と言う環境は唯一自分がコントロールできる」ということは事実です。そして自

分の健康と身体は自分で制御できます。大変読みやすい喉越しの良い本ですからご一

読されたらいかがでしょうか。

 

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◆内容・記事に関するご意見・お問い合わせ/配信解除・メールアドレス変更

右記まで  webmaster@fukan.jp

……………………………………………………………………………………………………

◆俯瞰 MAIL 0034号(2013年10月22日)

発行元:  一般社団法人 俯瞰工学研究所

発行責任者:松島克守

URL:http://fukan.jp

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俯瞰メール33号

皆様

◆時候ご挨拶◆

ほんの少し前に青々としていた稲田はもう黄金色の稲穂の海になり、既に刈り取って

稲木に干してある風景は日本の原風景ですね。本州横断の台風で京都嵐山の洪水の映

像が何度も放映されましたが、川の風景を楽しむには高い堤防は無粋ですから、大き

な被害が無かった事で納得しないといけませんね。ただ台風は日本に南の海から大量

の水を運んでくれて瑞穂の日本を支えていますからこれもトレードオフでしょうか。

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・戦争が出来ない世界になったのか

・オリンピックでアベノミクスが成長の波に乗れますか

・東アジア情勢は当分現状維持でしょう

・アメリカは元気でした

・俯瞰サロンは大盛況です

・頭のよくなるクッキング19

・デジタル書斎の構築25

・書評 「イスラムとは何か」pen Books 阪急コミュニケーションズ 2013

    「ユダヤとは何か」 pen Books 阪急コミュニケーションズ 2012

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◆戦争が出来ない世界になったのか◆

シリアに対する軍事介入は今のところ中止されたようです。この一連の動きを見てい

るともうアメリカが単独で戦争を始めることは出来ない世界になったように思います。

まずオバマ大統領は議会の承認なしに攻撃を開始することができる権限がありながら、

議会に承認を求めました。これは深読みをすれば否決してもらって振り上げた拳を下

ろすところ探る意図があったのかもしれません。英国のキャメロンは本気で議会に承

認を求めに行ったようにも見えましたが、議会の否決でこれもある意味参戦せずに済

むことになりました。ただこのキャメロンの状態は政治的に大きく威信をそこなった

ようです。ここでロシアのプーチンは点数を大きく稼いだと思います。あくまで軍事

介入に反対し、外交的な処理で対処するという主張に説得力があり、化学兵器の完全

な廃棄と引き換えにシリアのアサド政権を守ることに成功しました。

 

一連の動きはもう世界で大規模な戦争を起こすことが出来ない世界になったことを意

味しているのでしょうか。

 

アフガニスタン戦争、イラク戦争とアメリカは英国と共同で軍事介入を強行し、捕虜

の扱い等では、米国は国際法を超える特別な国家であるかのように振る舞いました。

しかしその結果は悲惨で戦争の大義すら失われた戦争でした。アラブの春でもフラン

スを中心にEUが軍事介入しましたが、現在でもただ混乱の状態が続くだけです。

 

アメリカとイギリスというアングロサクソンの鉄壁の同盟が今回崩れたわけです。そ

してアメリカも単なるひとつの大国でしかないことが明らかになりました。ブッシュ

の戦争に懲りた米国国民はもう世界の警察官としての戦争に同意しませんでした。そ

してロシアが改めて大国としての存在感と影響力を見せつけました。中国は控えめで

すがそのロシアのバックアップをしています。日本はアメリカの要請は断れませんの

で軍事介入に同意していましたが、ある意味ほっとする状態になりました。ドイツも

表向き軍事介入に反対しませんでしたが当然参加の意思表明はしませんでした。フラ

ンスだけが米国の軍事介入に積極的な言動を繰り返しましたが、これはシリアがかつ

てフランスの利権であったからでしょう。

 

唯一の超大国であったアメリカがただの大国になり、国際関係の中で紛争を外交的に

処理するしか方法がない、という事はもう米国もロシアも中国も大規模な戦争を起こ

すことが出来ない、そんな世界になったとするとこれは大きな人類の進歩ですね。

 

日本でも西南戦争以降国内で武力的な闘争はなくなり政治活動の中で全て処理する文

明国になりました。

 

最大の懸念は中国です。アメリカが軍事介入をする力がない、あるいは弱まったこと

に乗じてアジアにおいて軍事力を増強し近隣諸国に圧力をかけてくるリスクです。中

国も内部に大きな矛盾を抱えていますから本来国力はその内部の矛盾に対して活用す

べきですが、共産党内部の権力争いによっては外に関心を向けて自分たちの求心力と

する誤った行動も十分可能性があります。北朝鮮もアメリカの軍事介入の可能性がな

いとなると、いよいよ核開発やミサイル発射等の行動を先鋭化する可能性も出てきます。

 

オバマ、シリア攻撃、議会に承認求める

http://www.asahi.com/international/update/0901/TKY201309010001.html

英議会のシリア攻撃案否決

http://jp.reuters.com/article/worldNews/idJPTYE98205D20130903

シリア関連ニュース

http://dailynews.yahoo.co.jp/fc/world/syria/news_list/?pn=1

アフガニスタン戦争

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%95%E3%82%AC%E3%83%8B%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%B3%E7%B4%9B%E4%BA%89_(2001%E5%B9%B4-)

イラク戦争

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%83%A9%E3%82%AF%E6%88%A6%E4%BA%89

プーチン大統領、シリア攻撃に警告

http://www.cnn.co.jp/world/35037151.html

プーチンがシリアを支援する本当の理由

http://www.foreignaffairsj.co.jp/essay/201305/Hill.htm

化学兵器放棄、プーチン100%確信ない

http://newsbiz.yahoo.co.jp/detail?a=20130920-00000012-bloom_st-nb

米の優柔不断、アジアに影

http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS2000P_Q3A920C1EA1000/

 

 

◆オリンピックでアベノミクスが成長の波に乗れますか◆

2020年のオリンピック東京開催が決定しました。本当に素晴らしいことです。これで

日本は2020年に向かって緩やかな成長路線に乗ることが出来ると思います。何よりも

国民の気持ちがパッと明るくなり、明快な目標が示されそれに向かっていろんな行動

がされると思います。もともと日本人は明快な目標があるとどんな厳しい環境でもそ

れを追求する力は凄いものがあります。もちろんそれだけで経済成長が保証されるわ

けではないので適切な経済政策が必須ですが、変化させるのが 一番難しい国民の心

理がこれで変わりますから政策が効果を上げる可能性が高まります。

 

安倍首相も消費税の引き上げにかなりのリーダーシップを持って取り組んでいます。

懸案だった法人税の引き下げも進展を見せています。 一番重要な政策は規制を大幅

に緩和して民間の活力を引き出し経済成長に 壓げることです。

 

 

抵抗勢力はありますがネットでの薬の販売が始まりました。これはアマゾンがリード

してます。アマゾンは電子書籍でもリーダーです。この調子で農業の法人参入や、混

合医療など思い切った規制緩和のアベノミクスを推進してもらいたいですね。

 

ともあれ安倍首相は圧倒的に安定した政治基盤を持つことになります。この状況はあ

る意味規制緩和と言う長年の悲願達成にはプラスですが、自民党に内在する利権集団

が復活するリスクもあります。それにしても野党勢力は今後の離合集散が見えてきま

せん。早く真っ当な野党勢力の成立が望まれます。

 

福島の汚染水処理の見ていられないような状況への対応も、オリンピック招致で大見

得を切った安倍首相がその実行を主導的に進めてこれも良い方向にいってほしいですね。

 

民間企業でもこの2020年への上昇の波を意識して積極的な改革や体質改善を進めるべ

きです。「日はまた昇る」という日本復活を目指して頑張っていきましょう。

 

 

◆東アジア情勢は当分現状維持でしょう◆

日韓、日中の関係は依然として厳しい状況です。両国政府の反日的な教育や活動の結

果、すっかり国民レベルに反日の意識が浸透してしまったようです。東京オリンピッ

ク招致の実況報道で中国のメディアが、あのスクリーンに映し出されたイスタンブー

ルとマドリードの画面を見て東京落選と報道したとの事ですが、やはり心の中で落選

して欲しいと思っているとそう見えてしまうのでしょう。これは共産党の指導でも政

治的判断でもありません。単なるアナウンサー個人の潜在意識の問題でしょう。それ

だけに私は深刻に受けとりました。

 

韓国は招致決定会議の直前に福島の汚染水を理由に日本の水産物の輸入禁止を発表し

ました。国内に水産物に対する汚染の風評から水産物全体が敬遠されているという理

由も報道されていますが、これも東京落選を願っていると言う心理の表れとも見えます。

 

一方東京においても韓国に対するネガティブなデモが開催され、機動隊が暴走を食い

止めると言うような報道があります。いちど感情が離れ斜めになると人間なかなか元

に戻らないものです。ですから日中、日韓が以前のような穏やかな関係に戻るのはか

なり時間がかかるのでしょう。特に韓国の方は熱い心の人ですから日本人はこれを冷

静に受け止めないといけません。

 

もっとも経済面では少し日中の改善の兆しが見えてきました。中国の大手企業10社の

首脳が東京訪問し日本政府の高官や企業の首脳と会っています。また日本からも11月

に経済界が訪中団を送ると決めました。ただ日本からの投資の流れは既に大きく東南

アジア、南アジアへと変わっています。中国ビジネス撤退セミナーも盛況とか。

 

また大気汚染に苦しむ北京市は10月に日本に公害対策の知識と技術を導入するために

視察団を送るとしています。これも尖閣列島にこだわらずに現実的な行動を取り始め

た中国の一つの動きでしょう。こういった事に誠実に対応していくことによって少し

ずつ日中関係が改善されていくのでしょう。

 

ただ、中国の習近平政権はまだ深刻な権力闘争の真ん中にあるようですから、日本か

ら訪問団が行っても本格的な政府間の経済交流は難しいですね。底流はまだ「日本は

ずし」で、今回も自動車環境対策の補助金から日本の得意なHVを外して現実性の薄い

燃料電池車を入れたりしています。国営企業も入札に日本企業を入れないことが多い

ようです。

 

何れにしても東アジアすなわち日本と中国そして韓国の国際関係は当分冷え冷えとし

たものになるのでしょう。

 

韓国、福島など8県の水産物輸入全面禁止

http://www.nikkei.com/article/DGXNASGM0601C_W3A900C1EB1000/

韓国、中国のオリンピック招致活動への対応

http://dot.asahi.com/wa/2013091800027.html

韓国の熱い心、サムソンのこれほんとか?

http://news-hound.net/samsung-pays-apple-1-billion-sending-30-trucks-full-of-5-cent-coins/

中国10社首脳が集団訪日

http://www.asahi.com/business/update/0923/TKY201309230337.html

日中経済協会、11月に訪中団派遣

http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS19024_Z10C13A9EE8000/

北京市政府が東京都を受け入れ先に視察団を10月末に送る

日本企業の中国離れ

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130918-00000011-xinhua-cn

http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20130925&ng=DGKDASGM24041_U3A920C1FF2000

中小企業“撤退”セミナー大盛況

http://sankei.jp.msn.com/west/west_economy/news/130820/wec13082022240013-n1.htm

http://www.j-cast.com/2013/08/23182115.html?p=all

中国、HVの購入補助廃止

http://www.sankeibiz.jp/macro/news/130926/mcb1309260502019-n1.htm

 

 

◆アメリカは元気でした◆

久しぶりにアメリカに行きましたが雰囲気はとても明るく、元気ですね。アメリカの

製造業が復活していると言うことで、アメリカの製造業の視察に行ってきました。

 

まず鉄道用の大型ディーゼルエンジンの製造工場に行きました。古い工場ですがきち

っと床も清掃されており色々な資材や工具も整然と配置されていました。何十年も前

から生産が行われ、製品の性質上今出荷されるディーゼルエンジンは今後数十年は使

われ、そのサービスと保守部品で利益がかなり出るようです。むろん工場のマネージ

ャーや関係者は元気いっぱいです。積極的な設備投資がされているためかモラルも高

いですね。

 

次にミシガン州にある医療機器の製造企業に行きました。世界で1,000億円ほどの売

上の企業です。外科用の機器で脳に穴を開けるドリルや骨を切断する小型のチェーン

ソーなどが製品です。最新の5軸制御の工作機械でボディーを削り出しています。医

療機器ということでしょうが工場はまるでオフィスです。非常に清潔で整頓もされて

います。働いている人たちも生き生きとしてモラルが高く感じられました。何よりも

自信を持って仕事しています。ミシガンでは自動車産業が復活しつつあり設備投資の

案件も数多くあると工作機械会社のセールスマンは言っていました。

 

次にテキサスの石油採掘機械の企業を訪問しました。ここでも最新鋭の工作機械で部

品を削り出しています。古い工場ですがここでも床はきれいに整備され、いろいろな

道具がきちんと整理整頓されています。日本で始められた5Sの工場管理技術がきちっ

と定着しています。自動化も進んでいます。ラインの随所に大型液晶テレビが備えら

れ、加工の状況や関連するデータを表示しています。この辺は日本の工場よりも進ん

でいます。アメリカは日本のように従業員が制服をきていませんが明るい顔でキリキ

リと働いておりいい感じでした。

 

本当に久しぶりでしたが、以前の米国の工場の印象は床が汚くモノが雑然と置かれ、

いかにも品質が悪い製品が作られていると言うものでしたが、今回見た工場はむしろ

日本の工場よりも整然と管理されている感じでした。ここにアメリカの製造業の復活

のリアリティを感じることができました。

 

そしてシリコンバレーに行きGoogleの本社に行きました。東京大学の技術経営戦略学

専攻のOBが何人か働いています。いずれも素晴らしく優秀な人たちです。こういう人

たちが世界中から集まってあのGoogleのビジネスを発展させているのです。以前行っ

た時に比べ周辺の不動産をほぼ買い占めるほどの発展ぶりです。大学のキャンパスの

ようなつくりですがその真ん中に有名な大きなカフェレストランがあります。何でも

用意されていて全て無料です。寿司バーもあります。キャンパス内には有機野菜だけ

のレストランやいくつかのカフェがあります。中庭では職場のグループで野菜やハー

ブを栽培しています。本当に大学のキャンパスのようです。ともかく全員が明るくて

元気です。最近このGoogleにインターンシップで中年の男性が働き、その驚きを映画

にしているようですが。

 

今回特に興味深かったのは、キャンパス内に大きなトレーラーがいくつも駐車してい

たことです。聞くとランドリーや床屋、車のオイル交換などのサービスを車内でする

ためだといいます。こういうことで社員が余分な時間を使わずにその時間を仕事に使

って欲しいと言うことでした。本当に時間を争う厳しい業界ですからここまで会社が

社員を支援しているわけです。

 

こういった状況見ると日本企業の時間感覚、時代感覚は明らかにグローバル競争から

乖離していると思われます。

 

日本の製造業の衰退は単に日本国内のコスト高ではなく、時間感覚の欠如、社会の変

化に対応できない経営陣が元凶だと思わざるを得ません。

 

夜みんなで食事をしましたが、レストランも大賑わいです。話の内容は聞こえません

が多分仕事に関する情報交換を積極的にしている感じです。聞くとこのところシリコ

ンバレーの家賃はかなり上昇しているようで、この点からもアメリカ経済がかなり元

気のいい状態だと思いました。

 

すでにこのメールで書きましたが、日本もオリンピックに向けて明るく前向きにかつ

スピーディーに行動を起こして元気な社会と経済を作って欲しいですね。

 

 

◆俯瞰サロンは大盛況です◆

前回は参加者が60名を超えましたが、第6回の10月度の俯瞰サロンは、「今」をうか

がいます。

 

タイトル: 「激変するインドIT業界」

日時:10月25日(金)18時30分?20時(開場18時20分)

場所:品川インターシティA棟18階 森精機製作所  俯瞰工学研究所

参加費:聴講無料、講演会後の懇親会は3000円程度

お申込み:http://www.fukan.jp/%E4%BF%AF%E7%9E%B0%E3%82%B5%E3%83%AD%E3%83%B3/

 

俯瞰サロンとは。

製品開発、起業時の実情、プロジェクト、ビジネス連携の裏側、変化を続ける業界の

今・・・そんな時間を人生の一コマに持った方を講師としてお招きし、今だから話せ

る、今こそ話そうという貴重な証言を伺っています。講師名は記載しません。

 

 

◆頭のよくなるクッキン19◆

今回は料理の本の紹介です。「アラン・デュカスの一皿フレンチ 魚」という本を買

いました。料理本は趣味ですから何十冊、それ以上も買いました。この本はパリで人

気の家庭向きレシピシリーズlecon(ルッソン)の日本版のようです。なぜ紹介するか

と言うと普通の料理本と全く違います。ともかく料理の過程を詳細に写真で解説して

います。プロの料理人から直接手ほどきを受けるような感じです。まず「イワシのグ

リル ラタトゥイユ バジル風味」を作ってみました。その工程は27の工程に分解

されています。ラタトゥイユは好物ですからいつも作っていますが、今回初めて正し

い作り方が判りました。野菜の切り方、炒める順序、時間すべて詳細に解説されてい

ます。いつも作っているやり方に比べると一手間掛けるだけで出来上がりは全く違い

ます。野菜を炒める途中で蓋をして5分ほど蒸らしながら進めていきます。これまでは

かなりの時間煮込んでいましたが、このレシピではあまり煮込みませんので料理も早

く出来ました。下の欄外に「シェフの一言」と言うアドバイスがあります。これも大

変参考になります。この料理では「ズッキーニの緑色をキープしろ」と言うプロのア

ドバイスが印象に残りました。

 

次に作ったのは「カツオのバスク風」です。カツオは刺身や叩きが美味しいのですが

ともかく飽きますからこのカツオのバスク風を試してみました。玉ねぎ、ニンニク、

パプリカ、トマトの煮込みですが最初にオリーブオイルで生ハムをカリッと炒めこれ

を後で混ぜこむところがバスク風なのでしょう。これも27の工程で解説されています。

野菜の切り方の指導がプロの流儀です。以前フランス料理のレストランで料理を習っ

たときに教えられたトマトの皮の剥き方が紹介されていました。この本はシリーズで

魚以外にも何冊か出ているようですからこれからも試してプロの技を習得したいと思

います。

 

 

◆デジタル書斎の構築25◆

デジタル書斎の構築として私が活用しているツールをこれまでいくつか紹介してきま

した。音声入力のドラゴンスピーチもその一つです。今回のこのメールマガジンはす

べてこの音声入力で書き上げました。 95%くらいの正確さです。むろんきちっとし

た滑舌で話さないとエラーは出ますがきちっと話せばこの精度で処理します。ただこ

のソフトウェアはかなり高価です。友人からiPhoneのアプリケーションでドラゴンス

ピーチの無料のソフトウェアがあると紹介されて使ってみました。 DRAGON Dictation

です。iPhoneに向かって話すとほとんど正確に認識してテキストにしてくれます。そ

してさらにそれをEvernoteにメールでアップロードしてみますとなんとEvernoteにそ

のメモがアップされました。音声録音型のメモ機器もありますが音声データでは後の

処理に困ります。ところがこれを使うとどんなところでもメモが取れて、音声ではな

くテキストのメモとしてあとで活用できます。すごいメモ帳です。お酒を飲んでいる

時や人との会話の時に思い付いた事をこれでテキストのメモにして残せます。試され

たらいかがですか。

 

Windows8のタッチパネルを買って試してみました。結論から言うとものすごく使いに

くいですね。 Windowsを指だけで操るという事は大変なことで結局キーボードやマウ

スがないと使いこなせません。たまたま購入したタッチパネルはプロセッサーの能力

が低いので処理が遅くてこれも仕事になりません。悪戦苦闘した結果ついに諦めて売

ってしまいました。なんでこんな中途半端な製品をマイクロソフトが出荷したのか理

解に苦しみます。 Microsoftの焦りでしょうか。マネジメントは製品をきちっと評価

しているのでしょうか。そしてついにマイクロソフトCEOのバルマー退任の発表です。

退任が発表されると株価が大きく上昇しました。これが市場の評価でしょう。本人は

寂しいと思いますが彼もやっと自分の賞味期限がずっと以前に終わっていたことを認

めたのでしょう。人間やはり引き際が大切ですね。長くいるTOPの座は居心地がいい

のでつい長居をして結果晩節を汚すことになりかねません。一般社員は65歳ですから

それを限度にして、社会的な課題を解決する仕事を新たに始めることですね。

 

iPhoneの新型が出ました。早速渋谷のビックカメラに予約に行きました。しかし行列

もなく店には在庫がありました。いつも初日に渋谷のビックカメラに行きますが毎回

ほとんど行列はなくすぐに手に入ります。行列をして買っている人がいるのは不思議

です。今回はauからDoCoMoに乗りかえました。前回はSoftbankからauに乗り換えまし

たが結果は散々でした。 auが用意したLTEやWiFiスポットはほとんどiPhoneでは使用

できないので、かつてダメだと思ったSoftbankよりもさらに繋がらない状態で苦しん

でいました。多分今回のiPhoneはプラチナバンドをサポートしているのでauでも通信

が改善されると思いましたがauは顧客を欺いていました。ですから思い切ってDoCoMo

に乗りかえました。さすがですね山手線でほとんど利用できなかったLTEがDoCoMoで

はバッチリです。

 

新しいiPhoneはいくつかの新機能が盛り込まれていますがまだ詳細の評価ができてい

ません。

 

早い速度で進化するICTの最前線を体感する為にあえて最新型をいつも利用するよう

にしています。老化とは細胞の劣化と、時代に同期できていない脳内の知識だと思い

ますから。

 

 

◆書評◆

今月のご紹介は

「イスラムとは何か」 pen Books 阪急コミュニケーションズ 2013 です。

そして「ユダヤとは何か」 pen Books 阪急コミュニケーションズ 2012 です。

 

いずれもいわゆる書籍ではなく雑誌の特集記事をまとめたムックです。前号でもっと

イスラムのことを勉強しないといけない、と書きましたが、とりあえず基礎的な知識

を得るためにこのムックを読んでみました。ただイスラム教はキリスト教と同じで、

ユダヤ教から派生していますから、ユダヤ教とは何かということを併せて勉強しました。

 

まずユダヤ教とは何かという事ですが、古代エジプトやオリエントが多神教を信仰し

ていたのに対し絶対唯一の神だけを信じる宗教です。聖書は旧約聖書でこれはキリス

ト教と共通です。ユダヤ教は生活全般を律する宗教であり、それを守る共同体を中心

として生活が営まれ、その人たちがユダヤ人であったとあります。現在では原理主義

的な超正統派から極めて世俗的な人を含むようになり、ユダヤ文化で世界のユダヤ人

と繋がっている人たちをユダヤ人と考えて良いようです。ただ歴史的には多くの迫害

に会いヨーロッパを中心に民族は離散し、そして第二次世界大戦後イスラエルを建国

しました。特に激しい迫害はナチスによるホロコーストですが、データを見るとドイ

ツ国内での犠牲者は15万人ほどで、多くの犠牲者をポーランドとソ連で出しています。

ポーランドでは2,700万人、ソ連では3,100万人です。次に大きいのがハンガリーの56

万人です。

 

イスラエルに建国した人たちは話し言葉として失われていたヘブライ語を復活させイ

スラエルの国語としています。失われた言語が復活できた例はこのヘブライ語だけだ

そうです。ユダヤ教の聖典は先に述べたように旧約聖書で、ヘブライ語で書かれてい

ます。トーラーと呼ばれる聖典を精読しその掟を守って生活するのが正統的なユダヤ

人です。

 

4000年前に始まったユダヤ教に対しイスラム教は7世紀から始まったので、相対的に

新しい宗教です。そしてユダヤ教、キリスト教、イスラム教は同じ土壌から生まれた

唯一神を信じる意味で近い宗教です。とりわけユダヤ教とイスラム教は非常に近い宗

教だと言われています。すなわち予言者が神から啓示を受け、その啓示が生活の全て

を律するという点で共通です。すなわちユダヤ教には成文律法(旧約聖書)と口伝律

法の2つのトーラーがあり、イスラム教ではその2つはそのままコーランとムハマンド

の言行録であるハディースに対応します。そしてユダヤ教もイスラム教も生活の全て

が神の教えに従うことであり、政治や経済もその上に立脚していると言うことです。

 

同根ですからコーランには旧約聖書や新約聖書と共通した内容が少なくありません。

例えば洪水伝説など重なっています。

 

ユダヤ教とキリスト教、イスラム教の共通部分と異なる部分を簡単に言うと、一神教

である事は共通します。一方キリスト教にはローマ教皇や司祭のような聖職者が神と

人の間にあるのに対しユダヤ教とイスラム教には神と人間の間に聖職者はありません。

またキリスト教では偶像崇拝が許されているのに対しユダヤ教とイスラム教は偶像崇

拝を厳しく禁じています。死後の世界はいずれも天国と地獄がありますが、キリスト

教では信仰の度合いによってそれが決まります。すなわち聖職者に従うことが天国へ

の道となります。そしてある意味キリスト教はユダヤ教やイスラム教と比較して戒律

が緩やかで、世俗的でありそれがローマ帝国内で広く受け入れた理由といわれています。

 

問題はこの3つの宗教がエルサレムのごく小さな土地の中に絶対的な聖地を共有してい

ることです。ムハマンドが神の啓示を受けたというイスラム教の「岩のドーム」、ロ

ーマ帝国に破壊された神殿跡のユダヤ教の「嘆きの壁」そしてキリストが葬られたと

いう「聖墳墓教会」です。同根で非常に似た宗教であって、小さな土地の中で競争し

て共存してきた長い歴史が現在の複雑な情勢を作り出していますね。とりわけユダヤ

教とイスラム教は共通する事が多く、かつ厳格な信仰で生活を律しますのでその分対

立が先鋭化するのかもしれません。

 

ただユダヤもイスラムも現在でも非常に厳格に規範に基づいて生活している人たちが

少数いますが、大部分はかなり緩やかな規範に沿って生活していますし、殆ど信仰と

いうより文化として受け入れている多くの世俗的な人々が若い人には多いとのことです。

 

昔ドイツに留学した時、語学学校のゲーテインスチュートでたくさんのモスレムの

人々と生活しましたが、ほとんど我々の生活と同じでビール飲んでいましたし、礼拝

もしていませんでした。ハムやソーセージを食していた人もいたような気がします。

 

今回の読書で少しイスラム教の理解ができましたので、次はもう少し深い分析の書籍

を読んでみようと思います。ここで紹介したムックは記述が軽く、そして大半が写真

ですので楽しめました。以前行ったことのあるスペインのアルハンブラ宮殿やインド

のタージマハールそしてイスタンブールのオスマン帝国の大モスクなどの思い出が鮮

やかに甦り、その意味を改めて理解出来ました。イスラエルには行ったことがありま

せんが今回の勉強でエルサレムに行ってみたいと強く思いました。

 

同じシリーズで「キリスト教とは何か」がありますがこれはほとんど宗教画とキリス

ト教に関する雑多な情報の紹介で宗教的な解説はほとんどありません。

 

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◆内容・記事に関するご意見・お問い合わせ/配信解除・メールアドレス変更

右記まで  webmaster@fukan.jp

………………………………………………………………………………………………………

◆俯瞰 MAIL 0033号(2013年9月30日)

発行元:    一般社団法人 俯瞰工学研究所

発行責任者:松島克守

URL: http://fukan.jp

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俯瞰メール32

皆様

◆時候ご挨拶◆

猛暑日が続きますが、植物は温度よりも日照時間を感じるのでしょうか、気がつくと

もみじの枝の幾つかは紅く色づき始め、田の稲は凛とした姿で穂を付けています。時

間を認識する知能は植物のどこにあるのでしょうか。

-----------------------------------------------------------------------------

・二つのプライマリーバランス

・アラブの春から3年、エジプトの混乱は

・中国そして東アジア情勢

・俯瞰サロン面白いですよ

・頭のよくなるクッキング18

・デジタル書斎の構築24

・書評 「一四一七年、その一冊が全てを変えた」

       スティーヴン・グリーンブラッド 柏書房 2012

-----------------------------------------------------------------------------

 

◆二つのプライマリーバランス◆

アベノミクスも正念場をむかえます。消費税引き上げを予定通り決行するか否かです

が、消費税引き上げで景気が腰折れになるという危惧はいかがなものでしょう。既に

復興増税しましたが特段の景気に対する影響はありません。住宅などは駆け込みとそ

の反動などあっても総需要はあまり影響受け無いのではないでしょうか。金利変動の

ほうが影響が大きいですから。自動車は取得税の廃止で税を相殺するなどは必要で

しょうが、思い切った法人税の減税、投資優遇税制などと、各種の規制緩和、加えて

TPPの推進というショックで経済を活性化して欲しいですね。

 

兎も角、税収より国債の発行額が多いなどという異常事態を続ける事は限界でしょう。

家計で収入以上に借金をして生活するなど狂気の沙汰ですが、国家といえども異常事

態を続ける事は限度が有り、既にその限界に近いのではないでしょうか。速やかに国

家財政のプライマリーバランスを回復するため、消費税引き上げを実行すべきだと思

います。第一これはIMF等国際的なコミットメントですから。

 

もう一つのプライマリーバランスは人口です。産まれてくる命よりも死んで行く命の

方が多いのでは長期的に国が衰退します。北欧ではこのバランスをずっとプラスで維

持しています。近年フランスはマイナスからプラスにすることに成功しました。です

から安倍内閣の最重要政策は少子化対策ではないでしょうか。学齢保育を含めて保育

所の整備、産休制度の充実・・・。

 

この少子化に言及せず靖国神社参拝や憲法改正を声高に唱えるのが政治家らしいと勘

違いしている人がなぜか政治家をやっている気がします。女性の政治家もこのパフォ

ーマンスが好きなようですね。自身の産休と育児の体験を活かしたらと言うとセクハ

ラですか。

 

加えて憲法改正をナチスのようにそっとやれ?語るに落ちるというか、そんな男が首

相だったのかと思うと情けないですね、選挙という衆愚でしょうか。

 

消費税引き上げの議論

http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTJE97400N20130805

http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20130806-OYT1T00208.htm

http://www.j-cast.com/2013/08/08181136.html?p=all

フランス少子化政策

http://www.newsweekjapan.jp/column/tokyoeye/2012/08/post-546.php

http://www.excite.co.jp/News/laurier/love/E1352794757386.html

http://www.lawschool.tsukuba.ac.jp/pdf_kiyou/tlj-06/tlj-06-eguchi.pdf

麻生発言

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-08-04/2013080415_03_0.html

http://www.j-cast.com/tv/2013/08/02180696.html?p=all

 

 

◆アラブの春から3年、エジプトの混乱は◆

アラブの春から3年、アラブは混乱と混迷の中に苦しんでいますね。とりわけこのと

ころエジプト情勢が深刻です。モルシー前大統領派の強制排除ではすでに900人を超

える死者が出ています。これに対して欧米諸国は強く反発しています。これまでエジ

プト軍に供与してきた援助を打ち切るとの圧力もかけています。一方サウジアラビア

やアラブ首長国連邦は暫定政府の強制排除を支援しています。この背景にはモルシー

前大統領の母体であるイスラム原理主義組織のムスリム同胞団に対する危機感があり

ます。原理主義者が力を増すと現在の君主制の政治体制が脅かされると懸念している

からです。

 

イスラム社会はいくつかの断面で対立があります。 1つはこの君主制の国々と共和制

の国々です。トルコでは原理主義と世俗派の軍との対立が深刻です。また底流にはイ

スラム教のシーア派とスンニ派との対立があります。エジプトの騒乱でニュースが減

りましたがシリアの騒乱はこの両派の代理戦争と言われています。しかも毒ガス使用

とのニュースもあります。

 

このアラブ地域は世界最大の原油の供給地域ですから欧米諸国が強い関心を持ってき

ましたが、天然ガスやシェールガスの相次ぐ開発により相対的な重要度が減ったため、

かえって不安定が増したようにも見えます。

 

この地域にはパレスチナ問題があり、イスラエルとイランの対立と言う図式もありま

す。ただパレスチナ和平は米国の仲介で和平交渉が始まる気配がありますし、イラン

では国際協調派の大統領が就任してこれもまた緊張緩和の方向に動いているのは好ま

しいことです。

 

日本は依然としてこの地域の石油資源に大きく依存していますから中東情勢の混迷は

大きなリスクです。またこの地域が安定し経済成長を始めれば大きな市場になります。

ですからこの地域に対し日本が出来る事を積極的に行うべきだと思います。ニュース

記事を色々見ていると自分自身がイスラムの文化に対してあまりにも無知であること

を痛感します。少しイスラムの文化を勉強しなくてはと思います。

 

デモ隊強制排除、死者900名超に

http://www.tv-tokyo.co.jp/mv/mplus/news/post_48003

元防衛駐在官が分析するエジプト情勢

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/38489

エジプト情勢、欧米は手詰まり

http://sankei.jp.msn.com/world/news/130819/mds13081921030006-n1.htm

サウジ、エジプト暫定政権を支持

http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTJE97I01V20130819

パレスチナ和平再開

http://www.cnn.co.jp/world/35035344.html

http://newsphere.jp/world-report/20130814-2-2/

 

 

◆中国そして東アジア情勢◆

中国はやはり経済大国ですね。中国の急成長が終わり停滞気味になった今、世界中の

経済に大きな影響を与えています。 一部には中国経済がバブル崩壊して世界経済に

リーマンショックのような衝撃を与えるのではないかという議論は根強くありますが、

現在の政権は前の政権の負の遺産を辛抱強く処理して経済の安定成長へのソフトラン

ディングを必死で行っているように見えます。

 

世界の資源の価格を暴騰させた中国の需要は収縮し、資源国の経済は打撃を受けてい

ます。ただごく最近鉄鉱石の価格が上昇したことでこれをどう受け止めるのか、戸惑

いが出ました。

 

また公務員の綱紀粛正のため高級時計や高級食材の売り上げが激減していると伝えら

れています。また富裕層の増加率が減少していると言うことも伝えられています。こ

のニュースを読むと、個人資産額が1000万人民元(約1億6000万円)以上の中国人の

数は2012年に105万人、前年比で3%増加し、1億元(約16億円)以上の個人資産を有

するいわゆる「超富豪」の数は12年に前年比2%増加し、6万4500人とあります。意外

と富裕層の数が少ないなと思いました。多分表に出ていけない富裕層がかなりあるの

でしょう。それにしても中国の富裕層を対象としたビジネスは意外と限定的なものか

もしれません。

 

一方日本では、尖閣列島問題からの反日的な状況ですっかり中国への関心が薄れでき

たようです。といっても最も重要な経済関係ですから前の中国大使の丹羽さんは尖閣

を棚上げして日中の関係を早急に修復して交流を深めるように提案しています。一方

では大前さんのようなリスク声高に説いている人もいます。

 

安い労働力を求めて中国に事業を展開した企業は最近の労働コストの上昇に加え、日

中関係の冷え込みから撤退の方向に動いているようで、中国撤退セミナーが盛況と言

うニュースがあります。そして今度は東南アジアへ怒涛のように日本企業は展開を始

めています。その東南アジアも中国経済の影響を受けているのでしょうか、ごく最近

タイの経済の減速が抑えられています。ただこれまであまりにも急成長であったので

あくまで減速というだけです。過剰に反応しては判断を誤るかもしれません。

 

中国の環境汚染は依然深刻で、夏になって暖房用に石炭を焚かなくなっても依然空気

汚染は清浄に戻っていないようです。その原因は何でしょうか。さすがにこの大気汚

染のニュースは中国の観光業にも大きな影響を与えているようです。外国人観光客が

激減し、三星ホテルの経営も影響を受けています。大気汚染に加え河川汚染も深刻で

すから、この環境汚染は日中が協力して経済再生のエンジンにする可能性があると思

いますがなかなか進んでいませんね。

 

中国経済の減速は韓国にも深刻な影響与えています。韓国経済は中国経済に極めて大

きく依存しています。とりわけ日本と異なり韓国は輸出に対する経済の依存度が大き

い国です。さらに韓国は日本経済への依存関係も大きいですから、為替が円に対し約

30%程度上昇して、結果的にアベノミクスの衝撃を感じているようです。

 

ただアベノミクスも確かに円安までは成功しましたが、その後の第3の矢が我々とし

ては気になりますね。何が出てくるのでしょうか?

 

以上色々と最近のニュースについて書きましたがこの様な情報収集はこのメールにあ

る「デジタル書斎」の情報収集のツールを大いに活用しています。

 

中国経済は安定しつつあるように見える

http://jp.wsj.com/article/SB10001424127887324513804578653061125922612.html

中国経済は日本型の長期停滞のリスク

http://jp.reuters.com/article/jpTrendMicro/idJPTYE96T04N20130730

中国三ツ星ホテル減収

http://www.sankeibiz.jp/macro/news/130816/mcb1308160636018-n1.htm

中国景気減速で原材料会社打撃

http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE97D03J20130814

鉄鉱石価格上昇で占う中国経済

http://www.nikkei.com/article/DGXNASGV14001_U3A810C1000000/

中国富裕層の増加率鈍化

http://jp.wsj.com/article/SB10001424127887324593704579016010385122526.html

丹羽前中国大使の提言

http://www.nippon.com/ja/people/e00050/

中国撤退セミナーが盛況

http://sankei.jp.msn.com/economy/news/130820/biz13082022560031-n2.htm

大前研一の中国認識

http://www.news-postseven.com/archives/20130814_204229.html

中国大気汚染、夏も晴れず

http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20130801&ng=DGKDASGM3102D_R30C13A7EA1000

中国「がんの村」原因は川汚染

http://www.yomiuri.co.jp/eco/news/20130814-OYT1T00202.htm

中国外人観光客激減

http://news.livedoor.com/article/detail/7957232/

レノボのPCにハッキング工作か!?

http://rocketnews24.com/2013/08/01/355285/

アベノミクスと中国の失速で窮地の韓国

http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20130801/frn1308010742000-n1.htm

http://news.toremaga.com/economy/ewhole/508637.html

 

 

◆俯瞰サロン面白いですよ◆

イノベーションの裏側、今だから話そう!というノリで俯瞰サロンを月1回開催してい

ます。面白いですよというか、この話は他では聞けません!

 

第1回 5月22日(水) 「IIJ誕生の秘話」

第2回 6月18日(火) 「SONYとAppleのニヤミス」

第3回 7月8日(月)  「NetscapeとMicrosoftの戦い」

第4回 8月21日(月) 「ソニーの3.5インチFDDと Steve Jobs?」

 

成功の興奮とその後の反省、当事者しか知らなかった、今なら話せる・・・・という

わけで講師名は公開していません。

 

これはイノベーションのモデルの研究の現場です。詳細は俯瞰工学研究所のサイトの

「俯瞰サロン」で

 

俯瞰工学研究所の俯瞰サロン

http://www.fukan.jp/%E4%BF%AF%E7%9E%B0%E3%82%B5%E3%83%AD%E3%83%B3/

 

 

◆頭のよくなるクッキン18◆

夏休みで時間があったのでネットで食品について気になっていた事をあれこれ検索し

てみると健康食品や食材について実に様々な、相反する意見がありました。

 

常々耳にしていた玄米食のリスクについてネットで調べてみると、玄米食には大きな

リスクがあるという議論がかなり活発です。 一つは残留農薬の問題で白米と違い精

米の過程がないので残留農薬が残ると言われています。これは当然理解できることで

私もできるだけ無農薬の玄米を求めるようにしていますが、置いている店舗は限られ

ているので困ります。もう一つ大きな論点は玄米のフィチン酸によるミネラル排出に

ついての議論です。つまり玄米食はミネラル欠乏になるというのです。確かにフィチ

ン酸はキレート作用を持ち、ミネラルと強く結合します。しかし“フィチン”は既に

複数のミネラルと結合しているため、体内のミネラルと結合することはないと言う議

論もされています。この現象は科学的に確認されているようですが人間の体内での現

象は多分確認されていないでしょう。サプリメントで補給する手もありますが、これ

ではなぜ玄米食かということになります。

玄米食に関する様々な議論を読んでいると完全な玄米食よりもあれこれと食する方が

いいかなと言う気持ちになりますね。

 

もう一つは大豆です。これも健康食品の王者のような扱いを受けていますが、いやい

や大豆は発酵食以外はむしろ体に良くないという議論です。これもひとつの議論は大

豆には玄米と同じようにフィチン酸が含まれておりミネラルの鉄分下がると言うので

す。発酵させた大豆はその過程でこのフィチン酸が無力化されていると。このほか大

豆レクチンや大豆イソフラボンの過剰摂取の危険性などが議論されています。この議

論からは豆乳は飲まない方がいいと言うことになります。豆腐すらあまり頻繁に食さ

ない方がいいという議論です。このような議論にきちっとした科学的な検証の情報が

あまりありません。特定の人のブログが多く引用されていることも見られます。ただ

こう言われるとあえて豆乳を毎日飲もうという気も失われます。生の大豆から全自動

で豆乳を作る機械を買いましたが最近は出番がありませんね。

 

ともかく健康食については様々な、相反する議論がされていますがきちっとした行政

からのガイドはほとんど見られません。

 

次は週刊朝日の記事ですが、表紙に「欧米が止めた日本食品のリスト」という文字を

見かけたので買って読んでみました。週刊朝日の記事は微妙な時もありますが情報源

が米国食品医療品局(FDA)ということで信憑性が高いと思ってご紹介します。

 

内容はこの1年半で延べ160の品目の日本食品が欧米で輸入差し止めに合っているとい

うことです。驚くことに米国で指摘された差し止め理由の最も多いのがなんと不衛生

です。次が着色料です。その次が表示内容不備です。審査内容や手法がはっきりしま

せんがショックを受けます。

 

不衛生と指摘されたものの多くは水産物です。着色料はたくあんなどの漬物です。さ

らに驚く事はかなりのメーカーは自社のこの状況を把握してないと言うのです。理由

は第三者が売れそうだと思って勝手に輸出しているからだと言うのです。しかしいや

しくも食品を手がけている企業であればこのような情報を適切に収集し対策をとるべ

きではないでしょうか。もともと食品業界は産地偽装とか企業倫理の面から問題があ

る業界のように思います。

 

私が特に強く興味をひかれた事は日本の基準そのものがかなり甘いということです。

例えば使用が認められている添加物の比較ですが日本は655品目、米国は1,612品目、

世界標準と呼ばれるCodexでは392品目です。Codexは厳しすぎるという議論もあるよ

うですが世界標準に比べここまで差があるとは驚きです。

 

なんとなく日本の食品は安全で海外の食品は危険なようなイメージを持ってしまいま

すが日本の食品添加物の規制も案外ゆるゆるで、 TPPでこの議論がされて規制を強化

するのかはたまた緩められるのか気になりました。

 

いろいろ見ていくと肉食に関する論争も目に止まりました。肉は食べるなという議論

と肉を食べろと言う議論です。それぞれ結構説得力がありこれも困惑する議論ですね。

いろいろ読んだ結果、食する食品の最適な調和とバランスの追求が課題かなと思いま

した。

 

玄米食

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%8E%84%E7%B1%B3

玄米食は体に悪い?

http://www.pref.aichi.jp/eiseiken/3f/kome.html

http://getnews.jp/archives/244587

大豆は、実は健康食品ではない

http://ameblo.jp/friends-dc/entry-11339390865.html

http://8729-13.cocolog-nifty.com/blog/2012/05/post-6e72.html

豆乳のリスクについて

http://togetter.com/li/410716

米欧から輸入を拒まれた日本の食品

http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20130807-00000002-sasahi-soci

http://www13.jimdo.com/app/sb7a2f61d32185728/p84843d989db86a80/

危ない食品 見分け方

http://dot.asahi.com/wa/2013050800003.html

Codex

http://www.codexalimentarius.org/codex-home/en/

肉食論争

http://news.livedoor.com/article/detail/7616086/

 

 

◆デジタル書斎の構築24◆

ネット上におびただしい情報があふれていますがとても読み切れないどころかどんな

情報があるのかも全くわからない時代になりました。自分にとって有効であったり、

興味がある事に関する情報を積極的にゲットしたいと思って色々な仕掛けをしていま

す。

 

以前にも話したようにツイッターでは日経新聞、 WSJ 、週刊ダイヤモンド、東洋

経済などをフォローすることによって経済に関する情報はかなりもれなく見つけられ

ます。特に日経新聞の電子版はその後の記事検索で極めて有効です。以前紙の新聞を

切り抜いていた時代とは全く違う次元です。何よりも検索と言う機能がありませんで

したから。記事の切り抜きWeb情報の切り抜きはEvernoteにアップしておけばいつで

もどこでも検索して利用できます。この俯瞰メールはこれを大いに利用しています。

Googleのアラートはキーワードを登録しておくとネット上の関連する情報をメールで

ブッシュしてくれますから非常に有効です。例えば中国の環境汚染のようなテーマは

中国と汚染と言うキーワードを設定しておくと関連する情報が適時配信されてきます。

 

ただ最近さらにいろいろな新しい情報収集のサービスが提供されてきています。ソー

シャルニューズと言うサービスが最近いくつか出ていますが、その中で面白いなと気

が付いた物をご紹介しましょう。

 

まずGunosyです。パソコン、 iPad 、 iPhoneのすべて、Android端末でも提供されて

いますが関心がある分野の記事をいくつか登録しておくとそれに関するネット上にあ

る情報を適切に取捨選択してメールで配信してくれます。この取捨選択して配信して

くれると言う機能と、自分が見ているとの情報を親しい友人と共有できるという機能

がソーシャルニューズと呼ばれているサービスの基本のようです。類似のサービスは

いくつもあるようですが私が知っていて最近試しているものはFlipboardです。これ

も自分の関心があるキーワードを登録しておくとそれに関連するニュースや情報を適

切に取捨選択してあたかも私のためにだけに編集された雑誌のように配信してくれま

す。その中で、後で見ようと思う記事はそれぞれのジャンル別に個人の雑誌と言う形

でファイルできます。例えば料理とか健康とかAppleとか、そういうタイトルの雑誌

形式で収集した情報がまとめて保存できます。そしてその雑誌は親しい友人と共有で

きますし、一般に公開もできます。これはインターフェイスがかなり良くできていて

多分広く利用されるようになると思います。これらのサービスはクリックして読まれ

た記事で学習してプロフィールを同定し、さらにマッチする記事をプッシュするので

しょう。

 

さらにvingowと言うサービスはキーワードを登録しておくと適切に関連する情報を取

捨選択して配信してくれるところまでは上記のサービスと同じですが、なんとその要

約をしてくれます。情報の要約はかなり高度な情報処理ですが、それをこんな形で提

供しているとは驚きです。まだあまり使い込んでいませんが要約はかなりのレベルに

あると思います。むろん日本語で提供されています。現段階ではiPhoneだけのサービ

スのようです。たぶんすぐにiPadやパソコンでサービスが展開されるでしょう。

このほかにいくつもあるようですが上記の3つのサービスを試してみたら如何でしょう。

 

いずれにせよ最も重要なことは、自分が何に興味を持っているかと言う確認がないと

どんな素晴らしいサービスも情報収集のツールとして機能しません。ともかく情報の

爆発の中で自分にとって有効で意思決定や行動に必要な情報をもれなく収集すること

がいとも簡単にそして無料でサービスとして提供されていますので、これを利用する

人、しない人では大きな情報格差が出るでしょう。従来の新聞やテレビのニュース、

そして人の話を聞くだけの耳学問でビジネスや仕事をする人は完全に時代と同期でき

ない情報弱者です。すなわちここに大きな格差がすでに存在するのです。日本のICT

企業の経営者がこの情報弱者になっていないことを祈ります!

 

 

◆書評◆

今月の、ご紹介は

「一四一七年、その一冊が全てを変えた」スティーヴン・グリーンブラッド

柏書房 2012 です。

 

この本はドキュメンタリータッチではありますが著者の高名なシェイクスピア研究家

でハーバード大学教授の推察や想像の物語です。巻末の詳細な参考文献や索引は著者

が第一級の人文学者であることを示しています。それだけにウンチクが長くやや前半

は読むのが大変ですがルネッサンスが生まれる前の状況を初めて理解できました。主

人公は15世紀の初頭にカソリックの教皇秘書であったポッジョ・ブラッチョリーニで

す。

 

ローマ時代にはアレキサンドリアの大図書館を始め多数の公共図書館が多数の写本を

保存していましたが狂信的なキリスト教が多神教の邪悪な書物と決めつけて破壊しつ

くしたようです。

 

その暗黒の中世で唯一ギリシャ・ローマ時代の文献の写本を保存していた修道院から

重要な文献を写本によって救済し、ギリシャ・ローマ文明の知を復活させたいという

人文学者のコミュニティーに広めるという、ブックハンターと言う仕事に全人生をか

けていた主人公ポッジョの物語です。写本は印刷技術が発明されるまで唯一の文献の

複製の技術であって、ポッジョも高度の技術を持つ複写人でした。

 

何を彼が発見したかと言うと、それは紀元前50年くらいにローマで発表された「物の

本質について」という写本です。著者のルクレティウスは共和政ローマ期の詩人・哲

学者であり、哲学者エピクロスの宇宙論を詩の形式で解説したものだということです。

驚くことにその内容は現代物理学の認識とほとんど同じ、この世界を構成しているも

のはこれ以上分割できない原子というものであり、その複合体ですべては作られてい

る、しかもその複合体は絶えず形を変えているつかみどころのないものであると。神

という万物の創造主など存在しない。したがって肉体の消滅はすなわち精神の消滅で

あり、死後の世界など無いと言う真っ向から神の存在を否定する危険で過激な哲学で

す。まず驚かされるのは紀元前にすでにニュートンやアインシュタインにつながる物

理学的な認識の構造を持った人々がいたということです。

 

本書を読んで改めてどの宗教も人間の持つ死への恐怖をとらえて、死後の世界の存在

とそこでの安楽のためには現世において厳しい戒律の生活を送る必要があると説教し

ているという宗教のモデルが理解できました。

 

このルクレティウスの詩は死後の世界は無いという立場から、死後の世界の罰の恐怖

から人間を解放するものです。そして現世における幸福の追求を認め、古代ギリシャ

のヘレニズム期の哲学者エピクロスの、現実の煩わしさから解放された状態を「快」

として、人生はその追求のみに費やすという主張を肯定しました。15世紀フィレン

ツェ派を代表する巨匠ボッティチェリ随一の傑作『ビーナスの誕生』はこの影響であ

ると言います。そしてラファエロ、ミケランジェロと言うルネッサンス絵画の誕生に

つながったのです。

 

本書ではこの写本の発見の過程とそれが一部の知識人に密かに読み継がれルネッサン

スの発展を担った哲学者や科学者そして芸術家に影響を与えてきた過程が解説されて

います。この写本は印刷技術の発見以降は印刷ということによってさらに広く流布す

ることになり世界を変えてきたと言うことを主張しているわけです。哲学者のモンテ

ーニュ、 地動説のコペルニクス、万能の天才レオナルド・ダ・ヴィンチ、ガリレオ、

ニュートン、そしてアインシュタインという流れにつながっていくわけです。米国で

はジェファーソンが独立宣言の中に「幸福の追求」を書き込んだという事を、彼がこ

の「物の本質について」を所持していたことから推定しています。この辺の実証作業

は本書が単なる空想でないことを示しています。といって無味乾燥な学術論文にして

いません。

 

どちらかというと読み通すのにかなり力がいりますがこのような本を読んでいくこと

が教養をつけると言うことでしょうか。主題である「物の本質について」は岩波文庫

で日本語訳が出版されていますので引き続き読んでみようと思います。

 

ルクレティウス

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AB%E3%82%AF%E3%83%AC%E3%83%86%E3%82%A3%E3%82%A6%E3%82%B9

本書の書評

http://www.nikkei.com/article/DGXDZO50305480V00C13A1MZC001/

物の本質について、の読書日記

http://blog.livedoor.jp/nina313/archives/52196659.html

 

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◆内容・記事に関するご意見・お問い合わせ/配信解除・メールアドレス変更

右記まで  webmaster@fukan.jp

……………………………………………………………………………………………

◆俯瞰 MAIL 0032号(2013年8月25日)

発行元:  一般社団法人 俯瞰工学研究所

発行責任者:松島克守

URL:http://fukan.jp

俯瞰メール31号
◆時候ご挨拶◆
蜩(ヒグラシ)の合唱はどこか寂しいですが美しいですね。数匹のリードボーカリス
トがいて、それをフォローする合唱団が輪唱するような感じです。その輪唱をどう感
じてメスの蜩がパートナーを選ぶのでしょうか。クマゼミやミンミンゼミの風情のな
い合唱よりずっと感傷的です。そしてはかない短い夏を連想させます。
-----------------------------------------------------------------------------
・参院選で口を濁してきた懸案を処理してください
・グローバリゼーションが引き起す新興国の混乱
・米国の自治体で破産相次ぐ
・気になるニュース幾つか
・二子玉川の“ブレスポ”参加しませんか
・本郷の俯瞰経営塾
・頭のよくなるクッキング17
・デジタル書斎の構築23
・書評 「コトラーのマーケティング3.0」 フィリップ・コトラー他
 朝日新聞出版2010
-----------------------------------------------------------------------------

◆参院選で口を濁してきた懸案を処理してください◆
今回の参議院選挙で日本の政治の最大の問題点であった、ねじれ国会が解消されます。
そして安定政権が実現します。参議院選挙のためこれまでの安倍政権も日銀の異次元
的な金融緩和以外はかなり曖昧な、そして中途半端な成長戦略しか口にできませんで
したが、この安定した国会の構成でこれまで口を濁してきた懸案をサクサクと大胆に
進めてほしいですね。

順不同ですが、農業や医療の規制緩和、雇用慣行の改革、法人税率の引き下げ、財政
再建、待機児童の解消です。原発再稼働と普天間基地の問題も進めてもらいたいです
が、これは時間をかけた国民の合意形成も必要となるでしょう。あまり進んでいない
東北の復興事業も強力に推進して貰いたいですね。憲法問題は特に推進して欲しいと
思っていませんが。

幸い一時はハラハラした株価と円安もなんとか高止まりしています。最近では百貨店
の売り上げが久しぶりに伸びたという嬉しいニュースもありました。むろん円安で輸
入品は値上がりし、それによるインフレもありますが、国民のかなりの部分が感情的
に消費に積極的になってきた事は事実でしょう。この機運はこのまま伸ばしていかな
ければなりません。絶対に避けてほしいシナリオは、昔の利権にまみれた自民党政権
に戻ることです。二度目の政権担当の安倍さんですからここは歴史的に評価される総
理大臣になってもらいたいですね。

それにしても民主党はどうなるんでしょう。

百貨店の売上伸びる
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFL180PJ_Y3A710C1000000/?dg=1


◆グローバリゼーションが引き起す新興国の混乱◆
新興国を中心に世界各地で政府に対する抗議運動が広がっています。トルコ、ブラジ
ル、ブルガリアなど民主的な新興国が目立つデモは、公園の再開発や公共料金引き上
げなどへの小規模な反対運動から拡大、汚職への抗議から、医療や教育など公共サー
ビスの向上、政府の退陣までデモの要求は拡散しています。各地のデモはフェイス
ブックなどが市民を結び、野党や明確な指導者が存在しない点が共通し、政治的な受
け皿のないまま、権利意識を強める中間層が主導、格差や物価高に不満を抱える層も
連鎖的に反政府運動に参加し、混乱が深まっているとの事です。問題は明確な将来ビ
ジョンもリーダーも不在のデモですから政情は不安が不安定になり、結果軍事政権に
戻りかねません。

グローバリゼーションは新興国の経済成長をもたらしましたが、反面、先進国を含め
経済格差の拡大と金融不安をもたらし、先進国には新興国への大量の労働流失による
失業をももたらしました。そしてグローリゼーションで先進国、新興国は運命共同体
になったのです。

そのため、バーナンキ米FRB議長が量的緩和縮小に言及すると、ドル資金が新興国
から流出し、外国為替市場でインドネシアルピアなど新興国通貨が軒並み下落して急
激な通貨安になり、輸入物価が上昇、インフレを避けるため各国は自国通貨を買う大
規模介入を実施した結果、外貨準備の減少につながっています。

アジア危機の教訓から対策を取ってきたため外貨が枯渇して連鎖的な通貨危機が起き
るような状況ではないとは言われていますが海外事業のリスクは上がります。

世界に広がる反政府デモ
http://www.nikkei.com/article/DGXNASGM1203Z_S3A710C1FF8000/
新興国の外貨準備減少
http://www.nikkei.com/article/DGXNASGC15007_V10C13A7MM8000/


◆米国の自治体で破産相次ぐ◆
米国の自治体で破産が相次いでいます。米国自動車生産の中心的都市のデトロイト市
が18日、ミシガン州東部地区の連邦破産裁判所に連邦破産法9条の適用を申請しました。
負債規模は180億ドル(約1兆8000億円)を超え、米国の地方自治体の財政破綻として
は過去最大の事例とあります。

同市の歳入のうち38%が負債の支払いや、年金、医療費負担などに費やされていると
の事です。

財政破綻は深刻な市民生活への影響を与えています。警察に通報して警官が到着する
までの時間はデトロイト市では58分で、全国平均の11分を大きく上回っている。事件
解決率もわずか8.7%で、全国平均の30.5%にはるかに及ばず、街灯の約40%が故障
し、稼働している救急車は3分の1に過ぎないとの事です。人口はピーク時の63%に減
少し、廃墟家屋は約7万8000件に上るとの事です。

デトロイトにはGMのほか、米フォード・モーター、米クライスラーも近郊に本社を
置き、GMは09年の経営破綻から急ピッチで復活、クライスラーもデトロイト市内の
工場で増産投資を計画するなど、自動車産業の回復が鮮明ですが、経営破綻に伴う税
制優遇などもあり、デトロイト市の税収増加への寄与は大きくなかったようです。

「構造的なひずみに直面しているのが地方政府だ。我々は破綻をもっと見ることにな
るだろう」、米連邦準備理事会(FRB)のグリーンスパン元議長がシンポジウムで
“予言”していましたが、それが現実になってきました。

米国カリフォルニア州ストックトン市は米連邦破産法9条の適用を申請したとの事で
す。市財政運営の失敗に加え、住宅市場の低迷が主因。負債 額は約7億ドル。同市
の人口は約30万人です。

総務省によると、2008年度決算で財政健全化団体だった自治体は21市町村でしたが、
11年度は青森県大鰐町と大阪府泉佐野市のみに減り、米国に比べて、日本では国の支
援策が手厚くすぐに破綻することは考えにくいと言われていますが、働き盛りの人口
が減ることによる税収減など、日本の自治体にとっても対岸の火事とは言えませんし、
その国の支援も財政再建で苦しくなります。不必要な医療を止めたり、消費税の引き
上げという国民負担が必要になります。

デトロイト市破産
http://jp.wsj.com/article/SB10001424127887323809104578614443510138934.html?mod=djem_Japandaily_t
http://www.nikkei.com/article/DGXNASGM1900Z_Z10C13A7MM0000/
http://jp.wsj.com/article/SB10001424127887323809104578614653322404888.html
米自治体、法的整理を活用
http://www.nikkei.com/article/DGXNASGM0102O_U2A900C1MM0000/
グリーンスパンの予言
http://www.nikkei.com/article/DGXNASGN1200U_S1A111C1000000/


◆気になるニュース幾つか◆
まず、欧州では、すべての量産車メーカーが史上最悪の販売減となりかねない不況に
はまり込んでいるとの事です。年間700万台相当の生産能力が使用されず、合計の年
間損失がおよそ50億ドルに上り、少なくともあと3年は続くと見る膨大な営業赤字に
見舞われているようです。EU域内の2012年の自動車販売台数は1310万台。2008年の
1600万台から大きく落ち込み、今年は約7%減少し、1200万台を辛うじて上回る水準
になる見込みとの事です。EU域内の工場の生産能力は年間1910万台を若干上回って
いるため、設備余剰の結果、EU域内の工場の6割が赤字操業に陥っており、工場閉
鎖やリストラが進むでしょうが、これはEUの経済を低迷させ、ひいては日本の経済に
も悪影響が出てくるでしょう。

次は、中国の習近平指導部が外資系企業の贈賄事件にも照準を合わせ始めたという報
道です。中国公安省は英製薬大手グラクソスミスクライン(GSK)の中国現地法人
の捜査を本格化して幹部を逮捕しています。現地の日系企業も神経をとがらせていま
す。その中国の事業ですが、人件費上昇や景気減速で、日本企業の中国戦略が問われ
ています。生産拠点も拡大一辺倒とはいかず、撤退を含めて検討する企業が出始めま
したが、社会主義市場経済の中国では、戦線縮小は日本よりはるかに難しいようです。
重要なのは「許認可権を握る地方政府」「団結する従業員」という2つの関門をどう
突破するかとあります。

日本のニュースでは、シャープとソニーがそれぞれ1万人、富士通が9500人……。こ
こ数年相次ぐ電機・IT大手のリストラは、アジア企業にとって人材確保の絶好の
チャンスだとの報道です。人員削減が続く日本の電機大手の人材を中国やインドの
IT・電機大手もリストラ人材を狙っているとの事。この4-5年でパナソニックや
シャープなどから放出された人材は5万人を超します。かつて韓国企業は日本のリス
トラ人材や定年退職者を取り込み世界大手に飛躍しました。人材の流失は技術の流失
ですから、また日本の産業競争力は低下します。いわば将棋の駒のように日本に対す
る攻めの人材になります。ただ職を失った人材がアジアの企業のオファリングを受け
ることを責めることは出来ません。国内で有効に活用することは出来ないのでしょう
か。

最後にいやなニュースですが、香港のシンクタンク、ポリティカル・アンド・エコノ
ミック・リスク・コンサルタンシー(PERC)が発表したアジア17カ国(米国・豪
州・マカオを含む)の腐敗指数ランキングで、韓国がアジア先進国の中でも最悪なレ
ベルだったと伝えました。

韓国は6.98点で、日本や豪州(2.35)、香港(3.77)、米国(3.82)の先進国よ
り2-3倍高く、マレーシア(5.38)やタイ(6.83)などの中進国よりも深刻で、
もっとも腐敗が深刻ではない国はシンガポールで0.74点です。日本も猛反省が必要
です、品格こそが日本のブランドですから。米国よりましというのがせめてもの慰め
ですか。因みに韓国よりも腐敗度が深刻な国は中国(7.79)、カンボジア(7.84)、
ベトナム(8.13)、最下位のインド(8.95)です。これらの国の経済成長は長く続
かないとみていいでしょう。

調査したシンクタンクはさらに深刻な問題として、「腐敗に鈍感な韓国の道徳観が
“国境を越えた腐敗”にも影響している」とし、韓国の腐敗の根が政治や経済のトッ
プレベルにまで広がっていると指摘しています。“国境を越えた腐敗”とは、韓国企
業が海外で手がける事業での腐敗状態を意味します。

ビジネスパーソンはアジア展開ではコンプライアンスを意識しましょう!

欧州自動車、史上最悪の状況に
http://www.nikkei.com/article/DGXNASGM1102X_R10C13A7000000/
シェールガスの採掘が3.11地震の引き金?
http://sankei.jp.msn.com/smp/world/news/130712/amr13071219320009-s.htm?utm_source=dlvr.it&utm_medium=twitter
韓国、アジア腐敗指数で17カ国中10位
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2013&d=0716&f=national_0716_017.shtml
中国の習指導部汚職撲滅外資に照準
http://www.nikkei.com/article/DGXDASGM1704H_X10C13A7FF2000/
中国工場、撤退の試練 労使間トラブル続発
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO57371510W3A710C1FFE000/


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ぐるしく変化する社会のなかで、課題に立ち向かい、正解やゴールの見えない問いに
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日時:7月27日(土)14:00-17:00 (18:00- 懇親会)
会場:カタリストBA
参加費:2000円 (お申込みはこちら)
定員:60名 ※先着順
主催:クリエイティブ・シティ・コンソーシアム
http://creative-city.jp/news/2013/0620_113446.html


◆本郷の俯瞰経営塾◆
今年も本郷で開講した自主ゼミ「俯瞰経営塾」の14回が終了しました。 23人ほどで
始めたこのゼミも3人ほど減っただけでみんな頑張ってくれました。内容は基本的に
は例年と同じですが少しずつ改良してきました。

第一回はチーム分けで、ここでこの後一学期研究する対象企業を選びます。今年は激
動の波に揉まれるメディア業界を設定しました。結果としてフジテレビ、角川書店、
日経新聞、電通、サイバーエージェントになりました。そして最初の課題はその企業
の全体的な情報をネットで出来るだけ収集し分析してその企業の経営文化を理解する
ことです。ビジョンとミッションが大変重要ですが、日本の企業では社是とか理念と
か抽象的で、ビジョンとミッションを明示している企業が少ないので問題です。その
後は会計経理、マーケティング、企業価値、リーダーシップ、社員とマネージャ、戦
略論、M&A 、イノベーション、新規ビジネス、MBO そして最後は研究対象企業へ
の変革の提言です。M&Aはこの何年間はビクターとケンウッドのケースを使いまし
たが、今年度はパナソニックと三洋をケースにしました。このケースは日本の電機産
業の凋落に関する様々な気づきを与えてくれます。MBOは、今年は再生ファンドの
カーライルによるキトーの買収と再上場のケースを使いました。幸い入魂にしていた
だいている鬼頭社長の買収前後の事情のコメントをいただいたので内部事情に踏み込
んで評価ができたと思います。

わずか14回でビジネススクールの超ミニ版をするわけです。この自主ゼミは知識を教
えると言う事は一切せず、課題を出し最低限のガイドをし、後は学生がチームで最大
限に情報を収集し、その情報を分析し、課題に沿って編集してプレゼンテーションす
ることになります。毎回最後にクラス全体でどのチームが1番良かったか投票します。
個人の質問の点数とこのグループ発表の点数の合計を競い1学期間切磋琢磨します。
わずか14週ですがどの学生も4月は全く違う異次元の世界に行きます。ちなみに毎回
プレゼンテーションの前にお辞儀を練習し美しいスタイルが身に付くようにします。
日本語も学生言葉からビジネス言葉に変えていきます。この結果を最初に試すのが就
活です。

このとても大変な14週間をやり遂げた人は、これをしなかった人と別の次元の人生を
歩むことになると思います。ということで退官から5年ですが単位がつかないこの自
主ゼミが続いているのでしょう。

東京大学の俯瞰経営学
http://honto.jp/ebook/search_022_10%E6%9D%BE%E5%B3%B6%E5%85%8B%E5%AE%88.html?srchf=1&srchGnrNm=2


◆頭のよくなるクッキング17◆
チャイナ・フリー(China Free)とは「…を使用していない」という意味のFreeと、
「中国産」を意味するChinaを組み合わせた造語で、中国産の原材料を使用していない
ことを意味します。

ご存知のように中国の土壌汚染は深刻です。ドイツのメディアによれば中国の耕地の
大部分は汚染されていると報道しています。中国政府も耕地全体の8.3%が汚染され
ていると認めています。土壌汚染は特に土壌汚染は南部地区の方が北部地区よりひど
く、長江デルタ、珠江デルタ、従来の工業基地などでは汚染問題が深刻で、土壌の主
な汚染物はカドミウム、ニッケル、ヒ素、水銀、鉛、クロムなどの重金属やDDTな
どの有機物であると言っています。そして一部汚染物の濃度は基準値の数十倍ひいて
は数百倍に達するとあります。工業地帯以外でも農地に対して過剰な農薬、肥料、除
草剤の使用でその他の農地も相当汚染されていると思います。先般ウラジオストクを
訪問した時に現地の政府関係者が、中国人に農地を貸すと土壌汚染が激しいとクレー
ムしていました。もしかしたら辺境の少数民族が押し込められている地域は開発から
取り残されているので、きれいな農地が残っている可能性があります。という事は貧
しい奥地の農民にとってはこれはチャンスです。

ご存知のように中国の大気汚染については中国人の寿命を縮めるほどの酷い状況であ
ると伝えられていますが、専門家はむしろ土壌汚染や水汚染の方が深刻であると言っ
ています。地下水が汚染されると浄化に非常に長い年月がかかるといいます。土壌す
なわち農業そして食、飲み水は人間が生きているのに欠くべからざるのですから、極
めて深刻です。

一方中国の製品は世界中に輸出されています。農産物、食品も大量に輸出されていま
す。この中国の汚染を受けて、チャイナフリーと言うことがでてきたのです。「中国
製品なしで1年間暮らしてみる」と言う消費者の試みが発表されています。ここでは
食品だけでなく玩具や工業製品の材料や塗料まで言及しています。チャイナフリーと
いうロゴマークを作り米国ではこれを製品に貼っているようです。ネットで検索する
と複数のデザインがあることがわかります。これはある意味中国製品のボイコットで
すから国際関係上微妙なことです。ただこの汚染がこのまま改善されないと世界中か
ら中国離れが進み、中国の経済成長に影響を与えてくるでしょう。

中国人のチャイナフリーも出てきて、米国で出産するツアーも多いようです。中国人
そのものがあの中国製粉ミルクに工業用メラミンが混入していた事件では中国人が自
国製のミルクをボイコットし海外のミルクを買いあさったため一時国際的に品薄状態
になりました。すでに中国の富裕層の一部は家族を海外に出し、脱出を考えていると
も言われています。

ここまではネガティブな話をしましたが、これを前向きに考えていきたいと思います。
すでに述べたように開発されていない奥地の農地で安全な無農薬の野菜を作れば、北
京や上海、広州のような大消費地にビジネスのチャンスが生まれます。貧しい人たち
に大きなチャンスです。ただ誰かがその安全性を保証する必要があります。日本の企
業がトレーサビリティの技術を持って安全性を保証するという日中の連携ビジネスが
考えられます。むろん土壌汚染や水質汚染の除染の技術支援も重要です。

日本の農業とってもこれは大きなチャンスです。現在日本の外食産業の多くは中国製
の食品を使っています。安全性に疑念を持つNPOが外食産業に中国製の食品の使用の
有無を問い合わせているようですが、返事がないようです。フライドチキンも中国製
食品の使用で問題になりました。

毒入り子で顕在化した中国食品のリスクも最近では忘れられがちですが、基本は何も
解消されていません。しかし日本の外食産業は今後日本製食品の採用を明確に表明し
ていくことになるでしょう。それがある意味で差別化になります。すでにサンドイッ
チのサブウェイは日本国内の契約農家との連携で、ある意味チャイナフリーをビジネ
ス前面に押し出しています。すでに外食業界では価格競争とは一線を画して品質の高
さを訴える戦略をとる企業が出てきています。ハンバーガーのモスバーガーや居酒屋
のチムニーなどです。

今農業はTPPで崩壊するなどと言う感情的な議論をしている勢力がありますが、日本
中が安全で安心な日本の食材を食するならば、膨大な新規の需要が生まれます。ただ
現在のような非効率な流通システムでは価格に問題が出ます。意欲的に農業を経営す
る農家と直結する流通ルートの開拓が必要です。むろん日本国内においてもきちんと
したトレーサビリティが必要です。そのためには農業の産業化、すなわちやる気のあ
る人々が農業に参入し合理化を推進する必要があります。旧態然とした農業団体は日
本の農業の未来をつぶすことになります。

ともかく日本では耕作放棄地が増えて問題なっているのです。ただ細切れに分散して
いる状態では生産性の高い農業ができません。これを統合して生産コストを下げる行
動が必須です。

日本国外にもチャンスができます。中国、アジアへの輸出です。アジア、中国におけ
る安全な農業への支援と同時に富裕層に対して安全な日本の食品を輸出していくのも、
日本の農業のチャンスです。

チャイナフリーを前向きに捉えて日本の農業の新生をしたいですね

中国の耕地、大部分が汚染されている―独紙
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=71303
中国の土壌汚染、耕地全体の8.3%が汚染状態
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130623-00000014-xinhua-cn
大気汚染、土壌汚染、水汚染?中国で何が起こっているのか、起こるのか
http://bylines.news.yahoo.co.jp/kodamakatsuya/20130403-00024214/
チャイナ・フリー
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%81%E3%83%A3%E3%82%A4%E3%83%8A%E3%83%BB%E3%83%95%E3%83%AA%E3%83%BC
チャイナ・フリー 中国製品なしで暮らす1年間
http://www.academyhills.com/note/opinion/tqe2it0000005ju1.html
チャイナフリーを徹底するのは容易なことではない 大前研一
http://www.nikkeibp.co.jp/sj/2/column/a/156/index1.html
安全性に疑問抱いた中国人
http://news.mynavi.jp/news/2013/06/07/184/index.html
契約農家で全量調達 日本サブウェイ
http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20130710&ng=DGKDASDD090L7_Z00C13A7TJ2000


◆デジタル書斎の構築23◆
電子書籍がいよいよ本格化しました。大手出版社の角川と学研は、今後新刊本は原則
電子書籍で発行すると発表しました。その背景には急速に進むスマート端末の普及が
あります。すでに数千万に近い電子書籍購読の端末が普及していわれています。ゲー
ム機も電子書籍のリーダーになります。

加えて先行するアマゾンが日本でも端末のキンドルを発表し、精力的に市場開拓を進
めています。加えてアップルも日本において電子市場に参入すると発表しました
iPadのユーザーには朗報でしょう。

図書館でも電子書籍の提供が始まります角川や講談社そして紀伊国屋書店が図書館で
の電子書籍の無料貸し出しに協力するようです。利用者は図書館に行かなくてもネッ
ト系で無料で一定期間電子書籍が読めます。当初は自社の電子書籍の販売と競合する
と考えていましたが、米国における図書館貸し出しが好評な事を見て姿勢を変えたと
のことです。

米国ではすでに大手出版社の売り上げの10数%から20%が電子書籍とのことです。

電子書籍の端末で各社がしのぎを削っていますが、人気の点ではアップルのiPadと
Amazonのキンドルでしょう。どの端末が良いのか評価が分かれます。iPadは画面が大
きくて読みやすいのですが片手では重くて読めませんので、電車の中で立って読むに
は辛いですね。キンドルは小さくて軽いので電車中でも立って読めますし、持ち運び
も便利です。操作は慣れているので私はiPadの方が使いやすいですね。iPad miniは
キンドルとほぼ同じサイズですのでこれは有力な候補でしょう。iPhoneでも読む事は
出来ますが長時間読むには目が疲れます。

