◆俯瞰MAIL第 95号◆2019年12月4日発行

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◆俯瞰メルマガ第95号◆

俯瞰工学研究所の松島克守のメールマガジンです。俯瞰メール95号をお送りします。pdf版はホームページに掲載し、facebookの俯瞰工学研究所のページにおいてもノートに掲載いたしますので、ご利用ください。

 

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◆時候のご挨拶◆

冬が来ました。12月です。街はクリスマスに向けたライティングです。低消費電力のLEDでライティングが広がりました。最近は、夜、街に出ることが少ないので、新鮮です。先日、久しぶりに居酒屋に行きました。店は働き盛りの人たちで満員、昔は自分もここに居たという、過去の世界に気持ち引き戻される時です。

●グローバル化を冷静に見直す時が来た

●難しくなってきた米中の冷戦

●米日韓の同盟から中朝韓の同盟を夢見ている文在寅大統領の悲喜劇

●俯瞰のクッキング“サンマ料理2皿”

●Kindleで電子出版を体験

●俯瞰の書棚 “サムライたちのイノベーション”

●雑感・私感

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◆グローバル化を冷静に見直す時が来た◆

ヨーロッパで右派勢力が勢いをつけています。そしてEU懐疑派です。EUの中核であるドイツでも、右派勢力の台頭と連立野党のSPDの連立懐疑派の勢力が強くなってきました。EUにおけるドイツのリーダーシップは弱まってきました。もう一つのEUの核であるフランスのマクロン大統領も、影響力を落としています。すなわちヨーロッパは、統合とは反対の方向に動き出していることになります。

 

少し前は、ポピュリストが大衆迎合の公約で勢力を伸ばしてきたように見えましたが、この反グローバル化の流れは、もっと深刻に分析する必要があると考えるようになりました。激しく荒れたフランスの黄色いジャケットデモは、右派勢力の台頭は国民がポピュリストに煽られているのではなく、心底怒っているという事を知らしめました。マクロ大統領もEUの統合推進という理想論を引っ込めて、国民の声を聞かざるをえませんでした。

 

即ち、フランスの黄色いジャケットデモ、イギリスのEU離脱、東ヨーロッパの強権政治、ギリシャ、イタリアの中国接近、スペインの政治不在等、すべて反グローバルという、うねりの中で起きていると思わざるを得ません。

 

ちょうど30年前のベルリンの壁の崩壊がグローバル経済のスタートポイントだとすると、この30年で、世界に大きな社会的、経済的な変化が起こりました。インターネットというテクノロジーは時空を超えた情報共有を可能にし、グローバル化を推進しました。

 

そのグローバル化の結果は、世界経済全体の10倍近い拡大と、強い者お金を持っている者はますます強く豊かにし、弱い者、持たざる者は相対的に貧しくなったという、いわゆる“分断”を起こしました。豊かな国と貧しい国、その国の中で経済的な大きな“分断”が生じています。そしてその分断は、政治の世界でも強い分断として表面化しました。これが、ポピュリストといわれた政治勢力の台頭ですが、“ポピュリストの台頭”という認識では、今や済まされません。

 

EUでは、強いドイツとフランス、そして弱いギリシャ、イタリアという分断が、EUの統合を揺さぶっています。一方で、そのEUに経済成長を求めて加盟したポーランドやハンガリーという、かつての社会主義国は、期待した経済成長は実現せず、移動の自由によって働き手の中核がドイツ、フランス、イギリスといった、西ヨーロッパに吸引されていきました。国内には、老人が貧困の中に取り残されました。そして今、イギリスは、この東欧からの移民を阻止するというEU離脱派が優勢となりました。貧しい労働者が、さらに貧しい国から来た労働者のために貧しくなったという認識でしょうか。不幸なシナリオです。人の移動ではなく、海外に投資するという資本の移動は、先進国に産業の空洞化をもたらし、雇用を減らしました。そして、トランプ大統領のメイドインアメリカの貿易交渉に繋がりました。

 

ポーランドやハンガリーは、イギリスで起きた現象を避けるために、ドイツとフランスが主導で進めた移民受け入れを断固として拒否する右派勢力が政権を握ったわけです。

 

 一方で、現在でもEU加入を求めている国もあります。トルコ、マケドニア共和国、モンテネグロ、セルビア、アルバニアなどで、今後の状況次第では数カ国が認められるかもしれません。グローバル経済の中では、このような弱い国は自立して生きていけません。目の前のEUの混乱を承知の上で、EUの中での経済成長を追求しているわけです。

 

 イギリスのEU離脱についても、経済を考えればEU離脱の選択肢はありえません。しかし「イギリスの主権こそが大切だ」とする保守層のエリートと、単に感情的にこれについて行く弱者は、分断されながらも同じ行動をとっています。

 

その背景には、EUという大陸型のグローバル化に対して、アングロサクソンという文化と価値観が合わずに離脱に向かわせたとも言われています。いずれにせよ共通の敵はグローバル化です。

 

しかし、経済のグローバル化と技術革新は不可逆的に進むでしょう。金融資産の保有の有無、貿易自由化や技術革新による熟練労働者と非熟練労働者の賃金レベル拡大も、このまま行けばさらに進みます。

 

最悪のシナリオは、再び世界経済がブロック化で互いに自己の利益を追求する状態になれば、第二次世界大戦の前と同じ状況になってしまいます。ですから、経済のグローバル化を認めた上で、経済競争の国際的なルール作りが必要になります。すでにデジタル課税や個人情報の保護等、グローバル経済の弊害を是正する動きが出てきましたが、もっと積極的にこれを推進していく必要があります。この過程でEUとアメリカ、そして中国のせめぎ合いになります。米中貿易戦争は、この一つのせめぎ合いです。

 

国連で採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」は普遍性、包摂性、参画性、統合性、透明性のコンセプトを重視しており、「先進国と途上国の両国が課題に取り組む」、「誰一人取り残さない」、「社会・経済・環境の関連性を念頭に、課題に統合的に取り組む」こと等が謳われていますが、この程度の精神活動では事は済みません。

 

やっぱり日本の立ち位置、動き方が気になります。本来は日本とアメリカ、そして中国が台湾やASEAN諸国と連携を強めて、グローバル経済の中でアジア経済圏の共存共栄をリードする立場ですが、アメリカはすでにアメリカファーストで固まりつつあります。その結果が米中貿易戦争です。この現象は、たとえ民主党政権になっても変わる事はないでしょう。

 

東アジアでは本来日本と韓国、台湾が強い連携の中で共存共栄を追求していく必要がありますが、現在の東アジア情勢では望んでも無理ですね。

 

英保守党が労働党をリード、ブレグジット党は支持率低下-世論調査

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-11-25/Q1HXBHT0AFBD01 

イギリスのEU離脱の根底にある理由

https://www.ide.go.jp/Japanese/Publish/Download/PolicyBrief/Ajiken/119.html 

パリから始まる反グローバリズムのうねりは「世界革命」に移行するか

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/58957   

我々はヨーロッパとは違う!…EU離脱支持の奥底に流れるもの

https://www.fnn.jp/posts/00421420HDK 

中道左右両派が過半数失う リベラル派、ナショナリスト党が台頭

https://www.bbc.com/japanese/48418832 

右派与党が圧勝=EU懐疑、東欧で定着-ポーランド総選挙

https://www.jiji.com/jc/article?k=2019101400164&g=int 

欧州右派勢力結集へ接近

https://www.saga-s.co.jp/articles/-/369543 

東部ドイツ2州の議会選挙、極右が大躍進

https://www.jetro.go.jp/biznews/2019/09/a6bac126bfb90bc8.html 

ドイツ極右政党、州議会選で「メルケル首相の与党下し」第2党に

https://www.bbc.com/japanese/50204669 

G20、グローバル化議論を 学習院大教授・伊藤元重

https://www.sankei.com/life/news/190513/lif1905130008-n1.html 

反グローバリズム再考: 国際経済秩序を揺るがす危機要因の研究

http://www2.jiia.or.jp/pdf/research/H30_World_Economy/H30_jiia_world_economy_research_report.pdf

 

◆難しくなってきた米中の冷戦◆

 香港の選挙は、民主派の圧倒的勝利でした。中国政府にとっては予想外の結果だとのことでした、ということは、香港市民の意識を全く誤解していたといわざるをえません。そしてこの香港市民に応えるべく、アメリカの議会はほぼ全会一致で香港人権法案を可決しました。貿易交渉を少しでも有利にしたいという思惑で、トランプ大統領は署名を躊躇っていたようですが、上院の全会一致の圧力で署名せざるをえませんでした。一言余計です。「中国の習(近平)国家主席と香港市民への敬意から」法案に署名したと。

 

これに対して中国政府は怒り心頭ですが、民主派の圧倒的勝利と米国議会の全会一致の前に、有効な対抗手段は見当たりません。国際社会も厳しく注視しています。

 

もともと香港と台湾の問題は、米中貿易交渉に絡んでいて厄介だと思っていましたが、さらに深刻になりました。ということは、米中貿易戦争は難航するということで す。そして、中国経済の停滞を及ぼす世界経済の停滞も続くということになります。

選挙を控えた大統領は、何としても中国から譲歩を引き出して成果をアピールしたいので、中国の農産物などの輸入増と引き換えに関税引上げを先送りするくらいの妥協で、一旦は中締めでしょうか。

 

 一方でアメリカ国内での対中強硬派は、政権内でも議会でも相当強いようです。ですからハイテク製品の輸出規制は依然として強化されています。中国の台湾海峡や南シナ海でのアメリカへの対抗行動も活発です。アメリカと中国の冷戦はむしろ激化していますが、外交の素人のトランプ大統領は、中国に押され気味です。トランプ大統領がアジア軽視の態度をとっている間に、中国はASEAN諸国の支持を固めています。この地域でのアメリカのプレゼンスは、大幅に低下しています。

 

このアジア情勢の中で、日本はどうするかです。中国は日本と経済連携を強め、アジア全体に中国経済圏を拡大強化していくでしょう。RCEPはインドが脱退のようですから、インド抜きのRCEPを中国と連携しながら推進していくには外交力が求められます。アジアは、日本と中国で仕切っていくしかありません。

 

中国 習近平主席「貿易戦争恐れないが 合意に向けて努力」

https://www3.nhk.or.jp/news/htmlは201911は22/k10012187791000.html?utm_int=detail_contents_news-related_002 

トランプ大統領「最後の苦しみ」 米中貿易交渉 詰めの協議続く

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191127/k10012192791000.html 

「過度なリスク」製品の利用制限 米商務省、規制案公表 中国念頭

https://mainichi.jp/articles/20191127/k00/00m/030/072000c 

香港区議会選、民主派が地すべり的勝利

https://www.bbc.com/japanese/50541553 

香港区議選、総得票数に見えた分断 中国側は驚き隠せず

https://www.asahi.com/articles/ASMCT66RTMCTUHBI01V.html 

トランプ氏、香港人権法案に署名 中国は反発

https://www.bbc.com/japanese/50582398 

トランプ米大統領欠席に反発 「外交知らない偽善者」-ASEAN

https://www.jiji.com/jc/article?k=2019110400363&g=int 

グラフで見る米中貿易戦争

https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-48211304 

 

◆米日韓の同盟から中朝韓の同盟を夢見ている文在寅大統領の悲喜劇◆

韓国は、期限ギリギリで渋々と歯切れの悪いGSOMIA破棄の延期を発表しました。アメリカは国防長官以下国防省の高官を次々と韓国に派遣し、GSOMIA延長を強く迫りましたが、最後の国防長官との会談でも、文在寅大統領は延長を拒否しました。韓国の関係高官がワシントンに呼ばれ、最後通商を突きつけられたのでしょう。否定はされましたが、最前線の米軍の地上部隊引き上げを通告された可能性が高いと思います。そして国防相以下関係者の断固とした説得に、文在寅大統領も抵抗できなかったのでしょう。以前でしたら軍事クーデターものですから。

 

しかしアメリカと韓国の信頼関係は大きく失われ、米韓同盟は弱体化しました。 日本と韓国の外交関係も最悪ですが、自衛隊と韓国軍の信頼もレーザー照射事件に続き、この一連のドタバタで大きく揺れたと思います。もともと、韓国がアメリカから入手した極秘情報を北朝鮮に流しているのではないかという疑いから、このGSOMIAをアメリカが強く推進し、その過程でも前政権下の韓国は署名のドタキャンをしたりして反米色をあらわにしていました。韓国国民の反米感情もかなり強いとも言われています。

 

文在寅大統領と日米の地政学的な認識が、全くずれています。日米は、東アジアは中国、ロシア、北朝鮮と日米韓が対峙する状況にあるという認識です。一方の文大統領は、中国、韓国、北朝鮮の関係強化でこの地域の地政学が収まるという認識のようですから。

 

この文在寅大統領の認識をあざ笑うように、北朝鮮はミサイル発射や長距離砲の射撃訓練を繰り返しています。それでも文在寅大統領は中朝韓の連携協力を追求するのではないかと、アメリカは疑念を持っていると伝えられています。

 

 シンガポールで劇的に始まったアメリカと北朝鮮との非核化交渉ですが、最近は全く進展がなく、ひたすら個人的な関係をアピールしてきたトランプ大統領も見果てぬ夢と諦めつつあるのではないでしょうか。

 

最近の北朝鮮の強硬な行動は、すでにミサイル搭載の核弾頭は完成し、これがあれば北朝鮮は他国の侵略を排除し、現在の体制を温存できるという自信からではないでしょうか。

 

金正恩委員長はスイスで教育を受けましたので、ヨーロッパ文明はよく理解しています。ですから、スイスが堅固な自国防衛体制で、あのヒトラーに侵攻をあきらめさせた歴史を改めて認識し、核保有国になることでスイスと同じ堅固な自己防衛体制を実現すし、この厳しい国際情勢を生き抜くことができると信じているのではないかと、最近、思います。これは、あくまで私の勝手な空想ですが。ですから、どんな交渉があっても、絶対に核を放棄することはないと思います。

 

この核付きの北朝鮮と統一することによって宿敵日本を凌駕する事を、文在寅大統領は夢見ているのでしょうか。追求するものが「反日」で、ついてくるものも「反日」では、韓国国民もいつまでも文在寅大統領支持は続けられないでしょう。追求するものは「東アジアの安全保障」で、ついてくるものは「韓国経済の持続的成長」であるべきですから。

 

韓国「GSOMIA維持」の裏側、対日シナリオ崩壊と米国頼みの“万事休す”に

https://diamond.jp/articles/-/221694 

GSOMIA維持も、米国は「韓国は今後も中国に接近」と予測 もう収まらない怒り

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20191126-00594682-shincho-kr 

韓国が「あくまでGSOMIAの破棄の延長」とするのは中国へのメッセージだった

https://www.1242.com/lf/articles/214840/?cat=politics_economy&pg=cozy 

文在寅大統領は何がしたいのか、なぜ韓国はGSOMIAで苦しむか

https://www.newsweekjapan.jp/imai/2019/11/gsomia.php 

北朝鮮 米との首脳会談「無益でこれ以上興味ない」

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191118/k10012182021000.html 

米軍司令官「北朝鮮はこの地域で最も差し迫った脅威」

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191124/k10012189071000.html 

北朝鮮、「本当の弾道ミサイル」で日本を脅す

https://www.bbc.com/japanese/50615720 

北朝鮮が境界線近くで砲撃訓練 韓国は合意違反と初めて批判

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191125/k10012191011000.html 

 

◆俯瞰のクッキング“サンマ料理2皿”◆

ともかく今年の秋刀魚は美味しくありませんね。 秋刀魚は塩焼きで、スダチ、大根おろし、醤油が一番美味しいと思いますが、秋刀魚の美味しい料理を二つ紹介しましょう。

最初はイタリア料理風です。スーパーの魚屋で秋刀魚を三枚におろしてもらいます。自分でもできますが、短時間に綺麗におろしてくれます。一人1尾でもいいですが、美味しいので二人で3尾にしましょう。

 

表面に塩を振って、しばらく置いて水気をペーパータオルで吸い取ります。皮の方を下にしてグリル皿かオーブン皿に並べます。オーブン皿の場合は、クッキングペーパーを敷いておいた方が、後が楽です。

 

美味しくない秋刀魚を美味しくするために、パルメザンチーズをおろして振ります。これがポイントです。ボールにパン粉と細かく刻んだニンニク、オレガノやイタリアンパセリなどのハーブも入れてかき混ぜます。これを、パルメザンチーズを振った秋刀魚の上に振ります。焼き上がった時にここが美味しいので、満遍なく振るのがコツです。その上からオリーブ油を、これもまた満遍なく振りかけます。少しずつ出てくるオリーブ油の瓶を使うとうまくいきます。

 

これを200度のオーブンで18分から20分焼きます。私はパナソニックのBISTROのグリルを愛用しています。仕上がりにカボスなど絞って食べると美味しいです。

 

次の料理は、秋刀魚のカレーです。「孤独のグルメ」という番組のセリフの中に「秋刀魚のカレー」という言葉がありましたので、適当に作ってみました。

 

サンマの頭と尻尾を切り落として三等分して、指でハラワタを出し水で洗って、拭いて塩を振ります。しばらくおいて水気を拭き取り、カレー粉も少し振っておきましょう。小麦粉をはたいて、油を大さじ一杯程度入れたフライパンで軽く焦げ目をつけるように中火で焼きます。焼けたら皿に取り出しておきます。

 

カレーソースを作ります。皆さんそれぞれカレーのレシピが確立されていると思います。市販のカレールーをスープで解いて簡単に作れますが、私は手作りカレーを作ります。

 

ニンニクと玉ねぎを丁寧に炒めて、小麦粉を少し振って炒めます。トマトジュースを100から150 ccくらい入れ、ちょっと煮て水をカップ2杯ほど入れて、顆粒の鶏ガラスープを大さじ1杯から2杯くらい入れてしばらく弱火で煮込みます。以上、すべて適当です。少し煮てからカレー粉を入れます。これも好みで、他のスパイスも入れます。一般的にはガラムマサラです。

 

塩胡椒で味を整えて、焼いておいた秋刀魚を鍋に戻します。少し煮て仕上げにカレー粉とガラムマサラで辛さを調節します。出来上がりです。

 

秋刀魚を筒切りにすると、食べるとき骨が面倒なので、三枚おろしで作った方が良いと思いました。

 

◆Kindleで電子出版を体験◆

電子書籍は何冊か出版したことがありますが、これまでは専門業者に丸投げでした。 3年ほど前に企画編集した原稿がそのままになっていましたので、一心発起して自分ですべてやってみることにしました。結論からいうと、きわめて簡単で、お金をかけずに書籍が出版できます。

 

WebでKindleを出版する方法のサイトがいくつかありますが、かなりのサイト

が誤っていました。これにかなり振り回されました。私の成果は下記の記事です。

 

◆俯瞰の書棚“サムライたちのイノベーション”◆ 

今回は「サムライたちのイノベーション」磯部宇彰、岡太朗、城下了輔、名和愛乃 kindle出版 2019 です。企画・編集は松島克守です。

 

この本は作りたかった本であるとともに、是非読んで頂きたい本です。ドラマチックで従来の本の印象を変える本です。是非読んで頂きたい。アマゾンで、500円で発売中です。追って紙の本も発売されますが、そちらは1350円です。

 

本書はイノベーションの本質と要諦を、日本のイノベーションを牽引する人たち、学生に提示したいという目的で編纂しました。クレイトン・クリステンセンのイノベーション論とは別のイノベーションの原理を学生に教示したいという強い意志で、3年以上頑張りました。Kindleでの書籍発行は初めてでしたが、すべて自分で作業しました。

 

イノベーションのケースとして紹介したのは、ソニーにおけるイノベーションの壮絶な格闘の物語と、創業者と日本初のグローバル企業を作っていった物語です。ベンチャーの複合体から大企業組織に変身していったソニーに見るイノベーションのジレンマ、その壁にぶつかっても不退転の覚悟でそれを突破して行ったイノベーター達のドラマです。その物語からイノベーションの本質を少しでも見つけたいという思いで、本書をまとめました。

本書は外部の視点で事実を淡々と記述する文体ではなく、話者と一緒に当時の世界にタイムスリップするようにインタビューを行い、その感動をドラマのように読者と共有したいという思いで書き込んだ文体です。当時大学院の学生であった4人の著者の躍動的でドラマのような文体は、イノベーター達のドラマチックな挑戦のプロセスを共有させてくれるでしょう。

 

本書は読者に目の前に障害があっても不退転の決意で、イノベーションに、人生に挑戦する勇気を与えてくれると信じます。

下記の目次で内容を想像して頂けると思います。

 

『サムライたちのイノベーション』

・目次

・プロロ―グ

 

・第一章コンピュ―タが解らない会社は生き残れない

武鑓行雄、まさかのソニー入社

岩間社長の意地と加藤善朗の自信

仲間よ、集えソニーのフロンティアに

システム開発部に盛田現れる

盛田のニューヨークでのプレゼン

全米で最も使いやすいワープロ

ライバルがどんどん増えてきた

若者はインドに行け

 

・第二章スティ-ブ・ジョブズを救った日本人 

IBMを超える!嘉本の固い決意

夢といわれた技術を現実に

HPに即決で導入され、3・5インチFDが世界へ羽ばたいた

スティーブ・ジョブズが無言で退席

その試作品の前に、ジョブズが立っていたのだ

IBMがソニー規格を採用、ついにIBMを超えた

ジョブズからの絶対的信頼でアップルに誘われるも、ソニーの仲間を取る

好きなのに別れる、嘉本は決意した

 

・第三章 自分たちが欲しかったコンピュ―タ―を創った 

厚木で出会ったNEWSのキーメンバー

自由な環境での自由すぎる開発がスタート

事業部との交渉決裂、社内ベンチャーとしての始まり

正式な組織立ち上げより先に試作機が完成

デュアルプロセッサ方式に泣かされた

国家プロジェクトを通じて繋がった同志

開発後も孤立したNEWSグループ

日本中が歓喜に沸いたNEWSの製品発表

時代の波間に姿を消したNEWS

次世代へと繋がっていくNEWSの人材

 

・第 四章 コンピュ―タ―を手の平に乗せる

突然の撤退命令

目指すのは、漢字が分かるタブレット

書き順が違うぞ

まさかの容量オーバー

ソニーにできないことはない

お前、新聞に出てるぞ

本当に売っている!

