◆俯瞰メルマガ第 83 号◆2018年11月30日発行

俯瞰メルマガ83
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◆俯瞰メルマガ第 83 号◆

 

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◆時候のご挨拶◆

少しずつ冬を感じさせる日が増えてきました。もう12月です。あっという間の1年です。年賀状の準備が近づきます。喪中で年賀辞退のハガキがパラパラと入ってきます。天寿を全うされたご両親の場合はともかく、配偶者を亡くしたという場合、心が痛みます。友人が亡くなり、その配偶者からご連絡頂いた場合は、まだ若いのにと思ってしまいます。 

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●さらに混乱するヨーロッパ

●新冷戦の影響を受け始めた中国経済

●日産ゴーン 権力は腐敗する

●工作機械見本市JIMTOFに行ってきました

●俯瞰サロン 

●俯瞰のクッキング“ある日の食卓”

●俯瞰の書棚 “「100歳の秘訣」歌代幸子”

●知識の俯瞰 知的腕力を鍛える4

●雑感・私感

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◆さらに混乱するヨーロッパ◆

依然としてヨーロッパの混乱は続いています。まずイギリスのEU離脱ですが、いよいよギリギリの所まで来ました。土壇場でジブラルタルの問題が出ましたがこれも妥協点を見つけて何とかしのぎました。そして EUとの最終合意に到達しましたが国会の承認が得られるか不透明です。 EU加盟国も合意なき離脱を想定した対策をとっているようです。その場合空港や港湾で大混乱が起こると予想されています。

 

国民投票を再度やれという世論も強く、元首相のトニー・ブレア氏とジョン・メージャー氏は国民投票を再度行うべきだと主張しています。私は土壇場でメイ首相が自爆的な国民投票をすることもありうると思っています。

 

合意なきイギリスのEU離脱があれば、世界経済に大きな衝撃を与える事は必至で、それなくても米中の貿易戦争で疑心暗鬼になっている金融市場は過剰に反応して世界的な経済危機のトリガーになりかねません。すでにニューヨーク市場はゆっくりと下げています。とりわけ相場を引っ張ってきたテック企業の株価が大幅に暴落しています。

 

さらにヨーロッパにはイタリア予算の問題があります。ポピュリズムで政権を取ったイタリア政府は大衆受けする政策を実行するために、EUのルールを破る財政支出の予算案をEUに提出しましたが、当然EUは拒否しました。しかしイタリア政府は強気で、赤字予算であっても経済成長によってとり戻せると予算案の修正を拒否しました。これに対してEUは、制裁を発動することを決めました。 EUとしては、それでなくてもタガが緩んだEUを引き締めるために、安易な妥協はできません。これでイタリアがEU離脱を言い出すとは思いませんが、 EUとイタリア政府の対立も新たな経済危機の引き金になりかねません。

 

フランスのマクロン大統領も支持率25%と人気がありません。労働改革はなんとか乗り切りましたが、環境保護のための燃料増税という理想に対し、直接生活に影響する燃料値上げは国民の猛反発を引き起こし、全国的にデマが広がり、パリでは暴動化しています。

 

ドイツのメルケル首相は選挙の敗北を受けて党首を辞任しましたが、首相は2021年までやると言っています。しかし、かつてのグローバルリーダーの役目は無理でしょう。マクロン大統領とメルケル首相でヨーロッパの統合を進める理想はしぼんでいきます。したがって、相対的にヨーロッパに対するロシアの影響力は強くなります。最近はウクライナのニュースもほとんど聞くことがありません。

 

パリで第一次世界大戦100年の行事がありましたが、トランプ大統領は単独行動や孤立が目立ち、欧米の分断がはっきり示されました。マクロン大統領はポピュリズムの台頭に対し、悪魔が再び力をつけてきたと危機を訴えましたが、特に各国の首脳がこの認識を共有するような感じはありません。

 

ヨーロッパの統合、開かれたヨーロッパという理想は、反移民政策で力をつけたポピュリズムの前に影が薄くなってきました。民主主義の後退は、国際情勢を不安定なものにします。

 