このような日本における電子書籍の普及を予想して、我が俯瞰工学研究所でも電子書
籍の出版を3年ほど前から精力的に試行してきました。ホームページにありますがす
でに6冊の電子書籍を出版発売しています。発売サイトは大日本印刷系のhontoと紀伊
国屋書店のサイトです。ただプリントアウトした紙の書籍もほしいという方のために
三省堂書店のオンデマンドを印刷サービスにも登録しています。ぜひ電子書籍の時代
を体験しください。

そして6月にプラチナ構想ハンドブックの英語版を完成させ、これはAmazonとAppleで
全世界同時発売をしました。全世界で出版販売するというかつて考えられないような
ことが簡単にできました。海外のご友人にぜひご紹介ください。

これもプリントアウト版が欲しいという方のために三省堂書店のオンデマンドのサー
ビスに登録してあります。これは国内向けです。

新刊本は原則電子書籍で、角川、学研
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDD020J8_S3A700C1MM8000/
アマゾンがキンドルで電子書籍発売開始
http://www.nikkei.com/article/DGXBZO47756170X21C12A0000000/
Appleも日本で電子書籍参入
http://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/20130306_590553.html
拡大する電子書籍市場
http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00249187.html
図書館も電子書籍提供
http://book.asahi.com/booknews/update/2013070400003.html
米国は売上構成比は10数%?20%
http://www.fujisan.co.jp/yomimono/articles/4738
キンドル対iPadミニ 電子書籍を読むなら
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFK1901B_Z11C12A2000000/
俯瞰工学研究所の電子書籍
http://www.fukan.jp/
紀伊國屋書店のサイト
http://www.kinokuniya.co.jp/disp/CSfDispListPage_001.jsp?qs=true&ptk=03&q=%E4%BF%AF%E7%9E%B0%E5%B7%A5%E5%AD%A6%E7%A0%94%E7%A9%B6%E6%89%80
honto
http://honto.jp/ebook/search.html?pbcd=1000000875
三省堂書店オンデマンド
http://www.books-sanseido.co.jp/ebm/list.pdf


◆書評◆
今月のご紹介は
「コトラーのマーケティング3.0」 フィリップ・コトラー他 朝日新聞出版2010
です。

コトラーはマーケティング理論では世界で並ぶ人がないほどの権威者ですが、その最
新版と言っていいでしょう。グローバリゼーション、地球環境、デジタル革命と言う
世界の急激な変化を受けて、それに対応する新しいマーケティング理論を提唱してい
ます。すなわちこの本が提唱するマーケティング3.0とは、企業が消費者中心の考え
方から人間中心の考え方に移行し、収益性と企業の社会的責任がうまく両立する段階
であると言っています。

インドネシアのコンサルタントの提案をもとに共同でこの概念を提唱しています。そ
のためインドネシアのヨドノ大統領の推薦の言葉が載っています。またおびただしい
最近のビジネス書のキーワードが引用されていますので、ビジネスマネジメントやマ
ーケティングの最近の状況を俯瞰的に理解できます。さらに過去60年のマーケティン
グの歩みと称するパラグラフもありますのでマーケティングの俯瞰的な理解ができま
す。内容も明快でわかりやすい解説なので、ビジネスに興味がある方はぜひご一読を
お勧めします。

その中から、マーケティング3.0の解説のフレーズをいくつかご紹介しておきましょう。

・マーケティング3.0では感情に訴えるマーケティングを、精神に訴えるマーケティ
  ングで補うのである。
・マーケティング3.0に向かうビジネス状況は、参加の時代、グローバル化のパラ
  ドックスの時代、クリエイティブ社会の時代である。
・マーケティング3.0は、協働マーケティング、文化マーケティング、スピリチュア
  ルマーケティングの融合である。
・マーケティング3.0は、似通った価値の要求を持つ経済主体の協働活動なのだ。
・マーケティング3.0は、文化的課題を企業のビジネスモデルの中心に据えるマーケ
  ティングである。
過去60年のマーケティングコンセプトは主として縦の関係を軸にしていた。新しい
  消費者信頼システムは横の関係に支えられている。今日の消費者は自分たちだけの
  コミュニティに集り、自分たちだけの製品や経験価値を共有し、賞賛に値する個性
  を持つ人物に出会うと直ちに熱烈な支持者になる。
マーケティングはもはや単なる販売やツールを使った需要の創出をみなされるべき
  ではない。今では企業が消費者の信頼を取り戻すための最も重要な頼みの綱である。
・マーケティング3.0において企業文化とはintegrityのことだ。
・つまり社員の共有価値と共通の行動を一致させることである。企業文化は協働的、
  文化的、創造的でなければならない。

最後にまとめにあるマーケティング3.0の10の原則を紹介しておきます。
 1.顧客に愛持って接し、競争相手に敬意を持って接しよう。
 2.時代が変化するときは、時代とともに変化しよう。
 3.価値を明確にし、決して放棄しないこと。
 4.自社が最大の便益を提供できるセグメントを狙う。
 5.品質を反映した公正な価格をつけよう。
 6.あなたの会社の製品を将来の顧客が見つける手助けをしよう。
 7.顧客を生涯にわたる顧客とみなそう。
 8.あらゆる製品がサービスを遂行するのだから、あらゆる企業がサービス企業である。
 9.自社のビジネスプロセスをあらゆる方法で日々改善しよう。
10.賢明な経営者は、決定の財務的インパクトだけではなくそれ以外のインパクトも考慮する。

=======================================
◆内容・記事に関するご意見・お問い合わせ/配信解除・メールアドレス変更
右記まで  webmaster@fukan.jp
……………………………………………………………………………………………
俯瞰 MAIL 0031号(2013年7月23日)
発行元:    一般社団法人 俯瞰工学研究所
発行責任者:松島克守
URL:     http://fukan.jp
=======================================
 
 
俯瞰メール31.pdf 俯瞰メール31.pdf
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俯瞰メール30号

◆時候ご挨拶◆
田は緑の絨毯を敷き詰めたようできれいですね。水田は完全に水平ですので起伏ある
欧米の牧草地の風景と違う日本独特の風景です。みずほの国、日本ですね。今年は梅
雨がはっきりしませんが特に水不足の話は出てきません。四季があり緑と水に恵まれ
た日本の国土を汚すことなく大切にしていくことが私たちの使命です。
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・アベノミクスはうたかたの夢か
・中国と米国は首脳会談で何を話したのか
・世界の構造変化を認識しないといけない
・深刻さを増す日韓関係
・ロシアのウラジオストクに行ってきました
・ウラジオストクのマツダ
・俯瞰サロン盛況です
・頭のよくなるクッキング16
・デジタル書斎の構築22
・書評「中国に立ち向かう日本、つき従う韓国」鈴置嵩史 2013
-----------------------------------------------------------------------------

◆アベノミクスはうたかたの夢か◆
もう少し夢を見させてください、という望みも無残に5月を過ぎると株価も円安も3月
の水準に戻りました。アベノミクスはうたかたの夢だったのでしょうか。この間10兆
円くらいの投機マネーが流入して高値で売り抜け膨大な差益を確保して出ていったの
でしょう。まだ機会を狙っている人もいますが、いずれにせよプロの仕事の世界です
ね。これが資本主義ですから。

もともと異次元的な金融緩和で市場が期待し過ぎたかもしれませんが、続く第3の矢が
あまりにも期待はずれだったのでしょう。規制緩和で構造改革と言う日本国の再生の
道筋が極めて曖昧です。運悪く7月に参議院選挙がありますから、抵抗勢力の多い規制
緩和をはっきりと打ち出す事は出来ません。憲法改正は依然主張していますが、国民
の大部分はほとんど関心ありません。規制の中でも重要な課題は法人税率引き下げで
すが、これは代わりの財源と財政規律についてはっきりしたポジションを取る必要が
ありますからこれは秋以降に持ち越しです。混合医療も医師会関係者の反対で先送り
になりました。農業の民営化すなわち株式会社による農地の取得と統合、これは全農
の反対をあたかも農業従事者の反対のようにすり替えてこれも秋以降に持ち越しで
しょう。耕作放棄地、後継者難そして食糧危機という中でまだバラマキの個別補償を
続けるのでしょうか。耕作放棄地に太陽光パネルを設置する事も現在は原則禁止です。

いちばん抵抗力がなくかつ政策として経済効果は薄い薬のネット販売だけが具体的な
規制緩和になりました。

政治ですから事情は理解できますが、市場関係者はとりあえず利益を確定して秋以降
の安倍政権の決断と実行を見ることにしたのでしょう。

農協は農業に必要か
http://www.systemicsarchive.com/ja/b/coop.html
医師会は何故混合医療を嫌がるか
http://ikedanobuo.livedoor.biz/archives/51754488.html
薬ネット販売解禁
http://www.nikkei.com/article/DGXNASGC04008_U3A600C1MM0000/


◆中国と米国は首脳会談で何を話したのか◆
米中首脳会談で何を話したのか興味以上の関心があります。無論北朝鮮の非核化につ
いては最優先で話したと思います。拉致問題は話題にしていないでしょう。G2を認め
させたい中国とそれを認めない米国の立ち位置は変えられませんが。太平洋への関心
が話されたようです。東太平洋は米国、西太平洋は中国で管理しようという日本人か
ら見ると驚愕するようなことを平気で主張したでしょう。海上覇権は習近平の中国の
栄光を取り戻すという最重要課題の柱ですから。尖閣はその太平洋への出口ですから
中国は決してあきらめませんね。オバマ大統領は尖閣が日米安保の範囲である事を繰
り返したと思います。

この時期日米は米国海軍の根拠地であるサンディエゴ沖では島嶼奪還訓練をおこない
大型護衛艦の“ひゅうが”にオスプレイを着艦させ、エレベーターで内部に収納して、
また甲板から発艦させて見せました。防衛型ですが空母の機能があることをデモンス
トレーションしたわけです。実弾での訓練もやっています。もしもの時は自衛隊だけ
で任務を遂行するしかありません。米国人の血は尖閣では流せませんでしょう。しか
しこのくらい見せないと中国の暴走は抑止できないでしょう。

もう一つ議題はサイバーテロです。実はサイバーテロという国家間の戦闘の実態が表
面化しました。米中首脳会談でサイバー攻撃を持ち出した米国に対し、中国も被害者
だと切返し、直ちに中国は手持ちのカードを切りました。香港に保護状態に置いた元
CIAのエージェントに米国による膨大な中国機関へのサイバー攻撃の実態を暴露させ
ました。本人は中国政府と接触ないと言っていますがタイミングとしてはこんな印象
ですね。彼はあくまでオバマ大統領の変節が許せないので真実を明らかにしたと言っ
ています。

これには米国もやられましたね。意外と米国のCIAも甘いです。ともあれ米中はサイ
バー空間で宣戦布告なき戦争状態であることが露呈しました。

米中会談の内容
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFK1701R_X10C13A6000000/
http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20130615&ng=DGKDASFS14011_U3A610C1EA1000
オスプレイが海自艦船に初めて発着艦
http://mainichi.jp/select/news/20130615k0000e030168000c.html
オバマ米政権による大規模な情報収集活動を暴露
http://mainichi.jp/area/news/20130613ddf007030024000c.html
http://mainichi.jp/select/news/20130615k0000m030056000c.html
http://jp.wsj.com/article/SB10001424127887323504304578544422812110476.html
中国の反応
http://sankei.jp.msn.com/world/news/130617/amr13061722560009-n1.htm
http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20130618&ng=DGKDASGM1703B_X10C13A6FF1000
CIAエージェントは語る
http://m.jp.techcrunch.com/2013/06/18/20130617truth-is-coming-and-it-cannot-be-
stopped-the-best-of-edward-snowdens-qa/?utm_source=dlvr.it&utm_medium=twitter

米中サイバーウォーズ
http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20130617&ng=DGKDASGM0301H_U3A600C1PE8000


◆世界の構造変化を認識しないといけない◆
世界という構造が変化してしまったのです。国家という概念が変わったという事でも
あります。戦争の形態が変わりました。そもそも国境というものは甚だ人為的で、ア
ラブの世界では、スンニ派とシーア派そしてクルド族という集団の争いで国家間の戦
争ではありません。古くはユダヤの集団、そして東南アジアの華僑集団は国境とか国
家とか関係なしに活動しています。アングロサクソンも米国、英国、カナダ、豪州、
ニュージーランドは国際紛争では一体として動きます。たまたま日本は国境が海で国
家と民族がほぼ一体という事ですが他の国は殆ど違います。

米国のブッシュ大統領は9.11の後テロとの戦争を宣言しました。そしてイラクへ、
アフガンへと兵を進めました。宣戦布告なしです。戦争の対象が国家でなくテロとい
う抽象概念ですから。結果古典的な国家間の戦争を前提とした戦争に関する国際法は
対応できません。捕虜もキューバのグアンタナモ基地で国際法の範囲外の処理です。
今日もオバマ政権のアキレス腱の一つです。人権外交のクリントン政権以来の米国外
交は迷走状態になります。アラブの春、そしてシリア内戦と米国の腰は据わりません。
北朝鮮に対し脱北者の取り扱い、拉致者の帰還などの人権交渉も力が入れられないで
しょう。上記のサイバー戦争もこの世界という国際構造の変化から来ています。日本
もその世界に今いることをしっかりと認識しなくてはいけません。霞が関は長年CIA
の盗聴にあっていることは認識していますが。

古典的な戦争はあくまで国外が戦場ですが、テロとの戦争という抽象概念の敵は国外
と国内を区別できません。従って国内の国民にも戦闘行為が及びます。

今、米国のIT業界は政府の安全保障組織から顧客情報の提供を強要され応じてきたよ
うですが、流石にこれ以上は自身のCSRという倫理から素直に応ずるリスクが大き過
ぎて問題提起をし始めました。電話の通信記録の提供も問題として提起され事件の様
相です。関連してサイバーテロについては通信の守秘という古典的な規範も揺れます。

この件では意外と米国民は容認です、やはり9.11のショックは深いのでしょうか。
当局のNSAはこの情報提供で多くのテロを未然に防いだと主張しています。

無論国際的に懸念が発せられています。

また英政府の情報機関「政府通信本部(GCHQ)」が、ブラウン前政権下で2009年
4月に開催された主要20か国・地域(G20)首脳会議や同年9月のG20財務相
・中央銀行総裁会議で、参加国閣僚らの電話や電子メールを傍受していたと報じられ
ました。新たな戦争の時代は同盟国も攻撃の対象になります。

日本は??

大規模な米国民の通話情報収集
http://wired.jp/2013/06/10/nsa-verizon-call-records/
FBIなどがネット企業と協力して個人データを収集
http://yro.slashdot.jp/story/13/06/12/0557201/
http://wired.jp/2013/06/11/prism-faq/
米大手IT企業、NSAの秘密主義に反発
http://jp.wsj.com/article/SB10001424127887323504304578540612685072252.html
http://yro.slashdot.jp/story/13/06/12/0557201/
56%が「容認できる」米世論調査
http://wired.jp/2013/06/13/most-americans-not-worried-about-govt-phone-email
-tracking/?utm_source%3Dfeed%26utm_medium%3D

「テロ50件以上防いだ」 当局トップ
http://www.nikkei.com/article/DGXDASGM1900N_Z10C13A6EB1000/
国際的懸念
http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20130618&ng=DGKDASDF1700F_X10C13A6EA1000
英政府G20首脳会議の電話や電子メールを傍受
http://mainichi.jp/select/news/20130618k0000m030030000c.html
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20130617-OYT1T01046.htm?from=ylist


◆深刻さを増す日韓関係◆
日韓関係が深刻さを増しています。まず韓国のメディアが異常です。韓国の主要全国
紙の中央日報が原爆投下は神の懲罰、という論説記事を掲載したことにおどろきまし
た。常軌を逸しています。ネットの書き込みではありません。朝日や毎日がこのよう
な記事を掲載する事に相当しますから。李明博大統領がメディアを引き連れ竹島に上
陸した映像を流し、天皇謝罪を口にした時は驚きましたが、まあ支持率が低くなり自
身のスキャンダルも報道される政治家だからしょうがないなと諦めましたが、国民世
論を有るべき方向に引っ張る責任ある大新聞が冷静さを失い反日感情を煽り立てるの
は、すでに韓国の知識人の層までが冷静に日韓関係を処理する事を放棄して大衆並み
の感情に任せて動く状態になったといえます。となると日韓関係は当分改善ないで
しょう。

対馬仏像盗難事件とそれに対する対応も異常ですが、ネットの世界では日本のアニメ
に関してさらに感情的な書き込みがされています。

朴大統領も米韓首脳会談という場違いな場で日本批判を持ち出し、さらに中国訪問で
日本を相手にせずというデモンストレーションをしています。中国への配慮が滲み出
ています。米国からのTPP参加の要請も中国とのFTAのほうを優先しています。

韓国には日本と異なり国民に嫌米感情があるようです。その一方でロサンゼルスを中
心に巨大な韓国人コミュニティーがあり、それを利用した議会対策のロビー活動も盛
んですが。

もし朴大統領がウォン高、経済停滞で不安定になる国内情勢を反日でかわそうとする
ならば其れは間違いです。米国も日韓で何とかしてよという事を言っていますが、現
在の韓国国内の状況では、たとえ朴大統領がなにかしようとしてもメディアがこんな
に感情的な状態では何もできません。もともと保守層を総動員して辛勝した政権です
から。こんな感情論では日韓関係は改善のアクションは双方とも取れません。何れに
せよこれまで日韓交流親善に務めてきた方々には辛い時間が続きます。日中が決着し
ないと日韓は解決しないという事です。

対馬・盗難仏像
http://www.j-cast.com/2013/05/31176358.html?p=all
http://japanese.yonhapnews.co.kr/society/2013/06/07/0800000000AJP20130607002500882.HTML
http://www.47news.jp/smp/CN/201306/CN2013061301001044.html
原爆は神の懲罰
http://www.youtube.com/watch?v=8XYs6ZX3QXI
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20130529-00010003-jisin-pol
http://sankei.jp.msn.com/world/news/130525/kor13052509230006-n1.htm
原爆コラム掲載は遺憾
http://www.asahi.com/international/update/0527/TKY201305270023.html
アニメ「進撃の巨人」の韓国の反応
http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20130604/249112/?rt=nocnt
http://www.j-cast.com/2013/06/06176731.html
http://www.j-cast.com/2013/06/10176958.html
朴大統領の訪中
http://www.xinhua.jp/socioeconomy/economy/349759/


◆ロシアのウラジオストクに行ってきました◆
ビジネスモデル学会の視察ツアーでウラジオストクに行ってきました。成田から僅か
2時間、近くて遠い国です。かつて人口が80万人ほどでしたが現在は60万人ほどの都
市です。ヨーロッパの街です。但し中国領だという中国の返還要求という話題もあり
ます。

2012年9月にこのウラジオストクのルースキー島でのAPECの開催で大規模なインフラ
開発が進み、天然ガスのパイプラインも最近完成して、進行中のLNGの液化プラント
が完成すれば、日本への輸出基地になるでしょう。何かときな臭いホルムズ海峡を通
過する現在の天然ガスの供給ラインのヘッジになります。ロシアは石油と天然ガス、
石炭の輸出が国家予算の半分ほどを占める国ですので、日本への輸出に積極的です。
近くのナホトカまで石油のパイプラインも完成しています。

街を走る90%は日本車の中古です。殆どがSUVです。5%が日本車の新車で残りが日本
車以外という事で、街中日本車で渋滞です。街に殆ど信号が無い事が渋滞の一因です
が、殆どの道が一方通行で、渋滞の中を回り道しますので小さな街ですが移動が厄介
です。

地形は起伏があり坂が多いのでロシアのサンフランシスコと言われているそうです。
霧も多くて展望台からも景色があまり楽しめませんでした。観光スポットは殆どあり
ませんね。

物価は高いですね。ものによっては日本と同じ位かそれ以上です。3.11で一時日本か
らの輸入が止まり其の間韓国と中国の製品が増え、安くてそこそこですので生活用品
はそのまま定着してしまったとのことです。食料は殆どが中国からとのことですが、
スーパーマーケットには食品は豊富です。

給与は7-12万円くらいというので、車の価格や物価を考えるとどうして暮して行ける
のか理解に苦しみますが、どうも裏事情がある様です。

海軍基地はありますが、ほとんど製造業は無く、水産業と農業ですので産業振興が最
重要課題で、日本企業の進出が期待されています。

現在は鳥取県の境港との間に定期のフェリーが就航していてこれが日本との輸出入の
ルートです。境港から韓国を経由してウラジオストクにきますので韓国との輸出入の
ルートにもなっているようです。

鳥取県はフェリーの着く桟橋の海の駅に事務所を開設して物産の輸出と観光客の誘致
をしています。

往復のフライトでも半数以上はロシア人ですので日露の通商は思っているより進んで
いると感じました。これから益々日露の交流の基地になることは間違いありません。
土地があるので農業で進出して欲しいということでした。米、大豆、ソバなどです。

ビジネスモデル学会
http://www.biz-model.org/
ウラジオストク
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A6%E3%83%A9%E3%82%B8%E3%82%AA%E3%82%B9%
E3%83%88%E3%82%AF

ウラジオストクは中国領か
http://www.fsight.jp/11951
ウラジオストクと鳥取県
https://www.tottori-ibc.net/jp/


◆ウラジオストクのマツダ◆
ご好意でウラジオストクのマツダの工場を訪問しました。殆どの自動車会社とは仕事
でお付き合いしましたが、マツダは仕事以上に思い入れがあります。色々な方々と胸
襟を開いておつきあいできたと思います、俯瞰のメルマガ29でも防府工場見学の報告
をしました。

ウラジオストクのマツダの工場は旧国営企業の跡地と思われる場所でカザフスタン発
祥のsollersというロシア企業との合弁です。隣には三井物産と同じsollersとの合弁
企業がトヨタのランドクルーザのノックダウンをしていました。工場の中に桟橋があ
り広島からのコンテナ船が横づけ出来ます。その桟橋が保税倉庫です。そのあと梱包
を解きフォークリストで組み立てラインに投入します。船からラインまで多分100
メートルも移動しません。

サプライチェーンの観点からはここウラジオストクが不凍港である意味がありますね。
工場の建屋は潜水艦の建造・修理のためか天井がとても高い建物でした。敷地の隣は
まだ潜水艦の修理ドックがあります。それを除いて周辺の土地は既に手配済みとの事
ですが大きくはありません。年産10万台が限度かもしれません。

工場内にはシベリア鉄道の支線が引き込まれて完成車は直接積み込まれ、モスクワ方
面に出荷される様になっていますが、驚くことに特別優遇措置で運賃はほぼ無料との
ことです。自動車産業振興へのプーチン大統領の強い意欲が感じられます。この工場
の開設式典には要望しないのにきてくれ、枝野通産大臣が直立不動で出迎えたそうで
す。

今はノックダウンですが、30ヶ月後にボディー溶接、塗装ラインを導入して更にそ
の30ヶ月後には現地調達率10%、という条件ですから相当大変そうです。とにかく
サプライヤーの集積なし、自動車製造の人材集積ゼロですから、原野の中に自動車工
場を建設すると同じです。関係者のご苦労は察して余りありますが、とても明るく前
向きな挑戦者です。幾多の苦難を乗り越えて今日を拓いて来たマツダの人財の力を感
じました。一度はフォードという外資の下に入り米国人の社長を迎えましたが、広島
マツダに赴任したフォードの幹部は多くが日本の経営を学び、その後帰国して本社で
抜擢されフォード再建を担いました。設計、生産も多くの事をマツダから学んだよう
です。20年以上前ですがフォードの幹部が米国でプレゼンテーションした資料の1枚
を見たことがありますが、“品質は公差に入っているだけではだめだ、分散を小さく
しなければならない、マツダに学べ”というスライドでした。

資金量ではトヨタ、日産などの大手に及ばない分、社員は知力でこれを補う気風があ
ります。最近のスカイドライブはその好例でしょう。圧縮比を異次元に高めることで
ガソリン車でありながらハイブリッド並の燃費性能を実現しました

この後復活すると思いますが、残念ながら今はロシアの新車販売は落ち込んでいます。

ウラジオストクのマツダ
http://topics.jp.msn.com/otoko_blog/other/article.aspx?articleid=1396377
http://www.mazda.co.jp/corporate/publicity/release/2012/201204/120427d.pdf
開設セレモニーにプーチン出席
http://jp.ria.ru/economics/20120907/
ロシア新車販売失速
http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20130617&ng=DGKDASGM12047_X10C13A6EB1000


◆俯瞰サロン盛況です◆
俯瞰工学研究所ではこれまで技術経営学講義というプログラムを実施して来ましたが、
今年から俯瞰サロンというプログラムを始めました。このブログラムは技術開発やベ
ンチャー創立、ビジネスの連携という過去の大きなシーンの内幕、今だから話せると
いうような貴重な裏話をその当事者からお聞きするプログラムです。プログラムの詳
細は俯瞰工学研究所のサイトの左のインデックスにある俯瞰サロンをご覧ください。
とりあえず5月22日からスタートし、最初のお話は日本のインターネット時代を拓い
たIIJ創立の時の舞台裏を当時のスタッフから赤裸々に聞きました。当局とのバトル
が凄い迫力でした。

今回は18日、ソニーとAppleの連携交渉の実話でした “ソニーとアップルのニヤミス”
という題です。参加は14人でした。お話は、今回3.5インチのフロッピーの開発と初代
MACへの売り込みそして世界標準への道でした。すごく感動的なお話で胸にジーン
と来るものがありました。

基本的には会員が対象ですがご参加をご希望の方はサイトからご連絡ください。


◆頭のよくなるクッキング16◆
通勤??(今は勤務先ありませんが)は自宅から恵比寿までを約15分程度歩くように
しています。途中にすごく魅力的な居酒屋や料理やレストランがありますのでその誘
惑に帰宅の途は寄り道になることがあります。今回は一つの道をご案内しましょう。

恵比寿駅の西口を出て恵比寿様の像の前を通り交番の所の横断歩道を渡りそのまま
真っ直ぐに入る道です。入り口の右の角はソフトバンクのお店です。その先地下に降
りたところに日本料理の「かどた」があります。焼き魚のおいしい手ごろな日本食レ
ストランです。オススメは5,000円のコースです。いつも満員で予約なしで行くと入
れないことがよくあります。その先の角をまがったすぐの地下に「Bistro CarneSio」
があります。これはイタリアかスペイン風の肉の居酒屋という感じの店です。最近は
肉を控えているのであまり行きませんがオススメです。その店の道を渡った左側に
「魚一商店」と言う魚料理の居酒屋があります。刺身を中心に新鮮な魚が安くて美味
しい店です。水槽もあり活きたイカが泳いでいます。マグロの中オチはそのまま出て
きて自分でスプーンで、掬いとって食べます。美味しいですね。その先にステーキハ
ウスの府川があります。入ったことありませんが雑誌に紹介されていてヒレステーキ
が美味しそうです。そこから少し歩くと角にビヤホールがあります。立ち飲みで、い
つも人で溢れています。ビールもワインもとても安いです。さらに少し歩いた道を
渡った右側にはGuaposと言うスペインのBARがあります。いろんなワインが安く飲
めます。酒のつまみそれはスペインのBARと同じです。その1軒先に有名な「俺の
フレンチ」があります。ブックオフの創業者が始めたレストランチェーンで大人気で
す。 5時前から行列ができ、 9時になっても行列があります。 11時が閉店ですがそ
の頃には食べるものは残っていません。テレビでも紹介されていましたが立ち食いの
フレンチ料理です。その先の角には「フィッシュハウス」と言うオイスターバーがあ
ります。いろいろなカキが用意されていますが、今は夏ガキですね。それから先も店
はありますがこの通りはここで終わりです。ご案内した店の間はカラオケ、バー、飲
食店が殆どです。

時間と興味がお有りの方、一度散策されてはいかがでしょうか。

◆デジタル書斎の構築22◆
前回ドラゴンスピーチという音声認識ソフトがかなり使い物になるというご報告をし
ましたが、これを使って会議の議事録が作れないかなという事に挑戦してみました。
見事失敗でした。今回の“頭がよくなるクッキング”と“書評”はヘッドセットマイ
クによる直接入力、ドラゴンスピーチの口述入力です。簡単な修正で仕上がりました。
問題なく実用的で入力スピード即ち原稿は10倍速く完成です。

そこでiPhoneに外付けマイクを付けて幾つか実験してみました。購入したマイクは、
Amazonで1980円の【iPhone5/iPad/iPad mini対応】スタンドクリップ付高性能ビジネ
スマイクです。

まず文章を読み上げてその音声ファイル(WAV)を認識させてみました。下記がその
結果です。読み上げた文章はこのメールの時候の挨拶です。

タワー緑の絨毯を敷き詰めたようで綺麗ですね水田は完全な水平ですので欧米の牧
草地の風景とは違う日本独特の風景ですみずほの国日本ですね今年は梅雨が発揮して
いませんが特に水不足がなされてきません識があり緑と湖まで日本の国土を汚すこと
なく大切してことが私たちの使命です”

かなり誤りがありますが修正すれば文章を復元できます。

次は胸にピンマイクを付けてスライドでのプレゼンテーションを録音してそのファイ
ルを認識させました。スライドは地域クラスターの説明です。結果は下記です。

親クラスタの地域経営戦略が気にクラスタの特定の地域における企業大学公的から
のネットワークで構成されもらって反日的な近接のみよる工業団地や下げ渋った俯瞰
新事業展開が4匹産官学連携室家が買える人があるがを更新することが強い経済効率
が違う違ってる好ましい好循環でされて地域の課せられるその鍵はイノベーション志
向する地域文化の醸成後行きます“

これはかなり酷いですね。ただ私の滑舌の問題もあると思いますが、これから原稿起
こしは骨ですね。

次は広い部屋でのプレゼンテーションを録音して音声認識させた結果です。プレゼン
テーションはフロッピーディスクの開発の物語でした。その一部の結果です。

オーバーナイト系のその方にされているジキルと前にないかもしれないというです
ね。店主が勝をするのはあまり好きじゃない んちゃってするデジタルなので得られ
る花粉ですね書き込み電流はあのピアス厳しく言ってみるのもあるんですけれども得
られるがGoogleがすごくわかってきてねー結局組なのでさっき見ましたけれどもスザ
ンヌを発売までに3ミクロンまでにできたそれも大変でο 20世界されているので世界
最高の魅力?輸出先は新入社員が強さも説得するとすぐに大変なそれもあの花理由で
すねという皆様お元気ないそのその会社がものすごい自信のあるそれは違うものにプ
ライスにその別のものです。”

全く使えませんね。音声が反響している事、人工知能が勝手に変な推論を行ってしま
うのでこんな不思議な文章になってしまうのでしょうか。

何れのファイルも音声としては人間には全く問題なく聞こえます。頑張って研究を続
けまた報告いたします。


◆書評◆
今月のご紹介は「中国に立ち向かう日本、つき従う韓国」鈴置嵩史 2013 です。

本書は近くて遠い国、知っているようで知らない国、韓国に関する俯瞰的理解を深め
る本です。著者は日本経済新聞社の編集委員で広く国際関係の取材をし、またハーバ
ード大学の研究機関での研究実績もある専門家で、少し辛口かもしれませんが傾聴す
るに値する見識だと思います。

すでに上記の「深刻化する日韓関係」で述べたように韓国の近年における国際的な立
ち位置の変化を理解する最初のキーワードが「離米従中」です。メディアも「中国を
甲として、韓国を乙とする関係」という意見を紙面に登場させているということです。
また靖国神社に放火した中国人を日韓両国間の条約にもとづいて引き渡しを求めた日
本政府の要請を無視し中国に送り返した、ということも韓国政府が中国の圧力に屈し
たということです。前回紹介した日韓軍事情報保護協定のドタキャンも中国の強い指
示に屈したといわれています。

即ち次のキーワードが「恐中卑日」です。日韓問題の本質は実は「反日」ではなく
「恐中」であると言うことが著者の見解だと思います。そのため韓国は米国と中国と
の間をうまく泳ぐというのが国家戦略であり、日本は無視ですから本質的な日韓関係
の改善は極めて困難です。

内容は、第1章 中国ににじり寄る韓国の本音、第2章 日本を見下す韓国の誤算、第3
章 米国と離れる韓国の勝算そして第4章 妖怪大陸を見つめる日本の眼、です。いず
れの章も後半にテーマにふさわしい知識人との対談が収録されているので、一方的に
著者の主張を聞くだけでなく関連意見を認識することができます。この部分も大変興
味深い内容です。第4章2つ目の対談は韓国でのビジネス経験がある経営者の方との
談で、生々しい過去のいきさつが述べられています。

エピローグとして著者は、結局は中国といかに付き合うかが本質的な日韓関係である
と述べています。なぜ韓国が中国の顔色を覗うようになったのかは、実は二度も米国
から見捨てられた歴史があるからということです。一度は1950年のアチソン国務長官
の演説で、米国が責任を持つ防衛ラインはフィリピン、沖縄、アリューシャン列島で
あると述べ、これが北朝鮮が韓国に侵入するきっかけとなったとのことです。二度目
は1971年の米中の和解でこの時朴大統領は「米国に見捨てられる」と言う深い危機感
を持って、核開発と長距離ミサイルの開発を試みたが米国の強い反対で挫折して、か
つ朴大統領は暗殺されるに至ったという歴史もあります。

いずれにせよジャーナリストとしての客観的な情報の上にはっきりとした主張がされ
ている本で、冒頭に述べたように日韓関係や日中関係を俯瞰的に深く理解するために
役に立つと思います。ご一読をお勧めします。

=======================================
◆内容・記事に関するご意見・お問い合わせ/配信解除・メールアドレス変更
右記まで  webmaster@fukan.jp
……………………………………………………………………………………………………
◆俯瞰 MAIL 0030号(2013年6月22日)
発行元:    一般社団法人 俯瞰工学研究所
発行責任者:松島克守
URL:http://fukan.jp
=======================================

 

俯瞰メール29号

◆時候ご挨拶◆既に田に水が入りました。すぐ田植えです。そのまだらな緑が濃い緑の青田になりやがて黄金色の世界になりますがその間は僅か数か月です。5月に北の日本では雪が降り、暑さと寒さが交互に来てこの後の気象も気になりますが、株価と為替は一直線に上昇と低落を続けています。こちらは今しばらくこの調子で行ってもらいたいですね。-----------------------------------------------------------------------------・株価1万5千円超えに沸く日本・外交関係も動きが慌ただしいです・いよいよ難しくなった日韓関係・中国 アズ ナンバーワン・習近平は人民解放軍を掌握しているのか・俯瞰サロン始めます・頭のよくなるクッキング15・デジタル書斎の構築21・書評「中国台頭の終焉」 津上俊哉 日経新聞社 2013-----------------------------------------------------------------------------

◆株価1万5千円超えに沸く日本◆日経平均が1万5千円を超えたニュースは号外のように駆け巡りました。12月から見事に一直線の上昇で、これまでのように時々利食いの谷を想定していたプロも驚きのようです。すでに目線は小泉内閣時代の1万8千円に行っているようです。あのPanasonicもこの間2倍の上昇です。12月にPanasonicの企業分析をゼミでして、会計上の赤字は巨額だが営業黒字の路線には乗って来たから株は買いだね、といっても買っていません。手持ちの株式が低位で売ってその資金を捻出できませんでしたから。こんなもんですね。
円も一気に100円を突破し企業業績は何もしなくても大改善です。この円高は韓国にとってクロスカウンターで、中国にとってはボデーブローとして効いていますから、両国にとっては困った現象でしょう。取分け韓国は前政権が裏でウォン安の操作をしていましたが、米国からクレームされて打つ手がありません。
第3の矢の成長戦略次第でこれが年末まで続くか、失望で下がるかスリリングな時間が続きますね。
既に規制緩和は大幅に後退して失望しています。鳴り物入りの民間議員が変節気味で何やら既得権益の擁護にまわっています。参議院選挙を意識しているなら憲法改正より、少子化の切り札である待機児童ゼロの公約と実現くらいはやってほしいですね。横浜市は実現しました!やればできるのです。林市長に敬意を表するともに、少子化対策大臣になっていただきたいです。
一方また混合医療は先送りです。参議院選前ですので規制緩和は利権集団に遠慮がちかもしれませんが、キチッと構造改革をしないと、悲惨な結果に終わるというFTの忠告は非常に重要です。
中国と韓国がアベノミクスで失速http://s.news.mynavi.jp/news/2013/05/05/071/index.html円安の中韓への衝撃http://www.sankeibiz.jp/macro/news/130415/mca1304150925001-n1.htmアベノミクスだけでは構造改革は出来ないhttp://www.nikkei.com/search/site/?searchKeyword=FT

◆外交関係も動きが慌ただしいです◆この間安倍首相のロシア訪問、トルコ中近東訪問と麻生副総理のインド訪問は露骨な中国包囲網を感じさせましたが、中身は結構凄いです。
まず北方領土問題です。柔道の引き分けを言葉にしたプーチン大統領ですが、面積等分は現実味が出てきました。これを受け入れてロシア極東開発で日露提携が出来ればこれは成長戦略になります。エネルギー戦略にもなります。そして強力な対中戦略になります。
期待を掛ける展開は、この世紀の決断を安倍政権がすることです。憲法改正の議論で保守勢力を引きつけ、無いとは言わない衆参同時選挙という劇薬をチラつかせ野党を恫喝し、異次元のロシア支援策でこれを決着させることです。あくまで妄想的ですが。
第2次世界大戦で失った領土を平和裏に取り戻す成否は、この現実的な面積等分を受け入れる「大人の判断」が日本人に出来るかで決まりますね。
2年ほど前にロシアに行きかなり親日的なロシア人と話した感じでは、北方4島にはほとんど興味はないようでした。ただコメントは「日本は第2次大戦の結果を受け入れるべきだ」でした。一方、小沢元民主党代表からは1991年に旧ソ連から北方領土を買ってくれないかという打診があったという興味深い話もリークされました。買えればこれが一番良かったかもしれません。最悪は「北方4島返還!」というお題目をこれからも唱え続けることです。
安倍首相ロシア訪問http://japanese.ruvr.ru/2013_04_29/112041887/日露の経済パートナーシップhttp://jp.wsj.com/article/SB10001424127887323343804578453492845499644.html?mod=djem_Japandaily_t面積等分の言及http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20130430&ng=DGKDASFS30009_Q3A430C1MM0000旧ソ連からの買い取り検討http://www.j-cast.com/s/2013/05/05174459.html

◆いよいよ難しくなった日韓関係◆韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領が歴史認識を巡り、オバマ米大統領との会談や米議会での演説で日本を批判しました。韓国国内に対するアピールでしょうが、日本にとって強力なパンチでした。議会演説をしたことで安倍首相より厚遇だという話も出ましたが、これは韓国が持つ米国議会での強力な韓国ロビーの力で、ホワイトハウスの意向ではないと思います。韓国ロビーはかつて策を立て時間をかけて慰安婦問題の下院非難決議を実現し、またブッシュ大統領訪韓に合わせて米国の地図で竹島を独島に変更させた実績があります。さらに日本海を東海に変更してほしいという要求をしましたがさすがに米国はノーでした。
ここで橋下大阪市長の迷走の発言です。当然韓国はもとより米国からも非難が出てきました。参議院選挙向けとは思えません、何を意図したのか全く理解できませんが、国政の舞台とか政界のリーダーの器ではないことは証明されました。石原慎太郎共同代表の援護発言も理解に苦しみます。この二人を代表にして、維新の会は参議院選挙を戦うのでしょうか。連携を求めていた他の野党も引きます。政治家には、国益の意識が薄く軽々に個人的な意見というか、何も考えていない口任せのセリフを言うリーダーにふさわしくない人が多いですね。これで日韓関係は一段と難しい状態になったことは事実です。
ただ、朴大統領も不幸で、同行の報道官のセクハラ事件で、米国国会演説で上げたポイントが台無しです。加えて北朝鮮との関係はますます行き詰って精神的な余裕がなくなってきたと思います。
この日韓関係の軋みに苦慮しているのが米国です。対中、対北朝鮮問題解決には米国、日本、韓国の緊密な連携が必須ですが、この状態では北朝鮮を利するばかりです。
しかも昨年ですが、日韓の軍事情報包括保護協定の調印を1時間前という土壇場でキャンセルし、日韓両国は通貨スワップ協定の延長を取りやめています。これでは米国政府も戸惑いを隠せません。
韓国は日韓関係より中韓関係を重視する方向を見せています。通貨スワップ協定を中国と締結しました。朴大統領は訪米に次いで、中国訪問を計画しています。日本はかつて韓国の最大の貿易国でしたが今は中国が最大の貿易相手国ですから、当然といえば当然ですが。ただ今後の中韓関係はいずれにせよ注意が必要です。日本に立ち向かい、中国と連携する韓国は米国ともいずれ距離を置くのでしょうか。想いは中国の支援で韓国主導の南北統一でしょうかというと云い過ぎですね。
日韓関係を憂慮した米国は、最近では歴史認識まで踏み込んできました。安倍首相の河野談話見直し発言をハラハラしてみてきましたが、シーファー前駐日米大使の忠告で河野談話、村山談話を踏襲するという事が確認されました。米国から見ると安倍首相もガキ大将くらいの評価かもしれませんね。かつて日本占領軍総司令官のマッカーサー元帥は、日本人の精神年齢は中学生と言いました。
さらに、突然の飯島参与の北朝鮮訪問で米韓とも不快という事で日韓関係は当分好転しませんが、経済的な連携は政治とは関係なく進めていくしかありません。
日韓関係と米国http://www.nikkei.com/article/DGXNASGM1000E_T10C13A5FF2000/日韓軍事情報包括保護協定http://www.nikkei.com/article/DGXNASFK2502N_W2A720C1000000/前駐日大使の発言http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS0700F_X00C13A5EB1000/

◆中国 アズ ナンバーワン◆中国経済の変調に関する論議が多くなりました。高度成長の時代が終わり7%程度の安定成長になるというのが中国政府の計画です。ただ、現在の7%の数字さえ疑う論調があります。輸出統計ですが、“相手国の輸入通関統計との大幅なズレが見つかったことに加え、輸出額の異常な伸びがあったのは深セン市という局部だったからだ。当地では香港との間で偽装が疑われる「一日遊」(一日で行って来い)と呼ばれる貨物の輸出入が常態化、ほかに輸出価額の過大申告もあるらしい。輸出増値税還付や地方政府の輸出優遇措置の騙取のほか、偽装した輸出代金の受け取り過程をいわゆる「ホットマネー(熱銭)」の流入ルートに提供するといった動機が疑われている”という話です。もともとGDPの発表値を李首相が信じていないという話は有名です。彼が信じているという電気量消費と交通量は顕著な落ち込みを見せています。
中国は近い将来米国を抜いて世界1のGDPになるという事が言われそれが中国の強気な姿勢と行動の要因になっていますが、因みに今後10年間で中国の成長率を7%、シェールガス革命に沸く米国の成長率を3%とすると、10年たっても米国を抜くことはありません。日本もかつて“JAPAN as No.1”といわれた時代がありましたが。
さらに労働人口の減少に加え格差是正の政策から人件費の高騰が凄まじく、これにより世界の工場としての中国の優位性は急速に低下しそうです。実に沿岸部ではこの3年で人件費が6割増という報告があります。したがって中国企業を含め、ベトナム、ミャンマーなどアジアへの生産移転が進みます。日本企業も反日もあり小売り流通業以外の製造業は中国投資をアジア投資に舵を切っています。そして既に日本より価格が高い製品が続出しています。
環境汚染も依然深刻で日本からの環境技術移転の話も少し進展していますが、工場の新設に住民が反対していてこれも中国経済に安易な高度成長を許さないでしょう。
不可解な輸出入統計http://dw.diamond.ne.jp/articles/-/5270http://www.jiji.com/jc/zc?k=201305/2013050900699中国の人件費3年で6割高http://www.nikkei.com/article/DGXNASGM1304X_T10C13A5MM8000/http://jp.wsj.com/article/SB10001424127887323343804578455631993021920.html中国を抜きASEANに注力http://news.mynavi.jp/news/2013/05/15/158/index.html日中価格逆転http://www.nikkei.com/markets/column/globaloutlook.aspx?g=DGXNASDF0200J_02052013000000日中関係悪化に係らず日本の環境支援http://nissya.com/archives/26473127.htmlhttp://www.komei.or.jp/news/detail/20130509_11109

◆習近平は人民解放軍を掌握しているのか◆事なきを得ましたが、一時中国軍がインドと中国の実効支配線を超えカシミール地方に侵入して両軍が対峙する事態がありました。この時期になぜという事ですが、もしかして習近平は軍事主席の地位につきましたが、実質的に軍を掌握できていないのではないかという疑念がわきます。常識的に考えられない軍の動きです。李首相の中国訪問でのインド、中国両首相の会談も白々しい雰囲気のようでした。
外交的な思惑があるかもしれませんが、アジアにおける中国の孤立が進むだけで国益になりません。そして各国の軍事予算を増加させるという、経済的なマイナスを生みます。
ご存知のように人民解放軍は国防軍ではなく中国共産党の私兵です。軍の統帥権が政府に無かった旧日本軍と同じ体制です。習近平政権は共産党の独裁体制の維持強化を究極の目標にしていますが、その共産党軍事主席という最高司令官が完全に軍の統帥権を掌握していないとすると大変危険です。尖閣の行動もその前提で認識しないといけませんね。
米国もこのような認識があるようで、米軍首脳が北京を訪問して、中国軍首脳と直接会話をしています。訪中したのは米軍制服組トップであるデンプシー統合参謀本部議長で、4月22-23日にかけて、習近平国家主席に会ったほか、常万全国防相、中国人民解放軍の房峰輝総参謀長らとも相次いで会談しています。そして米国の決意を伝えています。
デンプシー議長が習主席と会った当日の23日、中国は最多となる8隻の海洋監視船を尖閣周辺の領海に送り込んでいます。どう見ても習近平が米軍首脳の顔に泥を塗るような行動を指示したとは考えられません。
当分は尖閣を含め東アジアの緊張は収まりませんが、それをさらに悪化せる国益が認識できない低級な日本の政治家については来る選挙で厳しく対応する必要があります。
カシミール地方で印中軍が対峙http://www.nikkei.com/article/DGXNASGM30058_Q3A430C1FF1000/http://www.nikkei.com/article/DGXNASGM1007J_Q3A510C1FF2000/インド首相、中国の李首相にhttp://jp.reuters.com/article/worldNews/idJPTYE94J02D20130520?utm_source=dlvr.it&utm_medium=twitter軍トップが中国にメッセージhttp://www.nikkei.com/article/DGXNASFK0200T_S3A500C1000000/

◆俯瞰サロン始めます◆俯瞰工学研究所ではこれまで技術経営学講義というプログラムを実施して来ましたが、今年から俯瞰サロンというプログラムを始めます。このブログラムは技術開発やベンチャー創立、ビジネスの連携と言うかつての大きなシーンの内幕、今だから話せるというような貴重な裏話をその当事者からお聞きするプログラムです。プログラムの詳細は俯瞰工学研究所のサイトの左のインデックスにある俯瞰サロンをご覧ください。
とりあえず5月22日からスタートしますが、最初のお話はIIJ創立の時の舞台裏を当時のスタッフから赤裸々にお聞きする予定です。その後はソニーとAppleの連携交渉の実話です。いわばアップルになれなかったソニーとでも言うべき話です。その後は日本のハイテク産業の画期的な製品開発の裏話をお聞きしたいと思っています。基本的には会員が対象ですがご参加をご希望の方はサイトからご連絡ください。

◆頭のよくなるクッキン15◆今月は最近行きつけでお気に入りの目黒川沿いの健康的なレストランを紹介しましょう。
中目黒から川に沿って左岸を少し行ったところにあるN1221です。和食系の創作料理で旬の野菜の焼き料理がメインです。ですから大変健康的です。お店のデザインや設計も健康志向をアピールしています。さらにお客の7割近くは30代を中心とした女性です。ただ単に食事を楽しんでいるだけではなく熱心にビジネスの話をしていると思われるテーブルが少なくありません。目黒川沿いですからお花見の季節は最高です。もちろんワインも安くて美味しいものが揃っています。
もう一つのレストランは目黒川の右側にあるMARZACです。これは洋風の創作料理とワインのお店です。カウンターを入れても20名程度の小さなレストランです。ワインが安くておいしいのでお気に入りです。ここは肉料理、特に炭焼きコンフィがメインですが色々なメニューが楽しめます。私がよく注文する料理は、キャベツのアンチョビ炒め、ムール貝の酒蒸し、そして前回は和牛のヒレステーキを取りました。いずれもポーションが大きく場合によっては2人でシェアしてもいいでしょう。ここは、野菜は神奈川県産にこだわっているようです。値段も良心的だと思います。
N 1221http://nakamejournal.com/n_1221.html/MARZAChttp://rashiku.biz/marzac/

◆デジタル書斎の構築21◆音声認識ソフトウェアのドラゴンスピーチを導入してみました。すごい技術進歩です。ほとんど正解です。滑舌では評判の悪い私の声ですが97-8%以上の認識率です。この俯瞰メールの「俯瞰サロン始めます」以降は全てこのドラゴンスピーチでの音声認識です。それぞれ1、2カ所修正しただけです。意外と難しかったのは“ソニー”です。結果は認識しました。また“コンフィ”は変換できませんでした。“神奈川県産”は“産”が“さん”になってしまいます。英語のスペルは手で入力するしかありません。句読点や改行、などのコマンドは全く問題ありません。
書き言葉の文章を口述で声に出して作文していくスキルは少し慣れが必要でしょうが、入力のスピードは私の場合キーボードの10倍くらいでしょう。ただキーボードで打ち込んで作る文章と口述で書き込んでいく文章は少し文体に違いが出ます。
以前ここでWindows 7の音声認識機能をご紹介し十分実用になると書きましたが、このドラゴンスピーチは遥かその上にあります。試されたらどうでしょうか。

◆書評◆今月のご紹介は、「中国台頭の終焉」 津上俊哉 日経新聞社 2013 です。このメールでもすでに取り上げましたが、中国の高度成長は終わり、すでにかげりを見せていると言う私の感覚的な認識を、本書は経済データの分析を駆使して実証してくれている本です。間もなく中国は米国を抜いて世界一の経済大国になるという楽観的な議論がありましたが、そのような可能性はほとんどないと言う主張です。現在の7%という中国政府の発表も疑わしいこともすでに述べましたが、本書では中国の潜在的な経済成長率は5%であり、その5%を達成するにもいくつかの深刻な課題を解決しなければならないと述べています。
著者は経済産業省のいわばエコノミストであり、中国を長年研究していたチャイナウォッチャーでもあります。加えて民間での経験が加わり、単なるエコノミストではなく本格的な研究者の水準といえる論考です。本誌を読めば中国に関する認識が相当深まると思います。オススメの1冊です。
冒頭にありますが本書の主張は、中国はすでに5%前後の中成長モードにある、リーマンショック後の巨額投資で何年も先の投資需要を先食いしてしまった、構造改革をしない限り今後実質的な成長ができない、そして出生率が全国でも1.18、北京上海では0.7しかなくすでに生産年齢人口比率は2010年にピークアウトしており、総人口も2020年にピークアウトする、ということである。したがってこれらを勘案すれば米国を抜いて世界一の経済大国になる可能性は極めて低いと言う論調です。まったく同感できます。
中期的な経済成長を阻むものとして、国家資本主義という中国経済の体制の問題点が多いという指摘です。過去10年の高度成長中で国営企業中心とした公が富を独占し、民間企業はむしろ衰退していたと言う指摘です。ですから国営企業の富を民間に移転しなければならないという主張ですが、国営企業は共産党の既得権益集団ですから、実施が難しくなります。ですから共産党の支配体制を強化しようとすれば自ずと国家資本主義の体制は崩れないでしょう。とすれば順調な経済成長はさらに不透明になります。
著者は特に少子高齢化の問題に強い懸念を表明しています。中国の統計はいろんな意味で信憑性が疑われていますが、人口統計も長年不可解な数字だったようです。ところが2010年発表された人口統計は、出生率が1.5とか言われてきたが実は全国で1.18。北京、上海では0.8以下であると発表され、これから算出すると人口のピークアウトは2020年になるということです。そのため日本以上に急速で深刻な高齢社会が待ち受けていて、その年金問題はまだほとんど手がつけられていない、と言うことです。
最後の第10章で言及している中国に深く浸透しているアヘン戦争以来の屈辱感、その反動としての軍事強国、反日的な言動について理解すべきであると言う主張も極めて重要だと思います。中国の軍事予算の伸びについて、額の増加を多いが実はGDPの1.5%と言う指標は一定であると言う記述は初めて見ました。本書で気づかせていただいた経済指標の1つは日本についてですが人口1人当たりのGDPの伸びは先進国並みで、生産労働人口1人当たりの値では先進国中最高であると言うことです。日本人の現役世代はすごく頑張っているということですね。ただその人口が減少していますから日本経済も縮んでいくということになります。
結論の最後にある「日本人は心を強く持とう」という呼びかけは誠に同感です。本書を読んで著者の津上さんに機会あればお会いしてお話を伺いたいという気持ちなりました。
=======================================◆内容・記事に関するご意見・お問い合わせ/配信解除・メールアドレス変更右記まで  webmaster@fukan.jp………………………………………………………………………………………………………◆俯瞰 MAIL 0029号(2013年5月22日)発行元:一般社団法人 俯瞰工学研究所発行責任者:松島克守URL: http://fukan.jp=======================================

俯瞰メール24号

 

皆様
◆クリスマスも終わり師走です。冬らしい厳しい寒波のニュースです。木枯らしで綺麗な銀杏もあっという間に散りました。そして、想像以上に激動の年でもありましたが、日本の政治も再スタートしました。新たな決意で新年を迎えたいと思います。-----------------------------------------------------------------------------・インドに行ってきました・バンガロールのトヨタ自動車に行きました・チェンナイの日産自動車に行きました・さあ、新政権です・三内丸山遺跡に行ってきました・プラチナ構想ハンドブック第4部の制作のため調査で留萌に・頭のよくなるクッキング10・デジタル書斎の構築16・書評 : 「近代ヨーロッパの誕生」 玉木俊明 講談社選書メチエ 2009-----------------------------------------------------------------------------
◆インドに行ってきました◆1995年以来十数回目になりますがインドに行ってきました。今回はバンガロールとチェンナイを訪問しました。ともかく元気で成長を実感します。街中渋滞ですが、すべて新車です。車が売れています。とかく中国の急成長と比較され成長が遅いように言われがちですが、6-7%の成長は高度成長です。中国も2ケタ成長した年数はそんなにありませんし、そして今後も7-8%でしょう。無論これも高度成長です。
金利の複利計算を当てはめると2ケタ成長が持続不可能なことがすぐ認識できます。実態経済や社会が追随できる成長は6%でも大変です。それでもインドも格差が広がり社会が不安定化しています。スズキマルチの人事部長の殺人を引き起こした大規模の暴動はその一端です。
トヨタ自動車と日産自動車を訪問してきましたが、改めて日本の生産システムは依然として世界最高水準であることを確認できました。
スズキマルチの暴動http://www.nikkei.com/article/DGXNASDC1900J_Z10C12A7000000/http://jp.reuters.com/article/domesticEquities2/idJPTK817333020120807

◆バンガロールのトヨタ自動車に行きました◆バンガロールではトヨタ自動車(TKM)を訪問しました。2000年(正確には1999年の末)から操業しています。敷地は約60万坪ですがほとんど施設で満杯です。工場の周囲の植林が見事です。多様な木を密植して、自然淘汰で環境に適した木が残るというコンセンプトだったようですが手入れが良くてどの木も育って現在も密植状態です、と笑っていました。
ともかくトヨタシステムとは人材育成であるという事です。昨年伺ったバンガロールの部品製造のTCAPでも、数年前に伺ったタイのトヨタでも、現地スタッフと作業員の教育に対する凄まじい執念を感じました。生産の立ち上げ期を除くと、日本人の役割はこの人材育成に集中しているのでないでしょうか。
家庭の経済的な事情で進学できない人材を3年間全寮制で預かり、専門工に育てる学校がありました。定員は64名ですが、その教室を外から見ただけで、日本ではずっと前に失われた、研ぎ澄まされた教育の空気の凄さを感じました。現地の教育に人生を掛けた方にお会いできました。今回の最大の収穫です。そして「骨を埋める」という日本語の理解が深まりました。トヨタシステムは、日本人が任地の事業所と地域に全身でコミットしていることを感じるのではなく、確信できます。「人間力」で勝負ですね。
現場とのコミュニケーションに注力してインド社会の不安定性のリスクを最小限にしている努力が印象的です。スズキマルチの暴動については、人事管理をインド現地幹部に任せておいたため、現場のコミュニケーションが上意下達になっていたのではないかという見解でした。
インド市場向けの新車が好調で販売順位をじりじりと上げています。
トヨタの海外展開http://www.toyota.co.jp/jpn/company/facilities/worldwide/トヨタのインド専用モデルhttp://car.jp.msn.com/news/business/article.aspx?cp-documentid=4119970

◆チェンナイの日産自動車に行きました◆チェンナイの日産自動車を訪問してきました。チェンナイは初めてです。バンガロールに比べると空港整備がこれからという感じですね。
チェンナイにはトヨタ、ホンダ、スズキマルチ以外の自動車企業が集積していて、インドのデトロイトと呼ばれているそうです。特に「現代」の存在感は圧倒的のようで、チェンナイ港はほぼ占拠されていて日産は使用出来ないため、その北の港を使用せざるを得ないとのことですが、逆にサプライヤーの集積というメリットはありますね。日産の工場は約70万坪で、一直線に伸びる、長い、長い生産ラインの建物が印象的です。この中の生産システムが凄いです。日産の生産システムを基本にルノーの生産技術を取り入れた超混流システムです。アライアンス生産方式(APW: AllianceProduction Way)です。全く異質の設計思想の車とそれに対応した生産システムの統合に、物凄いご苦労と努力がされたことが見れば判ります。さすが技術の日産という印象です。
トヨタに遅れること10年の、新しい工場ですから、その間の中国をはじめ海外工場の進化モデルが実装されています。人事システムもグローバルのシステムが導入されています。インド人の研究に基づいた教育システムもグローバルモデルのシステムです。ともかく、組織とシステムで経営されている洗練された生産システムです。日本人は基本的に3年でローテーションです。
多くの日系企業が悩まされている停電ですが、日産の工場は進出時の州政府との契約で優先的電力供給が約束されているため、停電はないとのことでした。ただサプライヤーはこの保護はありませんので停電に悩まされているでしょう。
お願いして、市内の有力ディーラーにもおじゃましました。意気軒昂です。売れていますから。新型マイクラは、マーチをベースに車両設計と実験は日本で行われ、インド市場の好みやニーズに合うようチューニングされていて、部品の85%は現地サプライヤー計96社から調達しており、その半数がチェンナイを拠点としているとの事ですが、意外にその上のモデルのサニーの販売が好調です。相当な車の購入層が存在しているようです。インドの人口は約13億人ですが、その上位1億人だけで巨大な市場です。平均値の経済指標を見てはいけませんね。
スズキマルチの労働争議もよく分析されています。スズキマルチの暴動については、少数の正社員に対して多数の派遣社員という、従業員の構成に問題があり、同一労働に対して待遇面で大きな格差があり、これが長年解決されていないため不満のエネルギーがたまりそれが爆発したのではないかという見解でした。
日産のインドプロジェクトhttp://business.nikkeibp.co.jp/article/tech/20100419/214059/?rt=nocnthttp://www.nissan-global.com/JP/NEWS/2010/_STORY/100317-01-j.html日産のインドモデルhttp://auto-affairs.com/news/1005/100525-3.html

◆さあ、新政権です◆想像以上に投票率が低くて、無党派層が動かず保守的な自民党の支持層の動員で以前の保守政権が復活しました。中国、韓国、北朝鮮という海外からの強力な応援も一定程度効果を上げたでしょうが、メディアの世論調査で自民党圧勝の応援はかなり効果的だったと思います。これからネット選挙が本格化するとネットというメディアの影響が注目されます。
経済政策が最大の課題ですが、目玉はなんとインフレです。しかし、日銀券を増刷して個人消費が増えるのでしょうか。
結局、公共工事ですね。これは投票直前に笹子トンネルの事故という「神風」が吹きました。確かに、新幹線に乗るといつも振動と揺れが気になりインフラの再点検と補修は急務であることは体感します。中国の新幹線は殆ど揺れや振動がありませんでした。新政権の最大の課題は霞が関の官僚との距離と管理、モラルアップでしょう。自民党も官僚も自分たちの利権に執着すれば、悪しき昔の保守政権になってしまいます。病気とはいえ、一度投げ出した総理の座に復帰した安倍さんですから、今度は本当に、国のため、国民のために全力全霊をかけて欲しいですね。国民は、憲法改正や靖国参拝などの、イデオロギーを望んではいません。あまりにも民主党がお粗末でしたので代替えとして自民党を選択しただけで期待は民主党に対する期待と同じ、生活、年金、教育、安全です。国民の新政権に対する期待感を取り違えては困ります。
自民党基盤の弱体化http://senkyo.news.goo.ne.jp/news/article/wsj-20121218-03.html政権と霞が関http://toyokeizai.net/articles/-/12218

◆三内丸山遺跡に行ってきました◆青森県の地域戦略である「青森ライフイノベーション戦略・サブクラスター戦略」の会議のついでに、予てから興味があった三内丸山遺跡に行きました。
「青森ライフイノベーション戦略・サブクラスター戦略」は医工連携、サービス、プロダクトの3分野で新産業創出と地域経済活性化の取り組みで2011年から取り組んでいますが、関係者の献身的な努力で動きが見えてきました。委員会に多数、東京から参加しています。地域力に東京の情報力を掛け合わせて進んできました。
三内丸山遺跡は縄文時代前期中頃から中期末葉の大規模集落跡と言われていますが、これは「古代都市」です。街路があり、数百棟を超える住宅と、数百人が収容できるシティーホールもあります。墓地やごみ処理場もあります。ペルーのマチュピチュも小さいながら都市でした。都市から文明が始まり、次いで農耕文化が発達するというのが、有名な市井の都市学者、ジェーン・ジェイコブスの理論です。
栽培で直径1メートルを超す、まっすぐな幹に仕立てた栗柱は圧倒的な栗の栽培技術を示しています。それを6本使用した建造物は海からの外敵や交易船の見張り台でしょう。シティーホールのすぐ脇に設置されています。
地形は海から少し入った川(沖館川)の岸部に繋がるなだらかな丘陵で現在もナラ、クヌギなどの落葉樹の林です。縄文らしい地勢です。いわゆる西日本の照葉樹林の縄文とは違い、落葉樹林の北方系の縄文なのでしょう。しかし、土器には照葉樹系の縄文文化である漆が塗布された物があり、二つの文化の交流の跡がはっきり確認できます。その他の遺物から糸魚川ヒスイの勾玉や北海道の黒曜石などから北日本の日本海沿岸の広い交易圏の存在も確認できます。
問題はこの縄文文化が、この都市がなぜ放棄されてしまったかです。古代文明の大部分が放棄されていて、その原因が気象の急変や疫病、水・食料の枯渇などいわれますがここは周辺の採集・狩猟の資源が何らかの理由で急減したのでしょうか。弥生文化との競合に破れたり、吸収された土地ではありませんので気になりました。
三内丸山遺跡http://sannaimaruyama.pref.aomori.jp/http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%89%E5%86%85%E4%B8%B8%E5%B1%B1%E9%81%BA%E8%B7%A1青森ライフイノベーションhttp://www.pref.aomori.lg.jp/release/2012/43984.htmlジェイン・ジェイコブズhttp://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%82%A4%E3%82%B3%E3%83%96%E3%82%BA

◆プラチナ構想ハンドブック第4部の制作のため調査で留萌に◆プラチナ構想ハンドブックの編集は着々と進んでいます。世界にプラチナ構想を発信するために英訳が進行していますが、これが大変です。日本語での編集では特に引っかかることなく読めてしまった日本語の文章も英訳になるとしばしば立ち往生です。文化の差異と論理構成の差異です。しかし、普通のアメリカ人が読んでプラチナ社会の提案を理解することのできる英文が目標であり、翻訳が目的ではない、という一貫した気持ちで作業していますが、これは想定以上に大事業でした。来年の早い時期に米国のAmazonで発売をするべく鋭意努力中です。
プラチナ構想ハンドブック本体の編集では、新たに第4部の制作に取り掛かっています。第4部はプラチナ構想ハンドブックの本来の目的である、実践者のための具体的なガイドです。既に日本の各地ではプラチナ社会の理念を先取りした、貴重な試行が推進されています。そのプロジェクトを分析・評価してそのうえでこれを横展開できる汎用モデルに昇華することが第4部であり、作業は「行動の構造化」の技法の開発です。
コンテンツとして、地域の健康を守り元気なシニアが楽しい生活を送るために必須のコホート活動の、先進的な取り組みで注目されている北海道の「留萌コホートピア」の現地調査に留萌市に行きました。
留萌は真っ白な雪の世界でした。幸い調査の期間は、雪は降らず助かりましたが、その後はずっと吹雪ですという便りを頂いています。とにかく東京から片道にほぼ1日要する日本海に面した細長い市制です。産業は日本一の数の子加工です。かつてはニシン御殿の林立した街だったのでしょう。地形は海から少し入った川の岸部のなだらかな丘陵地形で縄文人好みの地勢です。やはり縄文の遺跡もあります。明治までは大きなアイヌの集落があったようです。
「留萌コホートピア」は留萌市(長)、市民病院と札幌医科大学、旭川医科大学、北海道大学国立保健医療科学院との強力連携のプロジェクトです。
何故、留萌か?いくつかの要素がありますが基本は地域の人の厚い決心です。市民病院長の笹川裕先生と札幌医科大学の小海康夫教授が出会い化学反応が生まれ、6人の侍、即ちコアメンバーと市長、が事を企てまっすぐ実践してきたことであると認識しています。これに地域の人たちも呼応して立ち上がり街全体が動き出しています。青年商工会会議所の若手経済人も先生方の指導・指揮に沿って積極的に動いています。NPOも立ち上がってこの活動の中核を担っています。調査していても本当に気持ちのいい空気です。この空気までも横展開したいと決意しました。
ともかく留萌市の高橋定敏市長はスーパーマンです! 「地域活性化の請負人」を自称しこの「留萌コホートピア」を全面支援していますが、何よりもご本人は元気で、明るく、健康なプラチナ社会のシニアの理想形を体現しています。かつては90キロを超える肥満のメタボであったそうですが、現在はスリムで「タニタの体内年齢」で28-30歳くらいだそうです。実年齢は64歳と伺いましたが。私は食生活の改善で実年齢は67歳で「タニタの体内年齢」は52-54歳を行き来して満足していましたが、高橋定敏市長は驚愕の数字です。毎日街はずれの小高い山に走って上っているとの事で、やはり運動はすごい効果だと認識させられました。「留萌コホートピア」の実態は下記のHPでご覧ください。
留萌コホートピア構想http://www.cohortopia.jp/index.htmlコアメンバーhttp://www.cohortopia.jp/coremembers.html留萌市長http://www.e-rumoi.jp/rumoi-hp/01mokuteki/aisatu/aisatu.pdf

◆頭のよくなるクッキング10◆留萌の笹川裕先生は簡単なアンケートで生活習慣病をかなり正確に診断できる手法を開発され特許もとっていますが、専門は糖尿病です。大変興味深いお話を伺いました。
空腹時の血糖値が低い人で、心臓梗塞で亡くなる方が結構いるので、研究してみるとこのような人は食後の血糖値の上昇が急激でこの現象が血管を傷つけるという事です。
グリセミック・インデックス(GI)という言葉をご存知ですか。食物を摂取した時その後の血糖値の上昇度合です。即ちGIが大きな食物は急激に血糖値を上げ、インシュリンを出させることになります。不足すると血糖値が上がり血管を傷つけるわけです。GIが高い食物は砂糖、白米、ジャガイモ、うどん、食パン…等炭水化物です。パスタは相対的に低いです。それに比べると意外とスイカ以外の果物は低いですね。リンゴ、グレープフルーツは低いです。菓子類は当然高いのですが、スポーツ飲料も高いです。飲むとき成分にブドウ糖があったらそれは高いと思ってください。炭水化物は玄米、全粒粉のパンやパスタにすればGIは下がります。
野菜はデンプンの多いものを除くとGIは低いです。特に葉物は。肉、魚は高くありません。このGIに注目したダイエットが炭水化物ダイエットで、炭水化物を摂らない食を進めているわけです。
まず、野菜を食べてそのあと肉魚や炭水化物を摂取すると血糖値の上昇が穏やかになるという事もよく知られています。これは留萌のスーパーマンの高橋定敏市長は実践されているそうです。ご飯やうどんは〆で最後に食べるのは理にかなっていますが、糖質の総量は確実に上がりますので、インシュリンの消費量は上がります、糖尿系の方はご用心ください。
ちなみに、インシュリンを節約して、奥歯を大切にすることはシニアの健康の要点とされています。クッキングにはぜひGIを心にとめて食物の選択をしましょう。冷蔵庫にGI表とあのフードピラミッドを貼っておくと良いのではないでしょうか。
グリセミック指数http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B0%E3%83%AA%E3%82%BB%E3%83%9F%E3%83%83%E3%82%AF%E6%8C%87%E6%95%B0http://homepage2.nifty.com/tsukuba-pinkribbon/GlycemicIndex.htmhttp://allabout.co.jp/gm/gc/302688/GI表http://www7.plala.or.jp/pon31/gi.htmlhttp://metabo-diet.net/page/gihyo/フードピラミッドhttp://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%98%E3%83%AB%E3%82%B7%E3%83%BC%E3%83%95%E3%83%BC%E3%83%89%E3%83%94%E3%83%A9%E3%83%9F%E3%83%83%E3%83%89

◆デジタル書斎の構築16予約しておいたアマゾンのKindleFireHDが12月18日に届きました。コンセントとUSBのコネクターは付属していないので同時に注文しておきました。この7インチタブレットの大きさは片手で何とか持てますのでドキュメントやメールを読むのがアップルのiPadより楽です。コートのポケットにも入りますので外出にもお供できそうです。iPadは外出に持ち出すにはカバンが必要です。
ただOSがAndroidのため正式アプリはiPadに比べ少ないです。私にとって必須のアプリである、EvernoteはAmazonAppsにありますが、Dropboxがありません。ネットで調べると導入手法がありましたので早速やってみましたが問題なく導入できました。
メール、スケジュールは全く問題ありません。マイクロソフトのオフィスのドキュメントはアプリが充実していてiPad よりいいです。あらかじめ辞書が、大辞泉、プログレシブ英和中辞典、Oxford English、Oxford Americanと豪華におまけで付いています。
まだあまり使っていませんので、感想は言えませんが、これは使えそうという印象です。これに3G、LTEがついているとiPhone の代用になります。
アマゾンの電子書籍に特化するならばKindle Paperwhiteも選択肢です。3GモデルはAmazonのストアーに接続するだけには機器に料金が入っていますので購入後通信費は不要だそうです。Wifiでよければ7,980円と格安です。他のリーダーとの比較はサイトで。
Dropbox の導入http://taikomatsuo.kirei.biglobe.ne.jp/201212/article_94.html電子書籍リーダーの比較http://iphone.f-tools.net/News/Denshi-Reader-Hikaku.htmlhttp://bizmash.jp/articles/35374.htmlhttp://event.yahoo.co.jp/ebook/hard/index.html

◆書評◆今月のご紹介は、「近代ヨーロッパの誕生」 玉木俊明 講談社選書メチエ 2009です。
本書は、現在のグローバル経済の誕生を解説していますので、今、そして明日の経済の俯瞰的な視野を与えてくれます。
この本は、ウォーラーステインが提唱したという「近代世界システム」という視座から解説を展開しています。「世界は一体として動く」。ウォーラーステインによれば世界はこれまで3つのヘゲモニー国家が出現した、17世紀中ごろのオランダ、19世紀から第1次大戦までのイギリス、そして第2次世界大戦後、1970年代までの米国です。事の初めは長くヨーロッパ経済の中心であった地中海地域の没落とそれに取って代わった北ヨーロッパ経済の台頭で、オランダはトップランナーとして覇権をまず得ます。地中海経済の衰退は、人口増による深刻な食糧不足と造船用の木材の枯渇よる高騰です。このため穀倉地帯のポーランドからオランダ船が地中海地域へ小麦を輸送するようになります。造船用の木材の高騰により、かつての地中海の覇者であるベネチアの造船業も衰退しています。オランダはスウェエーデンに、入植し開拓することで造船材と鉄を入手し、船の目地に詰めるタールをフィンランドから、マスト材をリトワニアからそして麻をドイツから調達し、その代りイギリスの毛織物を輸出する交易を盛んにしていきます。そして造船業とそれを使った海運業を発達させ、これらの交易のハブとしてアムステルダムは北ヨーロッパの覇権を握るわけです。
興味深いのは、オランダ人はビジネスの技術を開発して、これが北ヨーロッパのスタンダードになり、多国間貿易を発展させてきたというくだりです。たとえばアムステルダムでは価格表が作られこれが各国の商人に市場価格を知らせることになりますし、ビジネスマニュアルを作成し、これが北ヨーロッパのビジネススタンダードになっていきます。為替等も普及させていきます。
ロシアは当時から木材や鉄の資源輸出の国家ですね。当時のロシアとオランダの交易は北極海の白海にあるアルハンゲリスクですが、この「ロシアの窓」はバルト海のサンクト・ペテルスブルグに移行していきます。このサンクト・ペテルスブルグの交易はイギリスが主役となります。イギリスはバルト海から造船に必要な物資を調達してきます。オランダ人は交易の対象の地に多数移住して拠点を作ります。アルハンゲリスクにも多数のオランダ商館があったようですがこれがかえってアルハンゲリスクからサンクト・ペテルスブルグへというロシアの流れに付いていけなかったようです。
北ヨーロッパの経済は徐々にロンドンに中心を移しますが、オランダとイギリスの差異は、イギリスは国家(state)で国家の枠踏みが存在して、軍事力で交易の保護をし、イングランド銀行という中央銀行が国家資金を管理運用しているのに対して、オランダは国(country)であり、州に分散し、交易は商人が独自に行うしかないという事です。スウェーデンに、資金を貸し付け、技術を供与していくのは商人の責任です。またヨーロッパ本土は度々戦場になりイギリスはこれに巻き込まれていないことも有利であったようですが、ともあれ時間をかけて覇権は移動しました。
この後、ハンブルグの台頭、フランスの繁栄…と歴史は続きます。ハンブルグは中立都市として交易のハブとなり陸路ライプチッヒを経由してヨーロッパ各地と交易します。イギリスは北米の大西洋経済、植民地からの綿や砂糖などの物産の交易そして産業革命、ナポレオン戦争を経てヨーロッパ経済の覇者となります。このヨーロッパ経済がアジア経済に対して優位性を確立したのは1750年以降であるとしています。
話が長くなりますのであとはお読みください。現在、そしてこれからのアジアに対する理解が深まった気がしました。