安くしたのに売れない

早すぎたパームトップ

知らないからこそ、挑戦できた

もう一度ソニーを作るには

 

・第 五 章ロボットを生き物にしたA I B O

正月に土井利忠に誘われ、行ってみたら変な機械があった

ロボットビジネスは必ず成功させてみせる

出井社長という壁、それを超えた驚きの方法

資金・人材の壁を超え、事業が加速

試作品のプレゼンに異論続出

足りない広告費、そこへ河野透が救いの手を差し伸べた

AIBOは二十分で完売、大槻は勝った

AIBOは人々にとって単なる「商品」ではなかった

AIBOの販売が中止されることなく続けられていたとしたら

大槻は再びソニーを去る。しかしAIBOへの愛を抱いたまま

使えなくなったAIBOをペットオーナー達が「献体」として提供

 

・第 六 章 電子マネ―に賭ける人生 

世界初の電子マネーを創るプロジェクト

優れた技術を如何にして普及させるか

これからのソニーの在り方を案じる

フェリカとの出会い

ソニー銀行のプロモーションビデオに衝撃を受ける

おサイフケータイ 一度目の挑戦、そして断念

スイカ導入に立ちはだかる数々の壁

WTOを通じた欧米の横やりを跳ね返す

おサイフケータイ二度目の挑戦

おサイフケータイにEdyが載るまでの格闘

運用開始当初の壁、ユーザーを如何にして増やすか

普及していってからの壁、法律に関する課題

国際標準の壁を乗り越えて フェリカが世界に認められる

今、宮沢和正の目指すもの

 

・第 七 章 よく遊び、よく学んでイノベーターに

就職はソニーかホンダと決めていた

入社早々社長の井深さん直轄のプロジェクトを任された

よく遊び、よく学び、アンテナを完成

イノベーションと商品企画は違う

デジタルオーディオの標準化で死闘

CD開発は「誤り訂正符号」でフィリップスに勝利

コンピュータの新しい流れを模索した

イノベーションの条件はフロー

 

・第 八 章 ソニ―というブランドを創る 

ジャンケンポンで決まった最初の配属

20%を狙ったトリニトロン

私にとっての転換期だった

宣伝のターゲットは盛田

新たなマーケットを創るマーケットエデュケーション

波乱を呼んだベータマックスの広告

ソニーの進むべき未来を体現していたAIBO

夢の電池を載せた電動アシスト自転車

新しい広告の形を見出した番組「世界遺産」

絶えずメッセージが求められるソニー

 

・第 九 章 ソニ―というグロ―バル企業を創る

佐野角夫と創業者の二人との最初の出会い

佐野の生い立ち、ソニーに入る決断をするまで

国内営業で

の勉強したこと

社長室への異動、初の海外出張を経験する

日本初のニューヨーク上場

日本初となる本格的なIR活動への注力

日本初の格付けを取得

難しい顧客対応から日本初のCSRを実現

日本初の開かれた株主総会の開催

社内外から非難の嵐

CBSレコード買収

コロンビア・ピクチャーズ買収

「のれん代」の一括償却

盛田との挑戦に誇り

次世代にソニーのDNAを伝える

 

・結 章 ソニ―に見る、イノベーションのジレンマ 

本書の物語に共通すること

岩間社長には時代の先が見えていた

ベンチャーの複合体から大企業への挑戦

経営と技術者の乖離

判っていながら時代と位相がずれる

組織とイノベーションのジレンマ

 

・エピロ―グ

・謝辞

 

以上です。もしかしたら日本人が失ったサムライ精神を再認識して頂けると思います。ご一読をお願いします。

 

◆雑感・私感◆

以上も雑感・私感ですが出来る限り参照データを紹介しています。個人のブログは面白いですが、個人的な偏りがありますからできるだけメジャーなメディアを引用しています。以下は独り言として下さい。

 

日本に関する記事は書く意欲が湧きません。安倍政権の最初は森友学園と加計学園のしょうもない議論で国会が空転し、最近は桜の花見で、またしょうもない議論で国会が時間を無駄にしています。立憲民主党を中心とした野党が安倍さんの最大の支持勢力になっています。ここまでくると次を狙う動きで政権が弱体化する可能性がありますが、この強固な支持勢力があれば、安倍首相は内なる敵に時間を割けます。これもしょうがない議論ですね。

 

荻生田文科大臣の一言「身の丈でやってくれ」この一言で日本の教育が救われました。数十万人の受験で記述式の出題の採点を一括してベネッセが受託という、政治的利権のスキャンダルが未然に防がれ、政権も大学も救われました。

 

いよいよ民主党の大統領候補の混乱とバイデン元副大統領のスキャンダルを見て、俺がトランプ大統領のアメリカを毀損するハチャメチャな行動を止めると言って、元ニューヨーク市長のブルームバーグ氏が旗揚げしました。安全な街ニューヨークを安全で繁栄する街に変えた実績は評価されると思います。選挙資金をすべて自前で、献金はいらない、成功した男の花道です。

 

もうすぐ結果がわかりますが、イギリス総選挙で保守党が勝利して、 1月末のEU離脱を達成しそうです。絶体絶命の状態から一貫して主張したEU離脱を実現すれば、ジョンソン首相は歴史に残る首相となるでしょう。結果は経済的なインパクトをどこまで抑えられるかです。

 

東南アジアに対する中国の影響力は、アメリカを遥かに凌駕しています。日本も頑張っていますが、圧倒的な市場を持つ中国に各国は逆らえません。日本は長年の努力によってアジア諸国に信頼されていますが、戦略的な対応ができているようには見えません。金融だけでなく、日本の持つソフトパワーをどこまで有効に使うかです。アジアに羽ばたく日本人がもっと必要です。

 

◆俯瞰MAIL第 94号◆2019年11月4日発行

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◆時候のご挨拶◆

紅葉の季節が始まりました。昔に比べると遅くなりました。枯葉として散る前に赤く黄金色に身を焦がして、この世に別れを告げるのです。人間も紅葉をして、この世に別れを告げますか。どんな色に染まるのでしょう。

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●トランプという個人に振り回される世界

●世界経済における中国の存在感

●年末まで気になる事

●我が家の新しいガジェット

●第71回俯瞰サロン

●俯瞰のクッキング“雑誌の記事から”

●俯瞰の書棚 “未完の資本主義”

●雑感・私感

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◆トランプという個人に振り回される世界◆

トランプ大統領という特異な人格に、アメリカも世界も振り回されています。ごく最近では、所得税も贈与税もないフロリダ州にニューヨークから居住地を移すということですが、脱税目的だと非難されています。

 

トランプ大統領の弾劾調査の証言が、いよいよ公開になります。何が出てくるかですが、トランプ大統領に不利な証言が出てくることは、目に見えています。ですから、彼は狂犬のように吠えまくっています。

 

アマゾンのジェフ・ベゾスがワシントンポストのオーナーであることを忌み嫌うトランプ大統領は、国防省の大型入札でアマゾンを排し、マイクロソフトに落札させました。大統領の権限がどれほど強いかを披瀝したわけです。アップルのCEOティム・クックは、いち早くトランプ大統領に取り入り、中国からの輸入に対する関税引き上げを回避しています。

 

シリアから米軍を撤退させ、トルコのクルド人排除を容認し、IS掃討で血を流して米軍に協力したクルド人勢力をあっさり見捨てました。これには、アメリカ国内でも激しい批判が起きました。すると突然、シリアの油田地帯に米軍を進駐させると発表し、クルド人に、この油田地帯に移住したらどうかと提案しました。彼のすべての言動が衝動的であることを、世界中が共有していますが。

 

クルド人の切り捨ては、同盟国に衝撃を与えたと思います。イスラエルやサウジアラビアも、アメリカとの同盟の虚構を感じたかもしれません。日本にとっても、改めて日米同盟の実態を再認識しなければならないことを知らしめたと思います。これまでオバマ大統領もトランプ大統領も、尖閣列島は日米安保条約の対象であると言明してきましたが、実際は有事にも直接的に兵力を出すことがなく、軍事衛星からの情報の提供と沖縄から睨みを効かせる程度の支援だと認識する必要があります。ですから、日米同盟とは別の枠組みで、中国と安全保障を探っていく必要を再認識しないと。

 

トランプ大統領の一連の衝動的な行動で漁夫の利を得たのが、プーチン大統領です。シリアのアサド政権を空爆で支援しつつ影響力を広げ、今度の米軍のシリア撤退でシリアでの圧倒的な影響力を確立しました。

 

ただその影響力でシリア内戦の終結のリーダーシップをとっていることは、この地域および世界にとっても好ましいことですから、他の中東諸国もロシアとの関係を重要視していくのではないでしょうか。結果として、アメリカのこの地域における影響力は大幅に衰退して、ロシアが大きな影響力を持つことになるでしょう。

 

もともとロシアとイランは関係が深く、加えてプーチン大統領はトルコとの関係を強化してきました。そしてトルコは、アメリカの反対を押しきってロシアの防空システムを導入しました。プーチン大統領は、中近東の他の国々にもロシアの武器輸出を推進するでしょう。アメリカとの軍拡競争を自国の経済では賄えませんから、武器輸出によって、そのコストを補うつもりだと思います。

 

無論このような中近東におけるロシアの影響力の拡大は、NATO諸国の大きな懸念になっていますが、 NATOとの関係を重視していないトランプ大統領にとっては、どうでもいいことでしょう。かつて冷戦時代には、トルコはソ連と対峙するNATOの最前線でした。

 

結果として、幼稚で衝動的なトランプ外交に対して、プーチン大統領の外交戦略は賢く戦略的に見えます。頭の中身の差異が際立ちます。そしてそのプーチン大統領と日本は外交関係を強化していく必要に迫られています。

 

地元で不人気の大統領 愛するニューヨークを惜しまれずに去る

https://news.yahoo.co.jp/byline/abekasumi/20191102-00149317/ 

トランプ氏の弾劾調査を決議、証言など公開へ

https://www.bbc.com/japanese/50258455 

アマゾン「受注敗北」に見る、トランプ新手法の威力

https://jp.reuters.com/article/breakingviews-amazon-idJPKBN1X90CL 

IS指導者がシリアで死亡とトランプ氏 「米軍の強襲で」

https://www.bbc.com/japanese/50204203 

「クルドを裏切った」米軍内から怒りの声

https://www.cnn.co.jp/usa/35143988.html 

トランプ氏、クルド人に油田地帯への移住提案 米軍は装甲車派遣

https://www.cnn.co.jp/usa/35144450.html 

米軍撤退で追い詰められたクルド人がシリア、ロシアと手を組んだ

https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2019/10/post-13184.php 

トランプ氏、トルコのロシア接近容認 NATOと溝

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO51352810U9A021C1FF1000/ 

ロシアがシリアで影響力拡大、米軍撤退の空白埋める-国境付近で監視

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-10-15/PZFAWXT0G1KW01 

シリア北部 米軍とロシア軍部隊が交錯する異例の状態に

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191027/k10012152341000.html 

トルコのシリア侵攻、ロシアの中東戦略に希望とリスク

https://jp.reuters.com/article/russia-middleeast-turkey-idJPKBN1WQ0F0 

 

◆世界経済における中国の存在感◆

米中貿易戦争は、世界経済に大きな影を落としています。輸出依存が高いドイツや欧州諸国も、経済の停滞に苦しんでいます。アメリカ自体も、製造業中心に景気後退の懸念が強まっています。中国も貿易戦争の結果輸出が大幅に落ち込み、それに関連して国内の製造業も不振を極めているようです。そして、この経済の懸念は中国国民の消費意欲にも影響し、結果として各国の中国輸出は大幅に落ち込んでいます。

 

ただ中国経済については、米中の貿易戦争の影響だけでなく、中国経済そのものが「成長の限界」という壁につき当たっており、経済構造の再編成が進んでいるのではないかという見方も有力です。

 

私も何度かこのメルマガで書いていますが、 2ケタ成長から5%成長へゆっくりと、しかし苦しみながらソフトランディングしていると認識しています。といっても、中国経済は巨大で、世界経済はその影響を大きく受けていますから、中国経済が調整局面に入れば、世界経済の成長は鈍化することになります。

日本もこの中国の調整局面、設備投資の先送りの影響受けて工作機械業界や建機業界など大きな影響を受けています。ということで日本の成長率も落ちてきます。

特に韓国経済は中国輸出の大幅な落ち込みで、深刻な状況にあるようです。文在寅政権の経済政策について国内で厳しい批判が上がっています。結果として対日関係の改善も少し開けつつあります。

 

IMF世銀年次総会、世界各国がトランプ氏貿易戦争に悲鳴

https://jp.reuters.com/article/imf-worldbank-trade-idJPKBN1X0018 

貿易戦争、製造業に打撃=高まる景気後退懸念-米

https://www.jiji.com/jc/article?k=2019100300359&g=int 

中国、9月の対米輸出が約22%減 続く貿易戦争の影響

https://www.sankei.com/world/news/191014/wor1910140014-n1.html 

中国経済、7-9月は6%成長と予想超える減速-世界経済に試練

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-10-18/PZJSB7T0AFB501 

中国経済は“成長の限界” 「想定外の過去最低」が示す本当の意味

https://www.sankeibiz.jp/macro/news/191030/mcb1910301441025-n1.htm 

沈むアメリカ製造業、世界経済に暗雲 指標節目割れ、ドイツも低迷深刻

https://www.sankeibiz.jp/macro/news/191003/mcb1910031210022-n1.htm 

ドイツ製造業受注指数、8月は前月比低下-市場予想の2倍の落ち込み

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-10-07/PYZZ436K50XY01 

韓国GDPは0.4%増に鈍化、貿易摩擦響く

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-10-23/-0-4-0-5 

 

◆年末まで気になる事◆

年末までに気になる事が、いくつかあります。まず英国のEU離脱の決着です。ジョンソン首相は総選挙に持ち込むことができましたが、総選挙で過半数が取れるかは不明です。そして確かに世論調査では有利ですが、前回のメイ首相の総選挙では、結果として過半数割れを起こして、その後の混乱につながりました。労働党のコービン党首が時代遅れの国有化などと叫んでいるために世論調査で支持されていませんが、 EU離脱に関する世論調査では、EU残留の方が上回っています。 EU残留を声高に主張している自民党が意外と票を集め、結果として保守党は過半数が取れずに、国民投票になだれ込むことも考えられます。そして、英国のEU離脱は幻に終わってしまうかもしれませんね。

 

北朝鮮の挑発が止みません。年末までに答えを持ってこいと、トランプ政権に圧力をかけています。もしかしたら、トランプ大統領は北朝鮮との核協議に興味を失っているかもしれません。もともと来年の再選しか頭にありませんから、無理をして変な妥協すれば却ってマイナス要因になります。もともと北朝鮮に核放棄の意思はないと思いますから、年末までに結果が出るとは思いませんが。この間も北朝鮮の核開発、ミサイル開発は進行しています。

 

可哀そうなのは、文在寅政権です。南北融和政策を基本として米朝会談の仲介に努力して来ましたが、そのトランプ大統領からつれなくされ、北朝鮮からは南北融和の象徴的な観光事業から韓国を排除するという通告を受けています。口汚く文在寅政権を批判する北朝鮮に対し、保守系を中心とした韓国民からは、南北融和政策そのものに批判が出ています。文在寅政権退陣の集会の規模はすごいですね。

 

米中貿易交渉がどこまで進捗するのか気になります。トランプ大統領は選挙民に成果をアピールしたい気持が強く、そして交渉結果に一喜一憂している株式市場を見ると、経済界も期待していると思います。ただ、根底にある米中の新冷戦は決着がつくものでありませんから、大きな進展はないと思います。この中で、日中関係の経済関係が改善されて、日本経済に好ましい結果が出るといいですね。

 

アジア太平洋の16か国が参加するRCEPの閣僚会合が、タイのバンコクで年内の妥結に向けて詰めの議論が行われました。「交渉をなんとか終わらせるという、各国の強い意志と意欲が共有され、残された相違点を埋めるべく建設的な議論が行われた」と伝えられていますから、年内妥結の可能性は高いですが、依然として中国・インド間の意見の隔たりは大きいとのことです。アメリカと経済的に対峙を余儀なくされている中国にとって、RCEPは重要な大型EPAですので、強力なリーダーシップでまとめ上げる可能性はあります。日本にとっても極めて重要なEPAです。ですから、結果が気になります。

 

◆我が家の新しいガジェット◆

我が家に新しいガジェットが加わりました。グラスサウンドスピーカー(LSPX-S2)です。外見はガラスのランタンのようですが、このガラスが振動して透明感のある音を再生します。見ていても美しく、ウイスキーやワインを傾けながら音楽を聴く、そんなシーンにぴったりです。この辺は、下記のサイトを見ていただければ分かります。書斎においてiPhoneからの音楽を再生しています。まさにガジェットです。またソニーを買ってしまいました!

 

以下メーカーのアピールです。

 

「スピーカー全体からリアルでクリアな音を奏でる構造

空間に溶け込むデザインながら、高音質も両立。透明な有機ガラス管は、高域を再生するトゥイーターになっており、真ん中に配置されているウーファーからは中域を再生しています。また、下部には低域を再生するパッシブラジエーターが配置され、スピーカー全体で音を奏でています。スピーカー全体から、360度全体に音が広がるので、部屋の中心にあるダイニングテーブルの上などに置くのにおすすめです。」

 

「360度に音が広がる『サークルサウンドステージ』

高域・中域・低域すべての音が360度に広がるよう目指した独自の音響構造で、部屋のどこに置いても、どこで聴いても高音質を楽しめます。また、通常のトゥイーターは指向性が狭く、スピーカーから離れるほど聞こえにくい特性がありますが、グラスサウンドスピーカーは有機ガラス管全体が縦に長い円筒状の振動板であるため、距離による音の減衰が少ない特長があります。そのため、目の前で生演奏が行われているようなリアルな音が部屋全体を満たします。」

 

「生演奏のようなリアルな音を再現する技術『アドバンスド バーティカル ドライブ テクノロジー』

弦楽器や打楽器を物理的に指ではじいたり、叩いて音を出すのと同じように、加振器が有機ガラス管(振動板)の端面を叩き、振動を有機ガラス管全面に伝えます。音の出し方の原理が近いことで、楽器の質感描写に優れ、人の細かな息遣いまでもリアルに再現することを可能にした、ソニー独自のスピーカー駆動技術です。」

 

「アナログまたはWi-Fi接続でDSD音源や最高192kHz/24ビットのハイレゾ音源に対応

最大192kHz/24bitのPCM方式の音源に対応。豊富な情報量(例:96kHz/24bitの場合、CDの約3倍)であるため、本来のスタジオやコンサートでの息づかい・空気感を体感できます。また、スーパーオーディオCDに用いられるDSDの再生も可能です」

 

「Bluetooth接続でもハイレゾ音質で楽しめる

LDAC対応LDAC対応機器との接続なら、ハイレゾコンテンツを従来の最大約3倍の情報量で伝送できるので、ハイレゾコンテンツも原音の細かい表現まで忠実に再現された音質でお楽しみいただけます。有線で接続している場合は、ハイレゾコンテンツをそのまま楽しむことができます。」

 

「CD音源や圧縮音源をハイレゾ相当の高音質にする

『DSEE HX(TM)』音楽ファイルの高域を補完するとともに、サンプリング周波数とビットレートを本来の数値より高めることで、CD(44.1kHz/16bit)以上の音質(192kHz/24bit-48kHz/24bit)に変換。MP3などの高圧縮音源もCD以上の高音質になり、さらにクリアな躍動感あるサウンドを楽しめます。」

 

https://www.sony.jp/active-speaker/products/LSPX-S2/feature_1.html 

https://www.sony.jp/active-speaker/special/glass-sound/ 

 

◆第71回俯瞰サロン:本日11月5日(火)開催◆

「元鎌倉投信創業者の新井和宏さんに伺う

共感コミュニティ地域通貨eumoの実証実験開始

目指すは、共感資本社会の実現」

 

鎌倉投信の創業者で、投資信託「結い2101」の元運用責任者の新井和宏さんは、昨年、株式会社eumoを設立され、共感資本社会の実現に向けて活動されています。

今年9月には、電子通貨“共感コミュニティ通貨eumo(ユーモ)”を利用することで、「参加者が加盟店のある地域へ赴き、生産者と交流を深める」ことを促し、「参加者、生産者、地域住民の間で共感をひろげる」ための実証実験を開始されました。

eumoの目標である「共感資本社会の実現」とは何か?eumoの仕組みは?今回の実証実験の内容は?等々を伺います。

 

・日時 :11月5日(火)18時30分~(18時開場)20時

・会 場:品川インターシティ会議室 東京都港区港南2-15-4

・参加費:受付にて申し受けます。

講演会のみ(~20時)1,000円、懇親会 3,000円 

・懇親会:講演終了後に懇親会を開催します。終了時刻21時30分。

・講師 新井和宏(あらい・かずひろ)さんプロフィール:

株式会社eumo 代表取締役、ソーシャルベンチャー活動支援者会議(SVC)会長

1968年生まれ。東京理科大学卒。1992年住友信託銀行(現 三井住友信託銀行)入社、2000年バークレイズ・グローバル・インベスターズ(現ブラックロック・ジャパン)入社。公的年金などを中心に、多岐にわたる運用業務に従事。2007~2008年、大病とリーマン・ショックをきっかけに、それまで信奉してきた金融工学、数式に則った投資、金融市場のあり方に疑問を持つようになる。2008年11月、鎌倉投信株式会社を元同僚と創業。2010年3月より運用を開始した投資信託「結い2101」の運用責任者として活躍した。2018年9月、株式会社eumo(ユーモ)を設立。

かんしんビジネスクラブ アドバイザー、株式会社QWAN アドバイザー、Sustainable Co-Innovation Forum(SCIフォーラム) 理事、VENTURE FOR JAPAN オフィシャルサポーター

特定非営利活動法人いい会社をふやしましょう理事(’12年〜’18年)、横浜国立大学経営学部非常勤講師(’12年度~’15年度)、経済産業省 おもてなし経営企業選 選考委員(’12年度、’13年度)、

著書『投資は「きれいごと」で成功する』(ダイヤモンド社)、『持続可能な資本主義』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『幸せな人は「お金」と「働く」を知っている』(イーストプレス)

・ご参考

2015年5月11日放送 NHK 「プロフェッショナル~仕事の流儀」

お金に善悪はない。でも、違和感がつきまとう理由 

「共感資本社会」で新しい経済圏をつくる

・申し込みサイト(当日ご参加可能です):http://pr4.work/0/俯瞰サロン

・俯瞰サロン:https://www.fukan.jp/俯瞰サロン/

 

◆俯瞰のクッキング“雑誌の記事から”◆

料理雑誌の巻頭言で玉村豊男さんが、大学紛争の間フランスをヒッチハイクで旅行して、旅費を節約するために自炊をしたという話がありました。あの時代を思い出しました。無為に過ごしてしまったという反省もあります。その中で豚のヒレ肉のレシピを紹介していますので作ってみました。豚のヒレ肉は脂肪もなく、意外と価格も安いのですが、あまり料理法を知りませんでした。

 

豚のヒレ肉は塩胡椒してフライパンで焦げ目をつけながらしっかり火をとうします。一旦取り出してそのフライパンにアンチョビ入りのオリーブを刻んで入れ、白ワインを入れてソースを作ります。そこにヒレ肉を戻してからめてできあがりです。アンチョビ入りのオリーブを刻む、というソースが初めてでしたが、ヒレ肉にメリハリをつけてくれました。ヒレ肉自体に個性がないので、ソースを工夫すれば、ヒレ肉がおいしく食べられるということがわかりました。

 

JALの機内誌にクライムチャウダーの特集がありました。クライムチャウダーというとボストン風のものを思いつきますが、元々はお袋の味で、いろいろなクライムチャウダーがあることがわかりました。

 

もともと、海岸で拾ってきた二枚貝のスープに、貯蔵が効くあり合わせの野菜、ジャガイモ、タマネギ、人参、ニンニクなどを煮込んだスープが原点だったのでしょう。その中にニューヨークのクラムチャウダーが紹介されていました。 牛乳仕立てではなく、トマトが入った赤いクライムチャウダーです。早速作ってみました。ただ、アサリだけでは味が薄いので、顆粒のホタテのスープを入れました。

 

みじん切りのタマネギとニンニクを炒め、小さめに切ったジャガイモとニンジンを入れて少し炒めた後、別に酒蒸ししたアサリのゆで汁を入れ、顆粒のホタテのスープを入れ、水を足して、しばらく煮ました。野菜に火が通ったら、湯剥きにしたザク切りトマトを入れて少し煮て、アサリの身を入れ、塩胡椒で味を整えました。さっぱりした感じで美味しかったです。これからはクライムチャウダーの範囲を広げて、冷蔵庫にある野菜を使って、いろいろな味のクラムチャウダーを作りたいと思いますます。

 

◆俯瞰の書棚“未完の資本主義”◆ 

今回は「未完の資本主義 テクノロジーが変える経済の形と未来」大野和基他 PHP新書 2019 です。

 

この本は7人の経済学者、歴史学者、ジャーナリストなどの世界的なコンセプトリーダーに、ジャーナリストの大野和基さんがインタビューをした対話集です。バラバラなインタビューの集合ですので、その多様的な価値観と視点から、混沌として先が見えない世界を探ろうという意図でしょう。インタビューした相手は、ポール・クルーグマン、トーマス・フリードマン、デヴィッド・グレーバー、トーマス・セドラチェク、タイラー・コーエン、ルトガー・ブレグマン、ビクター・マイヤー=ショーンベルガーです。

 

それぞれの言明をご紹介すると。

 

ノーベル経済学賞を受賞しているポール・クルーグマン氏は、「我々は大きな分岐点の前 に立っている」、「格差を拡大しているのは政治の問題である」と、

 

著名なジャーナリスト・コラムニストであるトーマス・フリードマン氏は、「世界は フラット・ファスト・スマートになった」、「加速化(ファスト)する時代に生き残るには、『生涯学習者』になる能力がもっとも重要になる」と、

 

文化人類学者のデヴィッド・グレーバー氏は、「職業の半分がなくなり、『どうでもいい 仕事』が急増する」、「高給取りでありながら、働いている本人が『必要ない』と思っている仕事をしている人がどれだけ多いことか」と、

 

チェコ共和国の若手経済学者、トーマス・セドラチェク氏は、「成長を追い求める経済学が世界を破壊する」、「金融危機が起きる前、経済学者たちは私を窓から投げ出そうしていた」と、