EUと英国、離脱の最終草案に合意-緊密な経済関係を維持へ

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-11-22/PILHWG6JIJUP01 

英国の「合意なき離脱」で何が起きるか

https://jp.reuters.com/article/britain-eu-deal-idJPKCN1NR08F 

英とスペイン、ジブラルタル巡り合意 EU離脱へ前進

https://www.cnn.co.jp/world/35129142.html 

イギリス世論調査、EU残留派が離脱派をまた上回る

https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2018/11/eu-146.php 

強気イタリア、経済成長止めても…EU、制裁手続き開始

https://www.asahi.com/articles/ASLCN7W2BLCNUHBI02X.html

マクロン仏大統領の支持率、25%に低下 世論調査

http://www.afpbb.com/articles/-/3198139 

フランスのデモで衝突、8人負傷 マクロン大統領がデモ隊非難

https://www.cnn.co.jp/world/35129141.html 

マクロン仏大統領、「国際協調」狙うも分断浮き彫りに 第一次大戦終結記念式典で

https://www.sankei.com/world/news/181112/wor1811120029-n1.html 

メルケル時代の終わり?EUに広がる不安、笑う右翼政党

https://www.asahi.com/articles/ASLBZ0PSHLBYUHBI03W.html 

国際社会はどうなる? ドイツのメルケル首相、政界からの引退準備を進める

https://www.businessinsider.jp/post-178448 

 

◆新冷戦の影響を受け始めた中国経済◆

米中の貿易戦争は中国経済に徐々に悪影響を与えています。輸出産業の雇用は減り、自動車を中心とした国内消費も落ち込んできました。この影響は中国経済に大きく依存する東南アジアの経済にもじわりじわりと効いてきます。日本にもその影響が出てきます。

 

単なる貿易戦争ではなく新たな冷戦ですから、アジアの国際情勢にも影響し、先般のAPECでは共同宣言が出せませんでした。中国とアメリカの間に立つアジア諸国は立ち位置に迷っています。いつかは、中国とアメリカのいずれを選択しなければならない日が来るかもしれません。この意味ではアメリカファーストの政策は極めて危険です。

 

中国政府は財政の健全化と財政出動による景気政策とのジレンマに悩んでいるようで、日本にアドバイスを求めたという報道があります。どうしたら低金利で国債が発行できるのかという問いです。日本の真似をしても仕方がないと思いますが、背に腹は代えられないという事でしょうか。

 

一方、米中の貿易戦争は日中関係の改善という長年の懸案を解消しつつあります。依然として尖閣列島での挑発は続けているようですが、経済面での関係改善は目を見張るものがあります。そして日本が中国の一帯一路に協力する形で、アジアでのインフラ投資を推進することになりました。日中が入札で競合するのではなく協調していくということは、悪いことではありません。

貿易戦争は一方的に中国に不利に働いているわけではなく、既にアメリカ国内にもマイナスの影響が出ています。 1人勝ちのアメリカ経済も、輸入価格の高騰や利上げによる住宅販売の減少など徐々に景気後退が目立ち、株式市場はすでに売り気配が強く、東京市場にもその影響が出てきました。ニューヨーク市場に連動して東京市場も下げました。この状態に英国のEU離脱、イラン危機などの事態の急変があれば世界的な経済不況に一気に入る危険性があります。

 

米中貿易摩擦激化 大丈夫か中国経済」

http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/100/308959.html 

APEC首脳宣言できず

https://www.asahi.com/articles/ASLCL5S0FLCLULFA007.html 

貿易戦争で増大する中国債務(十字路)

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO3793167019112018ENI000/ 

国債消化で日本に“指南”求める 貿易戦争で苦しい中国、財政政策拡大か

http://www.sankeibiz.jp/macro/news/181123/mcb1811230630001-n2.htm 

縮みゆく中国の民間経済 習近平の国有企業重視に経済悪化が追い打ち

https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2018/11/post-11283.php 

日中首脳会談で意外な新しい友情 米国との貿易摩擦で接近やむなくtps://www.bbc.com/japanese/45994275 

米「独り勝ち」経済に陰り=貿易戦争の影響も

https://www.jiji.com/jc/article?k=2018102700422&g=int 

米市場失速明らか 貿易摩擦・トランプ氏…投資家が懸念

https://www.asahi.com/articles/ASLBT52WQLBTULFA01G.html 

 