=======================================◆内容・記事に関するご意見・お問い合わせ/配信解除・メールアドレス変更右記まで  webmaster@fukan.jp……………………………………………………………………………………………◆俯瞰 MAIL 0024号(2012年12月25日)発行元:一般社団法人 俯瞰工学研究所発行責任者:松島克守URL:http://fukan.jp=======================================

-俯瞰メール23号

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皆様

◆やっと秋らしくなりました。紅葉の季節ですが、まだ東京は緑が多いですが、でも
銀杏も少し色が付き始めました。神宮外苑の銀杏並木、本郷の東大の銀杏も例年見事
で幻想的です。
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・米国大統領が決まり、中国の習近平主席も決まりました
・中国に関する6つの特集記事
・さあ、総選挙です
・宗像大社に行ってきました
・「地域新生のデザイン2」を電子版で出版しました。
・頭のよくなるクッキング9
・デジタル書斎の構築15
・書評 : 「コミュニティーデザインの時代」山崎 亮 中公新書 2012
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◆米国大統領が決まり、中国の習近平主席も決まりました◆
オバマ大統領が接戦を制して当選を決め、中国もかねての既定の習近平主席が決まり
ました。

世界がこれからどう変化するのか、かたずをのむ気持ちです。特に中国は権力闘争が
激しくまだ極めて不安定だということは、求心力をいつものナショナリズムに求めて
くる危険があり日中関係、尖閣が予断を許しません。

米中関係も緊張からスタートですね。最初の訪問地にミャンマーを選んだオバマ大統
領は習近平体制に外交的な先制攻撃すなわち、中国のインド洋進出に断固として対抗
するという意思表示でしょうか。カンボジア、タイ・・むろん米国企業にこの最後の
アジア新興市場進出の地ならしという行動でもありますが。

尖閣について一歩明確な立場をオバマ次期政権がとるかが気になります。となると普
天間の処理が緊要課題になりますが、鳩山由紀夫の、米国をはずした親中国の東アジ
ア共同体構想という妄想は日本外交と国益に想定以上の傷を残しました。まだ選挙に
出馬するのでしょうか。少しも廉恥の心はないのでしょうか。
オバマ再選後の論評も興味深いですが、選挙戦でのICTの活用は特に興味をそそります。

中国の新体制が決まりましたが、予想以上に江沢民系ですね。いわゆる太子党が圧倒
的で保守路線です。改革を進めて所得格差を解消し、内需拡大と社会改革はあまり進
みそうもないというのが大勢の予想です。江沢民は反日で権力を固めた人ですから対
日の強硬路線も継続でしょうか。中国民族の復権を第一声に入れていますから予断を
許しません。中国危機を共有する、インド、ベトナム、フィリピンそして米国との賢
い連携が必須です。先進国から見れば成長が鈍化したといっても7%の成長は高成長
ですが、かつての2ケタ成長の時代が終焉して、米国を抜いて世界一のGDPになるとい
う話も当分は夢で終わるかもしれません。日本もかつてJapan as No.1と言われた時
がありましたね。
中国は所得格差、特権層の腐敗で人民の怒りが相当に膨らんで、盤石と思われていた
共産党の支配力に赤信号すら灯っていますからこれも対日強硬路線の推進につながる
可能性があります。

問題は今後の日本政権の対応です。右傾した新政権が日本に成立し、結果として中国
のナショナリズムの応援団になるリスクを感じます。何よりも賢い政治家が見当たら
ないのが真に残念です。

オバマ大統領アジア歴訪
http://www.sankeibiz.jp/macro/news/121117/mcb1211170503012-n1.htm
オバマ再選後
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20121111/plt1211110709001-n1.htm
選挙戦のICT活用
http://www.excite.co.jp/News/it_biz/20121115/Cobs_ie_201211_101-489--.html
習近平体制は江沢民派
Http://jp.wsj.com/World/China/node_549130/?nid=NLM20121116
中国常務委員7人のプロフィール
http://jp.wsj.com/World/China/node_549449/(tab)/slideshow
習近平夫人は歌手
http://sp.mainichi.jp/m/news.html?cid=20121117k0000e030185000c


◆中国に関する6誌の特集記事◆
反日デモを受けその総括のためでしょうか、中国の新体制と政治、経済の変調、そして
見えない中国の実態について同時に6の雑誌が特集を組みました。まとめて読んでみる
とかなり中国に関する理解が深まった気がします。

「中国の終わり」エコノミスト 11/13
「最新中国情勢」エコノミスト 臨時増刊 11/12
「中国リスク」 東洋経済 11/10
「中国 撤退か継続か」 週刊ダイヤモンド11/10
「日本人と中国人 宿命の対決」文芸春秋 12月特別号
「中国はこうして国際秩序を破壊する」 WEDGE 11月号

まず、「中国の終わり」エコノミスト、中国は「輸出」と「投資」という2つの成長エ
ンジンを失い経済が停滞するという主張、あてにならないGDPの数字ではなく銀行融資、
電力消費量、鉄道貨物量などの指標からも経済の停滞が見えるということです。
さらに2015年から生産年齢人口が毎年500万人ずつ減少しすさまじい少子高齢化が始ま
り「未冨先老」すなわち豊かになる前に高齢化社会に突入するとあります。
データからは、(1)人口ボーナスの終焉 (2)改革開放のボーナスの終り (3)諸コスト
上昇 (4)地方政府債務の問題 (5)民衆の不満の高まり (6)中進国の罠、すなわち
1人当たりのGDPが5000ドルを超えて経済が停滞する現象、という課題を指摘していま
す。また共産党指導者層はフランス革命前夜のような危険な状況にあるとも言ってい
るとのこと、凄まじい権力闘争もこれから継続するのでしょう。
新たな習政権の抱えるアキレス腱として、まず都市と農村の3倍を超える所得格差、こ
れによる集団抗議運動を抑えるため軍事予算を上回る治安維持費が必要となっていま
す。次に中央政府の財務は健全に見えても地方政府の隠れ債務が150兆円を超える巨額
になっていて持続不可能な財政状態をどうするか、さらに少子高齢化の進行の中で年
金をどうするのかという3つの課題を指摘しています。

臨時増刊の「最新中国情勢」では上記を掘り下げて解説していますが、習近平の外交
は「対米協調、対日強硬」で人民の突き上げによる共産党支配体制の危機感からより
強硬な対日行動をとる可能性を指摘しています。

「中国リスク」東洋経済は、領土、景気、反日、政争という対立は長期化するという
主張です。尖閣問題は石原と野田の共謀だという認識が支配的という説には驚きまし
た。そして双方のメディアがまるで「戦争応援団」の体をなしているという指摘は同
感です。事業リスクとしては、日本車は1人負けですが、実は以前から凋落の傾向に
あることは多くの人が指摘していますね。自動車以外の製造業や小売りにも打撃は大
きいですが、リスクとしてこの状況が労使関係に必ず影響してくるという指摘は重要
です。
さらにそもそも中国ビジネスには法的にもリスクが大きいという指摘があります。そ
の要点として、(1)契約は締結前にも責任が発生することがある。(2)工場移転につい
ては労働当局への根回しが必要、(3)政府の嫌がらせは法的に解決できない、(4)公安
の情報に注意、と指摘がありました。

ではその中国から撤退するのか継続するのか、に焦点を当てているのが週刊ダイヤモ
ンドです。感情的な尖閣問題への対応、その背景にある権力闘争、中国経済と日本経
済の大きな依存関係、所得格差の解消と消費の増大による内需拡大、非効率な国営企
業の成長という「国進民退」という矛盾、改革に対する既得権層の抵抗・・・は他誌
と共通ですが、中国との付き合い方、別れ方はユニークで明快です。
要点は、撤退するなら清算より、事業譲渡、そして従業員の解雇には補償金が発生し
てトラブルになりやすいという事です。撤退に際しての注意点は、(1)地元政府との
コミュニケーション、(2)対応の柔軟性、(3)対応の迅速性、(4)毅然とした対応、(5)
従業員置かれている状況の見極め、(6)苦しい状況が続くことへの覚悟、(7)感情論に
走らない、(8)必要に応じて第三者を活用、とあります。

文芸春秋の「日本人と中国人の宿命の対決」は歴史的、文化的な解説で、中国問題を
理解するにはとても興味深く、中国問題の理解力が付きます。1972年の日中国交回復
時に、当時の大平正芳が「40年後に苦労するぞ」と予言したという事から、毛沢東の
前ではあの周恩来が直立不動の姿勢であることを見て、中国の権力構造の凄まじさに
驚いた事、とう小平(文字化け回避ため「とう」と表記)が言ったという尖閣の棚上
げ論の虚構の話も興味深いですよ。とう小平は棚上げどころか尖閣を中国の地図に書
き加えているようです。
巻頭論文のあとは1970年11月号の司馬遼太郎と陳舜臣の対談の再掲、そして元中国大
使の「日中消耗戦を勝ち抜く知恵」、さらに「新指導者習近平13歳が見た地獄」、「
日本企業 声を出せない本音アンケート」、「アメリカから見た尖閣秘密ファイル」、
「中国労働者賃上げ暴動の内幕」と、いずれも興味深い解説です。

WEDGEはこの雑誌独自のナショナリズムに満ちた記事ですが、写真や図表は参考にな
ります。特に南シナ海で中国の主張する境界線は異常な中国の膨張主義を示していま
すし、ベトナムやフィリピンから武力で奪って実効支配を広げている記事は、改めて
中国の脅威を煽りますね。記事のタイトルを紹介すると、「中国の深慮遠謀を読み違
える日本人」、「中国は被害者ヅラで反日を続行」、「南シナ海の占拠既成事実化」、
「独善的解釈で海洋の自由を崩す」、「日本の主権に公然と挑戦する中国」と勇まし
い記事ばかりですが興味深いです。

各誌の共通の認識は、投資と輸出という成長エンジンが弱まり、加えて生産年齢人口
の減少により中国の高度成長は終わり、所得格差、腐敗・汚職に対する国民の不満が
爆発して共産党の支配体制が揺らぐリスク、さらに構造的には凄まじい高齢化社会へ
の対応という社会コストの増大、脆弱な技術力とイノベーションの弱さから、中進国
の罠に陥る可能性です。トップ7が江沢民系でかつ公安トップも江沢民系では腐敗・
汚職の摘発は出来ませんからさらに民衆の反感が高まり、それが結果として共産党の
基盤を脅かすことにつながるでしょう。この危機感を共有するいわゆる反太子党勢力
が権力闘争を仕掛けて権力構造流動化が懸念されます。いずれも反日がその政治的ツ
ールになるでしょう。
中国との付き合い方、距離感に賢さが必要です。少なくとも低コストの生産基地とし
ての意味はなくなります。地産池消の製造業は残るでしょう。したがって、このとこ
ろ前のめり気味だった日本の対中投資も冷静になるでしょう。その反動で前のめり気
味のミャンマー、ベトナム投資が目につきます。ただ両国は反日ではありませんが、
とりわけベトナムは腐敗と汚職、恣意的な政治は、中国と変わりませんから賢い戦略
を心掛けてほしいですね。


◆さあ、総選挙です◆
と言ってもどの政党にも何も期待できませんし、第3極は野田首相の言う通り野合で
す。さすが国民もバカにするな!だと思います。ですから何か未来展望を書く意欲が
出ませんが、暴走老人達の再選だけは勘弁してほしいですね。誰と誰が?

どの党も過半数は難しいでしょうから、自公民の大連立で捻じれ国会を解消して、ず
るずる伸びている法律の成立の処理を済ませ、財政や年金、福祉、エネルギー、教育
という基本的課題の議論をきちっと積み上げて「形」にしてほしいですね。

3党連立だとそんなに過激な発言や行動もできませんし、3党で出し合えばまともな
大臣の人材も何とか用意できるでしょう。本当に日本は政治家の育成に失敗してしま
いましたね。権力闘争と言っても中国のほうが政治局の候補者で見る限り人財は厚い
ですね。


◆宗像大社に行ってきました◆
北九州の宗像神社に行ってきました。以前から一度行きたいと思っていましたが九州
での仕事の機会を捉えて実現しました。

宗像神社は沖ノ島の沖津宮、筑前大島の中津宮、宗像市田島の辺津宮の三社の総称で
す。全国の弁天様の総本宮でもあります。沖ノ島は島全体が御神体で、そのため現在
でも女人禁制で、男性であっても5月27日にしか上陸して参拝できません。しかも上
陸前には禊を行なわなければならないとのことです。そして沖の島は俗に「海の正倉
院」と呼ばれており、4・5世紀から9世紀までの石舞台や古代装飾品などの大量の祭
祀遺物が発見されています。

中津宮にはなんと天の川があり左右に牽牛と織姫が祭られています。ここが七夕の発
祥の地だそうです。海沿いの小さな神社です。

辺津宮はかなり大きな神社で背後の山頂には原始的なストーンサークルのような石の
祭壇があります。

古代人は朝鮮半島から対馬を経て沖ノ島をめざしこの宗像の地に上陸したのでしょう
か。近くには有名な遠賀川式土器で有名の弥生時代の集落があり、この地域は日本の
稲作の伝播の地と考えられています。

また近くの黒崎市には、神武天皇が東征の折47艘の船団を用意するため、宇佐からこ
の地に来て、約1年滞在したという現在は一宮神社になっている岡田宮跡がありそこ
にも足を延ばしました。ここにも石の祭壇跡があります。神武天皇(実存の可能性が
高い崇神天皇と神武天皇を同一人物と見る説があります)は当初は新羅遠征を企てて
いたのではないかという説もあるそうです。神武東征ではこの後、今の広島県、阿岐
国の多祁理宮(たけりのみや)で7年、岡山県、吉備国の高島宮で8年過ごしました。
中原を征服するべく浪速国の白肩津(現 東大阪市附近)に停泊した時、ナガスネヒ
コの軍との戦闘で兄のイツセを失い、遠く南の南紀、熊野から山越えで大和に入り豪
族を服従させて、畝火の白檮原宮で即位したというのが古事記の神武東征の伝承です

「日本人はどこから?」という一連の勉強の一環としてこの地の地勢を見たかったの
が訪問の動機です。上陸地点として問題ない地勢でした。ただ休耕田が多く目につき、
弥生以来の美田の荒れ方が無残です。食用はまだ国内で増産できますね。
ともかくこの宗像の地が半島からの移住と交易として古代の日本人にとって重要な地
であったと思います。

地勢は海から少し入り、小高い照葉樹の森を背にし、横を川が流れているという地形
です。その山の上に石でできた祭壇が設けられています。鎮守の森という日本語が形
になっています。よく見ると全国の神社の地勢はすべてこの形です。世田谷の駒繋神
社も小さいですが同じ地勢です。ここは源氏の八幡太郎義家が関東の東征の折、馬を
繋で、宿営したという地です。その昔はこのような地形を選んで陣を、居を構えてい
たのでしょう。

宗像大社
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AE%97%E5%83%8F%E5%A4%A7%E7%A4%BE
北九州近郊を中心に神社および周辺風景の撮影日記
http://blog.goo.ne.jp/noyamany/e/5b494c7d1cbf783c5a533ab6c6ede226


◆「地域新生のデザイン2」を電子版で出版しました。◆
2005年に出版した「地域新生のデザイン」のその後の研究成果の報告書です。
本書はネットワーク分析による地域クラスターの分析・評価とそれに基づいた地域経
済新生のモデル構築の試行を目的としています。北海道から沖縄に至る、青森県、山
形県、長野県、浜松市、近畿圏、北九州という18地域の特徴の洗い出し、ネットワ
ーク分析を行い、ネットワーク分析による各地域の比較評価を紹介しています。そし
てネットワーク分析による地域クラスターの構造分析の手法も紹介しています。さら
に青森県、浜松市においてクラスター形成に直接携わり、クラスター形成のプロジェ
クトマネジメントのあり方も紹介しています。

東京大学の俯瞰工学研究所研究室の10年のクラスター研究の成果の報告です。この研
究で地域クラスターの発展の状態を定量的に評価でき、これにより地域政策の実効と
進捗が客観的に評価できる手法を開発できたと思います。そしてこの研究成果は東京
大学のイノベーション政策研究センターに引き継がれているはずです。
地域クラスター関係者はぜひお読みください。

紀伊国屋の電子書店 http://bookweb.kinokuniya.co.jp/indexp.html
大日本印刷系のhonto http://honto.jp/ebook.html
で販売しています。


◆頭のよくなるクッキング9◆
慢性炎症という言葉を知っていますか。いわゆる炎症は急性炎症です。体の内部で低
レベルの炎症が進行し持続する現象です。文部科学省の先端科学の重点テーマを追求
するJSTの「CREST」と「さきがけ」でも22年度からプロジェクトが開始されています。
簡単に言うと脂肪細胞、特に内臓脂肪が万病のもととなる毒を体内にまき散らすとい
う事です。その図解モデルを俯瞰工学研究所のサイトの「俯瞰メール補完資料」に上
げておきましょう。

メタボと肥満が寿命を縮めます。癌、糖尿病、高血圧、心筋梗塞、脳梗塞、この全て
は肥満メタボが原因のようです。血管についた汚れは元に戻せないようですから、時
間的に今から間に合う人は何とか頑張ってください。論文を読むと戻れない話は「脂
肪細胞のリモデリング」という表現でした。組織が変質して元に戻れませんが、心を
入れ替えて食生活を改善すると少し縮小するようです。血管というパイプを綺麗にし
ましょう。

結論から言えば、悪い油はとらない!とるべき油は積極的に取る。過剰な糖質は取ら
ない。毒を撒き散らす内臓脂肪になるからです。摂ってはいけない脂肪は動物性の脂
肪とマーガリン、ショートニング、酸化した油です。摂ってもいい脂肪はオメガ6脂
肪酸のバージンオリーブオイルで、積極的にとるべき油はエゴマオイル、亜麻オイル
のオメガ3脂肪酸のオイルです。詳細は俯瞰工学研究所のサイトの俯瞰工学研究所の
俯瞰健康学を参照してください。

慢性炎症と脂肪組織炎症説明図
http://www.fukan.jp/%E4%BF%AF%E7%9E%B0%E3%83%A1%E3%83%BC%E3%83%AB%E8%A3%9C%E5%AE%8C

%E8%B3%87%E6%96%99/?logout=1
慢性炎症の研究プロジェクト
http://www.inflammation.jst.go.jp/outline/index.html
http://www.inflam.jst.go.jp/about/index.html
俯瞰健康学
http://www.fukan.jp/%E4%BF%AF%E7%9E%B0%E5%81%A5%E5%BA%B7%E5%AD%A6/


◆デジタル書斎の構築15◆
Windows8をインストールしました。一見新しいように見えますが、ある意味Windows7
にスタート画面のカバーをかけたようなものですので、Windows 7を上書きするとほ
とんどのアプリケーションはそのまま動きます。デバイスドライバーでデバイスのド
ライバーの書き換えをするとネット上から探してきてインストールしますから、移行
の時間は正味時間1時間くらいでしょうか。

Windows8 の操作はキビキビしています。コピーは速くなりました。
Windows Essentials を別途インストールしておくと写真と動画の編集ができます。
むろん無料です。SKYDiveというクラウドコンピューティングサービスもこれに含ま
れます。Windows8 proの場合は、1月31日まではWindows8 の機能追加で、DVDを見る
ソフトをダウンロードしてインストールできます。
IE10はかなり機能アップしているようですが、Evernote の Clearly が使えません
ので今まで通りChrome を使っています。Evernote の Clearly はWebページの広告
を取り除いてすっきり保存するアドオンで、お勧めです。
USB3.0が正式サポートとか色々機能拡張はあるようですが、手持ちのHDDを複数接続
して、一つの記憶域として管理でき、HDDが複数であれば双方向ミラーでRAIDのよう
にエラーリカバリーができる、記憶域プールは新規の目玉のようですが、まだ使って
いません。
むろん、デスクトップのパソコンですから、タッチパネルの操作はできませんが、
通常の液晶にかぶせるアタッチメントがAmazonで販売されていました。

PCオーディの続きですが、本当に高音質の音楽が無料で楽しめます。聞き流すのであ
ればもうCDを買う必要はないという感じです。クラシックではLINNのサイトは高音質
です。JAZZも様々なというより無数の高音質サイトがります。下記のサイトは参考に
なります。そこで紹介されているAMP2という無料のプレイヤーソフトはビットレート
でソートしてくれるので高音質のラジオ局が容易に探せます。

クラッシクのサイト紹介
http://classical.morrie.biz/
AMP2について
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1347490163


◆書評◆
今月のご紹介は、
「コミュニティーデザインの時代」 山崎 亮 中公新書 2012
です。

本書は、コミュニティーづくりに興味がある方には大変参考になります。
第1章は何故、今コミュニティーかという解説です。そして何故このような仕事を始
めたかという話です。第2章ではコミュニティーデザインの時代変化を3段階で解説し
ています。第1段階は」ニュータウンなど住宅地のデザインの時代で、ハード整備に
よってコミュニティーを作り出すという発想であったといいます。
第2段階は第1段階が専門家だけで行われたのに対し、住民もこれに参加すべきだとい
う住民参加型のまちづくりになったが基本的にはハード整備であったと言います。
第3段階はハード整備が目的でなく、ワークショップ主体で、地域の課題解決や生活
を楽しむ人のネットワークづくりという、コミュニティーデザインになったとのこと
です。まさに現在私たちが想定しているコミュニティーのデザインですね

第3章にはさまざまのコミュニティーのプロジェクトの紹介です。ここはとても面白
いですし参考になります。

第4章は現在筆者がおこなっているコミュニティーデザインの手法の解説ですが、豊
富な実践の経験から来ていますので極めて実戦的で、これは大いに参考になります。
コミュニティーデザインの教科書は書けないと云いながら結構具体的に手法を公開し
ています。その手法は、
1.ヒヤリング
2.ワークショップ
3.チームビルディング
4.活動支援
の4段階です。各段階のポイントも丁寧に解説してあります。

ヒヤリングの要点は人間関係の星座を描くことであり、最終的には相手と友達になる
ことだそうです。

ワークショップはこちらのアイディアを話すのではなく、ブレーンストーミングやKJ
法、マインドマップ等の手法を使ってプランを参加使者が作っていくことで、ファシ
リテーターがコミュニティーデザイナーの仕事になります。ファシリテーターをする
ためには沢山の事例を知っている必要があるとのことです。

チームビルディングは参加者が出したアイディア具体的な行動計画に落とし込み、
キャラクターや才能を考慮して具体的なチーム作りをします。

活動支援は初期の段階で体制づくりの支援をすることです。たとえば行政からの支援
を引き出すとかプロジェクトに必要な知識や情報を習得するセミナーなどです。
実はこの手法は、30年以上前からIBMが企業情報システムのプロジェクトの立ち上げ
に使っているCPS(Customer Planning Session)と全く同じです。この手法は極め
て有効で、個人的に関係したプロジェクトはこれで全て成功できました。お勧めです。

コミュニティーづくりに興味があるかには一読をお勧めします。

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◆内容・記事に関するご意見・お問い合わせ/配信解除・メールアドレス変更
右記まで  webmaster@fukan.jp
………………………………………………………………………………………………………
◆俯瞰 MAIL 0023号(2012年11月19日)
発行元:一般社団法人 俯瞰工学研究所
発行責任者:松島克守
URL: http://fukan.jp
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-俯瞰メール22号

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皆様

◆木々の緑色は残っていますが、秋ですね。稲刈りも終わりそうですが、本当に黄金
の海ですね。これを見ると日本が豊かな国だなと感じます。
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・カリマンタンに行ってきました
・弥生日本人と同じ生活の人達がいた
・中国経済の変調と日中対立が世界の経済を悪化させる
・新興国が揃って変調です
・グローバル化の経営課題
・エネルギーをめぐる議論
・再生エネルギーのビジネスモデル、をテーマしたビジネスモデル学会成功裏に
・渋谷ヒカリエでシティー・サミットを開催しました
・「電子版 プラチナ構想ハンドブック」をApp Storeで販売を始めました
・頭のよくなるクッキング8
・デジタル書斎の構築14
・書評 : 「照葉樹林文化とは何か」 佐々木高明 中公新書 2007
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◆カリマンタンに行ってきました◆
カリマンタンはインドネシア語で、英語ではボルネオです。行ったのはインドネシア
領の西カリマンタン州の海岸に近いKetapangという小さな町です。ジャカルタから
Pontianakまで約2時間のフライト、そこで双発のプロペラ機に乗り換えて約1時間で
す。さらにここから車で2時間のボーキサイト鉱山に行ってきました。カリマンタン
は鉱物資源が豊富で、石油、石炭、ダイヤモンド、金、銅、スズ・鉄、マンガン、ア
ンチモン、ボーキサイトなどを産出します。

ジャカルタ空港のそばのホテルを6時に出て朝一番のフライトに乗る予定でしたが、
フライトが飛びません。理由はヘイズ(haze)と呼ばれる煙霧です。自然発火の山火
事が地表の泥炭に燃え広がり広い原野が燃え続ける現象です。スマトラやカリマンタ
ンは自然の原野が多くこれがしばしば発生して、ひどい時は対岸のシンガポールも煙
に包まれます。出発は結局10時近くでした。ただ、ラウンジは無料WiFiがあり、結構
仕事が出来ました。Pontianakでは当然乗り継ぎのフライトが直ぐありません。また2
時間くらい待って双発のプロペラ機でKetapangへと。ここも無料WiFiがありますので
iPhoneでメール見られます。Ketapangに着いたのは既に午後1時くらいです。さすが
にこの町は奥地という感じです。山に入る前に宿泊予定の近代的なホテルで昼食を取
って、車に2時くらいに乗り込んで、SUVで約2時間の行程です。気候は東京の夏よ
りましです。

途中の景色が楽しめました。広大な熱帯雨林が切り倒され、パームヤシの植林が進め
られていました。近い将来世界最大のパームオイル産地になるだろうという事でした
壮絶な自然破壊です。アマゾン奥地を始め世界中で同じ自然破壊が進んでいるのでしょ
う。さらに奥に入り、目的のボーキサイト鉱山です。採掘をこれから本格化する予定
ですが、出荷の為に海まで自分で道路を開発中です。港もこれからです。採掘権は政
府から獲得していますが地権者は別です。第一の課題は地権者が不明確です。登記所
も地図もありません。自分の祖父の土地だったという人が続々出てくるのを一人ずつ
処理していくという大変な仕事です。ですから部族長の様な地区の有力者への挨拶も
欠かせません。そこにも同行しました。この海岸に近い所に住んでいる人達の生活に
大感激しました。

ボルネオ島
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9C%E3%83%AB%E3%83%8D%E3%82%AA%E5%B3%B6
西カリマリタン
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A5%BF%E3%82%AB%E3%83%AA%E3%83%9E%E3%83%B3%E3%82%BF

%E3%83%B3%E5%B7%9E


◆弥生日本人と同じ生活の人達がいた◆
海岸に近い地区の住人はマレー系の漁民です。しかし、焼畑の後、雨季で水が張ると
そこにコメを蒔いて育て、自家用にするというのです。さらにカスミ網で鳥を取りレ
ストランに売るという事もやっています。この生活スタイルは、長江中流で我々日本
人の祖先が暮らした生活スタイルと同じです!長江から北九州に到達したのが日本人
で、此処の住人はビルマ、タイ、ラオスの山地に移動し、河を下って東南アジアに広
がった人達、そして海を越えてボルネオまで来ている人達です。この話は後の書評に
記します。

何故、此処に?それはインドネシア政府の政策にあります。インドネシア政府は2014
年以降鉱物資源を鉱石のまま輸出事に高額の関税を課すことに決めました。即ち、国
内で精錬して高付加価値の商品として輸出するように指導しています。友人の、友人
のインドネシア人がボーキサイト鉱区の権利を入手しましたが、道路、港湾、発電所、
精錬所の建設に膨大な資金が必要です。この事業のパートナーとして日本企業と組み
たいという話がありましたので、鉱石を日本の2つの機関で分析してもらい、現地を
見に行ったわけです。「現地に行って、現物を見て、初めて現状を理解できる」とい
う、日本人の仕事の作法です。

東南ア、鉱石輸出を規制
http://www.nikkei.com/article/DGXNASGM1405T_X10C12A5FF1000/


◆中国経済の変調と日中対立が世界の経済を悪化させる◆
以前から言われてきた中国経済の変調が顕在化しました。中国鉄鋼大手、宝鋼集団
(上海市)が最新鋭製鉄炉の稼働を停止したと報道されました。積みあがる各種在庫
の情報も多数あります。そして信用できないと言われるGDPではなく、信用度が高い
という電力消費量も現在も前年割れが目前だとあります。しかしリーマンショックの
後の様な大きな金融緩和は出来ないでしょう。その時の後遺症、即ちバブルと不良資
産が残っていますから。元々ファンダメンタルが、特に社会的な成熟が成長について
きていません。安定した成長で「内」の充実を図る時期です。日本の中国投資は小売
業を除けば急激に減少するでしょう。

しかし、車を代表に不買運動や入札外しで日本企業は経済の減速以上の影響を受ける
でしょうし、中国は設備投資の過剰、そして内需不振でダンピング価格で輸出をして
いますから、太陽電池は欧米の企業を破綻させ、日本の鉄鋼等素材産業も輸出価格の
大幅な低下で収益が悪化しています。欧米との貿易摩擦が出ています。中国投資に関
しては、もともと日本企業の意思決定が遅く、欧米に一周遅れで反日デモの前になっ
て大きな投資をしていましたが、欧米企業は既に中国投資を絞り、収穫期です。1996
年の第1回の中国モーターショウに参加しましたが、その時には既にフォルクスワー
ゲンは生産をしておりGMの工場も完成していました。いずれにしても日本からの投資
の減少は中国経済の悪材料です。

加えて、最近は米国を政府調達から締め出すという決定をしています。日本人は本当
によく我慢していますが、此処は社会と文化の成熟度を世界に見せましょう。しかし、
政界の幼稚な振る舞いはこの国民の“大人”のふるまいの効果を消してしまいます。
日中国交回復後40年の時間にかもし出された日本人の親中国的な感情は反日デモで完
全に消滅し、この見えない資産の消失は日中経済にジワッと効いてくるでしょうね。

AKBの上海姉妹グループの今後の展開も気になりますね。

中国の電力消費量
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO46498400U2A920C1DT0000/
中国の宝鋼集団最新製鉄炉の稼働停止
http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20121002&ng=DGKDASGM28080_R01C12A0FF1000
中国の供給過剰
http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20121018&ng=DGKDASDC17002_X11C12A0MM8000
(日経電子版会員の方はリンク可)
中国の構造不況
http://www.nikkei.com/markets/features/27.aspx?g=DGXNMSFK2003J_20092012000000
中国からASEANへ投資シフト
http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20121018&ng=DGKDASDC17002_X11C12A0MM8000
(日経電子版会員の方はリンク可)
中国とどう向き合うか
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO46525040V20C12A9KE8000/
AKBの上海姉妹グループ
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20121015/k10015740431000.html


◆新興国が揃って変調です◆
中国の経済成長の減速に加えて、インド、ロシア、ブラジルと希望の星だったBRICs
が揃って経済成長の踊り場ですね。元々様々なインフラの未整備に対して成長の期待
と目標が高すぎたのですね。インドは電力、交通等の社会インフラの未整備に加え、
ビジネス環境の法制整備に加え、政治的なリーダーシップにも問題あります。新興国
に共通ですが汚職も酷いです。スズキの暴力的ストライキに見られるような社会的な
歪とそれに対する抑えきれないほどの大衆の不満が健全な経済成長を妨げています。
この点は未だ韓国の「現代」ですら苦しんでいますが。

BRICs以外のベトナム、以外のインドネシアも変調は共通です。しかし、世界経済は
この成長市場をあてにして経済運営をしてきましたから、世界的な経済も変調をきた
します。加えて長引くEUの金融危機と経済の停滞です。因果関係から言えば、EU経済
の停滞が、中国の輸出を減らし、旺盛な需要が急減して、資源価格を下げ、このため
ブラジル、ロシアなど資源国の経済を停滞させ、世界経済全体が変調をきたしました。

相対的に日米の経済は安定して見えますが、企業経営者の苦闘は察するにあまりあり
ます。日本は顕在化した中国のリスクと成長の限界に対応するため、東南アジアを中
心にリスク分散した新しいグローバル化の戦略の展開が求められますね。

景気減速、新興国にも波及
http://www.nikkei.com/article/DGXNASGC11007_R11C12A0000000/
マクドナルドも世界同時減速の影
http://www.nikkei.com/markets/column/ws.aspx?g=DGXNMSGN2000K_20102012000000
インドリスク強まる
http://www.nikkei.com/paper/article/?ng=DGKDASGM17082_X11C12A0EA2000
(日経電子版会員の方はリンク可)


◆グローバル化の経営課題◆
ただ、どの国に事業を展開するにしても、日本企業に共通する課題の一つが、人事制
度システムです。グローバル対応で且つ、地域適応の人事制度を各地域に導入しなけ
れば、いつかはスズキや現代、更に銃撃戦になった南アフリカのような争議に向き合
うリスクがあります。日本式の人事管理?日本でも人事の管理できていません。

更に、一時に比べ機運が落ちていますが国際会計基準への対応も依然グローバル化の
課題ですがこれも余り動いていません。オペレーションの評価が均一にできません。
会計システムを入れるだけですが。ポイントはグローバル会計のソフトウェアを日本
化しない事です。日本本社の会計処理は世界の非常識ですから。

第3の課題がITシステムです。上記2つの課題もインプレメンテーションはITシステム
です。グローバル企業の神経網です。このITシステムには結構多額の投資をしていま
すが、グローバル対応になっていません。ですから在庫も見えません。この責任は情
報システム部門にあります。必要以上の投資を経営者から引き出しながら、グローバ
ル対応できないシステムを構築しています。経営者と情報システム部門の双方に、グ
ローバル企業の神経網という理解が出来ていません。

機会あるたびに助言していますが日本人の経営者は動きませんね。何度言っても動き
ません。日本人は黒船、敗戦、暴動での破壊が無いと動かない文化ですか。冗談に、
“風林火山”から“風”と“火”を消去しているのですかといってます。

風と火で躍進している企業もあるようですので、日本も捨てたものではありませんが。

高速回転経営
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO47415090Y2A011C1TJ2000/


◆エネルギーをめぐる議論◆
エネルギーの議論も活発でまともになってきました。もともと原発25%、15%、
0%という単純な“三択クイズ”で国民の意思を確認するという、学生でもやらない
ような稚拙な議論を始めた政府が国民の意識を混乱させました。本来この段階でもそ
れぞれの選択の結果予想されるインパクトをキチッと示すべきです。国民もこれを正
しく認識する必要があります。一方財界も、ただ原発ゼロに反対で再生エネルギーだ
けではどうしてもだめだという説明が出来ていません。米国でも原発無し、再生エネ
ルギーでエネルギーが賄えるという根強い主張も有ります。例えば、Rocky Mountain
Institute の提案です。

一方、地球温暖化、低炭素の議論がすっかり低調になってしまいましたが温暖化は進
んでいますし、体感できます。10月になって金木犀の香りが街に流れ来ました。以前
は9月の季節感でしたが10月にこの香りを感じて改めて温暖化の進展を感じます。北
極海の氷も史上最少という報道もあります。

エネルギーの議論を深めて、広げて国民全体の意識を高め、既に世界一の、省エネル
ギーと高い熱効率をさらに高めて完全な循環型経済を実現して、世界に範を示すのが
日本の進むべき道ではないでしょうか。ただ単純な理想論は国を誤らせます。

Rocky Mountain Institute
http://www.rmi.org/
北極海の氷
http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=00020120921003
「第5の燃料」で世界のリーダーになれ
http://business.nikkeibp.co.jp/article/interview/20121009/237853/?mlp&rt=nocnt


◆再生エネルギーのビジネスモデル、をテーマしたビジネスモデル学会成功裏に◆
ビジネスモデル学会の秋季大会は10月20日東京大学の工学部講堂で成功裏に開催され
ました。10時から5時過ぎという長い時間ですがほとんどの参加者は最後まで熱心に
参加し、交流会も盛況で多くの出会いとパートナーシップが生まれました。

基調講演の「日本は再生可能エネルギー大国になりうるか」-福島原発事故の検証から-
と題した、前JST理事長で、福島原発事故独立検証委員会委員長の北澤 宏一教授の講
演は圧巻でこの講演だけでこの学会に参加した価値があります。私も核のエネルギー
を含め、日本のエネルギーに関する認識が一気に深まりました。この提案をベースに
して国民が広くエネルギーを議論することが、私の主張するまともなエネルギー論議
です。キーとなるメッセージは「国民一人年間5万円を負担(長期の投資)すれば原発
無しのエネルギーミックスが可能になる」です。会員は当日の資料を学会のHPで間も
なく見られますが、下記の著書の一読を強くお勧めします。一緒に、「福島原発事故
独立検証委員会 調査・検証報告書」も購入しましょう。

個人的には協和コンサルタンツの桑野和雄氏と九州工業大学の金元敏明教授の「経済
性と資源活用のエッジの追及、マイクロ水力発電」で紹介された独創的な小水力発電
システムに嵌りました。これは凄い発明だと思います。世界の貧困地帯を変えます!
詳細は三重県「立梅のプロジェクト」を見てください。

北澤 宏一教授の著書
http://www.amazon.co.jp/s/ref=sr_st?__mk_ja_JP=%E3%82%AB%E3%82%BF%E3%82%AB%E3%83%8A&keywords=

%E5%8C%97%E6%B2%A2%E5%AE%8F%E4%B8%80&qid=1350792016&rh=k%3A%E5%8C%97%E6%B2%A2%E5%AE%8F

%E4%B8%80%2Cn%3A465392&sort=-pubdate
立梅の小水力発電プロジェクト
http://www.2030.jp/blog/tachibai/2012/07/post-74.html
ビジネスモデル学会
http://www.biz-model.org/


◆渋谷ヒカリエでシティー・サミットを開催しました◆
二子玉川で推進中のクリエイティブ・コンソーシアムの活動ですが、10月12日に
渋谷のヒカリエでシティー・サミットを開催しましました。

定員800名ですが1300人以上の申し込みがありましたが、抽選で約1000人の方々を招
待しました。当日は欠席者も僅かで満員でした。基調講演の安藤忠雄生のお話はすご
く楽しめました。残念ながら資料は非公開です。富山市のコンパクトシティーの実践
結果は説得力ありますね。首長が本気になれば出来るという非常に良い事例です。

「二子玉川に作るクリエイティブシティー」と題して、私はコンソーシアムの基本構
想を発表しました。

その中で二子玉川、渋谷、自由ヶ丘を結ぶ三角形をプラチナトライアングルと名付け
その凄いポテンシャルを紹介しました。そのポテンシャルは、0-14歳の人口増加率が、
全国では-3%、23区で+3.3%ですがプラチナトライアングルでは+5.1%、大学・
大学院の高学歴者の割合が、全国の17.3%、23区で24.8%に対して31.1%、年収1000
万円以上が全国の7%、23区で10.2%に対して16.3%という実態を示してこの地域に
クリエイティブ・クラスが既にかなり集積していてこのポテンシャルを生かして、ク
リエイティブシティーという経済成長のエンジンとなる「新しい都市のモデル」を創
成する目標を示しました。詳細は下記にある当日の資料でご覧ください。

当日の資料等は下記で。当日のUstreamも置いてあります。
http://creative-city.jp/news/2012/0824_112302.html


◆「電子版 プラチナ構想ハンドブック」をApp Storeで販売を始めました◆
プラチナ構想ハンドブックの電子版は既に、紀伊国屋の電子書店http://bookwebplus.jp/
大日本印刷系のhonto  http://honto.jp/ebook.html で販売していますが今回は
AppleのApp Storeでも販売を始めました。次はAmazonですがこれは来年になるでしょう。

Apple とAmazon から英語版を出版する予定です。世界中の人に直接書籍を販売する
という夢の様な事が可能になった時代です。


◆頭のよくなるクッキング8◆
久しぶりにインパクトのあるシェフに会いその料理を食しました。それは青山1丁目
のナリサワ(NARISAWEA)です。その昔、30年以上も前、確か六本木の芋洗い坂のビ
ストロ・ロチュースから西麻布にクイーンアリスを開いた石鍋裕シェフ、葉山から
南青山にキハチを開いた熊谷喜八シェフ、西麻布にアクアパッツアを開いた日高良実
シェフの料理に出会ったようなインパクトを感じました。その頃にはそんなシェフが
まだ何人もいたのでしょうが。

長ネギの焦がした黒い粉末をまぶした食材、液体窒素で凍らせた日本酒のソルベ、同
じく液体窒素を温かいイカのローストに掛ける演出・・・。日本刀を小さくしたステ
ーキナイフ、食器も独創的でアートです。テーブルにも挨拶に来てくれました。そう
いえばビストロ・ロチュースでは石鍋シェフは出口まで送ってくれましたし、著書も
サインしてもらって買ってきました。

成澤由浩シェフの「森とともに生きる」というテーマのメニューは、森からの贈り物、
菜園からの贈り物、里海からの贈り物、里山からの贈り物で構成されていました。

インパクトのあるシェフに会い、その料理を食するのも頭のよくなるクッキングの範
疇です。


◆デジタル書斎の構築14◆
前回のPCオーディオの続きを。CDのリッピングについては話しましたが、本来PCオー
ディオはCDを超える音質のいわゆる高音質音源の音を楽しむことです。既に電子ファ
イルとして高音質の音楽ソースがネットで販売されています。高音質音源とは通常の
CDのサンプリングビット/レートが16bit/44.1kHzに対して、高音質音源は24bit/96kHz
や24bit/192kHzのデジタルオーディオデータです。

実は高音質音源としては既にSACD(スーパーオーディオCD)とDVD Audioが発売され
ており、我が家にも既にかなりのコレクションがありました。これをリッピングする
のは通常のCDの様には行きません。幸い最近になってDVD Audioについてはそのリッ
ピングのソフトウェアがネットで入手出来るようになりました。それはDVDAExplorer
です。これでDVD Audioの24bit/96kHzは無事リッピングできましたが5.1チャンネル
は再生ができませんのでしばらく勉強です。

もう一つのDSDフォーマートのSACDはリッピングソフトウェアが見つかりませんでし
たが、ネットで探していくとなんと、Play Station3の初代のファームウェアを書き
変えれば出来るという記事に出会いました。我が家にはその初代のPS3が死蔵されて
います!かなり高度な裏技ですのでまだ試していませんが次回くらいにはご報告出来
るかもしれません。頑張ります。

しかし、最も手軽な高音質音源の楽しみ方はインターネットラジオです。ネットプレ
イヤーをオーディオシステムに追加するだけですが無数の放送局から好みのジャンル
の高音質の放送が見つかります。クラシックファンにはTBSがやっているOTTAVAがお
勧めです。高音質で素晴しい選曲のプログラムが24時間タダで聞けます。これはパソ
コンでもスマフォでも聞けます。スマフォの音も高級イヤフォーンで聞けばかなりの
モノでしょう。

iPhone5を入手しました。いつものように渋谷のビックカメラで比較的簡単に入手し
ました。今回はキャリアをソフトバンクからauに乗り換えました。今は意外とLTEの
エリアは少ないです。しかし接続状態はかなり改善されました。特に電車の中や地方
での通話が酷かったですから。

機能面では特にまだ体感するものはありません。軽くて持ちやすくなった気はします。


◆書評◆
今月のご紹介は、「照葉樹林文化とは何か」 佐々木高明 中公新書 2007です。

本書は、“日本人のアイデンティティー、何処から来たの?”の答えをくれた本です。
この3年ほど追いかけてきたこのテーマに一応の結論を得ました。

縄文以降の日本の歴史はかなり研究が進んでいます。京都大学の学派が精力的な研究
をしています。それによると縄文時代の初期に、北のツングース系の民族が狩猟・採
取文化をもって北から日本列島に移動し、中期までには東日本全体に広がったといわ
れています。この地域はアムール川、沿海州の森の樹勢であるナラの森林が共通で、
ナラ樹林文化と呼ばれています。狩猟・採集の文化で、この落葉樹の森が広がる東日
本に広がって行きました。

一方、長江中流にいた非漢民族は4000年くらい前に南下する漢民族に追われて、長江
下流に移動した集団と、タイ、ビルマ、ラオス、ヒマラヤに移動した集団に分かれま
す。縄文中期後期に、その南下した集団は朝鮮半島南部から北九州へ、一部は長江下
流から直接九州へ、さらに一部は南西諸島から沖縄、九州に移動してきました。長江
流域、東南アジア、ヒマラヤの森は照葉樹林が共通する樹勢です。東海以西の西日本
もこの照葉樹林です。長江下流から移動してきた民族はこの西日本の照葉樹林に広が
って行きました。(ナラ林樹林と照葉樹林の分布の図を俯瞰工学研究所のサイトの俯
瞰メール補完資料に置きます。)

この長江からの移動集団は狩猟・漁労・採取に加えて焼畑農業の農耕文化を既に持っ
ていました。その焼畑の雑穀栽培の中には陸稲があったといわれていますが、原始的
な水田もあったようです。納豆はこの照葉樹林文化に共通する食文化で、このほか麹、
漆…などが共通文化です。この照葉樹林文化も北進していった様で、福井県や青森県
の三内丸山遺跡でも見事な漆器が数多く発見されています。

次に、3000年ほど前に日本に移動してきた集団は、北アジアの民族で、朝鮮半島を南
下して、朝鮮半島南部で先進的な灌漑システムをもつ大規模な稲作文化を発達させ、
それを持って北九州に移動してきましたが、この民族は鉄器と馬そして国家という組
織と強力な文化を持っていましたので、これが勢力を広げ、これが弥生文化で西日本
全体に広がって行きました。倭国の時代です。

最後に、その後の大和に国を創る大王家、すなわち現在の天皇家につながる集団が強
力な武力を持って進出してきました。これが有名な江上波夫教授の騎馬民族征服説で
す。朝鮮南部の百済と大和朝廷の親密な関係はこの源流にあるという事です。旧任那
には大和と同じ前方後円墳が有ります。

この文化も現在の茨木県でとどまり、ご存知のように坂上田村麻呂の多賀城、源頼朝
の藤原氏攻略で大和勢力が少しずつ東北に浸透していきましたが、現在も基底の文化
は西日本と東日本は差違が有ります。

ですから現在の日本人は、北方ツングース系、照葉樹林系、水耕稲作の弥生系、北ア
ジア騎馬民族系が混在しています。これは日本人が持つミトコンドリアのDNAハプロ
グループの割合とも整合します。今はDNAの分析で、自分の源流が、北方ツングース
系、照葉樹林系、水耕稲作の弥生系、北アジア騎馬民族系か判定してくれます。(西
日本への文化の伝播ルートの図を俯瞰工学研究所のサイトの俯瞰メール補完資料に置
きます。)

この本は3部構成で、以上が「第1部照葉樹林文化とは」に記述されています。佐々木
高明教授自身の膨大なフィールドスタディーの結果に加え、出版が2007年と新しいの
でこの日本人のアイデンティティーを追求してきた多くの碩学の学説が俯瞰的に統合
されていますのでこれが現在段階の結論でしょう。ただ、日本民俗学の父と呼ばれる
柳田国男は日本文化は稲作文化であり、南からの海上の道から日本民族は来たという
主張をしたようですが考古学、言語学、歴史学のからは認められなかったとあります。
元々柳田国男は官僚であってフィールドスタディーは行ったがいわゆる市井の「学者」
であって研究者ではありませんので『学』における「知の技法」を習得していません
から、論考を積み上げて推論するのではなく直観的な主張になります。有名な「遠野
物語」も十分な現地調査研究をしたのではなく、遠野の作家佐々木喜善の収集した話
を編纂したと言われています。

佐々木高明教授は研究者ですから「知の技法」に基づいて中尾佐助、大林太良、坪井
洋文、岡正雄らの碩学の論考を俯瞰的に構造化して結論を出していると思います。

第2部には豊富な図表を含めたアジアの照葉樹林文化の民俗、習俗が紹介されていま
すが、非常に興味深いですよ。

第3部は農耕文化の起源に関する、佐々木高明教授と植物学者の堀田満教授、環境考
古学者の安田喜憲教授、植物遺伝学者の佐藤洋一郎教授の討論ですがかなり専門的
です。

騎馬民族征服説
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%A8%8E%E9%A6%AC%E6%B0%91%E6%97%8F%E5%BE%81%E6%9C%8D%E7%8E%8B

%E6%9C%9D%E8%AA%AC
DNA情報から日本人の起源を探る
http://www.cyber-u.ac.jp/column/wh/006/index.html

=======================================
◆内容・記事に関するご意見・お問い合わせ/配信解除・メールアドレス変更
右記まで  webmaster@fukan.jp
………………………………………………………………………………………………………
◆俯瞰 MAIL 0022号(2012年10月22日)
発行元:一般社団法人 俯瞰工学研究所
発行責任者:松島克守
URL: http://fukan.jp/
=================================

 

 


-俯瞰メール21号

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皆様

◆季節のご挨拶◆
残暑厳しいですが、日は確実に短くなり、それに反応して植物は秋支度です。稲は穂
を付け花咲き、既に籾を膨らませています。木々の葉は温度に反応しますのでゆっく
りと準備をしているようです。
-----------------------------------------------------------------------------
・世界中不安定ですね
・中国の反日運動想定を超しています
・愛国者と害国者
・原発の本番の議論が始まりました
・渋谷ヒカリエでシティー・サミットを開催します
・ビジネスモデル学会秋季大会
・プラチナスクールの講義は素晴らしい
・「俯瞰経営学」と「今、そして未来」電子書籍で出版しました
・頭のよくなるクッキング7
・デジタル書斎の構築13
・書評 : 「稲の道」
-----------------------------------------------------------------------------

◆世界中不安定ですね◆
アラブの春の中東も反米のデモで荒れていますし、シリア情勢もいよいよ激しさを増
しています。イランの核開発についてイスラエルの実力行使の可能性も高いと言われ
ていますね。イラクもテロ、アフガンもテロに加え、タリバンは参戦した英国王子を
狙うと公然と宣言しています。

尖閣を巡って反日デモが拡大する中国、それを黙認する中国政府、それを見て日本人
に対する暴行や商店の破壊までエスカレートしています。酷いですね。中国という社
会が脆弱で未成熟であることを示しています。韓国との竹島問題はやや収まりました。
米国からクレームされたかもしれません。韓国の安全保障は在日米軍、そして自衛隊
と一体です。既に朝鮮戦争で実証されています。自衛隊の前身の警察予備隊はこの時、
米軍の補完機能として創設されました。水雷撤去の掃海作戦や死体処理を担ったと聞
いています。

これらの不安定性は中国、米国、韓国の政権交代という政治の不在が一つの要因で
しょうか。政局に没頭して政治を忘れている日本を甘く見ていることも有るでしょう。
比較的安定しているのは既に政権交代したロシアですが、ただロシア国内では反プー
チンの動きが大変です。最近の情勢ではアメリカはなんとかオバマになりそうです。
ロムニーの共和党があれほど支持を得るとは、アメリカという国の複雑さを感じさせ
ます。現在の世界情勢の混乱は共和党のブッシュのアフガン進駐、イラク戦争に端を
発しています。そして、韓国が求めに応じて、訪韓の手土産として、米国の地図表記
で竹島を独島と表記替えしています。さすが日本海を東海と変更して欲しいという韓
国の我儘は聞きませんでしたが。


◆中国の反日運動想定を超しています◆
日本人に対する暴行、店舗の略奪、工場の破壊・・中国が制御不能になっています。
当局が黙認している、この民意を対日行動の一部にする、政権中枢が制御不能です。
そのさなか次期リーダーが消息不明となる、明らかに中枢が混乱しています。

国内にたまった不満と反日教育、そして政治の矛盾をそらすナショナリズムの扇動と
いう解りきった方程式ですが、独裁政権の性格が露呈してきたのです。

この背景にGDPで日本を抜き、今や中国が日本の上に立ったという誤解もあると思い
ます。中国は米国とG2という自意識です。失われた20年で、日本が失ったものは「経
済大国」というタイトル、ブランドです。日本はかつて、G7としてグローバル経済の
リーダーの一員でした。その後ロシアが加わりG8です。今は中国、インド、ブラジル
…と同じG20のランクですから。

GDPという人口が支配的な指標の「経済大国」は追求できませんが、「経済強国」は
追求しなければいけません。技術と文化そして倫理で「経済強国」の確立が最大の課
題です。これから「経済強国」の戦略を少し追求して行きたいと思います。


◆愛国者と害国者◆
アラブの反米デモのトリガーは反イスラムの映画です。ユダヤ人が資金を集め制作し
た映画の内容がモスレムを侮辱していると言われていますが、以前にもコーランを焼
くとか、小便を掛けるとか、結果として国家と国民多大な迷惑と損害を与える「害国
者」が問題です。日本でも泳いで魚釣島に上陸した議員がいましたが、本人は愛国的
行為だと思っているのでしょうか。日本人が日本の島に泳いで上陸した何がいいので
しょうか?むしろ魚釣島が日本の中で通常でないことをアッピールしたいのでしょう
か。ロシアが実行し支配している北方領土に泳いで上陸するならまだ理解できますが。
無論これも害国的行為です。国家の安全保障や外交を賢く考えるのが使命の政治家が
その資質がないことを自らアッピールしています。国民や選挙民が愛国的と評価して
いると思っているなら、クレイジーです。心有る日本人は彼らの幼稚な行為を「害国
的」としか見ません。こうゆう政治屋に投票しませんよね。

今回の総選挙に向けたポピュリスト政党も害国者の集団にならなければいいのですが。
かつて田中角栄を今太閤と誉めそやし、落ちればドブに落ちた豚のように打ちたたい
た日本人ですから心配ですね。それにしてもこの動きと連動して日本のリーダーを目
指すという安倍さんは??

尖閣の問題はうやむやに棚上げ、という折角できた暗黙の合意を石原知事が、都が買
い取って施設を建設するという都民からすればとんでもない都税の流用を言い始めて
からおかしくなったのです。中央政府の外交権の侵害です。この人も「害国者」です
ね。

因みに反モスレムの映画制作者のナクラ・バスリ・ナクラ氏(55)は身柄を任意同行
で拘束されました。

関連記事
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20120915-OYT1T00761.htm
http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/nnn?a=20120916-00000018-nnn-int


◆原発の本番の議論が始まりました◆
政府が30年代の末までに原発をゼロにする、というポジションを正式に表明しました
ので、やっと本番の議論が始まりました。議論や、論争はまず自分のポジションを提
示しないと相手も正式な反論が出来ません。

早速米国からは重大な懸念が出されました。安全保障の問題です。対中国に対して高
度な原子力関係の技術を有する日本は強力なパートナーです。しかも米国は現在核の
再処理をしていないようです。

日本の経済界からも強力な反論が出ました。産業立地の観点から製造業を始め競争力
が失われますから。例の再生エネルギーの買い取りでさらに電力料金は上がります。
自民党は次期総裁候補がそろって原発廃止に反対を表明しました。選挙でどう説明す
るのでしょうか。しかし、選挙前のこの段階で明言するのは正義ですね。政府の今回
の意思決定に多くの矛盾があるという議論も有ります。

現段階ではこれでいいのではないでしょうか。現在整合性がある固い意思決定は無理
ですから。まず総選挙の前です。政治ですから現在の民主党政権との状態では、国民
の7割が脱原発を支持している状況を無視して選挙は出来ません。青森県の大間、東
通の建設続行も理解できます。地元は政府の核政策と心中する意思決定をずっと前に
していますから。たとえ脱原発でも廃棄物の保管をお願いするところは下北半島しか
ないでしょう。時間を掛けて国民の認識を構築していきましょう。

それにしても、誰もが30円/KWでも十分採算が取れると言っているのに40円/KWという
買取価格は誰が決めたのでしょうか。例の「原子力村」と同じような「太陽光村」が
既に形成されているのでしょうか。

関連記事
http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20120913&ng=DGKDASFS1202S_S2A910C1MM8000
http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20120911&ng=DGKDASFS10043_Q2A910C1EE8000
(日経電子版会員の方はリンク可)


◆渋谷ヒカリエでシティー・サミットを開催します◆
二子玉川で推進中のクリエイティブ・コンソーシアムの活動ですが、10月12日に
渋谷のヒカリエでシティー・サミットを開催します。独自の街づくりを推進中のシティ
ーの首長の講演です。

<オープニング>
 小宮山 宏氏(クリエイティブ・シティ・コンソーシアム会長)
<基調講演>
 「魅力ある都市」安藤忠雄氏(建築家・東京大学名誉教授)
<プレゼンテーション>
 「二子玉川に創るクリエイティブシティ」 松島克守(クリエイティブ・シティ・
  コンソーシアム副会長)
 「コンパクトシティ戦略による富山型都市経営の構築」 森 雅志氏(富山市長)
 「横浜市が実現する環境未来都市とスマートシティ」 浜野四郎氏(横浜市温暖化
  対策統括本部長)
 「石巻市の挑戦 「世界の復興モデル都市」を目指して」 亀山 紘氏(石巻市長)
<ナビゲーター>
 村木美貴氏 (千葉大学大学院工学研究科建築・都市科学専攻准教授)

定員800名ですが既に申し込み多数で、抽選になります。至急申し込んでください。自
治体の首長がご参加の希望は私までご連絡ください。抽選外にするよう努力します。

会場がある渋谷ヒカリエは都内の最先端の人気スポットです。4月開業ですが141日目
で1000万人の来場者数を記録しています。141日で年間目標の70%です!売り上げも8
月末で年間目標を既に20%も上回りました。ヒカリエには国内最大のミュージカルシア
ター「東急シアターオーブ」がオープンして、ニューヨークのブロードウェイのミュ
ージカルそのものが楽しめます。素晴らしいですよ!!

10月9-14日は東京のビックデーです。この期間は国際通貨基金・世界銀行年次総会が
都心のホテルで開催され世界中の金融関係者が東京集合です。

http://creative-city.jp/2012/08/city-summit-2012.html
http://theatre-orb.com/
http://www.imf-wb.2012tokyo.mof.go.jp/en/


◆ビジネスモデル学会秋季大会◆
ビジネスモデル学会の秋季大会が10月20日(土)に東京大学の本郷キャンパス工学部
新2号館で開催されます。今回のテーマは「再生可能エネルギーのビジネスモデル」
です。

・基調講演 北澤 宏一 氏 福島原発事故独立検証委員会委員長
「日本は再生可能エネルギー大国になりうるか」―福島原発事故の検証から―
・特別講演1 藤原 洋 氏
 株式会社ブロードバンドタワー代表取締役会長兼社長CEO
「太陽光発電の可能性」―風力、地熱と比較して―
・特別講演2 穴水 孝 氏 東京ガス株式会社 燃料電池事業部
「高エネルギー変換効率、燃料電池の社会インパクトと、事業MAX戦略」(仮)
・特別講演3 桑野 和雄 氏 株式会社協和コンサルタンツ常務執行役員
「意外に高経済性、新型マイクロ水力発電最前線」(仮)
・特別講演4 中島 徳至 氏 MovingEcology Corp. 代表取締役
「再生可能エネルギー活用による自動車社会のパラダイムシフト」(仮)
・特別講演5 池田 元英 氏 株式会社エナリス 代表取締役社長
「エナリスのデマンド・レスポンスとネガワット取引の取組み」
・パネルディスカッション
「再生可能エネルギーのビジネスモデルを考える」
 モデレーター:松島 克守(ビジネスモデル学会会長)
・会員研究論文発表
【研究論文】生活用品の小売流通ビジネスに関する研究―販売価格と購買に関連する
 コストに基づく購買行動の予測と市場占有率の変化
 松島 和史 田中 謙司(東京大学 工学系研究科 )
【事例報告】高知発グリーン・エネルギー化モデルの構築と実践―「枯れない油田プ
 ロジェクト」構想の実現に向けて― 佐藤 暢 永野 正展 永野 正朗(高知工科大学)
【研究論文】新技術の事業化におけるビジネスモデルと政策支援の評価―産学連携に
 おける技術移転モデルによる風力発電の事例分析―
 宮坂 輝彦(芝浦工業大学 大学院工学研究科)
 加納 信吾(東京大学大学院 新領域創成科研究科)

以上ですが、この1日で半年分の学習を超える知識が得られます。ぜひご参加ください!
http://www.biz-model.org/


◆プラチナスクールの講義は素晴らしい◆
プラチナスクールも第3期で既に2回卒業生を出し、9月14-15日は第3期のスクールの
3回目のスクーリングでした。

このプラチナクールの企画とシラバスのデザインをしたので全講義は聴講しています
が、スケジュールが許せば繰り返し先生方の講義を聴講しています。14日は東大の秋
山弘子教授の加齢学、札幌医科大学小海康夫教授“留萌コフォートピア”、そして東
大大和裕幸教授の”ディマンドオンバス“の講義です。既に3回目ですが聞くたびに
新たな気づきがあります。

秋山先生の推進している柏市の団地再生のプロジェクトは本当に凄いモデルです。高
度成長期に地方から首都圏に大量に人口が移動して、今郊外の住宅地で一気に高齢化
する団塊の世代、この社会的な課題は韓国、そして近未来の中国にも共通する社会的
課題です。柏モデルを如何に全国に横展開するか?この課題を改めて受止めました。
詳細な情報の提供をお願いしました。

小海先生の講義、圧巻です!どこかに白熱教室などの記事や話題がありますが、白熱
だけでは何も残りらないでしょう。北のはずれに近い留萌で実現している近未来の予
防医学の実践の感動は人をして行動させる力があります。私も、動かなければと触発
されました。この8年の実績は本当に価値あります。これまでほとんど風邪を引いた
ことがないのでインフルエンザのワクチンを接種してきませんでしたが、仲介するリ
スクから必ず接種を受ける必要がある事は初めて理解しました。

大和先生のディマンドオンバスは既に各地に展開されていますが、今回改めて、ディ
マンドオンバスは利便的なモビリティーを超えて、コミュニティーを創るシステムで
ある事だと気づきました。団塊の世代が65歳になり3000万人を超えたとあります。企
業戦士として企業コミュニティーに埋没して、これまで自分の住んでいる地域に繋が
りがない団塊の世代が、郊外の居住地で新たにコミュニティーを創って行く必要があ
る現在、コミュニティーのデザインの手法に興味を持っています。

講義の概要はプラチナ構想ハンドブックにありますので是非お読みください!
http://www.platinum-handbook.jp/


◆「俯瞰経営学」と「今、そして未来」電子書籍で出版しました◆
「東京大学の俯瞰経営学」と「今、そして未来」は出版社が倒産したため絶版でした
が電子書籍として俯瞰工学研究所から出版しました。特に前者は今も続く本郷の「俯
瞰経営学」ゼミの教科書ですので復刊が急がれていました。

紀伊国屋の電子書店、HONTOのサイトで購入できます。俯瞰工学研究所ではこの
2年以上電子書籍の出版ビジネスを研究・調査してきましたがほぼビジネスモデルが
決まり、今後も各種出版の予定です。秋にはアマゾンのキンドル、アップルのiBook
でも出版したいと思います。何か出版ご希望あればご相談ください。

紀伊国屋web:
http://bookweb.kinokuniya.co.jp/indexp.html
HONTO:
http://honto.jp/ebook/search_022_10%E6%9D%BE%E5%B3%B6%E5%85%8B%E5%AE%88.html?srchf=1&srchGnrNm=2


◆頭のよくなるクッキング7◆
「摂取すべき油脂」について頭のよくなるクッキング4で、「食すべき魚」について
頭のよくなるクッキング6で紹介しましたが、今回は「食すべき野菜・果物」につい
てご紹介しましょう。参考になるレポートはいずれも米国系が母集団です。有名なア
メリカ国立科学アカデミーから癌を予防する野菜として1990年「デザイナーズフーズ」
が発表されています。3段階に分かれていますが、最上位のランクは、ニンニク、キャ
ベツ、甘草、大豆、生姜、セリ科(人参、セロリ、バースニップ)です。甘草は漢方
で有名です。バースニップはヨーロッパで栽培されている白人参です。この下の第2
ランクは玉ねぎ、茶、ターメリック、玄米、全粒小麦、亜麻、柑橘類(オレンジ、レ
モン、グレープフルーツ)、ナス科(トマト、ナス、ピーマン)、アブラナ科(ブロ
コリー、カリフラワー、芽キャベツ)です。第3レベルはハーブ類です。いかがですか。
詳細は下記のHPで。

何れもその野菜に含まれるポリフェノールやカロテノイド、テルペンなど機能性成分
が癌の予防性があるとのことです。

次は「食すべきトップテン」というレポートです。原文は英語ですが、香川県の田井
メディカルクリニックの田井先生のサイトに解説があります。それによると、第1位
はリンゴです。第2位はアーモンド、第3位はブッコリー、第4位はブルーベリー、第5
位は魚油、第6位は緑の葉菜、第7位はサツマイモ、第8位は小麦胚芽、第9位はアボガ
ド、第10位はオートミールです。如何ですか。

この手のレポートは全て欧米系が統計の母集団で、日本人には当てはまらないという
意見有りますが、生物学的にはアメリカ人は存在しません、ヨーロッパ系、ヒスパニ
ック系、アフリカ系、そして東洋系の混合です。ただ、東洋系は節約遺伝子が効いて
いますので同じように食べると食べ過ぎで糖尿病になり易いとは言われています。

私の朝食はこの20年間以上人参とセロリ各1本レモンの絞り汁1個の手づくりジュース
を欠かしません。加えて納豆は毎日。パンは食べれば全粒粉のパンです。最近はカッ
プ一杯のブルーベリー(冷凍もの)、しばしばグレープフルーツの生絞りのジュース、
それから週に2回ほどブロッコリーをさっと茹でてエゴマ油等のオメガ3脂肪酸とバル
サミコを掛けたサラダ、アボガドも週に1-2度はわさび醤油で食してきました。その
他、週に1-2回はニラ玉炒め、ホウレン草のお浸しを食してきました。豆乳も時々、
以上は朝食です!夕食は原則、魚料理と野菜のお浸し、そしてキノコの味噌汁、玄米
ご飯です。昼食?基本的に取りません。またナッツは生のクルミとアーモンド、カシュ
ーナッツを食卓の上においてあり、つまみ食いしています。最近はブラックチョコレ
ートもつまみます。ココアのポリフェノールの含有量は中途半端ではありません。最
近は無糖のチョコレートも販売されています。

因みに、「デザイナーフーズ」の「フードピラミッド」の図をこの数年冷蔵庫の扉に
貼ってありますので、自然と買い物のとき食すべき食材を買っていると思います。

私は結構良い食習慣を実行してきたなと再認識しました。皆さんは如何ですか。

順天堂大学の白澤卓二教授の「100歳まで元気でいる若い人の食事」(PHPビジュアル
実用BOOKS)は中庸で参考になると思います。白澤先生は膨大な栄養学の知識を俯瞰
的に編集して、食すべき食品として「発酵食品」、「ネバネバヌルヌル食品」、
「雑穀類」を薦め、「インスリンを大切にする」、「カロリーを取りすぎない」、
「体を錆びさせない」という3つのルールを提案しています。

最近100歳以上の人口が5万人を超えたというニュースがありましたが、秘訣は腹八分!
ともありましたね。日経新聞2012/9/14

補足
先般紹介した、カロリー制限で元気なウィスコンシン大学のサルの実験結果につい
は、寿命は延びないのではないか、という反論が最近発表されたようです。あの実験
結果は相当インパクトがあったようで空腹を我慢している人がかなり米国にいるとの
ことです。

また、別件ですがNHKの「ためしてガッテン食育!ビックリ大図典』136ページに酸化
した油は吸収されないとさらっと書いてありますがこれが事実であれば酸化した油脂
が体に悪いという常識化した知識はどうなるのでしょうか。もう少しエビデンスを示
してほしいですね。

マクガバンレポートから「デザイナーズフーズ」
http://www.nissui.co.jp/academy/market/01/02.html
フードピラミッド
https://www.google.co.jp/search?q=%E3%83%95%E3%83%BC%E3%83%89%E3%83%94%E3%83%A9%E3%83%9F%E3%83%83%E3%83%89&hl=en&prmd=imvns&tbm=isch&tbo=u&source=univ&sa=X&ei=YZNWUJH1OYzMmAXvnIGIBg&sqi=2&ved=0CBwQsAQ&biw=960&bih=1212
健康に良い食べ物ベストテン
http://www.medicalnewstoday.com/articles/245259.php
http://life-support.cocolog-nifty.com/lifelonglifelog/2012/06/post-a046.html
ポリフェノール
http://life-support.cocolog-nifty.com/lifelonglifelog/2010/09/post-63ff.html
http://ameblo.jp/lisalisanet/entry-11201032530.html
http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20000508_1.html
チョコレートのポリフェノール
http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20000508_1.html
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/01/dl/s0114-10j.pdf
カロリー制限しても寿命は延びない?
http://science.slashdot.jp/story/12/09/03/067249/%E3%82%AB%E3%83%AD%E3%83%AA%E3%83%BC%E5%88%B6%E9%99%90%E3%82%92%E3%81%97%E3%81%A6%E3%82%82%E5%AF%BF%E5%91%BD%E3%81%AF%E5%BB%B6%E3%81%B3%E3%81%AA%E3%81%84%EF%BC%9F


◆デジタル書斎の構築13◆
暫く中途半端に放置してあったネットオーディオを整備しました。写真の電子化、雑
誌記事のpdf化に次ぐCDの電子化です。手持ちの約300枚のCDを全て電子化(Ripping)
しました。書籍は既にご案内したように大幅に整理して、不要な書籍は東大図書館の
蔵書処分プログラムに送りました。まだ増えていますがこれからは電子書籍を購入す
る方向に行きます。

そのネットオーディオですが、最近かなり流行って来たようです。日経BPの「これ1
冊で完全理解 PCオーディオ」が売れているようです。買いましたが入門書としては
これでいいでしょう。

何をしたかですが、まずリッピング(Ripping)と呼ばれる作業でパソコンのディス
ク読み取り装置から1枚1枚CDを電子化していきます。高性能パソコンで1枚約3-5分
かかります。300枚で1200分?延べ20時間です!途中タスクマネージャーのパフォー
マンスを見ていると、CPUはマルチコアi7-2600の4CPUをすべて使っていますが、負
荷は5%くらいです。メモリーは8G積んでいますが、4G弱の使用でした。ただこの
リッピングをしているとほかの作業は事実上できません。

リッピングのソフトウェアは無料でいくつかあります。foober2000、EXACT Audio
Copyなどです。Apple のiTunesでもできますがフォーマートがPCオーディオで標準に
なりつつあるFLACに対応していません。使い勝手と完成度からはやはり有料ソフトで
すね。私は結局有料のdBpowerampを使いました。

リッピングした音楽をパソコンで聞く無料のソフトウェアが数多くあります。Foober
2000でも聞けますし、MediaMonky、AIMP3、AudioGate、Lilith・・・完成度の高さと
使い勝手ではAudioGateです。これはDSDフォーマートにも対応しています。電子楽器
KORG社の製品ですが無料です。

その電子化した音楽情報ですが、収納は結論から言うとNAS(Network Attached
Storage)です。即ち家庭内ネット上に置いたハードディスクです。NASはUSBで接続
する外付けハードディスクではなくCPUを内蔵したストレージ専用のパソコンです。
だからこれは設定に結構手間が掛かる代物でかなり苦労しました。ネットプレーヤー
で見えるフォルダーは共用フォルダーとして設定されたものだけですが、この共用
フォルダーの設定の方法が最初わからず「見えない?」という状態で長く苦労して一
時は他の仕事が忙しいのでほって置きましたが、このほどこれをなんとか解決して、
システムとしてネットオーディオが稼働しました。不思議ですね、今回は絶対に動か
してやると決心するとマニュアルの理解がレベルアップして設定のミスが解明できま
した。人間本気にならなければだめですね。マニュアルはpdfで約400ページです。こ
れを丁寧に読みながらそれに沿って設定していく事は集中力を維持したままで約半日
仕事です!修行ですね。単なる外部ストレージですと工場出荷の状態で済みますが音
楽用は少し設定を変えますので。

従って音楽用に設定したNASを購入したほうが良いでしょう。設定のこと以外にファ
ンの騒音の問題があります。NASはパソコンなので多くの製品は冷却のファンが付い
ていてこの騒音が問題になります。リスニングルーム以外の場所に置けば解決します
が。実は音楽用にファンがないNASが特別に販売されています。台湾メーカーのQNAP
が現在ネットオーディオの世界では標準の様です。理由はネットオーディオのビジネ
スを切り開いた英国の超高級オーディオメーカーのLINN社が推薦したことだそうです。
因みにLINN社のネットプレーヤーは100数十万円です。一般のネットプレーヤーは高
くて10万円ですが。QNAP社のファンレスNAS「TS-119」はこのLINN 社用に設定してあ
るものと一般用に設定してあるものの2モデル販売されています。