 

経済学者のタイラー・コーエン氏は、「テクノロジーは働く人の格差をますます広げていく」「中間層の没落の原因は『孤独』である」と、

 

オランダの歴史家、ジャーナリスト、ノンフィクション作家ルトガー・ブレグマン氏は、「ベーシックインカムと1日3時間労働が社会を救う」と、

 

オックスフォード大学教授、ビクター・マイヤー=ショーンベルガー氏は、「現在は金融資本主義からデータリッチ市場に移行する過渡期にある」と、

 

それぞれ言明しています。

 

日本の課題については、ほぼ共通していて、「日本経済の最大の問題は人口減少」と「日本の凋落の要因は閉鎖性」です。

 

下記のメッセージは衝撃的ですが、同感です。

“ブレグマン氏が来日したときに目撃したのは、人間がいる必要がない仕事に複数の人が関わっている。彼は日本で「無駄な仕事」についている人が多いことにショックを受けた。”

 

生産労働人口の減少など憂える前に、労働力の有効活用を議論すべきです。日本の工場は徹底的に合理化されているようですが、それは生産ラインの作業者の話しで、その生産を管理している部門は無駄な仕事の山です。日本の製造業は、ここでコストを高めています。かつてある製造業の大企業で見た現実は、日本で働く従業員のなんと4分の1が「XXX管理」という部門に属していました。

 

ただ、工事現場などに手厚く配置されている人は安全重視の役目であり、一概に無駄とは言いえませんが。

 

国民全員に最低の生活を配布するというベーシックインカムについては、意見が分かれていました。

 

“基本的な生活を支える月額助成金としてベーシックインカムがあれば、皆が本当の自由を手に入れることができ、自分の人生をどうすべきか考える余裕ができます。”

という意見と、

“ベーシックインカムに対するもっとも重要な反対意見は、『フリーマネーを与えれば人は 怠けてしまう』つまり、人々は働くのをやめてしまうと。」という意見があり、私も判断に迷います。しかしベーシックインカムという考え方は、検討に値する社会システムのような気がします。

 

“私はむしろ、ベーシックインカムを導入しなければ、先進国は経済的に立ち行かなくなると考えています。私たちは現在、貧困が存在するゆえの費用を莫大に負担しています。高い医療費や学校の中途退学率、犯罪の増加などがその例です。人間の潜在能力のとんでもない無駄遣いだと思います。”については、経済学者が数値的な試算をしてくれると助かります。

 

下記の問いかけは、未来の課題というよりは、時間に余裕ができた今の私が直面しなければならない課題でもあります。退屈はしていませんが、何に残された人生の時間を使うべきか日々悩んでいます。

 

“未来における大きな課題は、「退屈」である多くの自由時間を手にしたとき、我々はどうしたらよいのでしょう。”

 

 AIが仕事を奪う、という議論については、ほぼ全員が楽観的で、過去も多くの職業がなくなってきたが、それ以上に新しい仕事が出てくるという見解です。私のこの四、五十年の人生でいろいろな職業が消えていきました。電話交換手、キーパンチャー、タイピスト、牛乳配達などです。株式のトレーダーもAIに置き換えられる人が増えてくるでしょう。工場の現場は深刻な人手不足、技能者の退職による技能の伝承という課題がありますから、もっと積極的にAIを導入すべきです。

 

AIが仕事を奪うとか、人類を超えるという人は、AIというテクノロジーの中身を理解していないと考えた方がいいでしょう。現在のディーププランニングは、行列式の演算の塊です。しかし囲碁の名人を破ったように、特定の分野では人間を凌駕します。

 

また私はこのコラムでも何度か書いていますが、GAFA の急成長の秘密の1つが組織と人事にあると仮説を立てて情報を集めていますが、下記のフレーズは体験的に理解できます。

“企業内にヒエラルキーはなく、異なるグループが存在し、互いに競合し合っています”。これがグーグルやアマゾンの組織です。

 

かつては、IT業界を支配し圧倒的な巨人IBMに勤務していました。そしてこの30年で崩落していったIBMと、GAFAの違いはここにあると思います。また優秀な大学の学生が、日本の大企業に入って花開くことなく職業人生を終えている現実を見ると、大企業とは才能を潰すシステムであると、つくづく実感します。目標が明確で労働集約的な活動が有効だった時代には巨大なツリー構造の軍隊的な組織が有効であったが、知識が経営資源になった時代には、これが逆効果だったと思います。

 

30年前1989年の売り上げランキングのフォーチュン500の上位20社を見るとそこにはビックスリー、GE、IBMなどが並んでいますが、 30年後のフォーチュン500の上位20社には存在しません。 30年前はアメリカの製造業と石油産業が世界経済を支配していたということです。現在2018年のフォーチュン500の上位20社には、アメリカ製造業の名前はなく、売上第一位は小売業のウォールマートです。石油各社は依然として上位に残っています。そして上位に、中国の石油と金融が名前を連ねています。製造業ではトヨタとフォルクスワーゲンが入っています。アップルとアマゾンも入っていますが。

 

そしてこの30年で、売上の規模が十倍と世界経済の成長がすごいです。さらに驚いた事は1989年ではフォーチュン500の上位20社のうち19社がアメリカ企業ですが、2018年ではわずか9社です。この30年のアメリカの衰退が生々しく見えてきました。アメリカファーストを主張する気持ちがわかります。すでにアメリカのGDPは世界の約25%に落ち、中国のGDPは約15%です。

 

最後に、「光陰矢の如し」のスピードで変化している現代において、この時代のスピードに付いていけない企業の末路は下記のフレーズに示されています。

“ファスト化の波にさらわれて、いったん自分を見失うと、気付いたときは岩だらけの海岸に叩きつけられて 満身創痍 になっているかもしれない。”

俯瞰的に現在の世界と社会を理解したいと思っている人には一読をお勧めします。

 

◆雑感・私感◆

以上も雑感・私感ですが出来る限り参照データを紹介しています。個人のブログは面白いですが、個人的な偏りがありますからできるだけメジャーなメディアを引用しています。以下は独り言として下さい。

 

口汚く人を罵り、吠えまくるトランプ大統領を見ていると、精神状態が異常ではないかという気がします。アメリカ国内でも精神鑑定の話も出ているようです。しかし彼を選択し、いまだに支持率は40%というアメリカの現実も直視しなければなりません。なんとしても大統領変えたいという思いの人も多いでしょう。今回の弾劾調査はこれに決着をつける場になるかもしれません。

 

首里城の火災には衝撃を受けました。確か10年ほど前に行きました。日本と中国が混ざり合ったような美しい空間でした。スプリンクラーが義務付けられないから設置していなかったとは驚きました。義務付けられているかではなく、必要かどうかの判断が出来ないのでしょうか。貴重な沖縄の観光資源ですから、国が予算をつけて短期間で再建して行くべきだと思います。これは沖縄県民と本土の国民がひとつになるプロジェクトです。

 

新発足した安倍内閣がドタバタとしています。やはりポロポロと変な発言が出てくるのは、長期政権の緩みと驕りと批判されてもしょうがありません。自分は雨男だから就任以来3つの台風が来てしまった、格差があっても身の丈に応じて学習しろ、などはまさにその表れです。一方、依然人気が高い小泉進次郎は相変わらず中身のない発言をしていますが、せっかくだったら感情込めたポエムを語って欲しいですね。という事は、日本は平和で国民が現状に満足していることでしょうか。

 

カシミールをめぐってインドとパキスタンがにらみ合いですが、危機感も感じます。ずっと前にこのメルマガで紹介したことがありますが「21世紀から見た歴史」では、確かインドとパキスタンが偶発的に核戦争を始めるというくだりがありました。中近東の混乱も偶発的な衝突が気になります。さすがに、もう二度とイランもサウジアラビアの石油施設を攻撃しないと思いますが、統制が取れていない武装勢力が中近東各地に割拠していますから、制御不能です。そこにロシアとアメリカが、武器の供与という発火物を投げ込んでいます。中東の海上自衛隊の派遣はやむを得ませんが、何もないことを祈ります。

 

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◆内容・記事に関するご意見・お問い合わせ/配信解除・メールアドレス変更は下記までwebmaster@fukan.jp

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◆俯瞰MAIL94号(2019年11月4日)

発行元:一般社団法人俯瞰工学研究所

発行人:松島克守

編集長:松島克守

配信人:石川公子

URL:https://www.fukan.jp/

 

◆俯瞰MAIL第 93号◆2019年9月30日発行

俯瞰メルマガ93.pdf
PDFファイル 469.5 KB

 

◆時候のご挨拶◆

秋分の日を過ぎて日々日が短くなっていること感じますが、周囲の緑はまだまだ青く、金木犀の香りもしてきません。金木犀の香り嗅ぐと秋が始まるという感覚でした。ラグビーと消費税で、季節を感じるゆとりがなくなっているようです。

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●イラン危機の周辺が気になる

●好転してきた日中関係だが

●圧巻の国連気候行動サミットの演説

●深刻な日本のポピュリズム

●俯瞰サロン開催案内

 第70回:松島克守所長 記念講演 10/23(水)

 第71回:共感資本社会の創造について 新井和宏氏 11/5(火)

●俯瞰のクッキング“最近の試作”

●俯瞰の書棚 “世界最高のチーム グーグル流”

●雑感・私感

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◆イラン危機の周辺が気になる◆

元はと言えば、イラン核合意からのトランプ政権の一方的な離脱が引き起こしたイラン危機ですが、タンカー攻撃を超えるサウジアラビアの石油生産設備への大規模な攻撃が、世界中に衝撃を与えました。イエメンのフーシ派が犯行声明を出しましたが、誰も信じません。イランの革命防衛隊だとは断定していませんが、ほぼ各国ともこの認識ではないでしょうか。あくまで私の私見ですが、イランの二重の権力構造がこれを引き起こしたと思います。最高指導者のホメイニ師直属のイラン革命防衛隊を、世俗政権のローハニ大統領は統制できず、その行動も予知できないでいると思います。

 

先般、アメリカの無人偵察機がイラン革命防衛隊に撃墜された後、報復攻撃が行われようとしましたが、トランプ大統領は閣僚や安全保障関係者と何の打ち合わせもなく、わずか10分前に中止を命令しました。これによって、イラン革命防衛隊は、今回のような大規模な攻撃を行ってもトランプ大統領は反撃に出てこないと足元を見たことでしょう。そしてイラン革命防衛隊は、サウジアラビアの防空システムは欠陥があることを認識しましたから、もっと大規模なサウジアラビアの石油生産システムの中核を完全に破壊することもできると確信したことでしょう。アメリカに対して、来るなら来いという強気です。

 

同じ構造は、かつてのオバマ政権でもありました。オバマ大統領は毒ガスを使用することはレッドラインを超えることだ、アメリカは直接攻撃を行うと言いながら、結局攻撃は行われませんでした。この結果シリア情勢は、ロシアの空爆の援護を得たアサド政権の主導の下に収速することになりました。アメリカの意向に沿ってアメリカの援助でアサド政権と戦った武装勢力は、無残です。マティス国防長官は同盟の信義に殉じて辞任しました。アメリカのために戦う武装勢力は、もう世界にいないでしょう。

 

軍事行動は極力避ける必要がありますが、直接、力と力のせめぎ合いの状況では、避けられた事件を誘発することにもなります。

 

もう一つ気になったのは、サウジアラビアがアメリカから巨額の防空システムを購入し配備しているにもかかわらず、 低空から侵入するドローンや巡航ミサイルに対して無力だったことです。高空から飛来する弾道ミサイルに対する防空システムは、現在では時代遅れということですか。

 

これは、わが国のミサイル防衛システムにも共通します。北朝鮮はこのところ低空弾道ミサイルの実験を続けて行っていますが、現在の自衛隊の防空システムはサウジアラビアと同じシステムですから、まさに他人事ではありません。ドローンを撃ち落とす新技術は開発されているようですが、巡航ミサイルに対する有効な手段は無いようです。ですから、ロシアは超長距離の巡航ミサイルの開発に注力しているわけです。北極圏を挟んで、ロシアとアメリカは弾道ミサイルの防空システムを対峙させていますが、それも実質的に無用になっていくのでしょうか。

 

気になっているのは、イラン情勢がこれ以上の規模に発展すれば、世界経済は大混乱を受ける可能性があります。運悪く、ドイツをはじめとしたヨーロッパ経済は退潮気味です。中国とアメリカの経済も貿易戦争で縮小気味です。ブレグジットという時限爆弾もあります。近くにはインドとパキスタンの紛争という、別の地雷もあります。むろん日本も世界経済の縮退を反映して後退気味です。この中に突然「オイルショック」が打ち込まれると、想定以上の経済的な混乱が起きる可能性があると思います。と言って、我々は個人的に何もできませんが。

 

米、サウジ攻撃は「イラン南西部から」月内供給復旧で原油下落

https://jp.reuters.com/article/wrapup-saudi-attach-idJPKBN1W22KF 

トランプの足元見たサウジ攻撃、ペルシャ湾岸諸国に対米不信感

http://wedge.ismedia.jp/articles/-/17433 

「レッドライン=化学兵器使用」で対応分かれたオバマ米前政権

https://www.sankei.com/world/news/170407/wor1704070098-n1.html 

イランのドローンを撃墜、米海兵隊のエネルギー兵器「LMADIS」の威力

https://wired.jp/2019/09/24/iran-drone-marines-energy-weapon/ 

中国経済、9月も減速 先行指標が軒並み悪化

https://www.sankeibiz.jp/macro/news/190927/mcb1909271024014-n1.htm 

ドイツ経済は7-9月にマイナス成長、景気後退入りの見込み

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-09-26/PYFUU2T1UM1201 

10年ぶりのドイツ景気後退と緊縮主義の終わり

https://toyokeizai.net/articles/-/299901 

米景気後退の確率は「50%弱」=サマーズ氏

https://jp.wsj.com/articles/SB10758886968001254892704585539590147271722 

 

◆好転してきた日中関係だが◆

米中貿易戦争の余波かもしれませんが、日中関係が急速に改善しつつあります。中華人民共和国建国70周年に対する安倍首相の祝賀ビデオメッセージが大ブレイクのようです。閣僚レベルでもエールの交換が続いています。来年の桜の季節には、習近平主席が国賓として日本を訪問します。この段階で大きな日中連携の合意がされることは、間違いありません。

 

中国は日中韓のFTAにも意欲的と伝えられていますので、この中で日韓関係の変化があるかもしれません。日韓の仲介はしないまでも、国際交渉は競争と妥協の場ですから。中国にとっても日本にとっても、日中連携は地政学的、経済的に最も重要な関係ですから、大きく前進することは間違いありません。反日的な言動はこのところ控えられています。

 

ただし尖閣列島付近における軍事的な挑発は、依然として続いています。さらに沿岸警察は海軍指揮下に入り、大型の強襲揚陸艦が建造され軍事的な圧力は却って強まっています。

 

南シナ海でも、アメリカ、中国ともに軍事的なプレゼンスを強めています。そしてそれに対して日本は、インド太平洋安全保障ということで、アメリカとの協調を余儀なくされます。経済的には連携を深めながら、地政学的な軍事バランスでは対峙する関係になりますから、日本は立ち位置や動きが難しいです。加えて香港と台湾という、中国にとっては絶対に譲歩できない混乱があります。日本の動き方は極めて微妙で、政府としても口も出せません。さすが日本の政治家も、この2点については言及を避け、これまでトラブルはありません。

 

安倍首相の祝賀ビデオメッセージが中国のCCTVで大写し

https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2019/09/cctv70.php 

自民・岸田氏「日中関係は改善」 シンガポールで

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO50082430R20C19A9000000/ 

日本人が気づいていない尖閣の本当に危険な状況

https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/57575 

中国海警局の指揮系統の変更について

https://www.mod.go.jp/msdf/navcol/SSG/topics-column/col-097.html 

中国、初の強襲揚陸艦が進水 海軍力増強を誇示

https://www.cnn.co.jp/world/35143153.html 

南シナ海に武装強化艦を送り込んだ米海軍

https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/57715 

 

◆圧巻の国連気候行動サミットの演説◆

16歳の高校生の、グレタ・トゥーンベリさんの国連での演説に圧倒され、いつになく感動しました。次のくだりはグサリときました。

 

「それなのにあなたたちが話しているのは、お金のことと、経済発展がいつまでも続くというおとぎ話ばかり。恥ずかしくないんでしょうか!」

 

かつて、オイルショックの前の1972年に発表された「成長の限界」という衝撃的なレポートがありました。「人口増加や環境汚染などの現在の傾向が続けば、100年以内に地球上の成長は限界に達する」と警鐘を鳴らし、「人は幾何学級数的に増加するが、食料は算術級数的にしか増加しない」と警告しました。しかし政治家は何も動かず、成長と戦争を追求してきました。

 

いつまでも経済成長が続くという保証は、ありません。地球そのものが有限であり、すでに気候、汚染、水資源、食料について限界が見えています。確かに経済成長の持続を前提とした議論は、「おとぎ話」かもしれません。そして次もグサリと突き刺さりました。

 

「あなたたちは、私たちを失望させている。しかし、若い世代はあなたたちの裏切りに気づき始めています。未来の世代の目は、あなたたちに向けられている。もしあなたたちが裏切ることを選ぶのであれば、私たちは決して許しません。」

 

確かに我々の世代は、老い先は短く、暑い夏を何年か我慢すればいいだけかもしれませんが、 16歳の高校生はあと80年以上この地球で暮らさなければなりません。まさに生き残りがかかります。

 

このプレッシャーは、ある時、若い人を革命的な行動に駆り立てる可能性が十分あります。18歳から多くの国で参政権があります。既存の政党に変わる新しい政治勢力が出現しても、おかしくありません。地球環境については、どの国も「自国第一主義」をとることできませんが、トランプ大統領はここでも「自国第一主義」です。出席しないと言っていたトランプ大統領もやはり気になるのか、この演説を傍聴していました。これを見たグレタ・トゥーンベリさんの表情はまさに「般若」という感じでした。

 

彼女は、アスペルガー症候群などの診断を受けていることを自ら公表しています。即ち、ものの感じ方や表現の仕方が、「ふつう」の人と少し違うと言われていますが、だから私たちが感じない未来が見えているのではないでしょう。

 

私はコンテンポラリーアートに興味を持っていますが、アーチストという才能は我々一般人の見えないものを見ていて、それを私たちに伝えようとしていると考えるからです。むろんコンテンポラリーアートと言ってもいろいろですが、100年以上前のピカソの、伝統的な遠近法を完全に破壊し、人物、背景を問わず小さな断片に切り分けそれを再構築した当時のコンテンポラリーアートは、その後の100年を今見れば、先を見据えていたような気がします。あくまで素人の感想ですが。

 

この後のトランプ大統領のツイートが酷いですね。彼の卑しい品性が出てしまっています。何も言わなければいいのに、自分で自分を貶めているように思います。

 

グレタ・トゥーンベリさん、国連で怒りのスピーチ

https://www.huffingtonpost.jp/entry/greta-thunberg-un-speech_jp_5d8959e6e4b0938b5932fcb6 

グレタ・トゥーンベリさんについて知ってほしい5つのこと

https://news.yahoo.co.jp/byline/emoriseita/20190928-00144493/ 

 

◆深刻な日本のポピュリズム◆

同じ国連で、グレタ・トゥーンベリさんと一緒にデビューして演説した小泉進次郎環境大臣ですが、あまりにもコントラストが強すぎて、コメントしようがありません。演説内容ほとんどメディアに出ませんでした。内容的には日本から環境問題に対するコミットメントがありませんから、仕方ないですが、「セクシー」というポエムの単語だけがアピールされた結果になってしまいました。

 

世論調査でポスト安倍の1番という報道がありましたが、日本国民の政治に対するポピュリズムが顕在化しています。外交や安全保障、財務、教育分野でも全く経験がない人に総理大臣お願いしたい、ポピュリズムの極みです。ポーランド大統領と同じですか。ポーランドには、旧勢力を完全に排除したいという強い国民の希望がありました。日本にはそれはありません。

 

加えて、若い世代の自民党支持が増えているというのも気になります。ヨーロッパ各国では、ポピュリズムの右派の伸長が危機感を持って受け止められていますが、日本の安倍政権は、ポピュリズムの右派ではないでしょうか。基本的には、野党が滅茶苦茶で、キチットした対立軸を国民に提示できていないからですが。

 

 小泉進次郎の大臣就任後の人気の凋落が大きく、新内閣の支持率にほとんど寄与できてないようです。就任直後に真っ先に駆け付けた福島でのパフォーマンスの評価が、散々です。

 

今回は日本維新の対応に全く同感です。橋下徹氏の「これらについては、小泉環境大臣は意見を言えるし、いうべき。所管外ということで逃げるべきでないし、福島の漁民の皆さんのひだに触れるように向き合っていくなどポエムを発している場合じゃない。今のところ、吉村大阪府知事のほうが優勢。若手政治家の切磋琢磨を期待しています。」には、多くの人の共感したと思います。松井大阪市長の「大阪湾に持って来てくれれば流しますよ」は痛烈な小泉進次郎批判です。いい意味での政治家の発言だと思いました。

 

小泉進次郎のこれまでの言動も、福島に真っ先に行ってポエムをしゃべったことも、メディアに大きく取り上げられることを期待してでしょう。メディアの追っかけも酷いですが。

 

総理大臣官邸での結婚発表も、然り。メディアに大きく取り上げられることを狙ったのでしょう。このパフォーマンスも今や人気凋落の背景になっていると思います。 一部のミーハーを除けば、多くの人は違和感を覚え、眉をひそめたでしょう。いわば芸能タレントです。芸人の政治コメントは芸ですが、「正鵠を射る」いるものも少なくありません。しかし小泉進次郎のこれまでの勇ましい言動は、すべて大衆受けを狙ったパフォーマンスでしかなかったのではないかとまで思えます。

 

そして「私の中で30年後を考えた時に、30年後の自分は何歳かなと発災直後から考えていました。だからこそ私は健康でいられれば、30年後の約束を守れるかどうかという、そこの節目を見届けることが、私はできる可能性のある政治家だと思います」にはトホホです。言質を取られないように話したと思いますが、このごまかし、ハグラカシは福島の人たちに対しても失礼です。就任直後といえども、きちっと勉強して、きちっとした発言をすべきでした。というか、彼の能力の限界が出てしまったのかもしれません。グレタ・トゥーンベリさんが聞いたら怒るでしょう。許さないでしょう。

 

しかし彼が付託を受けた課題は、極めて難易度が高いです。まず積み上がったままの汚染土壌の処分があります。原発の廃棄物の保管の問題もあります。そして汚染水の持続的な処理もその一つです。いずれも経済産業省と被る課題ですから、所管外などと逃げて、タレントとして大臣をエンジョイしようとしても無理でしょう。

 

私にとって小泉進次郎自体はどうでもいいですが、ポピュリズムに乗って、こんな人物が政治の真ん中に出てきたことに危機感を持ったのです。そして、あまりにも二世や三世の政治家が跋扈している現在の日本の政治に、危機感を持っています。

 

「ポスト安倍」小泉進次郎氏が29%で首位 日経世論調査

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO49277820R00C19A9PE8000/ 

安倍首相も大誤算…進次郎の人気凋落「次の総理」調査9ポイントダウン

https://www.excite.co.jp/news/article/Gendai_572017/ 

「ポエムを発している場合じゃない」進次郎氏に維新やネットが大ブーイング

http://agora-web.jp/archives/2041523.html 

小泉進次郎氏 回答がポエム?「何言っているかわからない」の声

https://jisin.jp/domestic/1778515/ 

30代以下支持、増す自民 60代以上と逆転 出口分析

https://www.asahi.com/articles/ASM7M64PJM7MUZPS00N.html 

この貧困、自己責任だもの 格差認め自民支える若者たち

https://www.asahi.com/articles/ASM713DB4M71UTIL00C.html?iref=pc_rellink 

 

◆俯瞰サロン(第70回、第71回)◆

※席数の都合上、申し訳ございませんが、お申込をお断りすることがございます。

※日程・内容は予告なく変更されることがありますので、ご容赦ください。

 

・第70回 松島克守所長 記念講演 「デジタルツイン時代の人材育成」

デジタル革命は1990年の”WWW”開発から30年で社会を”デジタルツイン”の世界に変えました。“デジタルツイン”とは、物理的世界とデジタル情報世界が統合された世界で、自動運転車の実用化から身近なキャッシュレスまで、私たちの生活を網羅します。そしてVR/ARは、さらに異次元の世界を創りつつあります。