◆日産ゴーン 権力は腐敗する◆

日産のゴーン会長逮捕のニュースは、日本はおろか世界中のメディアで大きく取り上げられました。詳細はまだ不明ですが、有価証券報告書の不正記載、会社資産の不正流用はよくある話ですが、ゴーン会長の強欲ぶりが明るみに出ました。

 

英国の歴史家ジョン・アクトンの言葉「権力は腐敗する、絶対的権力は絶対に腐敗する」が有名です。

 

ただ投資家に与えた影響としては、同じ有価証券報告書の不正では東芝事件の方が、はるかに大きいです。 当時の経営者に対して、何の刑事的な処分がなかったという対応の違いが気になります。何か特別の意思が働いたのではないかと、多くの人が思うでしょう。日本の経営者には検察は甘いのでしょうか。例えば、東京電力の福島原発のメルトダウンの原因となった津波対策について、検察は不起訴処分にしました。検察審議会で起訴相当ということで刑事裁判になっていますが。

 

もともと企業組織は民主制ではなく専制政治が一般です。もしくは派閥抗争です。皮肉ですが、派閥抗争の方が相互が牽制しあい不正が出にくいかもしれません。

 

過去の大きな企業事件もすべて絶対権力を握ったトップの暴走です。古い話ですがKDDI 、住友銀行などが典型です。最近、企業の不正が明るみに出ていますが、もしかしたら独裁的な経営者の企業で、正常なコミニケーションがなくなり、社員の倫理が下がり、不正が組織に日常化しているのかもしれません。

 

ほとんどの経営者が交際費と称して、個人の遊興費を社費でまかなっている事は周知です。この事件を機会に、襟を正す経営者が出れば日本も少し良くなります。

 

◆工作機械見本市JIMTOFに行ってきました◆

ビックサイトで開かれた国際工作機械見本市に行ってきました。タイトル通り工作機械が並べてあります。改めて何十年も変わらない景色だなと思いました。機械を作って売るというビジネスが続いているわけです。そして、ほとんどメンバーが変わっていません。幾多の不景気があっても、この業界は生き延びています。それぞれの持ち場が決まっているのでしょう。インタツリー4.0の展示を期待してきた人は、がっかりたでしょう。展示の形態に大きな変化が必要だと感じました。

 

私は機械ではなく、IOT や人工知能、クラウドコンピューティングの応用を中心に見ました。

 

IOTについては、多くの企業が展示していました。しかし、ほとんどが情報の見える化の段階で、それを使った高度のサービスはごく僅かでした。人工知能の応用についても期待していましたが、ほとんど見るべきものは有りませんでした。出展企業がほとんど工作機械会社ですから、しかたありませんが。 IOTや人工知能を使ったサービスを開発できるエンジニアが、この業界にはほとんどいないのでしょう。幸い市場規模が小さいのでGoogleのような怪物は参入してこないのかもしれません。

 

自動車業界もエンジンを中心としたハードの革新に注力していましたが、気がつくと最大のライバルはGoogleだった、となりました。工作機械業界にも必ず強力な新規参入があるでしょう。

私は今、DMG森精機という工作機械会社で先端技術者の養成をしています。IOTと人工知能、クラウドコンピューティングの3つの先端技術を使いこなせる技術者です。外から人材を獲得とする事は、ほぼ不可能です。もともと国内にごく少数しかいませんから。始めて1年半ほどになりますが、研究者にするのでなければ、比較的短期間で養成できることがわかりました。条件はあります、若いことと線形代数の知識があることです。ですから新入社員を研修しています。今回の展示を見て、ある意味ほっとした所もあります。まだ間に合うと。

DMG森精機 – 先端技術研究センター

http://www.etl-dmgmori.com/ 

 

◆俯瞰サロン◆

第61回の開催は、調整中です。

 