何故NASか?パソコン外付けハードディスクですと、そのパソコンの電源が入ってい
ないと音源が読めませんが、NASであれば家の中のどの機器、即ちネットプレーヤー、
スマートフォン、あるいはインターネット対応のTVから音源を引き出せます。音楽以
外の写真、ビデオも共用できます。

時代はDLNAという家庭内LANです。比較的最近購入されたTVやDVDレコーダーは既に対
応しているはずです。DLNA対応機器をホームネットワーク(家庭内LAN)に接続
すると互いに他の機器を自動認識して、 更に、DLNAがサポートするフォーマッ
トの共有コンテンツ(動画・静止画・音楽)も自動認識されます。 従って、クライ
アント機器のコンテンツ選択画面から例えば「Video」を選ぶと、 ホームネットワー
クに接続された全てのサーバ機器の動画コンテンツを一覧表示することができ 希望
のコンテンツを再生できます。

ネットオーディオのシステムが稼働して何が?

iPhoneが実に使いやすいリモコンになりました。どの機器にもリモコンが付属してい
ますが、Apple Storeで提供されているソフトウェアをダウンロードするとiPhone
が使い勝手の良いリモコンになります。また、色々な機器のリモコンはこれ1台にな
ります!これも時代の流れですね。

音楽を聴くたびにパソコンを立ち上げても仕方がないので、再生はネットプレーヤー
です。CDだけでなくネットプレーヤーではインターネットラジオが聴けます。これが
驚きです。世界中、日本中のラジオが雑音無しに聴けます。雑音?昔電波が弱い地方
暮らしでしたので雑音の中から必死で聞いていた原体験がありますので。海外の短波
放送は聴こえるのが不思議なくらいでした。

現在はFM放送局がありますがこれは全て聴けます。故郷のラジオ局を聞いてみません
か。そして手持ちのCD約300枚、すべての曲が手元のiPhoneで選択して再生できます!
もうCDを手に取る事はなさそうです。革命ですね。

買ったネットプレーヤーは、国産では安くていいものがありますが、10万円の英国製
のケンブリッジオーディオを買ってみました。英国はオーディオ立国でしょうか、家
内工業的に高水準のオーディオ機器のメーカーが沢山あります。スコットランドにあ
る前述のLINN社はその筆頭です。で、英国製を買ってみました。日本の地域経済の産
業立国の参考になります。

技術的な設定のポイントは俯瞰工学研究所のサイトの「デジタル書斎の技法」に上げ
ておきましょう。

これ1冊で完全理解 PCオーディオ
http://netstore.nikkeibp.co.jp/FYI/120905/128346/?ST=a_pc
ファンレスのNAS
http://www.itmedia.co.jp/pcuser/articles/1208/10/news063.html


◆書評◆
今月のご紹介は、「稲の道」 渡部忠世 NHKブックス 1977です。

本書は、“日本人は何処から来たの?”の答えをくれる本です。結論から言えば稲作
文化を持って北九州に到達した弥生日本人の出発地はヒマラヤ、チベットに近い中国
奥地の雲南であったという事を長い時間を掛けたフィールドワークを行い導出してい
ます。本当に長い時間の学究の結論的仮説です。アッサム、雲南が日本のコメ、即ち
ジャポニカの誕生の地域でここを源流とする河川に沿って、ビルマ、タイ、ラオス、
カンボジア、ベトナムへ伝播して行くと同時に、長江即ち揚子江に沿って河口まで伝
播し、何らかの理由、多分戦乱に追われ海人となって北九州に到達したという仮説で
す。「晋書」倭人伝に倭人は呉国の始祖太伯王の子孫と言っているとあるとのことで
す。華南の戦乱の度に敗者が亡命者として何波にも分かれて北九州、南九州にあるい
は山陰、能登、越の国に渡来して国を創って行ったのでしょう。

著者の渡部忠世教授の仮説は本書の最後の章にありますので、その「稲の道」のルー
ト図は俯瞰工学研究所のサイトの「俯瞰メール補完資料」に置きます。

著者は、日干し煉瓦に混入された、コメのもみ殻を丹念に採集して、当時の米の栽培
を推察しています。何十年も日干し煉瓦の中のもみ殻を集め続ける求道にも似たフィ
ールドワークを読んでいくと、粘り強いという日本語が心に沁みます。一方、東南ア
ジアの日干し煉瓦の収集が12-13世紀であり、加えて本人が雲南に調査に行っていな
い事、さらに紀元前500-6000年の雲南の民族に関する考察がされていないことから、
この雲南起源説はその後学会で否定され、長江中流起源説が有力になって来たようで
す。しかし、騎馬民族説にみるような、ロマンとしての史説はともかく楽しいですね。
以前この書評で取り挙げた、「古代中国と倭族」の鳥越憲三郎教授はこの本の中で、
稲作の発祥は長江中流の太湖付近だと述べています。これも説得力ありますが、彼は
歴史学者ですが、渡部忠世教授は農学者です。この差異は際立っています。渡部忠世
教授は農学者ですから、品種と耕作環境を分析しています。米には大きく分けて、我
々が食している粘りがあるジャポニカと長くて粘りがないインディカがあります。渡
部忠世教授はアジアでの耕作の分布がジャポニカは海抜2000m以上、インディカは河
口付近の低地と、明確に判れている事実を提示しています。ですから水利は、ジャポ
ニカは雨水を受けてそれを少しずつ下に流して利用する天水田であり、河口の湿地を
そのまま利用するインディカと違う事を示しています。ジャポニカは陸稲から進化し
て水稲になり、それは棚田で始まっているとしています。この辺は前半のフィールド
ワークの丹念な調査に記述されています。だからアッサム・雲南を稲の発祥の地とし
ています。インディカについては、インド南部が発祥で、海の回廊を使ってアジア各
地の河口付近の湿地に展開したという説があります。この説は、日本語の起源で著名
な大野晋教授の、インド南部のタミルが言語学的に日本人の源流だという学説に繋が
ってきますね。結果、稲作の起源を南インドとしています。大野晋教授は言語学者で
すが南インドの習俗のフィールドスタディーを丁寧にされていてこれも説得力があり
ます。渡部忠世教授はアッサムから南インドに稲が伝播したというのですから、南イ
ンドが発祥の地でそこから先は渡部忠世教授のベンガルルートでしょう。いずれにせ
よ歴史学、農学(作物学)そして言語学、民俗学の泰斗(たいと)の学説を勝手に俯
瞰的に理解するのは市井の人間の特権かもしれませんね。

学者は読めないような漢語を使います。鳥越先生の文章から借用した泰斗(たいと)
はある世界・分野で権威となる者。泰山北斗の略。

原典は、『新唐書』韓愈伝の「韓愈没、其言大行、学者仰之如、泰山北斗雲」による。
これは、「韓愈を泰山北斗のように仰いだ」とその歿後に賛したものである。泰山北
斗とは、中華人民共和国・山東省にある名山泰山と北極星の北斗を示し、誰もが仰ぎ
高めるものであるという意味である。

鳥越憲三郎教授の「古代中国と倭族」書評の一部下記に再掲しておきます。

鳥越憲三郎教授は日本人の源流を東南アジアの歴史と民俗学まで広げた俯瞰的視野で
記述されていて、「目から鱗」的な知識を獲得出来ました。長江中流に、かつて繁栄
した民族即ち、「倭族」を弥生人の源流であると位置付け、黄河文明に駆逐され西に、
南にそして東に移動して其々の国家を設立し、あるいは少数民族として山岳地帯に生
き残る「倭族」という学説を提案しています。そしてその「倭族」に対する愛情を感
じさせる本です。

下記ご参考に
「日本語の源流を求めて」 大野晋 岩波新書 2007


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◆内容・記事に関するご意見・お問い合わせ/配信解除・メールアドレス変更
右記まで  webmaster@fukan.jp
………………………………………………………………………………………………………
◆俯瞰 MAIL 0021号(2012年9月18日)
発行元: 一般社団法人 俯瞰工学研究所
発行責任者:松島克守
URL: http://fukan.jp/
=============================

俯瞰 MAIL 020 号( 2012 年8 月17 日)

皆様
◆季節のご挨拶◆
暑い夏です。田の稲はもう穂を付けています。木々の緑も深い色になって夏の終わり
を感じさせます。日も短くなりました。一方休み明けの9月は各界で暑い日が続きそ
うです。
-----------------------------------------------------------------------------
・世界経済が極めて不透明で不安定ですね
・中国の経済成長の減速も冷静に見ましょう
・日本の底力を出しましょう
・脱原発の議論もやっとまともになりますか
・日本のIT企業の実力はこんなものですか
・頭のよくなるクッキング6
・デジタル書斎の構築12
・書評 : 「日本文化の形成」
-----------------------------------------------------------------------------

◆世界経済が極めて不透明で不安定ですね◆
世界情勢が先行き極めて不透明で不安定になってきましたね。
欧州の金融危機はまだ揺れていますが、既に域内の消費は収縮してきて、経済に重大
な影響を与えています。特に欧州の自動車販売は落ち込み、ここを主要な市場として
いるフランスのプジョーとドイツのオペルが苦しくなってきました。大規模なリスト
ラになりますがこれは社会、経済に負のスパイラルを持ち込むでしょう。イタリアの
フィアットは北米のクライスラーの収益で何とか息をついています。元気だったドイ
ツ企業も勢いが衰えシーメンスも音を上げています。

この欧州の市場を輸出先にして来た中国企業はこのため経営も悪化してきて、中国の
成長率は8%を切る状態ですが、中国政府は有効な政策が打てません。特にけん引して
きた沿海部の工業地帯が成長を落としています。前回のリーマンショックでは大盤振
る舞いの刺激策で経済の底入れに成功しましたが、まだその後遺症である不動産バブ
ルが残っていますから同じ手は打てませんので、低成長を安定成長として受け入れる
しかないでしょう。これに加えて政権交代の時期が迫っていますので、これも政策の
不透明性になっています。前々回に中国の経営者の話を紹介しましたが、次の政権の
経済政策を見るまでは投資をしないという経営者は多いでしょう。

加えて、米国の大統領選挙もオバマ苦戦の様相で経済政策も思考停止状態です。各種
の経済指数の発表の度に、NY株式も上下に揺れていて、みんな先行き不透明なのでし
ょう。

そして、日本は変な意味で振れが少ないですね。何しろ政府と政界は経済にまったく
能天気というか、無関心でしょうもない政局ゲームに熱中しているだけです。企業は
頑張っていますし、猛暑は消費押し上げで支援してくれています。自民党も、税と社
会保障の一体改革、そして定数是正はして選挙に臨むという最低限の事はするようで
すが、予算編成やTPPはほったらかしです。こんな政局ゲームに熱中していると、
「実行出来ないし、する気もない公約」を掲げて、ポピュリズムという危険な勢力が
政局ゲームに参加して国の根幹が乱れます。ヒトラーもスタートはポピュリズムです
から。

ガス欠寸前の欧州自動車メーカー
http://www.nikkei.com/article/DGXNASGM2504N_V20C12A7000000/
フィアット 欧州事業不振
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120803-00000047-rps-bus_all
PSA プジョー シトロエン、8000名の追加リストラ
http://response.jp/article/2012/07/13/177823.html
シーメンス ペーター・レッシャー社長
http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20120731&ng=DGKDZO44351430R30C12A7FF1000
(日経電子版会員の方はリンク可)
http://www.siemens.co.jp/Japanese/Press/2012/PressRelease/Pages/Press_20120801.aspx
オバマ苦戦
http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/news/CK2012080502000092.html
http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20120806&ng=DGKDZO44595540W2A800C1FF2000
(日経電子版会員の方はリンク可)


◆中国の経済成長の減速も冷静に見ましょう◆
連日のように中国の成長の減速と経済の停滞が報道されていますが、内実は不確実で、
不透明です。過剰反応的な報道もあります。例えば中国の輸出統計について10日のロ
イターの報道は、「7月の輸出は前年同月比1.0%増加した。伸び率は市場予想の
8.6%を大きく下回り、6月の11.3%から急速に鈍化した」。ともかく絶対額
は1%は増加しています。同じ記事の中で、「台湾当局は7日、7月の輸出が5カ月
連続で減少したと発表した。」とあります。絶対額が減少しています。韓国について
も「韓国政府が1日発表した7月の輸出は前年同月比8.8%減と、約3年ぶりの大
幅な減少を記録した。」とあり大幅に減少しているのです。日本もじわっとこの傾向
が出てきていますね。

一方別の記事では、日本企業の中国戦略について「中国経済は足元減速感が強いもの
の、日本企業は現地の生産拠点増強を計画通り進めており、市場拡大に備えた布石を
凍結する動きは限定的だ。停滞気味の現状の需要環境では、計画している生産能力が
過剰気味となっている企業も目立つが、中国政府による環境・省エネ産業奨励政策や
中間所得層拡大など新たな市場獲得チャンスは大きい。来年以降には再び景気が回復
するとの読みもあり、今のうちに生産能力拡大が必要と判断しているようだ。」とあ
ります。

供給過剰は期待値が大きすぎるのか、ポテンシャルの判断は正しいのかですが、まさ
か日本企業の意思決定の悪さである、なかなか決めないが決めると、撤退や豹変の意
思決定がすぐに出来ないという事でなければいいですが。私は中国のポテンシャルは
13億人ではなく日本のGDPの2.5-3倍だと推測しています。
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE87902N20120810


◆日本の底力を出しましょう◆
中国が尖閣で外交カードとして使ってきたレアアース、レアメタルですが、日米欧は
WTOの場で中国の輸出規制に対抗していますが、日本は術開発力でこれに対抗しようと
する動きが活発になってきました。頑張ってほしいですね。必要は発明の母といいま
すが日本本来の公正な競争の姿です。

最近の記事から。
・脱レアアース開発加速 車向けなどハイテク素材 パナソニックや日立、中国依存
を軽減
 ハイテク製品に欠かせない希少金属のレアアース(希土類)の使用を抑える技術開
発が加速してきた。パナソニックは省エネ・長寿命型蛍光灯の光源に使う量を減らす
ことに成功。日立製作所も微小磁石向けの代替材料を開発した。世界のレアアースの
供給は中国が約9割を握る。中国側の出荷規制で、1年で価格が10倍以上になった希
少金属もある。日本の各社は「脱レアアース」技術の実用化を急ぎ、調達難やコスト
増を招く「中国リスク」の回避を目指す。パナソニックは三菱化学、産業技術総合研
究所などと共同で、高性能蛍光灯に使うレアアースのユーロピウムとテルビウムを減
らしても従来通り光らせる技術を開発。性能を落とさずに使用量を2割削減した。
2011年度中に5割、13年度までに約8割低減する。発光ダイオード(LED)や薄型
ディスプレーにも応用できる。(日経新聞 8月10日)

・レアアース消費、2年で半減狙う 経産省が技術開発支援
 経済産業省は海外からのレアアース(希土類)の調達量を減らす技術開発を支援す
る。レアアースを使わずに済む部材や廃棄した家電からレアアースを回収する技術の
研究開発費を補助する。レアアースのうち中国が産出量の9割超を占める「ジスプロ
シウム」の国内需要は、支援策の実施により2年後までに今の半分程度に抑えられる
とみている。(日本経済新聞 8月10日)

・脱レアアース加速 中国からの輸入、昨年3割減 磁石など代替、使用量縮小
取引価格も伸び悩む
 ハイブリッド自動車(HV)や省エネ家電などに使うレアアース(希土類)の需要
が鈍化している。日本の昨年の中国からのレアアース輸入量は前年比3割・・・
(2012/6/1付)日本経済新聞

・レアアース輸入が急減 使用削減技術進む、中国産7割減
 レアアース(希土類)の輸入が急減している。1-4月の中国からの輸入量は前年
同期比約7割減少。日本企業が在庫を確保しているのに加え、・・
(2012/6/14 13:42)日本経済新聞 電子版

・日立、レアアース使わない省エネモーター開発
  日立製作所は11日、レアアース(希土類)を使わない省エネ型の産業用モーターを
開発したと発表した。工場やビルの送風機、ポンプなどに使う中型の・・・
(2012/4/12 0:15)日本経済新聞 電子版

・エコカー、脱レアアース加速 三菱電が新モーター
 三菱電機など大手電機・電子部品各社が電気自動車などに使う次世代モーターの開
発で脱レアアース(希土類)を加速する。三菱電機はレアアースの使用・・・
(2012/1/1 2:07)日本経済新聞 電子版

・文科省、レアアースしのぐ材料開発へ 産官学で研究所
 文部科学省はハイテク製品に欠かせないレアアース(希土類)をしのぐ材料の開発
に乗り出す。2012年度に産学官の一線が集う研究所を全国4カ所に・・・
(2011/9/5 2:03)日本経済新聞 電子版


◆日本のIT企業の実力はこんなものですか◆
東証のシステムがまた障害でダウンです。2005年以来既に7回目です。これが日本の
IT企業の技術力ですか。証券取引のシステムは絶対にダウンしてはいけないシステム
です。配電網と同様に、サイバーテロの標的で、敵国の経済活動を混乱させる戦術の
主要な目標です。これが年1度のペースでダウンです。このIT企業の経営者は社会に
何の謝罪もしていませんし、責任も取っていません。

確か2005年の障害のころ、あるパーティーで当時東証の理事長であった西室さんと立
ち話でこの話題を話しました。「世界一のシステムを構築して世界に売る事を目指せ
と」と言っているとおっしゃっていましたが私は「サッカーのワールドカップのチー
ムの様に、日本のITの達人の選抜チームを作ってやらないといけないのでは」と言っ
た記憶があります。冗談に「いっそニューヨーク証券取引所のシステムを買ってしま
ったほうが良いのでは」とも言いました。まもなくして東証のシステム部門の方が大
学にこられて、その時どんなシステムを開発中か説明してくれましたが、従来と同じ
様な話で、開発はいつもの企業ですから歯止めを感じませんでした。

前回もクラウドコンピューティングの障害について書きましたが、システム設計の才
能は日本人には無いのでしょうか?日本の行政や企業の生産性が低いのは、メーカー、
ユーザ含めてICT関係者の大いなる責任だと思います。
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDC0700L_X00C12A8EA2000/
(日経電子版会員の方はリンク可)


◆脱原発の議論もやっとまともになりますか◆
政府が示したエネルギー政策の選択肢は、30年時点の原発依存度を「0%」「15%」
「20-25%」とする3案を示し公聴会を開いた結果、民意は脱原発が強く首相はその
対応に苦慮しています。そもそもこの議論の設定が各界の議論を混乱させているので
はないでしょうか。原発容認か原発無しかの2元的議論に行きがちです。これでは合
意は得られません。安全神話が崩れた今、経済への影響から原発容認をする議論は、
本来トレードオフにならない、国民の安全と経済効果をトレードオフにするという議
論にならない議論です。原発反対のデモに参加する鳩山さん、これを支持する菅さん
も見るに堪えられませんが、8月10日の枝野さんの話はやっと真面な議論の土俵が提
示されたのではないでしょうか。

まず、原発の新設が無く、40年の寿命を守れば、2050年には原発はすべて停止します。
0%です。前倒しもあります。この間、節電の推進、再生エネルギーのインフラ整備と
技術革新による発電コストの低減により経済合理性がある発電を行います。この間は
相対的に安全な既設の原発で発電をします。この過程の進捗で2030年という通過点が
見えます。2030年の数字を固定すると議論が難しくなります。そしてこの数字を0%
に無理にすると経済合理性の無い再生エネルギー、特に太陽光発電を推進して割高の
電気料金を設定することになり、結局買い取り価格の見直し等の二次的な問題が出て
くるでしょう。イノベーションは予測できませんが、再生エネルギーのコストは想像
以上に下がると思います。ここは日本の技術力、かつて公害を完全になくした底力が
出てくると思います。

これは甘い、2030年の目標でこのイノベーションを強制するのだという意見もあるで
しょうが、それを含め2050年の完全脱原発を終点に置いた議論で国民的合意を形成し
たというのが、私のずっと前からの考えです。熱い議論もいいですが、遡及点を共通
認識していくのが必要だと思いますがいかがでしょう。震災前の原発依存度は24%で
した。この点と2050年のゼロの点に線を引くと2030年は12%くらいでしょうか。13
日の日経新聞の記事では経済団体は全て0%、15%に反対だそうですがこれも再生
エネルギーのコスト削減やこのイノベーションに関わる産業創出に何の考慮もしてい
ないと思います。かつての公害防止の努力が、現在世界トップレベルの環境技術を生
み、新たに産業を創出した事を学ぶべきではないでしょうか。

「経団連は中長期のエネルギー政策について、33の業界団体や地方経済団体を対象に
緊急調査を実施した。政府が示した2030年時点の原発依存度を「0%」「15%」
「20-25%」とする3つの選択肢に対しては、「0%」「15%」を「望ましい」と答
える団体は一つもなかった。・・・」日経新聞 8月13日

原発ゼロか一定維持か
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDD180HG_Z10C12A6TY6000/
電力コストからの経済界の反対
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS0704D_X00C12A8EE8000/
(日経電子版会員の方はリンク可)
枝野大臣の発言
http://www.asahi.com/politics/update/0809/TKY201208090288.html
経済団体は原発0に反対
http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20120813&ng=DGKDASFS1200L_S2A810C1NN1000
(日経電子版会員の方はリンク可)
再生エネルギーの可能性は予測を超える
http://wired.jp/2012/08/13/renewable-energy-predictions-wrong/


◆頭のよくなるクッキング6◆
今回は栄養学のほうで。頭のよくなるクッキング3で動物性脂肪の摂取を控えるため
に肉と乳製品を取らないという事を書きまして、3月から実行していますが、その結
果動物性タンパク質は魚から取ることになります。毎日ほぼ魚を食しています。改め
てその魚の栄養について情報を収集・分析して知識の整理をしました。

魚は良質の蛋白源であることは自明ですが、とりわけ期待されているのが「血液サラ
サラ効果」のEPAとDHAです。これは植物性脂肪の必須のオメガ3脂肪酸のα-リノレ
ン酸に対応する脂肪酸です。

まずEPAとDHAはどう違うのかですが、
「実は、EPAは、脳血液関門といわれる、脳への入り口を通り抜ける事ができません。
 しかし、DHAにはそれが可能で、脳神経を活性化し、記憶力の向上などの効果があり
ます。血小板凝集抑制効果EPAは、血小板凝集抑制効果が非常に高く、心筋梗塞や、
虚血性心疾患の予防効果が非常に高いといえます。DHAも、効果は持っていますが、
EPAほど高くはありません。」とあります。

ではそのEPAとDHAはどの魚種にあるのかを調べてみました。
多くは頭や内臓、皮にありますが殆ど捨てられていますから、加食部の含有量で比較
した情報が日本食品脂溶成分表というものにあるようですが、それを引用しているニ
ッスイのサイトで見てみました。圧倒的に多いのは本マグロのトロですが、これはあ
まり口に入りませんね。赤身になるとガックリ下がります。EPAとDHAの多い魚は(加
食部100gに含まれるmg)、

マイワシ     EPA1381 DHA1136 計2517
本マグロ(トロ) EPA1288 DHA2877 計4165
サバ       EPA1214 DHA1781 計2995
マダイ      EPA1085 DHA1830 計2915
ブリ       EPA 899  DHA1785 計2684
サンマ      EPA 844  DHA1398 計2242
サケ       EPA 492  DHA 820  計1312
アジ       EPA 408  DHA 748  計1156

です。あとの魚種、カレイ(計412)、ヒラメ(計284)、マグロの赤身(計142)・・
はかなり落ちます。背の青い魚を食せ、と言われますがこのデータをみるともう少し
精密な話になります。マグロは水銀やダイオキシンなど汚染物質の蓄積が多い事と、
赤身の数字では無理して食する必要はありませんね。マイワシ、サバ、マダイ、ブリ
がお勧めになります。マダイは青魚では有りませんが良い数字ですね。サンマは内臓
を食べる人が多いのでその場合には上位になるでしょう。

これからレシピを考えると、イワシの刺身、塩焼き、サバのムニエル、しめサバ、タ
イの刺身、タイのポアレ、タイめし、ブリの刺身、塩焼き、照り焼き、ブリ大根、サ
ンマの塩焼き、サケのムニエル、ポアレはどうでしょう。サケはEPAやDHAは相対的に
少ないのですが、赤色のアスタキサンチンはニンジンなどの緑黄色野菜が多く含むベ
ータカロチンと同じカロチノイド系色素の一つで、サケ以外でもタイやキンメダイ、
カニの甲羅にも含まれますが、サケほど多く含む魚はないとあります。アスタキサン
チンは活性酸素を除去し、動脈硬化を防ぎ毒性の強い一重項酸素の酸化反応には、ビ
タミンEやベータカロチンより格段に強い抗酸化力を発揮するとあります。ベニサケ
の切り身一切れと同じ抗酸化力を得るには、ビタミンEの豊富なアーモンドを1.1キロ
グラムも食べる必要があるともあります。時鮭、紅鮭の生がお勧めです、天然ですか
ら。そしてアラスカ産のサーモン。

DHAとEPAは熱には比較的強いようですが、煮ると煮汁に栄養分が出ますからその場合
はそれを食さないと摂取量が減ります。サバの味噌煮はポピュラーですが煮汁に失わ
れることと、その煮汁は塩分が多い味噌ですから困りますね。ムニエルという料理は
粉をはたいて焼くため栄養分を逃がしません。ポアレは塩コショウして、皮目をパリ
ッと焼き、身のほうで火をとおす料理法ですが、皮を黒く焦がさないことです。いず
れもノンスティックのフライパンが良いですね。ただ、テフロンのノンスティックは
必ず中火で、高温にすると有毒物質が出ることが確認されていますので。これからノ
ンスティックのフライパンを買う方はテフロンでなくセラミックコーティングのほう
がいいでしょう。煮魚は頭付きであれば皮と頭のDHAとEPAが取れますし、皮も食べら
れます。黒く焦げた魚の皮はベンツピレンという発がん物質が知られていますので通
常は食しません。

別の視点は養殖魚と天然魚の事があります。結論から言えば養殖魚は避け出来るだけ
新鮮な天然魚を食するという事になります。冷凍はDHAとEPAを減少させるとあります
し、サケの養殖は汚染が問題で、養殖のサケはあまり多量に摂るなというレポートも
あります。アラスカ州はサケの養殖が禁止されているそうですので天然ものです。

最後に、魚の塩引き、いわゆる干物は酸化した脂肪酸に加え、塩分の問題があり、さ
らにカビのリスクがあります。カビの毒素のアフラトキシンは強力な発がん物質とし
て知られています。このアフラトキシンが含まれる可能性があるとしてピーナッツ、
ピーナッツバターを避けよというレポートもあります。

ネガティブな話が色々ありますが押し並べて僅かな可能性ですからあまり気にしない
事です。しかし、毒は毒、リスクを認識しておくことは万事に必須です。

EPAとDHAの違い
http://www.epa-wiki.com/epa/chigai.htm
日本食品脂溶成分表
http://www.nissui.co.jp/sarasara/life/index.html
サケの赤色
http://www.white-family.or.jp/healthy-island/htm/repoto/repo-to228.htm
養殖のサケ
http://gigazine.net/news/20110111_toxins_in_farmed_salmon/
http://www.food.maruha-nichiro.co.jp/salmon/fishery/09.html
ムニエルの作り方
http://www.felicimme.net/recipe/cook/022.html
ポアレの作り方
http://www.asahi.com/food/recipe/%E3%82%BF%E3%82%A4%E3%81%AE%E3%83%9D%E3%83%AF%E3%83%AC.html
テフロンフライパンの有害性
http://www.nstimes.info/09-2005/teflon.html
アフラトキシンの発がん性につて
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/shokuhin/kabi/kabi2-1.html
http://www.mycotoxin.or.jp/FSJ.pdf


◆デジタル書斎の構築12◆
iPhoneの4Sに搭載されているSiriは凄いですよ。前から気になっていましたが、遊
んでいる時間がなくて、試してみませんでしたが使ってみると凄いです。iPhone4S
をiOS5.1にアップデートして、ホーム画面で「設定」⇒「一般」⇒「Siri」の順にタ
ップしてSiriをオンにします。ホームボタンを少し長押しするとSiriが起動してマイ
クのアイコンが出てきて「ご用件は何でしょう?」と表示されますので、そのまま話
しかけます。

試してみましたが、「メールを読む」というと、何通来ているか表示されメールを読
む画面に行きます。「松島さんにメールを書く」と言うとメール入力の画面になり件
名と本文を聞いてきます!!「渋谷の今日の天気は」というと週間の天気を表示しま
す。「今日の予定は」には今日は予定ありません、と答えました。「夕方水やりを覚
えて置いて」というとリマインダーを作成しその時間にアラーム音が出ます。「xxx
さんの連絡先」というと連絡帳の情報を表示します。「メモを取って」にはメモ帳が
開き音声認識で入力できます。この辺はほとんど問題なくこなせますが「xxxxの株価
は」はxxxxの部分の認識が間違えやすいですね。iPhoneの中の音楽も「xxxxのzzzを
聞きたい」はやはりxxxxやzzzzの認識が難しいことがあります。

ともかく凄い音声認識能力と会話能力です。この能力とGPS、地図情報を組み合わせ
ればカーナビは全く必要ありません。早晩カーナビという市場は崩壊すると思います。
これだけの非特定話者の識別技術は驚異的です。Windows7に組み込まれている音声
認識機能は個別の学習をすると口述筆記に十分使えますが、Siriの能力はこれを遥か
に超えています。Siriの応用はこれからイノベーションの目の一つになるともいます。
「もうずっと前から使ってる!」失礼しました。

別の話題。
アップルが消費者には言わない10の本音(マーケットウォッチ2012年 8月 8日)は
面白いですよ。詳細は元のサイトで見てください。其の10の本音は。
1.「われわれの顧客は疲弊してきている」
2.「そのアプリには注意すべし」
3.「われわれは邪魔をしている」
4.「より多くの時間をわが社の製品と過ごすことになるだろう」
5.「わが社には大変革をもたらし得る次の製品が必要である」
6.「iPhoneはiPadと比べても価格設定が高すぎる」
7.「穏やかな売り込み手法にだまされるな」
9.「生涯にわたってわが社の製品を使うことになる」
10.「たとえヘマをしてもわが社のファンは気にしない」

Siriについて
http://www.apple.com/jp/iphone/features/siri-faq.html
アップルが消費者には言わない10の本音


◆書評◆
今月のご紹介は、
「日本文化の形成」 宮本常一 (講談社学術文庫 2005)です。

2012年の5月で16版ですから学術書としてはベストセラーではないでしょうか。民俗
学の碩学として有名で、多くの著者があり書評も多く公開されています。関連図書
として次の2冊も合わせて紹介しておきます。残念ながら故人です。
「山に生きる人々」  宮本常一 河出文庫 2011、原本は未来社 1964
「忘れられた日本人」 宮本常一 岩波文庫 1984

この本との出会いは、前回の清水精一の「サンカとともに 大地に生きる」の流れ
で、「山に生きる人々」という題からさらにサンカの情報が得られると思い手にして
みると、そこに宮本常一の大きな民俗学の世界がありました。民俗学の巨星である柳
田国男、折口信夫に続きそれを乗り越える学究です。この本もその学求の過程の執念
さから人間力が磨かれる一冊です。

表題の「日本文化の形成」は遺稿の出版ですが、著者のすべての研究はこのテーマを、
実証的に、すなわち民俗学と歴史学とりわけ古事記と日本書紀、さらにこれに関連す
る中国の史書・文献の俯瞰的な統合を目指して来たと確信しました。大変残念なこと
に未完で終わっています。我々にとっても非常に残念な結果でこの続きを読みたいと
いう強い気持になります。その長く、忍耐強くかつ壮絶な学究の過程を知るのが、関
連図書の2冊です。むろんこれ以外にも求道の道を記した、「民俗学の旅」(文芸春
秋 1978 )などもあります。

半世紀以上をフィールドスタディーの旅を行い、この徹底的な情報収集と分析から、
単なる民話や民具の収集を超える日本民族史ともいうべき「宮本民俗学」の構築を目
指してきましたが、その究極の目標は「日本文化の形成」の解明であったと私は確信
します。すなわち、「我々日本人はどこから来たの、そしてこれからどこに行くの」
という事の追及です。

これは私が「俯瞰塾古代史」として探究しているテーマでもあります。我々日本人の
現在の立ち位置は過去の集大成ですから、これから日本人はいかに生きるべきかの思
考や議論は日本人の、日本という社会の成り立ちの正確な認識なしにありえません。
「いま・ここ」の前後には過去と未来があります。「過去と未来を行き来するように
心を開いて考えたり感じたりする訓練は、何よりも私たちの、いま・ここ、で生きる
力を豊かにするものです」と大江健三郎は言っています。

ややもすると歴史学は社会の統治機構の時系列な構造変化を重視し、また民俗学は伝
承の収集とそれからの生活のイマジネーションのという認識を私は持ってきました。
統治機構としての国家の変遷や今後の展望ではなく、生活者の社会構造の変化とこれ
からの在り方がこれからの日本を論ずるには必要です。現在お手伝いしている小宮山
宏先生の「プラチナ構想」のイニシアティブもその一つです。ここではこれから少子
高齢化した社会の生活者の在り方、モデルの設計を追求しています。

身近にいた長男の宮本千晴氏が証言していますが、宮本常一は古事記、日本書紀、万
葉集、風土記等の古代史の文献を、本が真っ赤になるまで朱筆を入れる格闘の結果の
深い知識を持ち、万葉集はほぼ全歌をそらんじていたのではないか、と解説者の網野
善彦氏が述べています。校定者の渡部武氏は、「宮本先生の博覧強記ぶりさながら歩
く図書館」と感嘆しています様に、学究の鬼であったようです。

内容は膨大ですので、読んでいただくしかありませんが、宮本常一がほぼ結論付けて
いる二つの仮説があります。ひとつは東日本と西日本は明らかに異なる文化圏が基底
にあることです。これについては、西日本では村全体に関する事が多く伝承されてい
る事に対して、東日本では家によってそれぞれの伝承がなされている、という指摘が
あります。また農業社会についても、西日本は大きな地主のいることは少なく、名主
も小作人を含めて適任者が就任していたとあります。そして寄り合いで小作も含め村
全体の合意で意思決定しているのに対して、東日本は、大地主の家父長的な社会で、
名主も決まった家しか就任できないという対比があり、東日本は、畿内勢力の植民地
的に成立、形成されたという仮説を感じさせます。婚姻についても明治中期以前に、
親の言いなりに結婚したのは東日本が多く、自分の意思で決めた割合は西日本が多い
と言っています。

そしてもう一つの仮説は、稲作の農耕社会の平地民と、狩猟、漁労、焼畑農業の山岳
民の二重構造がごく最近まで継続していたという事です。関連図書に膨大な聞き取り
調査が有りますが、山中の畑作民、狩猟・漁労、箕作り、タタラの製鉄の民、杣人
(そまびと)と呼ばれる木を切り出す民や木地師と呼ばれる木工の食器を深山で制作
する民は、交易で平地の農耕民と交流があるものの、山伝いに独自の道筋により広く
日本中を移動していた事を確認しています。例えば秋田の狩猟民のマタギは冬には長
野県まで移動し、近畿山中の狩猟民は山口県まで行動半径が広がっていたともありま
す。これらの非定住の民は前回のサンカに繋がりを感じさせます。山岳地帯にすむ理
由があり、そこでしか住めない理由もあります。

そして断言していませんが、限りなく弥生文化と縄文文化をこの二重構造に投影させ
ている事を感じさせる論考です。

この宮本常一も清水精一の影響かもしれませんが「乞食」に興味を持ち「忘れられた
日本人」の中の「土佐源氏」で、元「馬喰(ばくろう)」で盲目になった80歳を超
えた乞食から彼の長い人生を聞き取り、底辺の日本人の生活を赤裸々に紹介していま
す。そこには現在では考えられない自由で大らかな男女関係が描かれています。描か
れている庶民の暮らしは食べ物さえ満足に無いような物質的にはとても貧しいのです
が、明るく逞しく生きている姿が印象に残ります。

最後に、宮本常一は百姓の家に生まれ、自身も農業を営みその高度の専門家でもあり
ますので、農業技術指導を広く行い多くの顕彰を受けています。その関係で戦後の農
地解放にも関係していますが、興味深い記述がありました。占領軍が指令した農地解
放の骨子はそれまでに農林省が用意していたもので、占領軍の独自の内容ではないと
いう下りです。

俯瞰古代史
http://www.fukan.jp/%E4%BF%AF%E7%9E%B0%E5%8F%A4%E4%BB%A3%E5%8F%B2/

======================================
◆内容・記事に関するご意見・お問い合わせ/配信解除・メールアドレス変更
右記まで  webmaster@fukan.jp
……………………………………………………………………………………………………
俯瞰 MAIL 0020号(2012年8月17日)
発行元: 一般社団法人 俯瞰工学研究所
発行責任者:松島克守
URL: http://fukan.jp
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俯瞰 MAIL 019 号( 2012 年7 月 16 日)
◆季節のご挨拶◆梅雨の末期の豪雨で被害が出ています。地球的には水資源は枯渇していますが、台風、豪雨という水資源は制御不可能です。先般の竜巻といい基本的に地球温暖化の影響とすると事態は深刻に感じられます。
-----------------------------------------------------------------------------・新興国の経済が足踏み・予想が外れた3年前の認識・日本をダメにする日本人の所作・プラチナ構想ハンドブックの電子版・日経BP社のITJapan2012で講演しました・頭のよくなるクッキング5・デジタル書斎の構築11・書評 : 「サンカとともに 大地に生きる」-----------------------------------------------------------------------------
◆新興国の経済が足踏み◆中国の経済成長が足踏みしています。メディアで報道されている中国政府の発表よりもさらに減速しているのではないかという見方が強まっています。リーマンショック後はインフラ関係の投資、国営企業への融資、自動車・家電販売への補助金等の経済成長策をとり成長を維持してきましたが、欧州危機による輸出停滞で民間の設備投資、消費が落ち込み経済成長が鈍ってきました。不動産は依然バブル状態にありますので景気刺激策も緊縮策も取り難く、手詰まりでしょうから、この低成長は続くと見られています。
インドの経済成長はさらに酷く落ち込んでいます。インドはともかく政治が「決めない」政治で、かつ汚職が酷いようです。日本企業でも工場用地取得にあからさまに賄賂を要求されるケースがあります。外資小売り大手のインド進出も未だ阻まれていて、消費も伸び悩んでいます。
石油と資源に強く依存する、ロシア経済はその原油と資源価格の低落で元気がありません。成長率4%以下です。プーチンが極東ロシアの産業開発に力を入れてくると思いますが先日のロシア首相の国後島訪問を見ると日ロの経済関係も簡単に進まないようですね。
BRICsのB、ブラジルも経済が最近減速しています。調整期になっているのでしょうか。政府のテコ入れで自動車はもっているものの家電や家具の落ち込みが大きいとのことです。資源価格の低落が効いているのでしょう。
欧州危機は新興国の資源輸出や製品輸出を収縮させ、一方シェールガスの開発は原油価格の暴落を招いています。
世界経済を牽引する希望のBRICsは今、牽引力を失っています。この新興国の新需要に期待した日本の復活戦略も一時足踏みです。加えて米国経済がかなり弱含みで、実態が懸念されていますが、秋の大統領選までは議論は活発でも有効で強力な政策は出ないでしょう。
中国経済http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20120714&ng=DGKDZO43739950U2A710C1EA1000http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20120713-OYT1T00594.htmhttp://www.bloomberg.co.jp/news/123-M6XBQ86TTDSK01.htmlhttp://www.asahi.com/business/news/reuters/RTR201207110111.html
インドの経済成長http://www.asahi.com/business/update/0531/TKY201205310282.htmlhttp://diamond.jp/articles/print/20467
ロシアの経済成長http://www.emeye.jp/disp/RUS/2012/0329/stockname_0329_013/0/http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPTK815948220120704
ブラジルの経済成長http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2012/06/post-2590.phphttp://www.nikkei.com/article/DGXNASGM12058_S2A710C1000000/
アメリカ経済http://www.zaikei.co.jp/article/20120709/107827.htmlhttp://www.mizuho-ri.co.jp/publication/research/pdf/urgency/report120704.pdf

◆予想を外れた3年前の認識◆実は3年前はこの新興国の成長の波が、中国、ブラジル、インドそしてロシアとある時間差をもって重なり空前の大波が世界経済に好況をもたらすと人に言っていましたが見事に外れました。その理由はまず、ユーロ危機に関する情報収集・分析が出来ていなかった事です。特に南欧は殆ど意識していませんでした。思えばギリシャのオリンピックからおかしくなっていたのでしょう。しかし、国が不正な会計報告をするようでは根幹が腐っていますね。ここはメルケルが主張するようにきちっと出直すべきでしょう。スペインも絵に描いたような不動産バブルの後遺症です。解っているようで判っていないという自分を反省しています。ブラジルも情報分析が出来ていませんから見えません。メキシコだと言われても殆ど情報分析できていません。しかしグローバル経済は完全に一体として影響を与えます。
ただ、今後の世界経済の牽引力が新興国であることには変わりありません。中国を含め時々調整期が入ることを想定して投資や戦略を考える必要はあります。

◆日本をダメにする日本人の所作◆「身内を大切にする、かばう」という日本人の所作が日本をダメにしているという感じがしています。まず、節電の要の機器である、スマートメーターについて、東京電力が独自の仕様を止めて国際標準の仕様にしたという報道があります。「手下」である関連企業しか応札できない入札をもまだ考えていたのかという驚きです。しかも通信網も自前で。こうした傘下の企業の保護のコストが日本の産業に、世界的に見て割高なインフラを押し付け、結果として産業の空洞化を推進しています。電力以外も道路、交通、水・・・共通しています。製造業のサプライチェーンもこれがあり、国内生産のコストを上げています。
幸いに、ついに「発送電分離」が実現します。配電システムが公共インフラとして公開され、電力の小売りが全面的に自由化されます。再生エネルギーの事業も障害が無くなります。無論副次的な懸念は沢山ありますが大きな進歩です。これまで日本のすべての規制緩和は経団連に陣取った東京電力が最大の抵抗勢力でした。今回フクシマは悲劇ですが、東電の解体は日本の国の未来を変えます。維新です。
大津のいじめ事件の学校と教育委員会の対応も日本人的な悪さが際立ちますね。なにをかばっているのか解りませんが、いじめと自殺の因果関係「見落とした」?これまでのいじめ事件から学んでいたことは、いかに教育者、教育行政が責任を回避するのかの手管だけだったのでしょうか。誰をかばっているのか。さすがに政府も何もしない訳にはいかなくなり、要請があった?という事で文部科学省の職員を市に派遣し、警察も刑事事件として捜査ですが、学生の頃法律の初歩として学んだ「未必の故意」という言葉を思い出しました。
「大津市で昨年10月、公立中2年の男子生徒(当時13)が自殺した問題で、市教育委員会は10日、生徒を対象にしたアンケートは2回実施していたことを明らかにし、2回目の回答に「自殺の練習と言って首を絞める」「葬式ごっこ」との記述があったと発表した。 市教委によると、2回目のアンケートは昨年11月上旬に実施。結果について学校から昨年12月に文書で報告を受けていたが、これらの記述を「見落としていた」と説明。十分な調査をしていなかったと認め、謝罪した。」日経新聞7月11日
発送電分離http://www.nikkei.com/paper/

◆プラチナ構想ハンドブックの電子版◆「プラチナ構想ハンドブック」は日経BP社から、1月に出版しましたが、その電子版を出版しました。
日本の電子書籍の普及は業界の調整というか、黒船騒ぎの議論で遅れていますが、この秋にはアマゾンがキンドルを日本市場に投入し、アップルも日本語書籍の配信を始めると予想されますので、いやいやながらも日本の業界も腰を上げたという状況になり、出版に漕ぎつけました。電子書籍の電子書店への取り次ぎ網が出来ました。凸版印刷系と大日本印刷系の二つです。日本的ですね。凸版系は紀伊国屋が大手書店です。大日本系は丸善が大手書店です。電子版の威力は翻訳すれば、アマゾンとアップルを介して、世界中に直接書籍を販売できる可能性です。これは実現すれば画期的、革命的です。ここでも日本人は国内市場を専守防衛です。この機会に世界に雄飛するような発想が出来ないのでしょうか。「アップルになれなかったソニー」というコピーがありますが意味深いですね。
プラチナ構想ハンドブック電子版は、書籍版の1部-3部を分冊する形をとっております。第1部が7月6日に発売され、2部、3部が今月中に発売予定です。各500円(税込)です。書籍ではモノクロだった画像もカラー画像に置き換えました。これも電子書籍の利点です。多色刷りのコストが掛かりません。
紀伊國屋書店のサイトをはじめ順次他サイトへも配信していきます。
■下記の手順にて電子書籍のダウンロード(購入)ができます。<PCの場合>(1)紀伊國屋書店の電子書籍 にアクセス     http://bookweb.kinokuniya.co.jp/indexp.html(2)プラチナ構想ハンドブックの本を検索します(3)電子版購入のボタンをクリックします(4)「会員登録」「クレジットカード情報」を入力します(5)Kinoppy(ヴューワー)をダウンロードします(6)Kinoppyの中にある「書棚」に購入の書籍が表示されます。<iPhone, iPadの場合>(1)Google等で紀伊國屋書店のwebに行きます(2)Kinoppy(ヴューワー)をダウンロードします。(3)会員登録して購入するとKinoppyの書棚に収納されます。

◆日経BP社のITJapan2012で講演しました◆久しぶり、日経BP社のITJapan2012で7月5日講演しました。聴衆は約1000人です。テーマは「甦れ!日本の製造業」です。日本の製造業の衰退の要因の私の仮説を述べた後、復活のための4つの提言をしました。
1.イノベーションの本質を理解すること。「イノベーションはバリューシフトである。」2.ネット時代に「同期」すること。スマートフォンにビジネスモデルをリンクさせること。3.すでに起きたパラダイムシフトは、インターネットの普及と現在のモバイル化である。   この先に起きるパラダイムシフトは何かを見抜く事。4. 自社の基幹系情報システムの革新をはかること。顧客価値を創造する情報システムを   構築する事。
講演資料は(社)俯瞰工学研究所のサイトの「松島教授講演資料」に置いてあります。http://www.fukan.jp/%E6%9D%BE%E5%B3%B6%E6%95%99%E6%8E%88%E8%AC%9B%E6%BC%94%E8%B3%87%E6%96%99/http://itpro.nikkeibp.co.jp/ev/itex/itj12/http://itpro.nikkeibp.co.jp/ev/itex/itj12/

◆頭のよくなるクッキング5◆栄養学の様な話がこの所続きましたが、今回は原点に戻って料理について書きます。ある日の夕食です。メニューは。メバチマグロの中華風刺身、カサゴの大根スープ、ホウレン草のお浸し、オクラの味噌汁、玄米ご飯、です。
まず時間がかかる玄米ご飯からです。カップ2を水で洗いザルで水切りして、圧力鍋に入れ1.3倍の水を加えて約30分おいて、加圧時間20分です。これは4-5回分ですが、当日食べない分は小分けにして冷凍庫です。水はミネラル水か浄水器の水が良いでしょう。その間、カサゴの大根スープを作ります。10年以上前に香港の料理として雑誌の記事で紹介されていた料理の自己流版です、魚は出来るだけ天然魚を丸ごと食べるようにしています。頭やアラの滋養をとりたいためです。丸ごと魚では、この大根スープの他イタリアンのクアパッツァも作ります。魚はメバルでも鰈でも小型の鯛でもいいですが底魚は汚染物質が気になりますのであまり使いません。ワタと鱗を魚屋で取ってもらったものを、背骨に達するまで背骨に沿って切り込みを入れ斜めにも切れ目を入れます。それに塩コショウをしっかり振って15-20分置き、紙タオルでふき取って、テフロンのフライパンに多めの油を入れて両面を焼きます。我がキッチンでは熱に強い品種改良された紅花油です。多めの油とフライパンの端の円弧を利用して腹や背びれ頭も焼きますが、焦がさない事です。後で煮ますから火を通す必要はありません。黒く焦げた魚の皮はよく知られた強力な発がん物質です。
大根は太めの千本に切ります。煮込む鍋に大根を半分くらいならして入れてその上に焼いて油を紙タオルで拭った魚を置き、其の上に残りの大根を入れます。これに鳥スープをヒタヒタに入れます。ここでは水と市販の顆粒状の鳥スープを大目に入れました。煮立ったら丁寧にアクを取、中弱火IHで6くらい、1時間ほど煮て、味を塩と胡椒で整えます。
ホウレン草のお浸しは、水で洗ったホウレン草を沸騰した鍋で30秒ほど湯がき、ザルに上げ水で粗熱を取り、根元を揃えてざっと水を絞り、適当に切り器に盛ります。ここにオメガ3のエゴマ油を回しかけ、自家製のだし汁をヒタヒタに入れ、上からジャコをタップリかけます。塩味はジャコです。ここは市販の出汁の水で割ったものでもいいでしょうし、トッピングはサクラエビも美味しいです。
自家製の出汁は、麦茶を冷やすガラスの容器に昆布を15-20センチ、干し椎茸5-6個、あれば干した貝柱3-4個にミネラル水か浄水器の水を入れ冷蔵庫で一晩おき、濾した水出しの出汁をいったん沸騰させ容器に入れ冷えたら冷蔵庫に保存しています。濾した昆布やシイタケ、貝柱は適当に。昆布以外は刻んでオカラに入れることが多いです。中華風刺身では、マグロ以外の鯛や勘八、ブリ、サワラ何でもいいですが薄目に切ります。これをカイワレ大根や大根のつまなどを敷いた皿に並べます。サラダです。この野菜が美味しいです。
中華ダレですが、これは30年ほど前に赤坂にあった海皇という中華料理屋でヒットした中華刺身の簡略版です。海皇という店は今も場所を変えて赤坂にありますが、別の経営です。そしてこの刺身はメニューにあります。ただ海皇の中華刺身のタレはネットで元の経営者から買えます。以下は自作のレシピです。
ネギ、生姜、ニンニクを刻んだものを小さなフライパンに入れ、熱に強い油、ここでは品種改良の紅花油をヒタヒタに入れ、弱火で黒く焦がさないように加熱して油に味と香りを付けます。これを濾して冷ましておきます。ドレッシングを作るガラスの容器に醤油を入れ、少量の黒酢、隠し味程度の砂糖、それに顆粒の鳥スープを入れて、容器を振って溶かします。それに香りづけした油を入れます。さらに生の油を入れ醤油の黒い部分が全体の4分1くらいまで入れます。オリジナルはピーナツ油です。ただ前回書きましたがピーナッツ油はあえて食する油でない為使いませんが香りが良いですね。これを振って混ぜて刺身の上から適当に掛けます。この中華刺身タレは時間があるとき作っておきます。
出汁やタレを予め用意しておいてもここまで1時間半は立ち、8時くらいでしょうか。その間は、赤ワインを飲みながらリラックスして料理していますから余分なコトはすべて頭から消えています。
味噌汁ですが、難しい事はありません。最近は、ダシは極力天然の素材を使うようにしています。例えば飛魚のダシです。飛魚(アゴ)の干物を買い、オーブンで少し焼いてミキサーで粉砕して使います。ただダシの力としては圧倒的に鰹節と昆布ですね。日本料理と西洋料理の差異はこれです。これが和食の神髄です。蟹もエビもアラも良いダシが出ます。例外は貝です。浅利、蛤のダシは別格です。またタイのアラで取ったダシも別格ですね。塩分の関係で味噌を控えめにしますが、味噌の味がボケます。塩分が少ない味噌も少しずつ出回っています。
後は食卓に並べて、食べるだけですが、もうワイン必要ありませんね。玄米ご飯には擦った黒ゴマをタップリかけます。頭がよくなるか?ストレスがなくなる分善いのではないでしょうか。

◆デジタル書斎の構築11◆最近の衝撃的なニュース、クラウドコンピューティングデータ消失。「『データの消失があった5698件のお客様のうち、数百件を除く共有サーバーのデータは、残念ながらデータの復旧自体が不可能ということが分かりました。本当に申し訳なく思っております』――。ファーストサーバーの社長室の村竹昌人室長は、混乱の続く25日夜、こう語った。5万以上の顧客を抱え、うち8割が法人・官公庁関連というファーストサーバーの大規模障害は、依然として被害の全容がつかめないままでいる。」日経新聞6月26日
さらにその前にも。「6月7日の早朝から十数時間にわたって複数の銀行や事業会社で発生したシステム障害が、いずれも富士通のデータセンター「館林システムセンター」で起きた電源設備故障に起因していたことが分かった。同センターでは6月7日午前5時57分に、無停電電源装置(UPS)が1台故障。障害回避策が機能せず、同センターの7%に相当する範囲で電力の供給が絶たれた。この影響で、同センターを利用する東京スター銀行の全てのATM、サークルKサンクス子会社でりそな銀行などとATMを共同運用するゼロネットワークスの一部ATMが午後9時まで停止した。また、ソニー銀行の全システムが同日午後1時まで停止した。ニフティのクラウドサービス「ニフティクラウド」の管理ポータルや一部の顧客用サーバーもダウンしたため、同サービスを利用するスクウェア・エニックスのオンラインゲームなども終日停止した。」日経コンピュータ 2012年7月5日号P.8
これでやっぱりクラウドコンピューティングは危険だ、という短絡的な思考が心配です。2例とも「人災」です。ファーストサーバーの方は「なぜ、外部にバックアップをとっておかなかったのか。「おっしゃっているような一般的なバックアップというのは、我々のような低価格の料金で提供するのは難しい。サーバー内の別のディスクでとることを、我々はバックアップと考えています」、一方 約款には「利用者がバックアップを怠ったことで受けた損害についてファーストサーバーは何ら責任を負わない」という免責条項があるといいます。安いだけでこの業者と契約した企業の情報システム責任者は余りにも不勉強で無責任です。契約書を見落とした?
富士通のケースでは、「「館林システムセンター」で起きた電源設備故障に起因していたことが分かった。同センターでは6月7日午前5時57分に、無停電電源装置(UPS)が1台故障。障害回避策が機能せず、同センターの7%に相当する範囲で電力の供給が絶たれた。」システム設計のミスです。技術力の問題ではないでしょうか。この会社は似たような障害を東京証券取引所のシステムでも起こしています。経営陣は誰も責任とりません。悲しいですね、SEは。
海外でもクラウドコンピューティングは障害があります。例えばアマゾンです。ただ障害のレベルが違いますし、クライアントのデータを消失していません。米国のクラウドの設備を見た方がいいでしょう。下記URL
ただこれだからクラウドコンピューティングは危険だという発想は止めてください。このデジタル書斎で紹介しているサービスは全てクラウドコンピューティングです。この利便性は何にも代えがたいものがあります。デジタル書斎としては、自宅のパソコンに元データをキチッと管理して置くことが対策ですが、むしろ自宅パソコンのデータバックアップの方がずさんで、クラウドに預けて置いたデータの方が安全で、パソコンデータのバックアップにもなります。
ファーストサーバーの障害http://www.nikkei.com/article/DGXNASFK2600L_W2A620C1000000/富士通の障害http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20120702/406757/アマゾンの障害http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20110421/359696/マイクロソフトのデータセンターhttp://www.youtube.com/watch?v=PPnoKb9fTkAhttp://www.youtube.com/watch?v=Rnvya5ZgEvcGoogleのデータセンターhttp://www.youtube.com/watch?v=zRwPSFpLX8Ihttp://www.flixxy.com/google-container-data-center.htmAppleのデータセンターhttp://gigazine.net/news/20120327-apple-data-center-maiden/

◆書評◆今月のご紹介は、「サンカとともに 大地に生きる」 清水精一 河出書房新社 2012)です。
復刻版で実は古い本で原本は1934年の出版です。原本には「サンカとともに」はありません。求道の自伝です。圧倒的な迫力はあります。素封家の出身で、京都大学で河上肇に経済学と社会主義を学び、西田幾太郎に哲学を学び実業界に入りながら、全てを捨て人間とは何かを悟るべく、生涯求道を追求した自伝です。悟りの境地まで到達しています。名文ですが読めない漢字、意味が解らない単語が多くて、こんな本はあまりありません。例えば「愚禿」読めますか。
旧山手通りに、昨年暮れに開業した蔦屋書店は趣味的な面白い本が満杯です。いわばロングテールの本がジャンルごとに部屋を分けて公開されていて、立ち読みを誘う設えです。必要な本が判っていればアマゾンで注文すれば事済みますが、どんな本が世にあるのかわからないのですから、この蔦屋は知の迷宮の探検の価値あります。時間を忘れて彷徨する人でいっぱいです。その中で日本の古代史や世界の習俗に関する書籍を集めた部屋があり、そこに行くたびに気になっていたコーナーがありました。サンカ、山窩という言葉が付いた書籍の集合です。サンカという非定住民族の存在はずっと昔から知っていましたが、マタギもその一つかなという程度の知識でした。なぜ興味があったかですが、日本の古代史にみる、渡来の弥生人に追われ、山に生きる古代縄文人は何処に行ったのか気になっていました。その影を山窩に投影していました。その書棚で気になる一冊が今月の本です。
山窩の定義ははっきりしていないようですが、身分制度外の非定住民族で(穢多非人は身分制度内)、諸説がありますが清水精一さんは、山窩には山を根拠にしてきた系統と河海を根拠にしてきた系統があると言っていいます。別の説では工人系と川漁系という説がありますとしています。いずれも農業ではなく自然の幸を基本とした生業です。実際は色々な理由でこの集団に合流していた人達もいます。工人系は製鉄のタタラや漆器の木地師もこの系統でしょう。資源が無くなれば別の土地に移動していきますから非定住民族です。芸能集団もあります。よく山深い集落に歌舞伎や人形劇の伝統芸能が伝承されている例がありますが、山の中で芸能が生まれたのではなく、都会で生まれた芸能集団が定住の基地として封建支配の届かない山奥に根拠を構え、此処から全国に興業の旅に出たのでしょう。
彼は世を捨てた後、約3年間臨済宗天竜寺で修行の生活を送り、そのあと若狭、丹波、山城の重なる深山に2年間、自給自足の独居生活を送り、山を下りてからは比叡山で21日間の断食を行った後大阪の百軒長屋という貧民街に1年を過ごした後、大阪の蜜柑山に居た乞食の集団に入り約3年半を過ごしました。彼によると乞食は山窩の一つです。この本の凄い部分はこの蜜柑山での生活の描写です。中にいた者しか解らない事実です。
これによると乞食の集団にはチャンと呼ばれる頭領と代議士と呼ばれる幹部グループがあって、基本的には代議士会が決めそれをチャンが承認するという事です。掟も有り規律が保たれている原始的な共産社会です。規律は厳しく一番重い刑は極刑です。姦通罪はこれに当たります。この点は貧民街よりずっと規律がとれています。むしろ貧民街はモラルが乱れていると嘆いています。
乞食の集団では稼ぎは全てチャンの妻に出し、それを全員で公平に分配するとのことです。この本で見る限りグループ内は本当に信頼関係に結ばれ、とらわれない自然人の集団ですね。自然を信じ楽しむゆとりある生活です。大人も子供たちも自然人です。非定住ですからトイレというものを使わないのでこれを作って使わせるのに苦労しています。また地面に直接寝て地熱で冬寝る人や、寒い時はみんな素っ裸になって固まってお互いの体温で暖を取って寝るとか、地面に穴を掘り油紙を敷いて湯を入れそれで生まれた赤子の産湯にするとか、赤子を湯ではなく川の水で洗うとか、自然人の生活の知恵の一端がまだそこにあります。姦通はご法度ですが、離婚は自由です。死別も有ります。身内の結婚ですから相手は限られます、従姉も有ります。兄嫁、弟の嫁も有ります。年齢関係なく年上、年下もあります。結果は父親の違う子供を女性は持ち、母系家族です。平安時代の貴族も母系家族ですよね。生活能力は性差がありません。年齢も。
何故乞食になったか彼はみんなに聞いていますが、一番多いのは代々乞食だからです。子供は生まれた時から乞食ですから何の迷いも有りませんし、自分で稼げますから自立しています。一方、教育も戸籍もないので抜けだしたくても抜けけられません。痛い話を一つ、「乞食を三日やると止められない」という話がありますが実は「乞食を三日やるとその苦しみは忘れない」が真実でした。
彼の初めての物乞いは、チャンの娘に連れられて行きます。5年以上の修行を積んだ彼も地べたに土下座して黙々と頭を垂れる事への躊躇いと心の動揺がありました。銅貨を投げてよこすのですが、モノを人に与えるに何という事だという気持ちが出てきたようです。一日の物乞いで彼は10銭5厘の稼ぎ、横の娘は1円60銭です。「乞食に技巧はあるか」と娘に聞くと「頭の下げようが足りないからだ」言われ、改めて行き交う人の心には自分の傲慢がそのまま映っているに違いないと悟るのです。「どうしたら頭が下がるか」と聞くと「下げようと思っている間は下がらないよ。今に自然に下げられるよ。」です。実は技巧はあるのですが。帰ると「お前、ずいぶん稼ぎが少ないね!」チャンの妻から言われ、稼ぎ?モノを貰うのではないのか、と思いますが乞食は職業なので稼ぎが評価です。この稼ぎをあてに毎日食料を売りに来る業者がいるといいうのも驚きです。
出稼ぎの旅で故郷の高槻で稼ぐことになりました。自宅もある、友人も歩いている、叔母の家もある、そこでの物乞いに対する、葛藤のシーンも凄さがあります。幸いすれ違った友人も気が付きませんでした。
かなり時間が経ってから、ついと従姉に見つけられ、後を付けられて居場所が知れてしまいます。弟が来て家に戻れという、危険な場所にもかかわらず、ついに夜、母親が1人で来ます。「達者でよかったね」が最初の言葉でした。一緒に帰ってくれと頼みますが、「今家に帰ればこの乞食の人たちを救済できない」と言って残ります。母の危篤を知らされ家に戻りますが間に合いません。葬式が終わり帰ろうとすると父親が「乞食の中に帰るのか」と言い、母からの伝言として「1日も早くあの大勢の乞食が人間らしくくれるように私もくれぐれ頼んでおったと言ってくれ」です。ここで母を「全理解者」として得たことを認識し、なんと恵まれている自分であることに泪します。
その後仲間を引き連れ、苦労しながら生業の道に仲間を導き、ロバート・オーエンのユートピアの様な共産社会を創って行きますが、この過程で胸を打つシーンが幾つかあります。野菜の弁当もその一つです。また元会津藩士で当時の大阪市長という「侍」の支援も有りました。全て戦前の話しですから今となっては既にこのような山窩というコミュニティーはありませんが、求道の過程の凄さから人間力が磨かれる一冊です。
=======================================◆内容・記事に関するご意見・お問い合わせ/配信解除・メールアドレス変更右記まで  webmaster@fukan.jp………………………………………………………………………………………………………◆俯瞰 MAIL 0019号(2012年7月16日)発行元: 一般社団法人 俯瞰工学研究所発行責任者:松島克守URL: http://fukan.jp=======================================

俯瞰 MAIL 018 号( 2012 年6 月 20 日)

皆様◆季節のご挨拶◆都心を離れ田園地域にいくと、田に水が入り田植が終わった田んぼと、穂が伸びた麦畑の景色が広がり、元気を感じる風景ですね。山は濃くなった若葉色で力強さをくれます。----------------------------------------------------------------------------- ミャンマーに行ってきました ミャンマーの民主化は後戻りしない エネルギーが有ってエネルギーが足りない 原発再開の決心がつきました 上海に行ってきました 中国の経営者と話してみました 中国新幹線に乗りました 久しぶりに金沢に行ってきました 100日間の生活習慣の改善で効果出ました 頭のよくなるクッキング4 デジタル書斎の構築10 書評 : 「脳をつくる読書」-----------------------------------------------------------------------------◆ミャンマーに行ってきました◆ビジネスモデル学会の海外視察団でミャンマーのヤンゴンに行ってきました。印象を幾つか。まず、ヤンゴンの街は他のアジアの街と違い、綺麗で静かでした。ヤンゴン市内は、自転車、オートバイ、三輪禁止のため自動車が大半です。このため街がすっきりした感じす。車は殆ど全て中古車ですが程度がいい綺麗な車が大部分です。バスは日本のバス会社の名前が残っているモノも有ります。乗用車はカローラが多いですね。耐久性と品質で人気だそうです。それでも日本円で数百万円です。ランドクルーザーは何と4000万円!加えて道路にほとんどゴミがありません。清潔です。あくまで市内中心部ですが清潔です。更に、電柱が有りません!街の景観は東京以上ですか。大型のショッピングセンターが十数件あります。かなり大型で、中のテナントはアジア標準です。街の人々の服装もバンコックやシンガポールや上海と同じです。少し人の数がすくないかんじです。サラリーは月80ドルくらいと聞きましたが、貧しい感じはまったくありませんでした。不思議ですね。街の人々の表情が優しいですね。セカセカ、ガツガツした人や,物欲しそうな人はいません。会った方々もそうです。仏教が生活レベルで浸透しているためでしょう。日本人と違い本当の仏教徒です。この雰囲気が、中国やインドの街の表情とのコントラストを産んでいます。これから、ミャンマーに来る日本人旅行者が増えるともいますが、ハマる人も増えると思います。バリ島の様に観光地化していないので、ゆったりと大きな癒しの国を感じるでしょう。
◆ミャンマーの民主化は後戻りしない◆スー・チーさんの家をみました。と言っても前をバスで通過しただけですが。市内にある大きな美しい湖のほとりにある御殿ですね。ビーチ付きです。軟禁というと暗いイメージで狭い家に押し込まれているようですが、物理的には毎日がリゾート暮らしです。外出、旅行、面会が制限されているので精神的には狭い所に押し込まれていたと思います。其の間民主化のリーダーであるという精神を持ち続けた強靭な精神力は、やはり鉄の女です。ミャンマーに行き、色々な人と会い、市内をみて、また現地でビジネスをしている邦人と話した結果、ミャンマーの民主化の流れは本物だと認識しました。もう後には戻せないでしょう。この実感が今回の視察の最大の収穫です。
◆エネルギーが有ってエネルギーが足りない◆最大の課題は停電です。一日数時間は日常的だそうです。ホテルでもしばしば。自動で自家発電に切り替わらないので、二三分停電状態です。産業は大打撃で電気を必要とする産業は今しばらく無理ですね。実はミャンマーはエネルギー資源に恵まれています。山岳部には豊富な水力発電が有って、現在中国に輸出しています。問題は、発電所は中国が建設してその見返りに90%を中国に送電しています。このモデルで計画されていた新しい発電所の計画は最近になって新政権により中止になり、中国は非常に怒っているようです。近海には豊富な天然ガスが有り既に採掘も行われていますが、長期契約で輸出され国内にまわりません。非民主的な為政者がエネルギーや資源開発の利権を海外に渡し、見返りを略取する手法は、開国の時の共通現象です。そして所謂財閥がつくられます。近くはロシア、中国、そして日本の明治維新も同じモデルだったのでしょう。という事で本格的な製造業は無理で、今は自家発電で何とかなるミシンと蛍光灯のアパレル縫製工場が盛んです。既に中国から低賃金を狙って移設してきた日系の工場にも見学に行きました。一つの日系企業は賃金をめぐってストライキでした。低賃金を追求する際のリスクです。
◆原発再開の決心がつきました◆以前このメルマガで、原発再開の決心の日がくると書きましたがその時が来ました。時間が係りましたが仕方ないでしょう。例年は一日も早く鬱陶しい梅雨が開けて欲しいと思いますが、今年は少し梅雨が長いといいですね。原発の運転が安定するまで。この後は短期、中期と分けて議論を重ねて国民的合意を形成して行く必要がありますが、初めから「原発有りき」と「原発廃止」の立会いで始まるのが見えますので心配です。見えない原発再開のリスクより、計画停電による関西、大阪市の混乱のリスクの方が遥かに大きい事を認識できていない知事さんたちには困ります。私見ですが、関東は比較的社会的な合意に基づいた社会の対応が出来ていた事と、都心中央部の計画停電が無かった?事もあり何とか計画停電を無事におり切ることができましたが、大阪市中央部を含む計画停電による社会混乱、産業インパクトは昨年の東電の計画停電よりずっと高いことを、市長や知事が理解できない、周辺のスタッフが説明できていない、やはり劇場型の市長や知事は裸の王様なのでしょう。菅総理の末期も酷いことが事故調査で明らかになって来ましたが。政治家を評価する時は周辺の人材を十分にみないといけません。古い例では、秀吉と家康の違いもここにあります。朝鮮出兵‼この程度の水準の政治屋に国政はまかせられません!維新の会にはそうそうたる方々が応援団としてついていますが、流石にどなたかが、注意したのでしょう。此れで維新の会という集団の政治的能力が露呈して、一時の熱病的な勢いが収まることに成るでしょうか。
◆上海に行ってきました◆久しぶりに上海に行きました。相変わらず巨大な空港で歩く距離が馬鹿になりません。空港から市内に車で移動ですが、太陽が朧月夜の月のように、直視できます。すごいスモッグです。気候もあるでしょうがすごい空気汚染です。車中の友人はまったく驚いていません。青空が出る日も有りますと言っていましたから、これが日常なのでしょう。上海はスモッグに沈んでいました。両脇の林立する普通のマンションの価格を聞くと東京より同じか高い感じです。人件費は上がっていると言っても、まだかなり日本の給与水準と差があります。マンションの価格はこの数年で三倍になったそうです。ちょっといいマンションは一億円。買うのは頭金いれて銀行ローンだそうです。バブルの真最中です。しかし安易にブレーキ踏めません。中国の金利、金融政策はまさに綱渡りです。これまでは物凄く旨くやってきました。今後も宜しくお願いします、ですね。日本にとってギリシャどころではありませんから。ただ,ギリシャ危機はユーロ危機につながり、欧州経済は中国の輸出と直結しています。世界固唾をのんで注視したギリシャの総選挙は緊縮派が辛勝しましたが、まだギリシャ、スペイン、そしてイタリアから目が離せません。際どいですね!全てはメルケルの腕に架かっています。此れも鉄の女!
◆中国の経営者と話してみると◆中国の経営者と話して見ました。一人は中小企業の経営者で、色々な事業に手をだしています。日本製の高価な工作機械を十数台購入して、ディーゼルエンジンの部品加工の外注をして居ます。やや景気が落ち目と言いながら目先の仕事はあり、粗利は40%くらいあるそうです。まず3年位先の中国経済はどうでしょうかと質問すると、今年来年は厳しいが安定成長は続くと考えているという事です。日本の企業を買う気があるかという問いには、知らない国の事業には興味がないとのこと。更に不動産投資はどうですかと聞くと、もう各地に5件も不動産を持っているが、貸してもいないし、ほとんど行っていない、時々友人がカギを借りにくるくらいだから、不動産投資にも興味ないとのこと、堅実ですね。更に、習近平に代わったらどう中国は変わるのか、という問いには大きな変革はない、安定成長の政策に変化はないと思うが、習近平の政策を確認するまでは設備投資は控えるという返事でした。もう一人は中国最大の建機メーカーの幹部です。広大な新工場を建設していて、内部の設備は最新式のFAです。溶接ロボットはドイツ製です。こちらは作れば売れる状態が続いていますし、南米への輸出も始めています。まだまだ公共工事は続くという事ですし、来年はコマツを抜くという成長ぶりです。上と同じ質問をしました。中国経済は、今年来年は厳しいが基本的には安定成長を続けるとみていました。習近平に変わったたらと聞くと、大きな変革はないだろうという点も上と同じです。この街はこの会社の城下町です。関連企業も集積しています。この集積を見てキャタピラーも工場を展開しています。道路の整備が凄いです。幹線道路はほとんど片側4車線です。
◆中国新幹線に乗りました◆上の建機メーカーを訪問する為に上海から新幹線に乗りました。片道約2時間半です。まず、上海空港に始点があります。空港の一ターミナルという感じです。入口のX線検査等も全く同じです。本数ですが1時間に平均して1本くらい北京行きが運行されている感じです。無論「ひかり」と「こだま」の様な特急の種類があります。驚いたのは殆ど切符が売り切れです。しかも一時入手難でダフ屋が横行したため現在は身分証明書か旅券を提示しないと買えません。社内は一等、二等がありこれも日本と同じです。ただ、一等車も満員です。中国経済は完全に離陸しています!別に小さな特等のキャビンも有りました。乗り心地はいいです。殆ど横揺れはありません。途中に少しトンネルありましたが、基本的に真っ直ぐで勾配も少ないようですので走行は安定しているのでしょう。目的地に着くとその駅も空港ターミナルと同じ雰囲気です。将来を考えてでしょうか広いホームが6本くらいありました。帰国して新幹線で大阪に行きましたが横揺れが大きく通路歩行は左右の座席に手を掛ける有様です。かなり路盤が老化しているのでしょうか。
◆久しぶりに金沢に行ってきました◆多分三十年ぶりくらいに金沢に行きました。落ち着いた美しい街ですね。三十年ほど前は金沢工科大学にIBMの汎用機をインストールする仕事で行きました。大学のコンピュータ利用では、当時この大学は日本で最先端だったはずです。新築の図書館の蔵書管理システムの導入です。当時既に大学に情報システム部が有ったと思います!その後、インターネットの前身のシステムBitネットも導入したような記憶があります。この大学と理科大学がIBMの大学での利用のモデルでした。これは私の本務ではなく、タスクとしてお手伝いでしたが、大学からIBMに移籍してまもなくであり、意味ある仕事でしたので注力しました。その時その仕事をご一緒した方がいらっしゃって昔話が盛り上がりました。いい仕事をご一緒した縁は最高の縁ですね。これに続き、北大、東大、慶応大学、豊橋科学技術大学、神戸大学、九州工業大学にCADルームを寄付するプロジェクトをやりました。今の人は信じられないでしょうが、当時は国立大学は国産以外のコンピュータは行政指導で導入禁止でしたが、現場の先生方のCAD教育の導入に関する熱意に助けられてやり遂げることができました。金沢工科大学ですが、本当に素晴らしい大学に発展していました。関連する情報は耳にはいっていましたし、何人かの友人、知人が教員をしていますので分かってたつもりですが現場は印象が違います。あの図書館も健在でなつかしかったですね。中にLPレコードのポップスのライブラリーがあり、さらに懐かしいEP(ドーナッツ版)のジュークボックスまで有ります。いいね!希少書籍の特別展示室をご好意で見せて頂きました。感動です。三十年かけて蒐集された、電気工学に関する、グーテンベルグ本の初版がずらっと並んでいます。あのファラディーやマックスウェルが書いた教科書です。中性紙ではなく羊皮紙ですので劣化がなく紙面が鮮やかです。年に一度学生にこれで技術史の講義が有るよし、これもすばらしいですね。今回何をしに?頼まれて大学院の学生に、キャリアを考える、という趣旨の講義でした。エンジニア、研究者、ビジネスマン、コンサルタント経営者、教員と、私自身はキャリアのデザインはしませんでしたが、色々な経験をして来ましたので何かお役になるかなと思いまして引き受けました。
◆100日間の生活習慣の改善で効果出ました◆前回3月から食習慣を改善して効果が出始めているとお伝えしましたがその続きです。3月中旬からの食事では、まず止めたものは、鳥を含む肉類、乳製品、白米、パン、麺です。もともと菓子ケーキは殆ど食べません。白米は玄米に交換といってもいいです。紅茶も桑の葉の茶に代えました。新たに加えたものは野菜料理の量でしょうか。昼ごはんは止めて、1日2食にしました。ですからカロリーも2-3割現でしょうか。あとはそれまでと同じで、朝食は人参、セロリ、レモンの野菜ジュース、野菜料理、納豆、ブルーベリー、グレープフルーツ、ミカン、少量のナッツ、桑の葉の茶です。パンは食べません。サプリメントも基本的にこれまで通り。夜は魚料理、刺身が多なりました、焼き魚も。あとはお浸し、野菜炒めなど野菜料理を2種類と玄米一杯、これにはゴマか、ジャコを沢山掛けます。おなかも空かないし肉を食べたいという気持ちも起こりません。酒はビール、日本酒、白ワインを止めて、赤ワインだけですが毎日0.5-0.8本くらいです。約100日の結果です。2月の血液検査の結果と6月の結果を比べると、総コレステロールは232→156、中性脂肪は172→71、尿酸値は6.9→5.6、γ―GTPは63→33、空腹時血糖値は151→119、これと関連するHbAlは6.4→5.3です。我ながらあまりの効果に驚きました。次の血液検査は8月です。楽しみですね。因みに体重73→70、BMI 23.5→22.6、体脂肪率 23.8→21.5、タニタ年齢 57歳→54歳です。加えたものに、あの不老遺伝子を活性化すると言われているラベストロールが有りますがまさか?
◆頭のよくなるクッキング4◆料理の話がなく食の話が続きますが、先般の油脂の話を解り易く整理しておきまししょう。
摂取してはいけない油:マーガリン、ショートニング(安いケーキやクッキー)酸化した油(外食等の古い油の揚げ物)これらトランス脂肪酸は動脈硬化を引き起こし心臓や血管に有害です。極力接種を避ける油:動物性脂肪、乳脂肪、ヤシ油、ココナッツ油、これらは飽和脂肪酸でコレステロールを増やし動脈硬化を引き起こします。摂取最小限にする油:大豆油、コーン油、綿実油、ごま油、菜種油、紅花油、ひまわり油は多不飽和脂肪酸で、酸化しやすい上、悪玉コレステロールを減らしますが善玉コレステロールも減らしてしまいます。また精製の過程で化学品を使用するので少量有害なトランス脂肪酸を含みます。注意、菜種油とキャノーラ油は別物でキャノーラ油は品種改良されて有害なエルカ酸を無くしたものでこれは摂取してもよいと言われています。青森産の菜種油は品種改良されたものです。紅花油も品種改良されてオレイン酸を多く含むものは摂取しいていいです。ピーナッツ油は避けます、これは発がん物質のアフラトキシンを含んでいる可能性がありますので。摂取してよい油:エクストラバージンオリーブ油、化学品で抽出したオリーブ油は避けます。積極的に摂取をする油:必須脂肪酸はオメガ6脂肪酸とオメガ3脂肪酸ですがオメガ3脂肪酸は限られた植物油にしか含ません。現代人は不足してこれが色々問題を起こしていると言われています。この不足するオメガ3脂肪酸を含む油は、エゴマ油、シソ油、亜麻仁油です。ただし酸化に敏感なため決して加熱しないで、生で摂取すると同時に冷暗所に保存する事。食物ではクルミ、そしてサケ、イワシ、サバ、ニシンという冷たい海の魚はオメガ3脂肪酸を造るEPAやDHAを豊富に含みます。
という事で私のキッチンの油は現在、加熱料理用に品種改良されオレイン酸を強化した紅花油と、加熱料理、サラダ等生食に使うエキストラ・バージンオリーブ油、そして生食専用のエゴマ油になりました。香りづけの胡麻油も有ります。
◆デジタル書斎の構築10◆アナログ書斎の話が続いてしまいましたが、書斎の大掃除をしました。書棚に並びきれない不要な書籍を思い切って処分しました。と言っても捨てるのも気が引けますし、古本屋に持って行くのも大変ですので、東京大学の図書館に寄付する事にしました。なんとOBは引き取ってくれること発見!しかも宅急便の業者が引き取りに来てくれます。多分大多くの教授の方々は沢山の稀覯本をお持ちでしょうが、私はそんな書籍は有りません。あくまでもう読まない本です。必要な書籍は大学が引き取り、それ以外は売却処分してその収益は寄付です。しばらくすると5500円になったという通知がありました。お陰で書棚がスッキリして、「積ん読本」がなくなりました。面白い記事の有る雑誌を取ってありましたが、カート1台分捨てました。捨てる前に今や得意の自炊技術でお目当ての記事をpdf化して、クラウドのBOXというサービスに収納しました。このアプリケーションはDropboxに似ていますが、グループでの情報共有やプロジェクト活動を支援する機能が充実しています。新たなファイルをアッップするとフォルダーの共有者に通知が行きます。又フォルダーの共有者がダウンロードするとその旨通知がきます。無料版ではDropboxより同期の測度が遅いです。Dropboxもフォルダーの共有ができますが、共有先のDropboxの中に共有フォルダーが生成されますのでその分Dropboxの容量が圧迫されますし、むろん連絡や通知は行きません。このBOXは共創のツールとしてゼミなどでの利用が出来ますね。BOXのクラウドに収納した雑誌の記事その他は俯瞰工学研究所図書室と名づけて、俯瞰工学研究所の会員の方々と共有しています。中のサブフォルダーとして、世界の旅、日本の旅、生活・社会、人、脳、食・健康、料理、日本、アメリカ、中国、国際関係、3.11フクシマ、論文、ビジネス、テクノロジー・IT、環境・エネルギー、老化、が出来ましたが、これが、私が興味を持っているトピックスでしょうか?旅先ですので、この原稿は以前紹介しましたPlaintextというアプリケーションでiPadの上で書いていますが、書いたはじから自動でクラウドに同期しますので、帰宅してファイル転送の処理をしないでパソコンのPlaintextを開いて、ワードに張り付けて、続きを書くことができます。出張中にこれで原稿を書くスタイルが定着しつつあります。
◆書評◆今月のご紹介は、「脳をつくる読書」 酒井邦嘉(実業の日本社 2011)です。題名に惹かれて書店で手を出しました。奥付を見ると、著者は1964年生まれ、私が大学に入学した年です。ということは比較的若い研究者で新しい知識が得られそうでしたので読むことにしました。著者は言語脳科学の専門家で、東京大学で物理学、脳科学、言語学を教えています。文庫本の様な短い文字数ですのですぐ読めます。この本のエッセンスは、脳のもっとも重要な機能は想像力であり、読書はその想像力を鍛えるという事でしょうか。読書をすればするだけ脳の想像力が強化され、行間を読む力も付き、これが「脳をつくる読書」の所以です。この本の困るのは、上記の文脈と関係なく電子書籍に対する紙の本の優位性を議論し、擁護を訴えている事です。一部電子書籍に関する勘違いもあるように思えます。電子教科書にも懐疑的です。最後は共存を解いていますがこれは当たり前です。中身を紹介するのは止め、中にある脳のテストを紹介しましましょう。次の文章は何について述べているのでしょう。駒場500人の講義で正解は2-3人だったという事です。
「その手順は実はとても簡単です。まず異なるグループに分けます。もちろん、必要とされる量によっては、ひと山で十分でしょう。設備がないためにどこか他の場所へ行かねばならないならば、それが次のステップですが、そうでなければこれで準備万端です。やりすぎないことが大切です。一度には多すぎるより少なすぎるほうがよいのです。さしあたりは、これは重要なように思えないかもしれませんが、面倒なことが起こりやすいです。一つ間違うと高くつくことにもなり得ます。最初は全体の手順が複雑なように思えることでしょう。しかし、すぐにそれは生活の一部となることでしょう。近い将来この作業の必要性に終わりがくることは予見しがたいのですが、決して誰にもわからないのです。その手順が終了した後は、それらを再び異なるグループに分けます。そしてそれらはそれぞれの適切な場所に置かれます。結局、それらはもう一度使われるでしょうし、この全体のサイクルはまた繰り返されねばならなくなるでしょう。しかし、それは生活の一部なのです。」
答え?(社)俯瞰工学研究所のHPの俯瞰メール補完資料に置きます。