 一方この30年間、日本企業は旧い世界に取り残され、世界経済の中で存在感を喪失してきました。これは、物理的な世界に拘泥した価値観と、ディジタライゼーションを推進する人材の欠失によるものです。

 今ますます、産業は製造業を含めてサービス化が進み、顧客価値は先端デジタル技術で創出されるようになっています。

人材がいない!足りない!創るしかないでしょう。ですから先端技術専門技術者を急速充電で育成する実験を始めました。その現状を紹介します。

 

日時:2019年10月23日(水)18時30分より(18時受付開始)

会場:品川インターシティ会議室

   東京都港区港南2-15-4  http://sic-hall.com/access/

参加費:講演会のみ 1,000円 / 懇親会(20時~21時半) 3,000円

    当日、受付にて申し受けます。

参加お申込専用サイト:https://ssl.form-mailer.jp/fms/671ff62b636573 

 

・第71回 元鎌倉投信の新井和宏さんに伺う

「共感コミュニティ地域通貨eumoの実証実験開始。目指すは、共感資本社会の実現」

鎌倉投信の創業者で、投資信託「結い2101」の元運用責任者の新井和宏さんは、昨年、株式会社eumoを設立され、共感資本社会の実現に向けて活動されています。

今年9月には、電子通貨“共感コミュニティ通貨eumo(ユーモ)”を利用することで、「参加者が加盟店のある地域へ赴き、生産者と交流を深める」ことを促し、「参加者、生産者、地域住民の間で共感をひろげる」ための実証実験を開始されました。

eumoの目標である「共感資本社会の実現」とは何か?eumoの仕組みは?今回の実証実験の内容は?等々を伺います。

 

日時 :11月5日(火)18時30分~(18時開場)20時

会場:品川インターシティ会議室

 東京都港区港南2-15-4  http://sic-hall.com/access/

参加費:講演会のみ1,000円 / 懇親会(20時~21時半) 3,000円

     当日、受付にて申し受けます。

参加お申込専用サイト:https://ssl.form-mailer.jp/fm/admin/do/CodeManage/code/635639

 

新井和宏(あらい・かずひろ)さんプロフィール:

株式会社eumo 代表取締役、ソーシャルベンチャー活動支援者会議(SVC)会長

1968年生まれ。東京理科大学卒。1992年住友信託銀行(現 三井住友信託銀行)入社、2000年バークレイズ・グローバル・インベスターズ(現ブラックロック・ジャパン)入社。公的年金などを中心に、多岐にわたる運用業務に従事。2007~2008年、大病とリーマン・ショックをきっかけに、それまで信奉してきた金融工学、数式に則った投資、金融市場のあり方に疑問を持つようになる。2008年11月、鎌倉投信株式会社を元同僚と創業。2010年3月より運用を開始した投資信託「結い2101」の運用責任者として活躍した。2018年9月、株式会社eumo(ユーモ)を設立。

かんしんビジネスクラブ アドバイザー、株式会社QWAN アドバイザー、Sustainable Co-Innovation Forum(SCIフォーラム) 理事、VENTURE FOR JAPAN オフィシャルサポーター

特定非営利活動法人いい会社をふやしましょう理事(’12年〜’18年)、横浜国立大学経営学部非常勤講師(’12年度~’15年度)、経済産業省 おもてなし経営企業選 選考委員(’12年度、’13年度)、

著書『投資は「きれいごと」で成功する』(ダイヤモンド社)、『持続可能な資本主義』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『幸せな人は「お金」と「働く」を知っている』(イーストプレス)

2015年5月11日放送 NHK 「プロフェッショナル~仕事の流儀」出演

https://www.nhk.or.jp/professional/2015/0511/index.html?fbclid=IwAR1tHNyenU8oi5rxzZBnGJ0JMUU-w8jW5YsX7y5o79rO_inxJyELWQ6x2gY

お金に善悪はない。でも、違和感がつきまとう理由

https://media.moneyforward.com/articles/2603?fbclid=IwAR16FJA9nnG4dRaO6nIpHCdyl2jrC3QERpLDQxSYfMwcQS0uHQUkLbp9AEw

 

 

◆俯瞰のクッキング“最近の試作”◆

ほとんど毎日の料理はワンパターンですが、それでも何か新しいことを思いついて試しています。

 

まず「和風スープ」です。気力があるときは前の晩に、煮干、昆布、干し椎茸の水出しを用意し、次の日にこれを20分ほど火にかけて、漉して、味噌汁の出汁にします。この段階で味見をすると実に「旨い」という感じですが、味噌汁にすると味噌の味が強くなり、この「旨い」が弱くなります。そこで味噌を入れないでスープ仕立てしてみました。単なる出汁です。この場合に水出しするときに梅干しを一個入れました。容器も、持ち手がついたスープ用のカップを使いました。トッピングとして「アオサ」を入れました。塩味も梅干しの塩気だけです。旨かったです。

 

ある雑誌に「牛肉の豆板醤煮込み」という記事がありました。中華料理で牛肉というと、すぐ青椒肉糸になってしまいます。心惹かれて思いつきで作ってみました。

 

まずネギと生姜、ニンニクのみじん切りを炒めました。そしてスーパーで買ってきたカレー用と称する牛肉を炒めました。軽く塩胡椒して、ひたひたに水を足し、顆粒の鶏ガラスープを大さじ1杯半くらいいました。そこに豆板醤を小さじ2、3杯入れてコトコトと肉が柔らくなるまで煮ました。圧力なべのほうがいいかも知れません。途中で具として2、3センチ角の大根も入れました。まあまあの味でした。ここで迷ったのはいわゆるシチュウにするか、ポトフにするかです。シチュウにするには、水を入れた後トマトピュレを入れてみました。これも美味しかったです。豆板醤は塩味も強いので、辛味が欲しい人は別途辛子を入れた方が良いでしょう。未だ試作を繰り返しています。スーパーのカレー肉は小さいので、本格的なシチュウ肉で挑戦します。

 

この顆粒の鶏ガラスープは、我が家では万能味の素です。野菜炒めやラタテューユ、味噌汁など、パラパラと振り入れます。私の子供の頃は、何にでも味の素をかけていました。

 

◆俯瞰の書棚“世界最高のチーム グーグル流”◆ 

今回は「世界最高のチーム グーグル流「最少の人数」で「最大の成果」を生み出す方法」ピョートル・フェリクス・グジバチ 朝日新聞出版 2019 です。

 

この本はグーグル ジャパンや幾つかの外資系の人事マネージャーを経験し、人事コンサルタントの会社を立ち上げたポーランド生まれの人の、いわばコンサルへのお誘いのようなところもある本です。なぜこの本を読もうと思ったか、それはこのところGAFAの急成長の秘密の1つが人事システムであるという私の仮説にあります。 グーグルの人事システムを知りたいと思ったからです。現在ベンチャー企業経営している人には直接的に役に立ついくつかの助言もあります。

 

“抜きん出た成果を上げるには、 多様性に富んだ「集合知」が不可欠ですが、 グーグルは「チームを大事にするところ」です。”これは以前紹介したAmazonのツーピザチームと共通するところです。

 

そしてそのチームのマネージャーの要件は。“①よいコーチである ②チームを勢いづけて、マイクロマネジメント(チームのメンバーに対する過度な監督・干渉)はしない ③チームのメンバーが健康に過ごすこと、成果を上げることに強い関心を持っている ④生産的で成果主義である ⑤チーム内のよき聞き手であり、メンバーと活発にコミュニケーションしている ⑥チームのメンバーのキャリア形成を手助けしている ⑦チームのためのはっきりとしたビジョンや戦略を持っている ⑧チームのメンバーにアドバイスできる専門的技術・知識を持っている”です。

 

そして“チームの構造として①チームの「心理的安全性」(Psychological Safety)が高いこと ②チームに対する「信頼性」(Dependability)が高いこと ③チームの「構造」(Structure)が「明瞭」(Clarity)であること ④チームの仕事に「意味」(Meaning)を見出していること ⑤チームの仕事が社会に対して「影響」(Impact)をもたらすと考えていること”とあります。

 

「心理的安全性」は、何回か強調されているキーワードです。そして“心理的安全性とは、端的に言えば「メンバー一人ひとりが安心して、自分が自分らしくそのチームで働ける」ということ。自分らしく働くとは、「自己認識・自己開示・自己表現ができる」ということです。”とあります。

この後のコーチングの解説は参考になるかもしれませんね。

 

“グーグルでは、 アンコンシャス・バイアス(Unconscious bias、無意識の先入観・偏見)、つまり自分では気がついていない自分の先入観や偏見について、そして バイアス・バスティング(Bias busting、先入観・偏見を壊すこと) について、全社員を対象に研修を行います。自分の先入観や偏見に気づいて、それを失くしていくことを意図的に教育しているのです。”などは、日本企業ではほとんどやっていないでしょう。多様性を受け入れるには必要です。

 

女性社員のインタビューの面白いくだりがありましたので、紹介しましょう。

“「会社や仕事に変化を望まない管理職のオジサンたちの共通点って、ピョーさん、何かわかる? とにかくみんな、すご~くファッショナブルなの!」。改めて観察してみると確かにそうです。暇そうなオールドエリートほどファッショナブル。単におしゃれな服を着ているというのではなくて、いろんなアクセサリーをつけているし、毎日時間をかけて選んでいる感じなのです。”

私も高価な腕時計やブランド物につけている人物は、評価できません。自分の価値観でなく、世俗的な価値観に身を委ねている人物と感じてしまいますから。

 

グーグルについては、“1人のマネージャーに対し、 チームメンバーは7人以内。7人という数は単純な計算で、各メンバー1時間のワン・オン・ワン、全員分を一日ですまそうとすると丸一日つぶれるわけです。グーグルでは毎週のワン・オン・ワンなら 50 分というのが基本で、 10 分は移動などの時間と捉えていました。また、会議などの時間設定は、 30 分刻みが基本。うち 25 分が実質的な会議などの時間で、残り5分が移動などの時間という発想です。” グーグルをはじめとした先進企業では、ワン・オン・ワンを重視します。マネージャーに義務づけられています。

 

そしてマネージャーは、チームの日常業務もする 「プレイング・マネジャー」になってはいけない。ということです。そして日本の「プレイング・マネジャー」については。“日本のプレイング・マネジャーはどうでしょうか。自分の部下と同じレベルで業務をこなしている限り、会社全体の生産性を向上させることはできないし、優秀な部下、つまり「次のマネージャー」も育たない。日本式のプレイング・マネジャーの最大の問題点は、そうした形態や意識では、いまと同じような仕事の進め方しかできず、ほとんど生産性を上げることが期待できない。”とありますが、確かにこれが日本式経営の足を引っ張っているのかもしれません。

 

グーグルの評価の仕組みも興味深いです。“グーグルには、だれが何を達成したかをみんなでシェアするためのツール、仕組みがいろいろありました。 たとえば「スニペッツ(Snippets)」。毎週金曜までに個人個人がその週に達成したことや来週することのスニペット(Snippet、情報・ニュースなどの抜粋)を所属チームのマネージャーのドキュメント・フォルダに入れます。チームや自分の仕事ぶりをグローバルにアピールできるのですから、社員のモチベーションを高める効果もある わけです。 建設的な競争を促す。グーグルというと、まったくの個人主義で放任主義というイメージがあるかもしれませんが、実はかなり集団主義的なのです。グーグルでは「チーム単位」で評価される。”

 

このほかに興味深い人事制度は。“同僚に御礼ができる「ピアボーナス」、これは 同僚(Peer)にボーナスをあげられるという制度 で、社員一人ひとりに約1万5000円の決裁権が与えられていて、この人にあげたいというときには、いつでもシステムに相手の名前とその理由を入力できるというもの。”これはすごくお勧めです。これがあると積極的に仲間を支援し、結果として知識の共有が進みます。これは以前に私が勤めていたコンサルティング会社でも極めて有効でした。

 

これも重要です。“「ペア制度」 があり、フラットな組織管理体制の構築を目指す「ホラクラシー(Holacracy)」の考え方の一つで、プロジェクトには必ず2人(ペア)で責任を持つようにして、個人評価をなくします。” これもおすすめです。創造性は重視するが一匹狼を作らないということです。

 

最後に私も常に「報・連・相」を強調していますが。“僕がグーグルに入って一番驚いたのは「オーバーコミュニケーションが大切にされている」ということ でした。「報・連・相」は やりすぎぐらいでちょうどいい。”

 

以上。いいね、と思ったところを紹介しましたが、ご興味があればご一読ください。そして場合によってはコンサルティングを依頼してもいいのではないでしょう。

 

◆雑感・私感◆

以上も雑感・私感ですが出来る限り参照データを紹介しています。個人のブログは面白いですが、個人的な偏りがありますから、できるだけメジャーなメディアを引用しています。

以下は、独り言として下さい。

 

かつての日本と現在の韓国

現在の韓国は、社会主義を追求する左派と、欠陥があっても現在の資本主義を維持する右派勢力の激しい相剋だと認識しています。左派の盧武鉉政権、これを継承する文在寅政権は北朝鮮という共産主義国家と親和性を持ち、これに基づいて南北統一を成し遂げる思想を明確に打ち出しています。当然、「漢江の奇跡」以来の資本主義を肯定する保守派とは全く噛み合いません。

 

かつて日本にも、非武装中立という理想主義を掲げた進歩的な知識人がいました。なぜか進歩主義的な知識人は左翼思想でした。20年くらい前まで東京大学の経済学部の教授の半数以上は、マルクス主義経済学の研究者でした。経済学の前の教育学部の教授も多くは左派思想の研究者でした。先進的なメディアも左派的な思想の知識人の活躍の場でした。岩波書店の「世界」はその一つでした。国会は社会党と共産党という左派勢力との自由民主党という保守勢力の対立の場で、政府提案の政策はすべて反対という左派勢力でした。

 

60年安保改正で左派の理想主義と現実肯定の保守勢力が激突し、現実的な日米同盟を日本は選択することになりました。細かなところで色々な問題があり、それが沖縄の問題や憲法改正につながっているのでしょう。その後も左派的な反政府的な活動は続きましたが、東西冷戦の終結で左派的な知識人の存在は表舞台からほぼ消滅しました。

 

韓国ではまだ、共産主義の北朝鮮を是としている勢力が政権を担っているわけです。そのエネルギーを極端な反日に求めているように見えます。しばらく韓国内の思想と価値観の変化を見守るしかありません。以上あくまで私の私感です 

 

何をなぜ改正するのか分かりにくい憲法改正

安倍首相の最後の仕事が憲法改正ですか。圧倒的な政治基盤がある現在、憲法改正以外に他にやることは無いのでしょうか。抜本的な社会保障や財政再建という痛みが伴う改革は盤石な政治基盤がある時しかできません。むろん憲法改正もそうですが、国民が特に憲法改正を望んでいるわけではありません。

 

自滅するかもしれないトランプ大統領

今度はウクライナ疑惑です。ロシア疑惑が灰色のままほぼ収束した後に、自らトラブルを起こしています。さすがに民主党も弾劾という切り札を切らざるをえませんでした。アメリカが法治国家であることを、内外に示さなければならないと思ったのでしょう。政治的な駆け引き判断で済ますことができないと。身内の経営するホテルに多額の便宜を図る現状も、いずれは身から出た錆になるでしょう。

 

なぜ子供から目を離すの

また7歳の女子が行方不明です。大人がちょっと目を離した隙という魔の時間です。先般、祖父が目を離した隙に行方不明になった男の子は、奇跡的にボランティアに救われました。しかし、あれだけ大規模に捜索して見つからないとは。ともかく必ず大人が付き添うことです。 

 

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◆内容・記事に関するご意見・お問い合わせ/配信解除・メールアドレス変更は下記まで

webmaster@fukan.jp

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◆俯瞰MAIL93号(2019年9月30日)

発行元:一般社団法人俯瞰工学研究所

発行人:松島克守

編集長:松島克守

配信人:石川公子

URL:https://www.fukan.jp/ 

 

 

◆俯瞰メルマガ第90号◆2019年7月1日発行

俯瞰メルマガ第90号
俯瞰メルマガ90.pdf
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◆時候のご挨拶◆

梅雨たけなわですが、所によっては災害的豪雨です。避難勧告が徹底しましたから大きな人的被害はないと思いますが。フランスの摂氏45度を超す猛暑のニュースを見ていると、気候変動の異常が想定以上に進んでいることを実感させられます。フランスはエアコンが普及してないので見ていても可哀想です。

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●G20とは何だったのか

●緊迫するイラン情勢とトランプ政権の混乱

●米中貿易戦争はどうなる

●今どきのオーディオシステムの完成

●第68回俯瞰サロン 開催案内 

●俯瞰のクッキング“油談義”

●俯瞰の書棚 “世界史の新常識”

●雑感・私感

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◆G20とは何だったのか◆

大阪のG20は二日間の日程を終了しました。しかし、あれは何だったのだろうかと思います。自国中心主義の20カ国が集まれば、何一つ一致して推進する実効性のある話は纏まるわけがありません。首脳宣言を見るとあまりにも空虚です。

 

単なる華やかな政治ショーであって、共通の課題を話し合う場ではなくなってしまいました。もともとリーマンショックの後をどうするかという、強い共通の課題があって始まったG20ですが、すっかり変わってしまったようです。世界がアメリカ、中国、ロシアそしてEUという世界に完全に分裂してしまったためでしょう。トランプ政権が自国第一主義を振りかざして、中国、ロシア、 EUと対立関係を作ってしまいました。結果として孤立し、アメリカのリーダシップは著しく損なわれました。偉大なアメリカを目指すトランプ大統領は、結果として超大国の地位を手放すことになりました。

 

G20の別の面は、各国首脳が高密度に二国間会談を展開する場です。今回注目された二国間会議は米中会談、米ロ会談でしょうか。米中会談は貿易戦争を抱えている中で行われましたが、とりあえず一時休戦して交渉再開という、最低限の結果は出しました。米ロ会談はお互いに主張を述べただけですが、軍縮交渉に応じる用意があるというプーチン大統領の言葉が結果でしょうか。その他の会談もお互いの主張を交換し、とりあえずの友好関係を取り繕うかのようでした。

 

気になったのは、驚くほどEUの存在感がなかったことです。 EUは欧州議会選挙の結果を受けて首脳陣が交代する時期ですし、ドイツのメルケル首相も政権の足元がぐらついています。フランスのマクロン大統領も国内がグチャグチャですからリーダシップを取れるはずがありません。イギリスのメイ首相に至ってはほとんど辞任したのも同然ですから、記念撮影に加わる程度の存在感です。大きく分裂した国際社会を取りまとめることができるのはEUですが、そのEUがこの状態ではますます亀裂は深まります。といってEUはブレグジットを抱え、各国ともにEUに懐疑的なポピュリストが台頭し、今後も強力なリーダシップを発揮できるような状態ではありません。

 

この環境の中、G20で日本が出来る事は、おもてなし以外にほとんどありませんでした。今、日本がすべき事は、日米、日中、日露の二国間の関係を強化していくことです。それぞれ安倍首相の個人的な関係があるとされていますが、G20の最中にトランプ大統領の日米安保破棄のニュースが流れるなど、ドナルド・シンゾウの関係もどこまで信じていいのか解りません。これまで見てきたトランプ大統領という人格では相互に信頼する関係は難しそうです。いわば番長のトランプにポチのように追従する形になってしまいます。

 

日ロ関係についても、プーチン大統領はG20直前にロシアテレビのインタビューで「北方領土を日本に引き渡す)計画はない」、「南クリール諸島の施設からロシア国旗を下ろすことはあるか」と質問されると、「そのような計画はない」と答えています。安倍外交の実態も心配です。

 

ブレグジットが起これば、必然的に日英関係は深まるでしょう。英国は依然としてアジアに影響力を持っていますから、日英関係の強化は安全保障の面でも重要です。米中貿易戦争の結果、急速に日中関係の改善が進んだのは幸いです。日本の課題は弱体化したとはいえ、EUとの連携強化ではないでしょうか。この連携で国際社会に課題解決を働き掛けていくことです。文化的には、アメリカよりもヨーロッパの方が日本にとって近いと思います。アメリカの歴史は学校で学びませんが、ヨーロッパの歴史はギリシャ・ローマから20世紀に至るまで学びます。

 

北方領土返還「計画ない」 プーチン露大統領、訪日前に表明

https://www.sankei.com/world/news/190622/wor1906220022-n1.html 

 

◆緊迫するイラン情勢とトランプ政権の混乱◆

なぜか安倍首相がイラン訪問した時から、一気にイラン情勢の緊張が高まりました。まず驚いたことに、12日にアメリカはイランに対する新しい制裁を発表しました。そしてハメネイ師との会談当日13日には、日本のタンカーを含む2隻がホルムズ海峡で何者かに襲撃されました。

 

イラン政府は直前に外務大臣を日本に派遣して、イラン訪問を歓迎すると伝えたと思います。アメリカのトランプ大統領も安倍首相のイラン訪問を歓迎すると言っていました。ここがトランプ大統領の危ないところです。と言いながら、直前に新しいイラン制裁発表するわけです。

 

可哀想なのは安倍首相です。面目丸つぶれです。アメリカとイランの交渉を仲介するという華やかな外交的成果を夢見ていたでしょうが、結果は無残です。

 

会談の内容も寂しいです。「あなたの善意と真剣さに疑問を差しはさむ余地はありませんが、米大統領があなたに伝えたということに関していえば、トランプはメッセージを交換するに値する人物とは考えていません」と、「託すべきメッセージはない」と伝えたと報道されています。あなたが出る状況ではないと、子供のように諭されのでしょうか。

 

トランプ大統領はともかく、アメリカとイランの戦争を期待している勢力が存在するのでしょう。イランを叩いて欲しいという勢力です。またイランの中に安易にアメリカと妥協すべきでないという勢力もあるのでしょう。ホルムズ海峡の襲撃は、依然として謎に包まれています。

 

イスラム革命防衛隊は、絶対的権威のハメネイ師の直属の軍隊でイラン政府が制御できません。いわば戦前の日本軍のような位置づけですから、 過激派の一部が暴走した可能性もあります。

 

アメリカは手際よくイラン革命軍の映像を公表して、イランに責任があると主張しましたが、 EUも日本も証拠として不十分とし、きちっとした証拠を出すべきだと主張しました。珍しく日本はアメリカの主張を認めませんでした。貴重なイランとの友好関係を優先したのでしょう。

 

一方イランは、領空侵犯の一機100億円以上するアメリカの無人偵察機を撃墜しました。これに対しマイク・ポンペオ国務長官とジョン・ボルトン大統領補佐官が強硬策を主張し軍事的な報復を求めたとされますが、国防省幹部は慎重でドローン撃墜に軍事行動で対応すれば、事態は一気に悪化すると主張したようです。議会関係者も慎重な対応を求めたと報じられています。しかしトランプ大統領は、一旦は軍事行動を支持して許可を出したが、なんと10分前に中止を命令したとTwitterに書き込みました。火遊びが過ぎますね。

 

さらに驚く事は、マティス前国防長官の後任への起用を決めていたシャナハン長官代行が、指名を辞退しました。シャナハン氏は米航空大手ボーイングの上級副社長だった人で、軍歴や政治経験がありません。国防長官という戦争の司令塔をあまりにも軽んじていると思います。国防長官不在で戦争を始めるというのも、各方面から懸念を持たれているようです。

 

トランプ大統領はそもそも、ベトナム戦争中に計5回徴兵を回避した人です。クリントン大統領もブッシュ大統領、チェイニー副大統領もベトナム戦争の徴兵を回避した人です。このように、口では愛国、タカ派で自分は戦争に行きたくない人を「チキンホーク」と呼び、腰抜け野郎という揶揄的な意味で用いられるとの事です。こういうアメリカの大統領に世界は翻弄されています。日本でも、声高に国家主義を主張する人には注意が必要ですね。

 

米 イランに新たな制裁発動 このタイミングで譲歩引き出し狙い

https://www.fnn.jp/posts/00419190CX/201906131210_CX_CX 

ホルムズ海峡、日本タンカー襲撃事件の“真犯人”は?

https://nikkan-spa.jp/1581369 

安倍総理イラン訪問は失敗か?