◆俯瞰のクッキング “ある日の食卓” ◆

最近は献立がマンネリ化してるようで、ここでご案内するような料理を作っていません。強いていうと、肉なしの回鍋肉、具無し味噌無しのお味噌汁でしょうか。

 

肉なし回鍋肉は、たまたま冷蔵庫にキャベツが半分あって、そろそろ処分した方がいいと思い、 青い部分の葉を筋をとって、手で適当にちぎり回鍋肉としました。残った部分はザクザクと切って塩を振り、少し置いてから塩もみしてコールスローにしました。食品スーパーにコールスローのドレッシングが買ってありましたので、それを使いました。

 

回鍋肉は、ただ肉がないだけで、つくり方は同じです。中華鍋で湯を沸かし、少しサラダオイルを入れ、キャベツの葉を少しずつしゃぶしゃぶのように入れてすぐに引き上げます。あくまでもさっと。

 

その鍋の湯を捨て、サラダオイルを大さじ1杯入れ、ちぎって赤唐辛子を1本、そして長ネギの刻んだものを入れて炒めます。香りが出たら合わせ調味料(味噌大さじ1 、甜麺醤大さじ2分の1 、酒大さじ1)を入れて煮立たせ、キャベツを戻します。あくまでもタレを絡せるだけです。言ってしまえば、キャベツ味噌炒めですか。

 

具無し味噌無しのお味噌汁ですが、単なる思いつきです。基本的に味噌汁の出汁は前の晩に仕込みます。煮干の頭とワタを取ったもの10本、昆布10センチ四方をハサミで刻みます。基本的に昆布は、味の濃い羅臼昆布を使います。そして干し椎茸ひとつ、水600 cc 。これを鍋に入れ15 分ほど煮出します。その後、これを濾して具を煮て、味噌入れて仕上げます。

 

その日は青森で買ってきた高価な焼き干しを使いました。焼き干しは100グラム2000円くらいする高価な代物です。昆布も羅臼昆布という高級品です。冬菇も立派です。なぜかこれを濾して捨てるのが惜しいと思い、少し食塩を入れて、そのまま食することにしました。出汁もよく出ていて潮汁のようです。ただ煮出した焼き干しは、かなり噛みでがありました。結論として、やはり味噌汁は安い煮干の方が捨てること躊躇せずに済みます。昆布も、味噌汁の具としては硬いですね。椎茸は、茎をとって切れば身として食べられます。

今回はしょうもない報告で申し訳ありません。

 

◆俯瞰の書棚 “100歳の秘訣” ◆

今回は「100歳の秘訣」歌代幸子 新潮新書 2017です。

人生100年時代と言われていますが、 100歳を超えてなお未来に対し挑戦している方々のインタビューのまとめです。いずれも太平洋戦争という、想像を絶する苦難の時代を生き抜いた方々ですから、たくましさが中途半端ではありません。そしてその過程で獲得した強い精神力で、現在もなお未来に挑戦しているお話を聞くと、自分自身がまだまだ若輩で、修行の途中だと実感させられます。私が読みながらマークした部分の一部をご紹介します。壮絶な人生ですから、読んでいて目頭が熱くなるところもいくつもありました。

ぜひこの本をお読みになる事を勧めます。

 

フォトジャーナリスト 笹本恒子 104歳

「ライカを手にしたのは、日中戦争のまっただ中。生まれ変わっても「フォトジャーナリストになりたい」

 

プロゴルファー 内田棟 101歳

「軽井沢ゴルフ俱楽部で会った白洲次郎、田中角栄ら一流の人には信念があった。」

「私はいかに厳しくとも部下を育むことこそが日本人の精神であらねばならないと思っていたのです」

 

精神科医 髙橋幸枝 101歳 

「これまで100年生きてきて、つくづく思うのは、人生というのは半分が自分の努力、あとの半分は運命のような気がします」

 

画家 入江一子 102歳 

「納得いくまで描いては消し、『建設と破壊』を繰り返す。そうして絵に魂を込めることで、画面の中から『人を引っ張る力』を描き出すことを学んだ。」

「どんな土地へ行っても、絶対にその場で描く。印象だけじゃだめなんです」

「美しい心でいたいと思うの。それが今の願いかしら」

 