俯瞰 MAIL 017 号( 2012 年5 月 19 日)
◆季節のご挨拶◆目に青葉・・の季節になりました。花もきれいですが芽吹いて汚れていない浅緑の新緑は心を元気づけてくれます。つくばの竜巻、最近の気候は荒っぽいですね。じわっと地球温暖化の影響来ているのでしょうか。-----------------------------------------------------------------------------
◆Facebook開設のお知らせ◆このたびFacebookのページ機能を使い、情報共有の場として、「俯瞰工学研究所」を開設しました。メルマガ等の活動を掲載してまいります。Facebookの検索で「俯瞰工学研究所」を探してみてください。
-----------------------------------------------------------------------------・国際政治は変わる、日本の対応は・依然不透明なグローバル経済・日本の半導体企業が消滅・会津でプラチナ構想ネットワークのシンポジュウム・生活習慣の改善で一定の効果出ました・頭のよくなるクッキング・ディジタル書斎の構築9・書評 : 「テクノロジーとイノベーション」-----------------------------------------------------------------------------
◆国際政治は変わる、日本の対応は◆ロシアのプーチンが大統領に就任し、フランスの大統領もサルコジからオランドに代わりました。韓国の大統領も間もなく交代です。秋には中国も習近平に代わります。このようなTOPの交代の時期は、これまでの懸案を一気に変えるチャンスでもあります。オバマ大統領は再選の暁には、対ロシア外交を一気に変えそうです。インド、東南アジア、台湾、韓国、日本にロシアを加えた、対中国包囲網を形成するのではないでしょうか。中国は日中韓のFTAでこの包囲網に風穴を開ける戦略でしょうか。無論南進はするでしょう。
プーチンは北方領土問題の処理を終わらせ、悲願の極東ロシアの経済成長を日本技術、資本で図ることを押してくるでしょう。
問題は日本政府にその対応戦略があるかです。以前にも書きましたが、冷戦終結時に、当時のドイツのコール首相は電撃的な外交でソ連のゴルバチョフから東ドイツを奪還しました。この時が日本にとっても北方4島回復のチャンスだったと思いますが、当時の橋本首相は何もできませんでした。
歯舞、色丹は返却、国後、択捉は継続協議という日ソ共同宣言をどう変形して日本とロシアが受け入れるかです。3島返還で激高するようでは収まりませんね。http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/100/119828.html

◆依然不透明なグローバル経済◆経済情勢も不透明です。ギリシャの再選挙という事で年初、落ち着くかと思われた欧州危機も再燃で、円高の基調に戻ってしまいました。この情勢はあのJPモルガンも読み誤って巨額の損失を出したと報じられています。スペイン、ポルトガルの財政危機も気になりますが、スペインとギリシャは若者の半分以上が失業という状況は異常です。緊縮財政一本ではいかないのも当然です。一方緊縮財政推進のメルケル首相はドイツ国内の地方選挙で大敗という事で動き方が難しいでしょう。まったく先が見えませんね。変に判ったつもりになるのが一番危険でしょうか。
一番不透明なのがアメリカ経済ではないでしょうか。オバマ再選後には現在とはまったく変わった局面が出てきそうです。製造業の復活?ともかく1%の人間が20%の富を独占し、超高所得者が僅か20%ほどの所得税とは、これも異常で社会・経済の不安定要因だと思います。
相対的には日本は安定度が高いと思いますが、不透明は福祉・増税の政局です。民主、自民、その他が離合集散して、政策能力があり安定した政治勢力が形成されるといいのですが。http://www.garbagenews.net/archives/1926497.htmlhttp://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2012&d=0405&f=column_0405_003.shtmlhttp://toshukou.at.webry.info/201204/article_14.htmlhttp://uskeizai.com/article/266457799.html

◆日本の半導体企業が消滅◆かつて世界を制覇した日本の半導体産業も最後に残ったエルピーダが倒産して、米国のマイクロンの傘下に入ることになりました。エルピーダは1999年に、日立製作所とNECがDRAM事業部門を統合して発足し、2002年には三菱電機の同事業を吸収して、東芝がDRAM事業から撤退し、エルピーダが日本で唯一のDRAMメーカーでしたが。DRAM以外の半導体は少し残っていますが、一つの産業が終焉したように認識します。なぜ?多く議論されていますが、明らかに戦略の誤りと、行動のスピードに問題があったはずです。これは明らかに半導体産業だけでなく、業績不振は企業と産業に蔓延している日本文化の悪しき面の結果です。
日本企業の多くでは、高度成長以来の成功の期間にビジネスプロセスと評価基準が形成されましたが、その評価基準に基づいた事業戦略では、今の時代は新規分野を切り開く事が出来ないのです。有能な企画スタッフ組織は、わが身と会社の利益を考え、確実に市場の需要がある事業を重視します。そして、自分の策定する事業戦略が上層部の承認を得やすいように、企画案をまとめます。実は経営者が関与するはるか以前に評価と意思決定は行われているのです。これば日本式経営の最大の欠陥でしょう。TOPは?http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPTK079763820120507

◆会津でプラチナ構想ネットワークのシンポジュウム◆会津でプラチナ構想ネットワークのシンポジュウムが開催され参加しました。会津は初めてです。若手の市長がプラチナ構想ネットワークの理念に賛同して、この実践をしようというその行動をイニシエイトするイベントです。夜は日本フィルの演奏会です!市民が多数参加しています。こうした地域の行動が日本を変えていくのだなと実感しました。
パネルディスカッションで地元の若手経営者と、山中温泉の名門旅館の社長の話が印象に残りました。
まず、地元の若手経営者の話ですが、一度は家業を継ぐ気がなくて東京に出たものの会津に戻り、家業を継いでいるのですが、その話の中で地元企業の即ちファミリー企業の力と地域貢献の形を再認識させられました。それは彼の父親が雇った現在その会社の幹部たちですが、どこにも就職口がなくで、街でグレかけていた人間を雇い、厳しく教育して立派なビジネスパーソンにしてきたといいう下りです。そういう雇用の受け皿は地域に足をつけたファミリー企業の中で、さらに地域に対する社会責任を強く認識している経営者でしかできない事です。これが会津人の神髄だと認識しました。
山中温泉の旅館の経営者、この方はかなりシニアですが改革の精神が凄いです。家は240人宿泊の大温泉旅館を経営していましたが、家業を継ぐことになったとき両親を世界旅行に出してその留守にその旅館を廃業して、新たに20名限定の家族経営の旅館に変えてしまったというのです。旧いビジネスモデルの限界を既に見通していたのです。その後父親との確執があったようですが、名旅館として地位を確立させ成功させて、或る時父親が、「やはりお前の考えが正しかった」といったそうです。この間県会議員として街の振興に時間を使い地域の活性化を成し遂げています。
地域振興、産学官連携、ベンチャー企業という話が多いなか、こうした地域のファミリー企業の果たす役割は凄く重要だと改めて再認識しました。
帰りに、探してやっと会津にしかない「ニシン鉢」を買ってきました。これは海が遠い会津の人たちが身欠きニシンをサンショウと漬けるための鉢ですが、質実な会津の暮らしを偲ばせる民芸品です。
当日のプログラムはhttp://www.platinum-handbook.jp/contents/28

◆生活習慣の改善で一定の効果出ました◆先月紹介した栄養学の関係で、3月に栄養学の知識をアップデートしましたので、それに沿って3月の中旬から食習慣を大幅に刷新してみました。
まず肉類と乳製品という動物性蛋白と動物性油脂をやめました。動物性蛋白質は魚だけです。それも出来るだけ天然魚の丸ごとで。例えばタイとかカサゴを一尾買い、魚屋で三枚に下してもらい、アラももらいます。身は刺身、焼きにして、アラは熱湯で洗ってからネギ、生姜で40分ほどだしをとりフィッシュスープとして頂きます。
後は野菜を凄く大目に料理します。よく食べるのは、ブロッコリー、青菜のお浸し、ニラ炒め、インゲン、アボガドなどです。トッピングにジャコとサクラエビを多用しています。炭水化物は白米、麺、パンを止めて、夕食に玄米ご飯を一膳にしました。基本的に昼食は無しで、食べるときはサラダ一品か、野菜炒めだけです。ウィスコンシン大学のサルほどではありませんがカロリーはかなり落としました。
酒はビール、日本酒、白ワインをやめ赤ワインだけですが、これが意外と多くて0.7-0.8本/日。運動は歩くだけで距離は伸ばしませんが、少し大股で早足にしました。
約1月後に人間ドックの検診を受けましたが、その結果コレステロール、尿酸、肝臓・・すべての主要なすべての数値が改善され基準をクリアしました。血糖値は下がりましたがこれは基準を下回るまでにはいきません。体重も2-3キロ減りました。現在も続けています。

◆頭のよくなるクッキング3◆健康のために色々やっていますが特にお勧めは毎朝の野菜ジュースです。基本は人参一本と、セロリ一本、それにレモン一個のしぼり汁です。たまにはリンゴなど入れます。混ぜませんがゴーヤを絞ってそのまま飲むことも有ります。これをもう30年以上飲んでいますので、ジューサーも5台目です。これまではパナソニックを愛用してきましたが、現在はHUROMの低足圧縮絞りジューサーです。結論、いいですね。
メーカー曰く、「従来のジューサーは、素材を搾るのではなく、高速回転で切り刻む…高速回転の刃が持つ摩擦熱により、ジュースが変質してしまいます。HUROM(LSTS方式/低速回転石臼曳式)ジューサーは、素材を切り刻むのではなく、じっくり搾るので、素材の持つ天然の味と香り、色と栄養素が自然そのままに保存されます。」
最近ヨーグルトは止め豆乳にしました。これは、毎日は作りませんが、MAZUBAの全自動の豆乳メーカーが優れものです。約30分で完成です。凄いのは思い立ったら乾燥大豆でも問題ありません。無論前日から付けた豆でも良いのですが。ともかく、豆と水を入れてスイッチを押すだけで30分後に完成します。濾してそのまま飲んでも良いし、にがりを入れて寄せ豆腐でも、オカラは副産物です。
どんなツールを使っているかという質問が有りますので本月はこの紹介で。http://www.karen-hurom.co.jp/reason/index.htmlhttp://www.kandamusen.co.jp/products/tounyu/howto.html

◆ディジタル書斎の構築9◆ディジタル書斎のコーナーで、純アナログの話です。マニアではありませんが、エンジニアの側面もありますのでオーディオも多少たしなんでいますが、自宅のオーディオシステムは、純ディジタルです。なぜなら、現在の音源はCDを始め全てディジタルですので、それをわざわざアナログに変換して歪を増やし、位相をずらして聞くよりも、ディジタルのまま処理して、最後のスピーカーは仕方ないのでアナログの通常システムでという事で純ディジタルシステムです。
書斎の整理で、旧い懐かしいLPレコードを片付けていながら、これもとってあったアナログ機器のレコードプレイヤー、パナソニックが大昔Technicsのブランドで発売していたリニアトラッキング式プレーヤーもありました。この貴重な純アナログの音源を活かした、純アナログ再生システムを組み上げることにしました。幸い使っていないアナログベースの5チャンネルのパイオニアのアンプもありましたので。あとはスピーカーですがこれは古いのはだめですから新品を買う事にしました。久しく買ってなかったのですが、雑誌やネットで見ているとなぜかイギリスのPMCというモニタースピーカー系のモノが気になりだして結局これを買いました。今年発売ですので最先端の技術に触れたいという気持ちがあったのでしょう。驚くことに20年保証付きです。通常は、スピーカーはコーン紙やフリンジが劣化するのでこんなに長寿命かと驚きました。これを、バイアンピング、即ち高音部と中低音部を別のアンプで駆動、左右計4チャンネルのアナログアンプで駆動することにしました。取り敢えず、手持ちの2本のスピーカーケーブルで、2チャンネルで、今は駆動していますが。
結果?まだチューニングが出来ていないので結論は出せませんが、いい音ですがSACDやDVDオーディオのハイレゾ音源の純ディジタル再生に比べると透明感がなくフワッとしていますね。ただLPレコードのジャケットの写真やデザインが懐かしくてそれから盤を大事に取り出して再生する気持ちは、当時を思い出して楽しくなります。タイムスリップです。

◆書評◆今月のご紹介は、「テクノロジーとイノベーション」W.ブライアン・アンサー(みすず書房 2011)です。
久しぶりにみすず書房の本を読みました。ハイレベルの学術・教養書の出版社で残っていてよかったという感じです。従って骨があり、読み解くにはちょっと根気がいるかもしれませんが、イノベーションを口にしている人は読んでおくべきでしょう。工学的な哲学書です。クリスチャンセンの「イノベーションのジレンマ」も良い本ですが本書の方が知的で、学とは何かを改めて認識させられます。
本書は、テクノロジーの本質は何か、そしてどう進化するのかを追求した書です。その要点は、1.テクノロジーはすべて要素である。2.要素それ自体がテクノロジーである。3.テクノロジーは何らかの現象を利用している、即ちテクノロジーとは自然界をプログラミングしたものだ、とあります。
さらに、個々のテクノロジーは、次世代のテクノロジーの構成要素となり、自己創出しているともあります。テクノロジーの進化、(イノベーション)は適合する部品や機能を頭の中で、あるいは実際に組合せて解決策を導出する作業である、ともあります。テクノロジーの進化の駆動力はニーズ即ち新たな手段への需要であり、ニーズそのものは人間の欲望から、テクノロジーが直面している限界や問題から引き出される、とあります。
本書の最後では、経済はテクノロジーの表現であり、テクノロジーが経済を支配していくとまで言い切っているところは独創でしょう。
では科学とは、「科学とは手法である。理解や調査、説明の方法論なのだ。一つの手法は下位の多くの手法から構成されている。構造をとれば科学はテクノロジーの一形態なのだ」と言い切ってもいます。
さらに、「テクノロジーは科学によって明らかにされた現象を利用して作られ、科学はテクノロジーによって形成され、即ち科学とテクノロジーは共生して共進化する。科学は深く埋もれた現象を見つけ出し、理解するために必要で、テクノロジーは科学を進歩させるのに必要だ。」というテクノロジーと科学の関係を述べています。
関連するテクノロジーのクラスターを「ドメイン」と定義してドメインとは実践法と知識の収集、組み合わせのルール、関連した思考様式、装置や手法を形づくるために抽出されたものであるとしています。そしてテクノロジーはこのドメインの階層構造を持っていますと。
この後に続く設計論も興味深いし、そしてテクノロジーの進化論も面白いです。発明とは何か、「発明とは対象となる目標にとって新しい原理を基にしたものである。原理の変更という点が通常の基本的に最適な組み合わせを追求するエンジニアリングとちがうとあります。本当に興味深い考察が続きますが、あとはお読みください。
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俯瞰 MAIL 016 号( 2012 年4 月 11 日)

◆季節のご挨拶◆新年度が始まって、また一年の活動が始まりました。秋入学の話題ありますが桜満開の入学式はいいですね。駒場の桜満開のあの日を思い出します。毎年桜を見ると走馬灯のようになぜか昔の好い思い出だけが甦ります。
-----------------------------------------------------------------------------・崩落する日本製造業?・自主ゼミ「俯瞰経営学」を今年も本郷で始めます・原発再稼働の議論をもっとオープンに・補助金では産業は育たない・高付加価値という言葉の罠・プラチナ構想ハンドブックのTwitter・ビジネスモデル学会盛況で開催・四足は食べるなとは科学的・頭のよくなるクッキング・デジタル書斎の構築8・書評 : 「アンチエージング」-----------------------------------------------------------------------------

◆崩落する日本製造業?◆「シャープがEMS世界最大手の台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業と資本業務提携を決めました。鴻海はシャープに約10%を出資して筆頭株主となり、世界最大のガラス基板を使う堺工場(堺市)で液晶パネルを共同生産する。」というニュースが3月28日にありましたが驚きませんでした。鴻海はAppleの生産で有名です。まだ幾つか、ある日、日経新聞のトップニュースになっていい企業はあります。日本の製造業はずっと前から崩落の日をただ待っているようにも見えます。シャープはその崩落現象の一つでしょう。
Apple になれなかったソニー、現代(ヒュンダイ)に抜かれたホンダ、トヨタもあっけなくGMに首位を奪還されました。三洋の家電はハイヤールに売られ、日本市場攻略の先陣になっています。ITのNECの苦境も連日報道されています。パナソニック?
日本企業はこの10年単なる延命治療で凌いできましたがそれもこれまでという感じです。まさか以前の某IT企業のトップの名言「社員が悪い!」などと言う言葉は出てこないと思いますが、隠しようのない経営者の責任というか、資質の問題だと思います。10年近くトップをやって結果が出ないこと自体、資質の無さの証明です。多くの企業が大幅な若返り人事をしましたが、これも10年遅かったですね。
米マサチューセッツ工科大教授 マイケル・クスマノ氏は3月19日の日経新聞グローバルオピニオンで「世界を見渡して、苦境にあるのは日本企業だけではない。欧州ではスマートフォンで出遅れたノキアの株価が急落、電機の独シーメンスもかつての勢いはない。巨大な内需の恩恵を受けている中国企業も、技術革新の面では立ち遅れている。ただ、日本企業には固有の課題がある。一つは「古い世代」が会社を支配する構造だ。コンセンサス重視の経営のもと、若い世代に与えられる権限は極めて限られている。」と指摘しています。
同じ10年でもIBMのパルミサーノは史上最高益、史上最高値の株価で10年の治世を終えました。同じこの10年のグローバル経済の中でこのギャップです。

◆自主ゼミ「俯瞰経営学」を今年も本郷で始めます◆今年も単位が付かない自主ゼミ「俯瞰経営学」を本郷の技術経営戦略学専攻の学生と4月13日から開催します。単位が付いた現役からは9年目です。自主ゼミは4年目です。
本年度は「日本製造業の新生のモデル」を追求することにしました。多分5人のチームが5つになると思いますので、「Appleになれなかったソニー」、「現代に抜かれたホンダ」「台湾資本のシャープ」、「何を選択したのかNEC」、「どうするリコー」、「生き残れエプソン」を各チームは一つ選んでもらい「苦境の本質」を分析し、それを踏まえて「新生のモデル」を考察してもらう事にしています。ご興味ある方参加しますか?
この自主ゼミは「ヤングライオン」の育成が目的ですが、例年、雌ライオンのほうがたくましいです。
Apple Sonyhttp://www.toyokeizai.net/business/column/detail/AC/6ecef1bf42980801bdeb2a168d25b801/http://satoshi.blogs.com/life/2012/03/apple-sony.htmlhttp://d.hatena.ne.jp/hiroLabs/20110514/p1
世界新車販売台数ランキングhttp://4ki4.cocolog-nifty.com/blog/2012/02/2011-77cc.html
シャープhttp://av.watch.impress.co.jp/docs/news/20120201_509135.htmlhttp://www.youtube.com/watch?v=PJo1QEfO-H8
NEChttp://mainichi.jp/select/biz/news/20120316ddm008020089000c.htmlhttp://www.ricoh.co.jp/about/company/ataglance/financials/index.htmlhttp://blog.livedoor.jp/dqnplus/archives/1693510.html
リコーhttp://www.ullet.com/%E3%83%AA%E3%82%B3%E3%83%BChttp://ameblo.jp/mu-ricoh/
エプソンhttp://www.ullet.com/%E3%82%BB%E3%82%A4%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%82%A8%E3%83%97%E3%82%BD%E3%83%B3http://www.epson.jp/osirase/2012/120131_2.htm

◆原発再稼働の議論をもっとオープンに◆全ての原発が運転を停止し、この夏の電力をどうするかいよいよ決断をする時になりました。怒る人がいると思いますが、安全が確認された、絶対的な安全はあり得ません。原発を稼働する決心をする日が来ると思います。この夏の話と、今後は全く別の議論です。無論最大限の節電は大前提です。
シェールガスの開発が進んで化石燃料が、少しゆとりが出てきましたが、今年には間に合いません。旧式の火力発電所も改修と効率化も進んでいるようですがまだ途上です。再生エネルギー、これもこの夏には間に合いません。停電?日本経済が持ちません。ただなし崩し的に原発再開へ意見集約していけば、日本の中に深い亀裂を残すと思います。
総合資源エネルギー調査会は3月27日に原発比率0-35%の5案を提示したようですが、これが決まらないと、今年のことが議論できないでは困ります。大飯原発再開の政府の決断も苦渋の決断でしょうが、結局政府側より電力会社側の方が知識があるわけですから、政治判断しかできません。これはこの夏の決断の話ですから、地元と丁寧な話し合いをしていくだけです。
中長期は時間を掛け、技術的課題、技術革新の可能性、経済性、国際情勢を俯瞰する議論が必要ですから、中長期を今決めるのは拙速にもなると思います。
一方、4月3日の報道ステーションで放映された元東京電力社員の証言の様な電力会社の内部の腐敗構造もこの議論テーブルに載せないと議論の説得力が得られません。九電力体制の刷新こそがこの議論の出口の一つですから。
幸い、先月に比べると地熱発電に関しては進捗がありました。非常識な、国立公園の外からななめ掘り、でなく熱源の上から垂直掘りが可能になったようです。温泉業界が反対?海面埋め立ての時の漁業補償の様な、ドロドロの状況に持ち込むのでしょうか。以前アイスランドのレイキャビックに旅行しましたが、地熱発電所のすぐそばに、湖の様な巨大な温泉が開かれ、素晴らしいリゾートになっていました。発想を前向きに変えていかないと地域経済は発展しませんよ、補償金では。
アイスランドの温泉 ブルーラグーンhttp://www.afpbb.com/article/life-culture/life/2597173/4083416http://kumasanldn.exblog.jp/2902149

◆補助金では産業は育たない◆独太陽電池メーカー大手のQセルズは4月2日倒産しました。同社は太陽電池ブームを追い風に2008年に世界シェア首位に立ちましたが、中国メーカーなどとの価格競争が激化し、赤字体質に陥ってしまいました。追い風とは政府の補助金です。追い風が無くなると行き詰りました。同じ4月2日日付でカリフォルニア州でメガソーラー開発を手がけるソーラー・トラスト・オブ・アメリカが倒産しました。2011年には、オバマ米政権の「グリーン・ニューディール」政策の象徴だったベンチャー企業の米ソリンドラも破綻しています。ドイツでも、2011年12月にゾロンなど中堅2社が相次ぎ倒産しています。欧米では太陽光発電事業の見直しが進んでいます。(欧米、陰る太陽光発電 2012/4/4付日本経済新聞)
日本でも高値で買い取りという補助金で、再生エネルギーのビジネスが成長していますが、先はドイツや米国と同じになるでしょう。経済合理性のない事業が続くわけがありませんから。筋肉増強剤を飲んで記録を伸ばす運動選手と同じで、あとはボロボロになった身体が残るだけでしょう。
太陽発電のジレンマは、価格が大幅に下がらないと普及しないが、低価格になるとメーカーがもちません。中国の太陽電池のメーカーが世界中に低価格で太陽電池を供給するのは困るのでしょうか。採算割れの価格競争でライバルを潰し、市場を支配した後、利潤を確保する、という古典的な重商主義的資本主義でしょうか。先進国の太陽光発電の買取制度は、中国メーカーへの支援となり、結果は地球全体の低炭素化に貢献するのでしょうか。難しいですね。
問題は10円以下のLNG発電の4倍以上の太陽光発電の買い取りは、差額が電気料金に転嫁され、それでなくても国際競争力のない日本の電気料金を押し上げ、結果は製造業の海外移転を推進し、国内経済の弱体化を推進します。それも20年の買い取り保証を要求しています。20年間高利回りの資金運用をして巨額の利潤を手にする人は誰でしょう。浮利を求めて動いている人達です。これに自治体が協力するのでしょうか?因みに中国も買い取り制度ありますが1元(13円)です。40円で甘やかされる日本の企業は国際競争力無しです。またガラパゴス化の産業育成ですか。
風力発電も補助金即ち「シャブ」が切れて動けなくなったものもあるようです。残されるのは借金です。ただこれらの事実は自分で確認していません。
自治体にこのリスクをとらせたメガソーラーの計画がありますが、最終的な付けは納税者に来ます。過去にも沢山ありましたね。それが自治体の巨額債務として負の遺産になっています。リゾート・・・・自治体の方々には、再生エネルギーの事業計画にはぜひ経済合理性があり、かつ継続可能性のあるビジネスモデルをお願いします。
エコで赤字 http://www.nhk.or.jp/gendai/kiroku/detail_2967.html
「欧米、陰る太陽光発電」http://www.nikkei.com/access/article/g=96959996889DE6E2E3E7E2EAE5E2E2E6E2E6E0E2E3E09C9CEAE2E2E2

◆高付加価値という言葉の罠◆太陽電池は高付加価値の製造業だったのでしょうか。最近の液晶パネル、プラズマの国内生産の崩壊を見ていると、二つの仮説が湧いてきます。まず高付加価値であるが高コスト生産で、結果として低収益の事業を国内で死守して、中国、韓国、台湾企業の価格競争の攻勢の前に救いようのない赤字に追い込まれ崩落していく日本の電子産業というシーンがあります。もう一つは、先端技術は高付加価値という思込ではという仮説。さらにDRAMやTVパネルが先端技術かという事です。
一方国内生産でも好調な企業の代表は、ファナックとコマツです。失礼ではありますが、いわゆる最先端技術の製造業というイメージではありませんが、高収益です。経済合理性で持続可能なビジネスモデルでしょう。
今、製造業が何を日本に残せるか、残せないか、キチット分析的にビジネスモデルを精査したいと思って研究プロジェクトを立ち上げました。結果をいつかご報告します。共同研究のご希望あればぜひご一緒にしましょう。
低落する日本の技術力http://business.nikkeibp.co.jp/article/NBD/20120324/230212/?mlp&ST=pc

◆プラチナ構想ハンドブックのTwitter◆プラチナ構想ハンドブックのTwitterを立ち上げました。編集局からの情報発信です。適時情報を発信しますので、ぜひフォローしてください。
機会見てご案内しますが、プラチナ構想ハンドブックの編集に参加を希望する方、ご連絡ください。ネットワーク上での編集作業です。内容はキーワードを広いハイパーリンクで解説をつけたり、コンテンツにリンクを張る事です。また、地元の取り組みを紹介する通信員の機能も。これはプラチナ構想ハンドブックのサイトからお願いします。
PlatinumHBプラチナ構想ハンドブックhttp://www.platinum-handbook.jp/

◆ビジネスモデル学会盛況で開催◆ビジネスモデル学会は3月31日124名の参加を得て東大の工学部講堂で盛大に開催されました。テーマは「アジアに展開する日本の生活産業」です。
基調講演は経済産業省の政策局長の石黒憲彦さんで、産業構造の変革を核とした成長戦略で極めて高い水準で組み上げられた戦略で説得力があります。
続いて3件の特別講演ですが、まずアサヒビールホールディングの古田土俊男取締役から、アジアに積極的な事業展開と戦略、そしてその3つのビジネスモデルが提示されました。
次に中国を中心に素晴らしい事業展開をされている資生堂の中国事業部の大亀雅彦さんから現地化を文化のレベルからじっくり浸透させ、中国全土に、見事なブランド戦略に基づいて販売網を構築していったプロセスを伺いました。
さらにアジアビジネスの現場を知り尽くした、「アジアビジネス探究者」の増田辰弘さんから生々しい現地での事業展開の実態と事例を伺い、アジアでの事業の真髄に近づくことができました。
引き続き、会員研究論文の発表が3件ありましたが、いずれも社会人博士の研究論文で極めて水準が高いものでした。これは、MOTの研究に適切な発表と議論の場を作りたいというビジネスモデル学会設立の趣旨に沿うものです。
実況中継的ドキュメンタリー http://dndi.jp/mailmaga/mm/mm120406.htmlビジネスモデル学会は http://www.biz-model.org/

◆ウィスコンシン大学のサル◆周囲の方々に、ビジネス書もいいが、ぜひ栄養学の書籍も一冊は読んだ方がいいですよ、と薦めてきました。私自身は20-30冊読んだでしょうか。問題は、ビジネス書が説く経営戦略や手法と同じで、各自独自の流派を起こして道を説いていて、どれが正しいか、いやどれを取り入れるべきか判断できません。米国はBMI 25以上が人口の68%と世界最悪の肥満国で、その為健康法、主としてダイエット法が花盛りで参考になりますが、真偽が怪しいものも少なくありません。最初に仮説というか思い込みがあって、それに都合のいいデータを集めますので評価しようがありません。ただ、全てに共通している事もあります。
カロリーを減らすと長寿になる、動物性の油脂は体に悪い、マーガリンは食べてはいけない、砂糖は毒だ、精製した穀物ではなく全粒粉を取る事、動物性蛋白でなく植物性蛋白を取る事、野菜を沢山、取分け緑黄野菜を取る事、塩を減らす事、です。
カロリーを減らすと老化が抑えられる事は昔から知られていたようですが、テレビで放映された、米国ウィスコンシン大学の研究結果は衝撃的です。下記のYouTubeで。一見の価値あります。腹7分!!
栄養学でこれまで困惑していた事は、幾つかの信頼できる書籍に乳製品は体に良くないから控えるようにとありましたが、はっきり根拠が示されていませんでした。何しろ牛乳で人間の子供を育てていますし、子供のころから卵と並んで優良食品の筆頭にされてきましたから。コーネル大学名誉教授の栄養学者T.キャンベル博士は、動物性蛋白は癌の成長を促進する、と学術的な研究成果を示され、その実験の動物性蛋白は牛乳の蛋白「カゼイン」であったという事に非常に衝撃を受けました。そして、長年健康に良いと信じてきた、朝のヨーグルトは止めました。動物性脂肪、動物性蛋白と癌の関係も学術研究が多くありました。乳がんと動物性脂肪摂取量の相関係数は0.8-0.9です!
「すべての癌は、遺伝子によるものはわずか2-3%に過ぎない」と言明されています。あとは食生活と運動という生活習慣です。博士の China Study参考になります。
乳製品なし、動物性脂肪なし、動物性蛋白は控える、これからどんな料理を作るべきか、頭がよくなるクッキングの新生を図ります。取り敢えず豆乳の手作りを始めました。出来立ての温かい豆乳は美味しいですよ。今後は禅宗の精進料理が参考になりそうです。
世界の肥満ランキング http://tg.tripadvisor.jp/overweight/サルの実験 http://www.youtube.com/watch?v=ffFpXPCC7lk&feature=related牛乳の蛋白カゼインが癌を成長させるhttp://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/9362383上記の本論文は俯瞰工学研究所のHPに置いておきます。
乳がんと脂肪摂取量の相関http://www.garfield.library.upenn.edu/classics1987/A1987F496200001.pdfChina Studyhttp://webarchive.human.cornell.edu/chinaproject/index.html

◆頭のよくなるクッキング2◆というわけで近所の図書館、実は蔦屋のTサイトを利用しています、で健康、食、料理の部屋に行ってみました。因みにTサイトは、週末は縁日状態で人があふれています。意外と動物性脂肪と癌の関係などの本が見つかりません。食と料理の本は山のようにあります。長寿食の本もいっぱいですが、やはりxxx流(式)の解説書が多いですね。
見ると野菜料理の本は、たくさん平積みです。時代は、賢い人々は、既に動いているのでしょう。いろいろ見て直感で下記の本を選び出し、立ち読みもできませんので購入してきました。全て目を通しましたが、いずれも良いですよ。
1.「やさい流」有元葉子、ウー・ウェン、島崎とみ子、高梨尚之、岩月明、菊池美升朝日新聞の土曜版連載のMOOKで、いずれも料理の達人です。永平寺精進料理の高梨尚之さんのレシピは特に興味深いです。
2.「ウー・ウェンのおいしい野菜」ウー・ウェン 朝日出版社中華料理ですが日本料理の神髄を取り入れたレシピで、以前からファンです。鍋も考案していて「ウー・ウェンの中華鍋」は愛用しています。炒める、焼く、茹でる、煮る、蒸す、燻蒸なんでもこれ一つで出来ます。IH対応でテフロン加工ですので、我が家で一番出番が多い鍋です。
3.「野菜料理の365日」 宮本しばに 旭屋出版長野の山荘で長く暮らしている方で、本に挿入されたご自宅と思しき写真にきっと心惹かれるでしょう。豆腐料理は素晴らしです。乳製品は所々使っています。
4.「内田悟の野菜塾(春夏)」内田悟 メディアファクトリー内田さんは料理のGeekですね。ものすごいこだわりですが、新鮮でクリエイティブな記述が満載です。一度お会いして、お話を伺いたいと思います。これは「頭がよくなるクッキング」の教科書になります!Tサイト http://tsite.jp/daikanyama/

◆デジタル書斎の構築8◆情報の収集の手段について。既に情報源として日経新聞の電子版が有効ですとお勧めしましたが、これは記事のスクラップが直ぐできる事が一番のポイントでした。その方法は幾つかあります。電子版にある保存機能を使っても良いのですが、問題は日経新聞のクラウドに保存され手元に残りません。さらに困ることは、パソコンで保存した記事とiPadで保存した記事がなんと別に保存されていて、iPadで保存した記事がパソコンで見えません!もしかしたらできるのかもしれませんが。いずれにしてスクラップ記事は何かの時に参照したいのですが、思い出して日経新聞のサイトにアクセスするのも大変です。
お奨めは、これも既にお奨めしたEvernoteのクリップ機能を利用する事です。なにが凄いかというと、Google検索をしたとき、Evernote中まで検索してくれますので、情報(宝)の持ち腐れが防げるからです。ただ画面には広告が多くただページをクリップすると余分な広告もクリップしてしまいます。EvernoteにはClearlyというツールが用意されていて、記事だけを抜き出してくれます。これをクリップすると、きれいな記事だけのスクラップになります。ClearlyはEvernoteのサイトからダウンロードできます。

◆書評◆今月のご紹介は、「ヘルシーエイジング」アンドルー・ワイル(角川書店2006)です。
著者のアンドルー・ワイルは統合医療の専門家です。統合医療とは西洋近代と補完代替医療、即ち漢方や食事療法を組合わせた全身医療です。ともかく圧倒的な知識を俯瞰した、解り易く納得できる解説ですから、改めて自分の生活習慣を反省することになるでしょう。
本書は2部構成で、第1部は老化という現象の解説で、第2部はその老化現象を緩和するアドバイスです。既に60歳を超えたシニア、そしてその前の壮年の方にも一読の価値はあります。取り分け第2部はヘルシーエイジングを可能にする、食の科学として重要な知識です。早く始めるほど良いことですから。今なら間に合う?
秦の始皇帝で有名な不老不死からはじまります。細胞レベルの研究から人間の寿命は細胞分裂が約50回というヘイフリックの限界を紹介されていまが、無限に分裂できるヒーラ細胞という話に繋がり、その研究からテロメラーゼというDNA上の染色体の発見になります。これがヒーラ細胞の不死を可能にしているのです。潜在的に人間細胞の中にある不死の細胞をいかに制御し管理するかです。
「細胞の生活は、DNAを損傷する力と、修復する力の戦いだ」とありさらに「環境の厳しさ、DNAにエラーをさせる力の多様性を考慮すると、人間が現在の寿命まで生きていること自体が驚異だ」ともあります。現代医学は、健康は維持できないが寿命は伸ばすという事態にまでなっているといいます。
何よりも「不老不死を求めるの?」という問いかけが重いですね。細胞にとって不死と癌は同一です。さらに「死という脱出口を塞がれ苦痛の中に幽閉されたいのですか」とあります。本書の冒頭にあるレナード・ヘイフリックの「森羅万象は老化する」が不老不死への答えでした。
長寿については、よくコーカサスなどの長寿村の話があり、自家製の果物、野菜、肉そしてヨーグルトがその秘密という事になりますが、実はこれは風説で、その何れの村も信頼できる戸籍がないという事ですので、ヨーグルトをきっぱり止められます。確かに長寿村と言われている村では、生涯を通じた農牧の作業という運動と、社会関係、知的活動の継続が共通する特徴で、著者が高く評価している沖縄の長寿とも共通しています。
ジョージア大学の研究も凄いです。百歳を超える長寿者に「典型」はなく全て例外であると、さらに特定の食事、サプリメント、薬物などが100歳以上に貢献している事を裏付けるデータはないとありますので、この後の話に繋ぎづらいですね。
著者はそのあと沖縄のゴーヤ、ウコンは評価しています。何より長寿者を「地域の生きた宝」として社会活動に参加させる社会を評価しています。
アンチエイジングの医学については現在のところ存在しないという立場です。そしてアンチエイジングの医学を標榜している人々は、「加齢に伴う疾患と加齢というプロセスを区別出来ていない」という事です。
温血動物の寿命を延ばす唯一の方法は「適切な栄養によるカロリー制限」という摂取カロリーの制限だけだそうです。これは既に紹介した、ウィスコンシン大学のサルの実験で納得済みです。見ましたか、あの皺がなく元気な老猿を。ただこれも人間にあてはまるかはまだわかっていないといいます。このサルの実験ではレスペラトロールというブドウの皮に生じる抗酸化物質が注目され、不老の遺伝子を活性化するとして、既にサプリメントして日本でも販売されています。最近、私は買いました。まだ結果は感じていませんが出ればご報告します。
介護に頼らず自立した生活をおくれる期間を、健康寿命というそうです。日本は76歳で世界一です。スイス75歳、イタリア74歳、アイスランド74歳が続きます。韓国は71歳で24位、アメリカは70歳で26位、中国は66歳で39位です。(今どき 健康学2012/4/8付日本経済新聞朝刊)
老化を伸ばした超高齢化社会の社会・政治に関する問題が気になるともあります、この懸念に対する答えの一つが、今推進しているプラチナ社会構想に共通する認識です。
この後「人はなぜ老いるのか」、「老いを拒絶する心」、「老いの真価」とさらに深い考察が続きますが、老化を抑えるアドバイスの第2部に行きましょう。
まず体重、血圧、心電図・・の管理をせよですが、日本には人間ドックというとても良い制度がありますのでこれは使いましょう。
第1部では、加齢に伴うプロセスは、蛋白質と糖質の結合によるカラメル化、細胞中のリポフスシンの蓄積、酸化ストレスの毒性作用ですが、なぜこれが起こるかは不明とのことです。以下はこれを起こさないようにする「摂取食物中の物質」のコントロールについてのアドバイスです。
即ち身体を傷める細胞の炎症を防ぐために、炎症を促進する悪い脂質、糖化という老化メカニズムを進める悪い脂質、炭水化物の解説があります。そしてサプリメント、運動のアドバイスが続きます。早く結論を言って下さい?
以下に簡単にまとめておきましょう。でも読んで何故か、を理解したほうが長生きするでしょうね。まず油脂にはオメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸という2種類の多不飽和脂肪酸があり適切な割合で摂取する必要があります。炎症を抑えるオメガ3脂肪酸は摂取が少ないのでこれを増やすやす必要があります。まず種子(クルミ、亜麻、麻の実)、植物油(大豆、キャノーラ)、海草、魚(サケ、イワシ、ニシン、サバ、ギンダラ、ムツ)です。
食べてはいけない油は、菓子に使われるショートニング、マーガリン(絶対食べてはいけない)、酸化しているファーストフードの揚げ物です。紅花油、ひまわり油、コーン油、ごま油、大豆油は、オレイン酸入り以外は控える事。今市販されている大手のものはオレイン酸が含まれているも製品が多いと思います。むしろ自然食品の店の製品のほうが含まれていないかもしれません。さらに高温にした油、したがって天ぷら・フライの後の油は捨てる!お勧めはエキストラバージンのオリーブ油です。
次に炭水化物はグリセミック指数の小さいもの即ち、ゆっくり糖として吸収されるものをとる事です。従って摂ってはいけないモノは、砂糖、特に白砂糖、パン、ポテト、菓子、ケーキ、スナック、白米(うどん、ソーメンは粉食のため白米より悪い)・・・・を取らず、全粒の穀物、例えば玄米、豆類、そして野菜、果物(熱帯性よりも温帯性のベリー類、チェリー類、リンゴ、ナシ・・・)をとる事です。
蛋白質については動物性蛋白を避け、肉より魚、魚は食物連鎖の上を避ける事と、底魚を避け、PCB、ダイオキシン等の毒物を摂取しない、出来るだけ植物性蛋白にする、即ち大豆、豆類をとる、です。何しろ既に紹介したように、牛乳の蛋白はがん細胞を活性化しますし、動物性油脂は乳がんとの相関係数が0.8-0.9ですから。(◆ウィスコンシン大学◆参照)
微量栄養素をとるために、もっとたくさんの果物と野菜をとる事、アントシアニン、カロテノイドをすくむ赤、紫の果物です。ブルーベリー、ブラックベリー、ラズベリー、さくらんぼ、ブドウ、ザクロ、赤キャベツ、ビート・・。ここでホットしますね、赤ブドウ即ち赤ワイン飲んでいいようです!日本にはもっと多様な果物がありますのでこれ以外の果物もいいでしょう。野菜は全ていいのですが、カテロイドをとるのに、ほうれん草、トマト、カボチャ、サツマイモ、人参と緑黄野菜ですね。チョコレートも砂糖なしのダークチョコレートは許されるようです。あと白茶、緑茶、ウーロン茶もポリフェノールの供給源です。
最後にウコンと生姜のクルクミンは抗消炎作用があるのでもっと料理に使った方がいいと言ってますから、生姜を入れたカレーは如何ですか。ただ白米ライスは悪いのでつけ合わせるなら玄米ご飯か、全粒粉のパスタとの組み合わせですか?だんだん私の助言になりつつあります。私はもう30年くらい毎朝野菜ジュースを絞って飲んでいます。基本は人参1本、セロリ1本、レモン1個です。キャベツやリンゴを入れることも有ります。夏はゴーヤの種を取ってジュースにして時々飲みます。苦い?我が家ではこの味を「滋味深い」という言葉で表現しています。これはやってきてよかったと思います。効果は実感しています。
サプリメントにつても貴重な助言があります。飲むなら、飲まないなら、いずれにしても一読の価値あります。私は長年愛用しています、量的に野菜から取りきれませんから。ただその中でも良いサプリメントと、でないモノの解説があります。
この後は運動やストレッチという体を動かす習慣について書いてあります。最後の最後は、極めて常識的に、明るく楽しく暮らししてストレスから逃れ、穏やかな心理状態で暮らすのが大切といっています。
最後まで読むと統合医療という事が理解できたように思います。ではお元気で!

======================================◆内容・記事に関するご意見・お問い合わせ/配信解除・メールアドレス変更右記まで  webmaster@fukan.jp……………………………………………………………………………………………………◆俯瞰 MAIL 0016号(2012年4月11日)発行元: 一般社団法人 俯瞰工学研究所発行責任者:松島克守URL:http://fukan.jp======================================

 

 

俯瞰 MAIL 015 号( 2012 年3 月 11 日)
◆季節のご挨拶◆さすが3月ですね。寒気も緩みました。鉢植えのブーゲンビリヤは冬の間、小さな芽だけ出してずっと様子を覗っていましたが、動きだします。植物のどこに温度センサーが組み込まれているのでしょうか。ずっと昔、カポックの葉にセンサーをつけ、ライターで炙ると悲鳴が聞こえるという実験をしている先生がいましたが。年度末、そして新年度とこれは正月を迎えるような気分です。-----------------------------------------------------------------------------・知的クラスター10年の総括・イノベーションのプラットフォーム・エネルギー輸入が急増、貿易収支赤字!・エルピーダの倒産・日本製造業のパラダイムシフト・棲み分けと領空侵犯・今年は世界中政権交代ですが日本は?・プーチン当選と北方領土・クリエイティブ・クラスが集まる二子玉川に・ビジネスモデル学会春季大会開催迫る!・頭のよくなるクッキング・デジタル書斎の構築7・書評 : 「サイゴンから来た妻と娘」「サイゴンの一番長い日」-----------------------------------------------------------------------------
◆知的クラスター10年の総括◆浜松の知的テククラスター事業、長野県の知的クラスター事業の二つに関わってきましたが、何れも5年2期10年が終わり、その総括の会議に出席しました。直接関わったのは約5年ですが、一つの区切りを感じさせました。
楽器・電子そしてオートバイ、自動車で高度成長を成し遂げた浜松地域も次の中核産業としてオプトロニクスすなわち光学とエレクトロニクスの融合で新産業の創出を図っています。月1回の研究会を10年続けるとか、傍目で見ても関係者がものすごい努力をされて来たと思います。結果、まだまだ課題と伸び代は残っていますがイメージング機器クラスターに成長して行くでしょう。
長野県は信州大学の遠藤守信教授のカーボンナノチューブ研究から始まり第2期では連携を広げてナノテクノロジーを核とした製品の開発に注力しています。これも様々な製品が開発され、商品化の道を拓きつつあります。カーボンナノチューブについては安全性についても高水準の研究がされて来ました。ここでも関係者の方々のものすごい熱意と決心を感じます。
途中、「仕分け」というある意味ノイズも入りましたが両地域ともそれをいい意味の刺激と受け止めて前進したと思います。
大学の研究成果を10年掛けて産業化するという知的クラスタープログラムでしたが、率直に言ってまだ対岸の産業には届いていません。いくつかの仮橋が掛ったといっても、その間に川があり対岸に届かない技術があります。そして、この川、一般には「死の谷」とか言われています、このプログラムでは谷より川くらいの感じですが、会議の報告を聞きながら、これはいったい何だろうと考え始めました。先端的な知識を磨いて行くだけでは産業になって行かないのです。これは他の多くの地域の産官学連携のプロジェクトに関わっての認識です。個別の技術を磨く以上に、イノベーションのプラットフォームの構築が重要だと結論しています。http://www.optronics-cluster.jp/http://www.tech.or.jp/cluster/

◆イノベーションのプラットフォーム◆個別の先端技術は魅力的でわくわくさせます。研究者、技術者はこの磨きに夢中になります。これは問題ありません。イノベーションや新産業創出のプロデューサーの仕事はこれとは別の仕事です。イノベーションのプラットフォームを構築することが本質的な仕事です。産官学連携のプロジェクトは、それまで連携出来ていなかった、研究者と新規事業のシーズを求めていた企業そして、地域経済再生の政策担当者の出会いの場を作り、ルツボ化して合金を作る機能を実現してきたと思います。紹介した知的クラスターはまさにこれでした。地域の連携組織、地域を超えた連携のネットワークもできました。製品のプロトタイプも出来ました。それでも産業やビジネスになかなかなりません。
ビジネスイノベーションを起こすには、イノベーションのプラットフォームが必要です。個別の技術開発プロジェクトはこのプラットフォームの上でビジネスになるのです。そのプラットフォームの一つの機能が技術移転のためのルツボ化の機能です。これに加え、起業のスペース、資金供給、税制支援、知財管理、マーケッティング、人材育成、安全試験、生産技術、サービス開発、そして、必要な才能を短時間に集めることが出来る集積、快適で楽しい街、多様性を受け入れる地域文化、安全安心の生活インフラ、小中高の優れた教育システム・・・これらが構造化されている地域の代表例がシリコンバレーでしょう。プラットフォームのデザインがいま私が最も興味を持っている研究テーマで、同志を集め研究プロジェクトを起こしたいと思っています。
既に最初の行動として、浜松の新技術や知識を世界のニーズとマッチングするサイトを開設しました。次に、日本の「才能」を集めてビジネスイノベーションとマッチングするサイトを開設しようと計画しています。また経緯をご報告します。http://www.technonet-japan.info/

◆エネルギー輸入が急増、貿易収支赤字!◆財務省から1月25日に発表された貿易収支の速報では、昨年はエネルギー、原材料で対前年比約8兆円の輸入増で、震災とタイの洪水の影響か、自動車と半導体を中心に約2兆円の輸出減です。貿易収支は約2兆円の赤字になり、市場は円安に振れました。市場は深刻な状況だとみていると云う事です。円安で輸出企業は採算でホットでしょうが、原材料・エネルギー輸入は円安の分だけ割高になります。さらに製造業は海外生産を推進します。原発再開の是非ではなく、エネルギー問題について本質的な議論を国民レベルで議論しなくてはいけません。
政府内部でもエネルギーの「ベストミックックス」の議論をしているようです。原発の可否だけを議論する「市民活動」的ではなく、国民も感情的ではなく俯瞰的な認識に立って議論に参加し、そして来るべき選挙に備えるべきです。政府内の議論のキーパーソンは、枝野通産相、細野原発相、古川戦略相です。口を出す政治家は他にもあるでしょう。
現実解、それを国民が受け入れないと、どうしようもない政局専門家と技術専門家、感情的な市民活動家の迷走を許します。http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20120308/229612/?P=2

◆エルピーダの倒産◆日本の半導体産業の最終的な集約の企業であるエルピーダが倒産しました。時代に同期できない企業の末路でしょうか。10年ほど前、半導体業界は、国家プロジェクトの「アスカ」と「ミライ」をやって再生を図りました。企業側がどうのように受け止めたかは疑念が残りますが、確か微細加工を進め集積度を上げるのが基本だったと思います。おせっかいにも、日比谷の富国生命ビルにあった、プロジェクトオフィスを訪ねました。説明を聞いた後、失礼にも「これでは日本の半導体産業に明日も未来もありませんね」と申し上げますと「そうですね」と清清しい答えでした。ここに日本の文化の弱さがあります。革新的な方向転換を指導するリーダーシップがありません。漠然とは言いませんが過去の成功線上に目標を設定して何とか頑張るというのが悪しき日本文化ではないでしょうか。そして建前の本音の乖離。
アメリカでは1社が生き延びていいますから、日本では生き残れないというなら何が差違でしょうか。産業人の意識のイノベーションが必要だったのでしょう。

◆日本製造業のパラダイムシフト◆「アップルとIBM 米IT、2つの復活劇 日本に欠ける産業蘇生力2012/3/9付日本経済新聞 朝刊」の記事がありました。
「創業100年を迎えたハイテク界の古豪、IBMだ。同社の株価は今月初め、創業以来初めて200ドル(株式分割調整ベース)の大台を突破し、米株式相場全体のリード役に躍り出た。同じく一昨年に創業100周年を迎えた日立製作所とIBMの売上高はほぼ同水準だが、収益力の圧倒的な格差を反映し、株式時価総額は日立の2.1兆円に対し、IBMは18兆円強と10倍近い開きがある。」
先日は東洋経済に「アップルになれなかったSONY」の特集がありました。両社は必至で再生の努力をされていますが少なくともこれまでは経営戦略とその実装に間違いがあったということでしょうか。過去10年の経営革新の日米の差違です。
パナソニック、シャープも記録的な赤字で再生を期していますが、自動車の運転に例えると、日本の製造業は急カーブが続いたこの10年間、ハンドル操作が間に合わずガードレールにぶつかり、あるいは脱輪状態、そして谷底転落の様相です。明らかにビジネスモデルのパラダイムシフトができていません。
ソニー、パナソニック、シャープ、そして他の電機企業たとえばエプソン、リコーも、これまでのビジネスモデルは、 先端技術→高機能製品→高付加価値→ブランド・収益でしたが、「アップルの時代」は、 時代感覚→商品企画→顧客価値→ブランド・収益というビジネスモデルにパラダイムシフトしています。IBMの復活もこのモデルで理解できます。このビジネスイノベーションをリードしたのは、ジョブスとパルミサーノのリーダーシップです。経営者の育成プロセスと選考プロセスに、日本も得意の改善をする必要がありますね。http://www.nikkei.com/news/headline/related-article/g=96958A9C93819696E2EAE29D908DE2EAE2E1E0E2E3E09C9CEAE2E2E2;bm=96958A9C93819691E2EAE2E2E78DE2EAE2E1E0E2E3E09C9CEAE2E2E2http://business.nikkeibp.co.jp/article/nb100/20110921/222740/

◆棲み分けと領空侵犯◆日本文化についてもう一つ。日本人は「棲み分け」に腐心します。狭い土地で限られた水利の稲作では重要な文化であって、これが日本人に染み込んでいるのは解ります。今日的には九電力体制が好例です。この「棲み分け」は強力な現状維持勢力になります。経団連がこの好例で、会長の東電応援の言動がその象徴でしょう。上記の日本製造業の凋落も社内の棲み分け文化の影響があると思います。ソニーでも内部で棲み分け出来ず、はみ出たSCEがゲームという新規分野を拓きました。
既に、産業の境界はずっと以前から消滅しています。いわゆるIT業界とネット業界、広告業界とネット業界そして、小売業と製造業、グローバリゼーションで経済の国境も消えています、いま電気自動車で自動車業界と電機業界の境界消えていますがまだ従来の系列でモノ作りに拘泥していると、新興国に抜かれるでしょう。境界は消滅しているのに、自分で勝手に境界を意識して棲み分けるのが日本人です。さらに奥ゆかしく少し引いて。結果はガラパゴス化で産業の凋落です。スマフォやタッチパネルは典型です。
各々が少しずつ引くと隙間が広がります。その隙間に重要なモノが、コトが落ちていませんか。たとえば、今もっと盛り上がっていいはずの地熱発電の議論、これ経済産業省と環境省の隙間に落ちているように思います。
日本を、日本企業を変革していくためには消滅した境界を大事にするのではなく、もっと領空侵犯を恐れないことではないでしょう。領空侵犯で互いに遭遇した時にイノベーションが生まれ、市場で強いものが残るのでしょう。そうしないと何も変わりません。ベンチャー企業が好いのは初めから境界がないことですが、ベンチャー企業の力には限界があります。やはり日本株式会社のメジャープレイヤーが、IBMやGEのように新生していかない日本は「経済強国」になれません。「経済大国」は最終的には人口ですから中国、インドが有利ですから日本が目指すものは「経済強国」です。http://oshiete.goo.ne.jp/qa/2748.htmlhttp://www.geocities.co.jp/NatureLand/4270/imanishi/segregation.htm

◆今年は世界中政権交代ですが日本は?◆永田町の混迷はさらに混沌の度を増していますが、もとはと言えば国民が選択した結果です。前が酷かったので、希望を託したのでしょうがあまりにも期待外れです。この仕分けは、国民がするしかありません。現在の政党をスクラッチにして、正論革新党と保守現状党に分かれてもらい再度選挙で決めるしかありませんが、そのリーダーも思いつかないのでやりきれない思いです。それにしても急がないといけません。財政改革もTPPも先延ばししても自然に解決する問題ではなく、むしろ悪化するだけですから。TPPで農業が崩壊するという議論がありますが、すでに崩壊する部分は崩壊しているのが現状だと思います。そして現状維持が、やる気のある人の足を引っ張っているように見えます。TPPは開国という大人の気持にならないといけません。国民がもっと政治の議論をして大人にならないといけないです。今、大人の議論が急がれるのは北方領土問題です。

◆プーチン当選と北方領土◆プーチンが大統領に就任しました。なんといきなり北方領土問題を切り出してきました。日本と経済協力で製造業、取分け自動車産業を興したいと思っていると思います。郷里のサンクトの自動車産業も始まったばかりです。ウラジオストックの自動車生産も動き出しました。日本海沿岸の自動車部品企業には大きなチャンスです。韓国の慶州は現代自動車の拠点です。競争ですね。
ここで問題は、プーチンは、昔ソ連が約束した歯舞、色丹2島の返還であって、4島返還ではないと思いますが、日本は勝手に4島返還の交渉ができると勘違いしていると混乱します。2島返還のロシアと4島返還の日本で並行していては決着できません。3島、あるいは3.5島返還を受け入れる大人の議論ができるかが課題です。または潜在主権を認めさせたうえで一定期間の部分的な利用権など、というと怒られるでしょうが、ドイツはオーデル・ナイセの新国境を苦渋の選択で承認した歴史もあります。しかし、ベルリンの壁の崩壊と時を同じくして素早い対応でコール首相は東ドイツの回復をゴルバチョフと決着し、歴史を作りました。そして今や大統領も首相も東ドイツの出身者ですね。
この時が北方4島回復の絶好の機会でしたが、時の橋本首相は何も出来ませんでした。それにつけても歴代のドイツの首相やはり凄いです、羨ましいほどです。こうしてみると核の密約で沖縄返還した佐藤首相、アメリカの承諾なしに日中国交回復をした田中首相も再評価されるべきでしょうか。田中首相は後である意味で仕返しをされた気もしますが、そして小沢さんも?
昨年サンクトペレルスブルグに行った時、かなり親日的で、インテリの人が「日本人は第2次世界大戦の結果を受け入れるべきだ」と言っていました。これがロシア人のふつうの感覚でしょう。http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AA%E3%83%BC%E3%83%87%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%83%8A%E3%82%A4%E3%82%BB%E7%B7%9A

◆クリエイティブ・クラスが集まる二子玉川に◆このメルマガの13号の書評で紹介した「クリエイティブ都市論」のリチャード・フロリダのキーワードは「クリエイティブ・クラス」です。リチャード・フロリダは、クリエイティブ・クラスと定義づけた職業の人々が経済成長の原動力であり、彼らは住み心地のよい都市に集積し、その都市は成長するとしています。そのクリエイティブ・クラスの職業は、スーパークリエイティブ・コアと呼ばれる、芸術家、デザイナー、メディア人、科学者、工学者、教育者、コンピュータ・プログラマー、研究者。と、クリエイティブ・プロフェッショナルと定義される専門家職業層からなります。米国では前者が職業人の約12%で、クリエイティブ・クラス全体で約3000万人としています。ちなみにクリエイティブ・クラス以外は、ワーキング・クラスと定義されています。ラスベガスのホテルなどで働く、単純なサービス従事者はサービス・クラスです。
この定義に沿って、日本のクリエイティブ・クラスの数を国勢調査のデータで拾ってみました。
まず全就業者数 61,530,202です。その内クリエイティブ・クラスとおぼしき職業の人口は、芸術家・クリエーター 584,275、専門的・技術的職業 8,541,93です。この850万人中でクリエイティブ・クラスと思しき職業人人口を拾うと、科学者148,460、技術者2,140,612、保健医療 医師251,108 歯科医師90,885、法曹 21,808、弁理士・司法書士21,252、会計士・税理士71,540、大学教員171,662、管理的公務員75,437、会社・団体役員1,098,255以上合計4,091,019 です。
したがって芸術家・クリエーターの58万人と専門的技術者の中のクリエイティブ・クラスとされる400万人を足すと日本のクリエイティブ・クラスは約460万人で全就業者数6100万人の7.5%となり、米国の12%より落ちますね。絶対数も少ないですね。この数が国家間競争になるでしょう。
ただ、この芸術家・クリエイターは、ほとんど東京、神奈川、埼玉、千葉に集中しています。つぎは京都です。
二子玉川の再開発地区の新築マンション約1000戸の住人はほとんどクリエイティブ・クラスだと思います。周辺の世田谷区は東京で最もクリエイティブ・クラスが集積していると思われます。これからは日本の成長を担うクリエイティブ・クラス、特に芸術家・クリエーターは各地域の奪い合いになります。ですから、二子玉川の街をクリエイティブ・コアにとって棲みたい街にするのがクリエイティブ・シティ・コンソーシアムの活動目標です。これから完成するオフィスビルにクリエイティブ産業の企業がどれだけ集積するかが勝負です。http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%82%A8%E3%82%A4%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%96%E3%83%BB%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%82%B9

◆ビジネスモデル学会春季大会開催迫る!◆ビジネスモデル学会春季大会が東大本郷キャンパス工学部2号館で3月31日開催されます。大会テーマは「生活産業のアジア展開」です。製造業のアジア展開は広く認識され、また今回タイの洪水で厳しい損害を出したこともまだ記憶に新しいのですが、生活産業のアジア展開も凄い勢いで進んでいます。自動車産業や電子機器のアジア展開はそこに雇用を生み、その人たちが膨大な生活者としての需要を生んでいます。今その生活産業の需要を刈り取りに行くフェーズになりました。海外生産の受け皿としてアジアを考えている人は時代と同期できていません。コンビニ各社のアジア出店計画は凄いですね!これは歴史的なひとコマです。
基調講演者は経済産業省経済産業政策局長 石黒氏に、特別講演者はアサヒグループホールディ ングス 古田土取締役、資生堂中国事業部マーケティング開発部 大亀部長です。わが国の生活産業のアジア展開に関するマクロ的な動向やリーダー企業の知られざる物語、及びビジネスモデルを考える上でのヒントは、きっと参加者のご期待に応えます。スケジュールに書き込みましょう。この1日で半年分の知識が得られます!もしかしたら新しいキャリアも。そして脳のコンテンツのバージョンアップが出来ます。いつも最新のソフトでコンピュータ(脳)使っていますか。
5月末に予定されている、ミャンマー視察団の企画もお見逃しなく!貴重な機会です。http://www.biz-model.org/


◆頭のよくなるクッキング◆30年ほどまえ、「頭が良くなるクッキング」という話をしていました。PDCサイクルを数多く回す事で頭の回転能力が強化されます。料理は個人で出来て、かつ2-4時間でPDCが回せるし、健康に良い食材はさらにそれを補強するという理屈でした。以後30年料理は趣味になり、料理に没頭する時間がリフレッシュとストレスリリーフの時間になりました。という話で下記のURLのブログ書いています。
今回はLekueのスチームロースターという道具の話です。シリコンで出来た不思議なクッキングツールです。詳細は下記のURLで見てください。スペインの企業ですがシリコンの面白いキッチンツールを発売しています。スチームケースは独創的です。中に材料と調味料を入れて電子レンジで数分、おいしい焼きと蒸しの中間的な料理が出来上がり。時間も手間も後片付けも簡単です。炒め物といった方がいいでしょうか。形もユニークです。お勧めは「野菜炒め」です。野菜を切って、ボウルの様なその容器に入れ、サラダオイル、塩コショウ、顆粒のスープの素、水100CCほど入れて混ぜ合わし、口を閉じて、もやしなどの場合は2分くらい、芽キャベツなどは8分くらい電子レンジで加熱、これで野菜炒め完成です。このツールの使い方を考える時が、「頭がよくなる」時間でしょうか。料理が好きな方はぜひブログにフィードバックください。http://www.proffukan.com/http://www.lekue.jp/http://www.lekue.jp/57/newstopics

◆デジタル書斎の構築7◆情報収集の次の段階は、情報の分析ですが、これは訓練が必要なプロセスです。統計分析、キーワード分析、ネットワーク分析・・・いずれもツールとそれを使いこなすスキルが必要です。それ以前に重要なことは、問題意識の視点です。収集の段階でも重要と言いましたが。此の視点があれば分析は人に頼めますから。といっても何も出来ないのも可笑しいですね。数値データはExcelが使えればかなり高度な分析が出来ます。ブレインワーカーを自認する、または目指す人はExcelのスキルを磨くべきです。殆どの分析は出来ますから。
とりあえず経済データの収集と分析が1か所で出来るサイトを今回は紹介しておきます。ここではデータのグラフ化がすぐできますので、分析の視点があれば極めて有用です。例えば中国とインドの一人当たりのGDPの推移の比較などすぐできます。Excelを知っていればあまり使えなくて使いえます。http://ecodb.net/

◆書評◆今月のご紹介は、「サイゴンから来た妻と娘」(文春文庫1981)、「サイゴンの一番長い日」(1985)近藤紘一 (文春文庫1985)です。
本書はベトナム戦争末期にサンケイ新聞サイゴン特派員だった近藤紘一氏のエッセイというか日記というかそんな本で、これまでの書評で取り上げた本と少し毛色が変わっています。なぜ読むことになったか定かでないのですが、アマゾンのカートの中になぜか入っていました。どこかの雑誌か書評にあったのでしょう。前書は大宅壮一ノンフィクション賞を受賞しています。面白く読みました。
記述によれば大家とのトラブルで、殆ど偶然というか行き掛りで、サイゴンの下町の年齢不詳で元女番長の「妻」のところに転げ込んで結果として結婚することになり、その「妻」には娘がいたという話です。結婚の動機としては最初会った時『ダリアのような笑顔』が印象的だったそうです。クーラーのある部屋は「妻」部屋だけですから。
文体が洒落ているわけではありませんが、柔らかで優しく、力みがなくかつビビッドで、映画フィルムを見ているような錯覚に陥ります。多分、私が若い時に見たベトナム戦争の映像が頭に残っているのでしょう。文体は著者の彼の人柄を感じさせます。これは私の知っている幾人かの産経新聞の記者に共通した感じで、多分この新聞社の空気を反映しているのでしょうか。ほかの新聞社が特に硬いとは言いませんが。
この本で興味深いのは、1975年4月30日のサイゴン陥落直前の、サイゴンの混沌と混乱の街の情景の描写です。戦争中でありながら庶民はすっかり戦争と共生状態にあります。またサイゴンの生活はある意味豊か、特に食生活は、自然とも共生していることです。
私はサイゴンに1995年に初めて行きましたが本当に、人も道路も家も屋台のような店も、ぐちゃぐちゃで「アジア的」でした。建ったばかりの外資系ホテルに泊まりましたがその周辺は「アジア」そのものでしたから、1975年当時はもっとアジア的だったのでしょう。しかも外国人が絶対住まない、下町の貧民街に住んだのですから凄かったのでしょう。寝ていると顔の上をゴキブリが沢山歩いて行く、とも書いてありますから。殺虫剤を使たったらバケツに一杯くらいとれて、毎日とれるのであきらめたともありました。食用の鶏、ペットのサル、犬、猫、ニシキヘビが大勢の子供と一緒に暮らしていたともありました。家の裏はごろつきや娼婦のたまり場であったようです。
この世界から転勤で「妻」と「娘」が東京に来たわけですが、その時の東京の印象が凄く興味深いですね。「妻」いわく、「ここではどうして皆メランコリックな顔をしているの?」です。1975年当時の東京はオリンピック、万博の後の高度成長真っ盛りの時期で、相当元気な時代だったと思いますが、難しい顔を日本人はしていたのでしょう。成長に急き立てられて疲れていたのかもしれません。ともかく日本人は暗い!もっと明るくやりましょう。
戦時中であってもサイゴン市民の方はおおらかに暮らしていたのでしょう。「妻」はお釈迦さまとご先祖様以外の一切の権威を認めていませんし、国家を頼っていません。完全な自主独立です。また大変な食道楽で東京の刺身と霜降り肉に夢中になり家計破綻の淵まで行きました。
「娘」は生まれて初めて革靴を履き東京を歩き回り車の洪水や、高層ビル、豪華なショーウインドウにはあまり驚きを現さなかったが、清涼飲料の自動販売機にはひどく感銘を受けたようで日に何回も小銭をねだって、缶が出てくるのを喜び、「サイゴンにあれば便利だけど一晩でお金もジュースも盗まれてしまうね」といったそうです。パンはフランスパンで育っているので四角な食パンは高級品と思ったようです。冗談にサイゴンに帰ろうかというと「いや東京がいい、ギンザもチカテツもあるし、キレイだから」とすっかり東京が気に入ってしまったようです。小柄できゃしゃだった身体は東京で凄く大きく成長しましたと。「妻」の「娘」に対する教育が体罰中心のスパルタ教育です。強く生きよ!このすさまじい教育哲学?は凄いです。とんでもない「娘」の性教育という所もありますが紹介は割愛します。
終始、観察者の目線で「妻と娘」の描写が進みますが、その背景にごく薄色に、パリに一緒に留学もした、死別した最愛の前妻の残照が感じられる文様です。
「サイゴンの一番長い日」は1975年4月15日に、危機迫るサイゴンから「妻」を東京に送り出してから、4月30日の南ベトナム消滅の日、そしてその後の日記風のドキュメンタリーです。
危険だからすぐ帰国せよ、という会社の指示、命令をあれこれかわしながら、サイゴン陥落、国家消滅の現場を取材しようとする新聞記者の根性が凄いですね。最後にアメリカ海兵隊の脱出が手間取って、北側に最後の時間的猶予を乞うくだりもあります。その最後のヘリが飛び立った大統領官邸の屋上には2度行きました。今でもヘリが飾ってあるのでしょうか。この辺を歩いた実体験の通りや教会などの映像と、この本の語りが融合して、キュメンタリー番組を見ているような感じで読んでいきました。
最後のサイゴン政府は混乱そのものです。元々三国志の時代の状況で近代兵器を使った戦争をしているわけですから。グエン・カオキ将軍とかチュー大統領とか懐かしい名前が出てきます。南ベトナム政府の末期の数年は政権中枢が混乱して権力者は政争に明け暮れし、政権交代劇が続き、国の行く末を誰も考えていないようでした。彼らはほとんど米軍と一緒に国外逃亡しました。滅びるべくして国家は滅んだのです。これに、安倍、福田、麻生、鳩山、管、そして野田総理へ続く日本の権力中枢の混乱と迷走がだぶってきていやな感じになりました。
サイゴン陥落の4月30日の午前8時くらいから喧噪の街の異変が始まります。サイゴン川の河岸に市民が荷物を持って集まりました。30分後には屋台もすべて消えサイゴン市民が河岸まで追い詰められた風景になります。空には行先を失った航空機やヘリが乱舞しています。そこに革命政府の旗を立てた宣伝のジープが走り抜け、人々に冷静な対応をよびかけていく。そのあと街のあちこちでベンチや車の屋根に革命政府の旗を掲げた工作員と思われる若者が立ち上がり、それを人々は唖然として見上げていた。この瞬間数万人の群衆はわずか20名足らずの若者に支配され、騒動も混乱も起こらなかった。そのあと整然と北ベトナム軍は街に入り進駐しました。北ベトナム軍は4方向からサイゴンに突入し、一部に銃撃戦があったようですが、基本的には極めてあっけなくサイゴンは陥落しました。
さすが新聞記者です、大使館に避難していたのに、もう街に出て進駐してきた北ベトナム軍の兵士に「どこから来たの」と話し掛けています。電話もなんとか通じているようです。知人宅にも出かけています。
1台のジープが大統領官邸に入り執務室で待っていたミン大統領と直立で対面しました。ミン大統領が「現在をもってすべての権限を委譲します」というと北の指揮官は「将軍、あなたにはもはや移譲すべき権限は何一つありません」と。別の日本人記者は同席していたようです。
翌日はなぜか5月1日、メーデーです。もう北ベトナム軍はパレードを行い、市民は屋台を開業し縁日の様です。中華街は一面革命政府の旗と中国国旗であふれて熱烈歓迎ムード、この現実対応力はすごいですが、いつから革命政府の旗を用意したのでしょうか。旧国旗は踏みにじられています。彼はカメラを持って歩道から北ベトナム軍が車でホーチミンの写真を掲げてパレードするのを写真に収めていると、むこうから車を止め、もっと近くの正面で取れて合図されたとあります。命知らずの記者魂です。
一国の崩壊、首都陥落がかくもあっけないものでしょうか。日本でも似た風景が、明治維新の江戸無血開城、そして米軍の厚木から東京へ進駐とあったはずです。もうあってはならない風景ですが、経済的には今のアテネ市民の気持ちはこれに近いでしょうか。
日本は出来るだけ早く安定的な政権を作り、国政改革、財政再建をまじめにやらないと、再び「国敗れて山河あり」になりかねません。
=======================================◆内容・記事に関するご意見・お問い合わせ/配信解除・メールアドレス変更右記まで  webmaster@fukan.jp………………………………………………………………………………………………………◆俯瞰 MAIL 0015号(2012年3月11日)発行元:    一般社団法人 俯瞰工学研究所発行責任者:松島克守URL:http://fukan.jp==============================

 

 

俯瞰 MAIL 014 号( 2012 年2 月 10 日)

皆様
◆季節のご挨拶◆
歴史的な寒波でヨーロッパでは300人を超す死者という、報道があります。日本でも
2月3日国内で最も冷え込んだのは北海道枝幸町・歌登の氷点下32.6度、長野県南牧村
で氷点下26.0度、東京都心も氷点下1.0度まで下がったという事です。地球温暖化で
はなく氷河期でしょうか。インフルエンザも流行とのことです。これには悲しい事が
ありました。お互い予防に気を付けましょう。ただしタミフルには要注意!
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・日本を明るくする再発見
・やっぱり脳の話は面白い
・ブレア首相が仕掛けたイラク侵攻?
・目が離せない中東情勢
・名門コダックの倒産
・永田町と霞が関、国民も怒れ!
・二子玉川クリエイティブ・シティのシンポジュウム開催
・ビジネスモデル学会春季大会は3月31日東京大学で開催
・IT経営力大賞はビジネスモデルが素晴らしい
・かくも悲しき事
・デジタル書斎の構築6
・書評 : 都市の原理
-----------------------------------------------------------------------------

◆日本を明るくする再発見◆
Courrier Japonの3月号に紹介されていた記事が面白いですよ。NY TIMESの記事の紹
介ですが“失われた20年”は真っ赤な嘘!という記事です。日本は海外から、経済
運営の失敗例と叩かれていますがこれは誤りで、日本の状態は米国よりずっと良いと
いう話です。その根拠として、この間日本は平均寿命は4.8歳延びて、結果として米
国人より4.2歳も長生きしていますが、これは医療制度が充実しているからだと。実
に1950年からは平均寿命が20年も延びている!