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/65273 

トランプ氏、イラン爆撃をいったん承認し取りやめ 本人もツイート

https://www.bbc.com/japanese/48715280 

シャナハン氏が国防長官辞退=代行にエスパー陸軍長官

https://www.jiji.com/jc/article?k=2019061900124&g=int 

虚偽診断で徴兵回避か トランプ氏、ベトナム戦争

https://www.sankei.com/world/news/181227/wor1812270007-n1.html 

チキンホーク

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%81%E3%82%AD%E3%83%B3%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%82%AF 

 

◆米中貿易戦争はどうなる◆

世界中が注目した大阪での米中首脳会談の結果は、とりあえずほっとした感じになりました。中国からの輸入品およそ3000億ドル分に追加の関税を上乗せする措置は当分見送る、通信機器大手ファーウェイについて政府の許可なく取り引きすることを禁止する措置も緩和する、ということでした。水面下で中国がいくつか譲歩したと思いますが。

 

米中貿易戦争は世界経済に影を落としていましたから、世界中でとりあえずほっとしたのではないでしょうか。

 

アメリカ国内の反対も強かったはずです。まず農業団体は大きな痛手を受けていますから、制裁の強化は大反対でしょう。産業界も大反対だったようです。とりわけ半導体業界は、中国輸出を禁止されると業績に大きなインパクトを受けます。消費財の小売業界も値上げせざるを得ません。売り上げの減少につながります。景気後退にもつながります。

 

もしスマートフォンの関税が上がり、値上げされれば大騒ぎになるのは必定です。スマートフォンは今や生活必需品です。

 

といってアメリカが求めている知財保護や補助金、そして技術移転の強要など中国の制度改革は譲れません。これに対しては、与党共和党も民主党も強硬論で固まっているようですから、安易に妥協できません。中国は、制度改革は内政干渉と言って断固として拒絶しています。従って米中貿易戦争は長引くのではないでしょうか。

 

一方、この米中貿易戦争の影響は色々なところに出ています。中国の企業が、「脱中国」でベトナムをはじめとした東南アジアに生産の拠点を移し始めています。すでに中国の賃金は高騰していますから、この生産拠点の移転はこのままトレンドとして続くのではないでしょうか。直近では、ベトナムがその受け皿になって思わぬ経済成長の恩恵を受けています。中国に生産拠点を持つ海外企業もサプライチェーンの見直しを行い「脱中国」の動きは止まる事はないと思います。この動きは、長期的に中国経済の成長を押下げることになるでしょう。

 

それでなくても、すでに中国は消費の減速に直面しています。マンション、自動車、そして果物に至るまで、需要は減退していると言われています。特に自動車の販売は、このところ対前年比を下回ることが続いています。自動車については、次のような構造的な問題があるかもしれません。

 

経済が成熟した先進国、すなわち北米、ヨーロッパ、日本では国内の乗用車の保有台数は人口の半分です。例えば日本の場合人口1億2,000万人ですから、日本国内の乗用車の総数は6,000万台です。乗用車は12年間使用できるとされていますから、買い替え需要は500万台になります。この10年以上にわたって実際の販売台数も約500万台で推移しています。北米でもヨーロッパでもほぼ同じです。

 

中国の場合は、総人口というわけにいきません。中間層を何人と見るかです。中国共産党は4億人の中間層があると言っています。私は、車を買える中間層の数は5億から6億人いてもおかしくないと思っています。仮に6億人とすると、中国の乗用車保有総数は3億台となります。年間販売台数は2,500万台です。

 

まだ新規もあるでしょうが、既に過去10年間の自動車生産総台数(乗用車+商用車)は2億5,000万台くらいです。そして2016年以降は、車の販売台数はおよそ2,800台で成長していません。という事は、そろそろ市場の飽和点に近づいているのかもしれません。あくまでも私の勝手な仮説です。

 

あえて言えば、米中貿易戦争があってもなくても、中国は5%程度の経済成長率で経済と社会は成熟していくのではないでしょうか。アメリカがハイテク技術を遮断しても、その代替え技術を国産化していくでしょう。必要は発明の母です。かつて尖閣列島の問題で中国が日本に対してレアアースの輸出を制限したときに、日本のエンジニアは代替技術を開発しました。

 

米中貿易戦争は長期化すると思いますが、その中で中国経済は成熟していくと思います。日本もかつて石油ショックの後、ものすごい勢いで省エネルギー技術を開発し、スミソニアン協定で大幅な円高を強いられると猛烈な勢いでコスト削減を進め、 100円でも利益を出せる製造システムを作りあげました。振り返ってみると、1980年代は日本の製造業の黄金時代でした。

 

米中首脳会談 貿易交渉再開で一致 米は追加関税見送り

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190629/k10011974651000.html 

米中衝突ニュースまとめ

https://www.nikkei.com/theme/?dw=18040901 

米中貿易戦争、中国の中小メーカーを「脱中国」へ走らせる

https://www.newsweekjapan.jp/stories/business/2019/06/post-12426.php 

ベトナムの4~6月成長率6・71% 貿易戦争が追い風

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO46744460Y9A620C1FF8000/ 

「ファーウェイ容認」、なぜトランプは変節したのか

https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/56871 

米中会談で習氏に逆風、国内消費が減速

https://jp.wsj.com/articles/SB11478348302550594552304585388384286317358 

中国自動車市場の動向

https://www.smbc.co.jp/hojin/international/global_information/resources/pdf/smbccnrep_02_017.pdf 

 

◆今どきのオーディオシステムの完成◆

前回、AmazonのEcho Link Ampを購入して手持ちのスマートスピーカーのEchoPlusと連携させ、 10年以上前に購入してあまり使っていなかったネットプレーヤー(Cambridge Stream Magic)とスピーカー(PMC Twenty)を組み合わせて、今風のオーディオシステムを作った話をしました。その後Echo Link Ampの光信号入力端子に、これまた10年以上前に購入して、このところ使っていなかったパイオニアのユニバーサルプレーヤー(DVD-AX5AVi)を接続しました。

 

実は10年ほど前、引越しを期に新しいオーディオシステムを組み上げました。そして当時の高音質のスーパーオーディオCDやDVDオーディオといった、今風に言えばハイレゾ音源のディスクをいくつか買いましたが、いずれも低調になって、スーパーオーディオCDはともかくDVDオーディオは発売中止になり、再生するプレーヤーも発売されなくなりました。 2005年に発売のユニバーサルプレーヤーは、ブルーレイ以外はすべて再生できるという貴重な代物です。

 

ネットのハイレゾ音源はネットプレーヤーで、手持ちのハイレゾディスクはこのプレーヤーで再生出来るようになりました。久しぶりにDVDオーディオを聞いてみるとネットのハイレゾ音源を超える臨場感がありました。ネットはいろいろな経路を辿ってきますから、その分劣化するのでしょう。

 

これまた10年以上前のビクターのスーパーウーファー(SX-DW77)も、メインのオーディオシステムから繋ぎ替えました。低音がぐっと充実します。クラシックはいいですが、jazzは録音段階で低音が強調されていますから、響きすぎて夜間はスイッチを切ります。それぞれ新品で購入した時は、かなりの金額でしたが、ネットで中古を見ると当時20万のユニバーサルプレーヤーは1万円くらいです。中古で買い集めるとかなり安く高級オーディオが作れそうです。

 

さらに今風として、 Bluetoothのワイヤレスのイヤホンを買いました。価格と性能から深センのANKER soundcoreを選びました。これとiPhoneで、外で手持ちの音楽を聴けるようにしました。ANKER社はユーザーから高く評価されています。

 

10年以上前にオーディオシステムを作った時に、当時手持ちの200枚以上のCDをコンピュータに取り込み、それを外付けのネットワークHDD (NAS)に入れました。どこからでも聴くことができます。実はあまり使っていなくて、新しくiPhoneのアプリを入れるとNASのファームウェアが古いので使えないというメッセージが出ました。

 

そこでNASのファームウェアのバージョンアップをすることになりましたが、一時は途方にくれました。なにしろ 10年前に苦労して、QNAPという台湾のメーカーのNASを設定しましたが、それ以来全く触っていません。マニュアルがどこにあるかもわかりません。

 

雑多な情報はdropboxに入る習慣がありますから、 dropboxの中を“QNAP”で検索すると保証書がありました。これで型番がTS-119と分かり、QNAP社のサイトに行き、同梱されていたCDにあったソフトウェアの最新版を入手し、少しずつ思い出して、ファームウェアのバージョンアップをすることができました。

 

この時感激したのは、QNAP社のユーザーサポートのサイトが実によく出来ていて、 10年以上前の製品のサポートもきちんとしていることです。日本のメーカーとは段違いです。日本のメーカーはユーザーサポートの情報提供が非常に貧弱です。あえて名前を出すとソニーサイトとQNAPでは比べ物になりません。そもそも、ほとんどファームウェアのバージョンアップなどありません。日本の電機産業が凋落したのは色々な原因があると思いますが、顧客と真摯に向き合うという姿勢が不十分だったと言えるかもしれません。ともかく現在では、台湾や中国のメーカーの水準は日本を凌駕しています。

 

ということで「今風のオーディオシステム」が完成しました。ただシステムを作ってもそのうちにほったらかしになる危険があります。知識と機器を集めて組み上げるプロセスが好きですから。その時間が楽しい時間なのです。

 

音楽を聴く、音を聴くという2つのモードの切り替えが必要です。ややもするとオーディオマニアは、音を聞いて音楽を聞かないことなりますから。音域の広いチャイコフスキーのバイオリン協奏曲を聴きましたが、結構高音域も聞こえていてほっとしました。

 

◆第68回俯瞰サロン開催案内(7月23日)

東急電鉄 執行役員 東浦亮典さんに聞く、「私鉄3.0~電車に乗らなくても儲かる未来~」

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昨年末に「私鉄3.0-沿線人気No.1 東急電鉄の戦-略的ブランディング」(ワニブックスPLUS新書)を上梓された東浦亮典さんにお越しいただきます。提言されている、私鉄が目指すべきさらなる「未来=3.0」。「顧客との決済やポイントを基盤とした新たなサービス」「鉄道、バスの次に来る新しいモビリティ」「ベンチャー企業支援」などなどを、現役執行役員の視点から伺います。

 ■日 時: 2019年7月23日(火)18時30分より(18時受付開始)

■会 場: 品川インターシティ会議室3 東京都港区港南2-15-4

 http://www.sicity.co.jp/download/accessmap.pdf

■参加費: 講演会のみ 1,000円 / 懇親会 3,000円

      当日、受付にて申し受けます。

■定 員: 50名程度    (定員になり次第、申込みを締切ることがあります)

■お申込み専用サイト:

https://ssl.form-mailer.jp/fms/92a26e9a623580?fbclid=IwAR1F2bPHor4lpqL5_Tci4Bi4lC6y3-v9gYXGedHNp3NnScbT7AKwzsnHv_c

◆講師プロフィール

東京急行電鉄執行役員 渋谷開発事業部長。

1961年東京生まれ。1985年に東京急行電鉄入社。自由が丘駅駅員、大井町線車掌研修を経て、都市開発部門に配属。その後一時、東急総合研究所出向。復職後、主に新規事業開発などを担当。町田市の『グランベリーモール』、賃貸コンセプトマンションブランド『TOP-PRIDE』、『クリエイティブシティコンソーシアム』、『次世代郊外まちづくり』、『東急アクセラレートプログラム』などの立ち上げにも関わる。また東急沿線の都市開発戦略策定、マーケティング、プロモ―絵本、ブランディング、エリアマネジマントなども担当。2016年より執行役員。都市創造本部運営事業部長を経て現職。

著書: 

- 私鉄3.0-沿線人気No.1 東急電鉄の戦略的ブランディング(ワニブックスPLUS新書) http://u0u0.net/Y9Bz (AMAZONへの短縮URL)

 

◆俯瞰のクッキング “油談義” ◆

これまでも何回か食用油について記事を書きましたが、今回は料理に使う油のセットを変更したので油談義をしましょう。

 

食用油には飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸があります。飽和脂肪酸は動物の油、ココナツオイルなどです。これはかなり知られてきましたが、飽和脂肪酸の中でもマーガリンやショートニングは摂取してはいけない油です。昔は植物性で健康に良いと推奨されたマーガリンですが、欧米では使用禁止状態です。気を付けなくてはいけないのは、ショートニングです。市販のパンやケーキに使用されている可能性があります。これは表示されていません。週刊誌は食べていけない食品を時々特集していますから、それを見るのもいいでしょう。私は基本的にパンとケーキは食べません。

 

動物脂肪は、霜降り肉や豚のバラ肉はあまり取りませんが必要な油でしょう。豚のバラ肉は、角煮がおいしいので時々食べます。トンカツも時々作りますが、ロースの背油は取り除きます。ココナツオイルは購入しましたが、香りが独特でどんな料理に向いているのかまだわからず、ほとんど使っていません。

 

不飽和脂肪酸はオメガ9系、オメガ6系、オメガ3系に分かれます。いずれも必要な脂肪酸ですが、摂取量の割合が重要だと言われています。

 

オメガ3系の脂肪酸にはα‐リノレン酸が含まれていて、体内でDHA、EPAに変換されます。積極的な摂取が進められています。一般に摂取量が少ないので。代表的な油はアマニオイル、エゴマオイルです。加熱に弱いので、私は朝食に作る野菜ジュースに大さじ1杯弱程度入れます。

 

オメガ6系は、大豆油やコーン油などいわゆるサラダオイルです。これも以前はリノール酸が体に良いとしてもてはやされましたが、現在では取り過ぎに注意ということになっています。サラダ油は揚げ物に使われますが、我が家では揚げ物の油として、キャノーラオイルを使用しています。キャノーラオイルはオメガ3とオメガ6が1:2で含まれています。

 

オメガ9系はオリーブオイルや米油です。今後は炒め物と焼き物に使う油を米油に変えることにしました。これまでは地中海料理の炒め物や焼き物はオリーブオイル、その他の炒め物と焼き物はキャノーラオイルを使っていましたが、テレビの番組で米油には他の油にない有効な成分があると紹介されたので、健康フリークの私は早速飛びついたわけです。

 

米油にしか含まれていないという成分は「γ-オリザノール」です。強力な抗酸化力が、コレステロールの吸収を抑える作用があると言われています。

 

そしてトコトリエノールです。ビタミン E はトコフェロールとトコトリエノールの二つのファミリーから構成されています。そしてトコトリエノールは抗酸化物質してはトコフェロールより強力といわれています。ビタミンEとしては、ほぼ毎日アボカドを朝食に食べています。

 

米油を精製する方法は「圧搾抽出」と「溶剤抽出」がありますが、むろん「圧搾抽出」を使っています。スーパーに置いてある米油は「溶剤抽出」が多いようです。ですからネットで買います。

 

揚げ物は好物ですが、あまり作らないようにしています。酸化した油は体に有害であると言われていますので、もったいないですが一回で捨てます。ただし使うキャノーラオイルの量は揚げ物でカップ1 、トンカツの場合は肉の厚さの半分程度です。そして、できるだけ小さなフライパンを使います。

 

細かい数字は「料理に使う油のおすすめは?」はわかりやすいでしょう。 https://syokuzaitakuhai-torisetsu.com/good-oil-bad-oil/ 

 

◆俯瞰の書棚“世界史の新常識”◆ 

今回は「世界史の新常識」文藝春秋 編集 文春新書 2019です。

この本はいくつかの雑誌に掲載されたコラムを選んで編集したものですので、文体や知識のレベルがバラバラで編集としては荒っぽい本ですが、いくつかの部分は興味深く、目からウロコもあります。冒頭に「新しい時代を生き抜くには、新しい視点で歴史を学び直す必要があります。今の世界をリアルに理解するための世界史」とありますが、同感です。

 

以下、面白いと思ったところをご紹介しましょう。まず古代編では。

“通常は、戦争に敗れた側が勝った側の文化に憧れる。ところがペルシア戦争に勝利したギリシア人が、敗れた側のペルシア文化を模倣し、ペルシア趣味に耽るという、逆の現象が生まれたのである。

豊かなアジア、貧しいギリシア。なぜギリシア人は、これほどまでにペルシア風を愛好したのか。世界史で習った印象とは逆に、ギリシアよりペルシアの方が、はるかに豊かだったからだ。ギリシアの国土は山がちで瘦せており、ブドウやオリーブは育っても、穀物の自給は難しく、一部を除いて貴金属も乏しい。対してペルシア人は、小アジアから中央アジアにまたがる大帝国を築き、農作物から貴石に至る豊かな産物を有していた”“今のペルシア、すなわちイランは豊富な石油もあります”

 

仏教については。

“禅宗は、六世紀の支那で、荘子思想を読み換えて成立した仏教なのである。ところが皮肉なことに、これが一度ひっくり返って、逆に仏教本来の姿を現している。

その仏教では何を説いているのか。釈迦の「悟った」という思想は何なのか。それは、この世のすべては「無常」だということである。無常とは、恒常、永遠を否定した言葉である。恒常、永遠のものはない、そのことが分からず、これに執着するから迷いとなる。 恒常、永遠は、無限、絶対、完全と言い換えてもいい。無常は、これに対し、有限、相対、不完全ということになる。”とありますが、これをカント哲学つなげている点が面白いです。

 

“カントは、理性は世界の究極に至りえないと考えたが、そうなると、我々人間の行動は何によって根拠づけられるのか、という大問題が浮かび上がってくる。それがカントにとっては「実践理性」であり、ハイデッガーにとっては「決断」であり、サルトルにとっては「投企」である。人間は現実に行動せざるをえない。”

次のくだりも興味深いです。

“これからのEU、あるいはEU諸国の文明の行く末を考える際に、ローマ帝国末期の事情を知ることは無駄ではないだろう。 滅亡は難民問題から始まった。フン族に追われたゴート族のローマ帝国への流入を受け入れました。難民受け入れです。

ローマはなぜ滅んだのか、と繰り返し問われて来た。その最大の理由はローマ帝国の滅亡が単なる一帝国の滅亡にとどまらず、帝国という政治組織とともに、ローマの文明そのものも同時に崩壊してしまったからであろう。民衆の大多数がその価値を認め、支持するからこそ文明は存続するのである”

 

最近とみに弱体化しているEUをローマ帝国の滅亡に重ね合わせると確かに面白いです。ルネッサンスに関しても興味深い記述があります。ルネッサンスはこれまでヨーロッパのサクセスストーリーとして位置づけられていましたが、そんな簡単なものではないということです。つまり、これまでは「古代の復活」、「ヨーロッパ人こそが古代ギリシアやローマの文化的後継者である」、「中世からの解放」 、 「近代の出発点」としてルネッサンスを位置づけてきましたが、ルネッサンスはビザンティン帝国によって始められ、オスマントルコによって継承され、そこからイタリアのルネッサンスに引き継がれたとのことです。

 

“ビザンティン帝国を倒したのは、オスマン帝国のメフメト二世ですが、彼はプトレマイオスの『地理学』やホメロスの写本などのほか、ヘブライ語、アラビア語の文献も数多く集め、トプカピ宮殿に所蔵しています。率直に言って、当時の西方のラテン語世界と東方のアラビア語世界を比較したら、知識の量、テキストの数いずれで見ても、はるかにアラビア語圏のほうが高い水準にありました”です。

 

産業革命がイギリス料理をまずくしたという話も面白いです。

“イギリスの食は、大量生産可能な農業牧畜産品、トロール漁業産品と、工業製品で占められるようになる。トロール漁業で水揚げされたタラ・オヒョウと、大量生産されたジャガイモで作られたフィッシュ・アンド・チップスや、同様に大量生産食材を用いたベーコン・アンド・エッグズは、19世紀後半以降の下層階級の栄養状態を改善するのに貢献した。産業化したイギリスは熱量の点では豊かさをもたらしたのだ。かつてあった、蒸す、直火で炙る、遠火で熱するなどさまざまな方法が消失した。また、野菜を生食するサラダも一九世紀前半には消滅し、その後はキャベツ、カリフラワー、にんじんやジャガイモ、カブなど、根菜類を塩茹でしたものをクリーム系のドレッシングで和えた「茹でサラダ」が登場し、調理方法の多様性の低下は料理の味付けにもおよび、調理段階では最低限の塩・胡椒 が用いられるだけとなった”ということです。この調子で紹介しているとキリがないので、最も印象に残ったところを紹介して終わりにします。

 

日本人はアメリカの歴史を正しく認識していないということです。

“アメリカの史書は中国にとっての「論語」のようなものだと言えばわかりやすい。アメリカの歴史家がそうであって欲しい(欲しかった)母国のありようが描かれているのである”

まず、なぜリンカーンが奴隷解放宣言したかという理由は、初めて知りました。

“アメリカの政治家にとって、英国は潜在敵国であり続けた。アメリカが英国に伍するためには軍事力を高めなくてはならない、そのためには州の権利を抑制してでも連邦政府主導で工業化を強力に進めるべきだ。そう考えたのがフェデラリスト党(連邦党)であり、同党が発展して結成された政党が共和党であった(1854年)。一方で、合衆国はあくまで合州国であり、州の権限を尊重すべきだと考える勢力が民主党(当時の呼称は民主共和党)であった(1824年結党)。彼らはとりわけ各州のプランテーション農業を重視した。

南部諸州は、「英国の政策に追随すれば巨利を得る。アメリカに必要な工業製品は英国から低関税で輸入すればよい」と考えた。民主党は、こうした南部プランテーションオーナーの支援を受けた。一方で英国に伍する強国に変貌すべきだと考える共和党は、工業立国を目指した。そのためには高関税政策(保護貿易)をとり、北部諸州の幼稚産業を保護しなくてはならなかった。

 

南北戦争が勃発した。このときリンカーン政権が最も恐れたのは、イギリスの軍事介入だった。イギリスは自由貿易帝国主義の重要な歯車となっていた南部諸州を支援したかったのである。そのイギリスの軍事介入を牽制する奇策が奴隷解放宣言(1862年9月)であった。イギリス知識人は奴隷制度を嫌悪していた。そのことはイギリスが1807年には奴隷貿易禁止法を成立させていることからわかる。リンカーン政権に戦いの目的を「奴隷制度廃止」と高々と 謳われてしまうと、イギリス政府は金縛りとなった。表立った介入は出来ず、せいぜい南部連合からの武器の注文に応える程度となった”とは驚きです。南部民主党は、一貫して人種差別主義だったようです。ウィルソン大統領、ルーズベルト大統領、トルーマン大統領いずれも、人種差別主義者だったということも驚きました。“現代の一般のアメリカ人も民主党の歴史を知らない。だからこそ、ウッドロー・ウィルソンもFDRも偉大なる大統領のままなのである”です。

 

人種差別主義を掲げていた民主党は、次第に共和党に対し劣勢になり、そこで劇的な変化を試みて大成功したとのことです。

“彼らは、過去の民主党の人種差別的行状を覆い隠すために、あるレトリックを使った。人種差別の主体を「アメリカ人全て」だったことにしたのである。民主党が人種差別をしたのではなく、「アメリカという国全体が人種差別的であった」ことにした。このレトリックは呆れるほどに効果的であった。”

いろいろ面白い話が紹介されていて、飲み会や食事会でレベルが高い話題になりますから、ご一読をお勧めします。

 

◆雑感・私感◆

以上も雑感・私感ですが出来る限り参照データを紹介しています。個人のブログは面白いですが、個人的な偏りがありますからできるだけメジャーなメディアを引用しています。

●トランプ大統領が板門店で金委員長と会談する、軍事境界線を越えるという政治ショウをしましたが、金委員長に完全非核化の意思はなく、トランプ大統領は非核化の推進ではなく再選のポイント稼ぎのショウです。

●ワールドニュースをよく見ますが、フランスの熱波は尋常ではありません。 45度を超える猛暑ですから。そのため自然発生的に山火事が発生しています。ほとんどの家はエアコンがありません。すでに手遅れですが、真剣に気象温暖化に取り組む必要があります。

●安倍首相も、かっこいい外交成果を飾って参議院議員選挙に臨む夢は絶たれました。幸い野党があまりにも酷いので不戦勝モードですか。野党を無力化したのは安倍政治の成果です。