浅草神社奉賛会会長 鈴木秋雄 102歳 

「ラバウルから戻った時、浅草は一面焼け野原だった。店を、祭りを復興させ、氏子四四ヶ町を束ねる筆頭総代は、今なお三社祭で神輿を担ぐ。」

「明日をも知れない戦場をくぐり抜けてきたから、どんなことがあっても驚かなくなった」

 

児童文学者 森比左志 101歳

「敗残兵として貨物列車へ潜り込んで故郷へ戻り、教壇に立つ日々を変えたのは、恩師からの一通の電報だった。『ヨウアル、スグコイ』」

「やがて最期の時を迎えた妻の枕辺で、森が捧げたのはこんな言葉であった。『もうこれで苦しまなくてすむんだよ、よかったねママ、よかったねママ』」

 

菓心あづき庵 田谷きみ103歳

「103歳の〝看板娘〟」

「歳はとるものじゃなくて忘れるものと思う。〝いま〟を生きるいのちの輝きを撮り続けることで、笹本もなお枯れることなく咲き誇る。女はいくつになっても、紅いバラでありたい…」

 

剣道家   太田博方   103歳

「剣道は、愛に始まって愛に終わる。そして人生もまた、愛に始まって愛に終わる。それは、103歳現役剣士がなお熱き胸に秘める矜持である。」

「さらに長生きして東京オリンピックの開会式をこの目で見たい」

 

言語学者   川崎桃太  103歳

「フロイス『 日本史』 の 第一人者」

「再び祖国に会えた喜び。それはもう言葉にすることはできません。見るもの、聞くもの、何もかもが愛しく、懐かしくて、あの感動は忘れられませんね」(ブラジルからの帰国)

「103歳になった川崎は『これも天から与えられた命』と、今なお書斎で机に向かう。」

 

俳人   後藤比奈夫   101歳

「『俳句は心で作って心を消し去るもの』と説きました。やはり心がなかったら俳句は作れません。ならば充分に心を使って写生をし、最後にできあがった形からは心が見えないようにする。」

「柔らかな心というのがいちばん大事です。そのためには心を謙虚にして目線を下げること。物を見るのに高いところから眺め降ろしているのはあまりよくない。人に接するときはもちろん、物を見るにも、言葉を選ぶにも、謙虚な心が大切。心の目線を低く穏やかにしていると、身の周りの何もかも、出てくる言葉までもがいとおしいものに見えてきます」

 

あとがき

(健康寿命について)「取材で出会った方々は誰しもとりたてて秘訣はないのだと語り、日々の積み重ねを淡々と顧みるだけ。それでも乗り越えてきた苦難は計り知れず、命を賭する体験や病苦も経ていた。だからこそ、なお限りある命を愛する家族や後進に尽くしたいと願う。それこそが生きる活力になっているように見えた。」

 

◆知識の俯瞰◆ 知的腕力を鍛える4

知的腕力とは情報の収集、分析、編集のスキルだと言いましたが、その領野について一定程度の知識が前提です。ここでは「なぜ日本は今輝きを失った国になったのか」をネットで情報収集し、それを時系列的に分析し、編集してみたいと思います。

 

ネットでの情報の収集は出口すなわちアウトプットをきちっと意識して行えば効率的で質の高い情報が収集できます。検索をしていくと新しい検索のヒントが浮かんできます。今回は日本がプラットフォームビジネス、自動運転車、人工知能などの分野で気がつくとアメリカに大きく差をつけられたのか、どこで間違ったのかを検証するという視点でやってみました。

 

今、先端技術の分野で産業をリードしているのはGAFAすなわちGoogle、 Apple Facebook、 Amazonです。すなわち巨大なプラットフォームをネット上に築いてそこから吸い上げたビックデータでスケーラブルな情報サービスを展開し、巨額の収益を上げている企業です。

 

日本企業だけでなくアメリカでもGEやIBMといった、かつての先端技術のリーダーだった巨大企業も没落しています。日米に共通の敗因があると思います。結論から言えば「既に起きていた未来」を事業の再定義に組み入れずに、従来からの収益源に拘泥し、気がつけば時代に取り残されてしまったということです。20世紀のビジネスモデルのまま、21世紀を迎えてしまったことです。例外はマイクロソフトで、一時は創業者のもとで先頭集団から脱落しましたが、新しいCEOのもとでGAFA と対等に戦う状態に再生しました。