インターネットの接続が最速の世界50都市の中に日本は38都市も有るのに対し、米国
は3都市だけ、失業率も米国の半分以下の4.2%、この20年で建設された150メート
ル以上のビルの数は東京が81棟に対し、ニューヨークは64棟、シカゴ48棟、ロ
サンゼルス7棟、日本の貿易の経常黒字は1960億ドル(15兆円)。円高にも前
向きで、89年末に比べると対ドルで87%、対ポンドで94%、日米のファンダメ
ンタルの評価の差異だと。

ミシュランの3つ星は、東京は16店で、パリは10店で2位に甘んじているし、1
人当りのGDPも試算を変えれば日本の伸びの方が米国より高いという事を主張して
います。ただ一つ、つまらない政治を除けば、日本は見習うべき国であるのに海外メ
ディアが日本衰退説を流し続けるのは、背後に日本を見下したいという心理があると
いう事です。

日本人は自己を卑下しすぎて暗い国、暗い社会にしているようです。これから日本の
良いデータを積極的に発掘して紹介しようという決心が出来ました。原文は下記です。
http://spikejapan.wordpress.com/2012/01/15/spiked-eamonn-fingleton/

インターネットのスピードランキング
http://dailyinfographic.com/internet-speeds-around-the-world-infographic


◆やっぱり脳の話は面白い◆
同じ、Courrier Japonの3月号の特集は”人生を豊かにする「脳」の使い方“です。
嬉しいことに脳のメカニズムを理解すれば発想力も記憶力もずっと上げられるという
事です。まず、これまでの右脳、左脳というモデルは古くて捨てるべきで、98年に
発表された「認識脳科学と記憶の研究」という画期的な論文の提唱する「知的記憶」
というモデルが最新であるという事です。そしてこの論文の著者のカンデルはこの2
年後にノーベル賞受賞です。その説は、どのような思考様式においても分析と直感が
脳内で協力して働くというもの。右脳も左脳もなく、学習と想起が脳全体で様々な組
み合わせで起こるという事です。このモデルによればブレストは不毛で、止めろ!で
すと。脳学者のバリー・ゴードンは「知的記憶」について地球最大の目録システムで
あると解説しているとあります。人間は生まれた瞬間から、脳は物事を取り込み、分
類し、棚に収める。新しい情報が入ってくると脳は記憶にしまってある情報と合致し
ているか調べて、合致していると、前からある記憶は棚から取り出され新しいものと
組み合わされる、これが思考だ。分類と収納のプロセスが分析で、検索と組み合わせ
が直観だとあります。

正しい脳の使い方?をナポレオンやグーグルの創業者を例にとって解説しています。
前例となる情報が、予断のないクリアな脳の中で組み合わせが起きるとき、解決策、
アイディアが閃くという事です。この後続く特集の記事も凄く面白いですよ。

殆ど同じ事を、「情報融合」として1993年に上梓した「ITで会社を変える」に書きま
した。「様々な思いは情報融合という概念に収束した。時間や分野、場所を超えて脳
の中に蓄積された様々な情報や知識がある刺激、例えば目の前の自然や会話、食事・
・・がトリガーになり融合しアイディアという訪問者が頭の中に訪れる時の爽快さは
何事にも喩えようがない。」もしかすると私は大発見をしていたのでしょうか。あま
り売れなかった本でしたので2004年に上梓した「MOTの経営学」にも再度収録しました。

Courrier Japon
http://courrier.jp/

ITで会社を変える
http://www.amazon.co.jp/IT%E3%81%A7%E4%BC%9A%E7%A4%BE%E3%82%92%E5%A4%89%E3%81%88%E3%82%8B-%E6%9D%BE%E5%B3%B6-%E5%85%8B%E5%AE%88/dp/4769350759/ref=sr_1_6?ie=UTF8&s=books&qid=1261304173&sr=8-6
(数行表示されている場合、上記URL全体をコピーしブラウザのアドレス欄にペース
トしてご覧ください。)

MOTの経営学
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4822243923?ie=UTF8&tag=metatechnica-22&linkCode=as2&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4822243923
(数行表示されている場合、上記URL全体をコピーしブラウザのアドレス欄にペース
トしてご覧ください。)


◆ブレア首相が仕掛けたイラク侵攻?◆
新年からの日経新聞の「私の履歴書」は、元イギリス首相のブレアで、やはりイラク
戦争はかなりの部分はブレア首相が仕掛けたようですね。ブッシュは慎重であったの
でブレアが、背中を押して始めたような記述です。中東は自分たちのテリトリーとい
う認識でしょうか。そしてアングロサクソンの結束というドグマを強く感じさせます。
イラク出兵に反対するドイツとフランスを、旧いヨーロッパと揶揄してEU加盟の日の
浅い国を味方につけ新しいヨーロッパと持ち上げていました。そして最近の欧州金融
危機に対し距離をおく態度が、英国は欧州大陸の国ではないことを示しています。

イラク進攻になぜそんなにのめり込んでいったかはっきりしませんが、若気の至りの
様に感じ読み取れました。または大英帝国の幻想に一人酔う事がなかったか、とも思
います。もしくは米国内の石油マフィアであるチェイニー副大統領との連携があった
のでしょうか。イラクに大量破壊兵器があるという確信も持っていなかったようです。
ただ、ブッシュにイラク進攻を決断させた理由に、イラク進攻直前の2001年には、米
国で石油需給がひっ迫し、輸入が急増し、海外取り分け中東の石油資源を確保する必
要があったという事情もありました。

「私の履歴書」の後半からはブラウン財務相との確執が延々とあり、凄まじい政局の
裏側を赤裸々に見せてくれましが、次第に言い訳っぽくなってきて、ブレアに対する
イメージが、私の中では劣化しました。ブラウンも陰湿で結果は暗愚な首相で終わっ
ていますので、意外と英国の政治も水準はあんなものかとほっとした点もあります
大学の授業料引き上げをかなり熱意をもって進めたことは意外です。結局、彼はイギ
リスを変えたのでしょうか。世界を混乱させたことは事実です。多くの戦死者を米国
とイラクに出しました。さらに一般国民を多数犠牲にしました。彼らの死が必要であ
ったのか、ブレアは考えているのでしょうか。


◆目が離せない中東情勢◆
その中東ですが、アラブ革命の進行とシリア騒乱、イラン制裁と予断を許さない危険
な情勢が続いています。イスラエルによるイラン攻撃については、米メディアが先週、
パネッタ米国防長官は4月にも行われる可能性を懸念していると報じていました。こ
こに来てシェールガスの開発の目途がつき、一気にエネルギー事情が緩和され事と深
刻な財政赤字のため、ついに米国は中東での覇権をあきらめ太平洋とインド洋で、中
国との対峙に集中するという歴史的な決断をしました。世界帝国から太平洋・大西洋
国家になるのです。ミャンマーを中国から奪還しつつあり、中国の東インド洋への進
出を阻止し、インドとの連携を深めインド洋を確保しつつ、ハワイ、グアム、北オー
ストラリアへの兵力の増強を始めました。余談ですが、これからは陸軍力ではなく海
軍力ですね。ですから中国も空母建造という海軍力の増強に走っていますが。そして
無人機による空軍です。

この結果はパキスタン、アフガニスタン、イランからエジプト、リビア、モロッコに
至るアラブ・イスラム世界から米国の力が抜けます。その中にイスラエルが1人取り
残されることになりました。周囲はエジプト以外は、イスラエルという国家の存在を
認めない国々です。国境を接する国々はイスラエルの直接的な報復を恐れて手を出し
ませんが、イランはフリーハンドです。ですから、冒頭の米国の国防長官の談話は衝
撃的です。さすがに米国政府はヒラリー国務長官、オバマ大統領ともにこれを打ち消
すメッセージを出しましたが、否定でなく、まだ決断していない?という談話です。

まさに一発触発の危機でしょう。ホルムズ海峡封鎖どころではありません。日本にと
ってホルムズ海峡は石油の輸入ルートの喉元である以上に、天然ガスの輸入ルートで
す。問題は原発停止でこの天然ガスの確保が非常に重要になってきた事、さらに悪い
ことに90日の国内備蓄のある原油と違い、天然ガスは殆ど国内備蓄がないことです。

関係各位におかれては、国内原発の安全確認と整備を進め、既存の原発を万一の時稼
働できる状態にする必要があると思います。原発の是非の本質論と危機管理の議論は
分けざるを得ません。
http://www.cnn.co.jp/world/30005486.html


◆名門コダックの倒産◆
写真フィルムの名門コダックが倒産しました。ここに浅い理解のMBA的経営の問題点
の反面教師的教訓があります。挑戦的な新事業の企画に高水準の利潤をコミットさせ
る。知財戦略に溺れる。其の上に選択と集中というステレオタイプの発想しか出来な
い。戦略即ちマイケルポーターです。あれは産業構造が安定し、持続成長している業
界が前提ですが、事例がない新規市場であれを説く人がいますね。この誤謬は伝統的
な日本企業にもありますし、実は伝統的な外資系にも共通しています。GMもそうでし
た。連邦法11条を申請した米国企業の全てといっていい共通の、衰退、凋落の原因で
す。一時期のIBMはそうでした。売れない本当の理由は封印でした。その淵から経営
革新で這い上がった例もIBMです。現時点の状況を見ると、日本のIT業界F、N、Hは同
じ時代を共有しながらその状況にあまりの差異があるのに驚愕します。NDすらもがい
ています。ただ、日本IBMはかなりの苦戦であるように伝わってきますので日本市場に
特異性があるかもしれません。

日本のIT産業が補助金という“シャブ”で体を壊したことも効いているように思いま
す。GoogleやSales Force、Amazon はいくら政府から補助金を貰ったのでしょうか。
産業振興の政策はむずかいですね。副作用があります。IT産業政策もコンピュータ産
業の黎明期に巨人IBMからひ弱な国産メーカーを保護した政策の延長しかありません。
悲惨なことに半導体産業は保護しすぎて滅んでしまいました。蒸発する自分の市場を
目の前に見ながら茹でガエルとして死んでいったコダックという図式です。そのコダッ
ク倒産の具体的な教訓として下記が挙がられています。詳細は下記のURL
1. 中核技術の喪失
2. ブランドへの過信
3. 甘い市場見通し

http://www.nikkei.com/biz/focus/article/g=96958A9C93819499E0E1E2E1E68DE0E4E2E3E0E2E3E0E2E2E2E2E2E2;dg=1;p=9694E3E4E3E0E0E2E2EBE0E0E4E3
(数行表示されている場合、上記URL全体をコピーしブラウザのアドレス欄にペース
トしてご覧ください。)


◆永田町と霞が関、国民も怒れ!◆
震災関係の議事録がない!?およそ官庁関係の会議で議事録がないことは考えられま
せん。出せない理由、作成できない理由が怖いですね。ICレコーダーも関係者のノー
トもありますが、当時の日本中枢の状況は公開できないほどの惨状で、国益を考えて
賢い関係者が阿吽の呼吸で全てを飲み込んでしまったのでしょうか

防衛相をめぐるドタバタはあきれますね。前任者のことを考えると、現下の状況にお
いてもこのポジションはかくも軽い位置付けなのでしょうか。同盟国の米国は歴史的
な軍事戦略の変革を決め対中国の防衛線構築を実行中です。本当に頼りないと思うで
しょうね。日本から防衛線をグアムに下げ、中国軍の対艦ミサイルを避ける方向に
くでしょうか。

今は、米国、日本、韓国、台湾で分担して防衛線を構築する重要な時期です。防衛線
は紛争を抑止する為で、戦争ではありません。国家安全保障を、声を出して議論する
状態にしましょう。

防衛相に人材がいない?貸し借りの人事?民主党は次回の選挙の後に存在できないか
もしれませんね。前回にも述べましたが、今回の選挙は正論派と愚論派分けてやりま
しょう!その前に官制改革と消費税を決着してもらわないと困ります。

国民が怒らないとこの国よくなりません。それにしてもだれに投票してよいのか、国
民はハムレット状態ですか。

URL議事録がない
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120124/plc12012403250002-n1.htm

国防長官の発言
http://sankei.jp.msn.com/world/news/120203/amr12020311290000-n1.htm
http://japan.donga.com/srv/service.php3?biid=2012020409948

イスラエル国防相の発言
http://sankei.jp.msn.com/world/news/120118/mds12011819370008-n1.htm


◆二子玉川クリエイティブ・シティのシンポジュウム開催します◆
この俯瞰MLで何度かご案内してきた二子玉川に近未来都市を創る壮大な実験の、クリ
エイティブ・シティ・コンソーシアムが2月22日に二子玉川でシンポジュウムを開催し
ます。「オープンイノベーションが人・街・ビジネス・社会を変えていく」をテーマ
に、現在進行形のプロジェクトの成果の一端を発表し、近未来都市としてのクリエイ
ティブ・シティの未来像を参加者と共有、議論する場として開催いたします。建設予
定の街をコンピュータ・グラフィックスで紹介します。今回の書評にある「都市の原
理」を改めて考察する絶好の機会です。そして各位の近未来の行動を改めて考える場
です。

主要な内容は:
・エッジシティにおけるクリエイティブワークスタイル
・都市における生物多様性とは
・位置情報サービス(次世代GPS)が暮らしを変える
・オープンイノベーションが人・街・社会・ビジネスを変える

参加無料ですが、事前登録は必要です。下記のURLから申し込めます。先着250名です。
今ならまだ間に合うと思いますが、東急電車に広告が出ますので急いだ方が良いと思
います。

開催日時:2月22日(水) 13:30-18:00(開場13:00)
開催場所:玉川高島屋S・C アレーナホール(玉川高島屋S・C西館1F)
http://creative-city.jp/2012/01/2012.html


◆ビジネスモデル学会春季大会開催◆
ビジネスモデル学会春季大会が東大本郷キャンパス工学部2号館で3月31日開催さ
れます。大会テーマは「生活産業のアジア展開」です。製造業のアジア展開は広く認
識され、また今回タイの洪水で厳しい損害を出したこともまだ記憶に新しいのですが、
生活産業のアジア展開も凄い勢いで進んでいます。自動車産業や電子機器のアジア展
開はそこに雇用を生みその人たちが膨大な生活者としての需要を生んでいます。今そ
の生活産業の常用を刈り取りに行くフェーズになりました。

大会準備を着々と進めており、基調講演者は経済産業省経済産業政策局長石黒氏に、
特別講演者はアサヒグループホールディ ングス古田土取締役、資生堂中国事業部マー
ケティング開発部大亀部長に決定しました。わが国の生活産業のアジア展開に関する
マクロ的な動向やリーダー企業の知られざる物語、及びビジネスモデルを考える上で
のヒントは、きっと貴方のご期待に応えます。スケジュールに書き込みましょう。

この1日で半年分の知識が得られます!そして脳のコンテンツのバージョンアップが
出来ます。いつも最新のソフトでコンピュータ(脳)使っていますか。
http://www.biz-model.org/


◆IT経営力大賞はビジネスモデルが素晴らしい◆
私はこの3年ほど審査委員会のお手伝いしていますが、年々水準が向上してきました。
ここで受賞された企業の情報システムは、基盤のビジネスモデルが秀逸です。無論結
果も業績に出ています。この審査をしていると、日本の中小企業は凄い!と感嘆せず
にいられません。ITで会社を動かす、オペレーション全体の無人化に近いものもあり
ます。受注から配送、経理、納税処理がすべてシステム化で完全ペーパーレス、無人
化?社員は何を、実は配送の梱包などの仕事だけ、あとは更なるクリエイティブなア
イディアを議論しているのでしょう。

審査結果発表は
http://www.meti.go.jp/press/2011/02/20120208005/20120208005.html


◆かくも悲しき事◆
十数年前に一緒に仕事をしたYさんの訃報。まだ46歳、というかもうそんな歳になっ
ていたのです。句会に誘われて1年ほどご一緒したことも有りました。年賀状を見て、
今年はお会いしたいなと思っていた矢先です。前日まで仕事をしていて、体調が悪い
と言って帰宅して次の日亡くなられたとか。インフルエンザのタミフルのショックとも。

葬儀に参列しました。泣き崩れる夫人、そしてまだ4歳のお嬢さんが母親の涙をガー
ゼのハンカチで拭う姿、上の6歳のお嬢さんもそうですが、悲しい状況を理解していな
いのか、していても表現する事ができないのか、無心に拭き続ける姿に泣きました。
「悲しみ」と言う言葉が身体中に沁みて行きました。かくも悲しき事があるのか。

どの顧客からも一緒に仕事をしたいと言われるほど素晴しい人でした。彼が苦労して
完成させたERPのシステムが稼働していた事業所は閉鎖され、他社に売却されて今は有
りません。厳しい状況を前任者から引き継いで、その比類なき人格で顧客の信頼を取
り戻し見事に完成させました。苦労しても仕事の結果は残りませんでした。家族は残
されました。仕事と家族の優先度を間違えてはいけない、健康は自分のためだけでは
なく家族に対する責任だと改めて再認識しましよう、そして自戒の念を含めて。
また追いかけるように名古屋で一緒に仕事をしたIさんの訃報です。ご夫人と中学生の
お嬢様、そしてご両親が残されました。親に先立つ親不孝という悲しみもあります。



◆デジタル書斎6◆
この表題はあえてデジタルと入れていますが、本質的に、知的活動にデジタルとアナ
ログの境界はありません。デジタルとアナログは単なる工学的な信号処理とそのデバ
イスの違いだけです。文具がデジタルかアナログの話でしょう。純アナログで生活し
ている人はいません!見ているテレビもデジタルです。まだアナログ???

というしょうもない話はおいて、本質的な知的生産技術の話をしましょう。知的生産
技術は目的ではありません。あくまで、知的資産、価値を創成する手法です。ここを
純アナログでやってもいいですが、人生の時間がもたないでしょう。知識と情報は爆
発しています。大英博物館に籠ってマルクスが資本論を書いたという話を昔々聞い
ような記憶があります。そこに人類の知識の大半が存在した時代です。

知的生産のプロセスは、情報の収集・分析・編集です。この情報の収集に、デジタル
は驚異的な威力を発揮します。今回はこの情報収集の話しをします。

私の情報収集は、新聞、雑誌、書籍、Web、会議、セミナー、講演会、そして面談、
会話、会食、見学、旅行です。このうち、面談、会話、会食は純アナログですが、そ
のスケジュールの設定はメールというデジタル技術です。スケジュール調整がありま
すのでメールが確実です。結果としてスケジュールの密度が上がりました。東京の知
の情報の集積は凄いですね。その内容は単純に脳に記憶するだけです。ただ殆ど忘れ
ます。めったにメモは取りません。フォローアップすべきことは、実は、先方にあと
で、メールでリマインドしてもらいます。

会議、セミナー、講演会の内容は、脳で記憶です。これも殆ど内容は忘れますね。無
意識下に残っていると思いますが。特別な数字と情報源はメモすることはあります。
ですからポケットに小さなメモ帳を持っています。ここはアナログ信号処理です。時
にはiPhoneに入力しますが時間がかかりますね。

新聞、雑誌、書籍は紙で読みます。新聞は電子版も購読して、記事の保存を電子版で
します。永年の習慣で切り取りますが、紙のスクラップは後で検索が出来ません。新
聞の電子版は既に多くの方が実践しているように、スマートフォンで電車の中でスマ
ートに読めます。その場でスクラップも出来ます。ただ新聞の情報は構造化が弱いの
で、知識にするためには、あとの分析・編集能力が必要になります。

雑誌は既に「デジタル書斎」で紹介したように、pdf化してiPadのiBookとして、出張
の移動時間などの隙間時間に読むことが多くなりました。新聞の情報よりも構造化さ
れていますので、構造化された知識が収集できます。Newsweekの日本版、Courrier
Japonは購読していますが、世界中の情報が視野に入ります。ブルータスは趣味性が
強い情報が得られます。

書籍は重要な要点や、インパクトのある文は蛍光マーカーで印しますが、そのあと一
手間かけてテキストに打ち込んでおくと価値が出ますね。この作業をiPhoneやiPadに
あるアプリのPlaintextを使うと、クラウドサービスのお蔭で、転送しなくてもいつ
でもどこでも利用できます。Dropboxの中に勝手にPlaintextというフォルダーを創っ
てくれて、情報デバイスに関係なく勝手にアップロードしてくれ、どこでもいつでも
テキストは使えます。

Webからの情報収集はデジタルでしかありません。RSSで情報発信を受け止めることは
しますが、TwitterでNikkeiとWSJはフォローしています。そこからWebに入り興味深い
情報はゲットします。良質な情報は長い事が多いですね。URLをメールで自分に転送し
ておくこともしますが、ここでInstapaperというスマートフォン、タッチパネルのア
プリケーションが有効です。これは「後で読む!」という機能です。Instapaperという
無料のクラウドにとりあえず送っておくと、どこでもいつでも読めます。そして読ん
で、これは後で使えそうと思ったら、Evernoteというアプリケーションでクリップし
てクラウドにしまっておきます。このクラウドサービスは無料もありますが、知的労
働者であるなら年会費数千円で会員になっておきましょう。Evernoteに入れて置くと、
あとでGoogleで探し物をしたとき、Googleのエンジンが、しまっておいたEvernoteの
情報も一緒に検索してくれますので、宝の持ち腐れがなくなります。使ってこその知
財です!

書斎のパソコンの画面には、日経新聞、ロイター、WIRED、日経ビジネス、などのア
イコンを置いて随時見ますが、iGoogleの画面にガジェットとして、BBC、CNN、WSJ、
朝日新聞デジタル、Google 国際ニュース、トップニュースなどを置いてあります。
この方がニュースを見落としません。

一番肝心なことは、興味あるテーマを意識しているかどうかです。興味あるテーマに
関する情報は向こうから合図してきます。いくつかのテーマについては、脳の中にフ
ォルダーが出来ているので、そこにスーッと入ります。加えて関連情報をクラウドや
パソコンに保存して置けば、そのあとの分析が効率よくできます。iPhone、iPad、PC
そしてそのアプリはデジタル文具です。

長くなりましたので次回!



◆書評◆
今月のご紹介は、「都市の原理」
ジェイン・ジェイコブス 中江利忠、加賀谷洋一 訳 鹿島出版会2011(1971)です。

本書は1968年に原著が上梓され、1971年に邦訳されたもので、改めて2011年それが新
装再版されたましたから、旧い本ですが、いまだその真価は揺るぎがないという事で
しょう。もっと若い時に読んでおけばよかったと思う本は少なくありませんが本書も
その一冊です。ただ、読みやすい本ではありません。ジェイコブスの研究に関しては
文末のURLにある細谷裕二さんの研究ノートが解り易い解説になっています。

ジェイコブスの主張は鮮烈です。まず「都市ありき、そして農村が発生する」という
常識を覆す言明です。「農業自体も都市で生まれたのではないか」とも。即ち「先史
時代でも農業と動物の飼育は都市で始まった」という論理的な帰着を導いています。
トルコのカタル・フエクの32エーカーの土地に、泥の煉瓦で造られた建物がびっちり
並び、人口は数千人にも達したと推定され、数千年以上前の新石器時代の、知られて
いる最古の都市の実例として紹介しています。最古の布地もここで発見されています。
農業は地球の三ヶ所で起こりました。小麦と大麦の栽培は中東で、米栽培はアジア東
部(私はインド南部のタミルと思いますが)で、そしてトウモロコシの栽培はアメリ
カでという事です。狩猟と採集が先行し、穀物栽培が軌道に乗って初めて狩猟民は農
民になれた、という論理は確かに解り易いですね。穀物の栽培が先とすると、それま
でなにで生きてきたのかになりますので。その狩猟民は三ヶ所で都市の原型を構成し
て、そこで農業のプロトタイプを作り上げたという主張です。「狩猟民の恒久的な集
落が農耕前の生活の姿だと示唆したい」と言っています。

次に、都市の発展については「新しい仕事が古い仕事に盛んに追加され、分業を増や
していくところが都市である」としています。「モノを新しく開発していく経済は拡
大発展する、新しい種類の製品、サービスを追加するのでなく、ただ古い仕事を続け
て繰り返すだけの経済は、あまり拡大せず、当然発展もしない」というくだりは経済
という言葉を、企業に代えればそのまま当てはまります。即ち「都市の発展は新しい
仕事が、盛んに古い仕事に追加されることにある」という主張が二番目の言明です。
新しい仕事が、旧い仕事に追加された例として、婦人服の仕立ての仕事に、ブラジャ
ーの開発が新しく追加された仕事として本書で、しばしば引用していますが、ここで
は文中にある別の例を紹介しましょう。ミネアポリスで鋳物を作っていた会社が自社
が鋳物の仕上げに使用していた磨粉を、厳選して紙の上に接着剤ではり、紙やすりと
して大工や家具職人に販売を始めます。そしてその紙やすりには接着剤に問題があっ
たので、その接着剤の改良から、良質の紙テープを造ることに興味が移り、これをペ
ンキ職人に遮蔽テープとして売り出しました。それからセロテープや、電気テープ…
という一連のテープの製造販売が、新しい仕事として追加されました。接着剤のビジ
ネスには、工業用の接着剤や建設用の充填剤…が追加され、ワックスやペンキも製品
に追加されました。接着力が弱い接着材からは、剥し易いポストイットも新たな製品
に追加されました。こうして発展してきた企業が3Mです。

ここで興味深い論理展開が、「仕事の論理」です。親となる旧い仕事から、新しい仕
事が生まれる「暗示」として、「既に使われている物質又は技能から示唆される」こ
と、「出てきた特定の問題から生まれるアイディア」を上げています。さらに、興味
深いのは「追加される財貨やサービスは、旧い顧客が望むものと関係ない」とも指摘
しています。ですから売る相手も新しい仕事です。「ただワクを大胆に打ち破って追
加される」という事です。

都市の発展については、英国のマンチェスターとバーミンガムを例にとり、紡績業と
いう成功をただ繰り返すだけに専念し、新しい財貨やサービスを追加できなく、旧い
仕事にも改善がなく衰退したマンチェスターに対し、多くの試行錯誤と多様性を追求
し、街が実験室になったバーミンガムは繁栄を継続したとあります。生産性と利益率
だけを追求したマンチェスターは衰退して、生産性は低いが多様性を追求したバーミ
ンガムは長く反映したという歴史的な教訓です。デトロイトとボストンの対比も挙げ
ています。

続いて挙げている、ニューヨーク州のロチェスターは、既に議論したコダックの本拠
地です。コダック社はロチェスターで成功したのち、コダックからのスピンアウトの
企業を潰し、起業を抑え、唯一例外のゼロックス社でしたが、分離と多様性を否定し
て生活、社会まで支配するようになり、ロチェスターはコダックの「会社の町」にな
り、「会社の仕事」をするほかに暮らしを立てる選択を無くし、そして新しい仕事が
追加される事も無くなり、選択と集中というステレオタイプの思考で、次第に自身の
多様化も否定して行った結果、支配した「会社の町」とともに自社も沈んでしまいま
した。

都市の爆発的成長については、「輸入品を置き換えていく過程は、都市を爆発的に成
長させる」とし、事例として明治の東京を挙げているのが面白いです。当時の東京は
大量の自転車を輸入していましたが、修理職人達は自分で部品を作り出し始め、さら
に個々の部品を専門分化して作るようになりました。そうなるとその部品を大量に契
約して職人から買い取って、完成車を製造する業者が出現したと云います。こうして
東京の輸入されていた自転車は地元で製造される自転車に置き換えられました。これ
を「輸入置換の乗数効果」と名付けこれは地元経済を膨張させるといってます。輸入
品との価格差が新たな需要を生みます。これが都市の成長原理であると言明していま
す。ここで、高価な生産機械を輸入して大量生産するのではなく、東京が持っていた
既存の能力の範囲内でこれを成し遂げたことは創造的な仕事であると、日本をさらに
持ち上げています。

「輸入置換→輸入品の構成変化→急激な成長」が成長のプロセスで、このプロセスの
中で、経済活動の総計の増加、農村で生産される財貨に対する事情の急拡大、そして
都市の仕事の急増が起こると云います。本書が執筆された時代は日本経済の高度成長
期に当たりますので、成長の事例として日本は好都合であったのでしょうか、随所に
日本が好例として紹介されています。

引き続き都市に対する彼女の思い入れを強く感じさせる興味深い記述をもう一つ紹介
します。ロックフェラー財団がインドの農村の貧困を救済する目的で、エタワという
農村に自家発電装置と近代的設備を持ち込み、工場を建設しましたが、失敗に終わり
カンプールという人口120万人の都市に移転して成功させた事例と、工業と農業を結び
つけるべく、中国が農村に小規模工場を展開したが結局この計画は放棄された話です。
この事例が教えたことは、新たな事業を立ち上げるには、都市が持つ多様な仕事を提
供する組織、必要な財貨やサービスを提供する能力が必須であるという事です。

新しい仕事を創成するのに重要な要件として、940年代にロサンジェルスやボストンが
与えた「小さくても多彩な出発点」が存在です。ベンチャー企業を育てる機能、ベン
チャーキャピタルに言及しています。

興味は尽きませんが要約はこれまでにします。都市に対するあくなき愛情ともいえる、
ホットな主張と生の例証が本書の魅力でしょうか。ただ、正規の研究者としての教育
を受けていないキャリアのためか、いわゆるアカデミアの正統からは外れた論証の手
法かもしれませんので、その筋の学者とは激しい論戦があったでしょう。

この本では少ししか触れられていませんが、区画整理で街を整然とすることで街は賑
いを失い、衰退するという信念から、都市計画の専門家との激しい論争もしているよ
うですが、暖かなふれあいのある街角や小さな広場、旧いが美しい建物がごちゃごちゃ
している空間が街の多様性を高め、ひいては新しい仕事を追加する、という主張です。
県庁所在地くらいの規模の地方都市に多くの衰退の実例を見てきました。今、二子玉
川でクリエイティブシティーを創るコンソーシアムの支援をしていますが、色々な示
唆を与えてくれます。地域振興のプロジェクト、地域クラスターの作り方にも参考に
なります。また、別に手掛けているプラチナ社会の建設にも大変参考になります。

「都市ありき、そして農村が発生する」から始まりますが、「新しい仕事が古い仕事
に盛んに追加され、分業を増やしていくところ」が都市である。新しい仕事は「既に
使われている物質又は技能から示唆される」や「出てきた特定の問題から生まれるア
イディア」から生まれる、そして「小さくても多彩な出発点」を与える仕組みが都市
の発展の要件という言明、これが本書のエッセンスだと思います。この次も都市論で
行きましょうか。

細谷裕二さんの研究ノート
http://www.innovation-net.jp/text/data/sangyo_ricchi_200811_hosoya.pdf


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◆内容・記事に関するご意見・お問い合わせ/配信解除・メールアドレス変更
右記まで  webmaster@fukan.jp
……………………………………………………………………………………………
◆俯瞰 MAIL 0014号(2012年2月10日)
発行元:一般社団法人 俯瞰工学研究所
発行責任者:松島克守
URL: http://fukan.jp/
==============================

俯瞰 MAIL 013 号( 2012 年1 月 16 日)

皆様
◆季節のご挨拶◆
新年おめでとうございます。寒さ厳しくなり冬の本番ですね。ヒートテックを三枚重
ねるという人もいます。省エネルギーは日本の文化です、世界中に普及させましょう。
俯瞰メールを始めて1年経ちました。ひと月が短いですね。あっという間に次の原稿
を書くことになります。頑張ります。本年もよろしくお願いします。今年から関連情
報のURLを出来るだけ紹介するようにしたいと思います。
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・ブレア首相の「私の履歴書」
・名門コダック倒産は他山の石
・ミャンマーの変化が凄い
・インドと中国の差異
・消費税反対で離党の方々の財政再建の提案は?
・プラチナ構想ハンドブック出版しました
・デジタル 書 斎の構築5
・書評 : 「クリエイティブ都市論」
-----------------------------------------------------------------------------

◆ブレア首相の「私の履歴書」◆
新年からの日経新聞の「私の履歴書」は、元イギリス首相のブレアです。自伝特有の
臭みがありますが、報告としての内部事情は興味深いですね。政治家としては先輩だっ
たブラウン元蔵相、首相が暗愚であるように紹介されています。我々のイメージと差
異ありませんが、我が国の最近の首相たちも海外では暗愚であるように紹介、認識さ
れているのでしょうか。政治家になるキャリアパスが興味深いですね。若い時の人と
の出会いが凄く重要だという事を再認識しました。メンターとの出会いが重要なこと
です。身近に適切な人物がいればメンターになる、メンターをお願いする、そんな文
化を作る必要があります。自立を求める家庭環境や変革への強い情熱は伝わりますが、
一方強い権力への野心は、薄めて記述されています。政権について直後の時期の次の
言葉が印象的です。

「官僚組織はうまく指揮すれば強力な機構になる。官僚たちは知的で勤勉で公共への
奉仕に献身している。ただ、大きな課題に対し小さな思考しかできず、組織が跳躍を
求められるときに、少しずつしか動かなかった」

大企業でもいわゆるスタッフ部門がこうなると、傾きますから、これを打破していく
リーダーシップが、TOPの条件でしょうか。

15日は北アイルランド和平です。この歴史的な成果はブレア政権の最高の業績として
記憶されるでしょう。なぜ、イラクに派兵したかは別の視点から興味深いです。

http://www.local.co.jp/news-drift/comment-wahei.html


◆名門コダック倒産は他山の石◆
写真フィルムの名門コダックが倒産する?との報道が入りました。私が学生のころは
富士フイルムが、圧倒的な業界の巨人だったコダックの日本進出におびえていました。
デジカメが普及して約20年今更、その波に乗り遅れて倒産とはよく言えますね。そし
てフィルム事業部がなくなった?この20年の経営責任はどうなっているのでしょうか。
失われた20年ではなく、動かなかった20年でしょう。決めない、撤退しないという、
経営風土は日本経営の悪い部分と共通ですが。「大きな課題に対して小さな思考と行
動しかできない経営中枢は」は国の文化ではなく、成功してのち、スタッフが官僚化
するというモデルは、国を超えた普遍的な悪しき経営のモデルなのでしょう。しかし、
時代は激変です。ビジネスの基盤のフィルムが不要になった業界です。似たことは起
こっています。LPからCD 、音楽CDからネットへ、そしてTV業界も電波からインター
ネットへとなだれ込むのか。それに伴う広告業界の激変、さらに紙の書籍から電子書
籍へ。ガソリン車から電気自動車、既にいっぱい起こっています、ガラパゴス携帯か
らスマフォへ、そしてノキアの没落、・・・・時代に同期できない企業は滅亡する!

http://jp.reuters.com/article/technologyNews/idJPTYE80C04120120113


◆消費税反対で離党の方々の財政再建の提案は?◆
国家予算の半分が借金の国債というとんでもない日本の状況で、のんびりEUの状況を
対岸の火事としてみているのでしょうか。消費税増税反対で、財政再建の対案もなく
離党していった議員たちは何を考えているのでしょう。まさか自民公明も増税反対で
すか、とすればあまりにも無責任です。政治家ではなく、政局家ではないでしょうか。

消費税増税で買い控えが起こり景気後退でかえって税収が減るとか、いろいろあるか
もしれませんが、もう待ったなしです。フランス国債も格下げです。次は日本ですか。
野田首相には財政改革で政治生命を完全燃焼して頂きたいですね。心有る国民は喜ん
でその骨を拾うでしょう。国民に人気のあるばらまきのマニフェストで政権をとった
としても、それをバカのように守るという、バカらしい主張よりも、今ここで正論を
推進しましょう。次の選挙は政党ではなく、正論派と愚論派の仕分けが国民のミッショ
ンです。結局一番無責任なのは国民です。特に人生の影響をまともに受ける若い人は
積極的な発言と行動をして欲しいですね。学生運動がキャンパスからなくなった今そ
れに代わる行動主体が必要だともいます。


◆ミャンマーの変化が凄い◆
ミャンマー政府は12日、少数民族武装勢力「カレン民族同盟(KNU)」と停戦に
初合意したと伝えられました。1949年から独立闘争を続けてきたKNUとの停戦
で、反政府の6勢力が停戦協定に合意したことになります。加えて、13日に全政治犯
を釈放したという報道がありました。ミャンマーの「国民的和解」が大きく前進しま
した。これで、欧米諸国が軍事政権に対して長らく科してきた経済制裁が解除されま
す。14日、米国はミャンマーに駐在大使を派遣すると発表しました。欧米の経済制裁
下で経済が疲弊し、その支援という形でミャンマーに勢力を広げてきた中国の戦略が
転機を迎えたという事になります。これで中国に影響が強い国はアジアではカンボジ
アもしくはラオスだけになります。従って米国と中国の対峙の緊張感が厳しくなりま
す。軍事的な力で覇を競うという、まったく時代遅れのパラダイムから両国が脱却し
ないとしょうがないですね。中国もこれだけ貿易でグローバル化した状態では、海軍
力でシーレーンを守るという19世紀的な戦略は意味がなく、地域の安定化が唯一の選
択肢ですから、不安定で過激な独裁制を時間掛けて平和的に民主化して行く行動が正
しいはずです。米国、中国、日本、韓国、ロシアが協力して、まず北朝鮮からやりま
しょう。であれば米国と中国は協調できる部分があります。ただ、米国も古いですね。

一方、今後一気にミャンマーは経済成長する可能性が出てきました。ビジネスモデル
学会では、5月の末にミャンマーに視察に行く計画を進めています。興味ある方はビ
ジネスモデル学会のHPに注目してください。

http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/100/106330.html


◆インドと中国の差異◆
インドと中国、いずれも10億を軽く超える人口と経済成長で世界経済を牽引する期待
を担っていますが、意外と大きなコントラストがあります。10億を超える分母を両方
とも持ちながら、実に1998年まではインドの方が僅かに1人当たりのGDPは中国より大
きかったのですが、現在は、中国はインドの約3.5倍です。この20年の差はなんでしょ
うか。取り分けこの10年の中国の成長は目覚ましいものあります。インドは世界最大
の民主主義を標榜し、一方中国は共産党独裁です。ここで注意したいのは胡錦濤の個
人の独裁ではありません。集団指導体制です。プーチンの個人独裁の色が強いロシア
の経済は停滞気味です。アラブの独裁の経済は論外ですが。中国の胡錦濤の10年、今
年は世代交代します。課題は山積ですが、こうしてみるといい仕事をしたように思え
ます。新興国の一つのモデルになるのかもしれません。日本の明治はもしかしたら似
たモデルだったのでしょうか。

次の政権も暫くは今の延長で行くと思いますがこの10年以内に中国は一つの峠に達す
ると思っています。資源と社会の成熟速度が、成長の限界を与えるでしょう。それが
いつなのか、今一番興味を持っていることです。例えば、現段階では中国でOECD並み
の所得、即ち年1万ドルを超える人口はほぼ日本に匹敵する1億人強ですが、これがど
こまで行くかです。3億人とみれば到達点は日本の約2.5倍の経済規模です。4億人と
みると、4倍になり、最近英銀最大手HSBCが発表している、2050年中国のGDPが約
25.3兆ドル日本の6.4兆ドル、の数字にほぼ合います。ただ2050年の前に峠があると
思います。思い出してください、「ジャパン・アズ・ナンバーワン」の時代があった
事を。今年はこの研究をしたいと思います。また経過をご報告します。

http://ecodb.net/tool/imf_weo_compare.html
(上記のサイトの「経済推移グラフ作成(比較)」でインドと中国を条件設定し、
グラフを表示させてみてください。)

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/5134
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/26342


◆プラチナ構想ハンドブック出版しました◆
プラチナ構想ハンドブックを日経BP社から出版しました。書店とAmazonでお買い求
めください。

プラチナ構想ハンドブックは、紙による書籍に加え、豊富な参考資料を付加し、かつ、
適時改訂していく電子書籍としても出版を予定しています。さらに多くの人が編集に
参加できる、サイトとしても情報発信します。

加えて、プラチナ構想ハンドブックは、これまでにないWEB メディアとして設計しま
した。基本は、情報の蓄積、分類、検索を、ICT をベースにして構築し、そして、情
報要素の相互がサイトの内外の情報と、ハイパーテキストとしてネットワーク構造を
持つ、WEB サイトとして情報発信を行います。したがって、読み方、視方(みかた)、
見え方、そして理解はその人によることになります。

プラチナ構想ハンドブックの情報発信は一方向的ではく、読む人、編集する人、自分
の情報を発信する人の交流と議論の場も用意します。このWEB サイトにはその仕組み
が用意されています。

プラチナ構想ハンドブックのサイトは、12月28日オープンしました。今回はまだ情報
発信の機能だけですが、次のステップで参加型にしていきます。オンラインでの編集
参加も大歓迎です。既に機能は組み込んでありますが、支援系スタッフの整備が出来
ていませんのでその部分は公開していません。ともあれ見てください、そしてコメン
トを下さい。そして本もぜひお読みください。

http://www.platinum-handbook.jp/

[目次]
提言 プラチナ構想 小宮山宏

第1部 21世紀のパラダイム
 爆発する知識
 有限の地球
 高齢化する社会

第2部 日本が今目指すべきこと
 坂の上を目指した時代
 エネルギーと資源の自給率を上げる
 持続可能なエネルギーシナリオを実現する
 リサイクルで資源の枯渇に対処する
 環境を保全し農林水産業を再生する
 創造型需要の新産業を指向する
 新産業をイノベーションで創成する

第3部 現場からの報告
 プラチナ社会のモビリティ
 創造的ビジネスをめざしたスマート林業の展開を
 低炭素時代の建築ZEB
 学校からはじめる確実なエコが、やがて大きなムーブメントへ
 救急現場からみた日本の医療
 留萌市の医療ネットワーク
 活力ある高齢化社会のための食と健康
 ICT による地域経済の活性化プロジェクト
 プラチナ構想スクールの実施


◆デジタル書斎の構築5◆
年末年始はデジタル書斎の大掃除で忙殺されました。電子情報の悪いところは形がな
く、現在のようにハードディスクの容量が多いと不要なファイルや、本人も何に関す
るファイルか判らないファイルが大量に貯まってしまう事です。で、肝心な時、必要
なファイルが見つからないということになります。

まずDropboxに入れてあるマイドキュメントの整理、実は難しいのはフォルダーをど
う構成するかですが、深くすると見つかりにくいので、フォルダーの下に1段階しか
作ってありません。これは使い込んでいるのでほぼある安定状態になりました。人脈
の名刺も、全て見直して一つのファイルに統合して、重複したファイルは削除しまし
た。約2000枚。

写真が未整理でしたのでその作業を始めました。1999以降はデジカメですので簡単で
す。GoogleのPicasaをインストールすると、自動ですべての写真を探し出してデータ
ーベースにしてくれます。あっという間です。約7000枚でした。量も整理もデジタル
は凄いです。これから良い写真を選択しながら、アルバムを創って行くことにします。
無論、まだ未完成です。

問題は結婚以来の家族の写真がアナログで1975年から1999年分ありました。まったく
の未整理で、印画紙とフィルムと合わせて古いスーツケース一杯分です。フィルムだ
け抜き出してみましたが約2400コマ。フィルムスキャナーでデジタル化するつもりで
10年前にCANONのフィルムスキャナーを購入したもののお蔵入りです。時間がない?

ある友人曰く、「時間があるときやろうとしたら一生出来できませんよ!業者に出せ
ばいいのです!」解り易いですね。店に持ってきましたら退色処理含めて4800bpiで
1コマ160円です。お願いしました。

自炊したpdfファイルも整理しました。メールリスト、iPhoneの連絡帳も。この情報
整理をしておくと、今年1年の自分の生産性がかなり向上します。残された貴重な人
生の時間ですから自分の生産性が一番重要です。ですから、写真のデジタル化も、
金額に躊躇しながらも外注もしました!


◆書評◆
今月のご紹介は、

「クリエイティブ都市論」リチャード・フロリダ 井上典夫訳 ダイヤモンド社 2009

本書は、 夜間光の衛星写真の分析の上に、GDPやイノベーションなどの経済データを
重ね合わせる研究結果をもとに、世界の中で経済活動が活発な20?30の地域が、人口
は5分の1にも満たないが、経済活動の3分の2、イノベーションの8割を産出して
いること、さらに上位10地域が、人口が世界の6.5%にも満たないが、経済活動
の4割以上と、イノベーションの半分以上を独占している知見を披歴しています。こ
うした地域を「メガ地域」と名付け、世界はフラットではなく、少数の地域が経済活
動で高いピークを形成する、スパイキーな世界であると主張しています。しかも上位
5地域の2つは日本にあります。東京経済圏の2.5兆ドルと名古屋・大阪圏の
1.4兆ドルです。九州北部と広域札幌圏も世界主要経済圏に名を連ねています。
日本人が失いかけている自信を、改めて奮い立たせるような日本版への序文で始まり
ます。

そして、第1章「住む場所の選択」では人生の選択を議論しています。それは、まず
何をするか、即ち仕事。次に誰とそれをするか、即ち人生の伴侶。そして突きつける
のが仕事を誰と、どこで行うのか即ち、居住地の選択を迫ります。どこに住むかで仕
事も恋愛も決まる、とまで言い切っています。ここが本書の論点です。極めて明快で
す。ネットワークの時代は「世界はフラットになる」、そして地理的な影響は少ない
という最近のパラダイムと真っ向勝負です。さらに、本質はライフスタイルの選択で
あって、地理的な優位性に影響されない仕事や、ささやかな生活費と素晴らしい自然
環境に恵まれた地域が沢山ある事も認めていますが、人生の選択という強烈な意思決
定を読む人に迫っています。そこまで考えて人生を選択してきたかです。私事で恐縮
ですが、私は大学院を修了して就職をするに当たり、仕事は専攻が生産技術という事
で当時既定というか選択済みでしたが、東京に住み続ける事を固く決め、都心から
30分に住み、郊外に通勤30分のジェットエンジンの工場の生産技術のエンジニア
の仕事を選択しました。仕事はそれからいくつか替りましたが居住地域はほぼ同じ渋
谷文化圏です。結果として、人生の伴侶もこの流れの中で決まることになります。家
族の教育も生活も、そして現在の全てがこの「居住地の選択」にあったことを改めて
再認識させられました。

第2章「スパイキーな世界」では世界はフラット化していない事実として、1900
年では14%であった都市部の人口は、現在、先進国では人口の4分の3が都市に住
んでいる事、世界経済の舞台で発展可能な地域はごく一部であることを主張していま
す。因みに13億人の中国も既に都市人口は半分になっており、経済成長が著しいの
は、北京、上海、広州の3地域を筆頭とした上位10地域です。

さらに地図の上に、人口データを乗せ、それに、夜間光の密度の衛星写真を重ねる手
法で世界の経済活動が極めて盛んな20-30地域を抽出しています。夜間光即ち衛
星から見える夜間の光量はその地域で経済活動に比例することが解明されています。
俯瞰工学研究所のサイトに東京大学の俯瞰工学研究室時代の研究成果を「アジア経済
俯瞰:衛星写真」として公開していますのでご参考に。こうして序文にある、20-
30の「メガ地域」が同定されています。特に大きな「メガ地域」は、ボストン―
ニューヨーク、シカゴ―ピッツバーグ、アムステルダム―アントワープ、ロンドン―
マンチェスター、そして前述の日本の東京経済圏と名古屋・大阪圏の2つです。

さらに重要な分布はイノベーションの分布、即ち特許の数と世界的な科学者の分布で、
地域はさらに絞られてきます。才能が集まる地域です。東京、ニューヨーク、サンフ
ランシスコに続いてボストン、シアトル、オースティン、トロント、バンクーバー、
ベルリン、パリ、ストックフォルム、ヘルシンキ、大阪、ソウル、台北、シドニーで
す。インドのバンガロールと北京そして上海は最近の伸びが著しく才能が集積する地
域です。イノベーションには地理的な才能の集中が依然として重要であることを指摘
しています。クリエイティブクラスの人々は集中します。才能を引き付ける「持てる」
地域と才能の流出が止まらない「持たざる」地域が仕分けられているのです。そして
著者は、で「どこに住むの?」という突込みをしてきます。

第3章「メガ地域の台頭」での主張は都市の連携で形成された以上の「メガ地域」が、
国家や都市を超えた新しい経済単位として集積を活かしてイノベーションをリードす
ると言明し、具体的な世界の「メガ地域」の分析を紹介しています。残念ながらモノ
クロ印刷であるため、印象が弱いので、本文末にあるURLで夜間光を見ると感覚的に
理解が深まるでしょう。また原論文に挑戦するならば文末のURLにpdfの論文がありま
す。おせっかいですが、パソコンではAdobe Digital Extensionをダウンロードして、
pdfの論文は電子書籍として読むと読みやすいですよ。iPadではiBookで。

第4章「集積の力」では「経済の根本には集積しようとする力が働いているから、人
間、生産力、創造的スキル、才能は特定の地域に集まり、それが経済成長の原動力に
なる」と説いています。何人かの経済学者の研究を引用しつつ、「才能が集積する都
市が経済成長の最大の要因である」という結論に導いていきます。「経済成長は、拡
大と発展にある、発展は差別化、拡大は規模や量の増大とあります、イノベーション
の源泉は企業でなく都市である」というジェイコブスの言明を畏敬の念を持って紹介
しています。「集積化により地域は選別されるがそれは必然的に人の選別になる」と
いう言葉も意味深いですね。従って、「今後の世界経済の中心は一握りのメガ地域と
高度に専門化された地域に再編される」と結論しています。この一握りの中に東京が
あるのですが、住んでいる人がその意識が薄いのが淋しいです。以上で総論の第一部
が終わり各論の第二部、そして第三部では居住地の選択に関する助言と続きますが、
これは読んで頂いた方がいいでしょう。でないと丸ごと要約することになってしまい
ます。具体的には、第5章 移動組と定着組、第6章 才能の集まる場所、第7章
ジョブシフト、第8章 スーパースター都市と続き、第三部は、場所の心理学として
第12章迄あり、第12章は最高の居住地を見つける方法、とまで具体的です。やは
りアメリカの学者は読者に対するサービス精神が凄いですね。日本人の学者も見習い
ましょう、社会を変える、動かすのは学者ではなく市井の人々の納得ですから。

参考URL:
夜間光衛星写真
http://agora.ex.nii.ac.jp/~kitamoto/research/rs/stable-lights.html.ja
http://eoimages.gsfc.nasa.gov/images/imagerecords/55000/55167/earth_lights_lrg.jpg
http://visual.ly/language-communities-twitter

メガ地域の分析
http://creativeclass.typepad.com/thecreativityexchange/files/
florida_gulden_mellander_megaregions.pdf
(2行目をfiles/の後に続けてブラウザにてご覧ください。)


=======================================
◆内容・記事に関するご意見・お問い合わせ/配信解除・メールアドレス変更
右記まで  webmaster@fukan.jp
………………………………………………………………………………………………………
俯瞰 MAIL 0013号(2012年1月16日)
発行元: 一般社団法人 俯瞰工学研究所
発行責任者:松島克守
URL: http://fukan.jp
==================================

俯瞰 MAIL 012 号( 2011 年 12 月 24 日)

皆様

年末も近くなり、改めて時の過ぎる速さを何かヒヤッと感じます。色々言われますが、
フクシマが冷温停止に漕ぎ着けたという事をホッと、受け止めたいと思います。この
状態に至るまでの、関係各位、取分け消防、自衛隊、東電の現場関係者のご尽力に心
から御礼申し上げたいと思います。
今月の季語は、「坂の上の雲」でしょうか。日本海海戦とトラファルガー海戦、両国
の運命を決める海戦でした。あの秋山参謀でも平常心を失いかけたとしたら、勉強に
なります。なぜ松山かも興味がありますが。ともあれ情報収集の重要性を改めて認識
させられました。次のご挨拶は新年になります。よいお年をお迎えください。
-----------------------------------------------------------------------------
・インドに行ってきました
・金正日総書記の死亡
・プラチナ構想ハンドブック出版します
・「知の構造化の技法と応用」出版しました
・デジタル書斎の構築4
・書評 : 「知の構造化の技法と応用」
-----------------------------------------------------------------------------


◆インドに行ってきました◆
インドに3年ぶりに行ってきました。パスポートをチェックしないといけませんが、既
に1995年以来10回以上行っています。今回はデリーとバンガロールの企業訪問でインド
に関する情報・知識を更新し、理解をさらに深めることが出来ました。自動車会社が2
社、ITが2社、電子部品1社、コンシューマ1社、産業機械1社、そしてJETROと地下
鉄工事現場です。このうちIT1社と産業機械はインド企業です。

先ず驚きました。この3年ですごい変化です。2都市とも飛行場が新しくなって、最先
端のイメージです。街は相変わらずの喧騒ですが、高架の鉄道の開通、一部地下鉄が開
通して新型車両が走っています。街の自動車も新型が大部分。デリーではグルガオンと
いうインドとは思えないような街も開発され、多くのビルが立ち並び賑やかです。グル
ガオン (Gurgaon) は、デリーの南西部に隣接する町でデリーからムンバイに通じる道
筋にあり、外国企業のオフィスとショッピングモールが集まっています。日本人も多く
住んでいます。

バンガロールの奇跡
本当に素朴で田舎の鉄道駅の様だった、バンガロールの空港は最先端の空港に生まれ変
わりました。街の近くにあった空港は郊外に移転して広大になり、そこに向けて高速道
路や鉄道の建設が進んでいます。奇跡は中身です。1995年に最初に行った時の人口は確
か数十万人でしたが、今は数百万人です!なぜなら、当時数百人だったインドIBMは12
万人で、結果として全IBMの社員の四分の一はインド人です。又、当時千数百人だった
Infosysは14万人のITサービス企業になりましたが、これでもインドでは二番手です。
このInfosysのキャンパスを訪問してきました。25,000人のエンジニアが働いています。
平均年齢が26歳ですので文字どおり大学のキャンパスとそっくりです。ここが米国だと
いわれればそのまま信じられる風景です。塀の外の世界とは全く違う別世界です。さら
にバンガロールから南西146km、車で3時間ほど南の位置にあるマイソールにはさらに巨
大な教育施設があるという事でした。ただ、キャンパス見学だけでは許されず、「イノ
ベーションマネージメント」の講演をしてきました。その時の資料を俯瞰工学研究所の
サイトに載せておきましょう。

因みに、インドIT企業の上位6社はサティヤム・コンピュータ・サービス、ウィプロ、
インフォシス・テクノロジーズ、TCS:タタ・コンサルタンシー・サービシズ、コグニ
ザント、HCLテクノロジーズです。このほとんどがバンガロールに巨大な拠点を持って
います。IT産業はインドのGDPの4%弱にあたる約二百億ドルに達しているという。
IT人財の供給がその推進力です。IIT等の最高水準の大学から、年間約14万人が産業界
に供給されています。日本は?1000-人あればというくらいです。大学の情報系の入学
定員を調べたことがあります。

米国のIT企業で拠点をバンガロールに持っていない企業の名前をあげられません。日本
のIT企業は此処でもかなり控えめです。探せばあるでしょう。慎み深い日本文化でしょ
うか? 加えて、トヨタを始めとした製造業も大展開ですから、奇跡的な発展をしている
わけです。

追い着かないインフラと資源
というインドの奇跡的な成長に、それが必要としているインフラが追いついていません。
街中大渋滞で、クラクションの大合唱です。企業活動にとって深刻なのは、1日10回は
有るという停電です。ITはUPSが必須です。工場は自家発電が必須です。もっと深刻なの
は水です。取り分け北部は砂漠気候で雨が少ないのでこれまでも大量の地下水を汲み上
げて、農業と工業を賄ってきましたが、水は電力のように簡単に作れません。有限の地
球、というパラダイムに掛かります。ですからインドは持続的成長が難しいですね。電
力は作れます。石炭はありますが、砂が多い低品位炭ですので、輸入炭を混ぜています。
ここは技術イノベーションで解決すべく、日本技術が出番ですが、しかし炭酸ガスは出
ます。自動車販売は急成長ですが、石油価格は軽く100ドルを超えました。車を安く
してもガソリンや軽油で走らせる事は限界が来ます。電気自動車になりますか。

再生可能エネルギーと原発
となると、生活、産業、自動車、全て電力のいうエネルギーインフラの増強が必須にな
ります。従ってエネルギー関係の設備投資ビジネスは好調です。再生可能エネルギーと
して、太陽、風、水はありますが。海洋性、地熱は少ないでしょう。バイオマス?長く
牛の糞も燃料に活用されていますね。結果的に原発が重要な選択枝になります。

此れが大議論です。ヨーロッパもそうですが、インドも特に僻地というわけで無く、人
が住んでいるそばに原発を作ります。多くの議論は安全性で、疑問がある上に、原発の
運用、事故管理は日本より弱いと人々は見ています。フクシマの経験をここで生かして
ほしいですね。一方、企業のインド展開の戦略検討に、原発の所在地を確認した方がい
いですね。

インドでは日本人は皆さん元気
インドで今回印象的だったのは、現地展開の先陣を担う日本人の方々が全て凄く元気が
良く、戦略的に前向きなことです。インド展開という戦略的なプロジェクトだからでしょ
うか、戦略的な人材が展開されていると認識しました。日本本国で活躍して頂いて、日
本を何とかしてください!とお願いしたい方ばかりです。やはり今の日本の組織は、日
本人の本来のDNAを棄損させていると確信させられました。テレビでも紹介された、デリ
ーの地下鉄を仕上げて、今バンガロールの地下鉄建設の総大将は日本人女性の阿部さん
が代表です。此処に大量に草食系の日本人男性をインターンシップに送り込むプロジェ
クトをやりたくなりました。

インドの駐在の日本人が元気なのは、タイまでは本国のご指導が密で、インドは手が回
らないというかよくも悪くも権限委譲が進んでいるのでしょうか。決めない、権限委譲
しないのが日本式経営の神髄です。

なぜインドか
インドの力は、人です、知識です。英語を話せる、読める、書ける人材です。製造業の
集積も他の新興国とは違います。ともあれ、航空機も、兵器も、自動車も、鉄鋼も自力
で生産してきました。他の新興国より製造業の人材とスキルが蓄積されていますので、
製造業の立ち上げ、現地調達は相対的に短期間かもしれません。パソコンとネットワー
クが設備投資のIT産業は、いち早く規模で世界一になりました。

インドの課題はいくつもありますが、最大は、先に述べた水とエネルギーです。社会的
には職業のカースト制度も有ると複数の方が言います。ご存知のように、伝統的な職業
はその独占的な職業階級のカーストがあります。日本はカースト制度が有りませんが、
別の何かが社会を硬直化させています。ここインドでは明示的なカーストが組織の硬直
性になっているようです。幸運な事に、ITを担当するカーストは存在しなかった?カー
スト制度を超えてIT産業に才能が集積したのではないかというのは私の仮説でしょうか。

トヨタのインド人スタッフは皆さん日本語が上手
インドのトヨタでは、インド人の管理職がほとんど日本語を話せるのに驚きました。理
由を伺うと極めて単純明快な答えでした。語学の習得に才能がない日本人に英語を教育
するより、語学の才能にたけたインド人に日本語を教えた方がずっと効率がいい、才能
は生かして使う。という事でまず日本語教育のスクールを作りそこで日本語教育をした
という。確かに、日本人で知識やスキルがあって、英語を話せる人材は希少でかつ既に
払底している。現地側が日本語を理解できれば、英語は出来なくても知識とスキルがあ
る日本人ならまだまだ海外に送る事が出来る。戦略的ですね。因みにどこでもやってい
るように、採用したインド人の技術・技能教育のインスティチュートも無論ある。トヨ
タの強さは教育力ですね。

インドから東京
成田から早朝のバスで帰宅しましたが、道路と街が5S状態ですね。空も澄んで青々して
います。デリーの空は塵埃で、もやが掛かり朝陽や夕陽が不思議な美しさを出します。
バンガロールは、空はきれいですが、空気は排気ガスで大変です。道路も清掃という概
念がないのかと思います。国中5Sの国は日本と北欧、スイスくらいでしょうか。少なく
とも東京はレーンを守り譲り合って運転しています。鉄道も整列乗車です。これが日本
の資源、力であると思います。政治だけは新興国と同じですね。何とかしないといけま
せん。声を上げましょう。街のクラクションよりも政治家、とりわけ元閣僚の不規則発
言はクラクション以上にどうしようもない騒音です。
注記 5S:整理、整頓、整列、清潔、躾 の頭文字のS


◆金正日総書記の死亡◆
突然の死の報道ですが、年齢が69歳?と意外と若いのが意外でした。あまり健康的な生
活を送ってきていないようですね。後継といわれる金正恩氏もかなり肥満気味で健康に
気を付けた方がよさそうです。
ともあれ北朝鮮に関しては課題山積ですし、隣国でかつ核保有国ですので、日本と韓国
は一気に緊張が高まりました。想定されるシナリオはいくつもありますが、中長期には
民主化し、朝鮮統一に動くと思います。ただ、ドイツ再統一後の東ドイツ再興の苦難と
西ドイツの苦労を見ているだけに、感情論だけで再統一は出来ないでしょう。今勢いの
ある韓国も西ドイツの様な経済力はありません。民主化、非核化を条件に徐々に経済の
再建を周囲が支援して、時間を掛けて統一がされると思いますが、一時的な混乱がなけ
れば幸いです。中国は中国型の経済発展モデルを指導し、独立した同盟国として維持し
たいと思います。統一への力、共産党支配の経済発展、そして韓国は大統領の選挙で政
権交代です。全ての人が冷静な議論と行動をすることが極めて重要です。しかし日本人
も無関心でいられる事ではありません。

それにしても、ゴルバチョフとの素早い交渉で東ドイツを取り返したコール首相、苦労
をしながら東ドイツを再建しつつ、結果として欧州の覇者?になったドイツ国民の力を
改めて再認識します。しかもその政治リーダーは東ドイツ出身の女性のメルケル、日本
にはメルケルはいないのでしょうか。最近の若者が草食系になったのではなく、当時の
日本の政治家も草食系だった事が判ります。いま?ご本人はドジョウといっていますが
肉食系ではないでしょう。


◆「プラチナ構想ハンドブック」出版します◆
関係者のご協力で、プラチナ構想ハンドブックの編集を完了しました。1月23日、日
経BP社から発刊されます。プラチナ構想ネットワークの小宮山宏会長の基調論文「プラ
チナ構想とは」、その提案の前提となる三つのパラダイム「爆発する知識」、「有限の
地球」、「高齢化する社会」の三つの解説論文、そしてプラチナ構想を展開する7本の
解説論文と、既にプラチナ構想と同じ視点と方向の活動を展開している各地域の行動の
9本の報告論文からなります。

編集を終えてみて改めて、単著の書籍と違い多数の専門家が一つの概念を、それぞれの
高度な専門家として、展開していくプロセスはまさに集合知の形成であり、社会の課題
を解決するために、複数の専門領域に散在する知識を構造化するプロセスである、と改
めて認識しました。どんなに優れた人材や天才をもってしても、現在の複雑系の社会に
必要な知識を提示することはできません。その意味でこのプラチナ構想ハンドブックの
編纂のプロジェクトは、知の構造化の威力を示すものと認識されることを期待していま
す。プラチナ構想ハンドブックは、紙による書籍に加え、豊富な参考資料を付加し、か
つ、適時改訂していく電子書籍としても出版を予定しています。さらに多くの人が編集
に参加できるサイトとしてとしても情報発信します。

プラチナ構想は極めて広範囲で多様な知識の複合体ですから、通常の書籍のように、単
なる文章の記述と図表の表現ではきわめて不十分です。多くのプレゼンテーションの資
料や、関連する動画など、紙の本では収容できないコンテンツがあり、その情報量も相
当大きなものになります。さらに、社会や技術そしてプラチナ構想ネットワークの実態
は相当な速度で変化していきますが、紙の書籍では、それに対応した時間軸で改訂して
いくことはできません。電子書籍であればこれはかなり容易で、新しいバージョンとし
て適時配布することが可能になります。日本における電子書籍の流通の現状は、Amazon
という黒船を迎えて、現在業界がざわついていますが、結果はすでに決まっているので、
比較的近い時期に配布できると思います。すなわち、Amazon を含め、整備されたすべて
の電子書籍のルートで配布したいと考えています。

加えて、プラチナ構想ハンドブックは、これまでにないWEB メディアとして設計しまし
た。基本は、情報の蓄積、分類、検索を、ICT をベースにして構築し、そして、情報要
素の相互がサイトの内外の情報と、ハイパーテキストとしてネットワーク構造を持つ、
WEB サイトとして情報発信を行います。したがって、読み方、視方(みかた)、見え方、
そして理解はその人によることになります。

プラチナ構想ハンドブックの情報発信は一方向的ではく、読む人、編集する人、自分の
情報を発信する人の交流と議論の場も用意します。そして主体的なプラチナ構想ネット
ワークの会員は、プラチナハンドブックの編集に参画することが期待されます。その継
続的な参画によって、プラチナ構想ネットワークが広がれば広がるほど、プラチナ構想
ハンドブックは質も量も進化していくでしょう。このWEB サイトにはその仕組みが用意
されています。

別の視点では、プラチナ構想ハンドブックは、プラチナ構想を実践しようとする人にとっ
ては必要な知識を得る専門図書館であり、関係する専門家や識者と出会う場所であり、
志を同じくする同志との出会いの場であることを目指しています。ぜひ、お読み頂いて、
今後の行動のご参考にしていただければ幸いです。

プラチナ構想ハンドブックのサイトは、12月28日オープンの予定です。今回はまだ情報
発信の機能だけですが、次のステップで参加型にしていきます。オンラインでの編集参
加も大歓迎です。既に機能は組み込んでありますが、支援系スタッフの整備が出来てい
ませんのでその部分は公開していません。ともあれ見てください、そしてコメントを下
さい。そして本もぜひお読みください。
http://www.platinum-handbook.jp

[目次]
提言 プラチナ構想

第1部 21世紀のパラダイム
 爆発する知識
 有限の地球
 高齢化する社会

第2部 日本が今目指すべきこと
 坂の上を目指した時代
 エネルギーと資源の自給率を上げる
 持続可能なエネルギーシナリオを実現する
 リサイクルで資源の枯渇に対処する
 環境を保全し農林水産業を再生する
 創造型需要の新産業を指向する
 新産業をイノベーションで創成する