●年金2,000万円問題は正論ですから、それから逃げる政権はおかしいです。 若い人たちはきちっと反応しつつあるようです。証券業界の活性化の意図も見ますが。

●一連の言動を見ていると、麻生財務大臣はいわば日本のトランプですか。各自それぞれ生活水準が異なりますから一概に言えませんが、たとえ厚生年金があっても、それだけで満足できる老後の生活はできません。少しずつ貯金を取り崩していくのでしょうが、人生80歳の時代から人生100歳の時代に移行すれば、老後に必要な自己資金はかなり増えます。多くの人がこの問題に直面するでしょう。

●それにしても霞ヶ関で覚せい剤の事件が後をたちませんが、実態はもっと悪いのかもしれません。その原因はやり切れないストレスの発散かもしれません。エリート官僚が安易にドラックに流れるとは情けないです。公務員が魅力がない職業になって、人材の質が落ちたのでしょうか。とすれば由々しき問題です。

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◆内容・記事に関するご意見・お問い合わせ/配信解除・メールアドレス変更は下記までwebmaster@fukan.jp

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◆俯瞰MAIL90号(2019年6月30日)

発行元:一般社団法人俯瞰工学研究所

発行人:松島克守

編集長:松島克守

配信人:石川公子

URL:https://www.fukan.jp/

 

◆俯瞰メルマガ第 89号◆2019年6月3日発行

俯瞰メルマガ89
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◆時候のご挨拶◆

5月から猛暑です。日本から春や秋が消えて、夏と冬という気象になるのでしょうか。アメリカでの竜巻、洪水のニュースが報じられますが、地球温暖化との関連のコメントはありません。海面温度の上昇等の地球温暖化が、竜巻や豪雨にエネルギーを与えているとは思わないのでしょうか。

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●米中はトゥキディデスの罠か

●揺らぐEUの理念

●緊迫のイラン情勢

●東大俯瞰塾

●今どきのオーディオシステム

●俯瞰サロン(第67回&第68回) 

●俯瞰のクッキング“ふるさと納税”

●俯瞰の書棚 “「HARD THINGS 」ベン・ホロウィッツ”

●雑感・私感

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◆米中はトゥキディデスの罠か◆

米中の通商協議が決裂してから、さらに米中貿易戦争は激しさを増しています。本質は覇権争い。とりわけハイテク分野での覇権は軍事力に影響しますから、挑戦を受けているアメリカは譲れません。この強行姿勢は、民主党を含めて強い支持を受けています。民主党は中国を暖かく国際社会に受け入れ経済成長すれば、民主化が進むと考えて中国政策を進めてきました。それが裏切られたというか、むしろ想定外に共産党統治が強固になったという忸怩たる思いがありますから、民主党政権になっても対中国政策は強硬策しかありません。

 

米国からの輸入が少ない中国は、関税戦争では対抗に限界がありますが、 アメリカに対する抵抗を強めています。レアアースという切り札をチラせかせてきました。

 

むろん中国経済も減速という悪影響を受けています。この中国経済の減速は、世界経済、日本経済にもマイナスの影響が出ています。引き続きアジア経済にも。もちろんアメリカ経済も影響を受けます。特に大豆農家は大きな打撃を受けますが、たっぷり補助金をもらっているようです。もともとトランプ大統領の最大そして唯一の関心は、大統領選挙ですから。

 

中国も妥協できませんから、この戦いは、いわゆる歴史的な「トゥキディデスの罠」すなわち、“台頭する新興国と守りに入る覇権国の衝突が、いつしか「引くに引けない」状況に追い込まれて戦争に突入する”状態で長い戦いになるでしょう。

 

アメリカはかつてスプートニクスショックをソ連から受けました。最先端の宇宙技術で見事に出し抜かれたわけです。そしてソ連は、核弾頭付きのICBMをアメリカにつきつけて対等の関係で冷戦をしました。

 

今回はハイテク分野、とりわけ5Gの分野でHuaweiに大きく追いこされていたことがショックでしょう。そして元々その知財は合法、非合法でアメリカから流出したものだという認識です。現在のアメリカはHuaweiを潰す、もしくは弱体化させるという意志が見えます。

 

深センのHuawei を訪問した時も、人民解放軍とは全く関係ない、共産党の介入を避けるために株式を公開しない、創業者は人民解放軍に在籍したといっても、たかが大尉だったというような説明を受けました。しかし先般カナダで逮捕された創業者の娘は複数のパスポートを所持するという、明らかに一般民間人では無いことが露呈しました。これ以外にも色々なエビデンスをトランプ政権は押さえているでしょう。

 

続くターゲットは、ドローンのDJIです。長らくアメリカに玩具として輸出していましたが、気がつけば世界のシェア70%で、全てGPSとカメラを装備しています。そして監視カメラでシェア世界一のHIKVISIONです。監視カメラはそれ自体がwebサーバーですからハッキングは容易できます。月の裏面に着陸させた宇宙技術もアメリカを超えているかもしれません。トランプ大統領が、アメリカが焦る気持ちもわかります。 

 

トランプ大統領、トランプ政権が理解できていないのは東洋の文化です。日本で言えば“恥の文化”です。圧力に屈するような屈辱的な行動は絶対に出来ません。とりわけ習近平主席は党内事情から弱腰な姿勢は許されません。無謀であっても、それに立ち向かう文化です。日本もかつてABC包囲網という圧力をかけられ、真珠湾攻撃に出てしまいました。中国国民もアメリカとの戦争ですから、ある程度の我慢はしても耐えるでしょう。経済が減速するといいますが、5%で問題ありません。巨大な国内市場があるので、この成長率で十分です。

 

日本は日米同盟でアメリカに寄り添う立ち位置ですから仲介はできませんが、日中関係の改善と経済関係の強化は進むかもしれません。

それにしても日露戦争も知らない無学のトランプ大統領とのお付き合い、お疲れ様です。トランプさん、真のリーダーは教養が核心的能力ですぞ!

 

中国、政府へのデータ提供義務化=ファウエイ問題で米に対抗

https://www.jiji.com/jc/article?k=2019052900682&g=int 

米中貿易戦争が世界秩序を徹底的に変える-カール・スミス

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-05-28/PRZY3Q6KLVRS01 

中国、反米キャンペーン開始:最強硬メディア「光明日報」の主張を読み解く

https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2019/05/post-12211.php 

中国経済の見通しが5月に悪化、貿易対立激化響く

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-05-29/PS8OVS6TTDS301 

世界経済は緩やかに減速、貿易摩擦激化なら下振れも

https://www.mizuho-ri.co.jp/publication/research/pdf/forecast/outlook_190521.pdf 

世界経済は2019年後半に再加速するか? 米中交渉は最終段階で波乱含み

https://limo.media/articles/-/11051 

500年で衝突した新旧大国の戦争勃発、米中両国はその「歴史の罠」を避けられるか?

https://diamond.jp/articles/-/147978  

長期的な視野が必要な米中貿易戦争の行方

http://wedge.ismedia.jp/articles/-/16269 

レアアース市場での中国優位、長年続く見込み 加工分野で強み

https://web.smartnews.com/articles/fX1KPc3y2UJ 

ファウエイによる窃取疑惑、元社員らが語る詳細

https://jp.wsj.com/articles/SB12240879310288303561304585331864196561670 

ファウエイの正体

https://www.google.com/imgres?imgurl=http://dw.diamond.ne.jp/mwimgs/b/e/-/img_be8d5c976a4a4b3cbb7a6707475342b0252926.jpg&imgrefurl=https://ascii.jp/elem/000/001/742/1742034/&tbnid=s320Py_PpLCNPM&vet=1&docid=hToaezSsQn_okM&w=600&h=1739&hl=ja&source=sh/x/im 

https://www.google.com/imgres?imgurl=http://dw.diamond.ne.jp/mwimgs/f/3/-/img_f3d9e164e9ecdb468370d805389c3f93223705.jpg&imgrefurl=https://diamond.jp/articles/-/179812?page%3D3&tbnid=hZDvnOjQTxLMzM&vet=1&docid=l4lRAiSwft-d5M&w=600&h=1210&hl=ja&source=sh/x/im 

https://www.google.com/imgres?imgurl=https://techcrunchjp.files.wordpress.com/2019/03/huawei2.png?w%3D2249%26h%3D1125&imgrefurl=https://jp.techcrunch.com/2019/03/31/2019-03-29-huawei-books-8-8b-profit-for-2018/&tbnid=FW1I48tgVXzCkM&vet=1&docid=Sq8iMpL5ApL59M&w=2249&h=1125&hl=ja&source=sh/x/im 

安倍首相も呆れた トランプは日露戦争を知らなかった

https://ch.nicovideo.jp/shukanbunshun/blomaga/ar1765730 

 

◆揺らぐEU の理念◆

EUの議会選挙の結果が出ましたが、欧州の民意は理解しにくいですね。予想されたポピュリズムの極右政党の伸びがなかったことで安堵したところもありますが、フランスでは、ついにマクロンの政党を抜いて第一党になりました。

 

イタリア、ポーランドでも善戦したようです。イギリスでは、単純にブレグジットだけを公約にしたブレグジット党が第一党になりました。この政党もある意味ポピュリズムです。スコットランドでは反ブレグジットを掲げたスコットランド国民党が第一党になりました。保守党、労働党ともに大きく議席を失いました。国会の状態をみれば当然でしょう。メイ首相も涙の辞任ですが、あまりに能力に欠ける首相と判定されたのでしょう。イギリスは社会的にも地域的にも、大きく分断されていることがわかりました。イギリスの合意なきEU離脱が現実味を増してきました。

 

マクロン大統領はイエロージャケットのデモが続く中での敗戦ですから、リーダーシップが弱まります。ドイツの首相も退陣間近です。そして、この選挙結果を受けてフランスとドイツがEU委員長座を争っているとのことです。

 

EUは歴史的に戦乱に明け暮れたヨーロッパの恒久的な平和を構築するために、長年の宿敵のドイツとフランスが不戦の誓いをしてECを立ち上げ、ヨーロッパの統合を目指すという高い理念のもとに作られた挑戦的な政治プロジェクトです。加盟国が増えるに従って統合が難しくなってきたとは皮肉ですが、イギリスが離れ、フランスやイタリアその他の国でEU懐疑派が勢力をつけてくると、崩壊とはいかないまでも、統合とは逆の方向に行くかもしれません。

 

人権と民主主義の強固なEUは国際政治の要です。その理念にEU各国の国民の迷いが生じているとは。 EUと日本のEPAが示すように、合わせると世界のGDPの30%を占めます。日本はEUとの連携で国際社会の中できちっとした存在感を出す必要があります。日米同盟だけでは日本の戦略になりません。ですからEUの現状と今後が気になります。

 

欧州議会選、ポピュリスト政党伸び悩む-仏伊で善戦でも

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-05-26/PS4QVL6JTSE801 

英でブレグジット党が圧勝 2大政党は大敗 

https://www.bbc.com/japanese/48419234 

スコットランド国民党が躍進、反ブレグジット掲げ

https://www.bbc.com/japanese/48418824 

欧州議会選、仏は極右が第1党へ マクロン氏は僅差で第2党

https://jp.reuters.com/article/eu-election-france-lepen-idJPKCN1SW10O 

欧州議会選、二大会派過半数割れ 要職巡り駆け引き始まる

https://jp.reuters.com/article/eu-election-idJPKCN1SX00N 

欧州委員長候補めぐり仏独が対立 EU主要人事

https://www.bbc.com/japanese/48441534 

欧州議会選での主流会派の大敗は、EU崩壊の予兆か

https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00002/052700384/?P=1 

 

◆緊迫するイラン情勢◆

今回のイラン危機は、米国のトランプ大統領が5月8日に、2015年に米英独仏中ロとイランの間で結んだイラン核合意を離脱すると表明したことから始まりました 。そして、米国は合意によって解除していた経済制裁を全て再発動させました。

 

トランプ大統領は、イランが軍事的な対応をしないために攻撃型空母も派遣しました。何らかの情報があるのかもしれません。軍部が要求したようですから。

 

基本的にアメリカの敵国はロシア、中国、イランです。ですから、この3国には経済制裁を発動させて弱体化を進めています。

 

中東地域は国が分かれていますが、1つの枠組みはイスラム教のスンニ派とシーア派の対峙です。イランはそのシーア派の元締めとして中東各国の別働隊に資金援助をしてスンニ派の政権と対峙させています。シリアではアサド政権を支援するためにシリア南部のゴラン高原周辺に軍事勢力を展開しアサド政権のシリア制圧の支援をするとともに、イスラエル国内にミサイルを打ち込むなどして、イスラエルとの小競り合いを繰り返しています。

 

ガザ地区などでもヒズボラのような軍事勢力を資金援助し、そのヒズボラはイスラエルにミサイルを打ち込むような活動をしています。そしてこれに、イスラエルは反攻しています。

 

イエメンではシーア派のフーシ派を支援し内戦状態になり、フーシ派は政府軍を支援するサウジアラビアに対してミサイルやドローンを打ち込むなど過激な行動をしています。アメリカがテロ国家と罵るのも仕方ないかもしれません。イランも国民の生活水準の向上のために資金を使うべきです。

 

アメリカの立場は明快で、スンニ派の盟主のサウジアラビアを支援し、ユダヤ人の聖地イスラエルを強力支援です。火中の栗を拾うこともいとわず、アメリカ大使館をテリアビブからエリサレムに移し全世界、とりわけ米国内のユダヤ人社会にコミットメントを示しました。

問題は双方ともに一歩も譲らない状態で軍事的に対峙しているので、偶発的な衝突が懸念されることです。アメリカとイランは対話するチャネルが消えてしまっているようです。ですから、偶発的な衝突の時にそれが広がる危険があります。

 

先日、突然イランの外相が日本を訪問しました。アメリカとの対話のチャネルが消えた今、安倍首相とトランプ大統領の緊密な関係を直接対話の仲介として使いたいという意図だったのでしょう。何を伝えてくれとイランの外相が言って、何を伝えたかは不明ですが、多分ゴルフ場での話でしょう。しかし日本はアメリカに寄り添っていますから、単なるメッセンジャーしかできません。

 

日本とイランは歴史的に友好関係にあるといいます。その理由は1953年の日章丸事件です。イギリスに支配されてきたイランの石油資源を国有化してイギリスから海上封鎖されたイランに、日本の出光石油が日章丸というタンカーを秘密裏に派遣してイラン自前の石油を輸入した事件を、イランの人たちは欧米に長らく支配されていた状態を打破した快挙と受け止めて、それ以来、日本人に対して近親感を持つようになったと言われています。この事件は「海賊とよばれた男」として映画化されています。

 

アメリカが問題視しているのは、イランの核兵器開発と弾道ミサイルの開発です。 2015年の核合意は核開発の速度を落とすという中途半端な合意ですから、トランプ大統領は我慢できないので、ひどい行為だと言って一方的に破棄たしたわけです。ある意味イランは中東の北朝鮮です。近隣諸国、とりわけイスラエルとサウジアラビアは、北朝鮮と日本の関係に近いかもしれません。ですからトランプ大統領はイスラム原理主義の体制を変えるとは言わない、核廃棄を要求しているのだと言っています。北朝鮮に対する要求と同じです。

 

ここでもトランプ大統領は中国との交渉と同じ誤解を、認識不足をしていると思います。イランはギリシャ時代から中東に覇をとなえたペルシアです。他の中東諸国と違ってアラビア語を話しません。ペルシア語です。誇り高い民族ですから、圧力という恫喝に負けて妥協することはないでしょう。アメリカの経済制裁にイラン国民は苦しんでいますが、むしろ団結が強くなるでしょう。アメリカの発想は経済制裁で生活が苦しくなれば、国民が政府に対し不満をぶつけ国内事情が政権を妥協に動かすと考えているのかもしれません。フランスには、これが当てはまります。それは西洋文化の世界です。東洋は違うということを識る必要があります。

 

やはりリーダーは歴史や文化を広く、深く勉強する必要があります。ビジネス書を読むのではなく、教養を深めることが1番重要な修行です。

 

イラン、核合意を一部停止 米国は経済制裁を拡大

https://www.bbc.com/japanese/48210341 

トランプ大統領、イランの体制転換目指さず-目標は核開発阻止

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-05-27/PS5J8J6JTSE801 

「イランは終わりだ!」バグダッドの米大使館付近へのロケット砲攻撃にトランプ激怒

https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2019/05/post-12155.php 

米イラン中傷合戦でホットライン不通、一触即発の危険性

https://jp.reuters.com/article/usa-iran-communication-idJPKCN1SX1YK 

緊張高まるイラン 外相来日し「日本の協力に期待」

日章丸事件

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E7%AB%A0%E4%B8%B8%E4%BA%8B%E4%BB%B6 

イラン外相の訪日

https://news.tv-asahi.co.jp/news_politics/articles/000154675.html 

米制裁下のイラン、経済崩壊を回避できるか

https://jp.reuters.com/article/iran-economy-idJPKCN1NE0J6 

 

◆東大俯瞰塾◆

今年も4月から本郷の東大で俯瞰塾をやっています。定年から11年目ですが、単位のない学生の自主ゼミです。今年はOBの何人かがこの授業を継続する必要があると、支援を申し出でてくれました。本当にありがたいです。

 

毎回申し上げていますが、俯瞰塾の目的は知的腕力をつけることです。知的腕力とは、情報の収集、分析、編集を高い水準で、短時間で実行する能力です。時間をかければできますがそれでは競争優位に立てません。人生はある意味チーム間の競争であり、個人間での競争でもあります。

今年も5チーム、 25人の学生が参加しています。今年は少しカリキュラムを変えました。オリエンテーションの後、チームごとに、研究対象企業を決めました。従来は、ややもすると、よく知られた企業、 1部上場の企業になっていましたが、今年は上場以降一貫して成長している企業を選びました。といっても短期間では企業の評価はできませんから、少なくとも3年以上経っている企業です。

 

主に以下の4つの観点から、

・業績(主に売上やEBITDA)が継続的に伸びている

・株価も継続的に伸びている(やや横ばいも含む)

・学生内での知名度も比較的ある

・事業領域も比較的広い(1つに特化しすぎていない)

TAの学生が選び出した企業は、リクルート、LINE、SMS、ユーザーベース、MonotaROの5社です。学生から見た未来ある企業です。ですから就職もベンチャーを含めてこういう会社を選んでいます。もはや成長していない伝統的な経団連的な企業に、優秀な学生は行きません。

 

第1回の課題は有価証券の見方で、第2回の課題はいきなり企業価値の算出でした。第3回はマーケティングで、第4回は新しい課題の AIとIOTです。次の第5回の課題はM&Aです。このテンポで毎週ですからかなりのハードワークです。前日は半分徹夜になるでしょう。このハードワークも知的腕力の強化のためです。何年か前、ある学生が「東大に入ってこんなに勉強した事は初めてだ」と言いました。毎年の事ですが、5月の末になるとぐっと力がついてきたことが感じられます。これが教師の醍醐味です。

 

追及するものは知的腕力ですが、結果としてビジネス・リテラシーがついてきます。この授業が終われば知的腕力で就活戦線に参加するわけです。

 

毎週チーム全員が前に出てプレゼンテーションをします。全部終わった後で、どのチームが良かったかとして投票します。それがチームの点数です。質問の回数が個人の点数です。正規の授業時は、この合計点で上位からA,B,Cをつけました。Dは成績表が汚れるのでつけませんでした。

 

この俯瞰塾は毎週木曜日の午後、本郷の工学部3号館の3階で行っています。 参観可能です。ふらりと覗くのも問題ありません。

 

◆今どきのオーディオシステム◆

音声認識のスマートスピーカーをいくつか買って勉強するというか、時代の風を確認しました。現在ではキッチンと寝室にGoogle Miniを1台ずつ、リビングにはAmazon EchoPlusを置いています。キッチンでは翌日のスケジュールや天気予報を聞くことが多いです。寝室はもっぱら目覚ましです。リビングのEchoPlusではスタンドという床置きライトの点滅ができます。

 

 1番使うのは「アレクサ音楽かけて」です。Echoだけであれば6500万曲以上というAmazonUunlimitedが月額380円です。

 

やってみると困ったことが判明しました。曲名を直接言える曲はクラシックでもジャズでもほとんどありません。作曲者もモーツアルトやベートーベンといった限られた名前しか口にできません。「ベートーベンのピアノソナタをかけて」くらいがせいぜいです。歌手といっても昭和の歌謡曲やフォークソングの歌手しか知りません。平成の歌手は宇多田ヒカルとAKB48しかありませんでした。ですから結果として、歌手とか作曲家の名前で適当にシャッフル再生してもらうことになります。本当に何かを聞きたいときはCDを見て頼めばいいのですが、それが面倒だから「アレクサ音楽かけて」になるわけです。ワインを飲みながらのBGMです。

 

もう一つは音質です。EchoPlusは「パワフルな360°全方向スピーカーで、クリアなボーカル、ダイナミックな低音」という売り文句ですが、さすがに本格的なオーディオ装置に比べるとかなり落ちます。

 

そこで新たに発売されたEcho Link Ampを買って試してみました。マイクはついていませんのでEchoPlusと連携です。このアンプには電源スイッチはありません。電源コードを刺すだけです。前面も真ん中に大きな音量ボリュームがあるだけです。背面に外部機器入力として光デジタルとRF同軸ケーブルの端子がありますが、どこにも入力切り替えがありません。最初はわかりませんでしたが、アレクサから音楽を出力している時はそれが優先されるということです。思い切った割り切りです。

 

 10年くらい前に買って最近使ってないスピーカー(PMC Twenty)がありましたのでそれを繋ぎました。外部入力としてこれも最近使ってないネットプレーヤー(Cambridge Stream Magic) を接続しました。

 

最近オーディオの世界は高音質の「ハイレゾ」の世界です。ハイレゾとは、従来のCDを超える情報量を持つ高音質音源です。圧縮音源では伝えきれなかったレコーディング現場の空気感やライブの臨場感を、より感動的に体感できるということで急速に普及しました。

ネット上にたくさんのハイレゾ音楽がありますから、ネットプレーヤーを使えば膨大な曲を聴くことができます。またネット上には無数の放送局が存在します。

その中でも最高の音質のスコットランドのLINNは定評があります。少し音質が落ちますが、日本のOTTOVAも人気があります。 

 

ネットプレーヤーのLINNでリビングの本格的なオーディオとEcho Link Ampのシステムと聞き比べていましたが、もう私の耳では差を感じることが出来ませんでした。高音域の聴力が歳ともに落ちていますから。どのくらいまで聞こえているか一度耳鼻科に行って検査してもらおうと思っています。

 

音楽の時だけEcho Link Ampに切り替わるだけです。これもどこにも書いてありません。むろん入力切り替えも。というよりマニュアルは存在しません。接続方法の簡単なパンフレットがついてくるだけです。

 

ともかく、まだあまり使い込んでいませんが、EchoPlusに話しかけるだけで音楽が高音質で楽しめるのは、新しい時代の風です。キーボードから音声コミュニケーションの世界へ確実に移行しつつあることを実感できます。

これとハイレゾのスマートフォンと組み合わせれば、今どきのオーディオシステムです。

 

◆俯瞰サロン開催のお知らせ(第67回&第68回)

【第67回俯瞰サロン(6/19)

河野通長さんに聞く スマートシティモデルで拓く未来社会】

 

日時:2019年6月19日(水)18:30-(18:00 受付開始)

会場:品川インターシティ会議室

  東京都港区港南2丁目15-4 地下1階(品川駅港南口徒歩5分ほど)

参加費:懇親会 1000円、懇親会3000円 当日、会場にて申し受けます。

お申込みサイト:https://ssl.form-mailer.jp/fms/363b5134602103

 

 先月号の俯瞰メルマガで紹介した「スマートシティモデルで拓く未来社会: まちづくりを超えて成長エンジンへと深化するスマートシティ」(Kindle版)の著者 河野通長さんにお越しいただきます。日立製作所でのスマートシティ事業の立ち上げを経られて、現在、国内外で持続可能なまちづくりをテーマとしたコンサルタントとして活動されています。

 

概要:

わが国の科学技術政策の重要テーマとなった“Society 5.0”に関連して、わが国の府省が主導する「スマートシティ」が再びブームとなっている。

スマートシティは2008年頃に国内外で最初のブームを迎えたが、その当時は地球環境の保全を目的とした省エネルギーに偏重したもの、あるいは情報通信技術の活用に偏重したものなど技術指向で、その牽引役は産業界であった。企業が提唱するスマートシティに失望感が生まれると共に「スマートシティ」という流行語も飽きられて死語となった。