 

1990年から1995年でインターネットという革命的な、そしてグローバルな情報通信のインフラストラクチャーが実現しました。WWWとブラウザーが情報通信網をビジネスインフラにしました。そしてWindows 95は個人がその新しいビジネスインフラにつながることを可能にしました。驚くことにジェフ・ベゾスはその前の1994年にAmazonを立ち上げてECを始めています。未来が見えていたのでしょう。同じように目の前に出現したビジネスインフラに未来を感じたラリー・ペイジとセルゲイ・ブリンは、検索エンジンで1998年にGoogleを立ち上げました。彼らの未来を信じたジェフ・ベゾスは投資して支援しました。成功が成功を支援するという正のスパイラルモデルが動き始めました。

 

ほぼ同じ時期に中国でも2つの創業がありました。1998年のテンセントと1999年のアリババです。2000年初頭にはテスラモーターとFacebookも創業しています。そして現在の時価総額のベストテンのメンバーが出そろいました。

 

日本ではIIJがプロバイダーとして創業し、ニューヨーク市場に上場しましたが、スケーラブルなサービスビジネスを本格的に展開することなく凋落していきました。富士通やNEC 、ソニーという当時の先端技術企業は、この100年に一度の時代を見過ごしています。パソコン通信という事業はしましたが。

 

コンピュータの巨人であったIBMも、汎用コンピュータービジネスという金のなる木を握り続けて新しい時代に対応できずに結果として凋落しました。当時IBM は、技術はありましたが、カニバリズムの恐怖でネットワークとパソコンのビジネスを本気でやりませんでした。戦略論としては社内で議論していましたが、事業部はむしろ新ビジネスを敵視していました。

 

Appleを創業しながら会社から追われていたスティーブ・ジョブスが、2000年に復帰しました。彼はソニーのウォークマンを超えるiPodを世に出して世界に号砲を放ちました。そして2007年にスマートフォンという、持ち歩きができ、通信もできる、そして電話も掛けられるというコンピュータを再発明しました。それから10年、スマートフォンが世界を変えました。このスマートフォンに関連したビジネスと、そうでないビジネスで勝者と敗者という格差ができました。

 

自分が目指すビジネスモデルが途方もない情報処理能力を必要とすることを認識したGoogleは2004年にコンテナサーバというコンピュータの再発明をしました。たった一人のエンジニアしかいなかったと言われています。 Amazonはこれに着目しクラウドコンピューティングという新しいビジネスを立ち上げました。現在ではAmazonのドル箱です。

 

この時代に、日本は何をしていたのか探していましたが、 1992年に第5世代コンピュータプロジェクトが終了しています。世界に先駆けた人工知能技術開発のプロジェクトでした。しかしその成果はほとんど残っていません。むしろこの失敗から、この後しばらく政府も民間も人工知能から距離を置いていました。ある企業では人工知能という言葉が入ると予算がつかないので、別の表現で人工知能研究を続けるしかなかったと言われています。

 

Googleの急成長を見て、さすがに政府も対抗策を打ち出す必要を感じ「情報大航海プロジェクト」という日の丸検索エンジンの開発を打ち出しましたが、既存の大企業に150億円配っただけで終わりました。もともとなぜやるのか疑問視されていました。

 

そもそもGoogleやAmazonなどは政府の補助金をもらっていません。政府の補助金でイノベーションを起こすというモデルそのものが間違っているのでしょう。このモデルは半導体産業界の「超LSI開発プロジェクト」以後ほとんど成果を出していません。むしろ先端技術企業を補助金に頼る体質にして、結果として産業界全体を衰退させました。

一方Googleは人工知能を全ての事業で追及することをビジョンとして掲げ、英国、カナダを含め人工知能の人材を集め、人工知能技術のリーダーとなり、自動運転でも先頭を走っています。

 