第3部 現場からの報告
 プラチナ社会のモビリティ
 創造的ビジネスをめざしたスマート林業の展開を
 低炭素時代の建築ZEB
 学校からはじめる確実なエコが、やがて大きなムーブメントへ
 救急現場からみた日本の医療
 留萌市の医療ネットワーク
 活力ある高齢化社会のための食と健康
 ICT による地域経済の活性化プロジェクト
 プラチナ構想スクールの実施


◆「知の構造化の技法と応用」出版しました◆
この10年ほど展開してきた、学術知識の構造化の研究の成果を俯瞰工学研究所から出
版しました。学術書は商業的に成り立ちにくいので出版が伸びてしまいました。実はこ
の課題を解決するため、俯瞰工学研究所を出版社にしました。ただ、単なる従来型の出
版社ではなく、電子書籍を見据えた出版社にしました。この「知の構造化の技法と応用」
は紙の書籍と電子書籍の二つのメディアとして出版しました。東販、日販という既成の
流通ルートは扱ってもらえませんので、紙の書籍は、書店には並びませんがAmazonで販
売しています。ですから、ネットでお買いください。内容は本メールの「書評」を参考
にしてください。

電子書籍はAppleから発売の予定です。現在電子書籍の書式がほぼ完全に確定しましたの
で、今後急速に開設される電子書店からも販売します。また、この後も、「クラスター
による地域経済活性化(仮題)」、「製造業の俯瞰(仮題)」、「今、そして未来」、
「俯瞰経営学」などの出版を企画しています。

出したい本を出したい時に出せる体制を、(社)俯瞰工学研究所で作った訳です。売れ
そうな本を企画して出版する訳ではないので、ビジネスにはなりませんね。出版のご相
談に乗ります。紙の書籍を作らないで電子書籍だけですと、かなり低コストで出版でき
ます。電子書籍の時代になり、だれでも出版社を始められますが、実際やってみるとか
なり大変でした。まず、ISBNの発番するライセンスの取得、Amazonとの販売契約、Apple
との契約、その他電子書店との契約等です。しかし、自分で出版社を持つのは夢でした
が今リアルになりました。編集、校正は、もっと大変です。コストを回収できるくらい
売れると、持続できますがともかく出版事業を始めました。


◆デジタル書斎の構築4◆
デジタル書斎の成果の一つを紹介します。先般インドに行きましたが、行く前にたまっ
た雑誌から興味を引いた記事を切り分け、すでに紹介した、端をカッターで切りそろえ
て、スキャナーのS-1500で読み込ませpdf化したものを、iPadに移しiBookで読むように
して持参しました。GEの戦略、エコ企業100、日本を救う中小企業100、世界が見
たNIPPON、ジョブス天才の軌跡、TPPアメリカの本音、TPP論争の不毛、瀕死のアメリカ
は復活できるか、HTML5って何?、Google+は終わった、物欲と脳、才能とは、サイバー
戦略、中国のスパイ戦略、・・・等31本です。殆ど往きのフライトで読み終わりました。
何しろ、適度に拡大すると、すごくするすると読めます。前回の海外出張も同じでした。
隙間時間がきわめて有効活用できます。購読の雑誌が多くて読み切れずいくつか中止し
ましたが、この調子になって再度購読雑誌を増やそうかなと思うようになりました。情
報収集能力がかなり強化されました。この中でお薦めの記事?GEの戦略(Courier Japan)、
エコ企業100(News Week)、日本を救う中小企業100(News Week)ですね。

クラウドに電子書斎の書庫を置くために、Dropboxと Evernoteが有効というか必須とい
う話は既に話しましたが、Web情報の収集にInstapaperというソフトウェアが役立ちます。
特に外でiPhoneでWebを見ているとき、面白そうだけどちょっと長いから後で読みたい時、
URLをメールで自分に送っておくのも良いですが、iPhone のSafariにInstapaperに送る
を、設定しておいて、これに置くと、クラウドのInstapaperに収納され、あとでパソコ
ンでもiPadでも、無論iPhoneでもInstapaperで読めますので、先に述べた、隙間時間を
うまく使えます。Instapaperは無料のアプリです。パソコンでWebを見ているときには、
ブラウザーに組み込んだEvernoteで、ページ全体をクリップする、を使えますが、一旦
Instapaperに置き、読んであまり価値がなければ、捨てて、保存する価値があるものは、
Evernoteを含めしかるべきところに保存すればいいと思います。不必要なものをため込
むとデジタル書斎といえどもごちゃごちゃになり、肝心なものが出にくくなります。何
事も捨てる勇気!が肝要です。SafariにInstapaperに送るを、設定するのはちょっと解
り難いと思いますが、ネットに親切なアドバイスが出ています。

iPhone4からiPhone4Sに代えましたがあまり変化を感じません。むしろ使用環境のWiFi
環境に大きく依存します。WiFi環境がいいところにこれから人が集まるでしょう、陽だ
まりに人が集まるように。以外にインドがダメでした。中国もロシアも。freeの良質の
WiFiを提供することはこれから重要なことだと思いますが、までうるさくIDやPWを聞く
無料WiFiと称するものがありますが、かえって煩わしくて困ることがあります。直に、
電車の中に無料WiFiが提供されるでしょう。

pdfファイルをiBookに収容
http://www.atmarkit.co.jp/fwin2k/iphonetouch/05pdfvw/05pdfvw_02.html
InstapaperのiPhone設定
http://www.juno-e.com/iphone/2009/03/iphone-instapaper.html


◆書評◆
今月のご紹介は、「知の構造化の技法と応用」松島克守 他(社)俯瞰工学研究所 2011

本書は、東京大学の俯瞰工学研究室(松島研究室)において展開された学術知識の構造
化の研究成果の発表です。

学術論文の引用ネットワーク分析の技法の解説と、それを応用して社会がソリューショ
ンを必要としている、環境学、老人学、教育学、エネルギー、太陽電池などの分野の俯
瞰マップを作成して、その解説をしてあります。これを踏まえて、自身の立ち位置の確
認、政策、企業活動、創業などを議論し、計画してください。

内容は目次で見た方が解り易いでしょう。自書ですのでコメント無しにします。第3章、
第4章だけでも面白いでしょう。第2章は技法を説明していますがあまり易しくありませ
ん。第5章は意欲に満ちていますが、内容はかなり専門的です。老人学、教育学は殆ど今
まで公開していませんので興味深いと思います。本邦初公開の図表も多く、視る方の知
力と洞察力に十分応えるものと思います。電子書籍としても出版されます。易しい本で
はありませんが、カラ―の豊富な俯瞰マップが興味と連想を誘うでしょう。

巻頭言 小宮山宏 前東大総長

第1章 知の構造化とは
1-1 俯瞰工学からの展開
1-2 情報科学による知の構造化
1-3 知の構造化の応用

第2章 ネットワーク分析と引用分析よる学術俯瞰
2-1 関係の表現法としてのネットワーク
2-2 ネットワーク分析の基礎技術
2-3 引用分析の基礎技術と評価
2-4 知の構造化への応用技術
2-5 まとめ

第3章 知の構造化プロジェクト:学術俯瞰マップ
3-1 サステイナビリティー学の俯瞰マップ
3-2 エネルギー学の俯瞰マップ
3-3 ジェロントロジー(老人学)の俯瞰マップ
3-4 教育学の俯瞰マップ
3-5 経営学の俯瞰マップ
3-6 まとめ

第4章 知の構造化プロジェクト:テクノロジーロードマップ
4-1 なぜ今、技術ロードマップが必要か?
4-2 技術ロードマップとは
4-3 技術ロードマップの具体例
4-4 技術ロードマップの機能
4-5 既存のロードマップ作成手法
4-6 知の構造化による技術ロードマップ作成
4-7 太陽電池の俯瞰マップ
4-8 知の構造化による太陽電池のロードマップの作成と評価
4-9 まとめ

第5章 新興学術分野の早期発見手法
5-1 イノベーションの萌芽を発見する
5-2 新興学術分野の早期発見手法
5-3 漸進的イノベーションと急進的イノベーションの事例
5-4 ハブ論文のネットワーク中での位置づけ
5-5 まとめ

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◆内容・記事に関するご意見・お問い合わせ/配信解除・メールアドレス変更
右記まで  webmaster@fukan.jp
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◆俯瞰 MAIL 0012号(2011年12月24日)
発行元:  一般社団法人 俯瞰工学研究所
発行責任者:松島克守
URL: http://fukan.jp
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俯瞰 MAIL 011 号( 2011 年 11 月 21 日)

皆様
◆季節のご挨拶◆暖かい11月の下旬になりますが晩秋の感じ出ません。温暖化の為かと思うと気になります。東南アジアの洪水にしても異常で、人類は有限の地球の枠を踏みだしてしまったのかと思わせます。世界人口70億人、子供の頃は30億人と社会科で習った記憶が有ります。-----------------------------------------------------------------------------・海南島に行ってきました・南シナ海の波高し・プラチナ構想ハンドブックの編集進んでいます・俯瞰工学研究所から電子書籍の出版・デジタル 書斎の構築3・書評 : 「プランB 4.0 人類文明を救うために」-----------------------------------------------------------------------------
◆海南島に行ってきました◆海南省の招聘で講演にいきました。演題は「地域クラスターによる地域経済で活性化」です。海南島は初めて行きましたが、とてもいい所です。気候が温暖で中国のハワイと呼ばれて、リゾートの集積が凄く、中国の5星のホテルの大半がこの島にあるとまで言われています。省長はもっと5星のホテルを、と言っているとのことで、今もホテルの建築ラッシュです。バブルそのもので、カジノも力をいれているようです。
とにかく、人々が穏やかで皆さんいい顔をしています。北京や上海と違って、テンションが低くて、こちらもリラックス出来ます。ご担当の海南省科技庁のディレクターのウーさんは、群馬大学に滞在したことも有り、博多の総領事や大使館の一等書記官を歴任して、生まれ故郷の海南島で国際科学技術連携の責任者になっています。会うと向こうから、「一等書記官の時東京でお会いしまししたね」と言われ面くらいました。人の縁、交流は大切ですね。直接日本と戦をしていない事も関係あるかもしれません。
島の最南端、すなわち中国の最南端の海岸に有名な南山寺という仏教の施設が有り、目の前に南シナ海が広がります。この景色をみれば、南シナ海は中国の海と思うのも無理ないか、と思うと同時に、すぐ右手にはベトナムの陸地が見え、ベトナムの人も、目の前に広がる南シナ海が自分の海と思い、フィリピン、インドネシアの人も同じ思いでこの南シナ海を見ているのでしょう。領海問題は難しいのですね。ところで、最近中国は竹島のことを独島と呼ばなくなったようです。

◆南シナの海の波高し◆南シナ海での強硬な中国海軍の活動、ミャンマーでの軍港租借、尖閣列島、台湾への圧力等々で、アメリカは4500億ドルの国防予算削減の中で、遂にオーストラリアの北部に海兵隊を配置するという行動に出ました。中国は不快感を表明し、インドネシアも歓迎しませんが、フィリピン、ベトナムはホッとしているかもしれませんね。もしかすると中国はアメリカを刺激しすぎたと悔やんでいるかもしれません。此れまで、穏やかな対立関係を志向してきたアメリカの一大決心です。宇宙の「神船」のデモンストレーション、そして繰り返されるサイバー攻撃にアングロサクソンが反応してきたと思います。東アジアにおける3つの大国は、日本、中国、そしてアメリカですが、日本の外交はどう対応できるのでしょう。
今、議論沸騰のTPPはこの対立の構図の真ん中にあります。そして、日本は日米同盟の強化に動いたわけです。中国も日本に対して此の所、比較的丁寧に対応してきましたが、これからどうなるのでしょう。日本以外のこの地域のTPP交渉参加国の顔ぶれは、シンガポール、オーストラリア、シンガポール、マレーシア、ブルネイ、ベトナム、ニュージーランドです。ベトナム以外は旧英連邦の国です。日本参加の重みを感じますね。あとこれに米州のアメリカ、ペルー、チリです。鉢巻姿でTPP絶対反対と叫ぶ、JAと医師会の方々はこんなことは関係ないのでしょうね。
国民レベルは此の様な政治家の思惑や利権、そして軍部の迷走に関係なく、連携を進めて行きましょう。

◆プラチナ構想ハンドブックの編集進んでいます◆プラチナ構想ネットワークの活動の一つ、これに関連する情報と知識を構造化して統合する、プラチナ構想ハンドブックの編集が俯瞰工学研究所で進んでいます。プラチナ構想ハンドブックは、紙の書籍と、電子書籍、そして知的ウェブの3つの形態で実装されます。紙の書籍はプラチナ構想の基本的な提言と、その展開の解説論文です。考え得る限りの日本最高レベルの専門家に参画して頂きました。既に19本の論文を編集中で、1月に日経BP社から出版の予定です。
紙の書籍は、こまめな改訂が出来ませんし、動画や音声、スライドショーなど多様な表現の情報が収録できません。この紙の書籍の改訂版と、マルチメディアの情報の部分を、電子書籍で提供する予定です。
紙の書籍も電子書籍も一方的な情報発信でしかありませんが、知的ウェブでは双方向のコミュニケーションや集合知、議論など参加型の形態が可能になります。電子書籍は紙の書籍が落ち着いた春になると思いますが、知的ウェブは最初のバージョンを何とか年内に公開したいとスタッフががんばっています。

◆俯瞰工学研究所から電子書籍の出版◆電子書籍について一年以上、俯瞰工学研究所で調査研究してきましたが、技術的、ビジネス的に準備が出来て、いよいよ12月に第一弾が発行されます。「知の構造化の技法とその応用」です。東京大学の俯瞰工学研究室、即ち松島研究室の研究成果を纏めたものです。環境学、老人学など多分野複合型の学術俯瞰や、エネルギー、太陽電池、燃料電池など先端技術の学術俯瞰とその解説を収録しています。その基になっている技法も解説してあります。
この出版は、電子書籍と従来の紙の書籍の二本立てです。まだ日本の電子書籍の流通がはっきりしないことと、電子書籍を読む機器、人が少ないため当分はこのスタイルでいきます。電子版は、タッチパネルの携帯端末で自由に持ち歩けて、思いついたときいつでも見ること、読むことが出来る。また、図番や文字を拡大してみることも出来きます。紙の書籍は、Amazonから直接に販売し、電子書籍はとりあえずAppleから販売を予定しています。日本の電子書籍の流通が整備されれば順次そちらでも販売します。この後、地域クラスター、俯瞰経営学などの出版を予定しています。

◆デジタル書斎の構築3◆書斎の紙情報の整理をデジタル書斎の構築1で、基本的なソフトウェアについて2で解説しましたので、今回はいよいよ本質的な知的作業について話しましょう。知的創造で最も重要な事は、興味の対象、即ち研究対象を明確に持つ事です。学術研究者にとって、研究テーマとの出会いが運命を決めると言ってもいいでしょう。それが金鉱脈であれば、結果も出ます。其の為に、数多くの論文を読みます。その時間が長い。特に博士号取得後、次の目標を見つける時間が、研究者として独り立ちする時間です。これはプロフェッショナルの世界です。
学術研究者でなくても、あることに強い興味を持てば、その時から、猛烈に知的活動が活発化します。知的活動は基本的に、情報の収集、分析、編集の3プロセスです。
先に述べた様な明確な探究心があると、この情報の収集のプロセスが活性化するのです。例えば、再生エネルギーとか、リサイクル、健康、中国、映画、料理、古代史などに特別な興味を持った時には、頭の中にその情報ファイルのフォルダが出来ます。そして新聞を読んでも、雑誌を見ても、テレビを見ても情報の方から声を掛けて来るようになるのです。
情報源は無数に有りますが、まず新聞です。とんでもなく良質の情報が、毎日届けられるのです。朝時間を掛けて新聞を読み、自分のテーマに関連する記事を切り抜く作業を何十年も、習慣としてやって来ましたが、このスクラップの作業は、電子版で極めて効率的に出来るように成りました。日経新聞を購読している方には、1000円追加して電子版の購読を強くお薦めします。記事の保存ができ、検索が出来ますので、紙のスクラップとは全く違う次元です。更に、記事だけマウスで選択して、前回紹介したEvernoteでクリップしておくと最先端技術による、デジタル書斎の作業の世界に入ります。クラウドのEvernoteに放り込んで置いた記事は、通常のGoogle検索した時、GoogleはEvernoteの中の情報も一緒に検索対象にするので、ある時突然スクラップした記事が飛び出して来ます。これは紙のスクラップブックでは出来ません。
国際的な情報はBBCのニュースサイトが圧倒的に良いですね。ただ英語なので、日本語で提供されるGoogleニュースの国際ニュースもかなりいいです。これ等もEvernoteのクリップで、デジタル書斎の情報庫にいれて置きます。英語のウェブ情報を読むなら、Google ChromeまたはIEの拡張機能にある、Weblioのアドオンを入れる事をお薦めします。知らない単語の上にマウスを移動するだけで、研究社の英和辞典がポップアップされて、辞書を引くという作業が自動化されます。紙の世界とは異次元の知的生産性です。Weblioは、Google Chromeのツール⇒拡張機能⇒Weblio英語エクステンションで(有効)を確認して、さらにそのオプションで、「英単語にマウスカーソルを合わせると検索」を確認して下さい。
長くなるのでこの続きは次回にしましょう。iPhone 4Sも入手してありますがその評価も次回に。

◆書評◆

今月のご紹介は、「プランB 4.0 人類文明を救うために」レスター・ブラウン著 木村由香里他訳[環境文化創造研究所 編集協力] 2010 ワールドウォッチジャパン
本書は、地球環境問題の専門家であるレスター・ブラウンの提言書です。彼は農学を修め、米国農務省で活動したのちワールドウォッチ研究所、アースポリシー研究所を創設して「地球白書」などにより環境保全の行動を呼びかけています。
従来どおりの生活、産業を続け世界の終焉を迎える事を「プランA」と呼び、社会、生活を革命的に変えて地球上で持続的な人類社会を実現する行動計画を「プランB」として提案しています。即ち、人類文明の存続は「地球環境が『限界点(threshold)』を超える前に、人類社会が『転換点(tipping point)』を形成出来るか、に掛っているという警告です。
冒頭の「はじめに」の最後の言葉が気に入りましたね。環境保護活動家のポール・ホーケンの言葉ですが「何が不可能か知っている人たちの為に、意欲を失ってはいけない。やらなければならない事に取り組んで、その取組が終わってから、不可能であったかを確かめよう」です。要するに出来ない理由をうまく説明する人の話は聞くな、まずやってみよう、結果を議論すればいい、という事です。企業活動や全てに言えますね。私も学生に、出来ない理由を開口一番口にする「癖」を直し、最悪でも「Yes、・・・、but・・・」の構文で話すようにと指導してきました。
彼の危機感の基底は、地球温暖化により、ヒマラヤやチベットの山岳氷河が消滅し、北極と南極の氷が融解し、そしてこれに伴う灌漑システムの崩壊と海面上昇による水田の喪失が起こり、結果として食糧の安定供給(フード・セキュリティー)が脅かされ、最悪の結果は食糧の争奪戦争になり人類の文明が滅びる、という事でしょうか。さらに人口増加と、新興国の経済成長による、穀物から畜産品への移行が食料供給をさらに危うくするという事です。地下水の汲み上げによる灌漑システムも、既に限界を超えているという事です。日本は例外的に雨量が多いので表層水だけで灌漑している幸運な国です。つまり日本の絶対的な優位性は水資源に恵まれているという事です。
ですから文中、彼は繰り返し貴重な食料であるトウモロコシや大豆から燃料のエタノールを生産する暴挙を咎めています。前に紹介したポール・ホーケンの言葉、「今、私たちは、未来から盗んだものを、現時点で売り、国内総生産と呼んでいる。未来から盗むのではなく、未来を救うことに基づいた経済にすることは同じくらい簡単だ。未来の為に資産を築く『修復』か、未来の資産を奪う『搾取』か、どちらかを選ぶことが出来る」を引用しています。お二人はいい関係ですね。
そして、7つの提案からなる「プランB」を解説しています。それは、1.炭酸ガス排出を削減するエネルギー効率の革命、2.再生エネルギーへの果敢なシフト、3.持続可能でウェルビーイング(well-being)な都市設計、4.貧困を解消して人口を安定させる、5.環境を修復する、6.フードセキュリティーの実現、7.公正な市場の構築と、補助金と課税のウィン・ウィン戦略、です。この詳細を事例や数字を引いて解説しているのが本書です。
日本について幾つか言及していますが、日本の家電でエネルギー効率化をさせたトップランナー方式を世界で最も強力なシステムである、と高く評価しています。即ち、最高の効率の製品を基準にする事で15-80%、の改善を実現したと。また、「日本の新幹線は、四十数年間に数十億人の乗客を運んだが、鉄道事故による死者は一名もいない。到着の遅れは平均20-30秒ほどである。現代の『世界七不思議』を選ぶとすれば、“新幹線”は間違いなくその一つに選ばれるだろう」と、これは称賛を超えています。
彼のユニークなのは提案する「プランB」の予算を算定している事です。それは1870億ドルでアメリカの軍事予算の約三分の一であり、世界の軍事予算の13%に相当するとあります。ちなみに2009年半ばで、イラク戦争の戦費は約6420億ドルであると。
彼が挙げている社会変化の三モデルが面白いですね。一つは「大惨事警鐘モデル」、劇的な事故が我々の思考や行動を抜本的に変える。二つ目は「ベルリンの壁モデル」、長い時間を掛けて思考や姿勢が変化して社会が特定の問題で“転換点”に達する。三つ目は「サンドウィッチモデル」、活発な草の根運動が特定の問題で変化を促し、これと強力な政治のリーダーシップが呼応する。幸か不幸か日本は「大惨事警鐘モデル」になっていますが、これを機に思考と行動を根本的に変える決意が必要ですね。この本は2009年以前の発行ですが、まさか地震や中国の事故の予兆を感じていたのでしょうか。
最後に、「世界が直面している環境問題について私に何が出来るでしょうか」とよく質問されるそうですが、相手はライフスタイルの変化についての答えを期待していると判っていても、「政治に参加することである」と答えるそうです。
=======================================◆内容・記事に関するご意見・お問い合わせ/配信解除・メールアドレス変更右記まで  webmaster@fukan.jp……………………………………………………………………………………………◆俯瞰 MAIL 0011号(2011年11月21日)発行元:一般社団法人 俯瞰工学研究所発行責任者:松島克守URL:http://fukan.jp/=======================================

 

 

俯瞰 MAIL 010 号( 2011 年10 月 15 日)

皆様

◆季節のご挨拶◆

季語の「釣瓶落とし」の通り彼岸を過ぎて日は随分と短くなりましたが気温は思った
より暖い日が多く、上着も手に持つ日が多いこの頃ですが、すぐに秋らしくなるで
しょう。13日青森に行きましたが今年はきれいな紅葉が始まっていました。

◆スティーブ・ジョブスが逝った◆
スティーブ・ジョブスが56歳で逝きました。世界中からその死を惜しむメッセージが
発せられていますが、個人的にも感無量です。パソコンを創り、そのパソコンに引導
を渡して逝きました。ITの世界の本当のリーダーだったという事を改めて認識させて
くれました。そしてリーダーとは、という事も。彼の最後の手紙、これは辞世の句、
彼は本当の侍ですね。

生前の彼の言葉が多く紹介されていますが、読み返しても凄いことを言っていたのだ
なと、再認識させられます。例えば、「デザインとは、人間が作った創造物の基本と
なる魂であり、・・」とありますが愛用しているiPhoneは彼の分身だったのです。ス
タンフォード大学での講演「ハングリーであり続けろ。愚かであり続けろ」も凄いで
すね。YouTubeにその映像があります。

Web上に無数の情報はありますが、俯瞰工学研究所のサイトの「ジョブスの言葉」に
いくつか置いておきます。1991年にスティーブ・ジョブスとビル・ゲイツがITの未来
を語った20年前の記事がたまたまファイルの中から見つかりましたのでそれも置いて
あります。
http://www.fukan.jp/%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%83%96%E3%82%B9%E3%81%AE%E8%A8%80%E8%91%89/?logout=1


◆サンクト・ぺテルブルグに行ってきました◆
9月の末にサンクト・ペテルブルグに行ってきました。まず、空港がとても小さいの
でびっくりです。羽田の国際線より小さい感じです。

日産自動車の工場とそのサプライヤー、そして地元の建機メーカーを見学してきまし
た。トヨタ、GM、フォード、現代そして日産と工場がありますが何れもノックダウン
を小規模に始めたばかりで、想像していたよりずっと小規模で、当地の自動車産業も
これからです。サプライヤーの集積も僅かで、中国の自動車産業の数年前の状態です。
ただ凸凹ありますが年間200万台くらいの市場規模で近く400万台になるという
事ですのでやはり潜在的な市場としては大きいでしょう。因みに日本市場は500万
台で飽和しています。高速道路は市中心部を囲むルートが完成しつつありこのルート
上に工場はありますが、その周囲は、殆どは広大な原野のままです。地元の企業は、
広大な荒廃したかつての国営工場の後の一部の建屋を借りて生産を始めたと云う所で、
製造業はこれからだと現地の人も言っていました。資源関係に投資と開発が集中して
いて製造業は後回しの感じです。

滞在中に、プーチンの大統領選出馬の発表がありましたが、地元の人は白けた感じで、
これでまた変革が遅れるだろうと言っていました。国内のニュースは信用せず、イン
ターネットの情報を見ているようです。インターネットはかなり自由でかつWiFiはホ
テルなどではよく整備されていました。

街、凄いですね。歴代の皇帝が西欧文化を積極的に導入して、ある意味コピーしたの
で極めてヨーロッパ的です。なにしろ皇帝がオランダの造船所でインターンシップし
たくらいに貪欲に西欧文化を取り入れています。バルチック艦隊が出動した軍港もあ
りますが、当時のこの街、この軍隊を見た日本人は日露戦争の開戦に躊躇したでしょ
うね。当時の東京とは比べようもない大都会だったでしょう。結果、日本はロシアに
勝った唯一の国です。

ナポレオンも、ヒトラーも敗退しました。「ビストロ」という言葉は、ナポレオンを
追ってパリに進駐したロシアの軍人が、レストランで「早く、早く」と急き立てた時
のロシア語がなまったものだというと通訳が教えてくれました。この通訳は小泉首相
の訪ロでも通訳を務めたとのことで、日本ついては詳しかったですね。

しかし、数多くの豪華な宮殿を農奴の犠牲の上に作り続けた怨嗟で、ロマノフ王朝は
倒されたという事も納得がいくような、華美でベルバラ的趣味の宮殿がいくつもあり
ます。


◆台湾の高雄に行ってきました◆
10月の初めに台湾の高雄に学会の招待講演で行きました。台湾は何回か行きました
が、高雄は初めてです。成田から直行便があります。行ってみると学会は観光ビジネ
スの会議で、なんで私が呼ばれたか判りませんでしたが、聞いてみると日本語のでき
る人は日本のサイトを見ていて、おまけに拙書「地域新生のデザイン」を持っている
人もいてびっくりしました。講演は「地域クラスターの作り方」を英語でしましたが、
中国語への通訳の人の知的レベルが素晴らしく、内容を完全に理解して自分の話のよ
うに話しているので、聴衆は非常によく理解できたことを、質問の時間に理解しまし
た。

国立の観光大学がいくつもあるのにいささか驚きましたが、一緒に招待されていたニュ
ージーランドの教授から、ニュージーランドの基幹産業は観光と教育で、その為、観
光学科が多くあり人材を供給しているという話で、どうも日本人は、産業=製造業と
いう固定観念に侵されているという事が判りました。

台湾の人たちはともかく明るく前向きで、男子はおとなしく女性は元気がいいという
印象を受けました。親日的で気持ちのいい滞在が出来ます。日本と台湾の連携は今後
深まると思います。街は比較的清潔で中国の先の世界にあると思いました。

即ち、台湾、韓国、シンガポールは日本に続き、先進国になったという実感がします
が、この後のアジアの国々はこの水準までいけないのではないかという感じが最近し
ます。水、食料、エネルギー、高齢化と成長のハードルが高くなってしまいました。


◆ビジネスモデル学会が10月29日に東大本郷で開催されます◆
大会のテーマは「3.11 それから」です。下記のような貴重な講演を準備できました。
これを聞かずして、3.11を語るなかれ!

< 日時と場所 >
開催日時:平成23年10月29日(土)10時-18時 交流会18時-20時
開催場所:東京大学本郷キャンパス工学部新2号館 (アクセス)

< 主な講演 >
-基調講演:「3.11大震災によって企業経営の何が変わったのか」
 ビジネスモデル学会副会長/カーライル・グループ マネージング・ディレクター日本共同代表 平野 正雄 氏
-特別講演1:「空洞化の実態と真の国益」
 タイ王国政府政策顧問 松島 大輔 氏
-特別講演2:「甦れ!ヘドロから咲く花」―被災地支援の一般法則―
 元農林水産省生産局花き産業振興室長/京都大学経済研究所准教授 佐分利 応貴 氏
-特別講演3:「激闘240日!現場からの報告」―本物の復興に向けて、これからが勝負だ!―
 事業創造大学院大学准教授 赤木 弘喜 氏
-特別講演4:「BCPの反省と再構築」
 危機管理対策機構理事 細坪 信二 氏

< 会員発表 >
-会員発表1:事例報告
 海外での大災害等発生の際の情報伝達方法の現状と課題
 外務省(在ハンガリー日本国大使館三等書記官兼副領事)天野 真吾 氏
-会員発表2:研究論文
 大規模災害を想定した地方空港の新たなマネジメントモデルの提案
 慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科 特任准教授 湊 宣明 氏
-会員発表3:事例報告
 震災時における民事責任法の役割
 ―風評被害リスクマネジメントとビジネスモデルの構築―
 拓殖大学政経学部 講師 露木 美幸 氏
-会員発表4:研究論文:
 書籍流通における効率配送のビジネスモデルの研究
 ―予測法の開発と店舗送品支援システムの構築―
 東京大学 工学系研究科 システム創成学専攻博士課程 松島 和史 氏

< パネルディスカッション >
ディスカッションテーマ:「3.11 それから」
モデレーター:
 ビジネスモデル学会 松島 克守 会長
パネラー:
 危機管理対策機構理事 細坪 信二 氏
 事業創造大学院大学准教授 赤木 弘喜 氏
 元農林水産省生産局花き産業振興室長/京都大学経済研究所准教授 佐分利 応貴 氏
 タイ王国政府政策顧問 松島 大輔 氏
 ビジネスモデル学会副会長 平野 正雄 氏

http://www.biz-model.org/


◆デジタル書斎の構築2◆
前回は書斎に散らかる紙のpdf化を取り上げましたが、既に製本されている報告書等
については捨てるのが一番ですが、それでも電子化して保存したい向きは、LION
PAPERCUTTER PCA4-PNというカッターを購入して端を、5-8ミリ程度切り落として
S1500でスキャンすれば簡単にpdf化できます。10ミリくらいまでは一度に切り落とせ
ますがそれだけに危険でくれぐれも指を切らないようにお願いします!スキャン前に
ジャムらないように原稿をさばいておくといいでしょう。

次に名刺です。これも長年苦労しましたが現在の結論は、20枚ずづくらい、S1500で
読み取り、S1500付属の「名刺ファイリングOCR」でOCR化することです。スキャンの
前に設定でアプリケーションを「名刺ファイリングOCR」に切り替えて置く事。読み
取りは片面で十分でしょう。メールは字が小さいので、白黒400dpiにしておいた方が
いいでしょう。名刺管理のポイントは読み取りミスを気にしないことです。OCRはミ
スもりますが、イメージも保存されるので、必要がればその時見ればいいですから。
私は氏名とメールアドレスは修正しています。仕事によっては企業名も修正する必要
がありますね。住所・・・気にせず放っておきます。これで名刺は全部捨てられます。
この気分は最高です。

書斎のデジタル化に必須のソフトウェアは、DropboxとEvernoteです。両方ともクラ
ウドの無料サービスですが、ここは少しお金を出して有料にしておきます。有料です
と、Dropboxのクラウドの容量は50Gになります。Evernoteはローカルのホルダーが
置ける事と、クラウドにアップする容量が無制限になります。容量が大きくなること
よりもローカルのフォルダーが便利です。

Dropboxの使い方ですが、パソコンのドライブCの直下にDropboxというフォルダーを
作り、そこにマイドキュメントを丸ごと移動します。動画やビデオは容量が多いので
中に入れない方がいいでしょう。システムがローカルのDropboxのホルダーとクラウ
ドのDropboxのフォルダーを自動で同期します。バックアップも自動でとります。ファ
イルも間違って消したファイルも戻せます。これが凄い!

これで、複数のパソコン、iPad、iPhoneでどこでもマイドキュメントが共有が出来ま
す。ユビキタス環境の実現です。iPad、iPhoneの場合はGoodReaderというソフトウェ
アを機器に導入して置くと、クラウドのDropboxのデータを機器の中のストレージに
収納できますので、ネットワークが繋がらない環境でもそのドキュメントを見れます。
あらかじめそのようなドキュメントをGoodReaderにダウンロードしておきます。これ
もほとんどワンタッチです。

Evernoteはちょっとした情報をメモしておくツールです。IEやGoogleChromeに
Evernoteのプラグインを入れて置くと、気になるサイトの全体や、記事、URLをワン
クリックでクラウドにしまって置けます。ブックマークよりはるかに便利です。

手書きの白板の情報や、バス停の時間表の写真・・なんでもメモできるうえに、画像
の情報はOCRしておいてくれますので、あとで検索できます。機器のシリアル番号も
写真にしてEvernoteに入れています。iPhoneの写真もそのままEvernoteに送れます。
ただ写真はとりあえずそのままiPhoneの写真ロールに置いておいて別途パソコンにバッ
クアップ、ですが。さらに、こうして放り込んで置いた情報はGoogleの検索エンジン
が一緒に検索してくれるので、思わぬ時に情報が浮上します。紙のノートでは不可能
でしょう。これも凄い!

ざっと書きましたが、これだけで知的生産性は驚くほど向上します。ただ本質的な知
的能力が向上することは勘違いしないでください。
詳細わからない人は近くのiPone愛好家に質問してください。

次回?


◆書評◆
今月のご紹介は、
「暴走する文明」 ロナルド・ライト著 星川淳訳 2005 日本放送協会

本書は、歴史家であり作家のロナルド・ライトの著作になります。俯瞰学の手法の一
つは時間的俯瞰ですが、歴史学は時間的俯瞰から独自の解釈と認識の構造を引き出す
ものです。一読に値する一冊です。「我々はどこから来たのか?我々はどこに行くの
か?」というゴーギャンの問いからこの本の語りは始まります。この絵の写真は、
(社)俯瞰工学研究所のサイトの「特別な写真」に置きます。

このまま野放図な消費を続ければ、地球環境の破壊とともに人類も滅亡するという警
告の書です。墜落した飛行機から回収したフライトレコーダを読み解くように、過去
に滅亡したイースター島、シュメール文明、マヤ文明そしてローマ帝国の凋落のプロ
セスを読み解きいくつかのパラダイムと警告をしています。

この本では「文化」とはある社会の持つ知識と信条と実践の総体をさし、「文明」と
は特殊な文化をさすとあります。ただ、文化のすべてが文明であるとは限らないとも
あります。人類の歴史の99.5%は旧石器時代であり、文明の発祥以来の時間は
5000年ほどで70年の生涯を70ほどつないだものだという時間感覚を強調していいます。

イースター島は、火口湖からの花粉の分析では、かつては水も植物も豊かであったが
移り住んだ人類の野放図な消費と持ち込んだネズミにより木一本ない島になったとあ
ります。石造信仰にすがり、ほかの島に行くカヌーを作る木もなくなるまで切り倒し、
その為に、最後の木を切り倒した人たちは、最後の一本であり、もう二度と木が生え
ることはないことを承知で切ったはずだとあります。無制限の人口増加、資源の浪費、
環境破壊、宗教が保証する未来という狂信の実験を見せてくれたとあります。

メソポタミアのシュメール文明も同じように、現在のために未来を犠牲にして、天然
資源の最後の一滴まで絞り尽くすというイースター島と同じふるまいの末滅亡し、古
代の都市跡を取り巻く現在の砂漠はその住人達が作ったものだといっています。

ローマ帝国がなぜ凋落したか、疫病、蛮族、鉛毒、狂気の皇帝、腐敗、キリスト教と
ありますが、複雑なシステムは必ず収穫逓減に屈するという原理、そして帝国の土壌
が疲弊すると、環境負荷を植民地に輸出し、その結果周辺も疲弊し、周辺のローマ都
市の遺跡は今は砂漠の中にあると。

「ピラミッド体系」というパラダイムも面白いです。ローマとマヤの歴史から、文明
がしばしば業績拡大の間だけ儲かるピラミッド型「マルチ商法」のふるまいを見せる
とあります。即ち文明は拡大する周辺から富を吸い上げるので、絶頂期に不安定にな
り、さらに前進する唯一の道は自然と人間から新たな借入金を絞り続けることとあり
ます。日本、米国、そしてこれからの中国に思いを馳せると意味深長です。マヤの高
塔群はすべて最後の1世紀に建てられたものだと。マヤは人口過剰と農業の失敗で崩壊
したと結論付けられています。

エジプトと中国は多くの文明が千年前後で滅亡したのに対し、ともかくその後、三千
年残った。エジプトは緩慢な人口増加とナイルの洪水により救われたが、農地を潰し
て都市を建設するほど愚かでなかった、というくだりは弥生以来の美田を潰してきた
日本人には耳が痛いですね。中国は分厚い黄土の堆積層に救われ、さらに南部にこけ
る水田農耕という持続可能な農業システムで残ったとありますが、北部の黄土地帯に
今は水がありません。これは深刻な問題で、中国の経済成長に伴う食糧需要と干ばつ
による農作物の不作のため、既に世界の食料価格は2倍に上昇しています。(文末のURL)

人口は食料供給の限界まで増加し、富が社会の階層の上層に集中するため社会全体に
十分な食料が行きわたる事はないという言葉も、重いですね。

最近の反ユートピア小説から引用されている「希望は、一番大きな空約束する政治家
に当選の道を開く」、「我々大半は、手堅く予測可能な清貧より、わずかな希望にか
ける」、「貧乏人が自分を搾取されているプロレタリアートではなく一時的に困って
いる億万長者とみなす」、「アメリカはまだ朝の国と言って省エネをあざ笑うレーガ
ンを大統領に選んだ」という一つ一つが胸に刺ささります。

今や文化や政治システムは異なっても経済的にはただ一つの文明が存在し、地球全体
の自然資源を食いつぶしている、このまま行けば世界的な飢餓と無政府状態と戦争が
起こり、21世紀末までこの文明が生き延びられる確率は五分五分より大きくない、
という事が本書の最終的な警告です。イースター島の住人は最後は殺し合いと人肉を
食らう地獄だったといいます。

ネオコンに対する批判は手厳しくて、規制緩和や減税は、お太鼓持ちのメディアが売
り込んだが、実際のところ大衆は税金が引き下がらなかった。これはいま日本で議論
している法人税を減税して消費税を引き上げるという事かと?

彼は現代人の祖先であるクロマニオン人に滅ばされたネアンデルタール人や、ヨーロッ
パ人に絶滅された北アメリカ先住民に対する同情と愛情を感じさせる記述を随所に入
れています。自身もネアンデルタール人の遺伝子を受け継いでいるとも言っていいます。

http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/4710.html

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俯瞰 MAIL 009 号( 2011 年9 月 14 日)

皆様

◆季節のご挨拶◆
9月も中旬になり、秋刀魚がおいしくなりました。魚屋に行って太った秋刀魚を見る
とつい買ってしまいます。桃も最盛期です。ネクタリンは特に好物ですが高いですね。
暑い日がありますが、もうすぐ彼岸ですから日は短くなりました。政権も交替して出
直しですが、なぜ大臣になると口が軽くなるのでしょうか。民主党には軽い人しかい
ないのか、という話になりかねません。無理して国会議員を大臣にする必要ありますか。

この秋からは、冷静なエネルギーの議論を始めたいですが、それにしてもフクシマ原
発の情報が小出しで、全貌がいまだ解りません。議論のために調査委員会は中間報告
を出してほしいですね。


◆日本経済新聞の「交遊抄」に寄稿しました◆
日本経済新聞9月5日朝刊の「交遊抄」に寄稿しました。
(社)俯瞰工学研究所のサイトの「特別な写真」に載せてあります。多くの方々から
フィードバックを頂きましたが、最後のくだり「良い仕事をすることが良い友人をつ
くる」が好評でした。


◆プラチナ構想スクールの第一期生卒業しました◆
プラチナ構想ネットワークの理念を理解して、各地域で実践する、地域のリーダーを
育成する、プラチナ構想スクールは2月から開講して、26の自治体から次世代を担
う人材が参加しましたが、8月27-28日、いわば卒業論文の「わが街のプラチナ
構想」の発表を全員が行い、小宮山宏校長から修了証書を授与されました。この「わ
が街のプラチナ構想」は多くの人に参考になると思いますので早い段階に公開したい
ですね。
第二期は18自治体が申し込んでいます。この秋からの開講です。


◆日本を取り巻く国際情勢は目が離せません◆
前回は韓国が「日本海」の名称を「東海」とするよう主張していることについて「日
本海」が国際的に認知された表記だ、と米国が断った記事を紹介しました。

今回は事もあろうに野田新首相のフクシマ視察の8日に、ロシア軍は爆撃機2機を日
本列島上空で周回飛行させ、10日には海軍艦艇24隻が宗谷海峡を通過させたと報
道されました。

ここまでやるか?考えるのが日本人の国際情勢の鈍感度でしょう。ここまでやるので
す。反応を見てもっとやるでしょう。中国はマカオがカジノに使うと言って、ロシア
から購入した中古の空母を改装して、南シナ海で演習です。そして日本海に面した北
朝鮮の羅津(ラジン)港を50年租借したという報道もある。日本海の波高しですね。

さらに気になるのは、イスラエルと隣接のトルコ、エジプトが大使をそれぞれ引き上
げるほどの緊張状態になり、ヒラリークリントン国務長官が電話をかけて冷静な対応
を求めるまでになっていることです。

リビアはNATOのごり押しでカダフィ独裁体制を倒しましたが、今後はむしろ不安定な
政情が続かないかと心配です。イラクやアフガニスタンの例もあります。パキスタン
からアフガニスタン、イラン、シリア、イエメン、エジプト、チュニジア、リビアで
戦乱が続いている。これは明らかに第3次世界大戦です。9.11以前に始まったと
言っていいですが、9.11からも10年継続しています。

9.11追悼の式典で、オバマ大統領は式典のあいさつで、「神はわれらの隠れ家、
また力なり。悩めるときのいと近き助けなり。されば、たとえ地は変はり山は海の真
中(まなか)に移るとも、われらは恐れじ」という旧約聖書の「詩篇」の一節を読み
上げ、犠牲者を悼んだ、とありますがこれはあくまでキリスト教徒の立場であり、イ
スラムの貧困な若者には更なるエネルギーを与えることになるでしょう。

イラクではアメリカ軍の撤退が計画されていますが、「終結宣言」以降に死亡した民
間人は自爆テロ等で2600人にのぼります。米国人の戦死は約1000名に上りま
す。戦費もベトナム戦争を超えています。しかし最近では治安上の懸念から、米軍の
一部駐留延長の必要性も指摘され始めました。混乱が続くイラクの現状は、軍事力に
よる体制転換の「限界」を露呈したものです。アフガンも米軍の撤退計画を受け、タ
リバンの攻勢が続いていいます。

重大な問題は、一連のアラブ民主化?の政変の後です。民主化という政変の後、多く
の国がどれほど不安定になっているかは、ホメイニ師のイラン革命が一つの例です。
皮肉なことにエジプトのムバラク政権は極めて親欧米政権でしたし、核放棄後の、リ
ビアのカダフィ政権も親欧米政権でした。

パキスタンからアルジェリアに至る、反ではないまでも親欧米でない不安定なアラブ
情勢は、イスラエルにとっては生存を脅かされる重大情勢です。ヨルダンとシリアの
今後も気になります。ここからこの第3次世界大戦が核まで巻き込んだ大戦争に発展
する危機感が、私はあります。

http://japanese.joins.com/article/688/143688.html?servcode=A00&sectcode=A00
http://www.tv-asahi.co.jp/ann/news/web/html/210909008.html
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&rel=j7&k=2011090900971
http://web.econ.keio.ac.jp/staff/nobu/iraq/casualty.htm


◆地域振興の力を女性からもらう◆
地域振興のプロジェクトにいくつか関わっていますが、これに関する委員会のメンバ
ーが小職を含めてシニアの男性が多すぎるのが気になります。確かに社会経験も豊富
で、人脈を含め影響力がありますが、行動力に欠けます。成功した人ほどめぐまれて
いる故、子育ての真最中の人の感覚と乖離します。

ある県で、「xxxx活性化女性会議」を立ち上げたいと思っています。核となって
くれそうな人にお願いしましたし、県庁のスタッフにも支援をお願いしましたが、結
果はこれからです。地元の活動家の組織化とその行動に対する自治体の支援に加え、
首都圏における強力な応援団の組織化を考えています。

コミュニティーといいますが、地縁がどこまで力になるかが挑戦です。結果は報告し
ます。


俯瞰経営塾を二つの企業と始めました◆
二つの企業の次世代経営者の教育を依頼され、俯瞰経営塾を二つ始めました。
出発点をマネージャーとリーダーの差異の認識、目的をリーダーの教育におきました。
http://www.booknest.jp/detail/00004358


◆デジタル書斎の構築1◆
書斎を持つ、これは男(女)の夢かもしれません。私も40歳くらいの時家を新築して
4畳ほどの書斎をつくりそこで数冊の本を執筆しました。執筆はパソコンでしたが資
料はすべて紙でした。それから20年以上たってICTの発達がやっとデジタル書斎の実
現の水準に到達しました。今は、技術とコストに制限はありません。やる気だけにな
りました。これから数回に分けて、私のデジタル書斎の技法について紹介したいと思
います。

○基本的なハードウェア
1.高性能パソコン
   今、殆どのパソコンはとんでもない高性能ですか、今時はマルチコアのWindows7
  かそれに相当するMACです。ただ書斎のパソコンはノートブックでなくデスクトッ
  プの方がいいと思います。書斎での仕事は長時間です。ノートパソコンは俯き加
  減になり、首と肩がこります。長時間の仕事は高性能のディスプレイが要ります。
  大容量の外付けHDDも要ります。各種の拡張機能のインターフェイスも要ります。
  ポイントは、ディスプレイは液晶で大き目、21インチ以上でピボット機能、即ち
  画面を90度回転して縦長にできるディスプレイがお勧めです。WEB、メール、A4
  文書すべて縦型です。スクロール無しで仕事出来ます。A4が原寸以上の大きさで
  見られます。安ければ3万円くらいからありますが、これも長時間見ますからプ
  ロ仕様のものが好いと思います。例えばFlexScan EV2335Wなど。デスクトップパ
  ソコンは安いです。パソコンもマウスコンピュータなど最先端でもとんでもない
  ほど安いです。

2.スキャナー
  富士通のS1500
  これは必須です。付属のソフトウェア、ScanSnap Organizer、名刺ファイリング
  OCR、そしてAdobe Acrobat 9 Standardが重要です。これが書斎の紙をpdfに
  してくれ、pdfファイルを編集するツールになります。名刺をデータベースにし
  てくれます。

3.裁断機
  CARL DC-210Nは雑誌の記事など端面が不ぞろいな紙資料の端をきれいに切りそ
   ろえS1500でスムーズな読み取りができます。安全です。

4.プリンターはWifi付の複合機が便利ですが、A4のレーザープリンターもあると
   いいです。原稿を書く人は途中打ち出して推敲、校正する時に時間がかからな
   いから。HP製品はAppleのiPhone、iPadと連携できます。

5.iPhone、iPad
  外出先で威力を発揮します。パソコンを持ち歩いてもいいですが。

○基本的なソフトウェア
1.基本ハードウェアに付随するソフトウェアが核ですが、パソコンでpdfの電子書
   籍を管理、読むにはAdobe Digital Exditions(無料)が必要です。クラウドサー
   ビスの、DropBox、Evernoteも必要です。有料会員になっておいた方がいいでしょう。
  これがあればどこでもどのパソコンでも仕事出来ます。メールもGメールで見ら
  れるようにしておきましょう。Google Chromeもブラウザーとして入れて置く
   とEvernoteとの連携が絶妙です。

2.マイクロソフトのオフィスは2010に出来ればしたいですね。最低でも2007にした
   いですね。拡張子が変わりましたから。例えばppt→pptx、doc→docxのように。

3.ユーティリティーは数多くありますが、下記はあった方が格段便利です。以下
  すべて無料:
  圧縮解凍ツール 例えばLhaplus
  ファイルの同期 MSのSyncToy
   iPhone、iPadの利用ではiTunesは必須
  スパイウエア対策に Spybot
  レジストリーやパソコンの掃除に CCcleaner

○紙資料の電子化と整理
1.まず書斎にある紙資料は殆ど不要ですからこの際思い切って廃却する、これが
  大事で後の作業量が激減します。

2.それでもとっておきたい資料で端面が綺麗な資料は、個別にS1500で読み取り、
  pdf化する。あくまで資料単位で、一枚でも別にスキャンする事。スキャン後
  はデータがScan organizerに入るので、スキャンの度に的確な名前を入力して
  おく。これが大切です。しないと日付だけになり後で判別できません。複数の
  pdfファイルを1つに統合することや、分割はAdobe Acrobat 9 Standardで出
  来ます。ただ分割は紙の段階でやって置いた方が手間が掛かりません。

3.雑誌の記事は必要部分だけ切り取る。カッターをうまく使うといいですが、
  これは記事ごとに、CARLの裁断機で端を最小幅切り落とし、S1500で読み取り、
  pdf化します。Scan organizerに入るので前後の不要ページや途中の広告のペ
  ージを削除して、これもすぐ適切な名称を入力します。

4.閉じられた資料は裁断してpdf化することも出来ますが、思い切って捨てるか
  そのままで保存する?業者にpdf化を依頼もできます。

5.pdf化した資料はパソコンのAdobe Digital Exditionsのライブラリーに登録
  します。この時分野別、例えば、旅、食、アート、ファッション、人・・・
  別にブックシェルフを作成し分類して入れると後で見やすいです。電子書籍
  として読む事が出来ます。

6.iPhone、かiPadでこの資料を電子書籍として読むには、iTunesでファイル→
  ライブラリーにファイルを登録する、でします。デバイスをiTunesで同期す
  ればiBookで見る事が出来ます。

○名刺・・・以下次に続く。


◆書評◆
先月はバエンボエムの「バレンボエム音楽論―対話と共存のフーガ」の書評でし
たが、その主題がパレスチナの平和でしたので、この問題の核であるイスラエル
の内情を書いた、

モサド前長官の証言「暗闇に身をおいて」
エフライム・ハレヴィ 著 河野純治 訳 光文社 2007

を今月は、紹介します。

本書はイスラエルの諜報機関として有名のモサド(Mossard)の長官であったエ
フライム・ハレヴィの回想録です。著者は、「自叙伝でも、モサドの功績を綴っ
たものではないがその要素は多分に含まれる」とあとがきで述べています。今
現在、パキスタン、イラン、アフガニスタン、イラク、シリア、ヨルダン、イス
ラエル、エジプト、スーダン、リビア、チュニジアと戦火の中にあります。著者
は1998年のアフリカの二つの都市でアメリカ大使館が爆破された時から「第三次
世界大戦」が始まったという認識をしていますが、我々日本人はその情勢に極め
て疎いですね。本書はそのイスラム系国際テロ組織と真っ向から戦い、周辺のア
ラブ諸国から国家の生存を認知されていないイスラエルのモサドの活動を通じて、
歴史的な変革の意味と、日本の統治機能を再認識する知識をくれます、一読をお
勧めします。

イラン・イラク戦争、湾岸戦争、ユーゴ紛争・・・の内幕やイスラエルの行動に
ついて興味深い話がありますが、本書のハイライトは著者が全身全霊を込めて纏
め上げたイスラエル・ヨルダン和平条約の内幕の部分で、詳細かつ鮮明に記述さ
れたドラマには引き込まれます。エジプトとの和平条約に次ぐ、中東情勢の安定
化を推進する条約を、ヨルダン国王との個人的信頼関係、またはモサドの組織的
な活動で、そして、イスラエル国内の抵抗と妨害を粘り強く解きながら纏め上げ
ていった歴史の証言です。交渉とは何かという事の非常に貴重な教材でもありま
す。時のラビン首相に仕え、彼の政敵であるペレス外相との確執を凌ぎながら、
調印寸前まで条約文書細かな表現の対立を解決していくプロセスは息をのむ迫力
があります。イスラエルは「交戦状態」の終結という表現にこだわり、ヨルダン
は「戦争状態」の終結という表現を譲らない。纏めたくない人がいる。破断寸前
に国王は賢くも「戦争状態」も、「交戦状態」もアラビヤ語に翻訳すれば同じ
「kharb」だから式典の演説で一言付け加えるからと、イスラエルの「交戦状態」
の表現に歩み寄り、演説ではアラビヤ語で「戦争状態―kharb―は終わった」と述
べ出席者の割れんばかりの拍手を得たという。

正式調印までの三か月間にも両国政府内の様々な妨害がありその中で彼が改めて
実感したことは、「…それが人間の弱さ、政治家・権力家者のあくなき野心、対
抗意識、妬み、国民・有識者から認められたい、尊敬されたいという底なしの渇
望といったものが非常によく表れた・・」、と言う下りは印象的でした。

この章で興味深いエピソードを一つ紹介しましょう。首相以下の多数の高官、軍
幹部を入れた徹夜の最終交渉で明け方近く全ての協議が終わった時、ヨルダン国
王は休憩を求めトイレに立った時、ラビン首相はエフラエルを呼び「一緒に行け。
国王を一人にするな。考え直す時間を与えてはならん。もし国王の気が変わった
ら面倒なことになる!」と。国王の後を追い近くのトイレに入り数分間二人きり
になった。深く一息ついてから、国王は「どう思うかと訊ねた・・・・」あとは
読んでください。

この後両首脳はクリントン大統領に電話をかけて両国が最終合意に達したことを
報告して、調印式に出席するよう要請した、と。

アラファトに評価は酷いものですが取分け国際関係のルールが判っていないと言
っています。そのルールはなんと、第一は、政治指導者はメリカ大統領に嘘をつ
いてならない。第二はアメリカ大統領を自己の利益の為に利用しようとした者は
誰も生き延びることはできない、です!日本の普天間問題どうでしょうか。

後は印象に残ったフレーズを紹介しておきます。

「歴史的な責任を自覚して、一般大衆に迎合しない指導者でなければ、国民に新
 たな夜明けをもたらすことは出来ない」
「ラビン首相は部下からの支援や支持がなければやっていけないと、いつも考え
 ていた」
「ラビンは自分がかかわる事項のどんな小さな点も非常に重視する…『悪魔は細
 部に潜む』を厳格に守る信条だった・・・・・詳細な部分についても責任を負
 う姿勢を示す」
「ラビンはクラウゼヴィッツの言う『摩擦の力』の危険性をよく知っていた。力
 と力が接触することでそれぞれの力の方向が変わってしまう事である」
「ヨーロッパ人は領域外の事柄には熱心に取り組むが、領域内の事に関しては、
 あまり真剣に取り組もうとしない」
「公職にあるイスラエル人は、ナチスドイツによってユダヤ人コミュニティー全
 体の三分の一が抹殺れたという事実を持ち出すことを避ける」
「EU諸国では『農業ロビー』からの要望が政治的最優先事項の上位に位置している」
「官僚が提案するときは匿名性が尊重・保護されなければならない。でないと正
 しいという事を提案できなくなってしまう」
「ネタニヤス首相は、ありとあらゆる詳細情報と多岐にわたる考慮事項を瞬時に
 理解し、事態を統率するという恐るべき才能の持ち主である」
「自分が蚊帳の外に置かれていたというのが気に入らなくて反対、と言う人もいた」
「何人もの指導者、政治家、官僚、補佐官たちと顔を合わせたが、・・彼らが心
 の中で繰り返し自問する声が聞こえてきそうだった。『自分にどんな影響があ
 るのか』、『同僚や部下、交渉相手からどう見られるのか』、友人や同僚たち
 が離れたところで、私が始末をつけるのを待っていた、私が失敗したらいつで
 も逃げだせるように、成功が確実になったら駆け寄って勝利と喚起を分かち合
 えるように」
「先見性がなければ民族は崩壊する」
「いかなる決断も、常に不確実な状況下で下される、勝利の美酒に酔いしれたい
 なら失敗の責任を取る覚悟が必要である」
「首相といえども、人間関係、しかも非常に個人的な人間関係にがんじがらめに
 なり、必要なときその特権を行使できない状況になっていた」
「戦略とは何か、十分な定義がほとんどされていない。戦略には学術と技術に基
 づいた計画立案が必要である」
「国が思い切った手段をとることに一般国民が同意するのは、テロ直後から2-3か
 月と言う短い期間に限られている」
「作戦計画には明確な開始日と終了日がある。だからこそみんな一致団結して、
 全力を尽くすのである」

巻末の佐藤優氏の解説も興味深いですね。


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俯瞰 MAIL 008 号( 2011 年8 月 12 日)
皆様
◆季節のご挨拶◆
8月のはじめ、並木のアカシヤの白い花が木の下一面に散り積り、それを雨が濡らし
ていました。西田佐知子さんの「アカシヤの雨が止む時」を想い出してしまいました。
まだ学生運動に勢いがあった時代、60年安保の敗北感を重ねた暗い唄でしたが、日本
はその後、東京オリンピック、大阪万博、GDP世界2位と、今の中国の急成長その
ものでした。3.11以降暗い日本をまた明るい軌道に乗せたいですね。
いよいよ真夏日に甲子園と電力消費のピークになりますが、これを超えて9月になれ
ば政局も一新されて、エネルギー問題を始め、日本新生に関して前向きな議論が展開
されることを期待します。


◆吉本隆明の久々の新聞登場◆
日本経済新聞の8月5日朝刊の最後のページに、吉本隆明のインタビュー記事を見つけ
て、懐かしく読みました。詩人ですが、アカシヤの雨の時代、あの東大紛争の時代の
カリスマ的思想家でした。と言うより「吉本ばなな」の父親の方が分かり易いかもし
れませんね。

全部は引用できませんが、その中で、云っている事はすごく率直で建設的です。原発
に関する発言はやや意外でした。

「あのころの東京は、人々も町中の印象も、どこか明るくて単純だった。戦争で気分
が高揚していたせいもあったろうが、空襲で町がやられた後でも、皆が慌ただしく動
き回っていた。」
「労働力、技術力をうまく組織化することが鍵を握る。規模の拡大だけを追求せず、
小さな形で緻密に組織化された産業の復興をめざすべきだ。疲れずに能率よく働くシ
ステムをどうつくっていくか、が問われるだろう。」
「この震災を、発想転換のまたとない機会ととらえれば、希望はある」
「原発をやめる、という選択は考えられない。原子力の問題は、原理的には人間の皮
膚や硬い物質を透過する放射線を産業利用するまでに科学が発達を遂げてしまった、
という点にある。しかし、発達してしまった科学を、後戻りさせるという選択はあり
得ない。それは、人類をやめろ、というのと同じです。」

「日本経済新聞 吉本隆明」で検索すると色々な反応が見られます。


◆川が海風を運んでくれる◆
最近、埼玉の友人と会ったとき、「東京は海風があって涼しい!」という言葉を聞い
てはっとこの風は海風なんだと、初めて自覚しました。仕事でよく品川に行きますが
品川駅のコリドーを吹き抜けていく風は海風だと思うと少し涼しさが増します。ビル
が視覚を遮っていますがすぐそばは海です。そして、二子玉川のクリエイティブシティ
ープロジェクトのセミナーで、ランドスケープデザイナーの話を聞きました。多摩川、
目黒川、神田川、荒川と東京はいくつもの川が海に注ぐ地勢であることを再認識しま
した。そして川は海風を運んでくることも判りました。目黒川沿いに住んでいて、い
つも好い風が吹いているなと思っていましたが、目黒川が海風の通り道になっている
のです。特に目黒川の右岸は崖線で地形の高低差があり、左岸は山手通り沿いに背が
高いマンションが長い壁を構成しています。考えれば、目黒川は大きなU字型の風の
道になっています。

豊島区の話も興味深かったですね。豊島区は流れる川を全て暗渠にしたため、23区で
唯一川のない区だそうです。従って、今度新築する豊島区役所には屋上から下まで流
れる小川を作り、川辺の楽しさを区民に味わってもらうという事でした。無秩序にビ
ルが乱立する街でなく、海風の流れを効果的に利用した街にしたいですね。これから
都市開発を計画される街では風の流れのデザインが重要だと思います。


◆韓国が日本海を東海と改名したい◆
8月9日の産経ニュースによると、
【ワシントン=犬塚陽介】米国務省のトナー副報道官は8日、韓国政府が「日本海」
の名称を「東海」とするよう主張していることについて「日本海」が国際的に認知さ
れた表記だ、と言明、韓国側の主張を支持しない考えを示した。

この問題は隣国の韓国との厄介な問題ですが、余りにも政府、国民の関心が希薄なの
であえて少し述べましょう。

韓国は竹島を独島と改名し、また先日は、大韓航空機を竹島上空に飛来させ、話題に
なりましたが、基本的に日本の政局の混乱で生じた外交不在が突かれている問題と感
じるべきです。あまり知られていませんが、1996年に米国の米地名委員会(BGN)
が竹島を帰属不明(undesignated sovereignly)としたことに対して、韓国が猛烈
なロビー活動を展開してブッシュ政権末期の、2008年8月1日ブッシュ大統領の韓国訪
問を機に、韓国領と修正させた経緯があります。この韓国のロビー活動は従軍慰安婦
問題でも、米国上院に非難決議をさせることに成功しています。これには単純な仕掛
けがあります。これに続いて韓国はロビー活動でなんと「日本海」を「東海」と改名
するよう米国に求めました。さすがに米国もこれは受け入れずに今回の国務省の発表
になったのです。そして日本の外交不在は、北方領土に韓国国会議員が上陸するほど
の事態を生んでいます。

国内に矛盾があるとき、尖鋭な国際問題によって国民の関心をそこにそらすのは古典
的な政治手法で、現在でも盛んです。中国の尖閣列島、南シナ海の高圧的な行動もそ
れに近い気がします。危険な火遊びで地域の安定が失われるのは双方に大きな損害を
与えます。アジア、取分け東アジアの安定は日本の究極的な戦略目標です。

これだけ国内に問題があり混乱している日本がこの手法を使わないのは、……成熟し
た大人の政治が行われているのでしょうか。

http://sankei.jp.msn.com/world/news/110809/kor11080922550003-n1.htm
http://www.47news.jp/CN/200807/CN2008072801000234.html
http://www.koreatimes.co.kr/www/news/opinon/2011/04/266_41011.html


◆東北被災地に行く学生ボランティアの支援を◆
前回ご紹介した下記のプログラムですが、声をかけた3社からご参加いただきました。

東北の被災地にボランティアで行きたい人は多いのですが、情報がない、ということ
で有料ツアーがありますが、学生にアルバイトしてこのツアー費用を稼いでからとは
言えませんね。
支援する企業、ボランティアに行く人、下記のURLからお願いします。
松島研究室のOBの石田祐樹さんが推進しています。投資銀行の5年の経験を踏まえ、
手がけたソウシャルビジネスです。
http://ima-dekirukoto.jp/index.htm


◆本郷の俯瞰経営塾は終わりました◆
「俯瞰経営塾」を5月12日から本郷で開講していた事は報告しましたが、7月21日で
終了しました。23日に打ち上げのBBQを大学のBBQデッキでやりました。これは正統
BBQのレッスンです。以前研究室でBBQをやろうと言って、学生に任して現場に行って
みるとなんと“焼肉パーティー”になっていました。きちっとしたBBQをやったこと
がなかったのでしょう。其れからはBBQのやり方もきちっと指導することにしました。
買い出し部隊が秋葉原のハナマサに集合して買い出しです。AZビーフのサーロインを
一塊、約6.5キロ、約7000円。これは切るのが大変ですので店のスライサーで切って
もらいました。学生は、えっ!ステーキですか?野菜はそのまま焼けるもの、ネギ、
トウモロコシ。ナス、ソラマメ、玉ねぎなど、ともかく洗わず、皮をむかずそのまま
焼いていく。焼けたら焦げた皮をむき食べる。ネギが絶品です。切ったりするとそこ
からおいしい野菜のジュースが出て、繊維だけになってしまい美味しくないですから。
これが松島流BBQの極意です。ですから手間は掛りません。ハナマサでは炭もワイン
もワンストップで買えます。

問題は、毎年ですが、火がおこせない!全くゼロから火をおこした経験が全員ないの
です。燃焼の理科的知識もありません。まるで小学生に教えるように火付け材、炭の
組み方、等々を教えることに成りました。

私は田舎育ちで、中学生のころは薪割りと風呂焚きが担当でしたから自然に覚えまし
たが、今の人はその機会がありませんので火がおこせない。やはり小中でサバイバル
教育が必要ですね。今回のような災害では電気もガスもなく、家族やコミュニティー
の食事を、火を焚いて作る必要があります。ちなみに私が難なく薪ストーブに火をつ
けた時、家内から驚かれ再評価されました。以上顛末をご報告。


◆時代と同期する情報装備7◆
前回お伝えした、3つのトラブルプロジェクトの内、マランツのネットプレーヤで
NASのフォルダーが見えない問題を解決しました。

NASのマニュアルをネットでpdfファイルを入手して、200ページ以上ある解説を始め
から読みながらNASの設定をやり直し。念のためNASをパソコンと同じルーターにセッ
トして。結果、パソコンからNASのホルダーが完全に見えて、中の音源は再生出来た!
次にネットプレーヤから試行するがNASは見えても中が見えない!マランツのマニュ
アルを見るが所詮ペラペラのマニュアルで解読する情報がない。これが日本製の特
徴というか問題ですね。インターネットラジオは問題なく再生出来るので、ネット
プレーヤ自体は問題ないはず。

ところでインターネットラジオは凄いですね。世界中の放送が聞けます。当たり前
ですが全くノイズ無し、です。少年のころ短波放送で雑音の中ら海外の放送局を聞
き出し、はがきを出して受信カードを集めた世代としては感無量です。

さて如何しようと思案しましたが、今日は絶対解決するぞ、と「決心」すると急に
頭が回りだしました。ネットプレーヤはパソコンではないのです!パソコンは外部
HDDとしてNASを認識しますから中のフォルダーもファイルも問題なくアクセスでき
ますが、パソコンでないネットプレーヤは外部HDDを直接はアクセスできないことに
気付くまで暫し。

そしてそのNASには映像や音楽を配信する内部サーバのソフトが予めインストールさ
れているのを発見!後はNAS内部のHDDのフォルダーを内部サーバに連携させればOK
でした。大変お騒がせしました。iphoneのアプリもありiphoneからも操作できます。

まだ結論を出すのは早いですが、PCオーディオに興味ある方で、パソコンが使える
人はネットプレーヤよりもパソコンでネットオーディオをしたほうが良い様に思い
ます。残りのプロジェクトもこの夏休みで解決することを「決心」しました。次回
はデジタル書斎の作り方にしましょうか。


◆書評◆
今月のご紹介は、「バレンボエム音楽論―対話と共存のフーガ」
ダニエル・バレンボエム著 蓑田洋子訳 アルテスパブリッシング 2008

この本は天才ピアニストであり指揮者であるダニエル・バレンボエムの著書です。
音楽について語るのではなく、音楽が、人の心を清め、知性を磨く力がある事を基
底の認識にして、イスラエルとパレスチナの平和的で共存共栄の解決を一日も早く
実現したいという崇高な志を熱く訴えている本です。彼ができることとして、音楽
を通じてこの目標に全知全脳をつぎ込んでいる活動について語っています。翻訳で
はありますが、読んでいると直接彼から話を聞いているかの感覚になるのは、音楽
家としての見識だけでなく、彼が持つ、ギリシャ哲学とドイツ哲学の教養の高さ、
そして文章としての語り掛けのうまさだと思います。一読をお勧めします。

2部構成で、第1部が本体です。第2部はインタビューや講演録ですがこれもバレン
ボエムの生の姿を感じさせます。

実はこの本は暫らく書斎で積読状態でしたがいつも気になっていた一冊でした。
休暇に入るに当たり、意を決し手に取り、4時間で一気に精読モードで読みました。
内容にそうさせる力があります。バレンボエムと初めて出会ったのは1980年のベル
リンです。彼のリサイタルがベルリンフィルハーモニーハウスであり、午前3時に
音楽大学の学生たちの列に混じりチケットを買いました。確か一番安い、オーケス
トラの舞台の裏の窪みの席でした。音楽大学の学生達は安いと同時に、バレンボエ
ムの手の動きが見えるという事でこの席を選んだようです。彼は本の中で、リスト
の言葉を例に引きながら、ピアノ演奏には10本の独立した指が一つのユニットであ
る事が必須で、右手でメロディー、左手で伴奏ではないと断言しています。

そして確か演目はベートーベンのピアノソナタでした。それから時々来日してNHK
交響楽団を指揮するのをTVでみる度に、ベルリンのリサイタルを思い出していまし
た。この本を手にするまで時間が掛ったのはベルリンの演奏を全く理解というか、
感じ取る事が出来なかった経験からかもしれません。

当時私は西ドイツのアレキサンダー・フンボルト財団の奨学金でベルリン工大の
研究員として西ベルリンに滞在していました。時間的余裕が有りましたので、しば
しばベルリンフィル、ドイツオペラ、時には東ドイツのベルリン国立歌劇場などに
足を運んでいました。カール・ベーム、カラヤン、小沢、ズービン・メータ、東ベ
ルリンではオトマール・スウィトナーとベルリンならではの贅沢な音楽生活を送り、
これがクラシック音楽を聞く始まりになりました。

話を戻しますと、本の構成は、プレリュードに始まり、フィナーレで終わる7部構
成の組曲を連想させる構成です。まずプレリュードに「本書は音楽家のための本で
もなく、音楽家でない人のための本でもなく、音楽と人生の間の相似を、そして考
える耳には聞き取れるようになる知恵を見つけ出したいと願う、好奇心に満ちた人
のための本である」とあります。そして彼からの基底のメッセージは「他者の自由
と個としての存在を受容すること、これは音楽のもっとも重要な教えの一つである」
でしょう。さらに音楽に関するメッセージを紹介すると、「音楽は人生を映す鏡で
ある。どちらも無から始まり無に終わる」、「聴く力を導き育てることは、個々の
人の発達にとってだけでなく社会がひいては国政がうまく機能するためにも、私た
ちの想像をはるか超える重要性を持つ」、「音楽には言葉を超える力がある」、
「視覚よりも聴覚のほうが強力である」、「音楽を聴くことは本を読むこととは異
なる」、「聞くだけではなく聴くことも必要である」。

しかし、この本の主題はイスラエルとパレスチナの共存共栄という平和の追求です。
「イスラエルとパレスチナの語り―、両者による彼ら自身の歴史の絶えざる見直し
と書き換え―、はフーガの主題と対主題同様、絶え間なく相互に関連し合う関係に
ある」と述べ、そして「もしイスラエルが中東に永続的な居場所を得たいと思うな
ら、イスラエルは中東にしっかりと溶け込むことが必要である」さらに「他民族に
対する占領と支配は、はたして独立宣言の趣旨にかなうのでしょうか?基本的権利
を犠牲にて成り立つ民族独立に何らかの正当性はあるのでしょうか?」と政治を詰
問しています。

ちなみに、バレンボエムはブエノスアイレス生まれの、ユダヤ人のコスモポリタン
です。しかし、文化的にはドイツ人でしょう。バッハで育ち、モーツアルトの天才
を畏敬し、ベートーベンのピアノソナタの全曲録音を成し遂げ、加えて反ユダヤ主
義の鼓舞にヒトラーが活用し、その上ガス室に送る時その曲を流したという事で、
イスラエル国内では演奏禁止になっているリヒャルト・ワーグナーを音楽的には非
常に高く評価しています。「ワーグナーがいなければブルックナーもシュトラウス
も、シェーンベルグもいなかっただろう。それまでに作られた音楽のすべてを要約
して頂点まで高め、同時に未来への道筋を示すことが出来る作曲家は一握りしかい
ないがリヒャルト・ワーグナーはその一人だ。」とまで言っています。バレンボエ
ムはギリシャのスピノザの形而上学に傾倒しながら、カント哲学にも強い影響を受
けているようです。指揮者として戦前戦後通じてベルリンフィルハーモニーの音楽
監督を務め、ヘルベルト・フォン・カラヤンにその地位を引き継いだフルトヴェン
グラーをドイツ人らしいドイツ人といい、音楽の構造上の必要性を踏まえた演奏に
感銘を受けたと言っています。

長くなりましたが、最後に現在の我々日本人が身に詰まされる本書の中のメッセー
ジを挙げましょう。

「政治的抑圧、あるいはリーダーシップの不在に苦しむ社会で、文化がダイナミッ
クに主導権を取り、人々の集合的意識に働き掛けて、外的状況を変えることは決し
て珍しくない」、「無知は持続的な生存に適した戦略ではない」、「中庸の道は
ローマに続かぬ唯一の道である」。


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 俯瞰 MAIL 007 号( 2011 年7 月 15 日)

皆様

◆季節のご挨拶◆

大暑(7月23日~8月7日)と盛夏の季節になりました。暑中見舞い申し上げます。節電の意識と行動で、東電管内はなんとか夏が越せるかと、思わせる位になりましたが、一転して西日本の電力が不確実なようです。この関連はあまりにも真実の情報がないので、議論しようがありません。一般人に、この議論に参加させないようにする関係者の高等な戦術とは、思いたくありませんが、このような状況、悪い状況では真っ直ぐ、そのままの情報開示、言動の方が、担当者のリスクを減らすと思います。それにしても声は全く聞こえてきませんが、福島の現場で作業されている方々にはどのような感謝の表現がいいのか思いつかないほどです。深甚の謝意を表します。また猛暑でも頭の中はクールに行きたいと思います。

 

◆地域イノベーションのモデル◆

このひと月は結果として地域のイノベーションのモデルの勉強に時間を割くことになりました。

改めて再認識したのは、イノベーションモデルのイノベーションが必要な事です。大学のシーズを育て、これを産学連携で企業に移転して、その産業化を支援するという,所謂「リニアモデル」が日本全国共通のモデルです。しかし、このリニアモデルでイノベーションが創発出来れば良いのですがそうは行きません。技術開発は進捗しますが、ビジネスイノベーションにはなかなかなりません。技術イノベーションはビジネスイノベーションの選択肢を増やすことです。ビジネスイノベーションは術を社会に届けるカプセルです。そして社会イノベーションはその選択です。

ですから、リニアモデルで技術イノベーションを継続的に推進しても、ビジネスイノベーションにはなりません。市場へ技術イノベーションを持ち込むビジネスイノベーションに、本質的なイノベーションが必要です。はやりのオープンイノベーションは何も答えはくれません。イノベーションのモデルを解明するには、社会が何を選択するかを見極めるマーケッティングが重要です。と言ってもイノベーティブなマーケッティングは真のイノベーターにしか出来ません。変化を続ける、人間の有機的な集合体である社会の理解がつくづく重要である事を思い知らされ、社会学の勉強に立ち還ってイノベーションのモデルを考えようと思います。

 

◆辻留料理教室に行ってきました◆

赤坂の懐石「辻留」の料理教室に行ってきました。「辻留」は、裏千家の指導をもとに京都・東山に開いた懐石料理店と云われています。「赤坂辻留」は東京で懐石料理では最も有名な名店です。かって、私も重要な会席を幾つかこの名店で持ちました。その結果は全て現在に繋がっています。

日本文化の真髄を理解するのは無理でも、何か感じる迄になりたいというささやかな意欲で参加させていただきました。店主の辻義一さんが、目の前で本日の献立を全て講義しながら作っていくのを、生徒は包丁さばきを凝視しながら、メモを取りながら、質問無しで、2時間集中して勉強して、その後1時間ほどでその献立を賞味するという教育コースです。素晴らしい3時間でした。

今回の献立は:

向付 コチ湯引き 青とさかのり むらめ、梅肉醤油

椀盛 小鯛そうめん むすび玉子 柚子 つるな

炊合 小芋 南京 車海老 おくら ふり柚子

炒物 合鴨ロースくわやき 万願寺とうがらし

冷物 ずんだ汁 白玉団子

御飯 はも皮ご飯 青しそ 針生姜 白ごま

香物 胡瓜 西瓜奈良漬

菓子 蓮根羹

薄茶 千代昔

これを、香物、薄茶以外の全て、目の前で料理していきます。詳しくブログ「頭の良くなるクッキング」http://www.proffukan.com/を読んで下さい。というだけでは申し訳ないので講義から一つ。

味について。味には、「辛」ピリっと辛い。「酸」柑橘の酢がいい。「鹹(かん)」塩味。かっての食卓塩は、表示が塩化ナトリウム99%以上とあり、塩ではないと表示していた。海の成分が有って塩。「苦」苦み、アクも苦味。「甘」さとう、みりん、素材の甘さ。砂糖については、魯山人曰く、「砂糖は劣食品を瞞着(まんちゃく)する」とご紹介ありました。(瞞着:ごまかすこと。だますこと、日本語は難しいですね。)

「赤坂辻留」は先代の辻嘉一さんが開設したお店です。中学生の頃、母が購読していた「暮らしの手帖一世紀」に辻嘉一さんのエッセイが連載されていて読んでいましたので辻留の名前は知っていましたが、まさか行けるとは思ってもいませんでした。縁有ってお店に行ったのは何十年も後で、現在の若女将と、パソコンのマーケッティングの仕事をご一緒した事がご縁です。先代の辻嘉一さんは料理の名人と呼ばれました。確か記憶に間違いなければ、東京に出店するに当たり東京にない「薄口醤油」を抱えて夜行列車で上京しますが、列車の中でそれが漏れてしまい、たいそう残念であっと、暮しの手帖に書かれていました。50年くらい前にたった一度読んだだけの文章ですが、今までも記憶に残っています。きっと日本語も名人だったのでしょう。そのような水準の日本語を何時になったら自分は書けるように成るのだろうかと、更なる日本語の、研鑽を決意しました。因みに、60歳になった時、あまりにも日本文化の素養が貧しいので、学生や後進に教養を磨けという手前、真髄はともかく後付でも少しでも日本文化を理解するべく、俳句、能面打ち、華道をやってみました。ほかに、フランス料理、ボイストレーニング・・修行の道は険しいです。

 

◆東北被災地に行く学生ボランティアの支援を◆

東北の被災地にボランティアで行きたい人は多いのですが、情報がない、ということで有料ツアーがありますが、学生にアルバイトしてこのツアー費用を稼いでからとは言えませんね。

支援する企業、ボランティアに行く人、下記のURLからお願いします。

松島研究室のOBの石田祐樹さんが推進しています。投資銀行の5年の経験を踏まえ、手がけたソウシャルビジネスです。

http://ima-dekirukoto.jp/index.htm

 

◆本郷の俯瞰経営塾も今月で終わり◆

毎週木曜日13:00-16:00、2号館9階で「俯瞰経営学」やっています。今年も学生有志から、単位がなくても自主ゼミで同じ講義をして欲しい、という要望があり「俯瞰経営塾」を5月12日から本郷で開講したことは報告しましたが、残すは1回です。今年は、3.11を踏まえて「日本のSWOT」、その後「会計」、「マーケッティング」、企業価値」、「リーダーシップ」、「A級社員、B級社員、C級社員」、「オープンイノベーション」、「M&Aのケーススタディー」、「経営戦略 ポーターとバーニー」と進んでいます。残すは「実例:或る企業の経営戦略の評価」です頑張って抜けた学生はその後自分でブレークしていくのを見ていますので、「最後の決戦」に挑戦するように激励しました。Do your best!と。

この講義の目的は、知性を磨くことで、知性とは、課題を自分で発見する能力、それに関する情報を収集する能力、収集した情報を分析する能力、その分析結果を編集して行動の提案をする能力、そして、周囲や対象の人たちに「判った」と思わせる表現能力、と既に書きましたが、ヨーロッパの指導者教育の「修辞学」と相通ずるものです。

 

◆時代と同期する情報装備6◆

これはこのひと月進展なしです。現在3つのトラブルプロジェクトを抱えていますが、夏休みの宿題になりそうです。まず、マランツのネットプレーヤでNASのフォルダーが見えない。NAS以外は全て問題なし。一方パソンからはNASのフォルダー、ファイル再生問題なし??二番目はパナソニックの監視カメラですが、ローカルでは問題なし、インターネットでは接続できない、無論ダイナミックDNS働かない。三番目はUbuntu、古いwin2000VAIOですが、win7ではCPUもメモリ弱いので、HDDを交換してLinuxマシーンにするべくUbuntuをインストールしましたが、エラーで起動できない?