しかし、欧米では市民・住民を中心に行政、特に自治体が主体的に牽引する課題解決指向のスマートシティを目指すという方向に視点を変えてスマートシティ・ブームが再燃している。その実現を支える仕組みとして、オープンイノベーションの分野で近年注目されている「クアドルプル・へリックス・モデル」と同等の体制構築が欧米での共通認識となっている。

本講演では、「スマートシティ」の理解の変容を辿り、そこから欧米での共通認識となった体制構築や近年のボトムアップ的な活動の傾向を取り上げ、わが国の最近の府省主導のプロジェクトの課題を指摘し、解決の方向性について聴講者と議論を進めたい。

 

河野通長さんのプロフィール:

1948年東京生まれ、麻布学園高校を経て、東京大学工学部精密機械工学科を卒業

1972年日立製作所に入社。同社生産技術研究所において産業用ロボット、ロボット応用ライン、CIMシステムの研究開発に従事。本社の社内情報システム部門長として日立グループ全体のネットワーク基盤の構築、運用統括を経て、経営企画部門において新事業の創生ならびにスマートシティ事業の立上げを推進。

2013年日立製作所を退社。株式会社ミチクリエイティブシティデザイナーズを設立し、持続可能なまちづくりをテーマとしたフリーランスコンサルタントとして活動。最近は特にロシアにおける各種フォーラムへの参加が多い。

・アジア太平洋経済協力(APEC)Low-Carbon Town Taskforce 民間有識者委員

・ISO TC268/SC1 Smart Community Infrastructure 国際登録エキスパート

・著作:

- スマートシティモデルで拓く未来社会: まちづくりを超えて成長エンジンへと深化するスマートシティ(Kindle版) http://u0u0.net/TjdW(AMAZONへのURL)

- 海外スマートシティ最新事情2017:新しい視点で勢いづく欧米と周回遅れの日本(Kindle版)  http://u0u0.net/ToQC(AMAZONへのURL)

 

【第68回俯瞰サロン(7/23)

東急電鉄執行役員 東浦亮典さんに聞く、

私鉄3.0‐電車に乗らなくても儲かる未来‐(仮)】

 

日時:2019年7月23日(火)18:30- (18:00 受付開始)

会場:品川インターシティ会議室

  東京都港区港南2丁目15-4 地下1階(品川駅港南口徒歩5分ほど)

参加費:懇親会 1000円、懇親会3000円 当日、会場にて申し受けます。

お申込みサイト:https://ssl.form-mailer.jp/fms/92a26e9a623580

 

昨年末に「私鉄3.0-沿線人気No.1 東急電鉄の戦略的ブランディング」(ワニブックスPLUS新書)を上梓された東浦亮典さんにお越しいただきます。提言されている、私鉄が目指すべきさらなる「未来=3.0」。「顧客との決済やポイントを基盤とした新たなサービス」「鉄道、バスの次に来る新しいモビリティ」「ベンチャー企業支援」などなどを、現役執行役員の視点から伺います。

 

東浦亮典さんのプロフィール:

東京急行電鉄執行役員 渋谷開発事業部長。

1961年東京生まれ。1985年に東京急行電鉄入社。自由が丘駅駅員、大井町線車掌研修を経て、都市開発部門に配属。その後一時、東急総合研究所出向。復職後、主に新規事業開発などを担当。町田市の『グランベリーモール』、賃貸コンセプトマンションブランド『TOP-PRIDE』、『クリエイティブシティコンソーシアム』、『次世代郊外まちづくり』、『東急アクセラレートプログラム』などの立ち上げにも関わる。また東急沿線の都市開発戦略策定、マーケティング、プロモ―絵本、ブランディング、エリアマネジマントなども担当。2016年より執行役員。都市創造本部運営事業部長を経て現職。

著書:

- 私鉄3.0-沿線人気No.1 東急電鉄の戦略的ブランディング(ワニブックスPLUS新書) http://u0u0.net/Y9Bz (AMAZONへの短縮URL)

 

◆俯瞰のクッキング “ふるさと納税” ◆

昨今いろいろと問題視されて、大盤振る舞いの4自治体が特例から外されました。当然だと思います。しかし「ふるさと納税」の制度は大変良いと思っています。企業の本社が集中する東京が元々税金の取りすぎです。過疎の市町村が地元産品を送ることで首都圏の税金を移転する仕組みは、素晴らしいと思います。

 

ということで私も利用しています。まずお米は最近買った事はありません。 1万円で10キロ近く受け取れます。我が家では玄米を選びます。冷蔵庫の野菜室に保管して必要な量だけ小型の精米機で精米して食べます。

 

肉もかなりの量をふるさと納税で入手します。特例から外された大阪の泉佐野市はかなり他と比べて量が多かったと思います。我が家では12個1.8kgで1万5000円のハンバーグをとりよせます。冷凍のまま冷凍庫で保管しておくと便利です。豚のしゃぶしゃぶ肉は1.8 kg 1万円です。

 

魚介類では2尾で1万円のうなぎの蒲焼、 1 kg 1万円のホタテ貝柱、西京漬詰め合わせ1万円、 1 kg 1万円の明太子、天然の時知らず鮭半身(塩なし)1万5000円など取り寄せてよかったと感じたものです。

野菜果物は日持ちしませんので利用したことはありません。新鮮魚介も後が大変なので手を出していません。

 

冒頭でも書きましたが、地元産品を返礼品にするふるさと納税は、見方を変えれば自治体が生産者に代わってネット販売をするわけですから、地元経済も潤います。ただ一部の生産者だけが潤うというのでは不公平感が出ますので難しいところがあるでしょうが、東京にいる私たちは積極的に参加していいと思います。

 

むろん基礎自治体の税収は住民税と固定資産税が大きい事は承知していますが、目黒区や世田谷区、港区の財政が毀損するほどではありません。

 

◆俯瞰の書棚“HARD THINGS ” ◆ 

今回は「HARD THINGS 」ベン・ホロウィッツ、日経BP社 2018です。

本書はクラウドコンピューティングを始めた人と言われているベン・ホロウィッツのベンチャー経営の苦闘と成功の体験の記録でもあり、それに基づいたベンチャー経営者の助言というか、マニュアルでもあります。またシリコンバレーでドットコムバブルが弾けた2000年以降の凄まじい勝ち残りの物語でもあります。前回もGoogleMapを立ち上げた人々の物語から当時のシリコンバレーの状況が生々しく認識できましたが、本書もそれ以上に生々しい当時の状況を感じることができます。例えば下記(ラウドクラウドとオプスウェア)は、彼が立ち上げたベンチャー企業です。

 

 

“ラウドクラウドとオプスウェアで、ダーウィン・プロジェクトは一番楽しく、一番大変なプロジェクトだった。週7日間、朝8時から夜 10 時まで、6カ月間休みなく働き続けた。あれはとんでもなかった。週に一度、妻と夜にデートをして、午後6時から深夜0時まで全神経を妻に集中させた。そして翌日、それが土曜日であっても、午前8時に会社に戻り、夕食まで会社で過ごした。家に帰るのは 10 時から 11 時だった。毎晩だ。そして、それは私だけではなかった。社員全員がそうだった。われわれに期待されていた技術的な仕様は素晴らしいものだった。どうやって実現するかブレインストーミングを重ね、それを実際の製品へと落とし込んでいった。大変だった。しかし楽しかった。その間に誰かがいなくなった記憶はない。あれはまるで「やるしかない。やらなければここにいられない。ほかの仕事を探さなくちゃならない」という雰囲気だった。

それは、固い絆で結ばれたグループだった。多くの未熟な連中が、本当に一段成長した。海に放り込まれて「さあ泳げ」と言われたことは、彼らの成長にとって素晴らしい経験だった。6カ月後、突如として会社は、これまでになかった概念実証の契約が取れるようになった。プロジェクトの実現可能性を示すための実験の契約だ。ベンはすばらしい仕事をした。われわれにフィードバックを返し、終わったときには、みんなの背中を軽く叩いてねぎらった。”

 

何十年も前のIBM 時代に2年間くらい深夜まで働いた体験があります。ですから当時のスタッフは今でも戦友です。そして今でも年に1度は集まります。ある日の午前1時に「お先に」と言ってオフィスを出たとき女性の3人のスタッフが残っていたシーンを、私は今も忘れません。

 

次のくだりもシリコンバレーの厳しい職場環境を感じさせます。

“創造を強いる。 毎月、毎週、あるいは毎日でも目標を与えて、すぐに結果が出せることを確認する。ほかの社員たちもこの様子を見ている。「理解」しているか確認する。 コンテキストを持たない幹部は、スタートアップでは価値を持たない。どの幹部も、製品、テクノロジー、顧客、市場を理解する必要がある。新米幹部には無理にでも覚えてもらう。たとえば、CEOと新幹部とのミーティングを毎日設定する。その日耳にしたけれど完全には理解できなかったことへの疑問を、このミーティングですべて列挙させる。CEOは原則に沿って、疑問に詳しく答える。できるだけ早く、必要な情報を与えること。何も質問がなければ、解雇を検討すべきだ。 30 日。”

 

 いま話題の中国のHuaweiもこんな感じで急成長したのでしょう。私が昨年深センの本社に行った時、ほとんどの社員は3食会社で取っていると言っていました。いわゆる996です。9時から9時まで週6日。私のビジネスマン現役時代のある時期は、9時出社12時退社週6日でした。

 

“第5章 人、製品、利益を大切にする──この順番で”にあるように「 人」に関する記述が多いです。冒頭にベンチャー経営者の能力として。

“何かを生み出す人、リーダー、起業家となる人には、ふたつの能力が必要になる。ひとつは、現状を正しく把握する力。ふたつ目は、困難の嵐がやってきたときに、次々と手を打つ能力だ。”そして軍人であったコリン・パウエル元国務長官は「リーダーシップというのはたとえ好奇心からにせよ、人を自分の後に続かせる能力だ」と言ったとあります。私は8人の上司を持ちましたが3人はこの能力を持っていたと思います。

 

彼の絶体絶命のピンチは、“悲惨なドットコムバブルの破裂が起きた。ナスダック指数は2000年3月 10 日に、1年前の2倍以上に相当する5048.62の最高値を記録していたが、 10 日後には 10 パーセント暴落した。ドットコム崩壊は、われわれの予測をはるかに上回る惨状だった。それに気づいたのは、新規顧客を見込んでクラウド基盤構築のために現金の大半を投入してしまった後だった。”ということでシリコンバレーからあっという間にマネーが引き上げられ、多くのベンチャーが倒産した時期です。そして彼の苦悩に満ちた人生が語られます。

 

大企業で活躍した人材がベンチャー企業でうまくいかない理由がいくつか述べられていますが参考になります。彼は会社を売ってからHPで何千人もの組織を持った経験からいくつかの気づきを紹介しています。

 

“私の経歴の中で早くに学んだ教訓は、大企業でプロジェクト全体が遅れる原因は、必ずひとりの人間に帰着するということだった。”

“私の時間のほとんどは、既存ビジネスの最適化と調整に費やされた。仕事のほとんどが「受け身」だった。対照的に、スタートアップの幹部の場合、自分が仕掛けない限り何も起こらない。会社の立ち上げ時期には、1日に8から 10 のプロジェクトを処理できなければ、会社は止まってしまう。“

“数字を重視しすぎる。数字で厳しく管理することはぬり絵キットに似ている。HPのいくつかの部門は将来の競争力を犠牲にして現在を最適化した。会社は、会社にとって良くない方法で短期目標を達成したマネジャーたちに、褒賞を与えた。”

 

グサリと胸を刺される感じですね。この時代のHPのCEOは確か年収100億と言われたフィオリーナです。短期的な数字を追うMBA的な経営でHPも凋落しました。これで伝統的な大企業は凋落していきましたね。IBM・・・・・。

 

いろいろ興味深いフレーズがありますが、 CEOとして幾度か危機に直面したとき「心を鎮めるため」に行った事は。

“友達をつくる。問題点を書き出す。側壁ではなくコースに意識を集中する。怖気づかず、投げ出さず。恐怖と勇気は紙一重。”

参考になりますね。マネジャーを解雇するノウハウも紹介されていますがここでは割愛します。

 

 平時のCEOと戦時のCEOについて。

“平時のCEOは企業文化の育成に務める。戦時のCEOは生き残りを賭けた闘争に自ら企業文化をつくらせる。コンサルタントが書く経営書のほとんどは、成功した企業の平時の経営スタイルの研究を基にしていることに注意しなければならない。”これも認識すべき現実ですね。

幾多の困難を乗り越えた体験からくる言明はとにかく説得力があります。ベンチャーの経営者でなくても、人生論としても興味深い内容です。ご一読をお勧めします。

 

◆雑感・私感◆

以上も雑感・私感ですが出来る限り参照データを紹介しています。個人のブログは面白いですが個人的な偏りがありますから、できるだけメジャーなメディアを引用しています。

●あまりにも私たちはアメリカを識らないと改めて感じました。だからトランプ政権が理解できないのでしょう。共和党のリンカーンは北部の産業をバックに人種差別反対を推し進め、それに対して南部民主党は人種差別維持を推進した結果、北部共和党に敗北しました。今では共和党が白人主義で民主党が黒人やヒスパニックの支持を受けています。いつの間にか立場が入れ替わっています。これはまた次回に。

●ギリシャ、ローマ文明の流れを世界史の本流として位置付け、それを受け継ぐ西洋文化が国際政治の本流という思い込みがあるとすれば、中国やイランという東洋文化と融和できませんね。そう思うと明治維新以来の日本は何でしょうか。

●「ホワイトハウスが米海軍に対し、横須賀基地に停泊中の米誘導ミサイル駆逐艦「ジョン・S・マケイン」を隠し、大統領の視界に入れないよう指示していたことが分かった。故ジョン・マケイン上院議員と対立関係にあった大統領は30日、指示は「善意」によるものだったとして、関与した人物を擁護した。」とありますが、ホワイトハウスの官僚と日本の官邸官僚の忖度感覚は似ていますね。さすがアメリカ海軍は撥ね付けました。

●翻って見るとたしか、クリントン元大統領、ブッシュ元大統領、トランプ大統領はベトナム戦争の兵役をすり抜けていたと思います。それで安全保障を口にしています。ジョン・マケイン上院議員は、ベトナム戦争で負傷し、捕虜となり、拷問され、米国において「英雄」と呼ばれ、米政界でも特に高名で尊敬された上院議員となった人です。

●忖度が能力とされる大企業が多いですが結果は無残です。といって専制的で高齢でトップに居つづけた経営者の末路も哀れですね。

●6月です、夏です明るく楽しい夏を迎えましょう。

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◆内容・記事に関するご意見・お問い合わせ/配信解除・メールアドレス変更はwebmaster@fukan.jp まで。

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◆俯瞰MAIL89号(2019年5月31日)

発行元:一般社団法人俯瞰工学研究所

発行人:松島克守

編集長:松島克守

配信人:石川公子

URL:https://www.fukan.jp

 

◆俯瞰メルマガ第 87 号◆2019年3月25日発行

俯瞰メルマガ87
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時候のご挨拶

桜、桜、あっという間に花見がやってきます。葉桜になると、桜を意識していないので先日花見をしたばかりという気持ちになるのでしょうか。元旦と同じように新年度の誓いを立てますか。で、何を?

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変身を迫られるGAFA

ブレグジットの迷走から何を学ぶか

中国の今後は

国際政治の蜃気楼

エストニアに行ってきました

65回俯瞰サロン開催案内

「サムソンが日本の半導体を超えた秘密~俯瞰力・企画力を支える超見える化~

俯瞰のクッキングイタリア料理の裏技

俯瞰の書棚 先延ばし克服完全メソッド

雑感・私感

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変身を迫られるGAFA

これまで我が世の春を謳歌してきたGAFAが、厳しい状況になってきました。政治コンサルティング会社、英ケンブリッジ・アナリティカによるフェイスブックの個人データ流用事件を発端にして、GAFAの個人情報の取り扱いについてEUは厳しい規制を導入しました。個人情報保護の大幅な強化と域外持ち出しを禁止する規制です。

 

一般データ保護規則(GDPR)によって個人情報の厳格な管理を求めるとともに、違反に対しては巨額の制裁金を課すことになります。もちろん日本もその影響受けます。ただ日本の個人情報の保護は極めて厳しいために、日本とEUは相互に個人データ保護水準に関する相互十分性を認定しました。しかしGDPR はわかりにくく曖昧な部分もあるので日本企業にとっても厄介な問題です。日本に来たEU の人、 EUに居住する日本人駐在員の情報の取扱い等、今後いろいろなケースが考えられます。何しろ巨額の制裁金という脅しがありますから、厄介です。

 

個人情報保護以外でも独禁法がらみの規制が強化されています。Googleがインターネット広告事業で反競争的行為があったとして、EU149000万ユーロ(17億ドル)の制裁金を課したと発表しました。欧州委がGoogleに制裁金支払いを命じるのは、過去2年の間で3回目です。

Facebookが、ユーザーの許可を得ずにサードパーティーが個人情報にアクセスすることを許す契約を結んでいた問題、最近の一連のセキュリティ問題に対し、議会への証人喚問や政府の諸機関による調査が行われています。最近では、また数億人のパスワードを平文で保存していたことで厳しい非難を浴びています。

 

結果としてFacebookは巨額の利益を上げているネット広告のターゲットマーケティングについて、ユーザーを人種、性別、年齢などに基づいて、求人、住宅、クレジットの広告の対象から除外できるように修正すると発表しまた。すなわち絞り込みを緩めるということでしょうか。これはGoogleAmazonにとっても重大な課題です。なにしろ、独占的に所有する膨大な個人情報からピンポイントでターゲットを絞り込むことを武器にして成長してきた彼らですから。

 

EUにはGAFAに対して規制を強めることによってEU内のIT企業の成長を促したいという意図と、同時にGAFAに対し、域内で上げた売上に対してデジタル課税をかけ新しい財源としたいという意図もあります。すでにフランスとイギリスは、独自にデジタル課税を発表しています。

 

事情は日本にとっても同じで、日本の規制当局も動き始め、自民党も日本のGAFAを呼んでヒアリングし対抗処置をとること決めました。規制当局は、Amazonが出店者に対し不公正な契約を強要していることを問題視しています。Appleについても、Apple Storeのアプリ供給者に対する30%の手数料の是非などの懸念を表明しています。

いずれにしても、GAFAにとって野放図な成長は許されない時代になりました。

 

Facebook、広告の差別的ターゲティング裁判で和解

https://www.itmedia.co.jp/news/articles/1903/20/news083.html 

Facebookが数億人のパスワードを平文で保存していたと認める

https://jp.techcrunch.com/2019/03/22/2019-03-21-facebook-plaintext-passwords/ 

独禁法推進派がもくろむFacebookの分社化

https://jp.techcrunch.com/2019/03/21/2019-03-19-facebook-cicilline-antitrust-house-congress/ 

欧州委、グーグルに制裁金17億ドル ネット広告で反競争的行為

https://jp.reuters.com/article/eu-google-antitrust-idJPKCN1R11YY 

GAFAのデータ独占に公取委がメス!本気の実態解明へ

https://diamond.jp/articles/-/197645 

アップルは優越的地位を濫用している? 公取委が調査

https://www.businessinsider.jp/post-187542 

GAFAに課税せよ!広がる「デジタル税」の正体

https://toyokeizai.net/articles/-/268692 

欧州連合における個人情報保護の枠組みGDPR

http://www.fujitsu.com/jp/group/fjm/mikata/column/sawa2/001.html 

EU、個人情報保護を大幅強化へ 域外持ち出し原則禁止

https://www.asahi.com/articles/ASL5Q1PG0L5QUHBI001.html

EU間で個人データ保護水準に関する相互十分性を認定

https://www.jetro.go.jp/biznews/2019/01/61496577e90fd3e8.html 

GAFA規制、仕掛ける自民 国際的枠組み作り主導狙う

https://www.asahi.com/articles/ASM3Q5D5BM3QULFA01S.html

 

ブレグジットの迷走から何を学ぶか

英国のEU離脱、ブレグジットの混乱も末期的な状況になりました。合意なき離脱も真実味を帯びてきました。もしくは国民投票を再度行って結果として、残留を選ぶことになるかもしれません。ロンドン中心部で23日、2度目の国民投票を求める大規模デモがありました。主催者団体は100万人が参加したと発表、多くは離脱に反対する人たちです。

 

ついにメイ首相の辞任の可能性も出てきました。となると、自爆的な国民投票をあり得ます。全く予断できません。日本への直接的な影響は大きくないと思いますが、世界経済に与えるインパクトで、為替などの想定外の影響は考えられます。

 

事の発端は、前回のキャメロン首相の国民投票にあります。彼自身、まさかの結果でした。

 

大部分の国民、とりわけ労働者階級の人たちに、離脱派の政治家は、EUがいかに官僚的で非民主的、イギリス国民から金も主権も国境コントロールも奪う存在であるかを吹聴しました。特にEU加盟国のためイギリスに大量に移民が押しかけ、国の医療、教育、サービスなどに負担をかけ、失業率や犯罪率は上がり給料は下がるという危惧を大げさに語り、そういう話をあおったのです。

 

日産の工場があるイギリス北東部サンダーランドでは、2016年に行われたEU離脱を問う国民投票では61%が離脱票を投じました。そして結果として、日産は生産を英国外に移すことを決め、雇用が失われることに愕然としています。すでに、国際企業が車を組み立てる場所としての英国の魅力は下がりました。

 

イギリスがEUを離脱するとはどういうことなのかを、きちんと説明してもらえないままに投票した人たちも多かったようです。

 

これは直接民主主義の怖さを象徴しています。といって議会制民主主義の英国議会が現在、理性的な対応をしているわけではありません。最近トーンが落ちましたが日本でも憲法改正の国民投票の話がありますが、国民全体が十分に自分の判断の結果を理解しないまま国民投票を行えば真実の民意と違う結果が出るでしょう。日本の場合は感情的な戦争反対のキャンペーンと自主防衛の主張が国民の分断をもたらすと思います。ナチスドイツは 国民投票を頻繁に行ったとのことです。

学ぶべき事は、メディアと政治家は国民に対し十分な情報を提供し、広く国民の理解を深めることと、我々国民が政治にもっと真剣に取り組む必要があるということです。とりわけ先の長い若い人たちが、自分たちの未来がかかる政治判断に冷静に取り組む必要があります。政府機関紙のようなメディア、ヒステリックな反政府メディア以外に良心をかけたメディアが、民主主義には必須です。トランプ大統領のおかげで米国メディアも正義感が出てきましたか。

 

EU離脱、2度目の国民投票を ロンドン「百万人」デモ

https://www.asahi.com/articles/ASM3S2SY3M3SUHBI003.html 

EUにブレグジット疲れ 英に「次の一手」明示要求

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO42821180T20C19A3000000/ 

EU離脱撤回を求める請願書に現れる「英国の混乱」

https://forbesjapan.com/articles/detail/26268 

英国では署名が10万人を超えた嘆願書について、議会で議論に付すか検討の対象になる。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190322-86564887-bloom_st-bus_all 

英首相、離脱案巡り閣僚・強硬派と協議 辞任圧力の報道も

https://jp.reuters.com/article/britain-eu-idJPKCN1R6009 

イギリスEU離脱で日産工場に影響:Brexitで被害をこうむる人たち

https://1ovely.com/leave-eu/ 

英EU離脱、ゴールドマンが合意なき離脱の確率を引き上げ

https://jp.reuters.com/article/britain-eu-goldmansachs-idJPKCN1R30VD 

 

中国の今後は

アメリカと中国の貿易摩擦は中国が一定程度譲歩して、ある種の妥結が実現するのではないでしょうか。先日閉幕した中国全人代で、政府を代表して李克強首相が行った政府活動報告では、アメリカと正面から競合する姿勢を避けてwin winの関係を作り出したいというメッセージがあったように思います。そして、これまでの経済政策を一部否定していました。

 

この全人代ですが、習近平総書記が終始仏頂面で資料を見ていない、という映像が話題になりました。昨年の全人代では全権を掌握し、終始笑顔であったことと対照的です。という事は、一度は失った経済政策の権限を李克強首相が取り戻したという事でしょうか。というか、習近平総書記の権力基盤も盤石ではないということですか。

 

中国経済の成長の鈍化が、かなり厳しいようですが、もともと2ケタ成長は長期間続きません。人口ボーナス、環境汚染のような成長の限界がありますから。これは日本がたどってきた道です。中国もその例外ではありません。ただ日本は、オイルショックというハードランニングで高度成長から5%の成長に移行しました。中国はアメリカとの貿易摩擦でハードランニングに近い、新常態に移行しているのでしょう。私は中国の現在の成長率は5%がせいぜいだと、かねがね言ってきました。