インターネットとスマートフォンが開いた巨大なビジネス空間ではAirbnbやUberのようなシェアリングエコノミーが勃興し、既存の産業界に破壊的な衝撃を与えています。とりわけ自動車産業はEV 、自動運転、シェアリングという3重の衝撃を受け大変革をやむなくされています。主役の交代と関連業界の衰退が予想されます。

 

以上から1990-2010年で日本は時代に乗り遅れたということがわかります。不幸にもこの時代はバブル崩壊後で、日本人が委縮していた失われた20年でもありました。2010年以降は人工知能で周回遅れです。

では1995年の段階でその後の大変化を認識できたかどうかということが問題です。 1995年に私はパソコンビジネスの渦中にいました。マイクロソフトと対峙していましたが勝てない戦だということは強く認識していました。スティーブ・ジョブスがAppleを出て作ったピクサーいう会社がコンピュータグラフィックスだけで作り上げた「トイ・ストーリー」という映画もアメリカで封切りを見ました。時代は変わる、と思いました。と思いましたがその先どう変わっていくのか分かりませんでした。あの時もっと関連情報集め、直接イノベーションを起こしている人と話すことができればもっと正しい認識ができたかもしれません。その時代にAmazonもGoogleも未来を感じて創業しているのですから。シリコンバレーは時代の風を感じさせる空間だったのです。

 

今の世界が作られた1990-2010年

1990 CERN のティム・バーナーズ・リーWWWを実装

1992 第五世代コンピュータプロジェクト終了(1982開始)

   日本のIIJ社 設立

1993 NCSAのマーク・アンドリーセンMosaic を開発・リリース

1994 Amazon設立

1995 インターネットの商業化

   マイクロソフト社がWindows '95 を発売

1998  Google設立

   テンセント設立

1999 アリババ設立

2000  スティーブ・ジョブスがAppleのCEOに復帰する

2001 Apple iPod発売

2003 テスラモーターズ設立

2004 Facebook設立

   Googleがコンテナサーバの特許

   Google Mapサービス開始 

2006 Amazon(AWS)開始 クラウドコンピューティング

2007 iPhone発売

情報大航海プロジェクト

2008 Airbnbサイト開設

2009 Uber設立

   Googleが自動運転車の公道実験開始

2010 DeepMind設立(2014年Google買収)

2012 ヒントン教授のトロント大学のチームがディープラーニングで人間を超えた

2015 Googleの全自動運転カーが公道走行

2016 打ち上げたロケットを垂直に「着陸」させる事に成功

2017 GoogleのAlphaGoが世界トップ棋士に勝利

   Uberが初の自動運転トラックでの輸送に成功

 

◆雑感・妄想◆

以上も雑感・妄想ですが、出来る限り参照データを紹介しています。個人のブログは面白いですが、個人的な偏りがありますから、できるだけメジャーなメディアを引用しています。

 

外国人労働者の受け入れ法案の過程で、現在の技術研修生の実態が報告されましたが、あまりの酷さに愕然としました。日本という国の品格が疑われます。

 

次々と明るみに出る大企業の不正にも、日本という国の品格が出てきました。いつからこんな国なってしまったのでしょう。

 

トランプ大統領は記者暗殺について、サウジの皇太子の関与なしという政治的な発言をしましたが、国際社会は到底受け入れないでしょう。ここでもまた孤立しました。閣僚級の人事を進めるようですが、マティス国防長官には、是非残ってもらいたいです。彼は侍ですから。

 

全く虚しい憲法改正の議論ですが、公明党が合意しませんから、国民投票に行かないと思います。イギリスの例にあるように、国民投票は周到な議論がないと危険です。

 

北方領土の問題が歯舞色丹の返還で落ち着きそうですが、これが現実的な落としどころでしょう。できれば国後択捉周辺の漁業権が欲しいところですが。これは安倍首相はかなり本気で決着をつける感じですが、国民も現実的な判断で対応する必要があります。

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◆俯瞰MAIL83号(2018年11月29日)

発行元:一般社団法人俯瞰工学研究所

発行人:松島克守

編集長:松島克守

配信人:石川公子

URL:http://fukan.jp

 

 

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