パソコンやネットワークは要素の辛味が複雑、出来が悪いので、時間が取れるとき数時間集中的に処理しないと解が見つかりません。夏休みにそれぞれ一日ずつ時間を掛けましょうか。

 

◆書評◆

今月のご紹介は、「日本の食料が危ない」 中村靖彦 岩波新書 2011

早朝2時にレタス畑で働く中国の農業研修生?地震後にその姿が消えたシーンから本書は始まります。NHKにおいて長年現場取材してきたジャーナリストによる本ですのでよくも悪くもジャーナリスティックですが、食料に関する議論を聞いたり、議論したりするに必要な知識を得るにはいい本でしょう。要点を幾つか。

コメ、農地、稲作農家、政治家の思惑、が食糧問題、農業問題の議論を迷走させて本質的な構造改革が出来ていない事を改めて再認識します。食糧問題に議論が行き着けない。最近では民主党のバラマキがさらに混迷を深めていますね。

食料自給率の議論ありますが、まず食料自給率の定義が幾つかあって、これも議論を迷走させていることが書かれています。食料自給率の議論でよく使われるのは、カロリーベースで、これでは自給率は40%、実は金額ベースでは70%、量ベースでは大豆は6%。野菜は量ベースでは80%であるがカロリーは低いのでカロリーベースの数字に貢献しない?量ベースではでは、コメ、100%以上、小麦は14%、野菜は80%、魚は自給、鶏、豚、鶏卵はほぼ自給で来ていますが、飼料の輸入依存度が極めて高い。牛肉は半分程度自給ですが、国内飼育の飼料は輸入依存度が高い。

従って飼料の自給が重要課題であるあるように思えてきました。結論として、魚と野菜を主とする和食中心に移行することが個人的にも国家的にも食糧問題と、健康問題に対する、戦略でしょうか。

中国が世界の食糧をみんな持って行ってしまう?ジャーナリスティックですね。ただ凄まじいことは事実で、大豆では5000万トンが中国、残りの世界で5000万トンですから。

日本人は現場では頑張っています。親が駄目だと子供が頑張るのと同じで、中央政治は酷いのですが、現場で食糧問題をイノベーティブに改革する人たちはいます。例えば「エコフィード」です。賞味期限が切れただけの膨大な食品を加工して飼料にしています。残飯ではありません。家庭の残飯は混入物のリスクが高いので手が付いていいませんが、レストラン等の食べ残しは飼料に利用出来るようです。混迷する稲作の現場でも飼料用のコメの栽培で成果を上げています。試算では食糧米の栽培で余る農地で、輸入トウモロコシの全量を代替出来るともあります。これらは素晴らしい戦略と行動ですが、支援政策は例の「蓮舫仕分け」で予算カットだそうです。

最後はTPPですね。推進派は、GDPの僅か1.5%の農業の保護のために製造業が不利な競争を強いられていると言いますが、この数字で議論は乱暴です。先進国のこの数字は全て低いのです。韓国3.1%、オーストラリア2.7%フランス2.0%、米国1.1%、ドイツ0.9%。関税が下がればもっと北米やアジアに輸出が出来る?本当でしょうか。反対派はTPPが導入されれば農業は破壊される、コメは競争力がないので輸入米の前に全滅するといいます。以前、冷害で緊急輸入した輸入米の販売実績を見れば、値段だけで日本人は買う米は変えません。また、この地球的な食料危機の中、800万トンの日本米を供給するほど余力のある国は?

基礎的な知識ないまま評論家していてはいけないので、この本は勉強になります。

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俯瞰 MAIL 006 号( 2011 年6 月 18 日)

皆様

◆季節のご挨拶◆田植えが終わり、水が入った田んぼが広がる風景は、弥生以来の日本の原風景ですね。田の横を流れる細い水路も、長い水利権の歴史を持っています。また山からの冷たい水を使う地域では、山間の溜池で、水を太陽熱で少し温めて傾斜地の田に順々に流していく水利技術は、稲作技術が、本当に最先端技術であったことを再認識させます。そして数千年前、長江(揚子江)の流域から日本人の源流が北九州に渡来した歴史に思いを馳せます。ただその揚子江の流域では干ばつと洪水のニュースが絶えません。三峡ダムの影響による流域の気候変動という説もあります。色々な点で、科学技術をガムシャラに使う80億人の人類は、地球の容量を超え始めている事を改めて実感させます。


◆バングデラシに行ってきました◆

バングラデシにマイクロファイナンスの調査に行ってきました。マイクロファイナンスとは、貧しいがなんとか経済的に自立して家族の生活をより良くしたいという女性を支援する少額の資金の金融プログラムであり、世界最貧国のひとつと言われるバングラデシで約30年前(1983年)にチッタゴン大学教授であったムハマド・ユヌスによって、”発明”されました。この“発明”が重要で、現在我々が認識している銀行の融資プログラムの小口金融とは全く違います。金利は約20%で日本の消費者金融並ですが、現地個人金融のそれが100%に近く、またインフレもあるので、相対的には思っているより高金利ではないようです。しかも複利ではなく単利です。何よりも担保なしです。ただ驚異的な返済率は強力な連帯責任のくびきから来ています。5人ずつのグループで借り、借り手全体が村でセンターと呼ばれている組織を作ります。集会の開始と終了は起立と敬礼です。俯瞰工学研究所の「別な写真」に掲載してある写真は、そのセンターの集会です。手前にいる人は32年前に初めて借り、返済と借入を繰り返し、事業を成長させ今ではバスを2台所有するまでになっています。無論、光と影はあるでしょう。そのような批判的な評価もあります。2006年ムハマド・ユヌスとグラミン銀行はノーベル平和賞を受賞しました。ユヌスさんには直接お会いしましたが、温和な表情は多くの人にお釈迦様をイメージさせるでしょう。7月に来日して講演するとおっしゃっていました。 グラミン銀行は有名ですが、他に有力なBRACというマイクロファイナンスもあります。ここも訪問しました。一言で言えばグラミン銀行の進化型で、グラミン+αです。既に多くの事業を展開して一大企業集団になっています。フルタイムのスタッフは6万人弱いるそうです。マネージャークラスはグローバル企業のマネージメントに近い雰囲気で高い知性を感じさせました。マイクロファイナンスに加え、公立の小学校に行けない生徒の支援、奨学金、BRAC大学の経営など、教育事業を展開していると同時に、健康関係の事業も展開していますが、ほとんどはビジネスとして成立していることが特徴です。社会ビジネスのモデルです。例えばマイクロファイナンスで乳牛を購入した農家を組織化して、その牛乳を集荷・処理して都市で販売する市乳ビジネスの展開、飼料販売もしていて日本の農協のようなビジネスもやっています。海外展開も、アフリカや南米そして米国でもしている事に驚きました。日本でも社会ビジネスが話題になっていますが、極めて有効な研究対象でしょう。生活、教育、健康、環境、互助、自立・・を踏まえた活動は、日本の今後の社会ビジョンに多くの洞察や示唆を与えてくれます。また、この国は凄く親日的です。何しろ国旗が日章旗です。初代大統領が日本好きで同じデザインにしたとのことです。


◆福島のある市長さんと話しました◆

「話題のSPEEDIの情報は3月23日にもらいました。」「政府はすぐに県知事には流したという。県知事は不確定な情報は流せないと言って流さなかった。」という。「知っていればもっと適切に住民に避難を話せた」という。「その間、NHKの情報だけで住民の安全の意思決定をしなければならなった。」NHKのニュースと解説の重要さがわかりました。「死人が出ないのが不思議なほど小学校も壊れたが、児童無事だった。」そしていま「住民の不安に応えるため全児童に線量計を付けさせたい。」という。少しでも住民の不安心理を和らげることしか彼には出来ないのです。「多くの住民が上下水道をやられた。給水をすぐ始めた。他の地区はひとり3リットルと聞いたがうちは5リットルにした。」しかし「住民の一人が自宅まで来て、5リットルは少ないと文句を行ってきた。」それに対して「他の人は3リットルしか貰えたかったのに貴方は5リットル貰えましたね。」と謝らなかった。「水がないのです。市長に言って解決する問題ではないでしょう。」といったという。そのひとは黙って帰ったようです。人から「貴方は政治家ではない」と云われたという。「私は政治家ではない、地域の組長だ、政治家のようなリップサービスは出来ない」と答えたという。「今の最大の課題は?」と聞くと「ともかく除染だ。」この市長どう思いますか。注記:私(松島)は知事の判断は必ずしも間違っていないとも思います。後で議論しましょう。

 

◆今年も本郷で俯瞰経営塾◆

毎週木曜日13:00-16:00、2号館9階で「俯瞰経営学」やっています。今年も学生有志から、単位がなくても自主ゼミで同じ講義をして欲しい、という要望があり「俯瞰経営塾」を5月12日から本郷で開講したことは前報で報告しましたが、今年は、3.11を踏まえて「日本のSWOT」、その後「会計」、「マーケッティング」、企業価値」そして6月16日に「リーダーシップ」と進んでいます。そして、前報で、目的は、知性を磨くことで、ビジネスや経営の知識は結果として付いてくるもの、知性とは、課題を自分で発見する能力、それに関する情報を収集する能力、収集した情報を分析する能力、その分析結果を編集して行動の提案をする能力、そして、周囲や対象の人たちに「判った」と思わせる表現能力。と書きましたが、本報の書評にある「レトリック」を読みますとヨーロッパの指導者教育の「修辞学」と相通ずることに気が付きました。


◆集合知で日本新生の提案書を起草◆

今月もこのプロジェクトの準備を進めています。夏休み前にはサイトを立ち上げて、今年の長い夏休みを活用したいですね。以下は先月号日本復興、再生、再興の提案は、内閣の復興構想会議を始め様々な組織から提案されていて百家争鳴状態ですが、組織を超えた国民的議論の場が有りません。ネットでバラバラに、個人的に発言しています。千人万人の意見を構造化しないと行動、実践になりません。まず、「場」を設営しませんか。「日本新生 」の提案は、「…したい。」「…しない。」と簡潔に、しかし「…べきだ。」とか、「…べきでない。」「…やめろ。」「…やれ。」のような断定的で個人の価値観を押し出す表現は避けて共創的な提案文にしませんか。ネットの課題の一つは、顔が見えない事で、乱暴な表現が出てくることです。このプロジェクトでは、実名を求めませんが乱暴な表現は最終の処理には採用されないでしょう。「日本新生」 の提案が千、万と集積されると、自然言語処理や人工知能の技術でキーワード分析や関係性の抽出が出来るので、千人、万人が一つの提案書を起草する構造化が出来るでしょう。その提案の水準は個々の提案に依存しますが、大勢の人達が言う事は、少数の識者の提案よりは「正鵠(せいこく)を射る」でしょう。投稿サイトを用意したいと思います。このプロジェクトに参画して協力してくださる方は歓迎いたします。ネット上で実行委員会を組織したいですね。


◆近未来都市を作る実験Ⅵ◆

5月30日にコンソーシアムの総会を開催して、リランチ(再立ち上げ)しました。コンソーシアムの拠点、カタリストBAの活用が始まりました。真下に多摩川が見えます。200万尾以上の鮎が遡上するそうです。プラチナ構想の「プラチナスクール」4回目を6月18-19日、このカタリストBAで開催しました。今回は各地域のSWOT分析、新風土記の発表です。8月には26の自治体の、「我が街のプラチナ構想」が26件発表されます。多分これは公開できると思います。


◆ (社)俯瞰工学研究所の技術経営学講義始めました◆

本年度は開催が遅れましたが、5月18日の18:30からオリエンテーションを行い、6月16日に第1回目を開催しました。ゼミですね。参加は12-14名です。第1回目は「会計」でした。同じ課題の本郷での「俯瞰経営塾」の学生のプレゼンテーションを紹介しました。開催は基本的に月1回、第3水曜日の19:00-です。この場は会員同士の交流の場でもあります。毎回基本的に交流会をします。賛助法人会員として、会社の仲間とグループでの参加も大歓迎です。会費は原則4月―3月の年度の会費です。社会人の参加を考えて、場所は品川インターシティ8階の(株)森精機の会議室です。


◆時代と同期する情報装備3◆

今月は今密かなブームになりつつある「PCオーディオ」に挑戦しました。技術や製品が発展途上ですので挑戦的要素があります。特にネットワーク関係はトラブります。また、手持ちのCDをPCデータに変換するリッピングも、DSDやDVD-audioになるとソフトがまだこなれていません。数十万円もするDAC(デジタルアナログ変換器)が色々なベンチャー企業から発売されています。高音質のデジタル音源をネットで販売するビジネスもいくつも立ち上がってきました。シニアのエンジニアの起業のチャンスです。このPCオーディをブームにしたきっかけの一つは、スコットランドの有力オーディオ企業のLINNでしょう。日本でも既に数百台売ったたといいますが、CDプレーヤに代わるネットワークプレヤーは百数十万円です。私は日本のマランツのNA70004をAmazonで、7万円弱で購入しました。パソコンが有れば代用できますが、音楽を聞くたびにパソコンを立ち上げるのはいかにも不便ですから。マランツは、私が学生の頃は憧れを遥か超える高級ブランドでしたが、現在では極めて低価格で極めて高性能なオーディオ機器を提供してくれます。こんな安くて本当に良いの?と思います。パイオニアもそうですね。ネットワーク上のハードディスクとして、QNAPのNASを購入して、交換式のHDDは日立の2Tを入れました。この業界も激動ですね。駒場のクラスメートで、今日立製作所の社長をされている中西さんが、IBMからM&Aをした事業を、孤軍奮闘で再生していたサンノゼのオフィスに“陣中見舞い”にいった時を思い出します。凄いですねあの方は、IBMが打ち捨てたような事業を再生して、買った時よりずっと高く事業を売却しています。そしてハードディスクの業界は世界で3社に統合されました。ですからハードディスクはいつも日立製です。実はうまく動いていません。パソコンからはこのNASの内容が見えるのですが、肝心のネットワークプレイヤーのNA7004からホルダー内部が見えません。答えある方は教えてください。従ってこの続きは次回。


◆時代と同期する情報装備4◆

Facebook始めました。時代と同期するためです。一週間で約100名を“友人”にしました。長年ご無沙汰の方々と連絡が取れました。・・・・次回コメントします。FacebookとtwitterにprofFukanの名前で出ています?


◆書評◆

今月のご紹介は、次回予告した説得の技術としてのレトリックです。「レトリック」 オリヴィエ・ルブール 2000年 白水社 クセジュ文庫先月ご紹介した「レトリック感覚」はレトリックとして、言葉の「あや」、即ち芸術的表現技術の方を解説していますが、この本は、レトリックの体系の概説です。具体的なhow toを教えてくれるわけではありません。一般向けの概説書ですから難しい本ではありませんが、読み流すには適しませんね。と言っても文庫本ですから時間はかかりません。書評と言う前に、皆さん中身を知りたいでしょうから要約を書きましょう。「レトリック」とは弁論によって人を説得する技術である。「弁論」とは複数の文章のまとまりである。「説得する」とは、感情的かつ理性的方法を用いてある信条を他人の心に生じせしめる行為である。「技術」とはテクニックと美しさを含意する。この本は、この技術に関する理論体系を扱う。とまえがきにあります。第1章ではレトリックのギリシャ以来の歴史とその時代の修辞学の解説があります。レトリックはギリシャ以来、エリート教育でしたが、19世紀に衰退して、1960年代に復活したとあります。そのギリシャ修辞学の構成は、 発想 配置 修辞 表出、です。第2章はレトリックの核である、文彩に関する解説です。文彩には、語の文彩、意味の文構文の文彩、思考の文彩があります。其々、1-2例を挙げて置きます。語の文彩:(百年が何だ、千年がどうした)(飲むか、乗るのか、どちらかだ)意味の文彩: 換喩(一杯やる)、提喩(頭数百人)(全労働者の党)隠喩 (人生の黄昏)構文の文彩:省略法(フランス製を買おう)(白さが違います)反復法(時は行く、時は行く、愛しき貴女)対照法(唯一、気散じがあるが、この気散じこそが・・)統辞破綻法 (クレオパトラの鼻。それがもう少し低かったら・・・)漸層法(私は彼から離れた、彼を避け、彼を捨てて・・・)交差配語法(貧困の哲学なのか哲学の貧困なのか)思考の文彩:アレゴリー(耕さずにして収穫なし)(経験とは、背に負った、過去を照らす灯火である)アイロニー (師匠の画風に忠実でいらっしゃいますね)逆現法(私がした苦労については特にお話出来ませんが・・)類似謙遜法(それは当然ですよね)弁論的疑問 幾らかかったかご存知ですか)第3章は論法と説得の原理、これはご自身で読んでください!衒学的ですがそれが学者?第4章 レトリックの哲学、この章も読んで初めて理解できると思います。最後に、この本にある、「レトリックとは・・・・」の記述を拾っておきます。順不同ですが、洞察力ある方は 、レトリックが「判った」と思うかもしれませんね。レトリックは一つの武器である。レトリックは常にコードとして示されてきた。レトリックは役に立つ技術である。レトリックは「巧み」の塊である。レトリックは哲学が生まれながらにして持っていた方法である。レトリックはせいぜい自分の信ずる事を他人に納得させる方法である。レトリックは真理の道具ではなく、平和の、洞察の、文化の道具である。さあ皆さん「読むべきか、読まぬべきか、それが問題だ!」ですか。
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 俯瞰 MAIL 005 号( 2011 年5 月 15 日)

 

皆様

◆季節のご挨拶◆

雪が舞う被災地の映像がまだ網膜に残っていますが、気がつけば桜は満開、そして今、燃えるような青葉とツツジが満開の時になっています。高校の漢文の教科書の杜甫の詩が口につきました。「国破れて山河在り、城春にして草木深し、時に感じては花にも涙を濺ぎ、別れを恨んでは鳥にも心を驚かす、烽火 三月に連なり、・・・・・・・・」5月になっても福島は鎮まる気配はない。また、「夏草や 兵(つはもの)どもが 夢のあと」  芭蕉日本のこと、復興のこと、今後の人生、色々深く考える始点を与えてくれます。


◆今年も本郷で俯瞰経営塾◆

東大の技術経営戦略学専攻を退官して3年目ですが、今年も「俯瞰経営塾」を5月12日から本郷で開講しました。退官後も、学生有志から、単位がなくても自主ゼミで同じ講義をして欲しい、という要望があり続けています。毎週木曜日13:00-16:00、技術経営戦略学専攻の新設から現役で3年講義した内容で、自主ゼミで3年目ということになります。内容は「俯瞰経営学」目的を明確に説明してあります。「目的は、知性を磨くことで、ビジネスや経営の知識は結果として付いてくるもの」、「知性とは、課題を自分で発見する能力、それに関する情報を収集する能力、収集した情報を分析する能力、その分析結果を編集して行動の提案をする能力、そして、周囲や対象の人たちに「判った」と思わせる表現能力」。これから人生を始める、今の季節の青葉のような30名は物凄いオーラをくれます。教室は道場、教育は相互研鑽の場です。ブログで読む


◆この夏の壮大な実験◆

この夏予定されている壮大な実験が興味深いですね。この夏、最大の電力需要期を中部電力は原子力発電無しで、東京電力は17基中4基稼働で乗り切ることになりました。東京電力の配電範囲の需要はイタリア一国分に相当し、中部電力のそれはスエーデンに相当し、極めて大きく、二つ合わせるとイギリスに相当します。この規模ですから、壮大な実験になります。ヨーロパ各国の原子力発電の議論には貴重な情報と知見を与えるでしょう。もし、この夏をこの体制で乗り切ると、原子力発電所無しでもやっていける、という議論が力を得るでしょう。無論LNGにしても炭酸ガス排泄の問題があり、コストも高く、石炭火力も公害、炭酸ガスの固定化などの課題があります。実験が終わる、9月には、世界中の議論が今とは変化するのではないでしょうか。大きな事実が目の前に置かれますので。


◆フードマイレージを考える◆

フードマイレージとは、食品の輸送と環境の課題で、食品の生産地と消費地が近ければフード・マイレージは小さくなり、遠くから食料を運んでくると大きくなります。一方、無理に季節を無視して温室で作ればそのエネルギーが問題になります。従って、適地適作を踏まえた地産地消が肝要です。この連休に山梨県の八ヶ岳に行き、そこの食品スーパーマーケットに行きましたが何か腑に落ちない光景でした。以下はその時野菜売場で目に入った産地です。福岡のカリフラワ-、沖縄のカボチャ、高知のナス、宮崎のピーマン、東京のウド、佐賀の絹さや、熊本のベリーリーフ、長崎の新じゃが、青森の牛蒡、高知のミョウガ、鹿児島の空豆、栃木のクレソン、佐賀の新玉ねぎ、北海道のたまねぎ、徳島の人参、北海道のジャガイモ、津軽のフキノトウ、津軽のタラの芽。隣接県野長野、群馬、静岡は無論あります。また韓国のパプリカ、ニュージーランドの玉ねぎもありました。八ヶ岳に全国から集合です。売り込む方々のマーケッティング力もすごい!山梨の庭や山に豊富にあるタラの芽、フキノトウを津軽かから?青森県は雪下人参で有名ですが、学校給食では県外の人参を使用していたので、何故?と教育委員会の方に聞いたことがありますが、答えは安いから、でした。地域おこし、低炭素・・・何かこの辺にもアクションプラン有りそうな気がして来ました。


◆集合知で日本新生の提案書を起草◆

日本復興、再生、再興の提案は、内閣の復興構想会議を始め様々な組織から提案されていて百家争鳴状態ですが、組織を超えた国民的議論の場が有りません。ネットでバラバラに、個人的に発言しています。千人万人の意見を構造化しないと行動、実践になりません。まず、「場」を設営しませんか。「日本新生 」の提案は、「…したい。」「…しない。」と簡潔に、しかし「…べきだ。」とか、「…べきでない。」「…やめろ。」「…やれ。」のような断定的で個人の価値観を押し出す表現は避けて共創的な提案文にしませんか。ネットの課題の一つは、顔が見えない事で、乱暴な表現が出てくることです。このプロジェクトでは、実名を求めませんが乱暴な表現は最終の処理には採用されないでしょう。「日本新生」 の提案が千、万と集積されると自然言語処理や人工知能の技術でキーワード分析や、関係性の抽出が出来るので千人、万人が一つの提案書を起草する構造化が出来るでしょう。その提案の水準は個々の提案に依存しますが、大勢の人達が言う事は、少数の識者の提案よりは「正鵠(せいこく)を射る」でしょう。投稿サイトを用意したいと思います。このプロジェクトに参画して協力してくれる方歓迎です。ネット上で実行委員会を組織したいですね。


◆IBMのCEOのパルミサーノさんに十何年ぶりに会いました◆

5月12日東大の本郷で、東大-IBM dayのシンポジュウムがあり、IBMのCEOのパルミサーノさんの講演があり、参加しました。実は彼が90年代前半、帝王教育の一環として日本IBMの専務の時、小職の上司のような関係で旧知の仲でした。講演、質疑では終始前向きで、明るく話し、質問に「なぜそんなに楽観的か?」も出たほどです。厳しい経営居境の中で、IBMの大変革を成し遂げ、史上最高益を出している自信から、「変革すれば未来は開ける!」というのがメッセージでした。リーダーシップについても、長期ビジョンが重要であると言明していました。続きをブログで読む。


◆近未来都市を作る実験Ⅴ◆

二子玉川の都市再開発のコンソーシアムソーシアムの拠点、カタリストBAが、4月25日二子玉川にオープンしました。ぜひご現地に来て頂き、ご自分でこの「場」をどう活用できるか考えてみてはいかがでしょう。詳細は以下のURLをご参照下さい。http://creative-city.jp/


◆2011年度(社)俯瞰工学研究所の会員募集◆

4月からの会員を募集します。ぜひ会員になって(社)俯瞰工学研究所の活動に参加しませんか。月に一回ゼミをやります。この場は会員同士の交流の場でもあります。毎回基本的に交流会をします。その他、会員が特に興味があるテーマがあれば別途ワークショップを開いてもいいともいます。賛助会員として、会社の仲間とグループで参加も大歓迎です。会費は原則4月―3月の年度会費です。5月18日18:30からゼミのオリエンテーションをします。二子玉川駅前のライゼ8階、カタリストBAです。


◆時代と同期する情報装備2◆

4月28日にiPad2が日本でも発売されました。所用が有ったので12:00くらいに渋谷のAppleの店に行ました。歩道に行列があり、並んで15分ほどで店内に案内されて、wifiモデルの60Gを購入しました。3Gモデルは列がなくだれも買っていない!ソフトバンクの3Gではね。店内の店員の対応が素晴らしいですね。Appleのマーケッティング力を見せ付けられた感じです。連休にハンズオンしてiPad1との比較をしながら、新しいITギアを使ってみました。まずスピードとマルチタスクという基本性能が大幅にアップしています。別売りのケーブルで画面がプロジェクターにそのまま出せます。印刷はwindowsでは、HPプリンター以外は大変そうです。文書作成やプレゼンテーションの作成はちょっと難しいと思いますが、メールを見る、簡単な返事を書く、スケジュールをチック、Dropboxの文書をGoodreaderでみる、twitter、webを見る、等は極めて快適です。パソコンより使い勝手がいいですね。何より食卓で朝食を取りながらにはぴったり。続きをブログで読む。


◆書評◆

今月のご紹介は、「レトリック感覚」 佐藤信夫 講談社学術文庫 1992古代ギリシャに始まるレトリックは近代に至るまで最も重要な教育プログラムでした。近代になって無用のモノとして打棄てられていましたが、近年再評価の動きがあるとのことです。アリストテレスに始まる、古代のレトリックは科学と詩学の間に置かれ、説得する表現技術と、芸術的表現技術でした。佐藤は、「版権的認識の造形」をこれに加えています。森羅万象のうち本名を無いものの方が多い、辞書にのっている単語を辞書とうりに使っただけでは自分の気持ちを表現できない、だから自分の認識をありのままに表現するにはレトリックのぎ技術が必要、またレトリックとは言葉の「あや」、キケロ流に言えば思想に衣装を着せ飾ることとしています。本書は芸術的表現技術の方を解説していますが、夏目漱石や、森鴎外、太宰治、芥川龍之介・・から例を引いているのが勉強になります。以下キーワードを挙げると。直喩、隠喩、換喩、提喩、誇張法、列叙法、緩叙法実は、私は殆ど使っている技法でした。しかし、構造化された解説は改めて参考になります。レトリックは、「有限の手立てを無限に用いる」、「比喩とは言語をやりくりする手段」とも云われています。筆者佐藤の豊富な知識から、記述が本人が文中で言っているように饒舌で気になりますが、これを飛ばして読むのも、その饒舌を楽しむのも、ありです。文章表現に磨きを掛けたい方には参考になるでしょう。説得する技術も興味深いので次回。=======================================

 

俯瞰 MAIL 004 号( 2011 年4 月 17 日)

皆様
◆季節のご挨拶◆ある日突然桜が満開になりました。蕾が膨らむ日々があった筈ですが、それを楽しむ精神的なゆとりが無かった事に気が付きました。やはり震災後の惨状ニュースを繰り返し見て、また今後の課題を議論していることが、そのゆとりをなくさせたのでしょうか。すぐに友人にメールを送り、昨年と同じように目黒川で花見を提案して、ささやかに宴を開きました。目黒川はライトアップがありませんでしたが人出は例年並みでした。夜店で、東北の酒を売りにしている屋台がありましたので、一グラス買いましたが、聞くと恵比寿でレストランをしているが客が三分の一になっていると、暗い感じでした。近くにシャンペンを売っている屋台の若い女性は「自粛はイカン!」と言っていましたので、この感情は相当浸透してきたと思います。出来るだけ通常どおりに活動して、復興の分を少し余分に働きましょうと、声をかけています。

◆管総理にお会いして「日本新生のビジョン」を提出しました◆4月6日三菱総研・小宮山理事長、東京大学・森田教授、同・坂田教授、藤末参議院議員、大久保参議院議員、ご一緒に、13:30から30分間ほどで、提言「日本の地域『新生』ビジョン」を菅総理に提出してまいりました。総理に手交した提言は下記WEBをご覧ください。http://www.fukan.jp/日本新生のビジョン/
そのあと14:30から日本記者クラブにおいて記者会見を行いました。会見の模様はWEBにてご覧頂けます。http://youtu.be/NZLBtIYx3aM
また、官邸で当日撮影しました写真をアップロードしましたので、ご参考まで。https://picasaweb.google.com/fujisue/20110406?authkey=Gv1sRgCILU9-Hdx83c3AE&feat=directlink

◆宮城県に行ってきました◆ニュースでさんざん見ていますが、日本文化の重要な規範「現地にいって、現物を見なければ、現状は理解出来ない」に基づいて4月12日宮城県に行ってきました。最初、県庁で復興計画の概要をお聞きして、短時間ではありましたが石巻に行きました。ニュースで見たままの光景で、内部まで船が打ち上げられて、逃げる際放置されたトラックが道端に何台もあり、積荷の水産物の腐敗しているような異臭、破壊された工場・・・でした。ただ既に重機で残滓の除去が始まっていました。この現場を見ると、まず片付けが先で、街の再興の議論はそのあとだ、という感情がわきました。瓦礫の片付けと仮設住宅が短期の最優先課題です。被災地の写真は取りましたが、やはりプロの撮影力は格段の差がありますのでNew York TimesのWEBサイトのページご参考に。http://www.nytimes.com/slideshow/2011/03/23/world/asia/20110323_JAPAN.htmlhttp://www.nytimes.com/slideshow/2011/03/27/world/20110327_JAPAN.html

◆復興計画で気になる事◆宮城県で復興計画の簡単な説明を受けましたが気になることがありました。多分他の県でも同じだと思いますが、復興計画を企画して事業展開をするのは「市」であることです。元々地域の「市」の行政は、少子高齢化と過疎化で弱体化していて、さらに現在の短期的な仮設住宅と残滓の廃棄で手一杯であるはずで、中期的な復興計画を策定するゆとりが「市」にあるはずはないと思います。確かに当該市町村が主体で復興計画を立案、実行することが基本で、県や国はそれを支援するのが建前です。地域主体という掛け声で、国は、県へ、県は市町村へとボールを投げていいのでしょうか。復興計画の策定を官民で支援する体制が必要で、一方自治体は自分達の知恵だけで復興を考えないで外の知恵を入れるべきだと思います。でないと財政難で苦しむ地域モデルを、復旧する事になってしまいます。極端に言えば「シャター商店街」を復旧することになりかねません。物理的なボランティア活動も必要ですが、知恵を持ち寄るボランティア活動を組織する必要があります。
今回の東北地域の被災市町村は、既に述べましたように、少子高齢化と過疎化で弱体化しており、市町村単位で、フルセットの社会インフラを復興する事は出来無いと思います。道州制や市町村合併など天下国家の議論は置いて、ここは近隣の市町村が複数でネットワーク構造を形成しその単位で、病院、学校、ごみ収集、介護などの行政サービスを用意する事で、財政とサービス水準を両立するモデルが必要ではないでしょうか。学校や、病院の建物を再建する資金を援助しても、維持管理や中身が付いて来ません。これまでも医師の手当が付いていない地域が多いのですから。

◆日本製造業のビジネスモデルの欠陥が露呈◆今回の震災で日本の製造業の欠陥がいくつか露呈したのではないでしょうか。狭い視野からのコスト削減により、サプライヤーを一社に絞り、一箇所の工場に生産を集中させるという、リスクマネージメントなしの「選択と集中」が被災のインパクトを拡大して、産業復旧を遅らせ、かつ海外の製造業へもインパクトを与えています。海外は危険、日本は安全ということが妄想であったのです。製造業の基本は、工場火災や自然災害による生産へのインパクトを低減するため、相応のコスト負担を受容して、供給を複数に分散していたはずですが、長い不況でコストダウンが先行して、製造業の基本も失われてしまったのでしょう。(続きをブログで読む)http://www.fukan.jp/

◆日本の古代史の俯瞰◆日本の古代史の俯瞰的認識は一応のまとめをしましたので、ブログでなくサイトの左のメニューに「俯瞰古代史」を入れました。あくまで個人的な認識の構造で学術的な論考ではありません。
日本人は基をたどれば世界中の現代人と同じで、遥か昔アフリカを旅立って来ました。現代日本人の祖先である弥生人は、インドを経由して東南アジア、揚子江河口から、山東半島を経由、あるいは朝鮮半島南西部を経由、または直接、北九州にたどり着きました。インドで既に稲作や陶器、織りの文化を持ったとも云われています。遺伝子から言えば、中国北部、朝鮮、日本は近いグループです。東アジアでは、日中韓は古くから共生していたのです。遼東半島から朝鮮半島北部は紀元前から中国文化圏です。
弥生人がクニの連合としての国らしきものを形成したのは紀元前後で、2世紀にはかなり統一が進み、中国中原の政治勢力に朝貢して倭国の王として認めたもらう状態になりました。既にこのころ鉄器を求め対馬対岸の加奈の地域に倭人がかなり進出していたとあります。3世紀には北九州、吉備、出雲を従えて大和の勢力がほぼ西日本を統一して統一国家が成立しました。ただ中央集権の天皇制の成立は、大化の改新、白村江の敗戦、壬申の乱を経て7世紀になります。
日本書紀はその正当性の論理を展開する国史として7世紀に編纂されました。同時期に宗教的な神聖性を正当化する為、大和から見て日出る国の伊勢に伊勢神宮を建立し、日沈む国の出雲に杵築大社(出雲大社)を建立しています。この東西の軸は日本土着の太陽信仰のシャーマニズムですが、伊勢神宮の祭祀は中国渡来の陰陽五行思想で、北斗七星を神とする、南北軸が精神構造になります。従って当時の遷都は南北軸に動きます。
また7世紀は日本文化が本格的に形成されていく時でもあります。白村江の敗戦で百済が消滅して朝鮮半島では新羅が統一国家を形成して、朝鮮文化も独自に発展していきます。この時期、日本も朝鮮も、中国の最先端の文明の模倣から独自の文化を形成していく事になります。中国文化は遣隋使、遣唐使によって直接輸入し、朝鮮半島経由ではありません。日本語と朝鮮語は文法構造が極めて近いにも関わらず、語彙の共通性が無いと云われていますが、日本語も朝鮮語も7世紀以降独自の文化の中で語彙が形成されていったためでしょう。
日本人はどこからか渡来したのではなく、この日本列島で「日本人」になっていったのです。
◆詳細は以下のURLをご参照下さい。http://www.fukan.jp/俯瞰古代史/

◆2011年度(社)俯瞰工学研究所の会員募集◆4月からの会員を募集します。ぜひ会員になって(社)俯瞰工学研究所の活動に参加しませんか。会員のための技術経営講義が月に1回あります。基本的な内容は、東京大学で講義した「俯瞰経営学」の内容です。今年度は、プレゼンテーションスキルの強化を入れていきたいと思います。「社会人大学院」です。この場は会員同士の交流の場でもあります。毎回基本的に交流会をします。その他、会員が特に興味があるテーマがあれば別途ワークショップを開いてもいいと思います。賛助会員として、会社の仲間とグループで参加も大歓迎です。できるだけ、4月中に入会をお願いします。会費は原則4月―3月の年度会費です。5月には第一回の技術経営学講義を始めます。

◆近未来都市を作る実験?◆二子玉川の都市再開発のプロジェクトはいよいよ4月からアクセルいっぱいです。コンソーシアムの拠点、カタリストBAが、4月25日二子玉川にオープンします。ぜひご現地に来て頂き、ご自分でこの「場」をどう活用できるか考えてみてはいかがでしょう。
◆詳細は以下のURLをご参照下さい。http://creative-city.jp/2011/04/ba.html(社)俯瞰工学研究所はこの活動の支援に参加しています。

◆ビジネスモデル学会春季大会100名以上のご参加をいただきました◆ビジネスモデル学会の春季大会が3月26日、慶応大学の三田キャンパスで開催されました。今回のテーマは「ビジネスモデルと企業倫理」でした。企業はますます社会的な存在となってきました。その結果、求められる企業倫理もより高度になります。
アンケートでは下記のようなコメントを頂きました。(一部)・講演の内容が充実している。・個々の講演のレベルが高く かつ つながりがあり、興味深い。・日ごろなかなか聴けない貴重なお話を伺うことができました。・興味深い内容が多かったため、時間の短い講演は理解が難しい。・皆様、震災に関連付けてご専門の分野、テーマを説明されてよかった。・内容は充実していました。専門的でわかりづらいものがありました。・普段聞けないような話がきけて非常に刺激を受けました。・今回初めて参加させて頂きました。次回もぜひ参加させて頂きたいと思います。・これからの新規ビジネスを考えるにあたり、大変有益でした。・わかりやすい講演とそうでない講演、テーマの選択にばらつきがあった。・あの座席で1日は辛いです。講演は良かったです。・日本の現状にマッチングした内容であったため、この時期に開催することはよかった。
バングラデシュへの研修旅行が5月21-25日に予定されています。現地大使館の絶大なるご支援で貴重な訪問が実現しつつあります。ビジネスモデル学会にご参加頂ければ、貴重な知識を獲得し、交流会で素晴らしい人脈ネットワークを強化出来ると思います。これを機会に会員になって活動に参加しませんか。
◆詳細は以下のURLをご参照下さい。http://www.biz-model.org/

◆書評◆日本の古代史の復習は一応終わり、その外部世界であった古代中国の歴史を再認識するために「古代中国」貝塚茂樹・伊藤道治、講談社学術文庫 2000年を読みました。この本は、1974年に刊行された「中国の歴史」全十巻の第一巻として出版されたものを「古代中国」として新たに加筆修正して刊行されたものです。この30年ほどの中国における考古学的発掘は目を見張る物があり、新石器時代は、書き下ろしたとあります。夏王朝、殷王朝、そして周王朝とそのそれに続く春秋時代までは、新しい発見で訂正や加筆をしたとあります。戦国時代はほぼ旧版のままです。1964年の大学受験の世界史の知識では、今日の中国を正しく理解出来ないし、日中関係すらも認識を誤りかねません。正しい日中関係は、正しい歴史的理解が必要です。
紀元前6000年位は中国各地に石器、陶器、農耕、家畜の新石器文化が出現しているとあります。そして、我が国がまだ縄文時代の、紀元前15-16世紀には、城壁の高さが10米、約2キロ四方の、殷の時代の都市国家の遺跡が発掘されています。この本で詳しく分析されているのは周王朝です。
古代中国は黄河上流に興った周が黄河に沿って東進して行く歴史でもあります。一族を各地に封建して行く過程で、周は次第に求心力を失い、各地は周王朝と離れて国を作って行きますが、しかしその精神的な影響は長く残り、春秋時代の覇者も、名目的には周王朝のお墨付きを貰って覇者を号している事は今回知りました。この時代中国北部にあって、朝鮮半島に影響を与えた燕も周王朝に封建された国ですが、いつしか土着の文化に吸収されていったようです。・・・・
戦国時代は、何かと既に知識がありますので読みやすい感じです。そして秦の統一で中国の古代は終わります。
この本で知りましたが、文字の使用は、古代中国は意外と限定的で、本格的な漢字の成立と文字による記述は秦からです。学術的に丁寧に書かれていますので、決して読みやすい本ではありません。人名、地名はフォロー出来ませんからどんどん飛ばして歴史の流れを掴むことに集中して読みました。一読をおすすめする価値がある本です。
巻末の「講談社学術文庫の刊行に当たって」も読みましたが、「学術をポケットに・・・学術は少年の心を養い、成人の心を満たす・・」文庫本ですが定価1500円、これほどの情報をこんな低価格で良いのかと、改めて書物の社会的な貢献を実感しました。
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俯瞰 MAIL 003 号( 2011 年 3 月 12 日)

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この度の地震により被害を受けられた皆様には心より御見舞を申し上げます。暫くは余震などが続くと思われます。引き続き安全確保を心がけられますよう十分にご注意願います。皆様のご無事を心よりお祈りしております。
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皆様
◆季節のご挨拶◆寒い日もありますが、木々を見ると開く日を心待ちにしているような芽が目につきます。各位も年度末の処理に頭を痛めていられると思いますが、4月からの新年度を、新年を迎えるような気持ちになって、何か新しい事を計画しましょう。

◆倭国乱れていますね!◆「倭国乱れ、相攻伐すること歴年、すなわちともに一女子を立てて王となす。名づけて卑弥呼という」何とかしなければいけません。有力で国民が納得できるリーダーがいません。古来日本では、このような時、女帝を立て、後継が確立すると譲位したとあります。今の鬼道を掲げる卑弥呼はだれでしょうか?というところから日本史の復習を思い立ちました。思えば、1964年の大学入試は世界史、日本史で受験しましたが、その後は江上波夫先生の「騎馬民族征服説」の本を読んで以来40年以上何もアップデートされていない事に気づき、50年間の日本史の研究成果を基にした史観を頭に入れることにしました。20冊以上の古代史関係の書籍を斜め読みしました。書誌的俯瞰です。ネットで本は容易に買える時代になりました。加えて、ネット上に多くの情報が提供されています。対象は、「日本人はどこから来たか」、「日本という国家がいつ成立したか」です。これは日本人のアイデンティティーを強化するための俯瞰的認識を得るためです。詳細はブログに記述中です。
日本人はどこから来たかこの50年の学術の進歩は画期的で、遺伝子情報の分析がされています。女性の系譜はミトコンドリアに引き継がれ、男性の系譜はY染色体に引き継がれます。日本人のミトコンドリアをたどれば一人のアフリカ人女性に行き着きます。男性も同様にアフリカ人に行き着きます。10万年以上前に、アフリカを出た人類の祖先はヨーロッパとアジアを目指して移動を始めました。アフリカからアジアへの移動経路にはヒマラヤの北と南のルートがありますが、日本人の祖先はヒマラヤの南ルートのようです。遺伝子情報でいえば、中国北部、朝鮮半島、日本は殆ど同じグループです。日本列島への入り方ですが、朝鮮半島、対馬、壱岐のルートが有力です。長江河口域もしくは山東半島から直接、さらには西南諸島沿いに到達したという説も有力です。北海道には北方系の民族の流入もあり独自の縄文文化を築いたようです。また言語学的に南インドと近いといいます。特に稲作に関する語彙は共通語が多いようです。つまり日本人は遺伝子的にはアジア人の中の1民族だということですね。日本人だけアジアで特別という国粋的な主張はできません。
日本はいつ成立したのか紀元前1世紀に編纂された漢書地理志に「楽浪の海中に倭人あり、別れて百余国と為る。歳時を以て来たり、献見すと云う」とあります。倭国が歴史に登場しました。大陸から灌漑稲作技術が導入され、北九州から東北地方まで広がり、社会が変化し、弥生後期には北九州は大陸の政治と関係をもち、各地にはクニが成立し百余国にもなり、邪馬台国の時代になります。北九州か畿内かという邪馬台国の位置論争は俯瞰古代史では気にしません。クニというのは大集落か都市国家のようなものであった様です。都市は文明です。日本海側では、対馬海流を利用して山陰、丹後、能登、越とクニが広がり、青森にも稲作文化が伝播しています。逆にこの時代鉄を求めて朝鮮半島南部の「伽耶」を拠点に倭国が進出して、一時は新羅の都にも達しています。そしてこの間も、絶え間なく、朝鮮半島南西部(百済)から専門家集団や戦乱を避けた難民として流入したようです。そして、1世紀には氏族連合王国の倭国が成立しています。
中央集権の天皇制の国家成立はさらに時代が下がります。大化の改新の後、百済を支援する軍を送りましたが新羅・唐の連合軍の前に660年白村江の戦いで敗れ、百済は消滅、半島から完全に倭国の勢力が消えます。その結果百済から王族を初め多く知識人が渡来しました。そして668年大津で天智天皇が即位します。公地公民制という国家体制を目指して、最初の成文法典「近江令」22巻制定、670年最初の戸籍「庚午年籍」も作ります。大津令で初めて「日本」を使っています。天皇という王号もこの時からで、この時点が日本国の成立でしょうか?これには多くの百済からの専門家が参画したと思います。その後、壬申の乱を経て、天武天皇が即位して、文武天皇、そして聖武天皇と続き、本格的な奈良時代へ入ります。
7世紀には朝鮮半島も、新羅が倭国と唐の勢力を駆逐して統一国家を成立させ、朝鮮独自の文化を作っていく時代になります。重要なことは、7世紀、同時期に日本と新羅が唐の文化をフルセットでコピーして、独自の文化を作り始めたということです。極端な説では、すべての文化が朝鮮半島から伝播となりますが、両国とも、スタートは当時世界の最先端であった唐の文化の模倣から始めたということです。奈良の平城京と新羅の慶州のアーバンプラン(都市計画)は唐の長安のコピーです。一方日本語と韓国語は文法が基本的に同じですがあまり語彙が共通していないのは、日本語、朝鮮語ともに、7世紀以降に洗練されて確立したためかもしれませんね。古代史に関する考古学的、文献的情報は、極く僅かしか、ありませんので、古代史はミステリーハンターには最高の猟場ですね。詳細は。http://www.fukan.jp/

◆2011年度(社)俯瞰工学研究所の会員募集◆4月からの会員を募集します。ぜひ会員になって(社)俯瞰工学研究所の活動に参加しませんか。会員のための技術経営講義が月に1回計10回あります。基本的な内容は、東京大学で講義した「俯瞰経営学」の内容です。今年度は、プレゼンテーションスキルの強化を入れていきたいと思います。大学の講義はフルタイムの学生を前提にしていますが、社会人はそれだけの時間が取れませんので形式は違ってきます。昨年の結果から最初はやはり、会計とマーケティングの基礎の講義が必要だとわかりましたのでそれも取り入れます。その後はテーマを選んで、講義やワークショップをする予定です。目標の水準は「社会人大学院」です。この場は会員同士の交流の場でもあります。毎回基本的に交流会をします。その他、会員が特に興味があるテーマがあれば別途ワークショップを開いてもいいと思います。
また、会員は興味と時間があれば、(社)俯瞰工学研究所が参画している下記のようなプロジェクトに参画することも可能です。賛助会員として、会社の仲間とグループで参加も大歓迎です。できるだけ、3月中に入会をお願いします。会費は原則4月?3月の年度会費です。4月の下旬には第一回の技術経営学講義を始めます。

◆近未来都市を作る実験?◆二子玉川の都市再開発のプロジェクトは粛々と進んでいます。コンソーシアムの拠点、カタリストフロアが、二子玉川にオープンします。4月の25-26日に大きなセミナーを予定しています。ぜひご参加して頂き、ご自分でこの「場」をどう活用できるか考えてみてはいかがでしょう。コンサート、個展も可能です。すでに、コミュニティーを形成している方がここで何かイベントをするとか・・・・・
◆詳細は以下のURLをご参照下さい。http://creative-city.jp/2011/01/2011.html(社)俯瞰工学研究所はこの活動の支援に参加しています。

◆プラチナ構想スクール◆小宮山宏先生がイニシアティブをとる、地域活性化のプロジェクトを推進する地域のリーダー育成のプラチナ構想スクールは2月18日にスタートしました。参加自治体は28県市町でした。19日は上田清司埼玉県知事による、地域活性化の現場報告の講義があり、続くワークショップのコメンテータは元総務大臣の増田寛也さんという豪華な布陣の研修になりました。小宮山先生もフルアテンドです。参加者は各地域の次をリードする精鋭が集まりました。また経過報告をします。
◆詳細は以下のURLをご参照下さい。http://www.platinum-network.jp/(社)俯瞰工学研究所はこの活動の支援に参加しています。

◆ビジネスモデル学会春季大会参加の最終のお誘い◆ビジネスモデル学会の春季大会が3月26日、慶応大学の三田キャンパスで開催されます。今回のテーマは「ビジネスモデルと企業倫理」です。企業はますます社会的な存在となってきました。その結果、求められる企業倫理もより高度になります。実は、前回秋の10周年記念大会での基調講演の「ビジネスモデル研究10年の俯瞰」で判明したのですが、ビジネスモデルの学術研究で最も大きな研究の一つが「ビジネスモデルとETHICS(倫理)」でした。今回はこれを少し深堀してご紹介したいと思います。交流会にもご参加ください。ネットワークが広がります。また5月21-25日に予定されているバングラデシュへ研修旅行の発表もあります。現地大使館の絶大なるご支援で貴重な訪問が実現しつつあります。貴重な1日の時間ですから、参加者にとって価値ある時間とするため、興味深くかつ有用なご講演を予定しています。主な公演予定は、
 基調講演1:「ビジネスモデルとETHICSの俯瞰図」 松島 克守(ビジネスモデル学会会長/俯瞰工学研究所長)
 基調講演2:「ビジネスモデルとETHICSの研究動向」 露木 美幸 氏(拓殖大学講師)
 特別講演1:「ビジネス顕微鏡/人間情報が創るこれからの企業成長」 矢野 和男 氏(日立製作所基礎研究所主管研究長/人間・情報システムラボ長/IEEE Fellow)
 特別講演2:「ビジネス・モデル・イノベーション基盤としてのユビキタス・コンピューティング」 坂村 健 氏(YRPユビキタスネットワーキング研究所長/東京大学教授)
 特別講演3:「地上波テレビ・ビジネスモデルの限界と可能性」 岩崎 達也 氏(法政大学客員教授/日テレアックスオン映像事業センター長)
 特別講演4: 「産学連携の現場からの提起」(仮) 鈴木 康之(JST科学技術コーディネータ)
JSTの鈴木さんは中部地区で長年産学連携を支援して、大きな成果を上げられたことで平成22年度文部科学大臣賞を受賞されています。ビジネスモデル学会ご参加頂ければ、貴重な知識を獲得し、交流会で素晴らしい人脈ネットワークを強化出来ると思います。これを機会に会員になって活動に参加しませんか。
◆詳細は以下のURLをご参照下さい。http://www.biz-model.org/

◆書評◆古代史の復習のために読んだ本の中で、今回は下記の4冊を紹介します。1.「農耕社会の成立」石川日出志 岩波新書 2010年2.「ヤマト王権」吉村武彦 岩波新書 2010年3.「古代中国と倭族」鳥越憲三郎 中公新書 2000年4.「倭国」岡田英弘 中公新書 1977年(2001年31版)
あくまで、古代史のバージョンアップが目的でしたので、出版が新しいものを選んでみました。1と2は最新の学術知識を編集したもので、新書ですが内容は充実していて、斜め読みすることは出来ませんでしたが、きちっとした知識を獲得できました。巻末の索引や参考文献等は、学術書の水準です。改めて、巻末の「岩波新書赤版1000点に際して」を読みましたがその理想は、さすがかって「日本の四大文化権威 朝日、東大、NHK、岩波」と称された岩波の力を感じさせます。1000点のうち100点でも若いうちに読めば教養人として人生を送れるとは言いすぎですか。
3は日本人の源流を東南アジアの歴史と民俗学まで広げた俯瞰的視野で記述されていて、「目から鱗」的な知識を獲得出来ました。長江中流に、かって繁栄した民族即ち、「倭族」を弥生人の源流であると位置付け、黄河文明に駆逐され西に、南にそして東に移動して其々の国家を設立し、あるいは少数民族として山岳地帯に生き残る「倭族」という学説を提案しています。そしてその「倭族」に対する愛情を感じさせる本です。
4は日本、中国、朝鮮という東アジアという、俯瞰的視点で「倭国」を解き明かしている点が、価値があるのでしょう。何しろ31版の重版が何よりの評価と思います。三国志の、云わば、付録のような「魏志倭人伝」や、編集時期が不確かな「古事記」「日本書紀」の記述を精読する倭国の研究より、遥かに俯瞰的理解を与えてくれます。巻末に学術的な索引や資料など有りませんが、それだけに、ノドゴシよく読める本です。巻末の「中公新書刊行の言葉」も改めて読みましたが、「真に知るに値する知識だけを選び出して提供すること、・・」を実感させる2冊です。
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俯瞰 MAIL 002 号( 2011 年 2 月 16 日)

 


皆様
◆季節のご挨拶◆東京は久しぶりの雪でしたが、これからは春めいて来ると思われます。インフルエンザの流行もありますので健康には十分ご注意ください。実は、私は殆ど風邪を引いて発熱した事がありません。この20年以上、毎朝手作りの野菜ジュースを飲んでいます。人参、セロリ、レモン1個が基本です。また、風邪かなと思ったときは、ビタミンCとBを3時間おきに飲みます。風邪薬はこの30年間服用した記憶はありません。無論、抗生物質も。

◆時代に同期する情報装備を◆2011年1月早々に、インテル社が新型CPUの発売を開始しました。新コアCPUです。私の書斎のパソコンは旧世代(Core2QuadQ9550)ですが、十分高速で、不満はありません。が、このまま2008年の先端技術に満足していては時代に同期できません。この間のインターフェースやメモリーの技術革新も著しいのです。ということで十数年ぶりに最先端テクノロジーを実装するパソコンを自作することにしました。自作のほうが割高になりますが、敢えて自作したのは、最先端の部品の組み合わせが可能になるばかりでなく、その部品の選択のために、かなりの技術情報を収集して理解しなければならないからです。このプロセスが重要でコンピュータに関する技術知識がバージョンアップされます。
初期のスーパーコンピュータより数十倍高速のパソコンは、実に、CPU、SDD、メモリーそしてマザーボードの4部品に集約されてしまったのです。これは革命だと思います。部品をマザーボードに装着してケースに入れ、電源を入れれば、動き始めます。パソコンの自作は、実は単純な作業です。そしてOS(Windows7 64bit)を導入すれば出来上りで、インターネットは始められます。新パソコンの体感速度は数倍になりました。素晴らしい。
ところで、ひとつも日本製の部品が無い!いやいやボードの上にあります。コンデンサーという部品は、台湾製の高級なマザーボードでは、日本製であることを付加価値としてアッピールしています。隠れた素材などにはまだ日本製もあるでしょう。しかし主要モジュールに日本製品がないという事実を、最先端のパソコン、ITの世界的な産業構造であると認識するしか無いのです。日本の電子産業は寂しいですね!時代に同期できなかったから仕方が無いのかもしれません。
◆(ブログ本文ではハイパーリンクを細かく貼り、それを見て行けば私が検索、分析、評価して部品を選択して行った過程がある意味共有出来ると思います。http://www.fukan.jp )

◆近未来都市を作る実験?◆二子玉川の都市再開発のプロジェクトの一環としてクリエイティブ・シティ・コンソーシアムの「フォーラム2011」を1月26日二子玉川の「アレーナホール」で開催しました。参加をお断りしなければならないほどの申し込みを頂きました。
テーマは「創造経済の時代?変化する都市・ワーク・ライフと二子玉川の可能性」で、基調講演「創造社会の到来と都市の未来」金正勲氏(慶應義塾大学政策・メディア研究科 准教授、ハーバード大学法科大学院 客員教授)の後、パネルディスカッションを行いました。パネリストは、私と、石戸奈々子氏(NPO法人CANVAS副理事長)、金正勲氏(慶應義塾大学 教授)、向谷実氏(ミュージシャン、株式会社音楽館 代表取締役)です。向谷さんは生まれも育ちも二子玉川です。パネルディスカッションの冒頭で私が、コンーシアムのグランドデザインを紹介しました。それに続いて、現在設計中の、プロジェクトの紹介がありました。
また翌日の1月27日には、このコンソーシアムの重要な推進者である、東急電鉄の野本専務が次期社長に昇格する発表もありました。大変心強い体制になります。
◆フォーラムの詳細は以下のURLをご参照下さい。http://creative-city.jp/news/2011/

◆プラチナ構想スクール◆小宮山宏先生(三菱総研 理事長)が提唱されて来たプラチナ構想ネットワークが2010年12月22日に設立され活動を始めたことは、前回ご紹介しました。いよいよ自治体幹部研修のプラチナ構想スクールが2月18日にスタートします。参加者は定員25名でしたが、事情で28名になりました。地域活性化のプロジェクトを推進する地域のリーダーの育成が目的です。これは一般公開ではなく、プラチナ構想ネットワーク会員の自治体からの推薦、申し込みです。これから月1回、1泊2日の研修を計6回することになります。地域活性化の推進に必要な基礎知識の獲得と、相互研鑽、人的ネットワーク形成の場を提供します。私は4回目に「地域クラスターの作り方」を講義する予定です。最後は「我が街のプラチナ構想」といういわば卒業論文の発表です。また経過報告をします。
◆詳細は以下のURLをご参照下さい。http://www.platinum-network.jp/(社)俯瞰工学研究所はこの活動の支援に参加します。

◆ビジネスモデル学会春季大会参加のお誘い◆ビジネスモデル学会の春季大会が3月26日、慶応大学の三田キャンパスで開催されます。
今回のテーマは「ビジネスモデルと企業倫理」です。企業はますます社会的な存在となってきました。その結果、求められる企業倫理もより高度になります。実は、前回秋の10周年記念大会での基調講演の「ビジネスモデル研究10年の俯瞰」で判明したのですが、ビジネスモデルの学術研究で最も大きな研究の一つが「ビジネスモデルとETHICS(倫理)」でした。今回はこれを少し深堀してご紹介したいと思います。
さらに、貴重な1日の時間ですから、参加者にとって価値ある時間とするため、興味深くかつ有用なご講演をお願いしています。主な公演予定は、
 基調講演1:「ビジネスモデルとETHICSの俯瞰図」 松島 克守  (ビジネスモデル学会会長/俯瞰工学研究所長)
 基調講演2:「ビジネスモデルとETHICSの研究動向」 露木 美幸 氏(拓殖大学講師)
 特別講演1:「ビジネス顕微鏡/人間情報が創るこれからの企業成長」 矢野 和男 氏(日立製作所基礎研究所主管研究長/人間・情報システムラボ長/               IEEE Fellow)
 特別講演2:「ビジネス・モデル・イノベーション基盤としてのユビキタス・             コンピューティング」 坂村 健 氏  (YRPユビキタスネットワーキング研究所長/東京大学教授)
 特別講演3:「地上波テレビ・ビジネスモデルの限界と可能性」 岩崎 達也 氏 (法政大学客員教授/日テレアックスオン映像事業センター長)
 特別講演4: 「産学連携の現場からの提起」(仮) 鈴木 康之 氏(JST科学技術コーディネータ)
JSTの鈴木さんは中部地区で長年産学連携を支援して、大きな成果を上がられたことで平成22年度文部科学大臣賞を受賞されています。
ビジネスモデル学会ご参加されれば貴重な知識を獲得し、交流会で素晴らしい人脈ネットワークを強化出来ると思います。これを機会に会員になって活動に参加しませんか。
◆詳細は以下のURLをご参照下さい。http://www.biz-model.org/

◆書評◆「知はいかにして再発明されたか」2010年 日経BP社 イアン・F・マクリーニー・ライザ・ウルヴァートン(著)「知の構造化」ということを数多く口にしているので、題名に惹かれて書店で買い求め、読んでみましたが、知的な読み物のとして凄く面白い本です。巻末の参考文献のリストを見れば学術論文の水準ですが、学術論文のように書いてはこの喉越しの良さは出ないでしょう。ただ主観を吐露するだけの憂国本や、読めばすぐお金になるような新聞広告の本とは異次元の水準です。時間があればご一読をお勧めします。
アレキサンドリアに生まれた図書館、中世の修道院、ヨーロッパの大学、アカデミー、専門分野、実験室そしてインターネットと、知の創造機関を繋いだストーリですが、興味深い知見を得られます。終着点としてインターネットを位置づけていますが、ここはかなり唐突で不連続なので、読後多くの人が、発展的、創造的に書き換えたいという衝動に駆られると思います。
◆要約をブログに置きます。http://www.fukan.jp/

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俯瞰MAIL 001号(2011年1月10日)

 

俯瞰工学研究所のメルマガです。第1号を送らせていただきます。----------------------------------------------------------------------
皆様
◆明けましておめでとうございます◆大学を平成21年3月に退官しましたので、研究活動の拠点として昨年1月に一般社団法人 俯瞰工学研究所を設立して社会的な活動やささやかな研究活動を継続しております。一緒に活動をする仲間も増えてきました。ホームページでも途切れがちながら情報発信をしております。http://fukan.jp日々多くの方とお会いしていますが、冷静に見ると殆どの方々とは何年もお会いすることなくご無沙汰しております。はなはだ乱暴な方法かもしれませんがメールマガジンという情報技術の応用で「温故知新」の行動を試みたいと思います。見方によると押し掛けのブログになりますが。配信先のアドレスを用意するために、交換させていただいた名刺から、名刺読み取りOCRを使用してアドレスを抽出しました。およそ80%くらいの歩留まりでしょうか。かなりの方のアドレスが失われました。それでもほぼ2000名のアドレスリストが出来ました。ただ、氏名等は読み取りミスで失礼をしている可能性があります。ご連絡ください。またこのようなMLはメールボックスのご迷惑と感じられる方もあるかと思います。ご遠慮なく不要のお申し出をくださるようお願いします。また、内容等についてもご遠慮なくご意見いただければ幸いです。

◆情報技術による知的生産性の改善のお勧め◆年末の大掃除は煤払いする部分もあまりなく、各部屋の空気清浄機のフィルターを交換する事で終わりました。それから書斎の整理を始めました。人生の第5楽章の時期は、学生やスタッフの支援がなくて知的生産を効率よく出来る環境が重要と認識して居りますので、これまでも積極的に最先端の情報技術を活用するように心がけております。
2年前のiphoneの導入は画期的な生産性向上をもたらしました。メール、スケジュール、資料、検索等の情報サービスは完全にユビキタスになり、すきま時間の有効利用が画期的に進みました。iphoneの利用はまずメールです。添付ファイルが読めて簡単な変身が出来ます。そしてスケジュール確認。最近は日経新聞の電子版やWSJもすきま時間で読みます。
しかし、書斎にはいつか必要だと手元に置いた雑誌の記事がかなり有りました。アスクルで裁断機(CARL)を購入してきれいに端面を揃えて、スキャナー(ScanSnap)で自動的にpdfファイルにしました。わずかの時間でかなりの紙を捨てることが出来、すっきりしました。さらにクラウドサービスのDropboxにそのフォルダーを置きましたので、いつでもどこでも見ることが出来ます。
パソコンのマイドキュメントの主要ファイルはDropboxで全てのパソコンと共有できます。ネットが繋がらなくても見る必要がある書類は、Goodreaderに移してiphone内部に保存しておきます。記録的な情報や写真はその場でEvernoteというクラウドサービスにアップしておいてどのパソコンも共有します。Dropboxは極めて秀逸なサービスで、これで人生の品質が改善出来るでしょう。ScanSnapというスキャナーも秀逸で名刺読み取りにも威力を発揮します。あと、Evernoteというクラウドサービスも必須です。とくにiphoneとDocscannerとの組み合わせで会議資料のpdf化がその場で一瞬で終わります。
これからは長くなりますので(社)俯瞰工学研究所のHPのブログ:知的活動のレベルアップする情報武装の強化をご覧ください。ともかく長年の懸案のペーパーレスがこの年末年始でほぼ完成しました。 マイドキュメント等パソコン内のデータの大整理は時間がかかりましたがこの正月の最大の成果でしょうか。気持良く2011年仕事が出来そうな気がしてきました。

◆近未来都市を作る実験◆二子玉川の都市再開発のプロジェクトの一環としてクリエイティブ・シティー・コンソーシアムが立ち上がりました。
丸の内、大手町、六本木、新宿、渋谷を超えた街を作るプロジェクトです。ビジネスイノベーションを継続的に起こす街です。それを興すクリエーティブな人々の集積を作るのです。最先端の情報技術を投入します。新しい街は社会実験場です。多様な才能や企業がオープンイノベーションでビジネスイノベーションを興していく街です。今そのグランドデザインを議論しています。
ご興味あれば1月26日午後、二子玉川でフォーラムを行います。ご参加ください。(社)俯瞰工学研究所はこのプロジェクトに参画してオープンラボの運営を行っています。
<フォーラムの詳細は以下のURLをご参照下さい。>http://creative-city.jp/2011/01/2011.html
<お申込みフォームURL>http://creative-city.jp/ccf2011-all.html

◆プラチナ構想ネットワーク◆小宮山宏先生(三菱総研理事長)が予て提唱されて来たプラチナ構想ネットワークが12月22日に設立され活動を始めました。
目指すところは例えて言えば「坂の上の雲」の先にある世界を提案していると思います。日本は明治維新以来欧米を追いかけ、即ち坂の上の雲(欧米)を目指して一所懸命駆け上がってきました。そしてそこに到達した。そのあとが問題です。雲の中は霧の中、先が見えない。この状態が90年以降続いているのではないでしょうか。加えて、少子高齢化や、エネルギー危機等の冷たい風が吹き、金融危機や東アジアの緊張のような稲妻も走ります。
小宮山先生のプラチナ構想とは、雲の先には穏やかな尾根道が続き、その先には白くプラチナ色の頂きが見えるという事でしょうか。以上は小職の勝手な解釈ですが。
このご提案は広く共感を得て日本の代表的な企業人と自治体、政治家がメンバーとして参加しました。最初の活動は、自治体幹部研修のプラチナスクール(仮称)とプラチナ構想の概念を構成する知識の構造化であるプラチナハンドブック(仮称)の制作です。(社)俯瞰工学研究所はこの活動の支援に参加します。http://www.platinum-network.jp/index.html

◆電子出版◆2010年は電子出版で盛り上がった年だったと思います。この1年で電子出版には色々な動きがありましたが、未だ決着がついていません。最大の懸念は読者不在の行動で、既得権益をなんとか守りたいという感じの行動が目につきます。この手の行動はこれまですべてみじめな結果になていますが、これは人間の業でしょう。
俯瞰工学研究所は年初から電子出版の研究をして、実験として電子出版を試行してみました。eBookJapanより電子書籍「マンション建替え奮闘記」(菊地順子著、俯瞰工学研究所出版)が発売になりました(10/29)。
菊地順子さん(旧姓江崎順子さん)は小職の畏敬する方です。日本IBMで、今や知る人ぞ知る“OS2”マーケッティングの戦友です。時を得ずして、機能の低いwindowsにOS2は敗退しましたが戦いに悔いを残しておりません。当時我々のグループでは、今思えば大変失礼ですが、キンさんとニックネームで呼んでいました。ギンさんもいました。
この菊地順子さんが、改築すべきマンションを、業者に頼まず自らリーダーシップを発揮して建て替えられた、ドキュメンタリーが「マンション建替え奮闘記」です。同じ課題に直面している方、近い将来に向かい合う予定の方にはきっとご参考になると思います。http://www.ebookjapan.jp/ebj/book/60047495.html

===================================◆内容・記事に関するご意見・お問い合わせ/配信解除・メールアドレス変更右記まで  webmaster@fukan.jp……………………………………………………………………………………………
 ◆俯瞰MAIL 001号(2011年1月10日)発行元: 一般社団法人 俯瞰工学研究所発行責任者: 松島克守URL: http://fukan.jp===================================

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