 

日本の場合と違って、今は大きなテクノロジーの波があります。今回「製造強国」のスローガンは下げましたが、EVGAI、バイオの急速な導入により一気に新しい産業国家に変身する可能性があります。米国や特に日本は、気がつくと後進国になっていたということもありえます。

 

EUはこれまで、中国市場を経済成長の源泉として中国に寄り添う政治姿勢をとってきましたが、ここにきて「中国恐るべし」との認識になったようです。「中国はライバル」と正面から戦略を議論しています。イタリアは借金漬けで、中国の投資を引き入れようと、中国の「一帯一路」参加国になりました。すでにエストニア、ラトビア、リトアニア、ポーランド、チェコ、スロバキア、ハンガリー、スベロニア、クロアチア、ブルガリア、ギリシア、マルタ、ポルトガルは、「一帯一路」に関し中国と覚書を交わしています。まさに「中国恐るべし」です。

 

通商合意「おそらく実現」、国内自動車生産なら関税回避=米大統領

https://jp.reuters.com/article/usa-trade-china-trump-idJPKCN1R31QM 

対中制裁関税、すぐ撤廃は「ノー」トランプ氏

https://www.yomiuri.co.jp/economy/20190321-OYT1T50122/ 

ロイター企業調査:米中摩擦の影響「ある」5割超に増加、昨秋3

https://jp.reuters.com/article/reuters-poll-trade-japan-idJPKCN1R304C 

全人代ルポ 仏頂面の習主席、李首相と目も合わせず

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO42038380V00C19A3FF2000/?n_cid=SPTMG002 

激しさ増す米中新冷戦、中国にとってトランプはむしろ救世主?

http://wedge.ismedia.jp/articles/-/15671?page=2 

EU「中国はライバル」=戦略見直し-首脳会議

https://www.jiji.com/jc/article?k=2019032300305&g=int 

イタリア、一帯一路参画へ 対中国でEUの足並みに乱れ

https://www.asahi.com/articles/ASM3K238ZM3KUHBI003.html 

 

国際政治の蜃気楼

物別れに終わった米朝首脳会談は、北朝鮮の非核化という蜃気楼を追いかけていたのではないでしょうか。だから近づけば逃げて、消える、やっとトランプ大統領も気がついたのかもしれません。文在寅大統領は、トランプ大統領に「金正恩は本気で非核化を決心している」と告げ、金正恩には「トランプ大統領は焦っているから、寧辺(ヨンビョン)の核施設を廃棄すれば経済制裁の解除に応じる」と言った結果として、米朝首脳会談は、双方ともに蜃気楼を追うことになっていたかもしれません。

 

その文在寅大統領も南北統一という蜃気楼を追っていたのかもしれません。「私は何十年も前から200回以上、韓国を訪れているが、現地の経営者たちと酒を飲むと、『核を持ったまま北朝鮮が倒れたら、我々は核保有国になり、7000万人以上の人口を持つ、隣国(日本)と遜色ない大国になれる』と皆がいう」(大前研一 BIZトピックス 2017/04/07配信分)という蜃気楼です。韓国の核保有が許されるはずがありえないのに。経済制裁で一カ月も持つわけありませんから。結果として、文在寅大統領は双方から信用を失いました。

 

もう一つの蜃気楼は、北方領土返還かもしれません。どう考えてもロシアが北方領土を返還するとは思えません。繰り返しロシアは、第二次世界大戦の結果を受け入れるべきだと言っています。 70年の実効支配の後、どんな理由で国民を納得させるのでしょう。クリミア半島は軍事力でウクライナから奪い取りました。もともとクリミア半島はロシアが血を流して獲得した領土です。国民は大喝采です。しかしクリミア半島に多額の国家資金が投入されることになると、国民は懐疑的になっているようです。

 

仮に北方領土が歯舞色丹だけでも返還されたとしても、インフラ整備に巨額の資金が必要となります。赤字財政で社会福祉に巨額資金の必要な現在の日本にとって、投資する価値があるのか、国民は改めて考えさせられることになるかもしれません。

国民感情に訴える政治手法は、極めて危険です。まともな政治家ならば国民と腹を割って話す必要があります。

 

エストニアに行ってきました

エストニアという国

エストニアに行ってきました。個人的にサイバー戦に興味があり、 NATOの研究所があるので、いちど現状を確認したいと思っていました。加えて世界一の電子政府を実現した国でもあります。

 

エストニアはあまり日本では知られていませんので、簡単に紹介します。バルト海の奥、フィンランドの南の人口130万人の小国です。長く他民族の支配下にあった悲惨な国です。ドイツ騎士団、デンマーク、スウェデン、ロシアそしてソ連の支配下に置かれ、土着のエストニア人は悲惨な生活を強いられてきたようです。

 

ロシア帝国が崩壊した1918年に独立を果たしました。ですから昨年で独立100年ということですが、 1940年にはソ連に併合され、再び独立を失い、東西冷戦が終わった1991年に再度独立を果たしました。

 

電子政府の構築

1991年からゼロからの国づくりです。この時のリーダーの決断がエストニアの今日を決めました。 ITで行政システムを作る、という決断です。近隣諸国から古い通信システムや、 faxの寄付の申し出がありましたが、それを断り、ペーパーレスの電子政府の構築を始めたのです。

 

ソ連の情報関係の機関が置かれていたことから、IT技術者が集積していたのだろうと思っていましたが、エストニア人のIT技術者の数はそれほど多くなく、ほとんどが顔見知りだったと聞きました。それぞれ自分のパソコンを持ち寄って、電子政府の開発を始めたようです。

ただ時代の巡りあわせが絶妙です。まさにインターネットの時代の始まりと建国が重なっています。

 

1990 CERN のティム・バーナーズ・リーWWWを提案・実装

1991 エストニア独立

1993 NCSAのマーク・アンドリーセンMosaic(ブラウザー)をリリース

1994 Amazon設立

1995 インターネットの商業化

   マイクロソフト社がWindows '95 を発売

1998  Google設立

2000  スティーブ・ジョブスがAppleCEOに復帰

2004 Facebook設立     

2006 Amazon(AWS)開始 クラウドコンピューティング

 

という時代です。このビックウェーブを見据えた建国は、同時に独立したリトアニアとラトビアと、大きな差を生みました。

 

エストニアは個別アプリケーションを開発してきましたが、2012 X-Road により完全に統合化されたデータベースが完成し、現在の電子政府システムが完成しました。結果として、行政処理の99%はネットで処理されます。例外的に結婚、離婚、不動産売買契約については、ネットではできません。

 

日本でうるさい個人情報ですが、エストニアでは発想が全く違います。個人情報はすべて公開です。ただ、誰がいつ何を見たかは公開されますから、それが悪用の抑止力になっているようです。例外は病気に関する個人情報は、自分で選別的にロックできます。

 

このエストニアが完成した統合データベースのIT技術は、民間の企業でも転用できると思いました。まだまだ日本の企業では個別アプリケーションが林立し、データベースの統合ができていません。X-Roadの技術を応用すれば、社内システムの統合化が容易に実現できるような気がしました。

 

2014年には世界中の誰でもエストニアの市民になれるe-Residencyというプログラムを始めました。これでエストニアの市民になればEUの中で起業し、ビジネスができます。日本でもかなりの人が参加しているようです。

 

NATOサイバー防衛協力センター

NATOサイバー防衛協力センターの発端は、2007年のサイバー攻撃です。赤軍記念碑移転をめぐるロシア系住民の暴動による混乱の中で行われました。これを援護するかのような大規模なDDoS攻撃(大量のデータを送り付けるなどのサイバー攻撃)というサイバー攻撃を受け、エストニアの銀行、通信、政府機関、報道機関などのコンピューターシステム、ネットワークが麻痺状態となり、社会は大混乱となりました。桁違いに大がかりで組織的だったので、同国との関係が悪化しているロシア政府の関与が指摘されています。

 

エストニアは小規模で、そして長い闘争を経て独立を勝ち取ったため、国民の団結力が強く、ネット機能がダウンするという暗黒状態でも、国民がパニックに陥ることはなかったとのことです。

 

これを機会にエストニアはNATO諸国に、共同でサイバー攻撃に対抗する組織をつくることを提案しましたが、当初は欧米の首脳が「サイバー攻撃とは何?」という状態で、なかなか腰を上げなかったとのことです。それでも粘ってNATOサイバー防衛協力センターCCDCOENATO Cooperative Cyber Defense Centre of Excellence)の設立にこぎつけました。日本はNATO加盟国ではありませんが、CCDCOEに参画して、今年から職員を一名派遣します。安倍首相も小野寺防相も訪問しています。

 

年に一度首都タリンで国際会議CyConを開くとともに、加盟国全体で1,000名が参加するサイバー防衛演習「Locked Shields(ロックト・シールズ)も実施しています。赤組と青組とに別れて、赤組が攻撃側で青組が防衛側です。実戦さながらの訓練は、世界最大級の対戦ゲームでしょうか。日本の防衛省もこれに参加して、防衛力を高めていくことが期待されます。

 

そしてCCDCOEはサイバー活動に適用される国際法に関する文書「タリン・マニュアル2.0」を発表しました。なにしろ宣戦布告の無い戦争ですし、現在も攻撃が続いています。どこまで反撃して良いかも不明ですから新しい国際法が必要ということです。

 

スタートアップ

エストニアはまた、スタートアップに対するビジネス環境が良い事でも知られています。いくつかのスタートアップ支援の場所を見てきました。続々とベンチャー企業が生まれています。事の起こりはあのSkypeです。アノ成功、アレに続けということです。人口130万人の国ですがユニコーン(巨大ベンチャー企業)4社あります。ユニコーン4社とは具体的には、通話サービスのSkype、オンラインカジノソフトのPlaytech、個人間送金サービスのTransferWise、ライドシェアアプリのTaxify201937日に「Bolt」に社名変更)です。これらに共通するのは“Skype Mafia”です。Skypeの社員は、会社の売却で巨額の資金を得ました。この資金で新たな企業を起こしてきました。

 

従来の産業振興のモデルは、製造業の振興でしたが、今はその時代ではありません。初期投資が膨大です。ネット企業であれば、パソコン1つでアイデア次第で起業できます。

 

特にエストニア人がITな才能があるわけではありません。私の認識では、もともと産業基盤がありませんから就職する大企業はありません。ですからIT企業を起こすことになります。また人口130万人という事は、国内市場ありませんからいきなりグローバル市場に行くことになります。日本は幸か不幸か就職の選択肢は広くあります。加えてスタートアップ企業にとって、とりあえずの市場は国内にあります。加えて日本人の好きな堅実な成長はグローバルのスケールに届きません。

エストニアで起業している日本人にも会いました。安全で住みやすいと言っていました。特に日本のベンチャー企業と差を感じませんでしたが、エストニアというゆりかごで、彼らがどこまでスケーラブルに成長するか楽しみです。

 

NATOが「サイバー空間に適用できる国際法」を研究したタリン・マニュアル2.0を発表

https://the01.jp/p0004346/ 

 

65俯瞰サロンのご案内

外山 咊之さんに聞く、「サムソンが日本の半導体を超えた秘密

~俯瞰力・企画力を支える超見える化~」

かつて世界を席巻した日本の半導体産業。それがごく短期間の間に韓国企業に追い抜かれ、今ではその背中を見ることすら難しくなってしまいました。なぜこんな事が起こったのか?外山さんは、1995にサムソンの役員会で、『経営システムにおける超見える化---Big Logic技法』について講演をしましたが、反応がないことを怪訝に思いNo.2に確認したところ、『既に導入済だ。複雑な600工程が見えた。素晴らしかった!』との回答を得ました。今回の俯瞰サロンではBig Logicの超見える化の要求軸とその対応技法を概説し、適用事例の紹介と電気業界で起こった過去を振り返り、日本の産業再建ためのヒントをいただきます。

・日 時: 2019425日(木)1830分より(18時受付開始)

・会 場: 品川インターシティ会議室

      東京都港区港南2-15-4

                            http://sic-hall.com/pdf/map/accessn.pdf

・参加費: 講演会のみ 1,000 / 懇親会 3,000

      当日、受付にて申し受けます。

・定 員: 50名程度 (定員になり次第、申込みを締切ることがあります)

・懇親会:講演終了後に懇親会を開催します。

・参加ご希望の方は、下記のサイトからお申し込みください

https://ssl.form-mailer.jp/fms/363b5134602103

【講師プロフィール】
外山 咊之 (とやまたかゆき)

1958、東京工業大学電気工学卒。(旧)富士製鉄にて、一貫製鉄所の複雑な経営を、正確に把握して、見える化するアイディア:構造マトリックスを発想(1960年代)。日本IBMに移り、1974、ドイツ鉄鋼業に於いて、同じアイディアが発展していることを知る。1973のオイル・小さいショックで大混乱した神戸製鋼の強い要求で解読、ドイツ方式で、全面的に導入。その後、対話ソフト化を行い、経営計画・予算策定等の意思決定システムへと適用を広げ、適用業界も装置、製造、金融、エネルギー、食品等へ広げ、150件販売。この数は、IBMは『世界では小さい。』と販売停止。日本の経営Topの関心は低かったが、韓国Top企業の関心は強烈で役員会でレクチャーを実施。 海外学会でも数多く発表。国際MOT学会(1991. マイアミ)、意思決定支援システム学会(ISDSS)でも発表。UNESCOも人類の財産と認める。その後も内外の論文寄稿を数多く実施。東京工業大学経営工学にて博士号取得。

論文:論文:「構造マトリクスにおけるタイプ記号の諸性質とビジネス構造の表現に関する一考察」(ダイヤモンドハーバードレビュー、外山咊之 柴直樹 飯島淳一 東京工業大学)」

 

俯瞰のクッキング イタリア料理の裏技

料理通信という雑誌があります。一般向けというよりもプロの料理人向けの雑誌だと思います。ですから参考になります。1月号は「まだ日本人が、気が付いていない、イタリアの味づくりのコツ、裏技編」でした。確かにいろいろ興味深いノウハウが紹介されていました。冒頭の16ページと17ページに引き込まれました。

 

「蓋あり料理-オイルで蒸し煮」です。言ってしまえば、イタリア風の野菜炒めです。簡単です。鍋にオリーブ油とニンニクを入れ、低温でゆっくり香りを出し、水洗いした野菜を入れ、塩を振って、蓋をして中火で3 ―4蒸し煮します。それだけです。

 

私たちは、どうしても中華料理の影響で鍋の中でかき回して炒めますが、イタリア人の発想は違います。 1度ぐらいは鍋の中をひっくり返したほうが良いのですが、手間をかけずに野菜炒めが完成します。今回は季節の菜の花でやりました。おいしかったです。

 

次のページは「蓋なし料理」です。ジェノベーゼ・ナポリターナです。大量の玉ねぎと豚の肩ロース肉を、オーブンで表面を焦げ色に焼き、赤ワインで煮込む料理です。今回は肩ロース400 g弱を5センチ角くらい切り分けて塩を振ってフライパンで肉の表面を焼きます。別の鍋で玉ねぎ600 gくらいを薄切りにして炒めます。レシピではラードで炒めることになっていますが、ありませんからバターで弱火で炒めました。その鍋に肉を移し、赤ワインを250 ミリリットル入れ、トマトペーストを40 g近く入れます。水をひたひたに入れて、少し煮て味をなじませて、 180度のオーブンに蓋をしないで入れて焼き煮します。時々かき混ぜて40分ほど煮ました。焼けたところを液体に戻す作業はカスレに近いですね。

 

これは、玉ねぎの濃厚な旨味があるソースが美味しいです。パスタやバターライスと一緒に食べても美味しいと思います。発想を変えれば、牛肉の赤ワイン煮でも、鶏肉の赤ワイン煮も変身できます。

 

この雑誌には、これ以外にも作ってみようと思う料理がいくつもありました。例えば、いつもはフライパンでソテーしているラムチョップのフライもやってみました。美味しかったです。

 

俯瞰の書棚 先延ばし克服完全メソッド

今回は「先延ばし克服完全メソッド」ピーター・ルドウィグ CCCメディアハウス 2018です。

 

冒頭で、ローマ帝国の哲学者、セネカもこう言っている。 「我々がためらい、先延ばしをして時間を無駄にしている間に人生は過ぎてしまう」から本書は始まります。耳が痛いですね。

 

本書は究極のHow To 本で、その構成は。

最初のセクションでは モチベーション がどのように働くのかを説明し、「自分のビジョン」をまとめるのに役立つツールを紹介する。それによって、あなたは自分自身の中に長期的なモチベーションを維持できるようになる。第2のセクションは、規律がテーマだ。大事なことを日々積み重ね、一定の習慣を守るという規律によって、自分のビジョンに沿った生活ができるようになる。先延ばしと戦う方法、仕事と時間を管理する方法、ネガティブな習慣を断ち、ポジティブな習慣を身につけるための方法を紹介する。第3のセクションでは、自分の行動の 成果 に焦点を当て、幸福感を維持するための方法について説明する。情緒的な安定を高めることに役立つ実用的なツールを紹介する。それによって、外からのネガティブな力に対する抵抗力がつく。

 

最後のセクションのテーマは 客観性 だ。これは、あなたを取り囲む状況と自分自身に関する誤った認識に気づく能力だ。自分の問題を見極めなければ解決は望めない。

です。

 

章末に「ノウハウ・デザイン」というポンチ画の、手書きのイラストで内容をサマリーしていますので解り易いです。私はkindle版で読みましたが紙のほうがいいかも知れません。手書きを著者は強調していますから。

 

最初の部分に「決断のまひ」ということが出てきますが、情報が多くて選択肢が多いとどれを選択するか決められなくて決断を先延ばしてしまうという現象です。

「私たちの問題は、知っていることが少なすぎるということではなく、知っていることの多くが間違っているということだ」第1の問題は、 得られる情報が極めて無秩序な状態で、質も悪いことだ。アドバイスの内容が逆だったりもするです。

 

先延ばしの習慣を変えるエッセンス、キーワードは、自分のモチベーション、 規律、 成果、客観性です。

 

モチベーションを高めることによって、先延ばしは克服できるといいます。モチベーションには、ビジョンが必要です。「行動なきビジョンは白昼夢。ビジョンなき行動は悪夢」ですから、行動を意識したビジョンが必要です。

 

自分がしていること、特に自分がやりたいと思ってしていることに意義を見いだせるとき、最も強力な形態のモチベーションが生まれる。それが「内なる旅に基づくモチベーション」だ

 

規律とは、生産性と効率を確保することです。頭は「はい」と言っているのに、気持ちが「いいえ」と言っているときですが、「象と象使い」という例えで、我々は、感情的な「象」と「合理的な象使い」の組み合わせで、いかに理性で感情を制御するのかがカギです自己統制 は「象」を操る「象使い」の能力だ。習慣化、自分の「象」をどう訓練するか、これはコーチングの基本モデルです。

 

 一流のアスリートや科学者、芸術家、実業家に関する研究は、彼らに共通する要素があることを示している。それは、行動が「フロー(流れ)の状態」になっていることだ。このフローは何かに挑戦しているときに生まれ、自分の強みとスキルが発揮されるようになる。自分がしていることに完全に没頭し、時間が止まったような感覚になる。目標を達成した後の つかの間の喜びの感情とは違い、 フロー状態 に達するとドーパミンの分泌が長く続くようになると、フローの境地を目指さないといけません。即ち、「成功は幸福のカギではない。幸福が成功のカギなのだ。自分がしていることを愛せれば、成功できる」です。

 

以下は具体的なツールを使った助言です。コンサルティングです。

ビジョン作成の準備は、SWOT自己分析:SWOT分析チャートの「自分の 強み 弱み は何か」と自問し、それぞれ5つ以上を挙げる。

自分の業績リスト:自分が誇りに思う業績を少なくとも10項目挙げる。

モチベーションを生む活動の分析:自分を高める活動 後に残る成果を生む活動 関係を構築する活動を列挙する。

 

そして、自分のビジョンを紙に書いておくと、本当に効果が上がる。いつも持ち歩くこともできるし、どこか目につきやすい場所に貼っておくのもいい「有形にする」「感情的反応を高める」「目標でなく行動に的を合わせる」「『自己2.0』の活動を組み入れる」「バランスとつながり」「アンカーを使う」だ 、「自己2.0」とは、自分のためだけでなく他者のためになることを入れることです。アンカーは、それを見るとビジョンをリマインドするもので、指輪でも、写真でも時々見るものであれば何でもいいです。

 

以下は規律を維持するツールです。

まず、「習慣リスト」:EXCELで列に毎日実行する習慣化の行動をいくつか書きます。例えば、ジョギングとか勉強とか。そして行に達成度を日々一月分記入する表を管理します。

 

次のツールは「To-Do トゥデー」で前日に翌日に何をするか書きます。紙に手書きで。翌日の「To-Do トゥデー」を作るときには必ず、「To-Do」や「アイデア」「カレンダー」の中から仕事を選ぶようにするべきです。「To-Do トゥデー」に移した仕事は、元のリストから抹消するようにします。「To-Do トゥデー」よって、 生産性 効率、すなわち規律 を根本的に高めることができるとの事です。大きな仕事は分割し、小さな仕事は1つにまとめます。

 

そして1日の道筋を決める 最も重要な(おそらく最も気が重い)仕事を朝一番にすることをお勧めするです。

 

そして「To-Do オール」ということで所謂TODOリストです。ポイントは完璧が達成されるのは、もう加えるものがなくなったときではなく、もう削るものがなくなったときであるです。断捨離ということでしょうか。

 

次は「アイデア」マップです。ここに入るのは浮かんだ自分のアイデアです。

最後の部分は「カレンダー」で、人と会う約束や会議など時間に縛られる仕事だけを入れます。

 

To-Do トゥデー」「To-Do」「アイデア」は、それぞれの紙をすべて1つのクリアファイルに入れておくと便利だ。「To-Do トゥデー」をいちばん上にして見えるようにする。今日やる仕事だけが目に入るようにして、すべての仕事の山に気後れしてしまうような状態を防ぐわけだ。このシステムは、カレンダー1つと3枚の紙だけでも成り立つ(「To-Do トゥデー」「To-Do」「アイデア」の3枚)

 

3つの主要なツールを紹介した。 自分のビジョン はモチベーションにつながる。「習慣リスト」は、あなたの「象」を意のままに動かし、意志力の筋肉を強めるのに役立つ。そして「To-Do トゥデー」は、「決断のまひ」をなくして毎日前進していくことに役立つ。これで、あなたの生産性と効率は大きく高まるが、これらのツールを最大限に活用するには、もう1つの極めて重要なスキルを身につける必要がある

 

それは、「ヒロイズム」です。心地よい状態、心地良いベッドからでる、コンフォート・ゾーンから踏み出すことです。その勇気です。心地良い状態からあえて出てビジョンに向かう勇気です。群れを離れる時です。

 

この後は「ネガティブな過去」から「ポジティブな過去」に移る「インナースイッチ」 とありますが。

以下気になった文章は、

「本当に進歩したければ、しっかりした土台の上で自分を高めていかなければならない」

「人生で最も大事なのは、自分自身の人生以上の何かのために生きることだ」

「人間の脳はしばしば、現実と異なることを信じる傾向がある」

ご一読をお勧めします。

 

雑感・私感

以上も雑感・私感ですが、出来る限り参照データを紹介しています。個人のブログは面白いですが個人的な偏りがありますから、できるだけメジャーなメディアを引用しています。

●ISは消滅したことになりますが、トルコ、クルド、シリア、イスラエル、イラン、イラクとグチャグチャです。また、トランプ大統領のゴラン高原のイスラエル主権承認混乱に拍車をかけました。さすがシリア撤退は口にしていません。

経済規模にそぐわないロシアの軍拡、大国風のふるまいはいつまで続きますか。といって北方領土が帰ってくるわけはありませんが。お金は日本もちで共同管理ですか。

中国は5%成長でアメリカを凌駕する超大国になる可能性はあります。先端技術の人材の厚さが凄いです。特許、学術論文を見ればわかります。

直接民主主義は専制政治になりやすいようですね。トランプ大統領、プーチン大統領、エルドアン大統領・・・・

民主主義とは何か改めて勉強しなくては。

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